【SS】しがないヒガナと非がないシガナの日がな一日恋物語:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】しがないヒガナと非がないシガナの日がな一日恋物語:ポケモンBBS

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【SS】しがないヒガナと非がないシガナの日がな一日恋物語

 ▼ 1 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:45:30 ID:TlHQG0Bw [1/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
空の柱屋上
ヒガナ「………………ほら……シガナ、見たいって言ってたよね、シシコ座流星群。お空に輝くたくさんの星が、これから降り始めるんだよ」

シガナ「にょっ! にょーっ!」

ヒガナ「嬉しいのか〜? 嬉しいのか〜? シガナぁ〜、あはは……………」

ヒガナ「………ようこそ、龍召の祭壇へ、ユウキ君。もうわたしが何をしようとしているのか、わかってもらえたよね」

ユウキ「なんとなくはね」

ヒガナ「そう、レックウザを現世に召喚し、ここホウエン目掛けてやってくる隕石をなんとか破壊する……それが、わたし……たちの使命……」

ユウキ「そういうことか…………」

ヒガナ「小さい頃から、空を見上げるようにしてる。不安がいっぱいで心が押し潰されそうなときも、悲しくて、寂しくて、心が折れそうなときも、絶対涙を流さないように…………君はどう? そういうことって、ある?」

ユウキ「正直……何度かあるかな」

ヒガナ「そっかあ」

ヒガナ「………………………………こうやってよく星を見ていたの……シガナとも。楽しい時も、悲しい時も、いつも一緒だった。大好きだった、心から愛していた……」

ヒガナ「でも、いなくなっちゃった………………あはは……………………会いたいな……会いたいよ……シガナぁ…………」

シガナ「???」

ヒガナ「……ね、このままで……まだ、あとちょっと……」

ユウキ「………………一つ、聞いてもいい?」

ヒガナ「…………うん、いいよ」

ユウキ「…………………シガナって誰なの?」

シガナ「にょーい」

ヒガナ「………お前のことじゃないよ」ナデナデ

シガナ「?」

ヒガナ「流星の民きっての天才で………わたしの初恋の人だった………」
 ▼ 2 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:47:30 ID:TlHQG0Bw [2/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜回想〜
 流星の民はかつて隕石の力を借りて、レックウザをメガシンカさせた一族だった。
 けれどもその隕石は数十年前から流星の民の手にはなかった。デボンコーポレーションが『∞エナジー』というものを開発するために、流星の民からそれを奪い取ったのだ。
 そこで始まったのが、隕石を利用せずにポケモンをメガシンカさせるための修行だった。歴代の流星の民もその発想はあったそうだが、成果をあげずに終わってしまっていた。それでもシガナはついにその方法を会得したのだった。
それからシガナはメガシンカさせる時間を延ばす修行にはいっていた。

でもわたしはと言うと………

 落ち込んでばかりだったわたしを励ましてくれたのは、いつもシガナだった。
「ヒガナ、また泣いてるのかい?」

「……うん」

「そういう時はね、星空を見るんだよ。そうしたら涙は流れなくなる」

「……それに…あぁやって星が輝いてるところを見ると、なんでこんなちっぽけなことで悩んでたんだろうって思えるんだ」

「……シガナも悩むことあるの?」

「……アハハ! そりゃあもちろんあるよ! 私だってそりゃあ……そりゃあ……」

「?」

「……何でもない」

その時はよく分からなかったけど、今ならシガナが何を考えてたのか分かる気がする。
才能のあるシガナにわたしが憧れていたように、シガナも普通だったわたしに憧れていたんだと思う。
この世界を救いたいと思ってはいるけれど、自分自身の為にも生きたい。自分にこんな特別な力がなければ、もっと普通に……
そう考えてたんだと思う。
 ▼ 3 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:49:03 ID:TlHQG0Bw [3/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
 シガナはもう一つ人とは違う才能を持っていた。
それは予知能力。
昔まだわたしが生まれていない頃、小さかったシガナが両親の死を詳しくイメージしてしまったことがあり、その怖い『夢』をオババに話したらしい。その後、その通りの日付、死因で両親は亡くなったそうだ。
一族がわたし達だけになってしまうのことも予知していたらしい。そしてその先のことも………。
その後は徐々にコントロールできるようになり、見たい時に見られるようになったそうだ。

………と、オババから聞いたのだけれど、正直なところわたしは半信半疑だった。


「…うーん……今晩はカレーだね」

「え、シチューにするって言ってたけど?」

「いや、カレーだよ。オババがうっかり牛乳を買い忘れて仕方なくカレーになる」

「ふーん」

わたしが知る限りシガナはこの程度の予知しかしてなかった(ちゃんと毎回当たってたけど)。
予知能力の有無を疑っていたのは言うまでもない。
 ▼ 4 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:49:54 ID:TlHQG0Bw [4/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
シガナといえば思い出すのはゴニョニョのことだ
「にょーい!」

「よしよし、どうした?シガナー」

「……あのさぁシガナ、前から気になってたけど、なんでゴニョニョに自分と同じ名前付けてるの?」

「私だって付けたくて付けたんじゃないよ。たまたま拾ったタマゴが孵ってね、自己紹介したら『自分の名前がシガナで、目の前にいるのがママ』って思っちゃったみたい」

「へぇ〜」

「本当はゴニョ太とかゴニョの助とか付けたかったんだけど………」

ネーミングセンスはあんまりなかったみたいだった。
そもそもそのゴニョニョはメスだし。

「じゃあなんで進化させないの?」

「なんか恐くなって可愛げなくなるから」

「にょ!?」

意外と厳しいなぁと思った。
 ▼ 5 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:53:10 ID:TlHQG0Bw [5/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
わたしはシガナといつも一緒だった
朝起きる時も、ご飯を食べる時も、修行をする時も
そして……お風呂に入る時も
「ヒガナはいいなぁ〜。髪は長くて綺麗だし、……胸も大きいし」

「揉まないでよシガナー!」

「ごめんごめん」
シガナが当時は長かったわたしの髪を洗いながら、こんな会話をしてくることがよくあった。
シガナのショートカットで貧乳なところも充分可愛いと思うんだけど、よほどコンプレックスだったらしい。

でもわたしからしたら、シガナとの貴重なスキンシップを取る機会なので悪い気はしなかった。
 ▼ 6 クノシタ@クロスメール 18/11/08 22:55:27 ID:NY06aXaM NGネーム登録 NGID登録 報告
こういう凝ったスレタイすこ
支援
 ▼ 7 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 22:58:40 ID:TlHQG0Bw [6/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
わたしにバトルを教えてくれたのもシガナだった
「いけ!チゴラス!かみつく!」

「ボーマンダ、炎の牙」

シガナはレベルの高いボーマンダとゴニョニョしか持っていなかったけれど、わざと不利な相性の技で攻めたりして手加減してくれた。
ただ………バトル中にシガナとボーマンダの想いがシンクロする時が多々あり……メガシンカしてしまうことが多々あった。

「あちゃー……メガボーマンダ、炎の牙…」

そうなると差は歴然だ。多少の相性の差など関係なく一気に決着が着いてしまう。

「キュー……」

「ズルいよシガナー!」

「はぁ……はぁ……。ご……ごめんねヒガナ」

シガナはポケモンをメガシンカさせた後は、いつもしんどそうにしていた。
後でわかったことだけれど、メガシンカには隕石が放つエネルギーと生体エネルギーが必要不可欠で、シガナは自分の生体エネルギーをより使うことで補っていた。
……つまり、自分の命を削っていた。
ポケモンと気持ちをシンクロさせると、勝手に発動してしまう代わりに使う生命エネルギーは少なくはなるのだが、結局命を削っていることに変わりはない。生命エネルギーの浪費は、徐々にシガナの体を蝕んでいた。

そんなことは露程も知らない当時のわたしは、ポケモンをメガシンカさせられるシガナをただただ羨むばかりだった。
 ▼ 8 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:01:23 ID:TlHQG0Bw [7/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんな日常を送っていたわたしだったけれど、次第に自分の中の違和感に気付き始めた。

「ヒガナー、一緒にお風呂入ろー」

「え……い…いいよ………一人で入る…」

「そっか、分かった…………」

わたしはシガナを避けるようになっていた。
シガナを見ていると胸がもやもやして、マトモに目を合わせることができなくなっていたからだ。
シガナへの嫉妬のせい、そう思っていた。




でもシガナと距離を置いてしまう一方で、自然とシガナを目で追ってしまう自分がいた。
「……どうしたの? こっちのトーストの方がよかった?」

「な、何でもない……///」

「………?」

シガナを見つめていると胸がドキドキして苦しくなって、でもそれをたまらなく幸せに感じていた。



単なる嫉妬ではこうはならないと気付いたのは随分と後のことだった。
本当は心の底で気付いていたけれど、その時は実は憧れていたんだと『誤った』結論を出し、そう思うことにした。
 ▼ 9 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:03:31 ID:TlHQG0Bw [8/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから数日が経ったある日のこと、わたしがお風呂に入っていた時のことだ。

確かあの時もシガナのことを考えていた気がする。
突然ドアが開き、びっくりしたわたしは、思わず頭をぶつけた。
「お邪魔してもいい……?」

「え?うん………」
久々のシガナとのお風呂だった。
意識しないわけなどなかった。
わたしはチラチラとシガナに目を向けていた。

「……あ、洗いっこしよっか…?」

「へ?」

シガナがそんなことを言い出したのは意外だった。
今まで洗いっこなんてしたことなかったのに。

「あ……ごめん、ダメに決まってるよね…。 何言ってるんだろう私……」
アハハと乾いた笑いを溢すシガナは少しやつれて見えた。
わたしはそんなシガナを放って置けなかった。

「やろう、洗いっこ」

「…うん。ありがとう」
 ▼ 10 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:06:30 ID:TlHQG0Bw [9/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
恋は男女でするものだと思っていたわたしにとっては、自分自身の気持ちは受け入れられるものではなかった。
初恋の相手はよりによって女性でありシガナであった。
この事実は数日経ってもわたしの胸を苦しめた。
自分自身を気持ち悪く思う程に。


考えが堂々巡りし始めたので、わたしは星を見に行くことにした。
綺麗な星空を眺めていれば、冷静に考えられるかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら114番道路に向かった。



114番道路の星空はとても綺麗だった。
空を眺めながら目的もなく足を進めると、星々が違った動きをしているように見える。
宇宙の星々がそれぞれ自由に動いているのなら、人間であるわたしだって他の人と違っても不思議じゃないんじゃないか…そう思うと心がほんの少し軽くなる。
それでも同性に恋をするというある種の『タブー』を犯したことへの罪悪感は、わたしの胸に突き刺さったままだ。
 ▼ 12 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:09:32 ID:TlHQG0Bw [10/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
「痛っ………」
しばらく足を進めていると、いつの間にか一軒の家のドアに頭をぶつけていた。
「こんな家あったっけ……?」

そう思っていると扉が開き、わたしは慌てて後ろに下がる。
中から住人らしき眼鏡の女性が頭を拭きながら現れた。

「何の音…………?」

「あっ、すみません……。考え事をしていたらぶつかってしまって……」

「そうですか…。わたしでよければ相談に乗りましょうか?」



それがわたしとマユミさんの出会いだった。
 ▼ 13 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:11:21 ID:TlHQG0Bw [11/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
出されたココアに手を付けながら、わたしは自己紹介をした。
自分の名前や年、そして流星の民であることも

「わたしはマユミです。ポケモンのボックスの管理人をしています。よろしくお願いしますね」

ボックスのお世話になったことのないわたしでも、凄い人と出会ってしまったなぁということは理解できた。


「ところでヒガナさん。あなたの悩みってもしかして……恋の悩みですか?」

「えぇ!? なっ…何で分かったんですか……?」

「簡単ですよ。わたしもね、恋する乙女でしたから」

「そ、そうなんですか!?」

「…相手に受け入れてもらえるか凄く心配で、毎日モヤモヤしてました。………あなたも、そんな顔してますから」

「はい、そうなんです……」

「安心して話して下さい」
 ▼ 14 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:12:27 ID:TlHQG0Bw [12/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
わたしはシガナのことや、彼女との関係、恋に気付いたきっかけなどをざっくりと話した。

「へぇ〜、素敵な男性なんですね」

 男性。
できるだけシガナの性を隠しながら話したら、シガナが男性だと思われてしまった。
やっぱり普通は恋愛というものは男女でするもので、女同士の恋を望んでしまったわたしの異常さを感じさせられた気分だった。


「あの……凄く言い辛いんですけど………」

「何ですか?」

「シガナは………女なんです。……わたし……女の人に恋しちゃったんです……………。おかしいですよね……」

「…………そんなことないですよ」

「……え?」

「だって………わたしも……」
 ▼ 15 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:14:24 ID:TlHQG0Bw [13/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
「マユミ〜!」
マユミさんの告白は、奥の方から現れた裸の女性の声で書き消された。

「お姉ちゃん…」

「お風呂でマユミのことばっかり考えてた〜///」

とろけた顔でそんなことを言いながら、彼女はマユミさんに抱きついた。

「マユミ、久々にしちゃおっか///」

そう言いながら彼女は、マユミさんに長い長いキスをする。
ダメっと声を漏らしながらも、マユミさんはキスを受け入れていた。
女の人同士でキスしてるなんて……。

わたしもシガナとこういうことがしてみたいけど、やっぱりおかしいのかな……。
でも目の前の二人は…………。
そんなことを考えながら、わたしはただただ顔を赤らめその様子を眺めていることしかできなかった。




「あ、人いたんだ………」

「だからダメって言ったのに……」

そう言いながら、二人はキスを止めた。
裸の女の人は物凄く名残惜しげだった。
キスをしていた彼女はとても幸せそうで、邪魔が入ったことを残念がっているように見えた。
 ▼ 16 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:15:24 ID:TlHQG0Bw [14/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
裸で現れた(今はもうパジャマを着てるけど)女性はアズサさんといい、マユミさんの姉だそうだ。
ポケモンバンクっていうボックスの拡大版を開発中らしい。

わたしは軽い自己紹介を終え、質問した。

「え…えっと、何で……女の人同士で……その……」

「キス?」

「はい………しかも姉妹でなんて………」

わたしが不安でいっぱいなのを察してくれたのか、アズサさんは優しい口調で話しかけてくれた。
「変だと思う?」

「少し……」
本当は物凄く違和感があるのだけれど、流石に本人達を前にそんなことを言う勇気はなかった。

「でも、ヒガナさんもシガナさんとこういうことをしたいんですよね?」

「……はい」

「わたしも、最初はお姉ちゃんとこんなことがしたいって思った時、おかしいって思ったんです。普通男女でするものなのにって」

「そうなんですか……?」

「でも大きくなって色んな人にあったり、色んなことを調べたりする内に、別におかしなことじゃないんだなって思えるようになったんです」

アズサさんも続けて口を開く。

「誰かを好きになることは当人同士だけの問題だから、自分達が幸せに思えるならそれでいいんだよ。別に相手と歳がかけ離れていようと、同性同士だろうと、種族が違えどね」

「だから、苦しむ必要なんてないんです。自身を持ってください」

そう言われてわたしは驚いた。
自分以上に高い壁を乗り越え、結ばれた人達がいるなんて。
世界の広さを感じたわたしは、まるで星を眺めている気分になった。
彼女達に比べたらわたしの悩みはちっぽけで、さっき自身を気持ち悪いと思ったのが馬鹿らしく思えた。



わたしはシガナのことが好き。



これは誰にも曲げられない真実で、わたしの想い。
それを自身が否定する理由なんて、ないんだから。
 ▼ 17 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:16:41 ID:TlHQG0Bw [15/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
ただ、それでも不安だったのは………

「シガナは………わたしのことを受け入れてくれるでしょうか………?」

「さぁね。そればっかりはあたしにも分かんないな。もしかしたら気味悪がられるかもしれないわね」

「お姉ちゃん…!そんな言い方……」

「でもそれって聞いてみなきゃ分からないでしょ? 聞くのは怖いかもしれないけれど、ずっと聞かないで心に秘めておくっていうのはもっと大変だとあたしは思うよ」

確かにそうだ。
シガナに告白せず今まで通りの関係を続けることもできるけど、シガナへの好意に気付いてしまった今、それに耐えられる自信がない。
それならいっそのこと……

「………ですよね。頑張って告白してみます」

「頑張って下さいね。応援してますから」

「ファイト!」

「ありがとうございました。もう遅いので失礼します」

「うん、じゃあね。おやすみ」

二人に見送られながら、わたしはマユミさんの家をあとにした。
 ▼ 18 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:17:48 ID:TlHQG0Bw [16/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あの、ただいまー………」

「ヒ……ヒガナ!?……ハァ…ハァ……。…どこ行ってたのさ!」

息を切らせながら凄い剣幕でシガナが迫ってきて、わたしは思わずビクッとなった。

「えっと……そこのマユミさんって人のところにお世話になってた………」

「ハァ……ハァ……………もう!……心配………したんだから………」

「ごめんなさい……」

シガナは目に涙を浮かべながらわたしを抱き締め、だんだんと息を整えていった。
それでも完全に整うことはなかった。

「ハァ……ハァ……次からはちゃんと言いなよ」

「………はい」

告白はまた今度にしよう。
この時はそう思ったわたしだったが、今思えばこの時が一番のチャンスだったかもしれない。
 ▼ 19 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:18:44 ID:TlHQG0Bw [17/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
 次の日、いつものようにわたしとバトルをしてくれたシガナだったけれど、明らかに焦りを見せていた。

「ハァ………ハァ…………ほら!バトル中に余所見しない……!」

「ご、ごめん…………」

一方でわたしはシガナのことばかり考えていた。
確かにここ数日シガナにまともに目を向けられなかったとはいえ、以前より痩せて見えた。

「あの、シガナ………。大丈夫?しんどそうだけど………」

「っ………!気のせいだよ! …ハァ…ハァ……そんなことより早く続きやるよ……!」


そんなシガナに対して、告白しようとは思えなかった。
ただただ心配で仕方がなく、早くよくなってほしいと願うばかりだった。
 ▼ 20 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:19:36 ID:TlHQG0Bw [18/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから数日が過ぎたが、未だに告白できずにいた。
シガナが心配で言い出せなかったのもあるが、シガナと会う時間その物が減ったのが大きかった。
シガナは長い時間寝ていることが多くなり、それでもよく息を切らせていた。

「さて…バトル……しよっか」

そう弱々しく言うシガナに、わたしはもう我慢ができなかった。
「シガナ!もういい加減にしてよ!」

「………」

「お願いだからゆっくり休んでよ!修行ぐらいわたし一人で十分だから!」

「…………気持ちは分かるけど、そういうわけにも……いかないんだよ。あまりにも、時間が無さすぎる………」

「…………もう知らない!」

そう言い放ちわたしは走り去った。
シガナの呼び止める声は、わたしの耳には届いていなかった。
 ▼ 21 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:20:27 ID:TlHQG0Bw [19/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
滝の上でのんびりと天井を眺め始めてからしばらく経った。
やり過ぎたなぁと思いながら眺める天井はいつもより暗かった。

少し気晴らしに立ち上がりながら天井を眺めてみると、見える景色が変わって見えて、落ち込んだ心を癒してくれた。


ところが
「ズバー!」
ズバットが突然天井から降りてきた!

「うわっ!」
驚いたわたしは足を踏み外してしまった。
空を眺めていて無警戒だったわたしは抵抗もできず、ただただ落ちていく。

シガナのことやオババのこと、マユミさんやアズサさんとの思い出がふと甦るのを見て、これが走馬灯なのかと考えていた。
 ▼ 22 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:22:22 ID:TlHQG0Bw [20/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして気が付いたらわたしは…………
見慣れた赤い三日月の羽根の上にいた。

「間に…………合ったね……………」

「シガナ!?」

「…ハァ……やっぱり………ハァ………ハァ……戦闘外での………メガ進化は…………キツい…………」

シガナはそう言うとメガボーマンダの体の上に倒れ、メガボーマンダは七色の光に包まれ元の姿に戻った。

「シガナ!しっかりして!」

「……………やっぱり……ダメみたいだ………」

「そんなことないよ!だからしっかりして!」

シガナはわたしの精一杯の励ましを聞きながらも、ゆっくりと首を横に振った。

「……………嫌な物だね………。自分の命日まで見えちゃう………予知能力なんて………」

「!?」

確かにシガナに予知能力があるのは知っていた。でもそんなのはしょーもない飾りみたいな能力で、精々見えるのはたわいもない日常ぐらい……そう思っていたわたしには大きな衝撃だった。

「……………今度来る隕石が……どうなるか……………興味があって……………未来を………見ちゃったんだ…………」

弱々しく語るシガナを涙なくして見れなかった。
こぼれたわたしの涙がシガナのほほを伝っていく。
シガナにはそれを拭う体力さえ残っていなかった。


「……わたしはもうこの世にいなくて……シガナが……流星の民として頑張っていたけど………………ダメだった…………。…………隕石は……デボンの装置で…………メガ進化のない…………別の世界に飛んで………そこを……滅ぼした………」

握りこぶしを作りたいのか、シガナの指がプルプルし始めた。
だが、5本の指はゆっくりとボーマンダの体を撫でるだけで、手のひらまで届きそうにない。

「むごかった…………あんなこと絶対起こしたくない………。でも……………私自身の運命すら変えられないなら………無理に……決まってるよね…………」 

「…………わたしが何とかするから!だからお願い!しっかりして!」

シガナはゆっくりと首を振った。
自分の運命を受け入れたのか、ただ単にわたしが信頼できなかっただけなのかは分からない。

「………………最期にね、どうしてもヒガナに謝らないと…………いけないんだ……………」

「え……?」

「私ね…………シガナのことが………好きなんだ…………。家族としてとか……そういう意味じゃなくて…。女の子同士なのに……おかしいよね………」

シガナの告白に、わたしは驚きを隠せなかった。
シガナもわたしと全く同じ理由で悩んでいたなんて。
 ▼ 23 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:22:49 ID:TlHQG0Bw [21/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…………自分が死ぬ……って分かって、…………ヒガナにもっと触れたくなった……。お風呂で……洗いっこしようなんて言って……ヒガナの綺麗な肌を触りながら…………イヤらしいこと考えてた…………。ごめんね………気持ち………悪いよね……?」

「そんなことないよ!だって!わたしも、シガナのことが…………」

シガナとのお別れを意識してしまったわたしは、辛くなって最後まで言えなかった。
それでもシガナにわたしの想いは伝わったらしく、ゆっくりと笑顔作りながら、消えそうな声で返事をくれた。

「…………うれ……しい………。………あり……がと…………」


そう言うとシガナは動かなくなり、わたしは三日三晩泣き続けた。



こうして日がな一日頭を悩ませ続けたわたしの初恋は、実ることなく終わった。

〜回想終了〜
 ▼ 24 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:24:39 ID:TlHQG0Bw [22/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユウキ「………そんなことが…………」

ヒガナ「それからはシガナの願いを叶える為に頑張らないとって思った。覚悟を決める決意表明みたいな感じで髪切ったりしてね」サワサワ

ヒガナ「デボンに行ってみた。でも受付で断られてね。……まぁ、数年後に巨大隕石が来るなんて話、普通信じてくれるわけないよね」

ユウキ「確かにね」

ヒガナ「その時はキーストーンもろくに無かったから、本当に諦めかけたよ。でも、その時マユミさんから『昔デボンの社員がある組織に引き抜かれて、その時にデボンが保有する隕石を少し奪われたかもしれない』って噂を聞いて、わたしは賭けてみた」

ユウキ「……それでマグマ団に!」

ヒガナ「うん。さらにありがたいことにマグマ団の目的は『人類を発展させる為に大地を広げる』、超古代ポケモンであるグラードンの力が必須だった」

ヒガナ「隕石が手に入ればそれでよし、手に入らなければグラードンを呼び覚ましてレックウザ様を呼び出す。この二つの作戦を同時に行える完璧な組織だった」

ユウキ「なるほど………」

ヒガナ「でもマグマ団はえんとつ山なんて見当違いな所を掘ろうとしてた。まぁ地面タイプのポケモンか海の底にいるなんて、思いもしなかっただろうしね。間違ってるって言おうと思ったけど、入ってすぐの状態で信じてくれるわけないから信頼を得ることに専念した。凄く時間がかかったよ」フー

ヒガナ「それで最終的に海底遺跡の場所をカガリ様に伝えて、そのご褒美としてこのキーストーンを頂けたってわけ」トントン

ヒガナ「ただこれだけのキーストーンじゃあレックウザ様を呼び出すエネルギーは産み出せないから、グラードン作戦は続行した」

ユウキ「………」

ヒガナ「そう睨まないでよ……。でも君に邪魔されちゃった。だからわたしはキーストーン集めに奔走した。ちょうどその頃にはキーストーンが少しずつだけど出回っていて運がよかったよ…。そして………宇宙ステーションで…………」

ユウキ「シガナの言う未来を産み出すきっかけである装置を破壊した………ってわけか」

ヒガナ「あの時は本当に心昂ったよ。『シガナですら変えることができなかった未来を、わたしの手で変えたんだ』って。それに、隕石を奪ってシガナが死ぬ原因を作ったデボンに復讐ができたって……!」グッ

ヒガナ「でも……それから急に不安になっちゃった…………。この作戦、わたしがレックウザ様をメガ進化させられるかが鍵で、もし失敗したらどうなるのか……。そんなの今更だよね。シガナの願いを叶えたい、シガナが苦しんだ原因のデボンに復讐がしたいって想い続けてて、そんな当たり前の責任が頭に入ってなかった…………」ウルウル

ヒガナ「………大丈夫かな……上手くいくかな………。そもそも皆怒ってないかな………嫌われたりしてるんじゃ…」ガクガク
 ▼ 25 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:25:37 ID:TlHQG0Bw [23/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユウキ「………さぁ?どうなんだろうね」

ヒガナ「え」

ユウキ「成功するかもしれないし、しないかもしれない。やってみなきゃ分からないよ」

ヒガナ「でも……もし失敗したら…………」

ユウキ「その時は死んじゃうだけだから、考えても仕方がないよ。成功することだけ考えたらいい」

ヒガナ「…………そんなのでいいの……?」

ユウキ「それぐらいのモチベーションじゃないと、成功する物もしなくなる。俺だってグラードンの背中に乗った時は本当にひやひやしたけど、成功することだけを考えてたし」

ヒガナ「そういうものかな……」

ユウキ「……まぁ少なくとも嫌われてるのは確実だろうね」

ヒガナ「……………だよね」

ユウキ「でも俺は嫌いじゃないよ。できないなりに一生懸命頑張ってて………そういうの、好きかな」

ユウキ(まぁだからってキーストーン強盗はどうかと思うけど)

ヒガナ「えっ…………/// 今なんて……?」

ユウキ「ヒガナみたいな子好きだよって…(キャラ的に)」

ヒガナ「そう………なんだ……///」

ユウキ「……ふぁ〜…………。じゃあそろそろ寝るね。おやすみ………」

ヒガナ「お……おやすみ……///」





ユウキ「……ZZZ」

ヒガナ(まだ自分の気持ちがはっきりとは分からないけど、もしそうなら………)

ヒガナ(今度こそ、最後までちゃんと言いたいな)

−終わり−
 ▼ 26 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/08 23:32:50 ID:TlHQG0Bw [24/24] NGネーム登録 NGID登録 報告
2年半前に投稿した

http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=295829

の誤字、一部修正版です
なのでスレタイを見たことある人がいたら多分そのせいかと



このスレの>>33
『そう言うとシガナは動かなくなり、わたしは三日三晩泣き続けた。』の箇所を、『そう言うとヒガナは動かなくなり、わたしは三日三晩泣き続けた。』と誤字し、気付いた時には過去ログ行きしてたのがずっと気になって気になって仕方ありませんでした
なので他の表現で気になったところも修正しつつ、せっかく今ではSSスレだと1レス60行に増えているので、当時はできなかったレス配分にしてみました
 ▼ 27 ルトス@キラキラメール 18/11/09 09:25:44 ID:gmMUMGxs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ▼ 28 チュー@ヨプのみ 18/11/09 09:52:04 ID:5Yf6Rr3I NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
読んだ。乙
だが>>22も最後間違えてないか…?
 ▼ 29 ラミドロ@スチールメモリ 18/11/09 10:38:24 ID:0u/.yDnE NGネーム登録 NGID登録 m 報告

中身もだけどタイトルすごく上手い
 ▼ 30 ルモナー◆jtnqjTHVKE 18/11/09 10:44:46 ID:A61U98Mc NGネーム登録 NGID登録 報告
>>28
本当だ……


正しくは
「私ね…………ヒガナのことが………好きなんだ…………。家族としてとか……そういう意味じゃなくて…。女の子同士なのに……おかしいよね………」

ですね
 ▼ 31 ガニウム@メタグロスナイト 18/11/09 15:29:57 ID:clVI4euY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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