【ポケダンSS】月の盗賊団:ポケモン掲示板(ポケモンBBS)

【ポケダンSS】月の盗賊団

1 : 1◆LvtwrCaEEs 18/12/09 23:51:12 ID:aKK6.mRg m 報告


「小僧……おい、生きてるか?」


誰だ、眠りを……妨げるのは……


「そのまま死ぬのなら……それでもいい。だが聞くが、お前はそれでいいのか?」


なんだって?

死ぬ?僕が?


あぁ、確かになんだか体が冷たいや。

いつのまにか地面に伏していたのか。


「沈黙は肯定ととってやる。生きたいか?」


僕は何も答えなかった。

僕に話しかけた何かはそれを肯定ととったのだろう、僕の体をいとも容易く持ち上げ、肩に担いだ。

地面の土肌とは違うザラザラとした感覚が腹をくすぐる。

暖かいと、そう思った。
71 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/01 20:00:10 ID:Tiy.uVXQ m 報告





Chapter3

太陽の冒険団との小競り合い





72 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/03 12:56:30 ID:zqXUjL0s [1/2] m 報告
あの日から数週間。

毎日毎日、レントラーにしばかれる日々が続いていた。


ああ、今ならわかる。

仕事を奪われたモクローの気持ちが。

モクローとは言うと、レントラーにボコボコにされる僕の横でチルタリスにボコボコにされていた。


つまり仕事という名の逃走なのだ。

仕事に行くということはつまりその日の扱きを回避できること。


レントラーにボコされる僕はまだ良かったもしれない。

その内容は単純に噛む、蹴る、叩く、投げ飛ばすなどの破壊に終息する。


チルタリスは短気だ。

何が気に入らないのか、モクローを脚で掴んでアクロバティックに空を舞う。

そして高高度から地面にドーンされる。

偶にゲロが降ってくる。


いや、多分モクローは梟っぽい生態を持っているはずなのだ。

余程ない限り、酔ったりなんかしないはずなのだ。

それが吐く。

やっぱりレントラーの方がいいのかもしれない。


とか思ってそっちを見ていると、イラついたレントラーに雷ドーンされる。

やっぱりこっちも嫌だ。
73 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/03 13:20:53 ID:zqXUjL0s [2/2] m 報告
あれから分かったこともいくつかある。

まずこの盗賊団のメンバー事情。

普段ここのアジトで生活するのは、既に知っていた6人に加えてあと3体いる。


まず、ワルビアルという名のでっかいワニ。

ガブリアスに憧れているらしい、生粋のチンピラ。昼間はあまり見ない。夜にアジトに現れ、見張りをしている。

気が良く、話しやすい。


次にデデンネ。

僕らと同じく、ガブリアスに拾われた一人らしい。

偶に帰ってくるが、いつもは街に出て電気をくすねている。


そして、これはまだ姿を見たことがないが、もう一人。

主に隠密・暗躍を得意とするガブリアスの側近がいると、ワルビアルに聞いた。

名前は『ゲッコウガ』。それ以外はわからない。


そしてその他にも、この盗賊団には多くの者が属す。

だが多くは国のあちこちに散らばり、自由に生きている。

中には過激派もいるが、ガブリアスの顔が利くのが闇市場では大きく、目立ったことを起こさない。

そういった意味では国の統治に一役買っていると言えなくもない。


まぁ犯罪者集団が何をいっているか、という話だが。
74 : ーブシン@ジュペッタナイト 19/01/03 19:00:38 ID:aoSA5WE2 報告
支援
75 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/04 11:03:52 ID:3XTE8j6k [1/3] m 報告
そして今日、僕とモクローはガブリアスに呼ばれていた。

ガブリアスの部屋は、このアジトでも一番二番には汚い。


デスクワークをするべき机の上には大量の紙と本が散乱し、机の表面が見えない。

壁には本棚があり、所狭しと本が詰め込まれている。

後ろに窓があるせいで、後光が差していように見えるのが救いか。

いや何の救いだよ。

ちょっと神秘的に見えるだけだわ。



ガブリアス「あ、来た」

ガーディ「来ました」

モクロー「おっす」

ガブリアス「えーと……」

汚い机の上を漁り出す。

そしてやがて、薄汚れた紙を引っ張り出した。

ガブリアス「じゃあ、お前たちは今からあるダンジョンに行ってもらう」

ダンジョン?

何それ?という顔の僕の横で、モクローが顔を輝かせている。

モクロー「ほんと!?」

ガブリアス「本当だ。今アジトにいるやつは総動員してる。人手が足りん」

食い入るように聞くモクローを引き戻し、小突く。


ガーディ「ダンジョンって?」

モクロー「!?」
76 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/04 12:00:59 ID:3XTE8j6k [2/3] m 報告
ガブリアス「知らんのか、そりゃそうか」


一瞬目を見開いて、そして直ぐに興味を失った目でガブリアスは説明を始めた。

「この世界には『不思議のダンジョン』と呼ばれる迷宮が至るところにある。


その迷宮の最たる特徴は、『入る度に構造が変わる』という点だ。

理由は誰も分からん、学者たちはみんな匙を投げてる。

一応の理由付けが、『何か不思議なエネルギーが満ちている』という理由と言えん理由だ。


だが、まぁ、それはどうでもいい。

重要なのはそこに棲む奴らの凶暴性だ。

街に住む奴らは理性を持って生活を行うが、ダンジョンに棲む奴らは本能のまま生きている。

会話なんか成立しないし『とって、くう』これだけだ。

だからそれに入ること自体危険だし、国の法律では入ることが禁じられてる。


しかしだ、入るのを禁止してるのは実は危険だからじゃない。

ダンジョンの最奥部には、古代から残る宝物が眠っていることが多々ある。

誰も入らないことをいいことに残ったり、また隠された物がな。

時には、悪人の手に渡ると国をひっくり返しかねないエネルギーを持ったものや、重要な歴史の鍵を握るものもある。

だからダンジョンが見つかり次第、国の『冒険団』という組織がダンジョンを封鎖して調査するんだ。


そして俺様たち盗賊は、国が見つけたダンジョンの情報を掴んでは、先回りして尖兵を送り込む。

今回、冒険団が大規模調査を終えて帰ってくるにあたり、デデンネとゲッコウガが情報を幾つか持ってきた。


見つかったダンジョンの中から、目新しい物をいくつか選んだから、お前たちには比較的レベルの低いとこに行ってもらう」
77 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/04 21:01:25 ID:3XTE8j6k [3/3] m 報告
ガーディ「へぇ」

つまり、漁夫の利を得ようという訳か。

卑怯極まりないな。

ガブリアス「場所はこの紙に書いてる。洞窟型のダンジョンだ」

ガーディ「え?」

ガブリアス「ん?」

洞窟?それは不味くないですか?


ガーディ「レントラーが洞窟には岩系が多いって言ってました」

闘いの基本は相性にあるらしい。

そして、僕は炎タイプ。

洞窟には炎が苦手とする岩タイプが多いと聞いた。


ガブリアス「モクローがいるからいいだろ。お前はダンジョンは初めてだから補助をメインでやれ」

モクロー「おれがいるから平気さ」

鳩胸?をはってモクローが言う。

まぁ、そうか。

じゃあ今回はモクローに学ぶことにしよう。

78 : リキテル@じめじめこやし 19/01/05 08:58:45 ID:Isy6zUHE m 報告
支援!
79 : ウマ@バグメモリ 19/01/05 11:21:37 ID:l8dQ7Kc6 報告
支援
80 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/05 13:17:08 ID:/NA2YFUM [1/5] m 報告
ーーーーー


モクロー「この辺りだ」

ガーディ「規制線貼ってるし」


太陽の王国、中心部から約二日。

モクローと一緒にやってきたのは、とある森の中だ。

広大な自然が広がり、普通は入ろうと思える場所ではない。


そして、水流により削られた崖に、それは口を開けていた。

地層のシワが刻まれた壁、そこに不自然に開く穴。


そこには赤い、警察の使うような規制線が貼ってある。

書いてあるのはこうだ。



『太陽の王国・冒険団管轄』

『不思議のダンジョン・森林の洞窟』

『危険区域につき立入禁止』
81 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/05 13:27:01 ID:/NA2YFUM [2/5] m 報告
ガーディ「危険区域って書いてるし……」

モクロー「ウソに決まってる」


というかここに来るまでも何度か危ない事があった。

例えばテリトリーに侵入されて怒るヤルキモノ達。

草原だったがなんとか逃げおおせた。


やはり街に住んでいる者達と野生に生きる者達には大きな差があるらしい。

だが、それでもだいぶ僕らは危険を回避してきている。

ひとえにモクローの有能さがあったからだ。


森に入ってからはモクローは危険を悉く回避できる道を通っている。

野生の勘、といえばいいのか。

やはりそこは梟らしい。


モクロー「ふふん。わくわくする」

ガーディ「そう?」

モクロー「おれは男だからな!」


少し興奮気味なのが玉に瑕だが。
82 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/05 13:38:44 ID:/NA2YFUM [3/5] m 報告
規制線を軽々と乗り越え洞窟に入る。

まるで無いもののようだ。


暫くは、普通の洞窟のように感じた。

ただ一本道がえらい長いな、と思っただけだ。


入口の光が無くなる前に、持参した松明に火を灯す。

やがて辿り着いた、大きな部屋。


最早入口は見えない。

ああ、そうか。

もうここはダンジョンなんだ。


ガーディ「……モクロー?」

モクロー「……うん」


感動なのか、体が震えている。

これが不思議のダンジョン。

誰も入ったことがない、新たな世界なのか。
83 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/05 13:53:13 ID:/NA2YFUM [4/5] m 報告
岩肌が奇妙なほど冷たい。


モクロー「ガーディ、マッピング頼んだよ」

ガーディ「了解」

ダンジョンに関して僕は全くのど素人。

ある程度はモクローに任せよう。


マッピングというのは、自分たちが通ってきた道を記録してダンジョンの構造を明らかにする作業だ。

入る度に構造が変わるのに必要なのか?

最初はそう思っていた。

しかしこれは重要な作業らしい。

入る度に変わる構造。

入る度に、広さも変わる。


つまりこのマッピングの作業がなければ、同じところをグルグル回っているのにも気づくことができない。

コンパスは当然効かない。

このマッピングによる感覚だけが攻略に必要なものになる。



モクローは、来た道に踵を返し、進み出した。

このまま進むと入口に戻るはずだ。

しかし、なぜかちょっと進むと別の大部屋になった。


そこには、『野生の』イシツブテが鎮座している。

こちらを見た瞬間、その目に光が宿った。
84 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/05 15:32:26 ID:/NA2YFUM [5/5] m 報告
イシツブテ「ぐわーおん!」


ガーディ「おおっ」

ちょっと感動した。

例えばこれは犬が「わん」と鳴いたようなものなのだろう。


イシツブテ「『マグニチュード』!」


そこは喋るのね。

イシツブテを中心に振動が巻き起こる。

巻き込まれては僕はひとたまりもないので、モクローに掴んでもらい、一旦空へと避難。

洞窟でこんな地震起こしたら普通崩れるんだけどね。


モクロー「『このは』っ!」

間髪入れずにモクローが技を使う。

緑色に光る木の葉がモクローの羽根の間から放たれ、イシツブテへと突き刺さる。


イシツブテ「オオオ……」


ダメージは大きいようだ。

しかしそこは意地があるのか、近くの壁を掴み、その欠片を投げつけてきた。

これは技じゃない、けどそこそこ痛いしダメージにもなる。


ガーディ「『ひのこ』!」

一つ一つ丁寧に、とはいかないが、石飛礫を『ひのこ』で撃ち落とす。

モクロー「『このは』!」


再びこのはが刺さる。

イシツブテは倒れ、地面と同化して消えた。
85 : クリュー@あさせのしお 19/01/07 22:37:59 ID:WjCsAfyw m 報告
支援
86 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/08 18:14:25 ID:np/21U7w [1/2] m 報告
モクローが僕を地面に下ろしてくれる。

あの『誰か』が出てくることはなかった。


モクロー「よぅし!」

ガーディ「消えたけどこれどうなって……?」

モクロー「しくみは知らない。野生のは、体力が減ると回復のために小さくなるって言われてる」

小さくなる、か。

マイクロレベルで変わってるのかと思えるほどの消え方だったな。


ガーディ「あ、そういえばありがとう」

避難を手伝ってくれたことに対する礼を言う。

モクロー「いいってことだ!」


ドヤ顔だ。

残念ながら様にはなっていない。


ガーディ「……」

モクロー「……じゃ、進もうか」

自覚はあるようだ。
87 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/08 18:34:07 ID:np/21U7w [2/2] m 報告
ーーーーー
『森林の洞窟』入口


ガーディ達がダンジョンに入り、初戦闘をしていたころ。


山奥に位置する不思議のダンジョンの入口。

そこには今、新たに二人が訪れていた。


「はぁ、やっと着いた」

「またここに来るとはね……」


彼らは太陽の冒険団に属する新米達である。

つい先日このダンジョンを発見し、再び正式に調査を国より依頼された形でやって来た。


「……」

「どうしたの?早く行きましょう」


片方の男が洞窟を前にして、足を止めた。


「……いや、何でもない」

「何でもないってことはないでしょう。何が『視える』の?」

「……まぁ、勘だけど、誰か来てるな」


彼の勘はよく当たる。

彼は他の者には見えない『波動』を微かに視ることができる。

波動とは生き物が発するエネルギーのようなものだ。
88 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/09 22:45:53 ID:80cwmpsE m 報告
だが、ここは山奥である。

山に住む誰かがたまたま入った、という可能性は充分ある。

だからこそ言うのを躊躇っていた訳だが、思い当たるのもいくつかあった。


「最近、団にスパイがいるって噂聞くよね」

「うん。まぁ、無いとは思うけど」

「どうだろう。一応の警戒はしていかないと」


結局は入るのだ。ならば誰か先客がいようと関係はない。

それにここは既に『太陽の冒険団』が国から認められて封鎖している。


もし、故意に入ったのであれば、その時は叩きのめして連れて帰るだけだ。

月の盗賊団の話は聞いている。


ここが僕らにとっても初の体験になるダンジョンでもある。

失敗は許されない。


そう考えて、彼らは入っていった。

ーーーーー
89 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 00:19:20 ID:TKO28.Ok [1/7] m 報告
ーーーーー

モクロー「あ、階段」


ダンジョンを歩き続け、体感的に1/2時間くらいだろうか。

何度目かの大部屋のすみにそれはあった。

何か、と問われれば、階段、としか言えないものがあるのだ。


何階層かになっている不思議のダンジョン。

階層と階層を繋ぐのは、とある一部の手段を除きこの階段しかない。


ガーディ「思ったより階段……」

モクロー「たしかに」


明らかに人工物のような様相を呈している。


ガーディ「進めばいいんだよねこれ」

モクロー「うん」

階段を登る。

登ってきた先は、また何度も見た大部屋が待っていた。
90 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 00:31:27 ID:TKO28.Ok [2/7] m 報告
ガーディ「……ちょっとうんざりしそう」


なぜなら景色が全く変わらない。

高難易度のものになると一回層が一日中かけても回りきれない程広くなるらしい。馬鹿か。


モクロー「ガーディは、まだあの興奮を知らないからね」

ガーディ「あの興奮って?」

モクロー「ダンジョンの一番最奥部に辿り着いた感動をさ」


僅かにモクローが前に踏み出す。


モクロー「何年か前に、探検についていったことがあるんだ。

団長に隠れてついていったんだけど、そこがめちゃくちゃ怖い所でさ。

おれなら一撃で即死、みたいな技をみんな繰り出すんだよ。

そんな中に団長たちは飛び込んで、敵を捩じ伏せる。

そして、何日かかけて一番奥に着いたんだ。

何があったと思う?


目が、眩むほどの宝の山だよ!


ダンジョンってのはそういう所なんだ。

何度も死線を抜けて、ロマンを追い求める場所なのさ」


モクローの顔はどこかしら輝いているようだった。


ガーディ「……」

宝の、山か。

それはたしかに想像じゃ補えないな。


モクロー「このダンジョンは攻略には1日もかからないくらいのはずだよ。今は進もう!」
91 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 00:37:45 ID:TKO28.Ok [3/7] m 報告
ーーーーー

それから7つほど階段を乗り越えた時、何か雰囲気の違う場所に出た。

ダンジョンの中に漂うのは何処から襲われるかもわからない緊張感のある空気。

ここに漂うのは静寂だ。

何人も立ち入らない場所独特の雰囲気がある。


ガーディ「……なんだろう」

モクロー「ここが……一番奥なのかな」


口から火を吐いて、辺りを更に明るく照らす。

どうやらこの空間が、一番最後の部屋のようだ。


そして、そこには何もなかった。


ガーディ「……モクローぉ」

モクロー「……ロマンって、追い求めるものじゃん?」


はぁぁ。

やっぱり何もなかったか。

思わずため息が漏れ、下を向いた。


その時下を照らした炎が影を映し出す。
92 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 00:42:50 ID:TKO28.Ok [4/7] m 報告
影?

影の方向を見た。

それは壁にあった、小さな窪み。

近寄ってみる。


ガーディ「!」

モクロー「どしたの」


ガーディ「穴がある」

モクロー「!!」


忙しなく羽根を動かし、モクローが急いでこちらは駆け寄ってくる。


壁にあった、僕かモクローならギリギリ通れるくらいか、というサイズでしかないけど。

それは紛れもなく小さな穴だった。

そして、その更に遥か奥、点になった光が見える。


つまり、どこかへ繋がっている。

それを確認した時、心が不思議と沸き立った。

それは興奮かもしれないし、驚きかもしれない。

はたまた歓喜か。


ガーディ「モクロー!」

モクロー「うん!行こう!」

元気な返事を寄越したモクロー。

僕らは先は進む。
93 : ノンド@たいようのいし 19/01/12 01:59:23 ID:k6is0z62 報告
支援
94 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 10:40:16 ID:TKO28.Ok [5/7] m 報告
先に僕が入り、モクローが続く。

一人づつでないと通れないほどの大きさの穴だった。

点のように見えていた光がだんだんと大きくなってくる。


同時に鼻が察知したのは外の空気。

洞窟の中にいたからこそ感じることのできる、草木の匂い。


そして、小さな穴を抜けた。


ガーディ「……!」


そこには、巨大な神殿のようなものがあった。

洞窟の天井が抜け落ちたのか、吹き抜けになっており辺りには瓦礫が散乱している。

太陽の光が煌々と差し込み、真白な石でできた神殿を照らす。

植物の蔦が表面に巻きつき、年月をも思わせる。


何より、ただひたすらに美しい。


見とれてしまっていた。

そして気づかなかった。


モクロー「ちょ……出口で止まるのやめて……」
95 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 10:54:16 ID:TKO28.Ok [6/7] m 報告
呻き声を聞き慌てて飛び退いた。

モクロー「……わぁ……!」

ようやく、モクローもこの神殿を拝むことができた。

二人で、神殿内部に入る。


天井はかつてはあったのかもしれない。

神殿を囲むように聳え立つ、巨大な数本の柱の天辺にかつての天井の名残が見える。

しかし既に崩落具合が凄まじい。

奇妙なほど美しいこの神殿は、ところどころヒビも入り、植物によってなんとか支えられている。


その奥には、蔦に覆われた石碑が静かに崩落の時を待っていた。


モクロー「この碑は……」

ガーディ「見覚えが?」

モクロー「ない」

無いのかよ。

なんで何かありそうな感じに言ったんだ。


モクロー「でも、この字は見覚えがある」

翼で碑の表面を払うと、彫り込まれた文字のような物が見えてくる。

何か……アルファベットだろうか。


モクロー「こんな感じのが書かれた石版を団長が解読してるのを見たことがある。『アンノーン文字』って言ってた」

ガーディ「アンノーン?」

モクロー「珍しい生き物だって聞いてる。見たことないからよくはわかんない」


なんだか微妙に違う気もするが、確かにこれはアルファベットに見えなくもない。

ガーディ「……でもこれ、僕読めるかも」
96 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 11:04:39 ID:TKO28.Ok [7/7] m 報告
ーーーー

せかい つくりしもの

そのもの かみ と よばれる

ちから わけあたえ さんびき の りゅう を うむ

ひとつ は このよ の じかん を つかさどる

ひとつ は このよ の くうかん を つかさどる

ひとつ は このよ の うらがわ を つかさどる



はんぎゃく の もの

きょじん の ぐんだん の おう

くさび の りゅう

ひかり かがやく りゅう


かみ これら たおし ちから うばう

きょじん から いろ を

くさび から つなげる ちから を

ひかり から からだ を


せかい に あたえる


この ばしよ

かがやく りゅう の かけら を あたえる ばしょ

ーーーー
97 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 11:59:25 ID:ZrlgcvMk 報告
仮にアルファベットだとしたら、の話ではあるが読んでみた。

どういうことだろうか。

この世界の神話みたいなものだろうか。


ガーディ「なんか知ってる?」

モクロー「アルセウスの話かな」

それについて聞き返そうとした時、急に石碑が光り始めた。

ガーディ「?」

モクロー「!?」


金属が跳ね返る音が地面からした。

足元を見ると、赤色と緑色の、さっきまで無かった水晶が落ちていた。


ガーディ「なんだこれ」

拾うと、それは僅かに光を放った。

赤色は僕に反応したものの、緑は反応しなかった。

モクロー「おれにも貸して」

緑色をモクローに渡すと、僅かに光った。

どうやら赤色は僕、緑色はモクローに対応してるらしい。


ガーディ「わかんないな」

モクロー「とりあえず、帰ろっか」


後ろを振り向こうとして、違和感に気づく。

足が動かない。

足元を見ると、いつの間にか霧が出ている?

いや、霧じゃない。冷気だ。
98 : ニャット@みずたまリボン 19/01/12 19:30:14 ID:iUrY7/jI m 報告
支援
99 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 21:26:27 ID:TRt6AbAI [1/3] m 報告
足が凍りついて、地面とくっつけられている。

モクロー「なんだこれ!」

ガーディ「!?」

溶かそうと思えば一瞬だが、それは下手にすると相手の警戒だけを刺激する。

まずは相手が姿を見せるまで大人しくすることにした。


そもそもここに来るまでのダンジョンに『氷』を使う野生はいなかった。

単に見つからなかった可能性もある。

ただ、『野生』でない可能性が高い。


?「どこの誰だか知らないが、そこまでにしてもらおうか」

冷気の向こうから、二人組が現れた。

片方は青く、人型。

もう片方は真白な狐。

胸に、太陽を象ったようなバッチをつけている。


?「ボクの名前はリオル」

?「私はロコン」

リオル「『太陽の冒険団』だ。お前たちは一体何者だ?」

Rロコン「貴方達の足元の氷は、私の『凍える風』よ。動けないでしょ?抵抗は無駄よ」


……思ったより速いな。

僕らはここに来るまでに約半日を費やしている。

夜が明けてすぐ入ったから、今はだいたい5時くらいか。

となるとこいつらも僕らのすぐ後に来たのか?
100 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 21:34:19 ID:TRt6AbAI [2/3] m 報告
リオル「入り口に貼ってあったと思うが、このダンジョンは既に『太陽の冒険団』の管理下にある」

Rロコン「貴方達は不法侵入者よ。私たちには貴方達を捕まえる義務と権利がある」


やっぱり太陽の冒険団か。

とりあえずしらばっくれてみよう。

ガーディ「……そうですか。すみません、知りませんでした」

リオル「ほう」

だが、リオルの目は全くブレない。

僕が嘘をついていると見抜いているのか。

モクロー「ガーディ!嘘つけ!おれたちはここを探検するために来たんだよ!」

ガーディ「!?」

なんで自らバラしにいくの!?


Rロコン「……片方は正直というか、バカみたいね」

リオル「嘘は無駄だよ。嘘をついた時、生物が発する波動は微妙にズレるんだ」

ほら、相手も呆れてるじゃん。

なぜか情報までくれてるけどさ。

波動?なんだそれは。


モクロー「……!」

ガーディ「なんでショック受けるのさ……」

101 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/12 21:43:12 ID:TRt6AbAI [3/3] m 報告
リオル「もう一度聞くぞ。お前達は何者だ?」

さてどうするか。

沈黙は金だが、通じるか……?

ガーディ「……」

黙ることにする。

隣を見ると、モクローも黙ることにしたらしい。


リオル「質問を変えようか。お前達は『月の盗賊団』か?」


心臓が跳ね上がった気がする。

そして、しまった、と思いリオルを見ると、うっすらと笑いを浮かべていた。

隣のモクローを見ると、180度首を回して反対側を向いていた。

だが、汗で羽根がうっすら濡れている。


リオル「ボクの前で黙るのは無意味だ。雄弁は銀、沈黙も……ぎんだよ」

Rロコン「流石ね」

リオル「まぁね」


ちっ。

身内で褒め合われるのを見ると、こっちがいいようにやられてるようでイライラする。


だから、小声でモクローに話しかける。
102 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:10:25 ID:mYcsRarc [1/6] m 報告
ガーディ「(モクロー、聞こえる?)」

モクロー「(聞こえてる)」

ガーディ「(……僕がその気になれば、この氷は溶かせる)」

モクロー「え、じゃ

ガーディ「(いや静かに喋って!)」


リオル「何をコソコソしてる」

ほらバレた。

迂闊なとこあるよね君。


モクロー「(何?)」

ガーディ「(あいつらが近づいてきたら溶かすから、一発不意打ちしてその隙に逃げよう)」


そんなことを喋っていると、リオルとロコンが近づいてくる。

僕らを迂回するように石碑へと近づき、碑文を調べ始めた。


Rロコン「貴方達は後よ。暫くじっとしてなさい」

リオル「アンノーン文字……僕が読もう」


へぇ、以外とみんな読めるのか。

モクローが読めなかったのがおかしかったのかもしれないな。


リオルが碑文を読み上げ、すると石碑が光る。

やはりさっきと同じように、石碑が光った後、謎の水晶が現れた。

色は僕らのと違うようだ。

僕らのは緑、赤だったが、リオルのは赤茶色、ロコンのは透き通った水色である。
103 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:17:57 ID:mYcsRarc [2/6] m 報告
Rロコン「……まぁ、これはこの際後でいいわ。問題はこのコソ泥達ね」

リオル「どうするかな。このまま縛りあげようか」


さて、いつ近づいてくるかな。

身構えていると、何か違う匂いを感じた。

ガーディ「……?」

リオル「なんだ?何を……」


その時、辺りが一瞬で暗くなった。

上から差し込んでいた光があっという間に塞がれたのだ。

そして、匂いの正体がはっきりわかった。

生臭い。

血と獣臭さが混じった匂いだ。

途轍もなく危険な感じがする。


ガーディ「『フレアドライブ』!」

足にだけ炎を纏わせて、氷を瞬間的に溶かす。

モクローもまたすぐさま僕の意思を理解したようだ。

僕は目の前にいたロコンを、モクローはリオルをまるで体当たりのように吹き飛ばす。


Rロコン「きゃっ!?」

リオル「うおっ!」


その次の瞬間に、先程まで四人が居た場所に巨大な何かが降ってきた。

神殿の床に巨大な亀裂が走る。

104 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:25:46 ID:mYcsRarc [3/6] m 報告
そこに居たのは、黒い化け物。

三対になった翼をはためかせ、こちらを三つの頭で睨みつける。

中央の口からは涎と荒い息が漏れている。

赤い目には狂気だけが光っていた。


?「グギャルゥアァァァァァ!!!」


咆哮を放つだけで、奴を中心にした風が巻き起こる。

ヤバい。

めっちゃ強そうこいつ。


リオル「まさか……サザンドラ!?」

モクロー「ちょ、これは……」

Rロコン「ちょっと……いつまで乗ってるのよ!」

ガーディ「ぐはっ!」

助けたというのに殴られてしまった。

あんまり痛くはないが。


リオル「くそ、どういうつもりだ!?何故助けた!」

モクロー「そのままだったら死んでるよ」

さも当然とでも言うようにモクローは言う。
105 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:36:32 ID:mYcsRarc [4/6] m 報告
サザンドラ「……この、ゴミどもがァァ!!」

威圧感がヤバい。

どうやら意思はありそうだが。

サザンドラ「俺様のテリトリーに、いつのまにか入り込みやがって……」

モクロー「え、誤解だ!おれたちは探検してたらたまたま……」


サザンドラ「黙れゴミ。お前達はここに来た時点で俺様のエサにしかならないんだよぉ!『竜の波動』!」

三つの口に、禍々しい色のエネルギーが収束されていく。


吐き出されたそれは一つに収束し、巨大な竜の形をとった。


ガーディ「『ひのこ』!」

モクロー「『このは』!」

リオル「『はっけい』!」

Rロコン「『凍える風』!」


対し、四つの技で対抗する。

せめぎ合ったのは一瞬だけ。

あっという間に『竜の波動』が勝った。


ガーディ「くそっ!」

モクロー「脱出!」

早々に相殺を諦めた僕のモクロー。

だが、リオルとロコンがワンテンポ遅れている。


モクロー「ガーディ!」

ガーディ「わかってるよ!」
106 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:44:13 ID:mYcsRarc [5/6] m 報告
互いに近くにいた者を助ける。

モクローがリオルを。

僕がロコンを。


ギリギリで回避に成功し、『竜の波動』はさっきまで僕らのは後ろにあった石碑に激突する。

爆音が響き、砂煙が舞った。

その中に隠れるようにして神殿の柱の影へ。


モクローはリオルを連れて空を飛び、天井の名残の上に行ったようだ。

煙が晴れると、さっきまであったものは全て消えていた。


ガーディ「……危ないやつ」

Rロコン「……なんなのあれ」

声が震えている。

女の子のようだけど、残念ながら味方ではない。

ガーディ「そんなのこっちが聞きたい。ここはひとつ協力して……」

Rロコン「嫌よ!あんなの勝てるわけないでしょ!」

ガーディ「しっ!」


サザンドラ「そこか?『悪の波動』!」


右の手の口から放たれた黒い光線は、僕らの柱の隣の柱を消した。


ロコンが叫びそうだったので、口を塞いだ。
107 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/13 22:51:40 ID:mYcsRarc [6/6] m 報告
ーーーー

モクロー「……」

リオル「なんなんだあれは……」


困ったなぁ。

完全に怯えちゃってるし。

天井の上まで飛んできたはいいが、助けたリオルが震えすぎて困る。

モクロー「何をそんなに」

リオル「聞いてないぞ!あんな化け物がいるなんて話!」

あーあーうるさい。

これじゃガーディも大変なのかな?


モクロー「なんでそんなに怯えるの?」

リオル「……ボクには『波動』がわかるんだ。それを辿ってお前達を追いかけてきた……」

モクロー「波動?」

リオル「生き物の放つエネルギーだよ。あいつは……尋常じゃない。あの『竜の波動』にどれだけのエネルギーが込められてたかお前は知らないだろう!?」


確かにあのサザンドラは強い。

仮におれと一対一なら到底おれに勝ち目はない。

だけど、普段からチルタリスという化け物に鍛えられてる身としては、『ああ、強いな』くらいに感じる。
108 : チャブル@ひかりのねんど 19/01/14 08:27:34 ID:oe6U0B4M m 報告
支援
109 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/14 11:17:50 ID:lII2B56s [1/2] m 報告
だけど、だからこそ見えてくる。

明らかな格上を相手にするとき自分がどうすればいいか。


おそらくだけど、太陽の冒険団ではそんな訓練はない。

適材適所。

レベルの低いダンジョンには同様の隊を。

レベルの高いダンジョンにはそれなりの隊を。

そして経験を積ませていくのだろう。


それが今、弱点として見えているだけのことだ。


モクロー「じゃ、手伝ってよ」

リオル「手伝う?」

モクロー「そ。おれが、ガーディと一緒に攻めるから援護してくれればいい」


リオル「お前……いや、君は、怖くないのか?」

モクロー「怖い。けどおれはそんな気持ちでここには来てない。

むしろワクワクしてるよ。これぞ、ダンジョンの番人だ!」



サザンドラ「そこか?『悪の波動』!」



下で、柱が消し飛ばされた。

急いだ方がいいかもだ。

ーーーー
110 : 1◆LvtwrCaEEs 19/01/14 11:29:42 ID:lII2B56s [2/2] m 報告
ーーーーーー

さて、どうしよう。

このロコンは多分手伝ってはくれないだろうな……


サザンドラ「クァハハハ!!どうした!?死んだか!?」

モクロー「『このは』!」

サザンドラ「あぁ?」


モクローの声が響き、サザンドラが振り向いた。

その目に『このは』が突き刺さる。

サザンドラ「ぐぉっ!目が!」


モクロー「今だ!」

リオル「『はっけい』!」

『はっけい』は、神殿の柱の根元を砕いた。

柱が傾き、サザンドラの方は倒れかかる。

が、サザンドラには見えていない。


サザンドラ「小賢しいんだよぉ!『竜の波動』!」

しかし、なんと目が見えていないだろうに、右腕から『竜の波動』を放って相殺してしまった。

腕にも顔があるっていうのか?


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