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【SS】チャンピオン タイム イズ ネバー エンディング

 ▼ 1 トシドリ@コレクレーのコイン 25/09/12 00:02:31 ID:.5Qkh5zA [1/51] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――シュートスタジアム マサル視点


実況「ガラルの頂点を決めるチャンピオンマッチも最終局面を迎えております!」


実況「ここまでの試合展開は、3日前にガラルの危機を救ったばかりのチャレンジャー側マサル選手が、あの無敵のチャンピオンダンデを相手に優位に試合を運んでいます!」


実況「しかしながら、ダンデはこの象徴的ポケモン!キョダイマックスリザードンで何度も窮地から逆転してきました!」


実況「手持ちの残数はチャレンジャー側残り4匹に対し、チャンピオン側はリザードンのみの絶望的な状況!今回も大逆転は見られるのか!?」


観戦に来ていた者の殆どが絶対王者の勝利を信じて止まなかったが故に、スタジアムは騒然としていた。


新時代への転換期に期待を寄せる者、ガラル全土で絶大な人気を誇る王者の陥落が受け入れられない者。


様々な叫びが木霊して、僕が今為そうとしていることの重大さを嫌というほど教えてくれる。


後一発で、僕は勝てる……!
 ▼ 2 ロトーガ@グラウンドメモリ 25/09/12 00:03:22 ID:.5Qkh5zA [2/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「リザードン!キョダイゴクエン!」


マサル「ムゲンダイナ!ダイマックスほう!」


ムゲンダイナが放ったダイマックスほうは、キョダイゴクエンを正面から突き破り、リザードンの体を飲み込んだ!


実況「あーっと!ここでチャレンジャー側のムゲンダイナのダイマックスほうが炸裂!リザードン戦闘不能!」


実況「勝者はチャレンジャーマサル!無敵のチャンピオンを破ったチャレンジャーもまたここまで無敗!超新星の誕生です!」


……やった!僕は……ガラル地方のチャンピオンになったんだ!


ガラル地方で最も人気の競技で、殆どの人が一生のうちに手をかけることが出来ない王座を、僕は掴んだんだ!


夢見心地で、僕は何度も何度もスタジアムの中心で飛び跳ねた。


ダンデさんは一瞬悔しそうな顔をした後、帽子を投げ捨て笑顔で僕のことを称えてくれた。
 ▼ 3 コドラ@しんかいのウロコ 25/09/12 00:04:04 ID:.5Qkh5zA [3/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「チャンピオン タイム イズ オーバー 最高の試合をありがとうだ!」


ダンデ「マサル おめでとう!無敵のチャンピオンを倒したキミが新たなチャンピオンだ!」


ダンデ「キミという素晴らしすぎるポケモントレーナーを、心の底から賞賛する!」


ダンデ「キミが強くなった今、オレも未来のことを考えよう。」


ダンデさんはチャンピオンを託すように、僕の肩を叩いた。


ダンデ「未来に繋がる今現在を オレたち大人もよりよくする!」


ダンデ「さあマサル!これからも自分自身と!パートナーのポケモンを信じて突き進め!」


ダンデ「自分たちが望む明るい未来をつくるために!」


マサル「はい!」


観客は総立ち、新時代の到来を告げる拍手が鳴りやまなかった。
 ▼ 4 スカーニャ@にがいきのみ 25/09/12 00:04:51 ID:.5Qkh5zA [4/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
試合後のインタビュー会場は、興奮冷めやらぬ空気に包まれていた。


カメラのフラッシュがそこかしこで弾ける中、新たなチャンピオンになった僕はマイクの前に立った。


こんなに多くの人を前に話したことがないから、ある意味で試合より緊張する……。


これからこういった機会も増えるのかな……。


インタビュアー「あの無敵のチャンピオンダンデを破る歴史的勝利!率直に今の気持ちをお聞かせください!」


マサル「いやー……本当に夢みたいな気持ちです。」


マサル「実は僕の相棒の一匹のメッソン……今はインテレオンですね。ダンデさんから直接譲り受けたポケモンだったので。」


マサル「後はジムチャレンジの推薦を受けたのも、ダンデさんからです。」


マサル「それからここまで色々あって、そのダンデさんと戦う所まで来て、勝利することが出来たのを誇りに思います。」
 ▼ 5 ルディオ@ゆきだま 25/09/12 00:06:01 ID:.5Qkh5zA [5/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
インタビュアー「今まで公式戦無敗のチャンピオン相手に手持ち4匹を残しての勝利!挑む前から自信はありましたか?」


マサル「ちょっと話題に出しにくいかもしれないですけれど……。チャンピオンマッチが始まる前に一悶着あったじゃないですか?」


マサル「ブラックナイトの再来。結果的にあれを止めたのが……僕だけじゃなくてホップや歴戦の勇者達の力も借りながらですが。間違いなく自信に繋がりました。」


マサル「でも今回は噛み合いがよかったので、もし次があればどうなっているかわかりません。」



インタビュアー「王者の座を奪った今、マサルさんはどんなチャンピオンになりたいですか?」


マサル「そうですね……。チャンピオンになって終わりという世界ではないですし、自分自身もっと伸ばせる部分はあるはずなので、まずはより強くなりたいです。」


マサル「その強さを以てガラルのポケモントレーナーの規範になれたらと思います。」


インタビュアー「最後に何か一言あればお願いします!」


マサル「今日の勝利は僕一人じゃなく、支えてくれた家族、友人、そして僕の頼れるポケモン達のおかげです。全てに感謝しかないです。本当にありがとうございました!」


スタジアムは再び温かな拍手と歓声に包まれた。


僕は観客席に軽く頭を下げ、インタビュー会場を後にした。


ふぅ……無難にインタビューに受け答え出来た気がする!
 ▼ 6 ンプラー@ミミズズのさび 25/09/12 00:06:32 ID:.5Qkh5zA [6/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
それにしても、激動の数日間だった……。


元々トーナメントの裏で、天変地異を引き起こしたムゲンダイナを目覚めさせる計画が水面下で行われていた。


チャンピオンカップ決勝当日に、ローズ元ポケモンリーグ委員長によって、ナックルスタジアム地下のエネルギープラントでムゲンダイナの覚醒が強行される。


シュートスタジアム等エネルギーが溢れる事態が発生したため、チャンピオンカップ決勝は一時取りやめ。


ダンデさんは先にムゲンダイナを追い詰めはしたものの一歩力が及ばず、引き継いだ僕とホップと伝説のポケモンザシアン・ザマゼンタによってムゲンダイナを倒し、捕獲に成功。事態は収束する。


そして改めて開催されたチャンピオンマッチにて、たった今僕はダンデさんに勝利した。


改めて列挙すると本当に全部自分がやったことなのか?というぐらい信じられない話だ。


ここまでのことをしたら、きっと色んな人から持て囃されるんだろうな……という下心がないでもない。
 ▼ 7 ュペッタ@おこづかいポン 25/09/12 00:06:53 ID:.5Qkh5zA [7/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
でもこの結果に驕ることなく、インタビューで答えたように僕はもっと強くなって、ガラルのポケモントレーナーの規範になるよう努力し続けるつもりだ。


それがチャンピオンの座に立った者としての勤めだし、昨日の自分より強くなり続ける必要がある。


そうあるべきだと思っていた。


そう……この時は、自分が強くあり続けさえすればいいと思っていたんだ……。
 ▼ 8 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:09:45 ID:.5Qkh5zA [8/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実の所チャンピオンとして絶対に出なければならない試合は、極端な話チャンピオンマッチしかない。


流れとしてはジムリーダーやチャンピオン、リーグ委員長等の要職から推薦状を貰ったトレーナーだけが参加することが出来るジムチャレンジに挑戦。


メジャークラスの8つのジムを巡って、各地のジムミッションをクリアしたトレーナーが、シュートスタジアムで開催されるチャンピオンカップに進出することが出来る。


ジムミッションをクリアしたトレーナーは「セミファイナルトーナメント」に出場する。僕の時は参加権を持っていたのはたったの4人だった。


更にその優勝者とジムリーダーによる「ファイナルトーナメント」がすぐに行われる。


そして、ここでようやく現チャンピオンとファイナルトーナメントを制したチャレンジャーが雌雄を決するというわけだ。
 ▼ 9 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:11:46 ID:.5Qkh5zA [9/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……勿論起きた事件の解決等やることはあるものの、案外戦わなければならない機会は少ない。


不定期に開催されるトーナメントには、チャンピオンの立場であっても調整として出ていいみたいだけれど。


僕はその役目のうちの一つ、ジムチャレンジの推薦状を渡しに今ここ2番道路まで来ている。


僕が推薦するのはホップでも、ビートでも、マリィでもない。


彼らは前年の出場者(一人は権利を剥奪された)だから、元々誰かから声がかかると思っていた。


ふと僕がポケモントレーナーになってから、ホップ以外で初めてトレーナー戦をした時の少年の顔が浮かんだんだ。


……きっと無意識のうちに次世代に託すダンデさんの真似をしたかったのかもしれない。


同じ所にいるといいのだけれど……。あっいたいた!ちょうど僕が当時戦った場所だ。
 ▼ 10 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:12:02 ID:.5Qkh5zA [10/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「えーっと……ゲン君だったよね?ちょっと今いいかな?」


たんぱんこぞうのゲンは狐につままれたような顔して飛び上がった。


たんぱんこぞう ゲン「えっ!?マジ!?チャンピオンじゃん!?」


マサル「僕と戦った時のことを覚えているかな?」


たんぱんこぞう ゲン「そりゃ覚えているけど……。まさかこんなすげえやつとは思わなかったよ。」


マサル「唐突だけどポケモンリーグに興味ある?」


たんぱんこぞう ゲン「えっ……?それってもしかして!?」


僕はバッグから推薦状を取り出して、ゲン君に見せた。
 ▼ 11 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:12:44 ID:.5Qkh5zA [11/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「もし君が良ければ、ジムチャレンジに挑戦してほしいな。」


少年は突然のことでびっくりして思考がまとまらない様子だったが、最終的に力強く推薦状を両手で受け取った。


たんぱんこぞう ゲン「ありがとう!俺……やる!絶対やってやる!」


そして推薦状を受け取るなり、急ぎ足で駆けて行き僕の方を振り返った。


たんぱんこぞう ゲン「チャレンジャーとして会いに行くから、待っててね!」


大胆な決意を受け取り、僕は思わず笑みがこぼれた。


僕もリーグ挑戦の推薦状を貰った時は本当に嬉しかったけれど、渡す側になってみてもここまで喜ばれると嬉しいものだな。


もし直接戦うことになったら負けたくないけど、ゆくゆくは僕が推薦状を渡した人の中から結果が出てほしいと強く思った。
 ▼ 12 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:13:22 ID:.5Qkh5zA [12/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
それから先も色んな大事なことがあった。

まず、ガラル地方の伝説の王とされてきた男の末裔。
ソッドとシルディが、ブラックナイトを鎮めたのが人間でなくザシアン・ザマゼンタであることを明らかにしたため、地位が危ぶまれ逆恨。

英雄の評判を貶めるべく、朽ちた剣を奪い、各地のスタジアムで野生ポケモンにガラル粒子のエネルギーを注入して暴走させる実験を行った。

ザシアンを誘き出してエネルギーを注入し、暴走させてイメージを損なわせようとするも、ザシアンに襲われかけた所を僕が助けた。

そしてその過程で力を認めてくれたザマゼンタは僕の仲間に、ザシアンはホップの心強い仲間になった。


それから僕はガラル地方外れの孤島「ヨロイじま」へ渡り、ダンデさんの師匠でもあるマスタード師匠に弟子入りして、厳しい修行に励んだ。

そこで出会ったライバルセイボリーとの勝負に勝った僕は、師匠からけんぽうポケモン ダクマを託されて、あくの塔の試練を突破し、ダクマはウーラオス(いちげきのかた)に進化した。


更に僕は探検隊の隊長としてガラル地方の未踏の地である「カンムリせつげん」に踏み入れ、伝承で語り継がれていた「豊穣の王」バドレックスと知り合う。

カンムリ神殿のかつてのバドレックスの愛馬レイスポスを制御することに成功。
恩返しの意を込めた勝負に打ち勝ち、僕の力を認めて力を貸してくれることになった。


以上のように大会に出ていない期間も、僕は様々なことを体験し、手持ちはチャンピオンになった時より更に強度が増した。
 ▼ 13 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:14:28 ID:.5Qkh5zA [13/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
僕以外のことだと、マリィはネズさんからスパイクタウンのジムリーダーの座を託されている。

……初めて見たとき、ユニフォームの露出には度肝を抜かされた。


ビートはジムリーダーになってから性格が柔らかくなった気がする。少しだけね?


ソニアさんはマグノリア博士から研究所を引き継いで、正式に博士号を取得して自著の本まで出している。

僕も買って読んだけど、ガラルの歴史知識がフランクな言葉で書き記されていて、非常に読みやすかった。


ホップはポケモン研究者の道を志して、そんなソニアさんの元で助手をやっている。

何にでもひたむきで努力出来るタイプだし、ホップはどの分野でもやっていけると思う。


一番驚いたのがダンデさんは、失脚したローズ委員長の後任で、リーグ委員長になった。

現場のことをよく知っていて、人望に厚いから適任だけど……まだ第一線で争えるのに急なことで引継ぎが決まって気の毒に思う気持ちもある。

こんな風に僕の知人も、枝分かれしたそれぞれの道に向かって進んでいる。
 ▼ 14 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:14:59 ID:.5Qkh5zA [14/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
でも……ジムリーダーのマリィやビートは今後戦える機会があるとして、


ホップやダンテさんに関しては、競技の場で本気で戦う機会が殆ど無くなるんじゃないかって所は、正直に言って僕としてはかなり惜しい。


勿論本人が決めた進路だから仕方がないことだけど……。


ともあれやることが一通り落ち着いたから、腕試しも兼ねて定期的に開催されているトーナメントに出てみようと思う。


更に強くなった僕の仲間たちを観客のみんなに披露するのが待ち遠しいな!
 ▼ 15 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:15:27 ID:.5Qkh5zA [15/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トーナメント当日。


シュートスタジアムは定期で開催されている大会とは思えない程に、客席は観客で埋め尽くされていた。


自分でいうのもなんだけど、久々にガラル地方のチャンピオンの試合が見られるという触れ込みによるものだろう。


定期の大会といっても、シュートスタジアムで戦えている時点で、参加者のレベルはガラル地方の中でもかなり高い。


参加者全員がジムチャレンジャーで、チャンピオンカップ出場級レベルはある。


相手にとって不足はない。期待して来てくれている観客たちのためにも恥ずかしくない試合をしよう!


実況「久々にこの男がスタジアムに帰ってきたぞ!チャンピオン!マサル!」


その名は、観客の胸を高鳴らせて、期待を寄せる声で会場は満ちていた。


実況「対する相手はバックパッカーのデネボラ!大番狂わせは起こせるのか!?」


お互いに向き合って一礼した後、それぞれポケモンを繰り出す。
 ▼ 16 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:16:18 ID:.5Qkh5zA [16/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
デネボラ「いけっ!タイレーツ!」


マサル「いけっ!バドレックス!」


マサルが黒馬に跨る蕾の冠を宿す王を繰り出した瞬間、観客席からどよめきの声が上がった。


当然の反応だろう。誰も知らないようなポケモンが出てきたのだから。


マサル「バドレックス!サイコキネシス!」


強力な念動力がタイレーツを襲い、何が起こったかもわからないまま戦闘不能に陥る。


その後もジムチャレンジャーのボールからポケモンが放たれた瞬間、そのポケモンが瀕死になる一方的な展開が続き……。


マサル「バドレックス!アストラルビット!」

無数の霊体が最後の一匹、ダイマックス化したネギガナイトを集中砲火し、またも一撃で撃破。


実況「勝者は新たなチャンピオンマサル!まるで相手を寄せ付けない強さ!」


実況「なんとダイマックスを使うことなく、一発も攻撃を受けず、全てのポケモンを一撃で倒してしまった!」


観客席からは、その強さに敬意を示す割れんばかりの歓声が溢れかえっている。
 ▼ 17 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:17:10 ID:.5Qkh5zA [17/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
対戦相手は何が起こったのか……という茫然自失とした表情で佇んでいる様子だ。


マサルは「対戦ありがとうございました。」と一礼し、次の試合の準備をしに足早にスタジアムの控室へと向かった。


その後の試合も……。


マサル「ウーラオス!あんこくきょうだ!」


マサル「ザマゼンタ!きょじゅうだん!」


実況「何ということだ!チャンピオンマサル!決勝含むトーナメント通して、誰もマサルのポケモンに触れることすら出来ない程の完勝だ!」


実況「これで公式戦無敗記録を更に伸ばした!一体どこまで記録を伸ばすのか?はたまた無双を止めるものは現れるのか?」


観客席はそのあまりに他とかけ離れた強さにどよめきが広がるも、決勝でマサルがパーフェクトゲームを達成した瞬間、すぐにまた割れんばかりの歓声と拍手が爆発した。


僕は周りをずらりと囲む観客席に深々とお辞儀をして、少し腕を振ってから笑顔でスタジアムを後にした。
 ▼ 18 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:17:45 ID:.5Qkh5zA [18/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……よし!思った通り僕は確実に強くなっている!


新たなチャンピオンの初陣としては、全てのチャレンジャーと観客に十分なインパクトを与えることが出来ただろう。


でも1回の勝利じゃ十分じゃない。ダンデさんやマスタード師匠はこれをもっとずっと長く継続してきた。


僕も勝利を積み重ねて、これからも全てのチャレンジャーの壁であり規範であり続けようと心に誓った。


しかし……僕は考えても見なかった方向で、胃が張り裂けそうになるほどの思いをすることになる。
 ▼ 19 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:18:46 ID:.5Qkh5zA [19/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
それからも僕は、定期的に大会に出ては優勝を繰り返した。


全ての試合が約3分以内に終わる。その中で一切の反撃の余地も残さない。


大会を何連覇かした後、試合中に違和感を覚えた。


チャンピオンとして大会に出始めた当初は勝利後あれだけの歓声を受けたのに、観客席からうっすらと冷ややかな距離感を感じる。


完全に応援されていないわけではないけど、勝利後に観客のため息とまばらな拍手が目立つようになった。
 ▼ 20 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:19:35 ID:.5Qkh5zA [20/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
対戦相手にしてもそうだ。彼らは僕とトーナメントで当たることが決まった時から、諦めの表情を浮かべている。


最初のうちはどう足元を掬ってやろうかという工夫があった。


しかしそれを一つずつ無力化していくことで、次第に向かってくる意思を感じ取れなくなった。


名前は出さないけど、中には負けてヘラヘラする人もいれば、途中で勝負を捨てるような真似をするような人もいた。


僕についた新たな渾名は、誰が読んだか無敵のチャンピオンを文字って”無慈悲なチャンピオン”。……うまいこと言ったものだ。


まるで野生のポケモンを倒すかのように対戦相手を倒して、何とか笑顔を取り繕って特にない対戦の感想を絞り出す。


そして、「またか」「勝負にならない」という囁き声を背にスタジアムを後にする。


そうした繰り返しだ。観客の動員数も気づけばピークを過ぎていた。
 ▼ 21 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:20:22 ID:.5Qkh5zA [21/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
大会終了後、控え室で僕は毎回のように一人で敗者のように項垂れていた。


……どうしてこんな思いをしなければならない?一度だって負けていないのに。


ダンデさんやマスタード師匠は、もっと長い間無敗のままチャンピオンだったのに。


勝利を重ねていけば……圧倒的な力を示せば……観客を魅了出来て、自然とチャレンジャーは憧れから頂点を目指すように熱を帯びると思っていた。


強さを追い求めたチャンピオンの末路が……これなのか?


それでも僕は、いつかはチャンピオンとしての自分を受け入れて貰える可能性を信じ、自分とチャンピオンマッチで戦う来るべきチャレンジャーのために戦い続けた。
 ▼ 22 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:21:01 ID:.5Qkh5zA [22/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
チャンピオンカップ当日。僕にとって久々に嬉しいことがあった。


「セミファイナルトーナメント」の出場者の中に、僕が推薦状を渡したゲン君がいた!


まだ幼さを残しながらも、誇らしげな表情でシュートスタジアムに入場してくる姿を見るだけでも、感慨深いものがあった。


「セミファイナルトーナメント」で初めてゲン君の戦いぶりを観戦したが、少々粗削りだけど気負いすることがなく、ここぞという時に強気な択を通す。そんな豪胆なスタイルだった。


それに初出場とは思えない程場慣れしていて、試合前の意気込みでは「今日はカツカレーを晩御飯に食べるから勝つよ!」とおどけて見せる余裕があった。


……試合が終わった後に食べるのか。


漠然とした言い方にはなるけど、所々にスター性を感じる少年だった。


勝負を譲るつもりはないけど、もしこんな少年が勝ったら盛り上がるんだろうな……と感じざるを得なかった。
 ▼ 23 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:22:22 ID:.5Qkh5zA [23/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「セミファイナルトーナメント」を見事勝ち上がったゲン君は、ジムリーダーを交えた「ファイナルトーナメント」でも快進撃を見せる。


正直有効な急所を引いたりだとか、突拍子もない技選択が噛み合ったりだとか、見ていてかなり運がいい面はあったものの、なんとゲン君はその勢いのままトーナメントを制してしまった!


ゲン君は何度も飛び跳ねて、中継用のドローンロトムにもピースを送った。


そんな彼を見て思わず微笑ましい気持ちがこみあげて来たが、これからは自分の出番だと思うと自然ときゅっと表情が引き締まる。


見ている限りでは実力的には他のジムリーダーと大差はない。


でも勝ち方が今日乗りに乗っている主役感を醸し出しているから決して気は抜けない。



今までの試合はいつまでも挑戦者としての心を忘れないようにチャレンジユニフォームをそのまま着ていた。


しかし今回はチャンピオンの立場として臨まなければならない。


僕はロッカールームで、初めてチャンピオン用の黒いユニフォームに袖を通した。


洗面所で顔を洗ってから、大観衆の待つ光の向こう側へと僕は歩を進めた。
 ▼ 24 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:23:28 ID:.5Qkh5zA [24/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
一人のチャンピオンと一人のチャレンジャー。両雄がスタジアムの中心に集まり向き直る。


実況「チャンピオンマッチ!!今年のガラル最強が決まる総決算!!」


実況「挑戦者側は!無名の状態からわずか1年でここまで駆け上がってきた!シンデレラストーリーは続くのか!?チャレンジャー ゲン!」


ここまでの奮闘ぶりを見た観客たちは割れんばかりの歓声でゲン君を後押しする。


実況に紹介されたゲン君が唐突にリザードンポーズを真似して取った瞬間、より一層歓声が大きく沸いた。


実況「チャンピオン側は、現在間違いなく影も踏ませない程にガラルで突出した存在!”無慈悲なチャンピオン”マサル!」


……先程とは声援の大きさがまるで違うことを肌で感じる。


スタジアムの殆どがチャレンジャー側を応援していることが伺える。
 ▼ 25 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:24:22 ID:.5Qkh5zA [25/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ゲン「あの時約束したよな?来たよ!」


マサル「うん。本当によくここまで頑張ったね!」


ゲン「招待状を貰った時はこんなことになるとは思わなかった!ほんとにありがとう!」


マサル「僕も嬉しいよ!初めて夢を与えたトレーナーがここまでたどり着けて!」


ゲン「だからこそ!おんがえしのつもりで全力で勝つ!」


マサル「僕もたった1年でチャンピオン譲るつもりはないからね。これで2勝0敗にするよ!」


実況「さあお互いに十分な距離をとって、セットポジションにつきます!」


実況「奇しくも今年も招待状を渡したチャンピオンと、それを受け取ったチャレンジャーの戦いだ!最高峰を決める戦いが今始まります!」



ゲン「いけっ!ヨクバリス!」


マサル「いけっ!ザマゼンタ!」
 ▼ 26 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:25:41 ID:.5Qkh5zA [26/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……きっとこれが漫画なら、その勢いのままチャレンジャーが勝っていたのだろう。


何しろ去年の僕自身が今のゲン君に近い状況だった。


最低でもチャンピオンを追い詰めるもあと一歩届かず。編集がついているのなら、そういった落としどころになっていただろう。


でも……現実はそうはならなかった。競技の世界は台本なんてなくて残酷だった。


結果からいうと、僕はいつもの通り1匹も倒されることなくゲン君に勝利した。


食らったのは先発ヨクバリスの奇襲のダイマックスによる一発だけ。


試合が進むごとに歓声は尻すぼみになり、希望の光が潰えたような雰囲気に包まれた。


その年の最強が決まる戦いなのに、途中で席を立ち帰り始める人が目に入ったのが本当に辛かった……。


最後のポケモンウインディを倒した後、ゲン君は膝をつき大粒の涙を流した。
 ▼ 27 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:26:43 ID:.5Qkh5zA [27/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「き、決まったー!勝者 チャンピオン マサル!壁はあまりにも高く高く聳え立っていた!」


実況「しかし挑戦者側のゲンもここまで見事な快進撃を見せてくれました!」


実況「改めて二人のポケモントレーナーに盛大な拍手をお願いします!」


実況がそう促すと、ようやく疎らに観客の数に比例しない拍手の音が聞こえてきた。


僕は声をかけていいものか迷った末に、項垂れるゲン君に駆け寄った。



マサル「その……また来年この舞台を目指して頑張ってほしいな。ここまで辿り着くトレーナーなんて殆ど……。」


ゲン「……無理だよ。」


マサル「……えっ?」


ゲン「勝てるわけないだろ!こんなトレーナーに!」


ゲン「もういいよ!」


ゲン君は僕の言葉を待つ前に、泣きながら走り去っていった。
 ▼ 28 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 00:28:35 ID:.5Qkh5zA [28/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
チャンピオンマッチに辿り着くような優れたトレーナーに諦めて欲しくない僕の気持ちは本物だった。


本心から出た言葉だが、今の僕の地位と実績から何もかも厭味ったらしく聞こえたんだろう。


その後チャンピオンの座を防衛したということでインタビューがあったが、何と答えたかろくに覚えていない。上の空の状態だった。



誰かが言っていた。「今年のチャンピオンマッチは過去最悪の内容だった」と。


誰かが言っていた。「昔のチャンピオンの試合はもっと面白かった」と。


誰かが言っていた。「現チャンピオンの試合にはドラマがない」と。


観客の総意が批判意見でないにせよ、そういった批判の声が大きくなるにつれて、僕は何のために戦っているのか分からなくなっていった。


観客の方を見るのが怖くなった。あんなに好きだったポケモンバトルが楽しくなくなった。


僕は……ただみんなのために強くなっただけなのに。
 ▼ 29 ルマッカ@ギネマのみ 25/09/12 20:17:39 ID:fewUAaUk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マサルゥ…
 ▼ 30 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:41:23 ID:.5Qkh5zA [29/51] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――シュートスタジアム ダンデ視点


マサル「インテレオン!ダイアイス!」


実況「インテレオンの放った氷塊がオノノクスを押しつぶす!オノノクス戦闘不能!」


実況「ここでインテレオンがダイマックス状態から元に戻ります。」


実況「しかしながら、インテレオン単体で大きなリードを奪いました!手持ちの数はチャレンジャー側が残り4匹で、チャンピオン側が2匹!」


……オレは、ポケモンバトルに関して自分の実力を疑ったことがなかった。


ポケモンバトルなら、オレに出来ないことはないと自負していた。


しかし……今対面している挑戦者のマサルは、オレに出来なかったことをやってのけた。
 ▼ 31 イデン@ナゲツケサルのけ 25/09/12 20:41:45 ID:aYEYsO3M NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 32 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:42:05 ID:.5Qkh5zA [30/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「流石最高のチャレンジャー!だが勝負はまだ終わっていないぜ!」


ダンデ「いけっ!ゴリランダー!」


ゴリランダーを繰り出したのを見たマサルは、即座にインテレオンをボールに戻し、次の控えのポケモンに切り替えた。


マサル「いけっ!ムゲンダイナ!」


胸にコアを宿す巨竜が、スタジアムの中心で咆哮する。


ダンデ「ゴリランダー!ドラムアタック!」


ムゲンダイナはボールからの登場とともに、ドラムの打撃音と共に巨大な根を呼び出す打撃を食らうも、全く意に介していない様子だ。



そうだ。このムゲンダイナが、オレに両膝をつかせたんだ。
 ▼ 33 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:42:32 ID:.5Qkh5zA [31/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「チャンピオンタイムもいよいよクライマックスだぜ!」


ダンデ「リザードンをはじめ、チャンピオンチームの力でムゲンダイナを追いつめた!」


ダンデ「あとは暴走を止めるためボールで捕獲する…… ただそれだけだ!


ダンデ「みてろよ チャンピオン タイム!!」


オレが投げたボールはムゲンダイナに命中し、一度はボールが揺れたものの……。


ダンデ「……!!リザードン!マサルとホップを庇え!」


オレたちチャンピオンチームの総力を持ってしても、弱らせるには不十分でムゲンダイナはボールから飛び出した。


リザードンが庇ったマサルとホップは無事だったが、ボールから出てきたムゲンダイナの衝撃で俺は負傷し気を失ってしまった……。
 ▼ 34 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:43:04 ID:.5Qkh5zA [32/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……そして、今オレの眼前にはまたムゲンダイナが聳え立っている。


今度はガラル地方を危機に陥れるためではなく、マサルの強力な仲間の一員として。


これがムゲンダイナを鎮圧出来なかったオレと、マサルの差だといわんばかりに。


マサル「ムゲンダイナ!ダイマックスほう!」


実況「ムゲンダイナのダイマックスほうがゴリランダーに炸裂!ゴリランダーたまらず戦闘不能です!」


ダンデ「まだまだチャンピオンタイムは終わらない!終わらせないッ!!」


ダンデ「いけっ!リザードン!本気をみせよう!キョダイマックス タイム!!」


………………

…………

……
 ▼ 35 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:44:04 ID:.5Qkh5zA [33/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「あーっと!ここで挑戦者側のムゲンダイナのダイマックスほうが炸裂!リザードン戦闘不能!」


実況「勝者は挑戦者側のマサル!無敵のチャンピオンを破った挑戦者もまたここまで無敗!まさに超新星の誕生です!」


リザードンが倒れた時、言い表せない悔しさと無力さがオレの全身を伝った。


こんなにバトル打ちのめされたのは、生まれて初めてのことだった。だが同時に嬉しくもあった。


10歳の時にチャンピオンになってから今まで王座を守ってきて、ようやくここまで突出したトレーナーに会うことが出来たのだから。


彼になら悔いなくガラルのポケモンバトルの未来を託せる。


オレはマサルを激励し、スタジアムを後にした。
 ▼ 36 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:45:26 ID:.5Qkh5zA [34/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
まだチャンピオンマッチの興奮冷めやらぬ中、オレはリーグ委員長としての職務を全うしていた。


急な話だった。チャンピオンだったといえ一選手でしかなかったオレが、運営側を取り纏める側に立つよう打診されたのだから。


薄々腹積もりはわかっていた。


ローズ前委員長の凶行で失いかけていたリーグへの信頼を、リーグの顔を矢面に立たせることによって批判を和らげる。そんなところだろう。


要はお飾りが欲しかったんだ。


でもオレはわかった上でそのポストを引き受けた。


オレがチャンピオンになった後の兼ねてからの願いは、ガラルのトレーナーを最強にすることだった。


その環境作りという点では、チャンピオンよりもリーグの運営側に立った方が都合のいい面もある。


いつかは身を引かなければならないのなら、リーグ自体が騒動の渦中にある今引き受けた方がいい。そういった考えがオレにはあった。
 ▼ 37 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:46:04 ID:.5Qkh5zA [35/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ただ……未練が完全になかったというわけではない。


オレは自分が年を取って衰えたり、自分の中でモチベーションが尽きたりするまでは、ずっとチャンピオンであり続けるつもりでいた。


まさか最盛期のうちに、純粋に力の差でチャンピオンを譲るなんて思ってもみなかった。


競技者としてはマサル君にリベンジしたい気持ちは勿論ある。


しかし現実問題、リーグ委員長という要職に就きながら彼を越えるというのは、いくらオレでも自信がない。


そのことだけが、心残りだった。
 ▼ 38 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:47:06 ID:.5Qkh5zA [36/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リーグ委員長……という肩書きはあるものの、実際の所裏方事情は分からないため殆どゼロからのスタートだった。


目の前に溜まった書類の山に目を回す日々。


リーグの催しのスケジューリング、スポンサーとの交渉メモ、調査報告書等々。


この無数の業務を、ローズ前委員長はマクロコスモスの社長をやりながらこなしていたのかと思うと舌を巻く。


本当に何故あんなことをしてしまったのか……。


実際の所、オレも業務の殆どは事務局員の力を借りながらやっている。
 ▼ 39 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:47:39 ID:.5Qkh5zA [37/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
自分から出来ることといえば、企画案出しぐらいか。


ローズ前委員長のマクロコスモスの本拠地ローズタワーを、バトル特化の専用施設バトルタワーに改装しようと案を出したのはオレだ。


あの施設の屋上はパワースポットの一つになっている。


ダイマックス使用可能という所と、ポケモンバトルに耐え得る程の施工技術で作られている所から目を付けた。


人目を気にせず次々とダイマックスを交えたポケモンバトルの修練に励めることから、今のところ好評を博している。


またシングルバトルのトーナメントだけではなく、タッグバトルで勝ち抜く形式の大会も現在協議中だ。


このように周囲の力を借りながらではあるが、選手の頃とは違った充実した毎日を過ごしている。
 ▼ 40 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:49:15 ID:.5Qkh5zA [38/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
このポストについてからも、ポケモンバトル観戦は欠かしていない。


休み時間……あまり大きな声では言えないが業務の行き帰りにも、スタジアムの満足度調査という名目上観戦に向かうことがある。


勿論マサルのチャンピオンとしての初の試合も見に行った。


見たこともないポケモンを巧みに操り、相手をまるで寄せ付けない圧倒的王者の立ち回りぶり。


強さを以ってガラルのポケモントレーナーの規範になるといった宣言通りの実力を見せつけていた。


オレも長いことチャンピオンの座を守っていたが、ここまで比類なき力を奮っていた記憶はない。


時には危ない試合もあったが、その中で何とかより良い選択肢を探って死線をくぐってきた。


だが彼にはピンチのピの字もない。そこにあるのは一方的な蹂躙だ。


競技者としては満点だが……オレはその戦いぶりにどこか危うさを感じた。


そして、その嫌な予感は残念ながら的中することになる……。
 ▼ 41 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:50:29 ID:.5Qkh5zA [39/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
最近、スタジアムから活気が急激に失われているように感じた。原因ははっきりとわかっている。


端的に言えば、観客はマサルの完封勝利に飽き始めて、対峙するトレーナーは戦う前から諦めているようにしか見えないという所だ。


事実としてチャンピオンが関わらない試合の盛り上がりは以前までとさほど変わらない。


観客の多くはどちらが勝つかわからない勝負を求めている。


その中でどちらが勝つか一目瞭然な試合が一番大事な決勝戦に必ずあるというのだから、観客としては面白くないのだろう。


何もさせずに倒してしまうから、挑戦者が誰であろうと持ち味が全く活きないというのも興行としてみれば辛いところだ。
 ▼ 42 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:51:32 ID:.5Qkh5zA [40/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
だからといってマサルに責任を押し付けるのはお門違いも甚だしい。


ではもう少し手心を…と手加減を望むのかといえば違うだろう?


もしもオレがチャンピオンの時にそう頼まれていたら間違いなく突っぱねている。


マサルはまず自分が誰よりも強くなって背中を見せることで、ガラルのトレーナーの規範になろうとした。


結局のところ、実力に付いていけない挑戦者側に原因があるんだ。
 ▼ 43 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:53:48 ID:.5Qkh5zA [41/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかし問題はそう簡単な話ではない。


現チャンピオンは元々一番強かったにも関わらず、今なお努力を惜しまず成長し続けている。


そうそう超えられる存在じゃない。オレもそれに敗れた者の一人だ。


また、観客は特定選手を応援しなければならないという義務はない。


応援したい人を応援すればいいし、贔屓にしている選手が負ければ顔に出る。


そうやって競技の応援は成り立っているんだ。


現状解決案が見えて来ずに、オレは今抱えているどの業務よりも頭を悩ませていた。


このままではマサルはいつか精神的に参ってしまう……。
 ▼ 44 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:54:22 ID:.5Qkh5zA [42/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
具体的な落としどころがイメージ出来ないまま、せめてマサルのメンタルケアをしようと思い、オレはチャンピオンの試合後の控え室を訪ねた。


オレが話しかける前に少し様子を覗くと、マサルは椅子に座って拳を握りながら俯いていた。勝者に似つかわしいとはとても言えない姿だった。


俺は静かにドアをノックし、控室に入った。


ダンデ「やあマサル。今ちょっといいかな?」


マサルははっと顔を上げ、柔和な表情を取り繕って背筋を伸ばした。


マサル「あっダンデさん!お久しぶりです!リーグ委員長に任命されたと聞いた時は驚きました!」
 ▼ 45 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:54:45 ID:.5Qkh5zA [43/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「まあ誰かがやらないといけないことだからな。それにしても見事な強さだった!」


ダンデ「オレの後任のチャンピオンとしても、ガラルポケモンリーグの委員長としても鼻が高い!」


マサル「ありがとうございます!」


ダンデ「今回話しかけたのは他でもない。ここ最近のマサルは、その強さに対する正当な評価を周りから得ていないように感じる。」


ダンデ「だから何か思うことがあれば、オレに遠慮なく言ってくれ。勿論口外はしない。」


マサルの目は一瞬暗い影を宿したように見えたが、返答は明朗なものだった。
 ▼ 46 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:56:00 ID:.5Qkh5zA [44/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「特に心配事はないですよ。だって今の所は問題なく勝てていますから!」


マサル「それに今僕のことを快く思わない人がいても、きっと勝ち続けていれば応援してくれます。」


マサル「ダンデさんもチャンピオンになりたての頃は、そういう声が多少なりともあったのでは?」


オレは自分がチャンピオンだった頃を思い返してみた。


確かに全く批判や妬みの声を聴かなかったわけではないが、正直にいうと今のマサルと比べても、チャンピオンになりたてのオレは暖かく迎えられていた……。


きっとそれは、どちらが勝つか最後までわからない勝負を含んでいたからだ。
 ▼ 47 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:56:46 ID:.5Qkh5zA [45/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「……まああったといえばあったな。昔はオレも今より子供だったし、そんな小童が勝つのが面白くないと思うやつもいた。」


マサル「でも最終的にはあれだけの声援をつけることが出来た。そうでしょう?」


マサル「だから僕はこれからも勝ち続けてそれを目指します。きっと新顔を受け入れられるだけの時間が足りてないだけですよ。」


ダンデ「そうか……。マサルはポケモンバトル以外の面でも本当に強い子だな。」


ダンデ「ただ無理だけはしないでくれ。何か悩み事があったらいつでも声をかけるように。」


マサル「大丈夫ですって!もし勝てなくなったら相談するかもしれませんけどね!」
 ▼ 48 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:57:11 ID:.5Qkh5zA [46/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オレは喉につかえたものを感じながら、控室を後にした。


これは、少なくとも今のマサルの取り組み方では解決しそうにない問題だということは言い出せなかった。


しかしこうした方がいいという代案は出せず、ただ気丈に振る舞うマサル君の話を聞いただけだ。


では一体今オレは何のためにマサルに声をかけたんだ?


未来に繋がる今現在を良くするのが大人の仕事ではなかったのか?


自分の至らなさに腹が立つ。
 ▼ 49 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:58:38 ID:.5Qkh5zA [47/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
チャンピオンカップ当日。リーグ委員長には開会式の挨拶があるから、大手を振って試合観戦に来ることが出来る。


ここ最近のスタジアムの客入りは低調だったが、流石にその年の総決算のチャンピオンカップともなれば、セミファイナルトーナメントの日から満員御礼。


試合が始まる前から、誰がファイナルトーナメントに進出するか、出場者の強さはどの程度か。


そんな談義が繰り広げられているのをスタジアム周辺で見るのは、運営側としてはほっと胸をなでおろす瞬間だった。


セミファイナルトーナメントで頭角を現したのは、マサルから推薦を受けたというジムチャレンジャーのゲンだ。


ここまで来ている時点で一定の実力は皆あるが、見ていて気持ちのいい晴れやかな性格と、思い切りのいい技選択で観客を味方につけていた。


長くポケモンリーグで選手をやってきたからわかるが、彼はまさに観客に愛されるタイプの選手だ。


目立ちたがり屋で、物怖じしなくて、嫌みがない。
 ▼ 50 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 20:59:36 ID:.5Qkh5zA [48/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ただ……忌憚のない意見を言うと、試合のレベル自体は去年の方が遥かに高かった。


マサルは勿論のこと、もしホップやマリィがこの年のセミファイナルトーナメントに参加していたら、ほぼ間違いなく突破していただろう。


しかし、勝負は素の実力以上に、その日自分の力を出し切れるかどうかの勢いで決まる。


実際ゲンはファイナルトーナメントに移ってからも、勢いが止まることはなく次々とジムリーダーを撃破していった。


一見セオリーから外れた怪しい選択も、ノっている選手にありがちな、結果の方が取った行動に合わせて全てうまくいくような状態に近かった。


そのあまりに天衣無縫な戦いぶりに、スタジアムの観客全体が魅了されていた。


殆ど全員がチャレンジャーのゲンを応援していたから、対戦相手はそれに気圧された部分もあったのだろう。
 ▼ 51 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 21:00:58 ID:.5Qkh5zA [49/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
チャンピオンマッチは2年連続でチャンピオンと、そのチャンピオンが推薦状を送った選手という組み合わせ。


更に今年圧倒的な力を見せつけている王者と、今日ここまで一番勢いがある新星ときた。


構図としてはこれ以上ないだろう。


「今日の彼ならやれる。」根拠のない期待がスタジアム中を包んだ。


オレも何かを起こしてくれそうな予感が微かにしていた。


マサルが勝つにしても、彼に冷や汗をかかせるような何かが欲しかった。
 ▼ 52 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 21:01:40 ID:.5Qkh5zA [50/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかしその期待感は、脆くも絶対王者に踏みつぶされた。


勢いで上がってきた選手がチャンピオンに冷静に捌かれて、実力通りの結果に終わる。


事柄だけ見れば、残酷な勝負の世界にはありふれていることだ。


ただ……チャンピオンカップが行われた今日このスタジアムに勝者はいなかった。


完膚なきまで叩きのめされたチャレンジャー。


そのチャレンジャーを応援していた殆ど全員の観客。


「お前の勝利なんて望んでいなかった」と言わんばかりに沈黙を突き付けられるチャンピオン。


こうなる前に何も手を打てなかったオレもまた敗者だ。
 ▼ 53 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/12 21:02:19 ID:.5Qkh5zA [51/51] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
スタジアムでの迷惑行為は厳しく罰せられるため、試合後の観客は露骨に落胆する程度に留まったが、スタジアムの外に出ればその限りではない。


今年のチャンピオンマッチに関しては、匿名からの誹謗中傷が特に目立った。


時にはある程度外野からの厳しい声に耐えなければいけないこともあるが、彼らは競技者である以前に未成年だ。


それに何故王座を防衛したチャンピオンと、正当な方法で挑戦権を獲得したチャレンジャーが叩かれなければならないのか?


マサルを叩いている主な層はオレのファンという事実もまた苦々しい。


結局の所オレはチャンピオンの座を防衛することも、新たなチャンピオンに人気を引き継ぐ取り組みも出来なかった。


オレは……結局何をどうすればいいんだ……。
 ▼ 54 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:16:51 ID:IQMg3zl. [1/32] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトロトロトロト……


ダンデ「……はい。ダンデです。」


ソニア「よっ!ダンデくん!お久〜。」


ダンデ「ソニアか!久々だな!」


ソニア「今度久々にご飯食べに行かない?近況報告も兼ねてさ。」


チャンピオンカップが一段落したのを知ってか、近況報告も兼ねてオレはソニアに外食に誘われた。


2人で会うのは久々だったし、何せナーバスな状態だったから気分転換を図りたくて行くことにした。
 ▼ 55 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:17:39 ID:IQMg3zl. [2/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「ああ!どこで食べるのか決めているのか?」


ソニア「バウタウンのシーフードレストラン『防波亭』って所がすごく美味しかったからそこいかない?」


ダンデ「ああ。ローズ前委員長が絶賛していたな。」


ソニア「そうそう!ちょうどわたしもローズさんにマサルとご馳走になったことがあったの。」


ダンデ「いつなら空いているんだ?そっちも忙しいだろう。」


ソニア「そうねー。じゃあ急だけど明後日はどう?」


ダンデ「わかった!バウタウンのシーフードレストランだな?向こうで集合しよう。」


ソニア「ダメダメ!そういってダンデくんは何度も辿り着けず台無しになったんだから!わたしが迎えにいくよ!」


ダンデ「そ、そうか……?じゃあまた今度。」


結局ソニアは遠くの駅まで迎えに来てくれた。


……よほど信用されていないようだ。まあ無事にバウタウンまでたどり着く自信もないが。
 ▼ 56 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:18:26 ID:IQMg3zl. [3/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「それじゃあいただきます!……んー!美味しい!」


シーフードレストラン『防波亭』の全てのメニューは、現地で取れた水産物を使っていてどれも新鮮だ。


俺も昔ローズ前委員長に連れられて食べたことがあったっけな。


ソニア「改めてチャンピオンカップお疲れ様!……色々あったみたいだからね。」


ダンデ「ああ……。ソニアも博士になってから大変だろう。」


ソニア「まあねー。でもわたしが博士でダンデくんがリーグ委員長かぁ。」


ソニア「昔一緒にジムチャレンジに挑戦してた頃からだと想像できなかった未来だね。」


ダンデ「ああ。オレは仮にチャンピオンを降りてもずっとポケモンバトルをしているものだと思っていた。」


ダンデ「マスタード師匠のようにポケモンバトルを教えるとかな。」
 ▼ 57 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:19:28 ID:IQMg3zl. [4/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「あのダンデくんがデスクワークだよ?びっくりだよね。」


ダンデ「いや本当にな。まあこれはこれでやりがいはあるが。」


ソニア「まあでもわたしが博士になったのは意外じゃないか!」


ダンデ「そうだな。昔からソニアは賢かったから。」


ソニア「……いや否定してよ!ただ自信過剰なやつみたいになったじゃん!」


ダンデ「違ったのか?まあいいか。博士の仕事は上手くやってるか?」
 ▼ 58 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:19:51 ID:IQMg3zl. [5/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「まあそこそこかな?まだまだ端くれって感じだけどね。」


ソニア「後を託したはずのマグノリア博士も何だかんだで様子見に来るよ。」


ソニア「あっそうそう!わたしの書いた論文見て『面白い』って言ってもらえたよ!」


ダンデ「おお!すごいじゃないか!」


ソニア「……眠すぎてダイオウドウのこと途中から全部ダイオウゾウって書いてたことについてだけど。」


ダンデ「ハハ!適度に寝たほうがいいぞ。」


ソニア「助手のホップも色々雑用やってもらって助かるわ。たまに要らないこというけど勤勉だし真面目にやってる。」


ダンデ「そうか……ホップも新たな道で頑張っているんだな。」
 ▼ 59 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:21:18 ID:IQMg3zl. [6/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「ダンデくんはお仕事どう?」


ダンデ「……あまり芳しくないな。オレはガラルのトレーナーを最強にするって思いがずっとあるんだが。」


ダンデ「突出した存在はいるものの、全体のレベルが引きあがった感じがしない。」


ソニア「……マサルのこと?」


ダンデ「……ああ。彼は今勝ちながらにして苦しい思いをしている。そんなことは間違っている。」


ダンデ「常に圧倒的に勝つが故に一部の人間から疎まれている。あまりに高すぎる壁だから周りが付いてきていない。」


ダンデ「オレは最近ずっと彼のことで頭を悩ませている。だが答えが見えてこないんだ。」
 ▼ 60 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:22:25 ID:IQMg3zl. [7/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「うーん……。どうすればいいのかな……。」


ソニアは髪の毛の先端をくるくる回しながら、思案を巡らせている。


気持ちはありがたいが、そう簡単に出る答えでは……。


ソニア「そうだ!ダンデくんとマサルで再戦したら?」


ダンデ「……オレが?」


突拍子もない提案にオレは面を食らった。


ソニア「今この地方でマサルと一番いい勝負出来るのって結局ダンデくんでしょ?」


ソニア「客も呼べると思うし、単純に今みんなが見たいと思うけどなー。」


ダンデ「もし皆が望んでいるならやぶさかではないが……。」
 ▼ 61 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:23:07 ID:IQMg3zl. [8/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサルは去年のチャンピオンマッチで戦った時よりも遥かに強い。


その時ですらマサルは余力を残してオレに勝った。


更にオレは公式戦から長い間遠ざかっている。今の状態でいい勝負になるだろうか……。


ソニア「そりゃみんな見たいよ!エキシビションマッチってすぐ組めるものなの?」


ダンデ「今は特に他に予定がないから申請すれば近いうちに組めるな。」


ソニア「いいじゃん!もしやるんだったらホップと一緒に見に来るわよ!」


ダンデ「そう……だな。」


ソニア「……もしかして、珍しく自信ない?」


ソニアとは長い付き合いだからつい見透かされてしまう。
 ▼ 62 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:24:16 ID:IQMg3zl. [9/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「競技者の頃なら挑む前に負けることなんて考えもしなかった。」


ダンデ「だが……一線を退いた身で彼に勝つ気でいるのは虫が良すぎるのではないかと思ってな。」


ソニア「……まあ気持ちはわかるけどさ。マサルは今自分に勝つつもりがあるトレーナーが来ることを願っていると思うよ?」


オレはその言葉にハッとさせられた。


オレ自身もまた、いつの間にか戦う前に諦める側に立っていた。


ソニア「エキシビションマッチだし主催者権限でちょっと紛れのあるルールにしちゃえばさ。何とかなるって!」


ソニア「わたしは”無敵のチャンピオン”の戦いがまた見たいな。」
 ▼ 63 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:24:50 ID:IQMg3zl. [10/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オレ自身がスタジアムで再びマサルと戦うことなんて考えてもみなかった。


去年でオレとマサル君の決着はついて、彼を倒すのは後の世代が担うものだと思っていた。


あの日負けた悔しさが、今になって沸々と込み上げる。この気持ちが死んでない限りはいつまでも戦いに舞い戻ることが出来る。


そしてエキシビションマッチをするなら、それは個人的なリベンジマッチのためだけのものじゃない。


対面するマサルも見ている観客も、取り巻く人全ての凍てついた心を溶かすような試合にしたい。そう強く思えた。


ダンデ「ありがとうソニア!ナイスアイデアだ!」


ダンデ「出来る限りの力を以ってマサルと再戦することを約束する!」


ソニア「その意気よ!やっぱダンデくんはこうでなくちゃ!」
 ▼ 64 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:25:50 ID:IQMg3zl. [11/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
今年のチャンピオンマッチも終わって、空しい気持ちだけが残る中、この前ダンデさんが僕を訪ねてきた。


ダンデ「どうかオレとのエキシビションマッチを引き受けてほしい。」


正直な所、今の僕はポケモンバトル自体にうんざりしていた。


戦って何も得られないどころか嫌われる。この試合だってダンデさんを倒したら周りから何を言われるかわからない。


マサル「……わかりました。」


それでも僕はその試合を断れなかった。


決め手になったのは、ダンデさんのチャンピオン時代の頃のような熱意の籠った真っすぐな目だった。


少なくとも、チャンピオンになるまでの旅路は充実した楽しいものだったからという個人的な恩もある。


……きっとそのダンデさんとの試合が、ちょうどいい区切りになるんだろう。
 ▼ 65 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:26:37 ID:IQMg3zl. [12/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
僕は久々にブラッシータウンの研究所の前まで来ていた。


今はとにかく親しい相手と話す時間が欲しかったんだ。


研究所には資料を机いっぱいに広げて、思案に暮れているホップがいた。


声をかけられずに幽霊のように突っ立っている僕に気づいて、ホップは声をかけてくれた。



ホップ「おっ!マサル!久しぶり!」


マサル「ああ……うん……久しぶり。」


ホップ「ソニアは今ちょうど出張に出ていてオレ一人なんだ。」


ホップ「それはそうとチャンピオン防衛おめでとう!さすがオレのライバル!」


ホップ「現地には忙しくていけなくてごめんだけど、ライブ中継はずっと見ていたぞ!」


マサル「うん……ありがとう。」
 ▼ 66 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:28:48 ID:IQMg3zl. [13/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「…………?」

歯切れの悪い応対を案じてか、ホップは僕に何があったかをあえて聞かずにたわいのない雑談をし始めた。


昔一緒にガラル中を巡っていた話、最近ホップが新しく知ったポケモンの知識、くだらないバカ話。


古くからの親友と話すことで少しずつ心が和らいでいく感じがした。



ホップ「もう深夜3時を回った頃かな?オレは研究所に寝泊まりしていて、トイレのために起きた時だよ。」


ホップ「そこにトイレがあるんだけどな?明かりは最低限しかついていなくて、大きな書斎もあるから通るときちょっと雰囲気が怖いんだ。」


ホップ「そんな時間なのにそこの机に向かっている人がいた。」


ホップ「えぇ……誰……?ってゆっくり近づいたら派手な髪色の後ろ姿でなーんだソニアか!遅くまで頑張ってるなーって」


ホップ「だから労いの声ぐらいはかけた方がいいと思って話しかけたら……。」


ホップ「美白パックつけたソニアが『何ぃ〜?』って虚ろな声で振り返ってきたんだ!」


ホップ「オレもうすげえ怖くて『ぎゃあ!化け物!』ってつい叫んじゃったんだよな。」


ホップ「それ以降研究所のゴミ出しぐらいは交互にやってたのに、全部オレ担当になったんだ……。酷い話だよな?」


マサル「ははは!怖い思いした上に雑用が増えたのか。」
 ▼ 67 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:29:35 ID:IQMg3zl. [14/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「笑い事じゃないぞ!あっそうそう!ソニアで思い出した!」


ホップ「聞いたぞ!マサルって今度アニキとエキシビジョンマッチで戦うんだろ!……あっ!これってまだ知っちゃいけないやつなんだっけ?」


マサル「あー……いずれにせよ直に発表されると思うよ。」


ホップ「そうか!よかった!いやーもうちょうど1年ぶりか。早いもんだな!でもずっと見たかったぞ!きっとオレだけじゃなくて色んな人も!」


ちょうど話にも出てきた所だし、打ち明けるなら今か……。


マサル「まだ他に一人も話してないことなんだけど、言っていい?」


ホップ「おっ!なんだ!絶対言わないぞ。いや?今言っちゃったんだけどな。」




マサル「……僕、この試合を最後にチャンピオンをやめたいんだ。」
 ▼ 68 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:30:09 ID:IQMg3zl. [15/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「……え?」


和気藹々とした雰囲気から一転して、ホップは状況をよく呑み込めないといった表情をしている。


マサル「チャンピオンを辞めるだけじゃない。もうポケモンバトルをやりたくないんだ。」


マサル「もう……嫌なんだ……。何も楽しくない。」


ホップ「……どういうことだよ?だって今の所上手くいってるだろ?」


マサル「何にも上手くなんかいってないよ!!」
 ▼ 69 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:31:13 ID:IQMg3zl. [16/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
僕は思い切り机を叩いてしまった。


マサル「僕がチャンピオンになって何か一つでも良くなったことがあるのか!?」


マサル「観客は僕を煙たがる!挑戦者は僕と戦う前に諦める!期待の新人を迎え撃っただけで僕は悪者扱いだ!」


マサル「どうして勝った側が責められる!?どうして負けた側が自分を改めようとしない!?」


親友の前だと堰を切ったように今まで抱えていた不平不満が漏れ出た。



マサル「僕が見たチャンピオンは決してこんな扱いじゃなかった!少なくとも勝利は称えられていた!」


マサル「チャンピオンになる前の方がよほど応援されていたよ……。」


マサル「こんなことになるなら……僕はチャンピオンになりたくなかった……。」


そう呟いた瞬間、右頬に強い衝撃がはしって僕は研究所の床に倒れこんだ。
 ▼ 70 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:32:14 ID:IQMg3zl. [17/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
一瞬僕は何が起こったかわからなかった。


少し経ってからようやくあの心優しいホップに思い切り殴られたことに気が付いた。


ホップ「……チャンピオンになりたくなかったなんていうなよ。」


ホップ「マサルはアニキからチャンピオンの座を掠め取ったんだぞ!」


僕は今までになく熱くなって、立ち上がりホップを殴り返した。


マサル「同じ思いをしたことがないチャンピオンになったこともない奴が語るな!」


マサル「ダンデさんだってこんな目にあったことないだろ!」
 ▼ 71 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:33:12 ID:IQMg3zl. [18/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「……確かにたくさん辛いことはあったんだと思う。マサルが受けた痛みはマサルしかわからない。」


ホップ「でもチャンピオンになりたくないっていうぐらいなら!オレだって去年のセミファイナルカップでマサルに勝ちたかった!」


ホップ「アニキと……チャンピオンの座を賭けて戦いたかった……。」


ホップの目から大粒の涙が零れたのを見て、僕も冷静になった。


自然とそれに釣られて、心無い言葉をかけてしまったことと、手をあげてしまった自責の念から僕の目からも涙が零れた。


どちらもすすり泣いて収集がつかなくなった頃に……。




ソニア「ただいまー!お土産にアメざいく買ってき……ってちょっと!どうしたの二人とも!」
 ▼ 72 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:33:58 ID:IQMg3zl. [19/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニアはガーゼと絆創膏を取り出し、二人の傷を丁寧に拭う。


ソニア「あんたたちみたいな度を超えたお人よしが殴り合いなんてびっくりしたわよ。」


マサル・ホップ「ごめんなさい……。」


ソニア「……それで、マサルはチャンピオンを辞めたいっていうのは本当?」


マサル「……はい。」


ホップ「今ポケモンバトル自体が楽しくなくて、辛い思いをしているらしいぞ。」


ソニア「うーん……。弱ったわね。ダンデくんとの試合を控えているのに。」


マサル「……その試合は、頼まれたことなのでやります。」


ソニア「そういうテンションじゃなくてさー……。はい。二人とももう大丈夫!」


ソニアは絆創膏を2人分貼って席を立つ。
 ▼ 73 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/13 20:34:53 ID:IQMg3zl. [20/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「ホップ!マサルと外でポケモンバトルしてきなさい!久々に会ったし、こっちは片づけておくから。」


ホップ「……ソニア話聞いてた?マサルは今ポケモンバトルが辛いんだって。」


ソニア「じゃあ外出て気分転換でもいいわよ。行ってきなさい!」


ソニアさんは僕らの背中を押すように促し、研究所のドアを開けた。


ホップ「もう怒ってないんだけどなぁ……。」


マサル「……とりあえず近く回ってみる?僕もう長いこと帰ってなかったから新鮮かも。」


ホップ「だな!久々に一緒に歩いたら色々懐かしめるかも。」
 ▼ 74 ーイーカ@エレキシード 25/09/13 21:03:55 ID:lQBU7zis NGネーム登録 NGID登録 報告
ソニアがいい女すぎる
 ▼ 75 ラップ@ひかりのねんど 25/09/13 22:33:02 ID:IQMg3zl. [21/32] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕はホップと久々に肩を並べてブラッシータウン近郊をぶらついた。


マサル「ここのポケモンセンターを出た時だよ。ジムチャレンジの説明をホップからされたのは。」


マサル「僕はその制度すら知らなかった。ポケモンリーグもホップの兄さんが長いこと強い程度の知識しかなかった。」


ホップ「おう!チャンピオンの挑戦権を掴む第一歩って話だった!」


ホップ「その前にアニキに認めてもらえず、推薦状を貰えなかったんだよな……。」


マサル「だからホップの方からマグノリア博士に相談してみようって言いだして、街を飛び出した。」
 ▼ 76 マルルガ@やけどなおし 25/09/13 22:34:22 ID:IQMg3zl. [22/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「ここでアニキにポケモンの捕まえ方を教えてもらった!」


マサル「モンスターボールいっぱい貰ったよね。」


ホップ「オレちょうどここでココガラ捕まえたんだぞ!今でも連れてるアーマーガア!」


ホップは嬉しそうに草むらの周りを走っている。


マサル「ホップは色々旅の途中でパーティが変わったけど、バイウールーとアーマーガアはその中でもやっぱり愛着あるんだね。」


ホップ「おう!途中で道を見失いかけたけど、その二匹に帰ってきたらまた調子が戻った!」
 ▼ 77 リゲイツ@カレーパウダー 25/09/13 22:38:14 ID:IQMg3zl. [23/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「……この前僕と戦っていたチャレンジャーのゲンって子いたでしょ?あの子とは元々ここであったんだ。」


僕は元々ゲン君が立っていた所を指さす。しかし彼は今ここにはいない。


ホップ「あっやっぱり!?あの子オレも見たことある気がしたんだよ!」


ホップ「すごく面白いやつだったな!読みも鋭かったし!」


マサル「そうだね。きっとゲン君が戦っている間のポケモンリーグは明るいものになると思う。」


ゲン君とはあれ以来まだあっていない……。


チャンピオンマッチまで上がってきた実力者なのに、差をつけられて負けたことで勝手に過度な期待をした周囲から落胆されていた。


彼もまた、きっと辛い思いをしているだろう。


マサル「……ポケモンバトル、続けてくれていればいいんだけど。」


ホップ「それはマサルだってそうだぞ。少なくともオレは続けてほしい。」


マサル「うん……。」
 ▼ 78 ートロトム@ぎんのはっぱ 25/09/13 22:39:14 ID:IQMg3zl. [24/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そうこう話している間に、僕らはマグノリア博士の家の前についた。


家の庭には家庭菜園と、広々としたポケモンバトル用のコートが設けられている。


ホップ「おお!ここだ!ここでアニキを納得させるために、ポケモンバトルしたんだ!」


マサル「そう。結局僕らは2人ともその戦いぶりを見たダンデさんに認められて、推薦状を受け取った。」


マサル「……鍛えあって、二人でチャンピオンを目指すぞってホップと約束した。」


さっき自分が呪ったチャンピオンの座の話を自ら出してしまい、少し気まずい瞬間が流れた……。
 ▼ 79 ーパ@イワンコのいわ 25/09/13 22:39:48 ID:IQMg3zl. [25/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
沈黙を破ったのはホップからだ。ホップはコートの反対側に走って行って向き直った。


ホップ「マサル!久々にオレと戦ってくれよ!」


ホップ「昔話してたらさ。また同じ場所で戦いたくなった!」


正直僕はあまり気が進まなかった。もうバトルコートを見るのも嫌だった。


でもホップとの思い出が想起され、彼の純真な目が僕を捉えて離さなくて……。


気が付けばコートの上に立ってボールを構えていた。


ホップ「そうこなくっちゃ!」


マサル「なんだかここに来たら戦わなくちゃって気持ちが湧いてきたよ。」
 ▼ 80 ッポ@きりみフライ 25/09/13 22:40:27 ID:IQMg3zl. [26/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「なあマサル!そのバドレックスってポケモン何タイプ!?」


マサル「公式戦なら絶対に教えてないけどエスパー・ゴーストだよ。」


ホップ「おっ!それはいいことを聞いたぞ……!エースバーン!ふいうち!」


しかし うまく 決まらなかった!!


ホップ「あ、あれ……?動いてない?」


マサル「バドレックス!アンコール!」


エースバーンは アンコールを受けた!


ホップ「ちょ、ちょっと!タイム!」


マサル「ポケモンバトルに待ったがあったらよかったのにね。」
 ▼ 81 ダイトウ@ブイゼルのけ 25/09/13 22:41:50 ID:IQMg3zl. [27/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
昔からホップは、勝負の間にもたくさん僕に話しかけてくる。


旅先で始めるような気軽なバトルでも、人生の転機になるようなバトルでも、彼は対話をやめない。


まるでキャッチボールをしている感覚だ。混じりけのない感情が直に伝わってくる。


だから、ホップとのポケモンバトルはいつだって楽しかった。


これだけ気持ちが参っている今だって例外じゃない。


それに流石に実戦から遠ざかっていて怪しい判断もあるけど、それでもここ1年で戦った相手の中では抜けて強い。


自分のポケモンを本当に大事にしていて信頼関係を感じるし、そのポケモンの強さを引き出すという点においては僕よりも上かもしれない。
 ▼ 82 ルキモノ@チョークいし 25/09/13 22:43:17 ID:IQMg3zl. [28/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「ザシアン!きょじゅうざん!」


マサル「ザマゼンタ!きょじゅうだん!」


2匹の英雄が、お互いが持てる最大の技を振るいながら交錯しコートに一陣の風が吹く。


先にゆっくりと体を傾け倒れたのはホップのザシアンだった。


その後で僕のザマゼンタもそのまま力を出し切った様子で倒れこんだ。相打ちの形だ。


僕の手持ちはまだ残っているから、最後に出てきたザシアンを倒した時点で勝負自体は決した。


でも間違いなく、チャンピオンになってから一番追い詰められた戦いだった。


もしこの試合がスタジアムの上なら、観客も大いに盛り上がっていたんだろうな……。


ふとそんな願望が脳内によぎった瞬間、僕ははっと気づいた。


そうか……だからダンデさんの夢は……。
 ▼ 83 ンブオー@エレベータのキー 25/09/13 22:44:06 ID:IQMg3zl. [29/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「流石最強のチャンピオン!まどろみの森でやった時より更にずっと強かったぞ!」


マサル「えっ……?ああ!ホップは助手やりながらなのに強くて僕の方こそびっくりしたよ!」


ホップ「へへっ。実は有事の際に、時間出来た時ちょっと鍛えているんだ!」


マグノリア「見事な戦いでした。……わたくしの敷地内のコートを勝手に利用したこと以外は。」


ホップ「わっ!博士!……ごめんなさい。」


マサル「あの……お久ぶりです。僕からもすみませんでした。」


集中していてお互いに気が付かなかったけど、いつの間にかマグノリア博士がコートの横に立って試合を観戦していた。
 ▼ 84 イラッシャ@やきチョリソー 25/09/13 22:45:00 ID:IQMg3zl. [30/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マグノリア「冗談ですよ。いずれにせよもう使う機会も少ないコートなので。」


マグノリア「貴方達がダンデの前で戦ったひと時が、昨日のことのように思い起こされます。」


マグノリア「覚えていますか?あの戦いの後貴方達は2つのねがいぼしを見つけました。」


ホップ「おうっ!そのねがいぼしを埋め込んだのがこのダイマックスバンドだよな!」


ホップは手首につけたバンドを見せつけた。


このダイマックスバンドを所持している者のみが、パワースポット内でダイマックスを扱うことができる。
 ▼ 85 マルス@しんぴのチケット 25/09/13 22:45:50 ID:IQMg3zl. [31/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「オレの願いははっきり覚えてる。最強のトレーナーになる!って3回願った。」


ホップ「……最強にはなれなかったけど、願った時から考えると大分強くなった!きっとご利益はあると思う!」


マサル「……僕もホップと同じお願いをした。」


マグノリア「それは叶って何よりですね。」


マサル「そうですね。でも僕たった今、新しい願い事が出来ました。」


ホップ「えっ!?何!?教えてくれよ!」


マサル「僕の新たな願い事は……。」
 ▼ 86 ロロローム@あおぞらプレート 25/09/13 22:47:26 ID:IQMg3zl. [32/32] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マグノリア「おやおや。それは随分大きく出ましたね。」


ホップ「ある意味最初の夢より壮大だな!すごいぞ!」


マサル「きっと達成までに長い時間がかかるし、僕の頑張りは前提で一人だけじゃ出来ないことだ。」


マサル「でも今後のガラルポケモンリーグを考えるなら絶対に必要なことだと思う。」


ホップ「じゃあポケモントレーナーも続けるってことで……。」


マサル「……その保証はまだ出来ないかな。でもこれだけは約束するよ。」


マサル「今度のダンデさんとのエキシビジョンマッチ。僕の今持てる全力で臨む。」


マサル「僕がどういう形で新しい夢の実現に取り組むかは、それが終わった後に考えるよ。」


ホップ「……わかった。試合、楽しみにしてるぞ!」


マグノリア「わたくしからも、チャンピオンの更なる成長を期待しています。」
 ▼ 87 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:37:12 ID:D2FMZND. [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――記者会見会場 3ツ星ホテル ロンド・ロゼ


高級ホテルの大広間は、カメラのフラッシュとざわめきに包まれていた。


壇上にはスクリーンに「エキシビジョンマッチ マサル vs ダンデ」と大きく映し出されている。


中央には現チャンピオンマサルと、その対戦相手のダンデが向き合っていた。


通常エキシビジョンマッチはここまで大々的な宣伝は行われない。


公式戦とは関係ない位置づけで、双方の合意の上シュートスタジアムで戦うというだけだ。


観客に公開されているだけのフリーバトルといっても差し支えない。


そのような試合にも関わらず、元チャンピオンのダンデがスタジアムに帰ってくるということで注目度は非常に高く、多くの報道陣が集まった。
 ▼ 88 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:38:15 ID:D2FMZND. [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
プロモーターがマイクを握り、会場の空気が引き締まる。


「本日はお集まり頂きありがとうございます。」


「この度は、年末にシュートスタジアムで行われる現ガラルチャンピオン・マサルと、前ガラルチャンピオン・ダンデによるエキシビションマッチの概要について、説明いたします。」


「通常ガラルポケモンリーグで行われるポケモンバトルの方式は、手持ちを最大6匹まで使えるシングルバトルを採用していますが、今回はレギュレーションが大きく異なります。」


記者たちの間でざわめきが広がる。


「当マッチのレギュレーションは、お互いの手持ちを事前に6匹公開し、本番当日に6匹の中から3匹選出して戦うシングルバトルです。」


「両者が使用する手持ち6匹はこの後すぐ、会場内で一斉に公開されます。」


「持たせる道具や覚えさせている技に関しては非公開の状態なので、本番直前まで変更は可能です。」
 ▼ 89 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:39:41 ID:D2FMZND. [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「今からエキシビジョンマッチまでの約1ヶ月の間は、6匹の中から相手の構成を見てどのポケモンを選出するかの考案、また手持ちポケモンのトレーニング等備える期間とします。」


「今回このような形式を取ったのは、所持しているポケモンの強さに加えて、相手の狙いを的確に読み、対策を講じるポケモントレーナーとしての資質を問う目的があります。」


「この試合は、単なるエキシビションに留まりません。新旧チャンピオンの再戦!二人の魂と誇りがぶつかり合う、ガラルの歴史に刻まれる一戦です!」


記者たちの質問の手が挙がり、無数のフラッシュが瞬く中、ダンデはマイクを手に取る。
 ▼ 90 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:40:15 ID:D2FMZND. [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「シュートスタジアムに競技者として戻ってくるのは1年ぶりになる。」


ダンデ「オレがリーグ委員長に就任してから、皆は”無敵のチャンピオン”の試合を再び見ることは叶わないのではないかと思っていたことだろう。」


ダンデ「オレ自身もそう思っていた。だがスタジアムに一つだけやり残したことがあった!」


ダンデ「オレが唯一負けた公式戦。去年のチャンピオンマッチのリベンジを果たしたい!」


ダンデ「ちょうど10歳の頃チャレンジャーとしてチャンピオンに挑んだ時の気持ちだ。」


ダンデ「かつてない高い壁だが、乗り越えられない壁はないということを、ガラル全土のトレーナー達に示したいと思う!」
 ▼ 91 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:41:13 ID:D2FMZND. [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサルはダンデからマイクを受け取った。


マサル「今までの僕の戦いを振り返って、特に印象的な一戦の一つがやはり去年のチャンピオンマッチでした。」


マサル「大歓声の中、勝負が決した後の全身が震えた感覚は今でも忘れていません。」


マサル「僕もダンデさんとのスタジアム上での再戦はもう叶わないと諦めかけていたのですが、この度貴重な機会が到来して嬉しいです。」


マサル「あれから更にチャンピオンとして強くなった所をダンデさんに見せます。」


マサル「そして、このエキシビションマッチを見た人が、ポケモンリーグ出場を志すような試合にしたいと思います!」



「ありがとうございます。それでは注目の両者の使用する6匹の手持ちは……こちらです!」
 ▼ 92 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:42:06 ID:D2FMZND. [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
壇上のスクリーンに、今までの試合の活躍シーンと共に1匹ずつ紹介される映像が流れ、最終的に6匹の名前がずらりと並んだ。


マサル:インテレオン・フシギバナ・ムゲンダイナ・ザマゼンタ・ウーラオス(いちげきのかた)・バドレックス(こくばじょうのすがた)

ダンデ:ギルガルド・ガマゲロゲ・オノノクス・ドラパルト・ゴリランダー・リザードン



記者会見はマサルとダンデとの握手しているシーンで締めくくられた。


「チケットは翌日10時から予約開始!最高峰の戦いの目撃者となる準備を!」


そう予告されると、会場は拍手と歓声に包まれた。
 ▼ 93 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:44:13 ID:D2FMZND. [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
大会が始まる前までの1ヶ月で、両者はそれぞれの取り組みを行った。


マサルは大会ではなく、ダンデが建てたバトルタワーで一心不乱に連勝を重ねた。


最初はエキシビションマッチまでは観客の目のつかない所で……という狙いがあったようだ。


しかし、あまりにも勝ちすぎてバトルタワーに死神がいると話題になって結局トレーニングしていることがバレてしまった……。



バトルをしていない時間は全てダンデの手持ちの6匹とのにらめっこに費やしていた。


いくらダンデ相手といえ、自身の6匹がそのまま使えればかなりの確率で勝てる構成だっただろう。


しかし今回はレギュレーションが異なる。選出した3匹のかみ合わせが悪ければ十分に負ける可能性がある。


3匹の選出を考えに考え抜いては、翌日には何度も白紙になる繰り返し。


最終的に自分の中で選出が決まった3匹を並べて、マサルはこうつぶやいた。


「不思議なこともあるものだな……。」と。
 ▼ 94 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/14 14:45:16 ID:D2FMZND. [8/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
誰もが待ち望むエキシビションマッチが決まったとはいえ、リーグ委員長としての仕事をしなくてよいということはないので、業務が終わってからのトレーニングの日々だった。


……とはいえ、事務局員に「この仕事はやっておきます」とダンデは早く帰されることが多かった。


ガラルポケモンリーグの裏方全体で、このエキシビションマッチをより質の良いものにしようという意識を感じる。


バトルタワーにはどうやらマサルがいるらしく、事前に当たってしまう可能性があるため利用できない。


連日ジムリーダーに付き合って貰って勝負勘を取り戻し、今すぐ選手に戻っても現役の頃と同じぐらいの成績が出せるぐらいの仕上がりを見せた。


今回のレギュレーションは運営と協議して決まったものだ。


「相手の狙いを的確に読み、対策を講じるポケモントレーナーとしての資質を問う目的」というのは言葉の通りだが……。


正直な所、既存の66のフルバトルではマサルに総合力で勝つのが難しいという判断があった。


勝ちの目があるレギュレーションを設けたからには、ダンデとしては出来ることは全てやりたい。


マサルの様々な選出パターンを予想しシミュレーションを経た結果、最終的にダンデは選出する3匹を導き出した。


勝てる可能性を追求したが故の選出だが、ダンデとしてはかなり大胆な決断をすることになった。
 ▼ 95 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:50:23 ID:FFckCGcQ [1/39] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――エキシビジョンマッチ当日


シュートスタジアムは超満員。熱狂の渦が渦巻いていた。


試合が始まるかなり前から観客の歓声とチャントが反響し、会場全体が細かく振動する。


場内アナウンスが断続的に流れ、巨大なスクリーンには、マサルとダンデの活躍シーンや、エキシビションマッチ用のPVが映し出されている。


試合前の勝利予想アンケートでは、マサル勝利が63%、ダンデ勝利が37%という集計結果が出た。


この手のアンケートは少なからず勝って欲しい方に入れるという側面がある。


その上でこうした結果が出たというのは、数字以上にかなりの人数が心の中ではマサルが勝つと思っているということになるだろう。


ホップとソニアは直接呼ばれていたため、両雄の試合を間近で見ることが出来る席が取れていた。


2人もまた早くから会場入りして、今か今かと試合を待っていた。
 ▼ 96 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:51:11 ID:FFckCGcQ [2/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「ホップ。あんたさ。実際どっちが勝つと思う?」


ホップ「うーん……ライバルを取るかアニキを取るか難しいぞ。」


ソニア「勝って欲しい方じゃなくて勝つと思う方でいいのよ。勝って欲しいのはどっちもなんだから!」


ホップ「それも難しいけど……。まあマサルかなー。」


ホップ「結局この前マサルが研究所に来た時に戦ったけど、本当に強かったから。」


ソニア「わたしは何となーくダンデくんが勝つ気がするのよね。エキシビションマッチやるって決めた時自信に満ちてそうだったから。」


ホップ「でも何にせよ、この試合勝敗よりも大事なものがあるっていうのはソニアもオレと同じ思いだよな。」


ソニア「うん。マサルが心から楽しいと思う試合になってほしいかな。」
 ▼ 97 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:51:39 ID:FFckCGcQ [3/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マスタード「ホップちん。ワシちゃん試合に間に合った?」


緑色のジャージを着た、ただならぬ雰囲気を醸し出した老人がホップに話しかける。


ホップ「あっ!マスタードさん!まだ時間あるぞ!来てたんだな!」


マスタード「そりゃーワシちゃんここに呼ばれるでしょー。一応ダンデちんとマサルちん両方の師匠よん?」


ソニア「わたしとは初めまして……ですよね?ホップはあったことあるんだっけ?」


ホップ「おう!ダイマックスの調査の時にヨロイ島にいったんだ!」


マスタード「その時はダイミツご苦労様だったねー!」


マスタード「まあ個人的にリーグとは色々あって来るか迷ったけど、流石に愛弟子の試合は見たいよねー。」


ホップ「来たって知ったらきっと喜ぶと思うぞ!」


ソニア「そろそろ始まるよ!」
 ▼ 98 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:52:10 ID:FFckCGcQ [4/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサルは控室で、チャンピオン用のユニフォームに既に着替えていた。


ギリギリまで、相手の選出パターンに応じてどのように行動するかといったものを纏めたメモ帳に目を通している。


マサルは今までも試合前に自分がどう戦うかのイメージはしてきたが、ここまで前準備をして臨むのは初めてのことだった。


マサル「そろそろ時間だ……。」


マサルは、洗面所で顔を洗ってから選手入場口に立って、大観衆の待つ光の向こう側を向いた。


今年のチャンピオンマッチから一度もスタジアムで試合をしていないから、久々の感覚だ。


マサルにはまだ観客の反応に対する恐れは残っているが、それをかき消す程の集中力をもって臨んだ。
 ▼ 99 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:53:24 ID:FFckCGcQ [5/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「マサル vs ダンデ!ここシュートスタジアムの歴史に刻まれるエキシビジョンマッチ!」


実況「まずは現チャンピオンから入場です!背番号1を超えた背番号0 マサル!」


実況「背番号0が指す意味は、選手になってから公式戦で負けた数を表します!」


実況「なんと!チャンピオンに君臨してから公式戦で瀕死になったポケモンも0!」


実況「その完膚なきまでに対戦相手との差を見せつけるスタイルからついた渾名は"無慈悲な チャンピオン"!」


実況「果たしてそれまでガラル歴代最強のチャンピオンと謳われた相手でも、例外ではないのでしょうか!?」


観客の歓声を受けながら、マサルはスタジアムの中心を見据えてゆっくりと歩いていく。


ホップ「マサルー!がんばれー!」


ソニア「背番号0って本当にそういう意味でつけたの?」


ホップ「いや?確か白星だから縁起がいいみたいなシンプルな理由だったはずだぞ。」


マスタード「今ユニフォーム黒いけど大丈夫?」
 ▼ 100 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:53:51 ID:FFckCGcQ [6/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデは反対側の控室で、瞑想に耽っていた。


既にどう動くかは決まっている。ダンデには相手がどう選出してくるかを当てる自信があった。


後は持ってきた戦法が通じるか試すだけの状態だった。


ダンデ「……時間か。」


ダンデは試合前に臨むルーティンワークをこなしてから選手入場口に立って、大観衆の待つ光の向こう側を向いた。


凡そ1年ぶりのスタジアムの内側からの景色だ。


この観客の熱狂が、この鼓動の高鳴りが、再び選手としてのダンデを再び燃え上がらせる。


実況「対する前チャンピオンの入場です!背番号1 無敵のチャンピオン ダンデ!」


実況「おっとこれは!チャレンジユニフォームの装いでの登場だ!チャレンジャー側として現チャンピオンに挑むという意思表示でしょうか!?」


観客は一瞬ざわめいた後に、すぐ割れんばかりの歓声をダンデに送った。
 ▼ 101 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:55:13 ID:FFckCGcQ [7/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニア「えー何年ぶり?あれ着るの。ちょっと感慨深いかも。」


ホップ「確かに初年度でチャンピオンになったからすぐ着なくなったはずだもんな!」


実況「約1年ぶりにシュートスタジアムに、リーグ委員長としてではなく選手として再び舞い戻ってきた!」


実況「スタジアムでの忘れ物はただ1つ!現役時代唯一負けたマサル相手のリベンジだ!」


実況「現状誰も止めることが出来ない絶対王者相手に、帰ってきた"無敵のチャンピオン"は一泡吹かすことが出来るのか!?」




ダンデ「ふう……まるで初心に帰った気持ちだ。新調した甲斐があったな。」


マサル「僕は普段の試合はそっちのユニフォーム着ていますよ。なんだかその方が落ち着くので。」


ダンデ「一応昔着ていたチャレンジユニフォームも見つかったけどな?もう小さくなっていて着ることが出来なかった。」


マサル「ふふっ。それはそうでしょうね。」
 ▼ 102 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:56:04 ID:FFckCGcQ [8/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「……さてマサルくん!いや!ニューチャンピオン!キミのチャンピオンタイムみせてくれ!」


マサル「はい!僕は僕のやり方で!チャンピオンタイムを見せます!」


実況「さあお互いに十分な距離をとって、セットポジションにつきます!マサル vs ダンデ!世紀の一戦が今始まります!」



チャンピオンの マサルは ウーラオスを くりだした!


チャレンジャーの ダンデは ギルガルドを くりだした!


実況「先発を務めるのはマサル側がウーラオス!ダンデ側がギルガルド!」


実況「まずタイプ相性上では、マサル側が有利を取りました!注目の最初の行動はお互いどう出るか?」
 ▼ 103 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:57:35 ID:FFckCGcQ [9/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「マスタード師匠から話を聞いたことがあるか?オレもかつてその修行に挑んだことがあったんだ!」


ダンデ「ダクマを託される所まではいったが、道に迷って塔にたどり着けなかった!」


マサル「師匠から聞いたことがあります!」


ダンデ「そうか!しかしそのウーラオスを、信じたオレのチームで乗り越えて見せるぜ!」




ホップ「そんなことがあったのか……。アニキらしいや!」


ソニア「実際これはマサル側が有利なの?」


マスタード「持ち物次第だねー。ウーラオスのあんこくきょうだでギルガルドの盾の状態から落とせるかもしれない。」


マスタード「でも耐えられてじゃくてんほけん発動からの反撃ってこともあるかもしれないよん。」
 ▼ 104 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:58:10 ID:FFckCGcQ [10/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウーラオスの みがわり!


実況「あーっと!ウーラオス身代わりを張った!ギルガルドの行動は!?」


ブレードフォルム チェンジ!


ギルガルドの アイアンヘッド!


ウーラオスにかわって みがわりが こうげきを うけた!


ウーラオスの みがわりは きえてしまった……!



実況「ギルガルド!しっかり攻撃していました!もし交代していればマサル側の大きなアドバンテージに繋がっていたことでしょう!」


実況「これはウーラオスが一方的に身代わり分の体力を失う形となりました!」
 ▼ 105 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 00:59:16 ID:FFckCGcQ [11/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「アドバンテージは取ったけど、まだ有利なのはマサル側だな。」


ソニア「でもここからキングシールドの択になるんじゃないの?」


マスタード「いや ウーラオスの特性はふかしのこぶし。今からキングシールドしてもガードできないよん!」


ウーラオスの あんこくきょうだ!


こうかは ばつぐんだ!


実況「ウーラオスの必ず急所を捉える一撃が、抜身の状態のギルガルドに突き刺さる!」


実況「これはひとたまりもないか?いや!?」


ギルガルドは きあいのタスキで もちこたえた!


ギルガルドの アイアンヘッド!


実況「なんとギルガルドが持っていたのはきあいのタスキ!返す鋼鉄の頭突きでウーラオスに反撃も……!」



実況「ウーラオスなんとか耐えます!戦闘不能には至りません!」


ギルガルドの予想外のアイテムと、ギリギリの攻防でスタジアムの観客は大いに沸き立った。
 ▼ 106 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:00:31 ID:FFckCGcQ [12/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マスタード「ありゃまー!タスキを持たせていたのかー!」


ソニア「だから最初にアイアンヘッドで攻撃側に転じれたのね。」



実況「ウーラオス・ギルガルド両者息も絶え絶えの状態!先に後一撃を入れるのはどちらになるか!」


実況「ギルガルド!いつのまにか自分の影をウーラオスの背後に伸ばしている!」


ウーラオスの ふいうち! 


こうかは ばつぐんだ!


ギルガルドは たおれた!


実況「しかしウーラオス!背後からの奇襲に反応し先にとどめの一撃を与えた!ギルガルド戦闘不能!」


実況「マサルここまで見えていた!今年瀕死になったポケモンのゼロ更新は続きます!」
 ▼ 107 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:01:00 ID:FFckCGcQ [13/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ホップ「惜しい!……いやどっちも応援してるんだけどさ!」


ソニア「でも殆ど互角の勝負よ!」


マスタード「この大舞台でウーラオスの活躍が見れるなんて感激だよん!」


ダンデ「流石にやるな!」


マサル「驚かされましたけど、負けません!」


ダンデ「だが勝負はまだこれからだぜ!」


チャレンジャーの ダンデは ガマゲロゲを くりだした!
 ▼ 108 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:01:54 ID:FFckCGcQ [14/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「(ガマゲロゲ……。まさか!?)」


マサル「(考慮はしていたけど本当にやるのか!?)



ソニア「へー!ガマゲロゲ出すんだ!ダンデくんの中だとあまり印象がないポケモンだったけど……。」


ホップ「マスタードさん……これってそういうことだよね?」


マスタード「……そうだねー。ダンデちん相当思い切ったこと考えたねー!」


実況「ダンデ側の次鋒はなんとガマゲロゲ!去年のチャンピオンマッチの時はドサイドンだった枠ですが、この舞台でまさかの大抜擢だ!」


実況「果たしてどんな活躍を見せてくれるのか!?」


ダンデ「ガマゲロゲ!ダイマックス タイムだ!」


ダンデは一度ガマゲロゲを戻し、巨大化したボールをスタジアムに投じた!


呼び出された巨大なガマゲロゲが、ウーラオスを不敵な笑みを浮かべながら見下ろす。
 ▼ 109 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:02:42 ID:FFckCGcQ [15/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「なんと!ダンデがダイマックスを託したのは、エースリザードンでもなく、ゴリランダーでもなく、ドラパルトでもない!ガマゲロゲだ!」


観客席にどよめきが広がる。


選手時代のダンデは、兼ねてからキョダイマックスリザードンで戦局を変えてきたことで知られている。


それがスタメンにもいなかったガマゲロゲに託されたというのだから驚きだ。


ウーラオスの あんこくきょうだ!


実況「ウーラオス!自分の何倍も大きい相手に果敢に殴り掛かります!」


実況「しかしダイマックスしたガマゲロゲは少しのけぞるも、致命打には至りません!」


ガマゲロゲの ダイストリーム!


ウーラオスは たおれた!
 ▼ 110 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:04:43 ID:FFckCGcQ [16/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「ガマゲロゲが呼び出した激流に押し流され、ウーラオス戦闘不能!」


実況「ここにきてチャンピオンになってから初めての瀕死を出した!手持ちの残りはお互い2-2!完全に五分の展開で試合が進んでいます!」


実況「強力なダイマックス攻撃の余波でスタジアムには雨が降り出しました!スタジアムでの観戦中には傘をさすことはできませんのでご了承ください!」


ガマゲロゲの登場に関しては、予想外の選出とリザードンの活躍を期待していた者の中で、どちらかというと困惑の声が多かった。


しかし久々に現在君臨する絶対王者から、1匹瀕死にさせたということで会場のボルテージは上昇した。



ソニア「でも実際どうなの?ガマゲロゲって?」


ホップ「言われてみればマサル側からフシギバナが出てこなかったらいい感じなんだよな!」


マスタード「特性すいすいならなかなか止まらなさそうだねー。パワーウィップでも持ってたらインテレオンでも有利だよん!」
 ▼ 111 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:05:34 ID:FFckCGcQ [17/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「(まずいな……。フシギバナを連れてこなかった……。)」


マサル「(残り2匹……相性上はどちらも不安を抱えるけど……。)」


マサル「頼んだぞ!ムゲンダイナ!」


チャンピオンの マサルは ムゲンダイナを くりだした!


実況「出ました!チャンピオンマサルのムゲンダイナ!」


実況「もはやガラルに災禍をもたらす存在としてではなく、対戦相手に災禍をもたらす存在として知られていることでしょう!」


実況「そして勿論ダンデを倒し、チャンピオンの座を奪ったポケモンとしても有名です!」


ダンデ「やっぱり出してきたか!むしろ感謝する!オレは……このムゲンダイナを超えたかったんだ!」


ガマゲロゲの ダイアース!
 ▼ 112 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:06:35 ID:FFckCGcQ [18/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こうかは ばつぐんだ!


実況「巨大な体躯を活かした地面からの急襲がムゲンダイナに直撃!……砂埃で様子が見えない!ムゲンダイナは耐えられるのか!?」


実況「……耐えています!ムゲンダイナあまりにも強固!コアが妖しく光っています!」


ムゲンダイナの ダイマックスほう!


実況「ゼロ距離からのムゲンダイナのダイマックスほうがガマゲロゲに炸裂!」


実況「ダイマックスほうはダイマックス状態のポケモンには2倍の特効ダメージが入る技です!」


実況「これにはひとたまりも……いや!ガマゲロゲ依然としてダイマックス状態でフィールドに聳え立っています!!何という攻防の応酬だ!」
 ▼ 113 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:07:56 ID:FFckCGcQ [19/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
他のトレーナー相手なら致命に繋がる一撃を放つごとに、「おおっ!」とスタジアム全体がうねる。


決まったかと思いきや、攻撃を受けた側が即座に重い反撃を与える。


観客が望んでいた「どっちが勝つんだ?」という試合展開に、このエキシビジョンマッチは間違いなくなっていた。



ソニア「すごいよ!あのダイマックスほうで大体のポケモン倒してたから一撃技だと思ってた!」


ホップ「……そうか!先にダイアース打てたからか!」


マスタード「多分そのとくぼうアップ分で何とか耐えたねー!それにしてもかなり鍛えてないと耐えられないと思うよん!」
 ▼ 114 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:08:35 ID:FFckCGcQ [20/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「どんなに強いポケモンが相手でもやることは変わらない!」


ダンデ「効果バツグンを狙い、勝利をたぐりよせる!」


ガマゲロゲの ダイアース!


実況「ムゲンダイナが攻撃に移行する前に、再びガマゲロゲのダイアースだ!」


ムゲンダイナは たおれた!


実況「ムゲンダイナ戦闘不能!ムゲンダイナ戦闘不能!!」


実況「チャレンジャーダンデ!自らの悪夢の象徴をその手で振り払いました!ガマゲロゲ、鬼神の如き大立ち回り!」
 ▼ 115 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:09:32 ID:FFckCGcQ [21/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「しかしここでガマゲロゲがダイマックス状態から元に戻ります。」


実況「両者の残りポケモン数はチャンピオン側が残り1匹!チャレンジャー側が残り2匹!」


実況「まさかまさかのチャンピオン!マサルがリードを奪われる展開です!」


実況「しかしチャンピオン側はまだダイマックスを使用していません!最後に望みを託すポケモンは誰だ!?」



ダンデを応援する人の中でも、かなりの人数がチャンピオンの圧勝を予想していたことだろう。


しかし、大半の予想を裏切り先に追い詰めたのはダンデの方だ。


マサルはチャレンジャー時代を通しても、ポケモンの手持ち数でリードを奪われたことが一度もなかった。
 ▼ 116 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:10:02 ID:FFckCGcQ [22/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
観客の声援は一際大きいものになり、熱気は最高潮に達した!


マサル「(不思議な気分だ……。負けてしまうかもしれないのに、今この瞬間が今まで戦ってきて一番楽しい!)」


マサル「(でも……絶対に負けたくないって気持ちも今までの中で一番強い!)」


マサル「ダンデさん!流石としか形容しようがありません!」


ダンデ「オレの勝ちたい気持ちは今全力で伝えている!マサルもこんなもんじゃないだろ!」


マサル「はい!僕、絶対にただの一回も負けたくないです!!」


チャンピオンの マサルは インテレオンを くりだした!
 ▼ 117 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:11:25 ID:FFckCGcQ [23/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「チャンピオン側最後の一匹はインテレオン!マサルを最初期から支えてきた相棒が、マサル未曾有の窮地を救うのか!?」


ダンデ「やはり最後はインテレオンか!来い!」


マサル「インテレオン!一緒に勝とう!キョダイマックス!」


マサルは一度インテレオンを戻し、巨大化したボールをスタジアムに投じた!


インテレオンの体自体は大きくならなかったが、その尻尾だけが異様に長く伸びた。


長い尻尾を垂直に立てて、テーブル状に巻いた根元部分に胴体を座らせる事によって、高所から獲物を見下ろし人差し指に携えたライフルを構える姿勢が取れている。


実況「これはなんだ!?去年チャンピオンマッチで猛威を振るったダイマックスインテレオンとはまた違った姿だ!?」


実況「これがエース インテレオンのキョダイマックスの姿なのか!?」


観客たちはまた新たな逆転の予感を察知し、感情を抑えきれず思い思いに叫んだ。



マスタード「うふふ!今日は集大成が見れて幸せだねー!」


ソニア「あれは……やっぱりマサルがヨロイ島で習得したのですか?」


マスタード「そうだよん!修行の結果身についたダイマックスを超えたキョダイマックス!それがあの姿なのねん!」


ホップ「すごいぞ……!今まで見たことがなかった!」
 ▼ 118 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:11:57 ID:FFckCGcQ [24/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデ「君のインテレオンもキョダイマックスを会得していたんだな!いや!今まで使う機会がなかったのか!」


ダンデ「だが初陣は飾らせないぜ!出てくることは織り込み済みだ!」


ガマゲロゲの パワーウィップ!


こうかは ばつぐんだ!


実況「ガマゲロゲ!見た目にそぐわぬ俊敏な身のこなしで、ツタを激しく振るいます!キョダイマックスインテレオンに直撃!」


実況「しっぽが大きくぐらついたが、何とか持ちこたえた!」


インテレオンの ダイジェット!


実況「素早く動き回るガマゲロゲを竜巻が捉えて切り裂く!ここまでのダメージが響いたか!ついにガマゲロゲは戦闘不能!」
 ▼ 119 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:12:48 ID:FFckCGcQ [25/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実況「誰が予想したでしょう!?残りポケモンはお互い1-1!まさに一進一退の勝負が繰り広げられています!」


実況「チャレンジャーダンデが最後に託すポケモンは誰だ!?」


ダンデ「最後はお前の出番だ!ドラパルト!」


実況「チャレンジャー側の最後のポケモンはドラパルトだ!」




―――勝負は実況が追いつく間もなく、刹那の間に決まった。
 ▼ 120 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:13:51 ID:FFckCGcQ [26/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデのドラパルトはボール出てきた瞬間に、弱ったインテレオンに向かって2体のドラメシアを射出していた。


マサルは予め最後に出てくるポケモンを予測していて、ダンデのボールからドラパルトが出てきた時点で、最後の大技の指示を送っていた。


マサル「勝利を狙えインテレオン!キョダイソゲキ!」


マサルが銃の形を指で作ってドラパルトを指さしたと同時に、インテレオンは右一指し指に纏わせたライフルから細い水鉄砲が放たれた。


マッハのスピードで飛来するドラメシアに対し、インテレオンが射出する水鉄砲の弾速はマッハ7。


放たれた超高速の水鉄砲はドラメシア2体を貫き、本体のドラパルトに達した。


周りには依然ガマゲロゲが降らした雨が残っていて、インテレオンの特性げきりゅう発動状態でのキョダイマックス技。


耐えられる道理もなく、ドラパルトはスタジアムのコートに倒れた。
 ▼ 121 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:14:59 ID:FFckCGcQ [27/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
勝敗が決した瞬間、あまりにも高速で展開されたラストシーンのやり取りで、スタジアム全体が事態を飲み込むまでに少し時間を要した。


ホップ「マサルが……勝った!」


そして勝者が決まったことを理解してから、次々にぽつぽつと観客は言葉にならない叫びをあげ、スタジアムは一つの生き物のように脈動した。





実況「き……き……決まったーッ!!!!最後はまるでガンマン同士の刹那の早撃ち!先に撃ち抜いたのはキョダイマックスインテレオンだ!!」


実況「この瞬間勝敗が決まりました!エキシビションマッチに勝利したのはチャンピオン マサル!」


実況「初めて劣勢に立たされながらも見事な逆転劇でした!」


実況「チャレンジャー側のダンデも一時はリードし、ほんの僅かな差まで迫っていました!両者にもう一度盛大な拍手をお願いします!!」



インテレオンはキョダイマックス状態から元に戻った瞬間、マサルに熱く抱擁された。


マサル「インテレオン!君ほんとにすごいよ!よく頑張った!」


インテレオンは労いの言葉をかけられながらも、やれやれといった表情で顔を背けていた。


しかし心の内で最後は自分の力でマサルを勝利に導いたことを誇りに思っていた。
 ▼ 122 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:15:59 ID:FFckCGcQ [28/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダンデはしばらく天を仰いでから、戦闘不能になったドラパルトをボールに戻し「よくやったな。」と声をかけて、マサルの元に歩み寄った。


ダンデ「サンキュー!ニューチャンピオン!キミとの真剣勝負はいまなおオレを育ててくれる!」


ダンデはマサルに右手を差し出し、握手を求めた。


マサル「こちらこそ対戦ありがとうございました!僕もこの勝負でより強くなれた気がします!」


マサルが固く握手に応じた瞬間、今まで試合に入り込んでいて、聞こえてこなかった観客の声に初めて気が付いた。



スタンドを見ると、若いファンが興奮してはねながら、友達と叫びあう姿。


家族連れの子供が父親の頭の上で手をたたく姿。


マサルのことを応援する大きなプラカードを掲げた観客。


最前列で観戦に来ていたホップ、ソニア、マスタード。


スタンドにいる誰もがマサルの名前を呼んでいた。


マサルは何度も何度も飛び跳ねて、何度も何度もガラにもなく吠えた。
 ▼ 123 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:17:08 ID:FFckCGcQ [29/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エキシビションマッチは公式戦ですらない。


しかしマサルは、今の座を勝ち取ったチャンピオンマッチの時よりも更に何倍も満ち足りた気持ちになっていた。



熱狂の中、試合後のインタビューは直ぐにそのスタジアム上で行われた。


インタビュアー「私が見てきた中で最も興奮した素晴らしい戦いでした!」


インタビュアー「まずはチャレンジャー側のダンデさんに今のお気持ち伺ってもよいでしょうか?」


ダンデ「惜しくも届かなかったが、自分が今持てる全てをぶつけることが出来た!」


ダンデ「清々しい気持ちだ。間違いなく挑んでよかったと言い切れる!」


インタビュアー「ここに来た全員が同じ気持ちだと思います!」


インタビュアー「続いて、チャンピオン側のマサルさんに今のお気持ち伺ってもよいでしょうか?」


マサル「純粋に今までの試合で一番楽しかったです。僕も全てを出し切りました。」
 ▼ 124 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:17:56 ID:FFckCGcQ [30/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
インタビュアー「ありがとうございます!今回は6匹の中から事前に3匹選ぶという特殊な形式でしたが、出てくるポケモンは予想通りでしたか?」


ダンデ「順番はともかく3匹の予想はついていた。」


ダンデ「ウーラオスはオレとマサルで共通の師匠ゆかりのポケモン。ムゲンダイナとインテレオンは、去年のチャンピオンマッチでオレを倒したポケモン。」


ダンデ「チャンピオンらしく、チャレンジャーを試す気持ちがあったんじゃないか?」


インタビュアー「どうでしょう?マサルさん?」


マサル「えーっと……とてもそんな傲慢なことは出来ないですけど、自然に組んだらそうなって自分でもびっくりしたんですよね……。」


マサル「でも一度ダンデさんに勝っていい印象があるポケモンっていうのは最後の決め手になりました。」
 ▼ 125 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:19:33 ID:FFckCGcQ [31/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
インタビュアー「予想外でいえば、マサルさんはダンデさんの選出が意外だったのではないでしょうか?」


マサル「可能性を排していたわけではないですけど、すごく驚きました。」


マサル「確かにガマゲロゲが怖いなと警戒はしていました。」


マサル「やはりリザードンが象徴的な存在だと思っているので、他のポケモンを主軸に据えるのは本当に悩み抜いた上で勝ちに来ているんだと感じて嬉しかったです。」


ダンデ「オレはチームメンバーの手持ち6体全員がエースだと思っているぜ。リザードン出さない選択を取るのは勇気が必要だったけどな!」


マサル「そう。実際全員が脅威なんです。」


マサル「ガマゲロゲにダイマックス使った時点で最後にリザードンの線は薄いなって予想して、ラスト1匹はゴリランダー以外なら勝てそうな選択肢を取っていました。」
 ▼ 126 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:20:33 ID:FFckCGcQ [32/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
インタビュアー「見事な戦術でした!最後にお二人から何かあればお願いします!」


ダンデ「正直にいって最初はオレもマサルといい勝負になるか不安があった。」


ダンデ「リーグ委員長になった時点で再戦することになるとも思ってなかったからな。」


ダンデ「わずかに届かなかったが、それでも現役の頃よりずっといい試合ができた。」


ダンデ「今日の試合で決めた!オレはこのポストにいながらでも、いつかはマサルがチャンピオンのうちに試合で勝つ!」


ダンデの大胆な宣言に、スタジアムは大いに沸いた。


ダンデ「だからチャンピオンに挑む全てのトレーナーは諦めるな!自分に限界を作るな!」


ダンデ「本当は勝って宣言したかったが、それは次の機会にするぜ!今日はみんな見に来てくれてサンキュー!また会う日まで!」


挑戦を諦めないダンデの姿を、無数の歓声が後押しした。
 ▼ 127 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:21:41 ID:FFckCGcQ [33/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサル「……僕はこの試合が終わった後、チャンピオンを辞めようかと思っていました。」


マサル「勝っている中でも色々思い通りにならないことがあって、それが辛くて……。」


マサル「でも今日のエキシビジョンマッチを経て、こんなに楽しい試合が出来るのに辞めるのは勿体ないなと思いました。」


マサル「それにこんなに……沢山の人に応援されて……。」


観客席から自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、マサルは堪えきれずに嗚咽した。


マサル「ごめんなさい……。そういえば僕……最近一つの夢が出来ました。」


マサル「ガラルのトレーナーを……僕と同じレベルに引き上げるという夢です……。」


マサル「ダンデさんの夢と被っちゃいますけど……もし実現したら、結果的に観客を熱くさせる試合が増えるはずです。」


ダンデ「やっぱこの座につくとみんなそう思うものなのだな。」


マサル「そのためには援助を惜しみません!強くなりたい人がいたら遠慮せず僕に声をかけてください!」


マサル「なんか……宣伝みたいになっちゃいましたけど……本日はお集まりいただきありがとうございました!」


マサル「これからも応援してくれる観客のため、みんなで強くなっていきましょう!」


チャンピオンとして新たな夢を掲げたマサルに、観客席は再び爆発した。
 ▼ 128 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:22:09 ID:FFckCGcQ [34/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ソニアはマサルが勝利して声援を受けていた時から、ずっと号泣していた。


誰もが認める熱戦を繰り広げたことで、観客がマサルを温かく迎えたことに対して涙を浮かべていた。


ホップ「歳取ると……涙脆くなるらしいぞ……!」


ソニア「うるさいわね……あんただって大泣きしてるじゃない……。」


ホップ「オレはいいんだよ……。ライバルとアニキがこんなにすごい試合したんだから……。」


マスタード「ワシちゃんは年寄りだけど泣いてないもんねー!」


マスタード「……でも本当に、こんな素晴らしい弟子を持てて、ワシちゃんもハッピーちゃん!」


試合が終わってからもしばらくの間、スタジアムは歓喜の海と化し、熱狂が夜空に響き渡った。
 ▼ 129 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:28:02 ID:FFckCGcQ [35/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
―――エンジンシティ


たんぱんこぞう ゲン「ヨクバリス!じゃれつく!」


スクールガール エミ「ああっ!ゴロンダが!……あたしの負けかぁ。」


たんぱんこぞう ゲン「へへっ!俺の勝ち!まあ一応俺もうチャンピオンに挑んでいるレベルだからな!」


マサル「うん!いい試合だった!お互いに上手い所があったね。」


スクールガール エミ「ねえねえ!どの辺りであたし間違えたの?教えて!」


マサル「じゃあみんなと今の試合振り返って考えてみようか。」


スクールボーイ・ミニスカート「「はーい!」」
 ▼ 130 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:28:31 ID:FFckCGcQ [36/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
たんぱんこぞう ゲン「あっ!反省する所早速あった!俺最後試合決める時、相手のポケモン指させばよかったー!」


マサル「……何それ?」


たんぱんこぞう ゲン「チャンピオンこの前やってたでしょ!インテレオンでドラパルト撃ち抜いた時のあれ!」


マサル「……僕そんなポーズ取っていたかな?集中していたから覚えてないかも。」


たんぱんこぞう ゲン「みんなも見たよな?こうやって銃のポーズ指で作るやつ!」


一同「やってたー!」


マサル「えーっと……本当に僕がやっていたみたいで悪いけど、失礼だからあまりやらないようにね。」
 ▼ 131 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:29:35 ID:FFckCGcQ [37/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……エキシビジョンマッチから僕は、宣言通りポケモンバトルに夢中なトレーナー達に、技術と楽しさを教えるため、ガラル中を回っている。



ゲン君は自信を失って一時期はポケモンバトルを辞めていたようだけど、僕とダンデさんの試合を見て、より一層強くなりたいという気持ちで帰ってきてくれた。



戻ってきたゲン君は勿論、あの試合をきっかけに新規にポケモンバトルに打ち込んでみようと思う人がいたなら、スタジアムで戦う者として冥利に尽きる。



僕はガラル地方全体のポケモンバトルのレベルを上げて、どの試合を見ても観客が魅了されるような所まで質を高めたい。



他のトレーナーが強くなることは、結果的に競技全体に取っていいことだとダンデさんに気づかされた。
 ▼ 132 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:30:09 ID:FFckCGcQ [38/39] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もしかしたら今教えている子達の中から、僕を越えるチャンピオンが生まれるかもしれない。


そうでなくともいつか僕は、より強い誰かからチャンピオンの座を奪われるかもしれない。


簡単に譲るつもりはないけど、僕に代わる将来のチャンピオンにも、これからの競技シーンを自分なりに考えられる人間になってほしい。


ダンデさんから僕、僕から未来のチャンピオン。


観客を熱狂させるようなチャンピオンタイムは連綿と受け継がれていくんだ。


チャンピオン タイム イズ ネバー エンディング。
 ▼ 133 3tees◆BQYS6iijv6 25/09/15 01:39:19 ID:FFckCGcQ [39/39] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こちらへの投稿作品です。

【SS企画】ポケモンBBS ファイナルラストSS企画 【9/27〆切】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2381088

時に結果は残酷で、時に観客は傲慢で、それでも競技の世界は本気で勝ちたい人がいる限り終わらずに続いていくって話をしたかった。
 ▼ 134 ウマ@クチートナイト 25/09/16 18:34:20 ID:kU6gNc7A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

剣盾環境で実際に強かったガマゲロゲが活躍してたのが良かった
 ▼ 135 ソクムシャ@ホースラディッシュ 25/09/16 18:40:12 ID:Yje62hzo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

マサルが強くてかっこよくて活躍してたのが良かった
 ▼ 136 ゲキ@ミミズズのさび 25/09/16 18:42:22 ID:lzK61XG. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

強くてかっこいいマサルが見れてよかった
 ▼ 137 ネルミナモ@ホエルコじょうろ 25/09/16 18:48:01 ID:RilkJ4e6 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シングル63にする意味を持たせられていたのが珍しい
 ▼ 138 リジオンの人◆QhqpxfPSAI 25/10/07 21:16:38 ID:UKNwn72Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
素晴らしいSSをありがとう
 ▼ 139 ッキング@いわのジュエル 25/10/07 22:00:37 ID:msk6oYic NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やはりガラルチャンピオンはマサルのほうが似合うな
 ▼ 140 ラブルタケ@ポイントカード 25/10/07 22:15:31 ID:n88Y79zo NGネーム登録 NGID登録 報告
>>135
>>136
>>139
マサル神社乙
 ▼ 141 ッポウオ@マメバッタのツメ 25/10/12 09:43:44 ID:UiBYVtDo NGネーム登録 NGID登録 報告
SSの筋書きはいいのに>>135>>136>>139みたいなのがいると萎える
多分この人らマサル本人の活躍はおろか筋書きすらまともに把握してなそう、何ならマサルがかっこいいという概念だけ理解したら他どうでも良さそう
 ▼ 142 マンボウ@せいしんのもち 25/10/12 10:28:10 ID:SAjgvGHU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今さら上げられてて何だろうと思ったら…
 ▼ 143 3tees◆BQYS6iijv6 25/10/15 22:20:26 ID:zFYYcFyw NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ファイナルラストSS企画で1位頂戴し、誠に光栄に思います。投票いただいた方、読んでくださった方本当にありがとうございました!

ここ2ヶ月で他の3作含めて全て出し切ったつもりではありますが、きっとZAが出たら何かを書きたくなるんでしょうね。

SS タイム イズ ネバーエンディング!
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