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【SS】モノズ「長い前髪で前が見えねぇ」サーナイト「愛されたいならそう言おうぜ」

 ▼ 1 5oP7VYU6fg 25/09/27 14:52:29 ID:1sYwOuts [1/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

モノズ「いつも通りのとおり独り、こんな日々もはや懲り懲り♪」

サーナイト「……。」

モノズ「もうどこにも行けやしないのに、夢見ておやすみ♪」

サーナイト「…………。」

モノズ「パーパーパラッパッパッパッ♪」

サーナイト「だー!うるさいです!隣でずっとLOSER歌うのやめてくれます!?」

モノズ「夢ならばどれほど良かったでしょう♪」

サーナイト「別の曲なら良いとかじゃないです!」

 ▼ 2 5oP7VYU6fg 25/09/27 14:54:05 ID:1sYwOuts [2/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

サーナイト「というかこのSS、著作権的に大丈夫なんでしょうか?」

モノズ「こんなボロ布被ったガキが住んでそうな掲示板に、JASRACと米津玄師がこんにちはするわけねぇだろ」

サーナイト「なんてこと言うんですか」

モノズ「あとそれ言うならポケモンSSがまず権利違反だろ」

サーナイト「いちおう、参加予定の企画ではコラボNGなのですけど」

モノズ「大丈夫。コラボって言わねぇよこれは」

サーナイト「それもそうかぁ……」

 ▼ 3 5oP7VYU6fg 25/09/27 14:56:03 ID:1sYwOuts [3/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

サーナイトと俺が出会ったのは1か月前、街を歩いていた時のことだ。俺は最強のドラゴンタイプ、誰にも俺の歩みを阻むことは出来ない。


モノズ「いつも通りのとおり独り、こんな日々もはや懲り懲り〜♪」

スタスタスタスタ…… ゴンッ!!

モノズ「いてっ!」

モノズ「テメェどこ見て歩いてんだ!?」

モノズ「……なんだ、電柱か。驚かせやがって」


スタスタスタスタ……ゴンッ!


モノズ「いてっ!」

モノズ「どこ見て歩いてんだ!? なんだ電柱か」

モノズ「クソッ……長い前髪で前が見えねぇぜ……」

 ▼ 4 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:05:08 ID:1sYwOuts [4/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

サーナイト「あのぉー」

モノズ「ギャアーッ!なんだッ!?」

サーナイト「きゃああっ!? 」

サーナイト「ごめんなさい。そんなビックリするとは思ってなくて」

モノズ「は!? ビビってねーよ! なに心配してんだコラッ!」

サーナイト「……そっちには誰もいませんよ」

モノズ「クソっ!いつの間に後ろに!」

サーナイト「うふふふっ」

モノズ「な、なに笑ってんだァ!?」

サーナイト「面白いポケモンですね。」

モノズ「なっ!?///」ドキッ///

 ▼ 5 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:05:34 ID:1sYwOuts [5/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

サーナイト「上手く歩けてなかったみたいなので。大丈夫かなって」

モノズ「心配はいらねぇ。俺は最強のドラゴンだからな。オマエ誰だ? 名前は?」

サーナイト「私は、サーナイトです」

モノズ「えっ!? サーナイトって、あの!?」

サーナイト「はい。どうかされましたか?」

モノズ「いや……なんでもねぇよ……///」


サーナイトといえば、美しいメスポケモンとして街のポケモンたちの憧れの的だ。俺はべつに興味なかったがな。そんな奴が俺になんの用だ?

 ▼ 6 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:06:01 ID:1sYwOuts [6/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

サーナイト「へえ〜! モノズさんも米津玄師さん好きなんですか! いいですよね!」

モノズ「ああ、まあ。いいよな……」

モノズ(なんだコイツ。なんで俺に構ってくるんだ?)

サーナイト「そうだっ。今度新発売するCD、一緒に買いに行きませんか?」

モノズ「べ、べつにいーけど……」

サーナイト「やった! 出かけましょう砂漠を抜けて!」

モノズ「いったいどこに行くつもりだよ」

 ▼ 7 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:07:09 ID:1sYwOuts [7/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

スタスタスタスタ……ゴンッ!

モノズ「イテッ!」

サーナイト「大丈夫ですか?」

モノズ「長い前髪で前が見えねぇんだよ」

サーナイト「それ好きですね」

サーナイト「じゃあ私が引っ張ってあげますよ」

モノズ「引っ張るってなんだよ」

サーナイト「首に紐を結ぶのはどうでしょう!」

モノズ「え、ええ……?」


・・・。


モノズ「あのさァ。コレならたしかにぶつかりはしねぇけど、なんかおかしくねぇ?」

サーナイト「ふふっ。そんなことありませんよ」


モブ「見ろよあれ。首にひも繋いで歩いてるぞ」

モブ「ペットの散歩……?」

モブ「クスクス……」


モノズ「やっぱ笑われてんじゃねぇか!」

サーナイト「よく気づきましたね」

モノズ「俺は人を疑えない馬鹿じゃないからな」

サーナイト「信じられる心があったんですね……」

 ▼ 8 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:08:53 ID:1sYwOuts [8/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

チリンチリンッ!
ドアを開けると入口の上のベルが音を立てる。


店員「ありがとうございましたー」

サーナイト「やった! 買えましたね!」

サーナイト「でもわたしチェーンソーマン見てないんですよね」

モノズ「"チェンソー"だ! 二度と間違えるな!」

サーナイト「すいません……ふふ」

モノズ「何がおかしいんだよ?」

サーナイト「私こうして誰かと買い物に行くの、初めてなんです」

モノズ「はあ? 嘘つくなよ。サーナイトサンはみんなの人気者だろ?」

サーナイト「そんなことないですよ。このCDは宝物にしますね!」

モノズ「そうかよ……」

モノズ(嬉しそうな声出しやがって、なんかやりづれぇなぁ)

モノズ「それじゃあ俺は帰るよ」

サーナイト「はい! ありがとうございました!」

 ▼ 9 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:53:09 ID:1sYwOuts [9/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

── 数日後


タツベイ「おい見ろよ。盲目モノズがいるぞ」

キバゴ「ホントだ。そうだいいこと考えた〜」


スタスタスタスタッ…ガッ!!

モノズ「うおッ!?!?」


ドシャァァーッ!!

足に何かが引っかかって、街中でズッコケてしまった。


タツベイ「ぎゃはは!」

キバゴ「引っかかった引っかかった!」

モノズ「テメェらぁ…一体なんのつもりだ?」


キバゴ「べつに何もしてないけどー? 石にでも躓いたんじゃない?」

タツベイ「ドラゴンタイプのくせに目が見えない奴が、無理して街を歩いてるからそうなるんだよ」

モノズ「コノヤロォ……! ぶっコロしてやる! りゅうのいぶき!」

ドォン!!

キバゴ「ハズレ〜! どこ向けてうってんの?」

タツベイ「ギャハハハハ!」

モノズ「く、くそッ!」


サーナイト「コラー!やめなさい!」

 ▼ 10 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:54:07 ID:1sYwOuts [10/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

タツベイ「げっ!なんだアイツ!」

キバゴ「逃げろぉ〜!!!」

サーナイト「コラ! 待ちなさい!」


モノズ「……サーナイトか」

サーナイト「大丈夫ですか?」

モノズ「あいつらお前を見て逃げていったのか?」

サーナイト「きっとフェアリータイプの私が怖かったんだと思います。」

モノズ「チッ、来なくてよかったのに……」

サーナイト「なんてこと言うんですか! あのままだと、もっと酷い目にあってたかもしれませんよ!」

モノズ「クソダセー……あんなところ見られるくらいなら、死んだほうがマシだ」

サーナイト「そんなこと……」


モノズ「俺はドラゴンタイプなのに目が見えなくて、鈍くせーから、ああやってバカにしてくるやつがいるんだ」

サーナイト「そうだったんですね」

モノズ「いっつもオラついてんのにこんなとこ見られて、カッコわりぃ……」

サーナイト「そんなことないですよ。だって彼らと違って、私を怖がらなかったじゃないですか」

モノズ「……」

サーナイト「ぜんぜんカッコ悪くなんかないですよ」

モノズ「チッ。そういう慰めとかいらねェんだよ!」

サーナイト「うふふっ」

 ▼ 11 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:54:29 ID:1sYwOuts [11/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


── 数日後


サーナイト「こんにちはー。モノズさん?」

モノズ「くかー……」

サーナイト「寝てる。ふふっ」


サーナイト「モノズさん、こんなにCD持ってたんですね。プレイヤーも色々あるし。本当に音楽が好きなんだなぁ」

サーナイト「……ちょっとくらい聞いちゃってもいいですよね」

『〜♪』


眠っていておぼろげな俺の意識に、聞き覚えのある歌詞と美しい声が流れ込んできた。


サーナイト「あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに 当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ♪」

サーナイト「いま痛いくらい幸せな思い出が いつかくるお別れを育てて歩く♪」

サーナイト「あなたに私の想いがぜんぶ伝わってほしいのに♪」

サーナイト「誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ♪」

モノズ「……」

 ▼ 12 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:55:11 ID:1sYwOuts [12/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サーナイト「あなたが思えば思うより いくつもあたしは意気地ないのに♪」

サーナイト「どうして どうして♪」

モノズ「うーん……」

サーナイト「あっ。起こしちゃいました?」

モノズ「サーナイト、来てたのか」

サーナイト「はい。アイネクライネ良いですよね♪」

モノズ「勝手に家のもの触るなよ……」

サーナイト「すいません……」


サーナイト「音楽好きなんですね」

モノズ「昔からな。目が見えないから……音を聞くのが好きだったんだよ」

サーナイト「へえ〜」

モノズ「お前の声も、綺麗で良い声だよな」

サーナイト「ええっ!? そんなことっ!?」

サーナイト「急に言わないでくださいよ……///」

モノズ「ンだよ! 照れられたら、こっちの方が恥ずかしくなるだろ!」

サーナイト「すいません。うふふっ///」


サーナイト「……あのっ、こんど私の家にも来ませんか?」

モノズ「はあっ!? そんな急に……」

サーナイト「音楽関係のものも色々ありますよ。興味ありませんか?」

モノズ「だ、だけどよ……」

 ▼ 13 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:56:19 ID:1sYwOuts [13/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


──── 数日後


サーナイト「そろそろ来る頃ですかね……ソワソワ」

サーナイト「部屋も綺麗にしましたし。お菓子もある。準備は万端!」


── ピンポーン


サーナイト「きたっ!はーい!」

── ガチャッ!
意気揚々とドアを開けるサーナイト、だがドアの前に立っていたのは待ち望んでいた相手ではなかった。


タツベイ「こんにちはぁ〜」

キバゴ「お久しぶりでーす」

サーナイト「ッ!?」


サーナイト「あなたたちはあの時の!?」

タツベイ「この前はよくも邪魔してくれたな、やり返しに来たぞ」

サーナイト「帰ってください!フェアリーの攻撃でやっつけますよ!」

キバゴ「へへ。今回はお前なんか怖くないんだからな! やっちゃってください! 姉さん!」


2匹の間を割って、ひときわ大きなポケモンがゆったりと向かってきた。


ムウマージ「わたしの可愛い子分たちがお世話になったようね? 嫌われ者ちゃん♡」

サーナイト「っ!!」

 ▼ 14 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:57:01 ID:1sYwOuts [14/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


── ドォンッ!!!


サーナイト「イヤ!やめてください!!」

ムウマージ「マジカルフレイム!!」

── ボゥアアアアアアアッ!!

キバゴ「いいぞいいぞ!やっちゃえ〜!」


辺り一帯に火がつき、ごうごうと燃え上がる!
ゴーストタイプのムウマージとエスパータイプのサーナイトはタイプ相性が悪い。暴れ回る悪党を前にどうすることもできなかった。


タツベイ「おい見ろよこれ。CDがいっぱいあるぞ」

サーナイト「やめて!それには触らないで!」


サーナイトが買い集めていた大事なCDを力ずくで奪い取り、見せびらかす。その中には勿論、モノズと一緒に購入したCDも入っていた。そして……。

サーナイト「ダメぇー!!!」

── ガシャァアンッ!!

 ▼ 15 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:57:21 ID:1sYwOuts [15/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サーナイト「ああああ……そんな……」


地面には叩き付けられ、バラバラに砕け散った思い出……。熱気と赤が支配する草原に少女の悲鳴が響いた。

サーナイト「ううっ……! どうしてこんなこと……! ぐすっ……」

タツベイ「ギャハハハハハハハハハ!」

キバゴ「あはははっ!」

ムウマージ「アハハハハっ!」


サーナイト「うわああああああんっ!」


モノズ「やめろぉ! テメェら!!!」


燃え盛る炎の中から、1匹分の影が伸びてサーナイトに重なる。

 ▼ 16 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:58:17 ID:1sYwOuts [16/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ムウマージ「あいつは……」

タツベイ「出たなモノズ!」

サーナイト「モノズさん……!」


モノズ「目が見えなくても何が起きてるのかわかる……。テメェら、許さねェぞ!!!」


そう叫んだ瞬間モノズの体が白く発光した!
身体が形を変え、ふたつの首と黒い翼が大きな輪郭を描いた。


ジヘッド「うおおおおおらあああ!!!!」

サーナイト「モノズさんが……ジヘッドに進化した!?」

ムウマージ「それがなに? まだ目が見えないことには変わりないじゃない」

ジヘッド「見えなくても倒してやるよ! 覚悟しろ!!!」


ジヘッド「"かみくだく"!!!」

ムウマージ「残念!ハズレー!」

ジヘッド「こんのぉ!」

ムウマージ「またハズレ!」


何度攻撃してものらりくらりとかわされてしまう。強くなっても当たらなければ意味が無い。


ムウマージ「あらあら、どうしたのかしら? ぜんぜん当たってないわよ!」

ジヘッド「今度こそ当ててやるよ……かみくだく!」

── ガブゥッ!!!

ムウマージ「ぎゃあああああ!?!?」

ムウマージ「バカな! なんでわかったの!?」

ジヘッド「コレのおかげだよ」

ムウマージ「これは……!?」


ジヘッドの首に結ばれた太い紐が、ムウマージの体にまで繋がっている。


サーナイト「私が結びました!」

 ▼ 17 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:58:49 ID:1sYwOuts [17/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ムウマージ「クソメスが!小癪なマネをぉ!」

タツベイ「大丈夫ッスか!姉さん!?」

キバゴ「今助けます!!」


── ブチブチィッ!!


ジヘッド「紐が引きちぎられた!?」

サーナイト「ジヘッド! 私にドラゴンタイプの攻撃は効かないです! 思いっきり戦ってください!」

ジヘッド「そうかっ!!」

ジヘッド「全員巻き込んでやる! "りゅうのはどう"!!!」


口から放った渾身の光線が、ムウマージたちもろともあたり一帯を吹き飛ばす!


ムウマージ「ぐわああっ!!」

タツベイ「ぎゃああああああっ!!!」

キバゴ「あああああ!!?」


── ドササッ!!

 ▼ 18 5oP7VYU6fg 25/09/27 15:59:37 ID:1sYwOuts [18/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジヘッド「はあ……はあ……やったか……」

ジヘッド「大丈夫かサーナイト!」

サーナイト「はい……! 無事ですよ!家はめちゃくちゃになっちゃいましたけど……」

ジヘッド「最悪だなコイツら。なんとかして弁償させよう」

サーナイト「それより、一緒に買いに行ったCDが粉々に……」

ジヘッド「何だよそんなもん……」

サーナイト「"そんなもん"じゃないです! 大事な思い出なんです!」

ジヘッド「なんでそこまで……じゃあまた一緒に買いに行けばいいだろ?」

サーナイト「はい! ありがとうございます……!」

 ▼ 19 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:00:10 ID:1sYwOuts [19/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サーナイト「ところであの……さっきからふたつの首が一緒に喋っていますよね」

ジヘッド「ああ。俺はジヘッドになったからな」

サーナイト「どっちがどっちか分かりづらくないんでしょうか」

ジヘッド「それもそーだな。よし。呼び方を決めよう。」


ジヘッド1「じゃあ右の俺がジヘッド1。左のお前がジヘッド2だ」

ジヘッド2「あ? なんで俺が2番目なんだよ」

ジヘッド1「決まってるだろ。俺がサーナイトの1番だからだよ」

ジヘッド2「んだとコラ! それを言うなら俺が1番でテメェが2番だ!ぶっ殺すぞ!」

ジヘッド1「オォ!? やるかコラ!?」

サーナイト「私にとっては、どっちも同じなんだけど……」

ジヘッド2「イテッ!? おいテメェぶつかってんじゃねェ!」ガブッ!

ジヘッド1「仕方ねぇだろ前が見えねぇんだから! 噛み付いてくるなコラ!!」ガブガブッ!

サーナイト「もお! 自分同士で喧嘩しないでください!」

 ▼ 20 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:01:12 ID:1sYwOuts [20/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジヘッド「それにしてもサーナイトはみんなに好かれてて、憧れられてるんだと思ってた。そんなことないんだな」

サーナイト「……」


サーナイトは神妙な表情で黙り込んだあと、ゆっくり口を開く。


サーナイト「じつは私、エスパーわざが使えないんです」

ジヘッド「そうなのか?」

サーナイト「そのせいでエスパーポケモンたちに馬鹿にされてしまって」

ジヘッド「お前にも色々あるんだな……」

ジヘッド「俺もさ。目がほとんど見えなくて、みんなに馬鹿にされてばっかりだ」

ジヘッド「いつもオラついて強がってるけど……本当の俺は負け組なんだ」

サーナイト「でも私を助けてくれたじゃないですか」

ジヘッド「あいつらに因縁つけられたのは俺のせいだろ。俺に構わなければこんなことにならなかったのに」

サーナイト「そんなことありません! ジヘッドさんは私のヒーローですよ!」

ジヘッド「……」

 ▼ 21 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:54:22 ID:1sYwOuts [21/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サーナイト「痛たっ」ズキッ

ジヘッド「ん?お前怪我してるじゃねーか」

サーナイト「いえ、全然大したことないですよ」

ジヘッド「オレが薬とってきてやるから。ちょっと待ってろ」

サーナイト「そんな、そこまでしてもらわなくても」

ジヘッド「いいから待ってろって」

サーナイト「はい……」


俺は薬になるきのみを探しに森のなかに入っていった。その時だった。


ジヘッド「きのみ、このへんにあるよな?」

サーナイト「きゃあああ!!!」

ジヘッド「なんだ!?」


サーナイトの甲高い悲鳴が耳に届いた。
さっきの今で、またトラブルが起きたのか?
俺はもう一度サーナイトの家まで走る。

 ▼ 22 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:54:57 ID:1sYwOuts [22/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


家の前ではまたしても見知らぬポケモンが、サーナイトのことを襲っていた。


サーナイト「いやっ!離してください!」

ランドロス「さぁワシと一緒に来い!」

サーナイト「嫌です!いい加減にしてください!いつもいつも私に付きまとってきて!」

ランドロス「なぜ嫌がる。家が壊れたならちょうど良いではないか!ワシは伝説のポケモン。家も大きいぞ!」

サーナイト「いりません!」

ランドロス「おぬしのような醜いメスがこのワシに娶ってもらえるのだ、幸福に思わんか!!」

サーナイト「やめてください! 私にはもう心に決めた相手がいるんです!」

ランドロス「こ、心に決めた相手だと……!? いったい誰のことだ!?」


ジヘッド「オイ! 何やってんだお前ェ!!」

 ▼ 23 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:55:47 ID:1sYwOuts [23/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サーナイト「ジヘッドさん!」

ランドロス「なんだ? こんなガキがおぬしの相手だと言うのか。残念だが彼女はワシが貰っていくぞ」

ジヘッド「そんなことさせねェ! サーナイトを離せ!」

サーナイト「……!!」

ランドロス「……なんだと?」

ジヘッド「サーナイトを離せって言ってんだよ!」

サーナイト「ジヘッドさん……」

ランドロス「……クックックッ」


ランドロス「ハーッハッハッハッハッ!!」


突然の高笑いが響きわたる。……なんで笑うんだ?
このランドロスとかいうポケモンはいったいなんなんだ。


ジヘッド「何がおかしい!」

ランドロス「そうか。そういうことか! 目が見えないんだな! 妙だと思ったよ。醜いおぬしが男に好かれるなんてなぁ」

ジヘッド「どういうことだ……?」

ランドロス「そこのおぬし、ジヘッドと言ったな。ひとつ良いことを教えてやろう!」

ジヘッド「良いことだと……?」

サーナイト「ランドロス! やめて!」



ランドロス「おぬしの前にいるポケモンは、サーナイトではない!」



 ▼ 24 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:56:15 ID:1sYwOuts [24/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジヘッド「……は?」

サーナイト「やめて……!」

ランドロス「おぬしは目が見えないから、彼女の本当の姿を見たことがないのだろう!?」

ランドロス「おぬしはこのメスポケモンに騙されていたのだよ! ずっとな!」

ジヘッド「な、何言ってんだ……?」

ジヘッド「そんなわけねぇだろ! なんで俺を騙す必要があるんだよ!」

ランドロス「信じられないなら、本人に聞いてみればよかろう?」


サーナイト「……」


ジヘッド「サ、サーナイト?」

サーナイト「ごめんなさい……ジヘッドさん……」

ジヘッド「なんでッ、嘘だって言えよ! サーナイト!」

ランドロス「おぬしが大切にしていたガールフレンドはサーナイトではない……おぬしが大切に思っていたサーナイトなど、最初からどこにもいなた!」

ジヘッド「なんだと!?」

ランドロス「もはや、おぬしがコイツにこだわる理由もなかろう。彼女はワシがもらっていくぞ」

サーナイト「あっ、イヤッ! ジヘッドさん!」

ジヘッド「サーナイト……」

サーナイト「……ごめんなさい……」


サーナイトの最後の言葉は消え入るような謝罪だった。空を飛んでどこかへ連れていかれる。俺は何がなんだかわからなくて立ち尽くすしかできなかった。

 ▼ 25 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:57:05 ID:1sYwOuts [25/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
────────


ジヘッド「はあ……」

ジヘッド「どうなってんだよ。サーナイト……」


最初に会ったとき、サーナイトって名乗ったから驚いたんだ。
美しいポケモンとしてみんなに憧れられていた彼女が俺なんかに声をかけてくれるなんて。


ジヘッド「サーナイトじゃないなら、俺と一緒にいたのは一体誰だったんだ……?」


俺は目が見えない。だからずっと頭のなかで彼女の姿を想像していた。サーナイトが笑ったり怒ったりしている顔は、きっと誰から見ても美しくて綺麗なものなんだと思って……。

そうして少しずつ好きになっていった。

サーナイトじゃないっていうなら、彼女はいったい誰なんだ。本当の顔を見ても、俺は同じように思えたんだろうか……。

 ▼ 26 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:57:35 ID:1sYwOuts [26/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


『彼らと違って、私を怖がらなかったじゃないですか』

『カッコ悪くなんかないですよ』

『ジヘッドさんは私のヒーローですよ』


何も無い俺を認めてくれて、本当に嬉しかった。
ずっと嘘ついてたのか?
俺に言ったあの言葉も嘘だったのか……?


ジヘッド「……」


いや……そんなこと考えても仕方ない。このままじゃ納得いかねぇ。会って本人に聞くしかないんだ……!


ジヘッド「もう一度、お前のヒーローになってやるよ……!」


 ▼ 27 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:58:54 ID:1sYwOuts [27/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


スタスタスタスタ……

── ザッ!

ランドロスが飛んでいった森の中を歩く。
道に迷うことも木にぶつかることもなかった。
俺は最強のドラゴンタイプだからな。


ジヘッド「ランドロス!!」

ランドロス「ほう。よくここがわかったな」

ジヘッド「サーナイトはどこだ!」

ランドロス「何度も言ってるだろう。サーナイトではない」

ジヘッド「どっちでもいい! 彼女を解放しろ!」

ランドロス「メスを取り合うのに理屈は不要じゃ。オスならオスらしく力を示し、ワシを倒してみせんか」

ジヘッド「……上等だよ!」


ジヘッド「"りゅうのはどう"!」

ゴォアッ!!

ランドロス「ぬ!!」


エンニュートたちをやっつけた時と同じように、龍の光線で一帯を焼き払う。ランドロスは空へ飛び上がり難なくかわした。

ランドロス「目が見えないなら全体攻撃か! 面白いが、これをかわせるか!?」

ランドロス「"ストーンエッジ"!」

バキバキバキッ!!!

ドドドドドッ!

ジヘッド「ぐわあああっ!」


岩のつぶてが弾丸のように直撃した。
動きが鈍った足元に次の攻撃が迫りくる ──!


ランドロス「"アームハンマー"!!」

ドゴォッ!!!

ジヘッド「うわあああああ!!!」


効果抜群の一撃。
ランドロスのパワーは凄まじく、俺のからだを軽々とふっ飛ばした。
 ▼ 28 5oP7VYU6fg 25/09/27 16:59:36 ID:1sYwOuts [28/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジヘッド「くそっ! まだまだ……!」

ランドロス「ふむ……。おぬしはなぜそこまであのメスポケモンを求める?」

ジヘッド「アア? なぜって……」

ランドロス「おぬしは本当の彼女について何も知らない。それどころか嘘をつかれていたんだぞ?」

ランドロス「平気でおぬしを騙すようなポケモンだ。みんなから嫌われてもしかたがないとは思わんか?」

ランドロス「おぬしは何故そこまでして彼女を助けようとするんだ?」

ジヘッド「うるせーな……!」

ジヘッド「お前が言うようにあいつが本当に嫌われ者なんだったら。今のあいつは家も、友達も思い出も、ぜんぶ失って独りでいるんだろ!?」

ジヘッド「独りでいる寂しさは、俺にもよくわかる!」


『私こうして誰かと買い物に行くの、初めてなんです。宝物にします!』

『"そんなもん"じゃないです! 大事な思い出なんです!』


ジヘッド「CDなんていつでも買えるのに……! 俺との思い出を本当に大切にしてくれたんだ。あの言葉は嘘じゃなかった……!!」

ジヘッド「理由なんて、それだけで十分だ!!」


叫んだ瞬間に全身が激しく発光する!
体が大きく、力が漲り、2つの首が3つに分かれた。


ランドロス「これは、進化か!?」

 ▼ 29 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:01:05 ID:1sYwOuts [29/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

…………。

……ザワザワと、草花が柔らかくなびいている。
透き通るような清々しい頭上に、白いもくもくとしたものが漂っていた。


サザンドラ「……」


サザンドラ「これが皆が見ていた景色か」


ランドロス「サザンドラに進化したか。初めて見る世界はどうだ?」

サザンドラ「思ってたより綺麗だよ」


サザンドラ「ケリをつけんぞ。ランドロス!」

ランドロス「よかろう! 来い!!」

 ▼ 30 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:01:21 ID:1sYwOuts [30/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サザンドラ「うおおお! "流星群"!!」

ランドロス「"熱砂の嵐"!!」


咆哮に応えるようにいくつもの隕石が降り注ぐ。
相対するは、砂漠を巻き上げた灼熱のハリケーン。

周囲一帯に轟音が爆発する。隕石と砂嵐が激しく切り結び、地平線が砕け散っていく様子は、もはやポケモンバトルを超えた災害の衝突だった。


ランドロス「ぬう! なんというパワー!」

サザンドラ「ランドロス! お前はアイツに向かって何度も醜いって言ったよな……! 家が燃やされた時も、お前は現れなかった!」

サザンドラ「アイツの気持ちも外見も、なにひとつ尊重しないくせに自分のものにしようとするな! お前がやってるのはただの支配だろうが!」

ランドロス「それがなんだ!?」

ランドロス「顔も名前も知らないヤツを、半信半疑で、無責任にも助けに来たお前は、俺と何が違う!?」

サザンドラ「俺は支配なんかしねェ! ただ嘘つきな友達の、本音を聞くために来たんだよ!」


サザンドラ「くらえ!これが俺の "逆鱗" だッ!!」

ランドロス「ぐおおああああっ!?!?」


ドゴォンッ!!!


渾身の一撃が直撃し、ランドロスの体は縦に回転しながらブッ飛ぶ。10回転ほどしたまま壁にぶつかり、動かなくなった。

 ▼ 31 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:02:46 ID:1sYwOuts [31/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ランドロス「む、無念……」

サザンドラ「はあ……はあ……俺の勝ちだ……!」

サザンドラ「サーナイトは返してもらうぞ」

ランドロス「くっ……好きに、しろ……負けたワシにおぬし止める権利は無い……」

サザンドラ「はあ……はあ……」


激しい戦いで荒野となったあたりを抜けて、草木をかき分け、サーナイトが捕まっている広場にたどり着く
だが、そこに俺のサーナイトはいなかった。


いたのは美しい女性というよりは、可愛らしくツンとした少女のようなポケモンだった。ただ、その印象にそぐわない要素もみてとれた。


サザンドラ「お前が、サーナイト……?」

???「……」

サザンドラ「ああ、そうか。サーナイトじゃねーのか」

???「ランドロスをやっつけてくれて、本当にありがとうございます」

サザンドラ「それがお前の姿なんだな」

???「ジヘッドから進化して、目が見えるようになったんですね……」

サザンドラ「ああ……」

???「はい……ガッカリしましたか? ごめんなさい。」

???「初めて会った時から、ずっとあなたを騙していました……」

サザンドラ「お前の本当の名前はなんて言うんだ?」



クチート「はじめまして。私はクチートです」


 ▼ 32 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:03:53 ID:1sYwOuts [32/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サザンドラ「クチート……」

クチート「タイプは鋼、フェアリー」

クチート「エスパーわざが使えなかったのは、私がエスパータイプじゃないからです」

サザンドラ「じゃあ皆に嫌われてるって言ってたのは?」

クチート「私が周囲から嫌われていたのは……この背中にある大きなアゴが理由です」

クチート「とっても恐ろしくて醜いですよね。美しくてみんなに好かれるサーナイトさんとは似ても似つかない……」

クチート「この姿のせいで友達ができなかった私は、あなたの目が見えないのを良いことにサーナイトさんのフリをして声をかけました」


クチート「でもあなたと仲良くなっていくほど騙している罪悪感に苛まれて、こんな自分のことがもっともっと嫌いになっていきました」

サザンドラ「そんなに苦しむなら、嘘なんてつかなくて良かっただろ。どうせ俺には見えないんだから」

クチート「ありのままの私なんて誰も愛してくれませんよ」

サザンドラ「……!」

クチート「今まで騙していてすいませんでした。私の嘘の為に、あなたは命まで危険にさらして戦ってしまいました……」

クチート「許されるとは思ってません。それでも、あなたといられて楽しかった。それは本当です。ありがとう。サザンドラさん……」

サザンドラ「あ……待って!」


クチート「さようなら……」


クチートは制止を聞かず走っていってしまう。まるで俺から逃げるように。自分の姿を隠すように。

 ▼ 33 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:05:36 ID:1sYwOuts [33/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


クチート(これでジヘッドさんとの関係も、楽しかった日々も、すべて終わり……)

クチート(これからどうしよう。家はなくなってしまったし。頼れる相手もいない。ずっとひとりぼっち……)

クチート「ぐすっ。ううっ……ひぐっ……!」


小さな歩幅のあいだに雫がぽたぽたと落ちる。
愛用のヘッドホンをつけて、お気に入りの曲を流して、寂しさを紛らわすように歌いながら早足で歩いた。


『〜♪』

『── あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに♪』

『当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ♪』

『いま痛いくらい幸せな思い出が いつか来るお別れを育てて歩く♪』

『あなたにあたしの思いがぜんぶ伝わってほしいのに 誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ♪』

クチート「── 産まれてきたその瞬間にあたし 消えてしまいたいって泣きわめいたんだ♪」

クチート「それからずっと探していたんだ♪」


クチート「いつか出会えるあなたのことを ♪」



「クチート!!!」



サザンドラ「待ってくれ!クチート!!」

クチート「サザンドラさん……!?」

 ▼ 34 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:08:21 ID:1sYwOuts [34/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

クチート「……なんで……」

サザンドラ「まだ、言いたいことが、あるんだよ」

クチート「え……?」

サザンドラ「たしかに俺はサーナイトに憧れてたけど、お前を好きになったのはそれだけじゃない!」

クチート「……!」

サザンドラ「そもそも俺、サーナイトの見た目だって知らねーし!」

サザンドラ「お前がみんなに愛されてるわけじゃない。嫌われたり、欠点があるって知っても、嫌いになんてならなかった!」

クチート「どうして、そんなことを言うの。私はあなたに許されないことを……」

サザンドラ「そんなことどーでもいいんだよ!」

サザンドラ「一緒にいた時のお前の声も言葉も、本物なんだろ!? 一緒にいてくれて俺も嬉しかった!」

サザンドラ「俺はクチートが好きだ!だから、誰にも愛されないなんて言うなよ!」


サザンドラ「愛されたいならそう言ってくれ!」

クチート「!!」


クチート「サザンドラさん……!! 私も、私もあなたのことが好きです……!」

 ▼ 35 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:08:56 ID:1sYwOuts [35/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サザンドラ「クチート!!」

クチート「本当にいいんですか? こんな私で……」

サザンドラ「ああ、いいんだよ」

クチート「ぐすっ……ありがとうございます……! 助けてくれて本当にありがとう……」

サザンドラ「……!」


涙ぐむ彼女に肩を寄せると背中にある大きな口が目についた。小さなポケモンなら、一口で噛み砕けてしまいそうなほどに大きくて強靭なアゴだ。
たしかに怖がる者がいるのもわかる気がする。


サザンドラ「背中のアゴも見せてくれ」

クチート「……怖くないですか?」

サザンドラ「俺は最強のドラゴンタイプだぞ。お前のほうこそ、俺の両手が怖くないのか?」

クチート「ふふ、顔がみっつに増えてる。私とお揃いですね」

サザンドラ「お前より一個多いけどな」


 ▼ 36 5oP7VYU6fg 25/09/27 17:10:18 ID:1sYwOuts [36/37] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サザンドラ「俺はお前を怖がったりしない。もっと自信を持っていいんだよ」


俺は顔の形をした不気味な右手を、クチートの背中にある恐ろしいアゴに触れる。本物ではないふたつの唇が触れ合った。


クチート「あっ……!!///」

クチート「こ、こういうのって、間接キスって言うんでしょうか……?」

サザンドラ「言い得て妙だな」

クチート「あの……」

クチート「……間接じゃないほうも、していいですか?」


俺は何も言わず頷いて、彼女に顔を近づけた。

2匹の4つの唇が接吻する。

心が軽くなっていく気がした。出来損ないで、怖い見た目で自分のことを認められなかった俺たちは、やっと認め合える相手を見つけたんだ。


唇を離すとクチートは目を逸らした。バツが悪そうだ。


クチート「嘘をついて、たくさん迷惑をかけて……それでもあなたは私の本当の名前を呼んでくれた」

クチート「私も、今までと同じように、あなたの名前を呼んでいいですか?」

サザンドラ「ああ。これからも何度でも……」

クチート「サザンドラさん」

サザンドラ「クチート」


こうして俺とサーナイトの恋は終わり、
そしてクチートとの本当の恋が始まった。





【SS】モノズ「長い前髪で前が見えねぇ」サーナイト「愛されたいならそう言おうぜ」


───── 完!
 ▼ 37 滅の願い◆5oP7VYU6fg 25/09/27 17:25:59 ID:1sYwOuts [37/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



読んでいただきありがとうございました。
このSSはこちらの企画に参加させていただいています。

【SS企画】ポケモンBBS ファイナルラストSS企画 【9/27〆切】

【SS企画】ポケモンBBS ファイナルラストSS企画 【9/27〆切】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2381088

 ▼ 38 キジカ@でんきのジュエル 25/09/27 18:18:18 ID:Hnz2U5lc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良いSSだった…
 ▼ 39 モリ@シガロコのつち 25/10/16 16:49:48 ID:rGJIo/v2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

良い話だった
 ▼ 40 バソチャ@チルットのはね 25/10/16 20:42:44 ID:Ivko8FQ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙乙
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