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【SS】 夢に向かうサトシへ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:45:23 ID:lxSuDMO6 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




 ▼ 2 ックラー@しんかいのキバ 17/01/16 23:45:39 ID:oUHngm2c NGネーム登録 NGID登録 報告
書き溜めしてからやれ定期
 ▼ 3 リル@GBプレイヤー 17/01/16 23:45:58 ID:hhFEsVnQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
臭い前置きはいいから…
 ▼ 4 ータス@こだいのぎんか 17/01/16 23:46:06 ID:TBvePyxM NGネーム登録 NGID登録 報告
何コレ?荒らしてってこと?
 ▼ 5 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:47:00 ID:lxSuDMO6 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-1 】


サトシとゲッコウガは、最後に固く抱き合った。

ケロマツの時から一緒で、数々の困難を乗り越えて来て、キズナ現象を生み出して。

サトシと出会うために生まれてきたと言っても過言では無いゲッコウガ。

そんなゲッコウガが、カロスを守るために、サトシの元を離れていく――。


サトシ、泣いてた。

泣きたい気持ちを殺してゲッコウガに語り掛けるサトシの姿は、私にもグッとくるものがあった。

ポケモン好きなサトシだからこそ、別れは本当に辛かったと思う。

でも最後はサトシ、笑っていた。笑顔でゲッコウガを送り出していた。

やっぱり素敵だな、サトシって……。




 ▼ 6 イバニラ@むらさきのミツ 17/01/16 23:47:16 ID:9NyqpeVA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そういうのはあとがきで書いたほうがいいよ
 ▼ 7 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:48:02 ID:lxSuDMO6 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「ただいまー」

 シトロン 「ただいま。パパは まだお店みたいですね」

 セレナ 「お邪魔します」

 サトシ 「お邪魔します……ふぅ」


私たちは、今日もシトロンの家に泊めて貰うことになっていた。

街の復興関連でポケモンセンターは混んでるし、それならと、シトロンのお父さんが快く泊めてくれているのだ。


 シトロン 「さて。これで一通り……、こちらでやることは終わってしまいましたね」

 サトシ 「そうだな」

 シトロン 「では……、カントーへの航空券、ネットで手配しますね」

 サトシ 「サンキュー、シトロン」

 シトロン 「セレナのホウエン行きのチケットも一緒に」

 セレナ 「うん。ありがとう」

 ユリーカ 「そっか……、もう終わりなんだよね……」
 ▼ 8 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:49:00 ID:lxSuDMO6 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシの声が、部屋の中に響いた。

そっか。ずっと空港閉鎖されてたから、飛行機に乗りたい人が殺到してるんだ。これじゃあ私の方も……。


 シトロン 「……ホウエン行きも埋まってますね」

 セレナ 「やっぱり……」

 サトシ 「いつなら空いてるんだ?」

 シトロン 「待ってくださいね……。えっと、カントー行きは、5日後の夕方の便になりますね」

 サトシ 「5日後か……」

 シトロン 「ホウエン行きは……、こちらも5日後で空きが出てます。午後一の便ですね」

 ユリーカ 「じゃあ、もう少しみんなと一緒に居られるんだねっ!」


ユリーカが、ぱぁっと明るい声を上げた。

やっぱり お別れは寂しいもんね。私も、早く旅に出たいって気持ちは勿論あるけど、もっとみんなと一緒に居たいって気持ちもある。

とっても複雑。
 ▼ 9 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:50:00 ID:lxSuDMO6 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……あっ」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「私……、旅の準備しなくちゃ」


そうだ。

ホウエンに旅立つ準備をしないと。

今までは皆と一緒だったから、旅の必需品とか、そこまで考えなくても良かったけど、今度の旅は、そうは行かない。

なにせ、全部私一人で やらなくちゃいけないんだから。


 シトロン 「ではセレナ、一旦家に帰らないといけませんね」

 セレナ 「うん。シトロン、ちょっと電話借りてもいい?」

 シトロン 「えぇ。向こうの部屋にありますから、自由に使ってください」

 セレナ 「ありがとう」


準備するものは沢山ある。やっぱり一度家に帰らないといけない。

それになにより、私はまだママに、ホウエンに旅立つことを伝えていない。

ママに会って、ちゃんと直接伝えないと。ちゃんとママと話して、私の気持ち、旅の目標を伝えないと。
 ▼ 10 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:51:00 ID:lxSuDMO6 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「もしもし……ママ?」

  ― サキ 『セレナ。待ってたわよ』

 セレナ 「えっ?」

  ― サキ 『決めたんでしょ? これからどうするか』

 セレナ 「……うん。ママには お見通しだね」

  ― サキ 『勿論よ。それで、どうするの?』

 セレナ 「私ね、もっともっと、パフォーマーとしての腕を磨きたい。そのために、パフォーマンスの修行をしようと思うの」

  ― サキ 『そう。修行……ってことは、どこか、旅にでるのかしら?』

 セレナ 「なんで……分かったの?」

  ― サキ 『ふふっ。セレナ、これまでの旅で、う〜んと成長したじゃない。そんなセレナの修行となれば、旅に出るしかないわよね?』

 セレナ 「ママ……」

  ― サキ 『セレナの思った通りに行動しなさい。ママ、いつだってセレナのこと応援してるんだから』

 セレナ 「……うん。ありがとうママ。それに、ごめんなさい。こんな急に……、勝手に決めちゃって」

  ― サキ 『なに言ってるのよ。今しか出来ないことは、今やるしかないのよ。旅に出るなんて、若くなきゃ出来ないんだから』
 ▼ 11 メパト@きあいのハチマキ 17/01/16 23:51:40 ID:Ui70wyiM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おっ、クスノキ氏支援!!
 ▼ 12 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:52:00 ID:lxSuDMO6 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ママ……、本当にありがとう。それでね、旅の準備があるから、家に帰ろうと思うの」

  ― サキ 『そう。じゃあ待ってるわね、ご馳走作って』

 セレナ 「ふふっ。ママの料理、久々だなっ」

  ― サキ 『そうだ。せっかくだし、時間あるならサトシ君たちも誘ったら?』

 セレナ 「えっ?」

  ― サキ 『セレナがお世話になったんだもん。ママからもお礼したいしね。サトシ君、いつの飛行機で帰っちゃうの?』

 セレナ 「5日後、だけど……」

  ― サキ 『なら招待しても余裕ね』

 セレナ 「うん」

  ― サキ 『じゃあママ、準備があるから、決まったらまた連絡ちょうだいね』

 セレナ 「うん」

  ― サキ 『それじゃあ、待ってるわよー』


そうしてママは、そうそうに電話を切ってしまった。

サトシ達を家に誘う――、か。あの野外ステージで言ったこと、ママ本気だったんだ。

とにかく、まずは皆に確認しないと。話は それからだ。
 ▼ 13 マサラ人3◆etyxjFp636 17/01/16 23:52:15 ID:OL1sOJsQ NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
待ってました!

支援
 ▼ 14 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:53:00 ID:lxSuDMO6 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リビングに戻ると、サトシたちは、こらからについて話しているようだった。


 シトロン 「いくらジムを再開出来たと言え、まだ細かな片付けがありますし、シトロイドの調整も不十分ですからね」

 ユリーカ 「私も手伝う!」

 サトシ 「やっぱジムリーダーって大変だな。オレも手伝うぜ?」

 シトロン 「いえ。片付け自体は少ないですし、ほとんどはシトロイドの調整なので大丈夫ですよ。サトシには最後までカロスを満喫して貰いたいですしね」

 サトシ 「そうか?」

 ユリーカ 「……あ、セレナおかえり」

 シトロン 「どうなりましたか?」

 セレナ 「うん。家に帰るのは明日にするけど、あのね、ママが、みんなを家に招待したいって」

 サトシ 「セレナの家に?」

 ユリーカ 「わぁ!」

 セレナ 「うん。皆には、旅で色々お世話になったから、そのお礼ってことで。どうかな?」

 サトシ 「オレ行きたい! サキさんにも挨拶しなきゃって思ってたし」

 ユリーカ 「………」
 ▼ 15 ルーグ@サファイア 17/01/16 23:53:06 ID:Wu/S3KTo NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
前置きはただただ臭いだけだ…
 ▼ 16 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:54:00 ID:lxSuDMO6 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「すみません。僕はジムを再開させてしまった手前、遠慮しておきます。シトロイドの調整も ありますしね」

 セレナ 「そっか。シトロン大変ね」

 シトロン 「いえ。ジムリーダーとして当然ですよ。ミアレジム再開が、ミアレシティの復興に繋がればとも思いますし」

 サトシ 「流石だなシトロン」

 セレナ 「それじゃあ、サトシとユリーカで……」

 ユリーカ 「ううん。私も お兄ちゃんを手伝う!」

 セレナ 「えっ?」

 シトロン 「僕のことは気にしなくていいよユリーカ。せっかくだしセレナの家に……」

 ユリーカ 「ううん。私だって、いま出来ることをやりたい! プニちゃんを迎えに行けるようなポケモントレーナーになるために、お兄ちゃんのジム戦を いっぱい見ておきたい! だから私、今回はジムに残る」

 シトロン 「そっか。偉いよユリーカ。兄として嬉しいよ」

 ユリーカ 「えへへっ」

 サトシ 「やっぱユリーカはシトロンに似て しっかりしてるな。じゃあ、セレナの家に行くのはオレ1人か」

 セレナ 「あっ……」 ドキッ

  ユリーカ 「(セレナぁ、頑張れ)」 ヒソヒソ

  セレナ 「(ふぇっ……ユリーカもしかして……///)」

  ユリーカ 「(ふふ〜ん)」 ニヤニヤ
 ▼ 17 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:55:00 ID:lxSuDMO6 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ……。

サトシのこと好きだってバレてるのは知ってたけど、こんなところまで私とサトシを2人っきりにしようと仕組むなんて。

有難いには有難いけど、なんて言うか……、戻って来た時に感想聞かれそうで怖いな……。


  セレナ 「(でも……ありがとう)」

  ユリーカ 「(頑張れセレナっ)」


ユリーカとしては、もっとみんなで一緒にいたいはずだ。さっきの顔色を見てもそれは明らか。

けど、ユリーカは私のために、ジムに残ると言ってくれた。

私とサトシを、2人きりにさせてくれた。それは純粋に感謝しないとな。


 サトシ 「セレナの家って確かアサメタウンだったよな?」

 セレナ 「うん。田舎の町だけど、自然は綺麗だし、すっごく景色が良い所もあるの」

 サトシ 「へぇ〜。楽しみだなピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 セレナ 「ふふっ」

 ▼ 18 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:56:00 ID:lxSuDMO6 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


それから私たちは、シトロンの作った夕飯をみんなで囲んだ。

私も手伝おうとしたけど、“もう僕の手料理も最後だから”って、シトロンが全部作ってくれた。ユリーカも手伝って。

旅の途中は、私とシトロンが交互に料理してたけど、シトロンの料理の方が出来が良いのは、私でもなんとなく感じていたし、それがあって、私は料理の腕を磨こうと思った。

おかげで私は、旅の中で料理の腕が上がったみたい。この前ママも驚いてたし、私、こんなところでも成長できてたんだな。



順番にシャワーを浴びて、私たちは寝室に入った。

私はユリーカの部屋で、ユリーカと一緒のベッド。こうやってユリーカと一緒に寝れるのも、もうあと僅かなんだよね。


 ユリーカ 「ねぇセレナ」

 セレナ 「なぁに?」

 ユリーカ 「セレナと一緒に寝れるのも、もうあとちょっとだからさ……」

 セレナ 「うん……」



 ユリーカ 「セレナ、サトシのことどう思ってるの?」 ワクワク
 ▼ 19 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:57:00 ID:lxSuDMO6 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……」

 ユリーカ 「私、セレナのこと大好き。だから応援したいの。サトシって鈍いから」

 セレナ 「えっ……ユリーカ……そのっ、やっぱり……?」

 ユリーカ 「うん。セレナ分かりやすいもん」

 セレナ 「あぁぁぁ……///」

 ユリーカ 「恥ずかしがることないよ。サトシ格好良いもんねっ。バトルも強いし、誰にでも優しいし、ポケモンのこと大事にしてるし」

 セレナ 「……うん。すっごく素敵」

 ユリーカ 「それにサトシは、小さいセレナを助けてくれたんだもんねっ」

 セレナ 「うん。覚えてたのね」

 ユリーカ 「えへへっ」

 セレナ 「私、サトシに色んなモノを貰って……。恩返し、まだ出来てないのになぁ」

 ユリーカ 「すればいいんだよセレナ。せっかくこれから2人きりになるんだから」

 セレナ 「もぉ〜簡単に言わないでよぉ。どうすればサトシが喜んでくれるか、けっこう難しいんだから」

 ユリーカ 「考えすぎだよ。セレナのお礼なら、きっとサトシ、どんなことでも喜ぶと思うけどな」

 セレナ 「う〜ん……」
 ▼ 20 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:58:00 ID:lxSuDMO6 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「それに、女の子から男の子へのお礼と言ったら一つだよ?」

 セレナ 「えっ?」

 ユリーカ 「……チューだよ?」 ニコッ

 セレナ 「ちゅっ……キス!? ムリムリムリムリ ///」 カァァ

 ユリーカ 「えーだってセレナ、サトシのこと好きなんでしょ?」

 セレナ 「そうだけどそれだからって……あ」

 ユリーカ 「やっぱりセレナ、サトシのこと好きなんだ〜」 ニヤニヤ

 セレナ 「あっ……ぅっ、ユリーカぁ!」

 ユリーカ 「ふふ〜ん」 ニヤニヤ

 セレナ 「もぉ〜! おやすみなさいっ!」

 ユリーカ 「おやすみセレナ。ユリーカ、セレナのこと応援してるから、頑張ってね!」

 セレナ 「……うん」


もぉ〜。相変わらずユリーカは ちゃっかりしてると言うか隙が無いと言うか。

でも……、そうだよね。もうサトシと一緒に居られる時間は少ないし……、何かしら、行動に移さないとなぁ。


 ▼ 22 Mホイホイ 17/01/17 01:00:37 ID:v7h8D0FE NGネーム登録 NGID登録 報告
楽しみしてました!!
 ▼ 23 ーパ@レベルボール 17/01/17 06:49:28 ID:kLKeYDEk NGネーム登録 NGID登録 報告
サトセレの神、甲州街道さんの新作だと!?
これは…支援!
 ▼ 24 オスバメ@ダートじてんしゃ 17/01/17 07:04:50 ID:eWzh6zzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おおいいね
続きも楽しみ

支援
 ▼ 25 リゴン2@リニアパス 17/01/17 07:09:11 ID:2MKVGQDM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってたよ〜
支援
 ▼ 26 ッキング@エレキシード 17/01/17 19:11:26 ID:DNEhXpdA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 27 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:11:00 ID:f7kwrx9E [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-2 】


翌日。


 サトシ 「それじゃあ行ってくるよ。シトロン、ユリーカ、ジムの調整がんばれよ」

 シトロン 「はい。サキさんによろしくお伝えください」

 セレナ 「なんだか悪いわね、私たちだけで」

 ユリーカ 「そんなこと無いって! セレナ、頑張ってね〜」 ニヤニヤ

 セレナ 「ユリーカ……もぉ」

 サトシ 「ん? 何を頑張るんだ?」

 セレナ 「なっ、なんでもないの!」

 サトシ 「そうか?」

 ピカチュウ 「ぴかぴ……」

 ユリーカ 「」 ニヤニヤ
 ▼ 28 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:11:31 ID:f7kwrx9E [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな感じで、私はサトシと一緒に、アサメタウンに向けて出発した。

久しぶりのアサメタウン。家に帰るの、もうどれくらいぶりだろう。


 サトシ 「アサメタウンまでどれくらいかかるんだ?」

 セレナ 「えっと、バスで3時間くらいだったような……」

 サトシ 「うお……けっこう距離あるんだな」

 セレナ 「うん。ハクダンシティとメイスイタウンを挟むからね」

 サトシ 「飛行機は5日後だし……あ、今日入れると4日後か。ちょっとギリギリだなぁ」

 セレナ 「それじゃあ、ハクダンシティまではバスで行かない?」

 サトシ 「そっか。ミアレからハクダンは1回通ってるもんな」

 セレナ 「うん。ハクダンからアサメなら、メイスイタウンで1泊しても午前中には着くと思うし、やっぱり最後も、旅っぽくしたいもんね」

 サトシ 「そうだな。じゃあ、まずはハクダン行きのバスだな」

 セレナ 「うん!」


ミアレのバスセンターで、私たちはハクダン行きのバスに乗り込んだ。

ママが乗ったアサメ行きのバスも出てるけど、やっぱり“旅”の感覚を最後まで楽しみたい。

それに……、サトシとは、少しでも長い時間、2人きりになりたいもん。家に着いちゃうとママの目があるし、2人っきりの旅を、ちゃんと堪能しないとな。
 ▼ 29 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:12:20 ID:f7kwrx9E [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうしてバスは、ハクダンシティに到着した。

混んでたせいで、あんまりサトシと会話できなかったのが残念だけど、隣同士の席に座って、一緒に車窓を眺めるだけでも、私の心は満たされた。

まだまだ お昼前。歩きとバスで、これだけ時間に差が出るんだと、改めて実感してしまう。


 セレナ 「じゃあ……、ここから旅の始まりだね」

 サトシ 「あぁ。セレナと2人きりってのは、レンタルマンムー以来だよな」

 セレナ 「うん」


考えてみると、これまでの旅の中で、サトシと2人きりになれた時間は、思った以上に少なかった。

ヒヨクシティでプレゼントを買いに行く時と、レンタルマンムーで薬草を探しに行った時……、くらいだったっけ。


 サトシ 「……あ、そうだ。ハクダンジムに寄って行こうぜ」

 セレナ 「ジムに?」

 サトシ 「あぁ。せっかくハクダンに来たんだから、ビオラさんに挨拶して行かないとな」

 セレナ 「そっか、うん、そうしよ」


そうだよね。サトシはカントーに帰っちゃうから、ビオラさんと会えるのは これが最後。

私だってホウエンに旅立っちゃえば、しばらく会うことは出来ない。私も挨拶して行かないとな。
 ▼ 30 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:13:00 ID:f7kwrx9E [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「お、見えてきた。ハクダンジム」

 セレナ 「私がサトシに追いついた所……、懐かしいな」

 サトシ 「そっか。セレナ、オレのジム戦 見ててくれたんだっけ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「あの時は負けちゃって、恥ずかしいとこ見せちゃったな」

 セレナ 「そんなことないよ。私、サトシがポケモンのこと大事にしてるんだって、その時のサトシを見て思ったもん」

 サトシ 「そうか? サンキューな」 ニカッ


確かにサトシは最初、ビオラさんに負けちゃったけど、あの時のサトシの姿、ピカチュウとヤヤコマを思い遣る姿は、私にはグッとくるものがあった。

リュックを忘れてポケモンセンターに走るサトシは、2匹のこと、本当に心配して、大切にしてるんだなって。

サマーキャンプで助けてくれた時の、記憶の中の私のサトシが、鮮やかに色付き始めた瞬間でもあった。


  セレナ (恥ずかしくなんかないよ。素敵だったよ、あの時のサトシ)


本当は そう言いたかったけど、恥ずかしくて、私の口は動いてくれなかった。

 ▼ 31 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:13:40 ID:f7kwrx9E [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……あ、ビオラさん!」


サトシが声を上げた。

見ると、ビオラさんはジムの外に出て、上を――、ジムの屋根の方を見上げていた。


 ビオラ 「サトシ君? セレナちゃんも?」

 サトシ 「こんにちは!」

 セレナ 「近くまで来たので」

 ビオラ 「あっ、うん! ようこそハクダンジムへ……」

 サトシ 「ビオラさん、何してたんですか?」

 セレナ 「屋根に何か……」

 ビオラ 「あっ、大したことじゃないって言うかその……」


何故かアタフタするビオラさん。

ビオラさんが見つめていた方向を確認してみると……。
 ▼ 32 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:14:20 ID:f7kwrx9E [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ザクロ 「……おっ。やぁサトシ君! セレナちゃん!」

 ビオラ 「あっ……ダメだよザクロ君そこで手を振っちゃ!」

 ザクロ 「あ……」


  ― ドスン!


ザクロさんが落ちてきた。


 サトシ 「ザクロさん?」

 ザクロ 「はははっ、またやってしまった。サトシ君、フレア団の時は お疲れ様」

 サトシ 「はい。ところで、どうしてザクロさんがハクダンジムに?」

 ビオラ 「あっ、それは……」

 ザクロ 「いやぁ、ビオラが食事に誘ってくれてね。そこでちょっと、ハクダンジムの壁を登っていたんだ」

 サトシ 「そうだったんですか」


“ビオラさんが食事に誘う → ジムの壁を登る” の繋がりがイマイチ分からないけど、そっか、ビオラさんから。

そう言えばザクロさんもビオラさんも、普段よりお洒落な格好をしている。バトルシャトーの時よりもだ。
 ▼ 33 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:15:00 ID:f7kwrx9E [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ビオラ 「あの……ほら! ザクロ君には、あのフレア団の巨石の塊と戦った時に助けて貰ったし……、そのお礼よ!」

 セレナ 「あ、そっか。私たちも見てました。ザクロさん、ビオラさんを抱きとめてましたもんね!」

 ザクロ 「あぁ。ビオラとは長い付き合いだからね。体が勝手に動いてしまったんだ」

 ビオラ 「そっそれより! 今日はサトシ君とセレナちゃん2人だけなの?」

 サトシ 「はい。実はオレ、カントーに帰ることになって」

 ザクロ 「カントーに……そうか。ジム戦も終わったし、カロスの平和も守られたからね」

 セレナ 「私は、パフォーマンスの修行をするために、ホウエンに旅立つことにしたんです」

 ビオラ 「ホウエン……確かポケモンコンテストがある地方よね」

 セレナ 「はい」

 サトシ 「それで、サキさん……あ、セレナのママに挨拶することになって、いまアサメタウンに向かってるところなんです」

 セレナ 「ちょうどハクダンシティを通るので、ビオラさんにも ご挨拶をって思ったんですけど」

 サトシ 「まさかザクロさんにも会えるとは思ってませんでした」

 ザクロ 「ははっ。僕を呼んでくれたビオラに感謝だね」

 ビオラ 「あはは……」
 ▼ 34 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:16:00 ID:f7kwrx9E [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビオラさんって……、こんなに照れる人だったんだ。

ビオラさんとザクロさん、普通の友人って関係だと思ってたけど、進展あったみたいだね。


 セレナ 「じゃあ私たち、長居しちゃ お邪魔なので、そろそろ失礼します」

 サトシ 「そうだな」

 ビオラ 「お邪魔って……そんなこと無いってば!」

 ザクロ 「ははっ、お気遣いありがとうセレナちゃん。でもそれは、僕らからも言えることだよね?」

 セレナ 「えっ?」

 ザクロ 「サトシ君とセレナちゃん、2人きりでセレナちゃんの お母さんに挨拶だなんて、“そう言う意味”で捉えられても おかしく無いんじゃないかな?」 ニヤッ

 セレナ 「ぁっ……ちちち違います! サトシには旅の中でお世話になったから! 私のママの方からお礼したいってことになって……!」

 ビオラ 「ふ〜ん。セレナちゃんも隅に置けないわね〜」 ニヤニヤ

 セレナ 「そんなんじゃ……」

 サトシ 「なぁ、なんのことだ?」

 セレナ 「なんでもない! なんでもないから!」

 ザクロ 「これはこれは。なかなか苦労してるようだね」

 ビオラ 「ふふっ、セレナちゃんも頑張れ!」
 ▼ 35 ルフーン@ナナのみ 17/01/18 06:12:00 ID:xEKMJWqs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 36 タチマル@げんきのかたまり 17/01/18 13:39:04 ID:SJK1XTps NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はあああああんんんん
支援
 ▼ 37 リージオ@ブレイズカセット 17/01/19 01:24:19 ID:yPcPc1ag NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援
 ▼ 38 オスバメ@たわわこやし 17/01/19 07:45:10 ID:6qLWFC1U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:28:00 ID:vK2Fr5QE [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-3 】


ビオラさんとザクロさんに挨拶して、私たちはハクダンジムを後にした。

うぅ……、2人にも私がサトシのこと好きってバレちゃったし……、そんなに私って分かりやすいのかなぁ。

それでもサトシは全然気付いてないみたいだし、どうなんだろう。


 サトシ 「さて。それじゃあまずはメイスイタウンだな」

 セレナ 「うん」


そんな私の気も知らないで、サトシはメイスイへと足を進める。ハクダンの街を出ると、木々が生い茂る街道が始まる。3番道路だ。

人工のものは何もない、自然豊かな森の道。こんな道は今までも通って来たけど、やっぱりサトシと2人っきりだと、見えてくる景色も違って見える。



   *** 「あれ? もしかしてサトシさん?」


 サトシ 「ん?」


そんなことを考えてると、突然、後ろから声をかけられた。

振り返ってみると、そこには私たちと同い年くらいの男女の姿が。声を上げたのは男の子の方だけど、2人が居た場所は、何故か道から外れた茂みの中だった。
 ▼ 40 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:29:00 ID:vK2Fr5QE [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ※※※(女) 「サトシって……カロスリーグ準優勝の?」

 ***(男) 「そうそう。いやー、まさかこんなところで会えるなんて! あ、僕はハルキ」

 ※※※(女) 「私はルイナよ。よろしく」


茂みから出てきた2人は、さっそく自己紹介を始める。

その辺の礼儀正しさを見るに、変な人たちじゃなさそうだ。


 サトシ 「オレはサトシ……って、知ってるんだよな」

 セレナ 「ふふっ。凄いバトルだったもんね。私はセレナです」

 ハルキ 「こちらこそよろしく。サトシさんは……」

 サトシ 「“サトシ”でいいよ」

 ハルキ 「そうかい? サトシの決勝戦、あれは凄かった! カロスリーグ史上でも一、二を争うレベルのバトルだったよ!」

 サトシ 「サンキュー。まぁ、結局アランに負けちまったけどな」

 ハルキ 「なに言ってるんだい。勝ち負けなんか関係ない。あのバトル、熱いワザのぶつかり合い、その迫力が良かったんじゃないか!」

 ルイナ 「それに、不思議な姿のゲッコウガ! あれ格好良かったなぁ」
 ▼ 41 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:30:00 ID:vK2Fr5QE [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「そうそう! そのゲッコウガのこと詳しく聞きたいんだ! サトシとセレナは、これから何処へ行くんだい?」

 サトシ 「えっと、メイスイを通って、アサメまで行くんだ」

 ハルキ 「なるほど。じゃあ僕たちも、メイスイまで同行してもいいかい?」

 サトシ 「あぁ、構わないぜ」

 ハルキ 「おぉありがとう! 色々聞きたいことがあるから助かるよ!」


あぁ……。

なんだか流れで、メイスイタウンまで、この2人も同行することになっちゃった。

ハルキとルイナ――、別に悪い人じゃないんだろうけど、こう、せっかくサトシと2人きりのチャンスだったってことを考えると、とっても複雑な気持ち。


 ルイナ 「ハルキは珍しいポケモンのことになると止まらないから。しばらくサトシに べったりよ」

 セレナ 「そうなんだ」

 ルイナ 「その辺は たまにキズだけど、けっこうワイルドなのよ、ハルキって。私の自慢の彼氏」

 セレナ 「彼氏……」
 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:31:00 ID:vK2Fr5QE [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「セレナは……、サトシと付き合ってる感じ?」

 セレナ 「ふぇっ!? ちちち違うよ! 私たちはそのっ、一緒に旅した仲間ってだけで……!」

 ルイナ 「2人っきりなのに?」

 セレナ 「それは たまたま! いつもは4人で旅してたんだから!」

 ルイナ 「……なにテンパってるの?」

 セレナ 「あっ、そんな訳じゃ……」

 ルイナ 「はは〜ん。セレナ、サトシに片思いってこと?」

 セレナ 「うぐっ……」

 ルイナ 「図星みたいね」

 セレナ 「大きな声で言わないで」

 ルイナ 「大丈夫よ。あなたのサトシ、ハルキとの会話に夢中じゃない。相当ポケモンが好きなのね」

 セレナ 「うん。サトシ、ポケモンのことになると いつもそう」

 ルイナ 「ふ〜ん」


サトシとハルキは、会って間もないって言うのに、意気投合したのか、バトルの話で盛り上がっていた。

ゲッコウガ、凄かったもんね。カロスリーグはテレビ中継されてたし、こうやって興味を持つトレーナーが居てもおかしくないか。
 ▼ 43 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:32:00 ID:vK2Fr5QE [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ところでセレナって、珍しいポケモンとか持ってるの?」

 セレナ 「珍しい?」

 ルイナ 「えぇ。旅してるってことは、色んな出会いがあるでしょ? そうすると、なかなか見れないレアなポケモンを持ってるんじゃないかな〜って」

 セレナ 「う〜ん……、旅の途中で珍しいポケモンに会ったりはしたけど、ゲットは してないなぁ」

 ルイナ 「えー勿体ない」

 セレナ 「だって私には、もう最高のパートナーが居るんだもん」

 ルイナ 「セレナのポケモンたち?」

 セレナ 「うん。テールナーと、ヤンチャムと、ニンフィア。一緒に夢を目指そうって約束した、私の大切なポケモンたちなの」

 ルイナ 「その夢って?」

 セレナ 「パフォーマンスを極めて、カロスクイーンになること。エルさんに負けないくらいの、みんなを笑顔にできるパフォーマーになることなんだ」

 ルイナ 「あぁ、ポケモンパフォーマーね。ゴメン、私、そこまで興味ないかも」

 セレナ 「あっ、そうなんだ」

 ルイナ 「まぁ、興味は人それぞれよ。私みたいにバトル派の女だと、パフォーマンスに魅力は感じないのよね」

 セレナ 「う〜ん、確かにパフォーマンスはバトル要素ないもんね」
 ▼ 44 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:33:00 ID:vK2Fr5QE [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「けど、ポケモンと夢を目指すってのは嫌いじゃないわ。頑張りなさいよ」

 セレナ 「うん。ありがとうルイナ」


そうだよね。全ての人が、パフォーマンスに興味がある訳じゃない。

トライポカロンの会場は、いつも沢山の観客が入るけど、それだって、開催都市に住んでる人 全員じゃない。

ポカロンは女の子の祭典だけど、それに興味を持ってくれる大人や男性がいる一方、反対に、興味の無い子供や女性も居る。

これから夢を目指すにあたって、そういうことも、少しは考えないといけないのかな。


 セレナ 「ルイナはバトル派って言ったけど、ジム巡りとかしてたの?」

 ルイナ 「えっ? ううん、そう言う訳じゃないわよ」

 セレナ 「じゃあ、大会とかに?」

 ルイナ 「バトル派って言ったけど、どちらかって言えば、バトルを見る方ね。あとは、ポケモンを捕まえること」

 セレナ 「捕まえること?」

 ルイナ 「そっ。珍しいポケモンって、やっぱりゲットしたくなるものじゃない。その辺はハルキと意気投合したのよ」

 セレナ 「じゃあ、ルイナとハルキは……」

 ルイナ 「珍しいポケモンを捕まえる旅……とでも言うべきかしらね。捕まえるまでの戦略とか考えるのも好きだし、その戦略が上手く行ったら嬉しいし、捕まえたら達成感も味わえるし。なかなか奥が深いわよ」
 ▼ 45 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:34:00 ID:vK2Fr5QE [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ふ〜ん。じゃあルイナ、ルイナのパートナーも、珍しいポケモンなの?」

 ルイナ 「あっ、いや……、そうでもないの」

 セレナ 「そうなの?」

 ルイナ 「何て言うか……、捕まえるのはハルキで、私は、それのサポートが多いのよ。戦略を考えたり、ボールを調達したり」

 セレナ 「ボールにも こだわりがあるんだ」

 ルイナ 「まぁね。それによっても価値は変わってくるし」

 セレナ 「価値?」

 ルイナ 「……あっ、言い方が悪かったかしら。珍しいポケモンは、やっぱり良いボールで捕まえたいってことよ。一種の こだわりね」

 セレナ 「極めてるんだね」

 ルイナ 「まぁね」


そっか。ジム戦やポカロンだけが旅っ訳じゃないんだよね。

ルイナみたいに、珍しいポケモンをゲットするために旅してるトレーナーも居る。トレーナーとポケモンの付き合い方って色々あるんだな。


私たちは しばらく、サトシとハルキ、私とルイナのペアで、旅の話で盛り上がった。

そうこうしているうちに、ハクダンの森を抜けて、あっという間にメイスイタウンに到着した。
 ▼ 46 ーミラー@ハーバーメール 17/01/20 01:34:08 ID:PECMewWk NGネーム登録 NGID登録 報告
こんなところで小説書いてないでさ、原稿に書いて出版社に売り込めば?ここじゃ金にならん。金になるかもしれない出版社に持ってった方がいい
 ▼ 47 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:35:00 ID:vK2Fr5QE [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ハルキ 「それじゃあ、僕たちは この辺で。色々聞けて楽しかったよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ルイナ 「じゃあねセレナ。パフォーマンス頑張ってね」

 セレナ 「うん、ありがとう。ルイナもゲットの旅、頑張ってね」

 ルイナ 「えぇ」


簡単な挨拶を交わして、2人は去って行った。

もう夕方だって言うのに、2人は町の外、アサメへと続く1番道路の方へ歩いて行く。

この時間からアサメに向かうとなると、真っ暗になって危ないと思うけど、何処へ行くんだろう。それとも、アサメの途中に家があるのかな?


 サトシ 「なんか ずっとハルキと話してて、ルイナと話せなかったな。セレナ、なに話してたんだ?」

 セレナ 「旅のこと。私はポカロンの話題で、ルイナはポケモンをゲットする話。私の知らないこと、いろいろ聞けたんだ」

 サトシ 「そうだったのか」
 ▼ 48 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:36:00 ID:vK2Fr5QE [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ハルキもポケモンをゲットすることが好きだって聞いたけど、サトシは どんな話してたの?」

 サトシ 「オレは……、考えてみると、ずっとオレが話してたな」

 セレナ 「そうなの?」

 サトシ 「あぁ。ゲッコウガのことを詳しく聞かれたけど、ピカチュウたちの育て方とか、どんなワザを覚えてるか〜とか。な?」

 ピカチュウ 「ぴか」

 セレナ 「ふ〜ん。やっぱりサトシ、注目されてるんだね」

 サトシ 「そんな大したこと してないのになぁ」

 セレナ 「ううん。カロスリーグ準優勝って、とっても凄いことだと思うよ」

 サトシ 「へへっ、サンキュー、セレナ。……じゃあ、ポケモンセンター行くか?」

 セレナ 「うん」


私たちは、ポケモンセンターへと向かった。

今日はここで1泊して、明日の朝に出発すれば、お昼過ぎにはアサメに着けるはずだ。


 サトシ 「2人だけでポケモンセンターに泊まるの、初めてだよな」

 セレナ 「あっ……うん」 ドキッ
 ▼ 49 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/20 01:37:00 ID:vK2Fr5QE [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうだ。なんで今まで考えなかったんだろう。

サトシと2人きりってことは、当然、ポケモンセンターの部屋も2人きり。

シトロンが先にジムに戻って、私とサトシ、ユリーカの3人ってことは あったけど、2人きりは、これが初めて。


  セレナ (サトシと2人きりで……、同じ部屋で……///) ドキドキ


サトシのことだから、別々の部屋にしようってことは無いはず。

うぅ……、一緒に旅してた仲なんだから、同じ部屋に泊まるくらい、考えるようなことじゃないはずなのに、すっごく緊張しちゃう。

サトシは……どうなんだろう。

女の子と2人きりで泊まること、恥ずかしくないのかな。緊張しないのかな。ドキドキしないのかな。


  セレナ (あぁもぉ……、変に意識しちゃう……///)


いつも通りで居るのが一番なのに。

もうすぐサトシと お別れなんだから、今この時間を楽しまなくちゃいけないのに。


  セレナ (けど、私の気持ちをサトシに伝えるのって、今がチャンスかも……)


 ▼ 50 マシュ@ながながこやし 17/01/20 07:06:02 ID:XzaxcHlc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 51 ラージェス@たいりょくのハネ 17/01/20 08:12:06 ID:aLIKr0Gw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 52 ース@すごいつりざお 17/01/20 09:21:52 ID:hl5ODU2k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってました!
支援
 ▼ 53 アームド@ふしぎなタマゴ 17/01/21 10:49:38 ID:S9msOBCY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
全力で支援!!!!
 ▼ 54 ルタンク@スピードボール 17/01/22 17:42:05 ID:gK3Q8BZc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>2.>>3.>>4が惨めすぎるな
支援
 ▼ 55 ンナ@フシギバナイト 17/01/23 12:18:11 ID:6vvJCf1I NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
あんたを待ってたぜ
 ▼ 56 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:18:22 ID:Hc2ARRJ6 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-4 】


 サナ 「あれ? セレナ!?」

 セレナ 「えっ……サナ!?」


ポケモンセンターに入ると、サナの姿が目に飛び込んできた。

当のサナも すぐに私に気付いたみたいで、駆け寄って来てくれた。


 サナ 「こんなところで偶然! また会っちゃったね。サトシも」

 サトシ 「あぁ」

 サナ 「おーい! ティエルノー! トロバー!」

 ティエルノ 「ん? サトシじゃないか。それに……セレナぁ!!!」

 トロバ 「わぁ。ホント偶然ですね」

 サトシ 「ティエルノにトロバも。どうしたんだ?」
 ▼ 57 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:19:00 ID:Hc2ARRJ6 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「私たち、プラターヌ博士から調査を頼まれたって話したよね?」

 サトシ 「あぁ」

 トロバ 「早速明日から始めるんです。まずは2番道路からと言うことで、今日はメイスイに泊まることにしたんです」

 サトシ 「そうだったのか」

 セレナ 「皆も動き出すのよね。頑張って!」
 
 ティエルノ 「もっちろん頑張るよ! セレナの応援があれば常に全力さ!」

 セレナ 「あはは……」

 トロバ 「ところで、シトロンとユリーカの姿がありませんが……」

 サトシ 「あぁ、2人ならジムの調整があるから、ミアレに残ってるんだ」

 ティエルノ 「えっ!? ってことは、サトシとセレナ、2人で旅してるって言うのかい!?」

 サトシ 「そうさ。でも、旅って訳じゃないぜ。オレもうすぐカントーに帰るから、セレナのママに挨拶して行こうと思って」

 トロバ 「そうですか……。リーグも終わりましたし、フレア団の事件も一段落しましたし、サトシの旅も終わったんですね」

 ティエルノ 「そうか……寂しくなるね。でもセレナと2人旅ってことに変わりは無いよね?」

 サトシ 「ん? まぁな」

 サナ 「ふ〜ん」 ニヤッ
 ▼ 58 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:19:40 ID:Hc2ARRJ6 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ティエルノが何故か必死そうな顔で声を上げる。

それに対して、サトシは さも当然と言った感じで答える。

それを聞いて、サナがニヤニヤしながら私の耳元に近付いてくる。


  サナ 「(セレナ……これチャンスだよ!)」

  セレナ 「(チャンスって……)」

  サナ 「(だって! 今なら2人っきりじゃない! 当然、2人でここに泊まるつもりだったんでしょ?)」

  セレナ 「(そうだけど……やめて恥ずかしいよ)」

  サナ 「(恥ずかしがってる場合じゃないよ! セレナ、今を逃したら、サトシに告白するチャンスは もう無いよ!)」

  セレナ 「(こここ告白って……///)」

  サナ 「(任せてセレナ。私たち、2人のチャンスを邪魔しないようにするからね!)」

  セレナ 「(えっ……それどういう……)」


そう言うと、サナは私の耳元から離れて、ティエルノたちの方を向く。
 ▼ 59 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:20:20 ID:Hc2ARRJ6 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「ねぇティエルノ、トロバ! 明日からの調査の確認もあるし、そろそろ私たちは部屋に戻ろうよー」

 セレナ 「さっ、サナ……」


あぁ、サナ、私とサトシの邪魔しないように、ティエルノとトロバを部屋から出さない気だ。

有難いけど恥ずかしいって言うか、そんな……、サトシと2人っきりになることをサナに勧められるのも複雑って言うか……。


 サナ 「ほら2人とも! 調査場所の再確認とか……」


待ってサナそんなに必死にならないで。

だって、友達が近くに居るのにサトシと2人きりになるって、考えてみると すっごく恥ずかしいことだもん。


 ティエルノ 「そうだサトシぃ! これからバトルと行こうじゃないか!」

 サトシ 「バトルか!」

 サナ 「ちょっ……ティエルノ聞いてるの!?」

 ティエルノ 「最後にサトシとバトルしておきたいしね! それにサトシの旅の話とかも聞きたいし、そうだ! 今夜は一緒に寝ようYO!」

 サナ 「え゙っ……」
 ▼ 60 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:21:00 ID:Hc2ARRJ6 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そうだな。オレもティエルノのジム戦の話とか聞きたい! 勿論トロバもな!」

 トロバ 「はい! それでは男3人、最後の交流と行きましょう」

 サナ 「ちょっとみんな……」

 ティエルノ 「オーライ! トロバのメガストーンの話は感動的だよ〜!」

 サトシ 「そうなのか!」

 ティエルノ 「って訳でサナ! 僕たちが3人部屋を使うから、サナとセレナは2人部屋を取るといいよ。女の子同士パフォーマー同士、積もる話とかあるよね?」

 サナ 「うっ……(そう言われると否定しづらい)」

 セレナ 「あはは……。いいよサナ。サトシたちはサトシたちで、バトルの話で盛り上がりたいんだよ」

 ティエルノ 「オーケーありがとうセレナ! それじゃあ僕たちは陽が沈む前にバトルしてくるよ! 行くよサトシ、トロバ!」

 サトシ 「あぁ!」

 トロバ 「あ、待ってくださいカメラカメラ!」


そうしてサトシたちは、ポケモンセンターの外へ走って行った。
 ▼ 61 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:21:40 ID:Hc2ARRJ6 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サナ 「……もぉ! ティエルノったらホント空気読めないんだから!」

 セレナ 「まぁまぁサナ」


結局 私とサナが、2人部屋で一緒に寝ることになった。

部屋に入るなり、サナは声を上げる。サナとしては、私とサトシを一緒の部屋に したかったみたいだけど……。


 サナ 「セレナも怒った方が良いよ! ティエルノあれ明らかにサトシとセレナを一緒にさせたくない感じだったじゃない!」

 セレナ 「えっ……そうかなぁ?」

 サナ 「そうだよ! ティエルノってばセレナは可愛い可愛いって、会うたびに言ってるんだから!」

 セレナ 「あはは……。悪い気はしないけど……ね」

 サナ 「騙されちゃダメよセレナ! ティエルノ、可愛い女の子みつけたら すぐそうなんだから!」

 セレナ 「確かティエルノって、惚れやすい性格だったっけ?」

 サナ 「うん。セレナは知らないかもしれないけど、私のポカロンを見に来た時だって、他の女の子に見惚れてるんだもん」

 セレナ 「う〜ん……。でもほら、ポカロン参加者は可愛い子が多いし」

 サナ 「それは分かるけど……でも許せないよ!」
 ▼ 62 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:22:23 ID:Hc2ARRJ6 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そんなに?」

 サナ 「だってティエルノ、私には可愛いって言ったこと無いのよ!」

 セレナ 「それは酷い!」

 サナ 「確かに友達かもしれないけど失礼よ! 女の子ってそういうことホント気にするんだから!」

 セレナ 「サナだって すっごく可愛いのに」

 サナ 「……まぁそれは今はいいとして、トロバとサトシも、なんでティエルノの策略に嵌っちゃうのかしらね!」

 セレナ 「サトシは純粋だから、ティエルノとバトルしたかっただけだと思うけど」

 サナ 「うん、サトシはね。見た感じ、トロバも自然だったし……はぁ。なんで男の子ってみんな鈍いんだろう」

 セレナ 「うん……」

 サナ 「うぅ……セレナが可哀想だよ。せっかくサトシと2人きりで お泊りのチャンスだったのに」

 セレナ 「お泊りって……///」

 サナ 「だってセレナ、普段はシトロンとユリーカも一緒だから、サトシと2人っきりって無かったでしょ?」

 セレナ 「えっと……うん」

 サナ 「こんな機会でしか2人きりになれないのに。しかも……、サトシもうすぐ帰っちゃうし」

 セレナ 「うん……」

 サナ 「ねぇ良いの? この機会を……」
 ▼ 63 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:23:00 ID:Hc2ARRJ6 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「大丈夫よサナ」

 サナ 「えっ?」


サナは優しいな。

私がサトシのこと好きって知ってるのに、それを揶揄ったりしないで、むしろ応援してくれる。本当に、最高の友達、最高のライバルだよ、サナは。

……あ、ヒャッコクシティで1回だけ揶揄われたっけ。


 セレナ 「実はね、これからサトシ、私の家に……泊まるんだ」

 サナ 「……え?」

 セレナ 「そのっ、ママと挨拶だけで帰るってのは悪いし、時間的にもやっぱり……」

 サナ 「ええええぇぇぇぇぇっ!?」

 セレナ 「さっ……サナ?」

 サナ 「凄いよそれ! セレナそれ一大チャンスだよ!」

 セレナ 「チャンスって……。でもほら、ママも居るし……」

 サナ 「それ逆だよ! 普通、女の子が男の子を家に招待しないって! それをセレナのママも認めてるってことは、セレナ、それ凄いチャンスなんだよ!」

 セレナ 「違うの違うの! サトシを招待したのはママの方で、旅で お世話になったから、ママも お礼したいってことで……」

 サナ 「だから〜、セレナのママが招待したってことは、サトシを認めてるってことだよ。言っちゃえば、ママ公認だよ!」
 ▼ 64 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:23:30 ID:Hc2ARRJ6 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「公認って……///」

 サナ 「サトシ、帰っちゃうんでしょ。もうセレナの家が最後のチャンスだよ。あとはセレナ次第なんだから」

 セレナ 「私次第、か……」

 サナ 「……ふふっ。覚悟決めないとねセレナ。 じゃあ、サトシたちのバトル見に行こうよ。後は そのまま夕ご飯かな」

 セレナ 「うん……そうねっ」


サナの言う通り、このポケモンセンターでサトシと2人きりになれなかった以上、私とサトシだけの時間って言うのは、もう残り僅か。

サナはママがサトシを認めてくれたって言うけど、そんなの分からないよ。

“一緒に旅してお世話になった お礼”って、普通のことだと思うし、そもそもママには、私がサトシのこと好きだって話してないし。

本当に……どうしよう。


 サナ 「ほら行くよセレナ〜」

 セレナ 「あっ……うん!」


ゆっくり考える時間は無いけど、今は今の時間を楽しまないと。サトシとティエルノのバトルを見れるのも、これが最後なんだから。

そうして私たちは、外のフィールドへと向かった。


 ▼ 65 クティニ@つららのプレート 17/01/24 07:02:01 ID:3FCzMeAY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 66 タチ@ふねのチケット 17/01/24 13:15:39 ID:XDJa.lwc NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 67 タマロ@あいいろのたま 17/01/26 10:39:04 ID:Y2.b2LXc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 68 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:07:40 ID:3aFf2qxw [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-5 】


 サナ 「ふ〜さっぱりした〜」


サナがシャワーから出てきた。

夕食を終えた私たちは、早めに解散となって、サトシたちと別れて部屋に戻った。

サナたちの調査が、明日の朝早くから行われるからだ。


 セレナ 「じゃあサナ、早めに寝た方が良いよね」

 サナ 「うん……」


髪を下ろして雰囲気の違うサナは、ドライヤーで髪を乾かし始めた。

私は着替えを取り出して、荷物を整理する。明日は早いから、今のうちに準備しておかないとね。


それから20分くらいして、私たちはベッドに潜り込んだ。
 ▼ 69 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:08:20 ID:3aFf2qxw [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「おやすみ、サナ」

 サナ 「おやすみ。……ねぇセレナ」

 セレナ 「なぁに?」

 サナ 「もうちょっとだけ……話さない?」

 セレナ 「うん。でも、明日早いのに大丈夫?」

 サナ 「大丈夫だよ少しくらい」

 セレナ 「良かった。私も もう少し、サナと お話ししたかったんだ」

 サナ 「ふふっ」


私たちはベッドに寝ころんだまま、お互いの方を向き合う。


 サナ 「驚いちゃったな。セレナがホウエンに旅立つなんて。どうして旅に出ようって思ったの?」

 セレナ 「うん……、私ね、フレア団の事件の後、サナと一緒にパフォーマンスしたでしょ?」

 サナ 「復興のステージね」

 セレナ 「うん。その時、やっぱり私はパフォーマンスが好きだって思って。それで、もっとパフォーマンスの勉強をしようって思ったんだ」

 サナ 「うん」
 ▼ 70 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:09:00 ID:3aFf2qxw [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「勉強するためには、やっぱり旅に出るのが一番いいって思ったの。でも、最後まで私、迷ってたんだ。ママにも相談したりして」

 サナ 「そうだったんだ」

 セレナ 「でもね、サトシが私に勇気をくれたの」

 サナ 「サトシが?」

 セレナ 「うん」



あの日、私はサトシに誘われて、一緒に空港に行った。

その帰り、街の復興を見ながら、一緒にミアレの街を歩いた。思えばそれは、サトシとのデートだったのかもしれない。

ウインドウショッピングして、ミアレガレットを食べて、そして私は、サトシに手を取られて――。


 サナ 「わぁ……。どうしちゃったのサトシ? サトシって、そんな……女の子をリードするような性格だったっけ?」

 セレナ 「あの時は私も驚いたもん。……サトシはね、私の気持ち、見抜いてくれたんだ」

 サナ 「えっ……それって、セレナがサトシを好きだってこと!?」

 セレナ 「ううん、そうじゃないの。あのとき私ね、悩んでたんだ。これからどうするかって」
 ▼ 71 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:09:40 ID:3aFf2qxw [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシに手を取られて向かった先は、バトルフィールド。サトシは私に、バトルを提案してきたのだ。

ちょっと予想外のことに私も戸惑っていると、サトシは言ってくれた。


  サトシ 『オレさ、なんかモヤモヤしてても、ポケモンとバトルするとスッキリするからさ。元気出せよ』


そのとき改めて、私はサトシのことを、素敵だなって思った。

だってその時、私は悩んでたんだもん。

これからどうするか、どうすべきなのか。

そんなモヤモヤした気持ちを、サトシは察してくれたんだと思う。

だからサトシ、私と一緒に空港に行って、その流れで、バトルに誘ってくれて。


 サナ 「んも〜なによサトシ? あんなに鈍感なのに、しっかりセレナのこと見てたんじゃない!」

 セレナ 「うん……///」

 サナ 「それでそれで! その後……どうしたの?」
 ▼ 72 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:10:20 ID:3aFf2qxw [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシとのバトルは、結果的に、途中で中断する形となった。

でもそれは、サトシが、私のためにバトルを誘ってくれた証拠でもあった。


  サトシ 『やっぱりテールナーとの息はピッタリだ! そんなすっげぇ心強いポケモン……、テールナー、ヤンチャム、ニンフィアが一緒なんだ』


私はハッとした。


  サトシ 『オレだってゲッコウガのことで迷ったり悩んだりしたけど、あのとき思ったんだ。1人で何でも出来る訳じゃない。支えてくれるポケモンが居るから頑張れるんだって』


それはサトシが言ったからこそ、説得力と安心感を私に与えてくれた。

1人で思い悩んでいた私の心が、スーッと晴れ渡って行くのを感じて、そして――。


  サトシ 『オレは いつだって、セレナのこと応援してるからさ!』


凛々しい笑顔でそう言ったサトシに、私の胸は ときめいた。

だってサトシは、私のモヤモヤを察して、悩みを見抜いて、そこまで考えてサトシは、私をバトルに誘ってくれたんだもん。

そんなサトシの気遣いは本当に嬉しかったし、サトシのこと、素敵だなって、サトシと一緒に旅できて本当に良かったなって、そんな喜びが、私の心を満たした。
 ▼ 73 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:11:00 ID:3aFf2qxw [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「んんんんんもぉぉぉぉぉ! すっごい良い話だよセレナっ! サトシってば やる時は やるのねっ!」

 セレナ 「ふふっ」

 サナ 「そっかぁ。サトシの言葉で、セレナは旅立つ決心が付いたのね」

 セレナ 「うん。あと、ホウエンに決めた理由はね、ポケモンコンテストがあるから勉強になるだろうって言われて……」

 サナ 「えっ……誰に?」

 セレナ 「ヤシオさん」

 サナ 「ヤシオさんって……あのプロデューサーの!?」

 セレナ 「うん」

 サナ 「えっ……なんでセレナ? ヤシオさんと知り合いなの!?」

 セレナ 「知り合いって言うか……、色々気にかけて貰ってたの。フレイ大会の後で初めて会って、その時は厳しいこと言われちゃったんだけど……」


私には、クイーンとして絶対的に足りないものがある――、ヤシオさんに言われた言葉。

結局 私はそれを見つけられないまま、マスタークラスに挑戦して、エルさんと戦って、そして負けた。

でもその時のヤシオさんは、腕を怪我した私を助けてくれたし、何より、“私に足りないもの”を見つけた後、私をスカウトしてくれた。

結局そのスカウトは断っちゃったけど、ヤシオさんは、私のファンになってくれていて――。
 ▼ 74 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:11:40 ID:3aFf2qxw [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「それでね、ヤシオさんから、ホウエンに行ってみたらどうかって、言って貰ったんだ」

 サナ 「あのヤシオさんに認められたなんて、セレナ、それって本当に凄いことだよ! やっぱりセレナのパフォーマンスは本物ってことだねっ!」

 セレナ 「ありがとう。でも、今の私があるのは、サナのお陰だよ」

 サナ 「私の?」

 セレナ 「うん。あのサマーキャンプでサナと会わなかったら、ポケモンパフォーマーって道があることも知らなかったし、サナにカロスクイーンを目指そうって誘って貰えなかったら、私、今頃なにしてたんだろうなぁって」

 サナ 「……ふふっ」


今の私――、夢を追いかける私があるのは、サナのお陰だ。

ポケモンパフォーマーのことを知らなかったら、私は きっと、サトシたちに頼ってばかりで、何も成長しない旅になってたと思う。

もしそうならきっと、サトシは私のこと、ここまで気にかけてくれなかっただろうな。


 セレナ 「サナ。私をパフォーマーの道に誘ってくれて、本当にありがとう」

 サナ 「うん。……なんだか くすぐったいな。そんなに改まってお礼を言われると」

 セレナ 「そう?」

 サナ 「嬉しいけどねっ」
 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:12:20 ID:3aFf2qxw [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは お互い、笑い合った。

あぁ、やっとサナに、ちゃんと お礼が出来た。

マスタークラスのステージでも ありがとうって伝えたけど、その時は簡単に終わっちゃったし、もう一度、きちんと お礼しようって思ってたの。

旅立つ前に言えて、本当に良かったな。


 サナ 「やっぱりセレナには、それだけの実力があるってことだよ。セレナなら、ホウエンに行っても大丈夫。きっとホウエンでも有名になれると思うよ」

 セレナ 「そうかなぁ」

 サナ 「自信持ちなよ! ヤシオさんに認められるなんて、ホント凄いことなんだから!」

 セレナ 「……うん。ありがとうサナ」

 サナ 「えへへっ。……ねぇセレナ」

 セレナ 「なぁに?」

 サナ 「私たち……、ずっと友達だからね?」


改まって、サナは言った。

そんなの当たり前じゃない。私にとって、サナは初めてのライバルなんだから。
 ▼ 76 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/28 00:13:00 ID:3aFf2qxw [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「うん。しばらく会えないけど、サナは私の最高の友達で、最高のライバルで……、離れ離れになっちゃうけど……、それは絶対に変わらないから!」

 サナ 「グスッ……うん! 私も、プラターヌ博士の調査が終わったら、パフォーマーとして、もっともっと修行するから! セレナに負けないくらい、凄いパフォーマーに!」

 セレナ 「えぇ! お互い頑張ろうね、サナっ」

 サナ 「ふふっ。次に会うのはポカロンのステージだねっ」

 セレナ 「うん!」


なんだか私は、サナに勇気を貰った気がした。

私には、最高の友達がいる。離れ離れになっても、お互いを想い合って、切磋琢磨する、最高のライバルがいる。

ホウエンに行っても、サナのことは絶対に忘れない。サナと競い合うって気持ち、絶対に忘れないからね。


 サナ 「じゃあ……おやすみなさい、セレナ」

 セレナ 「うん。おやすみサナ」


私たちは、眠りについた。

お互い本気で お話しできて、励まし合えて、とってもスッキリして――。


 ▼ 77 ルセウス@モンスターボール 17/01/28 00:37:04 ID:KhJQA76s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 78 トデマン@ガルーラナイト 17/02/01 01:09:43 ID:WYduF62E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 79 ドクイン@エレベータのカギ 17/02/04 06:59:47 ID:gJ7YCB3s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シェん
 ▼ 80 イキング@キズぐすり 17/02/04 11:23:43 ID:VPsX67QI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 81 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:57:00 ID:vfM4SM4s [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-6 】


翌朝、7時。

私たちは朝食を済ませ、ポケモンセンターのエントランスに集まった。

サナたちとは、ここで お別れだ。


 サナ 「それじゃあセレナ、ホウエンの旅、頑張ってね!」

 トロバ 「応援してますよ」

 セレナ 「うん。ありがとう!」

 ティエルノ 「セレナぁぁぁ寂しくなるけど……、僕のハートに火を点けた君のこと、一生忘れないよ!」

 セレナ 「あはは……、私もティエルノのこと、忘れないわね(色んな意味で)」

 ティエルノ 「セレナみたいなキュートな女の子に出会えて、友達になれて、僕は本当に幸せさ!」

 サナ 「またティエルノったら!」

 ティエルノ 「……だからサトシ! セレナのこと、よろしく頼むよ」

 サナ 「えっ?」

 セレナ 「ティエルノ……?」
 ▼ 82 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:57:30 ID:vfM4SM4s [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ティエルノの言葉は、ちょっと意外だった。

てっきり もっと私に接近してくるかと思ったけど、それは違った。ティエルノ、サトシと何か話したのかな?


 サトシ 「あぁ! ティエルノたちも、調査の仕事、頑張れよ!」

 ティエルノ 「オーライ! またバトルしようぜサトシ!」

 トロバ 「その時は、是非リザードン同士で!」

 サトシ 「臨むところだぜ!」

 サナ 「ふふっ。サトシとは、これでお別れね。気を付けてカントーに帰ってね」

 サトシ 「サンキュー、サナ」

 サナ 「それと……、私からも、セレナのこと、よろしくねっ」

 セレナ 「ちょっとサナ……」

 サトシ 「任せとけって!」

 サナ 「ふふっ」

 セレナ 「もぉ〜」
 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:58:00 ID:vfM4SM4s [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「それじゃあね。セレナ。サトシ」

 ティエルノ 「また会う日まで!」

 トロバ 「お元気で」

 セレナ 「みんなも元気でね」

 サトシ 「カントーにも遊びに来てくれよな!」


サナたちは、2番道路方面へ進んで行った。

これから3人は、プラターヌ博士の調査の手伝いをする。自分の出来ることを買って出たサナたち。みんなこうやって、成長していくんだね。

お別れは呆気なかったけど、そんなサナたちの決意に、私は勇気を貰った。私もホウエンの旅、頑張らないとねっ。



 サトシ 「それじゃあオレたちも行くか」

 セレナ 「うん」


私たちも、そろそろ出発しないと。

アサメタウンまで、あともう少し。天気は良いし、道も なだらか。上手く行けば、午前中には着けそうかな。
 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:58:30 ID:vfM4SM4s [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 サトシ 「……あれ何だ?」

 セレナ 「えっ?」


メイスイタウンを出ようとしたところで、サトシが声を上げた。

見ると、アサメタウンへと続く道に、パトカーが停まっている。


 サトシ 「何かあったのか?」

 セレナ 「事件、なのかな。あんまり騒がしくは無いけど……」


パトカーこそ停まっているものの、その現場は至って静か。

人だかりも無いし、別に道を通行止めにしている感じでもない。

どのみち そこを通らないとアサメタウンには行けないし、ひとまず近付いて、様子を見ることにした。


 ジュンサー 「……あ、君たち、ちょっと待って」


すると、パトカーからジュンサーさんが下りて来て、私たちを呼び止めた。
 ▼ 85 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:59:00 ID:vfM4SM4s [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あっ、はい」

 サトシ 「ジュンサーさん、何かあったんですか?」

 ジュンサー 「実はね、この辺で、ポケモンハンターが活動してるって情報を受けたのよ」

 サトシ 「ポケモンハンターが!?」


ポケモンハンター。ポケモンを不法に捕まえる悪い人。

捕まえたポケモンは高値で売り捌かれたり、違法な研究の材料にされるって聞いたこともある。

私たちも旅先で何度か遭遇してるけど、絶対に許せない人たちだ。


 ジュンサー 「それで、ここを通る人たちに注意喚起してたのよ」

 セレナ 「そうだったんですか」

 ジュンサー 「……けど、あなた達なら心配いらないかしら? カロスリーグ準優勝のサトシ君?」

 サトシ 「えっ……オレのこと知ってるんですか?」

 ジュンサー 「勿論よ。カロスリーグは一大イベントだもん。ほとんどの人が中継を見てたでしょうし、あのゲッコウガは注目の的だったからね」
 ▼ 86 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 22:59:31 ID:vfM4SM4s [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「へへっ。なんか照れるよな、ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴぃっかぁ」

 セレナ 「ふふっ。流石サトシね」


ジュンサーさんにまで名前が知れてるのは、なかなか凄いことだと思う。

昨日のハルキとルイナもそうだけど、サトシ、カロスで一気に有名人になっちゃったみたいだね。


 ジュンサー 「でも、もし何かあったら、迷わず連絡してね」

 サトシ 「はい。 ちなみに、そのポケモンハンターって……」

 ジュンサー 「30代くらいの男1人って情報よ。年齢からすると、恐らくベテランのハンターね」

 サトシ 「30代くらいの男……、分かりました」

 セレナ 「気を付けます」

 ジュンサー 「えぇ。 それじゃあ、良い旅を!」

 ▼ 87 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:01:00 ID:vfM4SM4s [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサーさんに別れを告げて、私たちはアサメに続く道へと進んだ。

こう言うのもアレだけど、アサメやメイスイはカロスでも田舎のほう。そんな所にまでポケモンハンターが出るなんて、なんだか複雑だ。


 サトシ 「まったく。ポケモンハンターって 何処にでも居るんだな」

 ピカチュウ 「ぴぃか!」

 セレナ 「うん。ポケモンを無理矢理 捕まえるなんて最低よ」

 サトシ 「出来ればオレたちで捕まえたいけど……」

 セレナ 「ジュンサーさんがチェックしてるから大丈夫じゃないかな?」

 サトシ 「そうなんだよな。……オレ、ポケモンはさ、絶対に無理矢理ゲットしちゃダメだと思うんだ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「心が通じ合って……って言うか、同じ目標に向かって一緒に頑張れてこそ、ポケモンと信頼し合えると思うんだ」


サトシは力強く言った。良い言葉だな。

それはサトシが言うからこそ説得力があるし、サトシだからこそ自信を持って言える言葉だと思う。
 ▼ 88 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:01:30 ID:vfM4SM4s [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ふふっ。サトシのポケモンたちを見れば、よ〜く分かるよ。みんなサトシのために一生懸命だもんねっ」

 サトシ 「あぁ! けどセレナだってそうだろ。テールナーも、ヤンチャムも、ニンフィアも。セレナの夢に共感して、セレナのために頑張ってくれてるじゃん」

 セレナ 「うん。みんな心強いパートナーだもん」

 サトシ 「へへっ。その意気だぜセレナ。……って言ってみたけどさ、実はピカチュウ、最初はオレに懐いてくれなかったんだ」

 ピカチュウ 「ぴ〜か〜」

 セレナ 「えっ……そうなの!?」

 サトシ 「あぁ。旅だった日なんて、何回も電撃浴びたもんな〜」

 ピカチュウ 「ちゃぁ」


信じられないな。サトシとピカチュウ、こんなに仲が良いのに。

今だってそう。ピカチュウのことを話すサトシは活き活きしてるし、ピカチュウも とっても良い笑顔。


そんなサトシの姿に、私はキュンとしてしまう。

サトシと話しをしていると、私は いつも、どこか心躍ってしまうのだ。
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:02:00 ID:vfM4SM4s [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ、私、サトシとピカチュウが初めて会った時のこと、もっと知りたいな」


単純に私は、サトシとピカチュウの関係に興味がある。

でも本当は、もっともっと、サトシと お話ししたい。

爽やかな笑顔で話すサトシの姿を、もっと見ていたい。サトシの声を、もっと聞いていたい。

だから私は、サトシに ねだってみた。


 サトシ 「良いぜ。あの時はオレ、旅立ちの日に寝坊しちゃってさ〜」

 セレナ 「えっ……寝坊しちゃったの?」

 サトシ 「あぁ。そのせいで初心者用ポケモンが全部 貰われちゃっててさ。それで特別に、オーキド博士がコイツを紹介してくれたんだよ」

 ピカチュウ 「ぴかっちゅ」

 セレナ 「そうだったんだ」

 サトシ 「でさ、コイツいきなりオレに電撃だぜ。旅立ってからも電撃電撃で、仕方なくビニール手袋はめてたんだよ」

 セレナ 「ふ〜ん。信じられないなぁ。今のピカチュウ、こんなに大人っぽいのに」

 ピカチュウ 「ぴか」
 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:02:30 ID:vfM4SM4s [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「それでさ、転機があったのは、オニスズメに襲われた時なんだ」

 セレナ 「オニスズメに……?」


その後しばらく、サトシは自分とピカチュウの話を、私に聞かせてくれた。

2人がどうやってピンチを乗り越えて、どうやって仲良くなっていったのか。

他にも、ピカチュウが進化したくない理由や、ケチャップのこと、カメラのこと。

それに……ちょっと信じられないけど、サトシがピカチュウと別れようとした時のことなんかも。サトシは全部、包み隠さず、私に話してくれた。


私はサトシの旅路に、どんどん惹き込まれていく。

私の知らないサトシの姿が、少しずつ、明らかになっていく。


一つ言えるのは、やっぱりサトシはサトシだって言うこと。

旅だって間もない頃のサトシも、ピカチュウを守るために体を張って、ポケモンのことに一生懸命で。

昔から変わらないんだな、サトシって。



とっても楽しい話を聞いているうちに、私たちは、私の故郷、アサメタウンに到着した。


 ▼ 91 レベース@ムシZ 17/02/04 23:08:43 ID:f07xv2oo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 92 ッキー@ドクZ 17/02/04 23:17:44 ID:lNE4/FS2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 93 ジャンボ@TMVパス 17/02/04 23:48:12 ID:TQxCYVtA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシの旅立ちって作中ではいったいどれ程前の話なんだろう
セレナと初めて会ったのはXY設定では旅立ちの前
XYではピカチュウとは長い付き合いだともいってたけど
やっぱり年数経ったとしても身体的に成長しない世界なのか?アニポケは
 ▼ 94 ンドロス@あかいビードロ 17/02/05 06:18:47 ID:UvQ72W6U [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>93
ロケット団も映画で長い付き合いとか言ってたな。
やっぱり時間そんなに経ってないんじゃないか?
 ▼ 95 クタス@サイキックメモリ 17/02/05 06:20:39 ID:UvQ72W6U [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>94
言ってること矛盾してたわ

ロケット団も映画で長い付き合いって言ってたからな
まぁそういうことなんちゃう
 ▼ 96 オップ@ファイヤーメモリ 17/02/08 23:19:02 ID:db2fmJdo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3日も待ってる……
待ってるから続きを……
 ▼ 97 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:16:21 ID:wgcGefrM [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-7 】


 セレナ 「到着〜。ここが私の家よ」


12時少し前、ようやく私の家に到着した。

久しぶりのアサメタウン、久しぶりの実家。なんだか懐かしいな。


 サトシ 「おぉ〜。デカい家じゃん!」

 セレナ 「そんなこと無いよ」

 サトシ 「いや、オレん家より全然デカいよ。……お、サイホーンだ!」

 セレナ 「ママのサイホーンよ。ただいまサイホーン」

 サイホーン 「さぁい!」

 サトシ 「そっか。サイホーンレーサーだから」

 セレナ 「えぇ。こう見えて この子、すっごく早いんだから」

 サトシ 「へぇ〜。よろしくなサイホーン」

 サイホーン 「さい!」

 セレナ 「ふふっ」
 ▼ 98 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:17:00 ID:wgcGefrM [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは興味深そうに、私のサイホーンを撫でている。やっぱりサトシ、ポケモンが大好きなんだな。

……そんなことを考えていると、家のドアが開いた。


 サキ 「あらセレナ、帰って来たのね」

 セレナ 「ママ!」

 サキ 「いらっしゃいサトシ君」

 サトシ 「こんにちは! 招待して貰っちゃって、ありがとうございます」

 サキ 「えぇ、そのことなんだけど……」


ママが口ごもる。

そう言えばママの格好、サイホーンレーサーの教室に行くスタイルだ。それに、大きなバッグも持っている。

ママはサイホーンレーサー教室の講師をやっていて、週に何回か、子供たち向けの授業に出かけるんだけど、今日ってその日だったっけ?

 
 セレナ 「ママ、教室に行くの?」

 サキ 「実はね……、セレナ覚えてる? サイホーンレーサー教室の、合宿授業」

 セレナ 「あっ、うん。泊りがけでサイホーンの乗り方とかをマスターする授業だよね?」

 サキ 「えぇ。それでね、その合宿を担当する先生が風邪でダウンしちゃって……、私が代わりに行くことになっちゃったのよ」
 ▼ 99 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:17:30 ID:wgcGefrM [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……そうなの!?」

 サキ 「ごめんなさいねサトシ君。おもてなしの準備は してたんだけど、ほんの1時間くらい前に その連絡が来ちゃって……」

 サトシ 「いえ。その先生が風邪なら仕方ないですよ」

 サキ 「明日の午前中には帰って来るから、遠慮しないで寛いでてね。帰ってきたら、おいしいご馳走、振る舞っちゃうから」

 サトシ 「はい。ありがとうございます!」

 サキ 「それじゃあセレナ、悪いんだけど、サトシ君を おもてなししてね。冷蔵庫の中の食材、自由に使っていいから」

 セレナ 「うん、分かったわ。ママ、気を付けてね」

 サキ 「えぇ。それじゃあ行くわよサイホーン」

 サイホーン 「ささぁい!」


ママは颯爽とサイホーンに跨って、現役さながらのスピードで、家から出て行った。

急なことで、私もサトシも唖然としてる……けど、私は すぐに現実に引き戻されることになる。


 サトシ 「サキさん忙しそうだな。じゃあ今夜は、オレとセレナだけか」

 セレナ 「ぁっ……」 ドキッ
 ▼ 100 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:18:01 ID:wgcGefrM [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう、今日これからは、私とサトシの、2人だけ。

しかも、私の家で。


 サトシ 「なんか悪いなぁ。サキさんが留守なのに、セレナの家に泊まっちゃって」

 セレナ 「あっ……そっ、ううん大丈夫! ママも良いって言ってたし!」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「大丈夫大丈夫! とっ、とにかく上がってよサトシ」


うぅ……落ち着いて私。

こんな形でサトシと2人きりになるなんて予想外だけど、とにかく落ち着いて。


 サトシ 「それじゃあ、お邪魔しまーす」

 セレナ 「はい、どうぞ……」




ひとまず私は、サトシをリビングに通した。

通した……のは良いけど、何を話せばいいんだろう。

ううん、話したいことは沢山あるけど、私の家でサトシと2人っきりって状況が私を混乱させるって言うか落ち着かないって言うかうぅぅ……。
 ▼ 101 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:18:40 ID:wgcGefrM [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そう言えば……」


そんな沈黙を破ったのは、サトシの方だった。

サトシも気まずいよね、私が黙ったままじゃ。この状況、サトシはお客さんなんだから、本当なら私から話題を出さなきゃいけないのに。


 サトシ 「そろそろ腹減ったな」

 セレナ 「……ふふっ。そうね。もう お昼だもんね」


けど、サトシは やっぱりサトシだった。勿論それは良い意味で。

気まずさなんて考えてた私がバカみたい。

そうよ、サトシは真っ直ぐで明るい性格だもん。変に考えることなんて無いじゃない。


 セレナ 「待ってて。何か作るから」


冷蔵庫の中のモノ、使って良いってママ言ってたわよね。でも夜ご飯のこともあるし、あんまり いっぺんには使えないか。

そうだ。いつも下の棚にホットケーキミックスが入ってたっけ。あとは卵と牛乳と……。
 ▼ 102 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:19:21 ID:wgcGefrM [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「なぁセレナ。オレも手伝うぜ?」

 セレナ 「えっ? 大丈夫だよ。サトシは お客さんなんだから」

 サトシ 「いや、それじゃ悪いって。泊めて貰うんだし、これくらい手伝わせてくれよ。な?」


うぅっ、そんな笑顔で言われたら断れないよ。


 セレナ 「じゃあ……、お願い。そこの棚からボウルを出して、牛乳を入れて貰える?」

 サトシ 「分かった」


私は他の食器を用意して、他の材料を取り出す。

サトシの準備が終わったところに、ホットケーキミックスと卵を入れて かき混ぜる。


 セレナ 「サトシ、バターの封を切って」

 サトシ 「分かった。 それにしてもセレナ、料理上手いな」

 セレナ 「そうかな?」

 サトシ 「あぁ。その泡立てるやつ、見てて、すげぇ手際いいもん」

 セレナ 「あっ……/// ふふっ。ありがとサトシ」
 ▼ 103 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:20:02 ID:wgcGefrM [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


サトシが私の手元を覗き込んで、一気に距離が縮まった。

なんだか夢みたいだな。サトシと2人きりで、一緒に料理して、こんな、肌が触れ合うくらい近くに居れて。


これってなんだか……、新婚さん、みたい。

もしサトシと一緒に暮らすことになったら、毎日こんな、素敵な日々を送れるんだろうな。


サトシは無意識だと思うけど、私、サトシのそういう行動、すごいドキドキしちゃうんだよ?

こんな幸せな時間が、ずっと続けば良いのにな……。

 ▼ 104 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:20:40 ID:wgcGefrM [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「ごちそうさまでした」

 セレナ 「お粗末さま」

 サトシ 「美味いホットケーキだったよ。さすがセレナだなっ」

 セレナ 「ふふっ、ありがとう。シトロンのを見てたおかげかな」


私の料理が ここまで上達した理由は、シトロンの料理を間近で見てたから。

この旅で私、料理のスキルも上げたんだから。


 サトシ 「13時か……。これからどうする?」

 セレナ 「うん……」


少なくとも明日の午前中まで、私はサトシと2人きり。

だったら私は、サトシと行ってみたい所がある。
 ▼ 105 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:21:20 ID:wgcGefrM [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「じゃあ、出かけようよ。すっごく景色の良い場所があるの」

 サトシ 「昨日言ってた所か?」

 セレナ 「うん。ちょっと歩くけど、ポケモンもいっぱい居るし、サトシも気に入ると思うな」

 サトシ 「へぇ〜。じゃあ行こうぜ!」

 セレナ 「うん。けど……ちょっと着替えて来ても良い?」

 サトシ 「着替える?」

 セレナ 「うん。あの……えっと、ホットケーキ作る時に、ちょっと粉が飛んじゃって……」

 サトシ 「そっか。じゃあオレここで待ってるから着替えて来いよ」

 セレナ 「うん。じゃあ、すぐ来るね」



私は2階にある自分の部屋に向かった。

着替える必要があるかって聞かれれば、そんなこと無い。粉が飛んじゃったって言うのも嘘だし。

でも、サトシと2人で お出かけ……、サトシと最後のデート。最後くらい、ちゃんと お洒落したいもん。


 セレナ (これ……、あんまり着てなかったな)
 ▼ 106 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:22:00 ID:wgcGefrM [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私がクローゼットから取り出したのは、まだ数回しか着ていない、お出かけ用の服。

それは、ピンク色のワンピース。裾に舞うサクラの花びらがアクセント。

可愛いデザインが気に入ってるんだけど、気に入ってるあまり、勿体なくて あんまり着てこなかった服だ。


 セレナ (サトシとのデート……、着るならこれしかないよね)


いつもの服を脱いで、私はそのワンピースに身を包む。

髪を切ってから着るのは初めてだから、なんだか新鮮な感じだ。


 セレナ (リボンは いつも通り……と)


サトシから貰った大切なリボンは、普段着と同じように、襟に通して胸の上で結んだ。

ピンクのワンピースを、青いリボンが鮮やかに染める。アクセントにピッタリだ。


 セレナ (これで良し……と)


私は部屋を片付けて、サトシの待つリビングへと向かった。

サトシ、私を見てなんて言うかな。可愛いって……、言ってくれないかな……。

 ▼ 107 ルー@かおるキノコ 17/02/09 05:37:15 ID:jn1hcgXQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 108 レシー@メタルパウダー 17/02/10 10:42:10 ID:H3G18qLk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 109 ラカラ@メタグロスナイト 17/02/10 11:20:07 ID:UE/nCvlE NGネーム登録 NGID登録 報告
もうブログ書かないんですか……?
 ▼ 110 ガヘラクロス@レンブのみ 17/02/13 07:30:38 ID:dEsapA.k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 111 キジカ@どくのジュエル 17/02/14 01:19:11 ID:nLh6bFIQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
まだー?
 ▼ 112 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:55:00 ID:lez4aSXU [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「お待たせ、サトシ」


私は静かに、サトシの前に立った。

普段と違う私服をサトシに見せるのは、これが初めて。フワッと揺れるワンピースの感触が、私を緊張させる。


 サトシ 「おぉ」

 セレナ 「どうかな、サトシ?」

 サトシ 「似合ってるよ。それに……リボン、付けてくれてるんだな」

 セレナ 「あっ、うん。サトシからの大切なプレゼントだもん」

 サトシ 「そっか。サンキューな」

 ピカチュウ 「ぴかちゅ」

 セレナ 「ふふっ」


似合ってる……、そう言って貰えて嬉しいけど、やっぱり“可愛い”って言って貰いたいな。

でもそれは私のワガママ。鈍感なサトシが“似合ってる”って言ってくれただけで十分、かな。


 セレナ 「じゃあ行こうよサトシっ」
 ▼ 113 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:55:30 ID:lez4aSXU [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは外に出た。

遠くに雲は見えるけど、太陽が降り注ぐ、良い天気だ。


 セレナ 「これから行くところね、すっごく景色の良い所なの。私のお気に入りの場所」

 サトシ 「ポケモンも いっぱいいるんだろ? 楽しみだな」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 セレナ 「ふふっ。ちょっと歩くけど、サトシ、絶対 気に入ると思うな」


そこは、アサメタウンの外れにある、小高い丘の上。

ポケモンが沢山いる林道を進んで行った場所。少し距離があるけど、是非サトシにも、その景色を見せてあげたい。


 サトシ 「……お、自転車あるじゃん」

 セレナ 「えっ?」


庭の隅っこを見て、サトシが言った。

確かにそこには、古いママチャリがある。もう ずっと乗ってないけど……。
 ▼ 114 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:56:00 ID:lez4aSXU [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「距離あるんなら、自転車で行こうぜ!」

 セレナ 「でも、もう ずっと乗ってないし、空気も抜けちゃってるし……」

 サトシ 「空気入れあるか?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「チェーンもそこまで錆びてないし、まだ乗れるって。貸してくれよ」

 セレナ 「ちょっと待ってて」


私は収納庫から、空気入れを取り出した。

それを受け取ったサトシは、手際よく自転車に空気を入れていく。

こういう所を見ると、サトシは やっぱり男の子なんだなって思う。自分がやらないことを こなしていくサトシの姿に、ちょっとだけキュンとしてしまった。


 サトシ 「……よし。パンクしてないし、これで乗れるぜ」


そう言ってサトシは、スタンドを畳んで自転車に跨った。
 ▼ 115 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:56:30 ID:lez4aSXU [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほらセレナ。乗れよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「後ろ」

 セレナ 「あっ……うん!」


私はサトシの後ろ、荷台(?)の部分に、横向きに腰掛けた。


 サトシ 「よし。じゃあセレナ、道案内頼む。しっかり掴まってろよ」

 セレナ 「うん。じゃあ、右に出て、しばらく真っ直ぐね」

 サトシ 「よっしゃ行くぜ!」

 セレナ 「きゃっ」


勢いよく自転車を漕ぎだしたサトシ。

私は思わず、サトシの体に しがみついてしまった。


 セレナ (あっ……///)
 ▼ 116 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:57:00 ID:lez4aSXU [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はいま、憧れの人の漕ぐ自転車に乗って、憧れの人と密着して……。

この状況……、映画で見たことがある。

読書が好きな女の子が、ヴァイオリンの修行に行っちゃう男の子の自転車に乗って、朝日を見に行くシーン。外国の、故郷に帰りたい歌で有名な、耳を澄ます映画。


 セレナ 「あ、サトシそこ左よ」

 サトシ 「左だな。曲がるから掴まってろよ〜」 グイッ

 セレナ 「うん」 ギュッ


私は自然と、サトシに強くしがみつく。

こんなにサトシと距離が縮まったのって、もしかしたら初めてかもしれない。

青春映画みたいな体験を、私はいま、大好きな人と――。


 セレナ 「ここからちょっと登るけど……、そろそろ下りよっか?」

 サトシ 「平気平気。セレナ軽いし、一気に登るぜー!」

 セレナ 「軽い……かな。ふふっ、うん!」
 ▼ 117 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/14 23:57:30 ID:lez4aSXU [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは勢いを付けて、林道の丘を登っていく。

グイグイと力強く。

自転車が揺れるたびに、私はサトシの肩を強く握る。密着する。


 サトシ 「おっ……チェリムだ!」

 セレナ 「ホントだ。……あ、あっちにムックルがいるよ!」

 サトシ 「向こうにはトランセルだ!」

 セレナ 「ってことはバタフリーもいるのかな?」

 サトシ 「そうだなっ。ホント、ポケモンいっぱい いるな!」

 セレナ 「ふふっ」


楽しいな。それに、すっごいドキドキする。

サトシと肌が触れ合うくらい近くで、気持ちの良い林道で、一緒にポケモンを眺める――。

こんなに幸せを味わったのって、生まれて初めてかも。サトシも楽しめてるみたいだし、私にとって、最高のデートだ。




そして あっという間に、私たちは目的地に到着した。
 ▼ 118 ノガッサ@エレキブースター 17/02/15 22:10:08 ID:D3LaqMfE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 119 ァイヤー@キーストーン 17/02/15 23:29:10 ID:zDx/tU36 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自転車二人乗り…って思ったけどエスカレーター逆走するくらいだからな
それにしてもセレナが幸せそうでなにより

支援
 ▼ 120 ママイコ@せいなるはい 17/02/16 21:50:27 ID:qqHRZJ4. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 121 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:01:11 ID:dFwy8UhU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-8 】


林道を抜けて視界が晴れれば、そこは私の お気に入りの場所。

誰にも教えたことのない、私の秘密の場所。


 サトシ 「ここが……」

 セレナ 「うん」


丘の上に広がる、小さな草原。

その先は崖になっていて、遮るものなく、山や川、大空と雲、それに飛び交うポケモンたちを眺めることが出来る。


 サトシ 「気持ち良い所だな。それに、すげぇ景色じゃん!」

 セレナ 「ふふっ。私の秘密の場所」

 サトシ 「秘密の?」


そう、秘密の場所。

私に とってこの場所は、誰にも教えたくない、私だけの場所だった。
 ▼ 122 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:01:50 ID:dFwy8UhU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そうだ。みんな出て来て!」

 テールナー 「てな」

 ヤンチャム 「ちゃむ」

 ニンフィア 「ふぃぃあ」

 サトシ 「お。じゃあオレも。出てこいみんな!」

 ファイアロー 「ふぁぁい」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」

 オンバーン 「おぁぁい」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「みんな自由に遊んで良いぞ。あ、くれぐれも崖から落ちんなよ」

 セレナ 「ふふっ。みんな、今日は のんびり楽しもうね」


テールナーたちは、いくつかのグループに分かれて、思い思いに遊び始めた。

自然いっぱいの場所で、駆けまわったり、寝っ転がったり、ワザを出し合ったり。みんな楽しそうだ。
 ▼ 123 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:02:30 ID:dFwy8UhU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ふー。あー気持ち良いー」 ドサッ


ポケモンたちを見守りながら、サトシは草の上に寝転がった。

私は寝転がるのは ちょっと抵抗があるから、そんなサトシの横に腰掛けた。


 セレナ 「平和ね」

 サトシ 「あぁ。風の音と、ピカチュウたちの声と、あとなんだろう……野生ポケモンの声か?」

 セレナ 「うん。草木が揺れる音に……あとほら、川の流れる音も。聞こえる?」

 サトシ 「……あぁ、聞こえる聞こえる。崖の下に川あるんだな」

 セレナ 「そうなの。こうやって耳を澄ますだけで、なんとなく落ち着けるんだ、ここって」


私たちは しばらく、自然の織り成す音を味わった。

それ自体が楽しいって訳じゃないけど、こうやって穏やかな自然に身を置いて、何もしないで のんびりするのも悪くないと思う。

チラリとサトシに目をやると、彼は目を瞑って、自然の音を堪能しているようだった。
 ▼ 124 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:03:00 ID:dFwy8UhU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……実はね、ここ、私が“家出”したときの居場所なんだ」

 サトシ 「家出……?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「そっか。セレナも家出なんてするんだな〜」

 セレナ 「驚かない?」

 サトシ 「驚くもなにも、小さい頃って家出するもんだろ? ……まぁ、すぐママに連れ戻されちゃうけどさ。反抗する意思表示って言うのかな?」

 セレナ 「そうそう、私も そんな感じ」

 サトシ 「オレなんかは、遅くまでポケモン探しに行ってて、ママによく怒られてさ。だったらポケモンとずっと一緒に居る〜って、よく家を飛び出してたんだ」

 セレナ 「ふふっ。サトシらしいね」

 サトシ 「セレナは、なんで家出なんてしたんだ?」

 セレナ 「私ね……、逃げ出したかったの」

 サトシ 「逃げる?」

 セレナ 「うん。私、小さい頃からサイホーンレーサーの練習しててね……、嫌だったんだ。怖いし、痛いし、汚れちゃうし」

 サトシ 「そっか」
 ▼ 125 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:03:30 ID:dFwy8UhU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「勿論、ママを恨んでなんて いないよ? でも、ママが決めた道を強制されるのが嫌で……、だってサイホーンレーサーって、飾り気とか無いし、女の子として ちょっと、って思っちゃんたんだ」

 サトシ 「そっか。セレナお洒落だもんな」

 セレナ 「あっ、そうかなっ……」

 サトシ 「だからセレナ、ツナギにハートマーク入れてたんだな」

 セレナ 「えっ……見ててくれてたの?」

 サトシ 「あぁ」


そっか。サトシあの時、私のツナギ姿、ちゃんと見ててくれてたんだ。

あの時はサトシと再会したばっかりでテンション上がっちゃって、そんなに可愛げもないツナギ姿もアピールしちゃったっけ。

うぅ……、いま考えると ちょっと恥ずかしい。


 サトシ 「でもセレナさ。逃げ出したって言っても、オレにサイホーンの乗り方、教えてくれたじゃん。それってセレナが、サイホーンレーサーと ちゃんと向き合ってるってことだろ
?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「だって、そうじゃなかったら、1日でオレにサイホーンの乗り方をマスターさせるなんて無理だろ?」

 セレナ 「それは……、そうなのかなぁ?」

 サトシ 「オレはそう思うぜ」
 ▼ 126 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:04:00 ID:dFwy8UhU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ありがとうサトシ。でもね、サイホーンレーサーの特訓から逃げちゃったことには変わりないの。今回の旅だって、半分くらい、“逃げ”だったんだ」

 サトシ 「そうなのか?」

 セレナ 「テレビでサトシのこと思いだして、そのっ、サトシに会いたいって気持ちが大きかったけど……、家に居なければ、特訓する必要も無いかなって」

 サトシ 「そっか」

 セレナ 「だからね、私、嬉しかった。サトシに旅に誘って貰えて。本当に、嬉しかったの」

 サトシ 「まぁ確かに、サイホーンが居ない環境になれば、特訓できないもんな」

 セレナ 「あっ……、そのっ……」


違う、違うのサトシ。

“嬉しかった”って、そう言う意味じゃないの。

憧れのサトシに誘って貰えて、大好きなサトシと一緒に旅を出来た……、嬉しかったのは、そっちなの。



 セレナ 「……私ね、サトシと旅 出来て、本当に良かった」
 ▼ 127 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/18 01:04:30 ID:dFwy8UhU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
言わないと。

私の正直な気持ちを、伝えないと。


 セレナ 「色んな出会いがあって、色んな経験が出来て、それに、私の夢を見つけられて。サトシには、諦めない大切さも教わったしね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「私、サトシと一緒に旅して、もう逃げないって決めたんだ。カロスクイーンになるって言う夢に向かって、絶対に諦めないって。ずっとずっと、それを心の中で誓ってたの」

 サトシ 「良い心がけじゃん。そうさ、諦めなければ、いつか努力は実を結ぶ。マスタークラスでエルさんと戦うまで勝ち進めたのも、セレナの努力の結晶だぜ?」 ニカッ

 セレナ 「サトシ……」


サトシの言葉と表情は、いつも私を ときめかせてくれる。

私はサトシに勇気を貰った。今の私があるのは、サトシのお陰。

色んな人に支えられて、応援されて、励まされて……、勿論そういう要素もある。

でも、その根底には、サトシの姿がある。いつも私を見守って、応援してくれた、サトシの姿が。


 セレナ 「サトシ……、今まで本当に、ありがとう」

 サトシ 「ん? あぁ。どうしたんだよ急に?」


 セレナ 「サトシ、あのね……、私、貴方のこと……」
 ▼ 128 ノンド@スチールメモリ 17/02/18 07:15:25 ID:sNkF1c6s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 129 マンタ@おまもりこばん 17/02/19 02:33:46 ID:LkNFH52Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 130 イコウオ@ドリのみ 17/02/20 00:54:09 ID:cfeiuL4. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あなたのこと……?

支援
 ▼ 131 ガサメハダー@スペシャルアップ 17/02/20 00:54:59 ID:1qL6RPKI NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
続きが気になる...まだかな
 ▼ 132 ェリンボ@にがいきのみ 17/02/22 13:17:05 ID:L1azx0gw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
師園
 ▼ 133 チャブル@ミュウZ 17/02/24 07:52:24 ID:mc.hmPtU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 134 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:15:00 ID:COHYTr06 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 「「「 こふぃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! 」」」





 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「なんだ今の鳴き声!?」


突然響き渡る、野生ポケモンの声。

声って言っても、どちらかと言うと悲鳴に近い。


 セレナ 「林道の方から……」

 サトシ 「行ってみよう。みんな いったん戻れ!」

 セレナ 「あ、待ってサトシ! テールナーたちも戻って!」


サトシはルチャブルたちをボールに戻すと、悲鳴が聞こえた方へと駆けだした。

テールナーたちを戻した私も、少し遅れてサトシに続く。
 ▼ 135 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:17:00 ID:COHYTr06 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ……今のって」

 サトシ 「あんな鳴き声、何かあったとしか思えない」

 セレナ 「何かって もしかして……」

 サトシ 「……ポケモンハンターが出たかもしれない」

 セレナ 「やっぱり……」


嫌な予感は、私もサトシも同じだった。

あの時ジュンサーさんが言ってた、ポケモンハンターの目撃情報。そこに悲鳴となれば、野生ポケモンがハンターに捕まったって考えるのが自然。

それがまさか、アサメタウンで……。しかも、私の秘密の場所の近くだなんて……。


 セレナ 「あっ……でもサトシ! 本当にポケモンハンターだったら、勝手なことしちゃダメだって」


ジュンサーさんは、もしポケモンハンターを見つけたら、すぐ連絡するようにと言っていた。

勿論サトシは強いけど、勝手にバトルするようなことは止めないと。サトシ、ポケモンのことになると熱くなるから、自分がハンターを捕まえようって考えかねないもん。


 サトシ 「分かってる。今は様子を見るだけだ」

 セレナ 「うん」
 ▼ 136 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:18:00 ID:COHYTr06 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲鳴の上がったと思われる場所に近付いた私たちは、物音を立てないように慎重になる。

そして、辺りを注意深く見渡す。


 サトシ (この辺だよな……)

 セレナ (うん。こんな森の奥ってことは、やっぱり……)


そこは、林道から外れた、木々が生い茂る場所。当然、林道から見ることのできない場所、人目に付かない場所だ。

って言うことは、やっぱりポケモンハンターの仕業の可能性が高い。


出来るなら、野生ポケモン同士のバトルであって欲しい。単なる縄張り争いの類であって欲しい。


 サトシ (……あれだ)

 セレナ (あっ)


けど、そんな願望は崩れ去ってしまった。

私たちの目線の先には、1人の男性と、彼のポケモンであると思われるブーバーン。それに、檻に入れられた沢山のコフーライが……。
 ▼ 137 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:19:00 ID:COHYTr06 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (やっぱりポケモンハンターの奴が……!)

 セレナ (酷い……。コフーライばっかりあんなに)


確か前にも、コフーライばっかり捕まえているポケモンハンターに私たちは会っている。……ポケモンバイヤーだったっけ?

どっちにしても、このままコフーライがハンターの手に渡っちゃうのは避けないと。


 サトシ (なんとかしないと!)

 セレナ (でもダメよサトシ。ジュンサーさんに言われてるでしょ?)

 サトシ (けど! このまま逃げられたらマズいだろ!)

 セレナ (そうだけど……)

 サトシ (……ん? あの2人!)

 セレナ (えっ?)


サトシの目線の先に、2人の人影が。

ポケモンハンターから隠れるように、茂みに身を隠している男の子と女の子。


 サトシ (ハルキ……!)

 セレナ (それにルイナも?)
 ▼ 138 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:20:00 ID:COHYTr06 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは、ハンターに気付かれないように2人に近付いた。


 ルイナ (あ、サトシとセレナ)

 ハルキ (えっ……どうして君たちがここに?)

 サトシ (オレたち、近くの草原に居たんだ。そしたらコフーライの悲鳴が聞こえて、急いで来てみたんだ)

 セレナ (そしたらポケモンハンターが居て……、なんとかしないとって)

 ルイナ (あら、デート中だったの?)

 セレナ (でっ……そういうんじゃ……///)

 ハルキ (そういう女子トークは他で やってくれ)

 セレナ (そっ、それより、何でハルキとルイナも ここに?)

 ルイナ (あぁ、えっと……)

 サトシ (2人もハンターを許せないんだよな?)

 ハルキ (……あぁそうさ。だから こうして隠れて、チャンスを伺ってたんだ。ハンターを捕まえて、コフーライを解放しようと思ってね)

 ルイナ (そうそう)

 サトシ (流石だぜ)
 ▼ 139 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:21:00 ID:COHYTr06 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そっか。ルイナとハルキも、コフーライの悲鳴を聞いてたんだ。それでハンターが許せなくて、私たちみたいに行動してる……。

なんだか2人、私たちに似てるな。会ったばっかりだけど、私たち、なんとなく気が合いそうだ。


 セレナ (でも、私たちだけで勝手にハンターを捕まえるのは……)

 サトシ (確かにそうだけど、でもモタモタしてたら逃げられちまう)

 ハルキ (そうだね。ここは4人で協力して、ハンターの悪事を止めようじゃないか)

 ルイナ (そうね。2人じゃアレだけど、4人なら行けるんじゃないかしら。ハンターは1人だし)

 サトシ (決まりだな。けど、オレたちだけで勝手にってのは、流石にマズい)

 ルイナ (どっちよ)

 サトシ (だから、セレナとルイナは、ジュンサーさんに知らせて来てくれないか?)


えっ……、それって、サトシとハルキがハンターと戦うってこと?

私たちには危険なことさせないで……。


 ハルキ (なるほど。ハンターと戦うのは僕とサトシで、女子には安全な任務を任せる。紳士じゃないかサトシ)


本当、紳士的だよ、サトシ。

サトシは無意識のうちかもしれないけど、サトシのそういうところ、本当に素敵。サトシってば、最後の最後まで格好良いんだから……。
 ▼ 140 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:22:22 ID:COHYTr06 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (勿論、ハルキがオッケーしてくれたら、だけど)

 ハルキ (僕は賛成だね。ルイナ、セレナと一緒に行ってくれ。分かってるね?)

 ルイナ (……オッケー。じゃあ行くわよセレナ)

 セレナ (うん。サトシ、ハルキ。すぐジュンサーさん呼んでくるから、くれぐれも気を付けてね)

 サトシ (任せとけって)

 ハルキ (じゃあ、頼んだよ)



私たちは、音を立てないように、慎重に この場から立ち去った。

早くジュンサーさんを呼んで来ないと。

サトシは強いから大丈夫だと思う。ハルキも、バトルよりポケモンをゲットすることが好きらしいけど、ルイナの話を聞いてる感じ、バトルが弱い訳じゃなさそう。

そんな2人がかりなら、ハンター相手でも問題ないとは思う。けど、ハンターは凶悪な人が多い。そんな状況に、サトシとハルキを いつまでも晒しておく訳には行かない。


 セレナ 「急ぎましょうルイナ」

 ルイナ 「えぇ」


私たちは林道に戻って、アサメタウンの交番に向けて走った。

 ▼ 141 レディア@かおるキノコ 17/02/25 06:53:34 ID:zTpx5Hi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 142 ロッパフ@そうこのカギ 17/02/26 00:03:04 ID:Z0.9DHfc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモン世界って警察がなかなか仕事しないよな
ゲームもアニメも主人公たち子供がすべて解決してしまう
 ▼ 143 マンボウ@オレンジメール 17/03/03 23:57:47 ID:bDNIr1qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 144 ルダック@ジーエスボール 17/03/06 23:18:32 ID:1gtSK8Hc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 145 ビヨン@ふといホネ 17/03/07 07:59:41 ID:FPdrPIzA NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
まだー?
 ▼ 146 レキッド@ドリのみ 17/03/09 23:18:11 ID:fh5vMZi2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さすがに待たせ過ぎ

支援
 ▼ 147 ビィ@ゴーストメモリ 17/03/09 23:19:00 ID:awBFkDzE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
甲州さんのスローペースさは尋常じゃないからなwww
 ▼ 148 ガサメハダー@リリバのみ 17/03/13 23:03:52 ID:wo5LJq8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 149 ルトロス@プラズマカード 17/03/17 23:48:42 ID:AZ4N.CkY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 150 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:50:59 ID:RFvZGp/6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-9 】



 ルイナ 「……待ってセレナ」


走り出してすぐに、ルイナが私を呼び止めた。


 セレナ 「どうしたのルイナ?」

 ルイナ 「急ぐのはマズいわ」

 セレナ 「えっ……どうして?」

 ルイナ 「ハンターが1人って保証は無いわ。仲間がいるかもしれない」

 セレナ 「仲間……。でも、ジュンサーさんは、ハンターは男の単独だって……」

 ルイナ 「そんなの分からないでしょ。プロのハンターなら、そうやって警察を油断させてるかもしれないわ」

 セレナ 「油断……」

 ルイナ 「それに、私たちが すんなり抜け出せたのも怪しいわ。もしかしたら、ハンター仲間に監視されてるかもしれない」

 セレナ 「じゃあ……」

 ルイナ 「とにかく、しばらく待機よ。下手に動くより、まずは様子を見た方が良いわ」
 ▼ 151 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:51:33 ID:RFvZGp/6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは しばらく、茂みの中に身を隠した。

確かにルイナの言う通り、ハンターの仲間が居て、私たちが監視されてたりしたら、下手に動くのは危ないかもしれない。

けど……。


 セレナ 「……ルイナ。そろそろ」

 ルイナ 「甘いわよセレナ。こうやって私たちが痺れを切らすのを待ってるのかもしれないわ」

 セレナ 「そうだけど……」

 ルイナ 「こういう時は、忍耐力が勝負なのよ。分かるでしょ」


ルイナはハルキと一緒に、ポケモンをゲットする旅をしてると言っていた。

だからなのか、忍耐力が強いんだと思う。ゲットする最高のタイミングを計る意味で。


 セレナ (けど……)


5分、10分と、時間は過ぎていく。

それが とっても長く感じられて、その間にもサトシはハンターとバトルしてて。

私には とても、“忍耐力”で片付けられる問題では無かった。
 ▼ 152 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:52:13 ID:RFvZGp/6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ルイナ、もうそろそろ行こうよ」

 ルイナ 「だから待ちなさいって。それこそハンターの思う壺よ」

 セレナ 「けど、サトシたちは今もハンターとバトルしてるのよ。2人なら大丈夫だと思うけど、もし万が一のことがあったら……」

 ルイナ 「大丈夫よ。サトシを信じなさい。好きなんでしょ?」

 セレナ 「すっ……/// でもっ! だからこそ心配なの! ルイナはハルキのこと心配じゃないの?」

 ルイナ 「ハルキなら大丈夫。分かるのよ」

 セレナ 「私だってサトシを信じてる。けど、いつまでも ここで ジッとしてるなんて私には無理!」

 ルイナ 「落ち着きなさいって! ハルキたちの頑張りを無駄にする気!?」

 セレナ 「だってルイナ、おかしいよ! ポケモンハンターって危ない存在なのに、なんでそんなに余裕で居られるの?」

 ルイナ 「それは……」

 セレナ 「とにかく私は ジッとしていられない。もしこのまま待機って言うんなら、もう別行動にしましょう。二手に分かれてジュンサーさんに知らせに行く方が、もしハンター仲間に監視されてたとしても、確率が上がるんじゃない?」

 ルイナ 「ダメよセレナ! 無茶な行動は……」

 セレナ 「大丈夫。私だって、ポケモントレーナーだもん!」
 ▼ 153 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:52:48 ID:RFvZGp/6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はルイナの制止を振り切って走り出した。

これ以上、サトシを待たせる訳には行かない。これ以上、サトシを危険な状態に置いておく訳には行かない。


私は一応、まわりを確認しながら走る。

けどそもそも、10分以上待機して何も動きが無いってことは、ハンター仲間が居る確率なんて、ほとんどゼロのはずだ。

ルイナだって、それくらい分かるはずなのに。


 セレナ (ルイナ、なんで……)


勿論、ルイナにはルイナなりの考えがあるのは分かる。

慎重な性格なのかもしれないし、ポケモンをゲットする趣味から、身を潜めて待機する大切さを知っているのかもしれない。


でも、“時と場合”ってのがあるはずだ。

少なくとも私は、これ以上の待機に賛同は出来ない。


 セレナ (待っててサトシ。すぐジュンサーさんを呼んでくるから……!)


そう思った、その時だった。
 ▼ 154 メテテ@べにいろのたま 17/03/19 01:02:23 ID:PM0YPpFI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 155 オガエン@クサZ 17/03/23 00:21:46 ID:Q8l.CFqA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 156 ーリキー@パワーベルト 17/03/28 23:10:55 ID:f8si/dnQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 157 シェード@でんきのジュエル 17/03/29 00:24:50 ID:MjVJqpzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 158 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:54:38 ID:bZMMtFH6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ルイナ 「“こごえるかぜ”よ!」


 セレナ 「えっ……きゃっ!?」


私の背後から、冷たい風が吹き付けてきた。

背中を押されるような感覚に驚いたけど、なんとか踏みとどまって、私は後ろを振り向く。

するとそこには、ドンカラスの横で私を睨みつける、ルイナの姿があった。


 セレナ 「ルイナ……?」


今の……、あのドンカラスのワザなの?

だとしたら、私を狙ってたってこと……なの?
 ▼ 159 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:56:40 ID:bZMMtFH6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「待ちなさい。ジュンサーさんに知らせる訳には行かないのよ」

 セレナ 「どういうこと!? サトシたちがハンターと戦ってるのに……」

 ルイナ 「確かに、ハルキとアンタの連れは、ハンターと戦ってるわ。でもそれが……狂言だとしたら?」

 セレナ 「狂言? なに言ってるの……? あのハンター……ルイナたちの味方なの!?」

 ルイナ 「それは違うわ」

 セレナ 「じゃあ……どういうことよ!?」

 ルイナ 「勝てるバトルだって言ってんの。ハルキの実力ならね」

 セレナ 「……待ってルイナ。話がぜんぜん見えてこない。それに! なんで私を攻撃したのよ!?」

 ルイナ 「まだ分からないの?」


“まだ分からないの?”って……。

分からない、どういうことなのか、私には分からない。

考えないと――。

考えて、私。この状況、なんだか とってもマズい気がする。

頭を回転させて。話を整理しないと。
 ▼ 160 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:57:40 ID:bZMMtFH6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシたちがハンターと戦ってるのは、狂言――私たちを騙してるってこと。

でも、ハンターはルイナたちの味方じゃない。

けど、ハルキの実力なら、ハンターには勝てるって言う。

それに、ジュンサーさんに知らされるとマズいらしい。


 セレナ 「ルイナ……、それにハルキ、もしかして、何か悪いこと企んでるの?」

 ルイナ 「悩んだ結果がそれかしら?」

 セレナ 「だって! 分からないわよ。私たちを騙してるってことは事実で、ジュンサーさんに知られるとマズいことなんて! 私、ルイナを信じてたのに! 昨日だって色々お話しして……」


昨日の……話。

ねぇ待って。昨日の話よ!

ルイナとハルキは、ポケモンをゲットする旅をしてるって言っていた。作戦を立てて、珍しいポケモンをゲットするって。

そう言えば引っ掛かってた、ルイナの言ってた“価値”って言葉。

それは単純に、珍しいポケモンは良いボールで捕まえたいって言う意味だと思ったけど、もしそれが、違う意味だったとしたら――。
 ▼ 161 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:58:40 ID:bZMMtFH6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「もしかして……、ルイナたち、ポケモンハンターなの?」

 ルイナ 「まぁ……、ほとんど正解かしら?」

 セレナ 「どういうこと……?」

 ルイナ 「私たちね、ポケモンハンターが捕まえた珍しいポケモンを、奪い取ってるのよ」

 セレナ 「えっ!?」


衝撃の発言だった。

むしろ、ルイナとハルキがポケモンハンターだった方が、まだマシだったかもしれない。

でも現実は違う。2人はいわば……サトシ的な言い方をすれば、“ポケモンハンター”ハンター。

ハンターの捕まえたポケモンを奪い取るなんて……信じられない!


 ルイナ 「驚いてるようね。でもね、それが事実なのよ。私とハルキは、珍しいポケモンを捕まえて、ネットオークションに出してるの」

 セレナ 「オークションに!?」

 ルイナ 「でも、珍しいポケモンって、そんな簡単に手に入らないでしょ? だから手っ取り早く、ハンターが捕まえたポケモンを奪ってるってワケ」

 セレナ 「そんなっ……」

 ルイナ 「相手はプロのハンターよ。そいつから奪い取るんだから、綿密な計画は絶対よ。ハンターを倒したら、ハンターのポケモンを珍しいボールでゲットし直す――、たったそれだけ」
 ▼ 162 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:59:40 ID:bZMMtFH6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「酷い! 酷いよそんなの……酷すぎるわよ!」

 ルイナ 「気持ちは分かるわ。野生ポケモンにとってはエグイことでしょうね」

 セレナ 「じゃあ何で!?」

 ルイナ 「私はただ、ハルキに従ってるだけ。だってそうでしょ? ハルキは強いから、ハンターから100%ポケモンを奪い取れる。そのポケモンは高値で売れる。私にもカネが入る」

 セレナ 「お金のために……そんな悪いことに協力してるってこと!?」

 ルイナ 「もちろん、ハルキのことは愛してるわよ?」

 セレナ 「だったら! 止めるのが筋じゃない! 好きな人が悪いことしてたら!」

 ルイナ 「関係ないわ。私はハルキの女で居る以上、カネには困らないし、贅沢し放題よ。今さら この生活を止められないわ」


有り得ない……、こんなのおかしいよ。

自分が贅沢するために、ポケモンハンターを襲って、そのポケモンをネットで売り捌くなんて。絶対にどうかしてるよ!


 セレナ 「じゃあ……、最初に会った時、ハンターから隠れて様子を見てたのは、最初から あのハンターを襲うつもりだったってこと?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「さっきまで“身を隠した方が良い〜”って言ってたのは、ハンターからポケモンを奪う時間稼ぎってこと?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「そんなの……絶対に間違ってる!」
 ▼ 163 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 01:01:01 ID:bZMMtFH6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は思わず叫んだ。

ただでさえポケモンハンターの行動は許せないのに、それをさらに上回る行動を、ルイナとハルキは取っていたのだから。


 ルイナ 「別に間違ってても構わないわ。……それより、知られちゃった以上、タダで帰す訳には行かないわねぇ」

 セレナ 「えっ!?」

 ルイナ 「今ごろハルキ、ハンターを倒して、計画の実行に移ってるでしょうね。そうなると、サトシは邪魔になるわよね?」

 セレナ 「あっ……サトシ!?」

 ルイナ 「それと同じ。私だって、セレナが邪魔になってるのよ。上手いこと2人、2人で分かれた訳だし、こっちはこっちで、アンタを処分させて貰うわよ」

 セレナ 「っ……! サトシは負けないわ! そんな酷いこと平気でする人に、負けるはずないもん!」

 ルイナ 「大した信頼だこと。でも、いま心配すべきは、自分のことじゃないかしら?」

 セレナ 「……お願いヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃむ!」

 ルイナ 「ふふっ。私に立ち向かうなんて良い度胸ね。バトルは専門じゃないけど、ハルキ直伝の戦略、たっぷり見せつけてあげるわよ!」


私だって、バトルは専門じゃない。

でも戦わないと。ハルキと戦ってるサトシのためにも、私だって、ここで勇気を出さないと!
 ▼ 164 ドラ@わすれもの 17/03/29 22:19:58 ID:Q/Ga7DQQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来たか、支援ぬ
 ▼ 165 ガヤンマ@たいりょくのハネ 17/03/29 22:33:58 ID:ImrHw4jU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 166 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:31:30 ID:X7kzqcjs [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「とっとと終わらせるわよ! ドンカラス“こごえるかぜ”!」


早速ルイナは攻撃指示を出してきた。

もうバトルは始まっている。誰の助けも入らない、私の、私が しっかりしなくちゃいけないバトルが。


 セレナ 「ヤンチャム避けて!」

 ルイナ 「は?」


私はヤンチャムに、回避指示を出す。

……けど、“こごえるかぜ”はヤンチャムに直撃してしまった。


 セレナ 「ヤンチャム!?」

 ルイナ 「アンタ、ホントにバトルダメなのね。風の付くワザは射程範囲が広いんだから、簡単に避けれる訳ないでしょ?」

 セレナ 「そっか……ごめんねヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃむちゃぁ!」
 ▼ 167 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:32:11 ID:X7kzqcjs [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いきなりミスしちゃった……。

こういう所で、バトルの経験の有無が出てきてしまう。


 ルイナ 「ふふっ……案外ラクに勝てそうね。一気に行くわよ! “ブレイブバード”!」


ルイナが叫ぶと、ドンカラスは大きく旋回して、光り輝きながら急降下、ヤンチャム目がけて突進してくる。

“ブレイブバード”って確か、飛行タイプの大技。あんなのをヤンチャムが喰らったら、ひとたまりもない!


 セレナ 「えっと……えっと……!」


どうしよう……、考えてる時間なんて無いのに。

ドンカラスは どんどん接近してくる。ワザの相性的に、向かい打っても負けてしまう。

かと言って避けきれるような攻撃でもないし……どうしたら……!?

こんなとき、サトシだったら……。
 ▼ 168 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:32:50 ID:X7kzqcjs [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そうだ! ヤンチャム地面に向かって“つっぱり”よ!」

 ヤンチャム 「ちゃむ!」


それは、かなり冒険だったかもしれない。

でもヤンチャムは、私を信じて動いてくれた。


 ルイナ 「なっ……!?」

 セレナ 「避けて!」

 ヤンチャム 「ちゃぁ!」


ヤンチャムは、ドンカラスの攻撃を避けることに成功した。

私が何をしたか――、それは、地面に“つっぱり”することで、砂埃を上げて、ドンカラスの視界を奪うこと。

言ってみれば、ワザの“すなかけ”と同じようなことを再現したのだ。


 セレナ 「今よヤンチャム! “ストーンエッジ”!」

 ヤンチャム 「やっちゃぁ!」
 ▼ 169 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:33:59 ID:X7kzqcjs [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして隙を付いて、ドンカラスに“ストーンエッジ”を直撃させた。

ヤンチャムの“ストーンエッジ”は、青く光りながら地面から大きく突き出す。

ポカロンで使っていたこのワザは、飛んでいるドンカラスにも上手く対応して、ダメージを与えることに成功した。


 セレナ 「良いわよヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃぁむ!」


 ルイナ 「しっかりしなさいドンカラス! “こごえるかぜ”!」


けど、ドンカラスは まだまだ倒れない。

すぐさま態勢を立て直して、“こごえるかぜ”を発射した。


 セレナ 「“あくのはどう”で向かい打つわよ!」

 ヤンチャム 「やっちゃぁ!」


“こごえるかぜ”を回避できないのは学習済み。

だったら相殺させるしかない。相手が“風”なら、こっちは“波導”だ。


その2つのワザは、ヤンチャムとドンカラスのちょうど中間で衝突する。行き場を失ったエネルギーが爆風となって、辺り一面を巻き込んだ。
 ▼ 170 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:35:50 ID:X7kzqcjs [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「んっ……大丈夫ヤンチャム!?」

 ヤンチャム 「やちゃぁ!」

 ルイナ 「やりなさいドンカラス!」

 セレナ 「ぁっ……気を付けてヤンチャム!」


その爆風、爆煙の中で、ドンカラスが動いた。

大きく羽ばたいて上昇、爆風の煙の外に出た。奪われた視界を確保するためってことか。


 セレナ 「今よヤンチャム! 思いっきり上に向かって“ストーンエッジ”!」

 ヤンチャム 「ちゃむ……ちゃぁぁぁぁぁ!」


けど、ドンカラスが煙の外に出たことで、ヤンチャムにとっては、攻撃先が明らかになった。

上に突き出す“ストーンエッジ”ほど、今この状況で相応しいワザは無いと思う。

だって、ヤンチャムは まだ煙の中。ドンカラスからしたら、ワザがどこから撃たれるか予想しにくいはずだもん!


 ヤンチャム 「ちゃむぅぅぅぅぅ!」
 ▼ 171 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:37:00 ID:X7kzqcjs [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤンチャムの繰り出した“ストーンエッジ”が、上空のドンカラスに直撃した。

ドンカラスは不意を突かれたのか、ほとんど回避行動を取らなかった。

やっぱり煙の中からの攻撃は避けようが無かったみたい。


 セレナ 「やった!」


私は正直、バトルは苦手だ。

いくらルイナもバトル経験が少ないからって、そう簡単に私の戦略が通用するとは思っていなかった。

でも、私は自分で思っていた以上に、バトルのスキルを身につけていたみたい。

それは、サトシのバトルを いつも間近で見てきたから。誰よりもサトシのバトルを見守って来たから。

そういう経験が、私を強く、成長させてくれてたんだ。






 ルイナ 「ドンカラス“ブレイブバード”!」

 セレナ 「……えっ!?」
 ▼ 172 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:38:00 ID:X7kzqcjs [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど次の瞬間、信じられないことが起こった。

“ストーンエッジ”が直撃したはずのドンカラスの体が、まるで蒸発するかのように、消えてしまったのだ。


 セレナ 「なんで……」

 ルイナ 「ほら後ろガラ空きよ!」

 セレナ 「あっ……避けてヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃっ……!?」


私が叫んで、ヤンチャムがそれに反応して……、でも、もう遅かった。

ドンカラスはヤンチャムの すぐ後ろに迫っていた。完璧な“ブレイブバード”の構えで。


 セレナ 「あぁっ……」


鈍い音とともに、ヤンチャムの体は跳ね飛ばされた。

“ブレイブバード”が、直撃。

飛行タイプの大技を、ヤンチャムは無防備な状態で、喰らってしまったのだ。
 ▼ 173 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:39:20 ID:X7kzqcjs [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ふふっ。効果抜群。戦闘不能ね」

 セレナ 「そんなっ……、ヤンチャム……」


ルイナの言う通り、この一撃で、ヤンチャムは倒れていた。

そんな……。こんなことって……。


 ルイナ 「滑稽ね。勝ったと思ったでしょ? “ストーンエッジ”当てたとき」

 セレナ 「……ありがとう、ヤンチャム」

 ルイナ 「その時のアンタの嬉しそうな顔、ホントおかしかったわ。私の戦略に まんまと嵌ってるとも知らないで」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「あれねぇ、ドンカラスの“みがわり”なの。煙に紛れて作ったら、セレナ、疑いもしないで そっちを攻撃するんだもん。マジウケるんですけど」


確かに私は、勝ちを確信してしまった。

けど、それはルイナの作戦だった。考えてみると、あんなに あからさまに囮になるようなこと、おかしいって思わなきゃいけなかった。

そんな単純な罠に、引っ掛かるなんて……。
 ▼ 174 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:40:00 ID:X7kzqcjs [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「私に勝つなんて無理な話なのよ。大人しく降参したら?」

 セレナ 「……お願い、テールナー!」

 テールナー 「てなっ!」

 ルイナ 「まだやるの〜?」


ルイナは強い。

……実際、私が弱すぎるだけかもしれないけど、私にとって、ルイナが強敵なのは間違いない。

思いださないと。サトシの戦略を。サトシのバトルスタイルを。サトシのバトル精神を。


 セレナ 「私は……絶対に負けない!」

 テールナー 「てんな!」


サトシだって、ハルキと戦っている。

絶対に諦めちゃダメだ。

ルイナに勝って、サトシの隣に居て恥じないトレーナーに、私は なるんだ!
 ▼ 175 ハコモリ@ヤタピのみ 17/04/01 07:45:37 ID:n4Xa6ewM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 176 ジョンド@メタルコート 17/04/01 13:22:09 ID:VF8Z0Fx2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 177 ナフィ@ブーカのみ 17/04/06 07:39:46 ID:v1iF/5GY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 178 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:24:00 ID:Uzcv/5eg [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「はいはい強がってるのも今のうちよ。ドンカラス“つじぎり”!」

 セレナ 「テールナー“かえんほうしゃ”よ!」

 ルイナ 「避けて!」


テールナーに突っ込んで来たドンカラスは、“かえんほうしゃ”が来るや否や、上空に回避した。

また“みがわり”を使われないように、今度はドンカラスのこと、よく見ておかないと。


 ルイナ 「一気に行くわよ! “こごえるかぜ”!」


ドンカラスが上空で大きく羽ばたくと同時に、冷気を帯びた風が巻き起こった。

さっきのヤンチャムと同じ……、風の攻撃は攻撃範囲が広いから避けにくい。だったら……!


 セレナ 「向かい打つわよ! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てんな!」


“だいもんじ”は、“かえんほうしゃ”のような一点に向かう攻撃と違って、“大の字”に炎が拡散される。

広範囲に渡る“風”を防ぐには、こっちの方が良いはずだ。

予想的中、“だいもんじ”は上手いこと“こごえるかぜ”を掻き消してくれた。相性が良いってこともあるかもしれないけど。
 ▼ 179 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:25:00 ID:Uzcv/5eg [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「やった!」

 ルイナ 「ほら反応 遅いわよ! “つじぎり”!」

 セレナ 「えっ……あ! テールナー避けてっ!」

 テールナー 「てなっ!?」


その直後、テールナーに“つじぎり”が直撃してしまった。

“こごえるかぜ”を防げて安心してる私、隙だらけだったんだ……。

もっと先のことまで考えて指示を出さないといけない……、これがポケモンバトル……!


 ルイナ 「あははっ! まだまだねセレナ! 一気に行くわよ“ブレイブバード”!」


ルイナは、ドンカラスは、私に考える時間を与えてくれない。

“つじぎり”を放ったドンカラスは、そのままの勢いで大きく旋回して、攻撃態勢に入る。

翼を畳んだかと思ったら、急降下からの低空飛行で、テールナー目がけ一直線に突っ込んで来た。
 ▼ 180 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:26:20 ID:Uzcv/5eg [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「“かえんほうしゃ”よ! “かえんほうしゃ”で向かい打って!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」


もう回避は出来ないと、私は直感した。

ドンカラスの“ブレイブバード”のスピード、たとえ避けれたとしても、背中を取られてしまう。

なら、何とか向かい打つしかない。私は咄嗟の判断で、“かえんほうしゃ”を指示するしかなかった。


 ルイナ 「“ブレイブバード”、甘く見ない方がいいわよ!」

 セレナ 「えっ!? そんなっ……」


“かえんほうしゃ”が、ドンカラスに直撃した。

でも、ドンカラスは止まらない。“ブレイブバード”の勢いは衰えない。

“かえんほうしゃ”を切り裂くように正面突破したドンカラスの”ブレイブバード”に、テールナーは弾き飛ばされてしまった。


 セレナ 「ぁっ……テールナー!?」
 ▼ 181 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:27:20 ID:Uzcv/5eg [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「セレナってホントにバトル、ダメなのね。“ブレイブバード”と“かえんほうしゃ”の威力の違いとか分からない? 防げるわけないじゃない」

 セレナ 「ごめんねテールナー……。まだ行ける?」

 テールナー 「てんな……!」


テールナーは立ち上がって、大きく頷いてくれた。

ごめんねテールナー。私に もっとバトルの知識があれば、的確な指示を出せてたのに。

やっぱり私、バトルなんて……。


 セレナ 「……ううん! 私、諦めないって決めたもん! 諦めない大切さ、サトシに教えて貰ったもん!」

 テールナー 「てなぁ!」

 ルイナ 「あらあら。こんな状況でもサトシなんだ」

 セレナ 「行くよテールナー! “かえんほうしゃ”!」

 ルイナ 「避けて!」


テールナーが放った“かえんほうしゃ”を、ドンカラスは上空に向かって回避した。

……ダメ。空に逃げられたら攻撃が当たらない。

だって空は障害物が無いから、ドンカラス、自由自在に逃げれるんだもん。
 ▼ 182 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:28:01 ID:Uzcv/5eg [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ (どうしたら良いの……? こんな時、サトシだったら……!)

 ルイナ 「“こごえるかぜ”よ!」

 セレナ 「……あっ!?」


この状況の打破を考えてる私を嘲笑うかのように、次の攻撃が迫っていた。

上空のドンカラスから噴き出される“こごえるかぜ”。

私の指示が遅れたせいで、それはテールナーに直撃してしまった。


 セレナ 「またっ……大丈夫テールナー!?」

 テールナー 「てんなぁ……!」

 セレナ 「ごめんなさい……私っ、また……」

 ルイナ 「続いて“つじぎり”よ!」

 セレナ 「“かえんほうしゃ”で向かい打って!」

 テールナー 「てな!」

 ルイナ 「じゃあドンカラス、“つじぎり”やめて回避よ!」
 ▼ 183 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:30:00 ID:Uzcv/5eg [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドンカラスは また、上空に逃げて“かえんほうしゃ”を回避した。


ダメ……、私、この状況を整理するだけで いっぱいいっぱい。ルイナの指示に、ついていけない……。

落ち着いて考えたいけど、考えこむ時間は無い……。


 セレナ (落ち着いて……、落ち着いて、私……!)


ドンカラスは、“ストーンエッジ”を喰らってる。

それに、“ブレイブバード”の反動も受けてるはず。ルイナが2回目の“ブレイブバード”を指示してこないのは、これ以上の反動のダメージを避けたいからかもしれない。

それはそれでチャンスだけど、テールナーの攻撃は、広い空に逃げられちゃって当たらない……。

たとえ“たいもんじ”を打っても、“こごえるかぜ”の相殺と違って、簡単に避けられちゃう……。


 セレナ (どうすれば良いの? サトシっ……)


サトシは、いつも凄い戦略を思いつく。

フィールドを味方につけた攻撃や、相手の特徴、特性を逆手に取った攻撃も。

いま思うと、改めて、それって凄いことだと思う。だって私、実際にバトルしてみて、そんなすぐに戦略なんて思いつかないもん。


 セレナ (サトシなりのバトル……。だったら、私なりのバトル、何か……!?)
 ▼ 184 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:31:00 ID:Uzcv/5eg [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私が出来ることと言えば、パフォーマンスの応用。

けど、ヤンチャムの“ストーンエッジ”くらいしか、バトルに応用できることは思いつかない。

何か……何か無いの!?

いま、この状況をガラッと変えられる、私なりの戦法……!?



 セレナ 「……あっ! テールナーお願い! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てんな! てぇなぁぁぁぁぁぁ!」


テールナーは、リボンの枝を大きく構えて、大量の炎を繰り広げる。

それは大の字になって、ドンカラスに迫っていく。

威力は申し分ない。パフォーマンスの見栄えに力を入れてるお陰で、大きな大きな“大の字”を作れるんだから。


 ルイナ 「同じことよ! 避けてドンカラス!」

 セレナ 「今度は逃がさないわよ! テールナー! “大の字”の中心に“めざめるパワー”!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」

 ルイナ 「えっ?」
 ▼ 185 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:32:30 ID:Uzcv/5eg [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“めざめるパワー”、紫色の球体が発射されて、それはちょうど、“だいもんじ”の大の字の中心に衝突した。

コントロールは抜群だ。この辺も、パフォーマンスの練習が役立ってるんだと思う。

でも注目するのは次だ。


 ルイナ 「あっ……うそ!? ドンカラス!?」


“めざめるパワー”が直撃した“だいもんじ”の炎が、大きく破裂した。

四方八方に飛び散る炎、四方八方に飛び散る“めざめるパワー”。

オレンジと紫のエネルギーの破片が、キラキラと輝きながら鮮やかなコントラストを生み出して、空を彩る。

それは打ち上げ花火のように。打ち上げ花火のように破裂して、“回避したつもりでいた”ドンカラスに直撃したのだ。


これが――、私なりのバトル……!


 セレナ 「良いわよテールナー! 続けて“かえんほうしゃ”!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」

 ルイナ 「っ……避けてドンカラス! 避けるのよ!」
 ▼ 186 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:33:31 ID:Uzcv/5eg [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、不意打ちを受けたルイナもドンカラスも、完全に反応が遅れていた。

ドンカラスはハッとして回避しようと羽ばたいたけど、“かえんほうしゃ”の方が少しだけ早かったみたい。

結果、炎が羽を かすめて、ドンカラスは大きくバランスを崩す。


 セレナ 「決めるわよ! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てぇぇぇぇんなぁぁぁぁぁぁぁ!」


バランスを崩したドンカラスは、隙だらけだった。

そんな隙だらけのドンカラスに攻撃を当てるのは、簡単なことだった。さっきまで あれだけ余裕で回避されてたのが嘘みたい。

やっぱりポケモンバトルって、一瞬の判断で勝負が決まるんだ……。

私は それを、強く実感した。


 ルイナ 「ドンカラス!?」


強力な炎の集中砲火を受けたドンカラスは、ついに、地面に墜落した。

戦闘不能だ。私たちの勝利だ。
 ▼ 187 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:35:35 ID:Uzcv/5eg [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「やった! やったよテールナー! 凄い凄い!」

 テールナー 「てなっ! てんなぁ〜!」


私は堪らず、テールナーとハイタッチ。

やったねテールナー。私たち、ドンカラスに勝てたんだよ! バトルの経験が無い私たちでも、勝てたんだよ!


 ルイナ 「やってくれたわね……!」


けど、そんな喜びは、一瞬で終わってしまう。

ルイナの手に握られたモンスターボールは2つ。1つはドンカラスを戻したボール。って言うことは、次のポケモンが、まだ居るってこと……。


 ルイナ 「調子乗ってんじゃないわよ! 行きなさいロズレイド!」


ルイナが繰り出したポケモンは、ロズレイド。

初めて見るポケモンだ。両手がバラの花みたいで……、ってことは、草タイプのポケモン?

ならテールナーの方が有利だ。油断は禁物だけど、この流れを断ち切りたくない!


 セレナ 「このまま行くよ、テールナー!」

 テールナー 「てんな!」
 ▼ 188 ーパ@ピントレンズ 17/04/12 05:21:39 ID:dwxhjvxw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 189 ロカロス@イトケのみ 17/04/12 16:21:10 ID:e9hIetGM NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援
 ▼ 190 ラティナ@ひきかえけん 17/04/15 00:40:51 ID:y91g3YJQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 191 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:38:01 ID:K4.mS4Xk [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とは言っても……。

テールナーは“ブレイブバード”に“こごえるかぜ”、“つじぎり”を受けてしまっている。

息は上がってるし、毛並みも所々乱れていて、正直、このままバトルを続けさせたくない。


でも……、ごめんねテールナー。

今回だけはダメなの。

自分のためにも、サトシのためにも、今回のバトルだけは、私たちだけで切り抜けなくちゃいけないの。

きっとテールナーも それを分かってるから、頑張ってくれてるんだよね?


 セレナ 「テールナー“かえんほうしゃ”よ!」

 テールナー 「てなぁ!」

 ルイナ 「“ヘドロばくだん”!」


“かえんほうしゃ”と“ヘドロばくだん”が ぶつかり合って、ワザは互いに相殺。

「相性が悪くても当たらなきゃ意味ない」ってメッセージなのか、ルイナはニヤリと私を見る。

……けど、その不吉な笑みの本当の理由を、私は知ることになる。
 ▼ 192 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:48:59 ID:K4.mS4Xk [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ― ポツ……ポツポツ……ザァァァァァァァァァァァァ



 セレナ 「雨……?」

 テールナー 「てな……」


突然、雨が降り出したのだ。

確かに雲が湧いてたけど、ほんの1時間くらいまで晴れてたのに、雨が降るなんて……。


 ルイナ 「あらあら。どうやら運は私に味方してくれたようねぇ。雨だと炎ワザの威力、落ちちゃうんじゃない?」

 セレナ 「あっ……」

 ルイナ 「ふふっ」


確かに、雨だと炎ワザの威力は落ちるって聞いたことがある。

なんで こんなタイミングで……。
 ▼ 193 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:59:59 ID:K4.mS4Xk [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ロズレイド“エナジーボール”!」

 セレナ 「“めざめるパワー”で向かい打って!」

 テールナー 「てんな!」


緑と紫の球体が衝突して、破裂する。

その砂煙で視界が隠れた隙を、私は もう逃さない。


 セレナ 「今よテールナー! “かえんほうしゃ”!」

 テールナー 「てなっ! てなぁぁぁぁぁぁ!」


とにかく、何か突破口を作りたい。

ロズレイドに対して炎ワザは効果抜群だから、たとえ雨だとしても、ワザを当てさえすれば、一気に私が有利になると思う。

だから、この一撃に……!
 ▼ 194 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:10:00 ID:K4.mS4Xk [4/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「甘いわよ! “マジカルシャイン”!」


その瞬間、砂煙の向こうで、強烈な光が発せられた。


 セレナ 「うっ……!?」


あまりにも眩しすぎるその光に、私は思わず目を瞑ってしまった。

けど、一瞬の隙が勝負を左右するポケモンバトルで目を瞑るなんて自殺行為だ。

私は目に手を当てがって、細目でなんとかフィールドを確認……、したけど、もう遅かった。


 セレナ 「あぁっ……テールナー!?」

 ルイナ 「ふふっ。一撃ね」


テールナーは、地面に倒れていた。

“マジカルシャイン”の発光で、多分テールナーの“かえんほうしゃ”は止まっちゃったんだと思う。

そんな隙だらけのテールナーに、“マジカルシャイン”は直撃した……。


 セレナ 「ありがとうテールナー。ゆっくり休んでて」
 ▼ 195 ノアラシ@ピーピーエイダー 17/04/16 01:14:06 ID:ckW3T.TQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 196 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:20:00 ID:K4.mS4Xk [5/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テールナーは、よく戦ってくれた。

バトル経験なんて ほとんど無いのに、ルイナのドンカラスを倒して、ダメージが蓄積してるのに、ロズレイドと戦ってくれて。

絶対に負けられないっていう私の気持ちを理解して……、きっと、多少は無理もしたと思う。


 セレナ (あとは、あなたに頼るしか……)


私の最後のポケモンは、ニンフィア。

テールナーよりも もっとバトル経験の無い、ダンスが大好きな、パフォーマンスを極めている、ニンフィア。


 セレナ 「お願い、ニンフィア!」

 ニンフィア 「ふぃぃあ!」


いつも通りの笑顔でボールから出てきたニンフィア。

だけど、いつもと違う雰囲気を悟ったのか、途端に険しい表情になる。
 ▼ 197 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:30:29 ID:K4.mS4Xk [6/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ニンフィア……。普通なら要注意ポケモンだけど、トライポカロンなんかに入り浸ってるアンタのポケモンじゃ、心配なさそうね」

 セレナ 「トライポカロンなんかって……、パフォーマンスを馬鹿にしないで!」

 ニンフィア 「ふぃあっ!」

 ルイナ 「だってね〜。ポケモンを着飾って? ダンスして? それになんの意味があるワケ?」

 セレナ 「意味って……」

 ルイナ 「ダンスが見たいならポケモンショーを見に行けばいいじゃない。なんで素人がダンスして、しかもそれを競い合うワケ? それ違くない?」

 セレナ 「何が違うって言うのよ?」

 ルイナ 「ダンスみたいなユルユルなもので競って どんな意味があるのってことよ。私から見たら、バトル出来ないザコな女が、変なプライド意識で勝負してるようにしか見えないのよ」

 セレナ 「なっ……酷いこと言わないで! パフォーマンスは……パフォーマンスは、見る人を笑顔に出来る! 沢山の人に笑顔を与えることが出来るの!」


エルさんのパフォーマンスを見て、私は感じ取った。

美しい演技は、皆を笑顔にして、皆の心を癒すことが出来る。“与える存在”になることが出来る――。


 セレナ 「バトルと違った角度からポケモンの魅力を引き出せる……。それがパフォーマンスなの!」
 ▼ 198 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:39:59 ID:K4.mS4Xk [7/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「なにムキになってんのよ。じゃあ何? こういう状況で、パフォーマンスで私を打ち負かしたいってワケ? パフォーマンスすれば、世の中の争いごとの全部を平和的に解決できるって思ってるワケ?」

 セレナ 「そっ……、そこまで言ってないじゃない!」

 ルイナ 「そう言うことよ。喧嘩や力比べは、バトルならお互い納得して解決できるけど、パフォーマンスは何? 何の意味があるって言うの? それが分からないのよ、私には」

 セレナ 「それとこれとは話が別よ!」

 ルイナ 「はぁ……。要するにね、パフォーマンスなんて自意識過剰な女の自己満足って言いたいのよ。観客が喜ぶのは、単なる付録でしょ?」

 セレナ 「自己満足って……パフォーマンスを貶さないで! 私たちパフォーマーは、皆を笑顔にするために特訓してるの! 自己満足なんかじゃ無いの!」


私は、そう信じてる。

だから私は、復興途中のミアレシティで、パフォーマンスのステージを企画した。

皆の疲れを癒すために。皆に笑顔を取り戻して貰うために。


ルイナの言葉は、そんな私の、私たちの、私とポケモンたちの決意を踏みにじるようなものだった。

頑張ってくれたテールナー、ヤンチャム、ニンフィアのためにも、今のルイナの言葉は、絶対に許せない。


 ルイナ 「だったら実力で私を納得させてみたら?」
 ▼ 199 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:46:00 ID:K4.mS4Xk [8/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「実力……」


けど、結局のところ、バトルになってしまう。

ルイナを納得させるのも、ルイナたちの野望――ポケモンハンターから珍しいポケモンを奪ってネットで売り捌く――を止めるのも、バトルで勝つしかない。

しかも、バトル慣れしてないニンフィアで。


 ルイナ 「行くわよロズレイド! “エナジーボール”!」

 セレナ 「お願いニンフィア! “かげぶんしん”よ!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」


そしてバトルは、すぐに始まってしまった。

ロズレイドの繰り出す緑色の球体がニンフィアに迫る……けど、ニンフィアは“かげぶんしん”した お陰で、その攻撃は外れた。

もともと野生で人見知りで臆病だったニンフィアは、自分を守るワザを固めている。

逆に言えば、だからこそ臆病なニンフィアは、野生として生きてこれたんだと思う。
 ▼ 200 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:46:30 ID:K4.mS4Xk [9/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「チッ! 分身とかウザいのよ! “マジカルシャイン”!」

 セレナ 「また……ニンフィア“まもる”!」

 ニンフィア 「ふぃぁ!」


“マジカルシャイン”の強力な光は、全体攻撃ワザだ。

それを避けたり、ワザで相殺するのは難しい。さっきのテールナーへの攻撃で、そう感じてしまった。

だったら守るしかない。


 ルイナ 「“まもる”なんて覚えてるのね。でもこれで分身は封じたわね」

 セレナ 「っ……!」


ニンフィアへのダメージは防げたけど、今のワザで分身は全て消えてしまった。

“マジカルシャイン”によって、“かげぶんしん”は無効化されたと言っても間違いではない。


 ルイナ 「しかも“まもる”は連続で出すと失敗しやすいのよね。攻めるわよ! 連続で“ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「避けるわよニンフィア! あなたのダンス、見せてあげて!」

 ニンフィア 「ふぃあ! ふぃぃあっ!」
 ▼ 201 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:47:00 ID:K4.mS4Xk [10/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロズレイドはバラの両手を交互に振りかざして、連続で“ヘドロばくだん”を繰り出した。

いかにも毒々しい紫色の液体がニンフィアに向かってくる。


……けど、私のニンフィアを甘く見ないで欲しい。

ニンフィアは身軽な体を活かして、ジャンプして、屈んで、リボンでバランスを取って、その液体を軽やかに回避し続けた。


 ルイナ 「……チッ! ちょこまかウザったいわねぇ!」

 セレナ 「これがパフォーマンスの動きよ!」


パフォーマンスは、軽やかな動きと、細密なタイミング感覚が物を言う。

テールナーとヤンチャムと一緒に特訓してきた、タイミングを計る動き。

華麗に舞う その動きを極めるためには、そういうスキルが重要になってくる。そしてそれは、こうやってバトルでも役に立てるのだ。


 セレナ 「そのまま“スピードスター”!」

 ニンフィア 「ふぃぃぁ!」

 ルイナ 「あっ……ロズレイド!?」
 ▼ 202 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:47:30 ID:K4.mS4Xk [11/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてニンフィアは、華麗な回避行動の中で、“スピードスター”を繰り出した。

雰囲気は全然違うけど、ここはニンフィア、あなたのステージよ。

私たちパフォーマーを貶したルイナに、あなたのパフォーマンス、見せつけてやりましょう!


 セレナ 「続いて“ようせいのかぜ”!」

 ニンフィア 「ふぃぃぃぃあぁぁぁぁぁ!」


“スピードスター”が直撃したロズレイドを、今度は“ようせいのかぜ”が襲った。

ほのかにピンク色に染まった暖かな風は、心地が良いようで、確実なダメージを与える。

ダンスパーティーのサトシとのタッグバトルで初めて使った、ニンフィアの とっておきのワザだ。


 ルイナ 「調子乗るんじゃないわよ! ロズレイドにフェアリーワザは今一つ! 立ちなさいロズレイド!」


ルイナが叫ぶと同時に、ロズレイドは立ち上がった。

2つの攻撃を受けたはずなのに、そこまで息は上がっていないように見える。

やっぱりワザの相性が……。
 ▼ 203 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:48:00 ID:K4.mS4Xk [12/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「……その回避レベルは厄介ね。パフォーマンスの特訓、こんな使い方もあるのね」

 セレナ 「そうよ! あなたは私たちを貶したいみたいだけど、私たちだって、それで黙ってなんて いられないわ!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」

 ルイナ 「まぁ良いわ。そろそろ終わりにするんだから」

 セレナ 「終わりに……?」

 ルイナ 「そっ、終わりにね」 ニヤッ


その時、ルイナは不吉な笑みを浮かべた。

まるで、今すぐにバトルを終了できるような、隠し玉を持っていると言わんばかりに。


 セレナ 「私たちは最後まで諦めない!」

 ニンフィア 「ふぃぃあ!」


けど、私もニンフィアも、まだ戦える。

ルイナが どんな戦略を持ってるのか知らないけど、私たちは、絶対に諦めないんだ!
 ▼ 204 ナギラス@やけどなおし 17/04/16 09:05:03 ID:nuhTvNqs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 205 ュリネ@おちゃ 17/04/16 09:25:03 ID:fPGdfgK2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 206 ガース@ともだちてちょう 17/04/16 10:15:30 ID:ckW3T.TQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 207 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:23:29 ID:K4.mS4Xk [13/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ロズレイド、行きなさい! “しびれごな”!」

 セレナ 「“しびれごな”……。避けてニンフィア!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」


ロズレイドは、黄色く帯びた粒子を吹きだした。

“しびれごな”……。マヒなんてしたら、一気に不利になってしまう。

ここは確実に避けて、確実に次の攻撃に繋げないと!


 セレナ 「“スピードスター”よ!」

 ニンフィア 「ふぃぃぁ!」

 ルイナ 「ふふっ」


大きくジャンプして“しびれごな”を避けたニンフィアは、ロズレイドの背後を取った。

この状態で“スピードスター”を当てて、流れを私たちのモノにする――。

そう思った私は、ようやく異変に気付くことになる。
 ▼ 208 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:31:42 ID:K4.mS4Xk [14/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……あれっ?」


“スピードスター”は、ロズレイドに直撃した。

完璧に背後からの攻撃に成功して、ロズレイドは地面に膝を付く。


……けど、何かが変。

それは、ロズレイドやニンフィアのことじゃない。私自身のこと。

なんだか視界が霞んで来て……、霞む、と言うより、景色が ほのかに黄色くなるって言うか……。


 セレナ 「これっ……あぅっ!?」

 ニンフィア 「ふぃあ!?」


体が、崩れた。

息苦しい。

体が言うことを聞かない。

意識は はっきりしてるのに、私の体は、地面に倒れ込んでしまった。
 ▼ 209 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:39:59 ID:K4.mS4Xk [15/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぁっ……はぁっ、はぁっ……うそっ……」


そうして私は、ルイナの言葉の意味を知ることになる。

“終わりにする”ことの意味を。


 ルイナ 「どうかしら? ロズレイドの“しびれごな”の威力?」

 セレナ 「“しびれごな”っ……、それっ……私にっ……!?」

 ルイナ 「そうよ。ニンフィアに出すと見せかけて、狙いはアンタ。ロズレイドを さり気なく風上に移動させたの、気付かなかった?」


私、“しびれごな”を浴びちゃったんだ。

ルイナは、最初から私への攻撃を狙ってたんだ。

風上に移動って……、ニンフィアを攻撃してる間に移動してたってこと?

バトルしてるように見せかけて、実は私への攻撃の準備を してたってこと!?
 ▼ 210 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:50:01 ID:K4.mS4Xk [16/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぁっ……ぅぅっ……」


だんだんと、体が痺れてきた。

ダメ、起き上がれない。体、ぜんぜん動かないんだもん。

それに、胸が苦しい……。


 ニンフィア 「ふぃぃぁっ! ふぃぁっ……ふぃぃぁ!?」

 セレナ 「ニンフィアっ……だっ、大丈夫だからっ……私はっ、大丈夫っ……はぁっ、はぁっ……」


慌てて駆け寄ってきたニンフィアは、私の腕にリボンを巻き付けて、心配そうに顔を覗きこんでくれた。

ありがとうニンフィア、心配してくれて。

でもダメ……まだ、バトルの途中だから……!


 ルイナ 「今よロズレイド! “ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「だめっ……逃げてニンフィアっ……!」

 ニンフィア 「ふぃぁっ!?」
 ▼ 211 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:59:59 ID:K4.mS4Xk [17/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、完全な不意打ちの前に、ニンフィアのステップは通用しなかった。

……いや、もしかしたらニンフィアは、私の盾になってくれたのかもしれない。自分が避けてしまったら、“ヘドロばくだん”が私に直撃すると思って。


 ニンフィア 「ふぃぁぁぁぁぁぁぁっ……」

 セレナ 「ぁぅっ……ニンフィアっ!?」


ニンフィアに、“ヘドロばくだん”が直撃した。

私の腕を包んでいたリボンが緩む。

効果抜群のワザを受けたニンフィアが、その強力な衝撃で弾き飛ばされる。


 ルイナ 「連続で“ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「ぁっ……やめてぇっ……!」


うずくまるニンフィアに、容赦なく、“ヘドロばくだん”の第2波、第3波が襲った。

隙だらけのニンフィアは、それを避けることも、守ることも出来なかった。
 ▼ 212 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:10:40 ID:K4.mS4Xk [18/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぅっ……、ニンフィア……」


私を心配するあまり、ニンフィアは反応が遅れたんだと思う。

袋叩きのような状況に陥ってしまったニンフィアは、力なく、その場に倒れていた。

可愛らしい素顔、鮮やかな模様は、ヘドロでボロボロになっていた。


 セレナ 「そんなっ……」

 ルイナ 「あははっ! これで戦闘不能ね!」

 セレナ 「酷いっ……。トレーナーに直接攻撃してっ……、ニンフィア、心配するに決まってる……! それで不意打ちなんて……おかしいわよ!」

 ルイナ 「確かに、バトルの精神には反してるわ。それは謝ってあげる」

 セレナ 「心にも無いことっ……!」

 ルイナ 「バレた? まぁ私の目的は、あくまでアンタを捕まえることだから」

 セレナ 「捕まえる……? 私のっ……ポケモンたちまで奪うって言うの!?」

 ルイナ 「アンタのポケモンなんて興味ないわ。……まぁでも考えてみると、“セレナのポケモン”ってことで、そっちのマニアには高く売れるかもしれないけど」

 セレナ 「そんなことっ……絶対、許さないっ……!」

 ルイナ 「話は最後まで聞きなさいよ。私たちの目的はね、アンタを捕まえて、サトシから有利に立つことなのよ」
 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:20:00 ID:K4.mS4Xk [19/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシから……?」

 ルイナ 「いまハルキはサトシとバトルしてるわ。ハルキはバトル強いけど、サトシだって相当な実力者だから、勝てる保証は無いのよ」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「そこでね。サトシに負けそうになった時のことを考えて、セレナ、アンタを盾にしようってなったのよ」

 セレナ 「私を……」

 ルイナ 「アンタを人質に取れば、サトシは私たちに従うしかない……。サトシのポケモンを奪うのに、アンタを利用させて貰ったってことよ!」

 セレナ 「そんな……」


私が……、サトシのポケモンを奪うのに利用された?

ねぇ待って。そもそも、サトシのポケモンを奪うって……?


 セレナ 「あなたたち……、ハンターのポケモンを奪うのを邪魔されたからっ……、私たちとバトルしてるんじゃなかったの?」

 ルイナ 「あー……、その辺も聞きたい?」

 セレナ 「聞きたいって……」
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:22:01 ID:K4.mS4Xk [20/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ま、最後に教えてあげるわ。私たちね、作戦を実行するのに、綿密な計画を立てるって言ったでしょ?」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「それでね。昨日、アンタたちに会って、あわよくば、サトシのポケモンも奪えないかって話したのよ。別れた後に」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「けど、あの後アンタたちに奇襲をかけるのも面倒だから、あくまで“予備”として、作戦立てたのよ。“ハンターを襲ってる時に、サトシとセレナの邪魔が入った場合”って想定でね」

 セレナ 「そんな想定……」

 ルイナ 「抜かりないでしょ? 地理的に可能性がゼロじゃなかったから、用意しておいたってワケ。サトシとセレナをバラして、ハルキと私で別々に相手する。セレナを人質にとって、サトシのポケモンを奪う。完璧だと思わない?」


ハルキとルイナは、そんな計画まで立ててたんだ……。

昨日会って、移動中に お話しした時は、そんな悪い人には見えなかったのに。

じゃあ その時から、サトシのポケモンは狙われてたってことなの?

私たちに不信に思われないように、昨日の段階から、私たちに近付いて準備してたってこと?

分からない……。ハルキとルイナの考え、全然わからないよ!
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:22:31 ID:K4.mS4Xk [21/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「おかしいよ……そんなの」

 ルイナ 「は?」

 セレナ 「ハンターからポケモンを奪って……ネットで売り捌くのもおかしいけど! 私たちと話したのも、最初から私たちのポケモンを奪うつもりだったってこと!?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「仲良くなれたと思ったのに……、それ全部、嘘だったってこと!? 私たちを騙してたってこと!?」

 ルイナ 「えぇ、その通り」

 セレナ 「それで良いのっ!? 人を騙して! 悪いことして! それでホントに良いと思ってるの!?」


私は、痺れてる体に鞭打って、必死で叫んだ。

だって、信じられないんだもん。ハルキとルイナの行動が。

ポケモンを持つ者として、同じ年代の者として、こんな悪いことする2人が、信じられないんだもん!
 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:23:23 ID:K4.mS4Xk [22/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「良い悪いかは置いといて。言ったでしょ? 私はハルキに従ってるだけだって」

 セレナ 「だったら……」

 ルイナ 「ハルキに従ってれば、凄い額のカネが手に入るのよ。私はハルキが好きだし、ハルキも私を愛してくれてる。今さら手放せないのよね。こんな贅沢な生活」

 セレナ 「そんなの……、ルイナ! あなたはハルキじゃなくて! お金を……贅沢な生活を愛してるだけじゃない!」

 ルイナ 「あ、バレた? けどハルキはイケメンだし、一緒に居て嫌なことなんて無いわ。警察に捕まるリスクはあるけど、ハンターを襲うだけなら、そんなリスク小さいモノよ」

 セレナ 「偽物の愛なんて……!」

 ルイナ 「……けど、そろそろ そのリスクとも お別れしたいとは思ってるのよね」

 セレナ 「えっ?」


それって……、実はルイナ、今までのことに罪悪感があるってこと?

じゃあルイナは、心のどこかでは、今までのことを反省して、人生を やり直したいって思ってるってこと?


 セレナ 「だったら……ちゃんと自首して、罪を償って……」

 ルイナ 「バカ言わないでよ。この贅沢を捨てる気は無いわ」


贅沢を捨てる気は無いって……。

ちょっとでもルイナの改心に期待した私が間違いだった。
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:24:00 ID:K4.mS4Xk [23/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「要するに、リスクだけを取り除くってこと」

 セレナ 「それって……」

 ルイナ 「お察しの通り、新しい男に乗り換えようってことよ。良い男も見つけたしね」

 セレナ 「ルイナ……!」


だんだんと、私の中に怒りが溜まっていく。

ルイナの行動は当然 許されるものじゃないけど、自分の都合でハルキと別れようってことが、私には信じられなかった。

だってルイナ、今までハルキと一緒に行動してきたんでしょ? 悪い事だけど、それを2人で やってきたんでしょ?

それなのに、リスクがあるから別れるだなんて。

しかも、お金への執着は残したまま……。


 ルイナ 「誰だと思う?」

 セレナ 「え?」



 ルイナ 「サトシよ」

 セレナ 「……え?」

 ▼ 218 ンゲラー@ポイズンメモリ 17/04/17 05:22:58 ID:XsFgnIuA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 219 フォクシー@どくバリ 17/04/17 08:16:36 ID:ulitbYG. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 220 ニューラ@ゴスのみ 17/04/17 16:38:48 ID:4RRijHGY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……え?
 ▼ 221 ョンチー@フェアリーZ 17/04/17 17:11:07 ID:n4zd4dok NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 222 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:55:55 ID:FDQD7Blw [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は耳を疑った。

ルイナが見つけた新しい男が、サトシ……?


 ルイナ 「カロスリーグ準優勝。それって凄いインパクトよ。メディアに露出すれば、莫大なカネを集められる……。サトシと一緒に居れば、リスクなしで、カネが手に入るのよ!」

 セレナ 「……やめて」

 ルイナ 「ハルキには負けるけど、サトシも なかなか良い男だし、愛してって言われて拒否するレベルでも無いしね」

 セレナ 「……やめて」

 ルイナ 「ポケモンハンターを許さない当たり、サトシって誠実そうだし。私が今までハルキに脅されてたって言えば、簡単にサトシを落とせそうだしね〜」


 セレナ 「やめてって言ってるでしょ!」


私は思わず叫んでしまった。

体が痺れてるはずなのに。

息苦しいはずなのに。

自分でも驚くくらい、大きな声で。
 ▼ 223 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:56:55 ID:FDQD7Blw [2/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「……は?」

 セレナ 「サトシは……、サトシは! ルイナみたいな悪い人と一緒になるような人じゃない!」

 ルイナ 「だから言ってるでしょ。ハルキに脅されて、泣く泣く悪いことしてたってことにするのよ。サトシのことだから、私が本気で演じれば……」

 セレナ 「ふざけないでっ!」

 ルイナ 「何よ さっきから」

 セレナ 「サトシは……、サトシは確かに誠実よ。それに純粋で、前向きで、人にもポケモンに優しくて、最後まで絶対に諦めない!」


今までの旅の中で、私は ずっと、サトシのことを見てきた。

サトシが どれだけ素敵な人か、サトシの傍に居た私は知っている。

私だからこそ、サトシの優しさ、純粋さ、格好良さを知っている。


 セレナ 「サトシのこと何も知らないルイナが! サトシのことを気安く語らないで! ルイナが思ってる以上に! サトシは素敵な人なんだから!」

 ルイナ 「ふ〜ん」

 セレナ 「ルイナみたいな お金が全てで、お金のためなら悪い事する人に! サトシのこと語られたくないっ! そんなの私が許さないっ!」
 ▼ 224 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:57:31 ID:FDQD7Blw [3/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
思ったことを、私は叫んでいた。

ルイナみたいな悪い人にサトシを語られるなんて、不快以外の何者でもない。

サトシのことを これっぽっちも知らないルイナがサトシを語るなんて、ただそれだけで屈辱だ。サトシの顔に泥を塗られた気分だ。

ルイナがサトシに近付くなんて、私は絶対に許せない!


 ルイナ 「アンタ、何か勘違いしてるんじゃない?」

 セレナ 「何がよ!?」

 ルイナ 「自分の状況、分かってんの?」

 セレナ 「っ……!」

 ルイナ 「“しびれごな”で動けない。戦えるポケモンは居ない。それで私に楯突こうなんて、随分と生意気ねぇ」

 セレナ 「それはっ……」

 ルイナ 「ロズレイド! この生意気な女に“エナジーボール”!」

 セレナ 「えっ……!?」
 ▼ 225 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:58:10 ID:FDQD7Blw [4/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の瞬間。

ルイナの横で待機していたロズレイドから、緑色の球体が打ち出された。私に向かって、一直線に。


 セレナ 「あぁっ……」


“エナジーボール”が迫ってくる。

でも、動けない。

避けなきゃいけないのに、体が言うことを聞いてくれない。

もう……、すぐ目の前まで来てるのにっ……!


 セレナ 「うぐっ……やああぁぁぁぁぁぁっ!?」


私の目の前で、緑色の球体が破裂した。


痛い。お腹と太ももが痛い。

ワザのエネルギーが破裂して、お腹と太ももに直撃したってことなのかな。

そう気付いた時、私は宙を舞っていた。
 ▼ 226 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:58:50 ID:FDQD7Blw [5/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



曇天と、降りしきる雨。


くすんだ森と、濡れた草木の匂い。


笑みを浮かべるルイナと、彼女に仕えるロズレイド。


ボロボロになって横たわるニンフィアの姿。


迫る地面と、水溜り。


 ▼ 227 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:59:40 ID:FDQD7Blw [6/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それらがスローモーションのように、私の視界に入ってくる。

その情報が、私の脳に伝わって、その全てを理解した時、私の体に、再び衝撃が走った。

“ドサッ”という音と共に、私の体に、痛みが走った。


 セレナ 「ぁぅっ……うぅぅっ……」


“エナジーボール”で弾き飛ばされた私は、地面に叩きつけられた。

右肩から落ちて、水溜りだらけの地面を滑って、背中を木にぶつけて、私の体は止まった。


痛い……、痛いよ……。

体中、痛いよ……。

でも、動けないよ……。


意識が途切れそうになる。

なんとか頑張って、私は気を しっかり持つ。

視界に入ったルイナは、笑い声を上げていた。
 ▼ 228 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:00:50 ID:FDQD7Blw [7/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「あははっ! 良い格好じゃないセレナ!」

 セレナ 「んっ……」

 ルイナ 「アンタ、今どんな状況か分かる? 酷いもんよ?」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「体中、泥だらけ。ワンピースもボロボロ、グチャグチャ。女として終わってるわよ」

 セレナ 「……グスッ」


あぁ……、私、いまそんなに酷い格好なんだ。

せっかく お洒落したのにな……。

サトシ、このワンピース、似合ってるって言ってくれたのにな……。


情けなくて、悔しくて、恥ずかしくて。

そんな色んな想いが こもった涙が、降りしきる雨と同化して、流れ落ちた。


地面、冷たいよ……。


雨、冷たいよ……。
 ▼ 229 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:01:32 ID:FDQD7Blw [8/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「惨めね! たいして実力も無いくせに私に刃向うからよ! 分かる? これがパフォーマーの 成りの果てなのよ! オラッ!」


  ― ドスッ!


 セレナ 「んぶっ……」


近付いてきたルイナは、私の お腹を、思いきり蹴飛ばした。

体が動かない私は、それを防ぐことも、身構えることも出来ず、受けるしかなかった。


 セレナ 「痛っ……ぅぅっ……」

 ルイナ 「いい気味ね。こんな汚い女、流石のサトシも捨てるんじゃない?」

 セレナ 「ぅっ……そんなことっ……」

 ルイナ 「ま、どっちにしろ私はサトシを口説きに行くわ。絶対的な地位と安定的な生活――。スリルは無くなっちゃうけど、サトシの女になれば、カネには困らないしね〜♪」


また言う……。

ルイナ、サトシのこと、本気で狙ってる……。

こんな酷い女が、素敵なサトシのこと……!

私の憧れの、サトシのこと……!
 ▼ 230 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:02:20 ID:FDQD7Blw [9/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そっ……んなのっ! わたしっ……ユルっ……さない……!」


私は力を振り絞って、必死に叫んだ。

叫んだ つもりだけど、それは情けない小さな声に終わったみたい。

体が痺れて、体が痛くて、私もう、叫ぶ力も残ってなかったんだ。


 ルイナ 「ふーん。まだ言うんだ、それ」


ルイナは しゃがんで、私の顔に目一杯 近付いて、そう言った。

その目は無表情って言うか、まるでゴミを見るかのような、一種の軽蔑の目だった。


 ルイナ 「じゃあ、サトシがアンタに愛想尽かすように、その顔、グチャグチャにしてあげよっか?」

 セレナ 「……ぇっ?」

 ルイナ 「今も泥だらけで 汚らしいけど……、ねぇ知ってる? 顔って殴られると、すっごい腫れるのよ?」
 ▼ 231 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:03:00 ID:FDQD7Blw [10/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、自分が これから何をされるかを察した。

ルイナは不気味な笑みを浮かべると、拳を振り上げた。


 セレナ 「ぃゃっ……」

 ルイナ 「唇が紫の女! 鼻血垂れてる女! 目にクマ付けてる女! そんな女を、サトシが好きになると思うのかしらねぇ?」

 セレナ 「ぁっ……ぁぁっ……やだっ……」 ガクガクガク

 ルイナ 「アンタの人生……、これで、終わりよ!」

 セレナ 「ゃっ……ぁっ……いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」












 ニンフィア 「ふぃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 ▼ 232 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:07:00 ID:FDQD7Blw [11/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ちょっ……なに!?」

 セレナ 「ニン……フィァ……」


ニンフィアが、雄叫びを上げた。

雄叫び……、女の子のニンフィアに、その表現は違うかもしれないけど、でも今のニンフィアの鳴き声は、そんな、それほど力強いものだった。

今まで聞いたことの無い、大きな大きな鳴き声を、ニンフィアは発したのだ。


 ルイナ 「コイツ、まだ立て……え?」

 ニンフィア 「あっ……」


そして私は、ニンフィアの変化を目の当たりにした。

多分ルイナも、それに驚いたんだと思う。


ボロボロになりながらも立ち上がったニンフィア。

彼女のリボンが一つに纏まって、彼女の瞳の前に、大きな、大きな“星”を作り出していたのだ。
 ▼ 233 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:07:40 ID:FDQD7Blw [12/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ちょっと……何よアンタ!? それっ……ロズレイド!」


ロズレイドは戦闘態勢に入る。

けど、ニンフィアが作り出している“星”に、圧倒されてるようにも見える。


 ルイナ 「ロズレイド“ヘドロばくだん”! アイツもう虫の息よ! さっさと倒すのよ!」


ロズレイドはニンフィア目がけ、両手のバラから紫色の液体を発射する。


けど、当のニンフィアは怯まない。


逞しい表情のまま、大きな“星”を作り出す。

ほのかにピンク色の その“星”は、まるで、ニンフィアの決意が結晶となったみたいに、明るく、眩しく輝いている。


そして――。

 ▼ 234 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:08:21 ID:FDQD7Blw [13/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃぃぃぃぃぃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ニンフィアが、“星”を打ち出した。


“星”は、いとも簡単に“ヘドロばくだん”を蹴散らした。


“星”は、ロズレイドを呑みこんだ。



 ― 破裂。



“星”が破裂した。

ニンフィアの“星”が、大きなエネルギーを放出して、ロズレイドを弾き飛ばした。


 ルイナ 「ちょっロズレイド……うぐっ!?」
 ▼ 235 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:09:00 ID:FDQD7Blw [14/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
破裂した“星”の余波が、衝撃波となって轟く。

木々が ざわざわと揺れて、太い幹、細かい枝、葉っぱ がバラバラと落ちてくる。


そんな衝撃波は、ルイナにも襲ったようだ。

ロズレイドのダメージに一瞬遅れて、ルイナも弾き飛ばされてるんだから。


地面に伏せるように倒れていた私は、幸いその衝撃を受けることは無かった。



 ルイナ 「クッ……痛っ……うそっ!? ロズレイド! ちょっとロズレイド!?」


よろよろと立ち上がったルイナは、ロズレイドが倒れていることに、酷く動揺していた。

あれだけ傷だらけのニンフィアが繰り出した、たった1発のワザで、ほとんどノーダメージのロズレイドが倒されてしまった――。

ルイナにとって、それは信じられないことだったみたい。
 ▼ 236 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:09:40 ID:FDQD7Blw [15/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃっ……ふぃぁぁぁぁぁっ!」


ニンフィアは、ルイナをキッと睨みつけている。

こんなに険しい表情のニンフィア、初めて見たかもしれない。さっきの雄叫びと併せて、ニンフィアの こんな姿に、私でさえ、驚いている。


 ルイナ 「なによ……なんなのよ今のワザ!? ロズレイド! 起きてロズレイド! ロズレイドぉ!?」


じりじりと迫るニンフィアに、ルイナは一種の恐怖を感じているように見える。

必死でロズレイドを――、自分を守る存在を起こそうとしてるけど、ロズレイドのダメージは相当なものだったのか、目を開けさえしなかった。


 ルイナ 「やめっ……来るな! 来ないでっ!」

 ニンフィア 「ふぃぃあっ! ふぃあぁ!」

 ルイナ 「クッ……もぉ! 戻ってロズレイド! 終わりよ!」



激しく威嚇するニンフィアに圧倒されたのか、ルイナは捨て台詞を吐いて、森の方へと走りだした。


そして その姿は すぐ、木々に同化して見えなくなってしまった。


 ▼ 237 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:10:40 ID:FDQD7Blw [16/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






 セレナ 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「ふぃっ……」


ニンフィアは、やっと笑顔になって、よろよろと、私の元に近付いてくる。

今のワザ……、なんだったんだろう。“星”を作り出したけど、“スピードスター”なんかじゃない。

もっともっと強力で、もっともっと美しい、正に、ニンフィアだから出せたようなワザだったように、私は感じる。


 ニンフィア 「……ふぃぃぁ」

 セレナ 「凄いよ、ニンフィア……。あなた、すっごく……格好良かった……」

 ニンフィア 「ふぃぁ」


私の頬に擦り寄ってきたニンフィア。

とびっきりの笑顔を見せ、リボンを私の腕に絡めてくれた。

いつものニンフィアだ。
 ▼ 238 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:11:20 ID:FDQD7Blw [17/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃぃ……」

 セレナ 「あっ……ニンフィア……」


そんな可愛らしい笑顔のまま、ニンフィアは倒れた。

もともとボロボロだったのに……、きっとニンフィア、無理して戦ってくれたんだね。

私を守りたい一心で、頑張ってくれたんだね。


 セレナ 「ありがとうニンフィア……んっ!」


私は腕に力をこめる。

痺れて言うことを聞かない腕は、ガクガクと震えながらも、少しずつ、ほんの少しずつだけど、動いてくれた。

何分も費やして、私は やっと、ニンフィアのモンスターボールに手を掛けた。


 セレナ 「ありがとう……、ゆっくり休んでね、ニンフィア……」
 ▼ 239 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:12:00 ID:FDQD7Blw [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィアが、ボールに戻って行った。

あぁ……、これでもう大丈夫だ。これでもう、ニンフィアは大丈夫だ。

冷たい雨に打たれることも無いし、これ以上、体力が消耗することも無い。


 セレナ 「良かった……。これでっ……」


私は目を閉じた。


体が冷たい……。


体が痛い……。


サトシ……。



ほんの一瞬だけ、目を瞑った つもりだったけど――。


私の意識は、そこで途切れた。



 ▼ 240 チニン@リンドのみ 17/04/17 23:25:37 ID:XsFgnIuA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 241 ブルモ@しめったいわ 17/04/18 06:07:30 ID:2UUO2b5. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 242 ーゴート@ウッディメール 17/04/18 12:51:19 ID:dM7knXbQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ンンン
 ▼ 243 タドガス@マゴのみ 17/04/18 13:37:32 ID:.dMn.Bac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 244 ュナイパー@シルバースプレー 17/04/19 14:01:43 ID:ca6WDBC2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 245 フォクシー@チャーレムナイト 17/04/20 13:52:28 ID:.71RCjNM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえーん!!
 ▼ 246 ャワーズ@こううんのおこう 17/04/20 17:53:19 ID:Rk0XIfdI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

伸びを見るとセレナ視点のほうが人気なのかな?
 ▼ 247 ンテイ@せいしんのハネ 17/04/21 11:58:08 ID:JoeQ4svU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 248 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:47:20 ID:SQbGv.ms [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-10 】





   ―  ……なっ!





   ―  …れなっ!





   ―  セレナっ!



 ▼ 249 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:00 ID:SQbGv.ms [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


私……、呼ばれてる?

寝ちゃってたのかな?

寝ちゃった記憶は無いけど……、でもなんだろう。すっごく頼もしい声。


それに、背中と肩が、なんだか暖かい。

しっかり抱きかかえられてるような、なんだか安心できる感じ。


 セレナ 「……んっ」

 サトシ 「セレナっ……良かった!」

 セレナ 「ぁっ……サトシ……」


目を開くと、サトシの顔が飛び込んで来た。

とっても心配そうな顔……からの、安堵の顔。

憧れの人は、私の無事を喜んでくれている。


 サトシ 「大丈夫か? すげぇボロボロだけど……、どっか傷んだりしないか?」

 セレナ 「ぁのっ……ぇっ……んっ……///」
 ▼ 250 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:30 ID:SQbGv.ms [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し遅れて、私は現状を理解する。

私は今……、サトシに抱き上げられている……って言うのかな。

お尻から下は地面に付いたままだけど、サトシが私の肩と背中に手を回して、抱き上げてくれている。

さっきまで冷たく濡れた地面に浸ってた私の上半身は、それで幾分、楽になっていた。

……と同時に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

だって私、サトシに抱かれるような体勢で……///


 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「サトシっ……、無事、なんだよね?」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「私っ、サトシのこと、心配でっ……。でもっ、助け、行けなくて……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはオレの台詞だよ。ルイナの相手、セレナに任せっぱなしになっちゃって。それで、こんなボロボロにさせちまって……。ごめんな」

 セレナ 「んっ……そんなっ、サトシのせいじゃ、無いよ」

 サトシ 「……って言うかセレナ、具合、悪いのか!?」
 ▼ 251 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:00 ID:SQbGv.ms [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……なんで?」

 サトシ 「なんか息が切れ切れだし、それに、動こうとしないって言うか……」

 セレナ 「んっ……あのっ、ルイナに……“しびれごな”、受けちゃって……」

 サトシ 「“しびれごな”!? 大丈夫なのか!?」

 セレナ 「ちょっと、息苦しっ、けどっ……大丈夫っ、かな……」

 サトシ 「“痛めつける”ってそう言うことだったのか」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「とにかくマヒを取らないと! ポケモンセンター……までは遠いし、木の実か何か……!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「ピカチュウ……、探してきてくれるのか?」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅ!」

 サトシ 「そっか、助かるぜピカチュウ。マヒに効く……クラボだっけ? 分かるか?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「じゃあ頼んだぜ!」
 ▼ 252 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:30 ID:SQbGv.ms [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はサトシに抱きかかえられながら、森の奥へ走っていくピカチュウを見送った。

ピカチュウに“ごめんね、お願い”って言おうとしたけど、それを言う暇が無いほど、サトシとピカチュウはスピーディーに対応してくれた。

そして残されたのは、私とサトシだけ。


 サトシ 「ごめんな。もっと早く駆けつけたかったんだけど……」

 セレナ 「んっ……そんなことっ」


サトシは優しく、私に語り掛けてくれた。

早さ なんて関係ないよ。私は、サトシが助けに来てくれたこと自体が、とっても嬉しいんだから。


 サトシ 「雨、止まないな」

 セレナ 「あっ、うん……」

 サトシ 「濡れるから移動しようぜ。立てるか?」

 セレナ 「立つのはっ、ちょっと……ダメ、かな……」

 サトシ 「そんなに痺れるのか?」

 セレナ 「うん……。ニンフィア、ボールに戻すのも、ちょっと厳しかったし……、立てない……あっ」

 サトシ 「どうした?」
 ▼ 253 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:00 ID:SQbGv.ms [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんだか……、懐かしい感じ。

そうだよ。あの時に似てるんだよ。

サマーキャンプで、サトシと初めて会った時と。

サトシが私の怪我を手当てしてくれて、私を立ち上がらせてくれた、あの時と――。


 サトシ 「……そっか」

 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「最後まで諦めちゃダメだ」

 セレナ 「ぁっ……///」


その台詞……、あの時の。

サトシ、貴方も あの時のこと、思いだしてくれたんだね。


 サトシ 「……って、マヒしてるのに“諦めるな”は酷か」

 セレナ 「ふふっ」


私は思わず、笑ってしまった。

体は痛いし、マヒで息苦しいけど、何故だか自然と、笑みがこぼれてしまった。
 ▼ 254 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:30 ID:SQbGv.ms [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「立って……みるか?」

 セレナ 「うん」


私が答えると、サトシは大きく頷いた。

そして、私の背中に手を あてがいながら、私の右手をギュッと掴む。

膝立ち状態のサトシが、眩しい笑顔で私の顔を覗きこむ。そんなサトシの笑顔を見上げながら、私は足に力を込める。



サトシが、私の腕を優しく引っ張った。


つられて私は、体が起き上がる。


お尻が浮いて、膝が伸びて、視線が高くなって。



 セレナ 「あっ……?」


でも、やっぱり私の体は言うことを聞いてくれない。

痺れているせいで、立った状態で制止することが出来ず、そのまま私は――。
 ▼ 255 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:51:00 ID:SQbGv.ms [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「へへっ。立てたじゃん」

 セレナ 「んっ、ふふっ……///」


私の体は、サトシによって、抱きとめられていた。

私の右手を握ったまま、サトシは私のことを、しっかりと抱きとめてくれた。


 セレナ 「あの時と……、同じだね」

 サトシ 「そうだな」


私が小さく呟くと、サトシは応えてくれた。

サトシの肩に、顔を埋めたまま。

普通なら恥ずかしくて こんなこと出来ないけど、これは体が痺れているせい。

だから良いんだ、今日くらい……。

 ▼ 256 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:00 ID:SQbGv.ms [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほら、そっちの木の影に行こうぜ。濡れすぎるのも良くないし」

 セレナ 「うん。でも私、歩くのダメかも……」

 サトシ 「分かってる。だから……ほら」 グイッ

 セレナ 「ふぁっ……えぇぇっ!?」


私の体が、ふわりと浮いた。

それは、サトシが私を抱き上げてくれたから。

サトシは私の背中と膝下に手をまわして、軽々と私を持ち上げた。……それはつまり、お姫様抱っこ。


 セレナ 「さっ……サトシっ……///」

 サトシ 「苦しくないか?」

 セレナ 「大丈夫っ……だけどっ。そっ……良いよサトシそんなっ……重いでしょ……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナくらい軽い軽い」


そう言ってサトシは移動を始める。

さっきのニンフィアの“星”の破裂で、まわりの木々は枝が落ちちゃってるから、雨を凌げる木陰まで、ほんの少し、距離がある。


 セレナ (ぁっ……ぁぅぅ……///) ドキドキ
 ▼ 257 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:30 ID:SQbGv.ms [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私、いまサトシに、お姫様抱っこされちゃってる……。

サトシの体と密着して……、サトシの顔が近くて……。

こんなの、恋人みたいだよ……///


恥ずかしくて、ついつい私は目を逸らしてしまう。

けど、恐る恐る、私はサトシの顔を覗き込む。

見上げたサトシの顔は、とっても凛々しくて、頼もしくて……。


辛いはずなんだけど、それを喜ぶ自分が居る。

体が痺れて動けないことに、私は感謝した。

だってサトシに お姫様抱っこなんて、私っ、恥ずかしくて嬉しくて、心臓破裂しそうだよぉ……。
 ▼ 258 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:00 ID:SQbGv.ms [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……よし。ここなら雨に当たらないな。下ろすぞ?」

 セレナ 「ぁっ、うん……///」


大きな木の下に入って、サトシは私を そっと地面に下ろしてくれた。木の幹に もたれ掛け、座った状態になるように。

サトシは私の正面に胡坐をかく。そして、私の体を、まじまじと見つめる。


 セレナ 「サトシ……ありがとう ///」

 サトシ 「あぁ。……でもセレナ、マヒの ほか、本当に大丈夫か?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「泥だらけだし……、擦り傷とか けっこうあるぞ。痛くないか?」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「そっか。良かった」


サトシ、私のこと心配してくれている。

とっても嬉しいけど、でも反面、こうやって落ち着いてみると、サトシに会いたくなかったって気持ちが、心の何処かで生まれてくる。
 ▼ 259 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:30 ID:SQbGv.ms [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……なかったな」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「こんな格好……、サトシには、見られたくっ、なかったな……」


鏡を見た訳じゃないけど、ルイナが言うには、私、酷い格好みたい。

水溜りだらけの地面に倒れて、滑って、ワンピースはボロボロ、体は泥だらけ、髪も乱れてると思う。

こんな格好、大好きな人に――、サトシにだけは、見られたくなかった。


 サトシ 「なに言ってんだよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「セレナ、ルイナに勝ったんだろ?」

 セレナ 「あっ……うん。ヤンチャムと、テールナーと、ニンフィア……。みんな、頑張ってくれて」

 サトシ 「セレナ、ルイナのポケモンから直接攻撃を受けてさ。それでも勝ったんだろ?」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「だったら、セレナの その格好は、勲章みたいなもんじゃん。テールナーたちと一緒に戦ったさ」
 ▼ 260 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:00 ID:SQbGv.ms [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「勲章……」

 サトシ 「セレナはさ、バトルが苦手なのに、ルイナに勝ったんだよ。直接攻撃を受けたのに勝ったんだよ。それってオレ、凄ぇことだと思う!」

 セレナ 「サトシ……」

 サトシ 「確かに……ワンピースとか、綺麗なピンクが台無しだけどさ。でもそれは、全力で戦った証じゃん」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「セレナは見られるのが嫌かもしれなけど、恥ずかしがることなんて無いよ。むしろオレ、そういう頑張った姿って好きだぜ?」

 セレナ 「ふぇっ……!?」 ドキッ


サトシ……いま私のこと“好き”って……!?


 セレナ 「ぁっ……サトシっ……///」


勿論、意味が違うってことは分かってる。

でもサトシは、ボロボロな私のこと、ちっとも変な目で見ないで、頑張った姿だって、褒めてくれて……。
 ▼ 261 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:30 ID:SQbGv.ms [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんな姿をサトシに見せたくないって思った私が、なんだか馬鹿らしく思えてくる。

だって、ほら。サトシは全然気にしてないじゃない。

サトシに限って、真っ直ぐで純粋で、優しいサトシに限って、私の この格好を悪く言うはずなんて、最初から無かったのに。

それどころか、こんな私の姿を、“好き”ってまで言ってくれて……。


 セレナ 「さっ……サトシっ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「そのっ、ありがとっ……///」

 サトシ 「ん? あぁ」

 セレナ 「私っ、私もっ、そのっ……サトシのことっ……!」









 ピカチュウ 「ぴかぴ〜!」

 ▼ 262 クノシタ@でんきのジュエル 17/04/21 23:57:21 ID:6KY5JFQ. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 263 ルヴァディ@エスパージュエル 17/04/22 00:17:04 ID:WpieEA8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 264 ウカザル@ふたのカセキ 17/04/22 13:56:59 ID:hHbM17Hc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 265 ガサーナイト@はっかのみ 17/04/23 16:51:18 ID:M2U5Xhrk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 266 ウカザル@きんのおうかん 17/04/23 20:04:30 ID:zI6BjH/s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 267 ザード@メンタルハーブ 17/04/24 17:09:13 ID:I4uDI6mY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 268 ポエラー@ドクZ 17/04/26 15:10:52 ID:OyfRbnlc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
がんばれー!
 ▼ 269 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:06:20 ID:cWJBCVpo [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ピカチュウ!」

 セレナ 「ぁっ……」


ピカチュウが戻って来た。こんなタイミングで。

……ううん。ピカチュウは私のためにクラボの実を探しに行ってくれたんだから、感謝しないと。

感謝しないとだけど……、うぅ……なんでこんなタイミングで……。


 サトシ 「サンキュー、ピカチュウ!」

 セレナ 「んっ、ありがとっ……ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ〜」


クラボの実は、真っ赤な小さな木の実だ。

ポフレの材料にしたことがあるから、私にとっては見慣れた木の実。まさかそれを直接食べる時が来るなんて、思ってもみなかったな。


 サトシ 「ほらセレナ、口、開けろよ」

 セレナ 「えっ……?」
 ▼ 270 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:00 ID:cWJBCVpo [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシはクラボを摘まむと、私の顔の前に持ってきた。

それって……、サトシが食べさせてくれるってこと!?

確かに私、体が痺れてるから自分で食べるのは難しいけど、でもでもっ、そんなっ、サトシに……///


 サトシ 「ほら!」

 セレナ 「んっ、あーん……///」


うわぁ〜恥ずかしいっ……。

サトシに“あ〜ん”して貰うなんてっ、こんな……、恋人みたいなことっ……///


 セレナ 「っ……辛ぃっ」

 サトシ 「ははっ。でもマトマよりマシだろ?」

 セレナ 「うん。うぅ……」

 サトシ 「これでマヒは大丈夫だな。雨宿りも兼ねて、ちょっと休もうぜ」

 セレナ 「うん、ありがとっ……サトシ」


 ▼ 271 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:30 ID:cWJBCVpo [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雨は なかなか止まない。

でもそのお陰で、こうやってサトシと一緒に居れるって思うと、止んで欲しく無いって思っちゃう自分が居る。

だって今、私とサトシの距離、すっごく近いんだもん。

木陰の雨宿り、濡れない範囲は狭いから。


 サトシ 「……でさ、最後はピカチュウの“10万ボルト”を、氷柱に落としたんだ。避雷針みたいにな」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「氷のフィールド、雨で水の幕が張ってたから、逃げ回るツンベアーにも電気が流れて、それでバトル終了さ」

 セレナ 「そうだったんだ。やっぱりサトシは凄いね。フィールドを味方にしちゃうバトル」


雨宿りの間、サトシはハルキとのバトルを語ってくれた。

けっこう苦戦したみたいだけど、サトシ持ち前の判断力と奇抜な発想で、無事に勝利を おさめたみたい。

やっぱり凄いな、サトシって。
 ▼ 272 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:00 ID:cWJBCVpo [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……セレナ、普通に喋れるようになってきたな」

 セレナ 「うん。息苦しさも無いし、体は まだちょっとピリピリするけど、だいぶ楽になったよ」

 サトシ 「良かった。じゃあ完全回復まで もう少しだな。聞かせてくれよ、セレナのバトルも」

 セレナ 「えぇ。サトシみたいにバトル慣れしてないから、あんまり面白くないかもしれないけど……」

 サトシ 「そんなの関係ないぜ。オレ、セレナがバトルしてるところって、あんまり見てこなかったし、セレナの素のバトルが知りたいんだ」

 セレナ 「ふふっ。最初はね、ドンカラスが相手だったんだけど……」


今度は私の番。

私はサトシに、出来るだけ詳しく、ルイナとのバトルの流れを話してあげた。

ヤンチャム、テールナー、ニンフィア。

みんなバトルに慣れてないのに、ルイナのポケモンと戦ってくれて。

私の未熟さのせいで、ぎこちない、隙だらけのバトルになっちゃったけど、それでも精一杯頑張って、持てる力を振り絞って、なんとかルイナに喰い付いて……。
 ▼ 273 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:31 ID:cWJBCVpo [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……そのタイミングで、私、“しびれごな”を吸っちゃったんだ」

 サトシ 「どうかしてるぜルイナの奴!」

 セレナ 「ニンフィアすっごく心配してくれたんだけど、そのせいで、“ヘドロばくだん”を受けちゃって……」

 サトシ 「あぁ……、フェアリーに毒は効果抜群だからなぁ」

 セレナ 「ニンフィアが倒れちゃってね、ホントなら私、そこで負けてたんだ」

 サトシ 「“ホントなら”?」

 セレナ 「うん。ルイナはね、サトシとハルキのバトルが有利になるように、私を人質にしようとしたの」

 サトシ 「オレもそれ、ハルキから聞かされたよ」

 セレナ 「それでね――、ルイナは私を大人しくさせようとしたのかな。私、“エナジーボール”も喰らっちゃったんだ……」

 サトシ 「“エナジーボール”って……そんなことまでされたのかよセレナ!?」

 セレナ 「うん。それに吹き飛ばされて、こんな……泥だらけになっちゃったんだ」

 サトシ 「……クソッ! そんなことまでされて……、ごめんな。ハルキとルイナに逃げられちまって」

 セレナ 「ううん! そんなの大丈夫だよ」

 サトシ 「でもオレ……やっぱり許せない。ポケモンをネットで売り捌くのも そうだけど、セレナが直接攻撃を受けて、あいつら何も咎められないってのが、どうしても許せないんだ」

 セレナ 「優しいね、サトシ」

 サトシ 「セレナは大切な仲間なんだ。当たり前だろ?」
 ▼ 274 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:09:06 ID:cWJBCVpo [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仲間――か。

サトシにしてみれば、私は旅仲間の1人に過ぎないかもしれない。

でもね、私にとって、サトシは単なる旅仲間じゃないんだよ?

私にとって、貴方は特別な存在……、憧れであって、人生を変えてくれた、掛け替えのない存在、大好きな人――。

サトシ、私の気持ち、なかなか気付いてくれないな……。


 サトシ 「……どうした? 大丈夫か?」

 セレナ 「うん。……それでね、ルイナが私にトドメを刺そうって時に、ニンフィアが、立ち上がったんだ」


もう体力の限界だったはずのニンフィアは、雄叫びと共に立ち上がって、大きな“星”を打ち出した。

その一撃で、ルイナのロズレイドが戦闘不能になるくらいの、信じられないくらい力強い“星”――。


 サトシ 「“星”って……、“スピードスター”か?」

 セレナ 「ううん。絶対に違う。なんて言うんだろう……、もっと、ニンフィアの気持ちの結晶って言うか、とにかく凄かったの」

 サトシ 「そっか。オレも見てみたかったな」

 セレナ 「うん。凄かったんだから、ニンフィア。とっても格好良かった。あれ、何だったんだろうな……」

 サトシ 「調べてみるか?」
 ▼ 275 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:20 ID:cWJBCVpo [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言うと、サトシはポケモン図鑑を取り出す。そして、慣れた手つきで操作すると、目当てのページが見つかったのか、私の隣に座り直した。


 セレナ 「ぁっ」 ドキッ

 サトシ 「これがニンフィアのワザ一覧のページだけど、見えるか?」

 セレナ 「うん……///」


いま、私とサトシは一緒に図鑑を見ている。

一つの図鑑を一緒に見るってことは、当然、お互いが近寄らないといけないから、私とサトシは、自然と距離が縮まった。


 サトシ 「この中で、その“星”っぽいワザは……」

 セレナ (ぁぅぅ……///) ドキドキ


肩が触れ合うくらい、私はサトシと密着している。

抱きとめられたり、お姫様抱っこされたりで、今さら恥ずかしがるようなことじゃないかもしれないけど、それでも私は、ドキドキせずには いられない。

だって……こういうシチュエーションって、恋人みたいなんだもん。

さっきの一連のことは、私の体が痺れてたから――、言ってみれば、私はサトシに気遣って貰っていたに過ぎない。

でも今は違う。

この距離の近さは、正しく、恋人みたいなシチュエーション。私が本当に望んでいたシチュエーションだった。
 ▼ 276 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:55 ID:cWJBCVpo [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……これか?」

 セレナ 「“とっておき”?」


“とっておき”――。

大切なものを守るため、全力で相手に攻撃する、とっておきのワザ。覚えている他のワザを全て使っていないと失敗する――。

図鑑には、そう書かれていた。


 【注】 実際とは異なります。


 サトシ 「“星”がどうとは書いてないけど、これで間違いないと思うぜ」

 セレナ 「“とっておき”……」

 サトシ 「“大切なものを守るため”――、セレナとニンフィアが信頼し合ってたから、出せたワザなんじゃないかな?」

 セレナ 「ニンフィア……」


ニンフィアは、私がルイナに殴られそうになった時、立ち上がって、“とっておき”を出してくれた。

“とっておき”なんてニンフィアは覚えてなかったから、その場で習得したんだと思う。

私を助けるために……。
 ▼ 277 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:11:31 ID:cWJBCVpo [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ありがとう、ニンフィア。私、嬉しいよ……」

 サトシ 「へへっ、やっぱり良いコンビだな、セレナとニンフィア」

 セレナ 「ありがとうサトシ。でも、テールナーとヤンチャムだって、私の大切なパートナーよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」




今回のことで、私は まだまだ未熟だって、思い知らされた。

パフォーマンスは それなりに自信があったけど、バトルは本当にダメ。

私が もっと ちゃんと指示を出してれば、みんなが ここまでダメージを受けること、なかったと思う。


でも……、そんな私でも、みんなは私を信頼してくれている。

テールナー、ヤンチャム、ニンフィアは、私のことを、信じてくれている。

それがどれくらい嬉しいことか。みんなとの信頼を再確認できたって意味では、ルイナとのバトルは、無駄じゃなかったんだな。


……ふふっ。

“無駄なことなんて一つもない”――、そうだよね、サトシ?
 ▼ 278 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:06 ID:cWJBCVpo [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ちょっと小降りになってきたな」

 セレナ 「あ、うん。この様子だと、雨、なかなか止みそうにないね」

 サトシ 「どうする? 小降りのうちに帰った方が良いか?」

 セレナ 「う〜ん……、そうだね。待ってても止む保証は無いし」

 サトシ 「じゃあ帰るか。みんなをポケモンセンターに連れて行かないとな」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「じゃあ……ほら」

 セレナ 「ぁっ……///」


そう言うと、サトシは立ち上がって、私に手を差し出してくれた。

こんなにスマートに私の手助けしてくれるなんて……、サトシ、本当は女の子が喜ぶこと、知ってるんじゃないの?


 セレナ 「ありがとう」

 サトシ 「体、大丈夫か?」

 セレナ 「うん。ほとんど痺れは取れたし、これもピカチュウのお陰よ?」

 ピカチュウ 「ぴぃか」
 ▼ 279 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:40 ID:cWJBCVpo [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「でも無理しちゃダメだぜ?」

 セレナ 「えっ?」


サトシは私を立ち上がらせると、手は握ったまま下ろし、少しだけ、強く握りしめてくれた。


 サトシ 「このまま行こうぜ。辛くなったら、いつでもオレに体重かけて良いからな」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


素敵だな、サトシ。嬉しいよ、サトシの そういう気遣い。

ねぇ、本当に私の気持ちに気付いてないの? ワザと鈍感なフリしてるんじゃないの?


 サトシ 「あっ……とそうだ! セレナごめん! 自転車、壊しちまったんだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 セレナ 「自転車……いいのいいの。ずっと乗ってなかった古いやつだし、気にしないで」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。それに……」
 ▼ 280 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:13:30 ID:cWJBCVpo [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自転車の2人乗りも良かったけど、こうやって、サトシと手を繋いで歩くのも良いかなって。

サトシの優しさを いっぱいに感じながら一緒に歩くのも、なかなか良いかなって。

たったそれだけのことだけど、私にとっては、とってもドキドキして、ワクワクして、暖かな気持ちになれるんだもん。


 サトシ 「それに?」

 セレナ 「ううん、なんでもない」 ギュッ


私はサトシの手を握りしめて、少しだけ、ほんの少しだけ、サトシの近くに寄り添った。

こんなデートでも、私、すっごく楽しいんだから!


 セレナ 「行こ、ポケモンセンター」

 サトシ 「あぁ!」


私とサトシは、小雨の降る しっとりとした森の中を歩き出した。

ポケモンセンターに着くまでも、私にとって、最高の思いでになるんだろうな。





 ▼ 281 ャワーズ@ピーピーエイダー 17/04/29 00:15:46 ID:/FdWYotU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ですわ
 ▼ 282 ニリッチ@どくけし 17/04/29 15:13:41 ID:YB5z4zjM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってました
やっぱり面白いな〜!
 ▼ 284 ガオニゴーリ@ムシZ 17/04/29 19:47:02 ID:/FdWYotU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 285 ポエラー@スターのみ 17/05/01 10:13:18 ID:YrXJLL8E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 286 チミル@つりざお 17/05/03 16:28:27 ID:BcpZskIA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 287 ルガモス@とつげきチョッキ 17/05/06 08:34:38 ID:tD.PKQA2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 288 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:46:45 ID:3Yf6NBRA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-11 】


あの後――。

ポケモンセンターに着いた私たちは、みんなを回復に預けた。

それと一応、私が“しびれごな”と“エナジーボール”を受けたことを話すと、念のため検査入院するようにと、ジョーイさんに言われてしまった。

検査入院って言っても、1日泊まって様子を見るだけで、特に難しいことは無いみたい。サトシもそれを勧めてくれたから、私は1日、入院することになった。


当然、専用の病室に泊まるから、サトシとは別の部屋。

サトシもポケモンセンターに泊まることになって、その日は それっきり、サトシと離れ離れになった。

もうすぐ お別れ、一分でさえ貴重な時間なのに、一夜サトシと会えないのは、なかなか寂しかったな……。

唯一の救いは、私が病院着を着ている間に、泥だらけのワンピースを洗濯して貰ったことだった。



翌日も翌日で、面倒なことが待っていた。

私がルイナのポケモンから直接攻撃を受けたことを、ジョーイさんがジュンサーさんに通報したみたいで、その取り調べを受けることになったのだ。

それに半日以上かかって、日が傾き始めた頃、ようやく私たちは解放された。

まぁ、どのみちハルキとルイナのことはジュンサーさんに知らせなきゃいけなかったし、仕方ないと言えば仕方ないのかな。
 ▼ 289 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:47:16 ID:3Yf6NBRA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「もう こんな時間か〜」

 セレナ 「せっかくアサメに来たのに、こんなことになっちゃうなんてなぁ……」

 サトシ 「仕方ないさ。これでハルキとルイナも指名手配されるんだし、ポケモンたちのことを考えれば無駄にはならないよ」

 セレナ 「うん……そうだよね」


こんなことになっても、サトシはポケモンのことを第一に考えている。

それってやっぱり素敵なことだと思う。サトシのポケモン想いの心に、私は ますます惹かれてしまう。


 サトシ 「サキさん、もう帰ってるよな」

 セレナ 「そうね。じゃあ早く帰ろうよ。もともとは、ママがサトシに お礼したいって話だったんだから」

 サトシ 「そうだったな。けどセレナ、体の方、ホントにもう大丈夫なんだよな?」

 セレナ 「うん。痺れも完全に取れたし、“エナジーボール”の痛みも、もう感じないし」

 サトシ 「そっか。良かった」

 セレナ 「ありがとうサトシ、心配してくれて。ピカチュウもね」

 サトシ 「あぁ」

 ピカチュウ 「ぴっか」
 ▼ 290 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:48:15 ID:3Yf6NBRA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして家に着いた時には、もう18時くらいになっていた。

なんだか一日が勿体ないような気もするけど、家に着くまでの間もサトシと色んな お話しが出来たからと、自分に言い聞かせた。



 サキ 「おかえりなさい。それに、いらっしゃい、サトシ君」

 セレナ 「ただいま、ママ」

 サトシ 「お邪魔します!」

 サキ 「あら? 珍しいわね。セレナがその服を着るの」

 セレナ 「あっ……うん、まぁね」

 サキ 「……ふふっ。お夕飯の準備できてるわよ。手を洗ってらっしゃい」

 セレナ 「はーい。サトシ、こっちよ」

 サトシ 「あぁ。オレもう腹ペコペコだよ〜」

 セレナ 「ふふっ。そう言えば、お昼ご飯ちゃんと食べなかったもんね」


家の中は、ご馳走の美味しそうな香りでいっぱいだった。

きっとママ、サトシを おもてなしするために準備してくれたんだろうな。


私たちは、旅の話で盛り上がりながら、とっても楽しい夕食のひとときを過ごした。
 ▼ 291 ェルダー@つきのいし 17/05/09 00:12:49 ID:9R6uofUM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 292 ドグラー@シルフスコープ 17/05/09 07:32:07 ID:MvR9keAQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 293 ンベ@はかせのてがみ 17/05/12 19:38:01 ID:qosFe.vc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちは更新しないのかな?
 ▼ 294 ロデスナ@グラシデアのはな 17/05/14 00:09:59 ID:A47wdYds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
甲州街道さんの私生活を知りたい
支援
 ▼ 295 イプ:ヌル@つりざお 17/05/20 07:34:50 ID:xrd9I6jE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 296 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:27:40 ID:yzQ/x3.c [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

夕食後、ポフレを お菓子にアレンジしたものを作って、お茶うけに出した。

もともとは、サトシが美味しそうに私の作ったポフレを食べるから、ちゃんとした お菓子にしようって作り出したもの。

シトロンとユリーカにも好評だったし、ママも美味しそうに食べてくれた。


そんなティータイムが済んだ後、頃合いを見計らって、ママが お風呂を入れてくれた。


 サキ 「お風呂入ったから、セレナ、先に入って来なさい」

 セレナ 「え? そういうのは お客さんのサトシからだよ」

 サトシ 「あ、いやオレは後でも全然いいけど」

 サキ 「なに言ってるの。セレナが先に入っておかないと、サトシ君が お風呂から出た後に退屈しちゃうでしょ?」

 セレナ 「あっ……そっか。じゃあ、悪いけど先に入るわね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「……ママ、サトシに変なこと言わないでよ?」

 サキ 「なによ変なことって」


それだけ言って、私は自分の部屋に着替えを取りに行った。

ママ、普段の私の変な癖とかサトシに喋らないと良いんだけど……。
 ▼ 297 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:30:00 ID:yzQ/x3.c [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




 セレナ 「う〜〜〜ん」


お風呂に浸かって、私は思わず背伸びした。

旅の途中は、こうやってお風呂に浸かることは滅多になかったし、何より自分の家の お風呂だから、なんとなくリラックスできる。


 セレナ (もうすぐサトシと お別れか……)


そう考えると、こうやって お風呂に入ってる時間すら惜しくなってくる。

なんにも考えないで、サトシと会いたい一心で家を飛び出して、サトシに旅に誘って貰って、色んな経験をして……。


 セレナ (本当に……、あっという間だったな)


旅に出た当初は、サトシと お別れすることなんて、全然考えてなかった。

サトシがジム戦で勝つたびに、私も すっごく嬉しかったけど……、

シトロンとのバトルの後くらいからかな。サトシがバッジをゲットする度に、お別れの時が近づいてきてるって実感し始めたのは。
 ▼ 298 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:32:00 ID:yzQ/x3.c [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ (サトシに伝えなきゃ……、あなたが好きですって、伝えないと……)


でも、本当に伝えて良いの?

こんな別れ際に告白して、どうなるの?

サトシが受け入れてくれたら、お別れが もっと辛くなると思う。

サトシが受け入れてくれなかったら、最後の最後で気まずくなっちゃうと思う。


 セレナ (どうしよう……)


私は これから、ホウエンへ旅に出る。

そんな時に、サトシのことを引きずるようなことになったら、旅に身が入らないと思う。

それこそ、せっかくのスカウトを断ってしまったヤシオさんに失礼だ。


 セレナ (思い出は……、思い出のままが良いのかな……)


もしかすると、それが一番現実的な答えなのかもしれない――。


私は自分を言い聞かせて、お風呂から上がった。

 ▼ 299 キノオー@ゴーストメモリ 17/05/21 19:34:47 ID:5rt67796 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ネ!
 ▼ 300 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:36:00 ID:yzQ/x3.c [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「お待たせサトシ。お風呂あいたわよ」


リビングに戻ると、サトシとママはソファに向き合って座っていた。

テレビが点いてないことも考えると、私が お風呂に入ってる間、ずっと話してたんだろうな。


 サキ 「サトシ君のタオル、お風呂の脇に用意してあるから使ってね」

 サトシ 「あっ、はい。ありがとうございます」

 セレナ 「ゆっくり入って来てね」

 サトシ 「あぁ、サンキュー。行くぞピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴか」


そう言って、サトシとピカチュウは お風呂に向かった。

リビングに残ったのは、今度は私とママの2人だけだ。



 ▼ 301 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:38:00 ID:yzQ/x3.c [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「ママ。本当に、ありがとう」

 サキ 「ん? なによ急に?」

 セレナ 「私が1人で旅に出ること、認めてくれて」

 サキ 「ふふっ。セレナ、変わったもんね」

 セレナ 「えっ?」

 サキ 「今までずっと飽きっぽい性格で、サイホーンレースの練習も嫌がってばっかりで。そんな貴方が自分で見つけた夢なんでしょ?」

 セレナ 「あっ……うん」

 サキ 「だったら、それを極めなさい。思いっきり打ち込んで、自分の限界までチャレンジしなさい。夢って、そういうものでしょ?」

 セレナ 「ママ……」

 サキ 「……心配だったのよ。セレナがプラターヌ博士にフォッコを貰いに行って、そのままサトシ君たちと旅に出るって言いだした時は。飽きっぽい貴方のことだから、みんなに迷惑かけちゃうんじゃないかって」

 セレナ 「そんなこと……もぉ〜」
 ▼ 302 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:43:00 ID:yzQ/x3.c [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「けど、思い過ごしだったみたいね。たまに連絡くれる時、セレナ、いつも活き活きしてたんだもん。私まで笑顔になっちゃうくらい」

 セレナ 「うん。サトシたちとの旅はね、全部が新鮮で、面白くて、ワクワクして。すっごく楽しかった」

 サキ 「えぇ」

 セレナ 「ちょっと悩んだりもしたけど、友達もたくさん出来て、パフォーマーになって、カロスクイーンになるって夢も見つけて……、本当に私、旅に出て良かったって」

 サキ 「成長したのね、セレナ」

 セレナ 「でも私ね、ちょっとだけ、ママに申し訳ないないなって……」

 サキ 「……サイホーンレーサーのことは、今は考えなくて良いのよ?」

 セレナ 「えっ……なんで分かったの!?」

 サキ 「貴方の母親だからよ」

 セレナ 「ママ……」

 サキ 「確かに私としては、セレナがサイホーンレーサーにならないのは残念だけど……、でもね、それは私の都合。セレナが自分で見つけた夢を応援するのが、母親ってものでしょ?」

 セレナ 「……うん。ありがとうママ! 私っ、絶対に夢を実現させてみせる! エルさんに勝って、絶対カロスクイーンになるね!」

 サキ 「その意気よセレナ。本当、成長したわね」

 セレナ 「ふふっ。サトシたちとの旅で、私、色んなことを学んだんだから」
 ▼ 303 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:46:00 ID:yzQ/x3.c [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「そうね。ちゃっとサトシ君に感謝しなさいよ? 貴方の人生を ここまで変えてくれたの、サトシ君の お陰なんだから」

 セレナ 「うん……」

 サキ 「どうしたの?」

 セレナ 「サトシには感謝してもしきれないのに……、もうすぐお別れで……」

 サキ 「辛いのは分かるけど、それは受け入れないとね。ちゃんとサトシ君に、自分の正直な気持ちを伝えるのよ?」

 セレナ 「うん……。え?」

 サキ 「自分の正直な気持ち。セレナ、サトシ君のこと好きなんでしょ?」

 セレナ 「ふぇっ……ええぇぇぇぇぇっ!? ななっ……なんでっ!?」

 サキ 「あら、当たったみたいね」

 セレナ 「だだだって私っ、ママの前でサトシのこと好きって感じなことなんにも……!」

 サキ 「なに言ってるのよ。男の子と遊ばない貴方が、サトシ君に旅に誘われて一緒に行くなんて、好きじゃなきゃ説明つかないでしょ?」

 セレナ 「うぅ……///」

 サキ 「それにセレナ、あのサマーキャンプの迷子で助けて貰ったの、サトシ君だったのね」

 セレナ 「えっ、なんでママが知ってるの?」

 サキ 「さっきサトシ君から聞いちゃったのよ」

 セレナ 「もぉ〜余計なこと……」
 ▼ 304 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:48:00 ID:yzQ/x3.c [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「サトシ君、とっても良い子ね。セレナが惹かれるのも無理ないかな」

 セレナ 「……うん。サトシ、いつも一生懸命で、ポケモンに夢中で、ポジティブで、優しくて。サマーキャンプの時より、ずっと格好良いんだもん」

 サキ 「ふふっ」

 セレナ 「ねぇママ……、思い切って聞いちゃうけど、サトシ、私のこと、何か言ってた……?」

 サキ 「あら? そういうことはセレナが直接 聞くべきじゃないかしら?」

 セレナ 「だって……、恥ずかしいって言うか、自分から聞くなんてそんな……」

 サキ 「そっちの方は成長できなかったみたいね?」

 セレナ 「うぅ……///」

 サキ 「サトシ君、あなたのこと褒めてたわよ。それに感謝も」

 セレナ 「ホント!?」

 サキ 「えぇ。だから後は自分で、ね?」

 セレナ 「うん」

 サキ 「頑張りなさいよ。ママ、サトシ君なら大歓迎よ?」

 セレナ 「大歓迎ってまだそんなっ……」
 ▼ 305 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:50:00 ID:yzQ/x3.c [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「想いを伝えるの、これが最後のチャンスでしょ?」

 セレナ 「そうだけど……私、迷ってるんだ」

 サキ 「あら、なんで?」

 セレナ 「サトシに気持ちを伝えて……、ダメだったら気まずくなっちゃうし、もし……、もしOK貰えたら、お別れが もっと辛くなっちゃうなって……」

 サキ 「うん」

 セレナ 「だからね。思い出は思い出のまま……」

 サキ 「セレナ!」

 セレナ 「」 ビクッ!

 サキ 「“当たって砕けろ”よ!」

 セレナ 「ぁっ……ふふっ。砕けちゃダメだよもぉ〜」

 サキ 「ふふっ。セレナ、綺麗な思い出も良いけど、後悔だけは しちゃダメよ?」

 セレナ 「うん……」

 サキ 「あとは貴方次第。私がどうこう言う問題じゃないもの」

 セレナ 「うん。ありがとうママ」

 サキ 「じゃあ……、サトシ君が出てくる前に布団を用意しておくから、セレナはアイスでも出してあげなさいね」

 セレナ 「うん……」
 ▼ 306 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 20:00:00 ID:yzQ/x3.c [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言って、ママは2階に上がって行った。


……分かってるよ。後悔だけはダメだって。

でも、私にとって、サトシは憧れの人。それこそ、他の男の子を好きになることなんて無いくらい。

だから、もし気持ちを伝えてダメだったら……、私は……。




 サトシ 「ふぅ〜さっぱりしたな〜」

 ピカチュウ 「ぴぃ〜か〜」

 セレナ 「ひゃぐっ!? あっ……サトシ」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「あっ……ううん! そのっ、お風呂上がりにアイスあるけど食べる?」

 サトシ 「おっ良いね! 食べる食べる!」

 セレナ 「ふふっ。待ってて、出してくるから」


サトシ、私の気持ちなんて全然わかってないんだから。

でも、こんな微妙な距離感も良いんだよね。本当、私、どうしよう……。
 ▼ 307 ョロモ@フレンドボール 17/05/21 20:04:21 ID:ZomdkuGE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 308 ルトロス@イトケのみ 17/05/21 20:14:52 ID:L8tPnX8E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 309 サイハナ@カードキー 17/05/21 21:21:37 ID:qdSB7v52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 310 ュワワー@グラスシード 17/05/22 01:16:33 ID:NHQRVSE. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 311 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:26:01 ID:p9yD8rgA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-12 】



 サキ 「サトシ君もセレナも、そろそろ寝た方が良いんじゃない?」


お風呂から上がってリビングで寛いでいると、ママが言った。


 セレナ 「あっ……もう こんな時間なんだ」

 サトシ 「ホントだ。ピカチュウ寝ちまってるし、オレたちも そろそろ寝るか」

 ピカチュウ 「zzz...」

 セレナ 「うん。明日も早いもんね」

 サキ 「サトシ君の部屋、用意してあるからね。セレナ、2階の奥の部屋、案内してあげて」

 セレナ 「うん。行こうサトシ。おやすみママ」

 サトシ 「ありがとうございます。おやすみなさい」

 サキ 「おやすみなさい。ゆっくり休んでね」
 ▼ 312 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:26:32 ID:p9yD8rgA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
階段を上がって、2階に。

階段の正面が私の部屋で、その右奥が、ママが用意してくれたサトシの部屋。


 セレナ 「向こうがサトシの部屋よ」

 サトシ 「サンキュー。じゃあセレナ、おやすみ」


眠っているピカチュウを抱いて、サトシは奥の部屋へと足を進める。

でも……。


 セレナ 「……待って」

 サトシ 「どうした?」


私は思わずサトシを呼び止めてしまった。

だって、2人きりになれるチャンスは、これが最後だもん。


 セレナ 「あっ……えっと、もし良かったらそのっ……、もう少しだけ、一緒に話さない?」

 サトシ 「あぁ良いぜ。でもピカチュウ起こすの可哀想だから寝かせて来るよ。話すのセレナの部屋で良いか?」

 セレナ 「ぁっ……うん」
 ▼ 313 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:27:04 ID:p9yD8rgA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良かった、まだサトシと2人きりで居られる。

それも、私の部屋で……///





 サトシ 「お邪魔するぜ」

 セレナ 「うん」


ピカチュウを寝かせたサトシが、私の部屋に足を踏み入れた。

うぅ……、大好きな人を自分の部屋に招待するのが、こんなにドキドキすることだったなんて。


 サトシ 「へぇ〜これがセレナの部屋か」


私の部屋に入ったサトシは、興味深そうに室内を見回す。

なんだか私生活が覗かれてるみたいで恥ずかしいけど、幸い部屋は綺麗に片付けられている。掃除してくれていたママに感謝しないと。
 ▼ 314 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:27:37 ID:p9yD8rgA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「おっ、フシギダネ!」


サトシは、ベッド脇に置いてあった ぬいぐるみに興味を示した。

男の子だから ぬいぐるみなんて興味無いと思ってたけど、サトシは そんなこと無いみたい。それだけポケモンが好きってことなのかな。


 セレナ 「フシギダネって、カントー地方の初心者ポケモンよね」

 サトシ 「あぁ。オレ野生のフシギダネをゲットしててさ、オーキド博士の研究所に居るんだ。元気してるかな〜」


そっか。サトシもフシギダネを持ってたんだ。

サナのフシギダネは気難しい性格だったけど、サトシのフシギダネは、どんな子なんだろう。


 セレナ 「ふふっ。いつかサトシのポケモンみんなに会ってみたいな。……あ、座ってサトシ」

 サトシ 「おぉ」


立ち話も悪いから……って言うか立ち話する意味もないので、私たちは絨毯に腰を下ろした。


あぁ……、サトシが今、私の部屋に……。

たったそれだけでドキドキするのに、私、大丈夫かなぁ……。
 ▼ 315 ジギガス@ざいりょうぶくろ 17/05/23 07:01:41 ID:QKjXCh.6 NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援!
 ▼ 316 ルロック@タウリン 17/05/23 07:43:22 ID:gp6cfoi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 317 ズクモ@リゾチウム 17/05/23 10:49:15 ID:wMbvKN0M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシのフシギダネは、一言でいうと「兄貴」ですかね…
 ▼ 318 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:34:15 ID:zieruN.Y [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
絨毯に腰を下ろしたサトシは、改めて私の部屋を見回している。

うぅ……、だらしない所とかないよね? 汚い所とかないよね?


 サトシ 「綺麗な部屋だな」

 セレナ 「あっ、うん、ありがとう。そのっ……、初めてなんだ、男の子、私の部屋に招待するの……///」

 サトシ 「そうだったのか。サンキューな」

 セレナ 「うん。サトシだけは特別っ」


それは、紛れもない事実。

私は今まで、男の子を自分の部屋に入れたことが無い。男の子の友達が少なかったってのもあるけど、そもそも異性を自分の部屋に入れようなんて、思ったことが無かった。

でも、サトシだけは特別。

大好きなサトシだけの特別。

けど考えてみると、自分の部屋で男の子と2人きりになるなんて、世間一般的に、恋人みたいな関係じゃないと有り得ないことだと思う。

うぅ……、恥ずかしい。

この勇気、私の気持ち、サトシに届いて……!
 ▼ 319 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:34:45 ID:zieruN.Y [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「早いよな。カロスに来たの、つい最近のことみたいに感じるのに」

 セレナ 「……うん。私も あっという間に感じたな。サトシたちとの旅」


あぁ……、やっぱりダメかぁ。

サトシ、私の“特別”に反応してくれなかった。

サトシは鈍感だから期待してなかったけど、でも、女の子の部屋で2人きりになるんだから、少しくらい意識してくれないと悲しいって言うか……。

こんなんじゃ、サトシに気持ちを伝えられないよぉ……。


 サトシ 「セレナ、ありがとな」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「思い返してみるとさ、オレ、セレナに色々助けて貰ったなって」

 セレナ 「そんな。私は何にも……」

 サトシ 「いや。セレナはジム戦のヒントとかくれたし、それに、ウルップさんに負けた後、オレの目を覚ましてくれたのはセレナだよ」

 セレナ 「ぁっ……」

 サトシ 「正直、セレナが居なかったら、カロスリーグに出れてたか怪しいんじゃないかって。ホント、ありがとな、セレナ」

 セレナ 「ううん。私の方こそ そのっ……、あの時、サトシに酷いこと言っちゃって……、まだ謝ってなかったよね。ごめんなさい」

 サトシ 「いや、オレの方こそ ごめんな。せっかくセレナが心配してくれてたのに、オレそんなこと全然考えなくて、怒鳴っちまって」
 ▼ 320 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:35:16 ID:zieruN.Y [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突然のサトシの言葉に、私は驚いた。

そして、自分の行いが とても恥ずかしく思えてしまった。

サトシと2人きりになれて、私は自分の気持ちをサトシに伝えることだけを考えていた。“当たって砕けろ”の覚悟で。

でもサトシは、エイセツシティでのことを、謝って、感謝してくれた。多分、私と2人きりになれたから。


2人きりになれたタイミングで考えることに、こんなに差が出るなんて。

言ってしまえば、私の方は下心だ。

サトシと2人になれて、勝手にドキドキして、恥ずかしがって、告白を考えて。


でもサトシは違う。

最後に2人きりになれたチャンス、最高の使い方をしてくれた。


やっぱりサトシは素敵だな。

こういう所で、サトシの純粋な心が出て来るんだと思う。

こういう所が、私がサトシに惹かれる理由。私の理想のサトシ……。
 ▼ 321 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:36:15 ID:zieruN.Y [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そんな……、だってあの時は、サトシが私のりそっ……ぁっ、そのっ……」

 サトシ 「ん?」


ぁっ……、嘘っ、声に出ちゃった。

でも、もう誤魔化せない。誤魔化せないって言うより、誤魔化したくない。


 セレナ 「えっと……あのね。あの時……私、自分の理想を、サトシに押し付けちゃって……」

 サトシ 「理想?」

 セレナ 「今まで旅してきて、サトシは……、私の見てきたサトシは、いつも前向きでポジティブで優しくて……、悩んだり思い詰めたりするイメージ、全然無かったの。だから、あの時のサトシを見て、私、信じられなかったって言うか……、そのっ……」


あの時のサトシは、私の憧れの、理想のサトシじゃなかった。

これまで絶好調だったサトシが、ショータとウルップさん、立て続けに2人に負けて、思い悩んでいる姿は、ちっともサトシらしくなかった。

でもいま考えてみると、だからって あのとき私が取った行動は、決して許されるものじゃなかったと思う。

サトシの気持ちを深く考えないで、自分の理想の姿じゃないサトシのことが、勝手に頭に来ちゃって……。


 サトシ 「……そっか」

 セレナ 「だから私、つい……」

 サトシ 「ごめんな」
 ▼ 322 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:37:00 ID:zieruN.Y [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「セレナ、そんなにオレのこと心配してくれて、オレのこと想ってくれて……、なのに、そうだよな。あんな姿を見せちまったら、雪玉投げられて当然だぜ」

 セレナ 「ぁっ……、そのことも、ごめんなさい」

 サトシ 「いやいや! 謝る必要なんて無いぜ? オレ、そのお陰で目が覚めたし、あのスランプから抜け出せたのはセレナの お陰なんだからさ!」

 セレナ 「そう……かな」

 サトシ 「断言するぜ。セレナのお陰でオレ、立ち直れたんだ」

 セレナ 「……ふふっ。うん、そう言って貰えると嬉しいな」

 サトシ 「へへっ」


もぉ……、本当にサトシ、素敵なんだから。

私の行動なんて全然 気にしないで、むしろ感謝してくれて。そう言ってくれるだけで、私の心はスッと楽になった。


私がサトシを立ち直らせた、か――。

嬉しいよ、サトシの役に立てて。サトシに貢献できて。サトシに感謝して貰えて。
 ▼ 323 ロア@りゅうのプレート 17/05/24 21:38:47 ID:GhJiDqeE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 324 ンドール@ぎんいろのはね 17/05/25 11:51:16 ID:Ut45Q3H2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 325 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:35:00 ID:aDpz9k2k [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「私の方こそ、サトシには感謝してもしきれないよ」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。旅に誘ってくれたことでしょ、色んな経験をさせて貰ったこと、それに、いつも私を励ましてくれたこと……。サトシへの感謝、いっぱいあるんだから」


いつだって思っていた。

サトシが旅に誘ってくれたお陰で、私は色んな経験が出来た。色んなことを知れた。色んな人と出会えた。


 サトシ 「頑張ってるセレナを励ますのは当然だろ? セレナだって、いつもオレのこと応援してくれたし」

 セレナ 「ふふっ。でもね、サトシが応援してくれたから、私、ここまで成長できたって思うんだ。ポカロンも、自分自身も」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはセレナが凄ぇ頑張ったからだろ?」


今まで何となく生きてきた私にとって、サトシたちとの旅は、本当に、本当に私の転機だった。

大切なパートナー、テールナー、ヤンチャム、ニンフィアと出会えたのも、カロスクイーンになるって言う夢を見つけたのも、サトシが旅に誘ってくれた お陰。

テールナーたちと切磋琢磨して、パフォーマンスの腕を磨いて、沢山の人に笑顔を与えられる存在になろうって決意して。

そんな気持ちになれたのは、サトシが隣に居てくれたから。
 ▼ 326 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:36:00 ID:aDpz9k2k [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ううん。違うの」

 サトシ 「違う?」

 セレナ 「私が頑張れたのは、サトシの お陰。サトシには実感ないかもしれないけど、私ね、サトシが隣に居るだけで、頑張れたんだ」

 サトシ 「大袈裟だなぁ。オレは何もしてないぜ?」

 セレナ 「うん。……何もしてなくてもね、私、頑張れるんだ。サトシが居たから」


うぅ……、すっごい恥ずかしいこと、いま私、言ってる気がする。

ここまで言って、普通なら気付いてくれると思うんだけどな、私の気持ち。

でも、今まで ちっとも私の気持ちに気付いてくれなかった鈍感なサトシは、雰囲気とか、そういう伝え方じゃダメだと思う。

正々堂々、じゃないけど、直球で行かないと。


“あなたのことが好きです”


って、はっきり言わないと。しっかり伝えないと。

だって、いまを逃したら、もう後は……。
 ▼ 327 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:36:33 ID:aDpz9k2k [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレもさ、セレナが居てくれたから頑張れたって感じ、実は あるんだ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「最初の頃のジム戦さ、セレナの言葉が突破のヒントになったこと、けっこうあったんだぜ。コルニとのジム戦も、オレのリズムを気付かせてくれたし」

 セレナ 「ぁっ……、そんな、私は何にも」

 サトシ 「セレナは そう思うかもしれないけど、オレは凄ぇ感謝してる。それで段々さ、セレナのヒント無しでも、しっかりジム戦で勝ってやろうって。そう思って挑んでたんだ」

 セレナ 「サトシ……、そうだったんだ」

 サトシ 「それってさ、セレナが傍に居てくれた お陰だよ。エイセツジムは別だけど、今までのジム戦を割とスムーズに突破できたのは、セレナの お陰なんだ」

 セレナ 「……ふふっ。なんだか照れくさいよ」


知らなかったな。サトシが私のこと、そんな風に思ってくれてたなんて。

私が居るだけで、サトシが頑張れた……。それって、すっごく嬉しいよ。


 サトシ 「……へへっ。オレだって こんなこと言うの恥ずかしいぜ? でも、2人の時じゃなきゃ、伝えるチャンスは無いかなって」

 セレナ 「ふふっ。そうだよね、私もっ」
 ▼ 328 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:37:10 ID:aDpz9k2k [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレたち、知らないうちに お互いのこと助け合ってたんだな」

 セレナ 「うん、そうみたいだね。なんだか素敵だね、こういうのって」

 サトシ 「あぁ。……けどこれからは、そういう訳には行かないんだよな」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「でもセレナなら大丈夫さ。成長したんだろ?」

 セレナ 「うん。色んな経験をして、家に居たままじゃ知らなかった、色んなことを学べたもん。旅のノウハウもね」

 サトシ 「それなら大丈夫だな。オレ、いつだってセレナのこと応援してるからさ。ホウエンでも頑張れよ!」

 セレナ 「うん。ありがとう。……サトシは、これからどうするの?」

 サトシ 「そうだなぁ……、まだ分からないや。旅に出るかもしれないし、何か新しいことにチャレンジするかもしれない。どっちにしろ、ゼロからのスタートになるな」

 セレナ 「そっか。……でもサトシなら、どんなことがあっても絶対に大丈夫だよね。私の知ってるサトシは、どんなことがあっても諦めない、とっても強い人だもん」

 サトシ 「……へへっ。サンキューなセレナ。オレ、セレナと旅したこと、絶対に忘れないぜ」

 セレナ 「うん。私もサトシと旅したこと、ずっと忘れないよ。こんな素敵な経験、忘れるなんて無理だもん」

 サトシ 「あぁ。……じゃあそろそろ寝ようぜ。明日も早いしな」

 セレナ 「ぁっ……うん」

 サトシ 「それじゃ、おやすみセレナ」

 セレナ 「うん。おやすみなさい」
 ▼ 329 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:37:40 ID:aDpz9k2k [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは立ち上がって、手を振りながら、私の部屋から出て行った。

廊下の先で、サトシの部屋の扉が閉まる音が聞こえた。


 セレナ (“お互い助け合ってた”か……)


それは、今になって初めて聞けた、サトシの本心だった。

私がサトシの存在に励まされてたように、実はサトシも、私のことを必要としてくれてた……。

とっても嬉しい。もっと早く聞きたかった。


 セレナ (はぁ……)


でも、そんな事実を聞いた途端、嬉しさと同時に、寂しさも湧き上がって来てしまった。

お別れの寂しさ。

嬉しいはずなのに、嬉しいが故に、もうすぐ やってくる お別れが、余計に辛くなってしまった。


 セレナ (言えないよ……グスッ、これだけで こんなに寂しいのにっ、好きだなんて……言えないよぉ……)
 ▼ 330 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:38:10 ID:aDpz9k2k [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシを部屋に誘った時の決心は、既に折れてしまっていた。

こんな気持ちでサトシに気持ちを伝えたら……、お別れ、ますます辛くなっちゃう。

サトシの返事とか関係なしに、寂しい気持ち、悲しい気持ち、たぶん私、抑えきれなくなっちゃうと思う。


 セレナ (寂しいよ……サトシっ……グスッ)


“当たって砕けろ”、覚悟を決めたのに。

これが最後のチャンスだったのに。2人だけになるチャンス、もう無いのに。


 セレナ (ぅっ……グスッ、ぅぅっ……)


私はベッドに寝ころんで。布団に潜り込んだ。

涙が溢れる。

サトシと お別れしたくないって、心の中が泣いている。


 セレナ (お互い新しいスタートなのに……。笑顔で お別れしないと、いけないのにっ……)


私は いつの間にか、眠りに落ちていた。

 ▼ 331 イノーズ@エレキブースター 17/05/28 01:38:57 ID:4s1VWprI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 332 レビィ@しんかいのウロコ 17/05/28 16:26:23 ID:tudZ1oFg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 333 ニドリル@ディフェンダー 17/05/29 15:44:06 ID:HUFgU0sg NGネーム登録 NGID登録 報告
333支援
 ▼ 335 クスロー@サファイア 17/05/31 21:28:28 ID:p6CHp1Ms NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 336 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:04:20 ID:YIZNhLys [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

翌朝。


 セレナ 「それじゃあママ、行ってくるね」

 サキ 「気を付けるのよ。今度は1人旅なんだから」

 セレナ 「分かってるわよ。それに、テールナーとヤンチャム、ニンフィアがついてるもん」

 サキ 「そうだったわね。たまには連絡するのよ」

 セレナ 「うん」

 サキ 「サトシ君も、マサラタウンまで気を付けてね」

 サトシ 「はい。お邪魔しました」

 サキ 「それと、今までセレナと一緒に旅してくれて、本当にありがとう」

 サトシ 「いえ、オレの方こそ、セレナと旅できて楽しかったです」

 セレナ 「ふふっ」

 サキ 「いつでも遊びに来てね。サトシ君なら大歓迎だから」

 サトシ 「はい!」

 セレナ 「じゃあサトシ、行こ」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 337 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:05:00 ID:YIZNhLys [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ママに お別れして、私とサトシは、バスターミナルへと向かった。


なんだか 呆気ない出発だけど、今までの旅は私の勝手で突然始まっちゃった訳だから、それに比べれば良い方なのかな。

ちゃんとママに“いってきます”を言えたんだし、これで良いんだよね、きっと。


これから私の、新しい旅が始まるんだ。

テールナーたちと一緒だけど、今度の旅に、頼れる同行者は居ない。私一人で判断して、進まなくちゃいけないんだ。


 サトシ 「さて。シトロンとユリーカとも、今日明日で お別れだな」

 セレナ 「うん。寂しいけど、最後は楽しく、だよね」

 サトシ 「あぁ」






ミアレシティに着いた私たちは、すぐシトロンとユリーカと合流して、最後の一時を過ごした。


夜はポケモンたちも一緒に、最後のパーティー。

離れ離れになる寂しさを振り払うように、いつも通り、みんな笑顔で、旅の思い出に花を咲かせた。
 ▼ 338 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:06:00 ID:YIZNhLys [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










 そして、お別れの時――。









 ▼ 339 チャブル@トウガのみ 17/06/02 23:09:27 ID:aNsDphmI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 340 ツドン@エルレイドナイト 17/06/03 06:29:03 ID:vEz9p/5Q NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 341 ブライカ@アシレーヌZ 17/06/04 06:48:05 ID:aHzjIfN. NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 342 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:15:00 ID:QLvR3v5c [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-13 】


 アナウンス 『ラティアス航空H71便、登場まもなく終了します。まだご搭乗されていないお客様は、お急ぎ下さいませ』


 セレナ 「じゃあ行くわね」


私の乗る飛行機の時間が迫っている。

デデンネが、お別れが嫌で逃げ出しちゃったトラブルがあったけど、そのお陰で分かり合えた部分もあったし、ユリーカの成長も見れた。

最後は笑顔で お別れできそうだ。


 セレナ 「サトシ、シトロン、ユリーカ。みんなから いっぱい貰ったわ。数えきれないくらい」


この旅で私を成長させてくれたのは、サトシだけじゃない。

シトロンも、ユリーカも。

みんなとの旅は、私に沢山のモノをくれた。沢山の経験、沢山の感動、沢山の思い出――。

絶対に忘れることの無い、沢山のことを私に残してくれた。
 ▼ 343 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:15:30 ID:QLvR3v5c [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ピカチュウ 「ぴぃかぴか!」

 シトロン 「たまには連絡くださいね」

 ユリーカ 「セレナ、必ず会いに行くから、待ってて!」

 セレナ 「うん」


あぁ、本当にもう、お別れなんだ。

これが本当に、旅の最後なんだ。

サトシの話せるのは、これが最後なんだ……。


 セレナ 「サトシ、私、旅に出て本当に良かった。貴方は私の目標よ」

 サトシ 「ぁっ……」


私の目標――、サトシに そう伝えるの、初めてだったっけ。

サトシのことは好き。サトシは私の憧れ。

でもそれとは別、サトシは私の目標。

サトシみたいに、いつも笑顔で、優しくて、ポジティブで、ポケモンのことに一生懸命で、いつだって前向きで、絶対に諦めない。

そんなサトシみたいな強い心を持つのが、これから一人旅に出る私の目標だ。
 ▼ 344 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:16:00 ID:QLvR3v5c [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして……。


 セレナ 「次に会うまでに、もっともっと魅力的な女性になるから」


これは、私の出来る、精一杯の告白だった。

いつか必ずサトシを振り向かせてみせる。サトシの隣に居て恥じない女性になる。

そんな私の決意を込めた、私なりの告白。


 サトシ 「あぁ!」


サトシは笑顔で答えてくれた。

あわよくば、サトシに気付いて欲しかったけど、返事は それだけだった。

まぁ、鈍感なサトシだから、気付いてくれるとは思わなかったけど、やっぱり残念だな、私の気持ち、伝わらなくて。


でも、これで良かったんだよね。

思い出は綺麗なまま……、最後に気まずくすることもないし、シトロンとユリーカも居るんだもん。

これが、ベストな方法だったよね。


 セレナ 「それじゃあ」
 ▼ 345 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:16:31 ID:QLvR3v5c [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、搭乗口へのエスカレーターに乗った。


あぁ……、本当にもう、お別れなんだ。

後悔は……、少しだけある。

私の憧れてあって、目標であって、大好きな人に、気持ちが伝わらなかったこと。ただそれだけが、この旅で やり残したこと。


……本当に、これがベストな お別れなの?

サトシへの感謝の気持ちは、2人きりの時に伝えることが出来たけど、私の本当の気持ちは、伝えられないまま。


エスカレーターで下りながら、私の頭の中に、ぐるぐると色んな思いが巡ってくる。

次にサトシと会えるのは、果たして いつなのか分からない。そもそも会えるのかすら分からない。

もしかして……、この旅でサトシと再会できたのは、大きなチャンスだったのかもしれない。

私の大きな転機になればって、神様がくれた、人生最大のチャンスだったのかもしれない。



後悔だけはしちゃダメ――。

当たって砕けろ――。


……そうだよね!
 ▼ 346 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:17:11 ID:QLvR3v5c [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「サトシ、最後に一つ良い?」


私は振り返る。

そして、……本当は いけないことだけど、エスカレーターを逆走して駆け上がる。

サトシも、シトロンも、ユリーカも、何事かって顔をしてる。

でも気にしない。だって、後悔だけは、したくないもん。



エスカレーターを駆け上がった先に、サトシが居る。

今から私が しようとしていること、果たして どう思われるか分からない。

でも、悪いことじゃないんだから、自信を持って行かないと!

 ▼ 347 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:17:40 ID:QLvR3v5c [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



私はサトシの両肩に手を置いた。



サトシの驚いた表情が目に映る。



そんな彼の顔に、私は自分の顔を近づける。



私は目を瞑る。



その先のサトシの表情は分からないけど、サトシは それを拒絶するような素振りは見せないので安心した。





そしてそのまま私は――。




 ▼ 348 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:18:20 ID:QLvR3v5c [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





静かに、サトシと唇を重ねた。





あぁ……、私いま、すっごい大胆なこと、しちゃったな。



でもね、これが私の本心なの。



キスってね、言葉よりもずっとずっと大きい、女の子からの愛情表現なんだよ、サトシ。




 ▼ 349 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:19:00 ID:QLvR3v5c [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エスカレーターの流れで、私はサトシと引き離されていく。


サトシは呆然としている。

その後ろのシトロン、ユリーカ、ピカチュウは、顔を真っ赤にしていた。


改めて私は、自分の大胆な行動が、たまらなく恥ずかしくなった。

でも、これで良いの。これで良かったの。



 セレナ 「ありがとうっ!」


私は とびっきりの笑顔で、そう言った。

本当は“大好き”って言いたかったけど、それは違う気がした。

サトシのことは大好きだけど、それよりもやっぱり、サトシには感謝の気持ちの方が大きいもん。

最後の言葉に相応しいのは、“ありがとう”だよね。
 ▼ 350 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:20:00 ID:QLvR3v5c [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「じゃあなーセレナー! 頑張れよー!」


サトシはすぐ、にっこり笑ってくれた。

そして手を振りながら、シトロンよりもユリーカよりも大きな声で、私を応援してくれた。


本当にありがとう、サトシ。

最後に私の我儘、受け入れてくれて。


私の気持ち、言葉では伝えられなかったけど、分かってくれたよね?

答えは聞かない……聞けないけど、それで良いの。


また絶対に会おうね。その時までに私、もっともっと自分を磨いてるから。

そして絶対に……、貴方を振り向かせて見せるから。



ありがとうサトシ。私、これで頑張れるね!




 ▼ 351 ロバット@エレキシード 17/06/06 06:13:55 ID:5QVhJd7o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 352 ベルタル@きょかしょう 17/06/06 08:53:38 ID:3g4VS9DM NGネーム登録 NGID登録 報告
そろそろ終わっちゃう…

ifストーリーになっちゃうけど作者様さえ良ければ再会したときの話とか…検討お願いします
 ▼ 353 クーダ@ダークメモリ 17/06/06 16:06:58 ID:XzK8vcS2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>352
読者様が湧いてんな
 ▼ 354 レイハナ@いかりまんじゅう 17/06/07 15:53:53 ID:vhg4R.rk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 355 ズモー@ウタンのみ 17/06/07 22:53:49 ID:AFGsX5p6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

終わっちゃうのか……
再開後も書いて欲しいけど
 ▼ 356 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:45:00 ID:PcQ5Kouo [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-14 】


搭乗ゲートをくぐって、飛行機に乗り込む。

ほどなくして、飛行機は動き出して、滑走路に向かう。

グンッ! と力が加わったかと思うと、飛行機はスピードを上げて、大空へと飛び立った。


みるみる地上が離れていく。建物が小さくなっていく。


そう言えば私、飛行機に乗るの、あのサマーキャンプ以来だったっけ。

本当なら ちょっとしたワクワク感があるんだろうけど、今の私は、そんなこと感じられるような状況じゃなかった。


悩みや辛さもあったけど、振り返れば断然に楽しかった旅が終わったことへの、喪失感に近いもの。

大好きなサトシに、思いきってキスをしてしまったこと、キスが出来たことの、恥ずかしさと嬉しさ。

そんなサトシと しばらく会えないことへの、純粋な寂しさと悲しさ。

けど、新たな旅――、私たちの夢にチャレンジする旅が始まるって言う、やる気と期待。



色んなことが頭の中に巡り巡って、そして何故だか、私は涙を流していた。

 ▼ 357 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:50:00 ID:PcQ5Kouo [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あぁ、ダメだな私。

前向きにならなきゃいけないのに……、サトシとの お別れ、辛すぎるよ……。


 セレナ 「グスッ、うぅっ……」


サトシと唇を重ねた感触、まだ残ってる。

キスをしたその瞬間、たった一瞬だったけど、なんだか暖かな気持ちになれて、心の中がスーッと洗われるような感じがした。


それはきっと、私なりの結末を迎えることが出来たから。

大好きなサトシに憧れて、振り向いて欲しくて、気持ちに気付いて欲しくて、モヤモヤしていた気持ちに、決別できたから。


サトシに“好き”って言えなかったけど、キスという形で、気持ちを伝えることは出来たと思う。

長い間、私が抱いていたサトシへの想い、分かってくれたと思う。


最高の形で お別れ出来たはずなのに。

これで頑張れるって、ついさっき決意したばっかりなのに。


それなのに……、なんで涙……。

 ▼ 358 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:55:00 ID:PcQ5Kouo [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 CA 「……お客様、どうかなされましたか?」

 セレナ 「グスッ……ぁっ」


ふと我に返ると、CAさんが心配そうに、私の顔を覗きこんでいた。

あぁ、私、そんな心配されるほど、泣いちゃってたんだ……。


 CA 「ご気分が悪いようでしたら……」

 セレナ 「大丈夫です」

 CA 「ですが……」

 セレナ 「ごめんなさい。友達との お別れが辛くて……、ちょっと涙ぐんじゃって……」

 CA 「そうでしたか。お別れは辛いですけど、それは次に会う時の希望ですよ。どうか前向きに考えてみて下さいね」

 セレナ 「前向きに……。はい、ありがとうございます」

 CA 「いえ。……それでは改めて、ドリンクサービスです。お飲み物は いかがなさいますか?」

 セレナ 「えっと……、リンゴジュースをお願いします」

 CA 「かしこまりました」
 ▼ 359 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:00:00 ID:PcQ5Kouo [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リンゴジュースを一口飲む。

ほのかな甘みと りんごの香りが、私の心を癒してくれた。


“前向きに”か――。

……うん、いつまでも悲しんでちゃダメだよ、私。


サトシ、いつも前向きだったじゃない。

明るくて、ポジティブで、優しくて、絶対に最後まで諦めない――、そんなサトシの傍に居たいなら、私だって、サトシの精神を見習わないと。



私は目を瞑る。

そして、思いだす。


サトシと一緒に写った写真。

サトシがくれた青いリボン。

サトシが褒めてくれたショートボブ。

サトシに抱きとめて貰った感触。

サトシとキスした暖かさ。
 ▼ 360 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:05:00 ID:PcQ5Kouo [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……そうだよ。


サトシとの思い出、たくさん。

私、サトシに色んなモノ、貰ってたんだ。

今の私は、隣にサトシが居なくても、サトシの温もりを感じられるモノ、いっぱい持ってるんだ。


 セレナ (だから私、寂しいなんてこと、ないんだよね?)


前を向かないと。

前を向いて進まないと。

前を向いて進んで、夢を目指さないと。


もっともっと成長して、魅力的な女性にならないと。

約束したもんね、サトシと――。


 セレナ (待っててね、サトシ。貴方に負けないくらい、私、頑張るから!)


 ▼ 361 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:10:00 ID:PcQ5Kouo [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





【 夢に向かうサトシへ 】



ポケモンマスターを目指すサトシは、とっても格好良かったです。

ポケモンバトル、ジム戦、カロスリーグ、サトシは いつもポケモンのことを信じて、とっても楽しそうでした。

ポケモンマスターと言う大きな大きな夢があるからこそ活き活きとバトルするサトシの姿は、本当に格好良かったです。


そんな貴方の姿に、私は ますます惹かれてしまいました。

サトシは気付いてくれなかったけど、この旅を通じて、サトシへの想いは高まるばかりでした。

最後のキスは、私の自分勝手、私の我儘です。

本当ならサトシからの答えを聞いて、はじめてキスするものですが、ちょっと手順を飛ばしてしまいました。

でもそのお陰で、私は とっても暖かな気持ちになれました。私の心の中で、一つの区切りを付けることができました。
 ▼ 362 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:10:30 ID:PcQ5Kouo [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンマスターと言う崇高とも言える夢の実現は、簡単なことではないと思います。

でも、サトシなら大丈夫。

最後まで絶対に諦めない、強い心を持つサトシなら、必ずポケモンマスターになれると、私は信じています。

サトシのことを すぐ傍で見てきた私だから、自信を持って言えます。


私もサトシの精神を見習って、これから先、ホウエンの旅、頑張りたいと思います。

テールナーたちと一緒に成長して、パフォーマンスの腕を磨いて、次こそエルさんに勝ちます。

そして、カロスクイーンと言う、私の夢を実現させます。


私がこうして大きな夢を見つけられたのは、サトシの素敵な夢を聞かせて貰ったからです。

サトシは私の人生を大きく変えてくれた、私の かけがえのない存在です。


だからサトシも、ポケモンマスターへの道、頑張ってください。

私、応援しています。遠く離れていても、応援しています。

サトシの夢の実現、私も心から、願っています。




 ▼ 363 ンニュート@ピカチュウZ 17/06/08 20:13:41 ID:gLot5h2s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タイトル回収ですか!

終わっちゃう!!
 ▼ 364 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:20:00 ID:PcQ5Kouo [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





【 1-15 】



ホウエンに下り立った。


初めての場所、初めての薫り、初めての感覚。


これから私の――、私たちの、新たな旅が始まるんだ。


夢への新たなスタートラインを、私たちは今、踏み出したんだ。




 
   ― 完結 ―




 ▼ 365 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:20:30 ID:PcQ5Kouo [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





これにて完結です。

最終回のサトシとセレナの別れは、本当にグッとくるものがありましたよね。

これまでのご支援、ご感想、ありがとうございました。


また、多忙のため定期的な更新が出来ず、申し訳ありませんでした。

クスノキ時代からサトセレSSを書いてきましたが、これにて一段落。
アニポケXY、XY&Zを舞台にした、カロスを旅するサトシとセレナのSSは、これでラストです。



それでは、またどこかで。

次のSSは、5年後くらいでしょうかね?





以下、このSSの構想メモ。

 ▼ 366 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:21:00 ID:PcQ5Kouo [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

当日夜:セレナ、旅の準備で自宅へ。サトシも誘う。
1日目:セレナ宅へ出発、メイスイ泊。敵と一応対面。
2日目:午前セレナ宅到着。昼食食べてサキ出掛ける。サトセレ、自転車で森へ。敵とバトル。野宿?
3日目:セレナ宅に戻る。サキ帰宅、サトシとサキの会話。サトシ、セレナの部屋へ。
4日目:サキに別れを告げミアレへ移動。バス。シトロン宅。
5日目:サトセレ出発

サトセレ、自転車で森、景色良いところへ

男女カップル→実はポケモンハンター
女の方は金、権威目当てで男と付き合ってる

サトシと男、セレナと女でバトル

サトシ、セレナの悪口言われ反論。
セレナのこと強く想っている。

セレナ、サトシに言い寄ろうとする女に自分の気持ちぶつける
バトル不利ながらも、ニンフィア一時的とっておき勝利

セレナ、ポケモンたち守ろうとして傷つく
サトシ、あの時のように助ける

自転車壊す

セレナ風呂
サキ、サトシにお礼
サトシ、セレナは強いとサキに話す

ユリーカ、本当にセレナがキスするとは思わなかった
 ▼ 367 ッシブーン@ミックスオレ 17/06/08 20:30:48 ID:3P87mt5Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも乙です!

サトシサイドとセレナサイドで話を進めて行くのは大変だったと思いますが、とても楽しめました!

またいつかサトセレss読める日を楽しみにしてます。
本当にお疲れ様でした!
 ▼ 368 ガラグラージ@アクアスーツ 17/06/08 20:45:40 ID:gLot5h2s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です(`・ω・´)

サトシサイドのスレでも書きましたが見てて面白かったです!

終わり方もほっこりしました(*´▽`*)



 ▼ 369 ャオニクス@まひなおし 17/06/08 23:33:23 ID:NnAdrcfE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結乙
サトセレ最高だな
 ▼ 370 エンジシ@いでんしのくさび 17/06/09 02:08:57 ID:DZMKKFYo NGネーム登録 NGID登録 報告
おつかれ!
 ▼ 371 サキィン◆INwhWfUQUw 17/06/09 03:36:14 ID:NZYsBftw NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
完結かぁ
お疲れさまでした
 ▼ 372 ウカザル@オレンジメール 17/06/09 11:33:50 ID:BoC46b8Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おもしろかったです!ありがとうございました!
半年間お疲れ様でした!
 ▼ 373 ーダイル@バグメモリ 17/06/09 17:31:18 ID:kCW5vWU6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様でした!
 ▼ 374 メテテ@しんぴのチケット 17/06/10 07:11:34 ID:bvIFrMLo NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
サトセレ良かった!
 ▼ 375 リーセン@ちりょくのハネ 17/06/11 17:50:10 ID:Fi79EoFs NGネーム登録 NGID登録 報告
うーむ、これは良作。(確信)
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