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【スワップSS】サトシ「朝起きたら世界が少し変わってた……」

 ▼ 1 ギギシリ@のんきのおこう 17/10/17 21:07:12 ID:BWOU2/qs [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「昨日までククイ博士ん家のロフトで寝てたのに…朝起きたら地下の研究室で寝てた…」

サトシ「そしてロフトはバーネット博士の物になってた…」

サトシ「そしてモクローがジュナイパーになってた…」

サトシ「なんでだよ…夢でも見てんのか…?」

サトシ「まぁいっか!とりあえず朝飯食ってスクールに行くかぁ…」

サトシ「スクールのみんなも少し違うのかな?」
 ▼ 2 ュナー◆X5JqkpJxts 17/10/17 21:09:35 ID:oHylypZE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まぁ、いっか!」 おいおいおい…

支援
 ▼ 3 ガエルレイド@みずのジュエル 17/10/17 21:09:36 ID:BWOU2/qs [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
トリップつけ忘れてました。このSSはスワップSSの企画に参加します

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=690223
 ▼ 4 f0L1H50Mfo 17/10/17 21:10:25 ID:BWOU2/qs [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
すいません、またつけ忘れてました

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=690223
 ▼ 5 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/10/22 11:33:11 ID:4nAvLWMw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんか続き書くことになったっぽいんですけどサンムーンはゲームもやってないしアニメも見てないのでさっぱり分かりません
もともと第七世代関連の1レス目に当たったら即座にギブアップ宣言する気でいましたので、申し訳ありませんが失踪宣言させていただきます
 ▼ 6 ガヘラクロス@ふっかつそう 17/10/22 12:09:06 ID:X7WswUT. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
じゃあ>>15に書かせよう
 ▼ 7 チコール@きいろいバンダナ 17/10/22 12:19:59 ID:ztu1cXHY NGネーム登録 NGID登録 報告
>>6
コラコラこういう場合は基本的に早い者勝ちの乗っ取り性らしいから勝手に安価にするでない
 ▼ 8 ュペッタ@タイマーボール 17/10/26 23:58:54 ID:4h9JsXw. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 9 ディバ@りゅうのキバ 17/10/27 01:04:05 ID:8VnL6ofg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 10 トベトン@ドラゴンのホネ 17/10/27 21:06:47 ID:Ht6onb4M [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノープランで乗っ取ろうかね

失踪したらごめんね
 ▼ 11 1dbt1tfHZM 17/10/27 21:11:59 ID:Ht6onb4M [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は、ふああとあくびをしながら、1階に上がる。

ロトムが速くと俺を急き立てた。


サトシ「待ってくれよロトム」

ロトム「そもそも! こんなところで寝てるのがマズイロト!

    家も近いんだから、そっちで寝ればよかったロト」


サトシ「え?」


今の発言に、どこか違和感を覚えた。

家が、近い?

けれど、漂って来る朝食の匂いに、その違和感は掻き消えた。


この時点でまだ俺は、寝ぼけていたのだと思う。でなければ、気付けないはずがなかった。


――今日俺は、起きてから1回も、ピカチュウの顔を見ていないし、声も聞いていない。
 ▼ 12 1dbt1tfHZM 17/10/27 21:24:38 ID:Ht6onb4M [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「起きたか、サトシ」

サトシ「おはようククイ博士!」

バーネット「おはようサトシ君、いつにもまして元気ね」

サトシ「あれ? 時間は大丈夫なの?」

ククイ「時間? 今日はチャレンジャーがいなくて、久々に休みだって言ってなかったか?」

サトシ「チャレンジャー?」

ククイ「おいおい、どうしたんだチャンピオン、なんか変だぞ?」


ジュナイパーも、心配そうな声をあげる。

そこで、俺はようやく気付いたのだ。

いつもなら、こういう流れの時、真っ先に声を掛けてくれる、肩の上のあいつがいない、という事実に。


サトシ「あれ、ピカチュウは?」

ククイ「ピカチュウ? サトシはそんなポケモン、持ってなかっただろ?」

サトシ「……え?」


俺は慌てて階段を駆け降りると、ピカチュウを呼んだ。

物陰からすぐ見えるところまで、隅から隅まで。


見付かったのは、6つのボール。ピカチュウがいないどころか、ニャビーすらもいなかった。

ルガルガンはいた。そして、他の4匹。

ブースター、ドヒドイデ、それに……。


サトシ「カプ・コケコにソルガレオぉっ?!」
 ▼ 13 変え◆4gGpEMmlvo 17/10/27 21:33:01 ID:Ht6onb4M [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「おいおいどうしたんだ?」

サトシ「だって、だって、俺、いつの間に伝説ポケモンを?!

    それに……ピカチュウもいないし」

ククイ「……なあ、サトシ。お前、自分が誰だかわかってるのか?」

サトシ「うん。俺、マサラタウンのサトシ」

ロトム「違うロト。サトシの家は、この近所ロト」

サトシ「近所も何も、俺はここに住んでるぞロトム」

ロトム「それは違うロ! サトシの家は、ここから北西方向に徒歩2分32秒の所にあるロト」

サトシ「え?!」

バーネット「ねえサトシ君」

サトシ「そもそも、なんでここに泊まってるんですか? バーネット博士」

バーネット「え? だって、私、この人の妻だもの」


そう言って、彼女は指輪を見せる。

ククイ博士も、揃って指輪を見せた。


サトシ「う……そ……」


あまりの訳のわからなさに、俺の意識はブラックアウトした。
 ▼ 14 変え◆4gGpEMmlvo 17/10/27 21:44:46 ID:Ht6onb4M [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシが、なんか変だ。

いつもより静かだし、その上なんか、顔に妙な笑みが浮かんでるし。

珍しくロトムに起こされる前から起きて、ククイ博士もビックリしていた。

まだ、ニャビーとモクローは寝てる。

ルガルガンが、僕に話し掛けて来た。


ルガルガン「ピカチュウ」

ピカチュウ「気付いた?」

ルガルガン「……サトシ、なんか変な臭いがするんだ。いつもと違う、なんか……似た臭いなんだけど」

ピカチュウ「そ、それは気付かなかった……」


嗅覚に関して、アローラでの仲間の中でルガルガンに敵うポケモンはいないだろう。

だからまあ、仕方ないっちゃ仕方ない。


ククイ「スクールには行かないのか? サトシ」

サトシ?「スクール?」

ククイ「おいおい、忘れたのか?」

ピカチュウ『どうしたの、サトシ』


ぴーか、ピカピ。そんな風に聞こえたはずだ。それでもサトシなら、気付いてくれるはず。

こいつが、本当にサトシなら。


サトシ?「この子、俺のポケモン?」

ククイ「……それは、マズイだろ」

サトシ?「だって……俺の手持ちに、ピカチュウも、ニャビーもいなかったし。

     ジュナイパーも退化してる。ルガルガンだけは変わってないけど」


確信した。サトシみたいな見た目をしてるけど、こいつはサトシじゃない。


誰だ、こいつは。
 ▼ 15 4gGpEMmlvo 17/10/27 21:50:51 ID:Ht6onb4M [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「……どういうことだ?」

サトシ?「わかんないけど……でももしかしたら、ありえるのかも。

     ウルトラホール潜り抜けて、異世界にやって来た、みたいな」

ピカチュウ『ウルトラホールを……』

ルガルガン『潜り抜けて?』

ほしぐも「ぴゅい?」


まだ言葉も話せない赤ん坊のほしぐもが、ウルトラホールという単語に反応したかのようにかばんからひょっこり顔を出した。


サトシ?「え、嘘、なんで……ほしぐもちゃん?!」
 ▼ 16 4gGpEMmlvo 17/10/27 21:52:30 ID:Ht6onb4M [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっからしばらく構想を練って書き溜めようかなと思います
しばらくお待ちください
 ▼ 17 ガニウム@そうこのかぎ 17/10/28 14:40:37 ID:mRZ...uA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 18 テボース@げんきのかけら 17/10/28 17:48:09 ID:fVoHYQqI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 19 ラーチ@りゅうのキバ 17/10/28 17:54:23 ID:QGuPJ0pY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 20 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:03:52 ID:PBRJ1H1Y [1/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

目を覚ますと、俺は、知らない布団で寝かされていた。

覗き込んで来るのは、ジュナイパーとロトム。

ジュナイパーが鳴き声を上げる。


ロトム「お目覚めロト? 今日は、ホントにどうかしてるロト!」

サトシ「ごめん、だけど……なんだか、訳がわからないんだ。

    っていうか、ここどこだ?」

ロトム「サトシの部屋ロト!」


口調に怒気が滲んだ。俺は戸惑って部屋を見回す。

すると、世界地図が見えた。立体型だ。

くるくると回す。

声が、部屋の外から聞こえて来た。


「ホントに、ごめんなさいね、うちの子が」

ククイ「トリックルームのように不思議な出来事に見舞われた、って感じでした」


ひとつは博士ので、もうひとつは知らない声だ。

扉をゆっくりと開き、覗く。

少しふくよかな女性が、ククイ博士と話していた。


ロトム「もしかして、わからないロト?」

サトシ「ああ。あの人、誰?」

ロトム「……サトシのお母さんロト」

サトシ「……でも、俺のママは、あの人じゃないぞ。今もマサラにいる」

ロトム「もう驚かないロ。きっと、サトシは、中身だけ別のサトシと入れ替わったロね」

サトシ「中身だけ……入れ替わった?」

ロトム「もう、そうとしか考えられないロト。手持ちポケモンも、家族も違うだなんて、普通あり得ないロ」

サトシ「そっか、頭いいなロトム!」

ロトム「ケテッ?! そんないきなり言われると照れるロト〜」
 ▼ 21 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:04:17 ID:PBRJ1H1Y [2/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ククイ「どうしたんだ? そりゃほしぐもはレアだが……今日のお前は、トリックルームみたいに変だぞ」

サトシ?「……なんで、ほしぐもちゃんが。

     やっぱり、ここは、パラレルワールドだ。俺は、別のサトシの中に、乗り移ったんだ」

ククイ「別のサトシに乗り移った?!」


サトシの中に、別のサトシが?

でも確かに、それなら納得がいく。何がとは言えないけれど、この、微妙な違いはその辺りだろう。


ルガルガン「このサトシ、頭いいな」

ピカチュウ「何をー? サトシだって、頭は悪いけどその分機転が利くんだぞ?」

ルガルガン「ほんっと、ピカチュウってサトシが好きだよね」

ピカチュウ「当たり前だろ?! オニスズメの大群に襲われた時の話で3時間ぐらいのろけるよ?!」

ルガルガン「あーハイハイ」

ほしぐも「ぴ、ぴ……」

ピカチュウ「あっ」

ルガルガン「大声出すから」


僕は必死に、尻尾と顔でもってほしぐもをあやす。

ルガルガンも道化を演じて、なんとか機嫌を取ろうとする。

ほしぐもは、幸いにもすぐに落ち着いてくれた。
 ▼ 22 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:04:44 ID:PBRJ1H1Y [3/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「この子たち、何してるんですか?」

ククイ「ほしぐも、鳴き声がとんでもなくうるさくてな。ハイパーボイスを通り越して、もうばくおんぱ」

サトシ「そ、それは……ヤバそうですね」

ピカチュウ『そう、ホントにヤバいんだよ』

ほしぐも「ぴゅい?」

サトシ「……なんか、情感豊かなピカチュウですね」

ククイ「トレーナーに似てな」

サトシ「ふうん」

ククイ「とりあえず、スクールに来てくれ。みんなにも、事情を説明しないといけないだろ?」

サトシ「スクール? まあ、いいですけど。ククイ博士が悪い人なはずないですし。この子たちのボールは?」

ククイ「そこだ。でも、ピカチュウはボールに入るのを嫌がるから、サトシはボールに入れてないぞ」

サトシ「……そうなんだ」
 ▼ 23 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:06:05 ID:PBRJ1H1Y [4/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ククイ「とりあえず、エーテル財団に行って事情を説明して来たらどうだ?」

サトシ「エーテル財団? ルザミーネさんが、なんか知ってるの?」

ククイ「ルザミーネ……じゃないんだけどね」


家の外に出て、ハウオリの、スクールへの見慣れた道を辿りながら、博士はそう言った。

その顔には戸惑いが浮かんでいる。


ククイ「中身が入れ替わったっていうのが実際に起こったのは、なんとなくわかるんだ。

    でも、そんなの誰かがハートスワップを使わない限りありえないし、しかも入れ替わる前のサトシもいないからなぁ」

サトシ「ねえ、元の、こっちのサトシって、どんな人なの?」

ククイ「どんな人、か。あいつは、凄いトレーナーだよ」

サトシ「えっ、ホント?」

ククイ「ああ。アローラのチャンピオンだからな」

サトシ「えっ、チャンピオン?! こっちのサトシが?!」

ロトム「そうロトよ〜。アローラ地方の初代チャンピオンの座を、見事勝ち取ったんだロト!」

サトシ「へー、凄いなこっちの俺! いつかバトルしてみたいぜ!」

ククイ「やっぱり、お前もオーバーヒートみたいに熱い奴だな!」

サトシ「やっぱりこっちのサトシも、バトルが好きなの?」

ククイ「ああ。内に、凄い闘志を秘めてるタイプだな」

サトシ「じゃあ、向こうのサトシも今頃、俺の話を聞いて――」
 ▼ 24 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:06:47 ID:PBRJ1H1Y [5/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシ「リー……リエ?」


クラスに来て、リーリエを視界にとらえた瞬間、サトシは――面倒だから、とりあえずサトシと呼ぶことにした――僕とシロン以外のポケモンに触れたリーリエのように硬直した。


ピカチュウ「ピカピ?」


僕の呼び掛けも、他のみんなのあいさつも耳に入っていないらしい。


サトシ「なんで、なんで、リーリエがいるの?」

リーリエ「……えっと、それは、どういう意味でしょうか」

サトシ「リーリエ、俺だよ! 忘れたの?!」

リーリエ「いえ、覚えてますが……サトシ、どうかしましたか?」

マーマネ「なんかいつもと違うよー? どうしたのサトシ、新手のナンパァ?」


マーマネの声に、サトシがはっと我に返った。


サトシ「あっ……そうか、ここは、別世界なんだ」

「「別世界?」」


クラスメイトたちの声が、ハーモニーを奏でた。
 ▼ 25 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:07:06 ID:PBRJ1H1Y [6/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アママイコ「それは……穏やかじゃないわね」

モクロー「そうなんだもふぅ。もくもピカチュウたちから聞いたもふぅ」

アシマリ「ねえ、どういうことなのニャビー」

ニャビー「なんで俺に訊くんだよ。ピカチュウに訊いてくれ」

トゲデマル「ピカチュウー! 大好きー!」


トゲデマルが、いつものように跳びかかって来る。んで、僕はいつものように押し倒され、至近距離の体温にドギマギしながらそれを押しのける。

そうこうしている間に、ルガルガンが説明してくれていた。


バクガメス「……なるほどなぁ。なかなか奇特なことがあるものだ」

シロン「でも、なんででしょう。どうしてうちのリーリエを見て、あのサトシはあんなに?」

ピカチュウ「さぁ。それはわかんないけど……ククイ博士のこともロトムのことも知ってるみたいだったし、元の世界であのサトシにとって大事な人だった、とか?」

ガラガラ「まあ、とりあえずあいつら見てみようぜ」

デンヂムシ「それが、いい」
 ▼ 26 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:07:30 ID:PBRJ1H1Y [7/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「マーマネ? あ、アーカラトリオ」

ロトム「アーカラトリオ? アーカラから来てるのはカキだけロト!」

サトシ「ああ、こっちの世界だと、スイレンもマオもマーマネも、メレメレに住んでるんだ」

マオ「ねえサトシ、どういうことなの?」

スイレン「今日のサトシ、変」

ククイ「まあみんな、落ち着いてくれ。サトシに、何かしらの異常が起こったんだ」

カキ「何かしらの……」

マーマネ「……異常?」

サトシ「ああ。……俺は、サトシだけど、サトシじゃない。中身が、別のサトシに入れ替わってるんだ。

    俺は、違うアローラから来てる。カキはこっちもみたいだけど、マオとスイレンはアーカラに住んでて、マーマネはウラウラ。

    リーリエは……今カントーにいるはずなんだ、俺の世界では」

リーリエ「カントー、ですか」


カントー。その音に、僕だけがピクリと反応した。

自分の故郷の名前を不意に聞くと、やっぱり何か、来るものがある。
 ▼ 27 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:08:05 ID:PBRJ1H1Y [8/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンヂムシ「つまり、パラレルワールド」

アシマリ「パラレルワールド?」

デンヂムシ「マーマネ、本で、読んでた」

トゲデマル「何をー?」

デンヂムシ「トゲデマル、わかってない」

トゲデマル「だって、マーマネの本難しいんだもーん」

アママイコ「ま、それはいいとして、パラレルワールドって?」

デンヂムシ「それは……」

マーマネ「要するに、パラレルワールドってことだね?」


デンヂムシを遮るように、マーマネが口を開いた。

そりゃそうか、一緒に本を読んだんだから。


マーマネ「パラレルワールドってのは、うーん……誰か、紙とペン貸して」


そう言って、マーマネはリーリエから紙とペンを借りると、2本、すっと線を引いた。


マーマネ「こっちが僕たちの世界で、もう1本がこのサトシの世界だとするね。

     算数で平行ってやったから、わかると思うんだけど、平行な2本の直線って、絶対交わらないんだよ。

     それとおんなじさ。僕たちの世界とこのサトシたちの世界は、普通だったら交わらないんだ」
 ▼ 28 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:08:22 ID:PBRJ1H1Y [9/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「だけど、何かの拍子に、俺とこっちのサトシが入れ替わった」

マーマネ「そういうこと。普通じゃありえない、が起こっちゃったんだよ」

リーリエ「本で読んだことがあります。そういう異世界にスリップして、冒険を繰り広げるのはファンタジーの王道ですものね」

マオ「へー。どんなの?」

リーリエ「こことは違う、平行した世界というだけでしたら、数えきれない程あります。

     ライトノベルと称されるものから、有名どころだと……」

カキ「本紹介もいいが、今はそれどころじゃないだろ。サトシの身に、何が起こっているのか、だ」

スイレン「でも、物語にヒントがあるかも」

カキ「それは……」

リーリエ「まあ、ヒントにしても、こちらのサトシの話を詳しく聞くところからです。

     サトシ、でいいんですよね?」

サトシ「ああ。俺も、サトシだ」

リーリエ「それでは、サトシと呼ばせていただきます。まず、昨日まで何があったのか、話していただけますか?」

サトシ「ああ。とりあえず、どこから話せばいいかわからないけど……今、こっちの状況を見るに、アローラに来た辺りから話した方がいいかな」
 ▼ 29 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:08:42 ID:PBRJ1H1Y [10/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

グラジオ「パラレルワールドだな、それは」

サトシ「パラレルワールド?」


俺は、ククイ博士にリザードンフライトのレクチャーを受け、エーテルパラダイスへと向かった。

代表代理と会って話して来いと。

そして、そこでなんと代表代理として勤めていたグラジオと出会い、今の現状を話したのだ。


グラジオ「何かの拍子に、2つのパラレルワールドにいるサトシが、入れ替わったんだ。

     パラレルワールドだから、人物の見た目や名前はそっくりで、だけど細かく違う。

     お前の経験したアローラライフを鑑みるに、たぶんそれが一番妥当な結論だと思う」

サトシ「パラレルワールドって何?」

グラジオ「フッ、そこから知らないのか……。

     パラレルワールドというのは、そっくりな、だけど決して交わらないふたつの世界のことだ」

サトシ「へー、グラジオ、物知りなんだな!」

グラジオ「物知りじゃないと、財団の代表なんて務められないからな」

サトシ「ところで、ルザミーネさんはどうしたんだ?」

グラジオ「……今は、リーリエと一緒、かはわからないが、カントーだ。マサキという人に、治療してもらってる」

サトシ「マサキ? あのボックスの?」

グラジオ「知ってるのか?」

サトシ「うん。カントーを旅してた時に会った」

グラジオ「そうか。ずいぶんと旅をして来たんだな」

サトシ「まあね」
 ▼ 30 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:09:10 ID:PBRJ1H1Y [11/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオ「それでだ。お前は、戻らないといけないのだろう?」

サトシ「うん。ピカチュウも、向こうに置いてけぼりだしね」

グラジオ「わかった。エーテル財団としても協力は惜しまない。

     君のためでもあるし、元のサトシは、俺たちの恩人だからな」

サトシ「ありがとうグラジオ! でも、恩人って?」

グラジオ「……そうか、知らないのか。なら、すまないが、その話はしたくない」

サトシ「えー、いじわるー」

グラジオ「……あっちは大丈夫そうだからな」

サトシ「え、なんか言った?」

グラジオ「なんでもない。とりあえず、行こうぜ」

サトシ「どこに?」

グラジオ「日輪の祭壇だ。元のお前は、そこでパラレルワールドに行ったと言っていた」

サトシ「え、マジ?」

グラジオ「本当だ。ただし、お前の行っている世界ではないと思う。お前の世界よりかはこの世界に近い世界らしい」

サトシ「なーんだ。まあでも、俺も何すればいいかわかんないし、ついてくよ。よろしくな、グラジオ」

グラジオ「ああ」
 ▼ 31 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:09:36 ID:PBRJ1H1Y [12/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

エーテルパラダイスでドククラゲみたいなウルトラビーストと戦った、というところで、リーリエが遮った。


リーリエ「……ちょっと、待ってください」

サトシ「え?」


リーリエの声が、震えている。

顔面も、蒼白だ。

このリーリエの反応は、尋常じゃない。


ロコン『リーリエ、大丈夫?』


ロコンが駆け寄って行く。クラスメイトたちも心配そうに覗き込んだ。


マオ「……凄い、ビックリな話だもんね」

リーリエ「……その、ウツロイド? 詳しく、聞かせて、ください」


リーリエの目は、サトシだけにまっすぐ向けられている。

シロンの声や、クラスメイトの声に、気付いてもいないようだ。


サトシ「なんで、名前知ってるの? 確かにあいつは、ウツロイド、だけど」

リーリエ「わかりません……ですが、知っています。私は、そいつを、見たことが……」

サトシ「ウツロイドってのは、寄生ポケモンだ。別の何かに憑りついて、そいつの力を解放する。

    半透明、硬質の白っぽいドククラゲ」

リーリエ「……それ、私、知ってる。助けて、助けてお兄ちゃん……私、怖い」

シロン『リーリエ! グラジオは今ここにはいないし、助けてもらうべき脅威もないわよ!』

リーリエ「助けて、助けてお兄ちゃん、助けて、助けて……」

シロン『っ……! 頭を冷やしなさいっ!』


リーリエが、見る間に凍り付く。シロン得意のこなゆきだ。

頭を冷やすってのは物理的な意味ではないと思うのだけれど、大丈夫だろうか。


ニャビー「俺溶かして来るわ。バクガメスだとやり過ぎるからな」

バクガメス「頼んだぞ」
 ▼ 32 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:10:06 ID:PBRJ1H1Y [13/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエ「ごめんなさい、取り乱してしまって。ありがとう、シロン」

シロン「こーん!」

サトシ「こっちのリーリエは、俺の知ってるリーリエよりも、あいつにトラウマがあるみたいだな」

リーリエ「はい。論理的結論として、わたくしがポケモンに触れないのも、その……ウツロイドに原因があるのだと思います」

サトシ「……だとすると、この話はちょっと、できないな。今からもっと、ウツロイドに関するトラウマを抉るような話になる。

    かいつまんで言うと、島巡りしながらスカル団と戦って、それからウツロイドに憑りつかれたルザミーネを俺とリーリエで解放したんだ。

    その時に、ソルガレオの力も借りた」


そう言いながらサトシは、ほしぐもの方を見やった。

ほしぐももなぜか誇らしげに笑みを浮かべている。


アシマリ「なんであんたが偉そうなのよ」

ほしぐも「ぴゅい!」
 ▼ 33 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:10:30 ID:PBRJ1H1Y [14/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ルザミーネの後遺症を治すために、リーリエはカントーに行ったんだ。

    その時に、約束した。いつか一緒に、トレーナーとして旅をしようって。

    本当に、リーリエは俺の大事な人なんだ」

リーリエ「……そちらの私は、それ程までに、想っていただけているのですね」

サトシ「……ああ」

マオ「ねえもしかして君、リーリエのことが好きなの?」

サトシ「……ああ」

マーマネ「ひゅう!」

スイレン「サトシ、顔赤い」

サトシ「うるさいなぁ! でも、スイレンとマオに会えたのはちょっと嬉しいな。

    あっちじゃ、どんだけ探しても見つからないんだもん。行き違いばっかりで」

カキ「俺とマーマネは?」

サトシ「カキはツリーでバトルするし、マーマネは防衛戦に来るよ」

マオ「ツリー?」

ロトム「ビビッ! ポニ島の奥地にある、トレーナーたちが修行に集まるバトルの聖地のことロト!

    でも、防衛戦のことについてはわからないロト。どういうことロト?」

サトシ「俺、アローラリーグのチャンピオンだからさ。チャレンジャーとして、たまに来るんだよねマーマネ」

ククイ「アローラリーグ? そっちだと、完成したのか?」

サトシ「あ、はい。もしかして、あなたも創ろうと?」

ククイ「ああ。してるんだ」

カキ「アローラリーグ?」

ククイ「ああ。いろいろと仕組みはまだ考え中だが、とりあえず舞台はアローラで一番高い大大試練の舞台、ラナキラマウンテンにしようと思ってるんだ」

サトシ「向こうもです。ククイ博士肝入りでね。お陰で寒いったらありゃしないんですけどね、ハハ」
 ▼ 34 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:10:50 ID:PBRJ1H1Y [15/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「す、凄いな。チャンピオンか」


僕は、今まで出会ったチャンピオンたちを思い返していた。

直近のカルネさんだったり、よく会うシロナさんだったり。

みんな、僕じゃ手も足もついでに電気もでないぐらいに強かった。

対抗できるのは……あのゲッコウガぐらいなものだろう。

それと、目の前のこのサトシが同じ。

にわかには信じがたいが、嘘を吐いているようには見えない。

なんだろう、うずうずして来た。猛烈に、このサトシと、いつものサトシと一緒にバトルしたい。

だけど……ポケモンは、向こうにいるままなのだ。

今、彼のポケモンは、僕たちなのだ。


ニャビー「……こいつ、そんなに強いのか」

ルガルガン「ってことは、サトシも鍛えれば、チャンピオンになれるのかね」

モクロー「ZZZ」

ピカチュウ「サトシは、チャンピオンなんかじゃ収まらないぐらい、強くなるんだぞ!

      チャンピオンにだってすぐさ!」

ニャビー「まあ、すぐには無理でも、いつかはなれるだろうな。あいつなら」

ルガルガン「ホント、ピカチュウってサトシのこと大好きだよな」

デンヂムシ「恋愛」

ピカチュウ「ふえっ?! ち、違うよ! 僕はサトシの相棒として……」

アママイコ「とか言っちゃって、真っ赤だよぉ?」

ピカチュウ「ふええっ?!」

バクガメス「こらこら、あんまりからかわない。そんな話よりも、今は目の前にある問題のことだ」

ピカチュウ「そ、そうだぞみんな!」


サンキュー、バクガメス。

本当に、ありがとう。
 ▼ 35 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:12:05 ID:PBRJ1H1Y [16/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「まあ、とりあえず、日輪の祭壇に行こうかなと思います。

    実は、パラレルワールド自体は、俺、行ったことがあるんです。

    時間軸だけが、12時間かな、あんま気にはしてないんだけどズレてる。

    そこに、ソルガレオと一緒に夜行くと、なんだか空間の歪みがあって、そこへ入ったら」

リーリエ「時間がズレた、別世界にいた」

カキ「というか、サトシお前、ソルガレオを捕まえたのか?!」

サトシ「ああ。リーリエとの約束でね」

リーリエ「わたくしも、関わっているのですか」

サトシ「ふかーくね。でも、今は言えない。たぶん、リーリエ、今度は凍り付けじゃすまない。

    しばらく入院するレベルのトラウマに触れないと、説明のしようがないんだ」

リーリエ「そうですか……」

サトシ「ごめん。君とも話してみたいけど……俺は、速く帰らないといけないんだ。

    だから、そろそろ行きたいんだ」

ククイ「あの、なんだが」

サトシ「はい?」

ククイ「お前は、Zリングを持っている。となると、祭壇まで行くのは厄介を極めるぞ」

サトシ「ああ、ドラゴンの試練ですか?」

ククイ「そうだ。お前は一回向こうでクリアしているのかもしれない。だけどこっちのサトシはまだだ。

    加えて、お前が戦いなれている、相棒ポケモンはこっちにはいない。

    こっちのサトシのポケモンで戦わないといけないんだ」

サトシ「……確かに、勝てるとは思えない、ですね」


チラリと僕たちを見て、それから彼は言った。

失礼だなぁ、もう。まあ、僕たちだって、このサトシの下でゼンリョクを出せるとも思えないし、お互い様か。
 ▼ 36 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:12:32 ID:PBRJ1H1Y [17/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……でも、じゃあどうすれば……」

ククイ「ただ、やり方がないでもない。ポニ島の島クイーンに頼めばいいんだ」

サトシ「ハプウ?」

ククイ「その通り。彼女は、つい最近島クイーンになった、お前たちとそう歳も変わらないクイーンだ」

サトシ「うん。強いよ、あの子は。少なくても、向こうだと博士、ハウ、グラジオの次ぐらいに」

リーリエ「お兄様もいるのですね」

サトシ「ああ。決して友達ではないらしいんだけど、ライバルだな、よくも悪くも」

ククイ「っていうか、俺なのか?」

サトシ「はい。カントーリーグでもいい線行ったらしいですもん。ステロルガルガン、66だととんでもなく面倒です。

    でも、まず6匹捕まえてるのも博士だけだし」

マーマネ「凄いなぁ、パラレルワールド。全然違うんだね。マラサダはある?」

サトシ「あるよ。ハウが大好きだ」

マーマネ「へー! そっちのマラサダも食べてみたいな!」

サトシ「ハハ、こっちのマーマネはコミュ力が高いな」

マーマネ「え、僕そっちだとコミュ障なの……」

サトシ「天才肌で、そっちに全振りしてる感じ」
 ▼ 37 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:12:53 ID:PBRJ1H1Y [18/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トゲデマル「コミュ障って何ー?」

ピカチュウ「知らなくていいよ」


いちいち、ビックリだ。

違いすぎる。

同じアローラの、同じ名前のそっくりさん。それなのに、キャラはこうも違うのか。


サトシ「まあ、とりあえずはハプウの所へ行ってみますね。みんな、とりあえず、俺と来てくれ。

    恐らくこっちのサトシは、向こうの俺のいた場所にいるはずだ」


僕たち3匹はめいめいに同意の声をあげ、眠るモクローと2匹をボールに戻し、僕とほしぐもはサトシに抱えられた。


サトシ「えっと、ライドギアはどこですか? リザードンに乗りたいんですけど」

一同「ライドギア?」

サトシ「え、ギア知らないの? こっち、もしかして、ない? ライドポケモンを呼び出す機械なんだけど……」

カキ「ライドポケモンなら、俺とスイレンは持ってるが」

サトシ「リザードンとラプラスでしょ? そうじゃなくて、登録したポケモンを、いつでも呼び出せるって奴」

ククイ「そんなものはこっちにはないな。ポニに行くのは、普通に船になる。

    場所はわかるな?」

サトシ「ハウオリ、ポートエリア、ですよね」

ククイ「その通りだ」

マーマネ「えー、もう行っちゃうのー?」

サトシ「まあね。こっちのみんなも楽しそうだけど、やっぱり、向こうでたぶん、みんな俺のこと心配してくれてると思うとね」

マオ「そっか。だけど、そうだよね。仕方ないよね」

サトシ「でも、こっちのことも、忘れないから」

スイレン「約束!」

サトシ「ああ、約束だ!」

リーリエ「あ、今の言い方、サトシっぽいですね」


みんな、笑った。
 ▼ 38 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:13:35 ID:PBRJ1H1Y [19/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


サトシ「ここが日輪の祭壇かぁ」


降り注ぐ陽射し。俺はうーんと伸びをする。

荘厳な光景だけれど、一度見たことがある場所だったからか、さほど委縮はしなかった。

とはいっても、夢の中だけれど。


グラジオ「それにしても、どこに、そんな歪みがあるんだ? あいつによると、相当目立つ場所にあるらしいが」

サトシ「ないな、何も」


そうなのだ。歪みの見た目に心当たりはあるのだけれど、それはどこにも見当たらない。


グラジオ「何かしらの条件があるのだろうか……」

サトシ「さあ、どうなんだ、ソルガレオ」


ボールの中の伝説、ソルガレオに問い掛ける。


グラジオ「そうか、ソルガレオ。一回、ボールから出してくれないか?」

サトシ「わかった! ソルガレオ、君に決めたっ!」


ボールを投げると、抵抗なくすんなり開いて、中からはまごうことなきソルガレオが姿を現した。


グラジオ「ここから、このサトシのいた世界につなげられるか?」

ソルガレオ「……ラリオーナ」


首を横に振るソルガレオ。さすがにどこにあるのかわからない俺の世界には無理、ということか。


サトシ「駄目みたい、だな」

グラジオ「ああ。仕方ない、俺は戻る。エーテル財団でも、お前たちの身に何が起こったのか調べてみるよ」

サトシ「ありがとう」

グラジオ「礼には及ばない。それでは、俺はこれで」


グラジオはそう言うと、空へと飛び去った。

さて、俺も一旦、ククイ博士のとこに行こうかと、ソルガレオをボールに戻し、さっきレクチャーを受けたライドギアでリザードンを呼び出そうとした。

その瞬間。声が聞こえた。
 ▼ 39 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:13:56 ID:PBRJ1H1Y [20/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ダルスー! こっちからホールの臭いがプンプンするよー!」


目の前には、なんらかの装備に身を包んだ、としか言いようのない少女。

そして、その後ろから、同じような装備を纏う男性がやって来た。恐らくは、ダルスだろう。


ダルス「待ってくれよアマモ、本当にお前は元気っこだな」

アマモ「おーい、そこの人!」

サトシ「俺?」

アマモ「もしかして、あなたもホールを通ったの?」

サトシ「ホール……なんだそれ?」
 ▼ 40 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:14:16 ID:PBRJ1H1Y [21/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシについて、僕たちはポニ島までやって来た。

向こうの世界に行けば、サトシと会える。だから、ついて来たのだ。

そこで、僕たちは、変な人たちに絡まれた。

絡まれた、と言っても、別に態度が不自然とか、礼儀知らずな、とかいうことはない。

ただ、恰好が変な人、ってだけ。

シオニラと名乗る男性と、ミリンと名乗る女性の2人は、サトシとコスモッグに反応したらしい。


シオニラ「ほう、お主は、ウルトラホールへ行ったことがあるな?」

サトシ「……なんで、わかったんですか?」

ミリン「そりゃ、わかる人にはわかるのよ」

サトシ「とりあえず、俺は確かに行ったことがあります。

    それで、あなたたちは、誰ですか? いきなり、そんなことを話し掛けて来て」

ミリン「ああ、そういや名前しか言ってないね」

シオニラ「わしらは……」
 ▼ 41 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:15:06 ID:PBRJ1H1Y [22/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシ「ウルトラビーストたちの空間……かあ。

    そんなとこ、行った記憶はないけど……。あっ、もしかして!」

アマモ「え、何か心当たりあるの?」

サトシ「そうなんだよ。朝起きたら、世界が少し変わってたんだ」

ダルス「これは当たりかもな」

アマモ「だね」

サトシ「っていうか、誰?」

アマモ「あたしはアマモ。で、こっちはダルス。2人揃って……」
 ▼ 42 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:15:29 ID:PBRJ1H1Y [23/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ダルス・シオニラ「ウルトラ調査隊だ」

――

アマモ「ちょっとダルス、テンションひっくいよー」

ダルス「お前が高すぎるんだ。それで、そっちは?」

サトシ「俺か? 俺は、マサラタウンのサトシ! こっちは相棒の……ピカチュウはそっか、向こうにいるんだ」

ロトム「中身だけ、別のサトシになってるんだロ」

ダルス「別のサトシ、か」

アマモ「それ、ホントに中身だけ? 外側は?」

ロトム「ありえないロト! だって」


――

ロトム「サトシの見た目一致率、100%ロト! 外側が入れ替わってるとはとても考えられないロト!」


ロトムの出すパーセンテージは、結構信頼できる。

フィフティーフィフティーは、わからないという言い換えで、嘘を吐かないという態度の現れでもあるんだし。


シオニラ「見た目、か」

ミリン「サトシ君、こっちの世界に来て、そっくりな人たちを見て来たのよね?」

サトシ「え? まあ、尋常じゃないぐらい見た目は似てる……あっ」


――

サトシ「そうか、俺とこっちのサトシは!」

――

サトシ「見た目一致率、100%……か」
 ▼ 43 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:16:13 ID:PBRJ1H1Y [24/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


サトシ「体ごと来てても、おかしくはないんだな」

ダルス「そういうことだ。中身を入れ替えるよりかは、体ごと入れ替わる方が、考えやすい」

アマモ「見た目が全く同じ、パラレルワールドの住人だからこそだね」


それがわかったことが、いいことなのかはわからない。それでも、2人の言葉は強い説得力を持っていた。


アマモ「ねえ、ホールを通ったんだよね」

サトシ「何も覚えてないけどね」

アマモ「えっ……駄目かぁ」

サトシ「ん? どういうこと?」

ダルス「ああ、俺たちは、ホールに関する情報を集めているんだ」

アマモ「そ。バランスがいろいろ崩れててね。そろそろホールから、いろいろ出てくるんだよね」

――

シオニラ「それを予防したいのだが……どうしようもないようだな」

ミリン「その子までいるから、絶対何かあると思ったんだけどなぁ」


ほしぐも?

僕はサトシに抱かれて笑みを浮かべるほしぐもを見やる。

無邪気な笑みからは、答えは期待できそうにもない。


シオニラ「引き留めて悪かった。もう、行ってもらって構わない」

ミリン「ごめんなさいね」

サトシ「は、はぁ……」
 ▼ 44 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:16:31 ID:PBRJ1H1Y [25/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシ「ウルトラビーストが出てくるのかっ?!」

アマモ「そ。そのタイミングが、もうすぐなんだ」

ダルス「現に、もうどこかの世界の少年に、ソルガレオとルナアーラが、コスモッグを託したそうじゃないか」

サトシ「コスモッグ?」

アマモ「うん。まあ、あれだね。ちっちゃくて、テレポートが得意な子」


え、それって……ほしぐも?

テレポート、ちっちゃい、ソルガレオとルナアーラ。

ねえ、それ、もしかしてほしぐもと俺のこと?


ダルス「ああ。それにしても……不可思議な出来事が起こったものだな」

アマモ「だねー。パラレルワールドを超えた入れ替わりって……なかなか起こらないでしょ」

サトシ「やっぱりか……あれ?」


ふっと、空中にひずみが現れ、それを見て、俺はふと漏らした。

アマモとダルスが、それにビクリと飛び上がる。
 ▼ 45 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:17:16 ID:PBRJ1H1Y [26/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


ハプウ「ほう、入れ替わった」

サトシ「はい。だから、祭壇に、この子を連れて行きたいんです」


サトシは、ほしぐもを抱えた。

すやすやと、眠っているほしぐもを見て、ハプウは仰天していた。ほにゃあ、と変な叫び声をあげながら。


サトシ「ほにゃあは、共通なんだ」

ハプウ「……クイーンになって早々、大仰な事態じゃのお」

サトシ「ですよね。でも、祭壇にさえ行けば、大丈夫なはずなんです。

    パラレルワールドへの道を開くには、この子の力を借りないといけない」

ハプウ「……星の子を連れたトレーナー、か。よし、許可を出そう!」

サトシ「ありがとうございます」

ハプウ「じゃが、大峡谷それ自体も手強いぞ」

サトシ「身に沁みてます。あそこは、きつかった」


その、チャンピオンにまで登り詰めたサトシにきついと言わしめるダンジョン、ポニの大峡谷。

なんとか、ギリギリの戦いを重ねて、僕たちはそこを攻略していく。


サトシ「凄いな、よく鍛えられてる。

    きっと、こっちのサトシも、ポケモンのことが大好きなんだろうな」

ピカチュウ『なーに当たり前のこと言ってんの?』


僕は、ニヤリと笑ってみせる。


サトシ「君も、サトシのこと大好きみたいだし」

ピカチュウ『もちろん』

サトシ「君たちでも、俺の島巡り、攻略できてただろうな。やっぱりしっくり来るよ。

    他人のポケモンとは思えない。まあ、俺の仲間よりかはあれだけど」


同じことを思っていた。サトシに比べれば当然劣るけど、このサトシの指示も、かなり適格で、戦いやすい。


サトシ「もっとしっかり時間を取って話せるなら、いい友達になれただろうね、僕たち」

ピカチュウ『ホント』
 ▼ 46 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:17:55 ID:PBRJ1H1Y [27/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見るからに荘厳な祭壇に着いた。

試練と言っていたけれど、ハプウのお陰か、特に何もなかった。


サトシ「あ、おい待てコスモッグ!」


ほしぐもが、目を覚ますと、ハイテンションで飛び出していく。

懐かしいものがあったのだろうか。

僕は肩から飛び降りると、ほしぐもを追いかける。

サトシも慌てて走り出していた。


ピカチュウ「なんだ、あれ」


階段を昇り切った先に、奇妙な空間の歪みがあった。

ほしぐもが、それに見とれている。


サトシ「おいコスモッグ! 駄目だろ勝手に来ちゃ……なんだ、あれ。違うんだけど」


光が、吸い込まれていっている。

禍々しい気配が、その中から漂って来た。


ピカチュウ「ほしぐも、どうしたの?」

ほしぐも「もっぐ! ……ぴゅい?」


と、ほしぐもが、不意に怯えを浮かべる。


サトシ「ホールとか……そんなんじゃない」

「起こって、しまったのか」


僕の耳は、小さなその声を拾っていた。


シオニラだ。
 ▼ 47 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:18:53 ID:PBRJ1H1Y [28/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミリン「……どうして、こうなってるの?」

サトシ「シオニラさん、ミリンさん。これ、心当たりは……」


その声には答えず、ウルトラ調査隊の2人は僕たちを押しのけて、そのひずみに対面した。

そして、その中へ向けて、何やら言葉を発した。理解不能な言語だった。
 ▼ 48 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:19:10 ID:PBRJ1H1Y [29/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


ダルスとアマモが、ひずみへ向けて何やらぶつぶつ呟いている。

かと思うと、俺を振り返り、言った。


ダルス「なあ、お前、伝説のポケモンを持ってるんじゃないか?」

サトシ「ああ……俺じゃなくて、こっちのサトシがだけど、確かに捕まえてるよ、カプ・コケコとソルガレオ」

アマモ「元の君は?」

サトシ「向こうの俺? 伝説ポケモンなんて持ってないけど……」

アマモ「コスモッグを託されたの、あなたなんじゃないの?」

サトシ「ほしぐもなら、うん。俺だよ。夢にここが出て来て、ソルガレオとルナアーラが出て来て……」

ダルス「やっぱり」


2人は見合わせ、それから頷くと、ひずみに向けてまた呟き出した。
 ▼ 49 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:19:28 ID:PBRJ1H1Y [30/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ミリン「なんてこと……サトシ、あなた、ソルガレオを捕まえていたのね」

サトシ「ああ、はいまあ」

シオニラ「……2つの世界の祭壇に、各々の伝説。双方向からの圧力が、ホールを圧迫して、耐え切れずに噴出する」

ミリン「端的に言うと……逃げるのよ、今すぐにっ! ここは危険よっ!」

ピカチュウ『駄目だよ! サトシも、このサトシのポケモンも、向こうにいるのに!』

サトシ「駄目だ! 俺の仲間たちも、こいつのトレーナーも向こうにいるのに!」


言葉が、重なった。


サトシ「向こうからも圧力ってことは、たぶん、俺が捕まえたソルガレオと、こっちのサトシも祭壇にいるんだろ」

ピカチュウ『サトシは、こういう時、迷わず行動するタイプだもん、絶対間違いない』
 ▼ 50 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:19:50 ID:PBRJ1H1Y [31/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


サトシ「戻れるのか、元の世界に」

ダルス「バカなこと言うなアマモ! 危険だぞ、避難させろ!」

サトシ「ウルトラビーストが出てくるのか?」

アマモ「うん。たぶん……来るよ」


光が、吸い込まれている。


サトシ「だとしたら、逃げる訳にはいかないよ。

    この地方に、危険が迫ってるんだろ? そんなの、見捨てて逃げられないよ」

ダルス「お前1人で敵う相手じゃないんだぞ!」

サトシ「1人じゃないよ! 2人もいるし、チャンピオンになったこっちの俺の手持ちもいる。

    だから、大丈夫。それに……帰らないといけないしな。ピカチュウたちが待ってる」

アマモ「いいんじゃない、行けば」

ダルス「アマモ!」

アマモ「だって……こっちに残ってても、あなたは仕方ないんでしょ?」

サトシ「ああ。行かない理由が、どこにもない」

ダルス「……わかった。決意は固いみたいだしな」

サトシ「ありがとうダルス!」

アマモ「たぶん、向こうでも同じように戻ろうとして、コスモッグを連れて来たんだと思うよ。

    だから、この先、ホールを潜り抜けたら、元の世界に戻れるはず」

ダルス「それは間違いない。向こうで、サトシを名乗る少年がコスモッグとともにいるらしいからな。

    とりあえず、ソルガレオとお前が踏み込めば、とりあえずこっちは安全だ。

    その代わり、お前の安全は、保障できない」

サトシ「……それでも、行くしかありませんよ! 向こうでみんなが……ピカチュウが待ってるんだ!」

ダルス「ふっ、凄いな、君のそのポケモンへの愛情は」
 ▼ 51 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:20:59 ID:PBRJ1H1Y [32/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


シオニラ「あの奥に、行かねばならぬのだな」

ミリン「……止めるべき、なんだろうけど」

サトシ「無駄です。向こうで、俺のポケモンたちが待ってる。

    俺も、あっちのリーリエを待たないといけないんです。だから、行きます」

シオニラ「向こうのサトシも、突入するらしい。上手く合流できるかは、運次第だ」

サトシ「それでも、行くっきゃない。

    よな、ピカチュウ」

ピカチュウ『うん』


僕とサトシは見合わせ、頷いた。
 ▼ 52 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:21:16 ID:PBRJ1H1Y [33/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ダルス「だが、会えるという保証はない」

サトシ「大丈夫。きっと会えるさ。いつだって俺とピカチュウは、こんな危機を乗り越えて来たんだ!」

アマモ「やるぅ。嫌いじゃないよそういうの」

ダルス「それじゃあ、行くぞ。ソルガレオをボールから出すんだ」

サトシ「了解。ソルガレオ、君に決めたっ!」


ボールから出て来たソルガレオは、高らかに雄叫びをあげると、ホールを睨めつける。


サトシ「俺はお前の知ってるサトシじゃないけど、よろしくな」
 ▼ 53 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:22:19 ID:PBRJ1H1Y [34/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

シオニラ「覚悟はいいか?」


揃って頷く。

ミリンが、僕らの手を引き、誘う。

ほしぐもを、サトシがしっかりと抱えた。
 ▼ 54 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:23:02 ID:PBRJ1H1Y [35/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――
そして俺たちは、
            ウルトラホールの中へと、踏み出した。
そして僕たちは、
――
 ▼ 55 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:23:21 ID:PBRJ1H1Y [36/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何も、見えない。

完全なる、闇。

俺は、
僕は、

互いに互いの名前を呼んだ。

返事は、ない。遠くにいるのだろうか。

調査隊の2人は、どこにいる?
 ▼ 56 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:24:22 ID:PBRJ1H1Y [37/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

サトシ「ピカチュウ」


僕のすぐ横、向こうのサトシが声を掛けて来た。

ほしぐもの声も聞こえる。


サトシ「電撃で、明かりをともしてくれないか?」


あ、そうか。

僕は10まんボルトを撃ち出す。

目を閉ざして撃っているので、その結果がどうなったのかは、伝え聞くより他にない。


サトシ「……見えたっちゃ見えた、けど……暗い」

ピカチュウ『え?』

ミリン「ってことは……知ってはいたけど、最悪だね」

――

何が起こってるんだ?

唐突に、隣に衝撃が訪れた。

ソルガレオのいる辺りだ。


サトシ「ソルガレオ、大丈夫かっ?!」


苦しげな声。

何も、見えない。


アマモ「最悪……知ってはいたけど、よりにもよって、ここかぁ」

ダルス「らしいな。ここは……」
 ▼ 57 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:24:37 ID:PBRJ1H1Y [38/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

アマモ・ミリン「ウルトラ……メガロポリス」

サトシ「ウルトラメガロポリス?」

――

ネクロズマ、というポケモンに、光を奪われた世界。

それが、彼らの説明だった。

――
 ▼ 58 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:25:01 ID:PBRJ1H1Y [39/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダルス「ソルガレオが……吸収される」

サトシ「吸収?!」

アマモ「うん。本格的に、きっついよ」


戦いの音が、聞こえる。

爆風は、何も見えなくとも、感じた。

おかしいのは、この闇だ。目が慣れる、ということがない。

どんなに暗い夜だって、少しは何かが見えたのに。

ボールに戻せるなら、それが一番なのだ。

これ程までに、何も見えないと、どうにもならない。


サトシ「ソルガレオっ! 頑張れっ!」


そう叫びながらも、俺は今いる手持ちポケモンを活かしてどう援護するのか考えていた。
 ▼ 59 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:25:17 ID:PBRJ1H1Y [40/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

轟音の気配が、響き渡る。

ニンゲンじゃあ捕らえられないであろう小さな音だけれど、僕には聞き取れた。

僕は、そちらへ向けて電撃を放つ。それ程強くはない分、目を閉ざして踏ん張る必要はない。

で、僕はそれを見た。見ようとした。

幸いにも、放っている瞬間だけは、その方向が見えた。


サトシ「ん? 何か気付いたのか?」

ピカチュウ『そう! こっちから音がする!』

シオニラ「辿ってみるより、他にないようだな」

ミリン「電撃は、見えるしね。光を、それ自体が放ってるから。すぐに闇に呑まれるけど」

サトシ「ピカチュウ、頼んだぞ」

ピカチュウ「ぴっかぁ!」


合点。
 ▼ 60 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:25:47 ID:PBRJ1H1Y [41/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


サトシ「ソルガレオを援護するんだ! カプ・コケコ! よろしく頼むっ!」

カプ・コケコ「コケェェェェェッ!」


高らかな雄叫びと共に、カプ・コケコが飛び出して来る気配がする。

ドン、と雷が落ち、あまりの眩さに目を閉ざす。

その残滓で、目を開いてからも、少しだけ状況が把握できた。


サトシ「電気を纏ってソルガレオの近くまで行ってくれ!」


カプ・コケコはこくりと頷いて、それから電気を体に纏わせた。

お陰で、少しだけ、状況が見えた。


ネクロズマが、執拗にソルガレオに迫る。

その手を広げ、ソルガレオを抱き込もうとしていた。

そこへ、カプ・コケコが割って入る。


サトシ「いっけぇぇっ!」


カプ・コケコはネクロズマに突撃し、衝撃が辺りを襲う。

その隙に、俺はソルガレオをボールに戻した。


サトシ「よっしゃぁ!」
 ▼ 61 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:26:11 ID:PBRJ1H1Y [42/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダルス「とにかく、逃げるぞ!」

アマモ「この真っ暗闇の中を?! 無理だよ?!」

ダルス「カプ・コケコが……」

サトシ「あいつがバトルをやめたら、ネクロズマが追って来る!」

ダルス「……なら、どうすればいいんだ?!」

サトシ「そんなの決まってる! ネクロズマを、抑えるんだ!

    ルガルガンブースタードヒドイデジュナイパーっ! みんな頼むっ!」
 ▼ 62 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:26:31 ID:PBRJ1H1Y [43/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

あっ、これ。

カプ・コケコのエレキメイカーだ。

この世界にカプ・コケコがいるとしたら……と僕はサトシを見やる。

このサトシの手持ちであるというぐらいしか、考えられない。

だとすると、間違いない、あのバトルは。


ピカチュウ「サトシーっ!」


サトシ「いるのか?」

ピカチュウ『間違いないよ! あっちにサトシがいる!』

シオニラ「恐らくは、ネクロズマと応戦しているのだろうな」

ミリン「急ぎましょう!」

サトシ「言われなくても! ほしぐも、耐えてくれよ……」

ピカチュウ「ぴーかちゅ」


シンオウの旅仲間、ヒカリの口癖で励ました。

大丈夫。こんなに元気が出る言葉は、なかなかない。
 ▼ 63 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:27:32 ID:PBRJ1H1Y [44/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

暗い闇の中でも、こいつらはよく戦ってくれた。

どんな技を覚えているのかもわからない状態だったけれど、彼らはよく鍛えられていた。

だから俺は、ちょっと手助けするだけでよかった。


サトシ「ブースター避けろっ! ドヒドイデは守れっ! ルガルガンっ! アクセルロックで撹乱するんだっ!

    その隙にジュナイパー、攻撃だっ!」


アマモ「凄い……ネクロズマに、引けを取ってない!」

サトシ「こいつらが凄いだけですよ」

ダルス「……だが、止めきれるのか? 今は圧倒しているが、いずれ、均衡は崩れる。

    サトシ、ソルガレオがこっちにいる限り、あいつは倒せないんだ」

アマモ「ソルガレオの光を吸収する訳だからね」

サトシ「えっ! それじゃ、どうすればいいの?!」

ダルス「向こうと合流して、帰るしかないだろう」

アマモ「こっちがこいつにかかりっきりだから、向こうに期待するしかないね」

サトシ「……わかった。ピカチュウなら、きっと気付いてくれるさ!」

ダルス「俺らも連絡を取ってみる」

アマモ「だね」


そして2人は、訳のわからない言語を呟き出した。

俺はネクロズマに向き直ると、また指示を飛ばす。
 ▼ 64 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:27:48 ID:PBRJ1H1Y [45/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

近い! 戦いの音が聞こえる。

電気が、ビリビリと頬に伝わって来る。

じれったい。駆け出して行って、今すぐ伝えられたら。

だけど、この闇の中、僕が離れたらこの3人は何も見えなくなる。

モクローもルガルガンもニャビーもいるのだ。置いて行けるはずがない。

速く。急いで、みんな。


シオニラが、何やら謎言語を呟き出した。

ミリンもそれに追随する。

それから僕らを振り向いて、言った。


シオニラ「近いぞ」

ミリン「急ぎましょう」
 ▼ 65 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:28:06 ID:PBRJ1H1Y [46/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ネクロズマが頭を抱えると、こちらへ向けて眩い光線を撃ち出して来た。

それに直撃したドヒドイデが、一気にグラついた。


ロトム「ドヒドイデが、一撃でやられたロト?!」

サトシ「戻れドヒドイデ! お疲れ様」

ロトム「サトシのパーティーの耐久自慢なのにロト……あの光線、ヤバいロト!」

サトシ「らしいな。受けきるのは難しいぞ! みんな、攻撃を外せ!」


ジュナイパーが飛び上がり、ネクロズマに向けて矢羽を撃った。

少しずつ、時間は稼げているはずだ。

だけど、倒せない。勝てない。俺が……ソルガレオが、ここにいる限り。

どうすればいい? 俺は……。


「ピカピーっ!」
 ▼ 66 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:28:25 ID:PBRJ1H1Y [47/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ピカチュウ「サトシーっ!」


匂いだ。大好きな、あの匂いがする!

サトシ! 僕はここだよ!

サトシ! サトシ!


サトシ「ピカチュウーっ!」


いつものサトシの声だ!


サトシ2「これ……」

シオニラ「声が、そっくりだ」

ミリン「向こうにいる、あなたのそっくりさんね恐らく」

サトシ2「行こうピカチュウ! あっちに、俺のポケモンたちもいるはずだ!」

ピカチュウ「ぴっかぁ!」
 ▼ 67 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:28:48 ID:PBRJ1H1Y [48/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

ピカチュウの声だ!

その声が、俺の悩みを吹き飛ばした。

もう少しだ! もう少しでまた会える!


サトシ「ジュナイパー、頼む!」


ジュナイパーがこちらを見て、ニヤリと笑う。

俺もそれに、微笑んだ。


「ブースターフレアドライブっ! ルガルガンはアクセルロックっ!」


不意に、声が聞こえた。

これを聞いて、2匹の動きがハッとしたように変わった。


「カプ・コケコはワイルドボルト! ジュナイパー、行けるか?」


目の前には、俺そっくりの男。

そいつはニッと笑うと、視線をネクロズマに向けた。

その肩から、俺に向けて、何かが跳びかかって来た。


サトシ「ピカチュウっ!」

ピカチュウ「ちゃー!」
 ▼ 68 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:29:06 ID:PBRJ1H1Y [49/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「シャドーアローズストライクっ!」


そいつがZ技のポーズを躍ると、ジュナイパーを光が包んだ。

そして……数多の矢羽と共に、ネクロズマへ突進していく。

轟音が、鳴り響いた。


「なあ、そっちのサトシ。ボール返してくれよ」

サトシ「あ、ああ」

「こっちが、お前のだ。モクローニャビーにルガルガン。それから」

ピカチュウ「ピカ!」

ほしぐも「モッグ!」

「わかってるよ」

サトシ「みんな、大丈夫だったか!」


返事はない。けれど、ボールの中で、彼らは確かに頷いたのだと思う。
 ▼ 69 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:29:23 ID:PBRJ1H1Y [50/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シオニラ「感動の再開を邪魔して悪いのだが……お主たち、はよう自らの場所へ帰れ」

ミリン「あんたたちの、というよりその子とソルガレオの存在が、こっちには悪影響だからね」

ダルス「大丈夫だ。後は、帰るだけ」

アマモ「帰ったら、すぐに祭壇から離れるんだよー!」

サトシs「わかってる!」

「みんなお疲れ様、戻れ! ソルガレオ、頼むぞ」

サトシ「ほしぐも、よろしくな」


ネクロズマが、ソルガレオを認識し、こちらへ迫る。

頭を抱えた。


サトシ「危ないっ! 光線が来るっ! ほしぐも急げっ!」

「ソルガレオ、急ぐぞっ!」


発射。俺は、爆風に呑まれた……。
 ▼ 70 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:29:40 ID:PBRJ1H1Y [51/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


目を覚ますと、僕はテンカラットヒルにいた。

この間、グラジオのシルヴァディとルガルガンが戦った所だ。

ほしぐもと、サトシが倒れている。

大丈夫、と駆け寄ると、サトシはうーんと唸りながら、それでもゆるゆると、体を起こした。


サトシ「あれ? 俺、なんでこんなとこにいるんだ?

    朝起きたら、世界が少し変になってて、それで……あれ?

    そっから先の記憶、ないぞ?」

ピカチュウ『えっ』

サトシ「でも……なんか凄い、大変なことがあった気がする。

    うーん……」


腕組みをして悩むサトシ。と、僕らのお腹が、ぐぅっと鳴った。


サトシ「ま、いっか! ピカチュウほしぐも、行こうぜ!」
 ▼ 71 4gGpEMmlvo 17/11/01 22:30:08 ID:PBRJ1H1Y [52/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは、忘れているらしい。

さもありなん、と思う。

あの光線の攻撃から、僕を庇ってくれたのだから。

コスモッグが形成してくれたバリアのお陰で、大事にはならずに済んだ。

恐らく、ソルガレオに護られていた向こうのサトシは、何事もなく無事に辿り着けたはずだ。

だけど、コスモッグだけでは、完全な防御はできなかったらしい。

それでサトシは、僕とほしぐもを、身を挺して庇った。

その衝撃で、今回の件の記憶が薄れているのだと思う。

ほしぐもは、まだ赤ん坊だから、今回の件を覚えてはいられないだろう。

となると、それを知っているのは、僕だけだ。

だから、覚えていたい。

サトシは今日も、ポケモン想いの、最高のトレーナーだったって。


サトシ「おいピカチュウ、やめろってば」

ピカチュウ「ぴーか」


僕は、ニコリと笑う。サトシもそれに応えてか、ニカっと笑った。


 ▼ 72 ッシブーン@メンタルハーブ 17/11/01 22:30:37 ID:PBRJ1H1Y [53/53] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当SSはこれにて完結です
お読み下さり、ありがとうございました
 ▼ 73 ティアス@フライングメモリ 17/11/01 22:32:06 ID:4BNvZFU2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!!
 ▼ 74 トベトン@ラブラブボール 17/11/04 19:20:01 ID:088vu6cE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙 面白かった
だけど指摘して悪いがサトシとパラレルワールドのサトシがどっちが話をしてるか分からなくなる時があるから見分けが付けれるように、名前工夫して欲しい。
 ▼ 75 ュナー◆X5JqkpJxts 17/11/04 19:23:02 ID:Uzm8FI.A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
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