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【スワップSS】エルフーン「優しい悪夢」

 ▼ 1 マコブシ化粧品◆aDRuGd/3Lw 17/10/21 18:37:25 ID:dtZRS6nI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
エルフーン「はぁ……今日ももう夜になったんだ……」

エルフーン「今日もまた……あの夢を見ちゃうんだろな……」

私は最近、悪い夢ばかり見る。 といっても、知り合いや誰かが死ぬとか、自分が殺される、といった内容ではない。
何かがやって来て……何かして……そして目が覚めて……いつもそんな感じ。
何がやって来るか、何をしていくのか、それらは全く覚えていない。

でも……なんでだろう。

悪夢のはずなのに……怖い夢のはずなのに……

何故か見たくない、とは思わないのである。
怖い夢なら見たく無いのが普通だが、何故かこの夢は……

エルフーン「っ……ふあぁ〜……」

私の思考をあくびがさえぎった。 そういえば明日も早く起きなきゃなんだっけ……

エルフーン(……ただの夢だもん。 深い意味なんてないよね……)

そう考えながらベッドによじ登る。
布団を体にかけて横になる。
徐々に意識が遠くなっていく……

エルフーン「……おやすみなさい……」
 ▼ 2 マコブシ化粧品◆aDRuGd/3Lw 17/10/21 18:38:51 ID:dtZRS6nI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
このSSは企画に参加しています

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=690223
このスレの続きは抽選で決まった人が書いてくださるそうです
 ▼ 3 sfK4HAE4c2 17/10/22 10:31:39 ID:/Z/EPnXw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
抽選の結果私が書くことになりました
頑張って行くので応援よろしくです
 ▼ 4 マコブシ化粧品◆aDRuGd/3Lw 17/10/23 07:38:14 ID:p3yFOzgk NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
頑張れー
 ▼ 5 sfK4HAE4c2 17/11/03 20:41:15 ID:VBxot7yw NGネーム登録 NGID登録 報告
きちんと書くのでお待ちください
 ▼ 6 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:40:04 ID:RKJZMAA2 [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タッタッタッタッタッ.....

私の、はるか後ろから響く不気味な足音

”それ”が誰なのかなんてわからないけれど、

だけど、絶対振り向いてはいけないと感じた

もしも、ふりむいたら…

「待って…待って…」

追いかける”それ”が声をかけてくる

「待って…待て…」

”それ”が近づき

私の体に触れようとした時…

ルルルルルルルル…
 ▼ 7 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:40:32 ID:RKJZMAA2 [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルルルルル....

「……ッ!!」

目を開けるといつもの光景が広がっていた

鳴り響くアラームを止め周りを見渡す

明るい部屋に白い壁

何も変わらない部屋の景色

「またこの夢か…」

最近よく見る夢。5日くらい前に始まって、それから続いている

悪夢なのかも知れないけれど、この夢にはどこか懐かしさがあった

追いかけられるのは怖いし、後ろにいるのが何かもわからないけど

 ▼ 8 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:41:03 ID:RKJZMAA2 [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だけど、目覚めた時に優しさが私を包み込んでいる

もしかしたら誰かが私の身に起きる何かを伝えようとしているのかも知れない─

「あっ…いけない!遅刻する!」

なんてことを考えていると、すぐに時間が過ぎていく

私は普通の会社に勤める会社員。いわゆるオフィスレディー

一人暮らしを始めて3年。この生活にももう慣れっこだ

今日もいつもと変わらない通勤でいつもと変わらない仕事があっていつもと変わらない帰宅をするはず

いつもと変わらない毎日が

いつもと変わらない仕事が

私の中にあるアイデンティティーを奪っていくけど、多分、私のアイデンティティーなんてとうの昔に忘れてて、

会社にこき使われるだけの身になっているのだと思う
 ▼ 9 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:41:32 ID:RKJZMAA2 [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつものように2人分のご飯を作りきちんと並べる

それが私の唯一の楽しみだから

「…いただきます」

ご飯に味噌汁という質素な食事

質素な中に私なりの想いを詰めている

「おいしいね」

誰もいない部屋に語りかける。最近、あの夢を見始めてから独り言が増えたように感じる

”それ”が夢に出てくる限り、私は”それ”と会話する
 ▼ 10 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:41:54 ID:RKJZMAA2 [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ご飯を食べ終わり、服を着て準備をする

「じゃあ、いってきます」

声を掛けて家を出る

なんども歩いた会社への道のり

だけど見える景色は毎日変わる

『ままー!だっこして!』

『もう…甘えんぼさんね』

向こう側から親子が歩いてくる

『あたしはまだこどもだからいーの!』

『お母さんも楽じゃないのよー』

『もうあたしつかれたもん!』

『ほら、もうすぐ家に着くから頑張りなさい』
 ▼ 11 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:42:12 ID:RKJZMAA2 [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふと気がつくと私はその親子のことを見つめていた

その親子を知ってるわけではないけど、目を話すことができなかった

『ままーむこうのひと、ずっとこっちみてるよ?』

『大丈夫よ。歩きなさい』

子供の言葉でハッと我にかえる

お母さんに軽く会釈しまた歩き出す

どうしてあの親子を見つめていたのだろう

私には全くわからなかった

親子のことを考えないようにして足早に会社に向かうけど

あの親子のことが頭から離れなかった
 ▼ 12 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:42:40 ID:RKJZMAA2 [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「着いた…」

あの親子が頭から離れないまま歩いて30分

会社に到着した。いつも通り椅子に座っていつも通りパソコンを起動しいつも通りの挨拶をする

いつもと違ったのは同僚のタブンネが声を掛けてきたことだった

「ねぇ、エルフーンちゃん最近大丈夫?しんどそうだけど…」

「あぁ…うん。大丈夫、ありがと」

「何かあったら相談してね?きちんと話聞くから!」

「ありがと、また何かあったら話すわね」

それからいつも通り書類を作って、いつも通りお昼休憩となった
 ▼ 13 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:43:07 ID:RKJZMAA2 [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「エルフーンちゃん、お昼、一緒に食べる?」

「うん…ありがと…」

それから2人で食堂に向かった

いつも1人で食べる昼ごはん。いつもと違う昼ごはん

見慣れた景色がほんの少し、ほんの少しだけ変わった

「うーん!やっぱりここのご飯美味しいよ!」

「そうだね…タブンネちゃんは元気だね」

「ご飯食べたら元気いっぱいだよ!」

「タブンネちゃんが羨ましいや」

 ▼ 14 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:43:29 ID:RKJZMAA2 [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「エルフーンちゃん最近元気ないよね。どうしたの?」

「うーん…なんと言えばいいんだろう」

「辛いことでもあった?」

「辛いわけじゃないのだけど、最近ずっと悪夢を見るの」

「悪夢?」

「でも、こわい悪夢じゃなくて、懐かしさとか優しさを感じる悪夢なの」

「それって悪夢?ただの夢じゃない?」

「でもね、誰かに追いかけられてるの。その誰かがだんだん近づいてきていて、今日、その誰かが私に触れそうになったの」

「それはこわい…起きた時はなんともないの?」

「うん…またあの夢見たなーってくらいで…」
 ▼ 15 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:44:10 ID:RKJZMAA2 [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ストレスかかってるとか?」

「うーん…なんなんだろうね…ほんと…あれ…」

エルフーンのほおに一筋の涙が伝わった

「わわっ大丈夫?」

「どうしてだろ…なんで…」

その涙は悲しい思い出と優しい思い出を思い返すかのように流れていく

「………」

しばらくしてその涙は止まった

「…落ち着いた?」

「うん…」

「突然泣くからびっくりしたよ…」

「ごめんね」
 ▼ 16 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:45:50 ID:RKJZMAA2 [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「うーん…続くのなら、一度病院でストレス検査してもらうとか?ほら、体に不調が来てるのかも知れないしさ」

「ありがとう…そうするよ」

「うん!エルフーンちゃんなら何があっても大丈夫よ!今までもいろんな大変なことがあったけど乗り越えて来たでしょ?」

「そうだよね…ありがと」

「それじゃ、戻ろっか。そろそろお昼も終わりだしね」

それから2人でデスクへ戻りまたいつも通りに午後の仕事を始めた

いつも通りのパソコン作業

いつも通りの会話

いつも通りの……
 ▼ 17 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:46:14 ID:RKJZMAA2 [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おつかれさまー」

「おつかれさまです。また明日!」

いつも通りの仕事をこなして終業の時間

今日もまたあの夢を見るのかな…と考えるとこのまま帰りたくない気持ちに襲われる

今日こそは普通の夢が見れますように

そう祈りながら帰路に着いた


「ただいま…」

誰もいない部屋に向かって声をかける

「疲れた…」
 ▼ 18 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:46:29 ID:RKJZMAA2 [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
体をベットに投げ出すと1日の疲れが襲ってくる

何気なくテレビをつけると親子をテーマにした番組を放送していた

体は疲れていたが目はその番組に釘付けになっていた

一人暮らしの私と対照的な親子、家族の姿

懐かしい思い出が脳裏に蘇っていく

「お母さん…」

口からポツリと飛び出した言葉

今私が一番求めているお母さんの優しさ

思い出を振り返りながら私はいつの間にか眠りに落ちていた
 ▼ 19 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:47:38 ID:RKJZMAA2 [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


───

────
「ママ!次は向こうの滑り台行こうよ!」

「ほらほら、落ち着きなさい。怪我するわよ」

「大丈夫だって!」

「ママ!見てて!行くよー!」

「ゆっくりしなさい」

「わーっ!風がきもちいいね」

「次あっち!ブランコ!」

「だからゆっくり…」

「わあっ!」

「ほらほら、だからこけるって言ったじゃないの…」

あれは…私?

幼い頃の私を見てるの?これは夢?

幼い頃の記憶が夢で再現されていく。脳の片隅に眠る、お母さんとの思い出

楽しかった日々
 ▼ 20 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:47:57 ID:RKJZMAA2 [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時突然景色が暗転した

次に見えたのは暗闇の中でなく1人の少女だった。さっきの子からは少し成長しているモンメンの姿

「私…これからどうしたらいいのかな…」

「ちゃんと大人になれるのかな…」

「私、生きていけるのかな…」

「お母さん…」

もしかして…

私が私を見つめている不思議な感覚

私はたまらずその子に声をかけた

「ねぇ、君」

声をかけた瞬間突然その子が走り出した

私もその後ろを追いかける

「ねぇ、待って!」
 ▼ 21 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:48:31 ID:RKJZMAA2 [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何もない空間の中をただひたすらに追いかける

「ねぇってば!」

少しづつ距離が近づきその子に触れようとする

「ねぇ、一言聞かせて。あなたは誰?」

前にいた女の子がこちらを振り向き答える

「私はね…」

そこまで言いかけたところで女の子は口を紡いだ

そしてだんだんとその子の体が透けていった

「待って、一つだけ教えて!」

最後にその女の子が少し笑みを見せて消えていった

「そんな…」

無意識に涙が溢れその涙が光の玉となって上っていく
 ▼ 22 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:49:21 ID:RKJZMAA2 [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
また景色が暗転し、次に見えたのは夜の闇に沈むどこかの海岸だった

コツコツコツ…

この音は…昨日の足音毎日聞いた音

多分、”それ”が出す音…足音

後ろを見たくても体が全く動かない

硬直した状態で聞こえる音は恐怖でしかなかった

「あなたは誰なの?」

「名前を教えて!」

前を向いたまま呼びかけるが返答はない

”それ”が真後ろで止まったのを感じる

全身に恐怖が駆け巡り何もできなかった

「やめて…」

突然、後ろにいる”それ”が私の肩を掴んだ

「いやっ!」

私は必死に前を向こうとしたが”それ”が引っ張る力は強すぎた

引っ張られるがままに後ろを振り向かされそうになった
 ▼ 23 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:50:10 ID:RKJZMAA2 [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…ッ!!」

次に見えた景色はいつもの部屋の中

つまり夢から覚めたのだった

「なんで…なんで…」

また自然と涙が流れ出す。その暖かさが私の恐怖を取り除いていった

時間は朝の3時。まだ外は真っ暗だった

夢を見始めて6日目の今日、ついに”それ”が私の体に触れた

でもいつもと違った感覚があった

それは、”それ”の顔が一瞬見えたこと

その瞬間に全て分かった
 ▼ 24 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:50:40 ID:RKJZMAA2 [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1日目、”それ”に追いかけられた

2日目、”それ”の姿がぼんやり見えた

3日目、”それ”が声をかけてきた

4日目、”それ”が声を出して追いかけてきた

5日目、”それ”に触られそうになった

そして今日、”それ”がついに体に触れた

例えようのない恐怖が私を埋め尽くす
 ▼ 25 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:51:08 ID:RKJZMAA2 [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この夢はこれからも続くのかも知れない

原因はわからないし、分かりたくもない

何故この夢を見始めたのか

何故”それ”が夢に出てきたかもわからない

わからないことだらけの毎日が

淡々と進んで行くのだろう

だけど、ただ一つ言えること

引っ張られた時一瞬見えた”それ”の顔は…





━━死んだお母さん






ーお わ りー
 ▼ 26 sfK4HAE4c2 17/11/03 23:52:54 ID:RKJZMAA2 [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ありがとうございました。これにて完結となります
 ▼ 27 オキシス@ジメンZ 17/11/04 02:14:02 ID:zdSInGvY NGネーム登録 NGID登録 報告
三日目の時点で気づけし……

 ▼ 28 マコブシ化粧品◆aDRuGd/3Lw 17/11/04 05:51:56 ID:ozoSBEC. NGネーム登録 NGID登録 報告
乙でした
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