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彼は一人呟いた。
彼は意味が分からなかった。どうして自分がここにいるのか。
彼の目の前に広がる見たことのない景色は緑に包まれとても活発で平和だった。鳥はさえずり、猿は木に上り、ネズミはクルミをかじる。
彼は見たことがなかったのだ。平和というものを
「なんやこれ!どないなっとんねん!」
彼は自分の手を見た瞬間、悲鳴を上げた。
自分の手が犬のようになっていたのだ。
自分が肌色だと思っていた色がいつのまにか紫になっていたのだ。それは、誰でも悲鳴を上げるだろう。
彼は混乱しながら状況整理をする。
「えっと、今は2016年3月26日土曜日、誕生日は10月25日で職業、軍人で趣味は筋トレ、そして、名前は……」
「名前は……?」
「は?……」
意味が分からない。長年、共にしたあったはずの名前が分からない。
思い出せないのだ。もやもやする。歯に詰まった魚の小骨の時のようにどうしよもない苛立ちを覚える。
今まで、名前が思い出せない事がなかったからだ。
しかし、軍人をしている時のコードネームは覚えている。それだけが救いだ。これを元に名前を思いだそう。
いろいろ思案している途中、高い声が聞こえた。
「あの……?ちょっといいですか?」