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【SS】 トウコ 「シングルトレインに挑戦よ!」

 ▼ 1 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 21:00:01 ID:BRovUWbk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の天気は晴れ。暑くもなく寒くもなく、とっても穏やかな日。

こんな日は、絶好のポケモンバトル日和だ!


……まぁ、地下鉄だから関係ないんだけどね。


 トウコ 「今日は遂に……シングルトレインの3週目! ここで7連勝できれば、ノボリさんとバトル出来るっ!」


イッシュ地方には、地下鉄の中でバトルする“バトルサブウェイ”ってのがあって、各地から挑戦者が集まってくる。

その中で、一定の連勝記録を出せば、サブウェイマスターと呼ばれるノボリさん、クダリさんとバトルすることが出来る。それはバトルサブウェイ挑戦者にとって、とても名誉なことなの。


 トウコ 「ふふ〜ん。ネット予約って便利よね。今日のバトルは……、ギアステーションを10:45に出る、シングルトレイン3号。楽しみぃ〜!」


私はテレビを見ながら、ゆっくりと朝食を取る。

今日のバトルで活躍するポケモンたち――、ランクルス、ドレディア、コジョンドも、ポケモンフーズを摘まんでいる。


 トウコ 「みんな! 今日7連勝すれば、いよいよノボリさんとバトルよ! 気を引き締めていこうね!」

 ランドレコジョン 「「「 おーーー! 」」」
 ▼ 119 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:20:00 ID:x9cBjLc. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「どうしても行くって言うの……?」

 トウヤ 「はい」

 トウコ 「なら……絶対に生きて帰って来るのよ! 私、トウヤのこと少しだけ見直したんだからね!」

 トウヤ 「光栄です。短い間ながら、トウコさんと一緒にバトルできて、食事できて、楽しかったです」

 トウコ 「……そういうこと言うんじゃ無いわよ! グスッ……死亡フラグに聞こえるでしょ……!」

 トウヤ 「ははっ、失礼しました……ってトウコさんそれ!?」

 トウコ 「え? ……きゃっ!? ちょっとなによ!?」


突然、トウヤが私の腰を掴んできた。突然のことすぎて、なにがなんだか分からない。


 トウコ 「ちょっ……こんなところでセクハラしないでっ!」

 トウヤ 「違います違います! そのベルト! そのチェーンのベルト! 今すぐ外してください!」

 トウコ 「えっ……ホットパンツ脱げって言うの……///」

 トウヤ 「違います! そのベルトがあれば地下鉄を止めれるんです! 早くっ!」

 トウコ 「わっ……分かったわよ!」
 ▼ 120 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:30:00 ID:x9cBjLc. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このベルトで地下鉄を止められる……?

意味が分からないまま、私は銀色に輝くチェーンのベルトを外し、トウヤに渡した。


 トウヤ 「これさえあれば!」


ベルトを掴んだトウヤは、線路に飛び出した。


 トウコ 「ちょっとなにしてんのトウヤ!? もう地下鉄来るわよ!」

 トウヤ 「すぐ終わります!」


トウヤは、2本のレールのうち、退避スペースから見て奥側のレールに、ベルトを短く巻き付けている。

線路と床の間の隙間が狭く、少し苦戦しているみたいだけど……。


トンネルのソウリュウ方面を覗いてみると、遠くで、緑色の光が点滅していた。そして、ゴォォォという音と、さらに強まる風も。


 トウコ 「ちょっとトウヤ! なんか緑の光が点滅してるんだけど!」

 トウヤ 「接近警報機です。それが点滅しだしたら、作業員は退避スペースに避難するんです」

 トウコ 「じゃあトウヤも早く!」

 トウヤ 「……よし結べた! あとは……」
 ▼ 121 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:40:00 ID:x9cBjLc. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤは、ベルトの片側を、奥のレールに巻き付け終えた。

そして、巻き付けていないベルトのもう片方を手に持ち、退避スペースに入る。


 トウヤ 「これで……止める!」


トウヤは そう叫ぶと同時に、ベルトをピンと引っ張って、手前側のレールに触れさせた (画像参考)。


 ▼ 122 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:50:01 ID:x9cBjLc. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その直後だった。



 ― ビギィィィッ……キキギギギィィィィィィィィィィ……!!!



トンネル内に響く、金属が擦れるような音。迫りくる風圧。どんどん近くなる振動。


 トウコ 「トウヤ……これって!」

 トウヤ 「はい。地下鉄が急ブレーキをかけた音です!」


ほんの数秒で、地下鉄は、私たちの居る退避スペースの前を横切った。耳が痛くなるほどの、急ブレーキ音を発しながら。

地下鉄の車輪が私のベルトを引き千切り、バチン! という大きな音と共に、チェーンが弾け飛ぶ。


 トウヤ 「……あ、ごめんなさいトウコさん。ベルト、弁償します」



ほどなくして、地下鉄は完全に停車した。

一番後ろの車両が、私たちの退避スペースを少し通り過ぎたあたり。この位置なら、まだ鉄橋に到達していないはずだ。
 ▼ 123 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 22:00:00 ID:x9cBjLc. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「いや……それはいいんだけど……、トウヤ、いったい何をしたって言うの!? ベルトを線路に張っただけで、なんで地下鉄が急ブレーキかけたの!?」


私は疑問だった。なんで地下鉄が、ベルト1本のおかげで止まれたかということが。

まさか、運転士がベルトを異物と認識して急ブレーキをかけたとは考えにくい。この暗さで、こんな細いチェーンのベルトを、高速で走っている地下鉄から目視で見つけられる訳がないのだから。


 トウヤ 「軌道を短絡させたんです」

 トウコ 「たんらく……?」

 トウヤ 「説明は後です。それより、車掌さんにシリンダーブリッジのことを知らせましょう!」

 トウコ 「あっ……ちょっとトウヤ!」


トウヤは止まった地下鉄の方へ駆けて行き、車掌室の扉を叩く。

こんなところで何してるんだ! と言う車掌の声が響いたものの、トウヤは丁寧に、シリンダーブリッジのことを伝えている。



しばらくして、トウヤが戻って来た。


 トウヤ 「運転士さんに鉄橋を確認し貰って、これはヤバいってことになりました。後ろに地下鉄が詰まっててバックできないので、お客さん達は地下鉄の中で待機するそうです。僕たちも車内で待ちましょう」

 トウコ 「そう……。分かったわ」
 ▼ 124 マタドガス@ラッキーパンチ 15/05/26 22:24:42 ID:zcc8x0.Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 125 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:35:00 ID:sPb8b1hE [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから……30分くらい、私たちは、地下鉄の中で待機を余儀なくされた。もちろん、他の乗客たちも。


その後、何人かの作業員が到着し、車外への誘導が始まった。

どうやら地下鉄を動かせないので、非常通路で9番道路に上がり、そこからバスでソウリュウに戻るらしい。


地下鉄の先頭車両の非常口から、再び線路に下り立った。

非日常的なことに興奮して、何人かの乗客が、スマホで写真を撮っている。

体を張って地下鉄を止めた私たちにとっては、線路に下りることくらでは、もう驚かない。


非常通路を抜けると、そこは9番道路とシリンダーブリッジの境界ゲートに通じていた。

なるほど。あのゲートって、非常通路も兼ねてたのね。


 作業員 「地下鉄から脱出のお客様ー! ゲートの外でバスが皆様をお待ちしています! 恐れ入りますが、バスの方へお乗り換えをお願いいたしまーす!」


ぞろぞろと非常通路から出てくる乗客たちに向かって、作業員は拡声器で繰り返し案内している。

全員をきちんと避難させなきゃいけないんだから、作業員も大変だな。


 トウヤ 「トウコさん。僕たちも早くバスに乗っちゃいましょう」

 トウコ 「……そうね」
 ▼ 126 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:37:01 ID:sPb8b1hE [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ソウリュウシティの駅に戻って来ると、時刻は17時半をまわっていた。

ここで解散……とはならず、私たちは駅員室に連れて行かれる。そりゃあ、地下鉄のトンネルの中に入り込んでた訳だから、連れて行かれるのも当然だ。応接室のような部屋に通されて、少し待つように言われた。


 トウコ 「はぁ……。なんだか、やっと落ち着けたって感じね」

 トウヤ 「そうですね。地下鉄は無事止めることができましたし、それに何より、お互い無事で良かったです」

 トウコ 「そうね。……ありがとね、トウヤ」

 トウヤ 「はい?」

 トウコ 「私を心配して、追いかけて来てくれて。いま考えてみると、あんな狭いトンネルで地下鉄に合図するなんて、無謀にもほどがあったわ」

 トウヤ 「本当ですよ。僕ビックリしましたよ。トウコさん、いきなりトンネルの中に走って行くんですから」

 トウコ 「なんでだったのかなぁ。あの時は、体が勝手に動いたって感じだし」

 トウヤ 「真っ直ぐなんですね、トウコさんって。他人のために危険な行動を実行できる人って、凄く素敵です」

 トウコ 「素敵って……///」

 トウヤ 「今回地下鉄を安全に止められたのは、トウコさんのお陰です。本当に、ありがとうございました」

 トウコ 「ううん。トウヤが地下鉄を止める方法を知ってたからじゃない」

 トウヤ 「けど、それが出来たのはトウコさんのお陰ですよ。エレキッドも上手くやってくれましたし、僕はトウコさんのベルトを借りたまでです」

 トウコ 「そうよ。あのチェーンのベルトで、いったいどうやって地下鉄を……」
 ▼ 127 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:39:00 ID:sPb8b1hE [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その理由を聞こうとしたところで、応接室のドアが開いた。


 ノボリ 「失礼致します。お待たせ致しました」

 クダリ 「君たちだね。地下鉄に停止の合図を送ってくれたのは」

 トウコ 「えっ!? ノボリさんとクダリさん!?」


入って来たのは、サブウェイマスターのノボリさんとクダリさんだった。

この2人は、私たちバトルサブウェイ挑戦者にとって、憧れの人。一定のバトル成績をおさめないと、バトルはおろか、会うことも出来ない。


 トウコ 「あのっ! いつもバトルサブウェイに挑戦しています! お会いできて光栄ですっ!」

 ノボリ 「それはそれは。いつもご利用ありがとうございます」

 クダリ 「嬉しいねノボリ兄さん。こうやって、若いトレーナーに憧れの眼差しを向けられるのって」

 ノボリ 「えぇ。今後もさらに精進せねばなりませんね」
 ▼ 128 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:41:00 ID:sPb8b1hE [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……お久しぶりです。ノボリさん。クダリさん」

 クダリ 「久しぶりだね、トウヤ君」

 ノボリ 「ご無沙汰しておりました。あれから……随分と立派になられたのですね」

 トウヤ 「そんなことないですよ」


えっ……?

トウヤ、ノボリさんとクダリさんと知り合いなの? なんで!?


 ノボリ 「担当者から伺いました。トウヤ様とトウコ様。お二人が地下鉄に緊急事態を知らせて頂いたおかげで、大事故を免れることが出来ました」

 クダリ 「工事担当者の話だと、シリンダーブリッジ、あのまま地下鉄が渡ってたら、確実に崩壊してたって」

 ノボリ 「土曜日の16時台は、レジャーから帰宅なさるお客様が、大勢地下鉄をご利用になります。あの時シリンダーブリッジを渡ろうとしていた地下鉄2本には、おおよそ1,300名のお客様がご乗車されていました」

 クダリ 「トウヤ君とトウコちゃんは、1,300人もの命を救ったんだよ!」

 ノボリ 「イッシュ地下鉄一同を代表してお礼申し上げます。トウヤ様、トウコ様。この度は、本当にありがとうございました」

 クダリ 「ありがとうございました。2人は地下鉄の命の恩人だよ」

 トウコ 「いえっ……そんな!」
 ▼ 129 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:43:00 ID:sPb8b1hE [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノボリさんとクダリさんは、私たちに向かって、深々と頭を下げた。

私たちの憧れの存在に感謝されるなんて、こんなに嬉しいことは無い……けど、ここまで頭を下げられると、逆に申し訳なく感じてしまう。


 クダリ 「それにしても、さすがトウヤ君だね。担当運転士が言ってたよ。急に信号が赤に変わったから非常ブレーキをかけて、そしたら退避スペースに居る君たちを見つけたって」

 ノボリ 「突然信号の色が変わったと言うことは……、トウヤ様、軌道回路を短絡させたのですね」

 トウヤ 「はい」

 クダリ 「けど、軌道短絡器なんて持ち歩いてた訳でもないのに、どうやって短絡させたんだい?」

 トウコ 「……そうよ。あのっ、トウヤ、チェーンのベルトを線路に張ったら、地下鉄が止まったんです。その、“たんらく”ってどういうことなんですか?」

 ノボリ 「なるほど。チェーンですか」

 トウヤ 「外回り電車には、エレキッドに短絡器になって貰いました」

 クダリ 「そっか。確かに電気タイプのポケモンでも、短絡器の代用にはなるね」


たんらくき……? トウヤたちが話している内容が、私には全く分からない。そんな簡単に、地下鉄を止める方法があるって言うの?


 ノボリ 「トウコ様、分かりやすく説明させて頂きます」

 クダリ 「ホワイトボード使った方が分かりやすいね!」


ノボリさんとクダリさんは、ホワイトボードに簡単な絵を描いて、地下鉄が止まった仕組みを説明してくれた。
 ▼ 130 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:45:00 ID:sPb8b1hE [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「そもそも鉄道のレールには、電流が流れています」

 クダリ 「電流を流す区間を一定間隔ごとに区切って、その区切った単位を、“閉塞”って呼ぶんだ」

 ノボリ 「閉塞ごとに信号機が設置されていまして、常に電流が流れています」


 ※ ここまで画像1枚目参照




 クダリ 「ここでね、そこを地下鉄が通ると、レールを流れている電流が、信号に届かなくなるんだ」

 ノボリ 「その理由は、地下鉄の車輪が2本のレールの間に新たな回路――電流の通り道を作り、電流がそちらに流れるためです」

 クダリ 「そうすると、信号を“青”にする分の電流が流れなくなって、信号が“赤”に変わるんだ」

 ノボリ 「とても単純な仕組みですが、これが信号の基本です。この時、地下鉄の車輪が新たな回路を作ることを、“短絡”と呼びます」


 ※ ここまで画像2枚目参照

 ▼ 131 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:47:00 ID:sPb8b1hE [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「じゃあ、“短絡した”って言うのは……」

 トウヤ 「えぇ。トウコさんのチェーンのベルトが、電気を流す物質で助かりました」


 クダリ 「気付いたみたいだね、トウコちゃん」

 ノボリ 「トウヤ様は、ベルトでレールを短絡することで、“そこに地下鉄が居る状態”を作り出し、意図的に信号を“赤”に変えたのです」

 クダリ 「地下鉄の信号は、車と違って、進行(青)→減速→注意→警戒→停止(赤)……って、徐々に……って言うのかな。4段階に分けて、赤に変わるんだ」

 ノボリ 「担当運転士が非常停車させたのは、その“徐々に信号が変わるプロセス”を踏まずに“赤”が現示されたためで、すぐに異常と判断できたのです」


 ※ 画像参照



【警告】

絶対にマネしないでください。捕まります。
 → (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%80%E6%9D%A5%E3%82%92%E5%A6%A8%E5%AE%B3%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%AA)


 ▼ 132 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:49:00 ID:sPb8b1hE [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「なるほどね……。トウヤが地下鉄マニアだから助かったってことじゃない。やるわねトウヤ!」

 トウヤ 「いえ。それは たまたまですよ」

 トウコ 「じゃあ、逆の地下鉄を止めるのにエレキッドを使ったって言うのも、エレキッドがその……回路を短絡する役割を果たしたってことね」

 トウヤ 「その通りです」

 ノボリ 「とにかく今回は、トウヤ様とトウコ様、お二人の知識と、お召しになられていたベルトのお陰です。本当にありがとうございました」

 クダリ 「あ、ベルトは地下鉄側で弁償するから、あとで値段教えてね」


……ふふっ。ベルトなんて、もうどうでもいいのに。

でも、正解だったな。チェーンのベルト付けて来て。占いで言ってた通り。


 トウコ 「……そうよ占いよ!」


私はハッとした。

アナウンサーが言ってたっけ。“シルバー系のアクセサリーで、運気を上げましょう”って。
 ▼ 133 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:52:00 ID:sPb8b1hE [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……あぁ。シルバーのアクセサリーが良いって、言ってましたね」

 トウコ 「まさか本当に役に立つなんて……」

 トウヤ 「トウコさんが占いを信じたから、多くの人の命が守られたんですよ。トウコさんの女の子らしい行動のお陰です」

 トウコ 「だからそんな……、私は女の子らしくなんて……」

 クダリ 「ははっ。なにはともあれ、2人の お手柄さ!」

 ノボリ 「この件につきましては、後日正式に、感謝状を贈らせて頂きたいと思います」



……まぁ、終わりよければすべてよし、なのかな。

誰も怪我することなく、誰も傷つくことなく解決できたのは、やっぱり運が良かったからだと思う。

……占いでは運勢最悪だったけど、チェーンのベルトを付けたことで、ちゃんと運気が上がったのねっ。



 トウコ 「……そうだ。もう一つ、疑問があるんですけど」

 クダリ 「なんだい?」

 トウコ 「ノボリさんとクダリさんって、トウヤとどういう関係なんですか?」
 ▼ 134 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:55:00 ID:sPb8b1hE [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、さっきから感じていた疑問を、ぶつけてみた。

この3人の会話から、トウヤは以前、ノボリさんとクダリさんに会っているはずだ。

“ご無沙汰しておりました”、“随分と立派になられたのですね”というノボリさんの発言から、最後に会って数年経ったって感じかな?


まさかトウヤ……、実はバトル強くて、バトルサブウェイにも挑戦してて、ノボリさんとクダリさんとバトルしたことがあるんじゃ……?

だとしたら、なんで午前のマルチトレインは、あんなに使えなかったんだろう。さっきのスキンヘッドとのバトルも的確に指示してたし、まさか、ワザと手を抜いてたんじゃ……。


 ノボリ 「それは……、私どもの口からは言えません」

 クダリ 「トウヤ君のプライベートに関わることだからね」

 トウコ 「えっ? トウヤのプライベート……ですか?」

 ノボリ 「はい。ですので私どもの口からは……」

 トウコ 「ねぇ、どういうことなのトウヤ?」

 トウヤ 「まぁ……、そういうことです」

 トウコ 「そういうことって……。トウヤおかしいわよ! バトルの強さだって、トンネルで言ってた“運命”だって。それに、ノボリさんとクダリさんのことだって。そんなに隠したいことなの!?」
 ▼ 135 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 01:58:00 ID:sPb8b1hE [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「隠す訳ではないですよ。ただ、あえて他人に聞いて貰おうとは思わないだけです」

 トウコ 「他人? 私たち、一緒に地下鉄を守った仲じゃない! これも何かの縁だし、私はトウヤのこと、もっとよく知りたいの! それにトウヤ言ったじゃない! “一緒に特訓するなら、腹を割って話せる関係にならないと”って!」

 トウヤ 「……レストランに誘った時のことですね。覚えてたんですか」

 トウコ 「だからトウヤ。他人なんて寂しいこと言わないで、教えてよ。トウヤの秘密を」




トウヤはしばらく、黙り込んでしまった。

それほど話したくないことなのか、はたまた、私は単なる“他人”なのか……。


 トウヤ 「……ノボリさんから、話して頂けますか」

 クダリ 「トウヤ君……」

 ノボリ 「トウヤ様、よろしいのですか?」

 トウヤ 「はい。“腹を割って話そう”なんて言ってしまった手前、トウコさんには、きちんと伝えなればいけませんからね」

 トウコ 「トウヤ……」

 ノボリ 「……分かりました。ではトウコ様。私から説明させて頂きます」


ノボリさんはネクタイを整え、ソファに座り直すと、静かに口を開いた。
 ▼ 136 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/27 02:00:00 ID:sPb8b1hE [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 137 キレイハナ@あかいバンダナ 15/05/27 03:11:49 ID:Zm4RK4hE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんなに続きが気になる展開久しぶり!
 ▼ 138 グランブル@イナズマカセット 15/05/27 04:57:20 ID:D0WFdV7o NGネーム登録 NGID登録 報告
さて、この世界でチャンピオンだったのはトウヤなのかトウコなのか、はたまた全く違うのか…
メチャクチャ気になります
支援
 ▼ 139 リザードン@フシギバナイト 15/05/27 10:16:01 ID:Ce6XK1Pg NGネーム登録 NGID登録 報告
>>131
マネしないで下さいって……できるか(笑)

支援
 ▼ 140 ナゾノクサ@においぶくろ 15/05/27 23:00:06 ID:acQJ40eQ NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 141 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 02:38:00 ID:oc7a086E [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ノボリ 「トウヤ様のお父上は、私どもイッシュ地下鉄の職員でした」

 クダリ 「とっても熱心な駅務員だったよ」


……なるほど。

それで、ノボリさんとクダリさんは、トウヤを知ってたのね。それに、トウヤが地下鉄マニアである理由にもなる。


 ノボリ 「しかし……、5年前、事故でお亡くなりになりました」

 トウコ 「……えっ!?」

 ノボリ 「私どもの責任です」

 トウヤ 「………」


トウヤのお父さんが……、亡くなってる?

しかも、ノボリさんたちの責任って……!?
 ▼ 142 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 02:40:00 ID:oc7a086E [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「5年前のことです。その頃、私どもイッシュ地下鉄では、バトルサブウェイの構想に関して、色々と議論していました」

 クダリ 「……あ、まだバトルサブウェイがオープンしてなかった頃の話だよ」

 ノボリ 「今でこそバトルサブウェイは、特別に耐性を強化した地下鉄車両を使用していますが、構想段階では、貨車を改造し、その中でバトルを行うことで話が纏まっていました」

 クダリ 「あの時は色々と苦労したよね。どの程度、貨車に耐性改造すればいいのか、とか。バトルシステムをどうするか、とか」

 ノボリ 「えぇ。システム面については、他地方のバトルタワーと言う施設を参考に、7連勝1順という形に落ち着きましたが、問題は、貨車の中でバトルすること……、どの程度の耐性を備えるべきか、ということです」

 クダリ 「相当気を遣ったよね。まぁ結局、貨車の車内の耐性面自体は、今のバトルサブウェイ車両と同じレベルなんだ」

 トウコ 「そっか……。バトルサブウェイが始まった時から、車両の頑丈さ(?)は変わってないんですね」

 クダリ 「そういうこと」

 ノボリ 「しかし、机上の議論と実際では、予想だにしなかった問題が……、発生してしまったのです」

 トウコ 「……えっ?」

 トウヤ 「………」

 ノボリ 「カナワ車両基地内で、まずは停車状態での耐性試験……、実際に貨車の中で職員がバトルを行った結果、耐性に問題なしと判断されました」

 クダリ 「それで今度は、最終電車の後に、実際に走りながらバトルしたんだ」

 ノボリ 「電気機関車に専用の貨車を7両連結し、実際に地下鉄として走行中にバトルを行いました。その際の結果も良好なものでしたので、最終段階として、日中の、一般の地下鉄も走行している時間帯に、試験走行を行いました」

 クダリ 「けど……、その時、事故が起きたんだ」
 ▼ 143 ベロベルト@マグマスーツ 15/05/29 10:07:14 ID:zwGh517Y NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 144 ランターン@オボンのみ 15/05/29 18:19:11 ID:upA8hvTI NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 145 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:00:00 ID:oc7a086E [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「事故が……」

 ノボリ 「はい……。日中の試験も順調に進み、試験列車が、内回り線の奏竜市駅(ソウリュウシティ)を発車してすぐのことです」

 クダリ 「あれは……、本当に予想外のことだったんだ」

 ノボリ 「6両目と7両目の中で、同時に、高威力のワザが放たれたのです」

 クダリ 「貨車自体には特別な耐性を施してあるから、車両がダメージを受けることは無いんだ。けど……」

 ノボリ 「7両目の車両の連結が、外れてしまったのです」

 トウコ 「えっ……!? 走ってる途中で車両が切り離されちゃったってことですか!?」

 ノボリ 「はい」

 クダリ 「本当に、タイミングの問題だったんだ。しかもそのワザは両方……これも偶然、6両目と7両目の境に向かって放たれた」

 ノボリ 「その衝撃は、車内には勿論影響は出ませんでしたが、一時的に、連結器に異常な負荷が加わってしまったものと推測されます。それで、連結器が壊れてしまった……」

 トウコ 「じゃあ……、その7両目の車両は、そのまま線路に取り残されて……」

 クダリ 「取り残されるだけなら、まだマシだったよ」

 トウコ 「えっ……?」

 ノボリ 「奏竜市駅を出発した地下鉄は、シリンダーブリッジを渡るために、地上付近まで坂を登ります。その勾配は35‰……。鉄道にとって、なかなか険しい傾斜です」

 クダリ 「切り離された7両目は、その坂の途中で止まって……逆走し始めたんだ。きつい坂を下りながら」
 ▼ 146 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:10:00 ID:oc7a086E [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それって……、後ろから来る地下鉄とぶつかっちゃうってことでしょ!?

大事故になるじゃない!


 トウヤ 「……僕の父親が、その車両に乗っていたんです」

 トウコ 「うそっ……」

 ノボリ 「トウヤ様……」

 トウヤ 「イッシュ地下鉄の職員だった僕の父親は、バトルサブウェイの構想に熱心に取り組んでいました。その最終試験列車にも、自ら進んで乗車して。他の職員と一緒に、車内でバトルや、衝撃のモニタリングをしていたんです」

 トウコ 「じゃあ、トウヤのお父さんは……、後ろから来た地下鉄と……衝突して……」

 ノボリ 「それは違います」

 トウコ 「ノボリさん……?」

 クダリ 「トウヤ君のお父さんは、体を張って、事故を防いだんだ! お陰で、お客様に一人も負傷者を出すことは無かった。素晴らしい人だった!」

 トウコ 「えっと……」

 トウヤ 「僕の父親は、自分の命と引き換えに、お客さんを守ったんです」

 トウコ 「命と引き換えって……、どういうこと……なの?」
 ▼ 147 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:20:00 ID:oc7a086E [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「切り離された7両目の車両は、坂を下りながら、どんどん速度を上げていきます。逆走に気付いたトウヤ様のお父上は、相当焦られたことでしょう。なにせ時刻表上では、2分後に内回り電車が続いていましたから。お父上は、車両の外に出て、“側ブレーキ”を操作されたのです」

 トウコ 「“側ブレーキ”?」

 クダリ 「車輪の傍に付いてるね、足で操作するブレーキなんだ。普通の地下鉄には付いてないけど、その時のバトル車両は貨車の改造車だったから、“側ブレーキ”が付いてたんだ。……こんな感じだよ」


クダリさんは、ホワイトボードにイラストを描いて、説明してくれた。


 ※ 画像参照


 クダリ 「“側ブレーキ”を操作するにはね、車両の外に付いてる手摺に捕まりながら、ステップに乗って、足でブレーキペダルを操作するんだ」

 ノボリ 「本来、貨車の留置や突放の際、この“側ブレーキ”を使用しますが、クダリのイラストのように、貨車の側面に掴まる形となりますので、安全とは言えない作業なのです。……加えて、地下鉄線路内を逆走している最中など、非常に危険な行為となります」

 ▼ 148 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:30:01 ID:oc7a086E [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
えっと……、これって、走ってる車両に飛び乗ってるようなものだよね?

狭いトンネルの中で、そんな不安定な足場のもとで、ブレーキを操作するって言うの……?


 ノボリ 「“側ブレーキ”は、詳しい説明は省きますが、時速7km/h以下での使用が基本です。しかしその時、車両は長い下り坂を逆走中……。後の調査では、40km/h近いスピードが出ていたことが判明しました。トウヤ様のお父上は、そのブレーキ中に……、転落されました」

 トウコ 「そんな……」

 クダリ 「“側ブレーキ”はね、一定の力以上で踏み込むと、“駐車ブレーキ”がかかる――、えっと、車で例えるなら、サイドブレーキを引いた状態になるんだ。トウヤ君のお父さんは、確実に車両を停止させるために、駐車ブレーキを作動させようとした……。トンネルの壁スレスレの狭いスペースで、40km/hものスピードの中、力を込めて……」

 ノボリ 「駐車ブレーキを作動させるため、思いきりブレーキペダルを踏み込んだ瞬間……、足を踏み外されたようです」

 クダリ 「お陰で駐車ブレーキがかかって、貨車は停止したよ。後続の内回り電車との事故も避けられた。でも……」

 トウヤ 「……父親は、転落した時の打ち所が悪かったみたいで、そのまま亡くなったんです」

 トウコ 「そんなことが……あったんだ……」


トウヤは無理して平静を装っているように見える。

いくら5年も前のこととは言え、自分のお父さんが死んでしまった悲しみは、そう簡単には消えないはずだ。
 ▼ 149 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:41:01 ID:oc7a086E [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「だから僕……ダメなんですよ。地下鉄の中でバトルするの。どうしても無理なんです。……すみませんトウコさん。せっかくマルチトレイン3連勝したのに、僕たちが動かなかったせいで、負けてしまって」


そうか。お父さんがバトルサブウェイの事故で亡くなったから、同じようなことしたくないって……。

だからトウヤ、地下鉄の中でバトルしたことなかったんだ。それに、地下鉄の中で、あんまり激しくバトルしなかったんだ。

スキンヘッドとバトルした時との違いが、ようやく理解できた。


 トウコ 「ううん! もう気にしてない! 私こそ……、トウヤのお父さんがそんな亡くなり方したのに、トウヤにそれを思いださせるようなことしちゃって……ごめんなさいっ」

 トウヤ 「いえ。もう5年経ってますし、自分の中で、区切りを付けたつもりです」

 ノボリ 「トウヤ様。事故は、私どもの設計、計画、準備のミスが招いたものです。本当に、何とお詫びを申し上げてよいのか……」

 トウヤ 「いえ。もう大丈夫ですよノボリさん」

 トウコ 「トウヤ……」

 クダリ 「トウヤ君はね、そんな事故があっても、僕たち職員を責めなかった。それに、地下鉄を嫌いになることもなかった。むしろ、より地下鉄を好きになってくれた」

 ノボリ 「私どもにとって、それが何より、報われるものでした」

 トウヤ 「そのまま地下鉄を嫌いになってしまったら、お父さんも浮かばれないと思うので。お父さんは、誇りを持って、地下鉄で働いていた……。厳しかったけど、本当はすっごく優しくて、僕が駅に遊びに行くと、嬉しそうな顔をしてくれて……。お父さんはっ……グスッ……」

 トウコ 「じゃあ、トウヤが言ってた“運命”って言うのは……」

 トウヤ 「グスッ……はいっ。偶然にも、僕たちが地下鉄を止めようとした場所は、おとぅ……父親が事故で亡くなった区間でした。父親と同じように、地下鉄の乗客を守るために行動する……。運命と感じずには、いられませんでした」

 トウコ 「そっか……」
 ▼ 150 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 20:50:00 ID:oc7a086E [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤは、お父さんと同じように、命をかけてでも、地下鉄の乗客を守ろうとしたんだ。

きっとそれは、トウヤがお父さんのことを、誇りに思ってたから。体を張って逆走する貨車を止めて、後ろから来る地下鉄との事故を防いだこと……。そうだよね。凄い事だもん。スーパーヒーローみたいだもん。

きっとトウヤにも、お父さんの血が受け継がれてるんだと思う。大勢の人を守るために行動する、大きな大きな勇気と言う、素晴らしい血が。



 クダリ 「……もうすぐ18時半になるよ。2人とも、そろそろ家に帰らないと、みんなが心配するよ」

 トウコ 「あっ……」


もうそんな時間だったんだ。

ここは地下だから、外の明るさが分からない分、時間を気にすることを忘れていた。


 ノボリ 「トウコ様も、ご自宅はライモンシティでしょうか?」

 トウコ 「えっと……はい。ライモンの郊外です」

 ノボリ 「それでしたら……クダリ、お願いします」

 クダリ 「了解、ちょと聞いてくるね」


そう言うと、クダリさんは外へ出て行った。
 ▼ 151 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 22:52:00 ID:oc7a086E [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「あの……」

 ノボリ 「ライモンシティ、ギアステーションまでお送り致します。お二人は、地下鉄の事故を防いで頂いた、言わば我々の命の恩人ですから」

 トウコ 「命の恩人だなんてそんな……」

 トウヤ 「命の恩人ですよ、トウコさんは。少なくとも、僕にとっては」

 トウコ 「トウヤ……」

 トウヤ 「トウコさんがチェーンのベルトをしてなければ、あのまま僕は、父親の後を追うことになっていたと思います。僕がこうして生きていられつつ、事故を防げた……。トウコさんには、感謝してもしきれません」

 トウコ 「もぉ……大袈裟よトウヤっ」


 クダリ 「お待たせ」

 ノボリ 「クダリ、どうでしたか?」

 クダリ 「うん。13分後に、9316Mのスジで、B編成をライモンまで回送するって」

 ノボリ 「グッドタイミングですね。トウヤ様、トウコ様。間もなくライモン行きの回送列車が参ります。どうぞご乗車ください」

 トウコ 「えっ……回送列車に?」

 トウヤ 「良いんですか?」

 クダリ 「勿論だよ!」

 ノボリ 「私とクダリも便乗しますので、何も心配ございません。どうぞご乗車ください」
 ▼ 152 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 22:53:00 ID:oc7a086E [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノボリさんとクダリさんに連れられて、私たちはソウリュウシティの駅のホームへと階段を下りる。

ホームには、既に回送と表示された地下鉄が停まっていた。黄緑色の車両だ。


 トウヤ 「スーパーシングルトレイン用のB編成ですね。イッシュ地下鉄の中では、最新型の車両です」

 トウコ 「普段のシングルトレインの車両とは、けっこう違うのね。なんていうか、車体がスラーってしてる気がする」

 トウヤ 「ビードが無いからですよ。ステンレスの強度を増しつつ、外観上の凸凹を無くした工法が開発されていますので」

 トウコ 「ふ〜ん(分からないけど)」


クダリさんは車両に近付いて しゃがむと、車両の下の方にある蓋を開けて、レバーみたいなものを引っ張った。

それを確認したノボリさんは、車両のドアを手で開けた。


 トウコ 「えっ……手動?」

 トウヤ 「ドアコックを扱ったんですよ。ドアを手で開けられるようにする、裏ワザみたいなものです。……絶対にマネしないでくださいね」

 トウコ 「しないわよ。……けど、色々あるのね、地下鉄って」
 ▼ 153 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 22:54:00 ID:oc7a086E [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
車両に乗り込むと、クダリさんは車内にあったコックとやらを操作して、扉を閉めた。


 クダリ 「この列車はトウヤ君とトウコちゃんの貸切だからね。自由に使って良いよ!」


自由に……と言われても。

車内を見渡したところ、スーパーシングルトレインも、内装はシングルトレインとほとんど変わらない。せいぜい、天井の電気とかの配置が違う程度だ。

これからライモンに着くまで、しばらく暇になりそうだ。


 トウヤ 「ノボリさん。お願いがあるんですけど……」

 ノボリ 「なんでございましょう、トウヤ様?」

 トウヤ 「もしよろしければ、トウコさんとポケモンバトルして頂けませんか? ちょうどスーパーシングルトレインの中ですし」

 トウコ 「えっ!?」


ちょっとトウヤ……なにそんな唐突なお願いしてるのよ?

相手は誰もが憧れるノボリさんよ!?
 ▼ 154 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 22:55:00 ID:oc7a086E [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「ほぉ。トウコ様はバトルサブウェイの挑戦者様だったのですね」

 トウコ 「あっ……はい。いま、シングルトレインを14勝してて……」

 トウヤ 「今日のシングルトレイン3号が動いていれば、ノボリさんとバトルしていたかもしれないんですよ、トウコさん」

 ノボリ 「なるほど。それはグッドタイミングですね。トウコ様、差支えなければ、いかがでしょうか?」

 トウコ 「差支えなんてそんなっ! でも……、いいんですか!?」

 ノボリ 「勿論でございます。地下鉄の恩人であるトウコ様が、それでお喜び頂けるのでしたら」

 トウコ 「わぁっ……ありがとうございます!」


まさか、こんな形でノボリさんとバトルが出来るなんて。完全に諦めていたことが、こんな形で実現するなんて。

私は思わず、ガッツポーズで叫んでしまった。


 トウコ 「私! 前からノボリさんとバトルしてみたかったんです! よろしくお願いします!」

 ノボリ 「こちらこそ、よろしくお願い致します」

 トウコ 「ふふっ……。トウヤ、ありがとう!」


ノボリさんに話を持ち掛けてくれたトウヤには感謝だ。

トウヤ、何だかんだで凄く良い男の子。私の気持ちも考えてくれて……、こんな男の子、今まで会ったこと無かったな。
 ▼ 155 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 22:56:00 ID:oc7a086E [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「いえいえ。まぁ、僕は見学しませんけどね」

 トウコ 「あっ、うん……」

 クダリ 「じゃあトウヤ君、運転席にどうだい?」

 トウコ 「……是非お願いします!」

 クダリ 「ははっ。それじゃあボクは、トウヤ君と運転席に行ってくるよ。ノボリ兄さんとトウコちゃんは、バトルを楽しんでてね!」

 ノボリ 「えぇ。クダリ、トウヤ様のお相手、よろしくお願いします」


クダリさんとトウヤは、先頭車両へ向かって行った。

残った私とノボリさんは……、これからポケモンバトルだ。

夢みたい。バトルサブウェイ挑戦者にとって憧れのノボリさんと、バトル出来るなんて!

それも、貸切車両で、誰からも邪魔されること無くバトルできるなんて!


 ノボリ 「ではトウコ様。地下鉄が発車したら、バトル開始と致しましょう」

 トウコ 「はいっ!」


発車ベルが鳴り、回送列車が出発する旨、駅のアナウンスが聞こえた。

そしてゆっくりと、スーパーシングルトレインは動き出す。……バトル開始だ!
 ▼ 156 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/29 23:00:00 ID:oc7a086E [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 157 メガミュウツーY@カゴのみ 15/05/30 09:16:29 ID:kbCLrmOk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
試演
 ▼ 158 ルチャブル@フエンせんべい 15/05/30 10:35:07 ID:NvE7yWLk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 159 メガバンギラス@しろいビードロ 15/05/31 09:06:18 ID:7cOa/Uu. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 160 モンメン@リゾチウム 15/05/31 12:46:53 ID:Ev.LkQd2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
紫炎
 ▼ 161 ヤヤコマ@ほのおのジュエル 15/06/01 23:33:32 ID:ZqXdiXkg NGネーム登録 NGID登録 報告
メガ支援!
 ▼ 162 サンド@にじいろのはね 15/06/02 16:57:55 ID:727qILIs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援age
 ▼ 163 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:55:40 ID:ZMW/sl8c [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「行くのよコジョンド!」

 ノボリ 「ドリュウズ、出発進行!」


ノボリさんの最初のポケモンはドリュウズ。相性的には申し分ない。


 トウコ 「先手必勝よ! コジョンド“ドレインパンチ”!」

 ノボリ 「向かい打ちましょう! “どくづき”です!」


まずは拳同士のぶつかり合い。お互いのパワーを確かめる意味合いも込めて。

車両の真ん中で衝突したコジョンドとドリュウズだけど、効果抜群のワザを出している手前、コジョンドの方が有利だ。ドリュウズが押される。


 トウコ 「一気に攻めるわよ! “とびひざげり”!」


ノボリさんの出方を伺うより、一気に攻め込んで、私のペースに持って行きたい。

外れるリスクはあるけど、それほど狭くない地下鉄内で、“ドレインパンチ”を受けて隙があるドリュウズに対しては、“とびひざげり”で間違いないはずだ。
 ▼ 164 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:56:20 ID:ZMW/sl8c [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「引きつけて下さい!」


体を震わせて目を見開くドリュウズ。すぐそこまで迫るコジョンド。

ギリギリで避けるのか……それとも、ワザで相殺させるのか。


 ノボリ 「“つばめがえし”です!」

 トウコ 「あっ……コジョンド!」


“とびひざげり”で突っ込んだコジョンドは、ドリュウズの“つばめがえし”に負けてしまった。

威力的には“とびひざげり”の方が強いはずだけど、“つばめがえし”が当たった場所が悪かったみたいだ。

何て言うか……、足を弾かれる、叩き落とされるような感覚。コジョンドの勢いを利用した、振り払うかのような仕草だった。

こういった形で的確にワザを当ててくるあたり、やっぱりノボリさんは侮れない。


 ノボリ 「もう一度“つばめがえし”です!」

 トウコ 「“ドレインパンチ”で向かい打って!」
 ▼ 165 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:57:00 ID:ZMW/sl8c [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すぐさま態勢を立て直し、“つばめがえし”を“ドレインパンチ”で受け止める態勢を作る。

たとえ互角でも、ぶつかった衝撃が発生すれば、ドリュウズから体力を吸い取ることができるからだ。


 ノボリ 「……ここで“じしん”です!」

 トウコ 「なっ……!?」


地面が……じゃなくて、地下鉄が揺れる。足元がおぼつかないコジョンド。その隙をノボリさんは見逃さない。


 ノボリ 「“つばめがえし”です!」


“じしん”を放ったのは、ほんの一瞬だった。

その一瞬でコジョンドの態勢を崩して隙を作り、効果抜群の“つばめがえし”を、確実に決められてしまった。


 トウコ 「コジョンド! 大丈夫!?」


コジョンドは立ち上がってファイティングポーズを見せるけど、息が荒い。

このまま長期戦に持ち込まれたら、確実に不利だ。
 ▼ 166 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:57:40 ID:ZMW/sl8c [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「さらに“つばめがえし”です!」

 トウコ 「……コジョンド、ジャンプよ!」


コジョンドは天井すれすれまでジャンプして、向かい来るドリュウズと対峙する。

また“じしん”で足元を掬われないためには、ジャンプして向かい打つしかない。


 ノボリ 「なるほど“じしん”対策ですね。ドリュウズ! コジョンドの着地地点へ! “つばめがえし”で狙い打ちますよ!」


ドリュウズは、コジョンドが飛び跳ねた放物線上、着地地点で“つばめがえし”の構えを作る。

当然、コジョンドは空中で方向転換なんて出来ないから、狙い撃ちされて当然だ。けど……。


 ノボリ 「今です“つばめがえし”!」

 トウコ 「“とんぼがえり”!」


素早さはコジョンドの方が上だ。

“つばめがえし”が直撃する前に、コジョンドはドリュウズに“とんぼがえり”を喰らわせた。それと同時に、私のモンスターボールに戻っていく。

効果は いま一つだけど、隙なくポケモンを交換できるメリットは大きい。
 ▼ 167 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:58:20 ID:ZMW/sl8c [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「お願いドレディア! “ちょうのまい”!」


私の2体目はドレディア。“つばめがえし”と“どくづき”が心配だけど、それでもドレディアに頼る価値はある。

そして登場と同時に、“ちょうのまい”を指示。特攻、特防、素早さを上げる!


 ノボリ 「良い判断ですトウコ様。では……“どくづき”です!」


やっぱり威力の高い毒ワザで攻めてきた。

ドレディアはそこまで防御が低い訳じゃないけど、どく状態になるのは厄介だ。


 トウコ 「“やどりぎのタネ”!」

 ノボリ 「ドリュウズ!?」


だったらドリュウズの動きを封じるまでだ。

ドリュウズの足元に放った“やどりぎのタネ”は、芽を出して、ツタを伸ばし、ドリュウズを拘束する。そして、体力を奪う。
 ▼ 168 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:59:00 ID:ZMW/sl8c [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「“つばめがえし”で断ち切るのです!」

 トウコ 「この隙に“ちょうのまい”行くわよ!」


ドリュウズは もがきながら、ヤドリギのツタを切り裂こうと奮闘している。

けど、両腕も含めて拘束された状態では、なかなかツタを切るに至らない。


 トウコ 「もう1回、“ちょうのまい”!」


3回目……ここまで特攻を上げれば十分!


 ノボリ 「ドリュウズ! ドリルに変形です!」


ここでノボリさんは、ドリュウズの特徴を活かしてきた。

頭と爪がドリルのようになるドリュウズは、ノボリさんの声を聞いてドリルに変形、高速回転し、ヤドリギを粉砕した。

これで拘束は解かれてしまったし、体力を吸い取ることもできなくなる。
 ▼ 169 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 02:59:40 ID:ZMW/sl8c [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「ドリュウズ“どくづき”です!」


ヤドリギから逃れたドリュウズは、すぐさま攻撃態勢に入る。

……けど、もう遅い。


 トウコ 「行くわよドレディア! “はなびらのまい”!」


ドレディアの準備は万端だ。

元々特攻が高いドレディアが、“ちょうのまい”を3回積んだ“はなびらのまい”。

しかも特性“マイペース”で、混乱状態になることもない。持ち物は“きせきのタネ”。


こうなると、ドレディアは無敵も同然。

強力な“はなびらのまい”がドリュウズの体を一気に包み込み、容赦ないダメージを与えた。


 ノボリ 「ドリュウズ!?」

 トウコ 「やった!」


これでドリュウズは倒れた。まずは1体!
 ▼ 170 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 03:00:20 ID:ZMW/sl8c [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「ご苦労様でしたドリュウズ。……流石ですトウコ様」

 トウコ 「ありがとうございます!」


苦戦したけど、ノボリさんのポケモンを1体倒せたことは大きい。そして嬉しい。

誰もが憧れるサブウェイマスターに、私の力が通用した証拠なのだから。


 ノボリ 「私の2体目は こちらです。オノノクス、出発進行!」


ノボリさんの2体目はオノノクス。

普通に考えれば、“りゅうのまい”と“げきりん”で攻めてくる力押しタイプ。もしくは、“こだわりスカーフ”持ちか……。


どっちにしても、ドレディアの“はなびらのまい”に抵抗できる力があることは間違いない。

いくらドレディアの状態が万全だからって、相手はノボリさんだ。気を引き締めて行かないと!
 ▼ 171 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/03 03:01:00 ID:ZMW/sl8c [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 172 ムーランド@アゴのカセキ 15/06/03 10:06:49 ID:yXuoNALk NGネーム登録 NGID登録 報告
「ドリルに変形です!」ってアニメみたい

支援
 ▼ 173 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 01:57:20 ID:X5AKLA/k [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「行きますよオノノクス! “りゅうのまい”です!」


やっぱりまずは“りゅうのまい”で来た。

でも、私のドレディアは“ちょうのまい”を3回も積んでいる。攻撃で当たり負けする訳が無い!


 トウコ 「ドレディア! 続けて“はなびらのまい”よ!」


車内に花びらが乱舞され、オノノクスへと向かって行く。効果は今一つだけど、この状態を考えれば、“はなびらのまい”で押し通した方が良いはずだ。


 ノボリ 「“ドラゴンクロー”で突っ込むのです!」


その“効果は今一つ”という材料から、ノボリさんは突っ込めると判断したのだろうか。

“はなびらのまい”を“ドラゴンクロー”で掻き分けながら、オノノクスは一気にドレディアとの距離を詰めた。


 ノボリ 「今ですオノノクス! “ドラゴンテール”!」

 トウコ 「あっ……避けてドレディア!」
 ▼ 174 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 01:58:00 ID:X5AKLA/k [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、反応が少しだけ遅かった。

“ドラゴンテール”を受けたドレディアは、問答無用で私のボールに戻される。せっかく積んだ“ちょうのまい”が台無しだ。


そして私のボールから、ランクルスが引きずり出された。


 ノボリ 「“ちょうのまい”をリセットするため、ボールに戻って頂きました。トウコ様の3体目はランクルスのようですね」

 トウコ 「はい。まさかオノノクスが“ドラゴンテール”を覚えてたなんて……」

 ノボリ 「補助ワザでパワーアップされる挑戦者様が多数いらっしゃいますので、こうして強制的にボールに戻って頂くワザを採用しております。……さて、もう1度“りゅうのまい”です!」


2回目の“りゅうのまい”って……これじゃ形勢逆転だ。これ以上オノノクスに積ませる訳にはいかない!


 トウコ 「ランクルス! “でんじは”よ!」

 ノボリ 「かわして下さい!」
 ▼ 175 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 01:59:00 ID:X5AKLA/k [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オノノクスは“でんじは”を容易く回避する。

もともと素早さがダメなランクルスに対して、オノノクスは“りゅうのまい”を2回も積んでいる。スピード差は歴然だ。


 ノボリ 「“ドラゴンクロー”!」

 トウコ 「くっ!」


一気に間合いを詰められて、強力な“ドラゴンクロー”がランクルスに直撃した。

けど、接近すればするほど、攻撃は避けにくくなる。


 トウコ 「ランクルス“サイコキネシス”よ!」


ランクルスが繰り出した念波が、オノノクスに直撃。大きなダメージを与える。

HC252振り、いのちのたま持ちのランクルスの“サイコキネシス”は、どんなポケモンにもバカにならないダメージを与えることができる。

……いのちのたま特有のダメージは受けるけど。


 ノボリ 「なかなかのダメージですね……。オノノクス! もう一度“ドラゴンクロー”です!」

 トウコ 「ランクルス! オノノクスを近づけさせないわよ! “サイコキネシス”で押さえつけて!」
 ▼ 176 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:00:00 ID:X5AKLA/k [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とにかく、“りゅうのまい”を2回積まれたオノノクスの攻撃は痛い。

ここはエスパーワザの強み、念で押さえつける行動に出る。振り解かれるかもしれないけど、時間稼ぎにはなるはずだ。

ランクルスが目を見開くとともに、オノノクスの体に青色の念が発生し、体の自由を奪う。


 ノボリ 「振り解くのですオノノクス!」

 トウコ 「させない……! ランクルス! “きあいだま”発射!」


“サイコキネシス”としての“念”を出してしまったので、次の攻撃に移れる。

念で押さえつけてる隙に、高威力の“きあいだま”を当てられれば万々歳。一気に戦況が変わる!


……と思ったものの、オノノクスが念から脱出するのが、思ったより早かった。


 ノボリ 「いいですよオノノクス! ランクルスに向かって走るのです!」


オノノクスが再度、ランクルスに接近する。それと同時に、“きあいだま”発射。


 ノボリ 「“ドラゴンクロー”です! “きあいだま”を弾き飛ばしてください!」

 トウコ 「大丈夫よランクルス! あなたの“きあいだま”、そう簡単に弾かれないわ!」
 ▼ 177 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:02:00 ID:X5AKLA/k [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鈍く光りながら振り下ろされたオノノクスの腕が、“きあいだま”と激突した。

その瞬間、エネルギー同士のぶつかり合いが発生する。バチバチと衝撃波が生まれる中、行き場を失って有り余ったエネルギーは、小規模な爆発を引き起こした。


 トウコ 「んっ……」


閃光と白煙が車内を包み込み、視界からランクルスとオノノクスの姿が消える。

これがおさまるまで下手に動くのは……。


 ノボリ 「“ドラゴンクロー”です!」

 トウコ 「うそっ……!?」


そんな中でも、オノノクスは攻撃態勢を緩めていなかった。

さっきの衝突で、少なからずダメージを受けているはず。なのにそれをものともせず、一直線にランクルスに突撃してきたのだ。


 トウコ 「避けてランクルス!」


とは言ったものの、白煙で視界が効かず、素早さが低いランクルスが、オノノクスの攻撃を回避できる訳が無かった。

結果、オノノクスの強力な“ドラゴンクロー”が直撃、壁に叩きつけられたランクルスは、戦闘不能となった。
 ▼ 178 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:04:01 ID:X5AKLA/k [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「戻ってランクルス。ご苦労さま。さすがノボリさん……!」


実質“ドラゴンクロー”2発でランクルスを倒すなんて……、ノボリさんのオノノクス、相当育てられている。


私がランクルスを戻したのと前後して、車内の白煙が晴れた。

見ると、オノノクスも相当なダメージを受けていたようで、息が荒くなっている。


 ノボリ 「強力な“きあいだま”でした。私のオノノクスがここまでダメージを受けるとは……、トウコ様、かなり熱心に育成に取り組まれているとお察しします」

 トウコ 「ありがとうございます。オノノクスも凄かったです。“きあいだま”を受けて、なおも攻撃を続けるなんて!」


オノノクスの体力は、残りわずかと言ったところか。

……なら、手段は一つ!


 トウコ 「お願いコジョンド!」


再度フィールドに君臨するコジョンド。

ドリュウズとのバトルは途中で交代してしまったけど、それも立派な作戦だ。
 ▼ 179 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:06:02 ID:X5AKLA/k [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「トウコ様のコジョンド、先ほど戻された時より良い表情をされていますね。特性“さいせいりょく”の恩恵でしょうか」

 トウコ 「はい!」


特性“さいせいりょく”――。

ボールに戻ってポケモンを交代すると体力が1/3回復する、習得するポケモンが少ない特性だ。

これを上手く使わない手は無い!


 ノボリ 「まだ行けますねオノノクス! “ドラゴンクロー”です!」

 トウコ 「引きつけて!」


オノノクスは“りゅうのまい”を2回積んで、素早さも上がっている。

けど、コジョンドの素早さだって負けてない。小柄な体型を活かして、オノノクスに十分対抗できる。


 トウコ 「今よジャンプ!」


コジョンドは、オノノクスの“ドラゴンクロー”が直撃するギリギリで、大きくジャンプする。
 ▼ 180 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:08:01 ID:X5AKLA/k [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「“とんぼがえり”!」


そしてすぐさま態勢を切り替える。

天井をキックしてさらにスピードをつけ、オノノクスの背後から“とんぼがえり”を直撃させた。


 ノボリ 「オノノクス!?」


オノノクスはまだ倒れない……けど、辛うじて立っている状況だ。

この場面で、ロスなくポケモン交代できるメリットは大きい。


 トウコ 「行くわよドレディア! “ギガドレイン”!」


私はすぐさまドレディアを繰り出して、“ギガドレイン”を指示。

フィールドに足を付くと同時に発した“ギガドレイン”は、オノノクスに避ける隙を与えず、直撃。

いくら効果今一つのワザでも、ここまで体力が消耗していれば、決定打になるはずだ。
 ▼ 181 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:09:00 ID:X5AKLA/k [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「オノノクス……よく頑張りましたね」


予想通り、この攻撃で、オノノクスはダウンした。


 ノボリ 「流れるような攻撃と交代、そして攻撃。お見事ですトウコ様。しかし、私の最後の1体は、そう簡単に突破して頂く訳にはいきません!」

 トウコ 「とうとう……、ノボリさんのラストのポケモン!」


私はまだ2体残っている。戦況は私の方が有利。

だけど、サブウェイマスターが、そう簡単に勝利を譲ってくれるとは思えない。

ここが正念場。絶対に勝ってみせる!


 ノボリ 「それではトウコ様。私の最後のポケモンは……こちらです! シャンデラ!」


ラストはシャンデラ……。ドレディアとコジョンドじゃ、さすがに相性が悪い……。

けど、そんな相性を引っくり返してこそ、ポケモントレーナーだ。

たとえ不利な状況だって、私はポケモンたちを信じる! そしてノボリさんに絶対勝つんだから!
 ▼ 182 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 02:10:00 ID:X5AKLA/k [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 183 グライオン@イバンのみ 15/06/05 02:10:37 ID:H1Rz/oRE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 184 ダークライ@4ごうしつのカギ 15/06/05 02:14:01 ID:BQlwzje6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 185 レジロック@とつげきチョッキ 15/06/05 10:06:05 ID:d0eHPRao NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノボリの手持ちゲームのスーパーシングルと同じだ。
これどっちが勝つのか分からないな。

支援
 ▼ 186 カラナクシ@ゴーゴーゴーグル 15/06/05 10:07:42 ID:IIn2dHx2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 187 ドンファン@ピントレンズ 15/06/05 19:13:26 ID:21R687/E NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 188 キノガッサ@まがったスプーン 15/06/05 19:57:37 ID:mGd.I.d2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 189 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:10:00 ID:tkrfvBeA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



地下鉄は、ライモンへの鉄路を進んでゆく。


そんな運転席の後部座席では、トウヤとクダリが、地下鉄の行く先を眺めていた。

今回は特別に、遮光カーテンを右半分だけ開けて貰って。


 トウヤ 「流石、最新型のB編成。全然揺れませんね」

 クダリ 「あぁ。軸バネオイルダンパを装備してるからね」


ガタンゴトンと規則的なリズムを刻む地下鉄は、回送列車だからか、そこまでスピードは出ていない。前の地下鉄に追いついてしまうのか、ときおり徐行運転となる。


 トウヤ 「……クダリさん」

 クダリ 「なんだい?」


そんななか、トウヤは前を見つめながら、真剣な表情で、言った。
 ▼ 190 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:20:00 ID:tkrfvBeA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「僕……、旅に出ようと思うんです」

 クダリ 「えっ? どうしたんだい突然?」

 トウヤ 「すみません。突然ですよね。でも僕、クダリさんの意見をお聞きしたいんです」

 クダリ 「……うん。僕で良ければ、いくらでも力になるよ」

 トウヤ 「ありがとうございます」

 クダリ 「それで、どうして旅に出ようと思ったんだい?」

 トウヤ 「前々から考えていたんですけど、……僕、ときどき思うんです」

 クダリ 「ん?」

 トウヤ 「僕は、このままでいいのか、って」

 クダリ 「……お父さんのことかい?」

 トウヤ 「はい。僕は正直、まだ父親の死を、素直に受け入れてないと思うんです。もう何年も、地下鉄を追いかけることに夢中で……、でもそれは、もしかしたらどこかで、ひょっこり父親に会えるんじゃないかと、淡い期待を抱いてるんです」

 クダリ 「……トウヤ君のお父さんは、ホームでお客様の案内をしてたからね。それと、バトルサブウェイ構想の賛同者だった。バトルサブウェイ開業後は、専属のバトル指揮者になる予定だった」

 トウヤ 「はい。地下鉄の写真を撮っている時、バトルサブウェイが通過すると、思わず車内を注視してしまうんです。あのバトル指揮者は、実は父親ではないかって……」

 クダリ 「………」

 トウヤ 「無意識のうちに、注視してしまうんです。僕は無意識のうちに、父親の面影を、どこかに求めてるみたいなんです……」
 ▼ 191 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:30:00 ID:tkrfvBeA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 クダリ 「……僕たちがトウヤ君に残してしまった傷跡は、想像以上に大きかった。僕たちには、謝ることしかできない。なんの言い訳も出来ないし、しようとも思わない。僕たちの不手際で、トウヤ君のお父さんは亡くなってしまったんだから……」

 トウヤ 「……だから僕、自分を見つめ直したいんです」

 クダリ 「見つめ直す……?」

 トウヤ 「まだ誰にも相談していないんですけど、地下鉄に乗れば父親に会えるかもしれない……という想いを断ち切りたいんです。いつも地下鉄に乗りに来ているせいで、恥ずかしい話、もう長いこと、友達と会ったり、話したりしていないんです」

 クダリ 「トウヤ君にとって……、まわりの世界は、5年前のまま止まってしまっているのか……」

 トウヤ 「……まさしくその通りです。誰とも会わずに、ただただ僕は、父親に会うことだけを考えてしまって。地下鉄に詳しくなれば、父親が褒めてくれるんじゃないかって。そんな願望から、僕はどっぷり、地下鉄に嵌りこんでしまいました」

 クダリ 「けどトウヤ君は、そこから抜け出したい……そうなんだね?」

 トウヤ 「はい。何というか、物理的に地下鉄から離れてしまえば、父親を探してしまう無意識のクセが、無くなるのではないかと思って」

 クダリ 「なるほどね。それで旅に出る、か……」

 トウヤ 「前々から考えては いたんです。ポケモントレーナーの子供は、多くが旅に出ています。15歳で旅立ちと言うのは遅い方かもしれませんが、年齢相応の正しい生き方を考えると、やはり、旅立つことが一番なのかと思って……」

 クダリ 「遅くなんてないさ。素晴らしいことだよ。ポケモントレーナーに年齢なんて関係ないのと同じで、旅立ちに年齢なんて関係ない。胸を張って旅立てばいいさ!」
 ▼ 192 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:40:00 ID:X5AKLA/k [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……そう言って頂けると、だいぶ気が楽になりました」

 クダリ 「それに、そう思えたことが、トウヤ君にとっての大きな第一歩さ」

 トウヤ 「第一歩……ですか」

 クダリ 「そうさ。旅に出れば、新しい発見がある。新しい刺激がある。新しい出会いがある。自分を変えるのに、旅に出ることほど良い事はないさ」

 トウヤ 「でも……、不安があることも事実です。旅に出るなんて、生まれて初めてですし」

 クダリ 「心配ないさ。一人で地下鉄に乗って撮影に行くような人間なら、旅なんてどうってことないさ。それは僕が保証するよ」

 トウヤ 「クダリさん……」

 クダリ 「旅するとね、みんな、とっても活き活きした表情になるんだ。見ている僕たちまで、なんだか楽しくなるほどにね」

 トウヤ 「クダリさんが印象に残っている旅人って、居ますか?」

 クダリ 「そうだね……。旅の中でバトルサブウェイに挑戦する人もいるけど……、誰か一人を挙げるなら、サトシ君かな」

 トウヤ 「サトシ君……?」

 クダリ 「あぁ。ピカチュウがトレードマークの男の子さ。トウヤ君より少し年下だと思うけど、仲間と一緒に、イッシュリーグを目指してた」

 トウヤ 「イッシュリーグ……。旅の目的を持ってるってことですね」

 クダリ 「うん。僕たち、いや、イッシュ地下鉄はね、彼らに助けられたことがあるんだ」
 ▼ 193 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:50:00 ID:X5AKLA/k [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「えっ?」

 クダリ 「覚えてるかい? 地下鉄のATOがハッキングされて、全線が大混乱に陥った事件を」

 トウヤ 「……はい。悪い奴等が、ポケモンセンターからモンスターモールを奪って、地下鉄を使って逃げた事件ですよね」

 クダリ 「そう。その奪われたポケモンには、サトシ君たちのポケモンも含まれていてね、彼らも事件の解決に、一役買ってくれたんだ」

 トウヤ 「あの事件に、そんな協力者が居たんですね」

 クダリ 「僕たちが地下鉄を守りたい気持ち、サトシ君たちがポケモンを守りたい気持ち、凄い同じに思ったんだ。旅を通じて、サトシ君たちは色々な刺激を受けて、そして成長している……。そう直感したよ。僕も、ノボリ兄さんも」

 トウヤ 「成長……ですか」

 クダリ 「あぁ。旅に出れば、それだけ人は、大きく成長できる。年齢なんて関係ない。いろいろなものに触れ合うことが、人の心を豊かに成長させるのさ」

 トウヤ 「成長……旅、か……」



駅を通過。ホームからの光が、車内を明るく照らした。

トウヤの目は、少し潤んでいた。

 ▼ 194 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/05 23:57:00 ID:X5AKLA/k [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……実を言うと、シリンダーブリッジで地下鉄を止めるとき、僕、死んでもいいかなって思ってしまたんです」

 クダリ 「えっ……!? 何を言うんだトウヤ君!」

 トウヤ 「それが運命に感じたんです。父親と同じ区間で、父親と同じように、地下鉄を守るために死ぬなんて、運命としか感じられませんよ」

 クダリ 「だからって、自分の命を粗末にするようなことは考えちゃダメだ! それこそお父さんだって望んでいないことだよ!」

 トウヤ 「……でもその時、トウコさんに止められたんです」

 クダリ 「トウコちゃんに?」

 トウヤ 「はい。初対面だと言うのに、僕のことを心配してくれて。あんな状況の中で、僕はとても嬉しかった……」

 クダリ 「………」

 トウヤ 「しかも、トウコさんがチェーンのベルトを持っていたお陰で、安全に地下鉄を止めることができました。こんな偶然、そうそう起こらないですよ」

 クダリ 「……そうか」

 トウヤ 「その時、僕は思ったんです。僕はまだ、誰かに必要とされているんだって。だとしたら、このままではいけないって」

 クダリ 「なるほど。それでトウヤ君は……、旅に出る決心が付いたんだね」

 トウヤ 「……はい」

 クダリ 「……トウコちゃんは、トウヤ君の救世主かもしれないね。トウヤ君を、一種の呪縛から解放してくれた、天使のような」

 トウヤ 「トウコさんが……」
 ▼ 195 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 00:00:01 ID:cv20ATYk [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 クダリ 「トウヤ君に そこまで固い意志があるなら、僕にできることはここまでさ。旅に出て、新しい世界と触れ合ってきなよ。きっとトウヤ君の心を豊かにしてくれるはずさ」

 トウヤ 「……分かりました。ここまでお話ししてしまったら、旅に出ないと格好がつかないですもんね」

 クダリ 「ははっ。けど、準備は念入りにね。完璧だと思っても、少しの見落としがあれば、大失敗に繋がりかねない。地下鉄と同じさ」

 トウヤ 「はいっ!」

 クダリ 「それと、トウコちゃんにも伝えるんだよ。トウヤ君の話を聞いていると、トウコちゃんの行動が、トウヤ君を奮い立たせてくれたんだからね」

 トウヤ 「……そうですね。きちんと伝えます」

 クダリ 「あぁ。……さて、もうすぐライモンに到着だよ。ノボリ兄さんとトウコちゃんのバトルも、そろそろ決着が付いてる頃だね」

 トウヤ 「せっかくなので、見に行きますか?」

 クダリ 「そうだね。トウヤ君に抵抗が無ければ、見に行こうか」

 トウヤ 「はい」


こうしてトウヤとクダリは、バトルをしているトウコとノボリの元へ戻って行った。



 ▼ 196 ニコ厨◆rdcu0R1OG2 15/06/06 00:03:23 ID:w5K2aatU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 197 コフキムシ@スピードパウダー 15/06/06 07:19:38 ID:s1CmdLzY NGネーム登録 NGID登録 報告
まさかサトシが出てくるとは

支援
 ▼ 198 アグノム@こうかくレンズ 15/06/06 17:49:20 ID:pnY0YEHU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 199 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 20:50:00 ID:cv20ATYk [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




 ノボリ 「それではトウコ様。私の最後のポケモンは……こちらです! シャンデラ!」

 トウコ 「このまま行くわよドレディア!」


相性は最悪だけど、コジョンドに交代したところで、格闘ワザは意味が無い。

ここは少しでもダメージを与えるのが得策。“ちょうのまい”を積む暇さえ、攻撃に転じた方が後々楽になるはずだ。


 トウコ 「“はなびらのまい”よ!」


ドレディアから噴き出したピンク色の花びらが、一直線にシャンデラへと向かって行く。

竜巻のごとく渦巻く花びらは、瞬く間にシャンデラを取り囲んだ。


 ノボリ 「シャンデラ! “おにび”を纏ってください!」

 トウコ 「纏うって……うそっ!?」
 ▼ 200 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 20:51:59 ID:cv20ATYk [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シャンデラは、青紫色に揺れる炎を作り出すと、それを自らの周囲に纏わせる。

その炎は、花びらを燃やして寄せ付けない。シャンデラを取り囲んだ“はなびらのまい”が、“おにび”によって掻き消されているのだ。


 トウコ 「あんな使い方っ……」


勿論、全部が掻き消されている訳では無い。

燃やし切れていない花びらによる攻撃は当たっているものの、それはおおよそ半分程度か。とにかく、ドレディアの“はなびらのまい”本来の威力が出し切れていない。

そしてそれは、一定時間続くことになる。マイペースだから混乱しないものの、暴走状態と化する“はなびらのまい”は、簡単に中断できないのだ。


 ノボリ 「こちらも行きますよ! シャンデラ! “オーバーヒート”です!」


シャンデラは花びらを蹴散らしつつ、大きな炎の塊を作り出し、ドレディアに向けて発射した。

青白い炎は車体いっぱいに広がるほどの大きさで、避けるとかそういう次元では無い。これだけ強力な炎を作り出せるということは、いかにシャンデラが鍛えられているか分かる。


 トウコ 「ドレディアっ!」
 ▼ 201 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 20:53:00 ID:cv20ATYk [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乱舞する“はなびらのまい”もろとも、“オーバーヒート”の炎はドレディアを飲みこんだ。

特攻が高いシャンデラの、炎タイプ最強クラスワザ、“オーバーヒート”。そして効果は抜群。


 トウコ 「凄い威力……まだ行けるドレディア!?」


私の方を向いて頷くドレディアだけど、いっぱいいっぱいなのは目に見えている。

そもそも、この一撃でドレディアが倒されてもおかしくなかった。

自慢の花びらは黒く焦げ、足元はふらつき、息が上がっている。私に良い所をみせようと、気合いで耐えてくれたのね。


 トウコ 「あなたの想い、絶対無駄にしないわ!」


考えなきゃ。この状況を打開できる手段を。

あの“オーバーヒート”の威力を見るに、シャンデラの特攻は凄まじいほど高いはず。

けど、“オーバーヒート”を放ったことが、逆にチャンスになる。“オーバーヒート”を使うと、特攻が大幅に下がるから。それだけで、戦況は随分と違ってくる。


……と思ったけど、そんな淡い期待は、無残にも打ち砕かれてしまった。
 ▼ 202 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 21:50:00 ID:cv20ATYk [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「あれは……」


シャンデラの右腕(?)が一瞬、白く光った。

その光ったものは、何かの小さな破片のように見えたけど、光ると同時に、消えてしまった。


 トウコ 「白いハーブ……」


シャンデラは、白いハーブを持っていたようだ。

今さら説明するまでもないけど、白いハーブをポケモンに持たせると、一度だけ、能力ダウンを阻止してくれる。

“オーバーヒート”のような、能力ダウンのリスクを伴う高威力ワザと、非常に相性が良いアイテムだ。


 ノボリ 「これで終わりにします! シャンデラ、“シャドーボール”です!」


流石にもう“オーバーヒート”は使わないか。

シャンデラから放たれた黒い球体は、一直線にドレディアへと向かってくる。


どのみちドレディアは、これ以上攻撃を耐えられない。

ならば、最後のコジョンドがうまく立ち回れるように繋ぐことが、ドレディアの最後の仕事だ。
 ▼ 203 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:00:01 ID:cv20ATYk [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「お願いドレディア! “やどりぎのタネ”!」


最後の最後でドレディアが放った“やどりぎのタネ”。

そのタイミングで、“シャドーボール”が直撃。


ドレディアは崩れ落ちた。


 トウコ 「ありがとうドレディア。よく頑張ったわね。……行くわよコジョンド!」


私は最後のポケモン、コジョンドを繰り出す。

そのタイミングで、“やどりぎのタネ”が発動した。


 ノボリ 「“おにび”を纏ってください! ヤドリギを焼き切るのです!」


ヤドリギのツタが一気に伸びて、シャンデラを拘束する。

けれど、所詮はツタだ。炎に当たれば、焼き切れてしまう。


ノボリさんは“はなびらのまい”の時と同じ要領で、シャンデラに“おにび”を纏わせた。炎がツタに燃え移り、一瞬のうちに、焼け落ちてしまう。

けど、その一瞬の隙が、ポケモンバトルでは勝敗を分けることだってある。
 ▼ 204 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:10:00 ID:cv20ATYk [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「“アクロバット”!」


コジョンドを2回入れ替えたことで、特性“さいせいりょく”の効果でHPは満タンに近い。

加えてコジョンドは、なにも持っていない。“アクロバット”を繰り出すのに最適な条件だ。


 ノボリ 「シャンデラ!?」


“アクロバット”が直撃。シャンデラは後方に弾かれる。

それと同時に、ヤドリギのツタが焼き切れた。コジョンドの瞬発力が光った形だ。


 トウコ 「いいわよコジョンド!」


……とは言ったものの、コジョンドの動きは、ほとんど制限されている。

シャンデラに有効なワザは、“アクロバット”のみ。“グロウパンチ”と“とびひざげり”は効かないし、交代するポケモンがいなければ、わざわざ“とんぼがえり”を出すメリットも無い。

ただ幸いなことに、“アクロバット”は高威力。

あと……1発。あと1発“アクロバット”が決まれば、シャンデラは倒れると見た!
 ▼ 205 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:20:01 ID:cv20ATYk [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「押し通すわよコジョンド! もう1回“アクロバット”!」


たとえ倒れなくても、致命的なダメージになるはず。そうなれば、俄然、私たちの勝利が近付いてくる!


 ノボリ 「こちらも負けては いられません! “シャドーボール”連発です!」

 トウコ 「避けるのよ!」


乱れ打たれる“シャドーボール”。車内の壁に跳ね返って、四方八方から飛び交う“シャドーボール”。

でも、極限まで集中したコジョンドなら、避けきれる!

軽快なステップを踏むように、体をしなやかに曲げ、飛び、回転し、紫色の球体をギリギリでかわしていく。


分かってるのよね、コジョンドも。

サブウェイマスターとバトルすることが、どれほど名誉なことか。どれほど価値ある経験なのか。


そして、私たちがいま、どれだけ楽しいか!

このバトルが、私たちにとって、どれほど素晴らしいものか!
 ▼ 206 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:30:00 ID:cv20ATYk [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここまで来たら、もう勝つしかない。勝つしかないのよ、私たち!

たとえ言葉にしなくても、コジョンドは分かっている。ドレディアも分かっている。ランクルスも分かっている。だからみんな、極限まで戦ってくれたんだ。


 トウコ 「“アクロバット”……突っ込めぇぇぇ!」


“シャドーボール”を回避する一連の動作で、コジョンドはシャンデラの上を取っていた。

ひとしきり“シャドーボール”を繰り出したシャンデラは、一瞬、動きが止まる。

“シャドーボール”みたいな高エネルギーを乱発したら、そりゃ疲れが出るわよ。私もコジョンドも、そのタイミングを狙っていたんだ。


コジョンドは“アクロバット”の構えを作って、シャンデラの頭上から突撃していく。

ほんの一瞬の動作のはずなのに、その瞬間が、何故か長く感じた。

きっとこの一撃で、バトルが幕を閉じるから。この楽しいバトルが、終わりを迎えるから。


そんな名残惜しさが、きっと私の時間感覚を麻痺させているんだ。

もっと続けていたい……。最高のパートナーたちと、ノボリさんと言う強敵に立ち向かうこのバトルを、もっと続けていたいと、私は無意識のうちに求めているんだ。

でもこれで……、私たちの想いを託した“アクロバット”で、全てを終わらせるんだ!


 トウコ 「行っけぇぇぇぇぇ!」
 ▼ 207 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:40:00 ID:cv20ATYk [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ノボリ 「“まもる”です!」


 トウコ 「えっ!?」


“まもる”って……嘘でしょ!?

もうあと一歩で攻撃が届くって言うのに……ここで“まもる”!?


コジョンドの攻撃は、シャンデラの“まもる”によって弾き返された。

ほとんど不意打ちとも言える“まもる”……。


……そうよ。シャンデラの使ったワザ、まだ3つしか見てなかった。

でもだからって、変化ワザの“おにび”を入れて、さらに“まもる”を入れるなんて、普通は思わない。

“エナジーボール”とか“めざめるパワー”とか、別タイプの攻撃ワザが入ってるとしか、考えられなかった。
 ▼ 208 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 22:50:00 ID:cv20ATYk [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「“オーバーヒート”です!」


 トウコ 「コジョンドっ!?」


私にとってもコジョンドにとっても、“まもる”は不意打ちだった。そしてそれは、切り返しの遅れを招く。

シャンデラは、弾かれたコジョンドの間合いを一気に詰めて、ほとんどゼロ距離で、“オーバーヒート”を繰り出した。


コジョンドが……、炎に包まれる。大きな、爆発的な威力の炎に、一瞬で包まれる。

本当に一瞬の隙を突いた、ノボリさんの指示、シャンデラの攻撃。

そんな動きに対応できなかった私。


 ノボリ 「畳みかけます! “シャドーボール”!」

 トウコ 「お願いコジョンド! “アクロバット”で“シャドーボール”を弾き返してっ!」


炎ワザの相性は普通なコジョンドでさえ、限界に達するレベルのダメージを、今の“オーバーヒート”で受けてしまった。

それだけノボリさんのシャンデラが、強く育てられている証拠だ。シャンデラを最後に出したのも、切り札として取っておいたからかな。
 ▼ 209 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/06 23:00:00 ID:cv20ATYk [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もう、どうすることもできない。

致命的なダメージを受けてしまったコジョンドが、さっきみたいに機敏に“シャドーボール”を回避することは無理だ。

そうなると、最後は気合いしかない。気合いで“シャドーボール”を押し返して……、あわよくば、“アクロバット”をシャンデラに到達させる……。

不意打ちを受け、一瞬のうちに戦況が悪化して、立て続けに高威力ワザを繰り出された今、私が咄嗟に考えられる戦法、咄嗟に出せる指示は、それしかなかった。


“アクロバット”と“シャドーボール”が衝突した瞬間、軽い衝撃波が、車内を包み込んだ。

ともに威力は高い部類のワザ。いや、“アクロバット”の方が上か。

でも、決定的に違うのは、“アクロバット”が物理ワザ、“シャドーボール”が特殊ワザだと言うこと。

もしこれが特殊ワザ同士のぶつかり合いなら、まだチャンスは有ったかもしれない。もしコジョンドの体力がもう少し残っていれば、また状況は違ったかもしれない。


“もし”の話を考えても、勝敗は、もう変えられないんだけどね……。



 ▼ 210 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/07 01:19:01 ID:ahxGT57Q [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 トウコ 「コジョンド……。ありがとう。ごめんね……、最後の最後で、無茶させちゃって……グスッ」


私はコジョンドの手をギュッと握り、ボールに戻した。

私がもっと柔軟な判断が出来ていれば、勝負は分からなかったのに。この負けは、全部私の責任だ。


 ノボリ 「シャンデラ、よく頑張って頂きました。戻って休んでいて下さい」


車両の向こう側で、ノボリさんはシャンデラをボールに戻した。

そしてゆっくりと、私の元に近付いてくる。姿勢を正して、真っ直ぐ私に、近づいてくる。


 トウコ 「んっ……グスッ」


私は慌てて目元を拭った。

こんな顔を見せるなんて、バトルをしてくれたノボリさんに失礼だ。
 ▼ 211 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/07 01:20:00 ID:ahxGT57Q [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「トウコ様。良いバトルを、ありがとうございました」

 トウコ 「……私の方こそ、ありがとうございましたっ」


私は立ち上がり、深々と、ノボリさんに頭を下げた。

その瞬間、目元から零れ落ちた雫が、乾いた床の一点を染めた。

あぁ……、泣いてるの、ばれちゃったかな。


 ノボリ 「……これは、お世辞でも社交辞令でもございません。トウコ様のポケモン、大変良く育てられておりました。私も、ついついバトルに熱が入ってしまいました」

 トウコ 「でもっ……、ノボリさんに勝てなかったことにはっ、変わりません……」

 ノボリ 「このバトル、私はトウコ様への感謝と敬意を込めて、挑ませて頂きました」

 トウコ 「………?」

 ノボリ 「トウコ様はシングルトレイン14連勝とお聞きしましたので、私がお相手するべきバトルレベルは、20連勝相当のもの……。本来は、シングルトレインのレベルに合せなければなりませんでした」

 トウコ 「えっと……」

 ノボリ 「今のバトル、私の手持ちポケモンは、スーパーシングルトレイン用のメンバー。48連勝相当のレベルで、お相手させて頂いたのです」
 ▼ 212 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/07 01:21:00 ID:ahxGT57Q [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「48連勝……えっ!? じゃあ私、えっと……34戦分すっとばして、ノボリさんとバトルしたってことですか!?」

 ノボリ 「その通りです。トウコ様の実力を判断したうえで、途中からシングルトレインのレベルに変えようかとも考えておりましたが、その必要は無いと判断致しました。トウコ様は、48連勝分の実力をお持ちとお見受け致します。それほど素晴らしいバトルを、トウコ様は成されたのです」

 トウコ 「私の実力が……、48連勝分も……」

 ノボリ 「加えてトウコ様は、私のドリュウズとオノノクスを攻略されました。そして、危うくシャンデラもダウンするところでした。私にとっても、本当にギリギリのバトルだったのです。トウコ様の実力は、本物でございます」

 トウコ 「そんなっ……。最後の最後で焦っちゃったりで、私なんてまだまだです。もっと臨機応変な対応を出来ないと。実力だなんて……」

 ノボリ 「ご謙遜なさらずに。確かに最後、トウコ様は勝ちに急いだ感がございましたが、それは、トレーナーなら誰しも陥ることです。私は素直に、トウコ様の実力を実感致しました。是非またお手合わせ願いたい。トウコ様なら、48連勝達成に苦戦されることは無いでしょうからね」

 トウコ 「ノボリさん……。ありがとうございます! 私、もっと修行して、実力を付けて、絶対にリベンジして見せます! だからその時はまた……、よろしくお願いします!」

 ノボリ 「えぇ。お待ちしております、トウコ様」


バトルの結果はあんまり納得できるものじゃなかったけど、ノボリさんに実力を認められて、リベンジの約束までして貰えて。

嬉しいような、恥ずかしいような、なんだかくすぐったい気持ちだ。


私はまだまだ、強くならなくちゃいけない。それに、自分自身の精神も磨かなくちゃいけない。

どんな状況でも、的確な指示をポケモンたちに出せるように。勝ちを急がず、最後まで気を抜かないバトルを出来るように。


私は今まで以上に、バトルの修行を全力で取り組むことを誓った。

 ▼ 213 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/07 01:22:00 ID:ahxGT57Q [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 214 ヒートロトム@ハッサムナイト 15/06/07 09:44:40 ID:VjVse0p6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鬼火を纏うっていう発想がスゲー。
そしてこの話もそろそろ終わりか。少し残念。

 ▼ 215 ドテッコツ@しんかのきせき 15/06/07 10:16:52 ID:ISl7B1kI NGネーム登録 NGID登録 報告
アニメっぽいな。鬼火纏うとか。

支援
 ▼ 216 バニプッチ@ヒメリのみ 15/06/07 16:09:00 ID:er3NblvU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 217 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/08 20:20:00 ID:K1esz8.. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ライモン中央駅に戻って来た。

列車から降りた私たちは、ノボリさんとクダリさんと一緒に、職員専用通路を通って、駅に隣接する地下鉄の建物に入る。

回送列車から降りてきてそのまま解散では、さすがに他の人から見たら不審に思われるからだろうな。


 ノボリ 「それでは、トウヤ様。トウコ様。この度は本当にありがとうございました。お二人の行動が、多くのお客様を、そして地下鉄を救って頂けました」

 クダリ 「うん。感謝してもしきれないくらいだよ。トウヤ君もトウコちゃんも、ちょっとしたヒーローになるんじゃないかな」

 トウヤ 「いえいえ、そんな」

 トウコ 「私の方こそ、バトルありがとうございました。とても良い経験になりました」

 トウヤ 「僕も、ようやく決心が付きました。本当にありがとうございました」

 トウコ 「決心?」

 トウヤ 「……後で話しますよ」

 トウコ 「?」
 ▼ 218 甲州街道◆IVIG1YNTZ6 15/06/08 20:36:00 ID:K1esz8.. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ノボリ 「それとトウコ様。破損させてしまったベルトですが、新しいものを購入されましたら、領収書を私宛に送ってください。全て地下鉄側で補償させて頂きます」

 クダリ 「思いっきり高いの買っちゃっていいからね。どうせ“御品物代”の領収書なんて、詳しくチェックされないんだから」

 トウコ 「えっ……」

 ノボリ 「こらクダリ……。しかしトウコ様、今回は本当にご遠慮なさらずに。お客様に一人の怪我人もなく済んだのは、お二人のお陰なのですから。それは、決してお金には代えられないことです」

 トウコ 「ふふっ。じゃあお言葉に甘えて、少し良いベルトを買わせて貰いますね」

 ノボリ 「えぇ。是非そうして下さいませ」

 クダリ 「トウヤ君も、いつでも地下鉄に遊びに来なよ。この本社にも、社員一同、歓迎するよ」

 トウヤ 「ありがとうございます、クダリさん、ノボリさん」

 トウコ 「それじゃあまた……。ノボリさん、私、もっともっと実力を付けて、ノボリさんに再戦しますからね!」

 ノボリ 「えぇ。楽しみにしております」

 トウヤ 「それでは、失礼します」

 クダリ 「気を付けて帰るんだよ〜」
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