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幼シンジ「ちゅかえないな」

 ▼ 1 レパルダス@ねらいのまと 15/06/16 22:59:52 ID:8swQ.9sA NGネーム登録 NGID登録 報告
偶然近くにいたシンジがシトロンの発明に巻き込まれて幼児化しちゃって
ユリーカに「『つ』が言えないの?」とかセレナが「かわいー!」とか
サトシが頭を撫でてシンジが「やめろ!」とかやるの思い浮かんだから誰かよろしく
 ▼ 266 クラブ@さざなみのおこう 15/10/10 16:00:43 ID:x9H2s05k [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシたちは長い廊下をひたすら歩いていた。

前を歩くコジロウが角を右に曲がるのに従って曲がり、新たな直線を歩き始める。

サトシ「さっきの話、嘘じゃないんだよな?」

サトシは道中で聞いた話──星の危機とデボンの計画──について確認した。

ムサシ「嘘じゃないわよ。疑うのも無理はないんでしょうけど」

コジロウ「今頃サカキ様もシトロンに説明してるはずだぜ。隕石のこともデボンのことも、それとあのシンジとかいうやつのこともな」

シンジのこと。サトシとセレナは先の話を思い出す。

サトシ「シンジがシロナさんに派遣された、デボンの企みを阻止するトレーナーだったなんて…」
 ▼ 267 ゼクロム@ポフィンケース 15/10/10 16:34:36 ID:x9H2s05k [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
空を行くデボンの飛行機、その中でシンジとユリーカは拘束されていた。

シンジ「すまん、巻き込んでしまって…」

シンジは手首と足首を縄で縛られたまま、壁にもたれ掛かってこう詫びた。

ユリーカ「いいよ。シンジのせいじゃないし!」

同じく縛られもたれ掛かるユリーカはこう応じ、「悪いのは全部あいつらよ!」と文句を続ける。

シンジ(ボールも取り上げられピンチではあるが、逆に考えれば油断しているであろう相手の懐に堂々と潜り込むチャンスでもある)

シンジはユリーカの文句を流しつつ、これからを思案した。

シンジ(流星の民を捕らえたとも言っていたな…。上手くいけばそいつを助け出せるかもしれない!)

シンジは、一縷の希望を抱く。

そのシンジと傍らのユリーカの二人と、数人の部下を乗せた飛行機は、ホウエンの空へと入っていった。
 ▼ 268 ラッタ@のんきのおこう 15/10/10 16:45:37 ID:x9H2s05k [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
長い廊下を歩くサトシたち。

コジロウ「そろそろ目的の部屋だぜ」

最後の角を右に曲がり、コジロウが告げる。

サトシたちも同じように曲がり、また直線を歩く。

しばらく歩くと、左側の扉のひとつが、ガチャ、と音を立てて開いた。

シトロン「あれ? サトシとセレナじゃないですか?」

出てきたのはシトロンだった。

サトシ「シトロン!」

再会をずいぶん久しいものと感じる三人。

セレナ「シトロン、ユリーカとシンジは一緒じゃないの?」

シトロン「二人は一緒じゃないですね…。どこにいるかわかりませんか?」

シトロンは開いたままの扉、その中の人物に声をかける。

現れた人物にサトシは身構えた。

サトシ「サカキ…?」
 ▼ 269 カブト@エスパージュエル 15/10/10 17:04:06 ID:x9H2s05k [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サカキ「そう身構える必要はない。…二人はたぶん屋上だろう」

サトシは怪訝な表情をしたが、シトロンから諸々の説明を受け、表情を緩和させた。

サカキ「今頃屋上のツワブキらと交戦しているはずだ。もしくは捕らえたか捕らえられたかだが…」

恐らくは後者であろうとサカキは続けた。

サカキ「捕らえられて連れ去られていると考えるのが妥当だろう。リーグで成績を残しているとはいえ、あの数には負けるはずだ。そしてそちらの方が都合がいい」

話の一文を拾ってセレナが質問を挟む。

セレナ「都合がいい?」

サカキ「流星の民の少女が捕らえられていることは聞いているだろう? その少女をシンジ君が助け出すチャンスを得たことになるからな」

サカキは答え、一同はなるほどと頷く。

シトロン「それより、ユリーカは無事なんですか!?」

サカキ「心配しなくてもいい。拐われていたとしても手は出さないはずだ。幼い子供ならなおさら人質として最後まで手は出さないだろう」

サカキは「最後まで」を強調し、答え、皆に促す。

 ▼ 270 サンダース@じめんのジュエル 15/10/10 17:27:20 ID:x9H2s05k [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まずは屋上へ、というサカキの言葉で、皆は階段を上り、屋上へと上がった。

サカキらにとっては予想通り、そこには何者も何物も残ってはいなかった。

在るのは戦いの跡たる床の悲惨な様のみであった。

サカキ「また我が組織の支部が…」

嘆くサカキ。一階のとある廊下の壁が全壊しているのはまだ知らない。

そのサカキに向かってサトシは尋ねた。

サトシ「で、これからどうするんだ?」

砕けた床から目を背け、サカキは言う。

サカキ「無論、ツワブキを追う。これからホウエンに行くぞ!」

サカキの叫びに応じるように、屋上の一部が開き、中から黒いヘリが現れ出た。

側面には誇らしげな大きな赤紫の「R」が描かれている。

操縦者であるコジロウは皆にウインクし、乗れよ! と親指を立てて後ろを指した。

(いつの間に…)

サカキを除く皆がそう思いながら、後部に乗り込んだ。
 ▼ 271 メガヘラクロス@おはなのおこう 15/10/11 11:01:14 ID:9oDT1w7Y [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カロスからロケット団のヘリが飛び立ったのと同じ頃、ホウエンではデボンの飛行機が目的地に降り立っていた。

降りたのはカナズミシティ、その一角。

ホウエンを代表する大企業・デボンコーポレーション。
ツワブキの本拠地たる建物の傍らであった。

飛行機が完全に停止した後、シンジとユリーカは機内から外に出され、社内へと場所を移される。

その際、機内で縄を外され、二人は自力で歩くように促された。

シンジ(?)

この時シンジは、足首のみならず手首の縛りも解かれたことに対して疑問に思った。

逃走の危険はないと判断したのだろうか。ユリーカを人質にとられているためその判断は間違いではないが、万が一の抵抗に備えたりするものではないのか、と 不自然に思う。

社内に入ると、社員らしき人たちが社長であるツワブキに挨拶をしていた。

中にはシンジらを不思議そうに見る者もいた。

そんな視線や言葉の中を歩き、階段を登る。
 ▼ 272 アンブレオン◆ucNFALi.bo 15/10/11 11:13:15 ID:jzUO.pPs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 273 ドーブル@パワーレンズ 15/10/11 11:18:16 ID:9oDT1w7Y [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二階も通り過ぎ、三階に上がった。

三階に上がった直後、シンジとユリーカは再び手を後ろで組まされ、縄で手首を縛られる。

シンジ(くっ…。結局縛るのかよ!)

手首を縛られた二人は再び歩かされ、ある部屋の前で止められた。

部下「入れ」

部下の一人がそう言って扉を開ける。

先にシンジが中に入り、ユリーカがそれに続いた。

ツワブキ「少し、この中に居てもらおうか」

部屋の外から言うツワブキは、言いつつ、扉を閉める。

閉まる扉の隙間から覗いた彼の表情は、余裕を含んだ微笑であった。

扉が音を立てて閉まり、続いて鍵がかけられる。

遠退いていく足音に、ユリーカは何度か文句を放った。

ユリーカをなだめつつ思案するシンジ。
そんな彼らに、部屋の奥から声がかかった。

「やぁ、新顔さんたち。君たちだぁれ?」
 ▼ 274 ワシボン@さらさらいわ 15/10/11 11:45:59 ID:9oDT1w7Y [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
声の主は、短い黒髪を後ろで縛った少女。

変わった服装、呑気な口調、少し眠たそうな表情、そのどれもが今の状況に全く合っていない。

まるで、別の時代で穏やかに暮らしていた異国の住人を、その時代から切り取ってこの今に貼り付けたような、とにかく異様で独特な雰囲気を持つ少女であった。

シンジ「…お前は、流星の民か?」

少女は不満げに、しかし答えを返す。

少女「…まぁそうだけど。てか、質問したんだからちゃんと答えて欲しいんだけどー」

これに応じたのは別の少女である。

ユリーカ「あ、私はユリーカ。こっちのちょっと無愛想なのはシンジだよ」

少女「ユリーカに、シンジね。何しに来たの〜?」

今度は無愛想な方が返す。

シンジ「デボンの企みを崩すために来た」

少女「お! 同士じゃ〜ん! てことはシンオウから派遣されたトレーナーかな?」

ああ、と 肯定で返すシンジ。次いでユリーカが少女に言う。

ユリーカ「ねぇ、あなたの名前は?」

少女「ん? ああ、言ってなかったっけー」

少女「ヒガナ、だよ」
 ▼ 275 アーマルド@くっつきバリ 15/10/15 12:33:03 ID:IPuOgYF2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「で、シンジはどうやってデボンの企みを崩すつもりなの?」

現状に目をやり、シンジは少し口ごもりつつ言った。

シンジ「それは…。これから考えるつもりだ」

ヒガナ「これから、ねぇ〜…」

ヒガナは窓や扉に鍵をかけられ、外界と繋がりを断たれたそこ、いわゆる密室を、少し大袈裟に見回して言う。

ヒガナ「ポケモンをとられて、拘束されて、密室に閉じ込められて、外とは連絡もできないよ。この状況で何ができると思うの? 少なくとも私たちには、できることあんまりないよねー?」

正論ではあった。しかし、シンジはそれを肯定するわけにはいかない。

シンジ「…今はそうだとしても、考えれば何か思い付くかもしれないだろ」

ヒガナ「確かにね〜。もしかしたら、時間が経てば状況が変わるかも知れない。あなたたちか私の仲間が助けに来るかも知れない。突然ちょうどいい大きさの隕石がこの建物に落下してきて弾みで逃げられるかも知れない。この、かも知れないって考え方って大事だと思うよ〜」

シンジとユリーカは、ヒガナの言葉の中に希望を見付けた。

ユリーカ「そうだ! お兄ちゃんたちが助けに来てくれるかもしれないよ!」

シンジ「少し時間はかかるだろうが、あのお人好しが俺らを放っておくとは思えない」

ヒガナは二人の明るい表情を見て満足げに微笑む。

ヒガナ「そうと決まれば気長に待と〜」

彼女は二人の仲間のどうこうはどうでもよかった。自分は自分で別の存在を待っていたからである。

だが、暗く孤独な独房が、明るく賑やかな談話室になったのは、彼女にとって大きな、喜ばしい変化であった。
 ▼ 276 ビッパ@ジュペッタナイト 15/10/18 21:42:53 ID:DaW/e8MA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
茜射す室内では、飽かず会話が続けられていた。

ヒガナ「ユリーカの旅のお仲間さんたちは楽しそうな人ばっかりなんだね〜」

呑気な少女は久々の雑談を純粋に楽しみ、

ユリーカ「でしょー! ヒガナにも後で紹介するね!」

幼い少女もまた状況を忘れて会話に興じ、

シンジ「お前もトレーナーだろ? 事が済んだらサトシとバトルしてみたらどうだ?」

冷静な少年は状況を理解しつつも、他にすることも無く
、ヒガナの情報も得ておくべきであるとも判断した(ということにしている)ため、会話に参加している。

ヒガナ「バトルね〜。二人ともシンオウでいい成績残してるんだしょ? 少しは楽しめるかな〜。 …なんてね」

冗談めかしくシンジに言うヒガナ。シンジは少しムッとして返す。

シンジ「…ずいぶん自信があるみたいだな」

ヒガナ「言っとくけど、私はまあまあ強いと思うよ〜?」

シンジがまた何か言い返そうとした、その時、扉の鍵が解錠される音がし、言葉は遮られた。

次いで扉が開く。見詰める三人。
扉は半開き程度で止まり、その奥から男が声を放った。

男「来い、ヒガナ」
 ▼ 277 ハンテール@ヨクアタール 15/10/18 22:14:31 ID:DaW/e8MA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「大丈夫かな、ヒガナ…」

ヒガナは、いつものことだから、と 残して出ていった。

目の前の皿に雑に乗せられた木の実を、動物のように口に運び、咀嚼して飲み込んだ後で、シンジは答える。

シンジ「恐らくは尋問…、ただ情報を聞き出そうとするだけだ。心配いらない」

ヒガナと入れ替わりで入って来た男が運んできた皿、その総数から、ここで始末するつもりではないとシンジは判断していた。

ユリーカ「でも…」

理解はできても納得はできない様子のユリーカ。
彼女は目の端に涙を浮かべ、それを隠すように俯く。

シンジ(…こういう時に理屈じゃない気の利いたことが言えたらいいんだが)

あいにく彼は不器用な方であり、そんな言葉は言えなかった。かわりに、

シンジ「ユ、ユリーカたちの、旅の話が、聞きたい、なー! …なんて」

苦し紛れにこう言った。無論、彼女は反応を示さない。

茜が去りつつあった部屋は、長らく重い空気と沈黙に支配されることとなった。
 ▼ 278 ダイノーズ@デボンのにもつ 15/10/18 22:29:02 ID:DaW/e8MA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二つの意味で暗い部屋に、再び鍵が解錠される音が響いた。

ばっ、と顔をあげるユリーカ。顔だけそちらに向けるシンジ。

二人の期待通り、扉からはヒガナが入り、ついでに男が部屋の明かりを点けた。

扉が閉まり、鍵のかかる音がした後で、ユリーカはヒガナに走り寄る。

ユリーカ「大丈夫!? なにもされてない!?」

ヒガナ「大丈夫だよ。ちょっと話してただけだからね。…ってシンジ、なんでそんな暗い顔してんの?」

指摘されたシンジは、俺の自尊心に傷が付いただけさ…、と答えて、

シンジ「まあ無事でよかった」

と続けた。

ヒガナ「? よくわかんないけどいいや。ご心配ありがと。ユリーカ、また話の続きしようよ」

うん! とユリーカは元気よく返事をする。

その後、三人での会話は、最年少の彼女が睡魔に襲われ、床に転がるまで続いた。
 ▼ 279 ネイティ@はがねのジュエル 15/10/19 09:12:46 ID:R33yyOu6 NGネーム登録 NGID登録 報告
これは良SS








支援
 ▼ 280 キマワリ@きいろのバンダナ 15/10/26 00:07:27 ID:Tlq0sGMI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「さて、と」

ヒガナは、眠りに落ちたユリーカに目を遣りつつ、シンジに言葉を放った。

ヒガナ「言いたいことあるんでしょ? 何?」

先の呑気さを払い、ヒガナは問う。

シンジ「…お前は、流星の民は、どうやってデボンの企みを崩すつもりだ?」

シンジも、先までの微妙な愛想を無くし、質問を返す。

ヒガナ「別に私の目的はデボンには直接関係はないよ。よって、デボンは適当にあしらうつもり」

シンジ「お前の目的…。この星を守ることだな。だがどうやって守るつもりだ?」

シンジは再び質問を返した。

ヒガナ「レックウザ、ってポケモン、知ってるよね。シンオウのチャンピオンからある程度は聞いてるはずだし」

シンジは黙って頷き、続きを促す。

ヒガナ「私たちは竜神様って呼んでいるんだけどね。その竜神様に頼むんだよ」

シンジ「レックウザに隕石を破壊させるのか」

ヒガナ「そゆこと」
 ▼ 281 メガオニゴーリ@ビアーのみ 15/10/26 00:39:46 ID:Tlq0sGMI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「ただし、」

ヒガナはこう付け足し、続ける。

ヒガナ「今の竜神様では隕石の破壊は為し得ない。ある特別な技を伝え、強い祈りを捧げることによって力を解放し、新たな姿を得た上で放つその技にこそ隕石破壊の可能性がある」

彼女は、窓から見える夜景を瞳に映しながら言う。

ヒガナ「可能性、というには確実に過ぎる方法なんだけどね。…新たな姿とはすなわちメガシンカ。私が伝え、竜神様が放つであろう技の名は、ガリョウテンセイ」

シンジ「ガリョウテンセイ…?」

トレーナーとしての経験は決して短くはないとの自負するシンジは、それでも初めて耳にした技名に疑問符を浮かべる。

ヒガナ「竜神様のみが使用できる技だよ。メガシンカした竜神様、いわゆるメガレックウザがこの技を放てば、隕石なんて粉々。そのぐらいの威力を誇る技だよ」

話を終えたヒガナは、再び窓の外へと目を遣り、突然くるりとシンジの方に向き直った。

ヒガナ「さあ、そろそろ脱獄の時間だよ。…シガナ!」

ヒガナの叫びと同時に窓が割れ、何かが中に転がりこんだ。

そこにいたのは、大きな耳を持つ薄紫色の球状のポケモン、ゴニョニョであった。
 ▼ 282 ポワルン@ポイントアップ 15/10/27 00:25:47 ID:93hmY01w [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「脱獄…だと? まさかここから…!?」

シガナの突入に驚きはしているものの、聞き捨てならない言葉を拾い上げたシンジはまずそれを問う。

ヒガナ「そのまさかだよ〜。まあ、まさか生身で飛び降りるわけにはいかないから…」

ヒガナはシガナを抱き上げ、シンジの方へ向けた。

ヒガナ「こうしてシガナにお使いを頼んだってわけ。デボンの連中もちょろいね〜」

ヒガナの腕の中で、シガナは幾つかのモンスターボールを抱えていた。

シンジ「俺のポケモンたちのもあるのか…?」

ヒガナは首を左右に振り、答える。

ヒガナ「残念ながら無いみたい。おそらく別の場所にあるんだろうね」

そうか…、と 呟いたシンジはこう続けた。

シンジ「それなら俺は逃げることはできないな」

そっかぁ、と 少し残念そうに言うヒガナは、目の前のシンジを見て違和感を感じた。
感じて、違和感を与える少年にそれを伝える。

ヒガナ「シンジ、なんか縮んでってない?」
 ▼ 283 ゴニョニョ@キトサン 15/10/27 00:45:31 ID:93hmY01w [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナが気付いてからも少しずつ縮んでいったシンジは、メカを使う前の大きさまで戻り、漸くその退化を止めた。

シンジは、驚くヒガナに事情を話す。

シンジ「──というわけなんだ」

ヒガナ「ふぅん。面白いメカだね。…面白いだけで終わっていればよかったのに」

シンジの仲間の一人が発明したメカがシンジを若返らせ、デボンに技術を奪われたというところまで聞いたヒガナはこう評した。

ヒガナ「その子供の姿から完全には戻れないって言ったよね?」

シンジ「ああ」

ヒガナ「その仕組み、わかっちゃったかも」

大したことない風に、というか、ヒガナにとっては事実大したことはないものとして放られた言葉。

それはシンジにとっては非常に重要なことであった。

シンジ「ほんとうか、それ!? もとにもどれるのか!?」

これまでになく興奮した姿を見せるシンジに、ヒガナはあくまで冷静に、自分の考えを伝える。
 ▼ 284 フーパ@オーロラチケット 15/10/31 20:35:37 ID:Xd.mJYbg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「まず、シンジが話した二つのメカだけど、たぶんどちらの効果も一時的なものだよ」

シンジは、それはあり得ないと口を挟んだ。ヒガナは、「まあ、最後まで聞いてよ」と言い、続ける。

ヒガナ「どちらのメカも、経験を与えたり奪ったりするものみたいじゃん? 奪う方、シンジを退化させた方は君の経験をどこにやったのかな?」

シンジは数秒間考え、メカに納められたと回答した。

ヒガナ「んー。たぶん違うね。退化の方は少し説明が難しいから、先に進化の方の説明をしようか」

ヒガナの言葉に頷き、シンジは続きを促す。

ヒガナ「進化の方は、人やポケモンという器にエネルギーを注ぐものだったんだと思うんだ」

シンジは抽象的な言葉に首を傾げた。

ヒガナ「む〜。ここが分からないと先には進めないんだけどなぁ。…あ、いいものがあった!」

ヒガナが目をつけたのは、部屋の壁の傍らに置かれたホワイトボードであった。

ヒガナ「絵の方が断然分かりやすいよ、うん。…シンジ、この手の縛り、解いてくれない?」

シンジは、退化に際し自由になっていた両手で、ヒガナの縄を解く。
ついでに、と シンジは床で眠るユリーカの腕も自由にしておいた。
 ▼ 285 ワタッコ@こだいのどうか 15/10/31 20:49:01 ID:Xd.mJYbg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「じゃあ、続きいくよ!」

ヒガナは自由になった片方、右の手で黒いペンを握り、ホワイトボードに湯飲みのような器を描いた。

ヒガナ「これが器で、」

ヒガナは器の中に楕円を書き足す。

ヒガナ「これが経験ね」

前述の器とは、自身が積み重ねてきた経験を容れるものの喩えであったと、シンジは理解した。

ヒガナ「で、進化するメカを使用すると…」

そのメカ、進化君の外観を知らないヒガナは適当に急須のような絵を描き、

ヒガナ「この器に経験が注がれるってこと」

こう簡単に言い、説明のひとつを終えた。
 ▼ 286 ダンバル@あおいかけら 15/10/31 21:00:43 ID:Xd.mJYbg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「次だけど、」

ヒガナはホワイトボードの別の箇所に、再び湯飲みのような器の絵を描いた。
続けて、こちらは急須とは別、実物と同じ銃のような絵を描く。

ヒガナ「退化させる方は、」

銃の絵、その銃口から線を描き、器を貫いた。

ヒガナ「器に傷を付け、内の経験を外へ流すものなんだと思うよ」

二つ目の説明を終えたヒガナに、シンジはすかさず問う。

シンジ「ちょっと待て。それのどこが一時的なものなんだ?」

ヒガナ「それはこれから説明するよ」

そう言ってヒガナは、ホワイトボード上で再びペンを滑らせた。
 ▼ 288 アリゲイツ@おおきなしんじゅ 15/10/31 22:01:48 ID:Xd.mJYbg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>287
シンジ「あらためてみると、ざつだし じもへただな」

ヒガナ「仕方ないじゃん。これ使ったの初めてなんだもん」
 ▼ 289 スワンナ@ツメのカセキ 15/10/31 22:27:49 ID:9DGvHrV2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 290 コバルオン@モモンのみ 15/11/01 08:19:31 ID:WFjeQ/e2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「器に例えての説明だと、ここからが少し難しくなるんだけど、頭を柔らかくして聞いてね」

言うヒガナは、同時にまた器の絵を描く。

ヒガナ「器には容れられる限界があって、限界を越えていたら少しずつ零れちゃうんだ。ダムの排水を想像してくれたらいいかも。それが進化の方が一時的なものであるという説明だよ」

ヒガナは器に切り込みを入れて限界を表し、そこから水が流れ出る様子を描いた。

ヒガナ「こっちはまだ分かりやすいかな。次は退化の方だけど、」

四つ目になる器を描き、ヒガナは説明を続ける。

ヒガナ「さっき言ったように、退化の方は器を傷付ける。でも、ただ傷を付けるだけじゃなくて、器の表面の一部を切り取るんだよ。パズルのピースをひとつ外すみたいに。そうしてできた穴から経験が流れ出る」

ヒガナは器の表面に四角を描き、矢印でそれが外れたことを表した。

ヒガナ「で、ここからが本題。この外れたピースはいずれ器の表面に戻り、経験も再び器に帰る。だから一時的」

呆けたような表情のシンジを見て説明の不足を感じたヒガナは、「録画した映像の逆再生を想像してくれたらいいかも」と 付け加える。

シンジ「わかったような、わからないような…。そのすいそくどおりだとしたら おれはいつかもとにもどるってことだよな?」

ヒガナ「いや、このままでは元に戻れないかな。メカが使われた時、シンジの近くにポケモンとかいなかった?」
 ▼ 291 コロモリ@ズアのみ 15/11/01 08:34:15 ID:WFjeQ/e2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジは数秒間考え、そういえば、と 答えを返す。

シンジ「エレキブルがいたぞ。おれのてもちの」

ヒガナは少し考え、違うなぁ、と呟いた。

ヒガナ「ん〜。じゃあ、その時に連れていたシンジの他の手持ち、教えて」

シンジはヒガナの意図が知れなかったが、一応教える。

シンジ「ドンカラスにマニューラ、ドダイトス、リングマと、あとボスゴドラだ」

ヒガナは最後の一匹、ボスゴドラを聞き自身の仮説の正しさを確信、静かに表情を緩める。

ヒガナ「当たりだね」

シンジ「あたり?」

疑問を増やすシンジにヒガナは笑い、次の説明へと進めた。
 ▼ 292 ウォーグル@バクーダナイト 15/11/01 10:43:46 ID:WFjeQ/e2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「話進める前に、これはもう消しとこうね」

シンジ「こんなえでわかるやつすくないだろ」
 ▼ 293 ブースター@ポケモンのふえ 15/11/04 20:15:02 ID:sZNbDghc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「さっき、外れたピースは戻るって説明したよね」

シンジが頷いたのを見て、ヒガナはさらに続ける。

ヒガナ「本来ならそう。だけど、シンジはまだ元に戻っていない。その原因は…」

一旦言葉を切ったヒガナ。そして、答えを待つ少年に言った。

ヒガナ「シンジの器、そのピースをボスゴドラが吸収したから、だよ」

待ちわびた答えであったが、その抽象的な表現を交えた言葉をシンジは理解しきれなかった。

シンジ「そんざいしないはずのピースをボスゴドラがきゅうしゅうした? …よくわからん」

ヒガナ「じゃあ、メガシンカの仕組みはわかる?」

この問いに対し申し訳程度の知識を披露したシンジは、この後ヒガナからメガシンカについて詳しく説明された。

石を通して絆をやり取りする、得た絆を起爆剤にして石のエネルギーを受け取る、メガシンカの終了に際して石のエネルギーを石の形に戻し、受け取った絆をトレーナーに帰すなど、必要最低限の知識をヒガナはシンジに与えた。
 ▼ 294 ディアルガ@シルバースプレー 15/11/04 20:26:23 ID:sp7TIKqo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱメガか

支援
 ▼ 295 ヒトツキ@インドメタシン 15/11/04 20:37:33 ID:sZNbDghc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ「ここまで説明したらもうわかるよね?」

シンジはようやく理解し、頷いた。

シンジ「ようは、ボスゴドラがおれのピースをきずなのかわりにきゅうしゅうしたってことだよな?」

ヒガナは満足げな表情で肯定する。

ヒガナ「そう! 絆も器のピースも形ないものだから説明難しかったね」

シンジ「で、どうすればもとにもどるんだ?」

結論を求めるシンジに、ヒガナはこう答えた。

ヒガナ「メガシンカ終了に際し、ポケモンは絆をトレーナーに帰す。この絆がピースになってるだけだから、メガシンカの状態が終了すれば返ってくるよ」

シンジ「それはメガシンカしてるやつのはなしだろ?」

シンジの返答に、ヒガナは自身の説明の不足を感じた。
感じて、補足する。

ヒガナ「シンジのボスゴドラは、メカによってメガストーンの影響を受け、絆の代わりも受け取ってる」

ヒガナ「この状態はメガストーンとキーストーンが光を結び合っている時のそれに同じだよ。つまり…」

ヒガナ「ボスゴドラは、シンジの指示ひとつでメガシンカできる状態になってるんだよ」
 ▼ 296 マグマラシ@ゼニガメじょうろ 15/11/04 22:33:10 ID:sZNbDghc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ホウエン地方上空。
幾千の星が飾る夜空に、夜の闇より暗い黒のヘリが在った。

赤紫の「R」を眼下のホウエン地方に誇るそれは、「R」の示す組織・ロケット団の三人(と一匹)と、常は敵たる少年少女を乗せて飛ぶ。

ムサシ「なんでこいつこんなに不機嫌なのよ!」

中に在るロケット団の一人・ムサシが夜の静けさを破るように叫んだ。

サトシ「進化するの嫌がってたのにシトロンが進化させちゃったから、今ちょっと機嫌悪いんだよ」

サトシは一時的に異なる姿を得た相棒を抱え上げて答える。

シトロン「すみません、サトシ、ライチュうわ!」

抱え上げられたライチュウは、名を呼ばせまいと、シトロンの足元に電流を放った。

セレナ「進化すると性格とか変わっちゃうポケモンがいるって聞いたことあるけど、凄い変わり様ね…」

傍観するセレナはそう呟き、それに補足するようにサトシが言う。

サトシ「もともと進化が嫌だったのも相まって、こんな短気で荒っぽくなったのかな。暗いところが苦手じゃなくなったみたいだからボールにも入るみたいだけど」

言い終えたサトシは、腕の中から飛び出してシトロンに襲いかかろうとしたライチュウをボールに戻した。

サトシ「で、あとどれぐらいで着くんだ?」

サカキ「明日の昼頃になるだろう。今のうちに休んでおいた方がいいぞ」

そう言ってサカキはシートを倒し、目を閉じる。
その場の全員は彼に倣い、一人を残して眠りに就いた。
 ▼ 297 サイホーン@とんでもこやし 15/11/08 08:13:15 ID:pZp7/XWk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
翌朝七時、デボンコーポレーションで、社員のひとりがある部屋に向かっていた。

もともとは会議室のひとつであったその部屋、そこに監禁している三人の少年少女に朝食を運ぶために歩く。

社員(かったるいなぁ。なんで俺がこんなこと…)

社員は大きな欠伸をし、階段を上がっていった。

三階まで上がり、目的の部屋の前に立つ。社員はまた気だるそうな欠伸をして、ポケットから鍵を取り出し、解錠した。

扉を開けば先日と同じく、手を縛られ自由を奪われた少年少女が転がっている。いる、はずであった。

そこにあったのは、彼らを縛っていたはずの縄だけであった。
さらに窓まで割れ、朝の冷たい風が社員の頬を撫でる。

社員は状況を理解するのに数秒を要し、理解の後で弾かれたように部屋を飛び出していった。

足音が徐々に遠くなり、部屋は再び静けさを取り戻す。

何者も居ないと思われたその部屋。そこにある机の下から、前述の何者も居ないを否定する存在が顔を出し、周囲を確かめてから這い出た。

その存在とは、監禁されていた少年少女のうちのひとり、シンジであった。
 ▼ 298 ムチュール@シュカのみ 15/11/08 09:00:04 ID:pZp7/XWk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ホウエンの上空、シンジを置いて去った二人の少女、ヒガナとユリーカが、それぞれボーマンダとチルタリスに跨がり飛ぶ。

ユリーカ「シンジ、大丈夫かなぁ?」

チルタリスの背で、ユリーカは心配そうにヒガナに言った。

ヒガナ「大丈夫だよ。シンジも言ってたじゃん。デデンネも連れて帰るって」

先に交わした約束を思うユリーカ。
ヒガナは「それに─」と続ける。

ヒガナ「シンジはボスゴドラの場所は掴めるはずだし、手持ちを取り返したら、あんな弱っちぃ連中楽勝だよ。えいやっ、てね」

前に座るシガナを左手で軽く抱いたまま、右手を軽く殴るように振るヒガナの呑気で愉快な様子に、ユリーカは微笑む。

ユリーカ「えへへ、そうだね。あんなに強かったもん。シンジが負けるわけないよね!」

ヒガナは微笑みに微笑みを返して肯定した。

彼女たちはある場所を目指し、カナズミから南東に飛び続けている。
長い旅路となることは予想されていた。このまま何事もなく飛び続ければ3時間程度で目的地に着く。

その間がたわいない話で埋まってしまうこと、その間に何事かが起こり足止めを食らうことを、この時の彼女たちはまだ知らなかった。
 ▼ 299 ラッタ@シールいれ 15/11/12 19:25:51 ID:hHRp8MyQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジは開け放された扉から頭を出して辺りを見回し、誰も居ないことを確かめて部屋から飛び出した。

そのまま階段まで走り、階下を目指す。

──今、両者の間に絆があれば、互いの居場所がわかるはずだよ。

幼い少女を連れて窓から去っていった流星の民の少女の言葉通り、シンジにはある程度ボスゴドラの位置が掴めていた。

二階に降り、ここだ、と呟くシンジ。
壁を利用して身を隠し、顔を少しだけ出して様子を窺う。

見ると、白衣の男が三人いた。
二階は主に研究者、技術者が働く場らしかった。

研究者1「…完成したアブソーバはどうした」

研究者2「今は別の部屋に移している。メガストーンとキーストーンも用意してあるから、後は射程圏内に例の隕石が入ってくるのを待つだけだ」

シンジは会話を聞きつつ、机の陰に身を移した。

目的の部屋は近い。

シンジは、研究者たちが職場とする広い空間を職員たちの目を盗んで進み、下に降りる階段近くの一室の前まで移動した。

拳一つ分ほど開いている扉、その隙間から見た室内に人が居ないことを視認したシンジは、研究者たちの視線が完全に外れた瞬間を狙い、室内に滑り込む。
 ▼ 300 フーディン@ハートのウロコ 15/11/12 19:50:21 ID:hHRp8MyQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
中に入ったシンジ。視認通り人が居なかったことに安堵し、そして部屋を見回す。

目的のものはすぐに見付かった。事務用のよくある灰色の机、その上に、自身の手持ちが入ったボールと縄でぐるぐる巻きにされたデデンネがあった。

すぐさま駆け寄り、先ずは呑気に寝ているデデンネの縄を解く。

シンジ「またせたな、おまえたち。…ほら、おきるんだ」

次いでボールを仕舞い、デデンネを起こして扉まで移動した。

デデンネは礼を言うように静かに鳴き声を上げながらシンジの後に付いて来る。

シンジは隣に来たデデンネと室外を窺い、機を見て扉を開き、研究者が働く広い空間に出た。

後は外に出るだけ。すぐそこにある階段を降りようとシンジはまた研究者たちの視線に注意し、階段まで移動する。

シンジが一段目を踏み出したその時だった。

職員「なんだ、君は?」

彼は研究者たちを気にするあまり、前方の注意を怠っていたのだ。

階下からやって来る職員たちに気付かず、その姿を晒してしまった。
 ▼ 301 コラッタ@ひかるおまもり 15/11/12 20:09:18 ID:hHRp8MyQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「くっ…!」

姿は幼少期のそれであったが、顔は殆ど変わらない。

メカについて、若返りについて知られているため、誤魔化すことなどできない。

そう判断したシンジは踵を返し、三階へ全力で走った。

職員「あいつはまさか…。待て!」

気付き、追いかける職員たち。

ヒガナ曰く、ツワブキ社長の計画の全てを知って従っている職員は少ないとのことだったが、今鉢合わせた者たちはその少ない職員だったらしい。

短い足で走るシンジ。階段に差し掛かる頃には、職員たちはすぐ後ろまで迫っていた。

シンジ「はぁ…はぁ…」

漸く三階に至ったが、逃げ切るにはその肺は足は小さ過ぎた。

シンジ「!」

追い付かれ、腕を掴まれるシンジ。
しかし掴まれたシンジを助けんと、デデンネが電撃を放った。

職員「ぐはっ! …このォ!」

職員は懐に手を入れ、ボールを取り出して投擲した。

繰り出されたのはオムスターであった。
 ▼ 302 ズバット@マゴのみ 15/11/12 20:37:03 ID:hHRp8MyQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
職員のひとりがオムスターを繰り出したのを合図に、後ろの職員たちも次々にポケモンを繰り出す。

ユレイドル、ガチゴラス、アーケン、アバゴーラ、カブト、トリデプス、…。

狭い廊下に続々と登場する化石ポケモンにシンジは怯み、思わず足を止めた。

繰り出された一匹、ユレイドルがその触手を勢いよく伸ばし、立ち止まるシンジを捕まえようとする。

触手が届く寸前でデデンネが電撃によって、それを阻んだ。

阻んだ後でデデンネはシンジに向かって叱責するように鳴く。

シンジ「…すまん。だがどうすれば…」

監禁されていた部屋の窓は割れているが、手持ちのドンカラスは昨日の戦いで疲弊しており、そのまま回復もしていないため自分を連れて飛べるとは思えず、飛行による脱出は無理そうだった。

同じ理由で屋上へ逃げることも悪手である。

シンジ(ここで戦うか。…いや)

まだ相手側の主力が姿を表していない。この廊下で挟み撃ちに遭うことは避けたかった。

今こちらの手持ちを全員出してしまえば、反対側からの不意打ちに対して不用意であり、中途半端に出せば、数の暴力を前にして手持ちの体力を無駄に削ってしまう。

目の前のポケモンたちを即座に全滅させて一階まで逃げるか、ツワブキたちの主力たるメガシンカポケモンも含めたこの社内の敵全てを倒して屈服させるか。

今のシンジにはこの二つの選択肢しかなかった。
 ▼ 303 カバルドン@メカニカルメール 15/11/12 21:03:24 ID:hHRp8MyQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
職員「オムスター、げんしのちから!」

思案するシンジの目の前で、デデンネが吹っ飛ぶ。
デデンネはすぐに元の位置に戻り、反撃に出た。

電気を体に溜め、球状にして頭上に放出する。
その電気の塊から零れる電撃は、相手全てを対象に降り注いだ。

シンジ「パラボラチャージか…!」

これはメカに強化された際に習得した技であった。
その性質ゆえ、攻撃と回復を同時に行う。

職員「相手は一匹だ! さっさと倒せ! アイアンヘッド!」

トリデプスの強烈な頭突きに再度吹っ飛ぶデデンネ。
しかしまた元の位置に戻り、これまた同じように反撃した。

シンジ「これは…!」

シンジはこれに活路を見出だした。

どれだけ攻撃されても定位置に戻り、回復に転じるデデンネ。その様子はまさに肉壁。

だが、ただ壁として在るのみではない。定期的に相手の体力も削っていく。

狭い廊下ゆえに誕生したこの状況。その状況は、シンジの期待に応えるようにアーケンとカブトを瀕死足らしめた。
 ▼ 304 ヨーテリー@ミクルのみ 15/11/13 17:21:06 ID:Iz9rICsQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
デデンネが時間を稼いでいる内にと、シンジは考えを巡らせる。

加勢すれば相手を全滅させられるだろうか。どこかに逃げ場はないだろうか。ツワブキはいつ現れるのだろうか。

何度も思考を繰り返すが、よい案は浮かばない。

シンジは思案の最中に、揺るぎない障壁として敵の攻撃を一身に受けるデデンネを見やり、次いで相手側に視線を移した。

化石ポケモンが放つ岩技と、それに伴い上がる砂塵に霞む向こう側。

シンジ「!」

シンジは、そこに見付けた。

探していた敵の主力、そのひとり。

シンジ「ツワブキ…!」

砂塵と電撃の混ざる戦場を挟んで両者は互いを視認し、一方はボールを戦場に落とした。
 ▼ 305 フォレトス@ナナシのみ 15/11/13 17:44:46 ID:Iz9rICsQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
新たに戦いの場に加わったのはメタングであった。
繰り出したのはツワブキである。

シンジ「…ボスゴドラじゃないのか」

ツワブキ「この狭い廊下では使えんよ」

舞い上がる砂煙越しに二人は言葉を放る。

シンジ「メガプテラのトレーナーはどうした」

ツワブキ「あいつは流星の民の女たちを始末しに行った。別の部下と共にな」

デデンネはこの「女たち」という部分に違和感を覚え、自身の主人となる予定の少女の危機を察し、激昂した。

そして更なる反撃に出る。
 ▼ 306 ウデッポウ@クチートナイト 15/11/14 16:20:30 ID:PZWYIsb2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「メタング、メタルクロー!」

メタングはこれに応じ、鋼鉄の爪でデデンネを切りつける。

デデンネは飛び上がってこれを躱し、メタングに電気を帯びた頬を擦り付けた。

シンジ「ほっぺすりすりか!」

これを受けて麻痺したメタングに、デデンネは有らん限りの電撃を追撃と放つ。

ツワブキ「お前たちも加勢しろ!」

ツワブキは部下に叫び、それに応えて部下も手持ちに指示を出す。

「いわなだれ!」「ねっとう!」「ギガドレイン!」「げんしのちから!」

放たれる岩塊や水流、その他諸の攻撃を受けて吹っ飛ぶデデンネは、また定位置に戻り反撃する。

何度目かのパラボラチャージで相手の幾匹かは倒れ、残ったのはツワブキのメタング、部下たちのトリデプス、ユレイドル、アーマルド、ガチゴラスの五匹となった。

シンジ(デデンネ一匹でここまでとは。一時的とはいえ凄い強化だな。ここまで数を減らせれば…)

シンジは乱戦に出すのを渋っていた手持ちを繰り出した。

シンジ「ゆけ! エレキブル、リングマ!」

選ばれたのは、狭い廊下でも十分な力を発揮できるこの二匹であった。
 ▼ 307 エムリット@ラグラージナイト 15/11/14 16:52:13 ID:PZWYIsb2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「エレキブル、かわらわり! リングマ、アームハンマー! デデンネ、じゃれつく!」

三匹は指示を受け、それぞれ相手を選び躍りかかる。

エレキブルはトリデプスの左側に回って手刀を落とし、リングマはユレイドルの顔面を重たい拳で殴打した。

デデンネはガチゴラスに駆け寄り、その爪を牙を躱しつつ相手の巨体を這いつつ、ぽこぽこと音を立てながら攻め立てる。

攻撃の対象となった三匹は堪らず倒れ、残った二匹は脅威に怯んだ。

ツワブキ「くっ…! メタング、サイコキネシス!」
部下「アーマルド、アクアテール!」

メタングはサイコキネシスでエレキブルたちの動きを止め、アーマルドは彼らに尾を叩き付ける。
エレキブルとリングマはその場でダメージを受け、デデンネは壁まで吹き飛ばされた。

吹き飛ばされたことでサイコキネシスから解放されたデデンネにシンジはすぐさま指示を出す。

シンジ「パラボラチャージ!」

壁際に在るままでデデンネは電気の塊を打ち出し、メタングとトリデプスに電撃を浴びせた。

メタングが攻撃を喰らったことでエレキブルとリングマはサイコキネシスから解き放たれ、それを確認したシンジは間髪入れず二匹に指示を出す。

シンジ「かみなりパンチ! はかいこうせん!」

エレキブルは電気を纏った拳をメタングに降り下ろして床に叩き付け、リングマは眩い光線をアーマルドに発射した。

アーマルドは壁まで吹っ飛ばされ、メタングは半ば床に埋まり、両者とも瀕死となった。
 ▼ 308 キングラー@びっくりこやし 15/11/14 17:00:41 ID:PZWYIsb2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>307
誤字:シンジ「─デデンネ、じゃれつく!」
訂正:シンジ「─デデンネ、じゃれちゅく」
設定忘れてた
 ▼ 309 ボルトロス@パワーリスト 15/11/14 17:08:33 ID:PZWYIsb2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「どうした? これでおわりじゃないだろう?」

シンジは相手の懐に隠された手持ち、その一匹を意識して言った。

ツワブキ「言っただろう? ここではボスゴドラは使えないと」

じゃあまけをみとめるのかと問うシンジにツワブキはこう返す。

ツワブキ「続きは屋上で。そこで私が負ければ潔く負けを認め、計画も中断しよう」

シンジ「…ほんとうだな?」

これを肯定したツワブキは部下を連れて先んじて屋上へと向かい、シンジはこれに続いた。
 ▼ 310 バルジーナ@ザロクのみ 15/11/14 20:59:57 ID:jUqciW5M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジが屋上へと移動している頃、ホウエンのとある水道、その上空で、二人の少女が飛翔していた。

ヒガナ「あ、あそこが目的地だよ、ユリーカ!」

一方の少女、ボーマンダの背に在る方は、前方にそびえる巨大な建造物を指差して言う。

ユリーカ「うわぁ、おっきいね〜! 空を支えてるみたい!」

もう一方、チルタリスに乗るユリーカの言葉に、ヒガナは感心した。

ヒガナ「お、いい感想だね。あれは空の柱って言うんだよ。空を支える柱みたいだよね。私たちのご先祖様が建造なさった物なんだ」

ユリーカ「そうなの!? 造るの大変そうだなぁ…」

ユリーカの年相応の感想を聞いてヒガナは笑った。
笑った後で背後の気配に気付き、ヒガナはボーマンダごと後ろを振り返る。

ヒガナ「…誰かな?」

続いて振り返ったユリーカは、その者たちの姿を見て怯えた。

ユリーカ「あの人…!」

その目が捉えていたのは、アーケオスの足に掴まって飛ぶ、プテラの背に乗って飛ぶ、黒いスーツに身を包む二人の男であった。
 ▼ 311 ペンドラー@こだいのぎんか 15/11/14 21:32:25 ID:jUqciW5M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
怯えた様子のユリーカを見たヒガナは、そうでなくても敵と悟り、それでも呑気な声を掛ける。

ヒガナ「こんにちはー、おふたりさん。空のお散歩ですか? いい天気ですものね〜」

ヒガナの明るい言葉とは対称的な暗い瞳で睨む男たち。
無反応は失礼だなと言った後で、ヒガナは確認する。

ヒガナ「デボンの人たちだよね。どうせ私らを連れ戻そうとかそういうことでしょ。ほら、さっさとかかってきなよ」

言うと、彼女の下のボーマンダが威嚇するように吠えた。
それを合図に男たちは身構え、ボールを放る。

繰り出されたのは彼らの翼となっているポケモンと同種、プテラとアーケオスであった。

ヒガナ「…シガナ。一旦ユリーカのとこ行ってて」

ヒガナはシガナをチルタリスの上に移し、ボールを放った。

ヒガナ「ゆけっ、ガチゴラス!」
 ▼ 312 マタドガス@あおぞらプレート 15/11/15 13:33:54 ID:1SflMgQA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
宙に放り出された巨体にヒガナは命じる。

ヒガナ「ガチゴラス、ドラゴンクロー!」

デボンの社員、アーケオスのトレーナーは、飛行手段を持たないガチゴラスの攻撃を一回きりと判断し、とりあえず回避を指示する。

社員A「躱せ、アーケオス! …トレーナーが馬鹿で残念だったな、ガチゴラス! 落ちろ!」

アーケオスはガチゴラスの爪を軽く躱し、落ち行くガチゴラスを見送ろうと振り返る。
振り返った後で見えたのは宙に立つガチゴラス、その光る爪であった。

社員P「なっ…」
社員A「空に…立って…!」

まさかその巨体が空に留まるとは思わず、それ故油断したアーケオスは隙だらけの身に斬撃を喰らい、一撃で崩れた。
そのアーケオスもまた、崩れてなお宙に留まっていた。

ユリーカ「え? なんで?」

ヒガナ「流雲線だよ。ドラゴンポケモンが飛んだ後に残る飛行機雲のことで、普通人の肉眼では見えないんだけどね。その流雲線が交差したところにはポケモンが立つことができるってわけ」

ヒガナはユリーカにこう説明し、続けてデボンの二人に言う。

ヒガナ「そんな実力で私を止めに来たの? 冗談にしても面白くないね! もうちょっと楽しませてよ!」
 ▼ 313 ホルード@たんちき 15/11/15 13:56:31 ID:1SflMgQA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
社員P「プテラ、ドラゴンクロー!」
ヒガナ「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

プテラは足を降り下ろし、ボーマンダはこれを前足の爪で防ぐ。

ボーマンダは防御の後で身を横に回転させて尾を振るい、プテラは大きく弾き飛ばされた。

社員A「出てこい、エアームド! はがねのつばさ!」

アーケオスを倒された方の社員はエアームドを繰り出し、ガチゴラスを攻撃するようけしかける。

ガチゴラスは、迫るエアームドの翼を巨大な顎で受け止めて振り回し、相手の方へと投げ飛ばした。

社員A「くそっ…! もう一度だ! いけ!」

再び迫るエアームド。それに応じたのはまたもガチゴラス、というわけではなかった。

ヒガナ「ボーマンダ、だいもんじ!」

エアームドはガチゴラスの目の前で焼かれ、力尽きた。

ヒガナ「ガチゴラス、ストーンエッジ!」

相手を失ったガチゴラスは標的を変え、尖った岩塊をプテラに飛ばす。

その岩塊を受けたプテラは耐えられず、瀕死となりボールに戻された。
 ▼ 314 ヤドラン@ねっこのカセキ 15/11/15 14:22:17 ID:1SflMgQA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プテラを戻した社員は次にメタングを繰り出した。

ヒガナ「主力は後に取っとくタイプなのかな? あんたが乗ってるその子、メガシンカするよね」

男を乗せるプテラ、その首の装具に気付いていたヒガナはこう言い、しかし言われた男は無言で返した。

変わりに、とは言っても代弁するつもりではなかったが、男の隣でアーケオスにぶら下がるもう一方の男が答えた。

社員A「そうさ! こいつのメガプテラは強いぜ? メガシンカしちまえばお前らなんてイチコロだな! はっはっ!」

さすがメガシンカだな! と喚く男に、

ヒガナ「そんな認識だから勝てないんだよ」

ヒガナはただ一言だけ放った。

社員A「んだとてめェ! …ネンドール!」

煽られて激昂した男は、頭上のアーケオスを除けば最後のポケモンとなるネンドールを繰り出した。

社員A「はかいこうせん!」

ネンドールは両腕を揃えて前に構え、エネルギーを凝縮し、前方に放つ。

彼が狙ったのはボーマンダ。否、ボーマンダに乗るトレーナー、ヒガナ自身であった。
 ▼ 315 スリーパー@のろいのおふだ 15/11/15 14:57:31 ID:1SflMgQA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナはボーマンダに乗ったまま上半身を思いっきり反らし、目の前を過ぎる光線を見送った。

ヒガナ「か弱い少女にこういうことするんだー。ひどーい」

傍らの少女を心配させまいとおどけるヒガナ。次いで言う。

ヒガナ「…そっちがやったってことは、こっちもやっていいってことだよね」

一瞬、ヒガナから常の陽気さが消え、それを感じた男二人に寒気が走る。

社員A「う…。ね、ネンドール! サイコキネシス!」

焦って指示を出した男。だが、彼のネンドールは指示通りに動けなかった。

社員P「反動だろ! 無闇にはかいこうせんなんて撃つからだ!」

社員A「くそ!」

隙を見せたアーケオスのトレーナー。彼を嘲笑うようにゆっくりとボーマンダは進む。

社員P「メタング、コメットパンチ!」

進行を妨げようとしたこの攻撃も、身をくるりと回して往なした。

やがてボーマンダは止まり、ヒガナは眼前の男に言う。

ヒガナ「さよなら」
 ▼ 316 ドーブル@ラムのみ 15/11/15 14:58:22 ID:Ttoh1olk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
妙に寿命の長いスレ
 ▼ 317 マーイーカ@スピードパウダー 15/11/15 15:17:41 ID:1SflMgQA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アーケオスに掴まっていた男はゆっくりと落ちていった。

だが彼に外傷はない。言葉だけで恐怖に気絶した彼はその手を離し、こうして落ちているというわけである。

アーケオスとネンドールは主人を追って降下し、海面すれすれで受け止め、事なきを得た。

ヒガナ「一人戦闘から離脱しちゃったね〜。残念」

残されたプテラの上の男は、落ちていった男の無事を一応確認した後で懐からボールを取り出し、新たなポケモンを繰り出す。

社員P「いけ、お前たち!」

放たれたポケモンはジバコイル、ソルロック、ルナトーンの三匹であった。

そして男はプテラからメタングに乗り換えて言う。

社員P「プテラ、メガシンカ!」
 ▼ 318 バケッチャ@いかずちプレート 15/11/16 19:50:13 ID:mAZX./Vk [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メガストーンの光に包まれたプテラは、その光に抱かれて変わり、果てに光を払ってその姿を再び現す。

こうしてメガプテラと相成った。

社員P「ジバコイル、ラスターカノン! ソルロック、フラッシュ! ルナトーン、れいとうビーム!」

ラスターカノンはガチゴラスを、れいとうビームはボーマンダを襲い、フラッシュはその場の全てを眩さに内包する。

ヒガナ「くっ…! チルタリス、コットンガード!」

男の狙いを察したヒガナは、チルタリスに防御を命じた。

フラッシュが切れ、ヒガナはそれを確認する。

その目には、チルタリスの綿雲のような翼に爪を突き立てるプテラが映っていた。

ヒガナ「手持ちを全員出して総力戦、…かと思ったら人質狙いかぁ。相変わらず汚い」

ヒガナは自身を乗せるボーマンダが冷気を受けてなお耐えきったこと、ガチゴラスが未だ宙に屹立していることを視認し、叫んだ。

ヒガナ「ボーマンダ、メガシンカぁ!」
 ▼ 319 デンリュウ@じゃくてんほけん 15/11/16 20:22:08 ID:mAZX./Vk [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナの叫びと共に、ヒガナの脚の装具とボーマンダの脚の装具から輝きが溢れ出す。

両の輝きは互いを捕まえ繋がり、さらに光量を増した。

この光はボーマンダを包み、その体表面を蒼に変え、変化をもたらす。

内包される身体は空気抵抗を減らす流線型に近付き、腹部にあった模様は浮かび上がって高い硬度を持つ盾を成した。

両頬の突起はより大きなものへと変わり、両翼は「両」の字が示す隔たりを無くした一繋ぎの三日月状の大翼となる。

ボーマンダは変化の果てに体表面を覆う蒼と、変化そのものを包み霞ます輝きを払った。

そして、主人によって出し惜しまれていた姿と強さを誇るように眼下に示す。

こうしてメガボーマンダは成った。
 ▼ 320 メガヤミラミ@ちいさなキノコ 15/11/16 20:45:41 ID:mAZX./Vk [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
社員P「くそっ! プテラ、ストーンエッジ!」

ヒガナ「チルタリス、コットンガード! ガチゴラス、ストーンエッジ! ボーマンダ、ハイパーボイス!」

プテラがボーマンダに飛ばした岩塊はガチゴラスの放った別の岩塊と衝突して互いに砕け、ボーマンダは相手全員に向けて空気を震わす大音量の声を浴びせた。

ユリーカ「さっきから目の前が真っ白になって何にも見えない〜!」

チルタリスはユリーカごと自身を綿に包む。防壁というには柔らか過ぎるそれは先と今の発動で二重となり、ユリーカを防御すると共に、彼女の視界を白で埋めていた。

社員P「れいとうビーム! かえんほうしゃ! 10まんボルト!」

ハイパーボイスを受けて大きく体力を削られたルナトーンたちは、それでも指示を受けて技を繰り出す。

ヒガナ「ゆけ、ヌメルゴン! だくりゅう!」

場の三匹、実質的には二匹では無駄に時間がかかると判断したヒガナは四匹目を立たせ、三者の攻撃を防がせた。

ヒガナ「もう一回だくりゅう! ハイパーボイス! いわなだれ!」
 ▼ 321 アバゴーラ@シルクのスカーフ 15/11/16 21:03:40 ID:mAZX./Vk [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ側の総攻撃をまともに喰らったルナトーン、ソルロック、ジバコイルは倒れ、海に落ちる前にボールに戻された。

ヒガナ「戻れ、ヌメルゴン、ガチゴラス。おつかれさま」

相手の飛行手段であるメタングを除けば残るのはメガプテラ一匹であり、メガボーマンダで事足りると判断したヒガナは残りを回収した。回収に次いで言う。

ヒガナ「もう諦めたら? こっちは残り五匹、そっちは二匹。お仲間さんは機能停止。人質作戦も失敗。勝算があるとは思えないけど?」

社員P「…俺の一存で諦めることは許されないんだよ! プテラ、ドラゴンクロー!」

プテラは降下からの滑空で加速し、その爪でボーマンダを裂かんとする。

ボーマンダはそれを相応の負傷の末に受け止め、両前足でプテラを押さえた。

ヒガナ「悲しい人だね。会社なんてやめてもっと自由に生きたらいいのに。お金を稼ぐ手段も、家族が豊かに暮らす方法も他にあるはずでしょ?」

男は何も言わなかった。プテラへの指示も出さず、メタングの上でただ俯いている。それが答えであった。

ヒガナ「…ドラゴンクロー」

勝負は決した。
 ▼ 322 ゴウカザル@ながながこやし 15/11/18 21:22:51 ID:1PeMIpfw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メガプテラを下したヒガナたちは、空の柱へと飛ぶ。

デボンの二人と交戦した場からおよそ二分の飛行の果てに、その入り口へと降り立った。

ユリーカ「うわぁぁぁ…! 近くで見るともっとおっきー!」

ヒガナ「でしょ! こんなのを建てちゃうなんて凄いよね」

二人は話しながら中に入った。崩れかけていたり崩れていたりする平らな床を踏み、古さと脆さを見せながらも確と在る階段を登り、また平らな床を踏んで歩みを進める。

ユリーカ「あれ? 壁になんかかいてる…」

ユリーカは壁面を、そこにある巨大な壁画を指差して言った。

ヒガナ「あれも御先祖が遺したものだよ。竜神様に関わるものだね」

へぇ〜、と言いつつユリーカは壁画をじっくりと眺める。彼女が目線を壁画の下部に移していた時、ヒガナの声が上から降ってきた。

ヒガナ「ほら見て! 屋上だよ!」
 ▼ 323 アリアドス@レンブのみ 15/11/18 21:57:42 ID:1PeMIpfw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
空の柱、その頂きに出た二人は、外の眩しさに目を細める。

ユリーカ「眩しい! …そういえば、ここで何をするの?」

ヒガナの目的を知らないユリーカはそれを問う。

ヒガナ「竜神様を、レックウザをここに降臨させるの」

ユリーカ「レックウザ? 伝説のポケモンの!?」

ヒガナ「そうだよ。…さて」

ヒガナは懐から大量の何かを取り出し、ばらばらと落として山を成した。

ユリーカ「? それってキーストーン?」

ヒガナはそうだよ、と返し、続ける。

ヒガナ「ちょっとの間この子をお願いね」

ヒガナはシガナをユリーカに抱かせ、くるりと身を返し、前を向いた。そして云う。

ヒガナ「数多の人の御霊を込めし宝玉に――わが御霊をも込め申す」

ヒガナの脚の装具、そのキーストーンが、眩い光を放ち始める。次いで山と積まれたキーストーンも輝き出した。

ヒガナ「……グッ…うっ…うぅ…。なん…じ、我が願いを何卒叶えたまえ…。…叶えろっ! レックウザああああ!」

叫びとともに一段と輝きを増したキーストーン。その眩さは天を衝き、高低の雲を多色に染める。

届く光に応えるように、天空で咆哮が上がった。
 ▼ 324 シュシュプ@メタルコート 15/11/18 22:17:31 ID:1PeMIpfw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どこまでも広がる空に、咆哮はどこまでも広がり長々と響く。

その咆哮を聞いて、ヒガナは上を見上げた。そして見付ける。

ヒガナ「来た!」

ユリーカも真上を見上げて見付けた。昼を示して輝く太陽とは別の萌木色の光を。

その萌木色は徐々に光度を増し、より大きなものとなりつつ、空の柱の頂きへと迫る。

二人の少女があまりの明るさに目を閉じ、再び目を開けたその時、それは居た。

ヒガナ「竜神様…!」
ユリーカ「これが伝説のポケモン、レックウザ…!」

祭壇のような場に在り萌木色と威圧感を撒くポケモン、古代に伝説たる二匹を鎮めた伝説。
ここに、レックウザが降臨した。
 ▼ 325 ハーデリア@デボンボンベ 15/11/21 00:37:00 ID:r9ph7pOA NGネーム登録 NGID登録 報告
ううっ……シンジのショタボイス聞かせろぉ!
 ▼ 326 ルチャブル@しんかいのキバ 15/11/24 22:01:02 ID:MdX0pi92 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
空の柱から萌木色が飛翔する少し前。
シンジはデボン社の屋上に連れられ、ツワブキと対峙していた。

ツワブキ「対戦のルールは自身のポケモンすべてを使用するシングルバトルだ。お前が勝てば我が計画は破棄、私が勝てばお前たちはこの件から手を退く。…それでいいな?」

シンジ「ああ。…おれのてもちのかいふくはどうするんだ? このままじゃフェアじゃないだろう?」

ツワブキはこれに嘲笑で返す。

ツワブキ「全力で潰さんとする相手の回復を許す愚か者がどうしていると思うのか。頭まで見た目同様の幼稚さに返ったか?」

ツワブキの言葉に賛同するように部下たちも笑ったが、シンジは大して意に介さず、挑発で返す。

シンジ「けっかはわかってるから、いまのうちからまけたいいわけをそいつらにかんがえさせてろよ。ようちなあいてにもおとるそのあたまではむりだろうけど」

ツワブキ「ガキが! さっさと始めるぞ! 行けっ、メタング!」

シンジ(どっちがガキだ…。しかもちゃっかり自分の手持ちは回復させやがって)

シンジは心の内で毒吐き、繰り出されたメタングに対して自身の一匹を選んで繰り出す。

シンジ「ゆけ、マニューラ!」
 ▼ 327 ゲンシグラードン@イアのみ 15/11/24 22:26:18 ID:MdX0pi92 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジの一匹目は、先の戦いの傷を残したマニューラであった。

ツワブキ「メタング、バレットパンチ!」
シンジ「マニューラ、つじぎり!」

メタングの右拳がまっすぐ前方に突き出された。
マニューラは身を屈めてこれを躱し、相手の隙に斬撃をねじ込む。

効果抜群の一撃に怯んだメタングは新たな隙を見せ、マニューラは追撃と爪を突き立てた。

疲弊と傷にぼろぼろのマニューラは、見る者にそれらを感じさせない早さと技の切れを以てメタングを攻め立てる。

ツワブキ「瀕死寸前のマニューラごときに何手こずっている! メタルクロー!」

メタングは鋭い爪を降り下ろした。すんでのところで身を反らしたマニューラの腹にこの爪が擦る。

シンジ「くっ! ふぶき!」

マニューラは腹を片手で抑えたまま全身から冷気を放出、前方のメタングを凍結させた。

メタングはそのまま力尽き、地に落ちた。
 ▼ 328 ポポッコ@おおきなキノコ 15/11/24 22:41:14 ID:MdX0pi92 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「くそっ! 行け、アーマルド!」

次いで場に出されたポケモンはアーマルドであった。

ツワブキ「シザークロス!」
シンジ「こおりのつぶて!」

アーマルドが両腕の爪を光らせて攻撃を繰り出そうとしたところを、マニューラは瞬時に生成した氷の礫を素早く発射して失敗に終わらせる。

シンジ「続けてふぶき!」

マニューラは先と同じように冷気を相手に放った。しかし先とは違い、相手の足元を凍らせるのみに留める。

動きを止められたアーマルド。その間にと、シンジはマニューラをボールへと戻した。

シンジ「ゆけ、ドダイトス!」

そして新たに繰り出したドダイトスに指示を出す。

シンジ「ストーンエッジ!」
 ▼ 329 フリージオ@きゅうこん 15/11/24 22:58:04 ID:8QaxUrNw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
久しぶりに見れた
しえん!
 ▼ 330 フワンテ@こおりのジュエル 15/11/25 19:18:19 ID:mrxlZ58U [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
尖った岩に下から突き上げられ、宙に飛ばされたアーマルド。

効果抜群ではあったものの、外殻の硬さに救われ吹き飛ぶだけで済んだ。

ツワブキ「シザークロス!」

アーマルドは着地と同時に地を蹴り、ドダイトスに迫る。
そして再び両腕に光を纏い、爪を降り下ろした。

両の爪はドダイトスの甲羅を打つ。
アーマルドのそれにも劣らない硬度を持つ甲羅はだめーじ
 ▼ 331 チゴラス@どくけし 15/11/25 19:29:42 ID:mrxlZ58U [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>330
途中送信ごめんなさい


両の爪はドダイトスの甲羅を打つ。
アーマルドのそれにも劣らない硬度を持つ甲羅は、ダメージを小さな傷二筋に抑えた。

シンジ「ウッドハンマー!」

ドダイトスは受け止めたままの体勢で背の大木をアーマルドに叩き付ける。

アーマルドを後方に突き飛ばし、間髪入れず次の攻撃を繰り出した。

シンジ「じしん!」

巨体故の重量、そこから放たれた揺れに耐えるアーマルド。

シンジ(意外と硬いな…。ここは攻め方を変えよう)

物理技で攻めることに焦れたシンジは別の指示を出す。ここまで攻撃のタイミングを逃していたツワブキも同時に指示を出した。

ツワブキ「ロックブラスト!」
シンジ「ギガドレイン!」
 ▼ 332 ギャロップ@マグマスーツ 15/11/25 19:47:33 ID:mrxlZ58U [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アーマルドの放つ無数の岩の弾丸を一身に(主に甲羅で)受けながら、ドダイトスは相手から体力を養分として吸い取る。

最初は少しずつ、数秒の内にごっそりと体力を奪っていき、緩急に対応しきれなかったアーマルドは岩の発射の勢いを知らず徐々に弱め、終には発射を止めて地に伏すように倒れた。

ツワブキ「…行け! プテラ!」

続いて場に出たのはプテラであった。

ツワブキ「そらをとぶ!」

出て、すぐに空へと己の身を移した。
その隙にと、シンジはまたもポケモンを交代する。

シンジ(今回は様子見に手持ちを減らすわけにはいかないからな。回復できず、敵陣のただ中にある状況…。普通の試合とは違うこの状況でどれだけ戦えるだろうか…)

思いつつ、シンジは傍らのデデンネを見た。
本来ならドンカラスをぶつけて空中戦を展開したいところであったが、生憎ドンカラスは瀕死寸前である。

先までの戦いっぷりを見た限りでは、この見た目には小さいと見えるデデンネにも自軍の穴埋めをするのに十分な力を持っているはず。そうシンジは思っていた。

そして言う。

シンジ「ゆけ、デデンネ!」
 ▼ 333 メガボーマンダ@こだわりメガネ 15/11/25 20:07:57 ID:mrxlZ58U [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デデンネがシンジの傍らから戦いの場に身を移してすぐ、プテラが急降下してデデンネを襲った。

しかし電気タイプであるデデンネには効果は今一つである。

シンジ「ほっぺすりすり!」

以前の経験から降下したプテラを逃すまいと、シンジは即座に攻撃を指示した。
デデンネは電気を帯びた頬をプテラに擦り付け、電撃を浴びせる。効果抜群の技を受けてプテラは怯み、ついでに技の追加効果で麻痺した。

ツワブキ「さっさと倒せ! じしん!」
シンジ「かわせ!」

プテラは地を揺らしたが、デデンネは飛び上がり躱す。
だが、翼の有らざる身なれば飛び続けることは叶わない。
そこでデデンネは、相手たるプテラからぶら下がる尾に掴まることで地から逃れた。

そのままぶら下がるデデンネは四肢の疲れからか移動、プテラの背に移る。

背の小粒な敵を振り落とそうとプテラは麻痺した身を可能な限り動かし回すが、デデンネはしっかりと掴まり、挙げ句に尾をプテラの首に巻き付けて落ちない。

苛立つツワブキを尻目にシンジは体勢の維持を任せ、重ねて電撃による攻撃も指示した。
 ▼ 334 メガサーナイト@こおりのジュエル 15/11/25 20:23:58 ID:mrxlZ58U [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やがてプテラは限界を迎え、デデンネは暴れ牛を乗りこなしたカウボーイよろしく得意気にその背から地に降りた。

プテラを仕舞ったツワブキにシンジは言う。

シンジ「いままけをみとめたら、これいじょうはじをかかずにすむぞ?」

ツワブキ「今更引き下がるとでも? それに、私は負けるつもりはない。…だが、お前のような子供にここまでやられるとは思わなかった。その実力に敬意を表して、良いものを見せてやろう」

ツワブキは部下に「良いもの」を持ってくるように命じた。四人の部下がこれに応じ、階段を下りて行く。

シンジ「いいもの?」

ツワブキ「子供にその良さが理解できるかは分からないがな。おかしの方がよかったかい?」

部下と共に嗤うツワブキ。またも無視するシンジ。

ツワブキ「…まあいい。部下たちがそれを用意するまでの間、戦いを続けようか」

そう言って、ツワブキはボールを放る。
ボールからはユレイドルが現れた。
 ▼ 335 ガラガラ@きょうせいギプス 15/11/26 16:26:43 ID:dfpucdzg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「ユレイドル、ギガドレイン!」
シンジ「デデンネ、パラボラチャージ!」

ユレイドルとデデンネは互いの体力を奪い合う。
大して体力のやり取りのないまま、両者は次の攻撃に出た。

ツワブキ「げんしのちから!」

先に攻撃を指示したのはツワブキ。それを受けたユレイドルは原始の力を溜め込み、前方に放出する。

シンジ「かわしてじゃれちゅく!」

相手の攻撃に合わせて指示を出したシンジ。これを受けてデデンネは飛び上がることで相手の攻撃を回避、次いでユレイドルにじゃれついた。

ぽこぽこという可愛らしい音を立てながらデデンネはユレイドルを襲う。ユレイドルの体表面を這いつつその身を叩くデデンネ。これを払い除けようとユレイドルは触手を対象に伸ばし、捕縛する。

ツワブキ「そのまま叩き付けろ!」

ユレイドルは上半身をしならせて振り下ろし、デデンネを地に叩き付けた。

叩き付けられてふらつくデデンネはやがて態勢を整える。その背からシンジの声がかかった。

シンジ「よくたえた。いったんもどれ!」

シンジは相性の不利と連戦の疲労を慮り、デデンネを一旦退かせることにしたのであった。
 ▼ 336 カラマネロ@ヒメリのみ 15/11/26 16:53:15 ID:dfpucdzg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジが次に繰り出したのはリングマであった。
ボールから飛び出してすぐ攻撃に移る。

シンジ「リングマ、アームハンマー!」

突如として放たれた重い拳を顔面に受け、ユレイドルは身を仰け反らせた。

体力の大きな減少を感じたツワブキはユレイドルに回復を命じる。

ツワブキ「回復に転じろ! ねをはる!」

ユレイドルは足元に根を張り、コンクリートの屋上から僅かずつ養分を吸収していく。
こうなれば長期戦は避けるべきとシンジは判断し、リングマに早期の対応を命じた。

命じられたリングマはユレイドルの背後に素早く回り、逞しい両腕で相手の首(茎?)を東部ごと絞め、がっちりと極める。

ツワブキ「何をする気だ…?」

不審がるツワブキ。その目の前でリングマは次の行為に移る。

身体を後ろに反らしてユレイドルを持ち上げようと力を籠めた。だが、根に加えて吸盤も持ち合わせる相手は簡単に持ち上がらない。

ツワブキ「馬鹿め! ふきとばすすら無効化するユレイドルを引き剥がすなど不可、能…!?」

その嘲笑と自信は、ユレイドルの足元のコンクリートごと、少しずつ砕けていった。
 ▼ 337 アメタマ@おおきなねっこ 15/11/26 17:12:31 ID:dfpucdzg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
砕けていくコンクリート、その隙間からはユレイドルの根が垣間見える。
リングマが身を反らしていくにつれてその根は引き伸ばされ、一本ずつぶちぶちと千切れていった。

唖然とするツワブキ。流石と見つめるシンジ。

両トレーナーに見守られながら、ユレイドルは持ち上がっていく。

果てに、ユレイドルの最後の根、その上側と下側が別れを告げた。

その張力を利用してリングマはユレイドルを後方に落とす。

いわゆるジャーマン・スープレックスであった。

技の後で、リングマは念のためと腕をさらに固めて締め上げる。
リングマが固めたままの腕の中には、瀕死のユレイドルが残っていた。
 ▼ 338 ペリッパー@チーゴのみ 15/11/26 19:32:44 ID:/nmOoFGI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>336
誤字です
東部→頭部
 ▼ 339 タマザラシ@デボンスコープ 15/11/29 14:01:55 ID:GM7ceXBY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキは奥歯を軋りながらユレイドルをボールに戻す。

彼が次のボールを懐から出そうとしていると、階段の方から部下の声が聞こえてきた。

シンジやツワブキの他の部下たちもそちらを見る。
階段付近では三人の部下が大小ふたつの機械を運んでいた。

大きい方は人の背丈ほどある、小さな車輪次の複雑そうな機械であった。上部には何かを入れる大きな口が開いており、下部にはこちら向きに同じく大きな口が位置している。

しかしシンジはそちらよりも小さい方の機械を注視していた。
小さい方は自身も目にしたことのある、小型の銃のような機械である。シトロン作のそれであったのだ。

ツワブキ「小さい方の説明はもう要らないだろう。君の仲間が作った、ポケモンを進化・強化させるメカだ。大きい方は我がデボン社が誇る技術、化石ポケモンの復元を果たす機械だ」

シンジ「それでなにを…?」

ツワブキはシンジに不敵な笑みを向けながら大きい方の機械に近付き、言う。

ツワブキ「この機械に化石をセットする。するとこちらの出口から化石ポケモンが本来の姿を取り戻して出てくる。死滅からの復活ゆえに最低限の力のみを取り戻して」

言いつつ、ツワブキはひとつの化石を部下から受け取り、機械に投入した。爪の化石であった。

ツワブキ「最低限の力、すなわち進化前であり低レベル。…だが」

程なくして下の口から現れたのはアノプスであった。
そのアノプスに部下は銃口を向ける。

ツワブキ「復活して間もない化石ポケモンも即戦力に成り得る! 即戦力にし得る技術がある!」
 ▼ 340 メガスピアー@さざなみのおこう 15/11/29 14:13:22 ID:GM7ceXBY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
叫ぶツワブキの傍らで、部下はその引き金を引いた。
アノプスは光に包まれ、アーマルドへと進化した。

シンジ「まさか!」

ツワブキ「そのまさかだ! 有らん限りの化石を使用、さらに進化させて貴様を迎え撃つ!」

シンジ「しようしていいのはじぶんのポケモンだけだろ! じぶんのちゅくったルールぐらいまもれよ!」

シンジの言葉にツワブキは笑みを強める。

ツワブキ「誰が手持ちしか使っては駄目だと言った? 私が所持していた化石、そこから甦ったポケモン。こいつらは私のポケモンだろう?」

ツワブキが言う間にも部下たちは二つの機械を使い、化石ポケモンの復活と進化、強化を繰り返す。

ツワブキ「お前こそルールは守るのだぞ? 負けたらこの件から手を引くというルールを!」

アーマルドやラムパルド、カブトプス、アーケオスなど、数えるにも多過ぎる軍勢が揃った。
まだ増えるが、それを十分と判断したツワブキは命じる。

ツワブキ「やれ! 太古から甦りしのポケモンたちよ!」
 ▼ 341 マグマッグ@ドラゴンジュエル 15/11/29 14:31:05 ID:GM7ceXBY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジは迫り来る化石ポケモンたちに、場に残っているリングマに加えてデデンネとドダイトスを新たに繰り出すことで応じた。

ツワブキ「おや? ルールはシングルだったはずだぞ?」

シンジ「おまえがこんなにだしたからだろ!」

ツワブキ「一匹一匹相手をさせるつもりだったのだがなぁ…。そっちがその気なら複数対複数に変えてやっても構わんがな」

言いつつ全員をけしかけるツワブキにシンジは「うそちゅきめ!」と毒づく。

ツワブキ「勘違いしたお前が悪いのだよ」

そう言ってツワブキは先程取り出しかけていたボールを放った。

ツワブキ「いけ、エアームド!」
 ▼ 342 ダブラン@ひきかえけん 15/11/29 15:06:08 ID:GM7ceXBY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジは迫る軍勢の数を減らすべく、大規模な攻撃手段を取る。

シンジ「ドダイトス、じしん!」

ドダイトスは全体重を以て屋上を揺らす。ほとんどが岩タイプを持つ化石ポケモンたちには大きなダメージを与えることとなった。

序でに、押し寄せる軍勢の混み具合と巨体を利用して全体を転ばし、歩みを止め、彼ら自身の体重による追加ダメージも与えた。

本来であれば巻き添えを喰らうはずのリングマとデデンネはドダイトスの背に乗ることでこれを回避。
同時にドダイトスの体重に己らの体重を加えることで地震の威力増加に一役買っていた。

態勢を崩し、尚且つ崩れた態勢を整えることができないでいた軍勢にデデンネがすかさず追撃を放つ。

地震の影響を受けない空中のポケモンたちを主な対象とした広範囲の電気技・パラボラチャージは、上空から降り注ぎ、エアームドを含む飛行ポケモンたちを一網打尽にした。

上下からの猛攻に、それでも怯まず、軍勢から抜けて迫る少数ながら血気盛んなポケモンたちは、デデンネに飛び掛かる。

その少数のポケモンたちの先頭に立って攻撃を繰り出そうとしたラムパルドは、遅れてドダイトスから飛び降りたリングマの殴打を受けて大きく吹っ飛んだ。

後続の幾体かが巻き添えになり、残ったさらに少数の敵兵たちは例外なくリングマに吹っ飛ばされた。
 ▼ 343 カゲボウズ@タウリン 15/11/29 15:27:07 ID:GM7ceXBY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドダイトスのじしん、デデンネのパラボラチャージ、リングマによる物理攻撃という流れを何度も繰り返し、力尽きたポケモンたちはその場に伏していったが、一向に数が減らない。

ボールに入っていたポケモンでも無いため倒れてなお戻されず、その場に居続ける化石ポケモンたちは、広範囲に及ぶ攻撃を体力の限界を越えて受け続けることになっていた。

表情に現れる疲弊と苦痛。シンジは彼らを慮り、戦法を変えることにした。

シンジ「ドダイトス、リーフストーム!」

ドダイトスは自身を中心として竜巻を発生させ、そこに鋭い木の葉を大量に乗せて前方に打ち出す。
木の葉からなる緑の竜巻は、瀕死のポケモンを避けて進み、進路に居た戦闘可能なポケモンを巻き込んで行った。

続いてドンカラスを繰り出し、デデンネを乗せて飛ばす。
デデンネは上空から電撃を丁寧に放ち、飛行ポケモンを次々と倒す。
体力の僅かなドンカラスも休み休みでゴッドバードを撃ち出して、相手を戦闘不能足らしめていった。

効率は悪いが、この方法であればポケモンを無闇に傷付けずに済む。
現段階において最良の策であった。

デデンネがエアームドを討ち、ツワブキが次のポケモンを繰り出すまでは。
 ▼ 344 トドグラー@ハートのウロコ 15/12/01 15:29:46 ID:e4Nu0MsM [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキは大量のポケモンが群れをなすその先頭にボールを放つ。

飛び出したポケモンは何発目ともなるドダイトスのリーフストームを受け止め、打ち消した。

シンジ「なにっ!?」

ツワブキの五体目となるそのポケモンはメタグロスであった。

メタグロスの登場はシンジにとっては不都合であった。
地震のように全体を同時に攻撃するのではなく、直線上を攻撃していく今の戦法は先程のように防御の高いメタグロスに防がれるからである。

防壁を得た化石ポケモンたちは、それが進むのに合わせて進行して来た。距離を詰められる前にシンジは新たな対策を考えなければならない。

シンジ(じしんは…ダメだ。戦闘不能のポケモンを苦しめることになる。メタグロスには誰かをぶつけて一対一にするべきだな。他の化石ポケモンたちは残りの手持ちでどうにかしよう)

シンジはとりあえずメタグロスを止めるためにエレキブルを繰り出した。出でてすぐにシンジは指示を出す。

シンジ「かみなりパンチ!」
 ▼ 345 ズルッグ@きよめのおふだ 15/12/01 15:53:17 ID:e4Nu0MsM [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキブルは電気を纏った拳をぶつけ、メタグロスはそれを鋼鉄の腕で受け止める。エレキブルはぶつかり合いに際して電流を撒き散らし、周囲の化石ポケモンを寄せ付けない。
同じ空間に在りながら、自身とメタグロスを他のポケモンと絶縁させたのである。

この間にシンジの他の手持ちたちは、周囲の敵を蹴散らしていった。

ドンカラスとそれに乗るデデンネは、プテラやアーケオスといった飛行タイプを斬撃や電撃で撃ち落とす。
ドダイトスとリングマは地上を走る敵を草の連撃で強引に薙ぎ払い、それでも立つ相手は直接の攻撃で鎮めた。

だが、化石ポケモンは際限なく増え続ける。現代に甦っては戦いに駆り出され、下されれば別の古代のポケモンが己を踏み越え、己と同じように下される。
わけのわからぬままの雑兵が如き扱いに、わけがわからない故の本能に任せた戦闘。この景色はまさに地獄であった。

その地獄から見る相手は幼き少年。この少年の年に似つかわしくない強さ。不自然を感じるその揺るぎない強さは、この時一端に揺らぎを見せていた。

すなわち異変。しかし、少年はその事に気付いていなかった。
 ▼ 346 カイロス@アップグレード 15/12/01 16:12:13 ID:e4Nu0MsM [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
陽光を真上に飾るホウエン上空。
その空に、カロスを出て数時間飛び続ける黒いヘリが在った。

その内部の一人が、否、一匹が素っ頓狂な声を上げる。

ニャース「もどったニャー!」

ハイテンションな彼に、周囲は(一名を除いて)驚きに口を呆けたように開けて応じた。

ムサシ「あんたどこに居たのよ!?」

ニャース「さっきまでペルシアンだったのニャ」

サトシ「ニャースもシトロンのメカを使ってたのか!?」

ニャース「本当は進化したくニャかったニャーが、サカキ様の願いとあらば…ニャー」

シトロン「確かに、あの戦法は完全に予想外でした…」

セレナ「ってことは、私たちのポケモンも元に戻ったのかな?」

セレナの一言に答えるように、サトシのモンスターボールのひとつがぽんっと音を立てて、内容していた彼の相棒を弾き出した。
そして定一に乗って鳴き声を上げる。

サトシ「ピカチュウ! お前も元に戻ったんだな!」

ピカチュウはこれに元気よく答えた。
皆も自身のポケモンを確認する。その全てが元の姿、強さに戻っていた。
遠く離れた一匹もまた、その仮初めの力を技を失っていた。
 ▼ 347 ホルード@ロゼルのみ 15/12/03 13:35:10 ID:9ao9XQbw [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デボン社の屋上で起きた異変。それは、デデンネの弱体化であった。

ヘリのポケモンたちと同様に、もとの力へと戻っていく。

一時的に獲得していたパラボラチャージなどの技は使用できなくなり、放たれる電撃は威力を弱めていった。

その電撃を耐えきり、何体ものプテラやアーケオスが襲いかかる。

異変に気付いたドンカラスはデデンネを庇うため、前方にゴッドバードを放った。相手が怯んだ隙に上昇、そこからは回避に重きを置いた立ち回りになっていた。

しかし長くは続かない。

回避先をどう選んでも敵が立ち塞がり、押し退けても次が代わる。
躱しても躱しても降りかかる岩の雪崩がドンカラスの翼をかする。

果てに、ドンカラスは岩の直撃を受けて撃ち落とされた。

宙に残されたデデンネにもアーケオスが迫り、頭突きを喰らわせる。

ドンカラスとデデンネは続け様に墜落。シンジはようやく事態に気付き、背筋に冷たいものを感じた。
 ▼ 348 アメタマ@キーのみ 15/12/03 13:49:14 ID:9ao9XQbw [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デデンネとドンカラスが食い止めていた飛行ポケモンたちがこちらへ迫るのを見て、シンジはマニューラを繰り出した。

マニューラは飛び上がり、プテラからアーケオス、また別のアーケオスやプテラにと飛び移りながら相手を切りつけ凍てつかせていく。

シンジ「よくやった、デデンネ、ドンカラス。ゆっくりやすめ」

シンジはドンカラスをボールに戻し、デデンネを傍らに寝かせた。

シンジ(マニューラの体力も僅か…。本格的にまずいな)

マニューラが相手をしているプテラたちとは別の飛行タイプの一団は空から溢れ、ドダイトスたちにも襲いかかっていた。

ドダイトスの技を邪魔し、結果として瀕死を免れた地上の化石ポケモンたちは集団でリングマを攻撃する。

メタグロスと戦うエレキブルを含め、シンジのポケモンたちはみな疲弊していった。
 ▼ 349 ヒトツキ@ヒメリのみ 15/12/03 14:05:51 ID:9ao9XQbw [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジが化石ポケモンたちの向こう側に目をやると、ツワブキと目があった。ツワブキは笑っていた。

シンジ(あいつがボスゴドラを出していない今、俺のボスゴドラもうかつに出せないな…)

どうにかして化石ポケモンたちを倒しきらなければ。そう思ったシンジは視線を相手側の機械、化石ポケモンを復活させるそれへと移した。

シンジ(あれを壊してしまえば…。相手が多くて大変そうだが、やってみる価値はあるかも知れない。だが)

シンジは己のポケモンたちを見た。
メタグロスと拳を交えるエレキブル、プテラたちを蹴散らしつつ前方の敵を一掃するドダイトス、傍らでドダイトスを守りつつ残った敵にとどめをさすリングマ、敵を足場にして強引に空中戦を展開するマニューラ。

シンジ(どいつが適任だろうか。…エレキブルはメタグロスを抑えているため外せない。ドダイトスとリングマはどちらかが欠ければたちまち一斉攻撃に身を曝すことになる。マニューラは空中のやつを止めているが…)

マニューラの方を見上げるシンジ。あの状況で多くを食い止め、少しずつ相手を減らしているのは流石と言える。
そのマニューラにシンジは声をかけた。

シンジ「おりてこい、マニューラ!」

こうして召喚したマニューラに、別の指示を出す。
これを受けたマニューラはすぐさま敵陣に突っ込んで行った。
 ▼ 350 ウソハチ@ハートのウロコ 15/12/03 14:24:16 ID:9ao9XQbw [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラが退いたことにより、空のポケモンたちは地上で戦うシンジのポケモンたちに狙いを定めた。

相変わらず電撃を放ち続けているエレキブルには近寄れなかったため、必然的に狙いはドダイトス、リングマ、マニューラの三体に分かれる。

ドダイトスとリングマはこれまで以上の圧力に疲労を加速させ、それでもこれまで通り敵を薙ぎ払い倒す。

その横を素早くすり抜けて行くマニューラ。
マニューラはプテラの猛攻をすべて躱し、目の前の相手をついでと切りつけながら進む。

相手が密集して立ち塞がろうものなら飛び越え、爪を牙をかざそうものなら切り捨て、飛び掛かろうとしたならば身を屈ませながら地を蹴ることで下をくぐり、その移動を止めることなく進めて行った。

そして彼は目標を視認する。化石を投入され、本来の姿に戻して排出する、この軍団の根源たる忌々しい機械を。

視認し、化石ポケモンの怒濤から飛び出した。
そして爪を翳し降り下ろす。
 ▼ 351 キモリ@パークボール 15/12/09 20:33:48 ID:waBa.kjQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラの爪が空を裂く鋭い音に、その爪が金属を打つ音が続く。

短く鳴る擦過音。しかし捉えるべき金属は元の形に傷一筋付けないままで、マニューラの目の前に在った。

マニューラと機械の間に現れた存在が、マニューラの斬撃をその身の鋼で受けていたのだった。

シンジは作戦の失敗に舌を打ち、繰り出されたツワブキの切り札たる一匹を見る。

その一匹は開戦以来二度目の登場となるボスゴドラであった。

ツワブキは、未だに宙にあるマニューラを見、次いでボスゴドラに命じる。

ツワブキ「アイアンテール!」

ボスゴドラは鋼鉄と化した尾を振り下ろし、対象に叩き付けた。
マニューラは屋上の床に思いきり叩き付けられて身を半ば埋め、瀕死となった。
 ▼ 352 ニョロトノ@あくのジュエル 15/12/09 20:53:04 ID:waBa.kjQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラが倒れ、またも無策なままでの防戦を強いられることとなったシンジ。

ボスゴドラを繰り出そうとも考えたが、この数を相手にして無駄に倒されることは避けたかったため出し惜しんでいた。

残る手持ちはドダイトス、リングマ、エレキブル、ボスゴドラである。

ボールの内にあるボスゴドラを除けば、総員が大きく体力を削られていた。
特にドダイトスとリングマは既に限界を越えており、倒されるのは時間の問題である。それは主人であるシンジはもちろん、その場に居合わせる経験の浅いデボン側の者ですら理解に易い疲弊の度合いであった。

シンジの見る前でドダイトスとリングマは、背の大樹を逞しい腕を振るい続ける。幾体の敵を退けた果てにドダイトスはその場に倒れるように伏し、リングマは毒を喰らって膝を付いた。

二匹の本当の限界を悟ったシンジは、それぞれに最後の指示を出す。

シンジ「ドダイトス、ハードプラント! リングマ、きりさく!」
 ▼ 353 ラフレシア@タラブのみ 15/12/09 21:20:47 ID:waBa.kjQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドダイトスの周囲から、幾本もの太い蔓が出現した。
その蔓はドダイトスの特性・しんりょくを受けて常以上の速度と威力を以て敵軍に走る。

蔓に呑み込まれたポケモンたちは余ることなく倒され、蔓の端に触れたポケモンたちは弾き飛ばされた先で倒れた。

リングマはアッパーカットを放つかのように腕を振り、斬撃を飛ばす。
斬撃はリングマの特性・こんじょうに助けられて切れと威力を増し、屋上の床ごと前方の相手を切り裂いた。

斬撃に触れたポケモンたちはすぐさま瀕死に。逃れたポケモンたちもまた割れた床故に逃げ場を失い、ドダイトスの蔓に止めを刺されることとなる。

前方の多くを薙ぎ払ったそれら一撃を放った後で、二匹は戦闘不能となった。

シンジは二匹に労いの言葉をかけて、ボールに戻す。
残る手持ち二匹という絶望的な状況。だが、シンジは諦めなかった。

負けるかもしれないが足掻く。できる限り最後まで足掻く。もしかしたら時間を稼ぐことによって戦況が変わることもあるかもしれない。

思い、シンジはエレキブルを除いて最後となるポケモンを繰り出す。気付くと、薙ぎ払ったはずの敵軍は再び元の数を取り戻して迫っていた。
それを再び薙ぎ払わんと、繰り出されたボスゴドラに指示を出す。

シンジ「ラスター…」

繰り出す。その予定だった。
その予定は、数秒前に期待した「もしかしたら」の到来によって阻まれた。
 ▼ 354 ケルディオ@メタルパウダー 15/12/09 21:46:00 ID:waBa.kjQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
到来したのは巨大な火球であった。
突如として上空から落とされたそれは、屋上に着弾した瞬間に五方に分かれ、大きく広がる。

だいもんじであった。

高濃度の火炎はデボンの化石ポケモンたちを焼き、床を大の文字に焦がし、エレキブルとメタグロスの間に割って入って両者の戦いを中断させた。

火炎の一端は化石ポケモンを復活させる機械も焼き、破壊する。
これによってこの戦場にはエレキブル、メタグロス、加えて二匹のボスゴドラのみが残った。

この場に居る全ての者が上空を仰ぐ。視線の先には萌木色の輝きをその身に宿す一匹の竜が在った。

ツワブキ「な、なんなんだ!?」

ツワブキは脅威を前に声を裏返しつつ叫んだ。
その叫びを聞いてか聞かずか、萌木色の竜はツワブキの方を向き、その身を戦場へと降ろしていった。
 ▼ 355 イーブイ@ブレイズカセット 15/12/12 23:17:57 ID:4oMoG3zA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジとツワブキたちの間に割って入るように降り立った竜・レックウザは、その背に二人の少女を乗せていた。

その片方、ゴニョニョを膝の上に乗せている方の少女・ヒガナが屋上に言葉を放る。

ヒガナ「ひっどい戦い方だね、デボンのみなさん。大昔に死したポケモンたちを大量に甦らせ、強引に進化させて戦いに駆り出し、数に任せて捨て駒同然に扱う」

言いつつ、ヒガナは焼け焦げて壊れた機械を
 ▼ 356 ケンホロウ@クリティカット 15/12/12 23:28:51 ID:4oMoG3zA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見やり、続けた。

ヒガナ「そうやってあなたたちは他者の迷惑を考えず自分の都合のいいように振る舞うんだろうね。…まあいいや。戦いを続けなよ、お二人さん」

ヒガナの言葉を受け、ツワブキはこう返す。

ツワブキ「今更何を! こいつの手持ち以外が使用されたのだからこの試合は無効だ!」

シンジ「たいせんのルールはじしんのポケモンすべてをしようするシングルバトル。おれがかてばおまえたちのけいかくははき、私が勝てばお前たちはこの件から手を退く。」
 ▼ 357 デリバード@こだいのせきぞう 15/12/12 23:41:11 ID:4oMoG3zA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>356
なんかミスばっかり。修正


シンジ「たいせんのルールはじしんのポケモンすべてをしようするシングルバトル。おれがかてばおまえたちのけいかくははき、おまえがかてばおれたちはこのけんからてをひく。…ていってたよな? このレックウザはおれのみかただから ここではおれのポケモンだ。そのかせきポケモンたちだっておまえのてもちじゃないだろう?」

ツワブキは奥歯を軋った。そしてレックウザを恨めしげに睨む。
ヒガナはツワブキの心境を察し、言う。

ヒガナ「でもまあ、二人とも丁度よく二匹ずつ残ってるから、ここから試合を再開したらいいんじゃないのー?」

シンジはこれに頷いた。このままレックウザの力に任せて断罪してもよかったが、潔く退いてもらうには戦って勝つことが適当と思ったからであった。

ツワブキも同じく頷いた。レックウザを相手にするより幾分かの勝算が得られると思ったからであろう。

こうしてシンジとツワブキは対戦を再開した。
 ▼ 358 ディグダ@はがねのジュエル 15/12/12 23:56:57 ID:4oMoG3zA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジの一匹目はエレキブルであった。
対するツワブキの一匹目はメタグロスである。

シンジ「エレキブル、かみなりパンチ!」
ツワブキ「メタグロス、コメットパンチ!」

両者の右拳が打ち合う。接触に際し飛び散る火花が、そこにかかる力の大きさを物語る。

エレキブルは右腕に力を込め、メタグロスの拳を弾き飛ばした。
打ち合いに競り勝ったエレキブルは、追撃にと拳を振るい蹴りを放つ。

メタグロスは後退りながらも耐え抜き、反撃にと超能力でエレキブルを吹っ飛ばした。

先程まで戦っていた両者。その体力はほとんど残っていなかった。
故にそろそろ頃合いだろうと、シンジは高い威力を誇る技を指示、相手の戦闘不能を狙う。

シンジ「かみなり!」

指示を受けたエレキブルは上空を指差した。
そして振り下ろし、指先をメタグロスに向ける。

上空で発生した雷はエレキブルの指に導かれるように真っ直ぐ、直下のメタグロスに落ちた。
 ▼ 359 シビビール@たからぶくろ 15/12/13 00:09:37 ID:tvvMJMLI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱ面白い 支援!
 ▼ 360 グレイシア@ポケじゃらし 15/12/13 21:50:28 ID:h1jE7elw [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキは、戦闘不能となったメタグロスを戻し、ボスゴドラを繰り出していた。繰り出されたボスゴドラは、腕にメガストーンを嵌めた装具をしている。
そのボスゴドラは、疲弊しているエレキブルを爪と尾で攻め立てていた。

さすがにエレキブルを続投しての勝利は厳しいと悟ったシンジは、両腕を前方に構えて相手の攻撃からひたすら身を守っているエレキブルを交替させた。
シンジが新たに繰り出したのもまたボスゴドラであった。

ツワブキ「そのボスゴドラ…。以前も私のボスゴドラと拳を交えた一匹か。メガシンカした我がボスゴドラに人質の救出を妨げられていたそいつがこいつに敵うとは思えんがな」

ツワブキはこう言い、自身のボスゴドラに命令を出す。
シンジも己のボスゴドラに指示を出した。

ツワブキ「アイアンテール!」
シンジ「アイアンヘッド!」

ツワブキのボスゴドラは身を半回転させて尾を振るう。その尾をシンジのボスゴドラは頭部で受け止め、数秒の力の均衡の後で弾き返した。
仰向けに倒れたツワブキのボスゴドラを見やり、シンジは言う。

シンジ「ほんらいのちからはおれのボスゴドラのほうがうえのようだな」

実力差を見せ付けられ、重ねてそう言われたツワブキは、しかし笑い、言う。

ツワブキ「そうかも知れんな。…だが」

ツワブキはそう言いつつ、胸ポケットに手を入れた。
そして
 ▼ 361 タテトプス@しんかのきせき 15/12/13 21:59:48 ID:h1jE7elw [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「ボスゴドラ、メガシンカ!」

ツワブキの叫びと同時に、彼の胸ポケットから光が溢れ出す。
同じく、ボスゴドラのメガストーンからも光が零れ、二つの光は二人の丁度真ん中で一になった。

二つの光の色も混ざり合い、一色の輝きに変わる。その輝きはボスゴドラを包み込み、体表面を青く染め、包み込む内に在るボスゴドラを新たな姿へと進めていった。

輝きに霞む輪郭が、外から見ても元のものではないとはっきり認識できるようになる頃には変化は終わり、ボスゴドラは変化の完了として自身を染めていた青色を
 ▼ 362 メラルバ@たからぶくろ 15/12/13 22:00:54 ID:h1jE7elw [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
払った。

こうしてツワブキのボスゴドラは、メガボスゴドラへと成った。
 ▼ 363 コラッタ@しろいビードロ 15/12/13 22:46:02 ID:h1jE7elw [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「メタルクロー!」

ツワブキはメガシンカした自身のボスゴドラに指示を出した。
何度も振り回される爪を回避、防御するシンジのボスゴドラは、ずるずると後ずさって行く。

ツワブキ「ふはははは! これがメガシンカの力だ!」

叫び、笑うツワブキ。それを、傍観者たるヒガナはため息を吐き、こいつもかといった具合で首を左右に振りながら眺めていた。

ヒガナ「メガシンカに頼りきっていて、自分と相手との実力差を忘れてる。滑稽だね。もちろん、強いポケモンなら勝利に主人を選ばないかも知れない。けれどもそれは相手との実力差が極端に開いている場合のみ。ポケモンの強さのみに頼る戦い方は、相手が実力者である場合は意味をなさない」

ヒガナが理解に難いことを言っていると感じるユリーカは、ヒガナに簡単に訊ねる。

ユリーカ「シンジは勝てるかな?」

不安そうな表情を自分に向ける幼い少女に、ヒガナは少女同様の簡単な言葉で返した。

ヒガナ「大丈夫。シンジは勝つよ」

「そうだよね!」と、表情を笑みに変えて言うユリーカ。
再びユリーカたちは、二人の戦いに目を向ける。

彼女らの目に映った手前側の少年は、この後の戦いについて思考していた。

シンジ(いつメガシンカさせるべきだろうか…。出来れば相手の油断を利用し、不意を討って一撃で勝負を決したいのだが)

思うシンジの目の前で、相手のボスゴドラの尾が自身のボスゴドラの身に叩き付けられた。
 ▼ 364 ヤンチャム@もくたん 15/12/13 23:10:04 ID:h1jE7elw [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツワブキ「もろはのずつき!」
シンジ「ラスターカノン!」

ツワブキのメガボスゴドラが突き出した頭に、シンジのボスゴドラは光線をぶつけることで、相手の技を不発とした。

ツワブキ「アイアンテール!」
シンジ「アイアンヘッド!」

先と同じように半回転して尾を叩き付けようとするメガボスゴドラに、こちらも先と同じように頭部で応じるシンジのボスゴドラ。
これもまた威力を相殺して失敗に終わらせた。

ツワブキ「ぐぬぬ…!」

続け様に技を往なされ、歯痒さを感じるツワブキ。
先の興奮から極端に移ったその不安定な感情に、シンジは好機の接近を見た。

シンジ(だいぶ感情が乱れてるな。…よし)

シンジはボスゴドラに簡単な合図を送った。ボスゴドラは軽く頷く。

シンジ(こいつも自分の中のエネルギーみたいなものに気付いているんだろうか…。それともヒガナが言っていた絆というやつだろうか…。どちらにせよ俺の考えを理解しているようだ。メガシンカを前提としたこの作戦を)

そしてその時は来る。
ツワブキがもろはのずつきを命じ、それに応えたメガボスゴドラが技を繰り出す。
それをシンジのボスゴドラはわざと腹部に受けた。相手から見れば会心の一撃に見えるのであろうそれに、ツワブキは表情を緩め、笑みを作った。

その笑みはツワブキの油断を懇切丁寧にシンジに伝えてくれた。
そしてシンジは言う。

シンジ「ボスゴドラ、メガシンカ!」
 ▼ 365 キルリア@こううんのおこう 15/12/15 17:18:40 ID:H01M1aQ2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「なんだ、あの光は?」

サトシは、ホウエンの上空を飛ぶロケット団の黒いヘリから、窓外に眩い輝きを見つけて言った。

サトシ「もしかしてメガシンカか…?」

シトロン「そのようですね。誰かがポケモンバトルをしているのでしょうか?」

皆は大きな建物、その屋上で輝く光を見る。

サカキ「おそらくボスゴドラのものだろう」

サカキは目に映るその建物を既知のそれと認識し、自身の考えを述べた。

サトシ「なんで分かるんだ?」

彼の考えを知らないサトシは、判断の理由を求める。

サカキ「あの大きな建物こそ我らが目的地、デボンコーポレーションであるからだ。その社長であるツワブキはメガボスゴドラの使い手なのだ」

セレナ「じゃああそこに…!」

シトロン「ユリーカたちがいるんですね!」

サカキは「ああ」と短く返し、肯定した。

サカキの言葉に応えるように、ロケット団の黒いヘリは機体を僅か下に傾けて速度を速め、少しずつシンジの所へと接近して行った。
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