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豆の香りが芳ばしく香るマホガニーの液体。暖かなグランブルーマウンテンは今日も香り高い。サイコキネシスで絞った、マホイップのようなホイップクリームをそっと載せて、ココアを上からぱっぱと振り掛けて、トッピングのウエハースを刺したらできあがり。私は笑顔でお客さんに手渡す。
「ありがとう、イエッサンちゃん」
両手でマグカップを持ち、斜め向かいにそのお客さんは座った。その綻んだ笑顔が私は何より嬉しく、こちらまで温かなエネココアを飲んだ時のようだった。昼下がりのポケモンセンターはポツポツと談笑するトレーナーや、フレンドリィショップで買い物をする客が見られる。ジョーイさんはまたポケモンを預かっていた。いつも代わる代わるたくさんのポケモンを元気にしてあげていて、大変だな。あの人はきちんと休めているのかな、なんて思ったりして。そうしてポケモンセンター内を眺めていると、隣のご主人が私に向かって微笑んでいた。ご主人はマスターと呼ばれていて、このカフェの主であるだけじゃなくて、私たちポケモンの忘れてしまったわざを思い出させたり、私たちポケモンのニックネームを考える姓名判断をしたりしている。いつも隣で手伝いをしながら、きっとトレーナーには欠かせない存在なんだろうと思った。そう思うくらい、毎日ご主人を訪ねるトレーナーは多い。色んな人もポケモンも相手取るご主人は本当に凄い、と私は思う。そんなご主人に私が最近思う事がある。
「イエッサン、どうかしたのかな?」
「ふぃるるう」
私がご主人について考えていた時に限って、目の前のお客さんじゃなく私の様子を伺ってくるだなんて。ご主人の方がよっぽどエスパーなんじゃないかしら。そんな思いを気持ちの底に沈めながら、私はなんでもないというように微笑んで首を振る。そうするとご主人はカップを拭きながらまたお客さんの話に相槌を打ちに正面を向いた。それにほっとしたような少し寂しいような感情を覚える私がいた。さっきのグランブルーマウンテンラテを頼んだお客さんと最近話題のチャンピオン直々に推薦されたジムチャレンジャーの少年について話していた。