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ルージュラの恋愛シミュレーションゲーム 「超娘冷凍美ー夢 〜甘くて苦い恋の味〜」

 ▼ 1 enPNohyjRg 20/02/14 19:47:04 ID:BjUwMIkk [1/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ルージュラ 「待って!ルカリオくん!」


アタシはハート型のチョコを持っている。

今日はバレンタインデー……それすなわち!
乙女がチョコレートに想いを込めて、雄ポケモンに渡す日である!


ルカリオ「オレに何か用?」


こっちを向く顔にドキッとする。

ルカリオくんこそアタシが、
チョコを渡したい = 想いを伝えたい相手だ。


クラスで1番のイケメンで、みんなと仲がいい優等生を絵に書いたような子。
アタシとも仲良くしてくれるけれど、もう"みんな"の内の1匹では満足できないの!

だからその想いを、今ここで彼に伝える!


ルージュラ「ずっとルカリオくんのことが好きでした! このチョコ、受け取ってください!」

ルカリオ「ごめん。キミは顔がキモくて生理的にムリ」


アタシの恋は一瞬で終わった ────
 ▼ 94 enPNohyjRg 20/02/14 23:06:20 ID:BjUwMIkk [2/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ルカリオ「まさかあんたが例の誘拐事件の犯人なのか?」

ユキメノコ「あらご存知?嬉しいわあ」


ルカリオは話しながら様子を伺う。
洞窟内は波動が反響してわかりづらいが、
どうやらこの2匹以外に協力者はいないようだった。


ルカリオ「あんたたちは何が目的なんだ? クサイハナは一体どうしてこんなことを?」

クサイハナ「ルカリオくんのせいに決まってるじゃない」


頭を勢いよくルカリオの鼻先に近づける。


クサイハナ「私はこんなにあなたが大好きなのに、あなたはどうしてあんな雌に!」

ルカリオ「あんな雌?」

クサイハナ「ルージュラのことよ! あなたたち最近できてるんでしょ!? あんな顔の黒いギャルみたいなブスがタイプとは驚いたわ!」

ルカリオ「それなら心配しなくても。あんたも十分顔が黒いブスだよ」

クサイハナ「黙りなさい!」


絶叫が洞窟内に響き渡る。

 ▼ 95 enPNohyjRg 20/02/14 23:06:59 ID:BjUwMIkk [3/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


クサイハナ「だからあなたは私のものにすることにしたの。知ってる? ユキメノコさんは若い男の子を捕まえて、イケメンのまま氷漬けにしてるんだって」

ルカリオ「い、イカれてるよ……」

クサイハナ「あなたはこれからユキメノコさんに冷凍保存してもらう」


これから行われようとしているおぞましい計画を知り、背筋が凍りつく感覚がした。
クサイハナは彼の恐怖にひきつった顔を撫でる。


クサイハナ「そうすればずっと私のものよ。一生私の横に置いて、愛でてあげる!」

ルカリオ「……っ」


至近距離まで顔を近づけたまま叫ぶと唾がかかり、緩んだ口元からヨダレが垂れ下がる。
クサイハナの口の中の体液は強烈な悪臭を放っていた。

 ▼ 96 enPNohyjRg 20/02/14 23:07:17 ID:BjUwMIkk [4/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ユキメノコ「それにしても、ガードが固いルカリオを、こんなに簡単に捕まえられるとは思わなかったわ」

クサイハナ「ねむりごなはどんな強いポケモンでも眠らせちゃうのよ。それにルカリオくんは優しいから、私をフった時の罪悪感もあったのかな〜?」


ユキメノコ「アタシも1ヶ月くらい前にルカリオを襲おうとして、ルージュラとかいう雌に邪魔されたわ」

クサイハナ「そうなの?」

ユキメノコ「だけどようやく捕らえられた。あなたのお陰よ。本当にありがとう。クサイハナちゃん」


ユキメノコはまさにユーレイのようにユラユラと、
音を立てずにクサイハナの背後に近づく。


ユキメノコ「そしてさようなら」

クサイハナ「へ?」


パキパキ……

パキンッ!
 ▼ 97 enPNohyjRg 20/02/14 23:07:38 ID:BjUwMIkk [5/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ユキメノコの放った冷気によって、クサイハナは一瞬で氷に覆われてしまった。

動かない氷像を手で払いのける。


ルカリオ「ひどいな。仲間じゃないのかよ」

ユキメノコ「あっちはそのつもりだったみたいだけどね。私はあなたを手に入れるために利用しただけ」

ユキメノコ「波動を操るあなたは隙がなかったから、普通に襲わず眠らせて拘束できるのは都合が良かったのよ」

ルカリオ「それなら眠らせてる間に氷漬けにしてしまえば良かったのに。僕が起きる時間を与えたら、拘束を解いちゃうかもしれないぜ」

ユキメノコ「ばかねえ」


クスっと笑いながらルカリオの胸にある角の、
鋭く尖った先端に手を置く。


ユキメノコ「それじゃあ面白くないでしょう?」

ルカリオ「うっ……!」


角を通して、一瞬のうちに体全体が冷えきった。
角の感覚がなくなっていく。

 ▼ 98 enPNohyjRg 20/02/14 23:07:56 ID:BjUwMIkk [6/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルカリオ「う、うあ……っ!」

ユキメノコ「こうして少しずつ凍らせた方が、苦しむ顔が見れて楽しいじゃない」


胸元から徐々に冷気を送られて、隅々まで行き渡る。
触れられたところからジワジワ凍りついていくのがわかる。
このままでは本当に冷凍保存まであっという間だ。


ルカリオ「くっ……」

ユキメノコ「ふふ、抵抗は無駄ですよ。あなたの体はすでに冷えすぎて、動かなくなっています」

ルカリオ「はっ、はっ」


体が体温をあげようと、懸命に震えているのがわかる。
しかしその程度の抵抗でどうにかなるものではなかった。


ユキメノコ「それでは永遠の夢へ。お眠りなさい」

 ▼ 99 enPNohyjRg 20/02/14 23:08:11 ID:BjUwMIkk [7/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ルカリオ「……」


冷気に耐えかね、意識を失いそうになった。
その時だった。


ゾロア「そこまでだ!!」


洞窟に少年の声が響く。


ユキメノコ「何ですか。今いいところなのに。邪魔は許しませんよ……」


ユキメノコが洞窟の入口を振り返ると。
そこにあったのは、ゾロアの小さな影だけではない。

ジバコイルやレアコイルといった
警察ポケモンたちや、見慣れないポケモン……フーディンの影まであった。


ジバコイル「ようやく追い詰めました。悪さはこれまでですヨ」

ユキメノコ「なっ!? 警察がどうしてここに……!?」

ジバコイル「ユキメノコ。アナタを逮捕します!!!」



────

 ▼ 100 enPNohyjRg 20/02/14 23:08:36 ID:BjUwMIkk [8/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




──── 再び時間を遡り、場面はルージュラたちに戻る。




 ▼ 101 enPNohyjRg 20/02/14 23:08:53 ID:BjUwMIkk [9/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

─── ゾロアくんから話を聞いた後、
アタシたちは予知夢を元に準備を始めていた。


ゾロア「ごめんなさい……」


彼は謝る必要が無いところでも執拗に謝る。
それほどに落ち込んでいるのだろう。

予知夢の中でもゾロアくんは、
泣きながら謝る姿を見せていた。

そのお陰でルカリオくんが偽物だと気づけたのだ。


ゾロアくんの変身に気づかないことが、
ルカリオくんを助けられるか助けられないかの境目なのだとすれば。

ゾロアくんが誠実に自分と向き合える"良い子"だったからこそ、
これからルカリオを助けられるのだ。

そんなことを考えるが、まだ口には出さなかった。

 ▼ 102 enPNohyjRg 20/02/14 23:09:17 ID:BjUwMIkk [10/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ルカリオを助けるために、
アタシたちは学校から少し離れた場所に訪れていた……。
そこは警察のポケモンたちがたくさん集まって会議とかしている場所だ。


ルージュラ「はぁ……はぁ……ジバコイルさん!」

ジバコイル「オヤオヤ、そんなに疲れた様子で、何か緊急事態ですカ?」

ルージュラ「はい! 誘拐事件の犯人がわかりました! 警察のポケモンをたくさん集めて、今すぐついてきてください!」

ゾロア「ルカリオが捕まってピンチなんです!」

ジバコイル「ナ、ナンデスッテ!?」


 ▼ 103 enPNohyjRg 20/02/14 23:09:42 ID:BjUwMIkk [11/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

警察のポケモンたちを引き連れて、
今度はまた学校の方へ急いで戻る。


ジバコイル「流石に子どもの証言だけで、ケーサツ署を留守にするわけにはいきません」


アタシとゾロアの後に増えたのは、
ジバコイル、レアコイル、コイルの3匹だ。
しかし戦力としては十分だろう。


前日に見た……ユキメノコにボコボコにされる予知夢を思い出す。


あれは多分だけど、
立ち上がったアタシがそのままの勢いで、
無謀にも1匹のみでルカリオを助けようとした結果、返り討ちにされたのだと思う。

敵の数はそんなに多くないっぽいし。

警察の方々がいれば心強い。

 ▼ 104 enPNohyjRg 20/02/14 23:09:59 ID:BjUwMIkk [12/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そして次に来たのは、学校の校舎裏だ。

なんで校舎裏かって?
そりゃあアレを拾いに来たに決まってる。


ルージュラ「……あった」

ジバコイル「それは捨てられたゴミ?」

ルージュラ「はい。でもとっても大事なものです」


しゃがんで青い包装紙を取ると、そのままの姿勢でゾロアくんに目を合わせる。

ルージュラ「ゾロアくん。あなたが真面目な良い子だったからこそ、アタシたちはルカリオくんを助けるためにここまで頑張れたのよ」

ゾロア「い、いきなり何だよ?」

ルージュラ「だからもう一度だけ、ルカリオくんを助けるために力を貸してくれる?」


ゾロアくんは鼻が良い。
 ▼ 105 enPNohyjRg 20/02/14 23:10:26 ID:BjUwMIkk [13/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ゾロア「やってみる!」


とはいえチョコを包んでいた紙だ。
チョコレートの甘い匂いが染みついている。


ルージュラ「やっぱり厳しそう?」

ゾロア「いや、ほんの少しだけ変な臭いが残ってる」


幸いにも包装紙にまで、クサイハナの強烈な匂いが残っていた。
それを頼りにゾロアくんが臭いを辿り、道案内をしてもらう。

その道中でこんな話をした。


ルージュラ「ゾロアくんは、自分だけじゃなくて他人を変身させたりできないの?」

ゾロア「1匹までなら出来るよ。でもなんで?」

ルージュラ「アタシをフーディンってポケモンに変えてほしいの」


クサイハナの臭いを辿って森を抜けた先。
たどり着いたのは小さい洞窟だった……。

 ▼ 106 enPNohyjRg 20/02/14 23:10:43 ID:BjUwMIkk [14/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



──── そして、今に至る。



 ▼ 107 enPNohyjRg 20/02/14 23:11:05 ID:BjUwMIkk [15/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




ジバコイル「ビビビッ、ゲンコーハンデース!!」

レアコイル「タイホ! タイホ!」

コイル「10万ボルト!!」

ユキメノコ「ぎゃああああああ!」


3匹による強力なイカヅチが、ユキメノコに直撃する。
なんと1発でダウンさせてしまった。
流石は警察! といったところか。


ゾロア「凄い……」

フーディン(ルージュラ)「ルカリオくんを助けないと!」

ゾロア「あっ! うん!」


ユキメノコがコイルたちに捕まってるのを横目に、2匹でルカリオくんの拘束を解く。

どうやら意識を失ってるみたいで、
本当は良くないけどアタシとしては少しホッとした。


 ▼ 108 enPNohyjRg 20/02/14 23:11:25 ID:BjUwMIkk [16/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


体が異常に冷たくなっており、
肌に霜までできているのが不安だけど、
熱を出すわざも持ってないのではどうしようも……。


ゾロア「んっ」


ゾロアくんがぎゅっとルカリオに身を寄せる。


フーディン「ゾロアくん……?」

ゾロア「ちょっとでもあっためないと」

フーディン「……そうね。そうよね……!」


同じように抱き寄せて、2匹でルカリオくんを挟みながら暖める。
そうしている間にユキメノコの拘束は終わり。
洞窟の端に凍ったまたクサイハナが残っているのが見えた……。


 ▼ 109 enPNohyjRg 20/02/14 23:11:42 ID:BjUwMIkk [17/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


その後。
警察に引き取られたルカリオくんとクサイハナの体は、
ゆっくり慎重に解凍されて、無事に意識が回復した。
そしてユキメノコとクサイハナは逮捕された。


アタシとゾロアくん、ルカリオくんはしばらく警察署に残って事件に関する詳しい話を聞かれる。
流石に誤魔化すべきじゃないと思って、未来予知のことも全部話した。

かなり長時間に渡ったため、
それぞれの両親も来てくれたがアタシは少しだけ話して帰ってもらった。

まだアタシには、やることが残っているからだ。

 ▼ 110 enPNohyjRg 20/02/14 23:12:01 ID:BjUwMIkk [18/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ジバコイル「この後も取調べがあるので、なるべく短くお願いシマス」

ルージュラ「はい。ありがとうございます」

クサイハナ「……」


ガラス越しのクサイハナがこちらを見て、目を見開く。
アタシは警察の方々にクサイハナとの面会を頼んだ。


ルージュラ「何でこんなことしたのよ」

クサイハナ「……あなたが、羨ましかった」

ルージュラ「アタシが?」

クサイハナ「私の愛は全然届かなかったのに、あなたはどんどん距離を縮めていく」

ルージュラ「だからって……」

クサイハナ「私を断る時、彼はなんて言ったと思う?」


クサイハナ「『他に好きな相手がいるから』って言ったのよ」


ルージュラ「え……」
 ▼ 111 enPNohyjRg 20/02/14 23:12:46 ID:BjUwMIkk [19/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ルージュラ「それって……」

クサイハナ「だからそんなやつより私の方があなたを愛してるって教えてやったのよ。ふふふふ」


クサイハナの動機よりも、
ルカリオくんが言ったとされる言葉の方が衝撃が大きかった。

他に好きな相手……?
一体誰のこと?
クサイハナはアタシだと思ってたみたいだけど、それはちょっと都合が良すぎる気がする。
アタシが卑屈なだけ?

そんなことばかり考えてる間に、貴重なクサイハナとの面会時間は終わってしまった。


 ▼ 112 enPNohyjRg 20/02/14 23:13:19 ID:BjUwMIkk [20/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



少し前にバレンタイン後に、
ルカリオくんと付き合うことになる予知夢を見た。

そのあと、告白が成功したはずなのになぜかモヤモヤが消えなかったのを覚えている
その理由も今なら何となくわかる気がした。


クサイハナがルカリオを愛していたのはわかる。
だけどそれはあまりに一方通行で、
独りよがりなものだった。

気持ちの押しつけで相手を傷つけちゃいけない。


アタシが洞窟に行く前、
ゾロアくんにフーディンに変身させてもらったのは、
ルカリオくんに恩を売りたくなかったからである。
 ▼ 113 enPNohyjRg 20/02/14 23:13:39 ID:BjUwMIkk [21/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


考えすぎかもしれないけど、
直接相手を傷つけたわけじゃなくても、
好きを押し通すために相手の気持ちをねじ曲げてしまうのは本意じゃない。

告白成功の予知夢で腑に落ちなかったのは、
あの未来のアタシは今回の件で命の恩を着せてしまっており、ルカリオくんが断りづらい状況ができていたからじゃないだろうか……。

未来に追いつく以外に確かめる方法はない。
追いついたところで、確かめられるかもわからない。

 ▼ 114 enPNohyjRg 20/02/14 23:14:04 ID:BjUwMIkk [22/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ゾロア「それじゃあ、先に帰るよ。今日はありがとう……ホントに」

ルージュラ「うん。またね」

ゾロアくんは早めに事情聴取を終えたあと、
迎えに来た両親と共に帰っていった。
家族とは上手くやっているみたいで嬉しくなる。

最後に照れくさそうにお礼を言った。


アタシとルカリオくんの聴取は本当に長くて、
特に被害者のルカリオくんは1番長時間かかっていた。


少し早く終わったアタシは、入口前で待つ。

ルカリオくんが目覚めて事情聴取を終えて、
ようやく入口から姿を現す頃には、
なんと夜の10時頃になってっていた。

流石に帰ろうか少し迷った。
しかしせっかくならやはり今日中がいい。

そしてルカリオが逆光に照らされながら出てくる時に、想定外の事態が起こる。


親が付き添っていた。

 ▼ 115 enPNohyjRg 20/02/14 23:14:23 ID:BjUwMIkk [23/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

いや、考えてみれば当たり前のことだ。
誘拐されたばかりの子どもに、1匹で夜道を歩かせるわけない。

しかしそれと同時に困る。
だってルカリオくんにとっては、助けてくれたポケモンはルージュラではなくフーディンだ。
ここでルージュラが声をかければ普通に不審者である。

それにルカリオは先刻の事件で、チョコを使って眠らされた後である。
尚更今はチョコレートなんて渡すべきじゃないだろう。


……仕方ない。今日は諦めよう。
そう思ってルカリオくんに背を向けた矢先のことだ。


ルカリオ「ねえ、君さ!」

ルージュラ「へ?」

ルカリオ「僕に何か用?」

ルージュラ「え?」

ルカリオ「待っててくれたんだろう?」


えっ、ええええええええ。
向こうから声をかけてくれるなんて……!

 ▼ 116 enPNohyjRg 20/02/14 23:14:45 ID:BjUwMIkk [24/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルージュラ「いや! えっと……」


彼は無言でアタシの言葉を待っている。
ヤバい。どうすればいい?

そもそもなんでアタシのことを呼び止めてくれたの?
何も知らないはずなのに……。


ルージュラ「えっと、ご、ごめんなさい!」


テンパってなぜか謝ってしまった。


ルカリオ「用ないの?」

ルージュラ「え……」


いや、ある!
あるけど……だけどどうすれば……。


ルカリオ「……それじゃ、また今度学校で」

ルージュラ「あ……」


ああ、ルカリオくんが行ってしまう。

離れてしまう。


 ▼ 117 enPNohyjRg 20/02/14 23:16:03 ID:BjUwMIkk [25/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


本当にこれでいいの……?

ダメ……!
良くない!

ホントは今すぐ彼の背中に抱きついてでも、止めたい……!

止めて、伝えたい!
予知夢のことも、事件のことも、
何もかも打ち明けて……想いを……!

この日のために頑張ってきたんだもの。
今言えなきゃ私は、きっと一生後悔する!

そんなのイヤだ!!



だけど……アタシのワガママかな。
本当に相手を想うなら、自分のために行動しちゃいけない。
アタシの自分勝手なワガママで、もしルカリオくんを傷つけてしまったら、
それじゃあクサイハナと同じになってしまう。

別に今日の今じゃなくたって
チョコは渡せるし。告白だってできるんだから。

今欲張って後悔するくらいなら、アタシは……。


告白するのを諦めかけた、その時 ── !

ルカリオくんが足を止めた。

 ▼ 118 enPNohyjRg 20/02/14 23:16:53 ID:BjUwMIkk [26/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルージュラ「……?」


そして背を向けたまま、こう言った。


ルカリオ「ありがとう」


…………え?
ど、どうして?


ルカリオ「ルージュラが助けてくれたんだろう? ポケモンが放つ波動はそれぞれ違うから、1度会ったことのあるポケモンは別の誰かに変身しててもわかるんだ」

ルージュラ「それって……」


アタシがフーディンに変身してたのを見破ってた……。
ってことは洞窟の時から起きてたってこと?
じゃあアタシがゾロアくんと抱きついて暖めてる時も……!?

みるみるうちに顔が沸騰するのがわかる。

 ▼ 119 enPNohyjRg 20/02/14 23:17:15 ID:BjUwMIkk [27/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルカリオ「だからフーディンの正体が君だってことはすぐわかった。僕のために警察の方々を説得したり、頑張ってくれたことも聞いたよ。だけど何でわざわざ変身してたのかだけがわからなかった」


ゾロアくんにも、ジバコイルさんたちにも、
アタシの存在は秘密にしてもらうようにお願いしておいた。


ルカリオ「警察のポケモンやゾロアにも聞いてみたけど、教えてくれなかったよ。だけど今の話してみて何となくわかったよ」

ルカリオ「君は優しいな」


彼はこっちを向き直して、

アタシだけにまっすぐ微笑む。



ルカリオ「僕はルージュラのことが好きだよ」

 ▼ 120 enPNohyjRg 20/02/14 23:17:38 ID:BjUwMIkk [28/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルカリオ「君もそうだったら、嬉しいんだけど……」

ルージュラ「好き。好きよ……」


色々考えてたのが全部吹き飛んで、食い気味に答える。


ルージュラ「私も、ルカリオくんのことが好き!」


バッグの中に手を突っ込んで、チョコを引っ張り出す。
しかし何故かバッグの底の方に落ちており、中々取り出せない。


ルージュラ「あ、ちょっと待って! 持ってきてるから!」


ガサガサと探してる時間で、ロマンチックだったはずのムードがだんだん気まずくなる。
耐えきれなくてチョコが出てくるまで、バッグの中に入っているものを全部出してしまうことにした。

空になったお弁当、違う!

水筒、違う!

お勉強道具、違う!

空のやかん、何でそんなの入ってるのよ!

目覚まし時計、だから何でそんなものが!?



ルージュラ「あったっ!」


ようやく赤い包装紙で
可愛くラッピングしたハート型のチョコが登場する。
 ▼ 121 enPNohyjRg 20/02/14 23:18:26 ID:BjUwMIkk [29/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


今のガサツな行動で嫌われたりしてないかな。
なんてさらに顔を赤くしながらチョコを両手で持つ。
落とさないようにしっかり持つ。

そしてずっと待っててくれたルカリオくんに駆け寄る。


ルージュラ「わっ」


勢いよく近づきすぎて、胸の棘に突き刺さりそうになった。
そんなアタシの肩をルカリオくんが支える。


ルージュラ「アタシが作ったチョコレート……受け取ってくれる?」

ルカリオ「もちろん」


ハート型なのは当然、"恋愛感情としての好き"表している。
その本命チョコがルカリオくんの手に渡って、見つめ合う。


ルカリオ「ここで食べてもいい?」

ルージュラ「もちろん!」


律儀な質問に笑顔で返す。ずっとアタシに見られてるのは、緊張とかでやりづらいだろうか。丁寧に包装を解いて中のチョコを取り出す。


ルカリオ「それじゃあ、いただきます」


ハートの2つの半円を持って、尖った先端に口をつける。

 ▼ 122 enPNohyjRg 20/02/14 23:18:46 ID:BjUwMIkk [30/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





ガリッ




 ▼ 123 enPNohyjRg 20/02/14 23:19:03 ID:BjUwMIkk [31/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルカリオ「甘い……」
ルージュラ「あれ、もしかして甘いの苦手だった?」
ルカリオ「いーや、大好物」


ガリッ、ともう一口。


ルカリオ「すごく美味しい」

ルージュラ「よかった……!」


その言葉が何より嬉しくて、安心した。

 ▼ 124 enPNohyjRg 20/02/14 23:19:55 ID:BjUwMIkk [32/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


あっという間に食べ終えた彼は、
途中から溶けて手についたチョコを見つめる。
迷ったのか少し時間を置いてから、右の手のひらをペロッとひと舐めした。


ルージュラ「ふふっ」

ルカリオ「ご、ごめん!流石に汚かったかな」

ルージュラ「ううん。大丈夫」


アタシの反応を確認してから、
また少し迷いながら左手についたチョコも舌で舐め取る。


ルージュラ「あはは」

ルカリオ「な、なんだよ。いいだろう?」

ルージュラ「うん。アタシね……ルカリオくんのことを、もっと知りたい」

ルカリオ「じゃあ……付き合おうか?」


ルージュラ「うん!」



2匹で家への帰り道を歩く。
その時間があまりに幸せで、わざとゆっくり歩いたり、途中で立ち止まったり、
1度しかないこの夜を最大限に味わっていた。

そして家に帰る頃には日付が変わっていて、
波乱のバレンタインデーは幕を下ろした。

 ▼ 125 enPNohyjRg 20/02/14 23:20:35 ID:BjUwMIkk [33/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



それからというものの、アタシたちは今までと特に変化なく生活している。


しいて違うことといえば。
・家は近くないけど、わざわざ登下校の道を変えて一緒に学校に通うようになったとか。

・お昼ご飯を毎日一緒に食べるようになったとか。

・休み時間に時間を見つけては、会ってお喋りをしたりとか。

・放課後に一緒に帰って寄り道をしたりとか。

それくらいのこと。
だけどそれが何よりも楽しくて幸せで。
まるで甘いチョコの海を泳いでるみたいだ。

 ▼ 126 enPNohyjRg 20/02/14 23:21:44 ID:BjUwMIkk [34/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


幸せすぎて
「このまま時間が凍りつけばいいのに」
そんなことも思う時もある。

今のアタシがただ1つ不安なことは、
ルカリオくんとお別れする予知夢を見てしまうことだ。
だげどもしそんな予知を見てしまったら、何がなんでも全力で覆してやろうと思う。

フーディンさんが教えてくれたから。
それがたとえ、どんなに苦くて飲み込めないような未来だったとしても。


未来は変えられる。


変えてやる。


だってアタシは、ルカリオくんのことが大好きだから。
 ▼ 127 enPNohyjRg 20/02/14 23:22:55 ID:BjUwMIkk [35/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そして数ヶ月後……。
学年が代わり、クラスも入れ変わった。
残念ながらルカリオくんとは別のクラスだ。

それからは一緒に帰るために待ち合わせをするようになった。


ルカリオ「ルージュラ! 待った?」

ルージュラ「いいえ。今ちょうど来たばっかり」

ルカリオ「よかった。それじゃあ、これからどこに行く?」

ルージュラ「月が綺麗に見えるところへ」

ルカリオ「いいね。賛成」


アタシたちの、
どんな未来よりも美しい夢を、
チョコレートよりも甘ったるい恋を、
絶対に終わらせやしない。





ルージュラの恋愛シミュレーションゲーム 「超娘冷凍美ー夢 〜甘くて苦い恋の味〜」


────── 完。
 ▼ 128 キメノコ@おとどけもの 20/02/14 23:31:48 ID:Dnj..b3. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しあわせにおなり
 ▼ 129 enPNohyjRg 20/02/14 23:42:02 ID:BjUwMIkk [36/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでくださった方、ありがとうございました。

このSSはこちらのバレンタイン企画に参加しています。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1140087
 ▼ 130 ノムー@まひなおしのみ 20/02/15 00:43:45 ID:94WsbqL. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
ルージュラ視点でテンポがよかった
 ▼ 131 レザード@おかえしメール 20/02/15 00:59:21 ID:rGGghoAY NGネーム登録 NGID登録 報告
素晴らしい
 ▼ 132 ルガルド@みどりのバンダナ 20/02/19 07:57:21 ID:MsE6heG. NGネーム登録 NGID登録 報告
おっつおつ〜
 ▼ 133 ガカイロス@リザードナイトY 20/02/19 09:51:06 ID:/GP28hLA NGネーム登録 NGID登録 報告
ルージェラ主人公で面白いとか嘘だろ……
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