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ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第2章 UB捕獲作戦

 ▼ 1 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/06/13 17:16:55 ID:hQpIfWjk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラ、皆さま。ガルーラJrと申します。
「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」の第2章として、UB捕獲作戦のお話を書かせていただきます。この章は、SMのUB捕獲イベントをベースにウルトラサンムーンの要素を加えたオリジナルストーリーです。UBの出現場所もSMゲーム本編とは全く異なります。

また、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。なお、この章の主人公は実質ミヅキとなります。

2:登場人物の手持ち
登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加をしたりしています。

3:形式
地の文を用いた形式で書かせていただきます。

第1章(SMゲーム本編に準拠したストーリー)はこちらです。

Part 1(プロローグ〜エーテルパラダイス突入)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1011593

Part 2(ポニ島〜エンディング)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1196044

第1章はすさまじく長いので、この章から読み始めた方は「ヨウとリーリエは恋仲になったが、リーリエがカントーに行くため二人は離れ離れになった」くらい認識していただければよいかと思います。
それでは、第2章の開始です。
 ▼ 511 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:31:27 ID:ZYs6BsHg [1/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「チャンスだ、ルガルガン!ストーンエッジ!」

ロイヤルマスクはウインディがカイロスに捕まったのを見て2体をまとめてストーンエッジで攻撃しようとする。だが、グズマはそれも読んでおり、ルガルガンのストーンエッジははずれることになる。

「甘いな、ロイヤルマスクさんよ」

「ギュア…!」

空中にはウインディを捕まえたままのメガカイロスがいた。

「カイロス、お返しだ!ウインディをルガルガンに投げつけろ!」

「ギュア!」

カイロスはルガルガンめがけてウインディを投げる。ルガルガンがウインディの下敷きになり、カイロスは間髪入れずに追撃を仕掛けた。

「カイロス、地震だ!!」

「ギュアアッ!!」

カイロスはマットの上に下りると、そのまま地震を起こす。この攻撃でウインディ、ルガルガンがまとめてノックアウトされた。

「おーっと、青コーナー、グズマ!まさかのメガシンカを使ってきました!一気にポイント加算は大きい!これでロイヤルマスク、ミヅキともに最後の一体となりました!」

「最後は君に賭けるぜ!ウォーグル!!」

「ペルシアン、頼むよ!」

「ウォーグッ!!」

「ニャーゴ!!」

ロイヤルマスクは最後のポケモン、ウォーグルを繰り出す。対するミヅキはペルシアンを再び戦場に送った。ミヅキはデンジュモクを出すのもありだと思っていたが、ここは一度ペルシアンで撹乱をすることでデンジュモクが戦いやすくなるようにするほうが良いと判断した。

「ラティオス、カイロスに冷凍ビーム!」

「ティオッ!」

ラティオスは冷凍ビームでカイロスを狙う。しかし、カイロスは素早く羽ばたいて冷凍ビームをかわした。
 ▼ 512 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:32:53 ID:ZYs6BsHg [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「速いな…!」

リラは冷凍ビームをかわされたのに口角をつり上げる。グズマはそのままカイロスにラティオスを狙うよう指示した。攻撃をかわされることさえも今のリラにとっては興奮を高める材料だった。

「カイロス、ラティオスを狙え!」

「ギュア!!」

カイロスは翅を羽ばたかせ、ラティオスに迫る。

「ラティオス、カイロスと距離を取れ!」

リラはラティオスにカイロスと距離を取るように指示し、ラティオスとカイロスのドッグファイトが始まった。観客席の上をラティオスとメガカイロスが舞い、観客席の熱気はますます高まっていた。

「うおおっ!!」

「すげえ迫力!!」

「グズマくんとリラさん…。なかなか魅せてくれるな。ウォーグル!我々も参戦といくぞ!」

「ウォーグッ!!」

ロイヤルマスクはウォーグルをドッグファイトに参戦させることにした。メガカイロスから逃げ回るラティオスの前からウォーグルが向かってくる。ラティオスがウォーグルに気をとられたことに気づいたグズマはメガカイロスに攻撃を指示した。

「カイロスを、シザークロス!」

「ウォーグル、ブレイククロー!!」

ラティオスの正面からウォーグルが、背後からメガカイロスが迫る。だが、リラとラティオスは落ち着いていた。

「ラティオス、急降下!」

ラティオスは突如急降下し、その結果ウォーグルとメガカイロスがぶつかる形となった。メガカイロスとウォーグルはもみ合いになり、他のターゲットを狙うどころではなかった。
 ▼ 513 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:34:48 ID:ZYs6BsHg [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ペルシアン、ラティオスにイカサマ!」

ラティオスが降下してきたところにペルシアンが待ち構えていた。ミヅキはこれはチャンスとペルシアンに攻撃を指示する。だが、リラはペルシアンを寄せ付けなかった。

「ラティオス、波乗りでペルシアンを近づけるな!」

「ティオッ!!」

ラティオスは水流を起こしてペルシアンの接近を阻む。体の濡れたペルシアンにラティオスは追撃を仕掛けた。

「ラティオス、追撃の冷凍ビーム!!」

「しまッ…」

ペルシアンが体勢を立て直したその瞬間、冷凍ビームが命中する。ずぶ濡れになっていたところに冷凍ビームを浴び、ペルシアンは身体に付着していた水が凍り付いて動けなくなる。

「とどめだ!竜の波動!!」

動けないペルシアンに竜の波動が直撃する。ペルシアンは吹き飛ばされ、戦闘不能となった。

「よし!これで2ポイント目!」

リラはウルガモスに続いてペルシアンを倒し、拳を握って喜びを露にする。そして、ラティオスは自分の力を誇示するように場内を飛び回った。観客からリラとラティオスへの声援が大きくなる。テレビの画面からもはっきりとその声は聞こえた。


「…ハンサム、リラの試合を見ているのか?」

「…ボス…。ええ」

国際警察の本部に戻っていたハンサムに彼の上司が声をかけた。マリエシティでハンサムがリラが負傷したことを報告したとき、ヨウとクチナシと話をしていた人物だ。
 ▼ 514 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:35:44 ID:ZYs6BsHg [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…彼女は不思議な子だな。ポケモンバトルの腕だけは国際警察に入ったときからもかなりのものだったが、ただ勝つだけではなく観客に魅せるバトルをしている」

「…この場を作ってくれたアローラの協力者たちに感謝ですね…。彼らの力添えがなければウルトラビーストはただ危険なだけの存在として認知され、研究材料にされるか抹殺されるかしかなかった。トレーナーと共に歩むという道が拓けそうです」

試合を見ながらしみじみとそう言うハンサムに対して、上司は笑って言った。

「嬉しそうだな、ハンサム。…親心ってやつか?」

「…そうかもしれません。彼女の活き活きとしているところを見られるのは、やはり嬉しいですから」

ハンサムは再び試合に集中する。このバトルの目的は観客を魅せることなので誰が勝っても構わないのだが、それでも彼はリラを応援していた。


「デンジュモク、あとは頼むよ!」

「デンショック!!」

ミヅキは最後のポケモン、デンジュモクを繰り出す。デンジュモクは気合十分といった様子で体をくねらせ、バチバチと電光を走らせた。今のところポイントはグズマがリードしている。

「デンジュモク、カイロスに10万ボルト!!」

デンジュモクがカイロスに攻撃を仕掛けようとする。カイロスとウォーグルは未だに空中で激しい激突を繰り広げていた。デンジュモクの攻撃を回避することはままならないだろう。ミヅキは勝負あったと思っていた。だが、ここでリラとラティオスが横槍を入れた。

「ラティオス、カイロスをサイコキネシスで吹き飛ばせ!」

「ティオッ!!」

ラティオスは素早く集中すると、カイロスをサイコキネシスで吹き飛ばした。その刹那、カイロスのいた場所にデンジュモクの電撃が走った。
 ▼ 515 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:36:32 ID:ZYs6BsHg [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「リラさん…!」

ミヅキをにらみつける。デンジュモクにカイロスを落とされまいとしてのことなのだろう。だが、デンジュモクではなくカイロスに攻撃を仕掛けたところを見ると、リラもカイロスを倒して試合終了に持ち込もうと考えているようだった。

「ここはこの技に賭ける!デンジュモク、放電!!」

「デンショック!!」

デンジュモクは再びバチバチと青白い電光をまとう。そして、溜めたエネルギーを一気に解き放った。そのあまりの眩しさに観客も思わず目を覆う。ミヅキも含めたリング上のトレーナーたちも同様だった。

「…デンショック…!」

目を開くと、デンジュモクの攻撃によってメガカイロス、ウォーグル、ラティオスは身体が麻痺し、リング上に降りてきていた。これはチャンスだとミヅキはカイロスにとどめを刺そうとする。

「デンジュモク、これで終わらせよ!10万ボル…」

「ラティオス!自分にサイコキネシスをかけてデンジュモクに体当たりだ!」

「…ティオッ!!」

しかし、リラとラティオスが荒業に出る。ラティオスは自分自身にサイコキネシスをかけて無理やり身体を動かし、そのままデンジュモクにぶち当たる。
 ▼ 516 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:37:09 ID:ZYs6BsHg [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ショック…!!」

デンジュモクがよろけ、渾身の10万ボルトは明後日の方向に放たれた。

「ラティオス、ウォーグルに冷凍ビーム!」

「…ティオッ!!」

ラティオスは身体が麻痺して動きの鈍っているウォーグル目掛けて渾身の冷凍ビームを放つ。ウォーグルはその場を飛び立つことが叶わず、直撃を受けてしまった。

「ウォーグル!」

ロイヤルマスクはまだウォーグルが戦える状態であることを願ったが、それは叶わぬ願いとなった。

「…ウォ……グ…」

ついにマットの上にウォーグルが倒れる。これでロイヤルマスクの手持ちが全員戦闘不能となったため、試合終了となった。

「試合終了―!!勝ったのは緑コーナー、国際警察捜査官、リラ!アローラの強豪相手に一歩も引かない見事なバトルを見せてくれました!!」

「やった…!やったあああ!!」

リラは右手の拳を突き上げ、アローラの強豪たちとのバトルを制した喜びを全身で表す。リラは自分が汗だくになっていることに試合が終わってようやく気付いた。自分がバトルタワーにいたときには恐らく感じたことのなかったであろう喜びがリラの全身を満たしていた。
 ▼ 517 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/14 20:42:52 ID:ZYs6BsHg [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第53話はここまでです。
正直このバトルの勝敗はあまり考えていませんでしたが、ここはリラの勝ちで話を進めることにしました。
もう一つ、今後書くことになりますが、今も勝敗をどうするか悩んでいるバトルがあります。そこまで辿り着けるように頑張っていきます。

第二章のバトルはこれで終わりです。
次回から第二章をたたみ、そこから第三章へと移っていきます。
今後ともよろしくお願いします。
 ▼ 518 ァイヤー@ムーンボール 20/08/14 21:00:42 ID:gyUEMYAU NGネーム登録 NGID登録 報告
これは鳥肌
支援
 ▼ 519 ーテリー@フリーズカセット 20/08/14 21:21:26 ID:vACMEiJY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しええええええん
 ▼ 520 Lilly 20/08/14 23:42:23 ID:2JQIOKyA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ヨウさんは 世界で一番の ポケモントレーナーです」
「あなたに あえて よかった」
そう思っていたのに...
「いつまでも なにがあっても あなたは あなたのままで いてください」
って言ったのに...

...残念です

「こういうとき さよならと いうのですね」
 ▼ 521 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:42:15 ID:OviwpeRo [1/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>520
リーリエさん、申し訳ありません。
この章はクソ呼ばわりされても仕方ないなと思ってはいました。
何しろヨウがリーリエを裏切るというイベントが入る章でしたから…。

ちなみに、今日で一気に第2章の残り3話を書き上げました。
多分次の話は個人的にもこの章で一番狂っているお話だと思います。
 ▼ 522 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:44:52 ID:OviwpeRo [2/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 54 堕ちた英雄


「試合終了―!!勝ったのは緑コーナー、国際警察捜査官、リラ!アローラの強豪相手に一歩も引かない見事なバトルを見せてくれました!!」

「やった…!やったあああ!!」

リラは拳を突き上げ、全身で喜びを表現していた。観客席からも惜しみない拍手が彼女へ送られる。リラは笑顔をはじけさせ、リングの上から観客席へ向かって手を振っていた。ここで、インタビュアーがリラへと近づいてくる。リラは今更ながら自分が勝利者インタビューを受けることになるのだと気づき、少し緊張していた。リラの緊張した様子に気づいたのか、ロイヤルマスクが声をかける。

「リラ、緊張しなくてもいい。君は今日のヒーローだからね」

「…ロイヤルマスク…。はい…」

リラは深呼吸してインタビュアーに向き合う。彼女の準備ができたようだと悟ったインタビュアーはインタビューを始めた。

「リラ選手、優勝おめでとうございます。ロイヤルマスク、ミヅキ選手、グズマ選手と並々ならぬ強豪を相手に勝利を収めました。誰が勝ってもおかしくないバトルだったと思いますが、試合前はどのようなことを考えていましたか?」

リラは少し考えるような仕草を見せるが、すぐに笑顔で答えた。

「…試合前は、勝ち負けのことよりもウルトラビーストたちが観戦してくれている方々の目にどのように映るのかが気になっていました。…私たち国際警察はウルトラビーストの秘密裏の捕獲を試みましたが、それでは彼らへの真の助けにはならないということに気づきました。アローラチャンピオンのヨウさん、そしてロイヤルマスクやロイヤルドームの関係者の方々にご協力いただき、皆さんにウルトラビーストたちも一つの生き物であり、絆を結び共に生きることができると見せられて嬉しく思います」

「対戦相手の中にもウルトラビーストを使ってくる選手がいる中、素晴らしいバトルでした。バトル中には危ない場面もあったと思います。やはり緊張しましたか?」

「…はい…。でも、緊張もした反面、アローラの強豪である皆さんとのバトルはとても楽しかったです」

「今後もアローラの皆さんの前でバトルをしたいですか?」

「そうですね。国際警察の捜査官という職業上、頻繁にここへやって来ることはできないと思いますが、機会があれば是非」

「最後に一言お願いします」

「…えーと…。そうだな…」

リラはここで少し口ごもった。
 ▼ 523 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:47:07 ID:OviwpeRo [3/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…異世界から来たポケモン…、それって危険じゃないのかって観戦してくださっている皆さんの中にも思われた方がいらっしゃると思うんです。けど、結局は私たちの心の持ち方次第で、彼らと共存ができるのか、わかり合えないまま終わるのかが決まるのではないかと思います。私は彼らと共存する道を選べる人間でありたい。バトル今日観戦してくださった皆様に、そしてこれからトレーナーになろうとしている方々に、私のそんな思いを見せることができたなら、それがこの上ない喜びです。また機械あったら応援してくださると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました!」

リラはそう言うとペコリと観客に向かって頭を下げた。観客席からは一層大きな声援がリラに送られていた。


「…優勝おめでとう、リラ…」

「…ありがとう、ヨウ…」

ロイヤルドームから出てきたリラをヨウが迎えた。ヨウは相変わらず表情が暗く、元気がなさそうだった。リラは共に喜んで欲しかった人物の一人がそれどころではなさそうなのが残念だったが、同時に彼への心配を募らせた。

「ヨウ、一緒に食事しない?今日の打ち上げ」

リラがヨウにそう提案すると、ヨウはしばしの沈黙の後に口を開いた。

「……うん……。……行こうか……」

本当は断ろうとしたのだなとリラは思った。彼の様子を見ているととても一人にしておけなかったので、もし断られたら強引にでも連れていこうと思っていたが、彼が渋々でも自分と行動を共にすることで少し安心していた。

ヨウと食事を済ませたリラはロイヤルアベニューに取っているホテルの部屋に戻ってきていた。その部屋にはヨウもいた。
ヨウはリラとの打ち上げでもろくに食べず、リラの頼んだ料理に少し箸を伸ばす程度だった。

「…ヨウ…。少し話を聞かせてほしい…。さすがに今のヨウを見てると心配だよ…」

ヨウは身体をビクッと震わせると、反射的にリラに謝ってしまった。

「…ごめん…。せっかく誘ってくれたのに、気を遣わせて…。僕といても楽しくなかったよね…」

「謝ってほしいんじゃないよ。ヨウ、目つきも怪しいしほとんどものを食べないし…。…本当に眠れてるの?」

リラに今の自分の状態を見抜かれていると悟ったヨウは、仕方なく話し始めた。
 ▼ 524 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:50:02 ID:OviwpeRo [4/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…実は、少し眠っても夜中に目が覚めて、そのまま眠れないとか、眠ってもまたすぐに目が覚めて…っていうような感じを繰り返してる」

「…ヨウ…」

「…それに、なんかお腹もあまり空かないし、食べようって気もあまり起きないんだ…」

リラはそれを聞いてヨウがリーリエとミヅキと自分のことで心底疲れているのだなと悟った。それと同時に、リラの心に都合のいい言い訳が浮かんだ。彼を癒やすという建前で、自分の欲望を満たすための言い訳だ。

「…ヨウ…。今のヨウには休息が必要だと思う…」

「…でも、すぐに目を覚ましちゃうから…」

「…ボクと一緒なら?」

「…え…?」

一瞬きょとんとし、そしてすぐに顔を赤くしたヨウを尻目にリラはシャワールームに向かった。

「…シャワー浴びてくる…。ボクが上がったらヨウも浴びて」

パタン

シャワールームの扉が閉まる音。あの朝の続きをリラはするつもりなのだとヨウは悟る。今のうちにリラの部屋を出ることは可能だが、ヨウは金縛りにでもあったように身体が動かなかった。

何してる…。早くこの部屋を出るんだ…

ヨウはそう思ったのに、動くことができない。誰かの優しさに触れたい。自分にはそんなことを願う資格など露ほどにもないとわかっていたが、ヨウはリラにそれを求めてしまっていた。

…でも……もう…、自分にはリラだけしか……

しばらくしてリラはバスタオルを肩に羽織っただけの姿でヨウの前に現れる。その身体にはカミツルギにつけられた傷跡がはっきりと残っていた。
 ▼ 525 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:52:07 ID:OviwpeRo [5/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…リラ…。その…」

「…傷跡が気になる?…ごめんね。本当は傷跡を目立たなくしてからにしたかったんだけど…」

「…そうじゃないよ…。その…リラがそこまで想ってくれるのは嬉しいけど…」

リラは裸のままヨウに近づき、唇を奪う。しばらくしてリラは唇を離すと、静かに言った。

「…嬉しいなら、今はその気持ちに身を任せてほしい…。ボクだって嬉しいんだから…ね?」

「リラ…」

ヨウはそれ以上何も言わず、自分もシャワーを浴びてリラに倣って姿を表す。リラは待ちきれなかったというようにヨウを抱きしめ、そのままシングルサイズのベッドに倒れ込んだ。ヨウの男性器はまだリラの中に入る準備が整っていなかった。

「…ねえヨウ…。前のときに思ったんだけど、もしかして、ヨウって初めてじゃなかったりする?」

「…うん…」

「…相手はリーリエさん?」

「……うん……」

それを聞いたリラは嫉妬の思いに駆られ、今だけでもリーリエをヨウの心から追い出そうと試みる。

「…リーリエさんとのエッチ…、気持ち良かった?」

「…それは……うん…。でも、リーリエは痛がってたから、リーリエができるだけ痛くないようにって、そっちの気持ちの方が強かったかな…」

「…そう…。じゃあ、今日は目一杯楽しもうよ」

リラはそう言うと、ヨウの男性器に顔を近づけていく。

「リラ…?あうっ…」

リラはヨウの男性器を口に含み、そのまま舌を亀頭に這わせる。リラは口の中でヨウの男性器が硬く、大きくなってくるのを感じ、嬉しそうに舌で舐め続けた。ヨウはリラのその姿に目が釘付けになる。
 ▼ 526 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:53:34 ID:OviwpeRo [6/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ふふ…。いい感じになってきたね…。ねえ、ボクのほうもお願いしていいかな…」

リラはそう言うとベッドの上に寝転び、脚を開いて自身の女性器を露にする。ヨウは誘われるままリラの女性器にキスをし、そのままリラの倣って舌を這わせる。そして、そのうち欲望が二人の身体を満たし、ヨウとリラはそのままベッドの上で体を重ねる。何度もリラとキスを交わし、リラはヨウに自分の中に入れるように催促した。

「…ねえヨウ…。そろそろいいよ。我慢しなくていいからね…」

「…リラ…」

ヨウはリラの誘惑に完全に堕ちた。ヨウとリラは互いの生殖器を繋げると、互いの身体に一気に脳まで痺れさせるような快楽が走った。

「…ッ…、ヨウ…、今のやばかったかも…。ねえ…もっとボクのこと求めて…」

リラはそう言うと、ヨウにキスをねだる。ヨウはリラと口づけを交わしながら何度も彼女の奥を突こうとした。リラはその度に甘い矯正を漏らし、ヨウの腰に脚を絡めて自身の最奥部へ彼を受け入れ続ける。

「…あッ…はああ…、ヨウ…愛してる…」

リラが快楽を感じていることにヨウは背筋がぞくっとした。自分と繋がることで異性が喜んでくれることがヨウにとっても喜ばしいことだった。

「リラ…、リラ…」

リラの甘い声はヨウにとって麻薬のように作用する。溶け合うような快楽の中でヨウはリラを抱き続けた。リラもヨウが満足するまで何度も自分の中にヨウを受け入れ続けた。リラはヨウの腰に絡めた脚をほどくことはなく、彼を何度も自分の中で果てさせる。一つになったその瞬間、リラの理性も完全に破壊されていた。ただ愛しい異性と愛し合い、受け入れ、快楽を互いに貪り合いたい。その思いだけがリラを支配していた。リラはヨウが自分の下腹部の奥に熱い迸りを放出するのを感じ、身体を震わせて何度も絶頂を迎えていた。

夜、裸のままヨウはベッドの上ですやすやと安心したように眠っていた。シングルサイズのベッドの上で二人は身を寄せ合い、愛し合った余韻にリラは浸っていた。

「ヨウ…、今日はよく眠れそう?…ふふ…」

リラはヨウの目にかかる髪を指でどける。そのうちリラも眠気を感じ、睡魔に身を預けた。ヨウはその夜は朝まで目を覚ますことはなく、リラの温もりを感じながら眠り続けた。それは一時の安息であるということは彼自身わかっていたはずなのに。
 ▼ 527 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:54:34 ID:OviwpeRo [7/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その日の夜、リラは夢を見た。いや、夢ではない。彼女の過去だ。リラはバトルタワーで自分がタワータイクーンに選任されたときのことを思い出していた。

「リラ、君にこのバトルタワーの主、タワータイクーンを任せたい。強いトレーナーたちがカジュアルにバトルを楽しめるようにと作った場所だ。君も楽しむといい」

サングラスに水色のアロハシャツを着た男性がリラに向かってそう言った。

「ありがとうございます、エニシダさん。よーし、これから楽しみだなあ…」

まだバトルタワーでのバトルに退屈する前の自分がいた。このときのリラはどんなトレーナーが自分を打ち破らんと現れるのかワクワクしていた。

ああ、ボクにもこんなときがあったのか…

リラは少しだけ安心していた。今日のバトルロイヤルで戦ったときのような高揚感をこのときの自分は持っていたのだ。
リラはそこで目を覚ました。時間はいつも自分が起きる時間よりも少し早いくらいの時間。隣では相変わらずヨウが静かに寝息を立てている。

…ヨウ…。ありがとう。君のおかげで、ボクにも新しい目標ができたよ…

翌朝、ヨウがベッドの上で目を覚ますと、隣にはリラがいた。

「…おはよう、ヨウ。よく眠れた?」

「…うん…。リラのおかげで。ありがとう…」

ヨウがリラに礼を言うと、リラはヨウに向かってくすっと笑った。

「いいんだよ。…そうだ。お礼と言ってはなんだけど、行きたい場所があってさ…。ヨウもついてきてくれない?」

ヨウはリラがどこに行きたいのか気になった。アローラには観光スポットはたくさんあるので、まだ行ったことのない観光名所を案内するのもよさそうだ。

「どこに行きたいの?観光名所ならたくさんあるけど…」

ヨウがそう言うと、リラは笑ったまま首を横に振った。
 ▼ 528 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:55:10 ID:OviwpeRo [8/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ああ、観光名所とはちょっと違う所なんだ。行きたいのはポニ島」

「…ポニ島…?」

ヨウにとっては意外な場所だった。何しろ、ポニ島は住人が少なく開拓もほとんどされていない。一体リラの行きたい場所とはどこなのだろう。

「…見てみたいんだ。ポニ島の北端にあるっていう巨木…。ほら、なんて言うんだっけ…」

リラは昨日ハプウから聞いた木の名前が一瞬出てこなかった。ヨウはクチナシの話を思い出し、その巨木の名を口にした。

「…バトルツリー…?」
 ▼ 529 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:55:52 ID:OviwpeRo [9/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第54話はここまでです。
このまま第55話も投稿します。
 ▼ 530 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:56:45 ID:OviwpeRo [10/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 55 リラの決断


ヨウとリラはポニ島に向かう連絡船の中にいた。ヨウはリラの顔を時折見ては不思議そうに首を傾げていた。
なぜリラはバトルツリーを見に行きたがっているのだろうか。ヨウは出発前に気になってバトルツリーについて調べてみたが、ポニ島の大自然を感じさせる巨木としてマイナーな観光雑誌にちょっと載っている程度で、大々試練の場として使われていたことがあるというのも載ってはいなかった。
リラは電話が入ったと船室からデッキに出て行き、ヨウはリラの背中を見送る。リラは一体なぜバトルツリーを見に行きたいなどと言い出したのだろう。ヨウはリラが何を考えているのか気になって仕方なかった。

「…どうです?ハンサムさん。抹殺派はおとなしくなりましたか?」

リラはデッキの上でハンサムと話していた。

「ああ。世論はだいぶ我々の味方をしてくれているみたいだ。それで、とりあえず抹殺派は一旦様子見をすることにしたらしい。リラ、私は今回捕獲したビーストがそれぞれのトレーナーの手に渡るように上に掛け合ってみるつもりだ」

「…ハンサムさん…?」

リラはハンサムの言い出したことに驚いていた。いくらなんでも、そこまでのことができるのだろうか。

「…リラ、明日にでもこちらに戻ってきてくれ。私のしようとしていることに君にも協力してほしい。おそらく、ビーストたちが危険なだけの存在ではないということはわかってもらえたはずだ。彼らが我々と共に生きることができる第一歩を君と私で踏み出そう」

「…ハンサムさん…。はい…」

リラは通信を切ると、髪をかき上げて海風になびかせる。

ボクの旅も終わりが見えて来たな…。いや、ここからが始まりか…

リラは船のデッキから見えてきたポニ島をじっと見つめた。


ヨウとリラが海の民の村の船着き場に降りると、そこではマツリカが海の方を見ながら絵を描いていた。マツリカは二人に気づき、にやけながら近づいてきた。

「おー、リラさん、昨日は優勝おめでとう。…こんなところにデートに来たの?」

マツリカはヨウに聞こえないようにリラに耳打ちをする。すると、リラはどぎつい耳打ちをマツリカに返した。
 ▼ 531 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:57:36 ID:OviwpeRo [11/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ええ。昨晩一緒に寝て、彼にベッドの上でたくさん愛してもらって、今日は最高のデート日和です」

それを聞いたマツリカは顔を真っ赤にして黙り込み、リラはその様子を見て満足そうに微笑んだ。

「…ふふ…、マツリカさん、意外と初心なんですね。かわいい。私たち、バトルツリーに行きたいんですが、ハプウさんはいらっしゃいますか?」

「…え…。ああ…。多分家の畑にいると思うよ…」

「そうですか…。ありがとうございます、マツリカさん」

リラはマツリカに礼を述べ、ヨウはリラの後についていく。マツリカは顔を赤くしたまま呆然と二人を見送った。

…ええー……。マジ…?これ略奪愛ってやつ…?

マツリカはベッドの上で裸で交わるヨウとリラの様子を思い浮かべ、下を向いてしまった。


「やあ、ハプウ」

「こんにちは、ハプウさん」

「おお、ヨウにリラ殿ではないか。珍しい組み合わせじゃな」

畑仕事をしていたハプウはヨウとリラを笑顔で迎える。ハプウはヨウが昨日よりも元気そうに見えたのでほっと一安心していた。

「ヨウ、昨日に比べるとだいぶ顔色がいいようじゃな」

「え?…そう見える?」

「ああ。わらわも少し心配しておったのじゃぞ」

「ごめん、心配かけたね」

ヨウが謝ると、ハプウはひらひらと手を振った。
 ▼ 532 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:58:38 ID:OviwpeRo [12/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よいよい。で、今日はどうしたのじゃ?」

「ハプウ、僕たち、バトルツリーに行きたいんだけど…」

「バトルツリー?」

ハプウはあの場所に行きたがる人間がいるとはと珍しそうに二人の顔を交互に見る。ここでリラが口を開いた。

「…ハプウさん、ロイヤルアベニューのポケモンセンターのカフェスペースでポニ島にも何か楽しめる観光スポットのようなものがあるといいんじゃないかとおっしゃってましたよね?あの話を聞いて、バトルツリーってどんな場所なのかなと気になって…」

リラがそう言うと、ハプウはぽんと手を叩いた。

「ああ、あの時の話か。なるほど、それで来てくれたのか。さっそく案内しよう。ついて来るのじゃ」

こうして、ヨウ、リラ、ハプウはバトルツリーを目指すことにした。


バトルツリー、ポニ島北端にある巨木。この地域はちょうどポニの大峡谷の裏手に位置している。

「これがバトルツリーか…。すっごい高さだな…」

ヨウはバトルツリーの大きさに驚いていた。周囲の森の木など全く問題にならないような高さ、幹の太さ、枝の張り。こんなビルにも匹敵するような巨大な木は見たことがなかった。

「…すごいな…。まるでビルみたいなでかさだ…」

ヨウがそう言うと、ハプウが笑った。

「はっはっは。そうじゃろう」

「すごい…。ボクのいたバトルタワーもかなり大きい建物だったけど、この木は自然にこの大きさになってるんだよね?」

リラもバトルツリーを呆然と見上げる。そして、ハプウにこの木をアローラのバトルの名所としてはどうかと提案した。
 ▼ 533 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 20:59:21 ID:OviwpeRo [13/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ハプウさん、ここ、本当にバトルの名所にできるかもしれません。自然を活かしたバトル場…。なかなか面白そうですよ」

ハプウはそれを聞いてリラに尋ねた。

「おお、リラ殿。何か構想があるのか?」

「ええ…」

リラがそう言うと、ヨウはいまひとつハプウとリラの会話の内容が飲み込めなかったので二人の会話に思わず割って入ってしまった。

「リラ、この木を利用して何かしようとしてるの?」

「ごめんごめん。ヨウには話してなかったね。実はさ、ハプウさんがポニ島にも何か人が集まれるような名所があるといいなって考えているみたいでさ…」

リラは昨日ハプウと話した内容をヨウにも話した。ハプウなりに島興しをしようと考えているようで、そのためにも何か人が集まれるような娯楽的な施設などもあってよいのではないかと考えているとのことだった。そこにリラが自分のもといたバトルタワーの話をしたことで、ハプウはバトルツリーをその名の通り、カジュアルにバトルを楽しめるバトル施設にするのも一つの手なのではないかと考えているとのことだった。

「すごいな…。ハプウ、そんなこと考えてたのか」

「いやいや。わらわだけではどうしたらよいか全くわからなかったろう。リラ殿のおかげで少しどうしたらいいのかが見えてきたところじゃ」

ここで、リラは意を決してヨウに自分の今後についての決心を打ち明けた。

「ヨウ…。聞いてほしいことがあるんだ」

リラは穏やかに、しかし力強く口を開いた。ヨウはリラが何か重要なことを話そうとしていることに気づき、じっと彼女の瞳を見つめる。
 ▼ 534 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:00:20 ID:OviwpeRo [14/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ボク、国際警察を辞めようと思う」

「リラ…!?」

ヨウは驚いていた。国際警察を辞めた後、リラは一体どうするつもりなのだろうか。

「そんな…、どうして…?」

「ハプウさんの話を聞いて、ボクも協力したいって思ったんだ。ヨウには話したよね。ボクがタワータイクーンと呼ばれてた頃、とんでもなく傲慢で、バトルの楽しさや面白さを伝えることもせず挑戦者を潰してたろくでもないトレーナーだった。でも、元々バトルタワーはホウエン地方のバトルのレベルアップと、カジュアルにいろんなルールのバトルを楽しめるように作られた施設だった。ボクのいる世界は変わってしまったけど、今度こそボクがあのときなすべきだったことをやりたいんだ。このアローラの地で」

ヨウは言葉を失った。つまり、リラはバトルツリーをアローラの新たなバトルの名所とするプロジェクトに参加する気でいるのだ。

「ハプウさん、急なお話で申し訳ないんですが、よかったらボクにもハプウさんの島興しに協力させてください」

リラはハプウに対してぺこりと頭を下げる。ハプウは目を閉じてしばし考えていたが、目を見開いてにっと口角を上げた。

「…協力者がいてくれる方が心強い。もちろん歓迎するぞ、リラ殿」

ハプウは右手を差し出し、リラと握手を交わす。その様子を見ていたヨウは今後リラが具体的にどうするつもりなのか尋ねる。

「リラ、今後は具体的にはどうするの?」

ヨウに尋ねられ、リラは答えた。

「…まずは、国際警察の本部に一度戻るよ。ハンサムさんが今回の件で捕まえたウルトラビーストを捕まえたトレーナーが所有できるように本部に掛け合ってくれてて、その協力を。明日にでも本部に向かって出発するつもり。一応、世論はだいぶボクたちに有利になってきてるみたいで、抹殺派の人たちもおとなしくなったらしい。それに、退職の手続きもしなくちゃいけないし、何よりハンサムさんにこの10年間のお礼をしたいんだ」

「…やることは多いね…」

「うん…。でも、今回の件はヨウやアローラで出会えた皆の協力があったからここまでできたんだ。だから、次はボクがボクにできることでアローラに貢献したい。ハンサムさんには本当にどんなお礼をしたらいいかな…。こっちの世界でのお父さんみたいな人だから、何をしたらいいのかそれこそ想像もつかないや」

リラがそう言って笑うと、ヨウは言った。リラの幸せを誰よりも願っているハンサムなら、きっとこう言うに違いない。
 ▼ 535 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:00:48 ID:OviwpeRo [15/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「きっと、ハンサムさんはリラの選んだ道でリラが幸せになれればそれでいいんだと思うよ」

リラはその言葉を聞き、思わず涙腺が緩んだ。確かに、ハンサムならそう言うだろうなと思ったからだ。

「…ッ…、ヨウ!ハンサムさんに会う前にそういうこと言うの反則!」

リラは慌てて顔を背けた。ハンサムはきっと、自分の選んだ道を祝福してくれる。それがわかっているからこそ、リラはその様子がありありとイメージできてしまったのだ。

「…さて、一旦わらわの家に帰るか。新しいプロジェクトメンバーの歓迎会といこうぞ!」

ここでハプウはバトルツリーを見上げながら笑顔を弾けさせた。リラもバトルツリーを見上げる。ポニの大峡谷から吹く風がバトルツリーの枝を揺らし、まるで戦士を鼓舞するような音楽に聞こえていた。ヨウは顔に出さなかったが、リラと一旦離れ離れになってしまうことを思い、心の中に少し寂しさを募らせていた。
 ▼ 536 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:01:47 ID:OviwpeRo [16/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第55話はここまでです。
第56話(二章の最終話)もこのままいけるかな?
 ▼ 537 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:03:12 ID:OviwpeRo [17/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 56 別れと前進


「んッ…、あッ…」

ベッドの上で裸のリラが甘い声を上げる。ヨウはリラと繋がり、ベッドの上で彼女の身体を貪っていた。

「…ヨウッ…激しいよ…。明日お別れだから?」

リラにそう言われ、ヨウの動きはますます激しさを増した。

「そうだよ…。リラが僕のことを忘れないように…」

「忘れるわけないよ…。ヨウこそボクのこと忘れないでよ?」

「リラ…」

リラとヨウの唇が重なる。そして、ヨウはリラと舌を絡め合いながら男性器に迸りが込み上げてくるのを感じていた。

遠慮なんかしない。リラの中に…

ドクンッ!!

リラは自分の中でヨウが脈動するのを感じた。その瞬間、凄まじい快楽と充足感が身体を満たした。もう何度目だろう。アーカラ島に戻ってきたリラは手早く帰りの支度を済ませると、そのままヨウと狂ったように交わっていた。今のも何度目かわからない。ヨウとリラは繋がったまま何度も絶頂を迎え、その後すぐに次の絶頂を求めて何度も互いの身体を貪っていた。

「あ…ッ…、あ…」

「は…あ…」

脈動が収まると、ヨウはようやくリラとのつながりを解いた。

「ふう…、もう…。ようやく放してくれたね」

リラはため息をついて枕元に置いているペットボトルの水を飲む。そのボトルをヨウにも渡し、ヨウは残りの水を飲み干した。
 ▼ 538 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:03:49 ID:OviwpeRo [18/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ヨウ、お腹空いた?」

リラに尋ねられ、ヨウは首を横に振った。

「いや、空いてない」

「そっか。ボクも。…食事の時間も惜しいくらいに、ヨウと繋がっていたい…」

リラは再びヨウの唇を求める。ヨウは自分の男性器が力を取り戻すとすぐにリラの中に突き入れた。もうヨウは完全にタガが外れていた。ヨウはリラと一緒にいることで自分の問題が解決するわけではないことはわかっていた。しかし、今はリラの優しさと温もりを求めずにはいられなかった。

「出発まであと11時間ってところか…。それまで…ずっとこうしていよ?」

リラはヨウの耳元で甘くささやく。リラはヨウの煽り方をだんだんわかってきていた。

「…うん…。今日は干からびるまでリラとこうしていたい…」

再び注がれる彼の欲望の迸りがリラの中を満たす。リラはうっとりと満足げな息を漏らしながら、干からびるまで自分を抱くといった彼がこの後何度も自分を求めてくるのだと思うと楽しみで仕方なかった。


その一方、ヴェラ火山公園。ここでもう一組別れの準備をしている者たちがいた。

「さて…。なんだかほとんど見慣れた地だったはずなのに、いざ離れるとなると感慨深いものがあるね」

ウルトラホールを通るための防護服に身を包んだコウミはヴェラ火山から自分たちの世界とは異なるアローラを見渡した。

「本当に行っちゃうんだね。…そんなに長い時間じゃなかったと思うけど、やっぱり寂しいな」

ミヅキは防護服に身を包んだコウタ、コウミ、ダルス、アマモに向かって言った。

「そうですね…。ミヅキさん、協力していただき、本当にありがとうございました」

コウタはそう言うと、モンスターボールからほしぐもちゃん、ルナアーラを出す。そこで、アマモが口を開いた。
 ▼ 539 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:04:53 ID:OviwpeRo [19/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ねえコウタ、コウミ。向こうのアローラに戻ったらお願いがあるんだけど、いいかな?」

「なに?アマモ」

アマモは空を見上げて深呼吸すると、コウタとコウミに自分の胸の内を明かし始める。

「あのね、あたし、ポケモントレーナーになりたい。今持ってるべベノムと一緒に、コウタたちのアローラで修業したいんだ。コウタとコウミにも協力してほしいって思ってるんだけど、いいかな?」

アマモの突然の告白にコウタとコウミは目を丸くした。

「…バトルのない世界の生まれのあたしには無理かもしれないけど、やってみたい。ネクロズマや強いウルトラビーストを相手に一歩も引かないコウタやコウミ、ミヅキがとてもかっこよく見えてさ。あたしも皆の見てる世界を見てみたい。そのためなら、ちょっとやそっと辛くたって大丈夫!」

アマモは笑顔でガッツポーズをしてみせる。コウタとコウミはその様子を見てにこっと笑った。

「…無理なんかじゃないよ。ポケモンてすごく不思議な生き物なんだ。私たちもきっと、一人だけで戦ってたらネクロズマを捕まえることなんかできなかった。でも、ポケモンがいて、一緒に戦う仲間がいて、その力でいつか過去の自分も超えていける。ポケモントレーナーってそこが一番楽しいところなんだと思う」

コウミがそう言うと、ミヅキもうんうんと頷いた。それを聞いたアマモは嬉しそうに顔をほころばせる。そして、その勢いでミヅキに向かって挑戦状をたたきつけた。

「…ねえミヅキ。あたしさ、コウタたちの世界で強くなったら、この世界にもう一度来てみたいって思ってる。そのときはミヅキともバトルしてみたい。ミヅキはあたしの挑戦を受けてくれるよね?」

「…もちろん!」

ミヅキに向かって右手を差し出す。アマモはその手を取り、まっすぐにミヅキの瞳を見つめた。
「…そろそろ行くか…」

ダルスがそう言うと、アマモはミヅキの右手を離した。

「こういう時は、さよならって言ったほうがいいのかな?」

ミヅキの目に涙が浮かぶ。しかし、異世界から来た4人組は涙を見せることはなかった。

「…こっちのアローラではこういうときさよならって言うんですか?」

「私たちのアローラとはそういうところはちょっと違うのかな?」

異世界から来た4人は皆満面の笑顔をたたえ、両手で大きく円を描くような仕草を見せた。
 ▼ 540 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:05:58 ID:OviwpeRo [20/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「「「「アローラ!」」」」

ミヅキは4人からの別れの挨拶に、ついに堰を切ったように涙が溢れた。だが、それは寂しさからではない。例え世界が違っていても、自分たちは繋がっている。その喜びが彼女の心を突き動かしていた。

「マヒナペーアッ!!」

ほしぐもちゃん、ルナアーラがウルトラホールを開く。ルナアーラに乗った4人を見て、ミヅキは先ほどの4人に倣って両手で円を描くような動作を見せた。

「アローラ!」

ルナアーラが飛び立ち、ウルトラホールへ向かう。ミヅキは大きく右腕を振って異世界から来た友人を見送った。ルナアーラの背の上からコウタ、コウミ、アマモ、ダルスも手を振っている。そして、ルナアーラがウルトラホールへ飛び込み、しばらくしてその穴は閉じてしまった。

「…行っちゃったか…」

「…ミヅキ、やっぱり寂しいロト?」

ロトム図鑑がミヅキに声をかける。ミヅキは大きく息を吐いてにっと笑った。

「ううん、大丈夫。さ、行こう、ロトム」

ミヅキはヴェラ火山から下山していく。その顔は真っ青な空のようにとても晴れやかだった。


その日から3ヶ月が経過した。リラとハンサムはウルトラビーストの捕獲したトレーナーによる所有を国際警察本部に認めさせ、ついにリラの退職の日を迎えていた。ヨウと交わったものの、幸か不幸か彼女は彼の子をその身に宿すことはなかった。だがリラはFallという体質もあってか退職するまで何かと慌ただしい日々を送っており、ようやく腰を落ち着けることができていた。
 ▼ 541 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:06:44 ID:OviwpeRo [21/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ハンサムさん…。10年もの間、本当にお世話になりました…。恩返しなんか全然できてないけど、勝手なボクを最後まで見守ってくれて、ありがとうございました」

「いいんだ、リラ。もともと私の言い出したことだ。…それに、恩返しならたくさんしてくれたよ」

ハンサムとリラはバーで酒を飲みながら語り合っていた。ハンサムはギムレットを飲み干し、ふっと息をつく。リラもグラスホッパーを飲み干し、ハンサムの話を聞いていた。

「…そうですか…?私なんて、ハンサムさんのお役に立てたことが珍しいと思うんですけど…」

リラがそう言うと、ハンサムはリラの頭をぎゅっと抱き寄せた。

「…役に立つとか立たないとか、そんなことはいいんだ。ただ君が幸せになってくれればそれでいい。アローラで新しいバトル施設を作るプロジェクトに参加するんだってな。君ならきっとやれるさ」

「ハンサムさん…」

ハンサムはここのマスターにとっておきの酒を頼む。

「マスター、私の愛飲のラムを。彼女にも同じものをくれ」

「OK」

マスターは琥珀色のラムが入った瓶を取り、ハンサムとリラの分をグラスに注ぐ。チェイサーの水も用意し、二人に差し出した。

「甘い香りがする…」

リラはグラスに注がれたラムの香りを嗅ぐ。黒糖のような香りとアルコールのつんとした香りが鼻をくすぐった。

「いただきます…」

リラはハンサムのとっておきのラムを口に含む。黒糖のような甘味がアルコールの刺激と共に広がり、飲み込むと喉奥から鼻に抜けるような香りが立ち何とも言えない感覚になる。

「…おいしい…」

「だろ?」

ハンサムもラムを飲み、その後チェイサーの水を飲んで口の中を冷やした。
 ▼ 542 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:07:26 ID:OviwpeRo [22/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…リラ、私はこの歳になって思うことがある。私は仕事一筋でここまで生きてきた。それこそ、危険な任務にあてがわれることも多かったから、自分にもしものことがあったときに悲しませないよう、自分には妻や子はいない方がいいんだろうなと思っていた。でも、そんな私が君に出会って、まるで娘ができたような気分になったよ。私と君は血は繋がっていないが、君と出会って過ごせた時間そのものが、十分に君からの恩返しと呼べるものだ」

「…ハンサムさん…」

「大切な人と過ごす時間…。それはどんな人にとってもかけがえのない宝物だ」

リラは目に涙を浮かべていた。どこまでも優しく自分に接してくれる彼に報いるためにできること。それはヨウの言う通り、自分が幸せを感じながら生きること。

「…今日の酒は格別に美味いな…」

ハンサムはそう言って笑った。リラは何も言えなかった。ただただ込み上げてくる思いが言葉にならず、涙となって目からこぼれた。でも、この言葉だけはきっと、ハンサムに伝えなければならなかった。

「…ハンサムさん…。ボクは…ハンサムさんに出会えて幸せでした…!」

リラの絞り出したその言葉はハンサムの目を少し潤ませた。
 ▼ 543 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:07:50 ID:OviwpeRo [23/24] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

退職手続きも終わり、アローラでの住む場所も決めたリラはアローラ地方に戻ってきていた。これから新天地での生活が始まり、バトルツリープロジェクトに参加することになる。

「バトルツリー…。完成が楽しみだな…。ヨウにも会えるし…」

リラはバトル施設開設のプロジェクトも楽しみだったが、ヨウにまた会えることも楽しみだった。だが、アローラに着いた彼女を待ち受けていたのは思いもよらぬことだった。

「…初代チャンピオンは、チャレンジャーに負けてその座から下ろされましたよ…」

「…え…?」

メレメレ島の空港についたリラが何気なくアローラリーグのことを空港スタッフに尋ねると、空港のスタッフはそう答えた。

…ヨウが…防衛戦で負けた…?

リラはその事実に驚いていた。そして、彼の自宅を訪ねてみることにした。

「…はい…。あら…?あなたは…」

ヨウの母親と思われる人物が姿を現す。リラは自己紹介をし、ヨウがいないか尋ねた。

「あの子なら、一度ゼロから修行をしたいって言い出して、アローラ地方から出て行きましたよ。シンオウ地方に行くとか言って、それからは連絡もないまま…」

ヨウの母の言葉に、リラは驚くばかりだった。どうやら自分がバタバタとしていた3ヶ月の間にアローラリーグのチャンピオンが変わり、ヨウの家の様子もだいぶ変わったようだった。ヨウがアローラを去った。その事実にリラは呆然とすることしかできなかった。
 ▼ 544 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/15 21:13:59 ID:OviwpeRo [24/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第二章はこれで終わりになります。
56話でもうネタバレしてますが、第三章はリラが戻ってくるまでの3ヶ月間に何があったのかを描くことになります。
第三章はあまり長くはないのですが、章が変わるので新スレッドにて始めさせていただきたいと思います。
第三章が終わったら第四章はリーリエの物語を描くことになります。

それではまたお会いしましょう。アローラ!
 ▼ 545 ギアナ@タマゴけん 20/08/15 21:14:47 ID:XV.E5mCI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おつ


この章キツすぎた……

続編も支援
 ▼ 546 ルー@はつでんしょパス 20/08/15 21:58:12 ID:lTds5.BU NGネーム登録 NGID登録 報告
ゾクゾクする…
支援の支援!
 ▼ 547 ルップル@ぎんいろのはね 20/08/15 22:01:54 ID:Toikuqc. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まずは、第2章の投稿お疲れ様でした!

この章のヨウの精神状態はこちらも見ていて辛くなるものがありましたね。これからの作品でヨウがどうなってくのか作品を読める事が楽しみである一方不安でもあります。

いずれにしろ変わらず、第3章以降の作品も応援しております。
支援!!
 ▼ 548 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/16 18:29:22 ID:d6qUDUvs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでくださっている皆様にお知らせです。
第三章を新スレッドにて始めさせていただきました。
引き続きよろしくお願いいたします。

ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第3章 戦乱のアローラ
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1270113
 ▼ 549 クロム@トレジャーメール 20/08/16 19:24:34 ID:ra.UgBR2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>521
前々からハーレムにしたいと言ってたしいいと思います。
あなたの作品が好きなので好きに書いてください。3章も応援してます
 ▼ 550 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/08/16 20:35:09 ID:d6qUDUvs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>549
そう言っていただけると嬉しいです。
実は、第一章の時点ではこの物語を純然たるリーリエエンドにするか、それともハーレムエンドにするか迷っていました。
でも、第一章で「ハーレムエンドでも歓迎」というコメントをくださった方がいらっしゃたので、ハーレムエンドにしようと考えた次第です。
読んでくださっていた方々の中には「裏切られた」と感じる方もいらっしゃるだろうなとは思いますが、第六章まで頑張ります。
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