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SS

【Autumn SS】ブラッド・リーフと黒種の祭

 ▼ 1 1 20/10/15 15:26:04 ID:BlSYGrXA [1/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ちいさな め を
ひとりひとり で そだてていこう
 ▼ 2 1 20/10/15 15:27:15 ID:BlSYGrXA [2/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とある地方、ボチャタウン。
この町には、『風習』が存在する。

セイヨウ「こら、ペポ! アンタ サボってばかりじゃダメじゃないの」

活発な彼女の名は、セイヨウ。
この村の住民だ。

ペポ「姉ちゃん……だってもう、疲れたよ……」

そして、見るからにサボっているこの少年の名はペポ。
セイヨウの弟である。

二人は、『風習』のための飾り付けを行っているのだ。
 ▼ 3 1 20/10/15 15:27:29 ID:BlSYGrXA [3/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
大人たち「こら、ペポ! か弱いセイヨウちゃんにばっか重い物を持たせるなよなー」

ペポ(か弱いったって……この前そのか弱いのに腕相撲で負けたんだよ、俺)

セイヨウ「ペポー、一回休憩しよっか」

ペポ「う、うん……」

セイヨウ「……なーんて言うと思ったか、こら! アンタはサボった分、これから動け! もっと働く!!」

ペポ「ひーん……」

その『風習』とは、クロダネ祭。
ポチャタウンの、秋の一大イベントなのだ。
 ▼ 4 1 20/10/15 15:28:03 ID:BlSYGrXA [4/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクレー『クレレー♪』

そんなペポに、彼の手持ちポケモンのボクレーが付き添う。
ペポは思う。

ペポ(……早く祭りで美味しい物が食べたい)

頑張るという思いはないようだ。


その夜──


ペポとセイヨウ、帰宅する。

セイヨウ「アタシ、お風呂沸かして来るねー。アンタ、先に入る? 後に入る?」

ペポ「なんか、疲れちゃった……。少し休むよ、姉ちゃん先に入って……」

セイヨウ「ん、わかった」

ペポ(ふぅ……)バタッ

ペポ、自部屋のベッドに仰向けとなる。
ちょっと目を瞑り、少しだけ休むつもりが、ペポはその内 睡魔に誘われ……。
 ▼ 5 1 20/10/15 15:28:29 ID:BlSYGrXA [5/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜???〜

ペポ(ん……。こ、ここは……?)

荒れ果てた地。
見捨てられたように人気もなく、草や木の一本も生えていない。しかも所々、黒煙が上がっている。
……ボチャタウンとは比較にならない程だ。

ペポ(……俺はなんでこんなところに……)

ペポは考え込むが、思考が回らない。
……その時。

「…………うぅ、く……しく…………し……く」

ペポ(?!)

すすり泣く、少女らしき声。
ペポは確かに、そんな声を聴く。

「死ん……で……死んで……しまった……」

ペポ(な……なんだ、これは)

やがて、声だけでは無くなる。
ペポの眼前に、その声の主らしき少女の姿。
 ▼ 6 1 20/10/15 15:28:43 ID:BlSYGrXA [6/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして。

少女「アイする……ヒト……」

少女は、とある少年を抱えている。
項垂れているその少年は、少女と何の関係があるのだろうか。

少女「ねぇ……」

ペポ「!」

少女「あな……た。もしか……し…………て」

ペポ「うわぁッ!?」
 ▼ 7 1 20/10/15 15:29:06 ID:BlSYGrXA [7/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜翌日〜

セイヨウ「なによー、アンタ。飛び跳ねて起きるだなんて! アタシ、そんな大きな声でアンタを呼ばなかったのに」

ペポ(もう! あの夢のせいだ。また姉ちゃんにバカにされたぞ)

ペポ(……でも)

少女「もしか……し…………て」

ペポ(何なのだろう、あの女の子は。……いや、単なる夢だ。姉ちゃんにオドオドしてる、俺の心の表れの夢だっんだ、きっと)

セイヨウ「……」

セイヨウ「ペポ」

ペポ「ん?」

セイヨウ「ちょっとアタシ、今日、なんか、落ち込んじゃってさ……涼んでくるよ」

ペポ「え、あ、うん」

ペポ(涼んでくる……か)

ペポは知っている。
彼女が傷心となると、決まってその言葉を口にし、“あの場所”に行くのだと。

ペポ(……? でも姉ちゃん、今日、落ち込むようなことなんてあったか? だってまだ、俺たちは起きたばっかりだぞ)
 ▼ 8 1 20/10/15 15:29:23 ID:BlSYGrXA [8/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜タウン〜

大人たち「わっせ、わっせ!」

大人たち「うぉっ、風で飾りが飛ばされる!!」

大人たち「ほら、そこに木の葉のアーチを置く! そこにはそうだな……」

ポケモンたち『パッチャ〜〜♪』

今日も町は、住民とポケモンたちが協力し合い、飾り付けに励んでいる。

大人たち「子供たちに配る菓子の材料も発注したぞ! ペポとかが盗み食いしないように、見張っとかないとな!!」

ペポ「なにが“ペポとか”だ!」

大人たち「ハハハ、ごめんごめん」

ペポ(まぁ、もう何個か“いただいた”けど)

ボクレー『ケドケド』

くすねたアメを噛み砕いた後、ペポは微力に微力ながら、飾り付けに加わった。
 ▼ 9 1 20/10/15 15:29:47 ID:BlSYGrXA [9/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
町長「おぉおぉ、頑張っとるのぉ若い衆。ハッハッハッ!」

大人たち「お、町長! ご足労様です!!」

ペポ(お、見学か……)

ボチャタウンの町長。
彼はこのクロダネ祭のような行事に、積極的に顔を出すのだ。

ペポ「どうも、町長」

町長「おぉ、ペポか! 久しいな、しばらく見ない間にたくましく……はなってないな。身長は……」

ペポ「2日ぶりで、伸びるわけがないでしょう」

町長「そうかそうか、たった2日だったか!」

ペポ(……ったく、この人はおどけてるのかすごい人なのかわからない)

恐らくは両方なのだろう。
村長の一族はこのボチャタウンを一から築き上げた、偉大なる一族だと言うのだから。

……それに。
 ▼ 10 1 20/10/15 15:30:01 ID:BlSYGrXA [10/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
町長「ところでペポよ。2日ぶりに姉のセイヨウとも話したいのだが……どこに居るのかな?」

ペポ「……姉ちゃんなら、『永紅の大樹』のところに居ると思います」

永紅の大樹とは、タウンの中心広場にそびえる樹のことだ。
驚くべくはその大樹、なんと一年中、その葉は紅葉なのだ。『永紅』の名はそこから来ており、特に祭りの時期には、一際 色鮮やかに紅葉を色付かせる。

ペポ「ちょっと呼んできます。おーい、ねーちゃあーーん……」テクテク

大人たち「ペポ、あれで走ってるつもりかねぇ」

町長「……フフ、若い……若い。本当に……若いというのは良いことだのぉ」
 ▼ 11 1 20/10/15 15:30:27 ID:BlSYGrXA [11/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
大広場 永紅の大樹──


セイヨウ(……)

ペポ「ねーちゃーんぅ、迎えにきたぞー」

セイヨウ「! ……ペポ!!」

ペポ「え、どうしたんだよ、そんなに……驚いて」

セイヨウ「う……」

セイヨウ「うぇええぇぇぇえーーん……」ガバッ

ペポ「え」

セイヨウ、ペポに抱きつき、さめざめと泣きじゃくった。

ペポ「ちょ、ちょっと……」

彼は、赤面する。

ペポ(そんなに落ち込むことがあったのか……? 姉ちゃん、こんな強気な姉ちゃん……が……)
 ▼ 12 1 20/10/15 15:30:45 ID:BlSYGrXA [12/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セイヨウ「……あ!」

ハッとした様子で、セイヨウがペポを見つめる。

セイヨウ「ご、ごめんね。ちょ、ちょっと……ね。イヤな夢を見ちゃって。ごめんね……ペポ、ごめんね……」

ペポ「あ、うん、どういたしまして」

その言葉はないだろうと、彼は言った後に思う。

ペポ(……夢?)

セイヨウ「なんかさ、アンタと同じような男の子が、死んじゃってる夢。で、アタシと同じような女の子が、それを抱えてるの……」

ペポ「!」

ペポ(俺が見た夢と、同じ!? ……単なる偶然か?)

セイヨウ「アンタが死んだら悲しいなってアタシ思っちゃって……アタシさ、落ち込んだ時はここに来るんだ」

真っ赤な紅葉を見てると、ブルーだった心が、紅葉で癒やされていくから。
だから決まって、ここに来るんだ。
 ▼ 13 1 20/10/15 15:31:04 ID:BlSYGrXA [13/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セイヨウ「町長が?」

ペポ「うん、話したいことがあるんだって」

町長「そうじゃよ」

ペポ&セイヨウ「……え!?」

『町長、いつの間に!?』と二人が言葉を発する間もなく。

町長「若いのは良いことだ。さすがにペポを追い越すことはできんかったの。なーに、茶目っ気じゃよ、茶目っ気」

セイヨウ「なんですか? 町長。ペポを追い越すって……別にアタシに話すことなんて、ペポに聞かれていても」

町長「いーや、お主はもう精神的には充分大人。まだ未熟な子どものペポには聴かれたくないのじゃ。つまり大人の話し合いじゃよ、ペポ」

ペポ「どう……いう」

町長「『離れていなさい』、ということだ」

ペポ「!!」

町長のいつものおどけた態度とは違う鋭い目付きに、ペポは驚く。

ペポ「じゃ、じゃあ、離れているよ……」

町長「あぁ、なーに、そんな大したことではないから。な、セイヨウ」

セイヨウ「? え、は、はい」

ペポ(……?)
 ▼ 14 1 20/10/15 15:31:25 ID:BlSYGrXA [14/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その夜──


ペポ(姉ちゃん、遅いなぁ……。もう夜だぞ、そんなに町長との話が長引いているのか)

バタン。

ペポ(お)

セイヨウ「……ただいま、ペポ」

ペポ「?」

『まだ落ち込んでいるのか』と思ったが、あの泣きついてきた時からは、様子が少し違うとペポは感じる。

まるでセイヨウは、何かを『覚悟』したような、そんな凛々しい表情を湛えているのだ。

ペポ「り、料理作ったからさ、食べなよ……姉ちゃん」

セイヨウ「おー、ありが……ゲッ」

コイキングの頭が載ったパイらしいものや、きのみを焼いて煮て炒めたらしい盛り合わせ。恐らくは水以外のもので炊いたのであろう、紫色のライス。デザート?には、キャンディの盛り合わせだ。

ペポ「クロダネ祭っぽく、仕上げてみたんだ! ボクレーも頑張ったんだからね!」エヘンッ

ボクレー『ラネ!』エヘヘンッ

セイヨウ「……食欲ないから、今はそのアメだけ頂くよ。あとは冷凍でもしといて……」

ペポ「えー?!」

………
……
…
 ▼ 15 1 20/10/15 15:31:46 ID:BlSYGrXA [15/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
寝室──


セイヨウ「美味しかったよ、アメ」

ペポ「それ以外も美味しかったんだけどなぁ」

隣り合わせで、二人はベッドに入っている。

ペポ「『ふしぎなアメ』くすねたんだ、大人たちから」

セイヨウ「アンタそういう技術はあるよね。……もうちょっと、料理の方もレベルアップさせなよ」

……。

セイヨウ「ねぇ、ペポ。アンタ病気になったこと、覚えてる?」

ペポ「病気?」

セイヨウ「あぁ、やっぱ覚えてないんだ。呆れた。アンタ……死にかけたのよ?」

ペポ「お、俺が?!」

セイヨウ「あれはね──」

数年前。
アンタがまだ、今以上に未熟だった頃。
 ▼ 16 1 20/10/15 15:32:12 ID:BlSYGrXA [16/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペポ〈ハァ、ハァ……〉

当時流行っていた伝染病。
高熱。いくつもの発疹。体中の脱水。下痢や嘔吐。
それらの症状が、アンタを襲ったのよ。

セイヨウ〈ペポ! しっかりして、ペポ……ペポッ!!〉

──アタシたちは、『孤児』だった。

ペポ「……うん、で……。町長に面倒を見てもらって、僕たちは生きてきたんだ」

町長には、恩がある。

セイヨウ「……でもその町長でも、アンタの病気を治せるお医者さんは……見つけられなかった」

ペポ「え……」

セイヨウ「……でもアタシは、希望を捨てれなかった。アタシは……祈ったの」


セイヨウ(神様……!)

どうか、どうか!
ペポを、ペポを治してあげてください……!!
 ▼ 17 1 20/10/15 15:32:32 ID:BlSYGrXA [17/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セイヨウ「……その後、アンタの病は治った。アタシのちっぽけな祈りが、神様に届いたのだと思った」

ペポ「そんな……ことが……」

セイヨウ「でも、そんな迷信染みたことだけじゃない。町の大人たちも、アンタのことを懸命に看護し続けた。アンタが完全に治るように、応援続けたのよ」

ペポ「町の……大人たちも……」

セイヨウ「アタシの想いだけじゃない。町のみんなの想いがあって、今アンタは生きている」

セイヨウ「──ペポ、元気でね」

ペポ「え……」

『元気でね』

何故 姉は、そんな今生の別れのような言葉を発するのだろうか。
ペポは、嫌な予感がした。

ペポ「姉ちゃ──」

セイヨウ「……」クー…クー…

しかし姉は、既に寝入っていた。

ペポ「…………」

今、ペポの顔付きは変わった。
愛する者を護ろうとする、漢の顔となった。
 ▼ 18 1 20/10/15 15:33:04 ID:BlSYGrXA [18/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数日後〜

タウンの中央広場で催される、クロダネ祭の当日。

大人たちが屋台を出しているのはヒメリをアメでコーティングしたものや、ナナにチョコをトッピングしたもの等のお菓子。

そしてそれらを貰おうとする子どもたちは、ゴーストタイプのポケモンの仮装姿だ。
恥ずかしがる子もいれば、ある掛け声で元気よくねだる子もいる。

『トリック・オア・トリート!』の掛け声で、お菓子は無料で貰えるのだ。

その他にもおどろおどろしい骨やカボチャの玩具や、鮮やかなイルミネーションで飾り付けられた広場は、大いに賑わってた。

ペポ「おー、美味しいなチョコナナは。ジャンケンに買って3本ももらっちゃったよ」

……。

ペポ(姉ちゃんは……)
 ▼ 19 1 20/10/15 15:33:17 ID:BlSYGrXA [19/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
実は祭り当日、セイヨウは家から忽然と姿を消したのだ。
祭りを楽しむ素振りを演じつう、不穏な姉の安否を案じ、捜索する。

……その時。

ペポ(……うっ)

当然、ペポの脳裏に映像が浮かぶ。

ペポ(な、なんだ……!?)

ペポの意識は、その映像に引きずり込まれた。

………
……
…
 ▼ 20 1 20/10/15 15:33:46 ID:BlSYGrXA [20/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年〈じゃあ、行ってくる……愛する人〉

少女〈……えぇ〉

ペポ(この人……たちは?)

恐らくは恋人同士であろう、その二人。
少年は、『行ってくる』と言い少女の元を離れる。


ブウゥン……。


ペポ(!)

〈やつらを倒せ! 滅ぼすのだ!!〉

〈負けるわけにはいかぬ! 討ち取れぇ!!〉

ペポ(これは……)

場面変わり、どこぞやの紛争の場。
大人たちが武器を持って争っている。

少年〈う……〉ドサッ

ペポ(!)

その中に、あの少年がいた。
少年、攻撃を受け……倒れ込む。


ブウゥン……。


更に場面が移り……。
 ▼ 21 1 20/10/15 15:34:09 ID:BlSYGrXA [21/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女〈……なんで。どうし……て……〉

既に物言わぬ少年を抱く、少女。

ペポ(! もしかして、この少女と少年は……あの時の……夢の?)

ペポは周りを確認する。
確かにあの時の荒れ地だ。

荒れ地となった原因は紛争によるものだったのか、と彼は考える。


ブウゥン……。


ペポ(今度は……どこだ……。ここは……)

荒廃した、とある地。
そこに、一つの“芽”が咲いている。

そして……。

ペポ(!)

ザシュッ!

先ほどの女性と思わしき人物が自ら首を刎ね、その血は……。

ペポ(え……)

芽に降り注ぐ……血。
その芽は、真紅に染まっていた。
 ▼ 22 1 20/10/15 15:34:29 ID:BlSYGrXA [22/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブウゥン……。


ペポ「うっ……」

元いた広場に、意識が戻る。

《向かいなさい……》

ペポ「っ……!?」

そしてペポが耳にする、美しき謎の女性の声。

《あの芽が育った木こそ、『永紅の大樹』。向かいなさい。あなたの愛する人は、そこに居ます》

…
……
………

ペポ(……行かなきゃ)

声を聴いたペポ、大樹の元に向かう。
 ▼ 23 1 20/10/15 15:34:57 ID:BlSYGrXA [23/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペポ「……」

立て看板があり、そこには『祭りの用具保管のため、立ち入り禁止』とある。

ペポ(そんなの知るか!)バキッ

看板を破壊し、ペポは先に進む。


そして 永紅の大樹──


ペポ「!」

セイヨウ「うっ……うぅ……」

町長「ぬぅ……ペポ!?」

なんと町長が、セイヨウの首を締めているのだ!
 ▼ 24 1 20/10/15 15:35:12 ID:BlSYGrXA [24/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペポ「! ボクレー!!」

ボクレー『クレァーーッ!!』ドガッ

ペポ、咄嗟にボクレーに命じ、町長を攻撃する。

セイヨウ「ケホッ……」ドサッ

セイヨウの身体が、地面に落ちる。

町長「邪魔立てを……看板があったハズだが」

ペポ「どういうことだ町長! なんで……姉ちゃんを」

町長「クックッ……正確には、『町長』ではない。私は……」ボワンッ

ペポ「!」

そう言うと村長の口から黒い煙が現れ、その煙は次第に形を造っていく。

……その煙塊は……。
 ▼ 25 1 20/10/15 15:35:29 ID:BlSYGrXA [25/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
煙塊『我の名は、ブラック・シード……』

悍しい声で、煙塊は名乗った。

ペポ「ブラック・シード……!?」

B・シード『お主らがクロダネ様などと奉っているのが、その我よ。ゲムアゲムア……』

セイヨウ「な、なんて汚い笑い声……」

町長「うぅ……」

倒れている町長と、セイヨウ。

ペポ(ふ、二人を……助けなきゃ)

B・シード『ゲムアゲムア、なぜセイヨウを襲ったか? 話は変わるがこの大樹……なぜ一年中紅葉を維持しているか……わかるか??』

ペポ「な、なに……?」

B・シード『……紅葉ではない。この葉の色は、血の色なのだ。生贄共の、血の……な!』

ペポ「!!」
 ▼ 26 1 20/10/15 15:35:42 ID:BlSYGrXA [26/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当時ここは、紛争により滅んでいた。
その戦争で死んだ人間たちの怨念により、我は生まれた

B・シード『我が……芽が……咲いたのだ』

ペポ(あの……映像の……?)

B・シード『? 知っているような顔をしているが……。まぁいい、つまり我の本体たる『大樹』が成長すると共に、この町も栄えた。いや大樹の力により、この町は繁栄したのだ!』

ペポ「なんで……姉ちゃんを殺そうとした!」

B・シード『フン。大樹が永紅たるには、生贄の力が必要なのだ。若者の血が……だから殺すのだ。そのためにしばしその町長に乗り移ったのだが』

ペポ「そんな……」

B・シード「ゲムアゲムア。さぁ……ここで、愛する姉と共に死ね、ペポ!」

ペポ「うっ……!」
 ▼ 27 1 20/10/15 15:36:11 ID:BlSYGrXA [27/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……その時。


『そうは行きません。ブラック・シード!』

ザアァァ……。

ペポ「!!?」

B・シード『グ……グアァァッ!?』

雨が降ったのだ。


タウンでは──


大人たち「え、雨が降って来たぞ!?」

大人たち「おいおい、これじゃあ今日の祭りは中止だな……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

少女『これは、“私たち”の悲しみ。お前の生贄となった私たちの……悲しみの涙です! お前の身体を……浄化させる!!』

B・シード「グ……ここは退く! だがペポ、お前にしばしの猶予をやる! 」

ペポ「!」

B・シード「セイヨウかペポ、どちらかの命を我に捧げよ!! さもなくば……この町の住民を皆殺しにする!!」

ボワァァ……。

そう言い残し、ブラック・シードは去って行った。
 ▼ 28 1 20/10/15 15:36:35 ID:BlSYGrXA [28/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数時間後 ペポの家〜


町長「……そんなことが」

セイヨウ「どうやら町長、数日間の記憶がないみたい」

ペポ「……姉ちゃん」

セイヨウ「ペポ……アタシでよかったのに。ブラック・シードに言われたの。ペポや他の皆が生きるこの町を支えられるのなら、アタシで」

ペポ「……違うんだ、姉ちゃん」

セイヨウ「え……?」
 ▼ 29 1 20/10/15 15:36:57 ID:BlSYGrXA [29/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『アタシの想いだけじゃない。町のみんなの想いがあって、今アンタは生きている』

ペポ「姉ちゃんは前にそう言った。それは正しくて、同時に逆のことに言い換えられる」

ペポ「──僕らがいるからこそ、この町は生きているんだ。決して生贄なんか出しちゃいけないんだ」

セイヨウ「ペポ……」

ペポ「すぐ帰ってくるよ、姉ちゃん。『ブラック・シード』の弱点の目星は付いている」

セイヨウ「ペポ……」


ペポ「『じゃあ、行ってくる……愛する人』」


あえてあの言葉を言い、ペポは大樹の元に赴いた。
 ▼ 30 1 20/10/15 15:37:15 ID:BlSYGrXA [30/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜永紅の大樹〜

B・シード『ペポか。ゲムアゲムア。ほう、お主が生贄となるか』

ペポ「俺の答えは……」

ペポ「──これだ! いけ、ボクレー!!」

ボクレー『ボクゥーーッ!』

B・シード『ふん、愚かな。無駄だ……ゲムアーーーッ!!』ドォッ

ボクレー『クレーッ!』ドカッ

互いに、体当たりだ。

ボクレー「……ゥ」

ボクレー、苦悶の表情を浮かべる。

B・シード『ムァーーーッ!!』ムギュッ

ボクレー『レレェ……』

ブラック・シード、ボクレーの身体を締め付けにかかる。

B・シード『ゲムアゲムア、やはり我の方が地力は上……諦め……』

B・シード『……!?』

だがブラック・シード、ペポの姿が消えていることに気づく。
 ▼ 31 1 20/10/15 15:37:30 ID:BlSYGrXA [31/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペポ「……俺なら、ここだよ」

B・シード『き、貴様……いつの間に!』

ペポ「スリとか得意なんだ。……気配を消すことが、得意だから……」

B・シード「お前、なにを……」バッ

ボクレーを離し、ブラック・シードはペポに飛びかかろうとする。

ペポ「気になっていた。この本体を燃やせば、ブラック・シード……お前はどうなるか!!」

B・シード『や、やめろぉ……』

ペポ「──お前は滅びる!!」ボオォッ

『永紅の大樹』が、燃え上がった。

B・シード『ゲ……ゲムアーーッ!?』

ペポ「だからこそ、お前はこの木を永紅とし、神格化させた! 手を出す輩を居なくするために!!」
 ▼ 32 1 20/10/15 15:37:43 ID:BlSYGrXA [32/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
B・シード『うおおおぉぉっ! やめろ……やめろぉ!! 貴様……私がいなくなったら……この町は』

ペポ「──僕らが支える」

この町は、今を生きる者たちが支えるべきだ。
住民が支え合わない町など……元から滅びるのだから。

B・シード『グ……グゲキャア厶アァァァアァッ
!!』

ボオォォ……。

ペポ「……」

後には、燃え尽きた木だけが残った……。
 ▼ 33 1 20/10/15 15:37:58 ID:BlSYGrXA [33/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ペポ……ペポ……」

ペポ「!」

ペポ(この声は……)

クロダネ様「ペポ……私です。クロダネです」

ペポ「! でも、クロダネ様は、あのブラック・シードじゃあ」

クロダネ様「あのような名を騙る者ではない。私こそ、あなたが夢でみたあの少女。恋人を無くし、世を儚み最初の生贄となった……“クロダネ”です」

ペポ「そうだったのですか……」

クロダネ様「私たちのような悲劇を出してはいけない。ペポ、あなたの言うとおりです」

住む者が支え合えば、町は滅びない。

クロダネ様「私もいつまでも、この町を見守っています。私が大好きだった、この町を……」

……。

ペポ「クロダネ様……」

………
……
…
 ▼ 34 1 20/10/15 15:38:18 ID:BlSYGrXA [34/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数日後〜

セイヨウ「祭り、延期になっちゃったね。そういえば村長、なんか苦しそうだったけどどうしたの?」

ペポ「村長にあの取っておいた俺の料理を食べさせたんだ。なにせ取り憑かれていた分、栄養付けさせて挙げなきゃと思って……やっぱ、傷んでたのかなぁ」

セイヨウ(それ以前の問題だと思う)

あれから二人は、元気そうだ。

ペポ「……大樹のあった所、さすがに何もないのはどうかなと思って、新しく芽を植えたんだ」

セイヨウ「なんの木の芽?」

ペポ「ヒメリの木と、ナナの木」

セイヨウ「……食べれるものばっかじゃん」

ペポ「ヒメリアメもチョコナナも食べれるし、いいと思うよ。で、水やりは住民で交代交代で」

セイヨウ「交代交代かー」

ペポ「これもさ、住民で協力し合ってるってことだから! この小さな芽を……」
 ▼ 35 閲覧ありがとうございました 20/10/15 15:39:14 ID:BlSYGrXA [35/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ちいさな め を
ひとりひとり で そだてていこう

ちいさな まち には
ひとりひとり の おもい が いきている

そして そだった おおきな き は
ひとりひとりの おもいの あらわれなんだ

《バチャタウン 童謡》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
………
……
…

ブラッド・リーフと黒種の祭 ー完ー
 ▼ 36 フシギバナ@あおぼんぐり 20/10/15 21:53:17 ID:PHE614MI NGネーム登録 NGID登録 報告
乙
 ▼ 37 作者です 20/10/20 23:28:30 ID:GcF6/SWY NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ところどころ誤字ってます
すみません
 ▼ 38 オーダイル@いんせき 20/11/08 16:25:17 ID:U2ykIpFI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙あげ 
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