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SS

【鬱?】ユキメノコ事件【SS】

 ▼ 1 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:18:07 ID:DDxjVMuQ [1/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プロローグ1

209番道路にあるロストタワーが何者かに爆破されました。

瀕死のイシツブテが倒れており、警察は関係を調べています。


テレビコトブキ
9月某日のニュースより



スキンヘッドの男が変死

スキンヘッドの男2人が昨夜、ズイタウン郊外で死亡しました。

彼の友人によると彼らは急に苦しみだし、「ロストタワー……ごめんなさい、ごめんなさい……」と言ったようで、先月の事件と関係していると思われます。

死因の特定が急がれます。


ポケモン新聞社発行
ポケモン新聞10月某日のニュースより
 ▼ 2 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:18:35 ID:DDxjVMuQ [2/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プロローグ2

うむ。なかなかの出来だ。

本屋の平台に積まれた『ユキメノコの想い』。

私はそれの編集者だ。はっきり言って、出来はなかなか。しかしその作者は知名度も低く、本にするのは絶望的だった。

しかし私はそれを本にした。

これが売れ筋になれば、私の社内の地位もあがるだろう。

しかしそれだけではない。
 ▼ 3 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:18:56 ID:DDxjVMuQ [3/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(作者)「また来たの?」

男(編集者)「ああ。出版おめでとう」

女「ありがと。ま、あがってよ」

男「わかりました」

正直に言うと、内容はなかなかなのだが、雪山で死んでしまった女性がユキメノコになり、それでも人間の男を愛し続けるというのは私からすれば甘すぎてへどが出そうである。

それでも本にしたのは、世間の女性はこういうのを求めているから。そして。
















彼女の体が魅力的だったからである。
 ▼ 4 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:19:24 ID:DDxjVMuQ [4/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「では、今夜もよろしくお願いします」

女「まあいいけどさ。あたし、今日を最後に、もうあんたとヤル気はないから」

男「は?」

まぬけな声をあげてしまった。

男「何言ってるんですか? あなたの本を出版まで持って行ったのは、私ですよ?」

冷静を装い、あくまでも優位にいるのは私だと言う事をわからせるために言う。

女「そう。それは感謝してる。だからあんたと今まで付き合ってあげた。でもね」

そこで女は一息ついた。そして、私は次の発言を許す事ができなかった。その生意気さが。

女「出版されてしまえば、売れる。もう、あんたの助けはいらないわ」

女「だから、もうあんたとはきれるわ」

逆上に囚われた私は彼女を押し倒していた。

女は後ろ向きにひっくり返る。

悲鳴は、聞こえなかった。

女が床に倒れた。

頭から滲みだした赤を見て、私は正気に戻った。
 ▼ 5 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:19:49 ID:DDxjVMuQ [5/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何が私をここまで怒らせたのだろう。

拒まれた事か? いや、そうではない。彼女の体は魅力的であったが、彼女そのものは大した事なかった。

だからそうではない。では、なんだろうか?

……恐らく、彼女のなめきった態度だろう。出版されれば売れる、その根性が気に入らなかったのだ。

とりあえず、彼女の死体をどうしよう?

ここは彼女の自宅。

今まで入った事はある。それに今日は、出版祝いという名目があるから、私の指紋があってもなんらおかしくはない。

問題は死亡推定時刻だが、それに関しては彼女の死体が見つからなければそれでいい。

家を荒らせば、恐らく物取りが殺して、怖くなって死体遺棄まで及んだと考えられるだろう。

とにかく、今は昼。一回戻るべきか? 今日は彼女の家には私を除いて誰も来ないはず。

いやしかし……もう一度ここに来るとなるとそれはそれでおかしなことになる。

それはまずい。かといって今から処理するにも、会社の面々から疑われるのはほぼ確実だ。

そうだ。なら、車で死体ごと会社に戻るか。臭いさえごまかせば、ばれはしないはずだ。

まして今は冬。そう簡単に腐らないはずだ。

よし。そのプランで行こう。
 ▼ 6 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:20:09 ID:DDxjVMuQ [6/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
上司「今日は祝いだ。一杯行こう」

男「すいませんが、車なので……」

上司「そうか……」

言い訳をつけて飲みの誘いを断る。時間をとられるだけでなく事実飲酒運転は禁物だ。

それで捕まって殺人が露見したら、笑い話にもならない。

男「お疲れ様でした」
 ▼ 7 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:20:31 ID:DDxjVMuQ [7/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今ここはハクタイ。

確実を期すなら、キッサキ方面のあの雪深い道路に埋めるのが最適だろう。

そう判断して、私は進路を決定した。

臭いはひどくないものの、冬のこの寒い中、暖房を付けられないのは辛い。

ハクタイ・キッサキを結ぶテンガン第一トンネルを抜けると、雪深い216番道路だった。

しばらく進んで車から降りた。

道中のホームセンターで購入したシャベルを使い、作業を始めた。

夜闇に紛れ、誰からも見られていないだろう。

絶対にばれない。その自信があった。
 ▼ 8 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:20:54 ID:DDxjVMuQ [8/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1章

暖房の効いたカフェ。

アイスコーヒーを口に含む。

仕事の途中の至福の時間。

それは、いきなり奪われた。いきなり鳴り始めたスマホによって。

後輩「はいもしもし」

上司「大変な事になった! 今すぐ戻って来てくれ!」

後輩「はい?」

上司「仕事は?」

聞く順序が逆だろと思いつつ答える。

後輩「今は大丈夫です」

上司「大至急だ!」

そう言って電話を切った上司。

後輩「何があったんだろ? ひょっとしてあの作家?」

何かミスしてしまったのだろうか……戦々恐々としながら職場へと向かう。
 ▼ 9 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:21:15 ID:DDxjVMuQ [9/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「え? え?」

敬語も忘れてただただびっくりした。

後輩「女さんが……消えた?」

上司「ああ。男が第一発見者……と言っても死体はない」

後輩「はい?」

上司「彼女の自宅に血の跡があってな、部屋も荒らされていた。犯行時刻もこれじゃわからない」

上司「とにかくこれは物取りの犯行の線だろうが、問題は……」

後輩「メディア……ですか……?」

内心違って欲しい。彼女の安否であって欲しかった。

しかし彼ならそう言いそうだとも思う。はたして彼は。

上司「その通りだ」

小さく肩を落とす。

どうしてこう自分の事しか考えられないようなのが上に立つのだろう。

いや逆か。自分の事だけ考えてるから人の上まで行けるのか。

なんて世の中の理不尽を感じながら話を切り出した。
 ▼ 10 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:21:36 ID:DDxjVMuQ [10/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「で、男さんは一体今どこにいるんですか?」

上司「警察から事情聴取を受けている。とにかく、君、ミステリーが好きでここに入ったと言ったね?」

確かにそう言った。僕は中学生からその魅力にはまり、実際に書こうとした事もあった。

もっとも、僕に文才はなかったのだけれど。

なんて事を、ぼんやり考えていたら。

上司「だから、この事件の犯人を解き明かして欲しい」

後輩「はあ?」

ああもう、さっきから敬語が取れすぎだ。心からの尊敬がないからだろうけどさ。

それはともかくとして。

後輩「何言ってるんですか?! どう考えてもそれは警察の仕事です! それに僕が担当している作家も……」

上司「君の代わりなど、いくらでもいる。あれに担当させるか……」

はあ……僕の代わりがいるというのは、実質君がやめても困らない、つまり受けないと……僕はハロワ通いまっしぐら、と言う事だ。

これだからこの人は嫌いだ。口八丁でわたって来たのは認めるが……

後輩「わかりました、わかりましたよ! やりますよ!」

上司「よろしい」
 ▼ 11 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:21:57 ID:DDxjVMuQ [11/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どう考えても、こんな仕事、編集者の仕事じゃないよ……

でも、やるからには徹底してやる、が僕の信条だ。

こうなったらとことん調べ尽してやる!

上司「まあ、解き明かすというか、この問題に対して取り組んでいるイメージを付けたいだけだがな、はっはっは」

なんて言っているが。

後輩「わかりました。じゃあ、まずは男さんに事情聴取します。どこにいますか?」

上司「ハクタイ警察署だ」

後輩「わかりました。では、行ってきます……あ! ま、後でいっか、引き継ぎ」

上司「いや、一応しておけ。私が伝えておく」

後輩「あ、はい……」
 ▼ 12 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:22:22 ID:DDxjVMuQ [12/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「いきなり出鼻をくじかれたな……あ、先輩!」

男「ああ、後輩さんですか。どうしました?」

後輩「お勤めご苦労様です!」

男「……まるで私が犯罪者みたいじゃないですか」

言ってみたかっただけだ。

後輩「上司さんから事件を調査するよう指示が出て、それで……」

男「ああ、はいはい。事情聴取ですか。なら、カフェでも行きます? 奢りますよ」

後輩「マジで? あ、すいません」

男「いいんですよ。じゃあ、行きましょう」

この人は、尊敬できるか……と言われれば、そこそこできる方だと言わざるを得ない。

しっかり自分を持っているからだ。
 ▼ 13 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:22:45 ID:DDxjVMuQ [13/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さっきいたカフェに帰って来た。

男「まあ、隠す事もないですし、全部話しますよ」

男「と言っても、大した情報にはならなさそうですがね」
 ▼ 14 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:23:07 ID:DDxjVMuQ [14/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昨日は夕方……5時に切り上げて、帰って来ました。職場に帰って来た時間からも、わかるでしょう。

その時には彼女はぴんぴんしていた。

それが今日……12時頃ですかね? ……また向かったんですよ。理由は……なんとなく、ですかね。

やっぱり、自分が担当した作家って、気になるじゃないですか。

後輩「わかります、わかります! 入れ込んだ分だけ気になりますよね!」

男「君は今の所、全部に入れ込んでるように見受けられるんですが?」

後輩「やるからには徹底してやるが信条なんで」

男「ははは、続けますよ、と言ってもほぼ終わりですけど」
 ▼ 15 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:23:29 ID:DDxjVMuQ [15/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カギは、かかっていませんでした。

部屋も荒らされていました。財布も消えていたし、泥棒の犯行でしょう。

でもあの驚愕は忘れがたいですよ。絨毯の赤い滲み、ホントよく耐えたなと思います。

男「以上です」

後輩「なるほど……はあ」

状況は絶望的だ。ただの泥棒が犯人だったら、犯人なんて素人探偵に探せるはずがない。

あれ?

後輩「なぜ、女さんは消えていたんでしょう?」

男「恐らく泥棒も殺人という行為に動揺したのでしょう。それで……」

恐らく呑み込んだのは、死体遺棄という言葉。確かに言いよどむのもわかる。むしろそれが普通だ。

後輩「なるほど……筋は通りますね」
 ▼ 16 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:23:49 ID:DDxjVMuQ [16/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「とにかく、私も協力します」

男「このままじゃ寝覚めも悪いですしね」

後輩「ホントですか? よろしくお願いします!」

アイスコーヒーをすする。

男「この真冬にアイスコーヒーとは……」

後輩「暖房が効いた中での冷たい物は鉄板でしょう」

男「少しはこの星の環境も考えてあげてください……」
 ▼ 17 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:24:11 ID:DDxjVMuQ [17/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2章

ムウマ「お兄ちゃーん!」

ムウマ兄「ん? なんだ?」

ムウマ「遊ぼ?」

ムウマ兄「いいけど……何して?」

ムウマ「ニンゲンを驚かせよ!」

ムウマ兄「ですよねー」

ムウマ「ほら来た。行こ♪」

ムウマ・兄「きゃああああ!」

ラブラブカップル男「うわああああ!」

ラブラブカップル女「きゃ……なあんだ。ムウマじゃない」

ムウマ「大成功♪」

私たちムウマは、怖がる心を吸収して栄養にする。

だからちょっと驚かすぐらいの事は、生きて行くために必要なの。

もちろん、楽しいけどねっ!
 ▼ 18 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:24:33 ID:DDxjVMuQ [18/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロストタワーでの暮らし。驚かされたニンゲンに襲われる事もあったけど、楽しかった。

そう、あの事件があるまでは……

スキンヘッド1「きゃはは! こーんな陰気なとこ、消えた方が世のためだっての!」

スキンヘッド2「だよな! さっき捕まえたこいつ、爆発させようぜ」

1「せやな」

1・2「ぎゃはははは!」

男2人の下品な笑い声が響く。だが、まだそこでは現実の恐怖はなかった。

ムウマ「お兄ちゃん。なんか言ってるよ?」

ムウマ兄「ちょいと追っ払って来るか……」

しかし、次の瞬間、あたしたちは恐怖のどん底へと突き落とされた。

2「イシツブテ、自爆!」
 ▼ 19 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:24:57 ID:DDxjVMuQ [19/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムウマ兄「あいつら……マジだ。やべえ。お前は急いで逃げろ!」

ムウマ「お兄ちゃん?」

ムウマ兄「いいから! 俺も後から行くよ」

その言葉に従ってまっしぐらに逃げる。

お兄ちゃんなら絶対大丈夫だよね! ……そう、信じていた。

爆音が響く。ロストタワーが一瞬にしてただのがれきの山と化していた。

1「大成功!」

ムウマ「うそ……」

さっきまで普通に暮らしていた家。それが、あっという間に……

信じられない。絶対ありえない。そうだ。これは夢だ。

あれ……お兄ちゃん?

ムウマ「お兄ちゃん、どこ? いるなら返事して……ねえ、ねえ! お兄ちゃん! どこ!」

ムウマ「うそ……でしょ? ねえ、冗談やめて! 今そこで、あたしの恐怖を食べてんでしょ? ねえ、ねえったら! ねえ!」




ムウマ「お兄ちゃん、いないの?」
 ▼ 20 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:25:22 ID:DDxjVMuQ [20/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムウマ「お兄ちゃん、死んじゃった?」

ありえないそんな事天地が裂けてもありえないだって。

あたしたち、初めからお化けなんだよ?

死ぬなんて、ありえない。

必死にがれきを避ける。誰かの体が見当たらないかと。

ヤミカラスじゃなくて、あーもう今はゴースもどうでもいい!

こいつはムウマ違いで……いた。

お兄ちゃんが。いや、お兄ちゃんだった物体が。

ムウマ「うそ、冗談やめて……お願い……起きて、起きてよお……うっ、うわあああん!」

ムウマ「ひっく、あいつら……絶対……えぐっ、許さない」

ムウマ「……呪い」

思ったより、いや、必要以上に、私は冷静だった。

あたしの体力が尽きても、復讐を遂げるつもりだった。


その数か月後、彼らは死んだ。

ニンゲンなんて、所詮そんなもろい生き物。そのくせして、命だけは奪っていく、最低な生き物だ。
 ▼ 21 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:25:55 ID:DDxjVMuQ [21/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3章

後輩「他の関係者もあたるんですけど……誰がいますかね?」

男「関係者というよりは、目撃者だろうね。でも今日はもう遅い。一旦帰るべきだと、私は思うがね」

確かに時計を見るともう遅かった。その言葉に従うべきだろう。

いかんせん何時に運び出されたかわからないのだ。時間がわかれば毎日決まった時間に通るような人から情報を引き出せるけど……

後輩「では、そうしますか」
 ▼ 22 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:26:16 ID:DDxjVMuQ [22/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「ただいまあ」

リオル「くわんぬ!」

後輩「おーよしよし、腹減ったか」

リオル「くーんぬ」

首を縦に振りながらそう言うリオルの愛らしさは、僕の心を温めてくれる。

後輩「じゃ、メシ用意するからな」

リオル「くわんぬ!」

喜びの鳴き声も、やっぱりかわいい。
 ▼ 23 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:26:36 ID:DDxjVMuQ [23/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
独り身が孤独でポケモンでも飼うか、と思い、かと言ってトレーナーになれる訳でもなく、ペットとして買うには金がかかり過ぎる。

そんな時、ホウエンのバトル……フロンティアになったんだっけ? でたくさんタマゴが捨てられるから、保護してくれる引き取り手を探している、との情報を聞いた。

一番大きかったのは、無料。この二文字だ。

……はあ。我ながら情けないなあ。

それはともかく、そのタマゴから孵ったのがこのリオル、という訳だ。
 ▼ 24 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:26:59 ID:DDxjVMuQ [24/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「そうだ。明日、一緒に行くか?」

2人の料理を用意しながらそう話を切り出す。

リオル「わんぬ?」

後輩「人の考えてる事が読めるんだろ? リオルって」

リオル「くわんぬ」

深く頷くリオル。その表情に、思わず吹き出る笑い。

後輩「ったく、お前妙にかわいいな。で、その考えてる事を読む力が、どこかでいるかもしれないんだ」

後輩「だから、一緒に来てくれ」

リオル「くわんぬ!」

その明るい表情に同意を感じ取った。

後輩「ありがと」

リオルは、にかっと笑った。
 ▼ 25 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:27:21 ID:DDxjVMuQ [25/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝。

男「これは……」

後輩「これ呼ばわりはひどいですよ。こいつはリオルです。人の考えてる事がわかるんで、役にも立ちますよ?」

リオル「くわんぬ……」

後輩「どうしたんだ?」

どう考えても、先輩に怯えているようにしか見えない。

後輩「この人は悪い人じゃないよ?」

リオル「くわんぬ!」

首を横に振る。

男「どうやら嫌われたみたいですね、ははは」

後輩「すいません」

男「いいんですよ。別に私もポケモンはそんなに好きではないのでね……」

後輩「え? こんなにかわいいのに? あ、すいません。敬語……」

男「君はたまーに素が出ますね。気を付けないと、社会にはそういうのに厳しい人が多いですよ」

後輩「はい……」
 ▼ 26 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:27:44 ID:DDxjVMuQ [26/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオルが何故先輩を嫌うのかはわからないが、とにかく調査を再開する。

後輩「まず、目撃者がいれば話は早いんですけど……」

後輩「とりあえず家に連れてってください」

男「わかりました。こちらです」
 ▼ 27 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:28:06 ID:DDxjVMuQ [27/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「先輩、どうかしました?」

先輩の案内で女さんの家へと向かう途中、先輩が不意に立ち止まった。

まるで、その表情は、何かを、自分にとって不快な何かを見付けたような、そんな感じだった。

男「あ……いや、大丈夫です。行きましょう」

後輩「ホントですか?」

男「大丈夫ですから」

後輩「リオル、どう?」

リオル「くーんぬ」

首を横に振る。

男「はあ、隠せないというのも辛い物ですね。ちょっとめまいがしただけです」

後輩「はあ……」
 ▼ 28 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:28:30 ID:DDxjVMuQ [28/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「ここです」

後輩「へえー」

賃貸アパートだった。とはいえ、駐車場なども完備されていて、そこそこいいアパートではあった。

ジュンサー「あなた……第一発見者の」

男「はい。男です」

ま、そりゃそうか。素人探偵には無能警察がつきものだ。もっとも無能なんて思っていないけれど。

ジュンサー「一体どのような御用で?」

後輩「上司からこの件について調査するように言われまして……」

ジュンサー「はあ……とにかくこの件は警察にお任せください」

後輩「そんな! 僕の首がかかってるんですよ!」

ジュンサー「それはお気の毒ですが、残念ながら捜査情報をお教えする訳には……」
 ▼ 29 1◆J44kAZeDOM 15/08/06 23:28:52 ID:DDxjVMuQ [29/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
警察モブ「ダメです。男さんが帰って以降の人の出入りはありませんでした!」

ジュンサー「あ」

警察モブ「え? あ」

後輩「情報提供ありがとうございます」

前言撤回。やっぱり無能だ。

後輩「となるともうここでの情報はなさそうです。他あたりましょう」

ジュンサー「……捜査情報、広めないでくださいね」

男「わかってますよ」

ジュンサー「ったく、容疑者に情報漏らしちゃって」

彼女としては声を抑えたつもりだったのだろう。しかし苛立ちのせいか、その声は僕たちにも聞こえた。

男「ああ、私、容疑者なんですね。そりゃそうか」

ジュンサー「しまった!」

ははは……ダメだこりゃ。ただの税金泥棒じゃないか。
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