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「少し、旅に出ようと思っているんです」
雲一つない青空の下。鳥ポケモンの飛び交う姿を眺めながら、私は彼にこう伝えた。
青空と同じ色のさらさらの髪が揺れる。
振り返ったその顔には一瞬だけ驚きの表情が見えたけれど、そのあとはすぐにふっと笑みを見せた。
「ミカンさん、世界を見るつもりなんだ」
「ええ。もっともっと、色んな経験をつんで、ジムリーダーとして、一人のトレーナーとして強くなりたいんです」
オレの父さんと同じだな。彼の口がぽつりとそう動いたのが見えた。
彼のお父さんは風来坊だ。もう何年も帰って来ないと聞いている。
北風がびょうと吹き付け、彼はしかめ面をしながら髪を掻き分ける。長く伸ばした前髪は、鬱陶しそうだけど彼のトレードマークでもある。
「あたし、きっと帰ってきます。」
「分かってるよ。……ミカンさんとオレの父さんは違うから」
私に見せる笑顔が、どことなく淋しそうなのは今は気づかないふりをしよう。淋しいと思ってしまえば、2度と踏み出せなくなりそうだから。
「鳥ポケモンは、いつも高みに向かって羽ばたいているんだ。ミカンさんも、頑張って」
「ありがとうございます」
青く広い大空のどこか。私はきっと、強くなる。小さく誓いを立て、私は次の目的地に向かう。