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【ホワイトデーSS】ハルカへのお返し

 ▼ 1 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 09:28:20 ID:ee.AB/HY [1/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
※時間軸はAGホウエン編後半です


*


 次なる目的地に向け旅を続けるサトシ達は、とあるポケモンセンターで昼食をとっていた。


サトシ「……へへっ………このカレー美味ぇなぁ。またおかわり貰っちまった」

マサト「サトシまだ食べるのぉ……? もうそれで4杯目じゃん」

サトシ「午後からやりたい特訓があってな、その為にエネルギーを蓄えたいのさ。その為には美味いモンは腹一杯食うのが1番なんだよ。ハルカ、福神漬けとってくれ」

ハルカ「ハイハイ。 ……美味しいのは分かるけどあまり食べ過ぎないでよ? ここのランチは有料なんだから」

サトシ「分かってるって。これで最後にするよ」


 既にハルカとマサトは食べ終わっている現状である。
 ▼ 4 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 09:44:11 ID:ee.AB/HY [2/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 タケシは大皿をハルカの前に置き、もう片方の手でハルカの頭をポンっと叩いた。


タケシ「さ、ハルカ。遠慮なく食べてくれ」

ハルカ「…………タケシならって期待してたわ。本当に嬉しい……ホントにありがとう」

タケシ「ハハッ……これでおあいこだな」

マサト「(??? え?どゆこと……?)」


 ハルカとタケシは穏やかに笑い合い、暖かなムードに包まれている。
 しかしサトシとマサトはそんな状況が飲み込めず、タケシへ質問を放った。


サトシ「……なぁタケシ、俺達の分は無いのか……? それかなりの量あるし4等分しようぜ」

マサト「そうだよ!! 僕も食べたいのに……お姉ちゃんだけズルいじゃないか」

タケシ「おいおい2人とも……今日が何の日か忘れたのか?」

マサト「え?」

ハルカ「今日は3月14日♪ ホワイドデーよ」

マサト「…………あっ……」


 …………そう、本日は3月14日。ホワイトデーだったのだ。

 ハルカは1ヶ月前、旅仲間3人へバレンタインチョコを渡していた。
 タケシはそのお返しということで、バウムクーヘンを作ったのである。
 ▼ 5 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 09:51:48 ID:ee.AB/HY [3/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


ハルカ「今朝の買い出し時にタケシが材料買ってくれてね♪ 私に作ってくれてたのよ」

マサト「 (そういえば、2人で朝買い出し行ってたっけ…………成る程ね)」

 ハルカが上機嫌だった理由もマサトは理解し、心底納得の表情を浮かべた。

マサト (……あーもう! 僕の馬鹿ッ!!)


 そして同時に、今日の日付をすっかり忘れていた自分を責めた。当然、マサトはお返しを用意していなかったのだ。

 …………しかし、サトシは忘れている以前の問題だった。


サトシ「……なぁハルカ、”ホワイトデー”ってなんだ? 白い日ってなんだよ」

マサト「…………えぇ……」

ハルカ「…………そこからぁ?」

タケシ「 (まあ……サトシだしな……)」

 
 タケシとハルカは良い機会だと思い、サトシへホワイトデーの説明を始めた。
 ▼ 6 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 09:57:09 ID:ee.AB/HY [4/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケシ「…………サトシ、お前1ヶ月前にハルカからチョコ貰っただろ?」

サトシ「え? ああ……。その日は確か………バレンタイン、だったっけ?」

タケシ「そうだ。女性から男性へチョコを送る世界共通の文化。それが”バレンタインデー”だ。ここまでは良いな?」

サトシ「お、おう……」

ハルカ「ホワイトデーっていうのは、その逆よ。男の子が女の子にプレゼントを上げる日なの」

サトシ「…………へぇ。そんな日があったんだな」


 サトシは未知文化の存在を知り、驚嘆の声を上げた。
 ▼ 7 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 10:01:15 ID:ee.AB/HY [5/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「でもさ、プレゼントを上げるってんなら誕生日があるじゃないか。年に2回もそんな日いるか?」

タケシ「野暮な事言うなよ……何回あったって良いさ。そんなこと言ったら、女性にとってバレンタインは何の為にあるんだ?」

サトシ「た、確かに……」



ハルカ「元々はバレンタインしか無かったそうよ。でもある製造会社が『お返しする日を作ってはどうか』って提案を出して生まれたんですって」

マサト「お姉ちゃん博識だねぇ」

ハルカ「(Wikipediaに載ってたかも♪)」

タケシ「その案を出した人は大変立派だったと思うぞ……。お姉さんからいただく日があるかもしれないのに、そのお返しをする日が無いなんて不平等じゃないかッ!!! 男尊女卑はあってはならないんだッッ!!!」

マサト「タケシったら大袈裟だなぁ……」
 ▼ 8 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 10:22:22 ID:ee.AB/HY [6/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


サトシ「…………要するに、バレンタインのお返しをする日ってことか」

ハルカ「that's right! そういうこと♪」

サトシ「…………」


 サトシは今日が何の日かをようやく理解し、内心で罪悪感が芽生えていた。

 ……1ヶ月前、バレンタインのあの日。
 ハルカは必死で走り、数量限定の高価チョコをプレゼントしてくれた。
なのに…………自分はそのお返しを完全に忘れていた……否。お返しする文化自体を知らなかった。

 サトシはそんな自責の念を抱えてしまったのである。
 ▼ 9 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 10:27:10 ID:ee.AB/HY [7/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ハルカ………その……ごめん。俺料理出来ないし……何もお返し用意してないや」

ハルカ「別に良いわよ。サトシはどうせ忘れてるって思ってたし、元々期待してないかも」

サトシ「うっ……」

ハルカ「(………お返し目当てであげた訳じゃないんだから)」

タケシ「まぁ気にするな。ホワイトデーはバレンタインと比べて認知度が低いんだ。マサトみたく、日付を忘れててお返し無しってのも珍しい事じゃないからな」

マサト「うぅ……。返す言葉も無い………ごめんねお姉ちゃん」

ハルカ「アンタ今までもくれた事無いじゃない。今更何言ってんのよ」



ハルカ「私はタケシから絶対美味しいケーキを貰えたんだから! もうこれで十分かも」

タケシ「…………そういう訳で、このバウムクーヘンは今日はハルカに独占して貰う。2人とも悪いな」

マサト「…………分かった。また今度作ってね」

タケシ「おう、任せとけ!」

サトシ「…………」
 ▼ 10 モジャンボ@にじのせきばん 22/03/14 10:27:24 ID:IXMstC46 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 11 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 11:12:26 ID:ee.AB/HY [8/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


ハルカ「………う〜ん美味しいッッ!!! やっぱりタケシの作る料理は最ッ高!!!///」

タケシ「喜んでもらえて良かったよ。口に合わなかったらどうしようかと思ってな……」

ハルカ「タケシが作ってくれたバウムクーヘンが美味しくない訳無いじゃない! 本当にありがとね!!」

タケシ「どういたしまして。 ……しかしこのカレーも美味しいな。是非レシピを参考にしたい…………」

「「………」」


 ハルカはタケシから貰ったバウムクーヘンを、タケシは一足遅い昼食を、2人とも美味しそうに頬張っていた。
 サトシとマサトは無言で2人を見ていたが…………

 サトシはある決断を下し、席を立った。


サトシ「………みんな、俺ちょっと外行ってくる」

タケシ「ん? 別に構わないが……どこ行くんだ?」

サトシ「タケシ達が今朝行ってたショッピングモールだよ。俺もハルカへのお返し、今から買ってくる」
 ▼ 12 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 11:23:36 ID:ee.AB/HY [9/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルカ「!!! そんな……サトシ、午後からやりたい特訓あるんでしょ? 無理して行かなくて良いわよ……」

サトシ「いいや、行く。あの日チョコを貰ったのは俺も同じだ。お返しがタケシからだけなんて、それこそ不平等だろ?」

マサト「………!」

サトシ「特訓はいつでもできるけど、ホワイトデーは1年で今日だけじゃないか。この機を逃したくないんだ」


 1ヶ月前のあの日、とびっきり美味しいチョコをハルカは3人へ渡した。
 やはりサトシの中で、”お返しをしない”という選択はしたくなかったのである。

 ……そして、それはマサトも同じ思いだった。



マサト「…………サトシ、僕も行くよ」

ハルカ(!! マサトまで……)
 ▼ 13 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 11:28:39 ID:ee.AB/HY [10/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「マサトも来るか! よっしゃッ!! 2人でタケシの手作り以上のプレゼントあげようぜ!!」

マサト「うん! じゃあね2人とも!!行ってくる!!! 」


 サトシとマサトは固い結束を交わし、ポケモンセンターの外へ駆け出して行った。



タケシ「お、おい!! ……ったく。朝アイツらも連れてくれば良かったな……」

ハルカ「…………もうっ、別に3人からもお返しなんて要らないのに……」

タケシ「……バレバレの嘘をつくな。声が上擦ってるぞ」

ハルカ「ふふっ……人にした良いことって、やっぱり返ってくるのね」

タケシ「バレンタインでハルカが送った思いは、しっかり伝わってたのさ…………良かったな」

ハルカ「うん!!!」
 ▼ 14 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 12:02:44 ID:ee.AB/HY [11/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 …………サトシ達はポケモンセンター近辺に位置する、とあるショッピングモールへやって来た。


サトシ「……さて、張り切って飛び出して来たは良いモノの………」

マサト「バレンタインでお姉ちゃんが買ってたチョコ専門店……この近くには無いんだよねぇ………何買う?」

サトシ「そうだなぁ………」


 ハルカから貰った高価チョコのお返し……そしてホワイドデーを忘れていたお詫び……
2人はこの2つを兼ね、なるべく良質なプレゼントを送ろうと考えたのだ。
 ▼ 15 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 12:05:40 ID:ee.AB/HY [12/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「所持金はそんな無いし……かと言って安物で済ませるのも悪いしなぁ………うーん……」

マサト「そんな悩む必要無いんじゃない? お姉ちゃんが喜びそうなの買おうよ」

サトシ「ハルカが喜びそうなのと言えば…………可愛い物や美味いモンだな」

マサト「お姉ちゃんは好き嫌い無いし、食べ物なら失敗は無いと思うよ」

サトシ「…………コロッケ買いに行くか」

マサト「それサトシが喜ぶモノでしょッ!!!チョコのお返しが揚げ物って呆れられるよ!!?」

サトシ「うっ……冗談だよ冗談」

マサト「…………無難にお菓子売り場行こう。 きっと良いモノ見つかるって」

サトシ「……だな。りょーかい」


 2人は菓子専門コーナーへ向かった。
 ▼ 16 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 12:18:39 ID:ee.AB/HY [13/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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サトシ「………良し、着いた着いた……おぉ!!」


 サトシとマサトは菓子専門コーナーへ立ち入り、その圧倒的物量に驚嘆の声を上げた。


マサト「見て見てサトシ! 見た事無いお菓子がいっぱいあるよ!!」

サトシ「ああ! どれも美味そうだなぁ……こん中から選べばハルカもきっと喜ぶぞ!!」


 …………しかし、ここで1つの問題点が浮かび上がった。
 あまりにも数が多すぎる為、何を買うのが最善なのか、2人には分からなかったのである。
 ▼ 17 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 12:37:50 ID:ee.AB/HY [14/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マサト「……どうする? 出せる範囲で一番高額なヤツ買おうか?」

サトシ「それも良いけど……量が多いのを選べば良いんじゃないか? ハルカも沢山貰った方が嬉しいだろ」

マサト「大切なのは量より質だよ。既にお姉ちゃんはタケシの手作り貰ってるんだから」

サトシ「それもそうだな…………あ、そうだ!」


 ここで1つ、サトシの頭に名案が浮かんだ。


サトシ「ここの店員さんに何が良いか聞こうぜ! きっと良いおススメを教えてくれるさ!!」

マサト「成る程ね。サトシナイスアイディア!!!」


 2人は早速、近くにいた見回りの店員に声を掛けた。
 ▼ 18 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 12:50:52 ID:ee.AB/HY [15/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「すみませ〜ん!!!!」

店員「! いらっしゃいませ!!! ……お客様、ご要件は何でしょうか?」

サトシ「俺達、今日のホワイドデーで友達へ送るプレゼントを買いに来たんです」

マサト「でも僕達じゃ選べなくて……この店にあるおススメを教えてくれませんか?」

店員「………かしこまりました。ご案内しますのでついてきて下さい」

マサト「有難うございます!!!!」

サトシ「(良しっ………店員さんに任せれば安心だな)」


 サトシはホッと一安心し、マサトと共に店員の後を追った。
 ▼ 19 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 13:25:42 ID:ee.AB/HY [16/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


店員「…………お客様。本日プレゼントをお送りする方に、何か伝えたいメッセージ等はありますか?」

マサト「え?」

サトシ「いや、特には………。単にお返しをしたいって思いで来たんで」

店員「バレンタインが女性から男性へ感謝を述べる日でもあるように、ホワイドデーのお返しにも実は意味があるんですよ」

サトシ「…………へぇ。マサト知ってたか?」

マサト「全然知らなかった……」

店員「ふふっ……ホワイドデーの面白い所は、お返しする品によって意味が違う所なんです。送る品がチョコに限定されているバレンタインでは味わい難い楽しさがあるんですよ♪」

サトシ (……ホワイトデーって今日初めて知ったけど……結構奥が深いんだなぁ……)

マサト (この人よく喋るなぁ……)


 サトシは未知なるホワイトデーの実態に感心を抱き、マサトは想像以上に饒舌な店員に少し引いたようである。


店員「今からおススメのお菓子ごとに紹介していきますね。是非ご自身の気持ちに合ったモノを選んでみて下さい」
 ▼ 20 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 14:27:15 ID:ee.AB/HY [17/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 …………店員がまず最初に紹介した品は、”マカロン”だった。


マサト「あ! これ見た事ある!!」

店員「こちらホワイドデーでは非常に人気商品となっております。女性からの人気も高いので、プレゼントとして送れば落胆させることは無いでしょう」

サトシ「(…………ちょっと高いなぁ)」

店員「お返しで渡す際のマカロンには、『貴方は特別な存在』という意味があるんですよ♪ 是非ご検討下さい」


 マカロンは近年では一般的になったものの、本来はスイーツ店でも購入が難しい高級品なのだ。
故にそのイメージが定着し、”マカロン=特別”という意味合いが生まれたのである。
 

マサト「(特別な存在、かぁ………)」

サトシ「マサトどうする?」

マサト「…………他のおススメ品も見ようよ。焦らない焦らない」

サトシ「……だな」
 ▼ 21 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 15:22:12 ID:ee.AB/HY [18/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店員「お次はこちらです」


 …………2番目に紹介された品は”マドレーヌ”だった。


サトシ「これ初めて見るなぁ…………なんて名前ですか?」

店員「マドレーヌという商品です。甘くしっとりした味わいから、リピーターも多い人気菓子なんですよ」

マサト「……なんかパールルみたいな見た目ですね」

店員「マドレーヌには『貴方ともっと親密になりたい』という意味合いがあります。付き合いたての女性に送る方が多いですね」

マサト「へぇ……」


 マドレーヌの意味は、二枚の貝殻のような形が由来である。
重なった貝殻のように見えることから、”縁結びや円満”のイメージが生まれたのだ。


サトシ「(もっと親密に…………ねぇ)」
 ▼ 22 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 16:43:29 ID:ee.AB/HY [19/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 …………以降もしばらく、店員によるおススメ品と、その意味の紹介が行われた。
 様々なお菓子を見て回り、未知の知識を数多く吸収し、2人は時に驚愕し、時に強い感心を示していた。

 悩ましかったプレゼント選別の時間は、とても有意義な時間に変わっていたのである。


 ………そして散々悩んだ末、2人は購入する品を決定した。



サトシ「……マサト、買うモノ決まったか?」

マサト「うん。これにするよ………ちょっと緊張するけど///」

サトシ「なーに、平気平気。軽い気持ちでポンって送れば良いのさ」

マサト「……サトシはそれにしたんだね」

サトシ「…………ああ。これが渡す際の意味で一番しっくり来たからな」
 ▼ 23 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 17:02:17 ID:ee.AB/HY [20/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店員「……お客様、購入する品は決まりましたか?」

サトシ「はい。おかげさまで! 案内していただきありがとうございました!!!」

マサト「色々教えて貰って……凄く助かりました!!」

店員「そう言って頂けて何よりです………。 最後に1つだけ、ご意見宜しいでしょうか」

サトシ「…………はい?」

店員「プレゼントの相談を受けに来るお客様は、今までも沢山いたのです。そんな方々にも度々申し上げてきたことなのですが……」

店員「プレゼントを渡す際大切なのは、量でも質でも無く”気持ち”です。これだけは忘れないでくださいね」

マサト「………肝に銘じておきます」

 

 その後、2人はハルカへのプレゼントを購入し、ポケモンセンターへの帰路についた。
 ▼ 24 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 17:40:30 ID:ee.AB/HY [21/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 …………帰路の途中、サトシはふと思っていた疑問をマサトへ放った。


サトシ「……なぁ、なんでマサトは今日お返しを買おうと思ったんだ?」

マサト「え? なんだよ急に……。サトシと同じだよ。僕もチョコ貰ったのに今日の事忘れてて、申し訳無いと思ったからさ」

サトシ「ハルカお前に言ってたじゃん。『アンタ”今までも"くれた事無いじゃない』って」

マサト「ギクッ…………」

サトシ「マサトは以前にも、ハルカからチョコ貰ってたのにスルーしてたってことだろ? 今日たまたま日付を忘れてただけで、ホワイトデー自体は知ってたじゃないか」

マサト「それは……その………」

サトシ「以前までスルーして来たのに、なんで今日は買ったのかなって思ってさ」

マサト「……あ、あれだよ! 気まぐれだよ気まぐれ!!」

サトシ「ふーん」
 ▼ 25 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 17:50:45 ID:ee.AB/HY [22/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ……マサトが以前までお返しを買わなかったのには理由があった。
 以前までハルカは、マサトに対し安物の市販チョコしかあげていなかったのである。故にマサトもお返しする責任を感じず、実際返さなかったのだ。

 しかし、今年ハルカがマサトへ送ったチョコは違った。サトシタケシと同様の高価チョコであり、日頃の感謝が詰まっていたのだ。
 なのでマサトは、”今年はお返しを渡したい”……そう強く思っていたのである。


サトシ「………何がともあれ、お返し買えて良かったな!!! きっとハルカ喜ぶぞこれ!」

マサト「………だね。僕も楽しみ」


 2人は胸を膨らませ、ポケモンセンターへ向かった。
 ▼ 26 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 18:03:57 ID:ee.AB/HY [23/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 ……一方その頃。ポケモンセンターにいる2人はゆっくり穏やかに過ごしていた。
 ハルカは自身のボール磨き、昼食を食べ終えたタケシは読書をしていたのである。


ハルカ「…………ねぇ、マサトとサトシちょっと遅くない?」

タケシ「もうすぐ帰って来ると思うぞ。まぁゆっくり待つとしよう」

ハルカ「そうね…………2人とも何買ってくれたのかしら……」

タケシ「サトシの奴、ハルカの好物を自分のと履き違えてコロッケ買ってきたりしてな」

ハルカ「あははっ……。否定できないのが怖いかも………」

ハルカ「(…………でも、なんだって良いわ。お返しをしてくれるだけ凄く嬉しいかも)」
 ▼ 27 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 18:14:50 ID:ee.AB/HY [24/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
 …………数十分後、サトシとマサトは昼食を食べたテーブルへ帰って来た。


サトシ「ハルカ、タケシ! ただいま!!」

マサト「お姉ちゃん!! お返しちゃーんと買って来たよ!!!」

ハルカ「2人ともおかえり。 ……取り敢えず一旦落ち着きなさい」

タケシ「全く慌ただしいなお前ら……。声掛けてくれたら俺も一緒に行ったんだぞ? 良い商品ちゃんと選べたのか?」

マサト「うん。凄く優しい店員さんが居てさ……その人に案内して貰ったんだ」

サトシ「どれにしようか迷ったけどな……。でも、ハルカは絶対喜ぶモンが買えたと思うぜ」

ハルカ「へぇ……じゃあ期待しちゃおうかな♪ 改めて、2人ともお返しちょーだい!!!!」
 ▼ 28 オーロンゲ@まっさらプレート 22/03/14 18:31:21 ID:fMzEIMWU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 29 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 19:18:20 ID:ee.AB/HY [25/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 貰えるお返しが増えると分かったハルカは、案の定ノリノリになっていた。
『タケシの分で十分』と放っていた彼女であったが、やはりその本音はお返しが欲しかったのである。


マサト「(………全く調子良いんだから……)」

サトシ「マサトどうする?」

マサト「…………僕が先にあげるよ」


 ………マサトは自身の手に持っていた小包を開封し、姉へ中身を明かした。
 ▼ 30 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 19:22:10 ID:ee.AB/HY [26/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルカ「…!!! これ……///」


 マサトが購入したお返し…………それは”キャンディの詰め合わせ”だったのだ。
 その意味は『貴方が大好き』
 
 キャンディといえば誰もが知る定番菓子であるが、告白の用途で送られる事も多く、ホワイドデーでも人気商品だった。
 固く、甘い味が長持ちする性質が由来となり、”固い決意で、長く愛し続ける”というメッセージが込められているのである。

 そしてハルカも当然、その意味を理解していた。


ハルカ「マサト……これの意味知ってるの……?///」

マサト「うん…………今日知った////」

タケシ「(ほう……お返しの意味を理解して選ぶとは……マサトやるじゃないか……)」

サトシ「ハルカに沢山味わって欲しいって、マサトすげえ悩みながら決めてたんだぜ。キャンディなら日持ちも良いし数日間楽しめるな!」

マサト「サトシッ! 言わなくて良いよ!!///」

ハルカ「…………////」
 ▼ 31 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 19:47:52 ID:ee.AB/HY [27/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカとマサトは姉弟揃ってうつむき、顔をアチャモの如く鮮やかに染めていた。
 だが、ハルカは嬉しくて溜まらない思いを堪えている現状だった。なんせ弟からお返しを貰ったのは、今日が初めてだったのである。


マサト「………お姉ちゃん……今までのホワイトデー、お返しあげれなくてごめんね。今年お姉ちゃんがくれたあのチョコ、すっごく美味しかった!」

ハルカ「…………」

マサト「だから、今まであげられなかった数年分……これいっぱい食べてよ」

ハルカ「…………マサト、ありがとう」


 ハルカは優しい笑みを浮かべ、マサトの頭を撫でた。


マサト「えへへ……////」



 ”思いを伝える”
 バレンタインデーも、ホワイドデーも、主な目的は共通している。
 マサトはこの時点で、その目的を見事達成したのだった……。
 ▼ 32 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 19:59:24 ID:ee.AB/HY [28/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


ハルカ「…………じゃ、早速いただくわね♪」

サトシ「ちょっと待てッ!!」


 ハルカが飴を手に取ろうとしたその時、サトシが力強い声で静止させた。


ハルカ「…………ビックリしたぁ。いきなり大声出さないでよ……」

サトシ「ごめんごめん、キャンディって食べ終わるまで時間かかるだろ? 後でゆっくり味わって食べた方が良いって」

タケシ「……確かに一理あるな」

サトシ「俺もハルカへのお返し買って来たんだ。先にこれ食べてくれよ」

ハルカ「ハイハイ………」


 サトシは今一刻も早く、ハルカへプレゼントを渡したい思いでいっぱいになっていた。
それは今日の事を忘れていた罪悪感ゆえなのか、貰ったバレンタインチョコがあまりに美味しかったゆえなのか……サトシは自分でも分からなかった。

 ……恐らくは両方であった。
 ▼ 33 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 20:08:30 ID:ee.AB/HY [29/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルカ「…………サトシ、わざわざ買ってきてくれてありがとね……」

サトシ「何言ってんだ。俺は今日が何の日かすら知らなかったんだぜ? むしろもっと責めてくれよ」

ハルカ「ばーか♪」

サトシ「あ"ッ!?」

マサト「……サトシ、早く渡しなよ」

サトシ「…………あぁ」


 サトシは自身の持っていた袋から購入品を取り出した。


ハルカ「…………わぁっ!」
 ▼ 34 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 20:34:47 ID:ee.AB/HY [30/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシが購入したお返し……それは”キャラメル”だったのだ。
 意味は…………


サトシ「『貴方は一緒にいて安心できる人』………だろ?」

ハルカ「え……?」

サトシ「キャラメルを送る際の意味だよ」


 …………そう。キャラメルは柔らかく甘く、口に入れた瞬間癒しを運ぶ人気商品であった。
 そんな点が由来となり、”安心”という意味が含まれているのである。


タケシ「驚いたな……まさかサトシが知ってるとは……」

サトシ「さっきマサトが言っただろ? 凄く優しい店員さんが居てさ、その人が教えてくれたんだ」

ハルカ「………へぇ」
 ▼ 35 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 20:50:21 ID:ee.AB/HY [31/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……俺さ、ハルカと一緒にいるとすげえ落ち着くんだよな。だから説明を聞いた時ピッタリだと思ったんだ」

サトシ「(まぁお前は見てる分には危なっかしいんだけどな)」

ハルカ「…………」

サトシ「…………これ、バレンタインのお返しになるか……?」

ハルカ「………うん……凄く嬉しいわ。サトシ、本当にありがとう」

サトシ「そっか………なら良かった!!」


 ハルカは柔らかくサトシへ微笑み、サトシは満面の笑みを浮かべた。
 こうしてサトシも見事、今日の目的を果たすことに成功したのだった。


ハルカ「(『安心できる』……かぁ……そう思ってるのは私の方なんだけどな………まぁいっか)」
 ▼ 36 マナフィ@きいろのはなびら 22/03/14 20:52:44 ID:BN46kQgI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
前作面白かったからまた書いてくれて嬉しい
 ▼ 37 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 21:02:10 ID:ee.AB/HY [32/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 ハルカがサトシからキャラメルを受け取ったその時、ポケモンセンター内で時報が流れた。


タケシ「お、もう3時か……」

ハルカ「丁度良いかも! タケシ、あれ持ってきて!! 皆でおやつタイムにしましょ!!」

タケシ「そうだな。ちょっと待っててくれ」


 タケシは3人の元から離れ、再度キッチンへ向かった。


マサト「お姉ちゃん、アレってなに?」

ハルカ「見れば分かるわよ」
 ▼ 38 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 21:26:14 ID:ee.AB/HY [33/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 …………数秒後。タケシは片手に大きな皿を持ち、3人の元へ戻って来た。
 その皿にあったモノはなんと、タケシがハルカへ作ったバウムクーヘンだったのだ。


サトシ「えッ!? なんでまだあるんだ!!?」

マサト「タケシ!! それお姉ちゃんに作ったやつじゃん!!!」


 その状態は完全体ではなく、半分の量であった。
 しかし未だ残っていたことに、2人は驚きを隠せなかったようである。


タケシ「……サトシ、マサト、昼食時に言ったことは撤回だ。これは俺達3人で食べよう」

サトシ「!? ……なんでだよ? それハルカの為に作ったんだろ!?」

タケシ「ああ……俺もそう言ったんだがな……」

ハルカ「本来4等分のところを半分も食べれたのよ!? 私はもう十分堪能したわ!!」

マサト「…………良いの?」

ハルカ「うん! サトシとマサトもお返しくれたんだもん!! 3人でもう半分食べて!! 全員で食べましょうよ!!!」
 ▼ 39 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 21:55:34 ID:ee.AB/HY [34/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ……今日、ハルカはサトシとマサトからのお返しなど期待していなかった。
 実際2人は忘れていたし、しかも片方はホワイトデーの存在すら知らなかった。

 しかし、2人は買いに出てくれた……。

 ハルカにとって、これはとてつもなく嬉しい誤算だったのだ。
 『2人にも”美味しい”思いをさせたい』……ハルカはそう考え、バウムクーヘンを残したのである。

 ……何より、ハルカは知っていたのだ。一緒に食べる人がいれば、食事はもっと楽しくなることを。



 サトシとマサトは外へ出たことで空腹になっており、今丁度おやつを食べたい気分だった。その目の前に、食べたかったバウムクーヘンが現れた。それはハルカのモノであったが、本人は『食べて良い』と示してくれた……。

 ……2人が断る理由など、無かったのである。


サトシ「じゃあ………お言葉に甘えるよ」

タケシ「おう!」

マサト「……タケシ、お姉ちゃん…………ありがとう!」

ハルカ「こちらこそ!!! タケシ!マサト!サトシ! みんな!!お返しくれてありがとう!!!!」
 ▼ 40 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 22:13:24 ID:ee.AB/HY [35/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*


 ……午後3時15分。本日ようやく、4人は全員揃っての食事を果たした。


ハルカ「嗚呼……!!! このキャラメル美味ッしい!! 甘いわぁ!////」

サトシ「……タケシ、これ本当に0から作ったのか……? 美味過ぎね///」

タケシ「気合入れて作ったからな。今度別のバリエーションも試してみるよ」

マサト「お姉ちゃん〜!!? キャンディ食べないなら僕貰っちゃうよぉ!?!」

ハルカ「駄目駄目駄目!! 今から食べるんだからちょっと待ってよ!!!」


 男性陣はバウムクーヘンを、ハルカは貰ったお返しを、4人とも美味しそうに頬張っていた。
 ……その様子はさながら家族団欒。傍から見て、とても和やかなモノであった……。
 ▼ 41 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 22:26:14 ID:ee.AB/HY [36/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……しっかし、ホワイトデーのお返しって面白いよな。アレ意味多すぎだろ」

ハルカ「ホントよねぇ……。この日を考えた人ってやっぱり凄いわ」

マサト「…………ねえタケシ、このバウムクーヘンにももしかして意味あるの?」

タケシ「勿論だ。俺が何も考えずお返しする訳無いだろ?」

サトシ「へぇ……今日会った店員さんはバウムクーヘンの紹介してなかったよな」

マサト「どんな意味があるの!? 教えてよ!!!」

タケシ「……良いだろう。バウムクーヘンに込められた意味……それはな」

ハルカ「『この幸せが続きますように!!!』」

ハルカ「(……今、私が思ってることと同じかも)」

タケシ「…………俺の台詞取るなよ……」

ハルカ「ふふっ……ごめんごめん♪」



 ……ホワイトデーにより距離を縮め、絆を深め合ったサトシ達。
 彼らの旅は、まだまだ続く……。


〜Fin〜
 ▼ 42 1◆o3RYTFWRa6 22/03/14 22:30:06 ID:ee.AB/HY [37/37] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

【バレンタインSS】ハルカの長い一日

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1617582

……以上。上記SSの続編兼ホワイドデー記念SSでした。

※このSSで解説したお返しの情報は全て諸説有りのモノです。


ご閲覧ありがとうございました。
 ▼ 43 レイスポス@おこづかいポン 22/03/15 20:57:26 ID:Zn8YH5SA NGネーム登録 NGID登録 報告
乙
面白かった。最近アニポケssが少なくなって来てたから書いてくれて有り難う。
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