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SS

コハル「もしもしゴウ? もうすぐ船が……えっ、間に合わない!?」 セレナ「あらら……」

 ▼ 1 1 22/04/10 23:26:26 ID:2SswIjcQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 コハル 「もぉ〜。なにやってるのよぉ〜。次の船、明日だよ」

 ― ゴウ 『ごめんごめん。チルタリスを追ってて、気付いたら“おくりび山”まで来ちゃってて』

 コハル 「はぁ……。ゲットのことになると周りが見えなくなるんだから」

 ― ゴウ 『ごめんって。どうする? コハルだけ先に帰るか?』

 コハル 「いいよ、待ってるから」

 ― ゴウ 『じゃあポケモンセンターで待ち合わせな』

 ― サトシ 『悪いなコハル。オレも夢中になっちまって』

 コハル 「はいはい。謝罪は後で聞くから、気を付けて戻って来てよね」

 ― ゴウ 『あぁ。それじゃあ後でな!』


 ― プツン

 ▼ 30 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/12 03:15:11 ID:LqXso6to NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 コハル 「そう言えばさ!」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「なぁに?」

 コハル 「セレナとサトシ、お別れのキスしたんだよねっ!」

 サトシ 「っ!?」

 セレナ 「ん゙っっっ……ちょちょちょっとコハルっ!?」

 ゴウ 「えっ。マジで? サトシが? サトシが!?」

 コハル 「私たち先に戻ってるから、2人で思い出話に花を咲かせてね。行くわよゴウ!」

 ゴウ 「あーーー、はいはい」(←察した)



 サトシ 「おい……」

 セレナ 「ちょっと2人とも〜!」


 ▼ 31 ゲキ@ダイゴへのてがみ 22/04/12 03:18:11 ID:BQEE4V72 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
めちゃくちゃ良いな〜
支援
 ▼ 32 ーランス@ウッディメール 22/04/12 07:34:05 ID:TapoLOEc NGネーム登録 NGID登録 報告
しえ
 ▼ 33 ラルフリーザー@スーパーボール 22/04/12 21:06:08 ID:lmS2Yz0c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
せかしてスマソ
体を無理せずしっかり休んで毎秒投稿して、どうぞ
 ▼ 34 シコ@ミュウツナイトY 22/04/13 16:05:43 ID:Q4PcHMVg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 35 ォクスライ@スペシャルガード 22/04/13 17:57:56 ID:Jfu.R.S6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
大支援
 ▼ 36 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/13 23:57:44 ID:tfHoXkKo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



〜 客室 〜



 コハル 「ふぅ……。場は整えたよ、セレナ」

 ゴウ 「あの2人って、そういう関係だったのか……」

 コハル 「ううん。セレナの片想いみたい」

 ゴウ 「片想い? じゃあキスってのは……」

 コハル 「セレナってば大胆よね。告白する代わりに、キスしちゃったんだって!」 キラキラ

 ゴウ 「なるほど……。そうだよな。あのサトシが自分からキスするなんて有り得ないからな」

 コハル 「でも……」

 ゴウ 「ん?」

 コハル 「セレナの話を聞いてると、私たちが思ってるサトシのイメージと、けっこう違うのよね」

 ゴウ 「どんな風に?」

 コハル 「ポケモンバトルが好きーとか、ポケモンのことを第一に考えてるーとかは分かるんだけど……」

 ゴウ 「おう。それがサトシっしょ」

 コハル 「そんなサトシを“素敵な人”って、セレナ、言ってたの」
 ▼ 37 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/13 23:58:08 ID:tfHoXkKo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ゴウ 「素敵――。素敵、か?」

 コハル 「前にヒカリはさ、そんなサトシを“ポケモンバカ”って表現してたけど」

 ゴウ 「そんなこと言ってのかよ。けど確かにポケモンバカはサトシにピッタリな言葉だな」

 コハル 「でしょ? 私もサトシに対するイメージってヒカリ寄りだけど、セレナには違って見えている――」

 ゴウ 「んーーー」

 コハル 「セレナにとって、サトシは憧れの人であって、目標の人でもあって。格好良いとか、勇気を貰ったとか、本当にサトシを褒めてばっかりだったの」

 ゴウ 「まぁ、オレもサトシに勇気を貰うことは あるけどな」

 コハル 「セレナとサトシって、どんな旅をしてたんだろう……」

 ゴウ 「調査に出掛ける時とか、だいたいオレが先導してるけど――、旅のサトシは違ったのかな?」

 コハル 「あんなに可愛くて大人っぽいセレナが、片想いするほど……?」

 ゴウ 「サトシの優しさとか、ポケモン想いなこととか。コハルも見てきただろ?」

 コハル 「うん」

 ゴウ 「旅の最中は頼る大人は居ないし、飯も寝床も、全部自分で確保しなきゃならないんだ。そういう境遇に、サトシは向いてるんじゃないか?」

 コハル 「そっか。セレナにとってサトシは、頼りになる男の子――。初めて旅に出たセレナから見れば、憧れであって、目標でもある――」

 ゴウ 「今頃どうなってるかな、あの2人」

 コハル 「……ふふっ。あとで しっかり確認しないとねっ」

 ゴウ 「よし。じゃあ2人が戻ってくるまで、VODで映画でも見て待ってるっしょ」

 コハル 「良いね! あ、この“秒速5センチメートル”って面白そう!」



 ▼ 38 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/14 00:32:27 ID:VWyo5I.A [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



〜 ポケモンセンター屋上 〜



 コハル 「私たち先に戻ってるから、2人で思い出話に花を咲かせてね。行くわよゴウ!」

 ゴウ 「あーーー、はいはい」(←察した)

 サトシ 「おい……」

 セレナ 「ちょっと2人とも〜!」



 サトシ 「行っちまったよ」

 セレナ 「もぉ……///」


 サトシ 「……久しぶりだな。2人きりになるの」

 セレナ 「ぁ……、うん。そうだね」

 サトシ 「向こう、座ろうぜ。オレ飲み物買ってくるよ」

 セレナ 「え、悪いよ。私が」

 サトシ 「良いから良いから」


 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/14 00:33:33 ID:VWyo5I.A [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 サトシ 「ホットココアで良いか?」

 セレナ 「うん。ありがとう」

 サトシ 「よいしょっと」


ホットココアの缶を手渡してくれたサトシは、私の隣に腰を下ろした。

ポケモンセンターの屋上で、煌びやかな街を見下ろすように置かれたベンチに、私とサトシは座っている。

温暖なホウエンと言っても、夜は まだ涼しい。温かい飲み物を買ってくれたサトシの優しさに、旅していた頃の感覚が蘇る。


たったこれだけのことで、私はドキドキだ。

思ってもみなかった、サトシとの再会。さらにコハルが空気を読んでくれたおかげで、サトシと2人きりに。



 サトシ 「まさかセレナと会えるとはなぁ〜」

 セレナ 「ふふっ。私も驚いちゃった」

 サトシ 「こっちでも順調なんだろ? 流石、トライポカロンでエルさんの元まで登り詰めただけあるな!」

 セレナ 「でも、最初は上手く行かなかったんだから。ポカロンとコンテストライブ、似てるようで違ってるし」

 サトシ 「そっか。けど今は、あの――ルチアさん? と肩を並べてるんだろ? やっぱセレナは凄いよ」

 セレナ 「ありがとう。サトシに言って貰えると、すっごく嬉しいな」
 ▼ 40 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/14 00:35:25 ID:VWyo5I.A [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「それとセレナ……、その服、似合ってるよ」

 セレナ 「えっ? そう……かなっ ///」

 サトシ 「なんか大人っぽい感じで……そのっ、うん。綺麗、だな」

 セレナ 「ぇっ、えぇっ……/// ありがとう。サトシから、そんな褒められるなんて……///」

 サトシ 「ぁっ、オレ、変なこと言ってない……よな?」

 セレナ 「変なこと?」

 サトシ 「ぁー、ごめん。実は、さっきコハルから――」


  ― 回想コハル 『いいサトシ! 女の子はね、容姿を褒められると嬉しいの! 服とかスタイルとか、しっかり褒めてあげてね!』


 サトシ 「――ってさ」

 セレナ 「なんだぁ……。ふふっ。ビックリしちゃった」

 サトシ 「あの時、空港でさ」

 セレナ 「っ ///」 ドキッ

 サトシ 「セレナ言ってくれたじゃん。“もっと魅力的な女性になる”って」

 セレナ 「ぁ、うん。覚えててくれたんだ」

 サトシ 「魅力的な〜って意味、なんとなく分かった気がする。今のセレナ、大人っぽくて、落ち着いてて、コンテストも頑張っててさ。今のセレナみたいな人を、“魅力的な女性”って言うんだろうな」

 セレナ 「ふぇっ? ぁっ……んっ、ふふっ /// もぉ〜、サトシ、いつから そんなに女の子を褒めるの上手くなったのよ? ///」

 サトシ 「ん? 思ったこと言っただけだぜ?」

 セレナ 「ありがとう。嬉しいよ、とっても ///」
 ▼ 41 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/14 00:36:56 ID:VWyo5I.A [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


思わぬサトシからの言葉に、私は不意打ちを喰らってしまう。

コハルからの受け売りかもしれないけど、サトシに服装を褒めて貰えて、それだけで、とっても嬉しい。


でもそれに続く言葉は、受け売りって訳じゃない気がする。


“魅力的な女性になる”――、あの時、空港で お別れの時、私がサトシに告げた言葉。

サトシに振り向いて欲しくて、サトシの隣に立つのに相応しい女性になりたくて、告げた言葉。

それは、私なりの、あの時に出来た精一杯の告白のつもりだった。


でも当然――と言うか、恋愛に疎いサトシには、あの時は伝わらなかったけど、それは決して無駄じゃなかった。


今の私は、サトシにとって、サトシが考える、“魅力的な女性”。

ホウエンで手探りで頑張ってきた私は、ちゃんとサトシに認められたってこと。

それって、すっごく、すっごく、すっっっごく嬉しい!


 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/14 00:39:16 ID:VWyo5I.A [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「私ね、ホウエンに来て、失敗しちゃった時とか、落ち込んだりした時とか……、サトシのこと、考えてたんだ」

 サトシ 「オレのこと?」

 セレナ 「どんなことがあっても決して諦めない――。そんなサトシの強さを思いだして、こんな所で立ち止まっちゃダメだ。頑張らなくちゃダメだって」

 サトシ 「セレナだって強いじゃんか。初めてのポカロンで失敗した時とか、サキさんに自分の想いをぶつけた時とか。オレの方こそ、セレナの強さを見習ってたよ」

 セレナ 「それだって、サトシの強さを見習ったから出来たことだもん。私、いつもサトシに助けて貰ってた。勿論、シトロンとユリーカにも」

 サトシ 「あぁ。あの旅は、4人で助け合って成し遂げたからな」

 セレナ 「ふふっ。懐かしいよね。色んな人と出会って、色んな思い出ができて……」

 サトシ 「そうだな。ジム戦とポカロン以外にも、色んなことに挑戦して……」

 セレナ 「それも全部、サトシが私を、旅に誘ってくれたからだよ?」

 サトシ 「いやぁ、考えてみるとオレ、けっこう急に誘っちまったよな」

 セレナ 「ふふっ。ありがとうサトシ。私を旅に誘ってくれて」

 サトシ 「へへっ。なんだよ今さら」

 セレナ 「今の私があるのは、サトシ、貴方のお陰だよ」

 サトシ 「大袈裟だなぁ。キッカケはオレかもしれないけど、今のセレナがあるのは、セレナが頑張ってきたからだぞ」

 セレナ 「ううん。キッカケをくれた、サトシのお陰っ。……ねぇサトシ」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「迷惑じゃ……なかった、かな?」

 サトシ 「迷惑? なんのこと?」



 セレナ 「空港で……そのっ、キス、しちゃったこと……///」



 ▼ 43 ロッゴン@シルバースプレー 22/04/14 00:42:55 ID:6HZwIjWg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援支援
 ▼ 44 ラスル@いましめのツボ 22/04/14 18:23:54 ID:ewAQWUAA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 45 カマル@きんのたま 22/04/14 18:30:07 ID:WTn2frvI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 46 コリータ@カビゴンZ 22/04/14 20:23:29 ID:Ls8MAcvM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アンクレットの件はいろいろ言われているけど、XYを見ていた身としては、セレナは一途であって欲しい。
 ▼ 47 クケイル@まんぷくおこう 22/04/14 22:46:29 ID:6HZwIjWg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 48 ドシシ@するどいツメ 22/04/15 20:12:49 ID:6JOkcFj6 NGネーム登録 NGID登録 報告
ここまで来たら結末が気になる
支援
 ▼ 49 ガサメハダー@エレベータのキー 22/04/15 20:15:38 ID:5B7sZj3. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 50 ピアー@ミミッキュZ 22/04/15 21:58:25 ID:/DKw/jgI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 51 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/16 01:13:22 ID:KFG2C9r. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ピカチュウ 「ぴか〜」 ニヤニヤ

 ニンフィア 「ふぃぁ」 クスクス



聞いちゃった……。


鈍感で純粋で、恋愛ごとなんて興味のないサトシに贈った、私のキス。

さっきコハルが言ってたように、告白より凄いこと。別れ際の最後のチャンスだからって、かなり大胆なことをしたと、自分でも思っている。


私は今まで、サトシの答えを聞くことは無かった。

答えを聞くのは、私がもっと成長した後――、もっと魅力的な女性になってからだと思っていた。


でも、再会できた以上、聞くしかない。

キス話題に触れないまま“また会おうね”なんて、ふつうに考えて通用しないんだから。


ドキドキする。

心臓が飛び出そうなくらい、私の鼓動はバクバクと波打っている。

 ▼ 52 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/16 01:14:02 ID:KFG2C9r. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「あー……」

 セレナ 「ぁぅ……///」

 サトシ 「あの時は……、急だったし、ホント驚いたよ」

 セレナ 「うん……///」

 サトシ 「けど……、もし迷惑って感じてたら、今こんな風に、2人きりで話せてないと思う」

 セレナ 「えっと、じゃあ……」


 サトシ 「嬉しかったぜ、セレナの気持ち」


 セレナ 「サトシっ……」

 サトシ 「セレナには、いろいろ助けて貰ったよな。ハクダンジムだろ、シャラジムのダンス戦法だろ、あと、ウルップさんに負けた時も」

 セレナ 「ううん。私は なんにも。全部サトシの強さで乗り越えたじゃない」

 サトシ 「いや。セレナのアドバイスがあったから、乗り越えられたんだ。特にウルップさんの時は」

 セレナ 「あの時は……」

 サトシ 「オレ、心配してくれてるセレナに、酷いこと言っちまったよな」

 セレナ 「ううん、気にしてないよ。私もちょっと……、お節介すぎたかなって。雪玉ぶつけたり……」

 サトシ 「そのお陰で目が覚めたぜ?」

 セレナ 「……私、ホウエンに来てね、あの時のサトシの気持ち、分かった気がするの」
 ▼ 53 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/16 01:16:11 ID:KFG2C9r. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「最初のうちはね、コンテストライブ、なかなか上手く行かなくて……。サナやミルフィは電話で励ましてくれるんだけど、何故かそれが、鬱陶しく感じちゃって……。酷いよね、私のこと想ってくれてるのに」

 サトシ 「まさしくオレと同じだな」

 セレナ 「悩んでる私の気持ちなんて、誰も分からないんだ――って。自分で自分を追い詰めちゃって。それで ふと思いだしたの。あの時のサトシのこと」

 サトシ 「そっか」

 セレナ 「本当に追い詰められると、仲間の言葉も嫌になっちゃうんだって。それなのに私、あの時サトシに、酷いこと言っちゃって……」

 サトシ 「大丈夫。オレもう全然気にしてないし、むしろ感謝してる」

 セレナ 「でもっ……、追い詰められて辛かったサトシに、私は……」


あの時のことは、今でも罪悪感がある。


サトシがウルップさんに負けた日、一人になりたいとポケモンセンターから出て行ったサトシを、私はお節介ながら、探しに行ってしまった。

やっと見つけたサトシに、私は寄り添おうと、話を聞こうと声を掛けたけど――、その時はじめて、私はサトシに怒鳴られた。


今となっては、サトシの気持ちが痛いほどわかる。


でも当時の私は、それがただただショックで、酷い言葉と雪玉をぶつけて、サトシの前から去ってしまった。

サトシの方がずっと辛いはずなのに、一番ダメな行動を、あの時の私は……。


 ▼ 54 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/16 01:17:11 ID:KFG2C9r. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 サトシ 「……セレナ」


  ― ギュッ


 セレナ 「ぁっ……」



ふと、私の右手が、温もりに包まれる。

見ると、サトシが――、隣に座るサトシの左手が、私の右手を、しっかりと握りしめていた。


 セレナ 「ぇっ、サトシ……?」

 サトシ 「そんな悲しそうな顔するなよ。オレはセレナに感謝してる。セレナが居てくれて、本当に良かったって思ってる」

 セレナ 「んっ……///」

 サトシ 「ありがとな、セレナ。オレと一緒に、旅してくれて。本当に」 ギュッ


サトシの握りしめる手に、ギュッと力が込められる。

真剣な眼差しで、眩しい笑顔で、優しい声で。


あぁ、サトシ、変わらないな。

サトシのこういう何気ない行動が、いつも私をドキドキさせる。私の心を癒してくれる。

 ▼ 55 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/16 01:19:03 ID:KFG2C9r. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「わっ、私の方こそ! ありがとう。サトシと旅できて、本当に、本当に嬉しかったよ」 ギュッ

 サトシ 「そっか。セレナを誘って良かったぜ」

 セレナ 「ふふっ。誘ってくれて ありがとう」

 サトシ 「セレナは旅の中で、オレの支えになってくれたんだ。そんなセレナからの……キス、迷惑な訳、無いじゃんかよ」

 セレナ 「っ〜〜〜///」 ドキッ

 サトシ 「セレナを旅に誘って正解だったな――って。セレナはオレのこと、そういう風に見てくれてたんだな――って。嬉しかったぜ、本当に」

 セレナ 「ぅん……グスッ、うんっ ///」 スッ

 サトシ 「ぉっ、セレナ……」


思いがけないサトシからの言葉に、私の心は喜びに満たされる。嬉しさが溢れ出る。

初めて会った時から ずっと片想いしていた彼からの、最高の言葉。

告白ではないし、告白に対する答えでもないけど――、それでも今のサトシの言葉は、私に優しく降り注ぎ、温かな気持ちにさせてくれる。


気付けば私は、隣に座るサトシに、自分の体を預けていた。

サトシの肩に寄り添って、彼の鼓動を、呼吸を、温もりを、目一杯に感じている。



幸せ――。



大好きな人と、こうやって、2人きりで。



この時間が、ずっと続けば良いのにな。







 ― パシャッ!



 ▼ 56 スイヌメルゴン@はっきんだま 22/04/16 08:55:43 ID:0IF2T5UM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まだ続いてるよね、支援
 ▼ 57 ブリボン@ほかくポケット 22/04/16 11:27:49 ID:19hEyYGE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 58 マシュ@ムシZ 22/04/16 17:16:51 ID:VoYsd..Y NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 59 ギガナイト@こんごうだま 22/04/16 23:48:15 ID:19hEyYGE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
個人的にめちゃくちゃほどよい展開
支援
 ▼ 60 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/17 03:09:45 ID:BgSUdsrE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ピカチュウ 「ぴ!」

 ニンフィア 「ふぃぁ!」


 セレナ 「えっ!?」 ビクッ

 サトシ 「誰だ!?」



突然、私たちの背後から聞こえた音。

それは明らかに、スマホのカメラのシャッター音。

2人だけのしか居ないと思っていた屋上に、誰かが居た。そしてその人物に、今の私とサトシの遣り取りを、撮影されてしまった。

サトシと手を繋いで、サトシに体を預けると言う、誰にも見られたくない、恥ずかしい瞬間を――。



 *** 「ルチアに次いで人気のセレナに、彼氏が居るんじゃないかって話、本当だったのね……」


 セレナ 「なっ……! 彼氏って訳じゃ!」

 サトシ 「どういうつもりだ!」


そこに居たのは、私たちと同い年くらいの女の子。手にはスマホが。

長髪に、眼鏡をかけて、グレーのパーカーを着た……、ちょっと地味な女の子だった。
 ▼ 61 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/17 03:10:15 ID:BgSUdsrE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 *** 「みんな そう……。キラキラした子には、決まって彼氏が居る……」

 サトシ 「なにが言いたい!?」

 *** 「うるさい! 私たちはセレナのファン! カロスから来た新人コーディネーター! 憧れだったのにっ! モテない冴えない私たちの目標だったのに!」

 セレナ 「ねぇ待って! 違うのっ! サトシは私の――」

 *** 「言い逃れなんて聞きたくない! ネットで拡散してやる!」

 セレナ 「ぇっ……だめ! やめてっ!」

 サトシ 「なんだか知らないけど……、セレナが嫌がることは許さないぞ!」

 *** 「黙って! どーぜアイドルは みんな男とデキてるのよ! 私たちを もてあそんでっ……! 終わらせてやる!」


今の写真がネットに流されたら……、どうなるかは明らかだ。

私はルチアと違って、公式やスポンサーとは関係ない、個人コーディネーター。別に恋愛禁止って訳じゃない。


でも、一度でもネットに出回ってしまったら……。それこそ、サトシにも迷惑をかけてしまう。


 セレナ 「サトシっ、あの子、写真をネットで ばら撒こうとしてるの! そんなことされたら、サトシにも影響が……!」

 サトシ 「止めればいいんだな!」


そうこうしている間にも、彼女はスマホを操作する。

なんのSNSかは分からないけど、画像添付と投稿ボタンを押された瞬間、私とサトシの写真が、全世界に……。
 ▼ 62 ョロゾ@のびたバネ 22/04/17 23:03:07 ID:Xk1oxCk6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援支援!!
 ▼ 63 ルード@たいかいのせきばん 22/04/18 16:30:00 ID:0J22iCJ2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 64 ラベベ@ロトムじてんしゃ 22/04/18 17:37:30 ID:u2rgjpQU NGネーム登録 NGID登録 報告
市営
 ▼ 65 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/19 20:06:08 ID:oawQxcWY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「ロトム頼む! あの子を止めてくれ!」

 スマホロトム 「ろとー!」 シュン!


サトシがスマホを取り出したかと思うと、その中からロトムが飛び出した。

ロトムが電化製品に入り込むのは、サトシたちと旅している時に見たことがある。スマホにも入れるなんて。


飛び出したロトムは、一瞬のうちに彼女の元へ移動し、なんと彼女のスマホに入り込んだ。

そして――。


 *** 「……は!? えっ、うそ!? 電池切れ……!?」


 ロトム 「ろとぉ〜」 シュン!

 サトシ 「よくやったロトム!」

 スマホロトム 「フル ジュウデン ニ ナリマシタ」


 セレナ 「なにを……したの?」

 サトシ 「ロトム、あの子のスマホに入り込んで、充電を吸い取ったんだ。これでなにもできないぜ」

 セレナ 「凄い……。ロトム、そんなことまでできるんだ……」
 ▼ 66 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/19 20:08:26 ID:oawQxcWY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 *** 「っ……! ふざけないで! なんなのよ! なんなのよアンタ!」

 セレナ 「落ち着いて! 一旦落ち着きましょ、ね?」

 *** 「出て来てキャモメ! “しろいきり”よ!」

 キャモメ 「ピー!」 ブワッ!


 セレナ 「きゃっ!?」

 サトシ 「あっ……待て!」


彼女は突然キャモメを繰り出したかと思うと、“しろいきり”を指示。

キャモメから放たれた白い霧は、まるで煙幕のように、彼女の姿を隠してしまった。


 セレナ 「ニンフィア、“ようせいのかぜ”よ! 霧を吹き飛ばして!」

 ニンフィア 「ふぃぁぁぁぁぁ!」 ブワッ!



ニンフィアのお陰で霧は吹き飛んだけど、既に彼女の姿は なかった。



 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「あそこだ!」


屋上から道路を見下ろすサトシとピカチュウが叫ぶ。

そこには走り去る彼女の姿が。“しろいきり”で目隠しした隙に、彼女はポケモンセンターから飛び出していた。
 ▼ 67 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/19 20:09:08 ID:oawQxcWY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「このままじゃ……!」

 サトシ 「ピカチュウ、追ってくれるか!?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」 ダッ!


焦る私を余所に、サトシとピカチュウは すぐに行動に出ていた。

ピカチュウは屋上から大きくジャンプし、近くの木に飛び移る。リズミカルに地面に下り立つと、彼女の後を追って行った。


 サトシ 「頼んだぞ!」

 セレナ 「お願いねピカチュウ!」


凄いよ、サトシとピカチュウの行動力。

突然のことだって言うのに、冷静に、最善の判断を下している。

それなのに私は……。私の問題なのに……。


 サトシ 「追うぞ!」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


ダメだ。今はクヨクヨしてる場合じゃない。

彼女を追いかけないと。彼女の向かった先を突き止めないと。
 ▼ 68 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/19 20:10:07 ID:oawQxcWY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ポケモンセンターから出たと言うことは、彼女はポケモンセンターの宿泊者じゃなかったと言うこと。

それは実はラッキーなことで、もし部屋に逃げ込まれてしまったら、見つけ出すのは ほぼ不可能だった。

全ての部屋を確認させて貰うことなんて出来ないし、そうこうしている間にスマホを充電されてしまう。


彼女が逃げている間は、少なくともSNSに投稿される心配は無いと言うこと。

モバイルバッテリーを持っている可能性もあるけど、ピカチュウに追われている状況では、使える余裕なんて無いはずだ。



私とサトシは、急いでピカチュウの後を追う。夜の街を、サトシと一緒に走る。



 サトシ 「こうやって! 走ってるとさっ!」

 セレナ 「はあっ、はぁっ、うんっ?」

 サトシ 「旅してた時っ。ロケット団にっ、ポケモン奪われたことっ、思いだすよなっ!」

 セレナ 「ぁーっ……うんっ。そうだねっ」

 サトシ 「へへっ。こんな時にっ、懐かしさに浸るのはっ、場違いだよなっ」

 セレナ 「ううん! 懐かしいっ。あんな人たちでもっ! 旅の思い出っ、だよねっ」

 サトシ 「思い出っ、って言うか、まだオレっ、ピカチュウ、狙われてるけどなっ!」

 セレナ 「えぇっ!?」


ロケット団、まだサトシのピカチュウ諦めてないんだ……。


 ▼ 69 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/19 20:10:40 ID:oawQxcWY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そんな衝撃的な事実を聞いて、しばらく走ると――。



 ― ピカチュウ 「びかぁぁ!」

 ― *** 「どきなさいよ! なんなのよホントもぉ!」



メイン通りの向かって右側から、ピカチュウと彼女の声が。

そこは公園になっているようで、生垣と木々の隙間から、ピカチュウと彼女の姿を確認できた。


 サトシ 「見つけたぞ!」

 *** 「あーもー! あと少しなのに……!」


あと少し……?

目線を公園の先に向けると、塀で囲まれたアパートが。入口となる門には“ミナモ学園女子寮”と書かれている。


そっか。ここが彼女の住んでる場所。スマホ充電器の在処。

学生寮と言うことで、ここに逃げ込まれてしまったら、本当に打つ手なしだった。



 ピカチュウ 「びがぢゅう!」 バチバチッ!

 サトシ 「さっきの写真! 消して貰うぞ!」

 *** 「なによ……! なによなによなによもぉぉぉぉ!」

 ▼ 70 ビルドン@ずがいのカセキ 22/04/19 20:12:49 ID:MzEAXhgM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 71 ェリム@ロックメモリ 22/04/19 20:32:25 ID:9aG2drzk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 72 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:20:39 ID:zeJ2IBuI [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ◇◇◇ 「どうしたのミズホ!」

 ▼▼▼ 「……誰よアンタ?」


 *** 「サクラ! ツバメ!」



彼女の声を聞いてか、女子寮から2人の女の子が出てきた。

サクラ、ツバメと呼ばれた2人は、もう食事やシャワーを済ませていたのか、ラフなジャージ姿だった。


 ◇◇◇(サクラ) 「えっ……、セレナさん!? 本物!?」

 ▼▼▼(ツバメ) 「なんで……? じゃあ、そっちの男は」

 ***(ミズホ) 「セレナの男よ!」


追ってきた彼女――ミズホの言葉を聞いて、サクラとツバメの表情が変わる。


 サクラ 「そっか……。やっぱりあの噂、本当だったんだ……」

 ツバメ 「こいつが……、セレナの男っ……!」

 セレナ 「待って違うの! 私とサトシは友達で……!」

 サトシ 「そうだ。一緒に旅した仲間だ」

 ミズホ 「うるさい! 手を握って くっついてて! そんなの嘘に決まってるわ!」

 ツバメ 「それ本当なの?」

 ミズホ 「写真撮ったもん! そしたらアイツに、ロトム使って充電切らされて! ネットに上げてやろうと思ったのに!」

 サクラ 「……ダメだよミズホ。セレナさんのプライベートなことに踏みこんじゃ」

 ツバメ 「ちょっとサクラ!」

 ミズホ 「なに言ってんのよ! 私たちの憧れだったのに! 結局は男が居る! 人気コーディネーターなんて! みんな汚い男関係作って!」

 ツバメ 「そうだよ! モテない冴えないアタシたちでも、いつかセレナみたいに輝きたいって! 3人で言ってたじゃん!」
 ▼ 73 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:22:16 ID:zeJ2IBuI [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

彼女たちがヒートアップするなか、サクラと呼ばれた子だけが、冷静に私たちに向き合った。


 サクラ 「私たち、セレナさんのファンなんです」

 セレナ 「ぁ……、ありがとう」

 サトシ 「ファンだったら! なんでセレナが嫌がることするんだよ!」

 セレナ 「待ってサトシ。話を聞いてあげよ」

 サクラ 「私とミズホとツバメは、この寮で同じ部屋で暮らしてます。……見ての通り、パッとしない、地味な女です」

 セレナ 「そんなことないよ!」

 サクラ 「ううん。クラスの女子たちはと違って、私たち地味だし冴えないから、彼氏なんてできなくて。そんな時にハマったのが、セレナさんでした」


サクラは話を続ける。


彼女たちは休日、まわりの女子生徒たちが男子と出掛ける光景を、羨ましく、恨めしく眺めていた。

そんななか、たまたまテレビで、コンテストライブに出場する私の姿を見たらしい。

ニンフィア、マフォクシー、ヤンチャムが織り成す演技に、心を奪われたらしい。


 サクラ 「セレナさんとポケモンたちの、キラキラで、とっても活き活きした演技、本当に感動しました。私たちもセレナさんみたいになりたいって……、セレナさんは、私たちの憧れなんです」

 セレナ 「ありがとう。嬉しいな、そう言って貰えると」


聞けば彼女たちは、私がノーマルクラスの頃からのファンらしい。

私がランクアップして、徐々に人気も出て、ルチアと肩を並べる程のコーディネーターに成長したことを喜んでくれていた――けど。
 ▼ 74 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:24:04 ID:zeJ2IBuI [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サクラ 「少し前、セレナさんに彼氏が居るんじゃないかって、ネットで噂になったんです」

 ツバメ 「コンテスト衣装で左足にアンクレット付けてるでしょ。それ、恋人が居るって意味だよ!」

 セレナ 「あー……うん。確かにそういう意味だけど……」

 ミズホ 「やっぱりそう! ネットじゃ“意味知らないでオシャレで付けてる〜”って意見もあったけど、今日のでハッキリ分かったわ!」

 ツバメ 「セレナには男が居て! それがコイツ……こんな男に、私たちの憧れの人を……!」

 セレナ 「待って。落ち着いて2人とも」



アンクレットの件は、真実と嘘が混じっている。


マスターランクまで到達した私は、ルチアほどじゃないけど男性のファンも沢山いて、声をかけられることが多かった。

それは、コンテスト会場に留まらず、街中、プライベートな時間でも。

なかには、食事に誘って来たり、連絡先の交換を押しかけて来る人もいて、正直私は、対応に疲れ切ってしまっていた。


そんな私を心配したルチアが、左足のアンクレットを提案してくれた。

恋人が居ます――、そういうアピールをすれば、しつこい男性ファンを減らせるんじゃないかって。

“こういう嘘は良い嘘だよ”と勧めるルチアだけど、嘘じゃない。

私には恋人は居ないけど……、好きな人は居る。心に決めた人は居る。ずっと片想いしてきた、私の憧れの人が。


このお陰で、しつこく声をかけて来る男性ファンは激減したけど……。

私は、いまのミズホたちのような問題が起きる可能性なんて、これっぽっちも考えていなかった。
 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:25:13 ID:zeJ2IBuI [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ミズホ 「サトシ……って言ったわよね?」

 サトシ 「あぁ」

 ミズホ 「私たちの憧れ……、私たちのセレナを! 奪わないでよ!」

 ツバメ 「アタシたち、セレナがノーマルの頃からファンなんだ! アンタみたいな男にセレナを渡すなんて、絶対に認めない!」

 サクラ 「ちょっと2人とも……」

 ミズホ 「セレナは! これからきっと! ルチアを追い抜く神レベルのコーディネーターになるのよ!」

 ツバメ 「綺麗で繊細で完璧なコンテストを演じるセレナに! アンタなんかが つり合う訳が無いのよ!」


 サトシ 「言わせておけば……! お前らにセレナの何が分かるって言うんだよ!」

 セレナ 「サトシ……?」


 ミズホ 「はぁ!?」

 ツバメ 「アタシたちは ずっとセレナを応援してきた! アンタこそ」

 サトシ 「確かにセレナは凄いよ。ホウエンで大人気って聞いて、やっぱセレナの実力は本物だって思った」

 ミズホ 「当然よ。なによ今さら」

 サトシ 「けど! セレナが今の実力を手に入れるまでの努力! お前らは知ってるのかよ!?」

 ツバメ 「知ってるに決まってんじゃん! コンテストの練習してる姿とか見たことあるし!」

 ミズホ 「実際ノーマルの頃はミスすることもあって、でも次の回には克服させてるほど練習を……」

 サトシ 「違う! セレナがポケモンパフォーマーの時の話だ!」
 ▼ 76 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:27:09 ID:zeJ2IBuI [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ミズホ 「当然よ! マスタークラスの配信はチェックしたわ!」

 ツバメ 「凄い演技だったね。コンテストライブに通じる美しさとダイナミックさ……。セレナの演技の才能は本物だと改めて思ったよ」

 ミズホ 「そんな才能の持ち主のセレナが……、なんでアンタなんかに……!」

 サトシ 「その才能を手に入れるために! セレナがどんだけ苦労してきたか! お前らは知ってるのかって聞いてんだ!」

 ツバメ 「なっ、なんだよ……」


 サトシ 「初めてのポカロンで! 沢山の観客が見てる中で大失敗して! それでも立ち直ったセレナの強さ!」


初めてのトライポカロン……。

可愛さだけしか考えずに、フォッコに長いリボンを付けてしまったせいで、ステージ上で転んで……、その先は何も出来なかった。

私の未熟さのせいで。


 サトシ 「そのニンフィアがイーブイだった頃! 初舞台で失敗しちまったイーブイをフォローしたセレナの成長!」


イーブイのポカロンデビュー。

フリーパフォーマンスで踊るイーブイが、観客たちに圧倒され、転んでしまった、イーブイにとって辛い思い出。

でもイーブイは、私とテールナーと一緒に、最後まで踊り抜くことが出来た。


 サトシ 「マスタークラスを終えた後! これからのことを考えて! 自分の進む道を導き出したセレナの決意!」


マスタークラスを終えた後。

ヤシオさんの誘いを、私は断ってしまった。サトシたちとの旅を最後まで遣り遂げて、納得できる答えを見つけるため。

でもその決断を下せたのは、サトシ、貴方がアドバイスしてくれたからだよ。

“迷ってる時間があるんなら、まず動いてみる。それで失敗したって、何かは残る。無駄なことなんて何もない”ってね。
 ▼ 77 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/20 20:29:08 ID:zeJ2IBuI [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「そんなセレナの頑張りを知らないで! それでセレナのファンを名乗るなんて! 笑わせるなっ!!!」

 セレナ 「サトシっ……」


サトシは力強く言った。


サトシ……、そんなに私のこと、想ってくれてたんだ。

そんなに私のこと、見てくれてたんだ。考えてくれてたんだ。

私の失敗、苦難、努力、成長、決意、全部覚えててくれたんだ。


私自身が自分を見つめている以上に、サトシは、私のことを……。



 サクラ 「ねぇ2人とも、聞いた? サトシさん、私たち以上にセレナさんのこと見てるんだよ。祝福してあげようよ」

 ミズホ 「なによ……。なんなのよホント! なんでセレナをっ……、私たちの憧れをっ……! こんな奴にっ……!」

 ツバメ 「アンタがセレナのこと想ってるのは分かったよ。けど! 本当にアンタがセレナに相応しいか見極めてやるわ! アタシとバトルしなさい!」

 サクラ 「ちょっとツバメ……」

 サトシ 「バトルか。それでオレが勝ったら、もうセレナに嫌がらせしないって約束するんだな!」

 ツバメ 「するわよ! 言っとくけどアタシ! ブスだけどバトルは学校でトップレベルだから! 覚悟して貰うわ!」

 サトシ 「臨むところだ!」

 ツバメ 「後悔させてやるんだから。アンタ、男なら当然、ポケモン6体持ってるでしょ?」

 サトシ 「あぁ!」

 ツバメ 「なら6本勝負よ! 先に4勝した方の勝ち! 良いわね!」

 サトシ 「良いぜ! トップは頼むぜピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 ツバメ 「やるわよダーテング!」


 ▼ 78 ャモメ@ポロックケース 22/04/20 23:13:39 ID:kOxY8QI. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良き…
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 ▼ 79 ブクロン@つららのプレート 22/04/21 05:49:46 ID:5z1U.A/M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 80 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/21 21:30:55 ID:rAEcxda. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

サトシとツバメのバトルが始まった。

ツバメ、バトルが得意らしいけど……、多分、サトシには勝てないと思う。

サトシのバトルを誰よりも近くで見てきた私なら分かる。きっと彼女は、サトシには及ばない。



 サクラ 「ツバメったら、素直じゃないんだから」

 ミズホ 「私は絶対に認めないわよ!」


 セレナ 「ミズホ……」

 ミズホ 「っ……! 近づかないで!」

 セレナ 「ごめんなさい。あのアンクレットのせいで、あなたたちに、悲しい思いをさせちゃって」

 ミズホ 「うるさい! 言い訳なんて聞きたくない!」

 セレナ 「サトシはね、私の彼氏じゃないの。一緒に旅した仲間、ただそれだけ」

 ミズホ 「嘘よ! そんな嘘っ……、信じない!」


 ニンフィア 「ふぃぃぁ」 シュルッ


そんな時、ニンフィアが自分のリボンを、ミズホの腕に優しく巻き付けた。


 ミズホ 「はっ……離しなさいよっ! セレナのポケモンなんてっ……!」

 ニンフィア 「ふぃぁぁ♪」 ギュッ



 ミズホ 「っ……、可愛い……」



ニンフィアの笑顔が、ミズホの心を癒してくれた。

ありがとうニンフィア。あなたの優しさは、みんなを笑顔にしてくれるね。
 ▼ 81 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/21 21:32:10 ID:rAEcxda. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「この子ね、今は完璧な演技を披露してるけど……、初舞台では、失敗しちゃったんだ」

 ニンフィア 「ふぃぁ」

 ミズホ 「……さっきアイツが言ってたこと?」

 セレナ 「うん。私たち、全然……完璧じゃないの。練習と失敗を繰り返して、一筋縄では行かなくて。今だって、失敗は怖いよ。顔には出さないだけで」

 ミズホ 「………」



 ― ツバメ 「戻ってダーテング! なかなかやるじゃない。行ってオオスバメ!」

 ― サトシ 「飛行タイプなら……、頼んだぞカイリュー!」

 ― カイリュー 「くぉー!」



 セレナ 「トライポカロン、マスタークラス、見てくれたんだね」

 ミズホ 「……うん」

 セレナ 「ルーキークラスは配信してないんだっけ?」

 ミズホ 「もう配信終了してたわ。マスタークラスは、いつでも見れるらしいけど」

 セレナ 「そっか。そのルーキークラスでね、私、デビュー戦で大失敗しちゃって……。誰も見てないところで大泣きしちゃって。あの時は辛かったな」

 ミズホ 「セレナでも、そんな失敗するの?」

 セレナ 「もちろん。はじめから完璧な人間なんて居ないよ」

 ミズホ 「………」
 ▼ 82 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/21 21:33:07 ID:rAEcxda. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「私ね、みんなが思ってるほど、完璧じゃないの。まだまだ未熟な人間。未熟なコーディネーター」

 ミズホ 「そんなことない……! セレナは! 私たちを感動させてくれた! 私たちの憧れの人!」

 セレナ 「ふふっ、ありがとう。でね、そんな未熟な私を支えてくれたのが、彼――、サトシなの」

 サクラ 「さっきのサトシさんの言葉で、彼がどれだけセレナさんのこと大切に想ってるか、なんとなく伝わりました」

 ミズホ 「はぁ……。やっぱりセレナは彼氏持ちで……。私たちとは違うのよね。私たちには手の届かない存在なのかぁ……」

 セレナ 「ううん、違うの」

 ミズホ 「違うって?」

 セレナ 「サトシは私の彼氏じゃないよ」

 ミズホ 「嘘よ。あんなにアイツに大切に想われてて。彼氏じゃないなんて通用しないわよ」

 セレナ 「もしサトシが私の彼氏だったら……、素敵なんだけどな」

 サクラ 「えっ?」

 ミズホ 「どういうことよ」

 セレナ 「サトシのことは……好き。でもそれは、私の片想いなの」

 ミズホ 「嘘……でしょ?」

 サクラ 「あんなに大切に想われてるのに?」



 ― ツバメ 「戻ってオオスバメ、お疲れ様。行ってマリルリ! 流れ変えるよ!」

 ― サトシ 「ならネギガナイト! 君に決めた!」

 ― ネギガナイト 「……がっしゅ」
 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/21 21:34:04 ID:rAEcxda. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「情けないよね。一緒に旅して、親しい関係になれたのに、告白する勇気が無くて。今までずっと片想い」

 サクラ 「えー勿体ない! セレナさんみたいな素敵な人に好意を抱かれてるのに、……サトシさん、気付いてないんですか?」

 セレナ 「分からない。良く言えば純粋、悪く言えば鈍感な人だから」

 ミズホ 「信じられない……。セレナ、完璧な人だと思ってた……」

 セレナ 「ミズホ、サクラ。あとツバメも。あなたたち、自分が地味とか冴えないとか思ってるみたいだけど……、私はそんな風には見えないよ?」

 サクラ 「ありがとう。セレナさんに言われるなんて光栄です」

 ミズホ 「……社交辞令でも嬉しいものね」

 サクラ 「素直になりなって」

 セレナ 「ふふっ。で、そのせいで彼氏ができないって、要するに自分に自信が無いってことだよね?」

 サクラ 「……はい」

 ミズホ 「自信……ないよ。私たち。笑ってよ」

 セレナ 「笑わないよ。私も同じだもん」

 ミズホ 「えっ!?」

 セレナ 「自分に自信が無いから、サトシに告白できないの。自分が“サトシに相応しい女性”って自信がないから、いつまで経っても片想い……」

 サクラ 「そんなぁ! セレナさんなら! どんな男性にも相応しいですよ!」

 ミズホ 「そうだよ! 私たちと同じだなんて……!」

 セレナ 「ううん。みんなと同じ。告白する勇気も自信も、ぜんぜん持ってないんだ。……あ、見て」
 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/21 21:36:59 ID:rAEcxda. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ― ツバメ 「戻ってマリルリ。お願いロズレイド! 踏ん張りどころだよ!」

 ― サトシ 「行くぜルカリオ! 4勝、一気に取るぞ!」

 ― ルカリオ 「がぅ!」



 サクラ 「ツバメが……押されてる!?」

 ミズホ 「男子にも滅多に負けないツバメが……、3連敗!?」

 サクラ 「6本勝負って言ってたよね。ロズレイドが負けちゃったら、ツバメ……!」

 セレナ 「押されて当然よ。サトシ、カロスリーグ準優勝だもん」

 ミズホ 「準優勝!? ポケモンリーグで!?」

 セレナ 「それに、さっき知ったんだけど、ワールドチャンピオンシップスで9位の実力者なの。サトシって」

 サクラ 「えっ……待って待って。チャンピオンシップスって、5000人以上が参加して……、ジムリーダーや四天王もエントリーしてる、あれですか!?」

 セレナ 「うん。私も驚いちゃった」

 ミズホ 「その中で9位ってことは、ジムリーダーとかよりも強いってこと……?」



 ― サトシ 「これで決めるぜ! ルカリオ、“てっていこうせん”!」

 ― ルカリオ 「がぅああぁぁぁぁぁぁぁ!」


ちょうどそのタイミングで、ルカリオが大技を繰り出す。

“てっていこうせん”と呼ばれたそれを、私は初めて目にした。

ルカリオが突きだした拳から、銀色の光線が発射される。ルカリオ渾身の鋼のエネルギーが夜の空気を貫き、激しく、けれど静かに、どこか美しく、ロズレイドに直撃した、


 ― ツバメ 「ロズレイドっ……、ごめん。お疲れさま」

 ― サトシ 「よっしゃ! 良くやったぜルカリオ!」

 ― ルカリオ 「がうぁぁぁ!」


 ▼ 85 コリザル@ナナのみ 22/04/21 23:11:28 ID:m4XY88Bk NGネーム登録 NGID登録 報告
作者さんのxyシリーズへの想いが伝わります。
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 ▼ 86 ニノコ@リーフのいし 22/04/22 23:34:41 ID:LFoUGfvk NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 87 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:50:58 ID:/zQc4JHo [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


バトルは終わりを迎えた。

思った通り、サトシのストレート勝ち。危うさなんて全く無い、サトシの完全勝利だった。


 ツバメ 「っ……グスッ。笑えよ……惨めなアタシを! ボロ負けしたアタシを!」

 サトシ 「笑うもんか。ツバメとポケモンたちの全力、オレ、しっかり受け止めたぜ」

 ツバメ 「なんだよっ……その余裕っぷりはよぉ。アタシっ、これでもバトルの腕っ……グスッ、ちょっと自信、あったのに……」


 サクラ 「お疲れさま、ツバメ」

 ミズホ 「頑張ったじゃん」

 ツバメ 「グスッ……んっ。ダメだねアタシ。あんな威勢良いこと言っといて、このザマさ」

 サクラ 「無理もないよ。サトシさん、カロスリーグ準優勝なんだって」

 ツバメ 「は?」

 ミズホ 「あと、ワールドチャンピオンシップスってので、いま9位なんだってさ」

 ツバメ 「ちょっ……チャンピオンシップスで9位!? それマジなの!?」

 サトシ 「あぁ。このまえドラセナさんに勝って、とうとう一桁さ」

 ツバメ 「ドラセナって、カロス四天王の……!」

 サクラ 「あらら。流石のツバメでも、勝てない相手だったね」

 ツバメ 「なんだよ……あははっ。挑んだアタシが馬鹿みたいじゃん。アンタほどの実力者なら、しっかりセレナに相応しい男じゃん」

 セレナ 「ツバメ……」

 ツバメ 「悔しいけど……認めるよ。アンタがセレナの男なら……、まぁ、悪くは無い、かな」

 サトシ 「じゃあ、もうセレナに嫌がらせしないんだな?」

 ツバメ 「あぁ。2人も納得だよな?」

 サクラ 「うん。私は元々、セレナさんの全部を応援してるし」

 セレナ 「サクラ……」
 ▼ 88 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:51:42 ID:/zQc4JHo [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ミズホ 「ねぇセレナ」

 セレナ 「なぁに?」

 ミズホ 「セレナが……そのっ、私たちと同じ境遇って聞いて、かなり驚いたけど……、ありがとう。そのこと話してくれて」

 セレナ 「うん。私、みんなが思ってるほど完璧じゃないし、一人じゃ何も出来ないの」

 ミズホ 「意外だな。あんなに素敵なステージに立つセレナが、そんな風だなんて」

 セレナ 「沢山の人に支えられて。ニンフィアたちと一緒に頑張って。それで今の私がある――。ねぇ、ミズホ、サクラ、ツバメ」

 ミズホ 「うん」

 サクラ 「はい」

 ツバメ 「………」

 セレナ 「みんな私と同じだよ。ってことは、みんなだって輝ける。みんなだって、キラキラに輝けるんだよ!」

 ミズホ 「私たちが……?」

 ツバメ 「それって……、コンテストライブに参加する、ってこと!?」

 サクラ 「無理です無理です! こんな地味な私たち、コンテストに出るなんて冗談キツイですよ!」

 セレナ 「そんなことないよ。自分に自信を持って! 何事も挑戦よ!」

 サクラ 「うぅ……」

 セレナ 「みんなの覚悟があるなら、私、ルチアに話を通してスカウトするよ!」

 ツバメ 「いくらセレナの推薦でも……」

 ミズホ 「けど、もしかしてこれ、私たち、変わるチャンスなのかもね」

 セレナ 「うん。勇気の一歩を踏み出せば、新しい可能性が広がるよ!」

 サクラ 「けど……」
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:52:26 ID:/zQc4JHo [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「大丈夫さ。オレだってコンテストに出たことあるんだぜ?」

 ツバメ 「うっそぉ!?」

 サクラ 「確かに男性コーディネーターも居ますけど……」

 ミズホ 「急に言われてもなぁ……」

 サトシ 「そんな難しく考えるなよ。迷ってる時間があるんなら、まず動いてみるんだ!」

 セレナ 「ふふっ。それで失敗したって、何かは残る。無駄なことなんて何もない――だよねっ」

 サトシ 「あぁ!」


 ツバメ 「あーあ。ホント、お似合いだね、セレナとサトシ」

 サクラ 「うんうん。以心伝心って感じ」

 ミズホ 「これで恋人じゃないなんて……」

 セレナ 「あはは……」


 ミズホ 「……はい。これ」

 セレナ 「このスマホ」

 ミズホ 「ごめんなさい。せっかくの2人の時間、盗撮しちゃって。さっきの動画、セレナの手で消去して。その方が安心でしょ」

 セレナ 「ミズホ……」

 ミズホ 「ロトムに充電して貰ってよ。あ、当然コピーとか作れてないし、どこにも投稿してないから安心して」

 セレナ 「うん。ありがとう」

 サトシ 「じゃあロトム、そのスマホに充電、分けれるか?」

 ロトム 「ろとー!」 シュンッ!


サトシのスマホロトムが、ミズホのスマホに入り込む。

すぐに充電が回復し、私は、さっきの動画を、自分の手で消去した。


これで一件落着だ。

 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:54:11 ID:/zQc4JHo [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ツバメ 「コンテストのスカウトの件、有難いけどさ。まだちょっと心の準備が付かないよ」

 サクラ 「うん。急すぎるもんね……」

 ミズホ 「けど……、出てみたいとは思ってる! 私たちも変わりたい! セレナみたいになりたいもん!」

 セレナ 「決心ついたら、いつでも声をかけてね。待ってるわよ」

 ニンフィア 「ふぃあ!」

 サトシ 「セレナのライバル、3人も増えちまったな」

 セレナ 「ふふっ。私も もっと頑張らないとねっ!」


 ミズホ 「あと……セレナ」

 セレナ 「なぁに?」

 ミズホ 「迷惑かけて、こんなお願い申し訳ないんだけど……、握手、して下さいっ!」

 サクラ 「ぁっ、私もお願いします!」

 ツバメ 「えっと、アタシも!」

 セレナ 「えぇ。喜んで!」
 ▼ 91 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:54:37 ID:/zQc4JHo [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ミズホと、サクラと、ツバメ。


私のファンであって、私と同じ境遇の3人と、ギュッと握手をかわした。

みんな自然と眩しい笑顔になって、この笑顔を見たら、地味だとか、冴えないだとか、そんな風には思えない。



彼女たちなら、大丈夫だ。

自分に自信を持って、前を向いて生きていけると思う。

近い将来、コンテストライブにデビューする日が待ち遠しい。



私は多分、彼女たちの大きな一歩を踏み出す手助けを出来たと思う。


未来のコーディネーターの誕生に立ち会たこと――。

ホウエンのコンテストを盛り上げる身として、こんなに嬉しいことはない、よねっ。


 ▼ 92 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:56:24 ID:/zQc4JHo [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ミズホたちと さよならして、私とサトシは、ポケモンセンターに戻る。

気付けばもう22時。随分と時間が経ってしまっていた。


 サトシ 「良かったな、円満に終われて」

 セレナ 「うん。みんな本当は良い子なんだよ。ちょっと自分に自信が無かっただけで」

 サトシ 「あの3人、きっと強敵になるぞ〜」

 セレナ 「ふふっ。なんだかそんな気がするな〜」

 サトシ 「後輩に追いつかれる怖さとか、あるかもしれないけどさ。セレナはセレナの演技を貫けよ。セレナらしさが、あの3人の目標になるんだからさ!」

 セレナ 「うん。ありがとうサトシ。サトシは優しいね」

 サトシ 「へへっ」


後輩に追いつかれる怖さ――、サトシは きっと、ショータの経験を言ってるんだと思う。

自分を目標にしてきてくれた人が、気付けば自分を追い抜いていた――。それは嬉しいことであると同時に、怖いことでもある。

サトシにとって、それはある意味で恥ずかしい過去のはずだけど、それを隠すことなく、私にアドバイスしてくれた。


本当にサトシは優しい人だ。

 ▼ 93 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:58:08 ID:/zQc4JHo [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「サトシ。ありがとう、本当に」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「サトシのアドバイスに、いつも私、救われてるよ」

 サトシ 「そっか」

 セレナ 「あと……、嬉しかったよ。さっきサトシが、ミズホたちに言った言葉」

 サトシ 「あれは当然のことだよ。あいつら、セレナの努力とか強さを知らなさ過ぎたんだから」



なんでもないことのように言うサトシだけど、私にとって、その嬉しさは計り知れない。

私の失敗、苦難、努力、成長、決意を、サトシは全部見てくれていて、全部覚えていてくれたんだから。

大好きな人に、私の全てを、見て貰えてたんだから――。


 ▼ 94 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/22 23:59:04 ID:/zQc4JHo [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「見えてきたな、ポケモンセンター」

 セレナ 「うん」


ポケモンセンターの灯りが見える。

サトシと2人きりの素敵な時間は、もうすぐ……。


 サトシ 「ゴウとコハル、もう寝ちまってるかな。ピカチュウたちジョーイさんに預けたら、オレたちも早く……」

 セレナ 「ねぇ、サトシ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「もう遅いしさ……、そのっ……」

 サトシ 「ん?」





 セレナ 「私の部屋に……、来ない?」





 ▼ 95 ニプッチ@すごそうないし 22/04/23 00:20:20 ID:7Ue6aQXg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
今更気づいたけど女子3人の名前全部九州新幹線の名前なんだな
ホウエン繋がりかな
 ▼ 96 ノヤコマ@トレジャーメール 22/04/23 00:33:13 ID:1l/ACm7U NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セレナ誘ったw 初夜か
 ▼ 97 コルピ@キャンプセット 22/04/23 12:40:29 ID:lcQUMf5A NGネーム登録 NGID登録 報告
エロ来るの?支援!
 ▼ 98 ムナイト@あおのはなびら 22/04/24 14:50:13 ID:wrik4VD2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 99 リヤード@おとしもの 22/04/24 16:46:49 ID:4nSgKtfk [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
流石にアローラチャンピオンを誰よあんたは流石に草
大誤算に誰よあんたと言ってるのと同じやぞ
 ▼ 100 ンフィア@ハーバーメール 22/04/24 18:48:48 ID:PRZEQ9DI NGネーム登録 NGID登録 報告
>>99
言うてゴウやコハルも初対面ではサトシのこと知らなかったけどね
 ▼ 101 ッチルドン@イワZ 22/04/24 18:52:09 ID:4nSgKtfk [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>100
あの当時はチャンピオンになって日が浅かったし多少はね?
あれだけWCSで活躍してるのに誰よあんたは・・・ねぇ?
 ▼ 102 キノオー@ジュペッタナイト 22/04/24 20:07:31 ID:4nSgKtfk [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どこの誰とも分からない一般人との熱愛報道ならスキャンダルになるかもだけど相手がWCSで大活躍のアローラチャンピオンと来たら「ビッグカップル誕生!!」みたいな感じで逆に祝福ムードにならない?
浮気云々の報道までされたら知らん
 ▼ 103 ノガッサ@アクロママシーン 22/04/24 20:36:51 ID:4laU5wMY NGネーム登録 NGID登録 報告
あればあったで嬉しいが安易にエロは望まない
プラトニックでも十分美しい
 ▼ 104 ネブー@きのはこ 22/04/24 20:37:42 ID:wrik4VD2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>101
まあセレナもWCSの件は詳しく知らないようだったし、興味のない人は本当に知らないんじゃないかな
 ▼ 105 ノアラシ@ヘビーボール 22/04/24 21:36:21 ID:I.tM.TDA NGネーム登録 NGID登録 報告
>>103
同感
 ▼ 106 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/24 23:46:06 ID:oJ6wRdWU [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






 セレナ 「お待たせ。シャワーどうぞ」

 サトシ 「おう。サンキュー」



私と入れ替わりで、サトシがバスルームに入る。


シャワーの音が聞こえてきたのを確認して、私は大きく深呼吸した。



 セレナ (サトシと、2人きり……)


サトシを私の部屋に誘ったら、彼は二つ返事でOKしてくれた。

ピカチュウとニンフィアたちはジョーイさんに預けたので、明日の朝まで、私はサトシと2人きりだ。


 セレナ (ドキドキする……)


久々に再会したサトシは、相変わらず格好良く、頼もしく、そして何より、私のことをしっかり見てくれていた。

嬉しい反面、いざ2人きりになった時、キスの話題は避けては通れない。

ポケモンセンターの屋上でも少し触れたけど、サトシは あのキスのこと、本当のところ、どう思ってるんだろう……。


 ▼ 107 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/24 23:47:16 ID:oJ6wRdWU [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 サトシ 「ふぅ……、さっぱりした」

 セレナ 「ポカリあるけど、サトシも飲む?」

 サトシ 「おっ、サンキュー」

 セレナ 「ふふっ。ちょっと待っててね」


スポーツドリンクをコップに注いで、ミニテーブルに。

私はベッドに座り、サトシは椅子に腰掛け、向かい合う。ただそれだけで、なんだか顔が熱くなってくる。


 サトシ 「セレナと2人きりでポケモンセンター使うの……、初めてだっけ?」

 セレナ 「うん。ユリーカと3人で、ってことはあったけど、2人きりは初めてだね」

 サトシ 「そっか。……懐かしいよな。あ、オレこの前、シトロンとユリーカに会ったんだ」

 セレナ 「ホント? 2人とも元気してた?」

 サトシ 「あぁ。シトロンは良いジムリーダーやってるよ。ホルビーがホルードに進化してた」

 セレナ 「そうなんだ。みんな成長してるんだねっ」

 サトシ 「シトロイドも しっかりやってたし、ユリーカは相変わらず“シルブプレ”してたぜ」

 セレナ 「ふふっ。ユリーカったら〜」

 サトシ 「そう言えば、セレナのテールナー、いつマフォクシーに進化したんだ?」

 セレナ 「うん。コンテストライブ用に、新しい演技を研究してる時にね――」
 ▼ 108 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/24 23:48:13 ID:oJ6wRdWU [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

気が付けば、私とサトシは、旅のことやポケモンたちのことで、お喋りに夢中になっていた。


さっき――、コハルとゴウが一緒だった時は、2人が話題に付いて来れないと悪いから避けていた内容だからかな。

サトシと2人きりだからこそ、思い出話が途切れることなく弾む。


気まずさなんて全く無い、自然体で お話しできる嬉しさ――。

やっぱり私は、サトシのことが好きなんだなと、改めて思う。


でもそんな彼は、ワールドチャンピオンシップスで9位という実力者。


果たして私は、そんな彼に相応しい女性になれたのかな……。

私とサトシは、つり合う存在なのかな……。



 サトシ 「……ん? どうした?」

 セレナ 「ぁっ……」


凄いな、サトシ。

私、少しだけ不安な顔したかもしれないけど、本当に少しだけ。そんな変化に気付いてくれるなんて……。
 ▼ 109 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/24 23:50:28 ID:oJ6wRdWU [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 セレナ 「ううん。なんでもないの。サトシは私と違って凄いなぁって」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナだって凄ぇじゃん。これだけホウエンで有名になって」

 セレナ 「そうだけど、私の知名度はホウエンだけ。サトシは全国規模の大会で9位なんだから、私とは雲泥の差だよ」

 サトシ 「……どうしたんだよ急に?」

 セレナ 「ごめんね。だた、私はサトシの隣に相応しいのかなって、ちょっと考えちゃって」

 サトシ 「オレの隣に……?」

 セレナ 「さっきミズホたち言ってたでしょ。サトシが私に相応しいか〜って。でもそれ逆だと思うの。私の方が、サトシに相応しいかなって」

 サトシ 「相応しいもなにも、一緒に旅した仲間じゃん。まわりの目なんて気にすることないぜ?」


そう答えてくれたサトシは、どこまでも優しい。

優しくて、逞しくて、格好良くて、純粋で……。本当に、私には勿体ないくらいに。


 セレナ 「そんなサトシにさ、私……、キス、しちゃったんだよね……///」

 サトシ 「んっ、あぁ……」

 セレナ 「今になって考えてみるとね、私、失礼なことしちゃったかなって。サトシみたいな凄い人に、私は……」


 サトシ 「セレナっ」 ポンッ

 セレナ 「ぁっ ///」


サトシが、私の肩に優しく手を置いた。

真剣な眼差しで、私の目を見つめながら。
 ▼ 110 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/24 23:53:03 ID:oJ6wRdWU [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

懐かしいな。サトシは私を安心させる時、こうやって肩に手を置いてくれる。

旅の途中――、トライポカロン・マスタークラスの開催地が、ジムのあるエイセツシティから離れていたことが判明した時も。

サトシの旅の邪魔をしてしまうんじゃ……という私の不安を、サトシは こうやって、取り除いてくれたっけ。



 サトシ 「さっきも言ったけどさ。オレ、セレナのキス、嬉しかったぜ?」

 セレナ 「本当……?」

 サトシ 「セレナはオレの旅を支えてくれたんだ。迷惑とか、失礼とか、そんなの考えたことも無かった。断言する」


 セレナ 「じゃあさ……」

 サトシ 「ん?」


それは、サトシの本心だと思う。

サトシは嘘をつく人じゃないし、彼の真剣な目が、何よりの証拠だ。


でも私は、確かめたいの。

サトシ、貴方にとって私は、どういう存在なのか……って。





 セレナ 「もし……、もし、だよ? もう1回、キスして下さい。って言ったら、サトシ……、サトシは、どうする? ///」 ドキドキ





 ▼ 111 ジギガス@ヒレのカセキ 22/04/25 00:47:42 ID:VYm.koDE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱWCSの話題触れられたか
キバナの1個下ってだけで知らない人が出てくるのは流石にびっくりだけど
 ▼ 112 ノプス@フライもりあわせ 22/04/25 18:21:40 ID:qAyEC6Aw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

>>111
けっこう最初のほうで触れられてたけどね
 ▼ 113 ーテング@でかいきんのたま 22/04/25 20:40:04 ID:RYNEc9AA NGネーム登録 NGID登録 報告
Aってことはルート分岐か!?
支援
 ▼ 114 カグース@ナナシのみ 22/04/26 00:58:05 ID:D8nMcntg NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セレナそのデカくて豊満な胸は何のためにあるのよ サトシそれで落としなさいよ
 ▼ 115 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/26 21:03:52 ID:woGk/RKE [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「………」


 セレナ 「ぁっ……ごめんなさい。困るよね、こんなこと急に言われたら……」

 サトシ 「いや、驚いたけど、困りは しないぜ?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「キスの意味って、歓迎とか、お礼とか、あと、好きな相手へのアピールもあるだろ?」

 セレナ 「っ……///」

 サトシ 「オレによく懐いてくれたチコリータにキスされたことがあってさ。言葉が通じなくても、気持ちは通じ合えるんだなって」

 セレナ 「ぁっ、うん」


チコリータにキスされた――か。

サトシのポケモン好きは、ポケモンにも通じてるんだね。

歓迎と感謝って言葉が出てきた理由は分からないけど、サトシにとってのキスの意味は、ポケモンからの愛情表現って感じなのかな。


……うん。サトシらしいね。

純粋なサトシに、恋愛の意味は まだ分からないってことかな。
 ▼ 116 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/26 21:04:36 ID:woGk/RKE [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「だからさ、セレナ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「あの時のキスは……、どっちの意味だったんだ?」

 セレナ 「………………ぇ?」

 サトシ 「間違っちゃ いけないから、教えて欲しいんだ。セレナは、どういう意味で、オレにキスしてくれたんだ……?」


 セレナ 「ぁのっ、それはっ……///」


もぉ……、揶揄ってるの、サトシ?

確かに私、あの時キスした後、“ありがとう!”って言ったよ。感謝のキスだと思われるかもしれないよ。


でも……。

いくら鈍感でも、そこは気付いて欲しかったな。私の精一杯の告白に。


 サトシ 「セレナ……」


サトシは真剣な眼差しで、私の答えを待っている。

そうだよ。サトシに小細工は通じない。サトシみたいな真っ直ぐな人には、私も真っ直ぐに、彼に気持ちを伝えないと。

覚悟を決めないと。


 セレナ 「それはね……」


 ▼ 117 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/26 21:05:17 ID:woGk/RKE [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

緊張するけど……、何故だろう。怖さは無い。


サトシと2人きりだからかな?

サトシが私を大切に想っていてくれたことを知れたからかな?

それとも、私が大人になったからなのかな?


サトシは、明日の船で帰ってしまう。

サトシと居られる時間は、あと僅か。2人きりなのは、今夜だけ。


そう……、当たって砕けろだ。


あの時のキスも、もう当分サトシに会えないからと、思いきって行動に移したんだっけ。

今回も、次にサトシと会えるのがいつになるか、全く分からない。条件はあの時と一緒なんだ。



 セレナ 「サトシのことが、好きです。サマーキャンプで助けて貰った時から、ずっと。貴方のことが、好きです」



私は ゆっくりと、目の前の彼に伝えた。


覚悟を決めたからなのか、自分でも驚くほど、落ち着いていた。

さっきまで、あんなにドキドキしてたのに。あんなに不安だったのに。あんなに緊張してたのに。


そんな心の騒めきは一瞬のうちに消え去っていて。

私は今になってようやく、サトシに告白することが出来たのだ。


 ▼ 118 ャローダ@ぐんぐんこやし 22/04/26 21:17:58 ID:CekMU22E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!

>>114
 ▼ 119 ンフィア@アロライZ 22/04/27 05:58:56 ID:V1EI3DpU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 120 ードリオ@ハッサムナイト 22/04/27 07:30:31 ID:j19.QSko NGネーム登録 NGID登録 報告
スレタイ見て船が沈む話かと思った
 ▼ 121 ツハニー@ちりょくのハネ 22/04/28 20:27:24 ID:KjZMjs7I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援支援
 ▼ 122 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:19:48 ID:pM4gpetU [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「好き――か。オレもセレナのことは好きだし、シトロンやユリーカ、今まで旅してきた仲間のことも、みんな好きだ」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「けど、セレナが言う“好き”は、そういうのとは違うんだよな?」

 セレナ 「うん。私の“好き”は、サトシだけ。私にとって特別な“好き”だよ?」

 サトシ 「そっか。ありがとな、オレのこと、特別に想ってくれて」

 セレナ 「ふふっ」

 サトシ 「オレは……“特別な好き”ってやつがどういう感じか、よく分からないけどさ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「セレナはオレにとって、大切な存在だ。オレの旅を支えてくれて、オレにアドバイスくれて、エイセツジムのこととか、本当に感謝してるよ」

 セレナ 「んっ……///」

 サトシ 「セレナが頑張ってる姿を見ると、オレも頑張らなくちゃ! ってヤル気になれるんだ。セレナと旅したこと、本当に良かったって思ってる」

 セレナ 「うんっ、私も……! 私もサトシと旅できて良かった。今の私があるのは、サトシのお陰。大好きなサトシと旅して、私の人生、大きく変わったもん」

 サトシ 「あぁ。こんなに“魅力的に”成長してるんだもんな!」

 セレナ 「んっ……ふふっ ///」
 ▼ 123 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:20:38 ID:pM4gpetU [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


私の告白が、サトシに正確に伝わったのかは、分からない。

けど、サトシからの答えは、私にとって十分すぎるものだった。



私はサトシにとって“大切な存在”――。

私はサトシから見て“魅力的に成長している”――。



大好きな、憧れのサトシに貰った言葉。

鈍感で純粋なサトシから贈られる、最高ランクの言葉だよね、きっと。


 ▼ 124 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:22:21 ID:pM4gpetU [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「それで、さっきの質問の答えだけどさ……」

 セレナ 「えっ? 質問……ぇ? それって……」

 サトシ 「“もう1回キスして”って言われたら――、“良いぜ”って答える、かなっ」 ズイッ

 セレナ 「ふぁっ……!? ///」



そう言うとサトシは椅子から立ち上がり、私の左隣、ベッドに腰掛ける。


サトシとの距離が急に近くなり、私の頭は、私の思考は追いつかない。



サトシは右腕を伸ばし、私の右肩を抱き寄せる。


サトシとの密着する事態に、私の頭はパニックを起こす。顔が熱くなる。


そうして次の瞬間――。





 ― chu ♡





私の左頬に、温かな感触が生まれた。



 ▼ 125 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:22:53 ID:pM4gpetU [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「……へへっ。流石に唇は恥ずかしいから、これで勘弁してくれるか?」

 セレナ 「ぁっ、ぁぁぁっ……///」 ドキドキ



その感触が、サトシからキスされたのだと理解するまで、少し時間がかかった。


サトシから……、サトシから、キスされた。

頬だけど、サトシから……、ずっと片想いしてきたサトシから、キスされちゃった。


 サトシ 「いや、ホッペでも十分恥ずかしいな、キスって ///」


そう言って はにかむサトシ。

既に私を抱き寄せた腕を放し、密着状態では なくなったけど。


その温もりは、確かにサトシからのキスだった。



 セレナ 「グスッ、嬉しい……///」

 サトシ 「そっか。良かった」

 セレナ 「ありがとう……///」 ギュッ

 サトシ 「おっ……と、セレナ?」
 ▼ 126 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:24:21 ID:pM4gpetU [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

嬉しさのあまり、気付けば私は、サトシに抱き付いていた。

ずっと片想いしていたサトシからの――、鈍感なサトシからの、最高の愛情表現。

私の告白を受け入れてくれた訳じゃないけど、まだ恋愛に興味の無いサトシからのキスは、とてつもなく意味のあるものだ。

サトシは私のことを、“旅仲間”から“一人の女性”として見てくれたんじゃないかな。



 セレナ 「……ねぇ、サトシ」

 サトシ 「ん?」


抱き付いたサトシは、逞しい体つきだった。

ポケモンのワザを生身で受けたり、ポケモン顔負けの身体能力を発揮したり。この逞しさは納得だ。

男の子らしいガッシリ逞しい体、サトシの温もり、サトシの匂い。それらは私の思考を刺激して――。



 セレナ 「……chu♡」

 サトシ 「んむっ……!?」



 セレナ 「……ぷはっ。えへへっ、ほっぺのキスじゃ、我慢できないもん ///」



既に空港で済ませているので、ハードルは低い。

今このタイミングでのサトシへの口づけに、抵抗感は全く無かった。

 ▼ 127 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:25:35 ID:pM4gpetU [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「ぁっ……と、不意打ちは卑怯だぞ〜! ///」 ドサッ!

 セレナ 「ふふっ、きゃ〜 ///」 ドサッ!



私とサトシは、ふざけてベッドに倒れ込む。


あぁ、サトシとこんなスキンシップが取れる日が来るなんて、思ってもみなかったな。


サトシ、不意打ちって言うけど、先に不意打ちを仕掛けたのはサトシの方。

サトシからキスしてくれるなんて、本当に予想外のことだったんだから。その お返しだよっ。



 セレナ 「……好き」

 サトシ 「オレもセレナのことは好きだ。多分だけど……、他の女子よりも、好きのレベルは上だと思う」

 セレナ 「光栄だなっ」

 サトシ 「けど、それ以上のことは分からないんだ。この気持ちが なんなのか。……ごめんな」

 セレナ 「ううん。それだけでも私、嬉しいよ」

 サトシ 「良かった」

 セレナ 「答えはさ……、いつか聞かせてよ。それまでに私、今よりも、もっともっと魅力的な女性になるから」

 サトシ 「今よりも?」

 セレナ 「うん。それと、ホウエンでの活動に一段落付いたら、またトラポカロンに戻るつもり」

 サトシ 「そっか……そうだよな。セレナの夢は、カロスクイーンだもんな!」

 セレナ 「うんっ! 次こそエルさんに勝って! 沢山の人に笑顔を与える存在になるんだ、私!」

 サトシ 「セレナなら出来るさ。応援してるぜ!」

 セレナ 「ありがとう。サトシもチャンピオンシップス、頑張ってね!」

 サトシ 「あぁ! 絶対にダンデさんに勝ってみせるぜ!」

 セレナ 「ふふふっ」
 ▼ 128 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:26:15 ID:pM4gpetU [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ベッドに寝ころびながら、私とサトシは、夢を語り合う。

とっても素敵な時間。とっても素敵な思い出。とっても素敵な1日。



けどもうすぐ、終わってしまう……。



 サトシ 「早いな、時間経つの」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「もう寝ないと。セレナ、ステージで疲れてるだろ?」

 セレナ 「私は大丈夫けど……、でも、うん。そろそろ寝ないとね」


気付けば既に、日付が変わっていた。

サトシが帰るのは、朝の船。サトシを寝不足のまま帰らす訳には いかない。


 サトシ 「じゃあ、おやすみ。ゴウたちの部屋に戻るよ」

 セレナ 「ぁ……、でも、起こしちゃ可哀想だよ」

 サトシ 「大丈夫。こっそり行くから」


 セレナ 「……遠まわしに、一緒に寝ようって誘ってるんだけどな〜」


 ▼ 129 州街道◆IVIG1YNTZ6 22/04/29 02:27:30 ID:pM4gpetU [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「え? けど、ここ1人部屋だし」

 セレナ 「ベッドは大人用だから、2人でも大丈夫よ」

 サトシ 「セレナ、なんか急に積極的になってないか?」

 セレナ 「もぉ……。私だって恥ずかしいよ。でも、また しばらく会えなくなっちゃうから……」

 サトシ 「あぁ……そうだよな。じゃあ今日だけ一緒に寝ようぜ」

 セレナ 「うんっ ///」



サトシと一緒に寝るのは、もちろん初めてのことだ。

しかもここはシングルルーム。

1つしかないベッドに、私とサトシは、肩が触れ合うほど身を寄せ合って、1枚しかない毛布に一緒に包まる。



 サトシ 「毛布、ちゃんと掛かってるか?」

 セレナ 「うん、大丈夫だよ。サトシは?」

 サトシ 「オレも大丈夫。案外2人でも使えるんだな」

 セレナ 「ふふっ、そうだねっ」
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