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「1億」
ざわめきが会場を包み込むも、それは数秒で解け、静寂が訪れる。
しばらくすると、壇上の、白髪混じりで紳士風の装いをした老父が三回、手に持っていたガベルで台を叩き終局を示した。
ここはマリナードタウン地下にある闇オークション会場。夜も更け、潮風に揺れる木々が無観客のコンサートを開催しているような頃に、パルデア中から巨万の富を得たVIPが集まるのだ。
会場は仄暗くどこにでもある会議室ほどの狭さで、どこからか異国情緒な香りが漂ってくる。
ともかく、僕は買われた。
一億円。将来を嘱望される甲子園のスターにでもなった気分だ。勿論僕の手元にそれがそのまま入るわけではないのだが。
手足に鎖を付けられ自由を縛られていた僕は、おとなしく一連の取引を壇上で見ていた。