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【神話パロ】『アンドロペパ物語』

 ▼ 1 クーン@マックスこうせき 23/04/17 21:14:24 ID:gILsurzY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昔々の、神話の時代。
古代と未来が複雑に混じり合うパルデア王国というところに、それはそれはガチオタな王妃様がいました。

「はぁ〜、今日もブイブイ達に囲まれて幸せ…。」

王妃様の名前はカシオペア。
日がな一日、薄暗い自分の部屋で手持ちのブイブイ達に囲まれながら、好きなアニメを見たりポスターやフィギュアを眺めたりしながら暮らしています。

カシオペア「…お、あのアニメBlu-ray化されるんだ。やったー。」

今日も愛用のパソコンの前に座って、情報収集に忙しいカシオペア。
大好きなアニメの新作Blu-rayを発見し、さっそく購入予約のアイコンをクリックしようとしました。

ところが…。

カシオペア「あ、また今月も小遣いピンチじゃん…。」

パルデア王国の国王様はたいそう国民思いな人で、どうしても必要だと判断したとき以外は常に質素倹約を心がけていました。
そんな国王様をカシオペアも尊敬してはいましたが、毎月国王様から下される最低限のお小遣いでは、彼女のオタ活を支えるにはとうてい足りません。

こんなとき、カシオペアには奥の手がありました。

カシオペア「こうなったら今回も…。失敬しまーす…。」

何やらカタカタとキーボードを叩くカシオペア。
あっと言う間に目当てのサイトを見つけ…。

カシオペア「フッ…、ハッキング完了。」

何と一国の王妃様であるカシオペア。
よりにもよって、国の重要な儀式であるポケモンバトルをつかさどる大神殿のサイトに侵入し、お布施や寄進が電子通貨に変換された、LP(リーグペイ)というものをちょろまかしていたのです。

そう、カシオペアはすご腕の天才ハッカーという裏の顔を持っていました。
それはもう、ハッキングにかけては自分の右に出る者はいない、と言い切れるほどに。

今日もハッキングで手に入れたLPを使い、無事に新作Blu-rayの購入予約を終えてほくほくのカシオペア。
…彼女のこの行動が、後にとんでもない事態を引き起こすことになるとは、このときのカシオペアは思っても見ませんでした。
 ▼ 42 マカジ@キノコよせだま 23/04/26 21:30:47 ID:ivK6TWvQ NGネーム登録 NGID登録 報告
アオハル合体させてアル(セウス)にするの天才すぎる
 ▼ 43 トスパス@アイテムコール 23/04/29 20:14:34 ID:nYBMtmzU [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
神と呼ばれしアルセウス。
その名を呼びながら男は狂ったように笑い出しました。

謎の男「ご苦労様でしたアンドロペパ姫!アナタはカンペキにワタクシが目論んだ通りに動いてくれましたよ!」

アンドロペパ「何だと!?」

謎の男「テーブルシティの大通りで鎖に繋がれた姫を見かけましてね、これはチャンスだと思いましたよ!ワタクシは大急ぎで前々から目をつけていたアオセウスとハルセウスに声を掛けました!アンドロペパ姫に危機が迫っている、無事に姫を助け出せばアナタは王国一の英雄になれますよとね!」

アンドロペパ「それで二人とも、あんなにタイミングよく来たのかよ…。」

謎の男「あとは彼らがアナタの前でケンカをおっ始めるのを待つのみ!そうすればお優しいアナタは二人を止めに入るでしょう!彼らが初めて仲良く手を取り合ったその時、長きに渡る封印は解かれ、こうしてアルセウスは姿を現した…。」

アンドロペパ「…。」

謎の男「さぁアンドロペパ、アナタの役目はこれで終わりです!そこに転がってる双子ともども、アナタ達にはここで消えてもらいましょう!」

アンドロペパ「はぁ!?何でだよ!?」

謎の男「本当ならワタクシは、たった二人きりでアルセウスと相見えたかった…。ですがアルセウスが人間に取り憑いている以上、それは叶わぬ夢でした。アルセウス復活のために必要最低限の手駒がいるのは仕方ない、ですからすべてが用済みとなったときには消えてもらわねばならないのです!」

アンドロペパ「つまりこのアルセウスとかいうポケモンを、独り占めしたいって訳かよ…!」

謎の男「ワタクシとアルセウスの逢瀬を邪魔するなどと、決して許せるものではないのですよ!!!」

そう言って謎の男は自分の手持ちポケモンをすべて繰り出しました。
男のポケモン達はどれも強そうです。
アンドロペパは倒れたままのアオセウスとハルセウスをチラリと振り返りました。

アンドロペパ「マズいな…、二人とも目を覚ます気配はないし、オレの手持ちはマフィティフ一匹だ。しかもさっきあんな大怪我したばかりで、また戦わせたくなんかねぇし…、そうだ!」

アンドロペパは自分の後ろでたたずむアルセウスに言いました。

アンドロペパ「アルセウス!オマエ強いんだろ?しかもずっとアイツから逃げ回ってたってことは、アイツのことだって嫌いなはずだ!頼む!オレ達のために戦ってくれ!」

アルセウス「嫌です。」

アンドロペパ「何でだよ!オマエが本気出せば、あんなヤツ一発でどうにかしちまえるんだろ!?」

アルセウス「あの男とは一切関わりたくありません。私が直接手を下すことすらおこがましいし汚らわしい。」

アンドロペパ「何か…、アイツ思ってた以上に嫌われてんだな…。」

アルセウス「彼は私のストーカーです。あなたがこの双子を仲良くさせようなどと余計なことをしなければ、私はまだ安全な場所に隠れていられたのに…、はぁ…。」

アンドロペパ「何でオレが悪いみたいになってんだよ!事情はともかく、どっちみちオマエも戦わないとそのうちアイツにいいようにされちまうぞ!?それでもいいのかよ!?」

謎の男「さっきから何をゴチャゴチャとアルセウスとイチャついてる…!ゆけっ!トゲキッス、ガブリアス!」

男が命じると、手持ちの中でも特に強そうな二匹がアンドロペパへと向かって来ました。
マフィティフだけでは、あの勢いを食い止めることは難しそうです。
 ▼ 44 オニューラ@たわわこやし 23/04/29 20:47:29 ID:nYBMtmzU [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アンドロペパ「っ…!」

アルセウス「やれやれ…、仕方ないですね。」

あきれたようにアルセウスが言った瞬間、アンドロペパめがけて襲いかかって来ていたガブリアスとトゲキッスが、一瞬で後ろに吹き飛びました。

アンドロペパ「!?アルセウス、やってくれたのか?」

アルセウス「そんな訳ないでしょう。よく見てください。」

アンドロペパ「…?」

アンドロペパが顔を上げると、そこにはいつの間にかアンドロペパと同じ年くらいの少女が立っていました。

少女「よーしパーモット、もう一回…!って、あっれー…?怪物達どこ行っちゃったのー?」

ふしぎそうにキョロキョロと周りを見回す少女。
ふと後ろを振り返り、そこにたたずんでいるアルセウスとアンドロペパに気付いた彼女は突然、キラキラと目を輝かせました。

少女「うっわー!何かめちゃくちゃすごそうなポケモン発見!ねぇねぇ!キミがこの子のトレーナー?今すぐ私と戦ろうよ!」

アンドロペパ「!?いや、コイツはオレのポケモンじゃねぇ…、っつーかオマエ誰だ!?どっから出て来た!?」

アルセウス「彼女は未来の大英雄ネモクレス。この状況を打開するべく、私がこの時代に呼び寄せました。」

アンドロペパ「未来の大英雄だと…!?」

アルセウス「ついでにあなたの子孫です。」

アンドロペパ「へえー、オレの子孫かぁ…、って、えええええーっ!?」

ネモクレス「子孫…?んん…?」

驚きを隠せないアンドロペパに向かって、ネモクレスはずいと顔を近付けました。

ネモクレス「私がキミの子孫ってことは…、もしかしてキミ、アンドロペパなの!?」

アンドロペパ「知ってんのか?オレのこと。」

ネモクレス「もっちろん!だってアンドロペパって、とってもすっごいご先祖様なんだよ!何てったってあのアルセウスと結婚して生まれて来たのが私の一族なんだもの!」

謎の男「🤯」

アンドロペパ「んな訳あるか!!!」

ネモクレス「ってかもしかして、キミと一緒にいるそのポケモンがアルセウス!?うっそぉー!私もしかして、すっごい時代に来ちゃったのぉー!?ねぇねぇ、人間とポケモンってどうやって結婚するの!?ってかどうやって子ども作るの!?」

アンドロペパ「知らん!!!っつーか人間とポケモンが結婚できる訳ねーだろ!!!」

アルセウス「人と結婚したポケモンがいた
ポケモンと結婚した人がいた
昔は人もポケモンも
おなじだったから普通の事だった」

謎の男「🤯🤯🤯」

アンドロペパ「オマエも話をややこしくすんじゃねー!!!」

謎の男「…なぜ、なぜなのだ…!!」
 ▼ 45 グマッグ@キズぐすり 23/04/29 21:33:43 ID:nYBMtmzU [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
地を這うような男の声に、アンドロペパもネモクレスもはたと彼の方を見ました。
謎の男はいきなり叫びます。

謎の男「なぜアナタごときが!アルセウスの寵愛を得ているのだ!?」

アンドロペパ「いや得てねーから!!!」

謎の男「クッ…!見たくないのですよ、アナタとアルセウスの子作りなど…!」

アンドロペパ「誰がするかぁー!!!」

ネモクレス「私はちょっと、見てみたいかも…///」ドキドキ

アンドロペパ「変態は黙ってろ!!!」

謎の男「許せない…、断固許すまじアンドロペパ!!!全員、打破せよ!」

そう叫んでやけになった男は、手持ちのすべてを繰り出して再び襲いかかって来ました。
さぁここで目をらんらんとさせながらワクワクしてきたのがネモクレスです。

ネモクレス「ねねっ、あれ全部私がやっちゃってもいいの!?」

アルセウス「そのためにあなたをここへ呼んだのです。戦っておしまいなさい、大英雄ネモクレス。」

ネモクレス「や っ た あ あ あ ぁ ー っ ! ! !」

ネモクレスは雄叫びを上げてポケモン達を繰り出しながら、謎の男のポケモン達に向かって突っ走って行きました。

ネモクレス「ねぇねぇ!キミのポケモンものすごく強いんだね!どこでどうやって鍛えたの!?今まで私が戦ってきた人達みーんな手応えなくってさぁ!こんなに強い人初めてなんだよね!ハァハァハァハァ…!!」

謎の男「な、何なのですかアナタは一体!!」

単純にポケモン達の実力ではほとんど互角の二人ですが、ネモクレスのあまりの興奮っぷりに謎の男はすっかりドン引きしてしまい、上手くポケモン達に指示を与えることができません。

アンドロペパ「だいぶ頭のネジは飛んでるちゃんだけど、アイツも結構強いんだな。」

アルセウス「彼女に任せておけばこの場は大丈夫でしょう。それでは今のうちに、私は一度天界に戻ります。早急に次のストーカー対策を練らなくては。」

アンドロペパ「えっ!?おいちょっと待てよ!アイツは…、ネモクレスはこの時代の人間じゃないんだろ!?未来に帰してやらなくていいのかよ!?」

アルセウス「…この世界にあなたを呼んでよかった。戦いが終わったら彼女にそう伝えておいてください。では。」

そう言いのこしてアルセウスは、天へと向かって飛び立ってしまいました。

アンドロペパ「…。」
 ▼ 46 カヌチャン@コイキングのウロコ 23/04/29 21:44:01 ID:0A0gHe1E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 47 レンアルマ@はつでんしょキー 23/04/29 22:27:22 ID:0m4YFTfs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヘラクレス役がアオハルじゃなくネモとは…
またしても予想外
 ▼ 48 ルクジラ@ピンプクのおとしもの 23/04/30 18:15:59 ID:SXFAF/yU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 49 ィオネ@ひでん:しおスパイス 23/05/12 21:04:14 ID:Qf8YorW6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
人間達を振り回すだけ振り回しておいて、何の後始末もせずに帰っていった神様の傍若無人ぶりにアンドロペパが絶句していると、彼の目の前に天から二つの光の球が降りて来ました。
二つの球はそれぞれアオセウスとハルセウスの胸元に吸いこまれていきます。

アオセウス「うぅ…、ここは…?」

ハルセウス「僕達は、一体…?」

アンドロペパ「オマエら!気がついたのか!?」

アオセウス「アンドロペパ!あたし達、どうしちゃってたの!?」

ハルセウス「どうしてあそこで戦ってる人達が…!?」

アンドロペパ「上手く説明できるかどうかわかんねぇけど…、オマエ達はアルセウスっていう、神様みてぇなポケモンに取り憑かれてたんだ。」

アオセウス「えぇーっ!?ポケモンが!?」

ハルセウス「僕達に取り憑いてただって!?」

アンドロペパ「あそこで戦ってる、変な頭した男がいるだろ?アイツがアルセウスのストーカーでさ、ヤツから逃げるためにアルセウスはオマエ達の中に隠れてたらしいぜ。」

アオセウス「あっ!あの人知ってる!」

ハルセウス「アンドロペパのこと教えてくれた人だ!」

アンドロペパ「アイツはオレ達を利用してアルセウスをここに呼び出した。そして用済みになったオレ達を消そうとしたんだ。」

アオセウス「何それ!許せない!」

ハルセウス「僕達も戦おう!」

そう叫んで双子の英雄はネモクレスに加勢るべく、謎の男へと向かって走って行きました。

謎の男「っ!?アナタ達は…!!」

双子に気付いた謎の男は攻撃の手を止め、焦ったように辺りを見回します。

謎の男「いない…、いない!!アルセウスが、どこにもいない!!!」

アンドロペパ「アルセウスならどっか行っちまったぜ。」

謎の男「何だと!?クッ…、アナタ達が邪魔立てなどしなければ…!!」

アンドロペパ「違げぇだろ。そもそもオマエがアルセウスに認められてねぇんだ。アイツはきっとオマエと行動を共にすることはない、オレにはそんなふうに感じられたけどな。」

謎の男「言わせておけば…!!行けっ、ガブリアス!!ドラゴンクロー!!」

アンドロペパ「っ…!!」
 ▼ 50 ラーメ@スーパーボール 23/05/12 21:06:49 ID:Qf8YorW6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついにキレた謎の男。
ガブリアスの鋭いツメがアンドロペパへと襲いかかります。

アオセウス「マスカーニャ、トリックフラワー!!」

ハルセウス「ラウドボーン、フレアソング!!」

ネモクレス「ウェーニバル、アクアステップ!!」

マスカーニャ「フニャアァッ!!」

ラウドボーン「ボオオォンッ!!」

ウェーニバル「ウェエエィッ!!」

ガブリアス「ッ…!!」

謎の男「ガブリアス!!クッ…、」

三英雄の猛攻でガブリアスは完全に追い込まれました。

アンドロペパ「オレ達も行こう、マフィティフ!!かみくだく!!」

マフィティフ「ガウッ!!」

アンドロペパ「からの、じゃれつく!!」

マフィティフ「ガウバウバウワフ、バウッ!!!」

謎の男「っ、おのれアンドロペパアアアアァァァァァ!!!!!」

マフィティフの技がとどめとなってガブリアスは倒れ、男は狂ったように絶叫しました。

謎の男「なぜだ…、なぜなのだアルセウスよ。ワタクシの何がダメだと言うのか…。」

手持ちをすべて倒され、男は絶望したようにガックリと膝をつきました。

ネモクレス「それはほら、やっぱりあれじゃない?しつこい男は嫌われるってヤツ。」

ハルセウス「あぁ確かに。押してダメなら引いてみろって言うもんね。」

アオセウス「あとその変な髪型絶対やめたほうがいいよ!一緒に外歩くの恥ずかしいもん。」

アンドロペパ「何にせよ、相手の気持ちを無視した行動ってのは絶対ダメだよな。」

謎の男「はは…、はははは…、」

四人から次々とダメ出しをくらい、謎の男は力なく笑いながらユラリと立ち上がって歩き出しました。

アンドロペパ「あっ、おい!そっちは出口じゃねぇ…。」

謎の男「わかってますよ…。それでもワタクシは、アルセウスを自分のモノにしたいという気持ちを押さえられない…!このエリアゼロには、ものすごい力を秘めたお宝が隠されていると聞きます。それを使えばいつか再びアルセウスを呼び出し、そして今度こそ、我がモノに…!!!」
 ▼ 51 チゴラス@ガンバリのじゃり 23/05/14 20:21:39 ID:GqZotAgI [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アンドロペパが止めるのも聞かず、男は何かに取りつかれたようにフラフラと大穴の奥の方へと向かって行ってしまいました。

アオセウス「あの人、行っちゃったね…。」

ハルセウス「うん…、無事でいてくれたらいいけど…。」

何気なくつぶやいた双子を見て、アンドロペパはふと気付きました。

アンドロペパ「つーかオマエら、もしかして…、アルセウスが離れて、仲良くなってねぇ…?」

アオセウス「えっ…?」

ハルセウス「そう、かな…?」

アンドロペパ「あぁ!だって倒れるちょっと前までめちゃくちゃ仲悪かったのに、目覚めてからはお互い協力してるし話も合ってるし…、うん!本当によかったよな!」

アオセウスとハルセウスは顔を見合わせ、お互いにニコリと微笑み合いました。

アオセウス「ホントだ!今まで仲悪かったのが嘘みたい!」

ハルセウス「これからは姉弟仲良くやっていけそうだよ!」

アオセウス「ということでアンドロペパ、」

ハルセウス「約束通り、」

アオセウス「あたしと、」

ハルセウス「僕と、」

アオハル「結婚してくれるよね?」

アンドロペパ「…。」

そうだった、まだ問題が残っていたんだとアンドロペパは頭を抱えました。

アンドロペパ「いや…、姉弟仲良くしてくれたらってのは、あくまでも前提条件であってだな…。」

ネモクレス「何なに!?二人同時にプロポーズとかすごくない!?モテモテじゃんアンドロペパ!!」

アンドロペパ「頼むオマエはちょっと黙って…、って、そうだ!」
 ▼ 52 レイハナ@パチリスのけ 23/05/14 20:41:48 ID:GqZotAgI [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アンドロペパはネモクレスの方を振り返りました。

アンドロペパ「ネモクレス、オマエがさっき自分の先祖がアルセウスだって言ったのはたぶん、このアオセウスかハルセウスのどっちかなんじゃないのか?オレはどっちと結婚したんだ!?教えてくれ!」

ネモクレス「え?う、うーん…、どっちかって聞かれてもなぁ…、アンドロペパはアルセウスと結婚したとしか伝わってないし、私もずっとそう信じてきたから…。」

アンドロペパ「だから何で人間とポケモンが結婚できると思ってんだよ!」

ネモクレス「だってそっちの方がすごそうだし面白そうじゃん!」

アンドロペパ「もういい、オマエに聞いたオレがバカだった。とりあえず一旦何とかここから出るとするか。問題はどうやって出るかだけど…。」

アオセウス「だったらあたしのコライドンの出番だね、アンドロペパ!」

コライドン「アギャッス!」

ハルセウス「僕のミライドンでこの崖を登れば一瞬さ!」

ミライドン「アギャギャ!」

アオセウス「ちょっと邪魔しないでよ!アンドロペパはあたしのコライドンに乗るんだから!」

ハルセウス「また抜け駆けする気?コライドンよりもミライドンの方が乗り心地いいに決まってるだろ?」

アンドロペパ「おい、二人とも落ち着けって!あぁもう、せっかく仲良くなったってのによ!」

ネモクレス「あははっ、アンドロペパが絡むとダメみたいだね。こういうときはさ、サクッとじゃんけんで決めちゃいなよ!」

ネモクレスの提案に双子はうなずきました。

アオセウス「よーし、絶対負けない!」

ハルセウス「勝つのは僕だからね!」

アオハル「じゃーんけーん、ぽんっ!!」

二人は同時に、両手で花の形を作りました。

ネモクレス「うん、草と草であいこだね。」

アオハル「あーいこーで、しょっ!!」

今度は二人とも、炎がはじけるように両手を前に開きました。

アンドロペパ「またあいこか…。」

アオハル「あーいこーで、しょっ!!」

またもや同時に、両手で水をすくう形をとる二人。
 ▼ 53 ッカネズミ@ムーンボール 23/05/14 21:16:04 ID:GqZotAgI [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…それから、五分が過ぎました。

アオハル「あーいこーでっ…!!」

アンドロペパ「ストーップ!これじゃらちが開かねぇ!」

ネモクレス「さっすが双子だね…。まさかここまで、勝負がつかないなんて…。」

アンドロペパ「あぁ、じゃんけんはやめにしよう。何かもっと、他の手はないか…。」

アンドロペパが考え込んでいると、またしてもネモクレスがいいことを思いつきました。

ネモクレス「ねぇ、あれ使って決めようよ!」

そう言ってネモクレスはさっきまでアンドロペパが縛りつけられていた大岩まで走っていき、コライドンとミライドンが引きちぎった鎖の切れはしを二つ持って戻ってきました。

ネモクレス「この鎖の端の部分をそれぞれ二人に持ってもらうでしょ。それを途中でよーくねじって、どっちがどっちかわからないようにして私が持って…、さぁアンドロペパ!鎖をどっちか選んで引っ張ってよ!」

アンドロペパ「なるほどな、これでオレが引き当てた方に乗ればいい、と…。」

アンドロペパはどちらの鎖を引こうかと迷いました。
それをアオセウスとハルセウスは、どこか緊張した様子で見守っています。

アオセウス「お願い、当たりますように…!」

ハルセウス「頼む、来てくれ…!」

アンドロペパ「…よし、こっちだ!」

思い切って鎖を引っ張ったアンドロペパ。
引き当てたのは…。

>>54(アオセウスorハルセウス)
 ▼ 54 テッコツ@むらさきはなびら 23/05/14 21:17:36 ID:XrxQXU0o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス
 ▼ 55 ケガニ@デボンボンベ 23/05/14 21:54:27 ID:GqZotAgI [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス「いやっほーっ!!コライドン!!スピードアーップ!!」

コライドン「アギャーッス!!」

アンドロペパ「ちょ、待てってアオセウス!コライドンも落ち着け、振り落とされるだろ!!」

パルデアの大穴を取り囲む崖の上。
コライドンの崖をよじ登るすさまじい勢いに、アンドロペパはガシリとアオセウスに捕まります。

その瞬間、思っていたよりもずっと細いアオセウスの腰周りにアンドロペパの胸は思わずドキリと高鳴りました。

アンドロペパ(細っ…!コイツあんなに戦い慣れてんのに、こんなに細過ぎちゃんなのかよ…。それに何でオレ、こんなにドキドキしてんだ…?)

アオセウス「あはは!振り落とされないようにしっかり捕まってて、アンドロペパ!」

アンドロペパ「っ!あ、あぁ…///」ギュウ

ハルセウス「うぅ〜、何あれマジで腹立つぅ〜!!イチャイチャ見せつけてくれちゃってさぁ…!!」

ネモクレス「まぁまぁ、途中の町についたら交代できるんだしいいじゃない。」

苛立たしげなハルセウスをネモクレスがなだめます。
そうこうしているうちに、二頭の竜のおかげで四人は何とかエリアゼロからの脱出に成功しました。

アオセウス「さてと、これからどうしようか…?アンドロペパはもう、お城には帰れないんだよね…?」

アンドロペパ「…。」

ハルセウス「うーん、できれば今すぐにでもアンドロペパを家に連れ帰りたいけどな…。」

ネモクレス「いやー、さすがにそれはちょっとマズくない?後でバレたときがいろいろ面倒くさいでしょ?何で国王様にお許しを得なかったのか、とか、そもそもアンドロペパ生きてたんだ、とかさ。」

アオセウス「やっぱりそうだよね…。」

ハルセウス「でもアンドロペパ的には、お城に帰りづらいんじゃないの…?」

三人はアンドロペパの方を見ました。

アンドロペパ「…、正直もう、あの城にオレの居場所はないって思ってる…。」

アオハル「!!」

アンドロペパ「…でも、やっぱり一度は城に戻ることにするよ。アオセウスとハルセウスにはマフィティフのこともちゃんと礼をするって約束したし、それにネモクレスがこれからこの時代でどうするのかも、考えてやらないといけないからな。」

ネモクレス「じゃあとりあえず、王宮を目指して行くってことでいいのかな?」

アンドロペパ「あぁ…、それでいい。」

ネモクレス「よーし、そうと決まったら早速出発だー!」
 ▼ 56 メパト@シールいれ 23/05/15 20:59:36 ID:gOpsqNnU [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして四人はコライドンとミライドンに乗って野を越え山越え町を越え、道中双子のやれもう交代だのいやまだだのとの喧嘩をはさみながら、長い道のりの果てについにテーブルシティの王宮へとたどり着きました。

すでにもう死んでしまったものだとばかり思われていたアンドロペパが突然帰って来たことで、王宮は上を下への大騒ぎ。

「陛下!大変でございます!アンドロペパ姫様が、帰って来られました!」

ネルケフェウス「何ですって!?アンドロペパが、帰って来たと!?」

カシオペア「本当に…?アンドロペパ、帰って来たん…?」

慌ててドタバタとエントランスへと飛び出して来たネルケフェウスとカシオペア。
アンドロペパの姿を見つけ、それはそれは仰天しました。

ネルケフェウス「アンドロペパ…、夢では、ないのですね…。」

カシオペア「うぅ…、化けて出てきた、とかじゃ、ないよね…。」

アンドロペパ「…、父ちゃ、いや…、国王陛下…。」

ネルケフェウス「…!!」

アンドロペパ「ただ今、戻りました…。」

ぎこちなく頭を下げたアンドロペパを、ネルケフェウスはどこか寂しげな顔で見つめます。

ネルケフェウス「…。とにかく、よくぞ無事に帰って来てくれました、アンドロペパ。して、その方々は…?」

アンドロペパ「怪物達からオレを救ってくれた。こちらが双子のアオセウスとハルセウス、それにネモクレスだ。」

ネルケフェウス「そうでしたか。皆さん、何とお礼を申し上げればよいのか…。今宵は祝いの席を設けますゆえ、どうかそれまで今しばらく休息を取りながらお待ちになってください。」
 ▼ 57 プ・ブルル@こだいのおまもり 23/05/15 21:11:42 ID:gOpsqNnU [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてその日の夕刻、無事にアンドロペパを救い出した三人の英雄のために宴会が開かれました。
アオセウスもハルセウスもネモクレスも、初めて見る豪勢な食卓に目を丸くしています。

ネルケフェウス「それではお三方とも、どうか遠慮なく召し上がってください。」

「いっただっきまーす!」

パルデア王国で親しまれている料理の数々に三人は舌づつみを打ちます。

アオセウス「ねぇねぇ!このサンドイッチすっごく美味しいよ!何だか力が湧いてくるみたい!」

ハルセウス「本当だ!食べるたびに疲れが取れていく気がするよ!」

ネルケフェウス「お気に召したようで何よりです。そのサンドイッチは、アンドロペパが作ったのですよ。」

アオハル「アンドロペパが!?」

驚いている双子の前に、さらにサンドイッチが山積みになった大皿がドンと置かれました。

アンドロペパ「あぁ!オレ特製のスペシャルサンドイッチだ!感謝の気持ちを込めて精一杯作ったから、たーんとおあがりよ!」

それを聞いてアオセウスとハルセウスは先を争うように、サンドイッチに手を伸ばしました。

アオセウス「あぁ…!アンドロペパの作ったサンドイッチ最高…!これなら一生、死ぬまで食べ続けてられるかも…!」

ハルセウス「こんなに美味しいサンドイッチをずっと食べられたら、幸せだろうなぁ…!」

双子はどうやらすっかりアンドロペパに胃袋を掴まれてしまったようです。
二人の幸せそうな笑顔をみているうちに、アンドロペパは心の奥がキュンとうずくのを感じました。

アンドロペパ(アオセウスもハルセウスも、どっちもオレにとっては感謝してもしきれねぇ、命の恩人だ…。叶うことならどちらも幸せにしてやりてぇ…!でも…、選べるのはどちらか一人…!)
 ▼ 58 ブキジカ@リピートボール 23/05/15 21:31:04 ID:gOpsqNnU [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さてさて宴もたけなわとなったところで、ネルケフェウスは英雄達に切り出しました。

ネルケフェウス「重ねてになりますが、この度はアンドロペパの命を救ってくださり本当にありがとうございました。ぜひとも何かお礼を差し上げたいと思うのですが、お三方とも何かお望みのものはありますでしょうか。」

アオハル「アンドロペパと結婚させてください!」

即答するアオセウスとハルセウス。
これを聞いたネルケフェウスは、頭を抱えてしまいました。

ネルケフェウス「これは困りましたね…。あなた方はアンドロペパの命の恩人、結婚していただくぶんには大歓迎なのですが、さすがに二人同時にという訳にはいきません。どちらかお一人に決めていただかなくては…。」

ネモクレス「はいはーい!こういうときは正々堂々、ポケモンバトルで決めたらいいと思います!」

手を上げて叫んだネモクレスにネルケフェウスはうなずきました。

ネルケフェウス「それはいいですね。早速明日の午後、王宮の中庭にある闘技場で決闘をすることにしましょう。勝負に勝った方がアンドロペパと結婚すること。お二人とも、それでよろしいですね?」

アオハル「はい!」

威勢よく答えるアオセウスとハルセウス。
そのすぐ側でネモクレスは、顔がニヤけるのを止められませんでした。

ネモクレス「アオセウスとハルセウスの勝負…!どうしよう、ワクワクが止まんないよ…!それで勝った方が、今度は私と…!ウフフフフ…!」

カシオペア「…!?何なん、この子…?」
 ▼ 59 オヅム@あかパプリカスライス 23/05/15 22:24:03 ID:nc9AcP.M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネモクレスが平常運転すぎる
 ▼ 60 イゼル@ダークボール 23/05/16 20:43:50 ID:cvrwUHds [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の日の午後。

ネルケフェウス「それではこれより、アンドロペパの結婚相手を決めるための決闘を行います。」

「おおーっ!」

ネルケフェウス「アオセウス、ハルセウス、ともに入場されよ!」

アオハル「はい!」

「おぉ、あの方達が…!」

「姫様を救った英雄達だと言うのか…!」

「一体どれほどの実力者なんだ…?」ザワザワ

アンドロペパ「アオセウスか、ハルセウスか…、この勝負の行方で、オレの…、」ドキドキ

ネモクレス「私の対戦相手が決まる…!!」ドキドキ

アンドロペパ「ん…?何か目的変わってなくねーか…?」

ネモクレス「え?そうだっけ?」

カシオペア「…昨日から気になってるんだけど、この子頭大丈夫なん?」ボソッ

アンドロペパ「いや…、あまり大丈夫じゃねぇと思う…。」

ネルケフェウス「それでは両人とも位置について…、試合開始!!」
 ▼ 61 ラルヒヒダルマ@シルシュルーのインク 23/05/16 20:47:43 ID:cvrwUHds [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス「行っておいで!グレンアルマ!」

ハルセウス「行けっ!ソウブレイズ!」

アンドロペパ(っ、ついに、始まった…!)

ネモクレス「アオセウスもハルセウスも、どっちも頑張れー!!」

アオセウス「グレンアルマ、シャドーボール!」

ハルセウス「ソウブレイズ、シャドークロー!」

カシオペア「!!どっちも、効果バツグン…!!」

アオセウス「だったら交代!タイカイデン、おいかぜ!」

ハルセウス「こっちも交代だ!クエスパトラ!こうそくいどう!」

アオセウス「エレキボール!」

ハルセウス「ルミナコリジョン!」

ネモクレス「うわぁ!タイカイデンのエレキボール、すごい威力だよ!でもクエスパトラだって負けてない、相手の守りを落としたのは大きいよね!」

アオセウス「かいでんぱ!」

ハルセウス「あやしいひかり!」

アオセウス「っ、混乱した!?こうなったら一か八か!ぼうふう!」

ハルセウス「あぁっ、こっちも混乱か…!っ、たたりめ!」

アンドロペパ「読めねぇ…!どちらも同じくらい強くて、どっちが勝つのか全然わかんねぇよ…!」
 ▼ 62 ンバーン@ボロのつりざお 23/05/16 21:39:21 ID:cvrwUHds [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…それから一時間後。

アオセウス「マスカーニャ、つじぎり!」

ハルセウス「ラウドボーン、フレアソング!」

マスカーニャ「フニャッ…!」

ラウドボーン「ボンッ…!」

アンドロペパ「っ…、相討ちか…!」

ネモクレス「はあぁ…!二人ともこんなに強いだなんて素敵…!これでお互い残りあと一体だなんて…、もっとこの戦いを見てたいのにな…。」ハァハァ

カシオペア「いやもう一時間も戦ってるんですけど!?いくら何でも長過ぎだから!つかこんなん見てる方が疲れてくるし!」

ネモクレス「あ、でも二人がずっと戦い続けてたら、いつまでたっても私の番が回って来ないんだよね…。早く私も戦りたいなぁー。」ワクワク

カシオペア「マジネモいな。」

アンドロペパ「完全に目的見失ってるちゃんなんだぜ。」

アオセウス「これで最後…!任せたよ、コライドン!」

コライドン「アギャッス!」

ハルセウス「頼む、ミライドン!」

ミライドン「アギャッス!」

ネルケフェウス「!!あのポケモン達は…!!」

アオセウス「コライドン、げきりん!」

ハルセウス「ミライドン、りゅうせいぐん!」

ネモクレス「ドラゴン対ドラゴン!どっちもすごーく強力な技だよね!どっちが勝つんだろ?」

アンドロペパ「この前コイツらが戦ったときは、オレが途中で止めてしまったから勝負はつかなかった…。でも今は…。」

アオセウス「コライドン、まだいけるよね!?」

コライドン「アギャ!」

ハルセウス「ミライドン、もう一度行こう!」

ミライドン「アギャ!」

何度も技を打ち合うコライドンとミライドン。
ドラゴンポケモンに超強力なドラゴンの技、すでにどちらも体力は限界に近付いています。
お互いに何とか気合いで踏みとどまっていると言ったところでしょうか。
 ▼ 63 ガルカリオ@フリーズカセット 23/05/16 21:42:04 ID:cvrwUHds [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス「絶対に負けられない…!」

ハルセウス「アンドロペパと結婚するのは…!」

アオセウス「このあたし…!」

ハルセウス「この僕…!」

アオセウス「これで決める!コライドン、アクセルブレイク!」

ハルセウス「これで最後!ミライドン、イナズマドライブ!」

コラミラ「アギャアアアーッス!!」

闘技場の真ん中で、二頭の竜はこれ以上ないくらいに激しくぶつかり合いました。

ネモクレス「すごいっ…!こんな激しいバトル、今まで見たことないよ…!」

カシオペア「二人とも、こんなに強かったなんて…!」

アンドロペパ「一体、勝つのはどっちなんだ…!?」

やがて全員の見守るなか、コライドンとミライドンは同時に攻撃体勢を解きました。
そのまま着地する二頭。
先にバランスを崩したのは…。

コラミラ「キュウス…。」ドサリ

何と二頭、同時に倒れこみました。

アオセウス「コライドン!」

ハルセウス「ミライドン!」
 ▼ 64 ッキング@おおきいマラサダ 23/05/16 22:03:57 ID:cvrwUHds [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネルケフェウス「っ…、この勝負、引き分けです!!」

ネルケフェウスの審判に、皆は一斉にざわつき始めます。

「何と、勝負がつかなかったとは…!」

「どちらも実力は完全に互角…!」

「実に素晴らしい試合だったぞ!」

「でもそれでは、姫様は一体どちらと結婚するというのだ…?」

アンドロペパ「…、オレは…。」

ネモクレス「いいじゃん!!二人とも最ッッッ高に素敵なんだし、もうこの際両方ともってことでさ!!」

カシオペア「いやよくないから困ってるんじゃん。」

ネモクレス「あぁどうしよう、アオセウスとハルセウス、どっちと先に戦ろうか迷っちゃうなぁ…、あ、そうだ、何なら二人同時に相手するなんてのもいいかも…、フフフフフ…。」

カシオペア「アンタの話かい!」

ネルケフェウス「しかしこれほどまでに激しい戦いを繰り広げてもなお、勝負がつかないとは…、他にアンドロペパの結婚相手を決める、いい方法はないものですか…。」

ネルケフェウスが頭を抱えながら言ったときです。
王宮の料理長で、アンドロペパの料理の先生でもあるサワロが進み出て言いました。

サワロ「恐れながら陛下、このワガハイから一つ提案がございます。」

ネルケフェウス「何でしょうか。」

サワロ「かねてより姫は腕利きのトレーナー達から秘伝スパイスを買い取り、それらを用いて多くのポケモン達を救ってこられました。そこでアオセウスとハルセウスの両人に、姫のために秘伝スパイスを集めさせるというのはいかがでしょう。より多くの秘伝スパイスを集めた方を、姫のお相手とするのです。」

ネルケフェウス「それは名案です。それでは明後日の午前十時にアオセウスは町の東門から、ハルセウスは西門から出発することとしましょう。探索期間は一週間、七日目の夕刻までに中央広場に戻って来ること。サポートのための王宮の兵士は好きなだけ連れて行って構いません。そういうことでよろしいでしょうか。」

アオセウス「はい、今度こそ…!」

ハルセウス「決着をつけてみせます…!」

ネルケフェウス「それでは今日明日と、お二人のみならずポケモン達も、しっかりと休養をとってください。どちらも健闘を祈ってますよ。」
 ▼ 65 ガバクーダ@レベルボール 23/05/17 21:22:25 ID:Xvx.vl2g [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウスとハルセウスの決闘から二日後の朝。
王都の東門と西門の前で、それぞれアオセウスとハルセウスはお供の兵士達とともに、スパイス集めの旅の最終チェックをしていました。

〈東門前〉

アオセウス「みんな、これから一週間よろしくね。手持ちのポケモンと、モトトカゲの体力はバッチリかな?」

兵士達「おうっ!」

〈西門前〉

ハルセウス「キズぐすりは多めに持ってるかい?開門までまだ時間があるから心配な人は今のうちに買ってきてくれ!」

兵士達「おうっ!」



…一方の王宮では。

ネモクレス「私もスパイス集めに行きたい!!行ーきーたーいー!!」ジタバタジタバタ

アンドロペパ「いや行きたいっつったってどっちについて行くつもりだよ。オマエがどっちかについてってしまったら勝負に公平性がなくなっちまうだろ。」

ネモクレス「うぅ…、例えばさぁ…、ちょっと遠くから様子見てみるとか、応援するとか…、ダメかなぁ…?」

カシオペア「いやそんなん絶対様子見とか応援だけで終わらんでしょ。」

アンドロペパ「絶対我慢出来なくなってアイツらのバトルに首突っ込んでいくのがオチだよな。」

ネモクレス「そんなこと言ったってー!!アオセウスとハルセウスの決闘が終わってから私まだ一回もどっちとも戦ってないんだよ!?しかもこれから一週間も帰って来ないなんて!!私も戦りたい!!戦ーりーたーいー!!」ジタバタジタバタ

アンドロペパ「あちゃあー、こりゃあ完全に禁断症状出ちゃってるちゃんだな。」

カシオペア「この子の病気、アンタの秘伝メニューで何とかしてやれんの。」

アンドロペパ「残念だけどこればっかりはオレにもどうしようもないちゃんなんだぜ。」

ネルケフェウス「どうしたのですか。朝から騒々しいですよ。」

カシオペア「あ、陛下。」

アンドロペパ「ネモクレスのヤツが、自分もスパイス集めに行きたいとゴネてんだ。」

ネモクレス「陛下ぁ!!そう言えば私まだ自分の望み言ってませんでした!!私ポケモンバトルがしたいんです!!それもすっごーく強い相手と!!というか今すぐアオセウスかハルセウスと戦りたいんです!!戦りたくて戦りたくて仕方ないんですけど!!私どうしたらいいですかぁ!?」

ネルケフェウス「は、はぁ…、とにかくネモクレス、あなたは強い相手とバトルがしたいと…、ですがアオセウスもハルセウスも、そろそろ出発間近ですし…。」

家来「陛下!アオセウス殿もハルセウス殿も、出発の準備が整いましたとのことでございます!」

ネルケフェウス「そうですか、報告ありがとうございます。さぁそれでは皆さん、そろそろ出発の合図をしに外に出ますよ。」
 ▼ 66 ーフィ@こおりのジュエル 23/05/17 21:33:15 ID:Xvx.vl2g [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こうして彼らはネルケフェウスを先頭に連れ立って、王宮の一番広いバルコニーへと出ました。
王都でも一番高い場所にある王宮のバルコニーからは、町の様子が端から端まで見渡せます。

ネルケフェウスはバルコニーの真ん中に立ち、モンスターボールを一つ取り出しました。

家来「陛下、十時になりましてございます!」

それを聞いたネルケフェウスは、モンスターボールを空高く放り投げました。

ネルケフェウス「ヘルガー、だいもんじ!」

空中の一番高いところで現れたヘルガーは、さらに空高くへと向かって、大きな炎の花を打ち上げました。

アオセウス「あれは、陛下の…!」

ハルセウス「開門の、合図…!」

兵士達「開門、開門ー!」

ネルケフェウスの合図を認めた兵士達は急いで町の門を開けました。

アオセウス「さぁみんな、行くよ!」

ハルセウス「僕について来て!」

兵士達「おおおーっ!!」

それぞれコライドンに乗ったアオセウス、ミライドンに乗ったハルセウスを先頭に、騎兵隊は勢いよく門をくぐって駆け出して行きました。
さぁ目指すは王国各地の光る結晶体。
スパイス集め対決の始まりです。

騎兵隊の叫び声や足音は、少し離れた場所にある王宮にまで届いて来ました。

アンドロペパ「次の勝負が始まったか…。一週間後には、どっちと結婚するのか決まるんだよな…。」

カシオペア「そりゃまぁさすがに今回の勝負は同点ってことにはならないでしょ。」

アンドロペパ「あぁ…、そう、だよな…。」

カシオペア「…?」

どこか様子のおかしいアンドロペパに、カシオペアは首を傾げます。
ですがかすかに感じたその違和感は、ネモクレスの叫びによってたちまちにかき消されました。

ネモクレス「あああーっ!!アオセウスもハルセウスも、二人とも出発しちゃったよおぉっ!!この先一週間もバトルお預けなんて、そんなの耐えられない!!ねぇねぇ、この国にすっごく強い人って他にいないの!?ねぇったらねぇ!!」

禁断症状大爆発のネモクレスに、さすがにアンドロペパもカシオペアもうんざりしてきました。
アオセウスとハルセウスが帰ってくるまでこれから一週間、ずっとこの調子で過ごさなければいけないのでしょうか。

そんなことを考えていると、ふとネルケフェウスがネモクレスに言いました。

ネルケフェウス「そこまで言われるのならネモクレス、一つ私の頼みを聞いていただけないでしょうか?」

ネモクレス「頼み、ですか…?」

何だろうと首を傾げたネモクレスに、ネルケフェウスはうなずきます。

ネルケフェウス「えぇ。あなたなら必ずやり遂げてくれるでしょう。それにきっと、あなたの望みも叶えられる。一石二鳥ですよ。」
 ▼ 67 ワイトキュレム@じゅうでんち 23/05/17 22:49:37 ID:Xvx.vl2g [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから一週間後。

夕刻の近付く王都の中央広場にて、アンドロペパはネルケフェウスとカシオペア、それにサワロを始めとした多くの家来達とともに、アオセウスとハルセウスの帰りを待っていました。

刻一刻と太陽が地平線に近付くにつれて、アンドロペパの胸もドキドキと高鳴ってきています。

カシオペア「アンドロペパ…、緊張してる…?」

アンドロペパ「ん…、少し、な…。」

気遣わしげに尋ねたカシオペアにアンドロペパが答えたときです。
王都の端と端から突然うおおっ、という叫び声と、何かが押し寄せて来るような音が響いてきました。

ネルケフェウス「!、ついに、来ましたか…!」

広場にいた人々は一斉にざわめき立ちました。
足音はどんどんと大きくなりながら、この中央広場へと近付いています。

そしてついに、広場の東と西からそれぞれモトトカゲの大群を引き連れた、コライドンとミライドンが姿を現しました。
二頭の竜は現れた瞬間、まるで先を争うかのように大きく地面を蹴り、ひとっ飛びに中央広場の真ん中にいるネルケフェウスの前に着地しました。

アオセウスとハルセウスはそれぞれ竜の背を降り、ネルケフェウスの前に膝を着きます。

アオハル「陛下、」

アオセウス「このアオセウス、」

ハルセウス「並びにハルセウス、」

アオハル「ただいま戻りました!」

帰りを告げた二人にネルケフェウスはうなずきます。

ネルケフェウス「お二人とも、まずはよくぞ無事に帰還されました。それではさっそくですが、お二人の集めてきた秘伝スパイスを数えたいと思います。サワロ料理長。」

ネルケフェウスが呼びかけると、は、と返事をしながらサワロが大きな編みカゴを二つ持って進み出ました。
彼はアオセウスとハルセウスの前にそれぞれ一つずつカゴを置いてから言いました。

サワロ「それではご両人とも、集めてきた秘伝スパイスをこれへ。」

アオハル「はい!」

アオセウスとハルセウスは、後からやってきたお供の兵士達とともに集めてきた秘伝スパイスをカゴの中に入れていきます。
あっという間に彼らの前には、キラキラとまぶしい光を放つ、色とりどりのスパイスの山がこんもりとできあがりました。
その山の、とてつもなく大きいことといったら。

サワロ「うむぅ…。まさかこれほど多くのスパイスを集めて来るとは…。」

ネルケフェウス「えぇ…、秘伝スパイスは頑張ってもなかなか手に入れられない、非常に貴重なものです。ゆえに探索期間を一週間と、長めにしたのですが…。」

サワロ「それほどまでにお二人の、姫への想いが強いということなのでしょう。…それではこれより、我々家来衆の方でスパイスを数えるゆえ、ご両人にはスパイスのカゴをこちらへお渡し願おう。」
 ▼ 68 ッチール@ガケガニスティック 23/05/17 22:53:03 ID:Xvx.vl2g [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サワロの指示に従い、アオセウスとハルセウスは見るからに重そうな秘伝スパイスのカゴをよいしょと持ち上げ、待っていた家来達の手に渡そうとしました。

そのときです。

「うおおおおっ!ないんだい!ないんだい!ないんだい!!」

アオハル「え!?」

突然誰かが大声でないんだい!ないんだい!と何度も叫びながら、ものすごいスピードでこちらへと走ってきました。
そのスピードの凄まじいこと凄まじいこと。

彼の猛烈な気迫にアオセウスもハルセウスもあっけに取られてしまい、体が固まってしまったようにその場から動けなくなってしまいました。

アオハル「え、えっ!?う、うわあああああーっ!!!!」

「ないんだい、ないんだいーっ!!」

ドンガラガッシャーン!!

何と男が激突した衝撃で、双子の手からスパイスのカゴがふっ飛んでしまいました。

アオハル「あ痛たた…。」

アンドロペパ「大丈夫か二人とも!」

カシオペア「ちょ、怪我とかしてない!?」

アンドロペパとカシオペアは双子を助け起こそうと駆け寄りました。
何とか起き上がった双子は、たった今ぶつかってきた人物を見上げました。
その男はキラキラと宙を舞う、大量の秘伝スパイスをぼんやりと見つめています。

アオセウス「あの…、」

ハルセウス「えと…、」

「あったんだい!!!!!」

突然大声で叫んだ男。
そして…。

「ニコッ」

まるで健気な花が咲いたかのように、一人微笑みました。

サワロ「失礼であるが…、その方は一体、どなたであろうか?」

突然乱入してきた男を怪しむかのようにサワロが尋ねると、男はハッと気が付いたかのように話し始めました。

「オイラはカラフシティの料理人、ハイダイって言うんだい!実はアンドロペパ姫が死んでしまって、病気のポケモン達に秘伝メニューを食べさせてあげられなくなった人達が、オイラのところに何とかできないかって相談に来たんだい!」

アンドロペパ「っ…!」

ハイダイ「だからこの一週間、国中走り回って秘伝スパイスを探したんだけど、どこにも見つからなかったんだい!」

アンドロペパ「一週間…、って、まさか…。」

サワロ「アオセウスにハルセウス、あなた方は…!」

ネルケフェウス「国中の秘伝スパイスを、刈り尽くしてしまったと言うのですか…!!」
 ▼ 69 ラカス@ソニアのほん 23/05/17 22:55:02 ID:Xvx.vl2g [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス「あはは…、そういうことに、」

ハルセウス「なり、ますかね…。」

カシオペア「うっそでしょ…。ただでさえなかなか手に入らないのに、どこをどう探したらあんなに手に入るんよ。」

アオセウス「えっと…、一週間で王国三周くらい、かな…?」

ハルセウス「ちょっと気合い、入れ過ぎちゃった、よね…。」

アオハル「あはははは…。」

苦笑いをするアオセウスとハルセウス。
サワロはハイダイに向かってガバリを頭を下げました。

サワロ「本当に申し訳ないことをいたした!まさか二人が王国すべてのスパイスを刈り尽くしてしまうなどとは夢にも思ってみなかったのだ!今回のことは二人の姫に対する気持ちを甘くみて、軽率にスパイス集めなどとという勝負を提案したワガハイにすべての責任がある!」

アンドロペパも散らばった秘伝スパイスをかき集めて、ハイダイに手渡しました。

アンドロペパ「オレからも謝らせてくれ。二人ともオレのために頑張ってしてくれたことで、決してスパイスを独り占めしようとした訳じゃないんだ。お詫びと言っては何だけど、ここにあるスパイスは好きなだけ持って行ってくれ。」

ハイダイ「…!?まさか、アンドロペパ姫!?うおおおおっ!!出たんだい!!」

アンドロペパ「いや死んでねーから。ちょっといろいろあって何とか生きてる。だけどまだちょっとしばらく取り込み中でさ…、だから病気のポケモン達のこと、頼めるとすげぇ助かるんだ。」

ハイダイ「任せるんだい!アンドロペパ姫も無事に戻って来て、病気のポケモン達も助けられる、本当によかったんだい!!」

ハイダイはそう言うと、両手にいっぱいの秘伝スパイスを抱えて嬉しそうにウキウキとカラフシティへ帰って行きました。

アンドロペパ「とりあえずよかった…、これで苦しんでるポケモン達は何とかなりそうだな。」

カシオペア「でもどうすんのこれ。一週間もかけて勝負したのに、結局どっちが勝ったかわからんくなってしまったじゃん。」

広場にいる全員が、散らばった秘伝スパイスを見渡しました。

サワロ「…これではもう、どちらがより多くのスパイスを集めたのかわかりますまい。陛下、誠に申し訳ありませんですがこの勝負、引き分けでございます。」

ネルケフェウス「えぇ、仕方ありません。アオセウス、並びにハルセウス、お二人ともよくここまで多くの秘伝スパイスを集めました。」

アオハル「はっ…。」

ネルケフェウス「お二人の強さと忍耐強さ、そして優しさとひたむきさ…、どれを取ってもどちらがどちらに勝っているということはありません。あなたがたになら安心してアンドロペパを任せられる…、ゆえに悩むのです。ここまで勝負がつかないとなると…。」

ネルケフェウスはチラリとアンドロペパに目をやりました。

ネルケフェウス「あとはアンドロペパの気持ち次第、ということになりますね…。」

アンドロペパ「っ…!!」

アンドロペパは目を伏せます。

カシオペア「アンドロペパ…。」

アンドロペパ「…、少し、時間をくれ…。」
 ▼ 70 ードー@ナミイルカのねんえき 23/05/20 17:45:45 ID:JNb2LSuc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
その夜、アンドロペパは眠れませんでした。
寝床についても目は覚めるばかり、頭の中はグルグルと止まりません。

『あとはアンドロペパの気持ち次第、ということになりますね…。』

アンドロペパ「オレの、気持ち次第、か…。」

アオセウスを選ぶべきか、ハルセウスを選ぶべきか。
考えはなかなかまとまりません。

アンドロペパは寝床から起き上がり、自分の部屋を出て王宮のバルコニーへと向かいました。
外は夜風が涼しく、いい感じに頭を冷やしてくれます。

「ずいぶん悩んでるよね、アンドロペパ。」

突然後ろから声をかけられ、アンドロペパは振り向きました。
そこにはカシオペアが立っています。

アンドロペパ「…、あぁ…。」

カシオペア「どっちを選ぶか、まだ迷ってる…?」

アンドロペパ「…。」

カシオペア「それとも…、本当はもう自分の中で答え出てるんじゃ…?」

アンドロペパ「っ…!」

カシオペアに言われてアンドロペパはびくりと肩を震わせました。
ですがこれでもカシオペアは意外と洞察力の鋭い人物。
もしかしたら黙っているよりも、あえて彼女にはいろいろ話してしまった方が、解決の糸口が見えるのかもしれません。

アンドロペパ「アイツらさ…、双子なんだよ。」

カシオペア「うん。」

アンドロペパ「最初にオレ達が出会ったとき、アイツらめちゃくちゃ仲悪くてさ。生まれたときからずっと、お互い負けたくないって張り合ってきたんだよ。でもだからこそ二人ともあんなに強くて、勇気があって、すげぇカッコよくて…。」

カシオペア「…。」

アンドロペパ「そんなヤツらがさ、片方だけオレに選ばれて、もう片方は選ばれないなんてことになったら、選ばれなかった方はどれだけ傷つくんだろうなって思ってさ…。」

カシオペア「アンドロペパ…。」

アンドロペパ「正直さ…、突然陛下にオレの気持ち次第だなんて言われて、戸惑ってる部分もあるんだ。そりゃあんまり変な相手だと嫌だけど、最初に政略結婚の話が出たときに姫である以上は、親に決められた結婚はある程度は仕方ないのかなって腹くくってた。」

カシオペア「うん…。」

アンドロペパ「だからアイツらがポケモンバトルやスパイス集めで勝負してたときは自分の気持ちなんて二の次で、どういう結果になってもそれに従えばいいんだって思ってた。…それってさ、今思うとずりぃよな。だって自分で選ぶ訳じゃねぇんだから、どっちかが傷つくことに対して責任感じなくてよかったんだ。だけどここに来て急に、オレが自分で選んでいいなんてことになっちまってさ…。」

カシオペア「そうだよね…。アオセウスもハルセウスも、どっちもアンタに対して本気だもんね…。」

アンドロペパ「あぁ…、オレはアオセウスに対してもハルセウスに対しても助けてくれたことは心から感謝してるし、その願いにできる限り応えたいって思ってる。だからせめて選ばなかった方にもそれ相応の何かをしてやらなきゃって思うんだけどさ、オレには何をしてやればいいのか全然思いつかねぇ…。」
 ▼ 71 ース@のうてんきミント 23/05/20 17:56:19 ID:JNb2LSuc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
バルコニーの柵に肘をついて頭を抱えるアンドロペパ。
カシオペアは少し考えてから言いました。

カシオペア「結婚ってさ…、して終わり、じゃないんよ。むしろ始まり。」

アンドロペパ「…?」

カシオペア「うち、ガラルからこっちに送り飛ばされてからずっと無意味に生きてた。王族に生まれた意味とか、王妃としての立場とか考えたこともなかったし、陛下も何も口出しして来なかったし…。それで好き放題してたら、アンタが死にかけて…。」

アンドロペパ「…。」

カシオペア「アンタが連れて行かれた後、陛下に言われたんよ。これからはせっかくの才能を、いいことに使いなさいって。その才能で王妃として以前に、一人の人間として人生を豊かにしてほしいって…。」

アンドロペパ「一人の、人間として…。」

カシオペア「だからうち、いわゆるネット副業始めることにしたんよ。Web製作とかプログラミングとか朝飯前だし。もちろん王妃ってことは内緒でだけど。それで国のために尽くした上で、稼いだお金は全部うちのだから好きにしていいってさ。そう言ってもらえてやっとうち、このパルデアに来た意味が見えてきたん。…アンドロペパ、アンタはどうしたい?」

アンドロペパ「…、オレは…。」

カシオペア「結婚うんぬんはいったん置いといてさ…、アンタのなりたい自分って何?」

アンドロペパ「オレの、なりたい自分…。」

カシオペア「それが掴めたら、自然とそこに至るまでに必要なものも見えてくるんじゃないかな。それにあの子達さ…。」

アンドロペパ「アオセウスとハルセウス、か…?」

カシオペア「あの二人がアンタに対して本気の全力なのはうちが見ててもそう思う。だけどさ、その分アンタがいったん決断したら、あの子達はどんな結果になっても意外とあっさりそれを受け入れるんじゃないかな。何となくだけど、そんな気がする…。」

それじゃ、と言ってカシオペアは去っていきました。
一人残ったアンドロペパは、自分の手のひらを見つめます。

アンドロペパ「なりたい自分…、なら、ある…。」

(もっとたくさんの人を笑顔にして…、)

『んー!やっぱり姫の作ったサンドイッチは最高ー!』

『このように美味なものは、ばあさんが死んだとき以来じゃ…。』

(たくさんのポケモン達を元気にして…、)

『はるばるフリッジタウンから来た甲斐がありました…!』

『アンドロペパ姫も無事に戻って来て、病気のポケモン達も助けられる、本当によかったんだい!!』

アンドロペパ「…、っ!!そうか…!!」

突然何かに思い至ったアンドロペパ。
見上げた空にはいつの間にか、無数の星が流れていました。

アンドロペパ「あったじゃねぇか…!オレがあげられるものが、たった一つだけ…!」
 ▼ 72 ロモリ@ガラナツのえだ 23/05/20 21:33:16 ID:1s6cbXtQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その翌日。
アンドロペパから伝えたいことがあると申し出られたネルケフェウスは、王宮の皆を謁見の間へと呼び出しました。

ネルケフェウス「…それではアンドロペパ、あなたの心は決まったと言うのですね。」

アンドロペパ「あぁ…。」

アンドロペパは緊張した様子で玉座の王を見上げました。
心なしか、ネルケフェウスの表情もどこか落ち着かないように思われます。

アンドロペパは覚悟を決めて言いました。

アンドロペパ「オレは…、この王宮を出る。」

ネルケフェウス「っ…、アンドロペパ…!!」

カシオペア「…!!」

アンドロペパは続けます。

アンドロペパ「オレはこれからも病気で苦しんでるポケモン達を助けたい。この王都に住んでるヤツらだけじゃなくて、王国中の人々やポケモン達をもっともっと笑顔にしたい。だけどその願いは、この王宮で姫なんてやってたら絶対叶わねぇ。自分の足で、この王国を見て回らねぇとダメなんだ。」

ネルケフェウス「…。あなたの思いはよくわかりました。ですがアンドロペパ、あなたは現状、この国唯一の王位継承者です。あなたが王宮を出てしまったらもしも私に何かあった場合、誰がこの国を継ぐと言うのですか?」

アンドロペパはキッパリと言いました。

アンドロペパ「…王位継承権は、ハルセウスに譲る。」

ハルセウス「っ…!!」

とたんにざわめき立つ家来達。

「何と…!!」

「聞いたか!?姫様が、王位継承権を…!!」

「自らお譲りになるだと…!!」

ネルケフェウス「皆さん、落ち着いてください!」

ネルケフェウスが叫ぶと辺りはしんと静まり返りました。

ネルケフェウス「アンドロペパ…、その決定に迷いはありませんか?一度王位継承権を放棄してしまうと、もう二度とそれを取り戻すことはできません。それでも、本当にハルセウスに王位継承権を…、今のあなたの地位を、譲ると言うのですか?」

アンドロペパ「あぁ、迷いはねぇ。陛下も見ただろう。ハルセウスは心身ともに強いし、優しく思いやりのあるヤツだ。きっとその力でこの国を導いてくれる。」
 ▼ 73 ニーブ@きよめのおふだ 23/05/20 21:49:23 ID:1s6cbXtQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言ってアンドロペパはハルセウスの方を振り向きました。
ハルセウスはじっと、アンドロペパを見つめています。

ハルセウス「…、それがきみの…、僕の気持ちに対する"答え"、なんだね?」

アンドロペパはゆっくりとうなずきました。

アンドロペパ「あぁ、すまない…。オレがオマエのためにしてやれることは、これが精一杯なんだ…。」

ハルセウス「謝らないでよ。きみは僕を信じてとても大切なものを託してくれた、それだけでもすごく嬉しいんだよ。…きっとこの決断を下すまで、すごく悩んだよね。」

アンドロペパ「っ!!あぁ…。」

ハルセウス「僕、絶対いい王様になるよ。きみの期待に必ず応えてみせるから。」

アンドロペパ「ハルセウス…、本当に、ありがとな…!オマエなら必ずできる。」

ハルセウス「うん、でも…、本当にいいんだね?僕が王宮に入ったら、きみはもう、ただの人になってしまうんだよ?」

念を押すように尋ねたハルセウスに、アンドロペパは笑って首を振りました。

アンドロペパ「…オレってさ、元々平凡な人間だったんだよ。」

ハルセウス「え…?」

アンドロペパ「本当は陛下の子どもじゃなかったって知って、もちろん最初はショックだったけど、なぜかそんな自分に意外とすんなり納得できちまうところもあってさ…。あの時…、死ぬ直前になって思い描いたオレのやり残したこと、全部ただの平凡な人間としての人生だった。」

ネルケフェウス「アンドロペパ、あなたは…。」

アンドロペパ「平凡でもいいから、純粋に自分の力だけで料理の道を極めたい。オレの料理でみんなを、ポケモン達を元気にして、一番大切なヤツを幸せにしたい。オレが叶えたかったのは、そんなごく普通の夢だったんだ。だから…。」

アンドロペパは、今度はアオセウスの方を振り返りました。

アンドロペパ「アオセウス。そんなオレの野望の実現のために、オマエの強さを貸してくれないか?」

アオセウス「え…?」

アンドロペパ「立場上今までずっと誰にも言えなかったんだけどさ、オレ本当は自分の足で秘伝スパイス探しに行きたかったんだ。噂じゃスパイスの力で巨大化したポケモンがスパイスを守ってるなんて話もあるしな。もしソイツらと戦うなんてことになったときに、オマエが一緒にいてくれるとすげー心強いと思うんだ。それに一人で王国のあちこち回るよりも、誰か一緒にいてくれた方が絶対楽しいし。」

アオセウス「えっと、それって…。」

アンドロペパ「いっぱいスパイス集めて、思いっきり腕磨いて!そしたらオマエに喜んでもらえるような料理一生作ってやるから!だからオレを、オマエの…、アオセウスの、家族にしてください!」

アオセウス「っ…、アンドロペパ…!」

やっとのことで導き出されたアンドロペパの答え。
それを聞いたアオセウスの瞳からぽろぽろと涙がこぼれ落ちました。

アオセウス「嬉しい…、よろしく、お願いします…。」

アンドロペパ「あぁ、こちらこそ、よろしくな…。」

アンドロペパはアオセウスをそっと優しく抱きしめました。
あたりからは誰からともなくぱらぱらと拍手がわき起こります。

ネルケフェウス「アンドロペパ、本当によかった…。あなたが一人の人間として、自分の進むべき道を選び取ってくれたことを、心から嬉しく思いますよ。」

アンドロペパ「陛下…。」
 ▼ 74 ィンルー@しずくプレート 23/05/20 21:52:16 ID:1s6cbXtQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネルケフェウス「あなたがエリアゼロから無事に戻って来てくれたそのときに、私は覚悟を決めていました。もしあなたが姫としてではなく、ただの人として生きたいと言ったときにはその意志を尊重しようと。」

アンドロペパ「え…。」

ネルケフェウス「あなたが今こうして生きている、それだけで私には十分なのですよ。それに…、」

アンドロペパ「…?」

ネルケフェウス「アオセウスとハルセウスが連れているコライドンとミライドン。彼らの姿を見た瞬間、私は運命のようなものを感じました。あのポケモン達は元々あなたのご両親がそれぞれ研究し、面倒を見ていたポケモン達だったのですよ。」

アンドロペパ「母ちゃんと父ちゃんが、コライドンとミライドンを…!?」

ネルケフェウス「えぇ。お二人が亡くなられて以来彼らの姿を見ることはなく、どうしているのかと思っていたのですが…、まさかアオセウスとハルセウスの元にいたとは。アオセウスにハルセウス、あなた達はどこで彼らと出会ったのですか?」

アオセウス「家の近くの海岸でハルセウスと戦ってたら、お腹を空かせて行き倒れてる彼らを見つけたんです。それで…、」

ハルセウス「持ってたサンドイッチを食べさせてやったら、なぜかすごく懐かれてしまったんですよね。」

コラミラ「アギャアンス。」

カシオペア「餌付けされてホイホイついて行ったんかい。」

アンドロペパ「もしかして母ちゃんも父ちゃんも、ちゃんとコイツらのしつけしてなかったんじゃねぇのか…?」

ネルケフェウス「まぁまぁ。経緯はどうあれ、私には死の危機に瀕していたあなたの元にご両親が天からコライドンとミライドン、そしてアオセウスとハルセウスを遣わした、そのように思えて仕方ないのですよ。今はまだ死ぬ時ではない、自分の思うままに、幸せに生きろと。」

アンドロペパ「あぁ…、そうだと、いいな…。」

ネルケフェウス「きっとそうですよ。…さぁそれでは、さっそく結婚式の準備にとりかかるとしましょうか。大神官、どうぞお入りください。」

アンドロペパ「っ、大神官だと…!?」

大神官と聞いてとっさに身構えるアンドロペパ。
ですがネルケフェウスは意味ありげな笑顔を浮かべています。

ギィ、と謁見の間の扉が開いた瞬間。

「んジャカ パーン!!」

何と飛び込んで来たのはネモクレスでした。

アンドロペパ「はっ…!?ネモクレス、何でオマエが…?」

ネモクレス「どう?びっくりしたでしょー!あの後大神殿にカチ込んで神官達相手に暴れ回ってたらさ、いつの間にか大神官になっちゃってたんだよねぇ…。」

アンドロペパ「いやいつの間にかって…。え、じゃあ前の大神官は…?」

ネルケフェウス「バトルに負けたら大神官の座をいただくという条件でネモクレスに果たし状を持たせましてね。結果はネモクレスの圧勝だったようです。」

アンドロペパ「マジかよ…。」
 ▼ 75 ンダー@おさそいメール 23/05/20 21:57:03 ID:1s6cbXtQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオセウス「すごいね、ネモクレス!大神官就任おめでとう!」

ハルセウス「きみにはピッタリの仕事だよ!この時代での居場所ができてよかったね。」

ネモクレス「うん!みんな、ありがとう!それよりアンドロペパとアオセウスのほうこそ、結婚おめでとう!大神官としての初めての仕事が、二人の結婚式だなんて素敵だよ。」

アオセウス「えへへ、ありがとう!」

アンドロペパ「あぁ、絶対に二人で幸せになってみせるぜ。」

ネモクレス「うんうん!ハルセウスも結果的には失恋しちゃったけど、次の王様になるなんてすごく楽しみ!きっとすっごく強い王様になるんだろうなぁ…。」

ハルセウス「うん、僕頑張るよ。」

お互いを称え合う彼らを見て、ネルケフェウスとカシオペアはにこりと微笑みました。

カシオペア「よかった…。みんな、落ち着くべきとこに落ち着いたって感じで…。」

ネルケフェウス「えぇ、そうですね…。アンドロペパとアオセウス、それにネモクレス、カシオペア、あなたも…、それぞれに新しい一歩を踏み出し始めました。これは私だけ、立ち止まってる訳にはいきませんね…。」

カシオペア「陛下…?っ、まさか…!」

ネルケフェウスの真意に気付いて驚くカシオペアに、彼はうなずいてからハルセウスに言いました。

ネルケフェウス「ハルセウス。あなたさえよろしければ、このまま国王の座を継ぎませんか?」

突然の提案にハルセウスはうろたえます。

ハルセウス「え…、え!?そんないきなり…、いいんですか?」

ネルケフェウス「はい。大神官も代替わりしたことですし、いっそのことこのまま新しい時代の波に乗ってしまった方がいいと思ったのですよ。国を背負う両輪である国王と大神官は、本来対等であるべきですから…。大神官は、どう思われますか?」

ネモクレス「大ッ賛成です!!やったぁー!!ハルセウスが王様になったら、いーっぱい儀式でバトルできるね!!」

ハルセウス「え!?う、うん…、あはは、そうだ、ね…。」

アンドロペパ「ハルセウスがドン引きちゃんなんだが。」

カシオペア「相変わらずネモいな。」

アオセウス「でも、ハルセウスが国王を継いだら陛下はどうされるのですか…?」

尋ねるアオセウスに、ネルケフェウスは笑って答えました。

ネルケフェウス「そうですね…、ポケモンやこの世界のことについて学べる学校でも作ってみましょうか。実は昔から、ちょっとした夢だったのですよ。さぁ皆さん、これから忙しくなりますよ。ハルセウスの即位式とアンドロペパとアオセウスの結婚式、同時進行で準備を進めなくてはいけませんからね。」

全員「はいっ!」
 ▼ 76 オラント@おきがえトランク 23/05/20 22:12:14 ID:1s6cbXtQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから一ヵ月後。
めでたくハルセウスはパルデア王国の新国王として即位し、それと同時にアンドロペパはアオセウスと結婚しました。

即位後の新国王お披露目試合で、大神官ネモクレスとの大立ち回りを繰り広げたハルセウスは、たちまち国民達の人気者になりました。
彼はネモクレスとともにいくつものポケモンバトルのイベントや国を強くするための政策を打ち立て、パルデア王国を世界に通ずる強豪国へと導いたのでした。



そしてアオセウスと結婚したアンドロペパは王宮を去り、ひとまず王国の南の果ての小さな町、コサジタウンにあるアオセウスの実家へと身を寄せることになりました。
それまで双子の大喧嘩に日々頭を悩ませていたアオセウスの母親は、姉弟が仲直りしてそれぞれ別々の道を歩み始めてくれたことをたいそう喜び、そのきっかけをくれたアンドロペパのことを温かく迎え入れてくれました。

それからしばらくしてアンドロペパは以前からの夢を叶えるため、アオセウスとともにパルデア王国中をめぐる旅に出ました。
スパイスを探したり、各地の病気のポケモン達を癒す旅の中でアンドロペパはそれまで眠っていたポケモンバトルの才能を開花させ、ついにはアオセウスと肩を並べて戦えるほどのポケモントレーナーへと、急成長を遂げたのでした。





それから数年後…。


 ▼ 77 ジドラゴ@シールいれ 23/05/20 22:16:56 ID:1s6cbXtQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アンドロペパ「アオセウス、ただいまちゃん!」

コライドン「アギャッス!」

コサジタウンの家の扉を勢いよく開けたアンドロペパ。
それに気付いたアオセウスはよいしょと椅子から大儀そうに立ち上がりました。

アオセウス「お帰りなさい、アンドロペパ。コライドンも、お疲れ様。」

アンドロペパ「あぁだから無理して出迎えようとしなくていいって!今が一番大事な時だろ!?」

アンドロペパは慌ててドタバタと家の中へと駆け込み、アオセウスを椅子へと押し戻しました。
アオセウスのお腹はふっくらと膨らんでいます。
なので二人でめぐるパルデアの旅も当分の間はお休み中。

でも今ではもう、アンドロペパ一人きりの旅でも心配ありません。

アンドロペパ「オレの留守中ちゃんと食ってたか?いろいろ栄養のある食材買ってきたんだ、すぐメシにするからな!」

アオセウス「もう、留守中って言ってもたったの二日じゃない。二日だけじゃ満足にスパイス探したり町を回ったりできないでしょ?こっちにはママもいるし、一週間くらい家を空けちゃっても大丈夫だよ?」

アンドロペパ「オマエはよくてもオレが心配なの!たった二日間だけでも、その間にオマエやお腹の子どもに何かあったらってすげー心配なんだからな!よそのポケモン達元気にしたって、オマエらに何かあった時に助けられなかったら本末転倒だろ!」

そう言いながら食事の支度に取りかかったアンドロペパの姿を見て、アオセウスは幸せそうな笑顔を浮かべました。
アンドロペパがキッチンに広げた荷物の中には新鮮な野菜や果物、肉や魚、そして秘伝スパイスがいっぱいです。

その中に一つ、明らかに食材ではないあるものを見つけたアオセウスはアンドロペパに尋ねました。

アオセウス「ねぇ、アンドロペパ。その長くてくるくる丸めてるの、一体何?」

アンドロペパ「ん?これか?」

アンドロペパが手に取って見せたもの。
それは大きな羊皮紙でした。

アンドロペパ「ほら、もうすぐ子どもが生まれるしさ、この羊皮紙にオレ達の大切な家族の記録として家系図を書き残せないかなって思ったんだよ。」

アオセウス「家系図を…?」

アンドロペパ「あぁ。それにこのまま放っておいたら、何代か後になってオレがアルセウスと結婚したとかバカなことを言い出す子孫が出てきてしまうだろ?」

アオセウス「ふふっ、確かにそうだね。」

アンドロペパ「そんな未来を変えるためにも、家族の名前はちゃんと正しく伝えていきたいんだ。オマエも、これから生まれてくる子どももオレにとっては大切な宝物だし、できればこの先一代でも長くずっとずっと、受け継がれていってほしいからさ…。」

アオセウス「アンドロペパ…、ありがとう。あなたと結婚して、本当によかった…。」

アンドロペパ「あぁ、オレもだ。…さて!そんな大切な家族のためにこれから栄養満点のサンドイッチを作るから、もうちょっと待っててくれよな!」

そうしていつものように威勢よくその料理の腕を振るうアンドロペパ。
まさか数十年後に彼らの孫の一人がいたずらで家系図のアオセウスの名前をアルセウスに書き換えてしまい、それが修正されずにそのまま伝わってしまうなどとは、幸せいっぱいのアンドロペパは想像すらもしていないのでありました。





めでたしめでたし

 ▼ 78 ロバレル@ボイスチェッカー 23/05/20 22:17:54 ID:1s6cbXtQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて完結です。
長くなりましたがここまで読んでくださりありがとうございました。
 ▼ 79 ルリア@もちもちキノコ 23/05/20 22:18:27 ID:0x7A3Yh. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よく頑張った!感度した!!
 ▼ 80 ンボラー@サンのみ 23/05/20 22:19:41 ID:qzlUaljw NGネーム登録 NGID登録 報告

アルセウスとペルセウスって確かに似てるよね
 ▼ 81 ゲータ@ライドギア 23/05/20 22:40:22 ID:m4Cwb9Io NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
上手く絡めたもんだなぁ…
乙です
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