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SS

【SS】青い約束

 ▼ 1 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:12:07 ID:PkX240MI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「うぇっ……」


買い物から帰ってきたら家の前に何かが落ちていた。

おまけにあちこち水びたし。だけど雨が降ったようにも見えない。


とりあえず買い物袋を濡らさないように水たまりを避けつつ、落ちてるものを観察してみる。

その「何か」は青色で、しわしわで、触角らしきものがあって……


ジラーチ「うっ!?」ズキッ

ジラーチ(なんだ……?何か思い出しかけたような……)

ジラーチ(ボクは多分、どこかでこの青色を見たことがあるはずだ……)


しかしそれ以上考えても答えは出そうになかった。


ひとまず「何か」は特徴から見ておそらくポケモンだ。


ジラーチ(マナフィだったかフィオネだったか……どっちにしてもみずポケモンがこの状態なのはまずいよね。)

ジラーチ「……生きててくれよ。じゃないと後味悪いから。」


軽くはないもののどうにか持ち上げられそうだ。


しわしわでカサカサのポケモンはジラーチに抱えられて家に運ばれることになった。
 ▼ 2 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:14:12 ID:PkX240MI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「ふむ……なるほど触角2本はマナフィなのか。」


ぬるま湯を張った浴槽にはちょうど今マナフィと判明したポケモンが浮かんでいる。

ベッドに寝かせるのと迷ったが、試しに水に入れたら浮いたのでそのままにしてあるのだ。


ジラーチ「流石にマナフィ自体の応急手当はネットでも載ってないか……」

ジラーチ(……体表から水を吸収できるって書いてあったよね、それで調べれば何か……あった。)


〜熱中症の応急処置:体表から水を吸収するポケモンの場合〜

1.浴槽やビニールプールに水を張る

2.その中にスポーツドリンクを混ぜる

3.体表からの方が水の吸収効率がよいので回復がより早くなります!

結果:早く回復します!


ジラーチ「……これ、本当に大丈夫なやつか……?」
 ▼ 3 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:18:21 ID:PkX240MI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見たところマナフィの体は先程よりは健康そうだ。

しかし水だけで回復できるものだろうか。何の症状かはわからない。熱中症の対処法──しかも信憑性に欠けるものを試すべきなのだろうか……


考えつつ、なんとなくマナフィの体をつついてみる。

持ち上げたときと違ってぷにっとした感触に押し返された。


……もう一度つついてみる。


…………あと、もう1回だけ。


マナフィ「ん……」


………………もう1回……


マナフィ「ひ゛っ゛!?」

ジラーチ「!?」

マナフィ「あ゛、あ゛れ゛……こ゛え゛……ゴホッゴホッ」

ジラーチ「あ、ああ……無理しないで、キミは倒れてたんだから……」

ジラーチ「そ、そのだね。キミがちゃんと生きているか確認してたんだ、はは……」


そう言うとマナフィはしばらくボクを見つめた後、触角を伸ばし、触れてきた。

……何も起きなかった。


よくわからないけれど、マナフィの方はとても驚き、焦っているようだ。


マナフィ「ご、ごめ゛ん゛な゛……ゴホッゴホッ」

ジラーチ「ああもう無理しないでってば……とりあえずスポーツドリンクでも飲んだらどうだい。」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


ジラーチ「……なんだろう、今の音……」

マナフィ「……///」

ジラーチ「あぁ……うん。」


ジラーチ(お腹を満たすのが先ってことね。)

ジラーチ「ちょうど晩御飯作るところだったからそれでも飲んで待っててよ。少し時間がかかると思うからさ。」
 ▼ 4 パラス@いんせき 23/08/18 19:18:58 ID:FJvwK4KY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まちっどさんの新作だと
 ▼ 5 モジャンボ@くちたけん 23/08/18 19:19:10 ID:bBvM.GmA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まちっどさんには珍しいポケモンのCPか?
 ▼ 6 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:19:25 ID:PkX240MI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の夕飯が「具材たっぷりボクの自己満足カレー」でよかった。

作り過ぎなぐらい作るこのメニューなら突然のお客さんにも対応できる。たぶん。

ボクと同じぐらいの大きさだったし、一緒に食べても朝にまたカレーを食べられるぐらいは残るはず。

もうほぼ出来上がりだし、マナフィを呼ぶとしよう。





コンコン

ジラーチ「入るよマナフィ。ご飯ができたけど動けるかい?」

マナフィ「は゛い゛!ゲホッゴホッ……」

ジラーチ「……声は相変わらずだね。カレーだけど食べれる?」

マナフィ「……!」コクコク

ジラーチ「それならよかった。……はは、よく考えたら作る前に聞くべきだったね。」
 ▼ 7 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:20:42 ID:PkX240MI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「いただきます。」

マナフィ「い゛た゛だき゛ま゛す゛……」


誰かと家でご飯を食べるなんて随分久しぶりだ。

しかもそれが家の前に落ちてたポケモンとだなんて……


……うん、我ながら今回もおいしくできた。

そういえばマナフィはどうだろうか。口に合っていればいいけど……



マナフィ「ごちそうさまでした!」

ジラーチ「えっはや……えっ?早くない?」

マナフィ「あっ声戻ってる!戻ってますよね?」

ジラーチ「う、うん。」

マナフィ「あたしマナフィです!危ないところを助けていただきありがとうございました!」

ジラーチ「ど、どういたしまして。ボクはジラーチです、見ての通り……」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「あ、あのぅ……助けてもらってご飯まで食べさせてもらって申し訳ないんですけど……お、おかわりって……///」

ジラーチ「あ、あるし別にいいけど……え?一応食べたんだよね?」

マナフィ「はい!とっても美味しかったです!」

ジラーチ「……よそってくるから少し待ってて。」


ジラーチ(まあ……美味しいなら仕方ないか……)

ジラーチ(誰かに美味しいって言ってもらうのも、誰かが美味しそうに食べてるのも……嫌いじゃないし。)



──────────────
──────────
───────


マナフィ「はー……ごちそうさまでした。」

ジラーチ「ま、満足したかい……?」

マナフィ「もう食べれない……です……」

ジラーチ(結局全部食べた……ボクの朝カレーが……)
 ▼ 8 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:22:21 ID:PkX240MI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「それにしても……キミはどうしてこんなところに?街じゃキミの種族は見たことないけど。」

マナフィ「あ、あはは……実は嵐で飛ばされてきちゃって……」

ジラーチ「なるほど。確か海の種族だもんね。帰り道は大丈夫……じゃないか。どうしようかね。」

ジラーチ「……まあ、今日はもう遅いし家に連絡だけでも入れて……それともキミだけで住んでるとか?」

マナフィ「そ、それなんですけど……なんだけど……」

ジラーチ「?」

マナフィ「な、何でもするのであたしをここに住ませてくれませんか!?」

ジラーチ「え?」

マナフィ「あたし……昔から地上で暮らしてみたくって……でもそんな機会なかなかなかったんです。……なかったの。」

ジラーチ「……喋り方、どうしたんだい?」

マナフィ「えっ?あ……と、とにかくお願いします!」

ジラーチ「流石に家族が心配してると思うけど……」

マナフィ「だ、大丈夫です!ひとり立ちしてるので!」

ジラーチ「本当に地上で暮らしたいのかい?」

マナフィ「もちろんです!」

ジラーチ「……正直毎食今日と同じぐらい食べるとなると食費が……」

マナフィ「あ、あれはエネルギーを使い果たしたからなので!普段はあんなに食べないので!///」

ジラーチ「なら……ボクは別にいい。」

マナフィ「……!ありがとうございます!」

ジラーチ「だけどボクだけじゃ決められない。この家の持ち主が何て言うかだね。」

マナフィ「家の持ち主……?」

ジラーチ「この家は借りてるだけだからさ。……もしダメでもこっそり一晩ぐらいは泊めてあげるから心配しないで。」

マナフィ「す、すみません……ありがとうございます」
 ▼ 9 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:24:21 ID:PkX240MI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルルルル……


ジラーチ「もしもし?はい。ボクです。ジラーチです。夜分遅くにすみません。あのぅ……同居者が増えそうなんですが……はい。家の前で倒れてて……はい、大丈夫です。……あー……」


ジラーチ「……君、女の子……だよね?」

マナフィ「はっはい!」


ジラーチ「女の子です。……流石にそれは……わかってますよ。はい。……えっ?あ、そうですか……ありがとうございます、失礼します。」

ピッ


ジラーチ「……オッケーだってさ。」

マナフィ「よ、よかった……」

ジラーチ(そう簡単に許可は出ないと思ったけど結構あっさりだったな……)


ジラーチ「ま、まあ。とりあえずこれからよろしく……かな?」

マナフィ「よ、よろしく……よろしくお願いします!」



こうしてボクとマナフィの同居生活がいきなり始まった。

……本当にいきなりだ。というかなんでボクはマナフィにオッケー出したんだっけ?


何も考えた覚えがない。


……どうしよう。


そういえば女の子のこととかボク全然わからない……


もういいや、面倒なことは全部明日考えよう。マナフィも疲れてるだろうし。
 ▼ 10 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:20:46 ID:fim6AmoQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝……


マナフィ「ふわぁ……おはよう……」

ジラーチ「おはよう。眠れた?」

マナフィ「なんとか……」

ジラーチ「ははっ、いつもと違う場所でいきなりぐっすりは難しいよね。あ、そうそう。今日の朝ごはんはピザトーストだから……」

マナフィ「ピザトースト……!?」キラキラ

ジラーチ「……だから、キミの好きなようにチーズとケチャップを乗せてくれ。他の具材はピーマンぐらいしかないけど。」

マナフィ「わぁ懐かしい!こんなのいつぶりだろ!」


……ピザトーストってこんなに目を輝かせるものなのかな。

反応からして初めて食べるものってわけでもないみたいだけど。


ジラーチ「……ってちょっとマナフィ!?ボクの分も残しておいてね!?」

マナフィ「だ、大丈夫だよ!そんなにいっぱい乗せてないよ!?多分……」

ジラーチ「いやぁ……袋の中身半分っていうのは十分……」


ジラーチ(……楽しそうだしまあ、いいか。)
 ▼ 11 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:21:31 ID:fim6AmoQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「いただきます。」

マナフィ「……いただきます」


うん……今日のピザトーストは中々バランスがいい感じの味だ。次もこれぐらいを目指して……


ジラーチ「……マナフィ、食べないのかい?」

マナフィ「あ、えぇっと……そ、そうですよね……」


彼女は恐る恐る両手で持って……かぶりついた。

作っているときはあんなに楽しそうにしてたのに一体何だったんだろう。


マナフィ「おいしい……!」

ジラーチ「そりゃよかった。あ、悪いけど明日からは大体お米になると思う。ボク米派だからさ。」

マナフィ「大丈夫ですよ!あたしは朝はどっちでも……」

マナフィ「……敬語じゃない方がいいですかね。あ、じゃなくて……」

ジラーチ「それは別にどっちでも。それでなんだい?」

マナフィ「な、なんでもないで……ないよ!あはははは……」

ジラーチ「よくわからないけど無理はしなくていいからね。今日は色々とやらなくちゃだから朝ごはんはさっさと済ませて……」

マナフィ「ごちそうさまでした!」

ジラーチ「……うん。さっさと済ませるからちょっと待っててね。」
 ▼ 12 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:24:00 ID:fim6AmoQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「キミをここに住ませるにあたって……まあキミが働くっていうのも別にいいんだけどさ。キミって何歳?」

マナフィ「じゅ、16です!」


ふむ。16でひとり立ちか。

……普通の感覚がわからないな。これってどうなんだろう。

マナフィ「あ、あの、ジラーチ……は?」

ジラーチ「あー……ボク?うーん、もうわかんないや。何千年か何万年かって話になるしさ。」

マナフィ「そ、そうだよね、ジラーチってポケモンは……あれ、ということはあたしあと何日ここにいられるんですか?」

ジラーチ「それは別に心配しなくていいよ。ボク1000年眠ったりしないから。願いも叶えられないけど。」

マナフィ「そ、そう……なんだ。」

ジラーチ「だからボクの年齢については細かく考えなくても……じゃなかった、キミの話をしてるんだった。」

ジラーチ「で、続きだけど何でもしてくれるならボクとしてはこの家の掃除とか整理とかやってほしくてね……」

マナフィ「お掃除?頑張ります!」

ジラーチ「よろしく。どうもボクには広すぎて掃除が行き届かなくてね。洗剤とかは大丈夫なの?」

マナフィ「うーん……家ではみずポケモン用に成分を調整したのを使ってました。」


……それは多分持ってないな。


ジラーチ「じゃそれを買ってこよう。今日の掃除はいいや。代わりに別の仕事をお願いしようかな。」

マナフィ「?」

ジラーチ「晩ごはんは何が食べたい?考えてくれるとありがた……」

マナフィ「オムライス!」

ジラーチ「……オーケー。」


しばらく献立を考えるのには困らなそうだ。

買う量が増えるからおサイフのほうが心配だけど……そこはまあ頑張ろう。
 ▼ 13 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:24:41 ID:fim6AmoQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「ところでお昼ごはんはどうするんですか?」

ジラーチ「それなんだけどね。てんちょ……家の持ち主がキミに会ってみたいって言ってるんだ。ラーメンの出前でもとろうかなと。」

マナフィ「な、なるほど……」

ジラーチ「怖くないから大丈夫だよ。」

マナフィ「で、ですよね!あはははは……」

ジラーチ「……。」


ジラーチ「……まあ、怖かったら部屋にどこかの部屋にでも入ってればいいよ。一瞬だけ顔は見させてあげてほしいけど。」

マナフィ「……うん。でもきっと大丈夫だと思う。」

ジラーチ「そう?」

マナフィ「だってジラーチさんとっても優しいから……だったらジラーチさんに家を貸してる持ち主さんもきっと同じように優しいと思って。」

ジラーチ「べ、別にボクは……確かにその、店長……持ち主さんは優しいけど……///」


ヘンな感じだ。仕事のできばえ以外を褒められるのはやっぱり慣れない。

もっとヘンなのは今まで会った誰に褒められてもここまではならなかったことだ。どうしてこんなに嬉しいんだ。

それなのにボクは……これもどこかで味わったような気がする。

……いや。矛盾してるよ色々と。慣れないことに混乱してるだけだ、落ち着こう……
 ▼ 14 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:27:02 ID:fim6AmoQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後は何となく気恥ずかしくってマナフィと顔を合わせられなくなってしまった。

書斎に案内して「好きに読んでいい」と伝え、ボクも自分の部屋で本を読むことにした。



あぁ……そうだった、マナフィの部屋も整えないと……それに出前の注文も聞かなきゃ……

どうしてさっきはあんなことになったんだろう。やっぱり友達が少ないのがよくないのかな。異性にも慣れていないのは確かだし。

……にしたって惚れるのが早くないか?一応半年ぐらいは街でも生活して慣れ……うん、やっぱり慣れてないな……


ジラーチ「これは……ボクの試練なのかもしれない。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ジラーチ「……よし」


コンコン

ジラーチ「マナフィ、お昼の出前のことだけど……」

マナフィ「えっちょぅわわわぁっ!?」


ズドン!バタン!

ジラーチ「えっ!?だ、大丈夫かい……?」

マナフィ「だ、大丈夫……台から落ちちゃっただけで。痛くないよ、あはははは……///」

ジラーチ「……へぇ、小説読むんだね。」

マナフィ「ま、まあ……?///」

ジラーチ「しかもそれは持ち主さんの奥さんの……ボク読んだことないんだよね。面白かった?」

マナフィ「ど、どどどどうかなぁ……?あ、あんまりぃ……?///」

ジラーチ「……大丈夫?やっぱり緊張して……」

マナフィ「だっだだ大丈夫!大丈夫だから!注文だよね!片付けていくからちょっと待っててくださいね!」




ジラーチ(うーん…ボクの方は普通に話せたけどマナフィが変だったな……無理してるのか……)

マナフィ(久々に官能小説読んだら面白くて止まらなくなっちゃった……けど描写が結構……バレなくてよかった。)
 ▼ 15 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:28:36 ID:fim6AmoQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──────────────
──────────
───────


ピンポーン

ジラーチ「お、来た。はーい、今開けますね。」


ジュナイパー「どうも。こんにちは、お邪魔しますね。」

ジラーチ「と言っても元々あなたのですけど。紹介するよマナフィ。こちらのジュナイパーさんが家の持ち主なんだ。」

ジュナイパー「ついでにジラーチくんの勤め先の店長です。よろしくお願いします。」

マナフィ「よ、よろしくお願いします……」

ジュナイパー「君がマナフィくんですね。……ジラーチくん、暴れたりは……してなさそうですね。」

ジラーチ「いっぱい食べる以外は今のところ大人しい子ですよ。」

マナフィ「あ、あれはエネルギー切れで……!それに美味しくて……///」

ジュナイパー「食べるのが好きなのは良いことです。さ、ラーメンを待ちましょうか。楽しみですね。」

マナフィ「……はい!」


ジラーチ(うん……全然大丈夫そうだ。よかった。)
 ▼ 16 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/19 00:29:59 ID:fim6AmoQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュナイパー「それにしても驚きましたよ。倒れてたポケモンを住まわせたいなんていきなり言うんですから。」

ジラーチ「はは……すみません。」

マナフィ「す、すみません!」

ジュナイパー「いえいえ、迷惑とかそういう話をしてるのではないのですよ。ジラーチくんがそうすること自体は納得のいくことでしたから。」

ジラーチ「ど、どうも?」

ジュナイパー「マナフィくんもできればジラーチくんと仲良くしてあげてくださいね。彼は優しいですから。」

マナフィ「はい!それに面白いですよね!」

ジュナイパー「ふむ、面白いと……」

ジラーチ「ボクが優しいかどうかとマナフィの意思は関係ないし……そもそもボクは…ゴニョゴニョ///」

ジュナイパー「そうでした。ジラーチくんはおもしろかったですね。」

マナフィ「ですよね!うふふ!」

ジラーチ「あ、あのねぇ店長、マナフィ……///」


ピンポーン

ジラーチ「……出前が来たみたいです。受け取ってきますね。」


ふぅ……ひとまずこの場から脱出できる。

なんだよ急に仲良くボクをいじりやがって……




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ジュナイパー「……君たち結構注文したんですね。食べ盛りとは良いことです。」

ジラーチ「まあ大体マナフィのですけどね。……普段は食べる量普通なんじゃなかったっけ?」

マナフィ「い、色々と食べたいものが多くって……の、残したりしないので……」

ジュナイパー「残さず食べるのは良いことです。さ、いただきましょう。」


「「「いただきまーす!」」」




……実を言うとボクのおサイフ的には今回の注文もあまり良くはないんだけど……


マナフィ「ん〜♡おいしい!」


マナフィが嬉しそうならまあ……良いことかもしれない。
 ▼ 17 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:26:19 ID:rEZ.QlUE [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局マナフィは夕飯のオムライスもそれはもう幸せそうにあっという間に食べきり……

まだ足りなさそうなのでボクのを少し分けることになった。


マナフィ「ごちそうさまでした!ごめんなさい、ありがとうジラーチ。」

ジラーチ「気にしなくていいよ。キミの食べる量も流石にわかってきたから次からはちゃんと調整する。」

マナフィ「うぅ……ごめんなさい……」

ジラーチ「気にしないでってば。ボクの心情的には残されるよりいい。」



食べたあとは皿洗い。


ボクのために作られていないから仕方ないのだが、飛ばないと洗い場には届かない。

マナフィの方はもっと大変だ。倉庫から引っ張り出してきた椅子を使ってなんとか高さを合わせている。


ジラーチ「洗剤を買ってきたら一応キミにも洗う方をやってもらうことになると思う。」

マナフィ「うん。あ、全部任せてもらっても大丈夫ですよ!」

ジラーチ「いやぁそこまでは……明日からは仕事だからボクは家にいないけど、掃除以外にも本とか読んでいいから。あとはパソコンも……まあ大事なものは特に入ってないか。」

マナフィ「ありがとうございます。頑張ってお掃除します!」

ジラーチ「はは、程々でいいからね。洗剤ないから箒とかでできる範囲でいいし。」

ジラーチ「それと……困ったことがあったら電話の上の番号に連絡してね。お昼ごはんは用意しておくから。」

マナフィ「はいっ!」
 ▼ 18 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:27:12 ID:rEZ.QlUE [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「……。」ソワソワ

ジュナイパー「どうしましたジラーチくん。落ち着かない様子ですが。」

ジラーチ「あ、いえ……」


丁度ピークの終わったこの店は喫茶店あろーや。

ボク……ジラーチの勤め先だ。


ジラーチ「マナフィに留守番させてるんですが……少し心配で。何かあったら連絡するようには言ってるんですけどね。」

ジュナイパー「確かにそれはそうかもしれませんね。」

ジラーチ「ごはんが足りなかったらどうしようってのもあるんですけど。やっぱり慣れない場所だからそれ以外にも色々あるだろうなと……」

ジュナイパー「……マナフィくんが家を荒らすような心配はしていないんですね。随分信用するのが早いじゃないですか。」

ジラーチ「だって自分の食べ過ぎを気にするような子ですよ。壊されて困るようなのはパソコンぐらいですし。」

ジュナイパー「そうでしたね。ところで食費の方は大丈夫なんですか?」

ジラーチ「……今の、ところは。たぶん。なんとか。」

ジュナイパー「……なんとかならなくなってきたら相談してくださいね。」

ジラーチ「い、いやあそれを店長に頼るわけにはいきませんよ、はは、ははは……」
 ▼ 19 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:29:02 ID:rEZ.QlUE [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仕事が終わったらスーパーマーケットへ。

ここ2日で予想外のペースで消費された食材と諸々を買い揃える。


ジラーチ「うーわ、やたら高いなこれ……」


マナフィ用の洗剤は普段使いのものの1.5倍近い値段だ。

これに加えてマナフィのために余分に食材とスポーツドリンクを買わなければならない。

会計はこれが続けば出費が膨れ上がるのは見てわかるという金額になった。



ボクはこの程度で後悔する心の狭いやつじゃない。

店長にこんなことで頼ったりもしない。

食費がかなり増えるっていうのはカレーを食べ尽くされたあのときになんとなくわかることで……




……やっぱり考え無しはよくないな。うん。
 ▼ 20 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:29:47 ID:rEZ.QlUE [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピンポーン

ジラーチ「ただいまー」


返事はない。

考えてみればマナフィはインターホンに出るのにもあの椅子を運んで高さを調節するという作業が必要だ。

すぐに反応できないのは当然と言える。


ジラーチ「ま、いいか。」


ドアを開けると明かりのついていない廊下が出迎えた。

使っていない部屋の電気はなるべく消しておいてくれとは言ったもののここまで律儀とは。


ジラーチ「おーいマナフィ、今日の夕飯はお弁当を買ってきたから好きなのを選んでほしいんだ。今大丈夫かい?」


変わらず返事はない。


ジラーチ「寝てるのかな……?おーいマナフィ?」

ジラーチ「マナフィ?マナフィー?」
 ▼ 21 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:32:26 ID:rEZ.QlUE [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荷物を置いて家中探してみたものの見つからない。

掃除はしてあるから途中までは家にいたらしいのだけれど。


ジラーチ「残るはここだけか……寝てたらごめんね」


コンコン

ガチャ


ここはマナフィが寝室として使っている部屋だ。

しかしやはりマナフィの姿はない。


ジラーチ「ここにもいなかったらどこに……?」


見落としたのかもしれない。最初からもう一度見てみよう。

そう思って部屋を出て……倉庫を探していないことに気がついた。


ジラーチ「……何か嫌な予感がするな。」














半開きの倉庫の前にはしわしわのマナフィが倒れていた。
 ▼ 22 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:33:31 ID:rEZ.QlUE [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告









マナフィ「……あ……れ……?」

ジラーチ「目が覚めたかい。キミまた倒れてたからびっくりしたよ。今回は声は大丈夫みたいだね。」

マナフィ「そ、そうだ……あたし掃除の片付けをしようとして……ふらふらで倒れちゃったんだ。」

ジラーチ「ふらふらで……あ、もしかしてお昼足りなかったかい……?」

マナフィ「ううん、何かが頭に当たったの。痛かったぁ……」

ジラーチ「何も落ちてなかったけど……キミに当たって跳ね返って戻ったのかな。流石の弾力だね。はは。」

マナフィ「……ごめんなさい。」

ジラーチ「謝ることじゃないよ。それより食べられそうなら夜ごはんにしよう。今日はお弁当だよ。」
 ▼ 23 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:35:28 ID:rEZ.QlUE [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィは何事もなかったかのようにボリュームたっぷりの弁当を平らげた。

ボクは……現在進行形で食べ続けている。


ジラーチ「……マナフィ、ちょっと食べるかい?」

マナフィ「あたしはもういいかな……あ、今食べきらなくても明日の分にすればいいんじゃないですか?」

ジラーチ「それもそうだね。よし、ごちそうさま。」

マナフィ「ねぇジラーチさん、片付けが終わったらトランプやりませんか?倉庫で色んなゲームを見つけたからやりたいんです!」

ジラーチ「いいけどその前に倉庫からヘルメットを出さなきゃ。明日も倒れたら大変でしょ?」

マナフィ「あ、ごめんなさい……」

ジラーチ「あはは、ボクは別にいいんだけど間に合わないとキミが危ないからね。」

ジラーチ「……トランプなんて店長と少しやったきりだからあんまりルール覚えてないけど、いいかい?」

マナフィ「わからなかったら教えますよ!」

ジラーチ「それは助かる。」







そうして肩慣らしということでババ抜きを(トランプ3枚で)した。

マナフィは考えてることが顔に出まくるのでかなり楽な勝負だった。

ムキになって連戦を仕掛けられても当然負けなかった。

そのうち「なんでぇ!?」とか「負けちゃったー!」という叫びが

「なんでぇ……」とか「また負けた……」という調子になってきた。

……流石にかわいそうになってきたのでわざと負けたらやや不機嫌そうに寝室に行った。

どうすればよかったんだろう。
 ▼ 24 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/21 00:37:18 ID:rEZ.QlUE [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「……うーん……もう起きなきゃだ……」


目覚ましを止めて部屋を出ると既に廊下の電気がついていた。

マナフィが先に起きていたらしい。

たぶんお腹を空かせているだろうから朝ごはんを作らないと。


マナフィ「あっ……お、おはよう……ございます」


丁度マナフィが声をかけてきた。

振り返ってみると小さな箒を持っている。


ジラーチ「ん、おはようマナフィ。もう掃除してるのかい?」

マナフィ「は、はい……き、昨日は……」

ジラーチ「?」

マナフィ「昨日は失礼な態度をとってごめんなさい!」

ジラーチ「いやいや別に……まさかそれで朝早くから?」

マナフィ「はい……遊んでるときの言葉遣いもいつもより荒かったですし……」

ジラーチ「む、むしろああいう話し方のほうがちょっと楽しかったというか……いや、強制はしないけどさ。全然気にすることじゃないしそれで何かする必要もないからね?」

マナフィ「で、でも……」

ジラーチ「さ、朝ごはんにしよう。まずは元気を補充しないとね。」



……マジメすぎるのも考えものかもしれないね。

それがマナフィのいいところなんだろうしまあ、いいか。

















そんなことを考えていたらその夜にやったスピードでボコボコにされたし哀れみをかけられた。

それは全然よくない。ちょっとは反省してくれ。
 ▼ 25 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 02:26:24 ID:4Vs6XF1w [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからは夜ごはんの後一緒にゲームをするようになった。

知らないゲームのルールはもちろん、ローカルルールとかいうのもマナフィは教えてくれる。

ホットミルクを飲みながらそうやって教わり、遊ぶ。

楽しいという以外にも穏やかに眠れる、という利点もあるのがいい。


ジラーチ「ふゎぁぁ……明日は休みとはいえこれぐらいにしようか。」

マナフィ「そうだね。もう遅いし。」

ジラーチ「今日もありがとうマナフィ。楽しかったよ。」

マナフィ「よかった。……ふふ」

ジラーチ「?」

マナフィ「あ……えっとね、ゲームで遊ぶのも楽しいんだけど、教えるのも楽しいなって。弟ができたみたい!」

ジラーチ「おと……え?」

マナフィ「お、弟はやっぱり違うかも……だけど一緒に遊ぶ友達っていうのかな。ジラーチさんは年齢は細かく考えなくていいって言ってたけど、なんとなくあたしとあんまり変わらなかったりして……」

マナフィ「な、なんちゃって……あはは……」

ジラーチ「そ、そんなわけないだろ。ボクは何千、下手すると何万年かは生きてるんだから。……記憶はないけど。」

マナフィ「そういうことじゃなくて心の方っていうか……こ、こどもっぽいって言いたいわけじゃないんだけど……」




マナフィ「……あ、あたし、できたら友達として仲良くしていきたいなって思って。ごはん食べさせてもらったり家に住まわせてもらったりで友達とはちょっと違うかもしれないけど。」

ジラーチ「マナフィ……」

マナフィ「そう思ったら喋り方もこっちの方がしっくり来たの。だ、だからその……友達、なってくれませんか?」



マナフィ「……失礼だったら喋り方は戻しますから。」
 ▼ 26 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 02:29:26 ID:4Vs6XF1w [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
友達になろう、か。

ボクだって友達と呼べるポケモンがいないわけじゃない。


けど……今日ここでなれるかもしれない友達は、今までになかったタイプの友達かもしれない。

それに友達がいないわけじゃないってだけだ。多くはないし、それが原因かもしれないことも前に起きたし……


ジラーチ「……わかった。なろう。ボクとキミは同い年のトモダチだ。話し方もそれで……いや、それがいいね。」

マナフィ「やったー!よろしくねジラーチ!」

ジラーチ「ああ、うん……ボク、同い年の友達なんてできたことなかったからさ。ボクと同じぐらい生きてるポケモンなんてまずいないし自分の年齢もわからないし。」

ジラーチ「だけどキミが同じぐらいだと言うなら……それでいいかもしれない。そういう友達もいるべきだと思うんだ。」

マナフィ「うん……うん!すごくいいことだと思うよ!」

ジラーチ「……約束してくれないか。これからも一緒にゲームをしよう。トモダチとして、仲良く、楽しく。」

マナフィ「もちろん!じゃあ友達記念にもう1戦やらない?」

ジラーチ「それはごめん、もう流石に眠いや……おやすみ」



約束その1:『青いキミとの約束』
ボクとキミはトモダチだ。これからも一緒に楽しくゲームをしよう。
 ▼ 27 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:27:37 ID:4Vs6XF1w [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……チ


ジラーチ!


「ねぇもう起きよう?あたしお腹ペコペコだよー!」


ジラーチ「うぅーん……ちょっと待って今起きるから……」


マナフィが起こしにくるなんて……よっぽどお腹がすいてるみたいだ。

早くごはんを作らないと……


ジラーチ「ん……?」

ジラーチ「あれ……マナフィ……?」


目覚めた自室にマナフィの姿はなかった。

呼ばれてから起きるまでそんなにかかっていただろうか。
 ▼ 28 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:28:15 ID:4Vs6XF1w [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
食卓に向かうとマナフィが本を読んでいた。

テーブルの上には昨日の夜ごはんの残り物。やはり待たせてしまっていたらしい。


ジラーチ「おはようマナフィ。ごめんね、お待たせ。」

マナフィ「う、ううん大丈夫。今起こしにいこうかと思ってたからちょうどよかったよ。」

ジラーチ「……今?」

マナフィ「うん。」

ジラーチ「いや……ボクはキミに起こされたと思ったんだけど……」

マナフィ「えぇっ?ご、ごはんの準備の音うるさかった?」

ジラーチ「そういうわけじゃなくて直接声を……」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「……///」

ジラーチ「ま、この話はいいや。朝ごはんにしようか。」
 ▼ 29 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:28:36 ID:4Vs6XF1w [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「いただきまーす!」」


ジラーチ「さっきの話だけど、キミは声をかけたわけじゃないんだよね?」

マナフィ「ん?……うん!かけてないよ。」

ジラーチ「そっか。……確かにマナフィの声ではあったんだけど……夢か幻聴か……」

マナフィ「なんて言われたの?」

ジラーチ「お腹ペコペコだから早く起きて〜って……うん?そういえばキミはそういう感じじゃないか。」

マナフィ「確かにあたしとはちょっと違うかも?」

ジラーチ「それならボクの気のせいかな。不思議なこともあるものだね。」

ジラーチ「……あ、だけど休みの日とかボクが遅かったら起こしてもいいし先に食べててもいいからね。そこはマナフィの好きにして。」

マナフィ「うん!あたしお米おかわりしてくる〜」

ジラーチ「相変わらず食べるねぇ……」
 ▼ 30 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:30:43 ID:4Vs6XF1w [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
朝食を食べ終えるとマナフィがまた新しいゲームを持ってきた。

本来ならボクも飛びついて遊びはじめたいところだけど……今はやるべきことをしなくちゃ。


ジラーチ「……あー、マナフィ。悪いんだけど今日はちょっと出かけるからその準備をしよう。」

マナフィ「えっ!?」

ジラーチ「少し散歩に行こうと思ってね。1週間外に出てないでしょ、キミ。」

マナフィ「そういえば……そうだった。」

ジラーチ「それにもしものことがあったときのためにもね。家から出て帰ってこれなくなったりしたら大変だし。」

マナフィ「確かに……何を準備すればいいの?」

ジラーチ「水筒を用意しておいたからそこにお茶を入れといてくれないかな。それとタオルを2つ。カバンは持ってくるから。」

マナフィ「……お弁当は?」

ジラーチ「……お弁当は無しだね。」

マナフィ「がーん……」

ジラーチ「お店で食べるからお昼抜きじゃないよ。心配しないで。」

マナフィ「……うん。」ショボーン

ジラーチ「……わかった、今度の休みに行くことがあったらそのときは作ろうね。」

マナフィ「うん!」



少しかわいそうかもしれないけど。

表情がころころと変わっているときのマナフィは……正直、見ていて楽しい。
 ▼ 31 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:33:03 ID:4Vs6XF1w [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
忘れ物と戸締まりを確認して、カバンを身に着けていざ散歩に出発。

散歩と言うには準備がしっかりしすぎかもしれないが、この家は山の中なのだ。

それぐらいで丁度いいはず。特にマナフィにとっては。


ジラーチ「さ、ボクについてきて。まずは家の周りを見よう。」

マナフィ「はーい!」


外で一緒に行動したことはないけれど、日常を見る限り地上でのマナフィの移動は遅い。

それに合わせられるようにボクもなるべく速度を落として飛ぶ。

マナフィが遅くなったら更に遅く……


ジラーチ「……大丈夫かい?」

マナフィ「だ、大丈夫……ごめん、あたし、遅くって……ゼェ……ハァ……」

ジラーチ「合わせようとしなくていいからね!?キミがゆっくり進めるペースにボクも合わせるつもりだから。」

マナフィ「あ、ありがと……」

ジラーチ「お茶、飲んだほうがいいんじゃない?」

マナフィ「うん。そうする。」


ゴクゴクゴク……


マナフィ「よーし!あたしふっかつ!進もう!」

ジラーチ「う、うん……」
 ▼ 32 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 17:34:30 ID:4Vs6XF1w [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「……。」

マナフィ「それにしても暑いねぇ……」

ジラーチ「夏だからね。これでもここは涼しい方じゃないかな?冷房のついた家にはかなわないけど。」

マナフィ「そ、そっかぁ……」

ジラーチ「お茶、飲んだら?」

マナフィ「そうだね……」


ゴクゴクゴク……


マナフィ「なくなっちゃった……」

ジラーチ「ボクの持ってる水筒の方が大きいから大丈夫。キミ用だから。」

マナフィ「うん……ありがと……」




マナフィ「……。」

マナフィ「ねぇ、ジラーチ。」

ジラーチ「なんだい?」

マナフィ「……やっぱりあたし戻る……」

ジラーチ「へ?」

マナフィ「お昼まで家で待ってる……」

ジラーチ「さ、流石に早くないかい?」
 ▼ 33 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/24 19:57:57 ID:4Vs6XF1w [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「だって……あたし遅いし、疲れるし……ジラーチにこれ以上迷惑かけたくない……」

ジラーチ「それは別にいいんだよ。キミのための散歩なんだから。」

ジラーチ「とはいえまあ……うん、大変なのはわかった。けど手はある。」

マナフィ「?」

ジラーチ「マナフィ、キミの荷物を前に回してくれるかい?」

マナフィ「こう?」

ジラーチ「そう……少し、失礼。」


マナフィの体の横に両手を添え、持ち上げ……


ジラーチ「ふんっ……ぬっ……!」

マナフィ「……ジラーチ?」

ジラーチ「いや……だ、大丈夫。水筒が思ったより重くてね……」

ジラーチ(マナフィと水筒のどっちが重いのかはさておき……こっそりサイコパワーで強化すればいけそうだ。)


マナフィ「わわっ!?体が……浮いて……」

ジラーチ「まだまだこれから……!」


サイコパワーを強めていくと2匹の体はじわりじわりと浮き上がり……

ついには家の屋根と同じぐらいの高さにまでなった。


ジラーチ「どう?マナフィ。これならキミの移動が遅くても大丈夫でしょ?」

マナフィ「も、もしかしてこのまま移動するの?」

ジラーチ「もちろん!さあ行くよ!」ビュンッ!

マナフィ「まっ待ってあたしちょっと怖ぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


ジラーチ「あ、そう?」ピタッ

マナフィ「ひっ!?急に止まるのも……それはそれで……はぁ……はぁ……」


ゆっくり行くのはどうにも変わらないらしい。

まあ、元々そのつもりだったんだし……いいか。
 ▼ 34 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:49:28 ID:u4sQees6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し高度を落としてゆっくりと家を周っていく。

最初はつい手が動いたり震えたりしていたマナフィも次第に落ち着いてきた。


マナフィ「あたし……そろそろ大丈夫かも。」

ジラーチ「わかった。それじゃあ行こうか。」


少し高度を上げ、木々の間を飛んでいく。

相変わらず喜びの声を出したりはしないけれど、怯えてはいないようだ。


ジラーチ「うん……それじゃふもとまで行ってみようか。1番使う道だしね。」

マナフィ「へえ。そっか、ジラーチっていつも山から飛んでお買い物とか仕事に行ってたんだね。」

ジラーチ「そうそう。歩くよりは楽だからいいけど時間はかかるんだよ。店長が貸してくれたのも不便で使ってなかったかららしいんだ。」

マナフィ「……でも家を2つ持ってるなんてすごいね。」

ジラーチ「はは、話によるとかなりのお金持ちらしいよ?ボクも相当ラッキーだよ、ほんと。」

ジラーチ「さ、話すのもいいけどふもとまでの道も一応見ておいてね。キミも使うことになるだろうから。」

マナフィ「うん。上からだと見やすいね。」

ジラーチ「ああ……ん?あ、そうか。キミは飛ぶわけじゃないから地上から見ないと感覚的に慣れないかな?」

マナフィ「えっまた歩くの!?」

ジラーチ「いや?もう少し高度を落として飛ぶだけだよ。」

マナフィ「ほっ……」

ジラーチ「……相当無理させちゃったね。ごめん。」

マナフィ「あはは……流石に適材適所っていうのを感じたかも。」


そんな話をしながら小川を越え、花の道を抜け……2匹は山のふもとを目指すのだった。
 ▼ 35 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:50:26 ID:u4sQees6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「到着だ。お疲れ様、マナフィ。」

マナフィ「ううん、ジラーチこそ……すごく汗かいてるけど大丈夫?」

ジラーチ「え?そ、そうか、飛んでるときは風であんまり気にならなかったけど暑いんだったね。」

マナフィ「……あたし涼しかったからなんか申し訳ないなぁ……あ、いいこと思いついた!」

ジラーチ「ふむ?」

マナフィ「飛んでるときでも触角は使えるから日傘させるよ!」

ジラーチ「……傘が飛んでいくので済めばいいけど最悪ボクたちが一緒に飛ばされそうな気がする」

マナフィ「……確かに」

ジラーチ「うん、まあいけそうならなるべくスピーディに行こうかな。さ、また飛ぶから用意してね。」

マナフィ「今度はどこに行くの?」

ジラーチ「スーパーと図書館。悪いけど買うのも借りるのも今日はしないよ。運べないから。」

ジラーチ「それが終わったらお昼ごはんだ。ボクが休みの日に行くお店があるからそこにしようかと。」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「……///」

ジラーチ「ごはん、楽しみ?」

マナフィ「うん……///」

ジラーチ「それはよかった。……けど、もう少しだけ我慢してね。まだちょっと早いからさ。」
 ▼ 36 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:51:22 ID:u4sQees6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元々水の中に住んでいたからか、ボクにとってはいつもの光景でもマナフィは興味津々。

飛んでる最中だというのにあっちこっち目移りして重心が全然安定しない。

かといってサイコパワーで固定したり目移りするなと言うのはかわいそうだ。

そういうわけで振り回されながらどうにかして目的地を巡ることになった。


マナフィ「わぁ……あのお店も美味しそう……あれもきれい……」

ジラーチ「はぁ……はぁ……そろそろお店に着くよ……ひぃ……」

マナフィ「ジラーチのお気に入りなんだよね?すっごく楽しみ!」

ジラーチ「ああ、うん。……着いたよ、ここがタブンネ食堂……安くて、美味しいんだ……はぁ、やっと着いた……」

マナフィ「……結構並んでるね。やっぱり人気のお店なんだ。」

ジラーチ「へ?そんなわけが……なっ!?」


想定したぐらいのペースで飛んでいれば混み始める手前ぐらいの時間には着くはずだったのだが。


ジラーチ(薄々わかってたけど……もたもたしすぎたよなあ。並ぶしかないか……)


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「っ!?///」

ジラーチ(だけどマナフィのお腹もそろそろ限界が近いはず……持つかなあ……)

ジラーチ(もし耐えれても反動でたくさん食べるとなると出費が想定外の額になる。かなりまずいか、これは……!)
 ▼ 37 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:51:58 ID:u4sQees6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツンツン


ジラーチ「ん……?どうしたんだいマナフィ。」

マナフィ「え、あたし?何もしてないよ?」

ジラーチ「え?けど今触角で……」

???「違うよジラーチちゃん、後ろ後ろ。」

ジラーチ「!その声はニンフィアさん……?」

ニンフィア「大当り!こんなところで会うとは奇遇だねぇ。」

ジラーチ「ど、どうも……」

マナフィ「し、知り合いの方?」

ジラーチ「うん。紹介するよ、職場の先輩のニンフィアさんだ。」

ニンフィア「初めまして!あなたがジラーチちゃんの話に出てたマナフィちゃんね。よろしく。」

マナフィ「よ、よろしくお願いします。」

ニンフィア「んでさー早速なんだけど……奢るから相席にしてくれない?私もお腹空いちゃってさあ。」

ジラーチ「……変なこと企んでないですよね?」

ニンフィア「いやいや!それにせっかくマナフィちゃんにも会えたんだしさ、仲良くしたいじゃない?」

ジラーチ「それなら、まあ……正直今日は助かりますし……」

ニンフィア「オッケー!じゃ決まりね!」


マナフィ「……ねぇ、ちょっと」ヒソヒソ

ジラーチ「なんだい」

マナフィ「親切にしてくれようとしてるのになんか態度が…どうしたの?」

ジラーチ「……あの先輩はあれでいいんだ、キミもそのうちわかる。」

マナフィ「……?」
 ▼ 38 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:52:26 ID:u4sQees6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「「いただきまーす!」」」


ボクはコロッケ定食を、ニンフィアさんはきのみの餡掛けごはんを、マナフィは野菜炒め定食(特盛)をそれぞれ口に運ぶ。

お腹を空かせた後に自分以外のお金で食べるごはんというのも悪くない。


ニンフィア「味わって食べるんだよ、なんたって私の奢りだからね!」

マナフィ「はい!ありがとうございます!」

ジラーチ「……ありがとうございます」


ニンフィア「マナフィちゃんはどこに住んでたの?やっぱり海?」

マナフィ「はい。元々はそうだったんですけど飛ばされちゃって。」

ニンフィア「みたいね。ジラーチちゃんが優しくてよかったねえ。」

マナフィ「本当です。家にも住まわせてくれてごはんも食べさせてくれ……ゲームしてくれたり今日も散歩に連れてきてもらったんですよ。」

ニンフィア「へーえ。ジラーチちゃん、ベタ褒めされてんじゃん。いいねえ♪」

ジラーチ「まあ……はい。///」

マナフィ「あ、あの……追加注文は……その……やっぱり」

ニンフィア「全然オッケーだよ!どうぞどうぞ。」

マナフィ「あ、じゃあ……すみませーん、これとこれを……はい!お願いします!」


マナフィ「……やっぱりいい先輩じゃないの?」ヒソヒソ

ジラーチ「まあ見てなって。」
 ▼ 39 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 02:53:40 ID:u4sQees6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「それで……優しい優しいジラーチちゃんにできればでいいんだけど……お願いがあってね。」

ジラーチ(きやがった……!)



ニンフィア「君にまたメイド服を着て働いて欲しいんだ☆」

ジラーチ「……。」


ジラーチ「またですか……はぁ……」

マナフィ「また?」

ニンフィア「うん。前にも着せたの。写真見る?」

マナフィ「見たいです!」

ジラーチ「ちょっ……」

マナフィ「……なにこれかわいい……!ニンフィアさんも似合ってますね。」

ニンフィア「ありがと。でも肉眼で見るともっとかわいいんだから。で、どう?」

ジラーチ「……はぁ……」

ニンフィア「オッケー♪じゃまた用意しておくから楽しみにしてるね☆」

マナフィ「ジラーチ……あんまり乗り気じゃないみたいだけどいいの?」

ジラーチ「仕方ないよ、奢ってもらったんだからさ……先輩は好条件と引き換えにそういうのを要求してくるのが嫌なんだ……」

ニンフィア「君がかわいいんだから仕方ないでしょ。私もだけど。」

マナフィ「……ジラーチ、男の子だよね?」

ジラーチ「うん。ニンフィアさんもだけどね。」

マナフィ「へぇ〜……へ?男?ニンフィアさんが?」

ニンフィア「うん」

マナフィ「男だけど自分でメイド服着て男の子にメイド服着させるのが好きなんですよね?」

ニンフィア「着飾るという文化はもっと浸透するべきだと思うけどね。かわいくなれるんだからさ。」

マナフィ「……やっぱり地上ってすごいんだね、ジラーチ。」

ジラーチ「ニンフィアさんのはそういう問題じゃないと思う」
 ▼ 40 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 03:06:58 ID:u4sQees6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう。ニンフィアさんはある意味凶悪なのだ。

優しいと言えば優しいけれど、ボクが誰かの頼み……特に何かの対価としてのそれを断りにくいのをわかっててこうしてくる。

そういうときのボクっていうのは先輩に従う以外の選択肢がない。

だからいつも微妙に好きになりきれないのだ。

反撃を試みようにも……そんな、ニンフィアさんがやるようなことをしてもボクは楽しくない。

けど、いつかは……

いつかは……


ジラーチ(待てよ……?)

ジラーチ「……ニンフィアさん、奢ってくれるんですよね。上限は?」

ニンフィア「ん?まあー君の可愛さはプライスレスだからね!なんちゃって……」

ジラーチ「よしマナフィ、好きなだけ食べな。」

マナフィ「え、いいの?」

ジラーチ「ニンフィアさんが言ったからいいんだ。ですよね?」

ニンフィア「ああ、まあね……」

マナフィ「すみませーん注文を……これとこれとこれと……あ、タレはこっちで……」

ニンフィア「ちょ、ちょっとジラーチちゃん……?マナフィちゃんってさっきの追加注文でも結構食べてなかった……?」

ジラーチ「……ニンフィアさん。マナフィはね、とってもお腹が空いていたんです。」

ニンフィア「へ……?」

ジラーチ「それじゃあボクもお言葉に甘えてデザートでも……」

マナフィ「デザート?あたしデザート別腹なの!」

ジラーチ「ははは、そうかい。存分に食べなよ。」

ニンフィア「ね、ねぇ……嘘でしょ……?」



こうしてボクたち(ほぼマナフィ)は定食単品で1000円行かない食堂で見事に2万円近いお会計を叩き出した。


……流石に申し訳なくなったからボクもそれなりに払った。
 ▼ 41 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/25 03:18:23 ID:u4sQees6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「はー……こんなに愉快なのは初めてだ。あっははははは!」

マナフィ「よくわからないけど…ジラーチが嬉しいならよかった。」

ジラーチ「うん。今まで溜まってたものが全部吹っ飛んだ気がするよ。伝票を見たときのニンフィアさんの表情ったら……ははは!」

ジラーチ「……街はどうだったかい。楽しかった?」

マナフィ「うん!とっても……とっても楽しかった!」

ジラーチ「それならよかった。」


マナフィ「ねぇ、ジラーチ……」

ジラーチ「?」


そう言うとマナフィは触角をボクの胸に当ててきた。

ほのかに暖かい気がする……体が直接温められるだけでなく、まるで心が直接温められるような……


ジラーチ「……なにこれ。すごいね。あったかい。」

マナフィ「今のは種族としてのマナフィの使える力の1つ……だけどあたしは全然ダメで。こうやってなんとなくのイメージを伝えることしかできないの。本当は心を通わせて話したりできるんだよ?」

ジラーチ「へぇ。ちなみに何て伝えてくれたの?」

マナフィ「……ありがとう、だよ。」

ジラーチ「ありがとう……」

マナフィ「うん。……なんだか直接伝えるより、こうしたくなって。」

ジラーチ「そうだったんだ。不思議で……けど素敵な能力だね。あ、帰る前にボクの職場に寄っていこう。『あろーや』っていう喫茶店で……」









メイド服を着ることになるのは変わらなかったけど……

ボクの気分は晴れたし、マナフィは大満足みたいだし。

まあ、いいか。
 ▼ 42 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:21:37 ID:c63Muk9k [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「ありがとうございました〜」


カランカラン……

ジラーチ「……ふぅ」


今週はメイド服を着て勤務している。

もちろん好きではないけれど、ニンフィアさんに一泡ふかせた後だと前よりは気が重くない。


ニンフィア「はぁ……着てくれるだけありがたいけどさ、恥じらいがなくなっちゃって私は悲しいよ……」

ジラーチ「そりゃどーも。ま、今週の仕事は今日で終わりですから見納めておいたらどうです?」

ニンフィア「見納め?面白いこと言うねぇ」


ニンフィア「着せるさ!何度でも!」

ジラーチ「ハイハイソウデスカ」



カランカラン……


ジラーチ「お……いらっしゃいま……」

マナフィ「やっほージラーチ!」

ジラーチ「いらっしゃいませ……」

マナフィ「わぁ実際に見たら本当に写真よりかわいい♪すごく似合ってるよ。」

ジラーチ「こちらのお席にどうぞ……」

マナフィ「……ねぇジラーチ、なんで無視するの?」

ジラーチ「……///」

ニンフィア「ジラーチちゃん、お客さんに対して愛想がないのはよろしくないですなぁ。」

ジュナイパー「そうですよジラーチくん。恥ずかしいのかもしれませんがそこは疎かになってはいけませんよ。」

ジラーチ「ちゃんとお客さんとして対応してるじゃないですかぁ!///」

ニンフィア「いやいやまだまだ……あ、マナフィちゃん。よかったらこっちのカウンターおいでよ。」

マナフィ「それならせっかくだしそうしますね。」
 ▼ 43 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:22:20 ID:c63Muk9k [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「はい、お冷……」

マナフィ「ありがと。」

ジラーチ「それにしてもどうやって来たのさ。この前は家から出るだけでも大変だったのに。」

マナフィ「あたしね、今週ずっと歩く訓練してたの。」

ジラーチ「訓練?」

マナフィ「うん。前のお散歩は大変だったから……それにあたしも買い物ができたら色々できるなーって思って。図書館にも行きたいし。」

マナフィ「それで今日はなんとかここまでたどり着けたの!ね、すごいでしょ!」

ジラーチ「うん、すごい。かなりすごいと思う。」

マナフィ「わぁい!でしょでしょ!んっふふ……さーて何を食べようかなぁ……」

ジラーチ「マ、マナフィ……一応言っておくけどこの店はあんまり安くないからキミのお腹を満たすとなるとその……」

マナフィ「わかってるわかってる。ちょっとスイーツを食べにきただけだから。あ、でもこのパスタおいしそう……」

ジラーチ「……まあ、じっくり考えて決めなよ。」

マナフィ「うん。」
 ▼ 44 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:23:17 ID:c63Muk9k [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「……さっきまであんなに恥ずかしがってたのに全然余裕じゃん。なんだったのあれ。」

ジラーチ「いきなりこの格好見られたらそりゃあ……」

客「すみませーん、注文いいですかー」

ジラーチ「はーい、ただいま参りまーす。」


マナフィ「あ、あたしも注文いいですか?」

ニンフィア「お、それなら私が聞くよ。」

マナフィ「えと、ケーキセットのBと……」

マナフィ「……このパスタを1つ」

ニンフィア「ケーキセットのBとマトマパスタね。注文は以上でいい?」

マナフィ「はい。」

ニンフィア「オーケー。……なんだかちょっと浮かない顔だね、ジラーチちゃんのがよかった?」

マナフィ「い、いえそんな……本当はまだお喋りしてたかったですけどジラーチは仕事中ですし……」

ニンフィア「ほほーう……じゃあさ、追加料金1000円でジラーチちゃん独占券を……」

ジラーチ「そういうのやめてくださいニンフィアさん。」

ニンフィア「げ、もう戻って……ははは、なんのことかな?」

ジラーチ「はいこれ注文ですからお願いしますね。それとマナフィを騙すのはやめてください。」

ニンフィア「はは……やだなぁそんな怖い顔しなくてもいいじゃない……冗談よ、冗談……」


ジラーチ「……マナフィ、なんかごめんね。」

マナフィ「だ、大丈夫大丈夫。気にしないで。」
 ▼ 45 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:24:15 ID:c63Muk9k [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「いただきまーす!」


マナフィは結局注文したパスタを美味しそうに食べている。確かあれ結構辛かったはずなんだけど。

辛いもの食べたら体から水分が抜けたりしないんだろうか……


ジュナイパー「おやジラーチくん、手が止まっていますよ。大丈夫ですか。」

ジラーチ「あ、ああ……すみません、つい。」


いけない、今は仕事をしないと。マナフィが来ているとはいえサボっていいわけじゃない。


マナフィ「デザートお願いします!」


そして相変わらず食べるのが速い。

……本当に速い。


マナフィ「ねぇジラーチ、ちょっといい?」

ジラーチ「ん、なんだい?」

マナフィ「ジラーチって何時ぐらいに仕事終わるの?」

ジラーチ「うーん……今日は20時ぐらいかなぁ。」

マナフィ「そっか。ありがと。」

ジラーチ「?うん。」


正直これが何の役に立つのかわからない。

……ごはんでも作って待っててくれるとか?
 ▼ 46 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:25:14 ID:c63Muk9k [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィは料理を食べ終えると長居することもなく店を出ていった。

ボクとしてはもう少しいてくれてもよかったんだけど。

……でもそうか。あれじゃ足りないかもだしそれなら他のお店に食べに行くよね。


ニンフィア「……マナフィちゃん、今日は普通の量だったね。この前みたいに食べるのかと思ったんだけど。」

ジラーチ「あれはそれなりに特殊なケースなので。いつもは……まあ割と食べますけど。」

ニンフィア「ふーん。食費は大丈夫なの?」

ジラーチ「……どうでしょうね」

ニンフィア「へーえ。ねぇ、もし足りなくなったらまたメイド服を着てくれれば……」

ジュナイパー「おっとニンフィアくん、その相談は僕が引き受けることになっているんです。」

ニンフィア「えー?店長ったら意外とダイタン〜」

ジュナイパー「妻にも同じことを言われたことがありますよ、ほほほほ。」

ニンフィア「じゃ私ともっかい結婚しちゃう〜?」

ジュナイパー「うーん残念ながらそれは無理ですねぇ」

ニンフィア「振られちゃったぁ」

ジュナイパー・ニンフィア「「わっはっは!」」


……いやなんでそうなるのさ。わけわかんないんだけど。


ジラーチ「ん……?店長、これ、雨降ってきてませんか?」
 ▼ 47 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:25:47 ID:c63Muk9k [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから雨は降り続け、閉店時間になっても止むことはなかった。

店長は店に置いてある傘を使っていいと言ってくれたけれど傘をさすとあまり速くは飛べない。


ジラーチ(はぁ……雨が降るとわかってたらレインコートを持ってきたんだけどなあ。)

ジラーチ「お疲れ様でしたー」

カランカラン……


ジラーチ「さーて全速力で帰るとしますかね……」

マナフィ「あ、おつかれジラーチ!」

ジラーチ「うぉっ!?マ、マナフィ?どうしてここに……」

マナフィ「一緒に帰ろうと思って待ってたの。」

ジラーチ「……ずっとここで?」

マナフィ「ううん、ごはん食べたり図書館行ったりしてたよ。」

ジラーチ「そっか……ならいいんだけど。」

マナフィ「さ、帰ろう!あたし雨の中なら元気だから歩くのも全然へーきだよ!」

ジラーチ「ははは、キミはみずポケモンだからそういう利点があるのか。……ってことは……」

マナフィ「?」



ジラーチ「ねぇマナフィ、ボクの背中に掴まって飛んで帰るっていうのはどう?キミが大丈夫なら、だけど。」

マナフィ「おー……あそっか、あたしの部分は濡れないもんね。なるほど!やってみようよ!」
 ▼ 48 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:27:18 ID:c63Muk9k [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「しっかり掴まった?」

マナフィ「うん!」

ジラーチ「よーしいくよ……それっ!」ビュンッ


今回は前と違ってマナフィの手と触角はボクの体に回す形だ。

ここまでがっちりおさえてサイコパワーで補助すれば大体は大丈夫なはず。




……だけど少し困ったことが起きた。

触角を通してマナフィの感情が伝わってくるのだ。楽しいとか、ちょっぴり怖いとか。

言葉ではないけれど多分そんな感じ。

そしてそれがなんだかくすぐったい。

慣れるまでは正しい道を進んでいるのかしょっちゅうわからなくなったほどに。




ジラーチ「はーっ、はー……。なんとか……ついた……」

マナフィ「ご、ごめん……重かった?」

ジラーチ「そうじゃなくて……触角からなんか流れてきて……」

マナフィ「あぁっごめん!感情が昂るとあたしつい……というか楽しくて制御忘れてた!ごめんなさい!」

ジラーチ「あ、はは……楽しかったならまあ、別に、いいよ……」
 ▼ 49 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:27:57 ID:c63Muk9k [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして週末……ボクとマナフィは前言ったとおりお弁当を持って散歩をすることにした。

今度は山頂で。


ジラーチ「よし、到着だ。気をつけて降りてね。」

マナフィ「うんしょ……よいしょっと。大丈夫だったよジラーチ。」

ジラーチ「それなら早速始めようか。あっちに花畑があるからまずはそこに行こう。」

マナフィ「はーい。」


ジラーチ「……ふふ、歩くの結構早くなったね。」

マナフィ「でしょ?山の中でたくさん鍛えたんだから。」

ジラーチ「散歩…もう必要ないかもね。」

マナフィ「何言ってるのジラーチ、運動のためなんでしょ?続けるよ、あたし。」

ジラーチ「あ、そうだった。ボクの方が忘れちゃってたよ。」
 ▼ 50 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/26 01:29:06 ID:c63Muk9k [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「いただきまーす!」」


それなりに移動して疲れてきたところでお弁当の時間だ。

マナフィとボクの好きなものを詰め込んだ重箱弁当は持ち運びの関係でやや控え目な量になった。(マナフィ基準)


マナフィ「うーんおいしい!やっぱりジラーチのごはんって最高!」

ジラーチ「今回はキミも手伝ってくれたじゃないか。助かったよ。」

マナフィ「えへへ……そろそろあたしだけでも料理できるようにならないと、って思って。」

ジラーチ「楽しみにしてるよ。」

マナフィ「うん。……そういえば今日のお散歩、家から頂上までじゃなくてよかったの?」

ジラーチ「うーん……頂上ってあまり行かないし、道が結構複雑で険しいし……覚えるほどじゃないと思ってさ。帰りは歩くかい?」

マナフィ「それなら……うん、やっぱり帰りもジラーチに乗せてもらおうかな。あたしジラーチと飛ぶの好きだし!」

ジラーチ「そう?楽しんでくれてるならいいけど。」

マナフィ「……ねぇジラーチ、あたしがもっと歩くのが速くなっても一緒に飛んでくれる?」

ジラーチ「もちろんいいけど……妙に深刻だね、どうしたの?」

マナフィ「だって……だって楽しすぎるんだもん!元は海に住んでて地上でも移動が遅くて……そんなあたしでもあの青い空を飛べるなんて。」

マナフィ「それにジラーチと話すの楽しいし!2つ合わさってもう最高……って感じかな?」

ジラーチ「ははは、そこまで言う?」

マナフィ「うん!」

ジラーチ「わかったわかった、約束するよ、飛びたいときは一緒に飛ぼうじゃないか。」

マナフィ「ありがと!」

ジラーチ「ふふ……」


ボクと一緒に飛ぶだけでここまで喜んでくれる存在がそばにいる。

それって結構、幸せなことかもしれない。


約束その2:『青い空の下の約束』
その必要がなくても、そうしたいと思ったならボクはキミと飛ぶよ。
 ▼ 51 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:47:16 ID:edZcMoUc [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……チ


ジラーチ!


「ね、ねぇ……大丈夫?そろそろ起きないと……」




ジラーチ(またあの幻聴か……まだ眠いんだよなぁ)

ジラーチ(それにしてもこの幻聴、一体何が原因なんだろうな……)








マナフィ「お、起きようジラーチ!?お仕事遅れちゃうよ!?」ユッサユッサ

ジラーチ「うわぁっ!?」ガバァ


マナフィ「お、おはようジラーチ。ごめんね手荒な起こし方になって。声かけても全然起きないからどうしようかと……」

ジラーチ「い、いや……ありがとう。もうこんな時間か、朝ごはん食べないと。」
 ▼ 52 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:48:33 ID:edZcMoUc [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
食卓にはとっくに朝ごはんの準備がされていた。

いつもそうだ。ボクがマナフィより遅く起きても絶対先に食べない。


「「いただきます。」」


ジラーチ(ん?このおかず……昨日作ったっけ?)

マナフィ「あ、それさっきあたしが作ったの。この家って料理本がいっぱいあってレシピにほんと困らないよね。」

ジラーチ「……だね。」パク

ジラーチ(美味しい……)


マナフィは料理が上手だ。普通にボクの料理よりおいしいものを作る。

レシピは一応同じはずなんだけど……


マナフィ「あ、そうそう。コーヒーもいれてみたの。インスタントだけどよかったらどうぞ。」

ジラーチ「あ、ありがとう……」

マナフィ「味はあたしの好みのにしちゃったんだけど、どうかな?」

ジラーチ「……。」ズズ……


ジラーチ「……ミルクと砂糖持ってくるけどマナフィもいる?」

マナフィ「あ、あたしは大丈夫。ごめんね、合わなかった?」

ジラーチ「いや……ボクコーヒー全然飲めなくってさ。かなり甘くしないと飲めないんだよね……」

マナフィ「えっ!?ご、ごめん!あ、このおかし!おかし食べて口直しを……」

ジラーチ「はは……喫茶店で働いてるのにコーヒー飲めないとか普通思わないから仕方ないよ。」

ジラーチ「……けど、お陰で少し目は覚めた気がする。ありがとうね。」

マナフィ「そんな……これはただあたしが飲みたかっただけで……えへへ……///」
 ▼ 53 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:49:18 ID:edZcMoUc [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜喫茶店あろーや〜


ニンフィア「今日は来るのギリギリだったね。何かあった?」

ジラーチ「実は寝坊しかけまして……マナフィがいなかったら危なかったですよほんと。」

ニンフィア「なるほど。起こしてくれる誰かがいるっていうのは確かにありがたいね。」

ジラーチ「しかも朝ごはんも用意してくれるしコーヒーまで……色々助けられちゃいました。」

ニンフィア「……ジラーチちゃん、ずいぶん楽しそうな新婚生活だね。」

ジラーチ「何が新婚生活ですか。マナフィはトモダチですよ。」

ニンフィア「え〜?」

ジュナイパー「そうですよニンフィアくん。友達という関係で違和感があるのならルームメイトと考えればどうでしょうか。」

ニンフィア「うーん……まあそれなら割と自然な気がするかも……」

ジラーチ「ま、とにかくトモダチですから。そういうのじゃないんですよ。」


カランカラン……


ジラーチ「……あ、マナフィ。いらっしゃい。」

マナフィ「いらっしゃい、じゃないよもう……はい、これ。お弁当。」

ジラーチ「ん……?あれ、ボクちゃんとお弁当持ってきたはずだけど」

マナフィ「あのねジラーチ、あなたが持っていったのはあたしが図書館に返す本だよ……紛らわしい見た目で近くに置いておいたのは悪かったけど。」

ジラーチ「ちょっと待ってね……あ、少しお願いしますニンフィアさん。」

ニンフィア「はいはい。」


バタバタバタ……


ジラーチ「わー本当に本だった!ありがとうマナフィ!あとこれ本ね。」

マナフィ「はーい。お仕事頑張ってね。じゃあね!」

ジラーチ「うん。ありがとう!」






ニンフィア(うーん……やっぱり雰囲気が……なぁ……)
 ▼ 54 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:49:53 ID:edZcMoUc [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィの届けてくれたお弁当を食べて頑張った午後の仕事も終わり、帰宅する。

今日は機械のトラブルで少し帰るのが遅くなった。


ジラーチ「ただいま〜」


返事がない。


ジラーチ「……まさかまたしわしわになったりしてないよね。」


真っ先に倉庫を見に行ったがしっかり閉まっているし、もちろんマナフィの姿もない。

ならばといつも通り食卓に向かうと、本ごと机に突っ伏したマナフィと山積みの本が出迎えてくれた。


ジラーチ「おーいマナフィ、ただいま。」

マナフィ「……。」スピィ……

ジラーチ「……。」


突っ伏したことでいつもより無防備に見える背中……そして横腹。

前に触ったときなんかこう、癖になる感じだったんだよなぁ……


ジラーチ「……おーいマナフィ、起きなかったら突っつくよ。」


依然として返事はなし。


ジラーチ「……それじゃ」

ジラーチ「……。」



ジラーチ「……やめた。トモダチとはいえそういうことするもんじゃないよね。」


とりあえず夜ごはんを作ることにした。

そうすればマナフィも匂いで勝手に起きてくるだろう。
 ▼ 55 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:50:19 ID:edZcMoUc [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「んぅ……?」

ジラーチ「あ、おはようマナフィ。もうごはんできたよ。」

マナフィ「ごはん……?あ、おはよう……」

マナフィ「ってあれ、あたし寝ちゃってた!?」

ジラーチ「うん。よく眠ってた。」

マナフィ「う〜……ごはん作って待ってるつもりだったのに……」

ジラーチ「まあまあ。明日にでもやればいいじゃないか。あ、本は勝手に移動させちゃったよ。」

マナフィ「わざわざありがとう。わぁ……いい匂い。」

ジラーチ「それじゃ食べようか。」


「「いただきます!」」
 ▼ 56 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:51:23 ID:edZcMoUc [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「それにしても……結構たくさんあったけど何の本を読んでたの?どれも割と分厚いよね。」

マナフィ「うん。ちょっと歴史の勉強をしてて。」

ジラーチ「歴史!?勉強!?……なんかすごいや。」

マナフィ「あんまりすごいことじゃないよ。あたしまだあんまりわかってないし。色々読んだら少しはわかりやすくなるのかなーって。」

ジラーチ「へぇ。キミはそういう仕事がしたいのかい?」

マナフィ「うーん……一応そうなるのかな。兄様が歴史の研究をしたいけど時間がないって言ってて……」



ジラーチ「……兄様?キミお兄さんがいたのか。」

マナフィ「あ、うん……まあね。ご、ごちそうさま!」

ジラーチ「お、おお……もういいの?あんまり食べてないみたいだけど……」
 ▼ 57 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 01:52:49 ID:edZcMoUc [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィにお兄さんがいたとは驚きだ。

今までそんな話全然出てこなかったし。


……けど、その話になった途端逃げるように片付けを済ませて部屋に戻ってしまった。

もしかするとあまり話したい内容ではないのかもしれない。


ジラーチ(それはそれとして気になるけど……いつか話してくれたりするかなぁ。)












ぐきゅるるぅぅぅ〜………



ガチャ

マナフィ「あ、あの……ジラーチ、やっぱりもうちょっと食べようと思うんだけど……///」

ジラーチ「うん。その方がいい。食べ終わったらミルク飲みながらゲームもやろうね。」ニコニコ

マナフィ「うん……さっきはなんだかごめんなさい。」

ジラーチ「……ふふ」

マナフィ「な、何?」

ジラーチ「いや?いつも通りのキミでよかった、って思っただけだよ。」

マナフィ「……?」
 ▼ 58 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:45:19 ID:edZcMoUc [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ジラーチ「ただいま。……おや、今日も勉強か。頑張ってるね。」

マナフィ「お帰りジラーチ。あたしもごはん手伝う!」



その日からマナフィは毎日勉強をするようになった。

歴史の本だけじゃなく数学の問題集を引っ張り出してきて解いたりもしている。

中身を見てみたけどボクには全然わからなかった。

まあ学校には行ってないから当然なのかもしれないけど。


ジラーチ「夜ごはんにしよう。一段落ついたら手伝っておくれ。」
 ▼ 59 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:46:38 ID:edZcMoUc [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「いただきまーす!」」



マナフィ「はー……頭使って疲れた後のごはんっておいしー!」

ジラーチ「はは、お疲れ様。やっぱり美味しそうに食べるんだね。」

マナフィ「あ、そういえばジラーチもお疲れ様だね!おつかれ!」

ジラーチ「ありがとう。」


今日の料理は辛いものが多めだ。

ボクはそこまで好きじゃないけどマナフィはたまに食べたくなるらしい。


ジラーチ「すごいな……結構辛いのに食べるのは変わらず早いんだね。ボクは飲み物飲みながらじゃないと全然だ……」

マナフィ「だって美味しいんだもん。地上だと夏といえば辛いものらしいけどジラーチはあんまり食べないの?」

ジラーチ「確かにそういうのもあるけど……普段から辛いもの食べないしなあ。というかこれが実質的には初めての夏だしね。」

マナフィ「あ、そっか。」

ジラーチ「最初は結構苦労したよ。本で季節のことは調べてたけど実際に過ごしてみるのとはやっぱり違ってさ。」

ジラーチ「……そういえばさっき『地上では』って言ってたけど海ではそういう文化はないのか。」

マナフィ「そうだねぇ……あたしの住んでるところだと地上ほどは変化しないからじゃないかなあ。でも学校の方はそれなりだよ。だから夏休みもちゃんとあるの。」

ジラーチ「へぇ。その辺は同じなんだ。じゃあマナフィも今は夏休み?」

マナフィ「うん。あたしも……」


言いかけたところでマナフィの顔が一瞬固まった気がした。


マナフィ「じゃ、じゃなくて、あたしはひとり立ちしてるからあんまり関係ないかな。去年までならそうだったけど。」

マナフィ「それよりさ、今度かき氷を食べに行こうよ。ほら、このチラシの。すごく大きいんだって。」

ジラーチ「……あ、ああ……そうだね、行こう。」

マナフィ「?どうしたのジラーチ、微妙な顔して。」

ジラーチ「いや……なんでもない。大丈夫。」


ジラーチ(……気のせいか)
 ▼ 60 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:48:26 ID:edZcMoUc [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



……気のせいだろうか。

学校の話が出たときもお兄さんの話が出たときと似たような反応をしたように見えたのは。

あのときほどあからさまではないし、単にマナフィが間違って昔のことを話しただけの可能性もある。


ジラーチ(だけどなぁ……うーん、マナフィが普段あそこであんなふうに急に話題変えるかなぁ……)

ジラーチ(……正直食べ物の話なら話題変わってでもするよなぁ……)


ジュナイパー「ジラーチくん、大丈夫ですか。」

ジラーチ「え?」

ジュナイパー「さっきからお皿を逆さに重ねていますよ。」

ジラーチ「……?えっ、えぇぇぇっ!?あれ、どうしてこんなことを……ごめんなさい。」

ジュナイパー「今日1日中どこか気が抜けていましたけど何か悩みでもあるのですか?」

ジラーチ「悩み……まあ、一応。けど、しばらく様子を見ます。まだはっきりとはわかってないので。」

ジュナイパー「そうですか。とりあえず体調不良には気をつけてくださいね。些細なことでもこじらせると大変ですから。」

ジラーチ「はは……ありがとうございます、気をつけます。」



店長の言う通りなら例の問題も何か手を打っておくべきなんだろう。

何が正解かはわからないけど、放置するのもまずい気がしてきた。
 ▼ 61 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:49:16 ID:edZcMoUc [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「ただいま〜」


返事がない。多分また寝てるんだろう。


ジラーチ「……お、案の定だ。」


食卓では突っ伏したマナフィと、どうやら勉強に使う本ではなさそうな楽しげな本たちが待っていた。

どの本も青色。いくつか見てみるとどれも海を題材にしたもののようだ。


ジラーチ(これは……東の海近辺の観光ガイドブックか。かき氷のお店もその辺だったかな。)

ジラーチ(こっちは写真集……海の中のきれいな写真がたくさんだ。こっちは海の中の街の建物を……)


ボクの住む街に海は無いが、電車を使えばそれなりの時間で海を見ることはできる。

今週末はかき氷を食べに行くことにはなっていたが、それ以外の場所の観光についてはまだ全然考えていなかった。


ジラーチ(色々考えてくれてたのか……)

ジラーチ「……ありがとう、マナフィ。」
 ▼ 62 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:49:57 ID:edZcMoUc [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の夕飯はお弁当。漬物多め。

スーパーで新しいものが出ていたからとマナフィが買ってきてくれた。

……相変わらずボクにはちょっと多いような気もする。


マナフィ「うーん、酸っぱいのも美味しいよね!」

ジラーチ「そうだね。まあボクも辛いのよりは好きかな。」

マナフィ「そうなの?じゃあジラーチの好きな味ってどんな味?」

ジラーチ「どんな味……と言われても主張が強すぎるのは結局どれも微妙かなぁ。それこそマナフィが作ってくれるようなごはんの味とか好きだけどね。」

マナフィ「そ……そう?」

マナフィ「じゃ、じゃあ明日はあたしが作るねっ!もう、ジラーチったらお世辞が上手なんだから……///」

ジラーチ「お世辞……あぁあれか、思ってなくても喜ばせるために言うやつだっけ?店長もそういうのが必要になるって前言ってたけどよくわからないんだよね。」

マナフィ「もう!もう!///」バシバシ

ジラーチ「ちょ、食事中に叩かないで……机挟んで触角動かすの危ないって。」

マナフィ「ご、ごめん……」

マナフィ「えへへ……///」


昼の心配は考えすぎだったか。

いつも通りマナフィは元気みたいだ。
 ▼ 63 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:50:28 ID:edZcMoUc [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「週末のことだけどさ、かき氷のお店以外に行きたいところとかあるかい?」

マナフィ「うーん……色々あるからあまり絞り込めないかなぁ。このお蕎麦も食べたいし、このサンドイッチも食べたいし……ジラーチは?」

ジラーチ「ボクは……実際に海を見るのが初めてだから近くまで行って見てみたいかな。」

マナフィ「……そっか。じゃあ海も見に行こうね。それなら海の家で食べるのもいいかも……迷っちゃうなぁ。」

ジラーチ「ならごはんはそのときの気分で決めようか。というかキミなら2軒ぐらいは回れるんじゃない?」

マナフィ「そうかもしれないけど……ジラーチは食べられないでしょ?やっぱり一緒に食べないと。」

ジラーチ「ボクのことは気にしなくていいよ。」

マナフィ「あたしの方で問題があるんだよ。お昼ごはんをあたしだけで食べるのってつまらないんだもん。」

ジラーチ「そういうものなの?」

マナフィ「そういうものだよ!」
 ▼ 64 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 17:51:17 ID:edZcMoUc [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして次の日、準備のためにボクはできる限り早く仕事を終わらせ……

マナフィと夜ごはんを食べ、海に行く仕度をして早めに部屋に戻った。

早い時間の電車だからゲームもなし。

楽しいことはきっと明日にいっぱいあるはずだから。




……そうなんだけど、なんだか眠れない。

ボクってば初めての海が楽しみすぎるみたいだ。


こういうときはマナフィに持ってきてもらった数学の問題集を見るに限るね。

ほら……つまらなくて、眠くなってきた……
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