【SS】クリームの妖精と抹茶お化け【のんびり更新】

〜キタカミの里　とある古民家〜

ｶﾞﾔｶﾞﾔ ﾜｲﾜｲ ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ…

ヤバソチャ(今日も騒がしいな…)

ヒコザル「おーし！今日も探検だ、絶対に秘密の部屋を見つけてやるぞ！」

エイパム&タネボー「「おーーーっ！！」」

ヤバソチャ(手放されて暫く経つ古家…ここなら静かに一人で暮らせると思ったら)

ヤバソチャ(ガキどもは何が楽しくてここに来るのやら)

ヒコザル「天井裏どうだー？」

エイパム「ダメ。何にもないや」

タネボー「それにしてもここにホントにいるのかな。抹茶お化け」

ヒコザル「またお前の爺さんの説教かよ、本当にいるなら俺さまがとっ捕まえてやるぜ！」

ヤバソチャ(馬鹿、誰が捕まるか)


「おぉい、何やってんだボウズども」

コノハナ「いっぱしの学者ぶってんじゃないわよ！こないだ取材旅行だの言ってた割にホウエンの温泉町ではしゃいできただけのくせに…」ｶﾞﾐｶﾞﾐ

タネボー「えっと…抹茶お化けについて何か分かったら、よければ教えてね」

エイパム「また遊びに行ってもいいかなぁ？」

マホイップ「もちろんなのです！美味しいお菓子もあるから、皆いつでも遊びにおいで♪」

ヒコザル「やったぁ！！」


ダーテング「ええい、父親に偉そうなこと言うでないわ！結婚しとるくせに乳首放り出して！」

コノハナ「放り出しとらんわ、こらぁ！！」ｹﾞｼｨ！

ダーテング「ぐぁぁぁぁーーーぅ！！」

タネボー「も、もうやめなよお母さん」

〜マホの家　縁側〜

マホイップ「………」ｼﾞｰｰｰｯ

ヤバソチャ(あのガキの家から戻ってきたかと思えば…何やら本を読み耽ってるな)

マホイップ「う〜ん…ふむふむ…」

ヤバソチャ(『失われたキタカミの茶道を求めて』…はん、どうせ勝手なことばかり書いてるんだろ)

マホイップ「ふん……ふん……」ｶｸ…ｶｸ…

マホイップ「………すぅ…zzz」

マホイップ「………はっ！いけないいけない、お日様が気持ちよくてつい…」

マホイップ「それにしても、抹茶お化けさんにも長〜い歴史があるのですねぇ」

ヤバソチャ(今更知る意味もないことさ)

マホイップ「本当にこのお家にいるなら…」


マホイップ「お皿を直してくれたお礼をしたいなぁ」


ヤバソチャ(………)

ヤバソチャ(ひとりでに皿が直ってたら、普通は気味悪がるだろうに)

ヤバソチャ(変なヤツ………)

〜〜〜〜〜〜〜〜

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

マホイップ「今日はお買い物ついでにお散歩しましょー」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

ヤバソチャ(ん、出かけんのか)

マホイップ「ちょっと肌寒いですねぇ」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

ヤバソチャ(………)

ﾌﾖﾌﾖ…

ヤバソチャ「たまには…外に出てみるか。うん。暇だし」


マホイップ「こんにちは、クモのお姉さん！」ﾍﾟｺﾘ

アリアドス「あらぁ、ご機嫌ようマホちゃん。キタカミには慣れたかい？」

マホイップ「えへへ、過ごしやすくてすっかり気に入っちゃいました」

ヤバソチャ(もう知り合いまでいるんだな…)

アリアドス「そうだねぇ、そろそろ秋も深まってきたけど…」


「おぉぉぉぉぉぉーーーーーい！！」

地味に待ってたぞ

マホイップ「？」

ｸﾞｷﾞｯ！

「あっ！？うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛ

ヤバソチャ(おわ！な、なんだ？)

マホイップ「あわわ、大変。マホの手に掴まって」

ピッピA「いたたた…あ、ありがと」

アリアドス「大丈夫かいあんた？あんだけ走ってたら転びもするさ」

ピッピA「いゃあ面目ない。…それで本題！キタカミに新しく来たそこのあなた！」

マホイップ「………」ｷｮﾛｷｮﾛ

マホイップ「マホですか？」

ヤバソチャ(他にいないだろ)

ピッピA「今日はあなたをあたし達の仲間に加えるために来たの！」


ピッピA「"キタカミ月見踊り保全協会"にね！」

マホイップ「キタカミ月見踊り…」ｺﾞｿｺﾞｿ

マホイップ「………あ、あった！お爺さんのくれた本に書いてあるのです」ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ

ピッピA「そう！キタカミ月見踊りとは鬼が山の舞台で行われる伝統芸能！」

ピッピA「年の収穫に感謝し、来年の恵みをお月様に祈願する神事！」

ピッピA「それを守り伝え盛り上げていく使命を帯びているのが…あたし達キタカミ月見踊り保全協会なのだ！」ｼﾞｬｰﾝ！

マホイップ「ほぁ〜〜〜、すごそうなのです！」ｷﾗｷﾗｷﾗｷﾗ

アリアドス「そうは言っても、シーズン以外は茶しばいて駄弁ってる同好会みたいなもんだけどね」

ピッピA「む〜っ。まぁとにかく、一度見学だけでも来てほしいな！どう、ちょっと覗くだけでも」

マホイップ「それならご一緒させてもらうのです！」ﾜｸﾜｸ


ヤバソチャ(山登りか…面倒だな)ﾌﾖﾌﾖ

支援

〜鬼が山　月見踊り保全協会のアジト〜

ピッピA「みんなちゅーもーく！期待の新入候補さんを連れてきたよー！」

ﾜｰｰｰｯ！　ｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛ

ピッピB「ひゃあ、あんた本当に連れてきやがったなぁ！」

マホイップ「今日はお呼ばれしてもらってとても嬉しいのです♪」ﾍﾟｺﾘ

ピッピC「へぇ〜〜〜、オシャレな感じだな〜〜〜」

「ふわふわしてる〜」
「ケーキみたい！」
「うちに入んなよ！」

ヤバソチャ(ピッピばかりだ。ピッピ以外の奴が入るかもしれないのが余程嬉しいらしい)

マホイップ「はじめまして！とても素敵な隠れ家なのです」

ピクシー「ほんっ、とに来てくれてありがとねぇ。越したばかりで忙しいでしょうに」

ピクシー「さっきの子から聞いてると思うんだけどね、うちは月見踊りを守るための同志が集まってて」

ピクシー「といっても堅苦しいことなんて全然ないからね！みんなで楽しく、まったりと。これ大事」


ピッピB「おし！じゃあおもてなしっつーことで…モチいくか！」

マホイップ「おモチ！！」ﾊﾟｧｧｧ

マホイップ「マホはおモチがきっかけでキタカミに来たんですよ〜」

ピッピA「そうなんだ。キタカミのお米を味わうにも色々あるけど、モチはいいよね！」

ピクシー「月見でも大事なお供物だからねぇ」

ピッピB「そして餅米を搗いて捏ねるのは…こいつらだぁ！」

ピッピB「月とモチといやぁ、杵と臼だろ！」

マホイップ「おお〜〜〜〜〜！！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ


ピクシー「と言いたいところだけど特別な催しとかではないのでロトムベーカリー使いまーす」

マホイップ「がくっ」
ヤバソチャ(がくっ)

ピッピC「私たち非力な妖精だから仕方ないですね〜〜〜」


マホイップ「よーし、お米と、スパイスと水を入れて…」

ピィ「ボタンピィ押す！押すー」

マホイップ「どうぞなのです。ピーッ♪」

ピィ「ピーッ♪」ﾎﾟﾁｯﾄﾅ

ピッピA「マホちゃんはロトムベーカリー持ってるの？」

マホイップ「マホが使ってるのはこれなのです！」(スマホ画面)

ピッピA「あ、これテレビで見たことある。色んな機能ついた最新型なんだよね」

ピッピC「うちのは半分くらい中古ですしね〜、そろそろ新調したいな〜」ﾁﾗｯ

ピクシー「残念ながらそんな予算はありませーん。大体使いこなせないでしょ」

マホイップ「ここに越していくなら、ってお友達のみんながプレゼントしてくれて…」

ピッピB「マホの友達か。よかったらキタカミに遊びに来るよう行ってくれよ！」

マホイップ「そうなったらマホも嬉しいのです♪」


ﾋﾟｰｰｰｯ！　ﾌﾜﾌﾜ…ﾌﾜﾌﾜ…

ヤバソチャ(ん、この匂いは)

ピクシー「さぁさ皆できたよ！お皿お皿、そっちの紙皿取って」

マホイップ「すぅ〜〜〜…とってもいい匂い〜♪」


「「「「「「いただきま〜〜〜〜〜す！！」」」」」[

マホイップ「あむ…はむはむ…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ピッピA「どう？美味しい？」

マホイップ「………んむ〜〜〜！噛むたびにお米の甘さが口に溢れてくるのです！」

マホイップ「搗きたてはやっぱり違うのです！…はむ…むぐむぐ…」

ピクシー「よかったわぁ、そんなに喜んでくれるとこっちまで嬉しくなっちゃう」

ピッピB「餡子もきな粉もあるからな！」

ピッピC「はーい、小さく切ってあげたからゆっくり食べようね〜」

ピィ「あーーーん………」


ﾜｲﾜｲ ｳﾌﾌ ｱﾊﾊ

ヤバソチャ「………」

ｷｭﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…

ヤバソチャ(ま、まずい。聞こえないように帰って…)

ヤバソチャ「………ん？」ﾋﾟｸｯ

ヤバソチャ「あの小屋…少し覗いてみるか」ﾌﾖﾌﾖ

ピッピB「ん゛ーーーっ！伸びるーーーっ！」ﾋﾞﾖｰｰｰﾝ

ピィ「きゃっきゃ、きゃっ」

マホイップ「はふぅ…お腹いっぱいなのです…」ﾎﾟﾝﾎﾟｺ

ピッピA「マホちゃんたくさん食べるんだねー！見てて気持ちよかったよ」

ピッピC「これならお茶もご用意すればよかったですね〜」

マホイップ「…あ、そうなのです。お茶といえば…」


ヤバソチャ「この小屋、外から見てもだいぶ古い物だと思ってたが」

ヤバソチャ「こいつはすごい…！年代物の食器に茶器、骨董品がこんなに保管されてるなんてな」

ヤバソチャ「久々に心が躍ってきやがる…！しばらく散策でもしてるかな」


ピッピA「抹茶お化けの話かぁ。小さい頃からよく聞かされてたっけ」

ピッピB「本当にいるんならお目にかかりたいもんだな」

ピクシー「そうねぇ。あ、そういえばあの小屋」

マホイップ「あれ、ですか？」

ピクシー「あの中、結構古いお皿やら陶器やらが保存されてるんだけどね」

ピクシー「抹茶お化けはさぞ喜ぶだろうな〜、って」

マホイップ「ほぁ〜〜〜…なんだか博物館みたい」

ピッピC「よく話してるんです〜、あの中の品で特別な活動ができないかな〜って」

ピッピA「保全協会とは言いつつも、やってることの殆どはおやつ食べるのと地元の催しのお手伝いだもんね。伝統を守る、的な活動をさ。もっとやりたい」

マホイップ「なるほど………」

ピッピB「もし興味あるんだったらさ、ちょっと見てきたらどうだい？」

ピクシー「なんなら、一つ好きな物を持って帰ってもいいよ」

マホイップ「えっ！そんなことまでいいのですか？」

ピクシー「招待に応じてくれたんだもの。掘り出し物見つかるといいわねぇ」

マホイップ「嬉しい！ありがとうございますっ」ﾍﾟｺﾘ


ヤバソチャ「はぁ………郷愁を誘われる匂いだ」

ヤバソチャ「こんないい場所があるなんて知らなかった。これからはあの屋敷を出てここに…」

ヤバソチャ「………！むっ、これは…」

ｺﾞﾄｯ………

マホイップ「わぁ…！昔の箱に、お皿に…いっぱいあるのです」

マホイップ「なんだか宝探しみたいだなぁ。あっちに行ってみよう」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ


ヤバソチャ「やっぱりだ！この茶入れ…まさかこの時代に現存してるなんてな」

ヤバソチャ「わざわざ山登って来た甲斐があったってもんだ！」

ヤバソチャ「懐かしいなぁ………本当に…」


ヤバソチャ「………ん？」


マホイップ「………」

ヤバソチャ「………」

マホイップ「………………」

ヤバソチャ「………………」


ヤバソチャ(………み…)

ヤバソチャ(見つかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！)

マホイップ「！！」ｵｫ…

ヤバソチャ（まずい！まずいまずいまずい！はしゃぎすぎて警戒が疎かに）ｱﾜｱﾜ

ヤバソチャ（どうする、どうする？こいつはフェアリーだったか、くさ技もゴースト技も通じる…）ｵﾛｵﾛ

ヤバソチャ（駄目だ！ここで戦闘なんかしたらピッピどもに見つか）

ピッピA「マホちゃーん」ｺﾞﾄｯ

ヤバソチャ「！？」

ピッピA「なんかいいの見つかったぁ？」ﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺ

ヤバソチャ「あわわわわ………」


ｸｲｯ　ｸｲｯ


ヤバソチャ「………？？」

マホイップ「………（手招き）」

ヤバソチャ（カバンの中？入れって？）

ヤバソチャ（ええい、ままよ！）ｶﾞﾊﾞｯ！

ピッピA「あ、マホちゃん！どう？」ﾋｮｺ

マホイップ「えっと、マホはこれが気に入りました！」

ピッピA「おおー、渋くてイイね！そうそう、せっかくだしおモチテイクアウトする？」

マホイップ「ありがとうなのです！お家でも作れるようになりたいなぁ」

ピッピA「じゃあ特別に教えたげるよ、保全協会秘伝のレシピ…」

ヤバソチャ（カバンの中）「………」


マホイップ「ただいまぁ」ｶﾗｶﾗｶﾗ

マホイップ「………」ｷｮﾛｷｮﾛ

マホイップ「…もうだいじょうぶ！」


ヤバソチャ「………」ﾇｯ

マホイップ「♪♪」ﾆｺﾆｺ

ヤバソチャ「はぁ。もう隠し立てするのは無理か」


ヤバソチャ「そうだよ、お前らの言う抹茶お化けさ」

マホイップ「やっぱりホントにいたんだ〜♪」ﾜｸﾜｸ

マホイップ「マホことマホイップなのです。これからもよろしくなのです」ﾍﾟｺﾘ

ヤバソチャ「これから…いや、別にこれからなんて」

マホイップ「だけど同居していくんだから、末永く仲良くしないと」

ヤバソチャ「ここに住み続けるなんて言ってない。あの骨董小屋に隠れて…」

マホイップ「ここにいればマホが隠してあげますよ？」

ヤバソチャ「………」


マホイップ「それから、はい！」ｽｯ

ヤバソチャ「ん？…さっきの茶入れ、どうして」

マホイップ「抹茶お化けさん、すごく欲しそうだったから」

マホイップ「お皿を直してくれたお礼なのです！どうもありがとう」

ヤバソチャ「あれは、こっちが勝手にやっただけで」

マホイップ「それでもとっても嬉しかったのです！」ﾆｺﾆｺ

ヤバソチャ「………」

ヤバソチャ「…ありがたく、もらっとく」

〜〜〜〜〜〜〜〜

ﾁｭﾝﾁｭﾝ…ﾁｭﾝﾁｭﾝ…
ﾋﾟﾋﾟﾛﾋﾟﾋﾟﾛﾋﾟｨ~~~~~↑↑↑

ヤバソチャ(………朝だ)

ヤバソチャ(薄暗い蔵、ほんの少し朝日の差し込む、一人で気楽な朝だ)

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

ヤバソチャ「………はい」


マホイップ「抹茶お化けさん、おはようございまーす♪」

ヤバソチャ(昨日までは…)

ヤバソチャ「それで、朝から何の用だ」

マホイップ「朝ごはんのおモチができるから、モチロン呼びにきたのです。モチだけに」

ヤバソチャ「別にいらな…」

マホイップ「まぁまぁ少しだけでも。いきましょ〜」ﾃｸﾃｸ

ヤバソチャ「わ、分かった、分かったよ」

ﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯ………

マホイップ「う〜〜〜ん、とってもいい匂い！」ﾜｸﾜｸ

ヤバソチャ「なんだかおかしな機械が…あれでモチ搗いてるのか？」

ﾋﾟｰｰｰｰｰｯ！！

ヤバソチャ「！？」

ロトムベーカリー「ｵﾓﾁｶﾞﾃﾞｷﾀﾛﾄｰ！ｵﾓﾁｶﾞﾃﾞｷﾀﾛﾄｰ！」

ﾊﾟｶｯ ﾎﾜｧ~~~ｯ…♪

マホイップ「やったぁ！うまくできたのです♪」

ヤバソチャ「まぁ、見た目はよくできてるみたいだが」

マホイップ「よいしょ、と…あちちっ」


マホイップ「はい、あーん♡」

ヤバソチャ「………は？」

マホイップ「熱いので気をつけてね。あーん♡」

ヤバソチャ「じ、自分で食うよ！」

ヤバソチャ「あむ、はむ…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ヤバソチャ「むぐもぐむぐむぐ……」

マホイップ「どうかな？美味しいですか？」

ヤバソチャ「うん………」

ヤバソチャ「まぁ、ウマイと思うぞ」

ヤバソチャ(最近の機械はここまでやれんのか…)

マホイップ「えへへ、よかったぁ。はむ、はむはむ…」

マホイップ「モチモチで美味しいのです！スパイスの混ぜ方も工夫したから…」

ヤバソチャ「んぐんぐ…も一個だけ…」ｱﾑｱﾑ

マホイップ「………」ｼﾞｰｰｰｯ…


マホイップ「ねぇねぇ、お爺さんにもらった本に書いてあったけど」

マホイップ「抹茶お化けさんはご飯のマナーを守らないと怒りに来るってほんとですか？」

ヤバソチャ「んん？」

マホイップ「遊びに来た子供たちも、そんな風に教わったって」

ヤバソチャ「ああ…なんかそういう叱り文句があるらしいな」

マホイップ「本当は違うの？」

ヤバソチャ「そりゃそうだ。一々そんな回ってたら面倒でしょうがない。ガキの躾のために名前使われてるだけだよ」

マホイップ「そうなんですね〜」ﾏﾑﾏﾑ

ヤバソチャ「まぁ、"生前"だったら分からんけどな」

マホイップ「えっ？…あ、確かお爺さんが…」

ヤバソチャ「ああ、手前は作法に厳しすぎて孤独になった茶人の怨みが生んだポケモン。といってもいつもは自覚なんて無いが」

ヤバソチャ「だから所詮、一人ぼっちがお似合いってことさ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


マホイップ「そっかぁ。マホは抹茶お化けさんと一緒にご飯食べるの、楽しいんだけどな」

ヤバソチャ「楽しいだって？」

マホイップ「うん！えっと…ワビサビ？があって、趣深い…のです！」

ヤバソチャ「変わってんな………」

マホイップかわいい
BBSのオアシス

ヤバソチャ「ごちそうさん。けふっ…(ちょいと食べすぎた)」

マホイップ「元気な食べっぷりでした〜♪」

マホイップ「洗い物をして、しばらくのんびりしたらお出かけなのです」

ヤバソチャ「あぁ。気をつけろよ」

マホイップ「お出かけの時はこのバッグに入ってね」

ヤバソチャ「……は？」

マホイップ「こないだ入ってもらったのよりも広くて過ごしやすいから…」

ヤバソチャ「そうでなくて！なんで一緒に行くことになってるんだ」

マホイップ「一緒に行けばきっと楽しいのです」

マホイップ「それに、マホと一緒にいたほうがバレないと思うなぁ」

ヤバソチャ「う………」

ヤバソチャ「…分かったよ」

マホイップ「やったぁ！」

マホイップ「〜♪〜〜♪♪」ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ

ヤバソチャinカバン(それにしても一体どこに行こうとしてんだ？)


〜水田〜

ウパー「うぱ、うぱ♪」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

マホイップ「田んぼの中で楽しそうに泳いでるのです」

ニョロゾ「ウパー達を田んぼに放すとねぇ、土が掻き回されて雑草が生えづらくなったり、稲が肥料分を吸収しやすくもなるんですわ」

マホイップ「じゃあこの子達、お米のためにしっかり働いてるんだ〜！」

ヤバソチャ(田なんぞ見てて楽しいのかね…)

ニョロゾ「もしかして、こないだのネット記事見てくださったんですか。ちょっと取材受けたらガラルの方に知られるだなんてビックリですわ」

マホイップ「おモチが美味しくてキタカミを検索してたら、お米でパンを作ってるって聞いて、すごいなぁと思ったのです！」

ヤバソチャ(パン？)

マホイップ「どうしておコメでパンを作り始めたのですか？」

ニョロゾ「いやぁ、うちのカミさんがね、パンやら焼き菓子を焼くのが趣味なんだけれども、麦が高くてよう作れんとボヤいとりまして」

ニョロゾ「米を原料にできんものか、と思い立ったわけです。なんか新しいことしなきゃならんかなぁと、ちょうど思っとんたんで」

ニョロゾ「それから品種やら育て方やら調べ始めて…他の農家さんや農協の方にも世話なりましたわ」


ウパー「う？…ん〜〜〜…」ｼﾞｰｰｰｯ

ヤバソチャ(…なんだよ、見えてないはずだぞ。何こっち見てんだ)

ウパー「ぱっ！うー！」ﾂﾝﾂﾝ

ヤバソチャ(やめろ！つつくなぁ！)


ニョロゾ「小麦アレルギーのお客さん向けにもだし…近頃はグルテンフリー言うんですか。そういう方面で買う人もいますねぇ」

マホイップ「へぇ〜〜〜…！」

マホイップ「おコメには炊いたりおモチにしたりだけじゃなくて、色んな味わい方があるのです…」

ニョロゾ「あー、そうですそうです。こちとら生業として結構頑張っとりますからね」

ニョロゾ「それをお客さんに伝える形は、たくさんあっていいと思うんですわ」

ヤバソチャ(………)

「お〜〜〜い！」

ニョロゾ「あ、カミさんです」

マホイップ「マホです！こんにちは！」ﾍﾟｺﾘ

ニョロトノ「あらまぁ、ご足労いただいて！田舎のありふれた田んぼですけど、楽しんでもらえたならよかった」

マホイップ「えへへ。…あ、もしかしてそのパンは」

ニョロトノ「そうなんです〜！うちで育てた米で作ったパン。よければどうぞ」

マホイップ「やったぁ！いただきます！」ﾊﾑﾊﾑ…ﾊﾑﾊﾑ

ニョロゾ「ははは、喜んでもらえたようで」ﾆｺﾆｺ

マホイップ「うふふ♪ふわふわ…お口に優しい味わいなのです」

ニョロトノ「いずれマホさんみたいなお菓子とかも作ってみたいわぁ〜」


マホイップ「ただいま〜」

ヤバソチャ「ふぅ…」ｶﾞﾊﾞｯ

マホイップ「ロトムベーカリーで作れるおコメパンのレシピ♪早速作ってみようっと」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ

ヤバソチャ「またはしゃぎやがって…」

ヤバソチャ「………」


ヤバソチャ「伝える形はたくさんあってもいい、か…」


「たのもーーーーー！！」

ヤバソチャ(！！まずい、隠れろ！)ﾋｭﾊﾞｯ

マホイップ「はぁ〜い！どなた？」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ


カリキリ「おはつにお目にかかる！拙者はキタカミ一のサムライなり！」

カリキリ「………未来の！」

ヤバソチャ(はぁ？)

マホイップ「わぁ〜、すごい！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

カリキリ「えへん///今日も日課の走りこみと素振り200回をこなしていたら、たまたま新参者の屋敷を見かけたのだ」

マホイップ「それなら今、おコメのパンを焼いてるところなのです。一緒に食べよ」

カリキリ「おっ！かたじけなし！…はふぅ〜、疲れた…」ﾍﾀｯ

ヤバソチャ(変なのを家に上げやがって…)

マホイップ「先にお茶を淹れるから待っててね〜」ｽﾀｽﾀ

ヤバソチャ(………ん)

ロトムベーカリー「ﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯ」

ポット「ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ」

マホイップ「どのお茶っ葉にしようかな〜…パンに合うのは…」

ヤバソチャ「………おい」

マホイップ「わっ！抹茶お化けさんどうし」

ヤバソチャ「こら！大きな声出すな、バレるだろ」ﾋｿﾋｿ

ヤバソチャ「それよりお前、来客に茶を出すつもりか。あそこで沸かしてる湯を使うのか

マホイップ「うん、そうだけど…」


ヤバソチャ「どうやらアイツは身体を動かしたばかりでここに来たみたいだぞ。喉だって乾いてるだろう」

ヤバソチャ「熱い茶は飲みづらいんじゃないのか」

マホイップ「！た、たしかに」

ヤバソチャ「熱い茶を出すのはパンが焼けてからでもいい。まずは…」

ｶﾗﾝ…ｶﾗﾝ…

マホイップ「ケーキが焼けるまでお茶をどうぞ〜」

カリキリ「あ！こおりが入ってる…かたじけない！」

ｺｸｯ ｺｸｯ ｺｸｯ ｺｸｯ ｺｸｯ ｺｸｯ

カリキリ「………ぷはぁ〜〜〜！かわいたノドには最高でござる！」

マホイップ「うふふ、お疲れ様なのです。いつもこういう修行をしてるのかな？」ﾆｺﾆｺ

カリキリ「そうだよ！立派なサムライになるのが拙者の夢なんだ。他にも色々やってるよ！」

マホイップ「聞かせて聞かせて？またお茶を汲んでくるのです」ﾃｸﾃｸ


マホイップ「はい、どうぞ！今度はちょっとぬるめのお茶」ｺﾄ

カリキリ「う〜ん、冷たい時とはまた違う香り…な気がする」ｽﾝｽﾝ

カリキリ「そうそう、それでね！鬼が山に登って体力を鍛えたりもしてるんだ」

マホイップ「おお〜。鬼が山といえば、キタカミ月見踊りは知ってる？」

カリキリ「保全協会のこと？知ってるよ！前に登った時は会長さんが」


ヤバソチャ(よしよし…)

ｳﾌﾌﾌ ｷｬｯｷｬｯ

ﾄﾞｯ…ﾄﾞｯ…ﾄﾞｯ…ﾄﾞｯ…

マホイップ「え〜、ホントに！？ビックリなのです」

カリキリ「まことまこと！…いやーしかし、新参の方がこんなに話せる方だとは思わなかったでござる」

カリキリ「茶もたいそう美味うござったぞー！」

マホイップ「うふふ、実はこのお茶の淹れ方は………」


ヤバソチャ(じーーーっ………)


マホイップ「………ガラルのお友達に教えてもらってて…」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ


ヒコザル「こんにちはーーー！遊びに来たぞー！！」

エイパム「くんくんくん…なんだかいい匂いする〜」

マホイップ「みんなこんにちは〜♪今日はお客さんいっぱいで賑やかなのです」

タネボー「お姉さんお邪魔します。これは何の匂い…」

ヒコザル「ゲッ！？なんでここにエセサムライ女がいる！」

カリキリ「なにぃ〜！？このクソザル、成敗してくれるわーーー！」


ﾊﾟﾝｶﾞﾔｷｱｶﾞｯﾀﾛﾄｰｰｰｰｰ！！


マホイップ「ちょうどパンが焼き上がったのです！みんなで食べましょー」

エイパム「すごい！焼きたてでフカフカだぁ」

ヒコザル「へへっ、そういやそろそろオヤツの時間だったよな」

マホイップ「お米で作ったパンですよ〜♪食べて食べて」

みんな「「「「いただきまーーーーーす！！」」」」」

タネボー「あちちっ…はむ、はふふ、優しい甘さがする…」

カリキリ「噛めば噛むほどウマみがあふれる〜〜〜…おみごと！」

ヒコザル「うますぎる！もっと、もっとくれ！」

マホイップ「ふふ、焦らなくてもまだまだたくさんありますよ〜」

〜〜〜〜〜〜〜〜

マホイップ「今日はホントにありがとうございましたぁ！」ﾍﾟｺﾘ

マホイップ「抹茶お化けさんのおかげでとっても喜んでもらえたのです」

ヤバソチャ「大したことを教えたわけじゃない。あれぐらい遅かれ早かれ皆気がつくさ」

ヤバソチャ「それに、実際茶を出してもてなしたのはお前さんだ。手前みたいな無愛想な奴がやっても意味はないだろうさ」

ヤバソチャ「お前さんは呑気なぐらい人当たりがよくて笑顔も見せるし。だからこそガキどもも気分良くなったんだろうさ」

マホイップ「えへへ〜、照れちゃうのです///」

ヤバソチャ「褒めたつもりはないぞ」

ヤバソチャ(…こっちも照れ臭いせいかね。口数が増えちまうのは)

マホイップ「これからも抹茶お化けさんからは色々と教えてもらいたいな〜」

マホイップ「おもてなしの達人さんですもん！」

ヤバソチャ「バカ。恥ずかしいこと言うんじゃないよ」

マホイップ「むふふ。そろそろお布団敷いてくるのです」ﾎﾟﾃﾎﾟﾃ


ヤバソチャ「やれやれ…調子のいいこと言いやがって」

〜翌日　保全協会のアジト〜

ヤバソチャ(案の定連れてこられてカバンの中だ…)

ｻﾞﾜｻﾞﾜ… ｶﾞﾔｶﾞﾔ…

ドテッコツ「おし！整列！」

ヤバソチャ(それにしても今日は何の集まりだ？)

マホイップ「今日はアジトを新しくするって本当ですか？」

ピッピA「そう、大分ガタが来てたから風も雪も怖いしねー」

ドテッコツ「指差し確認！二人でチェック！忘れんじゃねぇぞ！」

ドッコラーA「よっしゃ！」
ドッコラーB「このボロ小屋生まれ変わらせてやんよー！」


ピィ「ボロ小屋だってー」ｷｬｯｷｬｯ

ピッピB「いや自分らのこと言われてるんだぜ…」

ドッコラー達「「「えっほ！えっほ！えっほ！えっほ！」」」
ドッコラー達「「「上げるぞーーー！！」」」

ピッピC「それで、今日はマホちゃんが持ち込んでくれた…」

ピッピA「そう！パンを焼いて差し入れしてあげよ」

ピッピB「米でパン作るのなんて初めてだなぁ」

マホイップ「今日使うのはこちら、ニョロゾさんのお家で作ってるお米でーす♪」

ピクシー「ニョロゾさんとこねー、本当に色んなことやってて偉いわぁ。最近通販とかもやってるんですって」

ピッピC「あのお家の奥様と会長はお友達なんでしたよね〜」

ピッピA「今日はロトムベーカリーもお休み(メンテナンス中)だからね、せっかくだから」

マホイップ「手作業で頑張って焼いていきましょ〜♪」

ピィ「おーーー！」

ピッピB「作業のドッコラーどもはえらく食うからな、気合い入れてくぞ！」

ピッピ達「「「「「は〜〜〜〜〜い！！」」」」」


ヤバソチャ(ピッピ達が米粉やら計量器やらを持って動き回っている…)

「水こっち計っといたよー！」
「ヘラどこ？こっちヘラ回して〜」
「一回目焼きまーーーす」

マホイップ「こねすぎると硬くなっちゃうから、5分くらいサッとこねてくださーい」

ピィ「こね、こね、こね、こね、こね、こね………」

マホイップ「ピィちゃん上手♡才能あるのです〜」

ピィ「よく言われるの///」

ピッピA「マホちゃん、ひと息つきに行こ！」


ﾄﾝﾃﾝ！ ｶﾝｶﾝ！ｷｨﾂｹﾛﾖーーー！！

マホイップ「工事の皆さんも頑張ってくださってますね〜」

ピッピA「キタカミの建物の殆どはあの人らが建てて直してくれてるからね」

ドッコラーA「ふーーーっ………お？」

ドッコラーA「姐さんだ！姐さん来てくれたぞ！」
ドッコラーB「うおぉ、マジか！親方！」

ドテッコツ「作業中に無駄口叩いてんじゃねぇ。これ運んでろ」

ドッコラーB「親方ぁ…」

ルカリオ「なに、構わないよ。仕事の邪魔をするつもりはないからね」


マホイップ「あ！マホが初めて来た時にお見送りをしてくれた…」

ピッピA「そう、若い女性ながら道場を経営してるルカリオさん」

ピッピA「キタカミでは一番格闘技が強い人じゃないかな。外の大会とかで何回も優勝してて、テレビや新聞の取材も多いの」

マホイップ「キレイなだけじゃなくて強い方なんですね〜」

ピッピA「そうなの！綺麗で颯爽としたベッピンさんでしょ？男どもはみんな鼻の下伸ばしてるんだよねー」

ピッピA「だけどあの人は………あ」

ピクシー「ルカリオちゃん！よく来てくれたわね♪」

ルカリオ「ご機嫌よう、会長さん。今日は随分賑わっているようだけど…」

マホイップ「お姉さん、初日ぶりなのです！」ﾍﾟｺﾘ

ルカリオ「やぁ、新入りさん。すっかりここに馴染んだみたいだし、新人さん呼ばわりはもうできないかな？」

マホイップ「お姉さんもマホ達と一緒にパン焼いていきませんか？」

ピッピA「お米のパン焼いて、工事のみんなに振る舞おうとしてるの！」

ルカリオ「参加させてもらっていいのかい？是非ともそうしたいな」

ピクシー「大歓迎だわ！みんなー、ルカリオさんがいらっしゃったわよー！」

「キャー！ルカリオさーん！」
「早速焼け始めたの、食べてみて食べてみて！」

ルカリオ「ふふっ、ありがとう。本当にいい匂いがする…」

ｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝ！！

ピッピB「おーーーい！ドッコラーどもーーー！ご馳走の時間だぞ！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

「なんだなんだ？ウマそうな匂いだな」
「もう腹がペッコペコだぜ」
「早く食わしてくれー！」

ピッピC「は〜〜〜い、並んで並んで〜。い〜っぱいありますよ〜♪」

ピィ「はいどうぞ。どうぞぉ」

ドッコラーA「あんがとさん！いただきまーす」ﾊﾑｯ

ドッコラーB「…お、旨い！これ旨いぞ！噛めば噛むほど甘味が染みてくる」ｱﾑｱﾑ

ドッコラーA「焼きたてでふわふわだなぁ♪飾り気のない優しい味…」ﾑｼｬﾑｼｬ

ドッコラーB「なーに気取ったこと言ってんだよ、へへっ。お代わり！」

「オイラもお代わり！」
「コメでこんな美味しいパンが焼けるなんてなぁ」
「おーい、そっちのもくれっ」

マホイップ「皆さんに喜んでもらえて嬉しいのです♪(はい、あーん)」

ヤバソチャ(あ、あーん…)ﾑｼｬﾑｼｬ

ピッピA「…あ、マホちゃんマホちゃん。見て見て」

次の土曜日更新します
お待たせして申し訳ありません

支援

ﾜｲﾜｲ ｷｬｲｷｬｲ ｳﾏｰｰｰ

ルカリオ「お疲れ様。今日も頑張ってるね」ｽﾄﾝ

ドテッコツ「おう。これが俺らの仕事だからな」

ドテッコツ「お前こそたまの休みだろ、こんなむさ苦しい所にいていいのか？」

ルカリオ「私だって好きでここに来てるんだ。だって…」

ドテッコツ「パンの匂いにつられたのか」

ルカリオ「あっ、まるで食い意地張ってるみたいに！実は君の食べてるパン」

ドテッコツ「お前が捏ねた分なんだろ、分かってるって」

ルカリオ「分かってくれたんだ。昔からおにぎりも作っているから………」


マホイップ「マホをお家に送ってくれた時もそうだったけど、あのお二人はとっても仲良しなんですね〜」

ピッピA「あの二人ね、リオルとドッコラーだった頃からの幼馴染なんだよ。それでさ」ﾋｿﾋｿ

ピッピA「どうもお互いのことが…好きみたいなんだよ〜〜〜♪♪♪」ｷｬｯｷｬｯ

マホイップ「えっ！好きなの？好き好きなの！？きゃーーー♡」

ピッピA「保全協会としても、是非とも二人の距離を縮めるためにお手伝いできないかなーーーって」←ドテッコツにルカリオが捏ねた分を回した

マホイップ「それならマホもお手伝いしたいのです♪」

ヤバソチャ(まーた余計なことを………やれやれ)