【SS】サトシ（15）「もう一回リーグに挑戦する」

カントー地方　

マサラタウン


ｶﾞｻｶﾞｻｯ

サトシ「ピカチュウー、そっち片付いたか？」

ピカチュウ「ピカ！」

サトシ「サンキュー。よし、一通りやり終えたな」

ピカチュウ「ピカァ…」ｸﾞｯﾀﾘ

サトシ「疲れたか？俺も疲れたぜ…」


サトシ（10歳になってカントーを旅して、オレンジ諸島では認定トレーナーに　　　　なって、それからバトルフロンティアも制覇。アローラでは初のリーグ　　　　優勝。そしてWCSで色んな強いトレーナーとバトルして……

　　　　…俺もついに15歳になったのか）

タクト「最後のバトルだ。悔いのないようにやろう」

シンジ「…？ 誰が最後って決めたんですか」

タクト「…！ そうだったな、失礼」



シンジ「エレキブル、れいとうパンチ！」

エレキブル「レッキブゥゥ！」ﾊﾞｯ


ﾌﾞﾝｯ


ラティオス「クォォォ…！」ｶﾁｺﾁｯ



実況『さぁエレキブルの初手はれいとうパンチ！ ラティオスに大ダメージだ！』



タクト「ラスターパージ！」

ラティオス「クォォォン！」ﾋﾞﾋﾞﾋﾞﾋﾞｯ


シンジ「まもる！」

エレキブル「キブルゥ！」ﾊﾞﾊﾞｯ


ｽﾞﾄﾞｫｫｫﾝｯ


タクト「…また厄介なワザを持っているな」

ジュン「今度はまもるを覚えさせているぞ！」

ヒカリ「さっきのサトシのバトルではなかったわよね！？」



シロナ『今回はシンジ君の中でダークライやラティオスと戦うことは想定できていた。だからこそ、じしんからまもるにワザをシフトさせたんじゃないかしら』

実況『なるほど、相手によってワザ構成も変えていくということですね』




シンジ「れいとうパンチ！」

エレキブル「レッキブゥ！」ﾌﾞﾝｯ


タクト「ギガインパクト！」

ラティオス「クォォォン！」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｯ


エレキブル「…！」


ﾄﾞｫｫｫﾝｯ


エレキブル「エレキブゥゥ…！」ﾄﾞｻｯ ﾄﾞｻｯ


シンジ「なに！？」


タクト「れいとうパンチとギガインパクトではワザの威力が違う」

シンジ「かわらわり！」

エレキブル「レキブゥ！」ﾊﾞｯ


タクト「飛べ！」

ラティオス「クォォ！」ﾊﾞｯ



実況『おおっと、ラティオス高く飛んで攻撃をかわした！』



シンジ「…」


タクト「これはかわせるかな？ りゅうせいぐん！」

ラティオス「クォォォン！」ﾎﾞｫｫﾝｯ


ﾄﾞｫｫｫﾝｯ

ﾋｭｳｳｳﾝｯ


シンジ「くっ…まもる！」

エレキブル「キブルゥ！」ﾊﾞﾊﾞｯ


ｽﾞﾄﾞｫｫｫﾝ ｽﾞﾄﾞｫｫｫﾝ


エレキブル「…」ﾋﾟﾘﾋﾟﾘｯ

ジュン「あれだけの数のりゅうせいぐんが落ちてきたら流石に全部は守りきれないか」

サトシ「それよりもラティオスの位置だ。あんなに上空にいちゃ攻撃ができない」

ヒカリ「うーん…空飛べるポケモンがいたら良かったんだけど」


コハル「それよりさっきからでんきタイプのワザを使わないのはなぜ？」

ジュン「お、いいところに気づいたな！」


サトシ「たぶん、使いたくないんだ」

ヒカリ「エレキブルのでんきワザ……そっか、ワイルドボルト！」

ジュン「ああ、反動ワザだ。こっちが倒れたら負けという状況で相手はラティオス含めまだ5体残ってる。少しも体力を削るわけにはいかないんだ」


コハル「でも、そんなこと言ってたら大きいダメージ与えられないんじゃ」


サトシ（俺もそれは気がかりだ。あいつ、たぶんチャンスを窺ってるな）




シンジ「…」

タクト「このまま連発を続ければいつかは耐えきれなくなるだろう。りゅうせいぐん！」

ラティオス「クォォォン！」ﾎﾞｫｫﾝｯ


ﾄﾞｫｫｫﾝｯ

ﾋｭｳｳｳﾝｯ




シロナ『同じワザをずっと出させてしまうと何もできないわよ。シンジ君、ここをどう切り抜ける？』




シンジ「かわらわり！」

エレキブル「レキブゥゥ！」ﾊﾞｯ




シロナ「…！？」
ジュン「…！？」
サトシ「…！？」
ヒカリ「…！？」
コハル「…！？」



エレキブル「レキブゥゥ！」ﾌﾞﾝｯ


ｽﾞﾄﾞﾝｯ ｽﾞﾄﾞﾝｯ



実況『なんと！ エレキブル、次々と降ってくるりゅうせいぐんにかわらわりで対抗していく！』

シロナ『いや、これは…！』




ピカチュウ「ピカピ！」

サトシ「ああ、これは…！ りゅうせいぐん封じ！」

エレキブル「キブルゥ！」ﾌﾞﾝｯ


ｽﾞﾄﾞｯ ｽﾞﾄﾞｯ


コハル「ねぇ、だんだんエレキブルが！」

ヒカリ「ラティオスとの距離を詰めていく！」




シロナ『降ってくるりゅうせいぐんにかわらわりをぶつけて、自分はどんどん上にあがっていく。いわばりゅうせいぐんを段差代わりにして、ラティオスとの距離を詰めに行ってるわね』

実況『すごい使い方だ！ これはいったい誰から教わったんでしょうか！？』

シロナ（ふふ、おそらくは…）





サトシ「はは、もしフカマルをバトルに出してたら利用されたかもな」

ピカチュウ「ピカピカ…」

タクト「これは…！」


ﾊﾞｯ


エレキブル「…！」

ラティオス「クォ！？」


シンジ「やっとここまで届いた」


タクト「まさか…！」


シンジ「この一撃のために溜めていた！ ワイルドボルト！」


エレキブル「レッキブルゥゥ！！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘｯ

ラティオス「…！」


ﾄﾞｶｧｧｧﾝｯ



実況『ついに間合いを詰めたエレキブル、ここでワイルドボルトを発動！！ これは大ダメージかぁ！？』

シロナ『反動ダメージがあるから、確実に当てれるタイミングを窺っていたわね！』




サトシ「これは…いけたか…！？」

シンジ「……っ！」


エレキブル「レキ…ブ…？」


ラティオス「クォォン…！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙｯ


シンジ「なん…だと…？」


タクト「惜しかったな」ﾆﾔｯ



実況『な、なんとこの至近距離でワイルドボルトを受けたにも関わらず、ラティオス耐えている！』

シロナ『一つだけ抜けてたわね』




シンジ「…！ リフレクター！」


タクト「正解だ」


シンジ「あの瞬間に張っていたのか…！」ｷﾞﾘｯ

シンジはカロスでのサトシのジム戦までデータ入れてたのか

シロナ『リフレクターでワザの威力をできるだけ抑えて、なんとか攻撃を耐え凌いだといったところかしら』



エレキブル「キブルゥ…」ﾋｭｳｳｳﾝｯ



タクト「認めよう、君は強かった。ギガインパクト！」

ラティオス「クォォォン！」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｯ



シンジ「まだだ！ ワイルドボルト！」

エレキブル「レッキブルゥゥ！！！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘｯ



ｽﾞﾄﾞｫｫｫﾝｯ



シンジ「…」

タクト「…」



ジュン「うぉ、すっげぇ威力…！」

ヒカリ「どうなったの…？」

サトシ「シンジ…」



ﾋｭｳｳｳﾝｯ

ﾄﾞｻｯ


エレキブル「……」



審判「エレキブル、戦闘不能。ラティオスの勝ち。よって勝者、タクト選手！」

なんなんだこの人…
絶対マス8出てたらNo.1だろ…

実況『ここで決まったぁ！ エレキブルも打ち下し、このバトル、タクト選手の勝利が決まりました！

よって、シンオウリーグ・ヨスガ大会の優勝者はタクト選手です！！！』


「「ｳｫｫｫｫｫ！！」」



ラティオス「クォ…」ｾﾞｪｾﾞｪ

タクト「かなり追い詰められてたな。よくやった」




シンジ「…」ｻﾞｯ


エレキブル「レ…キブル…」

シンジ「いいバトルだった」ｼｭｳｳﾝ


ｻﾞｯ


タクト「シンジ君。サトシ君の時と同じように、いいバトルだった」

シンジ「あいつが倒したのはダークライとラティオスの2体。俺はダークライのみ。まだまだです」

タクト「また君とはバトルをしてみたいな」


シンジ「でも俺はもう、リーグには」

タクト「ああ、私もだ」


シンジ「…！？」


タクト「まだ世間には公表されていないが、実はバトルフロンティアのフロンティアブレーンに推薦されてね。来月から引き受けることになったんだ」


シンジ「フロンティアブレーン…」


タクト「君はジムリーダーだろう？ お互い挑戦者を待つ立場にはなるが、いつか君のジムに挑戦しに行こう」



シンジ「それなら俺は…いつかバトルフロンティアに挑戦します。そこで今度こそ、あなたに勝つ」


タクト「ああ、楽しみにしている。君はいいジムリーダーになれるよ」

タクトもうお前世界チャンプ目指せよ

ジュン「いやー、いい粘りだったけどなぁ」

ヒカリ「やっぱり強いわね」

コハル「改めて、世界にはこんなに強いトレーナーがたくさんいるのね」


サトシ「シンジ…」


ヒカリ「ライバルなのに、悔しい？」

サトシ「ああ、なんだか自分のことのようにな」

ピカチュウ「ピカピ…」


ーーーーーー


実況『それでは、優勝トロフィーの授与をお願いします』


シロナ「おめでとう」ｽｯ

タクト「ありがとうございます」


シロナ「フロンティアブレーン、頑張ってね」

タクト「精一杯やらせていただきます」


実況『これをもちまして、シンオウリーグ・ヨスガ大会を閉会します！

強くなれ、ポケモントレーナーたち！！』


「「ｳｫｫｫｫｫ！！」」

ーーーーーー


ジュン「じゃあ、俺は次出る大会の調整に行くよ」

サトシ「ああ、頑張れよ！」

ヒカリ「元気でね！」


ジュン「お前は次はイッシュかカロスか？ 世間の期待に応えられるよう、頑張れよ！世界チャンピオン！」

サトシ「もちろんだ！」

ジュン「ほんじゃあな！」ﾋﾞｭﾝｯ

コハル「帰りもせっかちな人」



ヒカリ「あら、あれってシンジじゃない？」

サトシ「え、ほんとだ！」

ヒカリ「少し話してきたら？」

サトシ「シンジー！」


シンジ「…！」


サトシ「あと少し、残念だったな」

シンジ「まだまだだ。もっと調整が必要だな」


サトシ「でもお前はもう…」

シンジ「ああ、だがいつか必ず挑戦しに行く」

サトシ「…？ どういうことだ？」


ｻﾞｯ


タクト「2人揃ってどうしたんだい？」


サトシ「タクトさん！？」

シンジ「…！」


ヒカリ「あ！ ダークライ使いの人！」


タクト「やぁ、初めまして」

アンタがフロンティアブレーンはやめてやれ…
ネジキより発狂されるぞ…

コハル「あ、えと、優勝おめでとうございます」

タクト「ありがとう」


シンジ「あの話は、もう言っても？」

タクト「ああ、もう発表される話だ」


サトシ「さっきの発言といい、どういうことだよ？」

シンジ「タクトさんは、来月からフロンティアブレーンになるらしい」


サトシ「ブレーンって……バトルフロンティアのですか！？」

タクト「その通りだ」


サトシ「すっげぇ！ いつか絶対挑戦しに行きます！」


タクト「参ったな。世界チャンピオンが挑戦者か」


サトシ「俺はまだタクトさんには勝ってないので」

シンジ「俺もだ。いつか必ず挑戦する」

シロナ「あらあら……あなたたちはまだまだ挑戦者ってわけね」


ヒカリ「シロナさん！」

コハル（き、きれい…！）


サトシ「俺がシンジより先にタクトさんに勝って、タクトさんに初勝利のトレーナーになってやるぜ！」


タクト「…？ 私は無敗ではないぞ」


サトシ「え？」


タクト「このリーグに挑戦する少し前に、一度敗北している」


シンジ「それは、ダークライがですか？」


タクト「いいや、フルバトルだ」


ヒカリ「…！ タクトさんみたいなトレーナーが！？」


サトシ「そのトレーナーって、いったい……」


タクト「おそらく全員知っている」

その世界チャンピオンに勝った奴に余裕で勝ったじゃん…
全世界の方がよっぽど参るよ

ーーーーーー

ジュン「いやー、サトシといいシンジといいタクトさんといい、良いバトルたくさん見させてもらったぜ〜。この調子で俺も頑張らねぇとな！」



「なぁ、あんたバトルしてくれよ！」

「おい！ 俺が先にお願いしたんだよ！」


ジュン「ん？ なんだってんだ？」


「俺が先だ！頼むよ」

「俺が先だ！」


ジュン「おいおい、どうしたんだよ…って、あんたは…！」


「こいつが先にバトルするって聞かねぇんだ」


ジュン「…悪ぃな。俺もバトルしたいと思っちまった」ｺﾞｸﾘｯ


「はぁ！？ お前まで順番争い入ったら終わらねぇぞ！」


？？？「いや、1人ずつじゃなくていい。なんだったら、今来たあなたも含めて3人で一気に相手でも問題ない」


ジュン「…！ おいおい、それはさすがに舐めすぎじゃないか？ 俺これでもシンオウリーグ出たことあるんだぜ？」


？？？「油断しているわけではない。だが、俺もそれなりにいかせてもらう」


ジュン「後悔させてやるぜ！」ﾎﾞﾝｯ

エンペルト「エンペ！」


「じ、じゃあ俺も！」ﾎﾞﾝｯ

「それなら俺だって！」ﾎﾞﾝｯ


？？？「…」ｽｯ

ーーーーーー

タクト「リーグ大会の優勝経験があり、マスターズエイトにも名を連ねたトレーナーだ」


サトシ「そ、それってまさか…」

シンジ「名は聞いたことがある。かなりの実力者だと」


シロナ「以前見た時は、まだまだ伸び代があるトレーナーだとは思っていたけど…」


タクト「マスターズトーナメントの時とはもはやレベルが違う。私も彼に一度敗北した」


ーーーーーー


エンペルト「…」ﾄﾞｻｯ


ジュン「う、嘘だろ…」


「3人相手だぞ…？」

「なのにたった数分で…」ｶﾞｸｯ



？？？「…」

タクト「そのトレーナーの名は、アラン。


いま最も、最強に近いトレーナーだ」










アラン「よくやった、リザードン」

なん…だと…

アランクッソ強くなってんな

またハリさん死にかけてマノンの笑顔取り戻す戦いバフかかったんじゃ

10匹くらいハリさん死んで10人くらいマノンが泣いてるんだろうな

ーーーーーー

リーグ終了後



コトブキシティのホテル



サトシ「…」




ーーーーーー


サトシ（アラン…！）

タクト（彼に負けてから色んなトレーナーとバトルをしてきたが、正直彼に迫れそうなトレーナーはいなかった）


シンジ（それは……俺やこいつでもですか）


タクト（……はっきり言おう。今の君たちで勝てる相手ではなくなっている）


サトシ&シンジ（…！）


ヒカリ（そ、そんな…）

シロナ（チャンピオンたちと匹敵するレベルにまで強くなってきているみたいね。私でもどうなるかわからない）


サトシ（関係ないです）


シロナ（…！）


サトシ（俺たちが更に強くなって、アランを超えればいいんだ！

もっともっと修行して、絶対アランにもタクトさんにも勝ってみせる！）


ヒカリ（サトシ…）


シンジ（まずは、一地方のリーグに優勝できるようにするんだな）

サトシ（わかってるさ…）


シンジ（調整なら、いつでも引き受けよう）


サトシ（シンジ…！）

シロナ（シンジ君はジムリーダー、タクト君はフロンティアブレーン。

役職は違えど、未来のトレーナーを育てる立場。頑張ってね）


サトシ（いつか、2人の施設に挑戦しにいきます！）


タクト（ああ、いつでも待っている）


シンジ（…）


タクト（それじゃあ、私はこれで）


シロナ（私もそろそろ戻るわ）


サトシ（はい、ありがとうございました）

コハル（サトシはどうするの？）


サトシ（俺は…どこかホテル取って明日帰るかな）


ヒカリ（このタイミングだとヨスガはもう空き部屋ないんじゃないかな）

サトシ（げげ、ほんとか？）

コハル（もっと早くから取っておきなよ〜）


シンジ（コトブキなら広いから、まだどこか空いてるだろう）


サトシ（なるほど、あとですぐ調べよう）


シンジ（じゃあな、俺はもう行く）


サトシ（ああ、ジムリーダー頑張れよ！ 俺もいつか挑戦しにいく！）


シンジ（いつでも）ｽｯ


サトシ（…）


ーーーーーー


サトシ（アラン、あれからそんなに強くなってたのか。ダンデさんに負けたのがめちゃくちゃ悔しかったんだろうな）


ピカチュウ「ピカ…」zzz


サトシ（俺もあの時は、諦めない気持ちがあればなんでもできると思っていた。ダンデさんに勝てた時、本当に最強になれたんだと思った。

でも、そんな簡単に長く続くものじゃない。

シルバー、シンジ、アラン、タクトさん、まだまだ俺の先を行ってるトレーナーがたくさんいる。


……俺はこのままでその人たちに勝てるのか？


いいや、勝つんだ！ 変なこと考えちゃダメだ！


必ず強くなる、ポケモンマスターになるために…！）

ーーーーーー

次の日

ハクタイ空港


サトシ「それじゃあ、俺たちはマサラタウンに帰るよ」


ピカチュウ「ピカチュウ」

ポッチャマ「ポチャ！」


ヒカリ「うん！ 次のイッシュリーグも頑張ってね！」

サトシ「ああ！」


コハル「私はヒカリともうちょっとシンオウを観光するね」


サトシ「そうか、楽しんでな」


コハル「リーグ頑張ってね」

サトシ「ありがとう」


ヒカリ「…」ｼﾞｰ

サトシ「…？」

ヒカリ「何か不安？」

サトシ「え？ いや、そういうんじゃ」


ヒカリ「ﾌﾌ…」ｽｯ

ﾊﾞｼﾝｯ

サトシ「いってぇ！ なんだよ！」


ヒカリ「だーいじょーぶ！！」ﾆｯ


サトシ「…！ はは、そうだよな。だいじょーぶだいじょーぶ！」ｽｯ


ﾊﾟﾁﾝｯ


ヒカリ「気をつけてね！」

サトシ「そっちも！」

コハル「それじゃあ」


ﾀﾞｯ ﾀﾞｯ ﾀﾞｯ


コハル「…」


ヒカリ「どうしたの？」


コハル「仲良いなって」


ヒカリ「そりゃあ……大切な、仲間だもん！」



サトシ「…」ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ



ヒカリ（頑張ってねサトシ。あなたなら、だいじょーぶ！）



シンオウリーグ編　完

アランなにがあったんだよ…

今日はここまで。
物語はここで折り返しでござんす。

というわけで次回から2スレ目に入っていきやす。

皆こんな長ったらしいSSいつも見てくれてほんまにありがとうやで。

乙
まあ残り50もないならそろそろ次スレか

【SS】サトシ（15）「もう一回リーグに挑戦する」 part2

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2160281

↑次スレです。


まだ完全に埋まったわけじゃないけど、ちょうどキリいいし次の章はシンオウリーグ編よりも長いんで次回から次スレに更新していきますねん

乙

シンジには3体は倒して欲しかった