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【SS】孤独な博士とタブンネの心

 ▼ 1 ワパレス@オニゴーリナイト 16/01/09 18:55:46 ID:zUIFWbq. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




──…ある所に、独りの発明家がいた。


その発明家は天才的すぎるゆえに、近所の人に酷く気味悪がられていた。


これは、そんな独りの発明家と一台、いや、一匹の織り成す『心』の物語…───





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 2 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/09 18:56:57 ID:zUIFWbq. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


カチャカチャ…


キーコ…キーコ…


カチカチカチカチ…



「…よし、できた!」


とある建物の地下一階。

薄暗いその部屋で発明家は呟いた。


「動いてくれよ…?スイッチ、オン!」カチッ
 ▼ 3 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/09 18:58:45 ID:zUIFWbq. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言って、『できたもの』のスイッチを入れる発明家。

すると、その『できたもの』はゆっくりと目を開けた。


『…!』

「…おお…!動いた!」


発明家は興奮しつつも、『できたもの』に声をかけた。


「…私がわかるか?」

『…わかりまス』

「…よしよし、喋れるな。」


発明家が話しかけると、『できたもの』も反応し、返事をした。


「よし、じゃあお前の名前を聞かせてくれ」

『ワタシ…ワタシのナマエは…』

「…!」ゴクリ


『…タブンネ』
 ▼ 4 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/09 19:00:59 ID:zUIFWbq. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「そう、お前は介護用ロボット、『タブンネ』だ!」ナデナデ


発明家は、やはり興奮した様子で『タブンネ』の頭を撫でた。

なすがままに撫でられるタブンネは青い瞳をパチクリさせている。


「あぁ、そうだ!私の事を呼んでくれ!」


発明家はキラキラと目を輝かせて自分を指さした。


『…ハカセ』

「…!!」


タブンネが一言呟くと、発明家…もとい博士は、嬉しそうにタブンネを抱きしめた。


「よ〜しよしよし。偉いぞ!タブンネ…」ギュッ
 ▼ 5 スキッパ@みどりのかけら 16/01/09 19:02:33 ID:NbPLQTBI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
感動した(ToT)
 ▼ 6 サナン@ほしのすな 16/01/10 05:59:35 ID:Tx45FyIc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
期待しちょるよ
 ▼ 7 CSn9vcIqE6 16/01/10 06:08:41 ID:lrmixxEI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 8 ブソル@かいのカセキ 16/01/10 11:25:11 ID:PeOgTiWQ NGネーム登録 NGID登録 報告
スレタイです貴方だとわかった
支援
 ▼ 9 タチ@やけどなおし 16/01/10 11:35:53 ID:fdbUSjS6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このタブンネはロボットなのか?

支援
 ▼ 10 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/10 22:41:05 ID:SZ2YLKp2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「あぁ、この柔らかい肌に純粋な目。まさしく優しさの塊!…苦労してお前を作った甲斐があったというものだ」

『ハカセ、タイチョウはどうですカ?』

「ん…タイチョウ?ああ、体調の事か。イントネーションがイマイチで聞き取りにくいな…まあ一緒に生活していれば直るだろう」

『ハカセ、タイチョウはどうですカ?』

「ん、大丈夫だ。だが、試しにスキャンしてみてくれ」

『スキャンしまス』


次の瞬間、タブンネの青い瞳が明るく光り、青い光線が博士を包んだ。


『スキャン完了しましタ。特にイジョウありませン』

「よしよし。お前も異常なしだな」


博士は満面の笑みを見せると、タブンネに言った。


「よし、じゃあ記念に昼飯にしよう!」
 ▼ 11 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/10 22:41:49 ID:SZ2YLKp2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

『ヒルメシ…?昼食のことですカ?』

「うん?ああ。そうだ」

『ヒルメシ…インプットしておきまス』

「うんうん、AI(人工知能)もバッチリだな!良かった良かった」

『…』

「ん?どうした、タブンネ。嬉しくないのか?」

『…?ウレシクナイ?』

「…!」


タブンネは無表情のまま博士に聞き返した。

その一言で違和感を感じた博士は恐る恐るタブンネに問いた。


「タブンネ、お前もしかして…"心"がないのか?」

『…ココロ?』

「…例えば…」コチョコチョ


博士はタブンネの身体をくすぐった。
 ▼ 12 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/10 22:42:49 ID:SZ2YLKp2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

『…』

「…どうだ?くすぐったいと思わないか?やめてほしいとは思わないか?」

『…くすぐったいでス。しかし、やめてほしいという"欲望"はありませン』

「…今、私の事をどう思ってる」

『ハカセはハカセでス。ワタシを作ったヒトだと存じ上げているだけで他には何も思っていませン』

「…」


博士は手のひらを額にあてて呟いた。


「何故だ…。感情、心のプログラムはちゃんとプログラミングしたはずだ…!」

『ハカセ、困った事がありましたらワタシにお申し付けくださイ』


タブンネの無情な優しさに博士はいたたまれなくなりつつも、タブンネの頭を撫でた。


「…大丈夫だぞ、タブンネ。お前は私が立派な介護用ロボットにしてやるからな…」

『…』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 13 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 14:42:58 ID:ARI3U/Sg [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




私には心がなかった。

心というものを知識だけでしか知らなかった。


私に与えられたのは、タブンネという名前と、介護という使命だけ。

でも、博士はただの介護用ロボットの私にまるで全力を尽くしているようだった。



「…このプログラムだと他の回路の邪魔になるから…うぅむ…」



悩む博士を見ても、何も感じなかった。

私がすべき事は介護の使命だけ。

この時は、ただそれだけしか考えていなかった。
 ▼ 14 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 14:44:18 ID:ARI3U/Sg [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


『ハカセ、困った事がありましたらワタシにお申し付けくださイ』


まるで心配しているようなこの発言も、プログラムに準じて言っているだけで、自分の意思はほとんど含まれていない。

それを知ってか知らずか博士はあの日から私の相手をしなくなっていった。


「…クソッ!もう一度プログラミングからやり直すか…」

『…心拍数が上がっていまス。落ち着いてくださイ』

「…っ!黙れ!!」

『ハイ、スリープモードに切り替えまス』


「…すまない。つい感情的になりすぎた…」


博士がなぜ怒ったのか。なぜ哀しげな表情をしているのか。

私には理解出来なかった。
 ▼ 15 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 14:46:22 ID:ARI3U/Sg [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

やがて、日を重ねるごとに博士は疲労を蓄積して衰弱していった。


『博士、体力が低下しています。休んでください』

「…ダメだ。もう少しなんだ…」

『ですが、このまま続ければ命に関わります』

「…お前のイントネーションも直って、会話がしやすくなったな。」ニコッ


こんなにも頑張って私の為に尽くしているのに、感謝の心がないためか、何も思わなかった。




そして、とうとう博士は寝たきりになった。


「すまない。タブンネ…」

『ゆっくり休んでください。博士』
 ▼ 16 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 15:31:59 ID:ARI3U/Sg [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



博士の治療は難しかった。

中年の男性であるからなのか、自然回復が見込めなかった。


「…ハァ、ハァ、ハァ」

『博士、お薬です。飲んでください』


博士がどれだけ苦しがっても、私は淡々と薬と食事の準備だけを行った。

心がない私にとって、博士の苦しむ姿に痛々しさを感じなかったのは幸いだったかもしれない。


私は博士の治療と介護を続けた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 17 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 18:30:51 ID:ARI3U/Sg [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数日後。

タブンネは食べ物と薬の買出しを終えて帰り道を歩いていた。


『(…すごく周囲の注目を浴びてしまいました。やはり機械が売買をするのは異端な事なのですね。)』テクテク

『(…まぁ、どれだけ見られても何も感じはしないのですけれど)』


「ピィ!ピィ!」

『(…ん?この子は…?)』


タブンネが音のする方向を見ると、そこには一羽の雛がいた。


『…?』キョロキョロ


巣から落ちたのだろうと思ったタブンネは、辺りを見回したが鳥の巣は見当たらなかった。


『…どうしましょう』

「ピィピィ!」

『(…このままだと死んでしまいます)』
 ▼ 18 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 18:31:48 ID:ARI3U/Sg [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


『(…罪のないこの子が…死んでしまうというのは…)』


タブンネが考えを巡らせた、まさにその時だった。


『…かわい…そう…?』


タブンネがゆっくりとその言葉を呟くと、時が止まった様な衝撃がタブンネを襲った。



『(今、私…可哀想って…!)』



「ピィピィ!」

「…!」ハッ


タブンネが雛の鳴き声で我にかえると、シィーンと時が止まったような空間はまたザワザワと元に戻った。
 ▼ 19 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/11 18:33:09 ID:ARI3U/Sg [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「ピィピィ!」

『…大丈夫ですよ。私は介護ロボットですから。連れて帰ってあげます』

「ピィピィ!」

『それに、あなたと一緒にいれば何か掴めるかもしれませんし…』


タブンネは雛をヒョイと持ち上げて、頭に乗せると、また買い物袋を持って歩き始めた。


『(…博士に教えなくちゃ)』


「ピィピィ!」

『はいはい。大丈夫ですよ〜』テクテク


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 20 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/12 07:28:55 ID:f5aSMVmw [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜博士の家〜


ガチャッ


『…ただいま帰りました』

「ピィピィ!」


タブンネは台所に食べ物を置くと、博士の元まで歩み寄った。


「おかえり…タブンネ…ゲホッゲホッ!!」

『無理してはいけません。博士』

「大丈夫だ…それより…」


博士は苦しみながらもタブンネの頭の雛を指さした。


『ああ、この子ですか?これには少しわけがあって…』
 ▼ 21 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/12 07:30:57 ID:f5aSMVmw [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


『私、この子が道で倒れているとき、"可哀想"だと思ったんです』

「!」

『身体中が痺れるような感覚に襲われました。まるで時間が止まったような感覚にも…!』

「…そうか」

『?』


タブンネは博士の薄いリアクションに肩透かしをくらったような気になった。


「やはり私は間違っていなかった様だ…」

『そうですね!』

「少しずつでいい。感情を…心を…」パタン

『博士!』

「…」スゥ…スゥ…


博士は全てを言い終わる前に、微笑みながら深い眠りについた。
 ▼ 22 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/12 07:31:49 ID:f5aSMVmw [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


『(…あまり体調がよろしくありませんね)』


博士をスキャンしながらもタブンネは感じていた。


『(それにしても、なんでしょうか…このモヤモヤした感じは…)』


『…不安?』



そう。タブンネはひしひしと不安を感じていたのだ。



『私は今…不安…』

『博士がいなくなるかもしれないという…恐怖…』


表情の乏しかったタブンネの顔には、嫌悪の表情が現れていた。
 ▼ 23 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/12 07:33:45 ID:f5aSMVmw [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


しかし、すぐにタブンネは横に首をブンブンと振って言った。


『…薬と…食事を用意しておかなくては…!』

「ピィピィ!」

『…あなたもご飯にしましょうね』

「ピィ!」



博士への不安と共に自分の心に気づき始めたタブンネ。

嬉しさの余り、雛を見つめるその顔はまるで優しい女神のような表情をしている。

そして、ゆっくりと台所に足を進めた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 24 ブンネ@みどりのかけら 16/01/12 07:47:36 ID:CjvRHLdo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 25 古鳥◆godg9/SZ96 16/01/12 07:49:28 ID:9R7fKEsE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>24
凄い(小並感)
 ▼ 26 ッチール@やみのいし 16/01/12 09:40:50 ID:4oDhA0UE NGネーム登録 NGID登録 報告
ピィ「おのれ…」
 ▼ 27 ガサメハダー@カードキー 16/01/12 09:49:36 ID:aY2wtEog NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もしかして元ネタが歌だったりするかな。
 ▼ 28 ツバゲンガー 16/01/12 22:11:12 ID:NLBgRnnk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>27
私も思いました
 ▼ 29 テラ@メガバングル 16/01/13 12:45:01 ID:0FVsho7U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>27
>>28
気になるんだが何の歌?
 ▼ 30 メノデス@タイマーボール 16/01/13 12:47:31 ID:7d.kfuSI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>29
>>27だけれどボカロだよ。
ココロ(ロボ視点)とココロ・キセキ(科学者視点)。
 ▼ 31 ッギョ@いかずちプレート 16/01/13 17:52:37 ID:Wn81WTZo NGネーム登録 NGID登録 報告
元ネタボカロかよ…知りたくなかった
 ▼ 32 ンバーン@どくどくだま 16/01/13 18:42:17 ID:cVoKrJ1c NGネーム登録 NGID登録 報告
>>31
けっこういい歌なんだけどなー
 ▼ 33 ラードン@サイコソーダ 16/01/13 18:43:20 ID:SshaQyhU NGネーム登録 NGID登録 報告
>>31
これこれあんまそういうことは言わない方がええぞ。
荒れる原因にもなりかねないからね。
 ▼ 34 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/13 20:16:32 ID:LeWI9eaE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
元ネタはありません。
何も無いところから書いてます。
 ▼ 35 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/13 20:17:31 ID:LeWI9eaE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



雛を拾ったその日から、タブンネの心はどんどん成長していった。


喜び。

怒り。

哀しみ。

楽しみ。


博士の介護生活をしているうちに、どんどん表情豊かになり、沢山の事に思いふけるようになった。


その姿は、もはや本当のポケモンの様で、ロボットだとは思えないほどに心の成長を遂げた。
 ▼ 36 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/13 20:18:50 ID:LeWI9eaE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

そんなある日のこと。博士が言った。


「タブンネ。…病院で働きなさい」

『えっ』


働く。

それは誰かのために行動し、社会に貢献するということ。

病院で働くというのは、まさに介護用ロボットのあるべき姿である。

しかしタブンネは首を横に振って呟いた。


『私は博士の介護をさせていただきます』

「私の事はいい。それより、沢山の人の役に立ってくれ。それが私にとっても嬉しいのだ」

『でも…博士…』

「…まさかお前が自分の力で心を持つとは思わなかったよ、タブンネ」
 ▼ 37 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/01/13 20:19:43 ID:LeWI9eaE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


『これも全部博士のおかげです』

「なぁに。私は天才だぞ?このくらい…ゲホッゲホッ」

『博士!…無理なさらないで…!』サスサス

「…本当に…ゲホッ…心豊かに…なったなぁ…ゴホッ」


「…少し…私の話に付き合ってくれるか?」


『…はい』



・・・
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