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【SS】「名探偵ダイゴ 人工島の聖域〈サンクチュアリ〉」

 ▼ 1 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/01 19:47:32 ID:2ppkjgGo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
人間は角度によって見え方が全く異なるものになる。


例えばボク……ツワブキ・ダイゴという人間を一つとっても、ある者はホウエンポケモンリーグのチャンピオン。


またある者は大企業デボンコーポレーションの御曹司。両方の姿を知らない者にとってはただのさすらいの石集め。


確かにどれもボクを構成する一要素だ。だが今回の話はその中のどれでもない。


……珍しくもボクのことを探偵だと思って訪ねて来たある女性が事の発端だったんだ。
 ▼ 294 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:18:27 ID:OdhQMUvw [1/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ライヤー「後は大体貴様の推理した通りの内容だ。……年単位で隠し通していたことがこうも一瞬で瓦解するとはな。」


ダイゴ「今回はたまたま噛み合っただけだよ。最後ここに入るのは賭けだったし、ハルト君と偶然あって捜査が随分と進んだからね。


ハルト「えへへ……。」


彼は確かにトラブルメイカーの傾向があるが、洞察力と記憶力に秀でている。


何より好奇心からの執着に並外れたものがある。探偵以外にも様々な分野に向いているんじゃないかな。



ダイゴ「それにいくつかまだわからないこともある。そもそもこの長い通路は元々何だったのかということだ。」


ダイゴ「まさかフーパのリングの経由地点のためだけに突貫で作られたものじゃないだろう?」


ライヤー「…………。」


ライヤーは急に黙りこんでしまった。


何ならさっき聖域の場所を隠し通そうとした時より、固く口を閉ざしている……。
 ▼ 295 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:19:08 ID:OdhQMUvw [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「どうした?ライヤー。」


クチナシ「早く言いな。どうせ黙っていてもエスパーのねえちゃんいるからバレるんだからよ。」


ナツメ「そんな気軽に覗かないわよ……。」



ライヤー「……あの通路の裏側って書斎があるんだよ。」


ライヤー「何かの創作ものでみた特定の本を手に取ると隠し通路に繋がるドアが開くってギミックに大層憧れてな。」


ライヤー「作らせたはいいものの……冷静に考えるとこれ何に使うんだ?って持て余していた所だったんだ。」


一同「…………。」


ライヤー「ええい!何故カミングアウトの流れが出来つつあるんだ!今の聞く必要あるか!?」
 ▼ 296 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:19:52 ID:OdhQMUvw [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「すまない……気になっていたからね。ところでこれは本当に引っかかっていたことなんだが……。」


ダイゴ「みんなどうして帰りはフーパのリングを利用せずに屋敷裏を通って帰っていったんだい?」


ダイゴ「これだけはどうしても自分の中で説明がつかなかったんだ。」



リラ「いえ……普通にリングを利用して帰ることもありますよ?ただフーパはちょっと気まぐれで……。」


カミツレ「迎えは絶対にしてくれるのよ。今までも来なかったことはないわ。きっと私たちと遊ぶためにね。」


カヒリ「ただひとしきり遊んで満足すると……勝手にいなくなることがあるのです。」


プリム「……ちょうど今みたいにね。」



……そういえばさっきまでライヤーと追いかけっこをしていたはずのフーパの姿が見えない。


もしかして……一人で帰ったのか?
 ▼ 297 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:20:25 ID:OdhQMUvw [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ハンサム「つまり……我々は自力で帰りというわけか?」


ナツメ「出口のワープポイントはそこよ。」


ナツメ「……私とリラしかいなくてワープポイントも置いてなかった頃にフーパにいなくなられた時よりましでしょ?」


リラ「あれは絶望的でしたね……。小一時間ここに拘束されて……。」


クチナシ「やれやれ……最後まで骨が折れるねえ……。」



カミツレ「でもこの帰り道で一緒に話しながら帰るから私たちって仲良くなったわよね?」


カヒリ「ここで一緒にいるだけだとそれぞれ自分の世界に入っていて周りが気にならないですからね。」


プリム「……そんな楽しい時間も今日で終わりです。」
 ▼ 298 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:20:57 ID:OdhQMUvw [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ハルト「え?どうしてですか?今後も聖域を使うつもりでいました。」


プリム「暴いた貴方達がそれを言うのですか?貴方達が辺り構わず取り調べるから話が広がりすぎたのですよ……。」


プリム「本当はリラが適当な所で揉み消すはずだったのに……いまや例の通路の存在は街の噂で持ち切りになっています。」


プリム「少なくとも今までと同じ手法は使えなくなったでしょうね。これから興味本位の愉快犯も増えるでしょうし。」




ふとボクは数人で細々とポケモンと触れ合っていただけのスペースに土足で踏み入ってしまったという現実に引き戻された。


(ヒガナ「でもその中で過ごす人がもし何も悪事を働いていなかったら?キミたちが単なる侵入者。……わかる?」)


……ヒガナの言っていたことが今になって頭の中で反響する。


真実に辿り着くのは、必ずしも人を幸せにしないということなのだろうか……?


何か代案を出さなければ……。
 ▼ 299 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:22:17 ID:OdhQMUvw [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「改めてこういったふれあいの場所とは知らず立ち入ってしまい申し訳ない……。」


ダイゴ「そういった悩みを抱える人がいるのは十分に理解ができる。」


ダイゴ「だから代わりといっては何だけど……ライヤー。一つ頼みがある。」


ライヤー「……何だ?言ってみろ。」




ダイゴ「街内のあまり人がこない所で、個人用のこういったポケモンとの触れ合いスペースを作ってはどうだろう?」


ダイゴ「例えば予約は匿名性で、利用時間を定めて……。他の利用客とすれ違わないようにインターバルを開けるとか。」


ダイゴ「今あるこの場所はそのまま公の場として開放して、他者から見られたくない人向けには別の場を作るといった感じで。」


ダイゴ「きっとここに集まった人たちの他にも需要があると思うんだ。」



ダイゴ「それに……本当にこういう所を使いたいと思ってる人は言いだしにくい性格をしているんじゃないか?」



ダイゴ「……ダメかな?」
 ▼ 300 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:23:26 ID:OdhQMUvw [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
聖域にしばしの沈黙が流れる……。


急にずけずけと入ってきた側がする提案としては厚かましい願いとはわかっている。


だがどうか受け入れてはくれないだろうか?


沈黙を破ったのはカミツレさんだった。


カミツレ「わたしは出来ることならそっちの方がいいわ。移動楽だし。」


カヒリ「遅かれ早かれ隠し通すことは出来なかったと思いますし、いい機会かもしれませんね。」


リラ「私は……この場所が明るみに出て……その提案を聞いて……今自分自身を恥じています。」


リラ「どうして最初に自分のためだけの部屋をお願いしてしまったんだろうと……。」


プリム「……確かに私たちがやっていたことも利益の独占。他にも求めている人がいるという意識に欠けていました……。」


ナツメ「そうね……。自己防衛を優先した恥ずべき行動だったわ……。」
 ▼ 301 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/28 21:24:22 ID:OdhQMUvw [8/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ライヤー「……何やらオレさま抜きでポケモンと触れ合える個室を作ることが決定しつつある流れになっているが、まだ何も言ってないぞ!」


ライヤー「しかし……ダイゴよ。貴様も今回の一件よく働いたうちの一人だ。十分すぎるほどにな。」


ダイゴ「それでは……。」


ライヤー「先ほども言ったように良い働きをしている奴の言うことは聞き入れてやるべきだ。」


ライヤー「近々そういった施設を建てられるように取り掛かる。良い知らせを待っていろ!」



ライヤーの宣言で聖域内が歓喜の渦に包まれた。


ボクは結果的に正しい行いをしたんだという安堵から自然と笑みがこぼれた。


サナ「これにて一件落着だね♪」


ダイゴ「ああ……。これまでやったことが報われた。そんな満ち足りた気持ちだよ。」



ライヤー「おい貴様ら!もう夜も更けている!フーパはどこかにいった!」


ライヤー「そこのワープポイントから気を付けて帰るがいい!」
 ▼ 302 キルリア@メダルボックス 25/04/28 22:59:21 ID:OEnkyLOQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライヤーの意見採用方針の伏線がここで回収されるとは
そして帰りの心配とかやっぱ優しいなw
 ▼ 303 メタグロス@こだいのおうかん 25/04/29 00:47:29 ID:Ps1oWTsA [1/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――――屋敷外 5日目 午後20:27


ここまで大所帯で1つのワープポイントに大挙したことは歴史上でもなかなかないだろう。


帰りの時間を含めると街につく頃にはもう相当遅い時間になる。


リラさんを除いた聖域内の4人、警察組、探偵とハルト君のグループでそれぞれ話をしながら帰ろうとしていた。
 ▼ 304 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:48:34 ID:Ps1oWTsA [2/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カヒリ「もう……当分は屋敷に皆で来ることがなくなるんですね。」


プリム「感慨深いものがありますか?」


カヒリ「まあ少しは……。」


カミツレ「会おうと思えば時間合えばいつでも会えるじゃない。」


ナツメ「そうね。もしかしたら今度出来るポケモンとのふれあい施設で鉢合わせるかもしれないわ。」


カヒリ「あれ匿名性って話に出ていましたけど……予約取るときに偽名使えるのでしょうか?」


ナツメ「トレーナーIDとかで紐づけそうだから名前は記入しなくてもいいんじゃないかしら?」


カミツレ「普通にびりびりスーパーモデルって書くつもりだったわ。」


プリム「氷点下の情熱とか書いた方がいいのですか?」


カヒリ「なるほど……あたしは勝利の風とかになりますか。」


ナツメ「どうして名前にわざわざ使用タイプの属性入れるのよ……。」
 ▼ 305 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:49:02 ID:Ps1oWTsA [3/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチナシ「しかしなあ……。スケジュール改竄はまずいだろ。普通なら懲戒もんだぞ。」


リラ「返す言葉もございません……。」


クチナシ「まあ誰に迷惑かけたってわけでもねえし不問にするけどよ。」


ハンサム「ボス……疲れているんだったら休んでも誰も文句は……。」


リラ「いえ……大丈夫ですよ。それに今休んだら……。」


リラ「休んでる間あれやってると思われるじゃないですか!そんなの耐えられません……。」
 ▼ 306 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:49:21 ID:Ps1oWTsA [4/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチナシ「あれっつうとなんだ?これのことか?」


クチナシさんは口角を上げながらトランポリンではねる真似をしている……。


リラ「〜〜〜〜〜〜////」


リラさんは顔を真っ赤にして、クチナシさんを軽くひっぱたいた。


クチナシ「へへ。やめろよ元上司だぞ。」


ハンサム「ハハハ!いやボス。この中年はしっかりこらしめるべきだぞ!」


リラ「もう……知りません!!」
 ▼ 307 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:50:19 ID:Ps1oWTsA [5/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ハルト「うーーーーん!楽しかったー!」


サナ「どう?知れてよかった?」


ハルト「ボクが探しているような不思議な現象ではなかったけど、衝撃的ではあった!」


サナ「まあねー……。」


ダイゴ「随分と言葉を選んだね……。ハルト君は謎というよりは不思議な現象に目がないんだね。」


ハルト「はい!世界中の不思議な現象や伝承を集めて研究したいと思っています!」


ダイゴ「その年で何かを専攻したいと思えるのは立派なことだよ。」


サナ「サナも怪談話好きだよ♪」


ハルト「そうなの!もし面白そうな話あったら聞かせてほしいな!」


サナ「えー!じゃあカロスにミアレシティっていう都会があるんだけどね?その街にある何の変哲もないビルで起こった話なんだけど……。」
 ▼ 308 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:50:42 ID:Ps1oWTsA [6/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ボクはふと屋敷裏の非常階段に目をやると、"呼んだ覚えのない女の子"がこっちに向かって手を振っているのが見えた。


はあ……全部丸く収まってかなりいい気分で帰れると思ったのにな……。



ダイゴ「すまないが2人で先に帰っていてくれるかな。ボクはちょっと厄介者の相手をしなくてはならないようだ。」


サナ「厄介者ー?」


ダイゴ「……まあ一応協力者ではあるんだけどね。では席を外させてもらうよ。」
 ▼ 309 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:50:59 ID:Ps1oWTsA [7/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
非常階段の高い所に座っていたヒガナは、拍手でボクを出迎えてきた。


ヒガナ「おめでとう。名探偵さん。見事彼女たちの憩いの場を台無しにしたみたいで。」


ダイゴ「……君はどの場面を盗み聞いたんだ?」


ヒガナ「リラがライヤーにポケモンと触れ合える場所が欲しいって交渉してる所かな。それ以外もまあ色々聞いたけど。」


ダイゴ「つまり最初からか……。」



ヒガナ「ま あたしがヒントあげてからはとんとん拍子って感じだったんじゃない?」


ヒガナ「謎が解けてどう思った?好奇心満たせて満足?」
 ▼ 310 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:53:02 ID:Ps1oWTsA [8/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「……確かに覗き見るべきではない場所だった。それは自分でも認める。」


ダイゴ「あの場で決まったのは、聖域は公のふれあいの場所として開放して、他者から見られたくない人向けには別の憩いの場を用意するということだ。」


ダイゴ「これはそこで何がやっていたのか。その目的を正確に知ろうとしなければ出せなかった案だと思っている。」


ヒガナ「自分から歩み寄ったから先に進んだっていいたいの?」


ダイゴ「自分のやったことの正当化だと思うならそれで構わないよ。」


ヒガナ「へぇ……。まああたしは最初に言ったようにどうなろうがどっちでもよかったんだ。」


ヒガナ「でも一番多くの幸せを守ることが出来るなら、それに越したことはないよね。」



ダイゴ「その施設が出来たら君も使うかい?一応匿名性で利用したことはバレないようになっているよ。」


ヒガナ「冗談。ヒガナさんは自分で自分の場所を探しますよっと。」
 ▼ 311 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 00:53:17 ID:Ps1oWTsA [9/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヒガナ「じゃあね。名探偵さん。また面白そうなことやってたら構ってあげるよ。」



ボクが少し目を離した隙にヒガナはいなくなっていた。


会うのが避けられるならなるべく会いたくはないが……彼女もまたこの捜査の解決に導いた立役者ではある。


また一方的に話すだけ話して消えていったが、一応感謝はするべきだったんだろうな。



さて……これで聖域の真相はわかった。


携わっていた名前を出したらボクは間違いなく無事ではいられないから、あらましだけサヨコさんに伝えて解決かな。
 ▼ 312 テツノツツミ@バター 25/04/29 13:59:50 ID:xXM6PgGQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リラへの羞恥プレイたまらん
ヒガナは相変わらずムカついていいな
 ▼ 313 ボルケニオン@いいキズぐすり 25/04/29 15:10:17 ID:RbwAfFeM NGネーム登録 NGID登録 報告
言えるのはこれ書いてる奴はクールキャラが性癖
 ▼ 314 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:22:19 ID:Ps1oWTsA [10/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは探偵助手のサナちゃんと、依頼人のサヨコさんを自室に呼び、これまでの経緯を確認した。



ダイゴ「……つまりは誰も入ったことのない部屋の正体は、単なるポケモンとの触れ合いスペースでした。」


ダイゴ「サヨコさんの言う部屋に入ろうとした時の不幸というのも、部屋を守る見張りによる人為的なものです。」


ダイゴ「誰が関わっていたのかという所につきましては……ちょっと諸事情で回答できかねます。」


ダイゴ「しかしながら、ボクとサナちゃんは実地に向かってこの目で確認しました。」


サヨコ「そう……。じゃあ最初から……。」


サヨコ「全部オカルトでもなんでもなかったのね……。」



サヨコさんは俯き気味に大層残念そうな顔をしている……。


彼女の価値判断は全て超常現象か、人のやったことかの2つに分けられるらしい。
 ▼ 315 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:23:10 ID:Ps1oWTsA [11/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「それと知っている情報は全て教えていただけないと困りますよ。」


サヨコ「え……な、何のことかしら?」


サナ「サヨコさん自身でしょ!ハルトやハンサムさんの前に例の通路に足を踏み入れたの!」


ダイゴ「やけに情景について詳しすぎるとは思っていたのですが、見張り番に確認を取った見た目の特徴もサヨコさんと一致しました。」


ダイゴ「どうして隠そうとしたんですか?」


サヨコ「だ、だってぇ……。勝手に入ったって言ったら怒られると思ったんだもの……。」



そんな小学生みたいな……。


サヨコさんにもハルト君同様オカルトに魅入られた者特有のアクティブさがあるのだが、妙な所で臆病だ。
 ▼ 316 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:24:41 ID:Ps1oWTsA [12/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「屋敷に立入禁止の区域はないので入ること自体に問題はありませんよ。」


ダイゴ「それではサヨコさんにとっては残念かもしれませんが、これが調査結果の全てです。」


サナ「気を落とさないで♪最近サナに不思議な現象について調べてる新しい友達が出来たから!何かあったら教えてあげるね!」


サヨコ「そ、そんな、お、お友達がいるの!?」


サヨコ「あ、ありがとう……もし何かあったら聞かせて頂戴。あとそれと……。」


サヨコ「やっぱり……お礼がないのは悪いと思って……。」


ダイゴ「いえいえ。依頼料は結構ですって。」


サヨコさんは鞄から小さな黒いケースを取り出した。
 ▼ 317 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:25:26 ID:Ps1oWTsA [13/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
サヨコ「……貴方見たところ石が好きなのよね?そうよね!?!?」


ダイゴ「わあっ!」


急にサヨコさんがずいっとボクの眼前まで顔を近づけてきて、思わずのけぞってしまった。


物理的にも心理的にも距離感が完全にバグっている……。



サヨコ「ああごめんなさい……。つい興奮してしまって……。」


サナ「怖いよ〜……。」


サヨコ「この前来た時そこのショーケースを見て……きっと石が好きだと思って……。」


ダイゴ「はい……まあ日常的に石は集めていますが……。」



サヨコ「結構お気に入りの代物だったんだけど、長い間気になっていたことが解消したからこれ、あげるわ……。」
 ▼ 318 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:25:56 ID:Ps1oWTsA [14/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
サヨコさんはケースから小さな赤い石を取り出し、両手に乗せて差し出してきた。


その石はまるで血の滴が固まったかのように怪しく輝く。


サヨコ「元々は何の変哲もないその辺に転がる石だったのだけれど、無数の魔術師の血を吸い込んで赤く染まったの。」


サヨコ「……どう?綺麗でしょう?伝説では、この石は血を浴する度に力を増して、持つ者に超人的な強さを与えるというわ。」


サヨコ「……でもいいことばかりじゃないの。その石は所有者の心を蝕んで、血を欲するようになるの!」



サヨコ「だからきっとこんなにも赤いんでしょうね……くっ……くふふ!くっふっふ!!」


相変わらず笑うタイミングがよくわからない……。


ここで貰うのを拒んだ方が、大いなる災いが今すぐボクの部屋で起こりそうだから素直に受け取ろう……。
 ▼ 319 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:28:24 ID:Ps1oWTsA [15/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「あー……ありがとうございます。そうなると……身に着けるのは危なさそうなので飾らせて頂きます。」



サナ「それどこで手に入れたの?」


サヨコ「えっ……?……競り市場よ。大きな真珠10個分ぐらいで落札出来たわ。」


サナ「結構する!えっじゃあ今のエピソードは何!?」


サヨコ「競りの時の売り文句よ……。すごく魅力的な話だったから……。」


ダイゴ「本当にいいんですか?頂いてしまっても。」


サヨコ「ええ……。また何かあったらお願いすることがあるかもしれないから……。」


サヨコ「それではあたしはこれで失礼するわね。改めて二人ともありがとう……。」


ダイゴ「いえいえ。こちらこそ高価なものを頂いてしまいありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」


サナ「ありがとう!面白そうな話あったら教えるね♪」



サヨコさんはそそくさとボクの部屋を後にした。


報告も済んだしこれで依頼は完全に完了したといっていいだろう……。
 ▼ 320 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:29:33 ID:Ps1oWTsA [16/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
サナ「初めて聞いたよー。お礼にマイナスアイテムくれる人……。」


ダイゴ「ふむ……。」


ボクはルーペを使ってしげしげと方向を変えながら、サヨコさんに貰った石を観察する。



ダイゴ「これはレッド・スピネルだね。言うまでもなく血を吸って赤くなったわけじゃない。」


サナ「何それー?ルビーみたいなもの?」


ダイゴ「実際18世紀まで混同されていた程ルビーに似ているものなんだけど別物だね。」


ダイゴ「ルビーは方向を変えると色の変化があるんだけど、スピネルは方向を変えても変化がないんだ。」
 ▼ 321 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:29:59 ID:Ps1oWTsA [17/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
サナ「そうなんだ!……実際お高い?」


ダイゴ「ボクも正確に鑑定は出来ないけど……石の中にある内包物が結構目立つから……。」


ダイゴ「あくまで宝石としての買取価格の話をするのであれば……うん。」


サナ「あちゃー。じゃあサヨコさんのお金って……。」


ダイゴ「ただこの内包物を見ることによって、石の形成環境や歴史が紐解けるから大事な要素になるんだよ。」



サナ「なるほどー!後は思い出になるよね♪この貰った石を見る度に捜査頑張ったなーって!」


ダイゴ「はは!実際石と思い出と結びつけるのはいい楽しみ方だね。では早速ショーケースに飾ってみようか。」
 ▼ 322 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:32:10 ID:Ps1oWTsA [18/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ボクはサヨコさんに貰ったレッド・スピネルをショーケース内の空いている所に配置した。


差し色の赤が鮮やかに映え、全体に華やかさと洗練された印象を与える。



ダイゴ「うん!見栄えがよくなったね。」


サナ「綺麗〜♪」



ダイゴ「……サナちゃん。改めて捜査を手伝ってくれてありがとう。」


サナ「うん!でもやっぱり楽しいね♪探偵って!」


ダイゴ「ああ!本当に一つの選択肢として考えていいぐらいやりがいを感じるよ。」


ダイゴ「でも一旦は明日からこれまでの日常に戻ることになるね。」


サナ「また何かあったらいつでも呼んでね♪探偵助手がいつでも手伝うから!」


ダイゴ「二度あることは三度あるというからね。そうなったらまた頼らせてもらうよ。」


サナ「じゃあね!」


サナちゃんは元気よくボクの部屋を飛び出していった。


ボクが署を離れた時、彼女には本当によく助けられた。


それに素直で、常に活発で周囲を元気づけてくれる。……どこかの誰かにも見習ってほしいものだ。
 ▼ 323 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:32:53 ID:Ps1oWTsA [19/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
改めて考えても今回の一件は本当に上手くいった。


これで彼女たちは外部から入ってくる者を追い出さなくてよくなった。


周りの目が気になる他のトレーナーも、好きなだけポケモンと触れ合える空間が行き渡るようになった。


そう……本当に上手くいったんだ。出来すぎているぐらいに。



ダイゴ「フ……フフ……ハハハハハハ!!」
 ▼ 324 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:33:21 ID:Ps1oWTsA [20/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダイゴ「これが笑わずにいられるだろうか!これでボクもポケモンと好きなだけいちゃいちゃ出来る!」


ダイゴ「メタグロスのゴツゴツした体躯とムーランドのもふもふで交互浴だ!」


ダイゴ「夏にはアローラサンドパンに抱き着けばさぞ気持ちいいことだろう!」



サナ「ダイゴさんごめーん!携帯忘れちゃった!」



ダイゴ「一度デオキシスの触手に巻かれてみたかったんだよなあ!」


サナ「えぇ……?」



ダイゴ「レックウザは……室内に出せるかな?」


ダイゴ「他にもユレイドルやエアームドと……」
 ▼ 325 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:34:13 ID:Ps1oWTsA [21/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……そこで初めてボクはサナちゃんから憐れむような視線を送られていることに気づいた。


サナ「あのね……えっとね。携帯忘れてたから……あたし帰るね?」


サナ「……早くポケモンとのふれあい施設出来たらいいね!」


ダイゴ「……そうだね。」



……人間は角度によって見え方が全く異なるものになる。


周囲から羨望の眼差しを受ける彼女たちにも、時にはポケモンと思い切り遊びたかったり、ポケモンに思い切り甘えたくなる一面があった。


そしてボクにも……人に見られたくない一面の一つや二つはある。



「名探偵ダイゴ 人工島の聖域〈サンクチュアリ〉」 Case Closed
 ▼ 326 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/04/29 23:43:54 ID:Ps1oWTsA [22/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
改めて見返すとやっぱりあまり夜SSっぽくならなかった!でも奇跡的に完結した!

これから企画参加する人はミステリーものだけは書くのやめた方がいいぞ!干からびるから!

ここまで読んでくれた人!支援レス残してくれた人ありがとう!
 ▼ 327 アローラサンド@フシギバナイト 25/04/30 11:36:48 ID:pUmw2V56 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
しっかりミステリーとして完成されてて面白かった!
最後ダイゴも壊れて爆笑www
 ▼ 328 ゴースト@こうかくレンズ 25/04/30 12:47:49 ID:aBQIxkks NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
この量1月足らずで終わらせたのか
 ▼ 329 イルミーゼ@でんせつのメモ3 25/05/01 12:07:04 ID:grrASH1A NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
そういえば爆発はしなかったな
 ▼ 330 ハトーボー@ミニリュウのウロコ 25/05/05 01:46:40 ID:JkxcPkWo NGネーム登録 NGID登録 報告
肉厚で骨太な話だった
 ▼ 331 3tees◆3gQaB9z6Ug 25/05/22 21:33:55 ID:AtJ69vo. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夜SS企画スレに感想投稿してくれた方ありがとうございました。
他の投稿SSと比べて大分長くなってしまったけれど、読み込んだ上での熱のこもった感想を頂けてやば 嬉しくて泣きそう……

今度何か投稿する時は反動で不条理系を書きたいです
 ▼ 332 クリムガン@ヒメグマのツメ 25/06/08 21:17:21 ID:rxSAwigk NGネーム登録 NGID登録 報告
今更だけど全部読みました。読んでる側もダイゴさんと一緒に謎に振り回されて、とっても楽しかったです。キャラそれぞれの性格や役割も立っていて、センスに脱帽です。

一文目がしっかり最後で回収されているのも痺れました。BBSに来初めて1年だけど、個人的にはこれまで読んだ中で一番読み応えがあるSSでした。書き切ってくださってありがとうございました。

ちなみにカミツレとエモンガのやり取りは某奇妙な冒険が元ネタ?笑
 ▼ 333 3tees◆eBpeoKT7Jo 25/06/08 22:12:34 ID:t9CMf6mk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自分のトリップを忘れてしまいましたが作者です。
そこまでの評価を頂けるとは…楽しんで頂けたようで何よりです。

自分もSS書き始めてからは1年ぐらいですが、二度と参加できないと思っていたSSイベントに参加する機会が訪れたので気合が入りました。
元ネタはそれですね。
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