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SS

【SS】夜の狼さんに、恋をしたの

 ▼ 1 ◆jrZ0whS9sI 25/04/01 22:01:26 ID:oBWYM.ck [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








『こんなにも月が綺麗なのは、きっとあなたと一緒に見ているから』






 ▼ 2 トドグラー@あおいビードロ 25/04/01 22:04:50 ID:n6vwFB9c NGネーム登録 NGID登録 報告
非常に多い改行と1レス目の1行で誰なのか把握
 ▼ 3 ◆jrZ0whS9sI 25/04/01 22:33:02 ID:oBWYM.ck [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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小さなイーブイの女の子が、息を切らしながら夜の森を駆け抜ける。
背後からは、凶暴なポケモンの唸り声。


足がもつれて倒れそうになった瞬間、目の前は行き止まり。木々が立ちはだかり、逃げ場が無い。


イーブイの瞳が、恐怖と絶望の色に染まる。


凶暴なポケモン達が喉を鳴らし、ジリジリと近づいてくる。
足が竦み、声も出ない。


──殺される。




その時

イーブイの前に、大きな影が躍り出る。

赤と白の入り混じる体毛に覆われた狼型のポケモン…
真夜中の姿のルガルガンだった。

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 ▼ 4 ◆jrZ0whS9sI 25/04/01 23:01:38 ID:oBWYM.ck [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ルガルガンは辺りを睨みつけて威圧する。
ポケモン達はその眼差しにたじろぐ。

そんな様子を、イーブイは呆然と見つめる。



ルガルガン「失せろ」

ルガルガンが一歩踏み出すと……ポケモン達は怯えたように森の奥へ逃げていった。


イーブイ「あ……えっと……」

イーブイはまだ恐怖で足が動かず、ただルガルガンを見上げた。
月の光に照らされた真っ赤な眼は、どこまでも冷たく、どこまでも寂しげだった。

ルガルガン「お前も早く失せろ」

ルガルガンはそう言うと、夜の闇に消えていった。

しばらくして、イーブイはようやく落ち着きを取り戻してきた。そして、思う…

イーブイ(ありがとう、って……言えなかったな……)

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 ▼ 5 ◆jrZ0whS9sI 25/04/01 23:19:38 ID:oBWYM.ck [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本SSは下記の企画に則り『夜』をテーマとしています

【SS企画】2025年5月SS企画「夜」【4/1〜5/9】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2321118

こう言ったSS企画に参加するのは初めてなので、じっくり楽しみながら書きたいと思います

>>2
心当たりのある作者と自分が同一人物かは分かりませんが、>>1の時点で推理されてしまうのは驚きました
 ▼ 6 サナギラス@きょうかポケット 25/04/01 23:21:19 ID:Q7a2Yf3s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 7 ◆jrZ0whS9sI 25/04/01 23:49:58 ID:oBWYM.ck [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>6
ご支援ありがとうございます
ひとつひとつの反応が創作のモチベーションになります
 ▼ 8 ◆jrZ0whS9sI 25/04/02 19:22:10 ID:.jDMRK62 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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静かな森に、柔らかな月の光が降り注ぐ。


イーブイは、前日に命からがら逃げ込んだ場所に再び訪れていた。

木々の間を風が通り抜け、枝を揺らす。
深い深い、夜の静寂が広がっていた。

イーブイ(昨日ここで命を狙われていたのが、もう懐かしく感じる……)



夜闇に向かって問いかける。

イーブイ「ねえ……狼さん、居るの?」

返事は無いが、不思議と彼が近くに居る気がする。

イーブイ「居たら、姿を見せて」

不意に、木々の間からルガルガンが姿を現した。


ルガルガン「また来たのか……」

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 ▼ 9 ◆jrZ0whS9sI 25/04/02 20:13:04 ID:.jDMRK62 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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『狼さん』を見て、イーブイの顔がほころぶ。

イーブイ「こんばんは」

ルガルガン「………」

ルガルガンの瞳は昨日と同様冷たかったが、イーブイに恐怖は無い。
むしろ、その姿を見て心が温かくなるのを感じていた。


イーブイ「昨日は……助けてくれてありがとう」

ルガルガン「だからって、何でまた来たんだ」

イーブイ「お礼が言いたくて……だって、命を救われたのよ?」

ルガルガン「別に……ただの気まぐれだ……」

イーブイ「ともかく、ありがとう!」

ルガルガン「………」


ルガルガンの寂しげな赤い瞳が、少し揺れた気がした。

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 ▼ 10 エースバーン@ウミディグダのすな 25/04/02 20:20:40 ID:.kpI/SMQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ですの
 ▼ 11 ◆jrZ0whS9sI 25/04/02 20:56:49 ID:.jDMRK62 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイがよく見ると、ルガルガンには、たくさんの傷が体中にあった。
その中でも、一際大きい古傷が背中に刻まれている。

イーブイ「これ……どうしたの?痛そう……」

イーブイが手を伸ばすと……

ルガルガン「触るな」

ルガルガンは低く唸るような声で警告する。

イーブイ「ご、ごめんなさい……」

ルガルガン「………。ここらは俺の縄張りだが、昨日みたいな連中もうろついてる。早く仲間のもとへ帰れ」

イーブイ「私……お父さんもお母さんも居ないし……ひとりなの……」

ルガルガン「………」

イーブイ「たまにで良いから……ここに来ても良い?」

ルガルガン「………勝手にしろ」

拒絶ではなかった。それで充分。
イーブイは嬉しそうに微笑んだ。

それから、イーブイはこの縄張りに来て『狼さん』を探すのが日課になった。

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 ▼ 12 ◆jrZ0whS9sI 25/04/02 21:30:42 ID:.jDMRK62 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
基本的に、1日に一晩分のエピソードを書いてく予定です
よろしければ、じっくり読んで頂けると嬉しいです

>>10
ご支援ありがとうございますの
 ▼ 13 ガラルマタドガス@はじめてメール 25/04/03 19:18:04 ID:YUGAMXDQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイは夜毎に『狼さん』の縄張りに入り、彼を探しに行く。

イーブイ(今日は会えるかな…)

ルガルガンに会ってお話をするのが、最近の1番の楽しみになっていた。

イーブイ(今朝見つけた、綺麗なお花が咲いてる場所……狼さんにも教えてあげよう♪)

そんな事を考えながら、静かな森の中を進む。


すると、進行方向から獰猛な唸り声が聞こえてくる。

イーブイ(なに……?)

声がする方をそーっ、と見てみると……

あのルガルガンが、獰猛なポケモンと闘っていた。

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 ▼ 14 ◆jrZ0whS9sI 25/04/03 19:47:32 ID:YUGAMXDQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイ「……!!」

イーブイは木陰に身を隠し、動向を見守る。

激しい闘いの末、最終的には獰猛なポケモンが逃げて行った。

疲れたのかその場に座り込むルガルガンのもとに、イーブイが駆け寄る。

イーブイ「狼さんっ!」

ルガルガン「おまえか……」

イーブイ「またケンカして……あっ!怪我してるじゃない!」

ルガルガンの脇腹には、今できたであろう新しい傷が生々しく刻まれ、血が出ていた。

ルガルガン「大した事ない」

イーブイ「でも……!」

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 ▼ 15 ◆jrZ0whS9sI 25/04/03 20:13:53 ID:YUGAMXDQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイがルガルガンの傷口に顔を寄せる。

イーブイ「動かないでね……」

ルガルガン「?」

イーブイ「ん……」

イーブイは小さな舌を出して、傷口をペロペロと舐め始める。

ルガルガン「……何してる」

イーブイ「少しでも痛みを和らげたくて……命を助けてもらったお返しよ」

そう言って、イーブイは一生懸命に傷口に舌を這わせる。

ルガルガンの赤い目が戸惑いに揺れる。

ルガルガン「……もういい、やめろ」

イーブイ「まだダメよ……私が綺麗にしてあげる」

イーブイは潤んだ瞳で、ルガルガンを見上げる。

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 ▼ 16 ◆jrZ0whS9sI 25/04/03 20:43:15 ID:YUGAMXDQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイ「……やっぱり…凄く痛そう…」

ルガルガン「っ!」

イーブイは切なそうな声を漏らしながら、更に優しく舐めた。
ルガルガンの身体が僅かに震える。

イーブイ「んっ……」

心なしか、ルガルガンの顔が赤くなっていく。

ルガルガン「お前、無自覚でやってるのか?」

イーブイは不思議そうにルガルガンを見つめて、キョトン、とした顔をする。

イーブイ「え…?何が…?」

ルガルガン「もういい。これ以上されたら変な気分になる」

イーブイ「……?変な気分?」

ルガルガン「うるさいな…」

ルガルガンの顔に、ほんの少しだけ焦りの色が見える。

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 ▼ 17 ◆jrZ0whS9sI 25/04/03 21:15:32 ID:YUGAMXDQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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傷口を舐めるたびに、ルガルガンの身体が少し強張る。その反応がくすぐったくて……愛おしい。

イーブイ(こんなに冷たい目をして、ぶっきらぼうなのに……私のことを追い払わない。本当は優しいのよね……)

やがて傷口は綺麗になり、血も止まった。

イーブイ「これで、よし……っと。もう怪我しちゃダメよ?」

ルガルガン「………」

イーブイ「でも、もしまた怪我したら……私が舐めてあげる」

ルガルガンの赤い目が困った様に揺れるのを見て、イーブイは思わず微笑んだ。

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 ▼ 18 ◆jrZ0whS9sI 25/04/03 21:39:02 ID:YUGAMXDQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
続きは明日の夜に更新します
よろしくお願いします
 ▼ 19 ◆jrZ0whS9sI 25/04/04 18:02:07 ID:eCAssbwk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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静かな夜の森に、少し冷たい風が吹いている。

イーブイ「狼さん、今日はどこに行くの…?」

出掛けようとするルガルガンに尋ねる。

ルガルガン「……縄張りの見回りだ」

イーブイ「…ついて行っても良い?」

ルガルガン「……やめとけ、険しい道を通るぞ」

イーブイはそれを聞いて、少し悲しそうな顔をする。

ルガルガン「………どうしても…と言うなら、勝手についてこい」

イーブイの顔がパッと明るくなる。

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 ▼ 20 ◆jrZ0whS9sI 25/04/04 18:57:46 ID:eCAssbwk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ルガルガンの言った通り、道は険しかった。岩場を越え、木々の間を抜け、急な坂を登り……イーブイはついていくだけで息があがった。

イーブイ「はあ…はあ……」

ルガルガン「だから言っただろう…」

イーブイ「あなたと一緒に歩きたくて……」

それを聞いて、ルガルガンは何も言わなかったが、心なしか歩く速度が遅くなった気がする。

しばらく無言で森の中を進んで行く。
態度こそぶっきらぼうだが、ルガルガンはイーブイを置いていく事はしなかった。

イーブイ(やっぱり……優しい……)

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 ▼ 21 メガリザードンY@まじめミント 25/04/04 19:51:35 ID:eCAssbwk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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冷たい風が森を吹き抜ける。

ルガルガン「……」

イーブイ「大丈夫……心配しないで…」

強がってはいるが、足がふらついている。

やがて……

イーブイ「………………」

限界を超えてしまったのか、イーブイはその場に倒れ込んでしまう。

ルガルガンが覗き込むと、イーブイはグッタリとしている。

ルガルガン「やれやれ………」

ひょいとイーブイの身体を抱える。

ルガルガン(軽いな……こんな小さな体でここまでついてきたのか……)

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 ▼ 22 ◆jrZ0whS9sI 25/04/04 20:57:52 ID:eCAssbwk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイ「うっ…あれ…?」

イーブイは知らない洞穴の中で目を覚ました。

イーブイ「ここは…どこ?」

ルガルガン「起きたか……ここは俺の寝床だ」

イーブイ「あっ…狼さん…」

ルガルガンは洞穴の隅に腰掛けていた。

ルガルガン「お前は途中で倒れたんだ」

イーブイ「ご、ごめんなさい……迷惑かけて…。私を運んでくれたの…?」

ルガルガン「まあ……」

ルガルガンは短く答えた。

イーブイ「ありがとう……」

ルガルガン「別に……俺はもう寝る」

そう言うとルガルガンは横になった。

イーブイ(……ずっと見守っててくれたんだ……)

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 ▼ 23 ◆jrZ0whS9sI 25/04/04 21:33:30 ID:eCAssbwk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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イーブイは、寝息を立てるルガルガンの顔を覗き込む。

あのルガルガンが無防備な姿を見せることを信頼の証と捉えて、イーブイは喜びを感じていた。

イーブイ「ごめんね、狼さん……ありがとう」

そう囁くと、イーブイはルガルガンの頰にそっ、と口を触れさせた。それは羽が掠めるような優しい仕草だった。

ルガルガンの事を慈しむように見つめてから、洞穴をあとにした。

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