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【ss】超ポケダン×銀河鉄道の夜【小説風】

 ▼ 1 トゲピー@こだいのおまもり 16/01/22 17:52:18 ID:RioyTmt. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
・初投稿
・未クリアの方はネタバレ注意
・主人公はフォッコ♂、パートナーはフシギダネ♂
・ポケダン本編で登場しないキャラ、架空の舞台が出てきます、ご了承ください
・地の文が多い
・あくまでポケモン世界をベースにした銀河鉄道「っぽい」話ですので、銀河鉄道の本編とは大きく違った内容、展開、解釈が含まれます。すみません!
・もしかしたらポケダンでやる必要なかったかもしれない
 ▼ 2 リザード@コンテストパス 16/01/22 17:57:36 ID:RioyTmt. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ここは調査団基地。
世界の危機を救い、再会を果たしたフォッコとフシギダネは再び調査に明け暮れる毎日を送っていました。
とはいえ二匹はまだ子供。広い世界を冒険するには、この星の環境や歴史、ポケモンの生態などの知識をつけなければなりません。そこで調査の仕事がない日には、デンリュウやクチートが先生役となって二匹のために授業を開いているのでした。
今日は特別講師としてジラーチも参加し、天文学の勉強をしているようです。

「それじゃあこの星空の図の、川のように見える白くてぼんやりした物が何か、分かるかな?」

そう言ってジラーチは、壁に貼り付けた大きな黒い星座の図の、上から下へと続く白いもやのようなところを指差しました。

「うーん…何だろう? 雲?」

フシギダネは首を傾げたあと、雨上がりの夜の空にこんな雲が浮かんでいたのを思い出しながら答えました。

「ふふふ…なんと! この白いの、ぜ〜んぶお星様なんだよ!」

「ええっ! 本当!?」

「本当だよ〜! 望遠鏡でこの白いのを見てみると、たっくさんの小さい星が集まって出来てるのが分かるんだよ!」

ジラーチの説明を受け、フシギダネとフォッコは驚いた様子で星の集まりだという白いもやを見つめました。そんな二匹を楽しそうな表情で見ながら、クチートが解説を加えます。

「そう、だからもしこの白い煙のような星の川を本物の川に例えるなら、この一つ一つの小さな星達は川底の砂や砂利に当たるんだ。そして川の水に当たるのが真空…光や音を水の流れのように伝える、言ってみれば何もない空間だ。私達の住むこの星や太陽もまた、この川に浮かぶ小さな存在に過ぎない」
 ▼ 3 バルジーナ@セシナのみ 16/01/22 19:55:49 ID:GktZqfhc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「へえぇぇ〜…ボクらの住む星だってまだ全部を見たことないくらい大きいのに、この星が砂粒に見えるくらい大きな川が空にあるなんて…ぜんぜん想像できないよ」

「昔のポケモン達も、天を流れるように浮かんでいるこの星達を川に擬えていてね。彼らはこれを『銀河』と呼んだんだ」

「因みにこの銀河、宇宙のあちこちに無数にあるんだよ〜♪」

歌うように言いながらジラーチは逆さまになって宙に浮かび、壁の星座の図の『銀河』と呼ばれた部分をなぞるようにくるくると回りながら上から下に降りてきました。それを呆然とした表情で見つめるフシギダネの隣で、フォッコは過去に見た星空の景色を思い起こしていました。

(フシギダネから絆のスカーフを貰った日、あの大きな木の丘の上から見た星空は本当に綺麗だった。この図のようにはっきりとは見えなかったけど、たくさんの星がにじむようにチカチカしてて、今にも降ってきそうだと思ったのを覚えてる)

(そしてあの決戦の日、昇っていく生命の木から見た宇宙。丘の上から見たあの夜空が間近にあるように感じて、ここが宇宙の全てかと思うほどだったけど…ほんの一部でしかなかったんだな)

(……自分達をとりまくこの街があって、街をとりまく大陸があって、更に星があって、銀河があって、宇宙があって……世界は広いとは良く言うけれど、そんな言葉じゃ語り尽くせないくらいに大きくて果てしのないものなんだな……)
 ▼ 4 トランセル@スピアナイト 16/01/22 19:56:42 ID:K.VwwerM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 5 ゼルネアス@うつしかがみ 16/01/22 20:41:39 ID:GktZqfhc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
食い入るように星座の図を覗き込む二匹に、少しばかり困ったような笑顔をしたデンリュウが口を開きました。

「できることならこの宇宙の全ての銀河、全ての星について教えてあげたいのですが、無理でしょうね。とても時間が足りたものではないですし、何より私もほとんど知りませんから」

「エッヘン!ボクはぜ〜んぶ知ってるよ!銀河の数も星の名前も、宇宙のことならどんなことでも!」

「ええ〜っ!? ジラーチって凄いんだねえ!!」

「うんうん! だってボク天才だし!」

踊るように宙を舞うジラーチを尊敬の眼差しで見つめるフシギダネ。しかしフォッコは胡散臭いと言いたそうな視線を送り、デンリュウは渋い顔をしてジラーチを横目で見ました。

「やれやれ。見栄を張りたいからって授業で嘘を吐いちゃあ駄目でしょう、このアンポンタン。私達がこうしている間にも何千、何万、それ以上の数の星が生まれたり消えたりを繰り返しているんです。いくら天文学に長けた君でも、そんな星々を狂いなく記録するのは到底無理でしょう」

「ぶぅ〜っ、ちょっとくらい話を盛ってもいいじゃんか!少なくともこの中ではボクが一番宇宙に詳しいんだし!」

「な、なんだ…びっくりしたぁ…」

(やっぱり…)

「そんなわけで宇宙全部を説明することはできないので、今回はこの銀河の一部分だけを切り取って説明しましょう。隣の図を見て下さい」
 ▼ 6 メガリザードンY@シャラサブレ 16/01/22 21:41:25 ID:GktZqfhc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
そう言われてフォッコとフシギダネは今まで見ていた図から右隣りの図へと視線を移しました。
やはりこちらにも沢山の星座が記されているのですが、こちらの方は星を表す光の粒が少なく、やや大きく映っており、そして直線で繋がれた星々の下にぼんやりと浮かび上がるようにポケモンの不思議な絵が描かれているのでした。

右目のあたりに青い星を、左目にはオレンジの星を瞳のように輝かせ、身体の周りの星々をまるで水の飛沫のように身に纏って羽ばたくスワンナ。
翼の根元に白くて明るい星を力強く湛え、星達を穿つように雄々しく翼を広げて天を舞うウォーグル。
まるで燃えるように大きくて真っ赤な星を心臓のあたりに抱き、鋭い爪と瞳の星をぎょろりと輝かせるドラピオン……。
他にも無邪気に跳ね回るポニータやロコン、翼の生えたギャロップや見たこともないような楽器のようなものなど、たくさんの不思議な絵が星空に並んでいました。

「昔のポケモン達は暗い夜道を歩くとき、星を道標としてきました。どんなに長い時を経ても星々の並び方が変わらないことに気付いた彼らは、星と星を線で繋ぎ合わせて、その並び方を明確にしました」

「そうしてできた夜空の図形に神話や伝説に登場するポケモンや道具を当てはめ、星座を作ったんだ。このスワンナやドラピオン達は神話のポケモンで、星座の一つ一つに由来を設けることで分かりやすく後世に伝えたわけだね」

「そしてこの図は広い銀河の中から、ちょうど今夜地上から見える部分を切り取って拡大したものだよ♪ 今日は天気が良いから、きっとこんな風な夜空が綺麗に見えると思うよ〜!」

これ、ボクが作ったんだよ!と星座の図を手に取りフォッコ達に見せびらかすジラーチ。今夜の空模様だというその図を彼らの目の前に持って行き、ジラーチは続けます。
 ▼ 7 テッポウオ@ポロックキット 16/01/23 08:43:36 ID:3Q0brlKE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「星座の中でも特に明るい星は一等星っていうんだ! 例えばこのスワンナの尾羽の星とか、ウォーグルの翼の星とか……ドラピオンの胸の赤い星は本当に大きくて、なんと太陽の何百倍も大きいんだよ〜♪」

「ええっ、そんなに!? でもボク太陽より大きい星が空にあるのなんて見たことないよ!」

「太陽よりずっと遠くにある星だから小さく見えるけど、宇宙には太陽より大きい星がたくさんあるんだよ!」

「わぁ〜…なんかぜんぜん想像できなくて、頭がこんがらがってきたよ…」

「そしてこのスワンナの尾羽の星と、ウォーグルの翼の星、それからこの楽器の星座…こと座っていうんだけど、こと座の先の白い星を繋ぎ合わせたのが、夏の大三角! とっても明るい星でできた三角形で、少しくらい雲があってもくっきりと夜空に見えるんだよ♪」

そう言ってジラーチは自分が言った三つの星を指でなぞって繋げ、二等辺三角形を描きました。

「この時期なら、晴れていればこの三角形を東の空にすぐ見つけることができると思います。夜道に迷ったとき目印にすると良いかもしれませんね。……さて、星座の成り立ちと今夜の星模様、だいたい分かりましたか?」
 ▼ 8 ボルトロス@たつじんのおび 16/01/23 13:12:13 ID:3Q0brlKE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジラーチが星座の図を壁に戻している間に、デンリュウはフォッコ達を見回して問いかけました。

「うーん……分かった! 宇宙にはこの絵みたいに、星よりも大きなポケモン達がたくさんいるんだね!!」

「えっ!?」

予想していなかった答えがフシギダネから返ってきたので、デンリュウ達は思わず転びそうになってしまいました。

「いや、そうじゃなくてだな…」

「すごいよねえフォッコ! ボクこんな大きなポケモンと友達になってみたいなあ!」

(うーん…多分違うと思うんだけど…)

「友達になったら、その背中に乗って広い宇宙の隅々まで冒険する! そして誰も見たことがないような宇宙地図を完成させるんだ!」

もうすっかり盛り上がってしまったフシギダネに何と声をかけるべきかと皆悩んでいましたが、ジラーチだけは楽しげに相槌を打ちます。

「うわあ、楽しそう! その時はボクも一緒に連れてってね!」

「ジラーチもけしかけるんじゃない…」

「だってクチート、宇宙の全部なんか誰も見たことないんだよ! もしかしたら本当に居るかもしれないよ〜!」
 ▼ 9 ラティアス@フォーカスレンズ 16/01/23 15:43:36 ID:h27aEm5s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ映画のED思い出した
支援
 ▼ 10 ミミロル@ダイブボール 16/01/23 19:34:28 ID:sxCNT15s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…今も昔もポケモン達は、空に輝く星には夢を見て、流れる星には願いを託すもの。夜空の星に壮大な夢を持ってしまうのも、仕方ないのかもしれませんね。………さて、今日の授業はここまでにしましょう。ところで、何故今日は星座についての授業を行ったかというと、今夜ワイワイタウンで星に関するお祭りがあるからなんです」

「お、お祭り!?」

デンリュウからお祭りという言葉を聞いた途端、フシギダネは目を輝かせて勢い良く身を乗り出しました。ああまるで星のような目だと思いながらデンリュウは続けます。

「君たちが来てからは初めてのお祭りですね。このお祭りは『星祭り』と呼ばれています。由来は定かではないのですが、今日は銀河を挟んだウォーグル座の星とこと座の星が引き合う日とも、死者の魂を川に乗せて天上に送る日とも、星達に豊穣を願う日とも言われていて、そういった様々な説が混合されて星祭りができたのです」

「呼び方にも色々あって、『星祭り』の他にも『銀河祭』といったり、星座の一つであるケンタロス座に因んで『ケンタロス祭』ともいったりするんだ。きっと神話に登場するケンタロスの雄々しさに豊穣をイメージして、その願いを託したんだろうね」

「この辺じゃ有名なお祭りで、他の大陸からもたくさんのポケモン達がやってくるんだ!」

「太陽が沈んで辺りが暗くなった頃、街に出てごらんなさい。もともと賑やかで美しいワイワイタウンですが、今夜はいつもとは違った輝きを見せてくれるでしょう」

「うぅ〜っ、楽しみだねフォッコ! ボクもう待ちきれないよ!」

(フシギダネが本当にワクワクしてるのがこっちにも伝わってくるよ。もちろん、自分だって楽しみだ。いつもの見慣れたこの街がどんな風に変わるのか、早く見てみたいな)
 ▼ 11 ◆CSn9vcIqE6 16/01/23 19:39:54 ID:oPjcWUtw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 12 オノンド@ノーマルジュエル 16/01/23 22:26:46 ID:sxCNT15s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
浮き足立つような二匹を嬉しそうに見つめるデンリュウでしたが、少しだけ表情を強張らせて戒めるように言いました。

「でも、気をつけて下さいね。たくさんのポケモンが集まるということは、それだけトラブルが起こる可能性も高まるということ。暗い夜なら尚更です。悪いポケモンがいないとも限りませんから、用心するように」

「大丈夫だって! 最近悪いポケモンって減ってきてるらしいし、ボク達それなりに強いもん!」

「やれやれ。先日『お茶をしましょう』とダンジョンに呼び出され、行った先がモンスターハウスだったとかで命からがら帰ってきたのはどこのどなたでしたか」

「うっ…」

(か、返す言葉もない…)

「まあ君たちなら大丈夫と信じていますが、くれぐれも注意はするように。それでは解散します。良ければ祭りの途中で空を見て、今日習った星座の位置を確かめてみて下さいね」
 ▼ 13 パルキア@バコウのみ 16/01/24 08:02:03 ID:jqEANwtk [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
太陽がすっかり沈み西の空が赤紫に、東の空が紺色に変わる頃。夕飯を食べ終えたフシギダネは元気よく調査団基地を飛び出し、フォッコはその後を慌ててついて行きました。

「フォッコ、早く早く! 星のお祭りを見に行こう!」

一目散に駆けていくフシギダネにやっと追いついたところで、ちょうど街をぐるりと見渡せる場所に出ました。ワイワイタウンは、様々な明かりや木の枝ですっかり綺麗に飾られているのでした。
建ち並ぶ家々にはツタのような電飾が巻き付けられていて、赤や青や白、たくさんの色の明かりが星のように互い違いにチカチカと輝いています。光が点いたり消えたりするその様はまるで美しい花が開いたり閉じたりを繰り返しているようで、見慣れた建物たちは光り輝く花畑のように目の前に広がっていました。
街路樹もすべて電飾で彩られていて、透けた葉の向こうから、枝と枝の隙間から、太い幹の窪みから無数の色が明るく漏れ出すものだから、まるで生命の木がいくつも群生してるようでした。
他にも花火で遊ぶ子供達や、青い光を灯した不思議な木の実を持ったポケモン達がたくさん集まっているので、もう街のいたるところに光が溢れていました。

「うわぁ……凄いなあ…! まるで、ジラーチが作った星座の図のなかにいるみたいだ!」

フォッコとフシギダネは大きな目を更に見開き、その瞳に街の光を映してキラキラと輝かせました。そこに、青く光る不思議な実を持ったドレディアが通りかかり、にこやかに挨拶をしました。

「あら、こんばんは! あなたたちもお祭りを見にきたのね?」
 ▼ 14 アリゲイツ@ジュカインナイト 16/01/24 13:57:41 ID:jqEANwtk [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「こんばんは、ドレディア! ボク達、星祭りを見るの初めてなんだ! すっごい綺麗なんだねえ!」

「あら、そうなの。私は毎年見てるけど、何度見ても本当に綺麗で心が洗われるの。あなたたちもゆっくり見て行ってね」

「うん、ありがとう! ところで、その手に持ってるものはなあに?」

「これかしら? これはオボンの実の中身をくり抜いたものに、シャンデラの青い炎を灯しているの。大切なポケモンへの思いと、平和と幸せの願いを込めて、これを川に流すのよ」

「へぇー。ボク達も流しに行った方が良いのかな?」

「うーん、もしあなたのご先祖さまや大切な存在が遠い星の彼方にいらっしゃるのなら、流しに行ってあげると喜ばれるかもしれないわね」

「うん? よく分からないや」

「うふふ。街の明かりを見た後、もし時間があれば川にいらっしゃい。いくつもの青い灯火が流れていく景色、とっても綺麗だから見ていくといいわ。じゃあ私はこれで」

「うん、そうする! じゃあねドレディア!」

ドレディアと別れた二匹はまた街を歩き始めました。
 ▼ 15 カットロトム@タイマーボール 16/01/24 18:15:03 ID:jqEANwtk [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
街は電飾の他にも様々な置物で彩られていました。銅でできたギャロップの像は瞳に白い宝石を光らせて夜の街を駆け出しそうな躍動感を放ち、海のような色をした厚いガラスの板の上には色々な宝石が乗っていて星の巡りのように配置されているのでした。
ヨルノズクを模した木製のおもちゃの目には赤い宝石が嵌め込まれていて、一秒ごとにその目がくるっくるっと動くのでまるで目で追われているようだと思ったフォッコは慌てて視線を逸らしました。

「ケンタロス、露を降らせ!」

視線を向けた先には子供達が青色の花火を燃やしながら楽しそうに走り回り、空に向かって唱えるように叫んでいました。

「ケンタロス、露を降らせ!」

声を合わせてそう叫び、はしゃぎ回る子供達があんまり楽しそうだったので、フシギダネは何だかウズウズしてしまい子供達の真似をして叫びました。

「ケンタロス! 露を降らせー!」

子供達は驚いた様子でこちらを見ましたが、すぐに弾けるような笑い声を上げてこちらに手を振りました。少し歩いていくと何やらポケモンが集まる場所が見えたので行ってみると、その中心には体格の良い黄色いポケモンがいました。

(あれは…エレキブル! この辺では普段あまり見かけないポケモンだな…)

「ガハハハハハ! 調査団の新入り達だな! ワシが長年の連結で培った大技、しっかり見ておけよぉ! そら!」

エレキブルが大きな腕を振り上げて放射状に電気を放つと、家や街路樹を彩り互い違いに光っていた電飾がいっせいに白く眩しく輝きだしました。辺りは昼間のように明るくなり、子供達の花火の青や街路樹の葉の緑が照らされてそこらじゅうにその色が透かされて映るので、街はまるで白い砂浜に無数の宝石を散りばめたような景色に変わりました。

「凄い凄い! ボクこんな綺麗な景色今まで見たことないよ!!」

視界いっぱいに広がる夢の中のような光景にフシギダネは思わず飛び跳ねて喜び、フォッコは感嘆の溜め息を吐くのでした。
 ▼ 16 マラカッチ@むしよけスプレー 16/01/24 22:00:22 ID:jqEANwtk [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おだやか村にはこんなお祭りはなかったからなあ……おじいは星祭りを知ってるのかな? …そうだ! おじいにも見せてあげたいなあ!」

(…! それなら自分もコノハナに見せてあげたいな。 あのことがあって以来、責任を感じて塞ぎ込むことが多くなったから…これを見て少しでも元気になってくれれば……でも、二匹を迎えに行く時間はあるだろうか…)

「お祭りはいつまでやってるのかな? …あ、そうだ!」

フシギダネは辺りを見回し、ちょうど通りかかったブルーに問いかけました。

「ねえおば…お姉さん! このお祭りはいつまでやってるの?」

「毎年、日付を跨ぐ頃まではやってると思うけど…ってアナタ、また私をおばさん呼ばわりしようとしたでしょ!?」

「ひゃー! ごめんなさーい!」

返答を聞いたフシギダネは弾かれたように走り出し、フォッコもそれに続きました。

「まだ日が沈んでからそんなに経ってないはずだし、きっと間に合うよ! おじいとコノハナさんを迎えに行こう、フォッコ!」

二匹は煌びやかなワイワイタウンを後にし、おだやか村へと続く山脈に向かいました。
 ▼ 17 セレビィ@ねっこのカセキ 16/01/25 06:21:56 ID:pEbzs0RE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 18 メガボスゴドラ@あいいろのたま 16/01/25 17:43:11 ID:lJWz.SEw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
街灯もなく、月と星だけが辺りを照らすキリタッタ山脈。二匹は山脈の中腹に差し掛かり、少しだけ移動のペースを落としました。

「ふうっ、走り続けてちょっと疲れたね。日付が変わるまでまだまだ時間はありそうだし、しばらくは歩こっか」

そう言って歩を緩めたとき、二匹の前方の岩陰にうごめくポケモンの影を見つけました。

「旅のポケモンかな? おーい、どうしたのー?」

「…おお、ちょうど良いところに。すみませんが、私このあたりで探し物をしてまして…」

「何か失くしちゃったの? このへんじゃ見ないね、君は誰?」

「申し遅れました、私スリーパーと申します。ええ、先ほどから私の大切な振り子を探しているのですが、なかなか見つからなくて…」

「振り子って?」

「銅でできた輪っかに、糸を付けたものです。もし宜しければ一緒に探していただけないでしょうか…」

「困ってるんだね。ボクらもちょっと探してあげようよ!」

(うーん…自分たちも急いでるけど、仕方ない。少しだけ探して、見つかりそうになかったら諦めよう)

「あ、ありがとうございます。金属でできているので、月明かりを反射して光っていると思うのですが…」
 ▼ 19 オクタン@ちからのこな 16/01/25 20:09:30 ID:lJWz.SEw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
三匹はそれぞれ振り子を探し始めました。しばらくしてフシギダネが、大きな岩の下に鈍く光る輪のようなものを見つけました。

「ねえ! これじゃない?」

「どれどれ…おおっ! まさしく私の振り子です! 本当にありがとうございます、何とお礼を言ったら良いか…」

フシギダネはスリーパーに振り子を渡し、探し物が見つかったことに気付いたフォッコは二匹のもとに駆け寄りました。

「お礼なんて良いよ。ところで、その振り子は何に使うものなの?」

「ああ、これはですね………………こうするために使うんだよっ!!」

柔らかな態度を一変させて叫んだスリーパーは、振り子を怪しく揺らして催眠術をかけ、一瞬のうちにフシギダネを眠らせてしまいました。

「うわっ!? ……うう……」

(ふ、フシギダネ!? スリーパー、一体何をするんだ!)

それを見たフォッコはフシギダネを庇うようにしてスリーパーに立ち憚り、キッと相手を睨みつけました。

「フン、最初からこうするつもりだったのさ。ほんとは街の祭りの時からお前らのこと見張ってて、ここまで後をつけてきたってワケだ」

(な、何だって!? 一体何のために!)
 ▼ 20 オーダイル@たからぶくろ 16/01/25 23:15:07 ID:lJWz.SEw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お前ら、あのコノハナとかいう奴の知り合いなんだろ?」

(!…どうして知っているんだ? でもそれが何だって言うんだ!)

「街で話してたのを聞いてな。知らないとは言わせねえぜ、アイツが石化事件の犯人なんだろ? 俺はアイツが許せねえんだ」

(……!! で、でも彼だけのせいではないし、それに反省して二度とあんなことはしないと誓って…)

「石になったポケモンは全て元に戻ったそうだが、それで誰もが救われたと思ったら大間違いだぞ! 俺は野菜や木の実を栽培して生活してたが、石にされたせいでその世話をする奴がいなくなっちまった……石から戻った頃にゃ、全部枯れて何も無くなっちまってたんだ!」

(…そ、そんな…!)

「もう仕事もねえし、住む場所も追い出された。なのにアイツはのうのうと生きてて、不公平だと思わねえか!?」

(……)

「お前ら、コノハナに会いに行くっつってたよな。もしかしてお前らもグルになってまた碌でもねえこと企んでんじゃねえのか?」

(!! 絶対にそんなことはしない! コノハナだって、自分なりのやり方で罪を償おうとしてるんだ! コノハナのことを……悪く言うなっ!!)
 ▼ 21 ジラーチ@キトサン 16/01/26 19:24:52 ID:29Cz6oVM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
フォッコはスリーパーを更に強く睨み付け、身体中から炎を吹き上げて相手を威嚇しました。

(眠ってるフシギダネを庇いながら戦うのは難しいかもしれないけど……相手も一匹ならどうにかなる!)

「おっと、威勢の良い奴だな。だがちょっとはお仲間の心配もした方が良いかもしれないぜ?……くらえ、悪夢っ!!」

「…ぐっ!?……う、ううっ……!」

(ふ、フシギダネ!? 急に苦しみ始めた…!)

「悪夢にうなされ始めたな。早く治してやんねえと、どんどん体力が奪われていっちまうぜ?」

(こ、この…!)

「まだ戦う気でいるのか? 無駄だな、ここに来てるのは俺だけじゃねえんだからな。…お前ら、出て来い!」

スリーパーがそう叫ぶと、遠くの岩陰に忍んでいたポケモン達がたくさん現れてフォッコ達を囲むように近づいてきました。彼らの表情はみな怒りに満ちているようで、フォッコの身体に戦慄が走ります。

「生活を奪われたのは俺だけじゃなく、こいつらも同じなんだ。もう二度とコノハナの奴とその仲間に悪事をさせないため、叩きのめそうって決めたんだ。覚悟しろよ!」

(…っ! 流石にこのポケモン全員を相手に戦うのは分が悪い…! フシギダネも守らなくちゃいけないし…)

ますます苦しみが増していくフシギダネの様子を見たフォッコは、スリーパー達に気付かれないように後ずさりの姿勢をとりました。

(ここは…逃げるしかないっ!)
 ▼ 22 ズルズキン@しんぴのしずく 16/01/26 21:59:31 ID:29Cz6oVM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
フォッコは大量の火の粉を口から吐き出して敵の視界を遮りました。そして相手が怯んでいる隙に、フシギダネを背中に乗せて一目散に出口を目指して走り出します。

「チッ、目くらましか! 逃がすな、追うんだ!」

急ぐフォッコでしたが、自分と同じくらいの大きさのポケモンを抱えながら大勢の敵から逃げるのは難しく、何度も攻撃を受けながらも必死に先を目指します。

(うぐっ、苦しい…! と、とにかく村を、村を目指すんだ…! そうすればいくらでも助けを呼べる…そこまで耐えるんだ……!)

薄れそうな意識と走り続けた足の疲れと痛みの中で、それでもフォッコは先を目指して進みました。

(きっともう少し、もう少しで村だ…。フシギダネ、あとちょっとの辛抱だよ…)

崩れそうになる身体に鞭打ち、迫る敵を炎で追い払いながら道無き道を進んでいき、そしてついにフォッコはおだやか村へと到着しました。その頃にはすでに追手は来なくなっていましたが、必死になっているフォッコはそうとは気付かずに尚も走り続けました。

「…おいスリーパー、逃がしちまって良かったのか? トドメを刺すことはできただろ?」

村の入口から少し離れたところで、フォッコ達が村に入っていくのを見送ったスリーパーとその仲間が話をしていました。

「別に命まで奪おうとは思ってねえよ。ただ俺らが苦しんでるってこと教えてやりたくて、ちょっと痛い目に遭わせてやろうと思っただけだ。まあ、腹いせに過ぎないんだけどよ」

そう言っておだやか村に背を向けたスリーパーは、やりきれないといった表情で山脈の方へと戻っていきました。

「…わかってんだよ。あいつら痛めつけたところで、俺らの生活はどうにもならないってことぐらい。じゃあ、俺らの怒りはどこにぶつけりゃ良いんだよ…」
 ▼ 23 エンテイ@こだいのどうか 16/01/27 19:18:37 ID:GeYxWNYg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
スリーパー達から逃れるため、フォッコはおだやか村に着いてからも脇目もふらずに走り続けました。

(こ、ここまで来れば大丈夫かな…。もう追ってくる気配もないな)

体力の限界を迎えたフォッコはふらふらとその場に座り込み、周りを見回しました。眼下にはおだやか村の明かりが見えます。走るのに夢中で気がつきませんでしたが、どうやら村を通り越して大きな木のある丘まで来ていたようです。

(こんなところまで来ていたのか…)

丘を通る夜風の冷たさに身体を震わせながら、フォッコは隣に横たえたフシギダネの様子を見ました。

(…苦しそうな表情は消えてる。悪夢からは覚めたのかな。でも体力はかなり減っているようだし、とても起こせる様子ではないな…)

(そして、自分も…もう一歩も歩けそうにない。少し、ここで休んでから行こう…)

そう思ってフォッコは自分も身体を横たえて瞳を閉じました。しかし先ほどまでのポケモン達の怒った顔が思い浮かんでしまって、胸のあたりがまるで夜風に晒されたようにキュッと冷たくなるのでした。

(……あのポケモン達は、コノハナを許さないと言っていた……おだやか村のみんなが快く彼を受け入れてくれたから、みんながそうするものだとばかり考えていたけど……)

(…石化の恐怖はすぐに忘れられるものではないし、簡単にはコノハナを許すことができないポケモン達がいるのも当然なのかな…)

(…元気付けるはずだったのにな。なんだか、かなしい。罪を償うために頑張ってても、なかなか理解されないのは…仕方ないことだとしても、やっぱりかなしい)
 ▼ 24 メガジュカイン@がくしゅうそうち 16/01/27 22:07:16 ID:GeYxWNYg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
眠れそうにないフォッコは目を開け、村を見下ろしました。家々には暖かな明かりが点き、そこに平穏な生活があることを示しているようでした。とても優しい景色なのに、そんな平穏な生活を奪われたという存在がいることを知ったフォッコはいたたまれない気持ちになり、目を逸らすために仰向けに寝転びました。

(…星が綺麗だな…)

夜の空気に濡れて緑のにおいがする草を枕にして空を見上げると、ちょうど今日の授業で習ったものと同じような星空が見えるのでした。
大小様々な星たちはその輝きで真っ黒な夜空を青く染め、東の空には明るい星の三角形があります。そんな星空の真ん中をを流れるように白い光の帯が川のように南から北へとわたっていました。

(……ジラーチは…あの白い空の帯がみんな星だと言っていたな…)

ところがいくら見ても、それが何もない空間に浮かぶ星の集まりには見えませんでした。あの雲のような白い帯が本当に川で、そこに沿うように小さな林や静かな野原があるように見えて仕方なかったのです。
丘を流れる風は霧にも似た湿度を帯びて、熱くどきどきする身体をひんやりと冷やしていきます。湿った空気がフォッコのまつ毛の先に露のような水滴をつくり、ただでさえ滲んでいた視界が更に波打つ水面のようにあやふやなものに変わりました。

(…あの星はやけに明るいな……あれは…………こと座、だったかな…?)
 ▼ 25 メガカメックス@シャラサブレ 16/01/28 21:38:47 ID:D0G/ZZw2 NGネーム登録 NGID登録 報告
白い光の帯に寄り添って輝くこと座の真っ白な星が、三つにも四つにもなってチラチラ瞬いているように見えます。そこから脚のような光のすじが何回も出たり引っ込んだりして最後には長く長く伸びていきました。ぼんやりとした意識の中で、もう村の明かりまでもがたくさんの星の集まりのように感じられました。

(ここはどこだろう。不思議だな、空のうえに川や野原が見えて、したには星が光ってる)

そしてフォッコはすぐうしろの大きな木がいつしかおぼろげな三角柱の形になって、まるでバルビートの光のようにピカピカと灯ったり消えたりしているのを見ました。それはだんだんはっきりしていって、とうとう凛と動かないようになり、星に青く照らされた空の野原に立ちました。

(…何だ? …光が…溢れて……!)

するとフォッコの目の前がぱっと明るくなりました。まるで今日の星祭りの灯りを全て集めて視界いっぱいに散りばめたというくらい、または億万の星々の輝きが全て化石になってそこらじゅうに沈めたかというくらいに、さあっと眩い光に包まれました。たまらず目蓋を閉じるフォッコは、どこからか聞こえる不思議な声を、かすかに、しかし確かに耳の奥で感じ取るのでした。







───銀河ステーション、銀河ステーション───
 ▼ 26 リザード@ノメルのみ 16/01/29 19:49:08 ID:CVoVKDTA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
─────────

(ここは…どこだろう?)

閉じていた目を開けると、フォッコは大きな部屋にいました。壁は茶色い木でできており、青い絨毯みたいな布を張った椅子が二つずつ向かい合うようにたくさん並んでいて、自分自身もその一つに腰掛けています。黄色い小さな電燈が部屋を薄明るく照らし、そしてこの部屋はさっきからゴトゴトと揺れ続けているのでした。

(わわっ、よく揺れるな、地震かな? でもそれにしては穏やかで規則的だな…)

「ふわ〜ぁ、よく寝た〜」

自分の隣から眠そうな声がするのでフォッコは驚いてそちらを見ると、隣の椅子で眠っていたフシギダネが身体をうーんと伸ばしていました。

「おはよう、フォッコ…あれ? ここどこ?」

フシギダネの意識はだんだんはっきりしてきて、自分達が見たこともない部屋にいるという事実に気付き徐々に驚きが頭を満たしていきました。

「えっ、あれっ!? ほんとにここどこ!? なんか揺れてるし! ボク達どうしてこんなところにいるの!?」

フシギダネはすっかり慌てふためいて、自分達が座る椅子の横の壁際に窓があることに気付いて急いで外の様子を見てみました。すると更に驚いて素っ頓狂な声を上げてしまいました。

「うわあ! 見てよフォッコ! 野原が、野原が動いてる!!」

その声の大きさと言っていることにびっくりしたフォッコは、自分も急いで窓の外を見ました。するとそこから、夜のような紺色に染められた景色の中を、美しい水が光りながら流れる大きな川と、銀色に輝くすすきの野原が右から左へとぐんぐん流されるように動いているのが見えました。その光景に初めは驚いていたフォッコでしたが、思い立ったように窓を開けて身を乗り出してみると、すぐに勘違いに気づきました。

(やっぱりそうだ…野原が動いてるんじゃなくて、自分達のいるこの部屋の方が動いてるんだ!)
 ▼ 27 クチート@じゃくてんほけん 16/01/29 22:12:00 ID:CVoVKDTA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
乗り出した窓からちらりと首を傾けてみると、自分達を乗せた箱のようなものがいくつも連なって、あの大きな川に沿うように真っ直ぐに進んでいくのが見えました。

「そっか…野原が動くわけないよね、びっくりした……でも動く部屋なんて聞いたことないし、ほんとにこれは何なんだろう…」

(……何故だろう…自分は、知っている…いや、覚えている。ガタゴト揺れながらいくつも繋がって走る、この箱を)

(どうしてそう思うのか分からないけど、ずっと前にこれと同じようなものに乗ったことがある気がする)

(そうだ…これは列車だ! きっと自分が人間だった頃に乗ったことがあって、それが記憶の片隅に残ってるんだ!)

フォッコの頭の中で合点がいったのと同時に、窓の外から無数の色の光が漏れ出しました。その光を受けて瞳を七色に輝かせた二匹は、再び窓の外へと視線を移しました。

「凄い…なんて綺麗なんだろう!」

大きな川はガラスや水晶よりも透き通った水を流しながら、光の加減でチラチラと紫色の細かな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりして静かに流れていました。
その岸には一面のすすきの野原が広がり、金や銀の光を宿しながら風に吹かれてさらさらと揺れ動き、穂の波を立てているのでした。
そしてその野原の合間には、あちらこちらに美しい小さな三角の塔が立っていたのです。遠いものは小さくオレンジや黄色にはっきりと輝き、近くのものは大きく青白く霞んで光っていました。それらは三角形や四角形、あるいは稲妻や鎖の形のように様々に並んでおり、まるで息をするように柔らかい点滅を繰り返している風に見えました。
 ▼ 28 リングマ@シーヤのみ 16/01/30 17:31:49 ID:Xyt465s6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
列車が進んでいくすぐ側の短い芝生の中に、月の光で作られたような美しい紫の花がたくさん咲いていました。コップのような形をしたその花は、中に黄色い光を湛えながら風に揺れています。

「綺麗な花だなあ! あんな花は初めて見る。ここから飛び降りて、あれを取ってきたいくらいだよ!」

フシギダネがそう言っている間にも、光る紫の花は窓の外を次から次へという風にたくさん過ぎていきました。湧くように、雨のように目の前を通っていきます。

「ああ、世界地図を持ってくれば良かった! きっとこんな綺麗な所、誰も見たことがないよ! ボク達が一番に地図にこの場所を書き記して、みんなを驚かせることができたのに!」

フシギダネは悔しがりながら、それでも愉快そうに窓から顔を出して煌めく景色を瞳に全て収めようとしました。視界を流れていく光に心を踊らせて高く高く口笛を吹くと、その音に合わせるように川やすすきの波が揺らめきます。

(確かに、見惚れてしまいそうなくらい綺麗なんだけど……自分達はどうやってここに来たんだろう。それに、なんだか不思議な感じだな。不安なわけじゃないけど、なんとなく心許ない感じがするというか…)

フォッコは目の前の景色に少しずつ違和感を覚えはじめました。例えば、こんなにも空気が澄んで雲もないほどに晴れ渡っているのに、空にはひとつの星もなく、ただがらんとした真っ黒い空間がどこまでもと広がっていることです。

「あれ、ほんとだ。月が出てるわけでもないのに、なんで川の水や花が光ってるんだろうね?」

フォッコからそのことを聞いたフシギダネも疑問に思い始めました。それにフォッコは、あの様々に光る三角の塔や紫の花の並び方を、どこかで見たことがあるような気がして仕方なかったのです。

(銀色に輝く大きな川と、散らばったように並ぶたくさんの光……これはまるで……)

(いや、きっとそうだ、自分達を乗せたこの列車は……)

(銀河を走っているんだ!)

ごとごとごとごと、不思議な列車はすすきが風にひるがえる中を、銀の河の水が跳ねて飛沫をつくる中を、どこまでもどこまでも走っていくのでした。
 ▼ 29 ナマズン@ミミロップナイト 16/01/30 20:53:29 ID:Xyt465s6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「君達は、二匹でこの列車に乗ってきたのかい?」

近くから突然声がしたので驚いてフォッコ達が列車の中に視線をもどすと、自分達に向かい合った二つの席に座っている誰かの姿が見えました。

(うわっ!? …さ、さっきから、君達はここにいた、っけ…?)

フォッコから見て左側、フシギダネの向かいにいるのは、身体にいくつもの青く美しい宝石を刻んだ小さな岩石のようなポケモンで、その宝石と同じように澄んだ青色の瞳をこちらに向けていました。そしてフォッコに向かい合って座っているものは、濡れたように真っ黒な上着を着ていて、手足が長く背の高い姿をしていました。

(に、人間…!?)

フォッコの前に座っていたのは、茶色い髪と薄色の肌をした人間の少年だったのです。

「わーっ! 人間だぁーっ! 初めて見たーっ!!」

(わっ。さ、流石に失礼だよフシギダネ…確かに本物の人間の姿を見るのは初めてかもしれないけど…)

思わず飛び上がってしまい、椅子にお尻をぶつけて痛がるフシギダネをびっくりして見つめる青い宝石のポケモンは、少し笑いながら話しかけてきました。

「人間を見たことがなかったのかな? でもこの列車の中じゃ、そんな珍しいものでもないと思うけど…」

そう言われて二匹が車内を見回してみると、彼らの他にも人間やポケモンの乗客がいることに気付きました。人間同士連れ立って乗っている者や、ポケモンを連れて席に座る人間、また一人や一匹で乗っている者達も多く見られました。
 ▼ 30 リオル@あおぞらプレート 16/01/31 03:31:07 ID:.8qdZs/k [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わわっ、こんなに他のポケモンや人がいたんだ。外の景色に夢中で気づかなかったよ」

「ふふ。川沿いのすすきや三角標、リンドウがとても綺麗だからね、それも仕方ないか」

「さんかくひょう? りんどう? りんどうって、あの紫の花のこと?」

「そう、リンドウ。秋の訪れを告げる花だよ」

リンドウと呼ばれた芝生の紫の花のひとつが、その声に応えるように花の底の黄色い光を空気中に放ち、また光を湧かしていつまでも輝いているのでした。

「そうだ、名前を言ってなかったね。私はメレシー。こっちの人間はヤツシロ、私のトレーナーなんだ。この列車の旅の短い間だけだけど、よろしくね」

「ボク、フシギダネ! こっちはフォッコっていうんだ! こちらこそよろしくね、メレシー!」

フシギダネはメレシーとにこやかに挨拶を交わしたあと、ヤツシロと呼ばれた人間にも声をかけました。

「ヤツシロも、よろしくね!」

「────、──!」

「ん? 何て言ってるの?」

ヤツシロが笑顔で何かを言ってきましたが、フシギダネ達には上手く聞き取ることができませんでした。

(…! そうか、きっと自分達はポケモンだから人間の言葉が分からないんだ…)

その様子を見たメレシーは、ヤツシロと目を見合わせたあと再びフシギダネの方を向いて話しました。
 ▼ 31 クロバット@きれいなハネ 16/01/31 06:02:03 ID:.8qdZs/k [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「『同じ列車に乗れて嬉しいよ、これからよろしくね』って言っているんだと思うよ」

「へえ、メレシーはヤツシロの言ってることが分かるんだね! 凄いや!」

「うーん、私にも人間の言葉は分からないから、会話で通じ合ってるわけではないのだけれどね。ヤツシロの表情や声の響く感じから、なんとなく推測してるだけだよ。正確に意思を伝え合うことはできないけれど、お互いの考えてることは大まかになら分かるんじゃないかな。彼はもう私のトレーナーを長いことやってるからね」

「わあ! それ、もっと凄いことだよ! ああそれと、さっきから言ってたけどトレーナーってなに?」

「あ、そうか。人間を見たことがないのなら、トレーナーのことも知らないよね。トレーナーというのはね……」
 ▼ 32 ヒトデマン@あかいウロコ 16/01/31 14:31:58 ID:.8qdZs/k [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからフシギダネとフォッコは、メレシーとお互いの生活や故郷のことを話し合って盛り上がりました。ヤツシロには彼らの言葉は分かりませんでしたが、その様子を楽しそうに笑いながら見ているのでした。

「凄いなあ。まさかポケモンだけが生活して、文明を進化させていった世界があるなんて。人間が一人もいないっていうのも不思議な点だね」

「ボクもびっくりしたよ! 人間がポケモンと一緒に生きてる世界では、たくさんの人を乗せて空を飛ぶ機械や、いろんな場所の景色を映す箱とか、いっぱい発明があるんでしょ!」

「そうだよ。今乗ってるこの列車だって、きっと人間の発明品だ。…でも、不思議だよね。そんな全く違う世界に住む私達が、同じ列車にこうして居合わせてる」

「ほんとだ…考えてみればそうだよね。もしかしてこの列車は色んな世界に繋がってたりするのかな?」

フシギダネは外の美しい銀河の景色に向けていた視線を、列車の中に移しました。車内のポケモンや人間達は実に様々な格好をしていて、みな思い思いの表情で窓の外の天空を流れる星の川を見つめていました。

「あと、そっちではメレシーとヤツシロみたいに、たくさんの人間がトレーナーとしてポケモンと当たり前のように手を取り合ってるっていうのも、ボクびっくりしたんだ!」

「そうかな? もうずっと人間と一緒にいるから全然気にしたこともなかったけど、よく考えたら凄いことなのかもしれないね」

「うん! 人間とポケモンのパートナーかぁ……あれ? でも、」

フシギダネは何かを思い出したように、隣に座るフォッコを見ながら言いました。

「よく考えたらボク達もそうだったよね?」

「えっ?」

メレシーは驚いたようにフォッコとフシギダネを交互に見て、その言葉の意味を確かめるように瞬きを繰り返しました。

(ふ、フシギダネ…!)

「え? あっ! つい言っちゃった、どうしよう!」
 ▼ 33 ジバコイル@ねばりのかぎづめ 16/01/31 19:49:14 ID:.8qdZs/k [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
しまったという風に二匹は顔を見合わせ、ヤツシロは急に焦り出したフォッコ達を不思議そうな表情で見ていました。

(ま、まあ…自分達の世界では多くのポケモンが知ってることだし、隠す必要もないんだろうけど……別に知られて困ることでもないし)

「…まあいっか、言っちゃおう。…ええと、とても信じられない話かもしれないけど…こっちのフォッコ、実はもともと人間だったんだ。色々な理由があって、ポケモンに転生して人間の世界からボクらの住む世界に来たんだよ。元の世界でのことは覚えてないらしいけどね」

その話を聞かされたメレシーは青色の丸い目を見開いて、ポケモンであるフォッコと人間であるヤツシロの姿を見比べていました。

「…どこからどう見てもフォッコだけど…驚いたな。それじゃあフォッコは、ポケモンになる前は私達の世界で人間として生きていた、ということになるのかな」

「うーん…そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。人間が生きてる世界が、ひとつだけとは限らないからね。……あれ? ボク達の話を信じてくれてるの?」

当然のように話を飲み込んで自分なりの考えを述べたメレシーに、フシギダネは驚いて尋ねました。

「今までもたくさんの不思議なことや奇跡を経験してきたから、何が起きても有り得ないなんてことはないんだと思ってるんだ。もちろん君達のことも信じるよ。現に、違う世界に住んでいた私達がこうして同じ空間で話をしているんだから。それに君達が嘘をつくような子には見えないしね」

メレシーは笑いながら言いました。笑う度にその身体の宝石が色々な角度から外の光を反射するので、フォッコ達の周りはいつも明るい青色に染まっているのでした。

「それにしても、世界を超えて生まれ変わるフォッコかあ…もしかしたら、君の存在が私達をこうして引き合わせたのかもしれないね」

(えっ?)

「二つの世界を行き来してるから、もしかしたら君が複数の世界を繋ぐ鍵になってるんじゃないかと思ってね」

(…………)
 ▼ 34 ベイリーフ@デボンボンベ 16/01/31 22:11:15 ID:.8qdZs/k [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
すると、にわかに列車の中がぱっと白く明るくなったので、三匹と一人は誘われるように窓に顔を近づけました。川の水はダイヤモンドや草の露の輝きをめいっぱい集めたように光りながら静かに流れ、その流れの真ん中に、ぼうっと青白く後光の差したひとつの島が見えるのでした。
その島の頂点には、眼も覚めるような立派な白い十字架が立っていました。凍った雲から氷山に差す朝日のように澄んだ輝きを放ちながら、それは静かに、けれども永遠を感じるほど凛としてそこに在りました。

「わあ…真っ白でとても綺麗だね…。なんだかバッテンをナナメにしたみたいな形をしてるけど、宝石か何かでできているのかな?」

眩しさに眼を細めてそう呟くフシギダネに、白い光を浴びて身体の宝石を薄水色に照らされたメレシーが答えました。

「あれは、北十字。北の空にある4つの明るい星を結んでできる、夏の星空のシンボルだよ。あの北十字が見えてきたということは、もうじきスワンナの停車場に着く頃かな」

「スワンナの…停車場?」

「地図を見せてあげようか。ヤツシロ、ちょっと貸してもらってもいいかな」

視線で地図を指し示したメレシーにヤツシロは分かったという風に頷いて持っていた地図を広げ、フシギダネ達はそれを覗き込みました。
その地図は夜のように真っ黒で、その上には停車場や三角の塔、泉の水や森、それから先ほどの十字架などが青や白や橙色の美しい光で表現されて散りばめられているのでした。そして、列車の進む道が白く表された大きな川の左の岸に沿って示されていました。
世界のどこにだって無いような不思議な地図なのに、フォッコとフシギダネはどこかでこれを見たことがあるような気がして仕方ありませんでした。その中に大きな川に差し掛かるようにして輝く明るい星の三角形を見つけ、ついに思い出したフシギダネは言いました。

「これ、ジラーチが作った星座の図にそっくりだ!」

ほら見て、夏の大三角! と、その部分を前足でなぞるフシギダネ。メレシーとヤツシロは顔を見合わせ、吹き出すように笑って言いました。

「そっくりも何も、この地図は星座の図そのものだよ。何故なら私達は銀河を進む鉄道列車に乗っているんだから」
 ▼ 35 ペリッパー@すごいつりざお 16/02/01 19:19:25 ID:SJQ3IRDk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
(やっぱり、この列車は銀河を走っていたんだ……自分達は空の野原に来ているんだ)

そうしている間に、十字架の島はだんだんうしろの方へ移っていきました。向こう岸にもすすきが生えているらしく、息を吹きかけたようにさあっと銀色に煙るのでした。また、リンドウの花が草に隠れたり出て来たりを繰り返すのが小さな星の瞬きに見えました。
どれほども経たないうちに、川と列車の間はすすきの列で遮られ、北十字の島はざわざわと穂の波に隠れてとうとう見えなくなってしまいました。

「…話が逸れてしまったね。もうじき、スワンナの停車場に着くんだ。この地図によると、さっきの北十字のすぐ近くにあるみたいだよ」

「へぇー。さっきから思ってたけど、スワンナの停車場って変わった名前だね。スワンナがいたりするの?」

「この銀河の道で、ちょうどスワンナ座のあたりに位置する場所なんだ。うん、きっとスワンナの群れが美しく飛んでいく様子が見れると思うよ」

そう言ってメレシーは何かを思い出すように瞳を閉じて天井を仰ぎ、そういえば、と話を続けました。

「私もヤツシロも、スワンナを見るのが本当に好きなんだ。綺麗な湖の上を、何羽ものスワンナが鏡のような湖面にその姿を映しながら優雅に飛んでいくのを、ヤツシロと一緒に見たことがある。昨日のことのように覚えてるよ。だから銀河の遠くをとんでいたって、きっと見える」

咳き込むような早口で話すメレシーに、フォッコ達は少し驚いてしまいました。

「ああ、ごめんね。懐かしくてついたくさん話してしまったよ。君達もスワンナを見たことはある?」

「うーん、ボク達の仲間にもスワンナはいるけど……メレシーの言ってるのとはだいぶ違う感じだな。なんか昔は宿屋のママさんだったらしくて、けっこうサバサバしててちょっとやさぐれた感じかな」

「ぷっ、あはは! あんな綺麗な姿からは想像もできないよ。所変われば同じポケモンでも違った個性を持ってるんだね」

明るい談笑の声が響く中、列車の揺れ方がだんだん緩やかなものになっていきました。窓の外を白い柱や規則的に並んだ電灯が過ぎていき、ついに列車は大きな時計の前で止まりました。
 ▼ 36 エビワラー@アクアスーツ 16/02/01 21:15:07 ID:SJQ3IRDk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
時計の短い針は11を、長い針は12を指しています。ヤツシロは三匹に見えるように12のところを指差し、それから4のところを指差しました。

「あの長い針が4のところにくるまでの間、この列車は止まるみたいだね。他の人やポケモンが降りていくよ」

そう言われて振り返ると、乗客たちはみんな一斉に降りたらしく車内はがらんとしていました。

「ボク達も降りてみようよ!」

「そうしよう。それじゃ、時間になったらまたここで」

三匹と一人は列車のドアを飛び出し、誰もいない改札口を抜けて停車場の外へ出ました。それからメレシーとヤツシロは小高い丘になった広場の方へと向かい、フォッコとフシギダネは河原に向かいました。

「ボク、あの川の水に触ってみたかったんだ! きっと凄く綺麗で冷たくって、気持ちいいんだろうな!」

ガラス細工のような木々が立ち並ぶ道をフォッコ達は駆けていき、ついにあの列車からみた川の淵に来ました。水に近づこうとした時、足元がキラキラしていることに気付いたフシギダネはその砂を前足に少し取ってじっくりと見つめました。

「見てよフォッコ。この砂、みんな水晶でできてる。しかも中で小さな炎が燃えてるみたいに光ってるよ」

フォッコも同じようにして砂を覗き込むと、透明の粒の中に生き物のような光が揺らめいているのが見えて、まるで小さなランプのようだと思いました。

「これ持ってかえろうよ! ボク達がここに来た証として、みんなに見せてあげるんだ!」

フシギダネは背中のタネからツルを出し、水晶の砂を器用に一握り分掴みました。
 ▼ 37 マグマラシ@リゾチウム 16/02/02 20:37:22 ID:F2RtXtss NGネーム登録 NGID登録 報告
それから二匹は川の水の間近に来て、その水面を見てみました。それは空気のように透き通っていて、本当にそこにあるのかと疑問に思うほどに澄んで川底の水晶の粒を見せていました。フシギダネは恐る恐る前足を近づけ、あるところでビクリと前足を上げて飛沫を作りました。

「ひゃっ、冷たい! ほんとに水なんだね!」

パシャパシャと水面を弾くように前足を動かすと、小さな星座でも出来たかというくらいに光る水の球が飛び散り、銀の波紋が何重にもなって広がっていきました。

(こんな綺麗な水は初めて見るよ。この水は一体どこから来て、どこへ行くんだろう)

川上の方を見てみると、紺碧の水が星の瞬きのような小さな波を立てながら音もなくこちらに流れてくるのが分かりました。暗い空と水面を分ける水平線が銀の糸のように見え、また川と並ぶようにして生えたすすきが風に吹かれて黄金色に波打つので、まるで二つの川が流れているようでした。

「もしボクにゴルダックみたいな水掻きやトサキントみたいなヒレがあったら、この川を自由に泳げるのにな!水中からこの景色を見てみたらどんな風に見えるんだろう!」

フシギダネがそう言ったとき、突然丘の方から弾くような羽ばたきの音が聞こえました。二匹は驚いてそちらの方を振り返ると、たくさんのスワンナが地上から飛び立ち空を渡っていくのが見え、まるで真っ白な雪が地上から天空へ降っているようでした。

「わあっ! スワンナ達の飛ぶ姿が川に映って、すっごく綺麗だね! ……あれ、あの丘の上に居るのってメレシーとヤツシロかな?」

丘の上には空を見上げる二つの小さな影があり、その上を白銀のスワンナの群れが雨のような音を響かせながら飛んでいくのでした。

(きっとそうだ。あの丘の上からなら、スワンナの群れを間近で見れる。彼らにとって大切な思い出の景色が、ここでもう一度見られて良かったね)

群れの最後の一羽が空に飲まれるようにしてその姿を消した頃、フシギダネは思い出したように叫びました。

「あっ! もうそろそろ列車が動く時間じゃないかな? 乗り遅れたら大変だ、急ごう!」

フシギダネとフォッコは頷き合い、来た道を走りました。硬い岩のような道を急いで駆けているのに二匹の息は切れることなく足取りは軽やかで、まるで風のように走ることができたのです。

(あのスワンナのように、空を飛んでるみたいだ。こんな風にして走れるなら、世界のどこへだって行けてしまいそうだ)

河原に沿うように駆けていくと、電灯を光らせる停車場が近付いてきました。二匹は飛び込むように停車場へ入っていき、やはり誰もいない改札口を抜け、大きな時計の下を通って列車に乗り込みました。
 ▼ 38 ミロカロス@かいのカセキ 16/02/03 18:50:57 ID:rxzcodXM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おかえりフォッコ、フシギダネ」

自分たちの席に戻ると、すでに先に帰っていたらしいメレシーが声をかけ、ヤツシロが手を振りました。

「帰ってたんだね! スワンナの群れ、凄かったねえ! 丘の上からだったらけっこうハッキリ見えたんじゃない?」

言いながら二匹は元の席に着き、再び向かい合うように座りました。

「うん、とてもよく見えたよ。スワンナの身体についてる水滴が光ってるのが見えるくらいにね。空の群れを見上げて、川に映った群れを見下ろしてたらまるで空の真ん中にいるみたいだった。きっとずっとあの景色を忘れないよ」

「見るの楽しみにしてたもんねえ! 何だかボクも嬉しいよ!」

「はは、ありがとう。君達は河原の方に向かっていったよね」

「うん! なんかキラキラする木の道を通って、水晶の砂がある川まで行ったんだ! 水が透き通ってて冷たくて、もうあんな綺麗な水見たことないってくらいだった! 君達は河原の方には行かなかったの?」

「…うん。海とか川とか、深い水のあるところはちょっと怖いんだ」

「ふーん…あ、そっか! メレシーは岩タイプだから水が苦手なんだね!」

「うん、まあそんなところかな」

「それでね、そこでその水晶の砂を拾ってきたんだ! 見て見て、透明で中に何かが燃えてるみたいで不思議でしょ?」

フシギダネは背中からツルを出して、その先に乗せた水晶の砂をメレシー達に見せてあげました。

「ほんとだ。こんな砂は初めて見る。色んな色の光が灯って、一つ一つが小さな星みたいだね」

ツルを戻そうとしたフシギダネに手を挙げて待つように示したヤツシロは、上着のポケットから小さな袋を取り出し、砂をその中に入れてフシギダネに渡してあげました。袋を小脇に置いたフシギダネはお礼を言うようににっこり笑いかけ、ヤツシロもまた首を傾けて笑い返しました。
 ▼ 39 デスマス@ソクノのみ 16/02/03 22:21:57 ID:rxzcodXM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
大きな時計の長い針が4の文字を指し、列車は静かに動き出しました。時間が経つにつれてだんだん速くなっていき、窓の外から川とすすきが変わりばんこに光るのが見えます。

「次に私達が向かうのは、ウォーグルの停車場だよ。もうすぐスワンナ座の終わりを示す、アルビレオの観測所が見えてくるよ」

「アルビレオ? それってポケモン?」

「いや、星の名前だよ。川の真ん中に水の速さを測る建物があるんだけど、その上を二つの光の球が巡るように廻ってるんだ。それがスワンナ座の先に位置する星、アルビレオ。ほらっ、見えてきたよ」

窓の外を見ると、四棟ほどの建物の上に目も覚めるような青色の球とオレンジ色の球が浮かんでいました。それらは互いを追いかけるように水面と平行に廻っていて、たまに月と太陽のように重なると二つの色が混ざって緑色に光るのでした。

(スワンナ座の、青とオレンジの星…そういえばジラーチの星座の図では、スワンナの瞳があれと同じ色をしていたな…もしかしてあれがそうなのかな)

「何だかバルビートとイルミーゼが光りながら踊ってるみたいで、楽しそうな星だね! それにしても、メレシーは星について凄く詳しいよね! 星の勉強をしていたの?」

「いや、勉強というほどでもないよ。ヤツシロの家には彼のお父さんが集めた本がたくさんあって、中でも星座の本がお気に入りで暇があれば一緒に読んでたんだ。私は文字が読めないからヤツシロが声に出して読んでくれて、最初は分からなかったけど何度も聞くうちに星座の名前を覚えていったんだ」

「そうなんだ。だから地図を見ただけで、次の停車場の名前が分かるんだね」

「本で読んだのとそっくりだったからね。ずっとこの星座の図の中を旅してみたいと思ってたから、今ここにいるのが凄く嬉しいんだ」

そのとき車内の一番奥にある扉が突然開いて、そこから黒くてぴしっとした制服を着た人間の男が出てきました。その肩には像のように身動きひとつしない、赤い瞳のヨルノズクが乗っています。人間の方が車内に向かって何かを話し出すのと同時に、ヨルノズクも口だけを動かして話し始めました。

「ホー、ホー、切符を拝見いたします。切符を拝見いたします。乗客の皆様、お手元に切符をご用意下さい」

言い終わると彼らは車内の通路を通り、座っている者たちから何やら小さな紙を受け取り、少し見てからすぐ返すという動作を繰り返していました。どうやら人間の乗客は男の方に紙を渡し、ポケモンの乗客はヨルノズクの方に紙を渡しているようでした。
 ▼ 40 コイル@おいしいみず 16/02/04 19:40:14 ID:01h1uRZk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
(き、切符…!? そんなもの持ってないよ…そもそも最初にここに来たとき改札口なんて通ってないし…)

「あのヨルノズク達なにしてるのかな…あれ? フォッコどうして焦ってるの?」

フォッコは慌ててこの列車に乗るには切符という小さな紙が必要だったこと、ヨルノズク達が切符を持っているか確かめてまわっていること、それがなければ自分達はここから降ろされるかもしれないことを小声でフシギダネに伝えました。

「ええっ! それは大変だよ、どうしよう! もうヨルノズク達が来ちゃう!」

そう言っている間に男とヨルノズクはフォッコ達の席の隣に立ち、三匹と一人を見下ろして言いました。

「ホー、ホー、切符を拝見いたします」

するとヤツシロはポケットから二枚の小さな紙切れを取り出し、ひとつを人間の方へ、もうひとつをヨルノズクの方へ差し出しました。

「ホー、ホー、結構です。拝見いたしました。それでは良い銀河の旅を」

ヤツシロに紙切れを返したヨルノズクはフォッコ達の方を見て、次はあなた方の番ですと言う風に視線を投げかけました。二匹は焦ってごそごそと手元を探り始めました。

「こうなったら何か代わりになるものを……あ、これどうかな、ラプラス大陸便のパスポート!」

(た、確かに似てはいるけど…大丈夫かな……でも他にどうしようもないし、何も見せないで降ろされるよりはマシかな…)

もうどうにでもなれとでも言うように、フシギダネは風の大陸行きのパスポートを、フォッコは草の大陸行きのパスポートを渡しました。
ヨルノズクはそれを受け取ると、しきりに首を色々な角度に動かして、赤くぎらっとする目をくるっくるっと回しました。フォッコは、何だかその様子をどこかで見たことがあるような気がしました。

「ホー、ホー……こちらの切符は、どちらからお持ちになられましたか?」

何度もパスポートを裏返したり逆さまにしたりして観察していたヨルノズクが、二匹に問いをかけました。

「え、えっと…ずっと前から持ってたっていうか…そもそもボク達どこから乗って来たか覚えてないし…」
 ▼ 41 コリンク@じめじめこやし 16/02/04 22:15:09 ID:01h1uRZk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……ホー…ホー…よろしゅうございます。拝見いたしました。それでは良い銀河の旅を」

ヨルノズクはそう言ってパスポートを二匹に返し、男の肩に乗って行ってしまいました。

「よ、良かったのかな…? あっち行ったし、もう良いんだよね……ふぅ〜っ、助かったぁ〜」

(ほ、本当にこれで通っちゃったよ…一体何だったんだろう)

安堵の溜め息を吐いた二匹は、不思議そうにして大陸便パスポートを見つめました。そうしていると、フォッコ達が座る席の隣の通路から今度は何だかガラガラした、けれども親切そうな声がしました。

「ちょいとすいやせん、お二方。さっきあの車掌さんに見せていた切符、ちょーっと見せちゃくれやせんか?」

驚いてそちらを見ると、茶色の少し汚れた上着を着て、白い布で包んだ荷物を肩にかけた赤ひげの人間のおじさんと、白い毛を身体中から生やして黒っぽい顔をした四つ足のポケモンが立っていました。するとポケモンの方が続けて言いました。

「あ、いや盗っちまおうってわけじゃありやせんぜ。何せ見たこともねえ柄の切符だったんで、どこまで行く切符なのか気になったんでさあ。もちろん、無理にとは言いやせん」

フォッコとフシギダネは顔を見合わせ、白い毛のポケモンが怪しいものではなく、またこれが切符ではないことを告げ口しようとしている様子でもないのを何となく感じ取ったので、恐る恐る二枚のパスポートを渡しました。

「ありがとうございやす。…おお、こいつは大したもんだ。こいつは実際、どこにだって行ける切符ですぜ。そりゃあもうこの銀河鉄道のどこまでも、いやもしかしたら天の上にだって行けちまうかもしれん、どこだって勝手に歩ける切符だ。お二方、これをお持ちだなんて大したもんですね」

「…そ、そうなの?」

(うーん…海を渡るためのパスポートなんだから、この列車には関係ないはずのものなんだけど…)

何となくきまりの悪くなったフシギダネ達は視線を逸らし、向かいの席の様子を見ました。そちらではヤツシロが赤ひげの人間と話しているようでした。にこやかに喋っている様子でしたがヤツシロが何かを言った途端、赤ひげの人間が一瞬だけこらえるような辛そうな表情をして、それから大きなガサガサの手でヤツシロの頭をくしゃくしゃと撫でていました。

「こいつはお返ししやす、大切にお持ちになってくだせえ。いや、失礼、名前を言ってなかった。わっしはトリミアンと申しやす。隣の鳥捕りの人間と一緒に、鳥ポケモンを捕まえるのを生業にしてるんでさ」

「そうなんだ。ボクはフシギダネで、こっちはフォッコ。それからあっちはメレシーと、人間のヤツシロだよ。よろしくね」
 ▼ 42 レジスチル@むげんのふえ 16/02/05 19:12:55 ID:OH2oPtto [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
トリミアンは皆に会釈をして、パスポートをフォッコ達に返してあげました。

「ところで、鳥ポケモンを捕まえるって言ってたよね。悪さをする鳥ポケモンを捕まえてるの?」

「いんや、わっしらは警察じゃあありやせんからね。捕まえたやつを商品にするんでさ」

「ええっ!? ポケモンを売っちゃうの!?」

「ええ。そうさな、さっき切符を見せてくれたお礼に、皆さんに商品を少しお分けしやすよ」

そう言ってトリミアンは鳥捕りの男に袋の中身を出すよう促し、肩から下ろされた白い袋を開きました。するとそこには、身体を小さく小さく縮めたスワンナやオニドリル、ヒノヤコマやヤミカラスといった鳥ポケモンがくちばしを揃えて並んでいました。それらは少し平べったくなって、みんな目を閉じています。

「ひっ! これってもしかして、し、し…しんで…」

「もちろん死んでまさあ。そうじゃなきゃ、こんな行儀良く並んで収まってるわきゃあありやせんぜ」

「うわぁーっ!!」

フシギダネは大きな悲鳴を上げて咄嗟にフォッコの後ろに隠れ、前足で目を覆いました。しかしフォッコやメレシー、それにヤツシロは冷静な表情で袋の中身を見ていました。

(ちょっとびっくりしたけど…多分これは、本物の死体じゃない。だいたいオニドリルやスワンナがこんなに小さいはずないし、生きてるみたいに毛並みが綺麗だ。きっとよくできたおもちゃか何かなんだ)

「これは…ただの標本というわけでもなさそうだね。一体何のためにこれを売っているのかな?」

フォッコはフシギダネの耳元でおそらくこれらが死体ではないだろうということを小さな声で囁きました。メレシーは平べったい鳥ポケモン達を一通り見回して、トリミアンに問いをかけました。

「はは、もちろん、食べるんじゃありやせんか」
 ▼ 43 フワンテ@おおきなねっこ 16/02/05 21:17:16 ID:OH2oPtto [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「えーっ!? 食べちゃうの!?」

フォッコの後ろで恐る恐る目を開けて見ていたフシギダネが、また素っ頓狂な叫び声を上げました。

「はっはは! さっきから大きな声で叫んでみたり顔を隠してみたり、面白いお方ですなあ!」

「うー…ボクには君の方がよっぽど面白いよ、色んな意味で……ポケモンを捕まえて食べるために売るなんて、なんだかぜんぜんわからないもん…」

「私も不思議に思ってたんだ。普通の猟だとは思えない…一体どうやってポケモンを捕っているんだろう」

「そいつはな、造作ない。こういった鳥ポケモン達はみんな、今まさに窓から見えてるあの川の砂が溜まったところから、ぼわっと産まれてくるんでさ」

言いながらトリミアンは窓の外の美しい川を示しました。フシギダネは横に置いた袋の中を覗いて光る水晶の砂を見てみましたが、とても信じることができませんでした。

「そいつは飛び立っていくんですが、いつか必ず川へ帰ってくるもんでね、わっしらは河原で待ってるんです。すると鳥ポケモン達は脚を揃えて降り立とうとするんでねえ、そいつらが地べたに着かないうちにわっしが押さえつけてやるんです、ピタッとね。するともうそいつらは安心して死んじまうんで、それをこの鳥捕りの人間が袋に詰め込むんでさあ。あとはもう、押し葉にしてやるだけです」

最後まで聞いていましたが、やっぱりみんなトリミアンの話を信じることができない様子でした。

(もしかして自分達のことを子供だと思って、作り話をしてるんじゃないのかな……)

「そうやってできたのがこの袋の中の商品なんでさ。どら、ひとつおあがりなさい」

トリミアンがそう言ったのと同時に、鳥捕りの男がオニドリルの脚を軽く引っ張りました。するとまるで熟した木の実が枝から離れるときのようにぷつっと容易く千切れるのでした。全部で四つ千切って、それぞれフォッコ達に渡してあげました。

「え、えーと…ボクは良いよ…そうだ、フォッコ! 先に食べなよ!」

フシギダネがぎこちない笑みを浮かべてフォッコに勧めている間に、ヤツシロが意を決したように目をつぶって脚を口に入れました。
 ▼ 44 バオッキー@きれいなハネ 16/02/06 17:18:40 ID:RCtsNsVw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
するとヤツシロは驚いた顔をして、すぐに晴れやかな表情に変わりました。それから三匹に向かって頷いてオニドリルの脚を指差しました。

(美味しいから食べてみろってことなのかな…)

それを見たフォッコとメレシーが勢いよく口に入れ、少し遅れてフシギダネがゆっくりと齧りました。

(…! ほ、ほんとに美味しい…まるで砂糖でできてるみたいで、こんなものは今まで食べたことない……やっぱりこれはお菓子か何かだ。こんな味のオニドリルが飛んでるはずがない)

「あ、あれ? 美味しい!」

「そうでしょ。ささ、もひとつおあがりなさい。ほら皆さんも」

驚きの声を上げたフシギダネに、トリミアンは嬉しそうに目を細めてさらに商品を千切って分けてくれました。

「え、い、いいの? ありがとう」

それを受け取りながらもフシギダネには何か思うところがあったようで、思い切って尋ねてみました。

「ねえトリミアン、その…これって本物のオニドリルじゃなくて、お菓子なんじゃないの?」

「……! おおっといけねえ、ここで降りなけりゃあ」

やはりフォッコと同じことを考えていたフシギダネがそう言うとトリミアンは何か大変慌てふためいた様子で、鳥捕りの男と連れ立って荷物を持ったかと思うと、もう見えなくなってしまいました。

「あれ? トリミアン達、どこに行ったんだろう」

フォッコとフシギダネが顔を見合わせているのと、ヤツシロがクスクス笑いながら窓の外を指差すので二匹もそちらを見ました。するとたった今までそばにいた鳥捕りとトリミアンが、黄色と青色の美しい微光を出す河原の芝生の上に立っていました。鳥捕りは大真面目な顔をして、大きく両手を広げています。

「わっ、見てフォッコ、あんな所にいる! いつの間にあそこに…まさか、本当に鳥ポケモンを捕まえに行ったのかな…? それにしたって、早く戻ってこないと列車が行っちゃうよ…」
 ▼ 45 フローゼル@エスパージュエル 16/02/06 20:41:17 ID:RCtsNsVw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
フシギダネがそう言った途端、濃い紫色の空からさっき見たような鳥ポケモン達が、まるで細かな霧の雨が降っているかのように降りてくるのでした。
それらが脚を揃えて地に着こうとしているところをすかさずトリミアンが飛びついて捕らえ、それを受け取った鳥捕りが袋に入れていきました。袋に入ったオニドリルやスワンナはしばらく星のように青白く瞬いたあと、ぼんやりと白くなって、ついにはゆっくりと目を瞑りました。

「フォッコ…、人間って凄いんだね。急にあそこまで飛んでったり鳥ポケモンを簡単に捕まえたり、魔法みたいなことができるんだ…」

(い、いや…人間のことを詳しく覚えてるわけじゃないけど、少なくともあんなことができる人間はいないんじゃないかな…一体どうなってるんだろう…)

鳥捕り達の手捌きは素晴らしいものでしたが、それでも無事に地に降り立つ鳥ポケモンの方が多いようでした。それらは脚が砂に着いた瞬間、水に溶ける泡のように砂地に広がって、二、三度明るくなったり暗くなったりを繰り返すうちに、もうすっかり地面と同じ色になっていきました。
鳥捕りはだいたい20羽くらい袋に入れ終わると満足げな表情を浮かべ、急に両手を広げました。と思ったらもうそこには彼らの姿はなく、すぐ横の通路から聞き慣れた声がするのでした。

「ああ、やはりこの天の川で捕れる鳥ポケモンは上等ですなあ」

フォッコ達はびっくりしてそちらを見ると、鳥捕り達は捕まえてきたものをきちんと揃えて一つずつ重ね直していました。フシギダネは今起きていることが当然であるような、当然でないような、おかしな気がして思わず問いかけました。

「ねえトリミアン、君達どうやってあそこからいっぺんにここへ来たの?」

「どうやってってそりゃあ、来ようとしたから来たんでしょうよ。そんならあなた方は、どちらからおいでになったんですかい?」

フシギダネは返事をしようと思いましたが、自分がどこから来たのかどうしても考えつきませんでした。メレシーとヤツシロも、何かを思い出そうとしているような難しい表情をしています。

「ああ、遠くからですね」

トリミアンはそう言って造作もないという風に頷きました。その時、窓の外から小さな光が漏れたので皆がそちらを見てみると、三つ並んだ青白い三角の塔が見えました。

「もうじきウォーグルの停車場に着くんだね」

外の景色と地図を見比べてメレシーが言いました。フォッコは、通路で嬉しそうに荷物をまとめている鳥捕り達がどうしても気になるのでした。河原で捕れるお菓子のような鳥ポケモンを振る舞う不思議な彼らに、もうたくさんのことを訊きたいと思いました。

(どうしてこのような商売をしているのか。本当にこのお菓子みたいなポケモン達を売っているのか、何か別の目的があるんじゃないか。そして彼らはどこから来てどこへ行くのか……訊きたいことが頭の中で混ぜこぜになって、上手く言葉にならないな。何て声をかけよう…)
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