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【SS】Archive

 ▼ 1 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:07:27 ID:XbokfX8k [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
VIP席の豪奢なソファーに深く腰掛ける3人の女性は、部屋内に設置されている巨大なモニターを見上げる。


モニターにはそれぞれのベッドに横たわる男女2名……トウヤとトウコの姿が映し出されている。



シキミ「……そろそろ今回のお二人は起きる頃ですか?」


カトレア「ええ。だから準備する必要があるわ。」


マコモ「こっちはいつでも準備オッケーよ!」


シキミ「それではお願いします。ああ!待ちきれません……!」


シキミ「トウトウを揃えるのは特に大変でしたから。でもこれでようやく求めていた物語をこの目で見ることが出来ます!」


マコモ「じゃあそろそろ始めよっか!」


白衣の女性が合図をすると、男女2人が眠っている部屋に桃色の煙が充満し出した……。


すると豪華絢爛な寝室が、瞬く間に極東の夏祭りの風景へと姿を変えた。
 ▼ 37 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:40:23 ID:XbokfX8k [2/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコはベッドの端っこで膝を抱えて座っている。


目線は何もない床を見つめていて、見るからに落ち着かない様子だ。


今日はこれまで浴衣姿、水着姿とみてきたけど、トウコが普段着でこんなしおらしくしているのが一番ぐっと来ている。


……とはいえぼくも緊張していてなかなか一歩先に踏み出せない。



カトレア「はぁ……早く始めなさいよ。今なら余裕で行けるわよ。」


シキミ「身もふたもないこと言わないでください。この時間こそ楽しいものですよ。」
 ▼ 38 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:41:14 ID:XbokfX8k [3/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……このままじゃいけない!ぼくから声をかけよう!


トウヤ「隣……いいかな?」


トウコ「うん……。」


ぼくはベッドの端から端へとゆっくりと移動し、トウコの隣に座った。



トウコは小刻みに体を震わせ、こちらの方を向く。


トウコ「……今からしようとしていることって、そういうことでしょ?」


ぼくはその言葉を聞き、自制が効かなくなって思わずトウコの肩を押した。


トウコの体が柔らかいベッドに深く沈み、強張った表情でぎゅっとシーツを掴む。


トウヤ「……いい?」


ぼくは息が触れる所までトウコに顔を近づけた。


3人「おお……!」


モニターから見守る3人は人前ではとても見せられない緩み切った顔になっている。
 ▼ 39 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:42:06 ID:XbokfX8k [4/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
後数mmで触れるかどうかという所まで近づいた所で、突如ぼくの体は宙を舞った。


床に身を打ち付けようとした時、何か柔らかい感触が背中を伝い衝撃が和らいだ。


……え?どうして?一体何が起こったの?


トウコ の ともえなげ!


こっ恥ずかしさが頂点に達したトウコは、咄嗟にぼくの体を投げてしまったようだ……。


トウコ「助けてもらっておいて本当に申し訳ないけど!こういうのってもっと知り合った時にやるものというか!」


トウコ「なんていうか今は何かやらされている感じがするの!そんなのじゃなくてもっと自然に……あれ?トウヤは?」


トウヤ「う……うーん……。」



カトレアは深いため息をついてさっきまで3人で座っていたソファーにうつ伏せになって倒れた。


髪の毛の量からさながらモップのようだ。


カトレア「ハァ〜ッ……。そっちがヘタれるのね。そのパターンは考えていなかったわ。」


マコモ「そんなぁ……あとほんの少しだったのに……。」
 ▼ 40 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:42:52 ID:XbokfX8k [5/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「あっ!ごめんなさい!大丈夫!?……ねえ?その下にいるの何?」


トウヤ「……そういえばあんまり痛くなかったな。……これは!?」


ぼくの下敷きになっていたのはムシャーナだった。


ムシャーナ「むにゃあ……。」


今は夢を見る代わりに目をぐるぐると回して気絶しているようだ……。


ムシャーナ……?いや待てよ?そういうことだったのか!


トウヤ「トウコ。ぼくらがさっきまで見ていたものの正体が分かったかもしれない!」


トウヤ「ムシャーナの出すゆめのけむりだ!夢の跡地ってところで見たことがある!」


トウコ「それってどういう効果?」


トウヤ「人やポケモンの夢に出てきたものを実体化させる効果があるんだ。」


トウヤ「ぼくの時はこんなに精巧じゃなくて、ゲーチスを実体化させてプラズマ団員を追い払っていたけど……。」


トウコ「それじゃ……誰かがわたし達に夢を見せてこの部屋で動かしていたってこと?」


トウヤ「目的はわからないけど……多分そうだね。」
 ▼ 41 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:43:42 ID:XbokfX8k [6/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「……許さない!わたしをおもちゃみたいに扱う真似して!」


トウコ「今すぐこの部屋から出て家の主を探すわよ!」


トウヤ「……この家から脱出じゃなくて?」


トウコ「それだけじゃ足りないわ!もし今のやり取りが全部見られていたらどうするのよ?」


トウヤ「まあ……ちょっと恥ずかしいね。」


トウコ「そうでしょ?だから懲らしめにいくわよ!トウヤもついてきて!」


ぼくはどっちかというと仮にみられていたとしても今の所感謝の気持ちの方が大きいけど……。


トウコがこれほど怒っているのなら協力するか……。


トウコ「……あれ?この部屋のドアのカギ元々開いていたわ。」


トウヤ「不用心だね。ぼくらがこの部屋から出ない想定だったのかな?」


トウコ「蹴破ってでも出たかった気分だけどね。この家を隈なく探しましょう!」
 ▼ 42 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:44:12 ID:XbokfX8k [7/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シキミ「これは……少々まずいことになってしまいましたね。」


マコモ「少々どころじゃなくない?イッシュで一番強いトレーナーがアタシ達を探しにくるけど?」


マコモ「しかし誤算だったなー。ムシャーナがあの子達の意識がある状態で見つかっちゃうなんて。」


カトレア「……相手がどんな実力者であろうと、記憶がある状態でこの館の外に出すことはできないわ。」


シキミ「それにまだ”抽出”も終えていませんからね。大丈夫です。もとより正攻法であの二人と戦う気なんてないですから。」


カトレア「仕方がないわね。それでは再度眠らせに行きましょうか。」


マコモ「アタシも戦えないけどお供するわ!」
 ▼ 43 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:45:24 ID:XbokfX8k [8/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ぼくらがいた部屋の外は、大きな窓や吹き抜け、著名な画家が描いていそうな絵画、いまにも動き出しそうな大きな銅像等いかにも豪邸ですといった具合の内観だった。


かなり広々とした空間で全てを探し出すのは困難だと思ったけど、存外部屋数自体は少なくて、見て回ることはそれほど難しくはなかった。


考えられない話だけど、この館は本当に今のぼくらのように夢を見せるだけの目的で建てられたのだろうか……?



探し出すこと数十分。ぼくらはある部屋の前にたどり着いた。


室名札には「保管庫」とだけ金文字で記載がある。


トウコ「『保管庫』?何が保管されているの?もしかして今まで攫ってきた人達がこの中にいるとか?」


トウヤ「考えたくないけどあり得ないことじゃなさそうだね……。」
 ▼ 44 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:46:03 ID:XbokfX8k [9/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「でも今更ひるまないわよ。もしそうなら誰かが中で見張っているかもしれないわ。」


トウヤ「慎重にいこう……。まず開いているのかな?」


ぼくはゆっくりとお洒落なドアハンドルを押した。どうやら開けっぱなしのようだ。


ドアの隙間から覗き込む限り人はいない。ただ……無数の桃色の光が点在している様子だ。


トウヤ「誰もいないみたい……。」


トウコ「気を付けながら入りましょ。」


ドアの隙間から見た桃色の光の正体は全て、大きなカプセルケースに詰められたゆめのけむりだった。


この部屋もまたかなり広いけど、それを埋め尽くすぐらいの数のカプセルケースが部屋の両側に立ち並んでいる……。
 ▼ 45 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:48:41 ID:XbokfX8k [10/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「これ……全部ゆめのけむりってやつなの?」


トウヤ「わからないけど多分……。」


ぼくはそれぞれのカプセルケースにラベルが張られていることに気づいた。


トウヤ「これは……!」


何気なく見たカプセルケースのラベルには「ノボリ×クダリ」という文字の記載がある。


ぼくは血相を変えてラベルに印字された文字だけを端から端まで確認した。


『チェレン×ベル』『フウロ×カミツレ』『N×チェレン』『ゲーチス×N』『N×アデク』……。


その他にも無数のイッシュ地方のカップリングがタグ付けられていた……。


トウヤ「なんてことだ……。もしかしてこの組み合わせは全てぼくらと同じように連れてこられたのか……?」


トウヤ「そうだとしたらN捕まりすぎだろ……。」
 ▼ 46 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:49:42 ID:XbokfX8k [11/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ぼくは『N×アデク』のラベルがついたカプセルケースのガラスに手を当てた。


触れた瞬間漂う桃色のゆめのけむりがNとアデクさんの姿を形成する……。


「アデク」背後からNがアデクの肩を掴んだ。
「お前にチャンピオンは似合わない」
Nの暗い眼差しにアデクの体がピクッと震えた。
「え、N君」
だが、それ以上アデクはなにも言えなかった。アデクの口をNの唇が塞いでいた。
Tシャツの下にNの手が入ってくる。
ブラ……


……なんだこれは!これは本当にぼくの知っているNとアデクさんの話なのか?
 ▼ 47 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:50:58 ID:XbokfX8k [12/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「……ねえここ何?見たことがない変な掛け算みたいな暗号ばっかりなんだけど。」


トウヤ「トウコは見ない方がいい!!」


ぼくは実体化した『N×アデク』のカプセルケースを隠すように立った。


トウコ「えっ……?わかったわ。なんか嫌な予感するし。」


トウコが回れ右をしたのを確認してから、その先にあるラベルを調べると……。


信じられないことが書いてあった。


『チェレン×トウヤ』『N×トウヤ』『ノボリ×トウヤ』『クダリ×トウヤ』『ナツミ×トウヤ」


トウヤ「嘘……でしょ……。」


ぼくは腰の力が抜けてへなへなと倒れこんでしまった。


これらが示すことは一つ。一部の記憶が欠落している理由にも繋がる。


ぼくは……既に何度かここに連れてこられたことがある……。


そして恐らくは、さっき見たようなことをゆめのけむりを利用して……。


とてもじゃないけどカプセルケースに触れて内容を確かめる気にはなれない。
 ▼ 48 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:51:40 ID:XbokfX8k [13/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「トウヤ!大丈夫!?」


倒れこんだぼくを見てトウコが駆け寄ってきてくれた。


トウヤ「やっぱりぼく……ここに来たことが何度もあるみたい……。」


トウコ「……え?」


シキミ「ここにいましたか。いかがでしたか?アタシの妄想の保管庫〈アーカイブ〉は。」


トウヤ「シキミさん……!カトレアさんとマコモさんまで!」


カトレア「閲覧するのは自由だけれど、アタクシの館から許可なく出ることは禁止しているわよ。」


マコモ「悪く思わないでね?」


3人のカプ厨はムシャーナを引き連れて既に保管庫の入り口前を陣取っていた。
 ▼ 49 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:52:13 ID:XbokfX8k [14/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「……探す手間が省けたわ。ここは何なの?一体何が目的でこんなことしているの?」


トウヤ「ここにあるゆめのけむりを全て破棄してください!」


シキミ「アーカイブの破棄……は出来ない相談ですが、ここがどういう所か。また行動理念については説明致しましょう。」


シキミ「まずこちらはカトレアさんが提供してくださった別荘の一つ。アタシたちの間では『夢の館』と呼んでいます。」


シキミ「ちなみに昔アタシが開設していた夢小説サイトも館と末尾についていましたね。懐かしい話です。」


トウコ「そんなことは聞いていないわ!」
 ▼ 50 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:52:45 ID:XbokfX8k [15/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シキミ「何が目的といわれると……どこから話せばいいのでしょうね?」


シキミ「小説家というのは連ねる言葉に力を込める職業ですが、不思議なもので自分の作品の映像化を求めてしまうものなのです。」


シキミ「少なくともアタシはそうでした。結局のところ視覚から得る情報はあるに越したことがないのですから。」


シキミ「そして誰しもが、自分の描いた妄想が現実のものにならないかと夢想したことがあるはずです。」


シキミ「アタシはある日『夢』を題材に小説を書くため、夢についての造詣の深いマコモさんを取材することがありました。」


マコモ「それが最初の出会いだったね。もう懐かしいな。」
 ▼ 51 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:53:28 ID:XbokfX8k [16/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シキミ「取材中にこの人はアタシと同類だということにすぐに気が付きました。」


シキミ「どうしても話し方や挙動からわかってしまうものなのです。念のためアタシはマコモさんにこんな話をしました。」


シキミ「『キズぐすりとすごいキズぐすりの関係って胸の大きさを気にする末っ子を優しく諭す長女みたいですよね。』と。」


トウコ「……一体何を言っているの?」


マコモ「『絶対すごいキズぐすりってピンク髪のおっとり系お姉さんだよね!』って返したよね?」


シキミ「そうです。そこでこの人には遠慮なく話せると確信しました。」


完全に思考が腐っている……!
 ▼ 52 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:55:00 ID:XbokfX8k [17/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マコモ「ムシャーナのゆめのけむりの媒体は人やポケモンが見た夢ってことはもうアナタには話したことあるよね?」


マコモ「この調子でこの人毎日夢の中でも妄想しているからムシャーナのご飯に困らないんだ!」


マコモ「その夢を実体化することでついさっきアナタたちが体験したようなものを見せられるってわけね。」


トウヤ「……それは部屋からムシャーナが見つかって自分で気が付きました。」


シキミ「ええ。それはずっと見ていましたので。でもあれは別の目的もあったのですよ。」


トウコ「やっぱりずっと見ていたのね……!」


シキミ「お二人に見せたのはあくまでアタシの夢で見たものです。」


シキミ「でも全て行程を終えた後に二人が見た夢の内容が見ることが出来たならば!それは素敵なことじゃないですか?」


マコモ「今保管庫にあるゆめのけむりの媒体は、実は全て連れてきた人が実際に見た夢なのよ。」


じゃあさっき見たのは、Nかアデクさん自身が実際に見た夢なのか?
 ▼ 53 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:55:35 ID:XbokfX8k [18/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シキミ「しかもムシャーナに夢を食べてもらう過程でその日の記憶がなくなるおまけつきです。アタシはこれを『抽出』と呼んでいます」


カトレア「だから貴方達が今起きて部屋の外に出ているのは正直誤算よ。まあだから直々に後始末にきたのだけど。」


シキミ「取材の段階ではそういったことが理論上出来るねという話をしただけです。」


シキミ「ただいくら脚本と夢の抽出が出来ても、計画を実行に移すには人を攫うための人員も収容場所もありません。」


シキミ「しかも一連の流れを誰にもバレないように遂行しなければならない。まさに夢物語といえるでしょう。」


シキミ「でもどうしても夢をかなえたい。このサイクルが完成すればアタシは無限に夢を生み出すことが出来ますから。」


シキミ「アタシは一か八かポケモンリーグの同僚のカトレアさんに協力を要請しました。」
 ▼ 54 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:55:59 ID:XbokfX8k [19/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カトレア「……正直に言うと今まで全く触れたことがない文化だったわ。」


カトレア「でもシキミが熱心に人と人が濃厚に混ざり合う小説を紹介してきて、寝る前に読んでいるうちに……その時間が素敵なものに感じられるようになったわ。」


カトレア「今ならシキミさんの言っていることの殆どが理解出来る。」


トウヤ「いい話風に語っていますけど……。」


カトレア「でも不思議なものね。昔CP(キャッスルポイント)を扱っていたのに今ではCP(カップリング)にドハマりするなんて。」


トウコ「全然うまくないわよ。」
 ▼ 55 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:56:21 ID:XbokfX8k [20/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カトレア「アタクシはこの館をシキミたちに提供することを決めたわ。別にいいのよ。別荘なんて他にいくつもあるのだから。」


カトレア「更に人を攫っていたのも元の場所に返していたのもアタクシの執事のコクラン。今までに足がついたことがない見事な仕事ぶりよ。」



トウヤ「もしかしてぼくの所持金が知らない間に増えていたのも……。」


カトレア「いわば出演料よ。まだ手をつけていないみたいだけど1本10万円ぐらいとっておきなさいな。」


これ……ぼくが同性との絡みで入ってきたお金だったのか……。
 ▼ 56 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:57:19 ID:XbokfX8k [21/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シキミ「以上がこの館で行われていることです。ご理解いただけますと幸いです。」


トウコ「ふざけないで!こんなこと認められるわけがないわ!」


シキミ「お言葉ですがこのサイクルって誰か損している人がいるのでしょうか?」


シキミ「アタシたちは当然性欲を満たせます。ムシャーナはおなかいっぱい食欲を満たせます。」


シキミ「呼ばれた人は金銭を受給し、その場の記憶も残りません。」


カトレア「あと抽出したゆめのけむりを外に持ち出すことはしないからそこは安心して頂戴。」


確かに……記憶が残らないのなら損をした感じはしないのかもしれない。


割のいい小規模な5億年ボタンみたいな。いやあでも知人の男と勝手に絡まされているんだよな……。
 ▼ 57 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:57:42 ID:XbokfX8k [22/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「それで納得出来ると思うの?あんた達の手で見世物を作ることを正当化しないでよ!」


トウヤ「……やっぱりぼくも納得は出来ません。仕組まれた環境で仲を急速に深めるというのは、過程をすっ飛ばしてしまった気分になります。」


トウヤ「後10万円って額が生々しすぎます!」


シキミ「それは悪いことをしてしまいましたね。ではここであったことは全て忘れてまた自力で親密度を上げてください。」


カトレア「そうしたらまた会いましょう。ではおやすみなさい。」


???「そんなこと できるのか?」


♪勝利は目の前!

 ▼ 58 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:58:06 ID:XbokfX8k [23/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
白いテンガロンハットに保安官のような服。そしてこの恰幅。


間違いない!Nの城の時と同じだ!あの男がやってきた!


トウヤ「ヤーコンさん!?どうしてこんなところに!?」


ヤーコン「まだくたばってなかったか!トウヤ!」


マコモ「アナタ……ホドモエの……!?」


ヤーコン「フン!オレさまだけじゃない!」


そうだ……!あの時もイッシュのジムリーダーを一斉に引き連れてかけつけてくれた!
 ▼ 59 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:58:57 ID:XbokfX8k [24/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「ヘイ ユー!ミーが来たからにはもう心配アリマセーン!」


シジマ「いっとくが わしは強いぞ!」


テッセン「わっはははは!このテッセンがかけつけてきたぞい!」


マキシ「おまえの攻撃を全部受け止めたうえで勝利するからかかってこぉい!」


トウガン「このわたし トウガン!若者の壁として相手をしてくれようぞ!」




トウヤ「なんだこのメンツ!?」


ヤーコン「オレさまのコネで集めたジムリーダーの野郎たちだ!」


カトレア「そんなあまりカップリングで見かけることがない方々を呼んで何をする気?」


ヤーコン「おいおまえたち!手当たり次第既存のカップリングに混ざれ!奴らのアーカイブを台無しにしろ!」


一同「うおおおお!!」
 ▼ 60 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:59:20 ID:XbokfX8k [25/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヤーコンが招集したジムリーダーは一斉にそれぞれのカプセルケース散らばり、思い思いのカップリングに介入していった!


マチス「ミーも仲間に入れてくだサーイ!」

『チェレン×ベル×マチス』


シジマ「今日から24時間特訓だ!」

『フウロ×カミ×シジマ』


テッセン「わっはっは!見所のある若者の出現じつに頼もしいことじゃ!」

『N×チェレ×テッセン』


マキシ「あーあーあー リングは オレのうみ〜♪」

『ゲーチス×N×マキシ』


「ポケモンジムにきたときのきみは もっとぎらぎらとしていた!」

『N×トウヤ×トウガン』
 ▼ 61 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/24 23:59:48 ID:XbokfX8k [26/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カトレア「即刻おやめなさい!無関係のネームドトレーナーが既存のカップリングに絡んでこないで頂戴!」


マコモ「やめて!それならまだモブトレーナーの方がましよ!」


トウコ「なんでそんなにダメージが入っているのよ……わけがわからない世界だわ……。」


シキミ「これ以上の蛮行は止めなければなりません……!」


シキミ「カトレアさん!マコモさん!もう後のことは一旦考えなくても構わないので、部外者を全員眠らせましょう!」


カトレア「ムシャーナ!さいみんじゅつ!」


ムシャーナ「むわ〜ん!」


ムシャーナは目をかっと見開き、四方八方にさいみんじゅつの輪を放った!


カプ厨達はもはや手段を選んでいない!人間にポケモンの技を直に当てることを厭わないようだ。
 ▼ 62 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:00:17 ID:JWXQyPTw [1/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「早くムシャーナを黙らせないと!」


トウコが手持ちのモンスターボールを構えた瞬間、さいみんじゅつの輪がトウコに直撃した!


トウコ「…………!!」


トウヤ「トウコ!……ッ!?」


それに気を取られた隙にムシャーナの二の矢のさいみんじゅつがぼくに当たってしまった……。


体がだるい……。瞼が重い……。眠気で考えが纏まらない……。


このままじゃ……今日は何もなかったことになってしまう……!


ヤーコン「おまえ達!しっかりしやがれ!クソッ!仕方ねえ!あれをやるしかねえか……。」
 ▼ 63 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:01:53 ID:JWXQyPTw [2/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヤーコンは深く腰を落とし、腹に力を入れる態勢を取り出した。


ヤーコン「食らって目覚めろ!ヤーコンバースト!」


巨大な放屁音とともに、部屋全体に強烈な異臭が瞬く間に広がった。


くっ……!この世のものとは思えない!目を覚ますどころかそのまま意識を失ってしまいそうな激臭のオナラだ!


しかしそのオナラのおかげで一気に意識が引き戻された!


トウコ「ゲホッゲホッ!何食べたらこんな臭いになるのよ!最悪!」


トウヤ「今は我慢して!状態異常対策持ってる?」


トウコ「ええ!心当たりがあるわ!」
 ▼ 64 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:02:16 ID:JWXQyPTw [3/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウヤは ドレディアを くりだした!

トウコは エルフーンを くりだした!


トウヤ「ドレディア!いやしのすず!」


清涼感のある鈴の音が辺りに鳴り響く。もはや眠気は綺麗さっぱりなくなった!


カトレア「あのドレディアから先に眠らせるわ!」


トウコ「させない!エルフーン!しんぴのまもり!」


周囲は神秘のベールに包まれ、ムシャーナの催眠術を完全にシャットアウトした!


マコモ「わっ!ど、どうしよう!」
 ▼ 65 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:02:49 ID:JWXQyPTw [4/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウヤ「戻れ!ドレディア!」 トウコ「戻れ!エルフーン!」


トウヤは サザンドラを くりだした!

トウコは シャンデラを くりだした!


トウヤ「サザンドラ!あくのはどう!」


トウコ「シャンデラ!シャドーボール!」


サザンドラが放った紫色の拡散波動と、シャンデラの放った黒弾はムシャーナを捉え、一瞬にして戦闘不能状態に陥らせた。


そしてその戦闘中に、ヤーコンさんが呼んだジムリーダー達は、ケースの中に入ったゆめのけむりを全て外に出し、貯蔵されていたゆめのけむりは文字通り雲散霧消となった……。
 ▼ 66 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:04:12 ID:JWXQyPTw [5/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「もう降参しなさい!数でも実力でもわたしたちの方が上よ!」


カトレアは手をわなわなと震えさせ、その長い髪を逆立たせている。


カトレア「アナタ達自分で何をしたか分かっているの!?これだけ集めるのにどれだけの手間暇をかけたと思っているの!?」


カトレア「ハァ……!あまりの怒りで久々に力が暴走しそう……!」


シキミ「止めてくださいカトレアさん!」


カトレア「だって……!アタクシ達のアーカイブが!」


マコモ「そうだよ!ゆめのけむりの復元は出来ないんだよ!?」


シキミ「もう十分に見たじゃないですか。作品は頭の中に残っていればいいのですから。」


シキミ「今後何を作るかが大事なのです。これからも協力しあって今までのように新しい物語を紡いでいきましょう。」
 ▼ 67 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:05:02 ID:JWXQyPTw [6/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カトレア「……それもそうね。別荘も他にあるし、拠点を別地方に移すのも手ね。」


ヤーコン「おい。何次がある前提で話を進めていやがるんだ?」


ヤーコンさんがそういった直後、床に転がったけむりだまが白い煙を吐き出し、部屋を瞬く間に覆い尽くした!


コクラン「カトレアお嬢様!只今お迎えに上がりました!」


カトレア「遅いわよコクラン。それでは迎えも来たことだし皆様ごきげんよう。」


マコモ「次はどの地方にいこっかなー!アローラ地方とかいいかも!」


シキミ「トウヤさん。トウコさん。本日は素晴らしいものを見せていただきありがとうございした。」


トウコ「待ちなさいよ!」


シキミ「アタシたちの妄想がつきない限り、創作活動に終わりはないです。場所を変えて、方法を変えて、いつまでも続けていく所存です。」


シキミ「そのことを”ゆめゆめ”お忘れなきよう。」
 ▼ 68 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:05:58 ID:JWXQyPTw [7/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
3人のカプ厨と1人の執事は白煙の向こうへと消えていった……。


言ってることただの腐女子なのに何か最後ラスボスっぽかったな……。



煙が収まり視界が少しずつ戻っていく。


これでひと段落済んだことになるのかな?それにしてもヤーコンさんはどうやってここまで駆けつけてきたのだろうか。



ヤーコン「フン!とんだ災難に巻き込まれたな!」


トウコ「ほんとよ……。わたし人生で一番今日が疲れたわ……。」


トウヤ「あの……プラズマ団の城の件に続いて助けて頂きありがとうございました。」


トウヤ「ところでどうしてここが分かったのですか?」
 ▼ 69 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:06:31 ID:JWXQyPTw [8/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヤーコン「そりゃおめえ仲のいい2人組が少しの間消える事象が多発したら疑問に思うってもんだろうが!」


ヤーコン「それも一度や二度じゃねえ。警察の目はごまかせてもオレさまの目の黒いうちはごまかせねえ。独自に調査させてもらった。」


ヤーコン「館の場所は突き止めて、そこで何が行われているのか把握したのはつい最近の話だ。」


トウヤ「それでは元々館に来る予定はあったということですか?」


ヤーコン「ああ。そしたら偶然おまえとそこの嬢ちゃんが先についていた。」


ヤーコン「正直貰ったなと思ったぜ。逆にオレさま達だけならどうなっていたか。」


トウコ「でも貴方達は直接の因縁はないでしょ?どうしてわざわざ首を突っ込んできたのよ。」
 ▼ 70 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:07:48 ID:JWXQyPTw [9/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヤーコン「オレさまはあいつらのやり方が気に入らなかったんだ。」


トウヤ「やり方?」


ヤーコン「てめえの妄想のためにナマモノ連れてきて実際に動いて貰うってやり方だよ。」


ヤーコン「そんなものはもう妄想じゃねえ。妄想でシコるならてめえらの中で完結しろ。記憶消すにしたって人に迷惑をかけるなって話だ!」


トウヤ「あの……言い分はごもっともですけど……お年頃の女の子もいるので、ちょっとそういう表現は……。」


トウコ「…………。」


ヤーコン「がっはっは!すまねえな嬢ちゃん。まあなんだ。後のことは大人に任せて今日は帰んな。場所でいうと、ここはライモンシティの隣の迷いの森のはずれだ。空飛べばすぐ帰れるだろ。」


トウヤ「ありがとうございます!」


トウコ「ありがとうね。」


ヤーコン「まったく最後まで迷惑かけさせやがるぜ!別荘ごと見切りつけやがって!」


ヤーコン「今夜は令嬢ものだな!そうじゃねえと収まりがつかねえ!」
 ▼ 71 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:08:26 ID:JWXQyPTw [10/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こうして夢の館での騒動は幕を閉じた。


館から出て外観を見たら改めてかなり豪奢なものということがわかって、これを蜥蜴のしっぽ切りに出来るスケールのでかさに舌を巻いた。


空も日が落ちていて、後は気を付けて帰るだけ……なんだけど。



トウコ「こんなに疲れることってあるのね……。高熱出した日に見る夢みたいな出来事だったわ。」


トウヤ「本当にお疲れさま。」


トウコ「トウヤもね。同じ体験をしたんだから。」


トウヤ「それにしても……ぼくらって攫われた人の中で唯一記憶を持ってここから出ることになるんだよね。」


トウコ「……あんまり変なこと思い返させないでくれる?」


トウヤ「ご、ごめん……。」


ぼくとトウコは館の中であったことを一つずつ思い返して、少し顔を紅潮させた。
 ▼ 72 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:09:08 ID:JWXQyPTw [11/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
勇気を出すなら今しかない気がする……!


トウヤ「……あの!もしよかったらでいいんだけどね?」


トウコ「……何?」


トウヤ「今度2人で本当に夏祭りとか海とかいかない?」


トウコ「はぁ……普通こんなことあった後に同じ所行こうと思う?」


トウヤ「そっか……やっぱりだめか。」


トウコ「……ライモンの遊園地。」
 ▼ 73 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:09:27 ID:JWXQyPTw [12/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウヤ「……え?」


トウコ「あそこ実は行ったことないし、そこなら行ってもいいかな。」


トウコ「……一人でいくのもなんだし。」


トウヤ「ほんと!?やった!すごく嬉しいよ!」


トウコ「まあいつかね?都合つく日あったら連絡するわ。」


トウヤ「楽しみにしてるね!」


2人で遊園地にいく約束を取りつけた!


まるで夢の出来事が続いているみたいだ!
 ▼ 74 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:10:03 ID:JWXQyPTw [13/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウコ「……あれ?ちょっと待って!わたし急に思い出したわ!トウヤに怒っていた理由!!」


トウヤ「えっ?えーっと……なんだっけ?」


トウコ「バトルサブウェイのマルチトレインで75連勝中!」


トウコ「トウヤがもう戦えるポケモンいない方のOLの足に見とれて、指示出すの遅れて負けたのよ!完全に思い出したわ!」



……ぼくもうっすら思い出してきた。


重ねた連勝数が連勝数だったから、その場で物凄くトウコに怒られて帰られちゃったんだった……。


それで別離した時にそれぞれ捕まえられちゃったんだな。
 ▼ 75 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:10:30 ID:JWXQyPTw [14/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トウヤ「ああ……あった……ね。」


トウコ「明日朝すぐバトルサブウェイ来なさいよ!また1からやり直しなんだから!」


トウヤ「あの……遊園地は?」


トウコ「元の連勝数に戻すまでなし!遅れたら承知しないから!」


トウヤ「だよねー……。」


夢のような時間は終わり。


これからは現実のぼくが頑張る番だ。
 ▼ 76 3tees◆BQYS6iijv6 25/08/25 00:38:09 ID:JWXQyPTw [15/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
BBS閉鎖が決まる前に既に考えていたSSですが、特定のコミュニティが閉鎖する状況がちょうど重なって見えたので「終わり」のテーマとしてこちらのSS企画に投稿しました。

【SS企画】ポケモンBBS ファイナルラストSS企画 【9/27〆切】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2381088


きっとBBS内のSS書きの方々の中でも、今後も他でSS書くのを続けたり、見る専になったり、完全に離れたり分岐することかとは思います。
ただ私がその全員に伝えたいのは「いつも更新楽しみにしていたぞ」ってことです。皆様お疲れ様でした。
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