▼  |  全表示191   | <<    前    | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】マッシブーンさん、やはりハードボイルド

 ▼ 1 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:33:52 ID:nC86CQtY [1/48] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺の名前はマッシブーン。
知ってるだろ? あのマッシブーンさ。
もし知らないんだとしたら、さっさと回れ右してサンムーンを遊んでこいって話だな。

それにしてもよ、ルビサファリメイクだの、ダイパリメイクだの、ブラホワリメイクだのと、ポケモンプレゼンツがある度に何か発表があるんじゃないかと騒いできたけどさ。
そろそろサンムーンリメイクすら見えてきちゃったよな。
まったく年月の経過ってのは恐ろしい話だぜ。

ま、それについては本題じゃないから別にいいんだが。

俺はとにかくハァドボォイルド(かなりネイティブな発音)な男なんだが、こないだ俺があまりにもハァァァドボォゥイルド(余りにもネイティブな発音)すぎるせいで、妙な事件に巻き込まれちまってな。
そう、今日は皆に聞いてもらいたい話があるんだ。
ちょいと長いかもしれねぇが、我慢してくれ。



あれは1ヶ月前のこと。俺が鏡の前で、見る者を全てを魅了する最強のポージングを練習をしていた時のことだった。

マッシブーン「ふんっ……ふんっ!」

フェローチェ「何やってんの」

マッシブーン「あ?決まってるだろ、日課だよ」

説明しよう。俺の一日は、30分間のポーズ練習から始ま……

フェローチェ「あー待った待った。その説明割愛でヨロシク」

マッシブーン「チェッ」

俺は軽く舌打ちをしたが、フェローチェを批判するつもりはなかった。何故ならば、女の我儘は優しく抱きしめてやることこそが、ハードボイルドの規範ってやつだからな。
 ▼ 2 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:35:30 ID:nC86CQtY [2/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「それで? 何の用だってんだ」

フェローチェ「ウルトラホールがそろそろ開きそうだってネクロズマさんが言ってたんだ。また異世界に行けるってことだよ」

マッシブーン「ふふ、そうかいそうかい」

俺たちが今いる世界……。仮にここをウルトラワールドと呼ぶとしよう。ハッキリ言ってここは、あまりにも退屈な場所だ。

何てったって、この俺のハードボイルドを理解してくれる奴があまりに少ないのだ。

だが時たま、ウルトラホールと呼ばれる、異空間に通ずる穴が開くことがある。
それを使えば、ウルトラワールドとは全く価値観の異なる世界に遊びに行くことだって出来てしまう。

フェローチェ「次に開く穴は、第1117世界に続くルートらしいわ。滞在可能な期間は2週間。それを過ぎるとこの世界に戻れなくなるよ」

第1117世界……確かあそこは、ポケモンと呼ばれる我々に似た生物が主権を握る世界。はたして、俺のハードボイルドが通じるかどうか……。
 ▼ 3 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:36:30 ID:nC86CQtY [3/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「ポケモンか……。前に図鑑で調べてみたが、カイリキ―という生物にはなかなか見どころがありそうだぜ」

フェローチェ「ふーん、とにかく筋肉があったらハードボイルドなの?」

マッシブーン「チッチッチィ、お前は何も分かっちゃいないようだ。筋肉だるまだからってハードボイルドなわけじゃねぇのさ」

フェローチェ(筋肉だるまのアンタがそれを言う?)

そして、翌日。
ネクロズマさんの言う通り、ウルトラホールが開放された。
楽しみだ。これから訪れる世界で俺は、どんなハードボイルドと出会うことができるのか。
ワクワクが止まらず、俺の大胸筋もぴくぴくと震え、喜びを表現しているんだぜ。

マッシブーン「……」ヒュオオオ…

おや、風が吹いている。これは、俺を新たなハードボイルド世界へと誘う道標だというのか。

フェローチェ「この風、アクジキングの寝息ね」

アクジキング「ブオオオオ……ZZZ」

マッシブーン「ふっ……無呼吸症候群には気を付けろよ! アクジキィング!」

カミツルギ「ヒューッ!流石ハードボイルドォ!!」

フェローチェ「何なのそのノリ」
 ▼ 4 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:37:41 ID:nC86CQtY [4/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ネクロズマ「皆さん行きますよ! 亜空間嵐に巻き込まれないよう気を付けて!」

これはいつものことだが────ウルトラホールに身体全体を埋めると、ひどい酔いを覚える。
身体も、意識もグルグル回転を始める。
だが、この苦行を乗り越えて初めて、夢の広がる異世界に行けるのだ。


回る……回る、回る……グールグル回る……。

いや、回り過ぎじゃないか?

あ、吐きそう。


ふと……生前の親父が言っていた言葉を思い出した……。


親父ブーン「マッシよ……ハードボイルドたるもの、危機的状況である時ほど、ハッタリと威勢を張るものだ」

親父……なるほどな!
今こそハードボイルドの見せ所ってわけだ!
俺は……俺は……。

マッシブーン「ハードボイルドだあああああああっ!!!」

マッシブーン「ゲロボロエエエエエエエエエエエッ!!!」
 ▼ 5 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:39:19 ID:nC86CQtY [5/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
気が付くと、周りには誰もいなくなっていた。
異世界に転移する最中で、はぐれてしまったようだ。

しかしこの回転、なかなか止まらないな。

マッシブーン「もう吐くモノも無くなってきたぜ……オエ」

あともう少し。あともう少しで転移も終わるはずなんだがな。


あ、意識も……薄れ、て━━━━━━━━。
 
 ▼ 6 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:42:09 ID:nC86CQtY [6/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
????「この方、大丈夫かしら……。呼吸はしているようだけど」

????「仕方ないわよ、かなり高い所から落ちて来たみたいだから」

マッシブーン「……む、む……う、うおっ!!」

キルリア「あ、起きましたわ!」

ミミロル「あのぉ、大丈夫ですかぁ?」


マッシブーン「……ここは」

キルリア「ここはマシャラの街ですわ」

マッシブーン(なるほど……気絶してる間に異世界に来てしまったのか)

その後、キルリアやミミロルというポケモンに事情を聞いてみた。
どうやら彼女らが買い物をしている最中、晴天の空から俺が降ってきたらしい。

晴れ時々、ハードボイルドってやつだな。
まぁめちゃ面白ジョークはさておき、彼女らは飛来してきた俺を介抱してくれていたというわけらしい。
なんて優しいガールなんだ。
最近の若者はどうしただの、最近の子のせいで治安が悪くなったよねだのと、世の大人はよく嘆くことを趣味としているようだが、世界ってのは捨てたものじゃねぇよな。

マッシブーン「世話をかけたな……感謝する」

キルリア「どうもお構いなくですわ!!」

ミミロル「そこは、どういたしましてでしょ……」
 ▼ 7 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:43:43 ID:nC86CQtY [7/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「何か、お礼が出来ればいいのだが……」

?????「キャー――ッ!!」

ミミロル「この悲鳴って……」

キルリア「サーナイト姉さまですわ!!」

マッシブーン「……ふむ」ガバッ

淑女の悲鳴を聞き、俺はベッドから起き上がった。

助けを求める者がいたならば、一目散に駆けつける。それがハードボォイルド。

「起きても大丈夫なんですか」と、心優しきミミロルに心配されたが、俺の体調はすこぶる快調。
建物から出て、悲鳴が聞こえた路地裏の方へと走った。

するとそこにいたのは、何ともイカつい顔をしたワルビアル、ココロモリ、ペルシアンの3匹だ。ムサい野郎どもが寄ってたかって、サーナイトを恫喝していたのである。

まったくよ、男の風上にも置けねー。
 ▼ 8 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:45:12 ID:nC86CQtY [8/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ココロモリ「ふざけんじゃねえってんだぁよ!!」

サーナイト「や、やめて、暴力だけは……」

ペルシアン「アンタがダスト金融に大量の借金があんのは分かってんだろ? さっさと返さねえと……風呂で身体を売ってもらうことになっぞ、オイ!!」

サーナイト「……うぅっ」

ココロモリ「あれだな!あの施設の子供たちも、見せ物小屋とかに出しちゃえばァいいんじゃねえの!?」

サーナイト「そ、それだけはっ……!!」

ペルシアン「黙れ……アンタに拒否権はねえんだよ!」



ミミロル「またあいつらだっ」

キルリア「ど、どうしましょう……。このままじゃサーナイト姉さまが……」

ミミロルとキルリアがか細く声を震わせる。

俺の血液が煮えたぎるように熱くなった。


マッシブーン「何だ、あの外道どもは」

キルリア「え……?」ゾクッ

マッシブーン「何なんだ、あの軟弱者たちはぁぁぁっ!!」

一同「「「「!!??」」」」
 ▼ 9 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:47:26 ID:nC86CQtY [9/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ココロモリ「何だいきなり大声でぇ!!」

ペルシアン「ここらじゃ見ねぇ顔だなぁ?」

マッシブーン「借金があーだこーだと嘆かわしい。レディに物を貸すときは……見返りを求めねぇのがハードボイルドだぜ」

サーナイト「あ、あの方は?」

ペルシアン「チッ、部外者に見られたか。面倒だな……。ワルビアル、やっていいぞ」

ワルビアル「へへへッ、その生意気な細長い口、ポキリと折ってやらあ!!」

凶暴なツラをしたデカワニが俺に向かって走ってきた。鋭い牙と爪が迫り来る。
だが、俺がそれを恐れる理由はどこにも存在しない。怒りだけが、俺の感情を支配していた。

マッシブーン「愚弄……犯魑!!」

俺の愚弄犯魑(グロウパンチ)がワルビアルの腹に沈む。
瞬間、奴は泡を吹いて倒れてしまった。

ワルビアル「……あ、あがっ」バタッ

マッシブーン「チッ、ソフトすぎるぜ……外道どもが!」

サーナイト「か、かっこいい」


ココロモリ「そんな馬鹿なっ、ワルビアルッ!!」

ペルシアン「強い……」

マッシブーン「強くなければ、優しくなければ、愛がなければ、生きる資格がない。覚えときな、これがハァドボイルドだぜ」
 ▼ 10 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:49:22 ID:nC86CQtY [10/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ココロモリ「ワケ分かんねぇこと言ってんじゃねーぞ……次はこのオイラがっ!!」

ペルシアン「待て、退却だ……」

ココロモリ「はぁ? なっ、何でだ!!」

ペルシアン「お前じゃ勝てねえつってんだよ……これ以上面倒起こすと、首領にヤキ入れられっぞ!!」

ココロモリ「お、覚えてろよバーカァ!!」


身を翻し、情けない顔で逃げ出す軟弱者どもを視界の端で見送りながら、俺はちょっとした後悔の念に駆られた。

マッシブーン「ふぅっ、これじゃあ俺もダメダメだぜ……」

怒りや感傷といった感情を前面に出し過ぎるようじゃあ、到底ハードボイルドとは言えねえ。
親父がこんな様子の俺を見たら、鼻で笑っていたところだろうな……。

少しして、周囲の野次馬どもが異変に気付いてざわつき出した。それを掻き分け、俺を介抱してくれた先程のガール達と、襲われていたレディが俺の下に駆けつけてきてくれた。

皆が皆、輝いた穢れなき眼で、俺を見つめている。
クッ、俺にはちと眩しすぎるな。


ミミロル「おじさーーんっ!! ねぇ、おじさんってあんなに強かったの!?」

サーナイト「あ……あの、ありがとうございます!! 貴方は一体……」

マッシブーン「まぁ、そう慌てなさんな。一服くらいさせてくれや」
 ▼ 11 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:50:37 ID:nC86CQtY [11/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
俺は持参したポケ豆を片手に、路上に座り込んだ。
果てしない群青の空を見上げ、緑色のポケ豆を静かに吸い尽くす。口の中で、渋い男の味がじわりと広がった。

マッシブーン「俺の名前はマッシブーン……ただの通りすがりのハードボイルドさ」





この一件を経て────
マッシブーンの噂はこの世界における闇社会に、あっという間に広がった。

ワルビアルは元々「喧嘩屋」の異名を持つ手練れであったことも起因し、マッシブーンに興味関心を抱く者が現れてしまったのだ。(ナレーターボイス:銀河万丈)


==========

──ガチゴラス組総本山──

ガチゴラス「……何ィ? あのワルビアルが負けたやと!?」

ビーダル「へい、どうもそいつは見たことのない風貌をした奴らしいでげす……」

==========

──キリキザン一家本部──

キリキザン「強いとはいえど、ワルビアルはただの脳筋……だが、その謎のポケモンは気になるところだな」

コマタナ「我らがキリキザン一家の威信に懸けて、そやつのことを調査しております!!」
  
==========
 ▼ 12 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 15:53:41 ID:nC86CQtY [12/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
──とある路地裏──

グラエナ「ぐふ……こいつ、強ぇ……」

ゴウカザル「おめえが弱いんだよバーカ」

ゴウカザル「てかっ、それよりもよぉ……! プッ! アッヒャヒャヒャッ、ワルビアルが負けたって噂聞いたぜ! こりゃあお笑いだ、あの馬鹿ワニがよ!!」

アブソル「この世は諸行無常……時代が移り変わろうと、それは変わらぬ運命……だ!」キリッ

==========

──反社会勢力、神頂会本社──

ローブシン「ダスト金融の用心棒が負けたのですか……。それはそれは、勢力図が一気に変わりそうですのう」

コジョンド「これから何が起きると思いますか? ローブシン様」

ローブシン「ホッホッホ……とりあえずは、『戦争』でしょうなぁ!」

==========





時代の潮流は激しい変遷を遂げ──容赦なく弱者を呑み込み、強者を削り、尖らせる。
マッシブーンもまた、この流れに巻き込まれてゆくのだろうか……。


第1章、終わり。


フェローチェ「この話、長編だったの?」

マッシブーン「ああ。困ったことによ、リキキリンの首くらい長くなりそうなんだぜ」

フェローチェ(途中で寝ちゃいそう……)
 ▼ 13 ンデツンデ@カジッチュのミツ 25/09/27 15:54:56 ID:KlRsVk5Y NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 14 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:09:15 ID:nC86CQtY [13/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜第二章〜


マッシブーンがワルビアルを撃破したその頃……。



──マシャラタウン中央通り──

フェローチェ「ああん、もう……マッシブーンはどこに消えたのよ!」

カミツルギ「まさか転移途中ではぐれるとは……マッシさんウルトラホールの酔いに弱かったから、心配ですねぇ」

アクジキング「ふわぁぁ……マッシブーンは丈夫だからぁ、どうせどこかで生きてるよぉ。今は今夜の寝床を見つけないとぉ……このままじゃ野宿だよぉ」

デンジュモク「アクジキングの言う通りだぜ。フェローチェさん、マッシの野郎は別の時に探しましょうや」

フェローチェ「そうは言うけど……」

カミツルギ「皆さん鈍いっすねぇ……フェローチェさんが今、どれだけマッシさんを心配していることか……」

フェローチェ「んなっ……ば、バカ言わないでよ! し、心配なんかしてないわよ、あんな奴!」

デンジュモク「……」


フェローチェ「あーあ、もういいわよ! 今日のホテルとか探しましょ! あのハードボイルド馬鹿なんて慌てて探さなくていいもんね! まだ滞在期間は2週間あるんだし!」

カミツルギ(相変わらず素直じゃないなぁ)

デンジュモク「……」
 ▼ 15 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:11:34 ID:nC86CQtY [14/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
デンジュモク(チッ、マッシの糞筋肉野郎が……これ以上、フェローチェさんには近づかせねえからな)

────説明しよう。マッシブーンを皆からはぐれさせた原因は何を隠そう、このデンジュモクなのである。

強いエネルギーがウルトラホールの転移作用を狂わせることがあると知っていた彼は、マッシブーンの周りに雷エネルギーを送った。
マッシブーンはその影響で、予定とは全く違う座標に転移することになってしまったのだ。



では……何故、彼はそこまでして、マッシブーンを強制的に迷子にさせたのだろうか。

そこには、彼の切実な思いが隠されていたのである……。

デンジュモク(邪魔者マッシブーンがいない今がチャンス……。俺は今回、フェローチェさんに愛の告白をする!!)

デンジュモクは、フェローチェに惚れていた。
極論を言えば、今すぐ結婚したいくらいであった。
だが……。

デンジュモク(過去、何度も俺は彼女へのプロポーズを試みた……。しかし!! その全てを!! あの忌々しいマッシブーンに邪魔され続けたのだーーっ!!)

デンジュモク(例えば、あれは今から数か月前のこと……)

  


=========

俺は10年に一度手に入ると言われる珍しい花束を手に入れて喜んでいた……。

デンジュモク(やった……やった! 異世界でついに、希少なグラシデアの花束を手に入れたぞっ……!!)

デンジュモク「これをフェローチェさんに渡して……ついに俺は彼女へのプロポーズを……ぐひ、ぐひひひひ」

これで俺の求婚大作戦は成功する。
そう確信していたのだ……だがッ、その時!!

マッシブーン「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」ヒューーーーーーッ!!

カミツルギ「親方! 空からハードボイルドが!」

デンジュモク「!?」


あのKY筋肉野郎だ……!!
奇想天外で下劣なアイツが、空から落ちてきて、思い切り俺の前で着地したのだ!

しかも、あの醜いポージングまでしながら……!!
 ▼ 16 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:12:29 ID:nC86CQtY [15/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「ハードボイルドだぜぇぇっ!!」

デンジュモク「な、何してるんだ……お前」

マッシブーン「フッ……高所から飛び降りてハードボイルドに着地する練習さ。……なかなかスリリングだった」

カミツルギ「さすがマッシさん! 俺たちにできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる!あこがれるゥ!」

マッシブーン「ところでデンジュモク……。さっきから花びらが周囲を舞ってるが……これは何だ?」


突然のマッシブーンに驚いていた俺は、ようやく我に返り、衝撃的なことに気付いた。
苦労して手に入れたあのグラシデアの花束がッ、マッシブーンが落下してきた時の風圧で、一本残らずッッッッ、散ってしまったのだ!!


デンジュモク「あ? ……ああっ!! 俺の花束がァァァァ……」


=========
 ▼ 17 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:15:53 ID:nC86CQtY [16/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
デンジュモク「許すまじ、あの害虫めッ!! 俺は今回こそっ、『フェローチェさんにプロポーズしちゃって何だかんだ結婚までいっちゃった!?』作戦を成功させるッ!!」


デンジュモク「ブツブツブツ……」



カミツルギ「デンジュモクさんの様子、おかしくないですか」

アクジキング「デンジュモクが変なのはいつものことだよぉ」

カミツルギ「ひどい」
 ▼ 18 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:17:32 ID:nC86CQtY [17/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その頃、マッシブーンはサーナイトの運営する施設に来ていた。

マッシブーン「本当に申し訳ない……。まさか泊めてもらうことになるとは」

サーナイト「どうってことはありません。私どもの施設はまだ部屋がいくつか空いておりますので」

マッシブーン「ところで……施設とは言うが、ここはどういった場所なのだろうか」

サーナイト「はい、ここは身寄りの無い子どものポケモンたちを保護するボランティアの養護施設なんです」

キルリア「サーナイト姉様はね! 全部自費でこの場所を作ったんだよ!!」

マッシブーン「それは凄いな……見返りを求めず、自分の財産を投げうつというのは、なかなか出来ないことだ」

サーナイト「そ、そんな大層な事ではありませんよぉ……///」



ミミロル「ありゃ完璧に「ホ」の字だね……」ヒソヒソ

キルリア「サーナイト姉様にもついに恋の季節が……!?」ヒソヒソ


マッシブーン「それにしても……気になるのは先程の軟弱者たち。あいつらは一体何者だ?」
 ▼ 19 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:19:35 ID:nC86CQtY [18/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
サーナイト「か、彼らは……」

サーナイト「彼らは……ダスト金融と呼ばれる組織の社員です」

マッシブーン「ダスト金融」

キルリア「あいつら酷いのですわ! ここに突然やってきて……!!」

ミミロル「勝手に暴利の借金を組んでいったんだ!! 最低の連中だよ!!」


マッシブーン「借金か、なるほどな……」

ミミロル「でも、この施設に、その元凶となった最低な奴がいるんだよ」

キルリア「ミミロル、お客様にそんな話をすべきではありませんわ」

マッシブーン「?」



???「ただいま」

サーナイト「おかえりなさい……。って、ああっ!」

サーナイト「リオル君、また誰かと喧嘩してきたの!?」

リオル「うっせーよ……アンタには関係ないだろ」


ミミロル「サ、サーナイト姉様にそんな口をきくな……クズリオル!!」
 ▼ 20 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:20:35 ID:nC86CQtY [19/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「……」

ミミロル「何とか言えよ!! お前がっ、私たちの居場所に、あの悪党を連れ込んだんだろ!!」

リオル「……うぜーよ、ミミロル」

ミミロル「う、ううううっ、許さなぁぁぁぁい!!」

サーナイト「こら、喧嘩は止めなさい!!」

ミミロル「……うぅっ、ぐすっ」



サーナイト「マッシブーンさんも見てるんですよ……二人とも、止めて」

リオル「……俺、もう寝るから」
 ▼ 21 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:21:56 ID:nC86CQtY [20/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「ふむ……あのリオルは何者なのかな」

キルリア「リオル君はこの施設の一員。私たちと同じ孤児なんですわ……」

サーナイト「あの子、凄く良い子だったんです。でも、ある日を境に急に荒っぽくなって……」

ミミロル「あいつ数ヶ月前に、ダスト金融のヤクザどもをここに連れて来たんだ」



=======

サーナイト「リオル……その人達は誰なの!?」

リオル「……」

ココロモリ「へっへっへ……俺たちはリオル君の友達さぁ!!そうだろリオル君!!」

リオル「あ、ああ、そうだ……」

ワルビアル「この施設、金に困ってんだろ? ゲハハハ……」

ペルシアン「優しい我々がお金を貸してあげよう。何たって、リオル君と我々は友達だからな!」

サーナイト「そ、そんな……急に言われても」

ペルシアン「さあ、借りるのか!? さあ!!さあっっ!!」

=======



サーナイト「私は、あの圧力に負けて、契約書にサインを書かされてしまった……」

ミミロル「それからというものの、私たちは借金に悩まされる生活」
 ▼ 22 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:23:25 ID:nC86CQtY [21/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
キルリア「すぐに借りた金を返さないと、変態さんの集まるお店に行かせるぞとか、最近はそんな脅しばかりを……!!」

サーナイト「どちらにせよ、あの時、お金を借りてしまった私が悪いんです。きっぱりと断れなかった……」

マッシブーン「むぅ」

サーナイト「ご、ごめんなさい。マッシブーンさんには全く関係ない話なのに……!!」

マッシブーン「いいや……少し、気になってきやしたぜ」ボソッ



その夜────。

リオル「……」

マッシブーン「お前、屋上にいたのか。こりゃあすげぇや。夜空の星が綺麗だなァ」

リオル「アンタは?」

マッシブーン「俺はマッシブーンっつーもんだ。なぁに、ただのハードボイルドさ」

リオル「……誰だか知らないけど、何の用だよ」

マッシブーン「ちょいと、お前さんに聞きたいことがあってな」

リオル「アンタ……更正施設の職員か何かか?」

マッシブーン「何だと?」
 ▼ 23 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:25:11 ID:nC86CQtY [22/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「ハッ!! しらばっくれんじゃねーよ!!」

リオルは自棄になったような態度で声を荒らげ、、じっと俺を見つめた。絶対に誰も信用しないという目をしている。なんとも悲しい瞳だ。

リオル「……どうせ、どうせ、サーナイトさんに頼まれたんだろ!? あのどうしようもない馬鹿でマヌケで欠陥品の不良をどうにかしてくれってな!!」

喉から血が出るような声量だ。
赤ん坊が泣きわめくような呻きを発し、リオルは俺に掴みかかった。

マッシブーン「おいお前……」

リオル「俺の事なんて何も知らねぇくせに……。勝手に踏み込もうとするな……!!」

確かに俺は、こいつのことを何も知らない。

こいつがどの様に生きてきたのか。
どんなことを考えているのか。
いや、そもそも知る必要がないのだ。


だが────これだけはこのガキに伝えておこう。

マッシブーン「今日の昼間の事だ。サーナイトがあのダスト金融とやらに襲われていた」

リオル「!」

マッシブーン「俺がたまたま助けに入らなきゃ、あのサーナイトは……いや、この施設全体がヤバイことになっていたかもしれねぇ」

リオル「それは……」


マッシブーン「リオル、お前があのクズどもをこの施設に連れ込んだのだろう?」

リオル「……っ」
 ▼ 24 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:26:10 ID:nC86CQtY [23/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「俺はあいにく、更正施設とやらの職員ではないから、お前の生き方を変えようだとか、干渉をしてやろうだとか、そんな気持ちはサラサラない。……だが」

マッシブーン「サーナイトに悪いことをしてしまった、と思うのなら……。その問題くらい、自分自身で解決してみせろ」

リオル「何なんだよ、アンタ」

マッシブーン「これ以上、お前と喋る必要はない」


マッシブーンはそう言って、静かに去った。
虚しい風が屋上を吹き抜け、リオルは膝から崩れ落ちる。


──俺が、悪いんだ。俺が。俺が。
俺があんな奴等をこの施設に連れてきてしまったから。


だから、サーナイトさん達に迷惑どころじゃない被害を与えてしまっている。

リオルは唇を噛み締め、涙を声も立てずに流した。


こんなことになってしまったきっかけは────全て、俺が無力なせいなんだ。
 ▼ 25 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:29:00 ID:nC86CQtY [24/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
──数ヵ月前、某日のこと──

リオル「おりゃああああっ……はっけい!!」バキッ!

アサナン「げふ、こいつっ、強ぇ……」

リオル「ここは俺達『ガーディアンズ』の縄張りだっ!! 今すぐ出ていけェ!」

ヌメラ「いいぞ、リオルぅ!」

ガーディ「へへ、俺達は最強のチームだぜ!」


リオルは近所に住む子供ポケモンたちと、秘密組織を結成していた。
弱きを助け、強きを挫く。
それをモットーに掲げた彼らは次々と対抗勢力を討ち倒し続けたのである。

最初は子供たちの遊びに過ぎなかった。

だが、ある日を境に────彼らは手を出してはいけない【本職】たちの縄張りを侵すようになってしまったのである。




ワルビアル「餓鬼どもが調子に乗っちゃいけねぇな……うちの構成員に怪我を負わしちまうとは」

ガーディ「う、あ……痛いよ……助けてよ……」

ココロモリ「子供なんかに負けてしまうアサナンも悪いと思うけどねぇ」

アサナン「も、申し訳ねぇです」

ペルシアン「とにかく餓鬼とは言えど、私たちダスト金融の縄張りを荒らすようなマネは許されねぇ」

ココロモリ「キャハッ! 制裁だ、制裁だ!」

リオル「仲間を離せぇ……グフッ」ガブッ!!

ココロモリ「痛ぇ!! こいつっ、噛みつきやがった!!」
 ▼ 26 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:30:47 ID:nC86CQtY [25/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ワルビアル「まだ立ち向かうとは大した根性。だが、こうなったら更に痛い目にあってもらおう」

ワルビアル「骨の何本かは覚悟してもらうぜ」

?????「そこ! 待ちたまへ……!!」

ワルビアル「……あ、首領!」

ペルシアン「あなたが何故、このような場所へ」

姿を現したのはダスト金融のトップを張る男。
その名もダストダスである。
思わず鼻を摘まんでしまうような異臭を放つ彼は、未だに反抗を続けようとするリオルを見つめて言った。

ダストダス「そこのリオル、良い目をしておる。是非とも交渉がしたいのだがな……」

リオル「交渉だ……と」

ダストダス「その通り。チミ、ワシらのために働かんかね? もちろん、給料も払おう」

リオル「……嫌だね」

ダストダス「何?」

リオル「アンタみてぇな悪党のために働くわけねぇだろ!! 俺は、正義のために戦うんだ!」

ダストダス「……ホッホッホ、ホーッホッホ!!」

リオル「何が可笑しい!?」
 ▼ 27 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:32:47 ID:nC86CQtY [26/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダストダス「いや……余りにも素直で純粋だと思ってな。……そうか、正義か。ククク、そんな愚かな台詞を聞いたのは久しぶりの事じゃよ」

ダストダス「……よいか、ここからは交渉ではない。命令であーる!!」

リオル「……!」ビクッ

ダストダス「チミがもし、ワシらのために働かぬのであれば、ここにいるチミの仲間たちを……目も当てられぬほどの残酷な処刑によって、ぶち殺ぉぉす!!」

リオル「なっ……」

ダストダス「言っておくがこれは嘘ではない。ワルビアル、見せてやれ!!」

ワルビアル「おおう!!」

ワルビアルが既に手負いで動けないガーディの脚を掴む。
次の瞬間、彼の脚は関節とはそぐわない方向に折られてしまった──!!


ガーディ「ア"ア"ア"、アアアアアアッ!!」

耳を塞ぎたくなるほどの悲痛な叫び声が、周囲に響き渡る。
ガーディは痛みのあまり、白目を剥いて気絶してしまった。

ダストダス「これはまだまだ序の口じゃ。お前がワシらの仲間にならぬのであれば……。後は言わずとも分かるな?」

リオル「う、うぁ……あ」


それは、リオルにとって初めての恐怖だった。
今まで強い奴と戦ってきた。数々の闘いを潜り抜けてきたはずだった。
だが、彼は──真に恐ろしい巨悪と出会ってしまったのだ。
 ▼ 28 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:36:00 ID:nC86CQtY [27/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「分かった……アンタたちのために働く、働くから……。お願いだから、仲間を助けてくれ……」

ダストダス「よーし、良い子じゃな。だが、リオルよ。もしチミが万が一! ワシらを裏切るようなことがあれば……分かっとるな」

リオル「裏切るなんて、し、しません……」

ココロモリ「これから末長くよろしくなァ?」

ペルシアン「フフフ、仲良くやっていこうぜ。なぁ、リオル君?」

ダストダス「ハハハハハハッ……!!」

一同「ギャーハッハッハッハッハッ!!!!!!」

========





リオル(あれが俺の最大の過ちだった。そのおかげでガーディやヌメラたちは殺されずに済んだ……だけど)

リオル(今度は、俺の施設が……狙われてしまった。あのダストダスは多分最初から、俺じゃなくてあの施設を狙っていたんだと思う……)

リオル「うぅっ……うぁぁぁ……うわぁぁぁぁん」ポロポロ……

涙が止まらない。後悔と、悲しみと、怒りと、絶望。
ありとあらゆる負の感情がごちゃ混ぜとなり、リオルの胸をこれでもかと締め付けていた。
 ▼ 29 ラルダルマッカ@ノロイノヨロイ 25/09/27 16:36:53 ID:tAzUaidk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの大好きなSSが再放送!?
支援!
 ▼ 31 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:37:59 ID:nC86CQtY [28/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
翌朝────
マッシブーンは再び施設の屋上を訪れた。
朝日がまだ出たばかりで、空は曙色に染められている。気持ちの良い冷たい風が、そっと彼の頬を撫ぜる。

マッシブーン「……おや」


何かの気配に気づき、ふと地上を見下ろすと、そこにはリオルの姿が。
周囲の様子を頻りに気にしながら、どこかへ向かう様子だった。


マッシブーン「……おいおい」

マッシブーンは、リオルの赤い瞳に、ある覚悟を見てしまった。

マッシブーン「あいつ……死ぬつもりじゃねぇか」

──
────
────────
──────────
 ▼ 32 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:40:49 ID:nC86CQtY [29/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
──ダスト金融 社長室──

ダストダス「全く────チミたちには大いに失望したぞ」

ペルシアン「も、申し訳ありません。まさかワルビアルがあんな筋肉野郎に負けるとは思わなかったもので」

ダストダス「失望したのはワルビアルを倒されたことではない……。サーナイトを強引に連れてこれなかったことに対してだ」

ココロモリ「すんません……」

ダストダス「ゥム……あれだけの上玉だ。道端でたまたま見かけたとき、ワシにはビビッと来たぞ。風呂屋でも相当の額を稼いでくれるに違いない」

ペルシアン「へへっ、あの女が堕ちた時が楽しみですな」

ダストダス「どんな手を使ってでも連れてこねばならん。そのために、あのリオルとかいう餓鬼に目をつけたんぢゃから。アイツはサーナイトの弱みでもある」

ダストダス「そうだな。今度はあの阿呆リオルを、人質に使ってみるのも良いんじゃ────」



リオル「ふざけるなっ!! そんなの願い下げだっ!!」

ココロモリ「あ、お前!」

ダストダス「やれやれ、盗み聞きとはマナーがよろしくない。……それで? 親愛なるリオル君、こんなところまで来て、我々に何の用だね」
 ▼ 33 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:52:26 ID:nC86CQtY [30/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「親愛なる──だと? よくも抜け抜けとそんなことが言えるな。昨日、サーナイトさんを襲ったっていうじゃないか!! 俺に何をしたっていい。でも、彼女たちに手を出したら許さない!」

ダストダス「君はバカかね? サーナイトは我々から金を借りた。借りてしまったものは何があろうと必ず、利子をつけて返さねばならん。それが、そう────この世の真理なのだ」

ペルシアン「頭領、このリオル君の脳みそじゃ、真理なんて言葉は理解できませんぜ」

ココロモリ「そりゃそうだ! ギャハハハ!」

リオル「確かに……俺は馬鹿だった。超が付くほどの愚か者だったさ」

ペルシアン「自分の事をよく分かってるじゃないか」

リオル「だけど今こそ、俺は変わってやるんだ」

ダストダス「お、おいっ────背中に付けてる『それ』は何だ!?」

ダストダスは思わずガタンと大きな音をたてて、重たそうな身体を持ち上げた。ペルシアンとココロモリもまた同様に、動揺を隠せない様子だった。

そうなってしまうのも無理はない。


リオルの背中にはなんと、大量の爆裂のタネが付いているのだから────!!
 ▼ 34 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:55:07 ID:nC86CQtY [31/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「俺はこれから、この大量のタネに火をつける。そしたら、この事務所ごとお前らも俺も、全員木っ端微塵さ。……もう、こうするしか手はないんだ」

ペルシアン「お、おいおいおい……冗談はやめろ!!」

ココロモリ「お前分かってんのか!? し、死んだら死ぬんだぞ!? とにかく早まるんじゃねぇ!!」

リオル「狡猾なお前らのことだ。俺が下手に逆らえば、サーナイトさん達や、ガーディやヌメラが危ねぇことになる。だったら、俺もお前らも死ぬしかねぇだろ!!」

ダストダス「チッ」

リオル「これで終わりだ……ダスト金融!!」


リオルはそう言うと、手元からライターを取り出した。
カチリと音をたて、ライターは激しい熱と火を放つ。

揺れる焔が、リオルの背中に近づき、あと少し、あと少しで爆裂のタネが爆発する────。




その時だった。

ダストダスが、不敵な笑みを浮かべた。
刹那────リオルの手元からライターが消える。
リオルは驚愕する間もなく、硬直した。
目にも止まらぬ何かが、リオルからライターを奪取したのである。

リオル「え……」

気づいた頃にはもう遅い。
リオルの目の前に、一匹のアギルダーが立っていた。
 ▼ 35 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:56:47 ID:nC86CQtY [32/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アギルダー「幼子が火遊びなんかしちゃあ、いかんぜよ」

ダストダス「アギルダー、よくやった。流石のスピードじゃの」

アギルダー「お安いご用だ。……それで、この幼子はどうするんじゃ?」

しまった。仲間はもう一匹いたんだ。
リオルの足が震え出す。先程まで、この場の主導権を握っていたのは自分のはずだった。
しかし、たった数秒の間に、たった一匹のアギルダーのせいで、状況がものの見事にひっくり返ってしまったのである。



ダストダス「フン、無鉄砲な餓鬼ぢゃわい。危なくてしようがないわ」

ダストダス「もういい、殺せ」

怒気を含んだ冷徹な一言が、ダストダスの口から発せられた。
リオルは一歩も動けない。
無情にも、殺気を放ったアギルダーが徐々に近づいてきた。

俺、死ぬんだ。しかも無駄死にだ。
誰も巻き込むことが出来なかった。
一矢さえ報いることも不可能なのか。
限りない絶望────。それが、リオルを包み込み始めたその時。





『奴』は天井をぶち破り、現れた。

マッシブーン「お前の覚悟、見せてもらったぞ。……リオル!!」
 ▼ 36 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 16:58:40 ID:nC86CQtY [33/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リオル「えっ」

ダストダス「な、何だチミはぁ……!?」

ペルシアン「あ、あの野郎……」

ココロモリ「こいつです!! ワルビアルをぶっ倒した筋肉ダルマはぁ!!」



リオル「何でアンタここに……!?」

マッシブーン「何でだと? ……答えは簡単だ」

マッシブーン「お前が……大切なもんのために命を懸けるハードボイルドだったからさ」

リオル「……!!」



ココロモリ「ワルビアルのカタキは……このココロモリ様がとってやらぁ!!」

ココロモリ「最恐のつばめがえしを喰らえぇぇッ!!」

マッシブーン「リオル、命懸けで敵に立ち向かうお前のさっきの姿……めちゃくちゃカッコよかったぜ」

リオル「お、おい。呑気に話してる場合じゃねえだろ、後ろからココロモリが攻撃を……!!」
 ▼ 37 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:00:30 ID:nC86CQtY [34/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マッシブーン「ただ、お前に一つだけ説教したいことがある」

ココロモリ「無視すんな糞が、死ねやぁぁぁっ!!」

マッシブーン「命懸けなのはかっけえが……。自分の命を粗末にしちまうのは……」

マッシブーン「──ハードボイルドじゃねぇ」



ココロモリ「うおおおっ!!」

マッシブーン「さっきから五月蠅いんだよこのハエがぁっ!!」

マッシブーン「神成犯魑(かみなりパンチ)」バチッ


バチンッ!!

ココロモリ「ぎゃあぁぁぁっ!!」

マッシブーン「今はリオルと大事なオトコの会話してんだ……邪魔すンじゃねぇ」
 ▼ 38 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:01:50 ID:nC86CQtY [35/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダストダス「なっ!?」

ペルシアン「やっぱこいつ強ぇ……」

アギルダー「……」
  
ココロモリが黒焦げになり倒れた後、その場はこう着状態に陥った。
全員が全員、誰がどう動き出すのかを警戒している様子であった。

暫くして、アギルダーがどこか気怠い一言を放つ。

アギルダー「やれやれ、こがな仕事はまっこと割りに合わんぜよ……。ダストダス殿、俺はここで抜けさせてもらう」

ダストダス「な、何だと……?」

アギルダー「俺は百万ポッケを受け取ってこの仕事を引き受けた。だが、目の前におるコイツと戦うにゃ……その程度の金じゃ足りんのさ」

ダストダス「金が足りないだと……い、幾らだ。幾ら出せばいい!!」

アギルダー「ふむ……大体10億ポッケだ。10億払えば、戦ってやろうじゃあないか」

ダストダス「じゅ……10億!?」

アギルダー「払えんなら話はこれで終わりじゃあ」


ダストダス「ま、待ってくれ。おかしいぢゃろ、契約はまだ続いて────」

アギルダー「マッシブーンとやら。おまんにはまた会ってみたいぜよ」

マッシブーン「……ふん」

マッシブーン(この場で唯一、俺と戦りあえそうな奴が消えたか。さて、このクソどもも終わりだな)
 ▼ 39 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:03:53 ID:nC86CQtY [36/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アギルダーは一瞬にして、ダストダスの目の前から跡形もなく消え去った。
ただ放心するばかりの彼に残されたのは、破滅のみであった。

ペルシアン(この状況は……まずい)

マッシブーン「さて……悪党には然るべき制裁を与えないとな」パキポキ

ダストダス「う、うひっ!!」ビクッ


ペルシアン(そ、そっと逃げよっと……)

リオル「ペルシアン、何で自分だけ逃げようとしてんだよ」

ペルシアン「……うっ」


ダストダス「ほ、他の部下はどうしたぁ……」

ペルシアン「み、みんな、外に出回っております。ここにいるのは我々のみです……」

ダストダス「あぁ、糞が糞がっ……ワシの周りにいるのは役立たずばかりだぁ!!」

マッシブーン「自分の無能加減を棚上げにして……部下を役立たず扱いか。勝手な野郎だぜ」

ダストダス「そうだ、1000万ポッケをやろう!! それでワシの部下にならんか!?」

マッシブーン「ならねぇ」

ダストダス「じゃあ、幹部にしてやる! 待遇もすんごく良くなるぞぉ!?」

マッシブーン「却下」


ダストダス「そ、それじゃあ、ワシの代わりにダスト金融の社長になるのは……」

マッシブーン「いらねえよ、そんなくだらねぇモンは。俺に必要な称号は、真のハードボイルド、それだけだぁ!!
 ▼ 40 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:05:29 ID:nC86CQtY [37/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダストダス「や、止めて……」

マッシブーン「愚弄……」

ダストダス「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
マッシブーン「犯魑!!」

ミシッ!!

ダストダス「が、あ"………!? ゲボッ……」

マッシブーンの赤黒い拳が鳩尾にめり込むと、ダストダスは茶色い吐瀉物を撒き散らしながら、宙に浮いた。
巨体がまるで無重力下の如く、数メートル後方に吹っ飛ぶ。
ダストダスはズシンと鈍い音をたてて、壁に打ち付けられた。

白目を剥き、気を失った彼は、ズルズルと床に伸びてしまった────。



ペルシアン「う、うわわ……」

リオル「おいペルシアン……お前は俺が殴る」

ペルシアン「……ヒエッ」

リオル「はっっけい!!」スパパァン!!

ペルシアン「うぐぁぁ……!!」




マッシブーン「今の、良い攻撃だったぜ」

リオル「へ、へへへっ!!」ニコッ
 ▼ 41 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:45:59 ID:nC86CQtY [38/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その後、マッシブーンとリオルは二人で施設への帰路についた。

きっと今頃、施設ではサーナイトが目覚めて、突然消えた二人の消息を心配している頃だろう。

道中、リオルはふと、隣にいるマッシブーンの姿を見上げた。
とても大きい、とてもたくましい姿が、そこにある。

あぁ────俺の父親が、こんな素晴らしいポケモンだったらいいのに。

そう思わずにはいられなかった。

するとマッシブーンは──リオルのそんな気持ちに気付いたのか──リオルの小さな手をそっと握ったのである。

リオル「え?」

リオルが小さく声を漏らすと、マッシブーンは言った。

マッシブーン「助けるのは今回だけだ。……これからは、自分の力で、サーナイトさんたちを守れよ」


リオル「……うん」

マッシブーン「ふっ、お前、見どころあるぜ」

段々と霧が晴れてきた。
暖かく柔らかい朝日が、二人を優しく包み込む────。
 ▼ 42 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:47:39 ID:nC86CQtY [39/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ニュースキャスターぺラップ「速報です。本日午前10時頃。マシャラタウンにて、ダスト金融の社員数名及び、代表であるダストダス容疑者を逮捕したと、マシャラ警察署から正式な発表がありました」

ぺラップ「ダスト金融は、違法な金銭取引や恐喝等、複数の犯罪への疑いがあり、警察は更なる捜査を進めると共に────」

────ブツンッ!

キリキザン「ダスト金融壊滅か。何でそんなことが起きたんだろうな」

レアコイル「あの噂のマッシブーンという者のせいでしょうか」

キリキザン「だとしたら面白いな。ふふ……ひとまずはコマタナの調査結果を待つだけか」

第二章、終わり。



フェローチェ「これ何章構成なの?」

マッシブーン「4章もしくは5章」

フェローチェ「まだ半分くらいってことね……。企画(

【SS企画】ポケモンBBS ファイナルラストSS企画 【9/27〆切】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2381088
)の締め切りには間に合わなさそうね」

マッシブーン「企画者はハードボイルドだから許してくれるさ」

フェローチェ「本当に……本当に申し訳ない」
 ▼ 43 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:49:37 ID:nC86CQtY [40/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜第三章〜


ズルズキン「こいつら強ぇよぉ……」

コジョフー「い、痛い……」

マシャラタウンのとある路地裏では、街中でも上位の実力に位置すると言われるチームズルズキンが、ものの五分程度で壊滅するという事件が起きていた。

何と、彼らを壊滅させたのは────そう、他でもないフェローチェたちである。

カミツルギ「ここはまた……治安の悪い街っすねぇ」

フェローチェ「3歩移動するだけでも、変なのに絡まれちゃうものね……まぁおかげで、お金も結構手に入るんだけど」ジャラジャラ

ズルズキン「うぐ、それは俺の金……」

フェローチェ「う・る・さ・い」ゲシッ

ズルズキン「ぎゃあ」

カミツルギ「先に喧嘩を売ったのはそっちッスよ? まぁ要するにこっちは正当防衛ってやつッス」

アクジキング「ねぇー、お金ゲットしたんだから、何か食べに行こうよー」

デンジュモク「お前は食べることか、寝ることばっかりだな」
 ▼ 44 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:50:25 ID:nC86CQtY [41/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カミツルギ「マッシさんを探すのは午後からにしますか? 実は俺も腹減ってきちゃって」

フェローチェ「しょうがないわねぇ……じゃあこのお金で美味しいもの食べちゃおっか!」

ズルズキン「いや、それ俺の金だって」

フェローチェ「だ・ま・れ」ゲシッ!

ズルズキン「ぐふっ」

デンジュモク「フッ、飲食店だったら俺が事前に調べてある。────オボンのみのワインが美味しいオシャレな高級レストランさ。さぁフェローチェさん、一緒に行こう!」

フェローチェ「えー、高価なところは行きたくないわよー。お金の無駄じゃない」

デンジュモク「」
 ▼ 45 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:51:49 ID:nC86CQtY [42/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カミツルギ「ところで、マッシブーンさんは迷子ッスけど、それ以外の方々はどうしたんすか?」

アクジキング「あー、ネクロズマさん達かい?」

デンジュモク「彼らは『商売』で忙しいからな……。後で合流するという話にはなっているが」

フェローチェ「まぁそんな予定通りに合流とはいかないでしょ。特にネクロズマさんが行き当たりばったりの性格なんだし────」

───
─────
───────
─────────


同時刻、大富豪マニューラ邸にて──

ネクロズマ「さぁさぁ奥様!! ワタクシどもコスモッグ商会がオススメ致します次の商品がこちらとなります!!」

ネクロズマ「この世界では決して手に入らない至極の逸品、その名も『スイレンのつりざお』!!」

マニューラ「スイレンって誰よ。……ただの釣竿にしか見えないけど? そもそもウチ、釣りとかしないし」
 ▼ 46 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:57:14 ID:nC86CQtY [43/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ネクロズマ「ところがどっこい、この商品驚きなんですよ奥様!! こちらをご利用なされたお客様はなんと──99.999%の方がたいへん満足だという声を寄せているのです! さらにこの釣竿、持っているだけで幸運を呼び寄せると話題にもなっています! さらにさらに学術的価値も高いですから、ここで買わないのはヒジョーに勿体ない品なのです!!」

マニューラ「へ、へぇ……そうなの」

ネクロズマ「ええ、満足度だけではなく、実際の品質もアメージングなものとなっております!」

ネクロズマ「まずはこのしなり具合からご覧下さい!! まずはこの釣竿、しなるしなる、しなりまくります!!!! そしてこの釣竿には深く長い歴史が隠されておりまして、昔々、ヨワシが広い海を1匹で泳いでおりました。その時に────」

テッカグヤ「よくやるよね……ネクロズマさん」ボソッ

ウツロイド「社長は商品を売るためなら、鬼にもピエロにもなりますから」

コスモッグ商会。
元々は、ネクロズマが始めた商売を発端として出来た組織だ。
その商売方法は独特にして、至極単純。

コスモッグが作り出すウルトラホールを利用し、ネクロズマが様々な異世界から手に入れた商品を、金持ちに売り捌く。

────たったそれだけのことである。
 ▼ 47 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:58:32 ID:nC86CQtY [44/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ネクロズマのモットーはたった一つ。

「安いもんを出来るだけ高く売る!!」

今回の商品である『スイレンのつりざお』もまた、その安いもんの一つである。

ネクロズマがスイレンという人間の少女から盗ん……拝借したほぼ無料の釣竿を、さも高価な物に見せかけて売ろうとしているのだ。

しかーし、これは決して悪どい商売ではない。

ネクロズマ曰く、『異世界から手に入れたもんなんだから高価なのは当然だろうが』ということなのである。



そんなこんなで15分後……。

マニューラ「ふぅん……良い商品なのは分かったわ。買ってあげようじゃないの。それで? この釣竿はいくらなのかしら?」

ネクロズマ「えぇ、こちらのスイレンの釣竿、通常は1500万ポッケにて販売しているのですが……お美しい奥様だからこそ、今回は大出血サービスでございまぁすよぉ……!!」ズイッ

マニューラ「お、お美しいだなんて、突然そんな///」
 ▼ 48 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 17:59:43 ID:nC86CQtY [45/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ネクロズマ「いえいえ、奥様のようにお美しい方は今まで見たこともありませんよ。ワタクシ、先程から心臓が高鳴って仕方がありません。それでお値段のほうですが……。ズバリ、300万ポッケはいかがでしょうか……?」

───
─────
───────



ネクロズマ「いやー売れた売れた!!」

テッカグヤ「相変わらずネクロズマさんは凄いね〜、あの釣竿に300万も出せるマニューラも金持ちだけどさ〜」

ウツロイド「社長はセールスの王者ですから。この程度は楽勝でありましょう」

ネクロズマ「フフ、そう褒めるな!! 照れる!!」

ネクロズマ「ところで、我が優秀な秘書ウツロイドよ。次の予定はどうなっているのかね」

ウツロイド「次でございますか……あぁ、ここより南東のマシャラタウンですね。神頂会の幹部『ローブシン様』と取引の予定でございます」

ネクロズマ「マシャラタウンか、初めて行く町ではあるが……。フフ、存分に荒稼ぎさせてもらおうじゃないか」

ウツロイド「マシャラタウンにはフェローチェ達も来ております。合流することも可能ですが」

ネクロズマ「いや、慌てて合流する必要もないだろ。まずは予定にある商談を完全に終わらせてからだ」

ウツロイド「了解です、社長」
 ▼ 49 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 18:01:06 ID:nC86CQtY [46/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜サーナイトの児童養護施設〜

リオル「今更かもしれないけど……謝らせてくれ、あ、いや、ください────」

リオル「みんな、今までごめんなさい!!」

リオルはマッシブーンと共に施設へ帰った後、サーナイト達施設の住人を集め、今までのことを謝罪していた。

両手と頭を床にベッタリと付け、必死の形相で静止する。
サーナイト達は突然の出来事に、放心するばかりであった。

サーナイト「リオルくん……」

キルリア「これは、その、どういうことなんでしょうか……?」

マッシブーン「……リオルが今までやってきたことを謝罪したいんだとさ。こいつにもそれなりの事情があるみたいだぜ」

リオル「言い訳に聞こえるかもしれないけど……聞いてほしいんだ。何で、俺がダスト金融と関わることになったのか……」

重い沈黙の中、リオルは静かに喋り始めた。

ガーディアン結成から、ダストダスたちとの最悪の邂逅まで────彼は全てを語った。
 ▼ 50 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 18:02:57 ID:nC86CQtY [47/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
やがて、サーナイトが口元に手を当て、涙を流し始めた。

サーナイト「そんな辛いことがあったなんて。私……気づけなかった。ゴメンね……ゴメンね、リオルくん……!!」ポロポロッ……

リオル「ち、違うんだ。サーナイトさん、泣かないでくれ……。悪いのは俺で────」

ギュッ……

次の瞬間、サーナイトはリオルを優しく抱き締めた。
リオルは思わず言葉に詰まる。

これは、サーナイトの無償の愛────。
サーナイトは、本当に自分のことを心の底から愛してくれているんだ。
それに気づいたリオルは、まるで母親に甘える子供のように泣きじゃくり始めた。

リオル「ごめんなざい……ごべんなざい……うわぁぁん……!!」

サーナイト「辛いことがあったら、今度はハッキリ伝えてもいいんだよ────ここにいる皆、貴方の味方なんだから……」

ミミロル「……」

ミミロルがそれを無言で見つめる。
その眼には、未だに怒りの火が燃えているようにも見えたが……。


リオル「ミミロル……」

ミミロル「バッカじゃないの……ダストダスなんかに狙われるような危険なことしてるから……こんなことになったんじゃない」

リオル「うん……そうだ。俺がバカだったんだ」

ミミロル「ホントに、ホントに……バカなんだから……グスッ」



リオル「もう俺は、みんなを危険に巻き込むことはしねぇ。命を懸けて誓う。だから……許して……くれないか?」

ミミロル「バカ……命を懸けるなんてこと言わないで。生きてよ。生きて……私たちを守りなさいよ!」

リオル「……あ、あぁ!!」

マッシブーン(これで一件落着か……)
 ▼ 51 1◆zBLfAqPIVA 25/09/27 18:06:27 ID:nC86CQtY [48/48] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ダスト金融の企みによって、一度は崩れかけたサーナイトたちの施設も、元の平和な場所に戻れそうだ。
それも全て、ハードボイルドが起こした奇跡と言えよう……。

しかし、今の彼らは知る由もない。
このダスト金融との事件をきっかけに、マッシブーンが更なる闇に呑み込まれていくということを……。

コマタナ「あのポケモンの名はマッシブーンというのか……。ダスト金融も壊滅したことだし────ひとまずキリキザン様に報告せねば」




それから数時間後。

──キリキザン一家本部──

キリキザン「なるほど、マッシブーンか。面白そうなポケモンじゃないか」

コマタナ「マッシブーンという男が一体どのようなポケモンなのか……。調べてみましたが一切データが見つかりません。やはり謎が多いですね。どうします?」

キリキザン「どうするもこうするも無いだろう。俺は興味が湧いたぞ」

コマタナ「……なるほど、戦るのですね」

キリキザン「当然だ……! これから、俺はマッシブーンにタイマン勝負を挑む!!」

エアームド「こりゃあ怖い。キリキザン様に狙われるとは不運なやつだぜ」

キリキザン「ふん……強いやつは叩き潰す。これこそが男の格を上げる最良の手段だからな」
  ▲  |  全表示191   | <<    前    | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼