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【ファイナルラストSS】えいえんのはなのものがたり

 ▼ 1 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 00:57:46 ID:s2F2VyVo [1/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昔々のその島は、自然豊かな隠れた観光地でした。


まばらながらもポケモンが住み、広場や商店街はいつも賑やか。


誰もがこの幸せがずっと続くと思っていました。


けれどある日、突然の爆発によって島の3割が消し飛び、木や草花は元気をなくしてしまったのです。


そうして島に住んでいたポケモンも出ていき、今では随分と寂れてしまいました……
 ▼ 18 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:57:08 ID:s2F2VyVo [2/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一通り話し終えると、今度はパソコンで家族や彼女の写真をたくさん見せてきました。


少したいくつそうに話を聞いていたマリルリでしたが、パソコンを見た途端に目の色が変わります。


マリルリ「……インターネット、使わせて貰えませんか……?」


丁寧に頼みはしたものの、トゲキッスはまだマリルリが自分を殴り飛ばしたことに不満があるよう。


土下座して頼み込んでもまだ不服そうだったので、厨房を借りて料理をすることに。


マリルリ得意の料理でどうにか心をつかみ、ようやくインターネットを使わせてもらえることになりました。


マリルリはパソコンで何をするでもなく、自分の携帯電話を取り出して中身を確認しました。



メールボックスに、届いていたのは、山程のメール。それも、仲間たちから。


マリルリは仲間から離れようとしましたが、仲間たちはマリルリと離れたくなんかなかったのです。
 ▼ 19 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:57:51 ID:s2F2VyVo [3/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日の夕食は、フラエッテ、サーナイト、マリルリ……


と、トゲキッスも一緒。


マリルリの料理に心を鷲掴みにされ、夕食を一緒に食べるならぜひ加えてくれ、とそのままついてきてしまったのです。


もちろん店の食材をたくさん抱えて。


おかげで夕食はもっと豪華になったし、夕食のメンバーがまた一匹増えることになったのでした。
 ▼ 20 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:58:32 ID:s2F2VyVo [4/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
4匹で夕食を食べるのが習慣化してきたころ、サーナイトの家の周りに謎の白い毛が散らばるようになりました。


最初はトゲキッスの毛かとみんな疑ったし、トゲキッスも若年性の抜け毛が始まったかとショックを受けていたのですが、どうやら違ったようです。


白い毛は白い毛でも、綿毛のような毛。


サーナイトが言うには、多分モンメンかエルフーンか。それともワタッコか……


けれどこの島にそんなポケモンは住んでいないはず、とみんな口を揃えていうのでした。
 ▼ 21 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:59:01 ID:s2F2VyVo [5/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日からフラエッテの散歩の目的が1つ増えました。


自分の記憶を探すことと、綿毛のポケモンを探すこと。


散らかっている綿毛を追ってみたりしたけれど、いつもどこかで途切れていて。


夕飯時に辺りを見張ってみても、見慣れない誰かが現れることはなく。


その後外を見てみると意外と綿毛が落ちていたりするから、中々に不思議なのでした。
 ▼ 22 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:59:26 ID:s2F2VyVo [6/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテがいつものように散歩から帰ってきたある日。


珍しくサーナイトが勉強机にいない。食卓の方で、何か書類を眺めていたのです。


聞くとどうやら郵便物。いつも何も入っていないはずのポストに、これが入っていたんだとか。


中身は冬の模試の申し込み書。


受験に向けて、受けないわけにはいかない、とサーナイトは言います。


ポストの方を見ると、周りに散らばっていたのは綿毛。


正体は郵便屋さんのようです。
 ▼ 23 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 02:59:58 ID:s2F2VyVo [7/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌日、サーナイトが珍しく外に出ると言い出しました。もちろん、フラエッテも一緒。


2匹で話をしながら山を下り、辿り着いたのは船着き場。


どうやらここが、郵便物の受付場でもあるようで。サーナイトは昨日の書類を出すため、ここに来たというわけなのです。


そして2匹を出迎えたのはもちろん綿毛のポケモン。


エルフーンでした。


2匹を出迎えはしたものの、エルフーンは何かに怯えているよう。


震える小さな手でサーナイトの書類を受け取ると、すごい勢いで建物の中に引っ込んでしまいました。


その態度を不思議に思ったフラエッテは当然追跡。


そのまま鬼ごっこが始まりました。
 ▼ 24 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:00:26 ID:s2F2VyVo [8/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ものすごい勢いで逃げるエルフーン。


けれど、フラエッテの方も負けていません。素早さは大したことがなくとも、エネルギーが無尽蔵なのです。


おまけに、花の力を使うとポケモンの位置がなんとなく感じ取れます。


ついにエルフーンが疲れ果て、フラエッテに取り押さえられました。


エルフーン「あぁ……ウチ……このまま食われて死ぬんや……」

フラエッテ「食べませんよ!わたしはお話が聞きたいだけですから!」

エルフーン「お命を頂戴したいだけ……?ひぃっ!?」


エルフーンはそのまま気絶してしまいました。
 ▼ 25 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:00:48 ID:s2F2VyVo [9/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらくして目覚めたエルフーン。


相変わらず怯えてはいましたが、先程の鬼ごっこを経たことで逃げられないと悟っていました。


しかしそれでもめげず、何でもするから許してください、とフラエッテたちに頼み込みます。


わけがわからない2匹は、エルフーンが怯えている理由について聞くことにしました。


しかしエルフーンはガタガタと震えたまま、何も喋れそうにありません。


なんだか気の毒になってきたので、2匹は一旦帰ることにしました。
 ▼ 26 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:01:26 ID:s2F2VyVo [10/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日の夜、いつものように外を見張っていたフラエッテの前に、エルフーンが現れました。


どうやら、ようやく話す覚悟ができたようです。


家に入っても緊張していたエルフーンでしたが、マリルリの料理は流石に美味しかったようで、食べ終わる頃にはすっかりリラックスしていました。


エルフーン「……今まで、色々とごめんなさい。話そうとは思ってたんですけど……怖くて。でも……フラエッテが元気なのは嬉しくて、みんなと仲良くしてるのが羨ましくて。」


フラエッテ「……わたしが元気なのが、嬉しい?」


エルフーン「はい。フラエッテをここに連れてきたの、ウチ……ですから。」
 ▼ 27 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:01:52 ID:s2F2VyVo [11/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エルフーンは、前までここの船着き場と郵便屋のスタッフをこなしていたペリッパーと入れ替わりで配属されてきたそうです。


といっても、あまり成績が振るわなかったので左遷……という形で。


元々生活が自堕落で、部屋も散らかしっぱなし。


自分に自信が持てなくて、お客さんの対応なんかは自動システムに任せていたみたい。


だけどある夜にこっそり島を漂っていたら、爆発の跡の中心部にポケモンを見つけてしまった。それが、フラエッテ。


けれど、自分が世話をできる自信がないから近くの家に置いてきた……ということだそう。


勝手に置いてきたけど死んでいたらどうしよう、などと自分の行動を悔いて……だけど、確かめるのも怖くて。


しばらく経って見に行ったら、楽しそうな家の様子を観察するようになった、というのがエルフーンの話でした。
 ▼ 28 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:02:46 ID:s2F2VyVo [12/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
話を終え、出ていこうとするエルフーンを、サーナイトが引き止めました。


まだお礼を言っていない、と。


サーナイト「確かにあなたは勝手にフラエッテを置いていったつもりなのかもしれない。けど……」


サーナイト「フラエッテが今こうして元気で生きているのはきっとあなたのおかげだし、あたしも……フラエッテと一緒の生活、すごく楽しいから。だから……ありがとう。」


フラエッテの方も小さくお辞儀をして、精一杯の感謝。


エルフーンは涙ぐみ、そのままサーナイトを振り払って飛んで行ってしまったけれど……


次の日の夕食時、またサーナイトの家に顔を出したのでした。


そしてその次の日も、またその次の日も……
 ▼ 29 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:03:39 ID:s2F2VyVo [13/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エルフーンが夕食のメンバーに加わってからというもの、フラエッテはエルフーンと一緒に散歩に出かけるようになりました。


場所は、大きく抉れたあの場所。


周りには一応、立ち入り禁止を示すようにロープが張ってあるものの、2匹には当然関係ありません。


未だ草木が生えすらしない不気味な場所。


かつて目覚めたばかりのフラエッテを見つけた場所ではあるものよ、あの頃から変わらず何もない、とエルフーンは言います。
 ▼ 30 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:04:20 ID:s2F2VyVo [14/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2匹での散歩が日課になってから数日後、船で新しいポケモンがやってきました。


みんなと話して少し勇気の出てきたエルフーンは、自動システムに頼らず出迎えるつもりのよう。


せっかくなので仕事中のエルフーンの近くに居たフラエッテも一緒にお出迎えすることに。


船から降りてきたのはピクシー。


たくさんの荷物を台車に乗せ、大きな鞄を背負ってやってきた。


エルフーン「よ、ようこそ……」


フラエッテ「ようこそ!」


2匹の声に、返事はない。


ピクシーはフラエッテの方を見つめたまま、立ち尽くしていた。


ピクシー「お嬢……様……?」
 ▼ 31 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:04:52 ID:s2F2VyVo [15/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エルフーン「……フラエッテ、お嬢様だったの?」


フラエッテ「……知りません、わたし。」


その後もピクシーはフラエッテのことをまじまじと見つめ……花をよく観察した辺りで、ようやくぺこりとお辞儀をした。


ピクシー「いやはやすみません、昔の知り合いに雰囲気がよく似ていたもので……」


フラエッテ「昔の知り合い?わたしじゃないフラエッテと、知り合いだったんですか?」


ピクシー「ええまあ、そんなところです。よければ写真をお見せしますよ。ついてきてください。」


そうして言われるがまま、2匹はピクシーについていくことになりました。
 ▼ 32 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:05:34 ID:s2F2VyVo [16/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
到着したのは少し小さいけれど、立派なお屋敷。


だけれど、庭は荒れ放題。建物にも少し草木が絡みついているけれど、この島の草木が元気ではないせいかそこそこ綺麗なままでした。


ピクシーが持っていた鍵を使って屋敷に入ると、案の定中は埃まみれ。


すぐさま荷物の中からほうきやマップを取り出し、掃除にかかります。


エルフーンの方は自分がいても散らかすから、と外に出ましたが、フラエッテの方はつい手伝いたくなってしまって、窓を拭くのを手伝ったりしていました。
 ▼ 33 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:06:30 ID:s2F2VyVo [17/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
掃除が一段落つくと、ピクシーはエルフーンを招き入れ、お茶にしましょう、と準備を始めました。


フラエッテとエルフーンが案内されたのは、確かに誰かが使っていたであろう食卓。 


あちこちに花の写真や絵が飾ってあり、埃を被ってはいるがガラス細工まである。本棚には花の本がぎっしり。


それらを眺めて待つうち、エルフーンが本棚からアルバムを見つけてきた。おそらくここに住んでいたポケモンのアルバムでしょう。


といっても、アルバムにしまってあるのも相変わらず花の写真ばかり……ではありませんでした。


最後の1枚だけ、別の写真。


フラベベ、フラージェス、そして……フラエッテの写った写真。


けれど当然、今のフラエッテと同じ花ではありません。


赤とも黒とも違う、青色の花だったのです。
 ▼ 34 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:07:21 ID:s2F2VyVo [18/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピクシー「お茶の準備ができましたよ〜」


最後の写真を見つけてすぐ、お茶とお菓子を持ったピクシーが部屋に入ってきました。


何かまずい気がして、エルフーンがすばやくフラエッテを綿で隠し、その隙にフラエッテがアルバムをしまいました。


そして、何事もなかったかのように席につく2匹。


たしかポフレと呼ばれているお菓子と、香り高い紅茶。


サーナイトの家でも出たことのない、見るからに高級そうなお茶とお菓子。


躊躇いながらも少しずつ口に運んでみると、チョコレートの濃厚な甘さが口いっぱいに広がり、思わず笑顔になってしまう2匹なのでした。
 ▼ 35 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:08:18 ID:s2F2VyVo [19/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからも、2匹は屋敷に通いました。


なんでも、ここは元々ピクシーが仕えていた主の別荘だったそう。


多分……写真に写っていたフラージェスたちのこと。


別荘が使われなくなった今でもこうして時々掃除に来ているんだとか。


勝手に入ってよかったのか、と聞いてみたこともありました。けれど返答はこう。


ピクシー「きっとお客様には最上のおもてなしを、と仰ったはずですよ、あの方たちなら。それに……友達になっていたかもしれませんしね。」
 ▼ 36 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:09:29 ID:s2F2VyVo [20/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お茶会に通って数日、ついにアルバムを見ていることがバレてしまいました。


……もしかすると、最初からバレていたのかもしれないですけれど。


ピクシー「……写真、ご覧になりましたか?」


フラエッテ「い、いや、その……」


エルフーン「は、花の写真しか見てないですよ!他はなんにも……」


ふふ、と笑ってピクシーが話し始める。


船から降りたとき、長女のフラエッテと思わず見間違えたこと。


成績優秀、困ったポケモンを何が何でも助けようとするよくできた子で、まだ小さかった妹の世話もよく頑張っていたこと。


アルバムの最後の写真は家族の父親が撮った写真であることを教えてくれた。


フラエッテ「そういえば今は別荘を使っていないって言ってましたけど、今はどこに……?」








ピクシー「……15年ほど前のことです。わたくしが諦めきれていないだけで、もう……この世には」


ピクシーが休暇をもらっている間に、一家は皆殺しにされたらしい。


……フラエッテを除いて。


そのフラエッテも、今は行方不明だそう。
 ▼ 37 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:09:50 ID:s2F2VyVo [21/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モヤモヤした気持ちを抱えたまま帰路につく。


今日のことは、自分の記憶に関するヒントだったのかもしれない。


けど……あんまりにもあんまりだ。


落ち込むフラエッテを励ますため、トゲキッスの商店に寄ろうと提案するエルフーン。


その提案に乗り、2匹はトゲキッス商店の方へ飛んでいくことになった。
 ▼ 38 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:10:24 ID:s2F2VyVo [22/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテ「トゲキッスー?買い物に来たよー!」


フラエッテ「……?」


いつもなら後ろから驚かせつつ返事をしてくるはず。


なのに、今日は……


フラエッテ「トゲキッス……?」


エルフーン「と、トゲキッスさん……?」


店の奥に進むと、床に転がっていたのは破壊されたパソコン。


そして……横たわり、動かないトゲキッス。


フラエッテ「と、トゲキッ……」


エルフーン「危ない!」


何かが飛んできて、フラエッテを庇ったエルフーンに直撃。


エルフーンも、そのまま地面に落ちた。


フラエッテ「エルフーン……?」


何かが飛んできた方向を見ると、黒い毛で覆われたポケモンとサーナイトに似ても似つかない謎のポケモンが佇んでいた。


オーロンゲ「邪魔が入ったか……次で仕留めろ」


テツノブジン「O.K.」


再び飛んでくる光の刃を寸前で避け、店を脱出。


何がなんだかわからないまま、フラエッテは無我夢中で家に逃げ帰るのでした……
 ▼ 39 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:10:40 ID:s2F2VyVo [23/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテ「トゲキッスー?買い物に来たよー!」


フラエッテ「……?」


いつもなら後ろから驚かせつつ返事をしてくるはず。


なのに、今日は……


フラエッテ「トゲキッス……?」


エルフーン「と、トゲキッスさん……?」


店の奥に進むと、床に転がっていたのは破壊されたパソコン。


そして……横たわり、動かないトゲキッス。


フラエッテ「と、トゲキッ……」


エルフーン「危ない!」


何かが飛んできて、フラエッテを庇ったエルフーンに直撃。


エルフーンも、そのまま地面に落ちた。


フラエッテ「エルフーン……?」


何かが飛んできた方向を見ると、黒い毛で覆われたポケモンとサーナイトに似ても似つかない謎のポケモンが佇んでいた。


オーロンゲ「邪魔が入ったか……次で仕留めろ」


テツノブジン「O.K.」


再び飛んでくる光の刃を寸前で避け、店を脱出。


何がなんだかわからないまま、フラエッテは無我夢中で家に逃げ帰るのでした……
 ▼ 40 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:11:10 ID:s2F2VyVo [24/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテ「サーナイト!」


サーナイト「ん?お帰り……どうしたのフラエッテ。」


フラエッテ「エルフーンが……トゲキッスが……とにかく、逃げないと……!」


状況を知らないサーナイトでしたが、フラエッテの必死の表情を見て、今何をすべきかはわかりました。


サーナイト「……捕まってて」


そうフラエッテに言うと、サーナイトはテレポートを繰り返し、いつの間にか森の中……少なくとも、家からは遠く離れた場所にいました。
 ▼ 41 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:11:53 ID:s2F2VyVo [25/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テレポートには体力を使うのか、移動を終えたサーナイトは随分呼吸が荒くなっています。


そんな中、ガサガサと草をかき分けて何かが迫ってきました。


身構えるフラエッテと、優しく頭に手を置くサーナイト。





マリルリ「よう。」


草から出てきたのは、マリルリでした。どうやら、この辺りを住処にしているようです。


マリルリ「珍しいな、あんたから出向いてくるなんて。」


サーナイト「緊急事態なの。……もしもの時は、フラエッテをお願いするかもしれないから。」


マリルリ「……何があったんだ?」


サーナイト「それについては……これから話してもらうつもり。フラエッテ、大丈夫?」


フラエッテ「……うん」


一呼吸置いて、ゆっくりと話し始めました。
 ▼ 42 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:15:04 ID:s2F2VyVo [26/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
新しくピクシーがこの島にやってきたこと。


ピクシーについて行った先で、元の自分かもしれないポケモンの話を聞いたこと。


その後トゲキッス商店に寄ったところ、トゲキッスが斃れていたこと。


そして自分とエルフーンも襲われ、エルフーンが斃れてしまったこと。


サーナイト「……よく、無事で。」


フラエッテ「……エルフーンが守ってくれたから」


マリルリ「……俺で太刀打ちできるか……?」


サーナイト「とにかく、この島を出ましょう。船の動かし方は分からないけれど……」


フラエッテ「待って!それならその前にピクシーにも声をかけないと!」


マリルリ「……まあ、そうだな。こんな危ない時に誰か置いていくってのもな……」
 ▼ 43 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:15:30 ID:s2F2VyVo [27/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイトの体力が回復するのを待ち、フラエッテの記憶を頼りに屋敷へテレポート。


体力がギリギリなので、サーナイトは近くに隠れ、フラエッテとマリルリの2匹で様子を伺うことになった。





昼に掃除したはずの床が、土や泥にまみれている。


フラエッテ「そんな、まさか……!」


お茶会をした部屋に急ぐ。


フラエッテを待っていたのは……椅子に座ったままぐったりとしているピクシーと、黒い毛のポケモン。


一瞬怯んだ隙に、サーナイトのようなポケモンがフラエッテを念力で捉える。


オーロンゲ「よう、遅かったな。……優しいお嬢様が、執事を見殺しにするわけないよなぁ?」
 ▼ 44 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:16:53 ID:s2F2VyVo [28/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
動けないフラエッテに向かって、オーロンゲが何かの機械を構える。


金属とガラスでできたカプセルのようだ。


オーロンゲ「さあ、この中でもう一度永遠におねんねだ。大人しく……」


言いかけた黒いポケモンと、サーナイトのようなポケモンに水の拳が炸裂、2匹は大きく吹っ飛んだ。


マリルリ「フラエッテたちに……何してやがんだ、お前ら!」


フラエッテ「マリルリ……!そのサーナイトみたいなポケモンに気を付けて!そのポケモンの攻撃に当たると危ないの!」


マリルリ「よくわからんがわかった!お前は逃げろ!」


フラエッテ「ううん……わたしも戦う!」


マリルリ「いや、逃げ……まあいい、死ぬなよ!」


2匹がかりで襲いかかってくる敵を相手に、素早い動きと力強い一撃で翻弄するマリルリ。


多少のダメージを受けても、即座にフラエッテが回復する。


このまま行けば、勝てるかもしれない……そう思った時だった。
 ▼ 45 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:17:42 ID:s2F2VyVo [29/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オーロンゲ「やっぱり生け捕りは止めだ!トドメを刺せ!」


テツノブジン「O.K.」


マリルリ「何っ!?」


サーナイトのようなポケモンは腕の刃を光らせ、巨大なエネルギー弾をマリルリの背後のフラエッテ目掛けて放った。


マリルリ「くっそおぉぉぉぉぉ!」


素早い動きでエネルギー弾の前に飛び出し、体をひねって渾身の一撃で相殺を試みる。


しかし威力が足りず、直撃。マリルリもその場に倒れた。


フラエッテ「マリルリ……マリルリ!」


癒やしの力で必死にマリルリを回復しようとする。


技は確かに使っているのに、全く回復する気配がない。


オーロンゲ「無駄だ、魂を砕いたからな。そいつも、店にいた奴らも。」


フラエッテ「どうして、こんなことを……」


オーロンゲ「お前を手に入れるためさ!破壊の女神のエネルギーを!」
 ▼ 46 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:18:49 ID:s2F2VyVo [30/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイトのようなポケモンが再びフラエッテを拘束し、黒いポケモンがカプセルでフラエッテを捕獲。


作戦が成功して上機嫌になったのか、何やら語り始めた。


オーロンゲ「かつてカロスを、他の国を滅ぼした最終兵器、毒の花……組織はその再現研究を行っていた」


オーロンゲ「その中でエネルギーとして目をつけられたのがフラエッテ。それもえいえんのはなを持った個体が莫大なエネルギーを生産するってな。けど、そんなもんはもうこの世にはない。えいえんのはなは絶滅した植物だからな。」


オーロンゲ「だが組織は特に力の強いフラエッテを花ごと遺伝子改造することで後天的に生み出し、破壊兵器を見事作り上げてみせた!組織は滅んじまったが今じゃそれも好都合……ようやくこの力が……俺の手に……!」


オーロンゲ「フハハハハ!今日から俺が新たな世界の王だ!」
 ▼ 47 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:26:12 ID:s2F2VyVo [31/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
黒いポケモンたちはフラエッテを捕まえたまま、船着き場の方まで歩いていった。


オーロンゲ「元々この改良型カプセルならこいつのエネルギーにも耐えられるはずとはいえ……随分大人しいな。その方が助かるが。」


先程までいたはずのサーナイトは姿を見せなかったが、フラエッテにとってはそれがせめてもの救いだった。


せめて、サーナイトだけでも生きていて欲しいから。


わたしみたいな危険なポケモンからは……きっと離れるべきだから。


だからこのまま、わたしだけ……


サーナイト「……お前たちがフラエッテの言っていたポケモンか。」


オーロンゲ「……おいおいウソだろ、この期に及んでまだケンカ売るのか?」


フラエッテ「サーナイト……!」


サーナイトは逃げてなどいなかった。


船着き場で待ち構えていたのだ。
 ▼ 48 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:28:28 ID:s2F2VyVo [32/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテ「サーナイト、どうして……!」


サーナイト「あたしがあなたを見捨てるはずないでしょう?……今、助ける。」


オーロンゲ「バカなやつ。奇襲なら可能性があっただろうに。」


サーナイト「どうかしら。あたし戦闘向きじゃないし。それに……」


サーナイト「フラエッテ。あなたを見ないと全力は出せない。そう思ったから。」


オーロンゲ「ハッ。じゃあ勝手に死んでくれや!」


黒いポケモンはフラエッテの入ったカプセルを近くの地面に置き、サーナイトのようなポケモンと2匹でサーナイトに襲いかかる。







次の瞬間……黒い球体が出現し、2匹を地面ごと飲み込んでいった。


球体が消えると、力を使い果たしたサーナイトはぐったりと倒れこむ。


それでも這いながら……フラエッテの方へ進み、カプセルのロックを解除した。
 ▼ 49 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:29:11 ID:s2F2VyVo [33/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラエッテ「サーナイト!サーナイト!」


サーナイト「あぁ……よかった。どうにか……なったみたい」


フラエッテ「サーナイト……何をしたの?」


サーナイト「あたしの……サーナイトの必殺技。すべての力を出し切って、小さなブラックホールを作る……」


フラエッテ「すべての力……!?ま、待って、今回復を……!」


サーナイトは首を横に振る。


見ると、サーナイトの体がどんどん光の粒となっていっているのだった。


サーナイト「あたしはもうダメ……みたいだからさ。あたしの家、使って……」


フラエッテ「嫌だ……嫌だよ、サーナイト……サーナイトと、みんなと一緒じゃなきゃ、わたし……!」


光の粒は風に乗って、空に消えていった。
 ▼ 50 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:29:29 ID:s2F2VyVo [34/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから1週間。


フラエッテは泣いて、泣いて……考えた。


自分の力について。


あのポケモンはわたしのことを破壊の女神だとか言っていた。


ものすごいエネルギーを持つポケモンだと。


だけど、それは破壊だけに使うエネルギーではないはず。


わたしは……ポケモンや草木を癒すことができる。


そういうポケモンのはずだ、と。


そうして、覚悟を決めた。
 ▼ 51 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:29:57 ID:s2F2VyVo [35/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
立ち入り禁止区域の中心。


かつてフラエッテが目覚めた場所。


その中心に花を突き立て、祈りを込める。


どうか、この島に。この島の生命に祝福を。


わたしの全てを、無限の力を捧げます。


だからどうか、どうかお願いします。



祈るばかりでは何も起こらなかった。


しかし、花を支える手に力を入れたとき……激痛と共に、自分の体の中から何かが抜けていく感覚があった。


手応えを感じたフラエッテはますます手に力を込め、より強く祈った。
 ▼ 52 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:32:39 ID:s2F2VyVo [36/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
握る力が強くなればなるほど、身体の力は抜け、貫かれるような痛みが駆け抜ける。


それでも祈り続け、自分の力を、花の力を、一点にひたすら集中させる。


そして……限界を超えたところで解き放った。


緑色の光弾が打ち上がり、地面に落ち……島を包んでいく。



フラエッテ(わたしは……みんなに、生きていて欲しい。この島で、楽しく生きていて欲しい。)


フラエッテ(わたしはきっと……本当なら、既に終わっていたはずの生命だから。もう一度始まったのが、とても幸運だっただけ……)


フラエッテ「みんなにもらったいのち……返すよ」







こうして、えいえんのはなを抱えた1匹のフラエッテの物語が、幕を閉じた。
 ▼ 53 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:33:13 ID:s2F2VyVo [37/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





昔々のその島は、自然豊かな隠れた観光地でした。


まばらながらもポケモンが住み、広場や商店街はいつも賑やか。


誰もがこの幸せがずっと続くと思っていました。


けれどある日、突然の爆発によって島の3割が消し飛び、木や草花は元気をなくしてしまったのです。


そうして島に住んでいたポケモンも出ていき、今では随分と寂れてしまったのでした……






けれどある日、緑の光が島を包み、島の自然が戻りました。


そうして、離れていたポケモンたちもみんな戻ってきたのです。



 ▼ 54 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:34:11 ID:s2F2VyVo [38/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここは、かつて立ち入り禁止区域だった場所。


かつての荒れ地と違い、今は花が咲き乱れています。


そして花の生えていない部分を辿っていくと、導かれるかのように一輪の青い花に辿り着く。


そんな場所で、水やりをするポケモンたちがいました。


エルフーン「……あれから5年、ですか。早いですねえ。」


マリルリ「いや本当に。トゲキッスは子供が生まれて、サーナイトは大学卒業、俺のチームはプロ入り……」


エルフーン「……ウチだけ何もなくて惨めになるのでやめてください、それ……」


マリルリ「……悪い。」


サーナイト「まあまあ。外でちゃんと仕事してるんだから大成長だよ、エルフーンも。……そういえばトゲキッスは?」


マリルリ「子供が泣き止まないんだと。しばらく遅れるらしい。」


サーナイト「ふふ、そっか。」
 ▼ 55 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:35:22 ID:s2F2VyVo [39/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少しため息をついて、マリルリが話し始める。


マリルリ「……なんかさ、貰い過ぎだな……って感じるよ、時々。仲間ともう一度向き合えるようになって、しまいにゃ生き返らせてもらって……なのに、フラエッテはこんなことに。」


エルフーン「……フラエッテと会ってなかったら、今も自動システム頼りで。そもそも島にお客さん来ないから、給料低いまんまだったかも……あはは」


サーナイト「トゲキッスもこっちに住めることになったしね。あたしも多分、結構助けられてた。」


マリルリ「多分ってなんだよ。」


サーナイト「あっはは。助けられるとかどうとか、そういうんじゃない気がしてさ、あたしの場合。妹でもできたみたいで楽しかったっていうか。」


マリルリ「……確かに、あんたの場合はそうかもな。」





エルフーン「それじゃあ、トゲキッスの店に向かいましょう。久しぶりにみんなで集まってのご飯です!マリルリ、お願いしますよ!」


マリルリ「おいおいまた俺任せかぁ?仕方ねぇなぁ。腕によりをかけますか!」


笑いながらトゲキッス商店へ向けて移動を始めた一行。


その時、とてつもなく強い風が吹いた。
 ▼ 56 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:35:52 ID:s2F2VyVo [40/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「うわっ!?何、今の……」


エルフーン「こんな風、今までなかったですよ……?」


マリルリ「……お、おい……あれ」


マリルリに指されるがまま、振り返ると……青い花が、跡形もなく消えていた。


サーナイト「ま、まさか今の風で……」


エルフーン「吹き飛ばされちゃった……?そ、そんなこと……あ」


マリルリ「おい、どうした?」


エルフーン「上に青い花が……ほ、ほんとに引っこ抜けて……」


マリルリ「ウ、ウソだろ……」






サーナイト「……待って、何か……何か、くっついてない?」
 ▼ 57 ちっど◆.jJQDDIcAM 25/09/28 03:37:04 ID:s2F2VyVo [41/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マリルリ「え?花に何か……?いや、確かに。」


サーナイト「……っていうことはさ。これって……」


エルフーン「……マリルリ、ウチ、もう1匹呼びたいポケモンがいるの。だから」


マリルリ「2匹分追加ってことだな?任せろ。」


サーナイト「そ、それより!キャッチ、キャッチしないと!」


マリルリ「慌てるなバカ!あいつは飛べるから大丈夫だ!」


サーナイト「はぁ?ミアレ大卒のあたしがあんたよりバカなことないでしょ!」


マリルリ「だーっもうめんどくせえなこいつ!」


エルフーン「キャッチならウチが受け止めます!」






かつての自然を取り戻した、この島で。


青い花のポケモンの、新しい物語が今、再び始まった。




【ファイナルラストSS】えいえんのはなのものがたり
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