タウニー「ホテルをハロウィン仕様に飾り付けしようよ」デウロ「いいねえ」

タウニー「よし、これで完了っと」

デウロ「次はあたしたちの番だよねえ」

ピュール「どういうことです？」

デウロ「コスプレだよコスプレ！ハロウィンといえば仮装でしょ？」

キョウヤ「ピュール、コスプレ作ってあるの？」

ピュール「いや全然」

タウニー「作らないことの意味が分からない」

ピュール「作ってほしいのなら事前に言っておいてほしかったですね。それにハロウィンって本来はコスプレして街中で騒ぐようなイベントじゃないですし」

デウロ「え？そうなの？」

ピュール「死者の魂が帰ってくる日ですよ」

キョウヤ「そうなんだ！全然知らなかったよ。ピュールは物知りだね！」

タウニー「物知りなのはいいことだけどさ、ノリくらい合わせなよ！」

デウロ「そうだよ！若者にとってはコスプレして騒ぐ日でしょ？」

ピュール「そういうミーハーなのは嫌なんです」

AZ「ピュール。私はタウニーとデウロの意見に賛成だな。伝統を守ることも大切だが、幾年もの間その伝統が全く形を変えずに姿を残すのは難しい。いつだって今生きている人間が時代と伝統を作るものだ。今の若者が楽しいと思う形に変えてしまうのもありだと私は思うよ」

フラエッテ「キュルル♪」

ピュール「AZさんがそう仰るのなら……」

キョウヤ「じゃあ決まりだね。と言っても今から作るのは間に合うわけないしみんなで仮装グッズでも買いに行こうか」

タウニー「それがいいし。じゃあAZさん、行ってきまーす！」

AZ「楽しんでおいで」

ﾊﾞﾀﾝ…

キョウヤ「……あのさ」

タウニー「なんか……おかしくない？」

デウロ「思わずいつも通りの感じで会話しちゃったけど……」

ピュール「あ……ありえません……こんなことは……」

キョウヤ・タウニー・デウロ・ピュール「AZさんって亡くなったんじゃなかったっけ……？」

AZ「この世の恨みを晴らすべくあの世から舞い戻ってきたのだ」

AZ「盆と彼岸とハロウィンなら会えるぞ」

キョウヤ「なあピュール、さっきなんて言ってたっけ？ハロウィンの本来の意味」

ピュール「……死者の魂が帰ってくる日、ですよね」

デウロ「本当に帰ってきたってこと！？」

タウニー「そ、そそそそそんなわけないし。もう一度よく確認を……」ｷﾞｨｨ…

AZ「おや？忘れ物か」

タウニー「いるぅぅぅぅぅ！！！！」ﾊﾞﾀﾝｯ!

ピュール「失礼ですよその反応は！ボクたちの大好きなAZさんが帰ってきたことに喜びましょうよ！でないと祟られる！！」

キョウヤ「AZさんがそんなことするわけないだろ！」

ピュール「じゃあなんで帰ってきてるんです！そうだ、きっとボクがプリズムタワー事件の前日にAZさんに責任があるとか言っちゃったからそのことで恨みが……！」

デウロ「3000年生きてきてそんな小さいことのために戻ってくるわけないよねえ！？」

キョウヤ「みんな落ち着くんだ。AZさんは決して恨みがあって帰ってきたわけじゃない。あの人はそんな人じゃないってよく知ってるだろ」

タウニー「じゃあなんで」

キョウヤ「今日はそういう日なんだとしか言いようがないよ。これはチャンスじゃないか！さっきAZさんは楽しんでおいで、と送り出してくれただろう？オレたちでハロウィンを楽しんでいるところをAZさんに見せてあげようよ。AZさんはそう望んでいるはずだ」

デウロ「そ、そうだねえ」

ピュール「今日だけの我慢……おばけこわくない……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

タウニー「じゃ、じゃあ予定通りコスプレグッズ買いに行くし」

タウニー「ただいまー」

AZ「おかえり。いい道具は見つかったか？」

ピュール「なかなかいいデザインのものがありました。メガズルズキンのコスプレグッズです」

デウロ「ただの白いおばけの被り物だねえ」

ピュール「ボクがどう思おうが自由じゃないですか。衣装デザインとはそういうものです」

キョウヤ「オレも女性用の服とか普通に着るしな」

ピュール「それは別の話のような……」

タウニー「みんな楽しそうで良かった」

AZ「ふふ……やはり若者のやり取りを見ているのはいいな。若い力を貰って生きる活力が湧いてくるのを感じる」

フラエッテ「きゅきゅる」

タウニー「あ、あはは……そうです……ね……」

キョウヤ(反応に困るな……死者ジョーク)

AZ「そうだ、お前たちが出掛けている間にハロウィンパーティー用の料理を用意しておいた。私は食べられないから4人で分けるといい」

デウロ「わあ！美味しそうなケーキだねえ！」

ピュール(AZさんは食べられない……？やっぱり亡くなってるから？)

AZ「歳をとると甘いものが食べられなくなってくるのだ。遠慮はいらないぞ」

ピュール「いやそっちかい」

翌日

タウニー「おはよ」

デウロ「おはよう。昨日は楽しかったねえ！」

キョウヤ「ああ。なんだかんだでピュールが一番はしゃいじゃってさぁ」

ピュール「忘れてください」

タウニー「飾り付けも撤去しなきゃね。まずはAZさんの部屋から……」

AZ「おはよう」

タウニー(まだいるし！？)

ピュール「にゃっ……！ボ、ボク用事があるんでした！行ってきますっ！！」

デウロ「いっけなーい！ダンスのレッスン遅れちゃう！」

タウニー「あたしも人助けー！！」

キョウヤ「逃げやがったなみんな！オレも今から逃げるぜ！！」

AZ「みな朝から元気だな。それにしてもうまく行った」

フラエッテ「きゅる？」

AZ「死期を悟った気がしたが……実際にはちょっと長めに眠るだけで最近の不調は全て吹き飛んでしまった。墓や遺書まで残しておいて今さら戻るのは気まずいから堂々といつも通りにして自然に馴染もう作戦、見事成功だ」

フラエッテ「キュキュル♪」

ピュールの一言多いキャラが話転がすのに一役買ってておもろいやんけ

キョウヤ「……ということがあったんです」

ムク「へぇ。興味深い」

キョウヤ「お願いしますムクさん！ゴーストの専門家さん！」

ムク「あたしは何をすればいい」

キョウヤ「AZさんを安らかに眠らせてあげてほしいんです」

ムク「つまり除霊か。だがあたしはゴーストタイプを使う側だ。祓うのは専門外」

キョウヤ「あっ……！確かに」

ムク「まあでもやってみれば出来ると思う。とりあえず現場に連れてけ」

キョウヤ「そうですよね。知識0のオレなんかよりはよっぽどいいはずです。ではお願いします！」

ムク「急ぐぞ。シローたちがランニングから帰ってしまう」

キョウヤ「いない間に出かけないとうるさそうですもんね」

ムク「うるさそうじゃない。うるさいんだ」

支援ネ

キョウヤ「こちらがホテルZでございます、お客様」

ムク「なかなかいい雰囲気だ。飾りもいい。気に入った」

キョウヤ「お褒めの言葉光栄でございます。飾りは昨日のハロウィンのがまだ撤去されてないだけですけどね」

AZ「おや？お客さんとは珍しい」

キョウヤ「ひっ！出た……！」

ムク「シャンデラ、何か分かるか？」

シャンデラ「しゃん？」

ムク「……まだ霊気は感じないらしい」

キョウヤ「まだ？」

ムク「夜の方が霊気は強いに決まってる」

キョウヤ「あ、そうか」

ムク「除霊の準備も色々かかる。夜まで待て」

キョウヤ「なら部屋を用意しましょうか」

AZ「宿泊か？こちらに名前を記入してくれ」

ムク「むふふ。ゴーストホテルに宿泊……こんな経験滅多に出来ないな」

キョウヤ「あの……目的分かってます？」

ムク「頼まれた仕事はする」

キョウヤ「こちらの部屋をお使いください」

ムク「む……早速感じる」

キョウヤ「え！？AZさん以外にも幽霊が！？」

ムク「年季の入ってる建物なら当然。……でもやっぱり強くは感じないな」

シャンデラ「しゃん」

キョウヤ「ひぃぃ……今までゴーストホテルで過ごしてたなんて急に怖くなってきたよ」

ムク「なんで？興奮するじゃん」

キョウヤ「普通はしないと思います」

スマホロトム「ロトロトロトロト……」

キョウヤ「ギョエーっっっ！！！！」

ムク「あたしのスマホだ。静かにしろ」

カナリィ『ムクちゃん！今どこ！？』

ムク「あ、カナリィ♡」

カナリィ『さっきうちにシローが来てさぁ！ムクを隠しているのはお前かーっ！ってうるさいんだよ！！』

ムク「ご迷惑おかけしてます」

カナリィ『なんとか追い返したからいいけどさ。それで今どこ？誰かと一緒？』

ムク「んーと……キョウヤと二人でホテルにいる」

カナリィ『ぅえっ！？あっ……ふーん。邪魔してごめんね。お幸せに〜』

ムク「あぁ……もう切られちゃった」

キョウヤ「電話終わりました？」

ムク「残念ながら」

キョウヤ「除霊に必要な道具とかってありますかね。オレ集めてきます」

ムク「じゃあ頼んだ」

支援ネ

これアレだ、シローがあらぬ勘違いして乗り込んでくるやつだ

その夜　ホテルZ前


デウロ「あーどうしようどうしようもう帰らなきゃだけどまだおばけAZさんいたら怖いよねえ」ｳﾛｳﾛ

タウニー「デウロがホテルの前でウロウロしてる」

ピュール「入らないんですか？」

デウロ「そう言う二人だって」

タウニー「デウロがホテルの前でウロウロしてる！！！」

ピュール「だって……まだいたら怖いじゃないですか」

デウロ「だよねえ」

キョウヤ「どうしたんだ？デウロがホテルの前でウロウロして」

デウロ「あたし以外もウロウロしてるよ？」

キョウヤ「……」

タウニー「分かるよキョウヤ……スルーされるのって辛いよね」

ピュール「キョウヤの大荷物はなんなんですか？」

キョウヤ「ああこれか。ムクさんから頼まれた除霊に必要な道具だよ。ヤミラミの宝石のカケラにヒトモシの煤にカゲボウズの布地にヒトツキの破片にサルノリの棒にみゆはんの愛。いやー集めるのに苦労したぜ」

タウニー「なんか変なの混ざってない？」

ピュール「除霊ですか！じゃあAZさんを成仏させてあげることが出来るんですね！」

デウロ「やったねえ！これで安心して眠れるよ」

キョウヤ「ただいまー」

ムク「遅い」

AZ「おかえり。みんな一緒か」

タウニー「AZさん……！今助けてあげるからね！」

AZ「……？何の話だ？」

ムク「ほい、みんな集まれ」

デウロ「あたしたちも？」

ムク「除霊の儀式には多くの力を使う。なるべく多くの人数で一緒にやった方が成功率が高い」

ピュール「そういうことなら仕方ないですね……全てはAZさんのためです」

AZ「だから何の話だ」

ムク「円になって手を繋いで。みんなで念じる。それだけ」

キョウヤ「あの、オレが集めてきた道具は？」

ムク「そうだったそうだった。道具といえば……これ」

水晶玉「やあ」ﾊﾟﾝﾊﾟｶﾊﾟｰﾝ!

ムク「この水晶玉を中心に囲え」

キョウヤ「いやオレの集めた道具はー！」

ムク「早くしろ」

キョウヤ「はい。すみません」

ムク「準備完了」

キョウヤ「オレたちは何をすればいいんです？」

ムク「ただ念じて。己の望みを」

タウニー「みんなの考えが一致すれば叶うってこと？」

デウロ「なんだか除霊以外にも使えそうだねえ」

ピュール「だからといって余計なことを考えないでくださいよ」

デウロ「分かってるよ！」

ムク「それじゃ……開始！力こそパワー！！力こそジャスティス！！今こそジャスティスがこの世ならざる者を退ける時ッ！！」ｸﾜｯ

キョウヤ(AZさん……！安らかに眠ってくれぇっ！！)

タウニー(AZさん、どうか安らかに……)

デウロ(成仏してね、AZさん……あっそういえば晩御飯まだだった。お腹空いたなぁ。クロワッサン食べたい)

ピュール(ボクの望みは恩人のAZさんに……望み……カナリィさんとエッいや何を考えているんだボク)

ムク(カナリィがエッチな目に遭いますように。はっ！いけないいけない)

水晶玉「ﾋﾟｶｰ!」

キョウヤ「うわっ！？水晶から光が……！」

タウニー「AZさんの方へ向か……わない！？」

デウロ「あーあ、変な方向飛んでっちゃった」

ピュール「まさかこの中に考えを一致させなかった者がいるんじゃないでしょうね！！ボクはちゃんとAZさんの安静だけを考えていましたよ！！！！」

デウロ「め、珍しく大声出すじゃん」

タウニー「逆に怪しいし」

ピュール「っ！」ｷﾞｸｯ

ムク「……ごめん。全然違うこと考えてた」

キョウヤ「ムクさん！？あなたがそれじゃあ誰も除霊出来ないですよ」

ムク「気分転換にカナリィの配信でも見よっと」

タウニー「自由すぎるし」

アホ二人のせいで大変なこと起こりそうで笑う

>>17
デウロのクロワッサンもかなりぃ戦犯じゃね

カナリィ『D・G・4！イエーイカナ友のみんな見てるー？配信始めるぞー』

ムク「はぁ……カナリィ……♡」

ピュール「ボクは部屋に戻って一人で見ます」

キョウヤ「でも部屋の中幽霊いるかもよ」

ピュール「た、たまにはみんなで見るのもいいですよね」

デウロ「素直じゃないよねえ。怖いって言えばいいのに」

ピュール「うるさいですね。カナリィさんの声が聞こえない」

ムク「あれ……？」

カナリィ『とまあ今日はいつもとちょっと違う配信しようと思ってさあ、というのもゲストの方がいらっしゃってまーす。はいどうぞー』

シロー『どうも。ジャスティスの会のシローと申します』

ムク「なんで！！」

ピュール「お兄さんでしたっけ」

シロー『ムク！今この動画をどこかで見ているのでしょう！兄が心配しています。早く帰ってきなさい！！』

カナリィ『さてはそれが言いたかっただけっすね？』

シロー『いえ、せっかくですしこのままカナリィさんの配信にお邪魔します』

カナリィ『そう言われても何すればいいかな……』

シロー『それはもう一つしかないでしょう！目と目があったらジャスティス！！！』

カナリィ『それを言うなら目と目があったらポケモン勝負っすね。つーわけで生ポケモン勝負の配信しまーっす』

シロー『よろしくお願いします』

ピュール「なかなかレアな配信になりそうですね」

ムク「カナリィとポケモン勝負……羨ましい……」

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