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サトシ「アルトマーレ展?」【SS】

 ▼ 1 カイナシティの人 14/10/10 01:40:45 ID:.KtgE3nE [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
初めまして。いつも皆様のSSを楽しく読ませて頂いており、自分も挑戦してみようと思いました。

内容はスレタイからご想像の通り、サトカノ、サトセレを取り上げたいと思います。

初のSSですので、勝手がわからず、しばらくは安価無しで進めさせて頂きます。お見苦しい面があるかと思いますが、ご指摘、助言等頂ければ幸いです。

一応、工口はありません。……たっ、頼まれたって書きませんよっ! 多分……。

こういった場でSSを書くのは初めてですが、1人のお方にでも楽しんで頂けたら幸いです。それではよろしくお願い致します。

 ▼ 217 カイナシティの人 14/10/16 02:00:00 ID:Ijb8YYrQ [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「こんな霧の中だとラティアスも……」

そう、これだとラティアスにも影響が出てしまう。

 サトシ 「……いや、ラティアスなら行ける!」

 カノン 「えっ?」

 サトシ 「聞こえるかラティアス! “ラスターパージ”を保ったまま霧に突っ込め!」

サトシ君は叫んだ。

     「くわぁぁぁん!」

ラティアスの声も聞こえた。


そうか。“ラスターパージ”は、自分の元に光を作りだして、それを解放する勢いで、ダメージを与えるワザ。光を解放しなければ、それはラティアスにとってライトになる。

サトシ君……バトルで“ラスターパージ”を見るのは初めてなのに、もう使いこなしている。

凄いよ、本当に凄いよ、サトシ君。
 ▼ 218 ラティアス 心の雫 14/10/16 02:01:09 ID:31rkTWMI NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤミカラスナイス
ついでにドンカラスも呼んで(笑)
 ▼ 219 カイナシティの人 14/10/16 02:05:00 ID:Ijb8YYrQ [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
     「くぅぅぅあああぁぁぁぁぁんっ!」

ラティアスが高い声で叫んだ。それは、“ラスターパージ”の光を解放した証。それは即ち、ボーマンダの姿を捉えたと言うことだ。

その直後、何かが激しくぶつかる音、そして、地面に何かが落ちる音が響いた。

 J 「何をしている!? ボーマンダ!」


 サトシ 「ボーマンダの位置は追ってるよなラティアス! “ミストボール”!」

     「くああぁぁん!」

ラティアスから発射された真っ白な球体が、黒い霧の中からもはっきり見える。

衝撃音とともにボーマンダの鳴き声が聞こえたから、攻撃は当たっている。

 J 「羽ばたけボーマンダ! この霧を吹き飛ばせ!」

Jは怒鳴る。そして風が吹いた。

おそらくそれは、ボーマンダが羽ばたいて起こした風。

あの三日月のような翼から送られる風は、ものの数秒で黒い霧を全て吹き飛ばし、広場の中の視界が開けた。
 ▼ 220 カイナシティの人 14/10/16 02:07:30 ID:Ijb8YYrQ [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「なっ!?」

ラティアスは、ボーマンダの真正面にいた。

強力なメガ進化ポケモン、今まで自分を苦しめていたメガボーマンダの真正面。

黒い霧で自分の姿を隠しているとは言え、そんな、恐怖さえ感じるであろう敵の真ん前に、ラティアスは堂々と構えていた。

 カノン 「ラティアス……」

その表情は、とても凛々しくて、勇気に満ち溢れていて……。

 サトシ 「カノン!」

 カノン 「……うんっ!」
 ▼ 221 カイナシティの人 14/10/16 02:08:30 ID:Ijb8YYrQ [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「ラスターパージ!」

 カノン 「ラスターパージ!」

 ▼ 222 カイナシティの人 14/10/16 02:09:30 ID:Ijb8YYrQ [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
     「くぅぅぅあああぁぁぁぁぁん!!!」

光輝くラティアス。勇ましい表情で、“ラスターパージ”のパワーを解放する。

光を操る、青に近い薄紫色をしたその姿に、私はラティオスの面影を見た。


 ― あぁ、そうだ。


至近距離で解放された光が、メガボーマンダを瞬く間に呑み込んでいく。


 ― “ラスターパージ”を使った時点で、それは確実だったんだ。


大きく破裂する光の球体。それに巻き込まれるメガボーマンダ。


 ― あれは……メガラティアスのあの姿は……。

 ▼ 223 カイナシティの人 14/10/16 02:10:30 ID:Ijb8YYrQ [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
光が収まると、メガボーマンダは地面に横たわり、そして、普通のボーマンダの姿に戻っていた。

メガ進化が解除されたってことは、……勝ったんだ、私たち!


 サトシ 「やった……やったぜラティアス!」

     「くわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
 ▼ 224 エモンガ@リバティチケット 14/10/16 02:11:10 ID:ij8SLrs6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>221
ここは
サトシ・カノン「ラスターパージ!!」
のほうがよかったんじゃない?
 ▼ 225 カイナシティの人 14/10/16 02:13:01 ID:Ijb8YYrQ [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はこの辺で終了させて頂きます。

本日もご支援ありがとうございました。

16日(木)はポケモンを見終わってからの再開を予定しています。
 ▼ 226 ラティアス 心の雫 14/10/16 02:13:34 ID:PhoVNxz. NGネーム登録 NGID登録 報告
よかった
これで平和に
ユリーカはどうなった?
 ▼ 227 カイナシティの人 14/10/16 02:16:30 ID:Ijb8YYrQ [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>224
ご指摘ありがとうございます。
ただ、鉤括弧前の形式を統一したかったので、ここでは>>221のような形に纏めました。
 ▼ 228 ウソハチ@つららのプレート 14/10/16 18:27:53 ID:WU9YP0KI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 229 カイナシティの人 14/10/16 19:37:30 ID:lCCG/MIQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お待たせ致しました。もう間もなく更新再開します。

今日のアニポケでセレナはヤンチャムをゲットしましたが、このSSはそれより前の時間軸ですので、ヤンチャムは登場しません。念のため。
 ▼ 230 カイナシティの人 14/10/16 19:40:00 ID:lCCG/MIQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。きっとセレナちゃんが呼んでくれたジュンサーさんだ。

 J 「戻れボーマンダ。この役立たずが……」

Jはボーマンダをボールに戻して、私たちに背中を向ける。

 サトシ 「待てよJっ!」

サトシ君が叫ぶと、Jは立ち止まった。

 J 「これ以上は無駄だと分かった。撤収するのみだ」

よく見ると、Jは何かの機械を背負っている。Jがその機械を操作すると、機械の下についている噴射構のような部分から、微かに気流のようなものが発生しているのが見えた。


逃げる気だ、J。

本当に……私たち、Jに勝ったんだ。

ラティアスを襲った悪い人に、私たちは勝ったんだ。

今度こそ、ラティアスを護れたんだ。


私は安心の余り、サトシ君の支えを離れて、ヘタッとその場にしゃがみ込んでしまった。
 ▼ 231 カイナシティの人 14/10/16 19:50:00 ID:lCCG/MIQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「逃げるのか!? まだどっかで密漁する気なのかっ!?」

Jはサトシ君の言葉を無視して、空に飛び立った。あの機械は空を飛ぶための装置だったのか、ロケットのように、Jは月夜に飛び立った。

 サトシ 「待て! ラティアス、“ミストボール”でJを止めるんだ!」

Jを真っ直ぐ睨みつけるサトシ君は、険しい表情でラティアスに言った。

     「くわぁん!」

もちろんラティアスは、すぐさま攻撃態勢に入る。

けど……。
 ▼ 232 ラティアス 心の雫 14/10/16 19:59:53 ID:mMdyobIE NGネーム登録 NGID登録 報告
間に合わなかったんだろうな
 ▼ 233 カイナシティの人 14/10/16 20:00:00 ID:0Z4D4KKw [1/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ダメぇぇぇっ!」

 サトシ 「えっ?」

     「くぅぅ?」

私はすぐさま立ち上がり、サトシ君の肩を掴んで制止した。

 カノン 「ダメよサトシ君! 人を攻撃なんて絶対にダメ!」

 サトシ 「カノン……」

 カノン 「いくらJが悪い人だからって……ラティアスを襲った悪い人だからって……攻撃なんて絶対にダメ! ラティアスたちはそんなことするポケモンじゃ無いの! ラティアスたちは……ラティアスたちは人を護るポケモンなのっ! だから……だからっ……」

     「くぁぁん……」

サトシ君に必死に訴えた私は、何故か涙が次々と零れ落ちた。

確かに、Jをこのまま逃がしたら、また何処かで密漁を働いて、悲しむ人が出るかもしれない。

けど、それを正すのは、ラティアスの仕事じゃない。ラティアスは、護る側の存在なんだ。

普段は大人しくて、無邪気で、ポケモン達と触れ合って、人間のことが大好きで……。

ラティアスは、そんな日常を護る存在なんだ。
 ▼ 234 カイナシティの人 14/10/16 20:10:00 ID:0Z4D4KKw [2/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ラティアス、“ミストボール”中止だ。ごめんな、皆を護るはずのお前に、攻撃させようとして……。オレ、頭に血が上っちゃってたよ」

     「くぅんっ♪」

サトシ君はラティアスを撫でながら、優しく言った。私の想い、分かってくれたんだね……。

 カノン 「ありがとうサトシ君。でも……ごめんなさい。Jを掴めるチャンスを、私のせいで……」

 サトシ 「いや。カノンが言ってくれなかったらオレ、ラティアスを傷つけるところだった。人を攻撃するなんて、ラティアスから見ても良い事とは思えないし……」

 カノン 「サトシ君……ふふっ」

 サトシ 「優しいんだな、カノンって。それに凄ぇよ。あれだけJにやられても怒らないで、ラティアスのことを第一に考えててさっ」

 カノン 「あっ……うん……ありがとう」

私は急に恥ずかしくなってしまって、小さく俯いた。けど、内心すっごく嬉しかった。

     「くぅぅ♪」

ラティアスが嬉しそうに声を上げた。
 ▼ 235 ラティアス 心の雫 14/10/16 20:14:03 ID:qJOk1rLU NGネーム登録 NGID登録 報告
Happy endかな?
 ▼ 236 カイナシティの人 14/10/16 20:20:00 ID:0Z4D4KKw [3/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ジュンサー 「大丈夫ですかー!?」

 サトシ 「ジュンサーさんだ。はい、大丈夫です!」

 ジュンサー 「セレナさんから話は聞いたわ。そのJって人は……!?」

 サトシ 「逃げました。空飛ぶマシンを使って」

 ジュンサー 「その人、どっちに行ったか分かる?」

 サトシ 「向こうの方角ですけど……木が邪魔で、正確にどっちに行ったかは……」

 ジュンサー 「分かったわ。ありがとう。あなた達もポケモンセンターに行って。ジョーイさんがセレナさんを保護してるから」

 サトシ 「分かりました」

 ジュンサー 「私も後でポケモンセンターに行くから、詳しい話を聞かせてね。それじゃあ!」

ジュンサーさんは無線で応援を呼びながら、Jが逃げた方へ走って行った。


     「くわぁん♪」

ラティアスは、いつの間にか姿を消していた。

 カノン 「ふふっ。ラティアス……」

 サトシ 「ジュンサーさんに見つかっても、話がややこしくなるだけだしな!」
 ▼ 237 カイナシティの人 14/10/16 20:30:00 ID:0Z4D4KKw [4/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
静まり返った夜の広場。

メガボーマンダのせいで、電気を管理する建物は爆発しちゃったし、木も何本か折れている。

地面にもバトルの爪痕が残っているけど、月明かりはそれらを優しく照らしていた。


 カノン 「ねぇ……」

私はメガラティアスに優しく触れて、言った。

 カノン 「……ラティオスなんだよね、あなた」

 サトシ 「えっ?」

     「くぅ? くわぁぁんっ♪」

 カノン 「そうなのね……やっぱり……」

 サトシ 「……そうか。“こころのしずく”は……ラティオスだったもんな」

 カノン 「うん」


あの時。

ラティオスは、自分の命と引き換えに、津波からアルトマーレを護ってくれた。

そして、自らが新しい“こころのしずく”になって、再び、アルトマーレを護る役目に就いた……。

 カノン 「ラティオスっ……」
 ▼ 238 ラティアス 心の雫 14/10/16 20:32:12 ID:jCF8uK22 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
泣きそうだ
支援
 ▼ 239 カイナシティの人 14/10/16 20:40:00 ID:0Z4D4KKw [5/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ねぇラティオス。

あなた、私たちの危機を感じ取って、来てくれたんだよね。

あなたがラティアスを、メガ進化させてくれたんだよね。

そして、ラティアスと一緒に戦ってくれたんだよね。


……え?

気付かないわけないでしょ?

あなたしか使えない“ラスターパージ”を、ラティアスは使いこなしていたし。

それに、ラティアスがメガ進化した姿……あなたそっくりじゃない。綺麗な青色の体で……。


……うん。

あなたも見てたわよね、ラティアスの雄姿。

あれだけ強力なメガボーマンダに、ただ一人立ち向かて……。

あなたの妹は、もう立派なアルトマーレの護神になったのよ。


だから安心して、ラティオス。
 ▼ 240 ラティアス 心の雫 14/10/16 20:43:09 ID:jCF8uK22 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
だめだ泣いた
支援
 ▼ 241 カイナシティの人 14/10/16 20:50:00 ID:0Z4D4KKw [6/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「カノン。行こうぜ、ポケモンセンター。みんなを回復させないと」

 カノン 「……うん」

 サトシ 「お前達も来いよ。ちゃんと飛べるか?」

     「やぁ〜みぃ〜♪」

     「やみやぁみぃ!」


     「くあぁぁぁん♪ くぅぅん♪」

 サトシ 「どうしたラティアス?」

ラティアスは姿勢を低くして、私たちにアイコンタクトを送った。

 サトシ 「……乗って良いのか?」

 カノン 「えっ……大丈夫ラティアス?」

     「くぅん!」

 サトシ 「そっか。よぉし! ポケモンセンターまで空中散歩だ!」

     「くぅぅん♪」
 ▼ 242 カイナシティの人 14/10/16 20:50:30 ID:0Z4D4KKw [7/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し休みます。
 ▼ 243 ラティアス 心の雫 14/10/16 20:58:47 ID:5gRBts6g NGネーム登録 NGID登録 報告
了解です
支援
 ▼ 244 コジョフー@にじいろのはね 14/10/16 21:41:04 ID:rBVuSMMA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 245 アイアント@つきのいし 14/10/16 21:44:42 ID:Eh1VykfU NGネーム登録 NGID登録 報告
>>240
俺もだ
泣いた
 ▼ 246 ラティアス 心の雫 14/10/16 21:52:14 ID:geUHrzUg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 247 ゴチム@アップグレード 14/10/16 23:06:55 ID:BXrhtVu6 NGネーム登録 NGID登録 報告
久しぶりに映画見直したくなったわ。
 ▼ 248 ラティアス 心の雫 14/10/16 23:12:48 ID:JycVEAyo NGネーム登録 NGID登録 報告
この間見た
やっぱり泣いた
ラティオス…。
 ▼ 249 カイナシティの人 14/10/17 00:10:53 ID:0Z4D4KKw [8/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メガラティアスの背中に跨って、私たちは大空を飛んでいる。

サトシ君が前に乗って、私はサトシ君の後ろで、サトシ君にしっかり掴まって。


 サトシ 「“こころのしずく”が、メガストーンの役割を果たしたんだな」

 カノン 「えぇ。きっとラティオスが助けてくれたのよ。私たちと、ラティアスの想いを受け取って……」

 サトシ 「そっか。だからメガラティアスの体の色、ラティオスに似てたんだな」

 カノン 「サトシ君も気付いてたんだ」

 サトシ 「あぁ。きっとラティオスがラティアスに、勇気をくれたんだな」

 カノン 「うん……」


あたりは澄み切った夜空になっていた。ラティオスが雲を消し飛ばしてくれたおかげだ。

大きな満月に、手が届きそう……。

そんなロマンチックな中、私はサトシ君と一緒に、空を飛んでいる。
 ▼ 250 カイナシティの人 14/10/17 00:22:22 ID:0Z4D4KKw [9/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けれど、明日でお別れなんだ。

私はこの先、サトシ君とずっと一緒にいることは出来ない。

それが、“こころのしずく”を護る一族としての定め。変えることの出来ない、私の運命。

 カノン 「サトシ君……」

私は、サトシ君を強く抱きしめて、彼の背中に顔を埋めた。

 サトシ 「カノン……?」


サトシ君がいたから、無事にラティアスを助けることが出来た。

サトシ君がいたから、ラティアスは大人になれた。

サトシ君がいたから、今こうやって、幸せな時間を送ることが出来る。


 カノン 「ありがとう……サトシ君。本当に、本当に……」

私はしばらく、サトシ君の頼もしい背中に、自分の体を預けていた。
 ▼ 251 カイナシティの人 14/10/17 00:30:04 ID:0Z4D4KKw [10/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
人通りが無いことを確認して、私たちはポケモンセンターの裏手に下り立った。

 サトシ 「サンキュー、ラティアス!」

 カノン 「ラティアス、ご苦労様っ」

     「くぁぁん♪」

元気に一鳴きすると、メガラティアスの体が一瞬光り、ラティアスの姿に戻った。やっぱりラティアスは赤の方が しっくりくるな。

 カノン 「ありがとう……ラティオス」

私は“こころのしずく”にそっと手を伸ばし、優しく抱きしめた。

それはラティオスの温もりのように、とても、とても暖かかった。


 カノン 「一旦戻って、ラティアス」

私はラティアスを、ボールに戻した。

 サトシ 「カノン、ラティアスがモンスターボールに入ってるってことは……」

 カノン 「ううん、一時的なの。カロスまでは飛行機だから、ラティアスと一緒に来るにはボールに入れるしか無かったから」

 サトシ 「あ、そっか。けっこう長かったもんな飛行機」
 ▼ 252 カイナシティの人 14/10/17 00:40:00 ID:0Z4D4KKw [11/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターに入る。がらんとしたロビーには、ジョーイさんに付き添われたセレナちゃんが、ソファに小さく座っていた。両手で顔を覆って俯く姿は、とても悲しく見えた。

 サトシ 「セレナっ!」

サトシ君が発した声が、ロビーに響く。それを聞いたセレナちゃんは、パッと顔を上げた。

 セレナ 「サトシっ……サトシぃぃぃ!」

目を真っ赤にしたセレナちゃんは、ソファから立ち上がると、一直線にサトシ君の元へと駆け寄って、抱き付いた。

 サトシ 「ちょっセレナ……!」

 セレナ 「良かった……無事でっ……本当に良かったぁ……」

 サトシ 「泣くなよセレナ……」

 セレナ 「ごめん……ごめんねサトシっ……助けに行きたかったんだけど……フォッコがやられちゃったら……戦えるポケモンっ……いなくでっ……サトシは悪い人と戦ってるのに……私なんにもできなくてっ……」

 サトシ 「気にすんなって。こうやってオレたち無事に戻ってこれたんだし、セレナに何も起きなくて良かったよ」

 セレナ 「ぅっ……サトシぃぃぃ……」

セレナちゃんも、ここで戦ってたんだな。何もできない自分の不甲斐なさと。

現地にいるより、心理的にずっと厳しかったよね、セレナちゃん……。
 ▼ 253 カイナシティの人 14/10/17 00:42:30 ID:0Z4D4KKw [12/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キリが良いので今日はこの辺で終了させて頂きます。

皆様からのご支援に感謝いたします。

再開は17日(金)の夜を予定しています。
 ▼ 254 ドードー@なんでもなおし 14/10/17 11:22:50 ID:8Xe3bfAY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 255 ラティアス 心の雫 14/10/17 17:29:00 ID:ka4sldz. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 256 ギャロップ@きあいのタスキ 14/10/17 21:34:35 ID:0gre0q3Q NGネーム登録 NGID登録 報告
支援age
 ▼ 257 ゼクロム@ふっかつそう 14/10/17 23:31:12 ID:LorZeYxE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 258 カイナシティの人 14/10/17 23:50:00 ID:9yeO4Bak NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【21】

私は結局、何もできなかった。

いくらサトシに言われたからって、ジュンサーさんを呼ぶために、私はサトシとカノンに背を向けた。

ポケモンセンターで待っている間、ずっと、ずっと、居た堪れない思い出いっぱいだった。ジョーイさんが慰めてくれていたけど、全然耳に入って来なかった。

けど、そんな私を、サトシは優しく包み込んでくれた。それがどれだけ、私の罪悪感を癒してくれたか……。


やっぱりサトシは凄いな。

相手がどんなに強そうなポケモンを持っていても、絶対に諦めないで、正義のために立ち向かていく……。皆が皆、出来ることじゃないよ。

私も強くならないと。そのためにも、仲間を増やさないと。

サナがキッカケをくれたトライポカロンに挑戦するためにも、仲間を増やして、自分自身が強くならないと。


サトシの胸の中で、私は固く誓った。
 ▼ 259 カイナシティの人 14/10/18 00:00:00 ID:0Z4D4KKw [13/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ達とラティアス、それに、サトシ達を助けてくれたヤミカラス2匹は、今夜はポケモンセンターで治療することになった。

相当厳しいバトルだったんだな。みんな疲れ切った表情をしていて、体中傷だらけだ。ラティアスは笑顔だったけど、傷跡は大きかった。

その後しばらく、戻って来たジュンサーさんに、今回の件を詳しく話した。あんなに酷いことをして……Jは絶対に許せない。


捜査協力が終わってポケモンセンターを出たのは、23時半少し前。完全に人通りのない道を3人並んで歩いて、ホテルに戻って来たのは、23時40分くらいだった。

 サトシ 「はぁぁぁ着いたぁぁぁ」

一旦3人部屋の方に入ったけど、部屋に着くなりサトシは、ボフッとベッドに倒れ込んだ。

 カノン 「ふふっ。お疲れ様、サトシ君」

私とカノンは、隣のベッドに腰掛けて、顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。

 セレナ 「なんだか信じられないわね。ついさっきまで、ここで寛いでたのに……ラティアスが悪い人に捕まって、助け出して、さっきと同じ場面に戻って来て……」

 サトシ 「そうだな。……ったくJの奴。ラティアスを捕まえようとするなんて信じられないぜ」

 カノン 「でももういいじゃない。ラティアスは無事だったし、大きく成長できたみたいだし……」
 ▼ 260 ラティアス こころのしずく 14/10/18 00:03:57 ID:3GHZIFYM NGネーム登録 NGID登録 報告
いい話だ
支援
 ▼ 261 カイナシティの人 14/10/18 00:10:39 ID:0Z4D4KKw [14/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……なんで、ポケモンを密漁しようなんて考える奴がいるんだろう」

 カノン 「ラティアスみたいに珍しいポケモンは、高いお金で取引されるんだよね。密漁なんて、珍しいポケモンを欲しいって思う人がいなくならない限り、ずっと続くんだろうな……」

 サトシ 「だったら自分で探してゲットした方が、絶対面白いんだけどなぁ……」

 セレナ 「そうよね。結局、お金で何でも手に入れようとする人がいるからいけないのよ。苦労を知らないで生きて来た人が、そういう簡単な考えに走るんじゃないかな」

 サトシ 「なるほどなぁ……」


密漁の問題なんて、きっと公になっていないだけで、まだまだ沢山起きていると思う。

けど、私たちがそれを止めることは、恐らく出来ない。この前のコフーライの時は、たまたま運が良かっただけで、事実、今回はJに逃げられてしまった。


私たちができること……それは多分、ポケモンと思いっきり触れ合うこと、だろうな。

人間は悪い人ばかりじゃない、ポケモンのことを一番に考えて、友達みたいに触れ合おうって考えている人間がいる……。

それを少しでも多くのポケモンに知って貰うことが、人間とポケモンがお互い気持ちよく暮らせる世界になる、唯一の方法だと、私は思う。
 ▼ 262 カイナシティの人 14/10/18 00:20:00 ID:0Z4D4KKw [15/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「あ、ねぇセレナちゃん。一緒にお風呂行かない?」

 セレナ 「お風呂って……部屋のユニットバスは狭すぎて2人じゃ……」

 カノン 「ううん。ここのホテル、1番上の階にお風呂があるの」

 セレナ 「そうなの!? 行こう行こう! 眠る前にサッパリしたい」

 カノン 「ふふっ。決まりね。確か入れるの1時までだったから、今の時間なら空いてるはずよ」

 セレナ 「うん! あ、でもサトシは……」

 サトシ 「あぁ、オレは疲れたから部屋のを使う。2人ともゆっくり行って来いよ!」

 カノン 「うん。ありがとうサトシ君!」

 セレナ 「じゃあ、ちょっと行ってくるわね!」

私とカノンは、部屋に置いてあったタオルとバスタオルを持って、ホテルの10階にある大浴場へと向かった。
 ▼ 263 ラティアス こころのしずく 14/10/18 00:21:14 ID:Gn1U51ww NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 264 カイナシティの人 14/10/18 00:40:00 ID:0Z4D4KKw [16/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「わぁ〜大きいお風呂! 久しぶりぃ〜♪」

窓に沿って造られた、大きな浴槽が目に飛び込んできた。パッと見て、長さは10メートルくらいあるかな。

普段はポケモンセンターのシャワーだったから、お風呂に入ること自体、実は久しぶりだ。

 カノン 「ふふっ。実は私、広いお風呂があったから、このホテルを予約したんだ」

 セレナ 「そうだったんだ〜。ね、早く入ろうよっ!」

 カノン 「ちょっと待っててセレナちゃん。先にシャンプーと、体も洗いたいから」

 セレナ 「そっか。じゃあ私も先にっ」

私はカノンに並んで、洗い場の椅子に座った。
 ▼ 265 カイナシティの人 14/10/18 00:46:00 ID:0Z4D4KKw [17/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あれ……?」

体を洗っているカノンの腕と足に、いくつもの擦り傷を見つけた。まだ赤く滲んでいるから、出来たばかりの傷……さっきJにやられた傷なんだ……。

 カノン 「うぅ〜シャワーが しみるなぁ……」

 セレナ 「カノン、その傷……」

 カノン 「うん。さっき出来た傷なんだ」

 セレナ 「酷い! 女の子の体を傷つけるなんて……」

 カノン 「ううん。いいの。この傷はね、私がラティアスを護った証なんだ」

 セレナ 「カノンがラティアスを……そっか。凄い頑張ったんだね、カノン」

 カノン 「うん。サトシ君や、サトシ君のポケモン達……それに、野生のヤミカラスも。みんな頑張ってJに立ち向かってたから……私もラティアスを助けるために、無我夢中だったんだ」

そっか……。凄いなカノンも。勇気があって……。
 ▼ 266 カイナシティの人 14/10/18 00:46:31 ID:0Z4D4KKw [18/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「何だか情けないな……私」

 カノン 「あっ……そんなこと無いよ! セレナちゃんがジュンサーさんを呼んでくれたおかげで、みんなして無事に帰ってこれたんだから!」

 セレナ 「でも……私だけ傷一つなくて……やっぱり情けないよぉ……」

 カノン 「でもそれは……、サトシ君の望みでもあったんじゃないかな?」

 セレナ 「サトシの……?」

 カノン 「うん。サトシ君あの時、きっと必死だったんだよ。自分だけでJに勝てるか分からないから、せめて、あの時まだ自由に動けたセレナちゃんだけは助けようって」

 セレナ 「でも……」

 カノン 「ふふっ。私ね、サトシ君は、セレナちゃんのことを好きなんじゃないかって思ってるんだよ?」
 ▼ 267 カイナシティの人 14/10/18 00:47:30 ID:0Z4D4KKw [19/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えぇっ!? そそそんなこと……!?」

 カノン 「だってサトシ君……。ほら、ユリーカちゃんが大変だって電話くれた前。私とサトシ君、実はけっこう良い雰囲気だたんだよ?」

 セレナ 「えっ!? それって……」

 カノン 「でも、セレナちゃんから大変だって電話を受けたら、サトシ君、私のこと置いてけぼりで、真っ先にセレナちゃんの元へ向かって行ったんだよ。それってきっと……セレナちゃんのこと、凄い大切に思ってるからだよ」

 セレナ 「でっ……でもでも……。そんなこと言ったら私だって……、サトシはカノンのこと好きなんじゃないかって思ったよ」

 カノン 「わっ私を……!? どうして……」

 セレナ 「病院の帰りにね、その……ごめんねカノン。抜け駆けするとか、そんなつもりは全然なかったんだけど……私、サトシに……きっ、キス……しちゃったんだ……」

 カノン 「わっ。セレナちゃん大胆!」

 セレナ 「でも、そのあとすぐにね、カノンをホテルに残したままだから、急いで帰ろうって。キスした余情に浸る訳でもなくて。きっとサトシ……私よりカノンの方が好きなのよ……」

 カノン 「はぁ……だったら嬉しいな、すっごく。……けど、お昼に話した通り、私はサトシ君と一緒にはなれない運命なんだ。もし本当だったら、気持ちだけ……気持ちだけ受け取るつもりだよ、私……」

 セレナ 「カノン……」

 カノン 「けど、セレナちゃんとサトシ君、一緒に旅してるってことは、サトシ君、絶対にセレナちゃんのこと気になってると思うよ」

 セレナ 「そおかなぁ……たまに私、サトシにアプローチするんだけど、全然気にしてくれなくて……。鈍感なのかなぁ、サトシって」
 ▼ 268 カイナシティの人 14/10/18 00:48:30 ID:0Z4D4KKw [20/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ふふっ。純粋な人ほど、恋には鈍感だもんね。……セレナちゃん、本当、想いは伝えなきゃ、いつまで経っても気付いて貰えないよ?」

 セレナ 「うっ……うん」

 カノン 「私は……明日の展示会が終わったら、アルトマーレに帰っちゃうから……私の分まで頑張って! サトシ君に振り向かせなよ、セレナちゃん!」

 セレナ 「えっ……ぅぅ……ふふっ。ありがとう、カノン!」

 カノン 「私たち、ある意味ライバルだね」

 セレナ 「そうね……あははっ!」

 カノン 「じゃあセレナちゃん、お風呂入ろ!」

洗い場から立ち上がったカノンの体には、やっぱり擦り傷と、痣のような跡も見える。けどカノンは、とっても堂々としていた。

勿論スタイルが良いからってこともあると思うけど、きっと、ラティアスを護った勲章のように、カノンは考えてるんだろうな。

 セレナ 「カノン、あなたの体、すっごく綺麗」

 カノン 「え? ……ふふっ。ありがとう、セレナちゃん」

私とカノンは、浴槽で思いっきり体を伸ばして、裸のお付き合いで、しばらくトークを楽しんだ。

窓から見える夜の街は眠りにつき、すっかり静まり返っていた。
 ▼ 269 カイナシティの人 14/10/18 00:49:00 ID:0Z4D4KKw [21/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ただいま〜」

 カノン 「サトシ君、自動販売機で冷たいお茶買って来たけど……きゃっ///」

 セレナ 「あっ……もぉ〜サトシったら……///」

サトシはベッドの上で、パンツ一丁で眠っていた。ベッド脇にシャツと短パンが置いてあるってことは、一応、着替えるつもりではいたんだろうけど……。

 カノン 「疲れてそのまま眠っちゃったのかな」

 セレナ 「そうでしょうね。サトシったら……女の子がいるのに配慮無さすぎよ……」

私はちょっと呆れながら、サトシに布団をかけた。けどその呆れた感情は、可愛らしさも持ち合わせていた。

 カノン 「Jとバトルしてる時は、あんなにカッコ良かったのになぁ」

 セレナ 「ふふっ。カノン、幻滅しちゃった?」
 
 カノン 「ううん。こんな子供っぽいサトシ君も、可愛げがあって大好き。羨ましいよ、一緒に旅してるセレナちゃんが……」

カノンも同じ気持ちか。やっぱりサトシは、こうでなくっちゃ。完璧に越したことは無いけれど、ちょっと抜けてる方が、親近感が湧くと言うか……守ってあげたくなると言うか……。とにかく、こんな面も含めて、サトシの全部が好きだな、私は。
 ▼ 270 カイナシティの人 14/10/18 00:50:01 ID:0Z4D4KKw [22/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシ起こすの可哀想だし、カノンも今日はここで寝てよ」

わざわざ5階の部屋にカノンだけを行かせるのも可哀想だし、ちょうど3人部屋だから、ここで一緒に寝た方が良いに決まってる。

 カノン 「……うん。じゃあそうさせて貰うね。ソファーベッドでいいから」

カノンは遠慮がちに隅にあるソファーベッドに入ろうとしたけど、せっかく広々としたベッドがあるのに勿体ない。

 セレナ 「でも、ソファーベッドってあんまり寝心地良くないんでしょ?」

 カノン 「そんなに気にならないとは思うけど……」

 セレナ 「……ねぇカノン。もしカノンもやりたかったらの話だけど……」

 カノン 「え?」
 ▼ 271 ママンボウ@しろいビードロ 14/10/18 00:50:45 ID:IsOizpm6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひえん
 ▼ 272 カイナシティの人 14/10/18 01:00:00 ID:.KtgE3nE [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スーパーツインルームと言うだけあって、ベッドのサイズも大きい。そのベッド2つをくっ付ければ、広々とした1つのベッドの完成だ。

 カノン 「セレナちゃん……本当にやるの?」

 セレナ 「わっ……私だって恥ずかしいわよ。でも……ほら、今日くらいしかないでしょ、こういうチャンス」

明日アルトマーレに帰るカノンにとってみれば、今日が最後のチャンス。

いつも4人で旅してるわ私にとっては、シトロンとユリーカ、それにピカチュウがいない今日がチャンスだ。

 カノン 「そっ……それじゃあ……」

 セレナ 「うん……」

ベッド2つをくっ付けたけど、動かさなかった一方には、サトシが眠っている。


……そう、こんなチャンス、滅多に無いんだ。

私はサトシの右側に、カノンはサトシの左側に、それぞれ寄り添って布団に潜る。

 カノン 「なんか……落ち着かないよぉ……」

 セレナ 「私だって……。でもさカノン。サトシとの思い出、ちゃんと作らないとねっ」


私とセレナとサトシは、3人寄り添って、静かに眠りについた。
 ▼ 273 ナックラー@どくどくだま 14/10/18 01:01:57 ID:j.wsAfkk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
更新きてた嬉しい!
支援
 ▼ 274 カイナシティの人 14/10/18 01:20:00 ID:.KtgE3nE [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【22】

目が覚めた。天井を見つめたまま、オレは昨日のことを思い出す。

ピンチになったラティアスを、ラティオスが助けに来て、ラティアスはメガ進化した。兄妹の絆を感じる出来事だった。

ラティアスはとても強くなったし、これなら、もしアルトマーレを悪者が襲っても、立派に守り抜くと思う。

ラティアスは……あの無邪気なラティアスは、もう立派なアルトマーレの護神なんだ。


 サトシ 「ふあああぁぁぁああああ」

― プニュッ

 サトシ 「……ん!?」

思いっきり伸びをしたその両腕が、何かにぶつかって止まる。何か柔らかいものに……。

 サトシ 「え?」

右にはセレナが、左にはカノンが、静かに寝息を立てていた。しかも、2人ともオレの方を向いて、かなり近い位置で。

 サトシ 「えええぇぇぇっ!?」
 ▼ 275 カイナシティの人 14/10/18 01:25:01 ID:.KtgE3nE [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ホテルをチェックアウトして、ポケモンセンターでピカチュウ達を引き取る。みんな元気に回復していた。

その足でユリーカが入院している病院に向かう……が、とてつもなく気まずい。

 サトシ 「(オレ……セレナとカノンの胸を触っちゃったんだよな……)」

 セレナ 「(サトシに胸さわられちゃった……)」

 カノン 「(サトシ君に胸を……。恥ずかしいよもぉ……)」


オレの肩ではピカチュウが、セレナの腕ではデデンネが、上空では2匹のヤミカラスと、姿を消したラティアスが、無邪気に笑っていた。

オレ達の気まずさを知らないで……。
 ▼ 276 カイナシティの人 14/10/18 01:27:30 ID:.KtgE3nE [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな気まずさも、病院に着いてすぐに消えてなくなった。

 ユリーカ 「みんないらっしゃ〜い!」

 サトシ 「おっ! 元気になったんだなユリーカ!」

 ユリーカ 「うん! 朝起きたらスッキリしてた!」

 セレナ 「良かったわねユリーカ」

 カノン 「本当。大事にならなくて良かったね、ユリーカちゃん」

 シトロン 「皆さん、本当にご心配おかけしました!」

 サトシ 「気にすんなって! ユリーカが元気になれば、それでいいのさっ!」

解熱剤の効果がすぐに出たようで、ユリーカは朝8時頃の時点で、熱はほとんど下がっていたらしい。点滴も効いたみたいだ。

 シトロン 「けど、念のため明後日まで入院することになってます。点滴は今日中に取れるようですけどね」

本当に良かった。ユリーカが元気になって。このまま症状が重くなって家に帰るなんてなったら可哀想だもんな。
 ▼ 277 カイナシティの人 14/10/18 01:28:00 ID:.KtgE3nE [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン 「僕は今日一日ユリーカについてますので、サトシたちは遠慮無く出掛けて下さい」

 カノン 「そうだサトシ君。今日の水上レース、11時から参加者の説明会があるわよ」

 サトシ 「あっそうだったな。……じゃあ悪いシトロン。行ってくるよ」

 シトロン 「はい。頑張ってくださいね」

 ユリーカ 「サトシ絶対優勝してね!」

 サトシ 「おぉ! 任せとけ!」

 セレナ 「あ、ねぇ見てみて! ここの窓から川が見えわよ」

 サトシ 「ホントだ。大通りの反対側は川に面してたのか」

 カノン 「ユリーカちゃん、サトシ君、あの川を通るわよ」

 ユリーカ 「ホント!? じゃあサトシ、私ここから応援するね!」

 サトシ 「あぁ。よろしく頼むぜユリーカ!」

 ユリーカ 「うん!」
 ▼ 278 カイナシティの人 14/10/18 01:28:30 ID:.KtgE3nE [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
10時過ぎに、オレ達は病院を出発した。


結局、シトロンとユリーカには、夜の出来事は伝えなかった。

2人を心配させたくないし、セレナみたいに、何もできなかった罪悪感を与えたくもない。

それに、Jと言う冷酷なハンターがこの世にいるという不安も、与えたくなかったからだ。


ポケモンセンターまで歩いて20分くらい。少し待って、そこからバスでアルトマーレ展の会場まで15分。

水上レースの参加者受付に着いたのは、説明会が始まる5分前になっていた。
 ▼ 279 カイナシティの人 14/10/18 01:29:00 ID:.KtgE3nE [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
説明会は30分程度で終わり、13時までは自由行動と告げられた。

14時から始まる水上レースは、この街の運河のさらに上流がスタート地点らしい。13時に移動用のバスに乗ってスタート地点に向かって、14時にスタートすると言う訳だ。

オレ達は昨日と同じようにフードコートへ出向き、再びアルトマーレ料理を堪能した。


水上レース後は時間が無いので、最後に少しだけ、会場内を見て回った。

ユリーカが蚊に刺された林の周辺は、ポールとロープで封鎖されている。本当にこれで蚊を防げるかは疑問だけど、このアルトマーレ展が中止にならなかったので良いやと割り切った。

3人で綿菓子を食べて、ラティアスとラティオスの伝説に関する資料展を見学して……あっという間に、出発の13時になった。

 セレナ 「じゃあサトシ、頑張ってね!」

 カノン 「私たち、ゴール手前の……海に入る前の橋で応援してるから」

 サトシ 「あぁ。絶対勝ってやるからな!」

     「ぴかぴっかぁ!」

     「くぅぅぅん!」

 隣からラティアスの小さな声がした。姿は消しているけど、目一杯の笑顔で応援してくれていることは分かる。

オレはラティアスを軽く撫でて、移動用のバスに乗り込んだ。
 ▼ 280 カイナシティの人 14/10/18 01:30:00 ID:.KtgE3nE [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スタート地点に着くと、すぐに準備が始まった。

オレが乗る浮具と、引っ張ってもらうケーブルを確認する。……懐かしいな。アルトマーレでやった時と同じだ。だから、感覚は分かっている。

 サトシ 「頼んだぜケロマツ! 絶対勝ってやるぞ!」

     「けろけろぉ!」


幅の広い川に、参加者が一直線に並ぶ。参加者は50人くらいかな。

この辺は広いけど、川を下って、途中で街の運河にコースが分岐する。そこから先は抜き合いも難しくなると思うので、この川でどれだけ前に出れるかが勝負だ。

運河を抜けたら、アルトマーレ展の会場の脇を通って、海に到達する。公園に沿ってラストスパートをかけて、会場の特設ステージ前がゴールだ。


『お待たせいたしました。アルトマーレ展フィナーレイベント、特別水上レース、間もなくスタートですっ!』

オレは今一度、ワイヤーの握り具合を確認した。

 サトシ 「よ〜し……行くぜケロマツ!」

     「けぇろ! けろけろぉ!」


『それでは……スタートです!』

アナウンスと同時にモニターの信号が青になり、オレ達は一斉にスタートした。
 ▼ 281 カイナシティの人 14/10/18 01:38:38 ID:.KtgE3nE [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この辺で一旦終了させて頂きます。

ここまでのご支援ありがとうございました。

この先、18日(土)のうちに完結する予定です。
 ▼ 282 スイクン@おちゃ 14/10/18 02:27:50 ID:CEk01dKQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最後楽しみ
だけど別れが近づくのが切ない
 ▼ 283 ラティアス こころのしずく 14/10/18 07:30:39 ID:WghFXiE. NGネーム登録 NGID登録 報告
ついに終わるのか…寂しいな
支援…
 ▼ 284 メガフシギバナ@ボロのつりざお 14/10/18 08:27:05 ID:LfSa.4Eo NGネーム登録 NGID登録 報告
SS読んで初めて涙流して読んだ……
支援
 ▼ 285 キングドラ@こううんのおこう 14/10/18 12:58:00 ID:ITzQrk0Y NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 286 ドレディア@ネストボール 14/10/18 13:55:57 ID:FqWTyUJY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
終わっちゃうとなんか寂しいなぁ
 ▼ 287 カイナシティの人 14/10/18 17:59:59 ID:IW6Pui0w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【23】

 サトシ 「……で、最後はアリゲイツのトレーナーと一騎打ちになったんだけど、最後までケロマツが頑張ってくれたお陰で、優勝できたんだ」

 ユリーカ 「すごーい! サトシもケロマツも、本当におめでとう!」

ユリーカは、サトシから貰った優勝メダルを首にかけ、興奮して言った。ラティアスとラティオス、それに“こころのしずく”をデザインした、ガラスの綺麗なメダルだ。

 シトロン 「最後まで決して諦めない。サトシとケロマツの強い思いが実を結んだんですね」


私とサトシは今、ユリーカの病室にいる。

水上レースはサトシが優勝した。優勝メダルをゲットしてくると言う、ユリーカとの約束を果たせた訳だ。

 サトシ 「まぁ、でもオレは水上レース初めてじゃないから、フェアな戦いでは無かったけどな」

サトシはちょっぴり謙遜したけど、ラストスパートの一騎打ちは、本当に熱くなったな。
 ▼ 288 カイナシティの人 14/10/18 18:10:00 ID:wJyF33xU [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「失礼しま〜す」

陽がだんだんと傾いてきて、時刻は18時。カノンが病室にやって来た。

 サトシ 「カノン、片付けお疲れ様」

アルトマーレ展の出展者であるカノンは、閉園後の片付けのため、しばらく会場に残っていた。最終日の閉園は16時だったから、1時間半くらい、運営の手伝いをしていたんだな。

 セレナ 「ごめんねカノン。あなただけお手伝いで……」

 カノン 「ううん。それも私の仕事だもん。それに、2日間もお休み貰っちゃったから、最後くらいは手伝わなきゃね」

もともとカノンはアルトマーレ展の出展者だから、本来なら、展示場に付きっきりじゃなければいけなかったらしい。

けど、同じブースの出展者の人のご厚意で、この2日間、私たちと一緒に過ごせたのだ。
 ▼ 289 カイナシティの人 14/10/18 18:20:00 ID:wJyF33xU [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ユリーカちゃん、これ、お土産っ」

カノンはユリーカに、袋を差し出した。

 ユリーカ 「わぁっ! 開けてもいい!?」

 カノン 「えぇ、いいわよ」

ユリーカはワクワクしながら袋を開ける。

 ユリーカ 「わぁ……ラティアスとラティオスのノートだ! 可愛いぃぃぃ!」

袋から出て来たのは、ラティアスとラティオスのイラストが表紙に描かれたノートだった。アルトマーレの街並みで仲良く空を飛んでいる、可愛らしいイラストだ。

 【 ※ コレ → http://i.imgur.com/zwXRMHm.jpg 】


 カノン 「出展者に配られた粗品なんだけど、私は使わないからユリーカちゃんに。お見舞いも兼ねてねっ」

 ユリーカ 「ありがとうカノンお姉ちゃん! 私、大事に使うね! わぁ〜中にもラティアスとラティオスがいる〜!」

 シトロン 「ありがとうございます! すみません……気を遣わせてしまって……」

 カノン 「ううん。喜んで貰えて良かったわ」

やっぱりカノンは優しいな。サトシが気にしてる理由も、何となく分かったよ、この2日間で。
 ▼ 290 カイナシティの人 14/10/18 18:30:00 ID:wJyF33xU [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
病室で談笑していれば、もうそろそろ18時半になる。

……お別れの時間だ。


 カノン 「それじゃあシトロン君、ユリーカちゃん。短い間だったけど、ありがとう。一緒にアルトマーレ展を巡れて楽しかったよ」

 シトロン 「いえ。僕たちの方こそ、色々と迷惑をかけてしまって……。またどこかで会えたら良いですね」

 ユリーカ 「私、もっとアルトマーレ展で遊びたかったなぁ」

 カノン 「ふふっ。いつでもアルトマーレに遊びに来てね、ユリーカちゃん。私たちみんなで歓迎するから」

 ユリーカ 「わぁっ……うん!」

 サトシ 「それじゃあ……行くか」

 カノン 「えぇ。それじゃあユリーカちゃん、お大事にね。シトロン君も、少しは休んでね」

 シトロン 「はい。ありがとうございます!」

 ユリーカ 「じゃあねカノンお姉ちゃん! ノートありがとう! バイバイ!」

 シトロン 「サトシ、セレナ。カノンのお見送り、お願いしますね」
 ▼ 291 カイナシティの人 14/10/18 18:40:10 ID:wJyF33xU [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロンとユリーカは病院から出れないので、カノンのお見送りは、私とサトシが務める。

病院を出て、街の中心部へと10分ほど歩くと、大きなバスターミナルに到着した。大通りに面したそのターミナルは、多くの人で賑わっている。

そんな雑踏を横目に、ターミナルに隣接するビルに入ると、人だかりが一変、閑散としたフロアが広がっていた。


 サトシ 「ここかなのか」

 カノン 「うん。ここから空港行きのバスに乗るんだ。……ちょっと待ってて。大きい荷物を預けちゃうから」

看板を見ると、“City Air Terminal”と書かれていた。ここから空港行きの高速バスが発着していて、出発の手続きも、ここで出来るようだ。勿論、預けた荷物は一緒にバスに積み込まれ、そのまま飛行機まで運んでくれる。

日曜日の19時前ともなれば、閑散としていても不思議でない施設だ。


 カノン 「お待たせサトシ君、セレナちゃん」

カノンが戻って来た。荷物はほとんど預けたみたいで、白いバッグを肩にかけているだけの姿だ。

 カノン 「ラティアスが出たがってるんだけど……」

 サトシ 「そうだよなぁ。出発する前に、オレもラティアスと話しておきたいし……」

いくら人がいないとは言え、フロアの中でラティアスを出すことはできない。

仕方なく、フロアの外……高速バス乗り場に出てみる。ここは普通のバス乗り場とは別になっているので、人から見られることは無い。けど、バスが通ったら見られてしまう……。
 ▼ 292 カイナシティの人 14/10/18 18:50:00 ID:wJyF33xU [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……お、あそこなら出せるんじゃないか?」

 カノン 「本当?」

サトシが見つけたのは、“団体用集合場所”と書かれたスペースだった。

バス乗り場の歩道の終端にあって、道路側も含め、全て壁で囲まれている。かと言って、窪んだ所にあるから歩道から直接見られることも無く、完全に閉鎖した空間だ。


 カノン 「お待たせ、ラティアス」

     「くぅぅぅ〜ん♪」

 サトシ 「わっ……ラティアスっ!」

ボールから飛び出したラティアスは、脇目も振らずにサトシに抱き付いた。

そして、別れを惜しむように、思いっきり甘えていた。

 サトシ 「ははっ……こらラティアス〜」

     「くぅ〜きゅ〜ん♪」

本当にラティアスは、サトシのことが好きなんだな。
 ▼ 293 カイナシティの人 14/10/18 19:00:00 ID:lCCG/MIQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「それじゃあ……カノン、たった2日間だったけど、本当に楽しかったわ」

サトシとラティアスが戯れている間に、私はカノンにお別れを告げた。

 カノン 「私の方こそ。あっという間だったけど、本当にありがとう。久しぶりに、すっごく楽しかったよ、私も」

 セレナ 「……ねぇカノン。本当に、サトシのこといいの?」

 カノン 「え?」

 セレナ 「お節介かもしれないけど……、その……、やっぱりおかしいよ。好きな人を好きだって伝えないのは……」

 カノン 「セレナちゃん……」

 セレナ 「私ね、2日間一緒に居ただけで、カノンがサトシのことどれだけ想ってるか、すっごく伝わって来たの。それなのに……一族の運命っていう理由で……」

 カノン 「ありがとう、セレナちゃん。本当にいいんだ、私。この2日間、サトシ君と一緒に過ごせて、一緒に戦って、一緒に困難を乗り越えて……。こんな良い思い出が出来たんだもん。それに、セレナちゃんっていう友達も出来たしね」

 セレナ 「カノン……」

 カノン 「だからセレナちゃん。セレナちゃんこそ、ちゃんとサトシ君に想いを伝えなきゃダメだよ。セレナちゃんには、チャンスがいっぱいあるんだから……」

 セレナ 「うん。でも……私……」

 カノン 「私のことは気にしないで。応援してるから、セレナちゃんのこと!」

 セレナ 「……うん。ありがとう、カノン!」

 カノン 「ふふっ」
 ▼ 294 カイナシティの人 14/10/18 19:10:00 ID:lCCG/MIQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「じゃあねラティアス。アルトマーレに戻っても、元気に過ごしてね」

     「くぅん!」

 サトシ 「ラティアスはいつだって元気だよな! ……忘れないぜ、お前のこと!」

     「くぅ……」

ラティアスは、本格的に別れを感じたのか、急に大人しく、寂しそうな表情になった。

 サトシ 「ラティアス……」

     「くぅぅ……くぅ♪」
 ▼ 295 カイナシティの人 14/10/18 19:40:02 ID:lCCG/MIQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

― チュッ!


 サトシ 「わっラティアス……」

ふふっ。ラティアスったら。不意打ちかな?

寂しそうなラティアスの顔をサトシが覗き込んだ瞬間、ラティアスはサトシにキスをした。ちゃんと口と口同士で。

 カノン 「ふふっ。お別れの挨拶よね、ラティアス。それと……“貴方の幸せを願って”って。アルトマーレではね、キスにはそういう意味合いもあるんだ」

 サトシ 「そっか……。サンキューな、ラティアス」

     「くぅん……」

サトシはラティアスを抱き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。ラティアスは目を閉じて、サトシの腕の中に顔を埋めている。

 サトシ 「ラティアス。お前はもう強い。強くなったんだ。だから大丈夫さ。この先なにが起こっても。どんな敵が現れても。お前なら絶対に負けない。もう立派なアルトマーレの護神なんだからな、ラティアス……」

     「くぅぅ……」
 ▼ 296 カイナシティの人 14/10/18 19:50:04 ID:lCCG/MIQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ラティアス……そろそろだよ……」

     「くぅ……」

 サトシ 「頑張れよ、ラティアス」

     「っ……くぅぅ〜♪」

 サトシ 「ははっ! 元気でなっ!」

     「くぅぅぅぅ!」

ラティアスは元気よく、ボールに戻って行った。

大丈夫よねラティアス。あなたはもう立派に成長したんだから。頑張って、これからもアルトマーレを護り続けてね!
 ▼ 297 カイナシティの人 14/10/18 20:00:00 ID:0Z4D4KKw [23/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「それじゃあ……そろそろ行くね」

 サトシ 「あぁ。カノン、久々に会えて嬉しかったぜ!」

 カノン 「うん。私も……」

 サトシ 「ラティアスがあれだけ立派になったのも、カノンが頑張ったお陰さ。ラティアスやラティオス……それに“こころのしずく”のこと……。これからもよろしくな!」

 カノン 「……うん。私、もっともっと頑張るから! ラティアスたちに何かあっても、護りぬけるように、もっともっと頑張るからねっ!」

 サトシ 「あぁ。カノンなら出来るさ! それに、キーストーンも持ってるんだ。もしどうしょもないことが起こっても、きっとラティオスが力を貸してくれるはずだぜ!」

 カノン 「うん!」

カノンは寂しそうに、しかし元気よく言った。

ラティアスを護りぬいたことが、カノンにとっても大きな自信に繋がったんだと思う。

今は包帯を巻いている足の傷が、なんだか眩しく見えた。
 ▼ 298 カイナシティの人 14/10/18 20:10:00 ID:0Z4D4KKw [24/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『お待たせいたしました。間もなく19時15分発、ミアレ国際空港行きのバスが出発致します。ご乗車の方、2番乗り場へお急ぎください』


 カノン 「……行かなくちゃ。じゃあサトシ君、本当にありがとう。私、今回サトシ君と戦ったこと、絶対に忘れない。それと、ラティアスを護ってくれたこも。絶対に忘れないからねっ」

 サトシ 「あぁ。オレも今回のことは忘れないぜ。メガラティアスに、助っ人に来たラティオスに、カノンの勇気……。絶対に忘れないからな!」

 カノン 「ふふっ。……あとこれ、サトシ君にっ」

カノンはバッグから、丸められた1枚の画用紙を取り出した。

そして、赤いリボンで巻かれた画用紙を、そのリボンのように顔を赤くしたカノンは、サトシに手渡した。

 サトシ 「え? くれるのか?」

 カノン 「うん。さっき閉園までの時間に描いてたんだ。……恥ずかしいから、後で見てね」

健気だなぁ、カノン。お別れに絵を渡すなんて。

 サトシ 「ありがとうカノン。後でじっくり見させて貰うよ!」

 カノン 「うん……」


 サトシ 「……それじゃあな」

 カノン 「うん。さようなら……サトシ君」
 ▼ 299 カイナシティの人 14/10/18 20:20:00 ID:0Z4D4KKw [25/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バスに向かって歩き出すカノンは、目が少し潤んでいた。これで本当に、お別れなんだ。

たった2日間だったけど……、一族の定めをきちんと守って、ラティアスのために体を張って、真面目でおしとやかで……私とサトシの仲も応援してくれて……。

良い子だったな、カノン。

こんなに良い子なのに、定められた運命があるなんて……。神様はイジワルだよ……。


 サトシ 「あっ、そうだカノン!」

サトシがカノンを呼び止めて、歩み寄る。


 カノン 「サトシ君……どうしたの?」

驚いたカノンが振り返る。

 サトシ 「いやぁ、最後にさっ……」

サトシはちょっと口ごもりながら、さらにカノンに近付いた。

そして……
 ▼ 300 カイナシティの人 14/10/18 20:25:00 ID:0Z4D4KKw [26/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


サトシはゆっくりと、カノンと唇を重ねた。


 カノン 「ふぇっ……えぇっ!?!? さっ……サトシ君……!?」

 サトシ 「ははっ。ちょっと恥ずかしかったけど、カノン、お別れの挨拶。オレもカノンの幸せ、願ってるからな!」

 カノン 「そっか……うん……ありがとうサトシ君。私も、サトシ君の幸せを願ってるからね。絶対にカロスリーグ、優勝してね!」

 サトシ 「あぁ! 元気でなカノン!」

 カノン 「うっ……うん! ありがとう! サトシ君も元気でねっ!」


とっさのことで驚いちゃったけど、きっと一番驚いてるのは、カノンだろうな。

きっとサトシ、ラティアスと同じ感覚でキスしたんだろうけど……、でも、カノンにとっては嬉しかったんだと思う。


だってカノン、あんなに目を潤ませて……。


笑顔で涙が出るのは、幸せの証拠だよ。


そうだよね、カノン?
 ▼ 301 カイナシティの人 14/10/18 20:26:05 ID:0Z4D4KKw [27/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
高速バスは、ゆっくりと発車した。

バスの窓は開かないから、もう会話は出来ないけど、私たちはずっと、手を振り続けた。

バスが見えなくなるまで、ずっと。


 サトシ 「行っちゃった……な……」

 セレナ 「うん……」


短い無言の間を置いて、サトシはカノンに貰った画用紙を見つめなおす。そして、赤いリボンを解いた。

 サトシ 「カノンに貰った絵……ははっ。やっぱりカノンは絵が上手いな!」

丸められた絵を解くと、そこには、水上レースで運河を疾走する、凛々しい顔のサトシが描かれていた。

時間がなかったのか、背景は白黒だったけど、運河の水しぶきと、引っ張るケロマツと、カッコいいサトシと……。本当、凄く上手い。


 サトシ 「カノン……ありがとな……」


サトシの後ろ姿に、何となく、寂しさを感じた。やっぱりサトシ、カノンこと……。
 ▼ 302 カイナシティの人 14/10/18 20:27:00 ID:0Z4D4KKw [28/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ……」

 サトシ 「ん? どうしたセレナ?」


カノン、私も頑張るよ。

あなたから貰った勇気、ちゃんと形にして見せるからね。


 セレナ 「いま言うのもちょっとアレなんだけど……」


自分でも、顔が真っ赤になっていくのが分かる。

けど、私はカノンに誓ったんだ。


 セレナ 「私……私ねっ! さっ……サトシのことが……!」


― 大好きだよ。


 ▼ 303 カイナシティの人 14/10/18 20:28:00 ID:0Z4D4KKw [29/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【23】

バスの中で、見えなくなで、私はサトシ君とセレナちゃんに手を振り続けた。


……まだドキドキしてる。

まさかサトシ君の方から……私にキスしてくれるなんて……。しかも……唇同士で……。

思い出すだけで、私はまた、顔が熱くなった。


けど、さっきのキスは、愛情表現のキスじゃ無かったんだよね。

きっとラティアスと同じように……お別れの挨拶として……。


サトシ君……ふふっ。やっぱり純粋なんだな、サトシ君って。
 ▼ 304 カイナシティの人 14/10/18 20:29:00 ID:0Z4D4KKw [30/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私の気持ちは伝えられなかったけど、それはアルトマーレを護る者としての運命だし……それに、サトシ君には、十分すぎるほど思い出を貰った。


一緒にアルトマーレ展の屋台をデートして。

ベッドで押し倒されちゃって。

ラティアスを助けるために一緒に戦って。

ラティアスのメガ進化を一緒に見届けて。

怪我した私を抱きしめてくれて。

一緒にラティアスに乗って空を飛んで。

一緒に眠って。

最後にキスをしてくれて。


だから悲しくなんてないよ、思い残すことなんてないよ、サトシ君……。
 ▼ 305 カイナシティの人 14/10/18 20:30:00 ID:0Z4D4KKw [31/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もし次に会う時は、もっともっと、私は強くなってるからね。

ラティアスと一緒に、アルトマーレの護神として、もっともっと、立派になってるからね。



私はサトシ君に貰った“てのひらピカチュウ”を取り出した。



サトシ君と過ごした、恋人みたいな2日間。


私は絶対に忘れないよ。


絶対にね……。



≪ ピカッチュウ♪ ≫



 ――― 完 ―――

 ▼ 306 161 14/10/18 20:50:14 ID:IKfESs6I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
例の社会人です
泣きました。水の都の護神挿入歌「謎の少女、再び(迷宮)」を、また、>>300からどう作品のエンディングテーマ「ひとりぼっちじゃない」を聞きながら最後まで読ませていただきました。
最後のキスはアルトマーレでの名シーンを彷彿とさせます。
短い間でしたがとても楽しめました。
普段はSSとか読まない者ですが、SSの面白みを知れてよかったです。
ついついまた長文となってしまいましたが、本当にお疲れ様です!
 ▼ 307 かめむし 14/10/18 21:09:20 ID:oZFLfjVU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ!!
いやー2日間見てなかったから最後までみるの長かった・・・・
 ▼ 308 エリキテル@いいつりざお 14/10/18 21:33:05 ID:GPz3Q/62 NGネーム登録 NGID登録 報告
とりあえずお疲れ様です。めっちゃ面白かったです!
是非続編も読んでみたい。
 ▼ 309 フシデ@ヒールボール 14/10/18 23:04:20 ID:FqWTyUJY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れ様です!
かなりの名作でした!
 ▼ 310 ゲンシレックウザ◆2DoXBrZi1c 14/10/18 23:46:09 ID:ZwZZUdH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
神神神神すぎる
アルセウス越えた!!
 ▼ 311 ラティアス こころのしずく 14/10/18 23:56:18 ID:kAwuwJa2 NGネーム登録 NGID登録 報告
このss>>>>>>>>>>>越えることが困難な壁>>>>>>>>>>>>>>>アルセウス
これくらいかな?
そして本当に面白かったです
お疲れ様でした!
 ▼ 312 カイナシティの人 14/10/19 00:36:00 ID:0Z4D4KKw [32/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき �@ 】

サトシ「アルトマーレ展?」(副題:アルトマーレの護神)

――――――――――――――――――――――――

 この度は多くの皆様に当SSを読んでいただき、ありがとうございました。
 これまで支援して下さった皆様、ご意見・ご感想を書き込んで下さった皆様に、心より感謝致します。

 このSSを執筆したキッカケは、ORASの発売が根底にあります。メガラティアスの登場は、ラティアス好きの私にとって注目の出来事でした。

 しかしそのメガラティアス、色が何故か青っぽい薄紫……そして、メガラティオスとも同色……。
 確かに2匹の色合いについては再考の余地がありますが、否定的な意見が余りにも目立っており、ならばこの色を逆手に取った何かが出来るのではないか……と考えました。

 その結果、“こころのしずくと共に助けに来たラティオスの魂が表れている”というストーリーに至ったのです。
 また、“こころのしずく”がメガストーンの役割を果たすと言うのも、上記と同時に思い付いた展開です。

 しかし、メガストーンを設定しても、キーストーンが無ければメガ進化は出来ない……。ならば敵キャラから奪えばいいんじゃね? という考えに至るのに、そう時間はかかりませんでした。

 メガラティアスが登場するのなら、敵キャラもORASで初登場のメガ進化ポケモンが良い。かつ、アニポケで登場した敵キャラと言えば……。
 そこで浮かび上がったのが、ボーマンダを持っている“J”です。アニメでは消息不明となっているため、登場させたところでアニメとの矛盾点は生じない。しかも映画“水の都の護神”で敵キャラとなったアリアドスをJが持っていたことも、選択の決め手となりました。

 つまり、物語の中心は、ラティアスがメガ進化、バトルすることにあって、その他の部分は“オマケ”と言っても過言では無いのです。

 ただ、私はカノンが好きで、今のアニポケのセレナも好き……。ならばこの2人がヒロインのSSにすれば、オマケが“オマケ以上のもの”になると確信しました。
 特に、セレナのサトシ好きは言わずもがな。カノンに関しても、サトシに好意があると判断できる、十分な背景があったのです。
 ▼ 313 カイナシティの人 14/10/19 00:37:00 ID:0Z4D4KKw [33/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき �A 】

 その背景と言うのが、映画「水の都の護神」のラスト、サトシとカノンのキスシーンです。

 しかしその時、カノンは帽子を被っていませんでした。それゆえ、あれはラティアスなんじゃないかとの見方もあり、公式もはっきりしていません。

 ただ、私はカノン派であって、そう確信もしています。
 あの時、カノンの帽子は、彼女の部屋に置きっぱなしでした。よって、帽子が無くてもキスをしたのがカノンだと言う可能性があります。

 そしてもう1つ。エンディングに入ってから、サトシは船の上で空を見上げます。すると、青空の中、2匹のラティオスと、1匹のラティアスの姿が確認できました。
 さらにエンディング終盤で秘密の庭が映ると、そこにも、影ですが、2匹のラティオスと1匹のラティアスが映ります。
 つまり、あの後秘密の庭で暮らしているのは、2匹のラティオスと1匹のラティアスであり、もしキスしたのがラティアスだったとすると、その点で矛盾が生じてしまう訳です。

 それが、カノンがサトシに好意があることの根拠であって、今回のSSも、それ前提で進めてきました。

 とにかく私は「水の都の護神」映画の大ファンで、水上レースやクレープ屋さんなど、同映画のポイントや設定をふんだんに取り入れたストーリーになったのも、そのためです。

 一方、そんなストーリーを書く上で、言い方は悪いですが……どうしても邪魔になってしまうのが、シトロンとユリーカです。

 そこで、ユリーカが体調を崩し、シトロンが付き添うという形が、2人には申し訳ないのですが、生まれました。その内容には、今話題のデング熱を取り上げました。初盤にユリーカが蚊に刺されると言う伏線に気付いた方は、果たしていらっしゃったのでしょうか。

 もっとも、ユリーカが体調を崩した理由は、2人を省くためだけではありません。ホテルでサトシとカノンが同じ部屋になることと、最後にサトシ、セレナ、カノンが一緒に寝ること。この2点を自然に運ぶためにも、体調不良設定は必要不可欠でした。
 ▼ 314 カイナシティの人 14/10/19 00:40:00 ID:0Z4D4KKw [34/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき �B 】

 そんな感じで、書きたいことを上手く書ききれたと自負していますが、一方で、反省点もあります。

 >>67から>>69にかけての、カノンのオナヌーシーンです。
 深夜のテンションとテコ入れ感覚で書いてしまった部分ですが、ここは皆様から頂いたご意見の通り、入れないのが正解でした。
 もし今からお読みになる方がいらっしゃるのなら、>>67から>>69は除外して頂きたいと強く思います。

 また、視点がサトシ、セレナ、カノンでコロコロ変えるのも、読み返してみると、分かりづらかったかな、と思う場面があります。
 視点は固定した方が良かったのでは、と思う一方で、3人の心情を描きたいと思う面もあり、なかなか難しい所です。


 最後に私の素性を明かします。
 まず“てのひらピカチュウ”が出た時点で、年代はお察しの通りです。

 そして、こういった掲示板でSSを投稿するのは初めてでしたが、実は“オリジナルトレーナーを主役としたポケモン小説”を、長いことHP内で執筆しています。
 なので長い文章を書くことに抵抗はありませんが、“原作キャラ”を描くのは初めてなので、言い回しや言動に、原作キャラのイメージを壊さないよう配慮することが、大きなハードルとなりました。
 まぁ、サトシが自分からキスするあたり、原作キャラの言動もクソも無いですけどね。


 以上で、あとがきを終わりたいと思います。

 最後の最後になりますが、ここまで当SSをご覧いただき、本当にありがとうございました。

 カノンの心情について綺麗にまとめてしまったので、これの続編などは考えていませんが、需要があるようでしたら、また別の内容で、そこれそ安価SSなどにも挑戦したいと思っています。
 それは明日かもしれませんし、当分やらないかもしれません。忙しさと気分次第です。

 それではまたどこかで。
 完結はしましたが、感想やご意見、もし質問などがございましたら、この先もお答えしていきたいと思います。

 ――― おわり ―――
 ▼ 315 ゲンシレックウザ◆2DoXBrZi1c 14/10/19 00:48:08 ID:FhAmNWck NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
また次のSS期待してます!!
 ▼ 316 プロトーガ@かいふくのくすり 14/10/19 09:30:57 ID:F//.UN9. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これは神ss
お疲れ!!
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