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【SS】俺 「遺伝子改造?」cate_ss

 ▼ 1 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 21:26:18 ID:Q61nHj.M [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オリジナル地方、オリキャラ(たまに既存キャラ)SSです。多分亀更新・・・

******


「行ってくる!」

いやっほう。気をつけての言葉を聞く前に、俺―シンヤはドアを閉めていた。そのまま走り出す。いやぁ、今日はいいてんk

「どこ行くんや、シーンーヤ」


急ブレーキ。
くそっ、見つかっちまったか。舌打ちをして俺は振り返る。予想通りの奴が立っていた。


「どこもなにも、ちょっとお出かけ」

「答えになってへん」


やっぱりそうですか。彼女―ん?女だったのかって思った奴、いるだろ。絶対。

とにかく、彼女は俺のほうにつかつかと歩み寄ってきた。

どうやら花に水をやっていたらしい。手にホースを持って、オレンジ色のシャツを着ている。

 ▼ 2 ニドリーナ@チーゴのみ 16/06/25 21:29:08 ID:bhWMLooQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
期待
 ▼ 3 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 21:29:59 ID:Q61nHj.M [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「こないだ貸したキズぐすり代、返してくれーや!」

やっぱりその話か。


彼女の名前はミズキ。最近うちの近所に引っ越してきた、騒がしい女。口調といい性格といい、清楚という言葉が似合わない。

「別の事考えて気をまぎらわそうとするのはやめたほうがええで」

読まれてる。畜生。こいつ、これでなかなかの食わせ物だ。

いやあ、キズぐすりなんて安いもんの代金を借りたくらいだから、返せない事くらい察していただきたいんだが・・・

「察せって思っとるやろ」

畜生!

 ▼ 4 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 21:33:39 ID:Q61nHj.M [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ふーん。で、どこ行くんや」

これも言うまでもない。そう、今日は俺の住む街が総力を挙げて開催する、ダブルバトル大会!これに俺が出なくてどうする・・・

「散歩」

・・・とは言わなかった。理由は単純。面倒だから。ミズキは疑うような視線で俺を見る・・・こら、ホースを向けるな。風邪は勘弁だ。

「じゃ、俺は散歩があっから!」

「あ、何が散歩や!待ちーや!」

逃げるが勝ち。俺は背を向けて逃げ出した。ミズキも走り出すが、ホースを持ったままなのがよくなかった。

「・・・って、のわわ!」

蛇口からホースが引っこ抜けて、水を撒き散らしている。

風邪ひくなよ。俺はそう願ってやってからまた走り出した。




 ▼ 5 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 21:38:10 ID:Q61nHj.M [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

ワアアアアアアアアアアア!


スタジアムに歓声が響く。うるさいと思うが、これはこれでいい雰囲気。
モニターに、今バトルで勝利したばかりのトレーナーの顔が映し出された。

「よ!」

「お」

通路の向こうから歩いてきて俺と一文字だけの会話を交わしたのは・・・俺の幼なじみ、名前はコウタ。性格で言うと熱血漢かな?

「言っておくけどな!俺は負けないからな!決勝で待ってるぜ!」

ほうほう。なかなか言うじゃないか。

「そいつは楽しみだな。それじゃ、俺はそろそろ出番だから」

「負けたら承知しねえぞ!」

おお怖い怖い。俺は出場者の通路へ向かって歩き始めた。
 ▼ 6 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 21:39:10 ID:Q61nHj.M [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とりあえず今はここまで
後でまたちょこちょこ書いてきます
 ▼ 7 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 22:06:44 ID:Q61nHj.M [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「次のトレーナー、フィールドへ!」

「はい」

俺はバトルを迎えて、フィールドに出た。相手は・・・エリートトレーナーかな?

「ルールは2vs2のダブルバトル!どちらかのポケモンが両方戦闘不能になった時点で、バトルは終了!」


「よし!ギャロップ、サンダース、バトルの時間だぞ!」

相手はギャロップとサンダースか・・・

「ミミロップ、サーナイト、行ってこい!」

俺のポケモンはミミロップとサーナイト。小さい頃からのパートナーだ。

「では、バトルスタート!」


主審の合図で、バトルが始まった。
 ▼ 8 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 22:09:26 ID:Q61nHj.M [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ミミロップ、ギャロップにおんがえし!」

「!速い!?」

俺のミミロップが先制攻撃を仕掛ける。ギャロップにクリーンヒットした。ようし!

「くっ、サンダース、ミサイルばり!」

「サーナイト、まもる!」

サーナイトは攻撃を防御した。ようし、隙ができた!

「ミミロップ、サンダースにおんがえし!」

「!」

サンダースにもミミロップの攻撃がヒット。くぅっ、やっぱりバトルは楽しいなあ。
 ▼ 9 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 22:12:04 ID:Q61nHj.M [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ギャロップ、ミミロップにフレアドライブ!」

「!しまった!」

隙を突かれた。ミミロップがギャロップの攻撃を受けて吹っ飛んでいく。反撃だ!

「サーナイト、ギャロップにサイコキネシス!」

「なっ」

ギャロップは反動ダメージのせいもあって、動きが鈍い。サーナイトの攻撃で倒れたが、なおも立ち上がろうとする。

「ミミロップ、ギャロップにでんこうせっかでとどめ!」

ミミロップが仕留めた。


「ギャロップ、戦闘不能!」

ようし、いい感じだ。エリートトレーナーは出鼻をくじかれたようで、驚いている。ナめないでいただきたい。
 ▼ 10 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/25 22:15:03 ID:Q61nHj.M [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はとりあえずここまで

バトル、シリアス、恋愛といろいろ入った長編になりそうです

ミズキは既存キャラ。DPtにいましたよ〜
 ▼ 11 ラムパルド@ヨプのみ 16/06/25 22:53:04 ID:Q61nHj.M [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲しみの自age
 ▼ 12 ルナアーラ@ヤミラミナイト 16/06/25 23:08:57 ID:6JROrl0Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>11
基本安価とかやたら更新開けたとかじゃない限り自上げは避けた方が賢明かもね


支援
 ▼ 13 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 12:25:48 ID:7mMi8F7w [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*****

大会もどんどん進み、気付けば昼。俺とコウタはスタジアムの外の芝生で弁当を食べていた。

「畜生…どうして負けたんだ…」

訂正。コウタは落ち込んでいた。俺と戦う前に敗北してしまったのだ。体育座りの膝に顔をうずめてぶつぶつ言っている。

「まあそう落ち込むな。大会だって毎年やってるわけだし」

「…つまり、俺は来年まで勝てないんだな…その言い方だと」

「あ」

しまった。コウタを取り巻く暗いオーラが、より濃くなった気がする。やってしまった。
 ▼ 14 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 12:29:53 ID:7mMi8F7w [2/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺のポケモンたちも、そこでポケモンフーズをポリポリ。

「いやあ、勝った後の弁当は一段とうまいよなぁ」


…とは、言わない。とても言える状況じゃない。

「ごちそうさまっ!」

俺は食べ終わった弁当箱を閉じて、勢い良く立ち上がった。


「…ん?」

スタジアムの入り口。たくさんの人が群がっているが、その中に俺を見つめるような気配を感じた。が、すぐにその気配は消える。

「…気のせいか。おい、そろそろ行くぞ…ってありゃ?」

「…zzz」

コウタは体育座りのまま寝息を立てていた。まあいいや。ほっとこう。俺はスタジアムの入り口に向かって歩き出す。
 ▼ 15 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 12:48:06 ID:7mMi8F7w [3/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

さて、俺の次の相手は…誰だあいつ。

「次のバトルは、シンヤ選手対…ジョウ選手っ!」


そのジョウとやら、どっからどう見ても変人だ。このクソ暑いのに目出し帽。そしてお腹についた厚い脂肪。

見るからにあつそうだ(いろんな意味で)。あー、なんか暑くなってきた。
 ▼ 16 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 13:24:34 ID:7mMi8F7w [4/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぶっ潰せ、お前ら!」

物騒な言葉を口にしながら、ジョウとやらはボールを2つ投げた。

「…ミカルゲと、バンギラスか…」

悪タイプ専門なのだろうか?

「よし!ミミロップ、サーナイト、頼んだ!」

俺は今までと同じようにミミロップとサーナイトで挑む。


「では、バトルスタート!」
 ▼ 17 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 15:45:38 ID:7mMi8F7w [5/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ようし!ミミロップ、バンギラスにとびげり!」

先手必勝!ミミロップが華麗に宙を舞って…

「遅いな!バンギラス、かわせ!」


…え!?

バンギラスはその巨体をひらりと動かしてかわした。ミミロップが勢い余って地面にぶつかる。
その背後に、ミカルゲが迫っていた。

「サーナイト、ミカルゲにシグナルビーム…!」

「ミカルゲ、あくのはどう!」

ミカルゲの方が速かった。あくのはどうがミミロップとサーナイト、両方にクリーンヒット。


「ミミロップ、サーナイト、共に戦闘不能!よって勝者、ジョウ選手!」


歓声が上がった。
 ▼ 18 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 15:46:35 ID:7mMi8F7w [6/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「…嘘…だろ…」

はっきり言って勝負にならなかった。強すぎる。

あれ、目の前がぼやけてきた…






その後の事は、よく覚えていない。



俺は、負けたのだ。
 ▼ 19 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 15:56:18 ID:7mMi8F7w [7/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

…

……

「…んっ」


俺は目を開けた。目の前に誰かいる…あれ?俺、まだ死んでないよな?まさかな。




「あ、起きたんか」


「お前かいっ!」
 ▼ 20 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 15:59:06 ID:7mMi8F7w [8/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「何やお前かいって。アタシじゃ不満かいな」

ミズキは指をポキポキ鳴らした。ごめんなさいそういう意味じゃないですもうそんなこと言いませんから。


「…んで、ここはどこで、今何時で、俺どうなったの?」

「質問は一つずつして欲しいんやけどなー」

はいはい。


「ここはどこですか」

「ポケモンセンターの一室や」

「今何時?」

「午後…5時や」

「俺どうなったの?」

「バトル終わった後、一人でぶっ倒れたらしいで。コウタによるとな」
 ▼ 21 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:09:47 ID:7mMi8F7w [9/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ…俺、ぶっ倒れたんだ」

どうやらあのバトルの後、ショックか何かで倒れてしまったらしい。我ながら情けない。

バトルを始めたのが昼過ぎだから…4時間くらい寝てたのか、俺。また情けなくなってきた。


「…そうだ、ミミロップとサーナイトは」

俺としては、「回復してあるでー」とか「そこにボールがあるやん」とかの答えを想像していた。


だが、返ってきた答えは、意外なものだった。



「そこのベッドで寝てるやろ」
 ▼ 22 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:14:20 ID:7mMi8F7w [10/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「え?」

あたりを見回すと…ベッドで、ミミロップとサーナイトが横たわっていた。腕から伸びる透明な管は…?


「…点滴…」


どう言う事だ。ただバトルでダメージを負って、回復しただけじゃないのか。俺はミズキに目で訴えた。


「…命に別状はあらへん。ただ…」

「ただ…?」



「ダメージが蓄積してて、おそらくしばらくの間は目覚めんって話や」
 ▼ 23 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:27:34 ID:7mMi8F7w [11/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「!!!」


言葉が出なかった。


「…アタシだって言うのは嫌やけど、こっからが重要な話や」

「…まだあるのか」

「アタシの家に来いや。説明してやるさかい」

ミズキは立ち上がった。俺も慌てて立ち上がる。随分長い時間寝ていたせいか、立ちくらみがした。
 ▼ 24 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:30:12 ID:7mMi8F7w [12/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミズキに関しては、以前から変な噂が流れていた。

と言うのも、こいつ、シンオウからこっち―カレオ地方に引っ越してきたのだが、行動が妙…というか変だったのだ。


ある時はそこらの女の子と談笑してたかと思えば、かかってきたポケギアを取って顔を真っ青にして家に帰っていったり。


ある時は目の下にすごーく濃いクマをつくっていたり。


ある時はめちゃくちゃ怪しい外国の目薬を一日に何度もさしていたり。
 ▼ 25 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:32:04 ID:7mMi8F7w [13/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなわけで、


実は芸能活動をしているのだとか、

実は重度のネット中毒なのだとか、

はたまたこいつが我らがカレオ地方の真の支配者なのだなんて変な―それでいてくさい噂も流れた。ほんと、噂って恐ろしい。


そんな怪しい噂ばかりが先行している奴の家に上がりこむのだから、俺は少し警戒していた。
 ▼ 26 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 16:38:16 ID:7mMi8F7w [14/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「入りーや」


家の中は…意外と片付いていた。だが…


「…足の踏み場が無い」


そう。ミズキの家、でかい機械とかが所狭しと並んでいて、足の踏み場がほとんどないのだ。あー狭い。

「そこらに座ってくれや」

んな事言われたって、座る場所が無いのだ。


「今、茶淹れるさかい」

お茶も何処に置くんだ?俺はだんだん心配になってきた。
 ▼ 27 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 17:01:04 ID:7mMi8F7w [15/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「何なんだよこの機械たち」


俺はとうとう尋ねた。俺の中で「ミズキネット中毒説」が濃厚になる。

だが、返ってきた答えは意外なものだった。こいつ、人を驚かせるのが得意だ。
ミズキはため息を一つついて、言う。



「仕事上必要なもんや」


「…仕事上?」

何の仕事?いや、まずあなた何歳か分かってる?
 ▼ 28 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 17:02:09 ID:7mMi8F7w [16/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「何の仕事?」

またミズキはため息をひとつ。それから言った。




「…カレオのボックスの管理人や」




…は?
 ▼ 29 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 18:08:19 ID:7mMi8F7w [17/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はすぐには声を出せなかった。いや、んな話信じられるわけがない。


「…何の箱だ?」

「ポケモンボックスの管理人や!」


ダメだ。思考が混乱してきた。こいつの言動による匂いが俺の混乱を思考させて…ダメだ、頭がイカれてきた。


「えーっと…ポケモンボックスってのはどこかのファストフードのセット商品ではなくて」

「ポケモン預かりシステムの管理人や!使ってるやろ自分!」

胸倉を掴まれた。ここで
「あ、俺のポケモンミミロップとサーナイトだけだから使ってない」



なんて言ったらぶん殴られるに決まってる。
 ▼ 30 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 18:29:49 ID:7mMi8F7w [18/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うーん。もちろん使って無くてもボックスというものは知っている。だからこそ信じられない。

「…ミズキが、ボックスの、管理人」

「そや。前はシンオウのボックスを管理してたんやけど、隣のカレオのボックスも管理してくれって依頼があったんよ」


はあ…とりあえず俺は頷いておいた。ミズキは満足げな顔をする。
いやいや参った。最後の「ミズキ、カレオの支配者説」はあながち間違っちゃいなかったのだ。



 ▼ 31 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 18:34:10 ID:7mMi8F7w [19/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「それで、さっきの重要な話やけど…こっち来いや」


ミズキは真剣な顔になった。俺も頷き、パソコンの前にいるミズキの元へ近づく。

「これを見るんや」

ミズキにパソコンの画面を見せられた。


「…目が疲れる」

パソコンの画面はわけもわからない数式のオンパレード。頭が痛くなってきた。

「簡単に説明してくれ」


ミズキはこの発言を予測していたらしい。すぐに言った。
 ▼ 32 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 18:37:20 ID:7mMi8F7w [20/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「これはなー、今日のバトルでミミロップとサーナイトが受けたダメージの計算式や」

「…んな事分かるのか」


数学の力ってすげー!俺は偏頭痛がしてきた頭を抱えながら尋ねる。

「お前が計算したのか」

「いいや。知り合いに計算してもろたんや。技が当たった体の部位、互いのポケモンの能力、技の威力、その時の風向きエトセトラえとせとら」


分かった分かった。しかし、んな事まで計算するとは、よっぽど暇な奴が…おっと、失敬。

「あれ?お前、んなデータどこで手に入れたんだよ」

「大会本部は全てのバトルを撮影してるんやで〜」

あ、そっか。
 ▼ 33 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 18:41:24 ID:7mMi8F7w [21/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、そんな映像まで手に入れるとは。大変だったろうに。


「サンキュな。俺のために」

「なっ、べ、別にあんたのためじゃあらへん!ちょっと気になっただけや」


ほう。ではそれを聞かせてもらおうじゃないか。

「なんか、こう…相手が強すぎた気がしたねん…それも異常に」

「うん、そりゃ俺も思った」

てか、それはバトル当事者である俺が一番よく分かっているわけで。
 ▼ 34 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 20:57:14 ID:7mMi8F7w [22/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…んで、そっから得られる結論は?」

ミズキはこの問いにアッサリ答えた。だが、口調とは裏腹に内容はダークだった。


「ありえへん」

「…え?」

「だーかーら、ありえへん」


主語をくれ。俺がそう言うと、ミズキはようやく言いなおしてくれた。


「ダメージ計算によるとなー、サーナイトもミミロップも、相当なダメージを受けたことが分かるんや」

「ん、そりゃなあ」

現に、意識がしばらくは戻らないらしいし。


「でもなー、そんなダメージを1発2発で相手に与えるなんて、不可能やねん」

「え…?」
 ▼ 35 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 20:59:58 ID:7mMi8F7w [23/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「不可能…?」

でも、それが現実では出来ている。


「いくら強いポケモンを選んだって、いくら強く育てたって、あんなダメージを1、2発で与えるなんて、絶対に不可能や」

「…絶対?」

「絶対!」


ミズキはイスの背もたれにどすっと体重を預けた。
 ▼ 36 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 21:05:43 ID:7mMi8F7w [24/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「尋常じゃない強さだって事か…?」

「アホ。不可能て何度も言うてるやろ。不可能やでふ・か・の・う」


ミズキに頭を小突かれた。要は俺は呑み込みが遅いと。そうですかそうなんですか。


「でもまあ、尋常じゃない言うのもあながち間違っちゃおらんで」

嘘つけ。絶対んなこと思ってない。こいつ。


「なんつーか…常識からかけ離れてるねん」

「…じゃあ、どういう事だ?」

「どういう事って、どういうことや?」


呑み込みが遅いのは、こいつもじゃないか。

「…そこから言える結論は?」
 ▼ 37 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 21:17:45 ID:7mMi8F7w [25/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミズキは少し沈黙した後、暗い口調で言った。


「…別の知り合いにこのデータを送ったんや」

ふむふむ。

「そしたらな、やっぱり常識ではありえへんダメージ量やって言うんや」


ふむ。だが、そいつの言う事は信用できるのか?俺はその疑問をぶつける。


「大丈夫や。そっち方面には詳しい奴さかい」

ホッ。続けたまえ。俺はそういったが、ミズキの顔はまた一段と暗くなった。









「こんなダメージ…ポケモンの、遺伝子改造でもしなきゃ無理やって言っとった」
 ▼ 38 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/26 21:24:14 ID:7mMi8F7w [26/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「え…?」






遺伝子改造。

んな話、信じられるわけがないし、信じたくもない。



強さのためにポケモンの遺伝子をいじるなんて、想像したくなかった。
 ▼ 39 ミミロップ@こだいのツボ 16/06/26 22:22:46 ID:uDEULtRo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 40 カラナクシ@ひみつのカギ 16/06/26 22:35:03 ID:wYoWsGag NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 41 バリヤード@きんのたま 16/06/27 16:37:34 ID:Eup6Y4JY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 42 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:17:41 ID:UV2TCWU2 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…何だよそれ」


俺の声が震えているのが分かる。単純に許せなかった。怒りがこみ上げてくる。


「…許さねえ!今からあのトレーナーのところに行って」


立ち上がった俺の手を、ミズキがつかんだ。


「こっち向き」

え?言われたとおりにミズキの顔を見る。?


バチーーン!
 ▼ 43 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:19:22 ID:UV2TCWU2 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おお、快音。

「いってえ!」


…んな事言ってる場合じゃなかった。ミズキの平手打ちが、見事に俺の頬を直撃したのだ。おお痛い。

「何すんだよ!」

俺の怒りの矛先がミズキに向く。

「落ち着き!騒いでもいい事ないで!」


…それも、そうか。ミズキがもう一度右手を振り上げたので、俺は大人しくまたイスに腰掛けた。
 ▼ 44 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:22:46 ID:UV2TCWU2 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まだ頬が痛い。じんじんする。


「…んで、わざわざぶん殴るくらいだから他にも何か大事なことがあんだろ」

「お、呑み込みが早くて助かるわー」


そうですか。お前さっき呑み込み遅いって言ってたよな?そうか、こいつは思ったことをすぐに口(と手)に出すタイプなんだ。


「遺伝子改造したポケモンを使ってたあの男・・・ジョウロやったっけ?」

「ジョウだよ」


誰も園芸の話なんかしてない。やっぱり呑み込みが遅いのはこいつの方じゃないか。
 ▼ 45 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:28:04 ID:UV2TCWU2 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まあええわ。とてもあのデブ一人で、遺伝子改造なんて事が出来るなんて思っちゃいないやろ」


「…当たり前じゃん」

嘘です。そんなこと考えてなかった。


「それでなー、ジョウロで検索してみたら、近くのフラワーショップが出たねん!きっとジョウロはそこで働いて」

「馬鹿か」


こいつ、まさか冗談で言ってるよな?
 ▼ 46 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:30:07 ID:UV2TCWU2 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「冗談や。ジョウで検索しても、なーにも出て来ないんや」

ほう。


「んじゃ、つまり…どゆこと?」

ミズキはため息をひとつ。


「アタシが考えてるのはこうや。この遺伝子改造は組織的に行われてる」


ふうむ。納得できる。とてもあのジョウロ…いや、デブにそんな大掛かりなことが一人で出来るとは思えないもんな。


「検索で出て来ないのも」

「そっち方面だからやろ?」


なーるほど。
 ▼ 47 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:36:53 ID:UV2TCWU2 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「じゃ、遺伝子改造をする変な組織が」

「おるって事や」


うん…話は思ったより深刻で、大きいようだ。ミズキはペットボトルのサイコソーダをぐいっと飲み干した。


「…俺、これからどうすりゃ」


さっきミズキに殴られた頬が、まだじんじんする。だが、その痛みのお陰か、俺は取り乱さずに冷静でいれた。


「それでアタシから提案やけど…3つの選択肢があるから、好きなの選びーや」
 ▼ 48 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 21:47:08 ID:UV2TCWU2 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「1つめは…このままミミロップとサーナイトの無事を祈って、何もしない」

却下。


「2つめは…そのジョウロを問い詰めて真相を聞きだす」

保留。


「3つめは…」
 ▼ 49 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 22:04:55 ID:UV2TCWU2 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*********

家に帰ってから、自分の部屋にこもる。カーテンを閉めた。もう外は暗い。

ベッドの上にごろんと横になった。


「…」


無言で天井を眺めながら、これからのことを考える。ミズキが出してくれたひと…めの案…きゃっか…


睡魔が襲ってきた。仕方がないのでその睡魔に誘われるまま、目を閉じる。



********
 ▼ 50 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 22:06:24 ID:UV2TCWU2 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
********


「いっけえ!ニドラン、たいあたり!」

「かわせ!コラッタ!」





「何だ、まだポケモン捕まえてねーのか!」

「だっせーの!」





「そんなポケモンでいいのか?弱そうだな!アハハ!」

「この俺がケチョンケチョンにしてやるよ!」




 ▼ 51 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 22:07:22 ID:UV2TCWU2 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*********




「…分かってるよ」




俺はうっすらと目を開けて呟いた。目を閉じて、また睡魔に誘われる。
 ▼ 52 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 22:26:52 ID:UV2TCWU2 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
********


次の朝―



俺はポケモンセンターの一室にいた。ベッドでは、ミミロップとサーナイトが眠っている。腕から伸びる管が痛々しい。


意識がいつ戻るのかは、まだ分からないらしい。命に別状はないらしいから、安心していいのだろうが…トレーナーとしては、何もできないのが苦しい。
 ▼ 53 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 22:51:14 ID:UV2TCWU2 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
窓から差し込む朝の日差し。

その先にある花瓶の花を入れ替えた。


この花どうすっかなー。悩んでいると、病室のドアが開いた。

「…おはよう」

「ノックしてくれ」


ノックなしで突然ドアが開いたらびっくりするだろ。病室だし、頼んだぞ。


「ご、ごめん…それで…えっと…」


彼女は―女なのかって思ったやつ、挙手。これで2度目かな。なに、羨ましい?知るか。


彼女は次の言葉が出て来ないようだ。そこにあるイスを指差して座らせる。
 ▼ 54 ゴローニャ@きれいなぬけがら 16/06/27 22:52:24 ID:CN0qRWUY NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
書き溜めたりしないん?
 ▼ 55 リザード@でかいきんのたま 16/06/27 23:02:31 ID:8AaJFXMc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 56 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/27 23:03:09 ID:UV2TCWU2 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キリが悪い気がするけど今日はここまで

>>54
ある程度はPCで書き溜めてます
しばらくは順調に書けそうです
 ▼ 57 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:13:32 ID:k4kSUSK. [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…2匹は、大丈夫?」


ようやく落ち着いたのか、彼女は俺に問いかけた。答えるまでもない。顎でベッドをしゃくって見せた。



「…そう…遺伝子改造だっけ?…ミズキさんから聞いたよ」


あいつ。

「いつの間に」

「昨晩電話がかかってきて…シンヤ君が落ち込んでるから、慰めてやれって」


…思わぬ気遣いに、ちょっと心があったかくなった。
 ▼ 58 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:23:52 ID:k4kSUSK. [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「別にそんな落ち込んでないって。だいじょーぶだよミハナ」


彼女の名前はミハナ。俺の幼なじみ…と言っていいのか?気付いたら仲良かったーみたいな感じ。出会いを覚えてない。

短い黒髪が、風でふんわりと揺れた。


「…本当に?」

「本当に」


俺はそこにあったミックスオレの缶をミハナに渡してやった。彼女は少し躊躇ってから、タブを開けて一口飲む。
 ▼ 59 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:27:32 ID:k4kSUSK. [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はベッドのそばにある別のイスに腰掛け、ミミロップとサーナイトを見つめる。


なあ、早く目、覚ましてくれよ。そしたらさ、また一緒にバトルしようぜ。


「…いいの?これで」

突然ミハナが言った。


「これでいいの?このまま2匹が目を覚ますのを見守ってるだけでいいの…?」

「いいのって、俺は別にそれが悪いことだとは思っちゃいねーよ」


ミハナは更にこう言った。


「…これから、どうするの?まさか、泣き寝入りなんてしないよね?」
 ▼ 60 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:30:00 ID:k4kSUSK. [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
泣き寝入り。嫌いな響きだ。特にこんな状況だと。俺は苛ついてきているのが分かった。落ち着け、深呼吸だ深呼吸。


「まさか改造なんてインチキな手に屈するような事はしないよね?」


…


「…バトルの時は、相手が相手だったし、仕方ないけど…」



その言葉で、俺の感情は爆発した。




「誰も仕方ないなんて思っちゃいねえよ!」
 ▼ 61 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:33:23 ID:k4kSUSK. [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「仕方ないだ?遺伝子改造は強くて敵わなかったから仕方ないだ?冗談じゃない!」


落ち着けと言う心の声とは裏腹に、口が本能で動いていた。



落ち着け。騒いだっていい事ないぞ。何度も言われるのは嫌だろ?だから落ち着け。



「泣き寝入りなんて、考えたくもねえよ!」


ミハナはしばらく俯いていた。


「…考えたくもないけど…」


「…ゴメン」


ミハナが呟いた。俺は思わずベッドに突っ伏す。

ドアが開いて閉じる音が聞こえた。頭を上げると、飲みかけのミックスオレの缶。



俺は何を思ったか、その缶に花瓶から出した古い花を突っ込むと、病室を出た。
 ▼ 62 ソーナンス@おおきなキノコ 16/06/28 22:35:38 ID:tqFbpG7Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョウロって言われた瞬間BWのボックス管理人のショウロが思い浮かんだ
 ▼ 63 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:59:32 ID:k4kSUSK. [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
病室を出た後…その後はよく覚えていない。気付けば夕方だった。


これから俺がすべき事は…ぐるぐる。何だろうか。脳が考える音が聞こえてきた…ぐるぐる。

とりあえず近くのベンチに座った。そして下を向き、目を閉じて考える。



 ▼ 64 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/28 22:59:54 ID:k4kSUSK. [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
短いですが今日はここまで
 ▼ 65 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/29 20:16:51 ID:Ghiciv/c [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
********


「3つ目の案は…アンタがもう一度出直してくる事や」


「え…?」


「新しいポケモンを捕まえて、旅にでも出ればええ。もう一度鍛えなおすんや」


「…」


「旅に出れば、組織の事も何か分かるかもしれんで。我ながらいいアイディアや」



********
 ▼ 66 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/29 20:31:11 ID:Ghiciv/c [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
旅…ねえ。


これは素直にいい案だと思う。1からやり直す。


さて、察していただけたと思うが、なんかこう、イマイチ気が乗らない。



今俺はベンチに座っている。いつもなら、ポケモンたちと遊んだり、晩飯が恋しくなったりする。


だが、今は…体が動かない。動かす気が起きない、と言えばより正確かもしれない。


何故旅に出るのに気が乗らないのか、自分でも不思議だった。いい案なのに。




悩んだ末に、ミミロップとサーナイトが心配だからという建前上の結論が自分の中で出た。

あくまでも建前だ。本音は…分からない。自分の心を一番分かっているのは、自分とは限らないのだ。
 ▼ 67 SharpKiss◆cuXkGrSILw 16/06/29 21:04:18 ID:Ghiciv/c [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ベンチに座ったまま、ボーッと辺りを見回す。


「ねえミミロル、今日の晩ご飯何かなあ?」

小さい女の子が、俺の前を駆けて行った。


…気楽でいいよな。


気付けば夕焼けが見えていた。いつもなら「綺麗な」とか「美しい」といった形容詞を付けるのだが…今はそんな気分じゃない。


「…ん?あれは…」
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