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【SS】シキジカとグラエナ

 ▼ 1 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 19:56:31 ID:bwLdR33c [1/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ある冬の日。腹を空かし、山をフラフラと歩いていた1匹のオスポケモングラエナ。

そして仲間の群れから逸れてしまって足を挫いて怪我し、その場で佇むメスの小鹿ポケモンシキジカ。

グラエナはとてもお腹が空いて獲物を探している状態であった為すぐさまヨダレをいっぱいたらしながら彼女の元へ走って行く。


グラエナ「うへへへ!お前!美味そうだな!」

シキジカ「あっ…。」

グラエナ「ん?なんでお前逃げないんだ?俺が怖いんだろ〜?」

シキジカ「う…ううう。」

グラエナ「ん〜?ああそうか、こいつ足挫いて動けないのか。なら絶好のチャンス!俺だけこの獲物を独り占め出来るぜ!」

シキジカはグラエナを見ても全く動揺せず、ただただ彼の瞳を見つめるばかりであった。
 ▼ 2 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 19:58:19 ID:bwLdR33c [2/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

もう逃げ場はない自分にとって絶望的な状況であったので彼女は自ら死を覚悟した。

シキジカ「あ…念のためお聞きしますが私を…襲うのですか?」

グラエナ「ああ。俺は腹が減って今にも死にそうなんだ。だからお前を食べようと必死でここまで走って来たんだ。」

シキジカ「……」


グラエナ「ふう〜…約6日ぶりの獲物だな。どうやって食すか…。」

グラエナは全く怯えないシキジカに疑問を抱き、少し彼女に問い詰めた。

グラエナ「お前、なんで怯えないんだ?俺が今にもお前を食おうってのにそんな真顔しやがって。」

シキジカ「え?いいえ、もう私はもう…手も足もでないくて力尽きたのであなたのお腹に入る覚悟を決めたのです。」
 ▼ 3 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:00:04 ID:bwLdR33c [3/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「なんだって?俺に食われるのが怖くないのか?死ぬんだぞ?」

シキジカ「遠慮しなくてもいいんですよ。さあ私を…食べて。」

グラエナ「なんて謙虚な奴なんだ。普通は命乞いするだろ?やめてー!とか食べないでー!とか…言うだろ?」

シキジカ「いいえ。私の人生に悔いはありません。まだ子供ですけどこれが自然界の掟、弱肉強食…。」


シキジカ「弱き者が食べられそして強き者が生きていく…そんな世の中で私が今あなたに食べられるのも…運命だと分かったのですから。」

グラエナ「ちぇ!なんかそう言われたら食べ辛くなってきたぞ。でもここで引き下がったら俺が餓死しちまう!よし!お前の望み通り俺がお前を食ってやる!」

グラエナは大きく口を開け、シキジカの頭に鋭い牙を向けた。

シキジカは少し体を震えさせながらゆっくり目を閉じ、自分の人生に終わったとそう心の底からそう確信していた。
 ▼ 4 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:01:45 ID:bwLdR33c [4/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし何時まで経ってもグラエナはシキジカに噛みつこうとはしない。

グラエナ「はあ…もうやめだやめだ。なんかさ、お前を食ったら俺…なんか罰が当たりそうだからやっぱり食うの止めにするわ。」

シキジカ「え?どうして?」

グラエナ「自ら食べて下さいなんて言うバカがいると思うか?」

シキジカ「でも私があなたを食べないと…あなたが死んでしまうのよ?」


グラエナ「それは分かっている。でもこんな状態でお前食っても正直ハンティングした感が全く出ないんだよなあ。」

シキジカ「で…でも。」

グラエナはその後無言でシキジカを置いてどこかに去って行った。

シキジカはもう人生が終わったと思っていたはずなのになぜか見逃してくれたと少し変に感じていた。
 ▼ 5 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:03:10 ID:bwLdR33c [5/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらくして雲行きが怪しくなり、雪がサラサラと降って来た。するとなんとグラエナは再びシキジカの元へ帰って来たのだ。

グラエナ「おう、お前…まだここにいたのか。」

シキジカ「あっ!あなたは…。」

グラエナ「ほらよっ!これがあればお前の足の傷の痛みも少しだけ治まるだろ。」

シキジカ「これは薬草…?なんで私に?」

グラエナ「いいから黙ってろ。喋ると本当に食ってやるからな。」


グラエナはすり潰した薬草をシキジカの怪我をしてる部分に優しく前足で塗ってあげた。

シキジカ「……」

グラエナ「沁みるか?」

シキジカ「あっ…いいえ大丈夫です。」

グラエナ「そういやお前の名を聞いてなかったな。名はなんていうんだ?」
 ▼ 6 ポカブ@ラッキーパンチ 16/08/16 20:04:35 ID:A2feLw.M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援

全然ちゃうけど、あらしのよるにみたいやな
 ▼ 7 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:05:20 ID:bwLdR33c [6/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「これから死を迎える私に言う名なんてありません。」

グラエナ「いいから言えって!」

シキジカ「それなら言いますね。私はシキジカっていうのです。」

グラエナ「シキジカか…俺はグラエナっていうんだ。」

シキジカ「グラエナさん…あの…どうしてこんな私を助けてくれたんですか?」


グラエナ「無理にさん付けはしなくていいから普通にグラエナって呼べよ。まあこんなお前を見てたらなんだかちょっとほーんのちょびっとだけ悲しくなってきてさ。」

シキジカ「私の事を心配してまた戻って来てくれたというのですか?」

グラエナ「はは…まあそういう事だな。雪も降ってきてるしどこか雪宿り出来る場所探さねぇとな。シキジカ、お前歩けるか?」

シキジカ「は…はい。多少は…よいしょっと。」

グラエナ「おっなんだ歩けるじゃないか。じゃあ俺に付いて来い。」
 ▼ 8 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:07:54 ID:bwLdR33c [7/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時シキジカはこう思った。

きっとグラエナは本当に雪宿りを探すフリをして他の仲間がいる洞窟に誘い込んでそして自分は食べられてしまうと…。

グラエナ「うう〜寒いな…。お前、さっきから体がブルブル振動してるが…。」

シキジカ「平気です…。へっくし!」

グラエナ「くしゃみしてるじゃんか。ほら俺にしがみ付いてろよ。そうすれば少しは寒風を受けないだろ。」


シキジカ(こんな弱い私の為に…わざわざ気を遣ってくれるなんて…)

グラエナとシキジカは山を下りて森の中に歩いて行くと偶然近くに洞窟たる物を発見した。

グラエナ「あれは…?おい!あそこに洞穴があるぞ!シキジカ!とりあえずあそこに行こうぜ!」

シキジカ「本当…。では一先ずあそこで一休みでも…。」

グラエナとシキジカは洞穴に入って寒さを凌いだ。

シキジカ「あの…グラエナさん?」
 ▼ 9 フロストロトム@くろいヘドロ 16/08/16 20:09:02 ID:2kpoh5h6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>6
俺も思った

支援
 ▼ 10 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:09:30 ID:bwLdR33c [8/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「だ・か・ら!さん付けはやめろって言っただろ?後それと敬語使うな。」

シキジカ「あっ!ごめんなさい。」

グラエナ「…で?何か俺に聞きたい事でもあるのか?」

シキジカ「グラエナは他の誰かと一緒にいたの?」

グラエナ「いや…俺ずっと独りぼっちだぞ。」

シキジカ「えっ?あなたのお母さんやお父さんは?」

グラエナ「俺は…小さい頃親に…捨てられたんだ。群れなんかで行動しなくても俺一人でなんでも出来るから別に仲間なんていらねぇんだよ。」


シキジカ「!!」

グラエナの余りの衝撃的な発言にシキジカは気まずい事を聞いてしまったと焦りだした。

グラエナ「…ところでお前はずっとあそこで一人で散歩してたのか?」

シキジカ「いいえ、今まで群れで行動してたのですが途中で足を滑らして落っこちてケガして…そこで仲間達と逸れてしまったの。」
 ▼ 11 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:11:50 ID:bwLdR33c [9/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「ははは!ドジな奴だなあ全く。俺じゃなくて他の奴らならたぶん即獲物のターゲットにされてるだろうよ。」

シキジカ「ええ、全くもっとその通りなのね。」

グラエナ「あ〜あ…笑ったら余計腹が減ってしまったぜ。」

シキジカ「だからグラエナ…私を食べ…。」

グラエナ「おっと…それ以上言ったら…どうなるか分かってんのか?この自慢の牙がお前を頭からかじっちゃうぞ!」


シキジカ「……」

グラエナ「まあ空腹ぐらいこうやって横になってたら…まだマシだろう。」

シキジカは全く喰う気のないグラエナを少しだけ好感を持てるようになった。

夜になりシキジカはゆっくりと睡眠を取っている中、グラエナは空腹状態に耐えられない不眠な状態であった。

グラエナ「うう〜…やべぇ…腹が…腹の虫がずっと…鳴るぞ。」
 ▼ 12 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:14:32 ID:bwLdR33c [10/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「スー…スー。」

グラエナ「こいつ…元々俺の腹の中におさまる獲物のつもりが…すっかり仲良くなってしまってるじゃねーか畜生!」

シキジカは安らかに眠っているのを見るとグラエナはチラチラと彼女の方を惜しく見ていた。

グラエナ「うう…目の前にご馳走が…ああでも!食えねぇ!なんかこう…自制出来ないんだよなあ…でも我慢…。」


グラエナ「はあ…俺ってなんで度胸があるのにこうお人好しなんだろうな。」

結局グラエナはシキジカを食べる事は出来ず、次の日の朝がやってきた。

シキジカ「グラエナ…?グラエナ!おはよう。」

グラエナ「おう…。」

シキジカ「だいぶ寠れてるみたいだけど…。」

グラエナ「いいんだ…俺に食って欲しいとかまたそんな馬鹿な事ぬかすな…よ。」

シキジカ「待ってて。ちょっと食べ物取って来るから!」

グラエナ「あいつ…何処へ行くつもりだ。」
 ▼ 13 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:17:09 ID:bwLdR33c [11/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカは洞穴が出た後、しばらくして口に木の実を咥えてグラエナの元に帰ってくるなりまた再び木の実を咥えてグラエナの所にソッと置いた。

シキジカ「これちょっとしか採れてないけど食べて…。冬だから余り木の実が生い茂ってないから。」

グラエナ「なんでお前が…俺に食料持って来るんだ?」

シキジカ「だってこの前私が怪我してる所を助けてくれたから。」


グラエナ「そんな恩を無理に返さなくてもいい。俺が元気になったら今度いつお前を食べるか分からんぞ…。」

シキジカ「で…でも…。」

グラエナ(うう…でもこの際我慢出来ねぇ!食うぞ!)

しかしグラエナは無性にシキジカを置いた木の実らをバクバクムシャムシャと豪勢に食べ出した。

シキジカはホッと安心したかのように少しだけ笑みを浮かべた。

グラエナ「あ〜…食った食った。ちょっとは小腹が満たされたな。」
 ▼ 14 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:19:32 ID:bwLdR33c [12/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「ふふっ。良かった元気になって♪」

グラエナ「ああ。生き返った心地だぜ。それよりお前足の傷はどうなったんだ?」

シキジカ「すっかり治ったわ。あなたのお陰でね、ありがとうグラエナ。」

グラエナ「礼なんて言うなって。下らない事言ったらマジで食っちまうぞ〜。」


グラエナは少々照れ顔になりながらシキジカの脚に甘噛みした。

それからグラエナとシキジカは更に仲が良くなり二人で共に行動する事になった。

そんなある晴れた日の事。

そよ風が吹く高原を二人が歩いていた最中にグラエナがこう呟いた。

グラエナ「もうすぐ春だな…。」

シキジカ「どうして分かるの?」

グラエナ「まあそれは匂いで…分かるんだよな。」

シキジカ「へぇ〜…グラエナってすごいわね。」

グラエナ「別にすごいとかそういうのじゃないけどさ…。」
 ▼ 15 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:23:27 ID:bwLdR33c [13/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「見て…ここの景色良いよね…。」

グラエナ「まあ〜な。」

シキジカ「あっ!!」

グラエナ「ん?どうした?」

シキジカ「あそこに…私の仲間の群れがいるわ!」

グラエナ「本当か?お前の仲間がこんな場所にいたとはな…まさに千載一遇といった奇跡だぜ。」


シキジカ「どうしよう?会って来ても良いかな?」

グラエナ「それはお前が決める事だ、俺は止めはせんぞ。」

シキジカ「……グラエナも一緒に来ない?」

グラエナ「俺?でもあいつら俺を見たら一目散に逃げるんじゃないのか?」

シキジカ「私が上手く事情説明するから…だから来てほしいの。」
 ▼ 16 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:24:59 ID:bwLdR33c [14/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「まあいいか。よし、俺も行く。」

シキジカはグラエナを連れて向こうにいるシキジカの群れへと近づいた。

しかしその群れの一匹のシキジカがグラエナを見ると一斉に仲間に危ないポケモンが来たと他のシキジカ達に伝え出した。

シキジカ「グラエナこっちこっち!皆〜!離れてごめんね!この方は私を助けてくれた優しいポケモングラエナっていうよ。」


「うわーー!!」

「きゃーーー!!」

「食べられるーー!」

「逃げろーーー!!」

群れのシキジカ達がグラエナを恐れるかのように次々と悲鳴をあげて遠くに逃げ去って行った。

シキジカ「え?どうして?皆どうして逃げるの!?」

グラエナ「そりゃこの俺は嫌われ者だから…だろ。」
 ▼ 17 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:31:45 ID:bwLdR33c [15/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「そんな事ないわ。顔は少し怖いけどあなたとっても優しいから。」

グラエナ「まあ俺は特別お前だけに優しくやってるわけじゃないけどよ。こう常に威嚇してる顔だから皆それ見て怖がってるんだろ。」

シキジカ「ごめんなさい…傷ついたかしら…。」

グラエナ「気にすんな。それよりお前これからあの群れについて行くのか?」

シキジカ「もう私があなたと行動してる以上、誰も私といてくれる仲間なんていないと思う…。」


グラエナ「まあそうなるよな。改めて俺と一緒にいるか?」

シキジカ「え…ええ。そうするわ。」

シキジカ(さようなら…私の仲間達…)

シキジカは群れに別れを告げ再びグラエナと一緒にいる事になった。

その一週間後、グラエナ達に突如悲劇が起こるのは誰も予想していなかった。
 ▼ 18 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:33:50 ID:bwLdR33c [16/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは寂しげな薄暗い森の中を歩いている時の事。

シキジカ「暗いわね…この森。」

グラエナ「そうだな。太陽の光が全く上から差し込んでこないもんな。」

シキジカ「見て…そこに沼があるわ。」

グラエナ「でもそこの沼とても薄気味悪いなあ…。行くのか?」

シキジカ「ちょっぴり怖いけど…行ってみようか?」

二人は怪しげなその沼に近づいてみる事した。

シキジカ「これって底なし沼かしら?」


グラエナ「さあな…。」

シキジカ「入ったら2度と出てこれないのよね。」

グラエナ「…?」

シキジカ「グラエナ?どうしたの?」

グラエナ「何か声が聞こえてくるんだ。」
 ▼ 19 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:35:19 ID:bwLdR33c [17/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカ「…声?」

グラエナ「沼の方からだな…。」

二人は沼に耳を澄ましてみる。

するとザバッと巨大なワニポケモンワルビアルが二人の前に現れた。

どうやら腹を空かしている様子で今にも二人に襲い掛かって来そうな状態だ。

ワルビアル「おお〜…来おったか!来おったか!ようやく…ようやく真面な食いもんにありつける!」


シキジカ「きゃーーーーー!」

グラエナ「うわっ!なんだお前は!?」

ワルビアル「俺様はワルビアル、この沼の主だ。お前ら…美味そうだな。」

シキジカ「グラエナ…逃げようよ。」

グラエナ「いや、俺は逃げない。」

シキジカ「どうして!?あんなごっついのに勝ってこないわよ?」

ワルビアル「俺様があんなのに呼ばわりするとは…。」
 ▼ 20 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:36:44 ID:bwLdR33c [18/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「逃げては男の名が廃る…ここは相手をするべきだ…。」

ワルビアル「ほお〜…この俺様とやり合う気か?威勢は良いと誉めてやろう。」

シキジカ「やめてグラエナ!お願いだから逃げて!」

グラエナはシキジカの言う事を無視してワルビアルと戦うことになってしまった。

ワルビアル「俺が勝ったらお前らを食う。途中で逃げるなんてのはナシだからな!」


グラエナ「いいぜ。俺は逃げも隠れもせん!」

シキジカ「ケンカはしないで…。」

グラエナはこの時、力ではワルビアルに勝てない事を知っていた。

彼はシキジカに自分とワルビアルと戦っている最中で逃げろと彼女にコソコソ囁いた。

シキジカ「え〜…あなたを置いて逃げるなんて…そんなの…。」

グラエナ「俺は奴には勝てそうにない…。だがお前だけは…お前だけは生きて欲しいんだ。」

シキジカ「……」
 ▼ 21 セクシーマフォクシー◆ZmNoEZzYKc 16/08/16 20:37:37 ID:0iEbxN0Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 22 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:41:31 ID:bwLdR33c [19/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「初めてお前に出会った時…お前を食べようとしたが…でもこうして生き続けてるお前がこの先まだまだ生きる資格はあるんだぞ。」

シキジカ「グラエナだって…。」

グラエナ「俺は自分として儚き人生だったしもうこの先どうなってもいいんだ。だがもし勝てたら…必ずお前の所に行くからな。約束だ。」

シキジカ「約束…。」

ワルビアル「二人してなにイチャイチャしてやがる!さっさとかかって来い!」


こうしてグラエナはワルビアルとの戦闘が始まった。

グラエナ「いくぞ!かみつく!」

ワルビアル「ははは!お前のそんな小さな口でこの俺様に敵うものか!かみくだく!」

ワルビアルの大きな顎でグラエナの腹をガブリッと噛みついた。

グラエナ「う…ぐああああああああ!!」

シキジカ「グラエナ!」

ワルビアル「ははは!小僧!そんな力でこの俺様を倒そうとせると思ったか!?」
 ▼ 23 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:45:44 ID:bwLdR33c [20/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ワルビアルが一方的に有利な立場になりつつある中、グラエナはシキジカに逃げるように大声で叫び出した。

グラエナ「今だシキジカ!全力で走って逃げろーーー!!」

シキジカ「!!」

ワルビアル「なっ!」

シキジカは素直にグラエナの指示に従い、とっさにグラエナとワルビアルの戦いの場から離れた。


ワルビアル「待てー!俺様の獲物−!」

グラエナ「隙あり!すなかけっ!」

グラエナはシキジカを追おうとするワルビアルの目を目掛けて前足で砂を当てる。

ワルビアル「うぐわっ!目がああ!貴様!俺様をからかいやがって〜!!」

グラエナ「へっ!ざまあねぇな!うっ…。くっ…奴のダメージ強力すぎて…思うように行動出来ないぜ…。」
 ▼ 24 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:48:57 ID:bwLdR33c [21/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ワルビアル「もう許さんぞ…。まずお前から食う事にする。かみくだく!」

グラエナ「くっ!ぐおおおおおおおおおおおおお!!」

その後シキジカは逃げてる途中…グラエナがどうしても気になって彼の元に戻って行った。

戻った先には既にグラエナが深く傷を負った状態で倒され、ワルビアルに両手で掴まれて今にも口に呑み込んでしまう所であった。

シキジカ「…グラエナ!」


ワルビアル「ん?この声は?おっ!貴様まだいたのか!」

グラエナ「う…シキ…ジ…カ。」

ワルビアル「ノコノコ戻って来るとは愚かな。自ら食べられに来たのか?」

グラエナ「どうして…戻っ…て…き…た。」

シキジカ「……」

グラエナ「俺…の事は…いい…。は…やく…ここか…ら…離れ…ろ。」

シキジカ「うっ……くすん。」
 ▼ 25 カラカラ@どくバリ 16/08/16 20:50:39 ID:u5AhDRSs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あらしのよるにかな?
 ▼ 26 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:51:28 ID:bwLdR33c [22/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シキジカは体がボロボロになって力尽きたグラエナを見ると涙が込み上がってきた。

ワルビアル「小娘!そこで大人しくしてれば痛い目に遭わなくて済むぞ!こんな愚かな奴みたいにな!がはは!」

グラエナは最後の力を振り絞って前足をシキジカの反対方向に差し出した。

どうやら森から出る方向を示しているかのようだ。

シキジカはグラエナに向かって頷き、直ぐにその前足を向けた方角に走って逃げて行く。

ワルビアル「あっ!!待てぃ!逃がしてなるものかっ!!」


シキジカはワルビアルに執念に追われつつもそれでも必死で逃げ続けた。

どれだけ辛くても…シキジカ自身は生きたい!という気持ちが彼女の心を揺さぶっていつもより早く走り続けるようになっていた。


しばらく走って森の外に出た頃、追いかけていたワルビアルの姿はいなくなっていた。

シキジカ「…出れた。…私、助かったの…ね。でも…グラエナは…まだあの森の中に…。」
 ▼ 27 ミュウ@あおいビードロ 16/08/16 20:52:14 ID:Ivp63nvI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 28 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:57:00 ID:bwLdR33c [23/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの時グラエナはシキジカを庇って犠牲になってくれた事によって彼女の命は救われた…。

シキジカ「グラエナ、ありがとう…。私…私、精一杯グラエナの分も生きるからね。」

最初から死を覚悟したシキジカは今までグラエナに助けられてからずっと何不自由なく過ごしていたのに突然彼の人生に終止符を打たれるのはとても信じられない出来事であった。


あれから数年経った時、シキジカは立派な大人になりメブキジカとなった。

偶然嘗てグラエナと入った薄暗い森に来た時、メブキジカは例の沼地に足を踏み入れる。

当然そこにはグラエナの姿は無かったが彼女はそれでもまだ彼がここにいると…そう感じていた。

逃げる時に何もグラエナに声を掛けれなくて悔いが残ったのか彼女は綺麗な一輪の白い花を地面に置いて森を去って行った。

                  ―終わり―
 ▼ 29 赤い糸テールナー◆r8RzcYRKik 16/08/16 20:58:09 ID:bwLdR33c [24/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

以上でシキジカとグラエナのSSはこれで終了です

見て下さった方、支援して下さった方、ありがとうございました
 ▼ 30 ゾロア@いかずちプレート 16/08/16 20:59:33 ID:A2feLw.M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
乙…
 ▼ 31 ◆CSn9vcIqE6 16/08/16 20:59:46 ID:hqN28v8s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援&乙でしたー!

短いけど、ええ話やった…
 ▼ 32 ヒトモシ@ドラゴンジュエル 16/08/17 00:42:41 ID:dQVh7EM2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です(=゚ω゚)ノ
 ▼ 33 メガミュウツーX@ネストボール 16/08/20 10:11:23 ID:T2i/Yu5s NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
短くていい話だった!乙!
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