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SS

【SS】みとじの声

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:02:14 ID:TsPBEvPA [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告


──みとじの“声”には姿なき


『要石』にその身を潜めて……

 ▼ 2 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:03:10 ID:TsPBEvPA [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜シダケタウン 民家〜


「「おはよー、ヒデオ。もう朝だよ。
だから、起きて。ねぇ…起きてよーっ!!」」


早朝から、妹のキンキン声が響き渡る。


ヒデオ「…あの、まだ朝だから寝てたんだよ。
…だって、今日からさ、ほら、夏休みだろ」

ハツネ「あぁ、もったいないんだ。せっかくの休みだからこそ、早起きしなきゃっ!
さっ、今からさ、カナズミまで行こっ!!」

ヒデオ「え?」

僕ら兄妹は塾帰り。
カナズミのトレーナーズスクールに通う、初等部だ。

ヒデオ「やだよ。なんで学校ないのにわざわざ。
それにお前、僕がいないとトンネル超えれないだろ?」


──妹はまだ10歳に満たないトレーナー見習い生。
そのため、僕と違いポケモンはまだ持っていない。

いつもはカナシダトンネルを渡り学校へ通うため、道中のポケモンはトレーナーの僕が撃退しているのだ。
 ▼ 3 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:06:29 ID:TsPBEvPA [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「まぁ…そう“だった”ね」

ヒデオ「わかったら、お前もまた一緒に寝よう。
ほら、さぁ、わかったのなら諦めろ…」

ハツネ「…ふんだ。
だから、アタシ一人で行くもん」

ヒデオ「だから、ポケモンを持ってないくせ…。
…え?」

キノココ『キノ♪』

ハツネ「ねー、キノちゃん♪」


…妹はあろうことに、ポケモンを連れていたのだ。


ヒデオ「えっ…ポ、ポケモン!?
なんでお前が…?」

ハツネ「『かえるノいえ』って知ってるでしょ。ホウエンにできたポケモンハウス。
昨日カナズミにそこの職員のお姉ちゃんが来て、ポケモンの譲渡会があったの。で、行ったの」

ヒデオ「…お前、そういえば昨日『オナカイタイ』とか言って終業式来なかったな。
その譲渡会とやらを事前に知ってたのか…」

キノココ『キノ〜♪』

ヒデオ(…あぁ、メンドくさいことになった)
 ▼ 4 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:08:41 ID:TsPBEvPA [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「じゃ、今からアタシ出掛けるから。
じゃーねー、お父さんに言っと(ガシッ

肩を掴み、引き戻した。

ハツネ「…乱暴」

ヒデオ「ダメだ!
お前は昔からそうだ。勝手にいつも先走ろうと…。
…パープリンと虚弱体質のクセして」

ハツネ「…行きたいのに、カナズミ」

ヒデオ「お前…“トウカの森”に行きたいのか?」

ハツネ「!」

ヒデオ「今まで僕が制止してきたから、そのキノココとなら行けると考えたんだろう、そうだろう?」

ハツネ「…ムゥ」

ヒデオ(ズボシか。
それに世の中にはな、タチの悪いトレーナーや怪しげな性癖持ちとか、色々いるんだぞ)

……一生モノのキズがついたら、どうするつもりだ。

ヒデオ「……わかった、僕も行く。探索程度だよ。
あと面倒臭くなるから、親には黙って行こう」

ハツネ「さすがヒデオ!
じゃ、早く行こっ、さあっ!!」
 ▼ 5 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:19:03 ID:TsPBEvPA [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜


ミーンwミーンwミーンwミーンw

ミーンミー…


ミ ー ン w w ミ ー ン w w ミ ー ン w w


ハツネ「うぅっるぅっさいぃぃっ!!
このっ、この虫風情のテッカニンがぁっ!!」

ヒデオ「…お前の方がうるさい気がする。
で、トウカの森だけど…どう?」

ハツネ「うるさいってのと暑いってのと帰りたいってのと」

ヒデオ(悪いところばかりじゃないか)


──その時。


ハツネ「…ん?」

ヒデオ「なんだ、なにか良いところでも見つけたのか?」

ハツネ「違う、ヒデオ。
…ほら、“これ”見て」
 ▼ 6 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:46:17 ID:TsPBEvPA [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アイアント『ギシャァーッ…』


ゾロゾロ。


…アイアントの群れが、とある場所に向け進んでいた。


ハツネ「ねっ、アイアントたち、なにしてるのかな」

ヒデオ「食べものを見つけたんじゃない?
森に来た子どものお菓子とか落ちてたり」

ハツネ「行ってみよーよ!
もしかしたら、ホントにそうかもしれないし!!」

ヒデオ(…まさか、食べるのか?)

…僕と妹は、アイアントと一緒に歩き出した。

ハツネ「なにがいいかなー。
アメかな、チョコレートかな、それとも今暑いし、アイスがいいなー♪」

ヒデオ「そういうのは菓子屋とかで考えるものだろ」


…だけど。

現実は、確かに、そう甘いモノではなかったようだ。
 ▼ 7 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 17:04:09 ID:TsPBEvPA [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「あっ」


──アイアントたちが群がっていたのは、テッカニンの死骸だった。


ハツネ「…。
え…」

ヒデオ(…傷だらけ、足がもげてる。
死に際になって、あちこちにカラダをぶつけたんだろうか)

ヒデオ「ん…?」


『『キィ…
…キィ……キ…ィ………』』


ヒデオ(…)


まだ息がある。


ハツネ「ねぇ。早く…帰ろっ、ヒデオ!
…帰ろうよ。付き合わせちゃって、ホントゴメンね。
……アタシ、なんか、バカだったから……」

ヒデオ「…うん。
森、出よっか」
 ▼ 8 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 17:04:42 ID:TsPBEvPA [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
──数時間後



  ク  シ  ャ  ッ  。



「おい…なんか踏んだぞ、お前」

「わっ、ホントだ」

「きったねーっ、テッカニンだ!
それにアリたかってる。グロッ!!」

「うわ…頭からなんか出てる。
あーもうっ、サイアク。こんなんだからセミはメーワクなんだよ」

「虫取りやめて帰ろーぜ。
こんなしょぼいテッカニンぐらいしかいないのかもなー」

「とりあえず、靴裏の汚れ落としたいな」

「そうだな」

「…ん?
おい、なんだ……“これ”?」

「なんだ?
…“こんな石”、前に来た時あったっけな……」
 ▼ 9 ルマユ@ヤドランナイト 16/08/21 17:55:36 ID:zn3r/LYQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 10 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:16:46 ID:7KD3G13Q [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










《  2  0  …  》









 ▼ 11 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:27:53 ID:7KD3G13Q [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜翌日 キンセツキッチン〜

ハツネ「うん、やっぱこれがさ、うん…夏だね!
…久しぶりに食べたけど、ホントなつかしい」

ヒデオ「あぁ、ホントに…。
かき氷。あれから気分とかどう?」

ハツネ「えー…うん。
もっとイロイロ食べたいー」

ヒデオ(…ただ食べたいだけだよな)


トウカの森まで行こうと言い出したのはコイツだが、実際に行かせてしまった責任がある。

…夢見がちの女の子には、あの光景はショックが強かったのだろう。


ヒデオ(だから、せめてもの詫びとしておこづかいをフンパツして、色々と奢ってやったし。
アクセサリー、マンガ、リンス、それにかき氷…はぁ、おこづかい)

ハツネ「舌と顔色マッサオだね」

ヒデオ(シロップとお前のせいだ)

ハツネ「…うーん、ドリンクバー汲んでくる。
なんか飲みたいのある?」

ヒデオ「サイコソーダでいいよ。
…こぼさないようにな」
 ▼ 12 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:29:53 ID:7KD3G13Q [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──しばらくして


ハツネ「もってきたよ!
ほら、サイコソーダ」フラフラ

ヒデオ「あっ、おいおい、気をつけろ。
お前グラス2個持ってるから…ホントに気をつけろ」

ハツネ「大丈夫だって…
ほら、ロメジュースとブレンドしてさ…ミックスサイコロメにしたから、多分、おいし…」ドンッ

ハツネ「さ ぺ っ」


…仕切りの壁に激突してしまった。


ヒデオ「あっ」


ドテッ

パリィン パリィン

ビチョッ


………
……
 ▼ 13 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:31:58 ID:7KD3G13Q [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数時間後 シダケ診療所〜


妹が転んでしまい、骨休めもクソもなくなった。
大したことはないとは思うが、大事をとり、僕は妹を町の診療所へと連れて行ったのだ。

…ついでに割れたグラスは僕が弁償した。
あと診療費もか。…はぁ。


ヒデオ「先生…ハツネ、大丈夫でしょうか?
まぁ、別に、ただファミレスで転んだぐらいですし…」


ちなみに“先生”は、僕らが幼い頃からのかかりつけ医だ。
元はイッシュ出身であり、ヒウン大学院医学部を満期退学後このホウエンで小さな診療所を構えたそうだ。

そんなインテリでありながらも他を卑しめることはせず、僕らが慕い続けるとても優しい人なのだ。


先生「…ファミレスで転んだくらいでもね、あの年頃の女の子には打撃になりかねないのですよ。
なにせ顔や身体に傷や痣が残ってしまったりと、それだけでも、彼女たちは酷く落ち込むものですから」

ヒデオ「…そうですか。
アイツ、ジムリーダーのような『エレガントなトレーナーになりたい!』って昔からずっと言ってるし、それは嫌でしょうね。言葉の意味わかってるのか知らないけど」

先生「まぁ、私が見たところ、そういったような目立った外傷はありませんでした。安心してください!
…ただ…」

ヒデオ「…ただ?」
 ▼ 14 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:34:24 ID:7KD3G13Q [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「ハツネちゃん、しきりに右腕の痛みを訴えていてね。それが気になり、先程レントラーを用い透視撮影を行ったのですが…右腕の尺骨に、少しヒビが見受けられました」

ヒデオ「ヒッ…ヒビッ!?
そんな…ハツネ、そんな……ええっ?」

僕は、真っ青になった。

先生「…あっ、そんな、大事じゃないですよ!?
…湿布薬を貼りサポーターを着ける程度で。それで一ヶ月程様子を診ましょう。恐らく、その頃には完治します」

ヒデオ「……はぁ、なら、よかった」

…ちょっと、赤面した。


──そして更に数十分後


ハツネ「…終わったよー。
ねー、このサポーターって奴、かっこ悪いんだけど。なんかおじいちゃんのハラマキみたい」

ヒデオ「…治るまで、ちゃんと着けてるんだぞ。
あぁ、買った服さっそく着てるのか」

ハツネ「こぼしたジュースで濡れたから。
…なんかヒデオ、泣いてるけど。どうしたの?」

ヒデオ「…レントラー撮影がこんなに高いだなんて…
保険適用外……だとは」

散財しまくった散々な一日だったと絵日記に書いておこう。
 ▼ 15 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:55:52 ID:7KD3G13Q [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜トレーナースクール 登校日〜

トモノリ「な、すごいだろ? そうだろ、ハツネ!?」

ハツネ(…なーんか、裏があるよ。ゼッタイ)ジロッ

ヒデオ(同感。
僕でさえ勝てないのに、よりによってコイツが…)ジロッ

トモノリ「なっ…なんだよ!?
その半信半疑の眼差しはよぉっ!!?」

ハツネ(疑が大多数を占めてるよ)


コイツは同級生のトモノリ。いつも116番道路で虫ポケモンを採っている。
コイツが見せびらかしているのは『ストーンバッジ』。

…そう。
ジムリーダーに、コイツが勝利したというのだ。


トモノリ「…誰も信用してくれないか、悲しい」

ヒデオ「だってお前、基本的に虫ポケモンしか捕まえないじゃん。虫取り少年のポリシーだか何だか知らないけど。
そしてツツジさんは岩タイプ使い。相性的に、あと経験的にとてもじゃないがお前じゃ勝てない」

トモノリ「むぐぐぐ」

ヒデオ(…どいつもこいつもズボシだって顔して。
じゃあ、実際に、なんでコイツはバッジを持っているのだろうか?)
 ▼ 16 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 22:16:21 ID:7KD3G13Q [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「…あ、そ、そうだ!
ハツネ…なんかさ、その、えっと、右腕のバンド?
どこで買ったんだ? 変わったバンドだなー、おい」

ハツネ「……」ムスッ

トモノリ「あっ」

ヒデオ(タブーだったのに)

トモノリ「…あ、あぁそうだ!
お前ら、トウカの森にはさ、行ったことあるか?」

ハツネ「……うぅっ」

トモノリ「えっ?
お、お前泣いてるのか!?」

ヒデオ(コイツはなんで地雷を踏んで行くんだ…?)

ハツネ「…ないて…ないもん……ヒック。
で…なに……トウカの森が、どうかしたの!?」

トモノリ「…え、えっと、ヒデオ知ってる?
そこによ、道を塞いでるジャマな木あってさ、奥地までは行けないってこと」

ヒデオ「あぁ、“いあいぎり”で斬れる木だろ?
…まさか」

トモノリ「そう!
オレ、ストーンバッジ貰ったからさ、そういう木も斬れるようになったんだよ!!」
 ▼ 17 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 22:17:55 ID:7KD3G13Q [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「で、さっ…」

ヒデオ「さっそく行ってみたんだろ?」

トモノリ「えっ」

ヒデオ「『なんでわかるの?』と思った?
長年の付き合い。なんとなくそう思ったんだ」

トモノリ「…ちぇっ、ハッタリだったのか。
うん、当たってる。それでさ、スゴいんだぜっ!?」

ハツネ「なにが、スゴイの?」

ヒデオ(泣きやんだか)

トモノリ「えっと、うん、スゴかったんだ!
それに、とてもすごく、スゴイの!!
スゴくてよー、ちょっとオレ、スゴくさ……」

ヒデオ「…実際にまた行ってみよう。
それで、言いたいことがわかるさ」

ハツネ「……はぁ……」

ヒデオ「もう、あんなことにはならないさ。
…また居たら、ゴメン」

トモノリ「?」

そして僕らは、そのスゴいところとやらに行くことになったのだ。
 ▼ 18 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 12:29:11 ID:dkD8whXc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜

トモノリ「そらっ、ツチニン!
“いあいぎり”だっ!!」

ツチニン『ツチッ!』シュパッ

“いあいぎり”により、遮る木を斬り倒した。

トモノリ「こういう木は斬っても斬っても生えて来るからな。メンドい…。ほら、行こうか」ザッザッ

ヒデオ「…頼むぞ、アサナン。
薄暗いし、“フラッシュ”で照らしながら進もう」

アサナン『アサ…』ピカァッ

ハツネ「…ふっふっふ〜。
いつもこの三人で行動してる時、アタシってなんかさ、ほら、オニモツだったじゃん。
…で・も♪」

キノココ『キノ〜♪』

ハツネ「今のアタシにはこの子もいる!
アタシだってもうイッパシのトレーナーなんだから、そうっ、もうっ…大丈夫なのっ!!」

キノココ『ノ〜ッ♪』

トモノリ「おぉっ、その意気だ、その意気っ!!」

ヒデオ(やっぱりわかってない、大丈夫じゃない。
そういった慢心が、一番怖いのに)
 ▼ 19 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 12:29:36 ID:dkD8whXc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
──奥地

トモノリ「…ここだよ」

どうやら、目的地のようだ。

ハツネ「わっ…。えっ、スゴい…?
なにこれっ、全部…ホントに…“そう”なの?」

ヒデオ(…。
さながら、『森の霊園』……)


──そこは、開けた原っぱであった。

周りを木々がグルリと囲み、それ以外に特筆すべき点もない…。


……ただ、この景観に不釣り合いな、多数の“墓標”を除けば。


ヒデオ(盛り上げた土に木辺を刺しただけの簡易的な墓標の数々。イヤな予感がする…。
……“なに”が埋まっているんだ!?)

トモノリ「あー…ヒデオ。
お前ってさ、考え過ぎるよな、いつもいつも」

ヒデオ「…?」

トモノリ「これ全部、“ポケモン”の墓だよ。
…仏には悪いけど、ほじくり返して調べたんだ」
 ▼ 20 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 13:18:42 ID:dkD8whXc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
トモノリ「オレも最近知ったんだ。
あと、憶測も少し入ってるが聞いてくれ」


──いつからかはわからない。

でも、多分昔から。
心優しいというかモノズキというか、そんな一部のトレーナーによって。
森のポケモンの死骸は、ここに葬られるそうなんだ。


…ひょっとしたらあの木も、この『森の霊園』を守るために延々と生えてくるのかもしれない。


ヒデオ「…そうだったのか」

トモノリ「トウカやカナズミの人は皆知ってるんだってさ。
…子どもだと。知らないのは」

ヒデオ(ひょっとしたら、あのテッカニンも。
あの後誰かに埋められたのかなぁ…)

ハツネ「…タ…シ」

ヒデオ(ん、ハツネ…?)

ハツネ「……あの時。
…アタシ、アタシ……」

ヒデオ(…。
“葬ってやればよかった”と、思ってるのか?)
 ▼ 21 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 13:19:14 ID:dkD8whXc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
その時…だった。



《  2  8  …  》



ヒデオ「!!?」


──突然、その正体不明のおぞましい《声》が、僕の頭に響いたのだ。


ハツネ「どーかしたの、ヒデオ」

トモノリ「…なんだ?
いきなりあらぬ方向振り向いて」

ヒデオ「き、聞こえないのかっ!?
お前たちには、聞こえなかったんだなっ!!?」

ハツネ「え?」

トモノリ「お前、ホントに大丈夫か?」

ヒデオ(…どういうことだ……。
……んっ?)


──“アレ”は……?
 ▼ 22 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 18:17:39 ID:rhLkq0lM [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは、“石”だった。


ヒデオ(…ただの、石だ。地面に落ちてる、森の石。
だけど、前にどこかで見たような、見てないような…)


トモノリ「ゴメンな、ヒデオ」

ヒデオ「え?」

トモノリ「今、すごく暑いし、気分悪いんだろ?
幻聴も聞こえるなんて…熱中症だよな? 多分」

ハツネ「えっ、ヒデオ、熱中症なの?」

ヒデオ「あっ、嫌……」

ヒデオ(…そういうことに、しておこう)

トモノリ「だったらよー、オレの家で休もうぜ!
ハツネ、お前も行こうぜ!!」

ハツネ「…そうだね。
あ、だったらお風呂借りるね。汗かいたし」

ヒデオ(…まぁ、本当に幻聴かもな。
…でも…なにかが、あるのかも…しれない……)ソッ


僕は、その石を拾い、ポケットに入れた。
 ▼ 23 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 19:16:11 ID:rhLkq0lM [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜トモノリの家〜

トモノリ「いまよー、母ちゃんが飲み物持って来るぜ。
…ハツネは風呂場か」

ヒデオ「…もう、体調は大丈夫だよ。心配かけてゴメン」

トモノリ「……なぁ、ハツネのことだけどよー…」

ヒデオ「?」

トモノリ「右腕、どうしたんだ?
あと、前にトウカの森でなにがあったんだ?」

ヒデオ「…うん。わかった、話すよ」

----------

トモノリ「……そうだったのか…。
なんか、シンキンカン湧くなー」

ヒデオ「親近感…?」

トモノリ「……オレもさ、以前に骨をケガしてるんだ。
しかも、ハツネと同じ右腕」

ヒデオ「へぇ。初耳だ」

トモノリ「で、驚かないで聞いてくれよ?」

ヒデオ「なに?」
 ▼ 24 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 19:18:16 ID:rhLkq0lM [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「オレ、右腕の骨ないんだ」

ヒデオ「…!?」

流石に、面食らってしまった。

トモノリ「…あ、いや、さ、厳密には代わりの骨が入ってるんだ。義骨ってやつ」

ヒデオ「どういうことだ?」

トモノリ「オレは昔もやんちゃしてて、毎日虫の尻ばっかり追いかけてた。今もだけど」

…ある日、とある虫ポケモンに遭遇してさ。
捕まえようとしたわけ。

……で、ネットボールを投げようとしたその利き腕を、アゴで一刀両断されちまったんだ。

トモノリ「…すっげぇ痛かったぜ。
実際、泣き喚いた。その声で母ちゃんが駆けつけた。
そん時よー、オレは家族とな、アローラって地方にバカンスに行ってたんだ」

ヒデオ「アローラ…あぁ、南国の地方のことか。
……病院に運ばれたの?」

トモノリ「あぁ。で、腕を繋いでもらった。
骨がズタズタだったから義骨に入れ替えてもらったんだ」

ヒデオ「色々と、凄いな…」

トモノリ「あん時担当してくれた先生凄かったんだぜ!
ほら、右腕にそんな縫合痕なんて全然ないだろ?」
 ▼ 25 ライオン@ロメのみ 16/08/22 19:53:56 ID:syJPcXBs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見てるよ
 ▼ 26 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 20:19:47 ID:rhLkq0lM [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「…うん、もしその話を聞かなかったら、全然気づかなかったと思うよ」

トモノリ「確かその先生、敏腕を買われて地方の変な集団にスカウトされてるって聞いたな。
断り続けてるとも…確か名前は、なんだったかな?」

ヒデオ「…名前なんてどうでもいいんじゃない?
その先生は優れた医師だったってだけで」

トモノリ「あぁ、そうだな!
長い付き合いのお前の目も欺き続けられたんだから、ホントにあの人はスゴいさ」

ヒデオ「別に欺く必要はないと思うけど、まぁ、確かに凄いと思うよ」


…やがて。


ハツネ「…ただいまぁ」ガチャッ

扉を開け、妹が入って来た。

トモノリ(おい。
今の話、ハツネにはするなよ…同情心とか、こんな女の子に持たれたくないんだ、恥ずかしいから)

ヒデオ(わかったよ)

ハツネ「ん?」

トモノリ「いや、なんでもない、ハツネ」
 ▼ 27 クーン@どくどくだま 16/08/22 21:20:52 ID:ZvziRmks NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 28 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 22:07:49 ID:rhLkq0lM [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ(…あとよ、ハツネの好きなモノって、なにかな……?)

ヒデオ「?」

トモノリ(いや、なんでもいいんだ。
……できる限り、なんでも、ホントに……)

ヒデオ「…ポケナビかな」

トモノリ(!
ひぇっ……)

ヒデオ「なんなんだよ、友だちの妹を餌付しようってのか?
お前そんな趣味あったのか?」

トモノリ(いや、違うって!
…わかった、ありがとう)

ヒデオ「…?」

ハツネ「??」

トモノリ「…もう」


しばらくお暇した後、僕たちはトモノリに別れを告げ、シダケタウンに帰ることにした。


…すっかり、日が暮れてしまっていた。
 ▼ 29 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 22:12:51 ID:rhLkq0lM [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜116番道路〜

──日はすっかり沈み、空は鮮やかなオレンジ一色に染まっていた。

雲も、街景色も、なにもかも、皆この空を主体として溶け込んでしまっている。

《ミーンwww ミーンwww ミーンwww》

ヒデオ(…夏なんだなぁ、改めて。
この辺まで来ても、テッカニンの鳴き声が響く)

ヤミカラス『カァー、カァーッ!!』

ヒデオ「…コイツも、なにが面白くて鳴いてるんだか。
さっ、トンネルを潜って帰ろう」


僕は妹に、そう声をかけた。

…そしたら、妹が珍しく、物思いに更けていたようだ。


ハツネ「…アタシさ、こういうフインキ好きなの。
……皆が皆今日やるべきことをやり終えて、くたびれてさ、家に帰るの。それがこんな時間帯…こんな感じなの」

ヒデオ(…はぁ)

ハツネ「…で、そのジメッとしたフインキを、皆が共有してさ、なんとなくだけど、分かち合っている。
『今日、皆頑張ったんだね、お疲れ様』って…だからまた一日、頑張れる気がするんだ」

ヒデオ「なんか、難しいな」
 ▼ 30 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:08:59 ID:69HOPWNc [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハツネ「べつに、難しいことじゃないよ。
…多分だけど、あの時のテッカニンだって、たった一週間ですることいっぱいあって、毎日毎日忙しかったんだと思う」

ヒデオ「…まぁ、僕ら人は、その一週間がもっと長く、置き換わっただけの存在なのかもしれないね」

ハツネ「それに、あの『森の霊園』さ。うん。
…死んだ後に自分の身体見られて、あげくに気持ち悪がられたら、傷つくよね、フツーに考えて。
そんなハイリョも、あるのかなーって……」

ヒデオ「確かに、そうだよな。
お前みたいにロコツなまでに気持ち悪がられたら、そりゃああのテッカニンも浮かばれないだろう」

ハツネ「…うぅ」

ヒデオ(…ムズカシイよな。
僕だって、わからないもん)

ヒデオ「まぁ、大人になったな、ハツネ」

ハツネ「そっ、もうアタシ、大人なの!
……なんだって、一人でできる……ハズなの」

…語尾が、ちょっとばかり聞き取れなかった。

ヒデオ「…確かに、僕は少し心配性なのかも。
いずれお前だって、大人に、そうだよな……」

ハツネ「うんっ、そうだって、ヒデオ!」


──そして、僕らはその日、帰路に着いた。
 ▼ 31 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:15:06 ID:69HOPWNc [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──とある日 とある時刻

トモノリ(…そういえばオレ、一回もシダケタウンに行ったことないんだよなぁ…)

トモノリ「…」


アイツに、“これ”を渡したいし…。


トモノリ(よしっ、決めた。
カナシダトンネルを抜けて、シダケに行くか)

ツチニン『二〜ッ!』

トモノリ「おーおー、お前も乗り気か、そうかー。
シダケって空気が美味しいらしいからな〜…せんべい売ってたのあそこだっけ?
まぁいいや、行こっか、ツチニン」

ツチニン『ツチッ♪』

トモノリ(…でも、今お父さんもお母さんも仕事だしな。
あっ、書き置き残しておけばいいか)

《お母さん お父さんへ
友だちの家に行って来るので、少し遅くなります。
夕食頃には戻って来ます。カレーがいいかなぁ》

………
……
 ▼ 32 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:23:07 ID:69HOPWNc [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──カナシダトンネル

トモノリ(…ん?
あれ……誰かが……)

???「…っ」


… ド ン ッ ! !


反対方面から渡って来た通行者と、ぶつかってしまった。


トモノリ「…あー、すみません!
あっ、なにか、持ち物落ちましたね…拾います!!」


トモノリ(…暗くてよく見えない…ツボかな、これ。
あっ、中身こぼれちゃってる……なんだろ、“これ”…)


???(……)


トモノリ「ホントにすみません!
今、“これ”ひろいま(ビュンッ


その通行者は、トモノリに明白な『殺意』を込め。
…そして。
 ▼ 33 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:25:53 ID:69HOPWNc [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





──   グ   チ゛   ョ   ッ   。





………
……




“ツボ”を、彼の頭部に振り下ろした。
 ▼ 34 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 13:35:58 ID:bY6CIAVA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トレーナーズスクール〜

ツツジ「…“要石”ね。
間違いないわ、珍しい…」

ツツジさんはトレーナーズスクールの先輩であり、そしてバッジを与るジムリーダーだ。

ヒデオ(やっぱり、これが…)


…そう、僕が森で拾った、あのヘンテコな石のことだ。


話が前後するが。

数時間前、僕はカナズミの図書館で、ある“唄集”を借りたんだ。


------------------------

──カナズミ図書館


ヒデオ(なんとなく覚えてる。この本だ。
小さい頃に読んで、なぜかヒドく怖かった記憶がある。
…あの“声”と関係があるかもしれない)

ヒデオ「……」


あぁ、“これ”だ。
 ▼ 35 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 13:36:32 ID:bY6CIAVA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
《要石わらしべ唄》


【壱】 みとじの声には姿なき
    要石にその身を潜めて


【弐】 声を聞けし者限られる
    善悪を問わず限られる


【参】 声の主は只待ち詫びる
    みとじを終えるまでは


【肆】 声は決して終わらない
    この世に生命ある限り
 ▼ 36 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 19:13:15 ID:69HOPWNc [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“みとじ”とは、恐らくは“32”のことだろう。
祖父母世代での名前の読みだ。


あの“声”を訊けるか訊けないかはさしたる違い。
ただ、偶然にも僕が訊ける側だったということ。

そしてそれは善悪、つまり良い人間かそうでないかは関係がない。


ヒデオ(主は只待ち侘びる…?)


これは僕の憶測だが、要石は生物の魂を何らかの方法で吸収し、己の糧としているのだろう。


…トウカの森で初めて“声”を訊いた時、要石の近くには。
死んで間もないテッカニンの死骸が横たわっていたんだ。




……そして、あれから。

その憶測を、僕は、遂に確信することとなる。
 ▼ 37 ジャンボ@ふしぎのプレート 16/08/23 19:32:11 ID:Bq4Qslc. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 38 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 21:18:13 ID:69HOPWNc [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああっっ〜〜〜〜っ!!!?」


あれは、大体2日前の出来事だった。

夕食を終えて少しばかり経つ頃に、母が突然にも、騒然たる悲鳴を家中に鳴り響かさせたのだ。


ヒデオ「…うるさいな」

ハツネ「あっ、キモ可愛いじゃん、捕まえよーよ」

母「ほら、見たでしょ! ヒデオッ、ハツネッ!!
しかも二匹も…殺して! キャ〜ッ!! キャ〜ッ!!」


ヒードランA『ごぼぼっwwww』

ヒードランB『ごぼぼぼwwww』


僕の家に、なぜか忌み嫌われるポケモンが二匹現れた。

そして母の再三に渡る要求の下、僕は遂に折れ、逃がしてやればいいのにとも思いながら、そのポケモンたちを退治してしまったのだ。

近くに、そうだ、偶然にも、あの要石を置いていた。
他に置き場所もなかったから。



…退治した、瞬間だった。
 ▼ 39 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 22:18:54 ID:69HOPWNc [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


《  2  9  …  》


《  3  0  …  》


ヒデオ(っ…)


…そして、あの“声”が、やはり僕には訊こえた。
しかも、二度続けてだ。


ハツネ「?」キョトン

母「ありがと、ヒデオ。
…どーしたの、アンタ。怖い顔してさ」

家族には案の定訊こえなかったらしい。


…そして、確信した。



【要石は“己の周辺で死亡した”生物の魂を取り込む】


 ▼ 40 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 22:26:13 ID:69HOPWNc [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“声”の数字は、大きくなり続けている。

そして今は《30》だ。


みとじを待ち侘びる…。
つまり後二回、コイツの近くで、なにかしらの生き物が死ぬことになれば…。



……どうなるんだ?

わからない。ただ、興味はあるが、怖い。



この石を捨てようとはしたが、なぜか捨てられずに今に至っている。

僕を持ち主として、僕本人の知らぬ中、ある程度思考を操っているのだろうか?


------------------------


ヒデオ(能力に、名前。僕は知ってしまったが……。
そもそも要石とは、発見されるのは、遠く離れたシンオウの限られた地域のみだとも聞く。
なのに、どうして…?)
 ▼ 41 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 23:02:19 ID:69HOPWNc [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツツジ「…ねぇ、この石、要石なんだけど…。
……その…私に、譲って…は、くれないかしら……?」

ヒデオ(えっ!)

そうだった。この人は石マニアなのだ。

ツツジ「その要石、ホウエンじゃ凄く珍しい石なの。
それに、こんな大きい要石は、今まで見たことがないわ…」

ヒデオ「…えっと。
あの、すみません、うん、ツツジさんでも駄目です!
一瞬いいかな、とは思ったけど」

ヒデオ(“声”の件がある以上は)

ツツジ「じゃ、じゃあさ、この技マシンあげますから!
というか、在庫いっぱいあって持て余してるの!!」

ヒデオ「“がんせきふうじ”はもうアサナンが覚えてます」

アサナン『アサ』

ツツジ「えっ、…じゃ、じゃぁ……。
バッジ、内緒であげちゃう! ストーンバッジよっ!!
友だちに自慢できるわよっ!?」

ヒデオ(ジムバッジってそんな扱いでいいんだろうか)

ヒデオ(…ん?
そうか、アイツ、モノで釣ってバッジを貰ったのか……)
 ▼ 42 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:33:59 ID:QZ4pDyiA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………
……


金輪際こういうことはしないでくれと忠告し、トモノリに一体なにをもらったのかと問いただした。

ツツジ「…トルマリン石よ。電気石とも呼ぶらしいわ。
イッシュでしか見つからない、これも珍しい石なの。
だから、その、アタシ……つい……」

ヒデオ「イッシュで…?
アイツが、どうしてそんなモノを…」

ツツジ「なんでも昔、お医者さんにもらったみたいなの。
『傷が完治しますように』っていう気持ちだそうだわ」

ヒデオ「…医者?」

ツツジ「右腕の傷を治してくれた、恩人だそうよ?
そのお医者さんが、“イッシュ”住まいだったんですって」

ヒデオ(…!
もしかして、その、“お医者さん”って……)

ツツジ「トモノリ君に、今度謝るわ…。
トレーナーの手本となるべきジムリーダーが、こんな軽率な行為をしちゃって……本当に、ゴメンなさいって……」


世界は案外狭い。

……“あの人”だったのかもしれないな。
 ▼ 43 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:42:15 ID:QZ4pDyiA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数分後 カナシダトンネル〜

ヒデオ(さて、シダケに帰るか…)


僕はいつも通りに、トンネルを歩み始めた。
…本当に、それ自体は、普段とさして変わりもしなかったんだ。


──しかし。


ヒデオ(ん?
…なんだ?)


ヒデオ「「…!!」」



ゴニョニョの群れ『ニョ〜…』



──クチョ、ヌチャ……。



トンネル内のゴニョニョたちが、とあるポケモンの死骸へと群がり、どうにもそれを貪り合っていた様子だったのだ。
 ▼ 44 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:49:06 ID:QZ4pDyiA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、“その”ポケモンとは。


ヒデオ「あっ…。
…お、おいお前たちっ、ソイツから離れろっ、離れろ…っ!!」

ゴニョニョ『ニョ〜…』ダダッ

威圧したら、ゴニョニョたちは去っていった。



《  3  1  …  》



……要石は、僕のポケットに入っている。

つまり、“声”だ!
クソッ、死んでしまった!!


…“ソイツ”は、身体中から茶色い液体を垂れ流していた。


…貪り食われる云々に、元から“コイツ”は傷ついていた。
そして、ゴニョニョたちの捕食が致命打になったんだ…。


ヒデオ「あぁ、なんで…。
なんで……“お前”…が………」
 ▼ 45 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:09:41 ID:QZ4pDyiA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──その死骸は、トモノリのツチニンのものだったのだ。


ヒデオ(…何かがトモノリの身に起きたんだ!
ジャマとなるコイツは、誰かに殺されたんだっ!!)

ヒデオ「僕たちに会いに来たというのか、トモノリ…。
……んっ…?」


僕は、地面に落ちているとあるものに気づいた。


ヒデオ(…なんだこれ。犯人が、落としたのか?
誰かの名刺…のようだけど。
あと、この……ぬいぐるみ…?)


------------------------


ヒデオ(…そうだったのか!
ということは、やはりトモノリはシダケに向かっていた!
そしてハツネは…そうだ、今は“アイツ”のところだっ!!)


ヒデオ「…ハツネッ!!!」ダダッ



僕は、夢中で駆け出した。
 ▼ 46 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:19:16 ID:QZ4pDyiA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数時間前 シダケ診療所〜

先生「…一ヶ月もかからなかったね。
ヒビはほぼ、完治しています」

ハツネ「わぁ、よかった!
もうこんなおじいちゃんみたいなサポーター、やだったの。
シップだって、スゴくかぶれちゃうし……」

先生「…ん。
そういえば、今日はヒデオ君は?」

ハツネ「なんかさ、調べたいことがあるからカナズミに行くんだって。
…よくわからない、あの子」

先生「実のお兄ちゃんでしょうが」

ハツネ「じゃ、アタシ帰りますね。
116番道路でポケモンどんどん鍛えるんだー」

先生「では、診療費は私が負けときましょうか?」

ハツネ「……あ、いいの?
(…忘れてた)」

先生「良いですよ良いですよ。サービスです。
それに、今日は君が最後の患者でしょうから」

ハツネ「え。
今日はもう、お店閉めちゃうの?」
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