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【SS】アイアントとコロトック

 ▼ 1 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:47:06 ID:1uCgwxhI [1/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あるところに、一匹のアイアントが存在した。あるアイアント達のコロニーに属する彼女に、名前は特に無かった。……強いて言うなら114514、という番号が名前だった。
巣に無数にいる働きアイアントの一匹である彼女には、名前など不必要だった。


114514「ふー……ふー……」

454545「はー……ふー……」

810721「ぜー……ぜー……」
 ▼ 2 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:47:31 ID:1uCgwxhI [2/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
今日も今日とて、114514と同僚らは地上で餌を探していた。彼女らを狙う天敵は多く、彼女らに与えられる保証は少なかった。
ブラック企業も真っ青な労働時間、あんまりにもあんまりな給料、劣悪な労働環境。だが彼女らは文句の一つも言うこと無く働き続けた。
彼女らは、これ以外の生き方を知らなかったから、無理もなかった。


114514「はあ……やっと運べた」

810721「次行こうか……」


自らが地獄に捕らわれている事に気づきながらも、その事に蓋をして、今日も彼女らは働いていた。
そして勿論、この生活に終わりは無かった。
 ▼ 3 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:48:32 ID:1uCgwxhI [3/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


114514「ふっ……ふっ……」

   〜♪  〜♪

114514「……またか……」


終わりは無かったが、だがこの頃は彼女の生活に変化が起こっていた。
彼女があくせくと働いていると、何処からか楽器らしき音が聞こえるようになったのだ。
 ▼ 4 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:49:08 ID:1uCgwxhI [4/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
   〜♪  〜♪

810721「はぁ……うざいなぁ……私達の邪魔してるのかしら」

454545「必死に働いてる私達の気も知らないで……」

   〜♪  〜♪


何処か明るげな、弦の震える高い音が、アイアント達の呟きを無視して辺りに響き渡っていた。
 ▼ 5 バルキー@ガルーラナイト 16/09/17 03:49:24 ID:ZH.P3XIY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>1
名前に悪意を感じる。819721って何を表しているのですか?支援。
 ▼ 6 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:49:55 ID:1uCgwxhI [5/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


それからまた数日。114514は今日もまた、せかせかと餌を探していた。
あちらへこちらへただ餌を探し歩く。
日はかんかんと照っていて、彼女の体は鈍く光った。


   〜♪  〜♪

114514「またこの音……いつ働いてるのかしら」

810721「さあ、働いて無いんじゃない?」

454545「流石に……いや、そうかも」

   〜♪  〜♪

114514「……」


114514は、再び黙々と餌を漁り始めた。辺りにある草を、ひたすらに刈る。
しかし、もう辺りの草は粗方刈られてしまっていた。
 ▼ 7 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:51:11 ID:1uCgwxhI [6/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そんな生活が、暫く続いた。日の照る時間は季節の流れと共に長くなって、114514は日の下で更に疲弊していった。それと共に、更に仕事量が減っていく……そんな悪循環に、彼女はもう呑まれていた。


114514「はぁ……はぁ……終わった……」ヨロヨロ

919919「ふうん、今日はもう終わり?」


餌を巣の内部まで運んだ114514が、倉庫に食料を納品する。それを見ていた倉庫を見回る兵隊アイアントが、114514の収穫をちらっと確認した。
そして確認の後にそれを後ろに受け流しながら、量が少ないね、と呟いた。
 ▼ 8 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:52:14 ID:1uCgwxhI [7/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
114514「っ……」

919919「もっと量増やして貰える? 暑いかも知れないけど、そんなの関係無いからさ」


彼女は何だか、こんな生活が嫌になった。認められる事なく、何時までもただただ機械的に生きるこの生活が……いや、見ないようにしているだけで、本当は何時も思っているのかもしれない。そんな事をぼんやりと考えた。
考えても、彼女はこれ以外の生き方を知らないのだ。答えなんて出るわけが無かった。
 ▼ 9 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:52:50 ID:1uCgwxhI [8/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
次の日も、彼女は同僚達と共に餌を探していた。何時ものルートで餌を漁り、草を刈る。
今日の収穫は、昨日よりも更に減ってしまっていた。


   〜♪  〜♪

810721「ふー……ここら辺はある程度出来たかな?」

454545「そうだねー……」

810721「ふぅ……」

114514「……私、あっち行ってみるね」ガサガサッ


そう言って114514は、同僚達から少し離れて、別の茂みに入っていった。少しでも多くの餌を探して、同僚に迷惑を掛けないようにしようと思ったのだ。
太陽が強く照りつけるなか、彼女は足を止めること無く、草を掻き分け進み続けた。
その時だ。
 ▼ 10 アリゲイツ@あさせのかいがら 16/09/17 03:53:07 ID:qeMCNL3c [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>5
それなw名前に悪意を感じるの分かるわ
支援
 ▼ 11 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:54:04 ID:1uCgwxhI [9/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
   〜♪  〜♪  〜♪

114514「うっ……」クラッ


114514は、突然ふらついて地に伏した。太陽は相変わらず照りつけ、114514の体は鈍く赤く輝いている。
114514は、これまでの過多な労働により熱中症になって、そして倒れたのだった。

 ▼ 12 サクラビス@ともだちてちょう 16/09/17 03:54:42 ID:ZH.P3XIY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>10
さらに114514が女性であることがより悪意を引き立てている気がする。
 ▼ 13 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:54:56 ID:1uCgwxhI [10/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


   ピチャッ

114514「……っ……?」


意識を失って、その次に彼女が感じたのは冷たさだった。何者かが己の体に冷や水を掛けていた事に気づいたのは、意識がはっきりし出した数分後だった。


114514「……うっ……あれ」

コロトック「ああ、起きたかい」

114514「貴方は……」


114514の目の前に居たのは、一匹のオスのコロトックだった。彼が、彼女の体に水を掛けていたのだ。
 ▼ 14 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:56:47 ID:1uCgwxhI [11/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
コロトック「ん、俺はただのコロトック。気にするな……そんなことより、お前大丈夫なのか? 倒れてたけど」

114514「いえ……ありがとう、ございます……」

コロトック「もっと休めよ」

114514「でも、もっと餌を集めないと……」


114514はそう呟いた。それを聞いたコロトックは一瞬動きを止め、一旦ひょいひょいと木の上に登った。
そして直ぐに、かなりの数の木の葉を抱えて降りてきた。
 ▼ 15 セレビィ@はっきんだま 16/09/17 03:57:03 ID:qeMCNL3c [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>12
女性?あっ…(察し)
 ▼ 16 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:57:14 ID:1uCgwxhI [12/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
コロトック「ほい、持ってけ」

114514「えっ……いいん……ですか?」

コロトック「おう、構わないぞ」

114514「貴方は……?」

コロトック「俺? 俺は大丈夫だ、俺は死なない」


コロトックはにへらと笑った。114514は、まだどこか訝しげな視線をコロトックに向け、そして立ち去った。
 ▼ 17 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:59:54 ID:1uCgwxhI [13/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


114514は、次の日も外で餌を探していた。
しかし何時もの道ではもう、録な餌が存在していなかった。


114514「ふぅ……もう、終わりなの?」

454545「みたい、だね……」

810721「でも、これじゃ足りないし……」

顔を見合わせる。だが彼女らに解決法は見当たらなかった。
いや、正確には114514以外には、だ。

   〜♪  〜♪

810721「またこの音だ……もう本当うざい、死ねばいいのに……」

114514「……ちょっと行って来る」
 ▼ 18 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:00:24 ID:1uCgwxhI [14/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
114514は、愚痴を溢す同僚達から離れ、昨日通った道を記憶だけを頼りに辿った。
少しふらつきながら、また、昨日コロトックと出会った場所を探す。


   〜♪  〜♪  〜♪

114514「こっちで……こっちの筈……」ガサガサ

   〜♪  〜♪  〜♪  〜♪


そして彼女は、コロトックのいた場所にたどり着いた。彼の登っていた木を見上げると、例のコロトックが己の弦を鳴らしているのが見えた。
 ▼ 19 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:01:21 ID:1uCgwxhI [15/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
コロトック「〜♪ ……あ、昨日の……」

114514「……こんにちは」

コロトック「何の用だい?」

114514「食料を……探しに……」

コロトック「……君も大変だねぇ。君、名前は?」


コロトックは軽い調子でそう聞いた。114514は少しむっとしながら答えた。
 ▼ 20 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:09:28 ID:1uCgwxhI [16/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
114514「私に……ただのアイアントに名前は有りません。114514って番号が有るだけです」

コロトック「114514、ねぇ……イーちゃんで良いか」

114514「イーちゃん?」

コロトック「そう。114514じゃあ呼びにくいから、11で、イーちゃん」


114514は戸惑った。何だお前は、とばかりに睨んでみたがそんなことはどこ吹く風、コロトックは軽く続けた。
 ▼ 21 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:11:07 ID:1uCgwxhI [17/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
コロトック「で、食料を探してるんだっけ?」

114514「ええ……」

コロトック「じゃあ手伝うよ。この辺りの草は食えるかい?」


そう言いながら、コロトックはスパスパと辺りの草を刈り始めた。するとあっという間に114514の目の前に俵が出来上がる。114514はあまりの早さに思わず息を呑んだ。


114514「凄い……」

コロトック「っと、こんなもんか?」

114514「っ、はい……ありがとうございます」

コロトック「良いって事よ」


そして、114514は摘まれた草を持ち帰った。彼女の収穫はその日のノルマを大幅に超えていた。
 ▼ 22 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:14:16 ID:1uCgwxhI [18/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

コロトック「114514、か……大丈夫かねぇ?」


コロトックは再び木に登り、左腕で曲を演奏しながら空を見上げた。日はすっかり沈み、暗い夜にぽっかりと月が浮かんでいた。


コロトック「……俺も鈍ったなあ……やっぱりたまには草ぐらいは刈っとかないと……」


そんな事を考えていると、コロトックの腹が鳴いた。
コロトックは木から葉を数枚もぎ取り、齧り始めた。
夜が段々と更けていく。
 ▼ 23 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:14:52 ID:1uCgwxhI [19/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


それから、114514は機会がある度にコロトックの元に赴くようになった。毎度毎度、コロトックは木の上に腰掛けて曲を演奏していたが、114514が事情を話すと、直ぐに草の山を積んでくれた。


114514「今日も、ありがとうございます……」

コロトック「何、構わないさ」

114514「……普段は、いつも演奏を?」

コロトック「ああ、楽しいぞ?」


コロトックはそう言い、ニパッと笑った。だが、114514には、彼の生き方が分からなかった。
何故働かないのか? 好きなことなんてやっていて良いのか? と。それは、理解出来ない物に対する単純な疑問だった。それと同時に一抹の怖れでもあった。
 ▼ 24 クイックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:16:29 ID:1uCgwxhI [20/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


それでも尚、114514はコロトックの元へ通い詰めた。段々立ち話をする時間は長くなって行き、何時の間にやら、草を持ち帰る事自体を後回しにするようになっていた。


コロトック「……仕事しなくて良いのかい?」

114514「多分……大丈夫です。多分……あ、……そう言えばコロトックさん、ここに来る前には何を?」

コロトック「んー……ここに来る前、か……とある森で、普通に暮らしていたよ」

114514「それじゃあ、何でここに……?」

コロトック「あー……言いたくない。そこはノータッチで頼むよ」


コロトックはそう断りを入れた。114514は何だか気まずくなり、その日はそこで会話を切り上げた。
 ▼ 25 チュリネ@はねのカセキ 16/09/17 04:16:58 ID:ZH.P3XIY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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