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【SS】アシマリ「ポケモンサーカス団エクリプス!」

 ▼ 1 1◆J44kAZeDOM 16/09/24 21:29:45 ID:iVyHi1wg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







――太陽と月が交わる時、世界に滅びが訪れると言う。






 ▼ 55 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:54:08 ID:QHiJs2oY [1/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







2章 サーカス団改造計画






 ▼ 56 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:56:44 ID:QHiJs2oY [2/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラたちがエクリプスに入団したその次の日、モクローの激しい指示が飛ぶ。


モクロー「そこはこうして、ここはこう! それと――」

エーフィ「……モクロー、凄いね。あれホントに初心者?」

アシマリ「まあ、オイラ、ずっとサーカス団に入りたいって言って来たし、もしかしたらモクローもいろいろ勉強してくれてたのかも」

エーフィ「ふぅん。優しいんだ」

アシマリ「ホントだよ。オイラ、モクローがいなかったら、今頃どうしてたかわかんない」


遠くから、声が聞こえた。


モクロー「それと団長、ステージ上で恥ずかしいなら僕が司会しましょうか?」

フーディン「本当か?」


オイラたちは、苦笑する。
 ▼ 57 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:57:37 ID:QHiJs2oY [3/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「……まあ、これでこのサーカス団も目立っちゃうだろうな」

アシマリ「? 目立ったら駄目なの?」

エーフィ「駄目って訳じゃないけど、私たちはあんまり目立ちたくはないかな。

      まあ、だから照明やってるんだけど」

アシマリ「へぇ。ところで、ブラッキーは?」

エーフィ「料理中。あいつ、♂のクセに家事とかホント大好きで。あたし、どんだけ羨ましいと思って来た事か」

アシマリ「そ、そうなんだ……。あっ、どうせなら、僕も料理手伝おうか?」

エーフィ「大丈夫よ。正直、なんかぞっとしない。あんたみたいなお調子者の料理って……」


オイラは、むっとして答える。


アシマリ「料理は得意だよ! 献立考えるのは出来ないけど」


エーフィが吹き出した。オイラも、釣られて笑ってしまう。
 ▼ 58 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:57:59 ID:QHiJs2oY [4/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「ところでさアシマリ。あんたは練習しなくていいわけ?」

アシマリ「ううん、するよ。……ニャビーはいないんだね」

エーフィ「うーん、ニャビーはいっつも夜に1匹で練習するからね。朝は遅いんだ」

アシマリ「ありがとう」


そう言って、オイラは立ち上がった。
 ▼ 59 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:58:39 ID:QHiJs2oY [5/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーがいないとしても、オイラはオイラで練習するしかない。

どんなパフォーマンスをする事になるのかはまだわからないけれど、今はオイラに出来る事をするだけだ。


モクロー「アシマリ、じゃ、練習しよっか」

アシマリ「うん!」

モクロー「……にしても、なんか気恥ずかしいな。本物のサーカス団に入れた訳だ」

アシマリ「だね……。オイラ、でもそれだけじゃダメなんだって思うよ。入るだけじゃダメ。ちゃんといい演技を見せて、お客さんを満足させないと、ってね」

モクロー「偉い! さっすが僕の友達だよ」

アシマリ「え、そうかな。えへへ……」

モクロー「じゃあ、頑張って。僕は僕で、いろいろあるから」


モクローは、あがり症のフーディンに変わって司会をする事になった。

そのために、滑舌とか、いろいろな練習をするらしい。

負けてられないな、とその気合いの入った顔を見て思う。

そして、みんなが練習している所の混ざりに行った。
 ▼ 60 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:59:01 ID:QHiJs2oY [6/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
飛んで、跳ねて。

ボールを回して。

練習しているだけなのに、周りの注目を一身に集めていた。


「すげぇな」

「こいつ即戦力じゃね?」


そんな言葉が影でささやかれている。

もちろん、オイラとしては注目されてる方が気合いが入るし、上手いって誉めてもらえるのは当然嬉しい。

だけど、みんなの練習が止まっている。


アシマリ「みんなも自分の練習しないとダメだよ!」


そしてオイラは、練習を再開した。
 ▼ 61 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 19:59:42 ID:QHiJs2oY [7/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夜。練習を続けていたオイラたちは、ブラッキーの声に呼ばれた。


ブラッキー「ごはん、出来た」

エーフィ「みんな、ごはん出来たよ! そろそろ戻って来て!」

「待ってました!」

モクロー「どう? みんなの練習の様子は」

アシマリ「いいんじゃない? やる気ないって感じじゃないよ」

モクロー「ならよかった」

アシマリ「モクローって凄いよね。ポケ心掌握術」

モクロー「そんな単語どこで覚えたんだよ」

アシマリ「さあ。言葉ってどこで覚えたとかいちいち覚えてるもんなの?」

モクロー「違うな。ごめん」

アシマリ「いやなんで謝るの……」
 ▼ 62 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:02:15 ID:QHiJs2oY [8/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「おいしいいいいいいい!」

モクロー「うわ、何これ凄い……」


一口頬張ると、口の中に、幸せが広がった。

とでも言えばいいのだろうか、もう、信じられない程に美味しかった。

さっき「手伝おうか?」なんて聞いた事が、恥ずかしくなるほど。

エーフィが自慢気に言う。


エーフィ「でしょ! ほら、ブラッキー、もっと嬉しそうにしなさいよ」

ブラッキー「……」

フーディン「こらこら、あんまり無理させるな」
 ▼ 63 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:02:54 ID:QHiJs2oY [9/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「アシマリ、もっと静かに食べられない訳」

アシマリ「だってこれ、滅茶苦茶おいしいんだもん!」

ニャビー「まぁおいしいのは認めるけど」

モクロー「驚いた。君も誰かを誉める事が――」

ニャビー「あたしに出来るのは空中ブランコ、サーカスだけ。他のとこは凄いと思ったら素直に認める」

モクロー「へぇ」

ニャビー「ってか、サーカスでも凄い奴は認めるっての。凄いのがなっかなかいないだけ」

アシマリ「まあニャビーのあれ凄かったもんねぇ」

ニャビー「……あんたなら、死ぬ気でやればもっと高みを目指せると正直思ってる。才能はあるっぽいし。見てても」

アシマリ「え、ホント?! って言うか、見てたんだ……」

ニャビー「まぁね」
 ▼ 64 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:03:25 ID:QHiJs2oY [10/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラはモクローに向き直り、声を掛ける。


アシマリ「モクローはどんな事してるの?」

モクロー「え、ああ……っと、司会の練習したり、エーフィとフーディンと一緒にステージ演出について考えたり……」

エーフィ「まあでも、ステージ演出に関してはフーディンも凄いからね」

モクロー「うん。その辺は僕がいなくても回るよ」

アシマリ「へぇ」

ニャビー「ごちそうさま。さぁて、練習しますか」

アシマリ「えっ、はやっ」


もう食べ終わったのか……。少し驚いて、オイラはニャビーを見詰めた。
 ▼ 65 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:04:18 ID:QHiJs2oY [11/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ごはんを食べ終わると、夜の自由時間が始まる。

みんなが談笑している中、ニャビーは1匹、外で練習している。

オイラは、それを見る事にした。

月光に照らされたニャビーのその表情は、ステージの上よりも、さらにいきいきしていた。

くるりと舞って、高く飛ぶ。

本来なら誰にも見られないはずのその空間の中、ただ1匹そこで自由に動き回る、箱庭の女王。

彼女は、箱庭から見果てぬ空を想い、高みを目指している。
 ▼ 66 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:04:41 ID:QHiJs2oY [12/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「……なんで見てんのよ」

アシマリ「凄いポケモンの演技を見て勉強しないと。そのぐらいの気合いを入れないとダメなんでしょ?」


高みから侵入者であるオイラに声を掛けて来たニャビー。

残念ながらオイラにはモクローみたいな羽はないからそこまで登って行くのは難しい。

もちろん、階段もあるにはあるけれど、正直言って、面倒だった。

それに、オイラにあんな高みは似合わない。

オイラはあくまでも、水を活かしたパフォーマンスをするだけだ。


ニャビー「ふぅん。ま、いいけどさ」


そう言うと、ニャビーはオイラなんて眼中にないとでも言わんばかりに練習を再開した。

オイラとニャビーだけの、贅沢な空間。

この光景を独占出来るだなんて、信じられない幸運だ。

息を呑んでその演技を見詰めていた。
 ▼ 67 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:05:23 ID:QHiJs2oY [13/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
楽しい時間ってのは、あっという間に過ぎてしまう物だ。

ニャビーが、息を吐きながら地上へ戻って来る。

オイラは、ぽかんとそれを眺めていた。


ニャビー「……何?」

アシマリ「やっぱり凄いなぁって」

ニャビー「……前いたとこで失敗して」

アシマリ「えっ?」

ニャビー「そのままサーカス団、首。そんなあたしを拾ってくれたのが、このへっぽこサーカス団だった。

      まあ、他のとこはみんなその情報を持ってたけど、ここだけは知らなかったってのもあるかもね」

アシマリ「そうなんだ……」
 ▼ 68 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:06:09 ID:QHiJs2oY [14/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「でも、なんで話してくれたの?」

ニャビー「知らない。あたし、自由ポケだから」

アシマリ「……でもありがとう、話してくれて。これ、秘密にした方がいい?」

ニャビー「当たり前」

アシマリ「わかった。誰にも、モクローにも言わないよ」

ニャビー「ありがと」


それだけ言うと、ニャビーは寝床に戻る。

オイラもそれについて、戻る事にした。
 ▼ 69 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:06:45 ID:QHiJs2oY [15/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「あっ、アシマリどこ行ってたの?」

アシマリ「ニャビーの練習見てたんだ」

モクロー「へぇ。やっぱ凄い?」

アシマリ「うん。ほんっとに」


秘密は守った。

訊かれたら隠しきる自信はないけれど、訊かれる事自体がまずないだろうからそこは安心だった。

と、油断していたら、そうも言ってられない事態が起きる。


モクロー「なんでこんなサーカス団にいるんだろうね」

アシマリ「さ、さあね」


なんとかして誤魔化し、話題を変える。

そんな風に会話して過ごしていると、フーディンが「そろそろ寝ろよ」と声を掛けて来た。


フーディン「明日から、少し長旅だからな。次の公演は、来週、天文台の街イスカーに決まった」
 ▼ 70 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:07:35 ID:QHiJs2oY [16/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イスカー。ここ、僕たちの故郷ラサーシャの街から北東に30キロ程離れた場所にある。

それを、テントなどを担いで進まなければならない、となると、確かに早寝して力を蓄えないといけないな。


モクロー「テレポートは使えないんですか?」

フーディン「あんまり大量の荷物を運ぶのは出来ないし、ラサーシャとイスカーじゃ距離も離れすぎている」

エーフィ「エスパーの力って意外にしんどいんだよ、使うの」

モクロー「そうですか」

エーフィ「そうよ、ホントにもう。便利でしょとか楽だろとかいろいろ言われるけど、こちとらそんなに楽じゃないっての」

フーディン「まあ、エスパーポケモンあるあるはそのぐらいにしておいて、みんな寝とけよ」

「「はーい」」


そんな感じでオイラたちは眠りに就いた。

疲れからか、本当に、一瞬で眠れた。

そして翌朝の目覚めは快調だ。

滅茶苦茶おいしい朝ごはんを食べて、オイラたちは行動を開始する。
 ▼ 71 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:11:10 ID:QHiJs2oY [17/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「……ラサーシャとも、お別れか」


荷物を詰め込みながら、ふっと漏らした。

やっぱり育った場所と言うのは、かなり思い入れが深い。

サーカス団に入る。その時点で、覚悟はしていた。

けれど、それでも、どうしようもない感慨が、オイラを襲う。

その思いは、モクローも同様で、いや、サーカスに賭ける思いの大きさの違いもあるし、きっとオイラ以上だろう。


モクロー「ホントだね……」

アシマリ「……でも、寂しく思ったりなんか、しないよ。オイラには、モクローがいてくれるから!」

モクロー「だね。この街で育った思い出は、いつも、君と一緒だった。

      君といれば、いつでも思い出せるよ、きっと」


オイラたちは、頷き合った。


フーディン「おーい、そろそろ行くぞ! 準備は出来たか?」


ラサーシャの街に、オイラたちは、別れを告げた。
 ▼ 72 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:12:13 ID:QHiJs2oY [18/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「ふぅ……。つっかれたぁ……」

フーディン「楽がしたいなら、頑張ってくれよ。金を稼げば、運送業者に委託できる」

アシマリ「はぁい……」


返す言葉にも元気が入らない。

背負ったかばんは、トレジャーバックよりも少し大きいぐらいなはずなのに、中身がギシギシに詰まっているからか、とてつもなく重く感じる。


ニャビー「……ま、文句言ったらバチが当たる」

モクロー「な、何の事?」

ニャビー「……こっちの話」


2匹とも、しんどそうだ。

逆に、ダンチョーその他の進化済みのポケモンたちは、オイラたちが持っているのより重そうなのを、楽々持ち上げている。
 ▼ 73 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:12:46 ID:QHiJs2oY [19/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「ったく、重いったらありゃしない。ブラッキー、あんたもそう思うよね?」

ブラッキー「別に」

エーフィ「はぁ、ったく、あんたも、もう少し修飾したら? 言葉を。体が黒いからって、性格まで暗くなる必要ないの! あたしたちは、強くならなきゃ」

ブラッキ「うん」

エーフィ「……ブラッキー」


呆れ声を出すエーフィは、発言とは裏腹に、まだまだ余力がありそうだ。

ブラッキーは、わからない。ほとんど何も喋らないし、感情が表にも出て来ないから。


フーディン「とりあえず、少し休憩を取るぞ!」

アシマリ「やっとだー……」


オイラは、バタンと倒れ込んだ。
 ▼ 74 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:13:06 ID:QHiJs2oY [20/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「アシマリ、倒れてる場合じゃないよ、リンゴの調達しなきゃ」

アシマリ「えー! オイラ疲れた……」

モクロー「ごはん食べられないよ」

アシマリ「はぁい……」

モクロー「リンゴの調達、まさかサーカス団になってもやる事になるとはね……」

アシマリ「ホントだよ……」

フーディン「悪かったな」

モク・マリ「うわっ!」

フーディン「……まあ、今回は、少しは稼げるんじゃないか? そうしたら、旨い飯も食える」

アシマリ「さっきからそればっかり」

フーディン「……仕方ないだろ、それしか言える事がないんだから。しんどいのはみんな同じ。頑張ってくれ」

モク・マリ「はい」
 ▼ 75 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:13:47 ID:QHiJs2oY [21/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラは、立ち上がる。

そして、モクローとともに、気合いを入れた。


アシマリ「さぁて、頑張りますか!」

モクロー「だね」


と、ふとオイラの視線に、ニャビーが入り込んだ。

目と目が合えば、会話が始まる。


アシマリ「おーい、ニャビー!」
 ▼ 76 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:14:09 ID:QHiJs2oY [22/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「ん?」

アシマリ「一緒にリンゴ調達しに行かない?」

ニャビー「なんで?」

アシマリ「だって、一緒に行った方がたくさん見付かるし。いろんな目で見た方が見落としがなくなるからね」

モクロー「もちろん、君が嫌ならいいけど」

ニャビー「別にいいけど」

アシマリ「ホント?!」

ニャビー「はいはい。過剰な反応は面倒。行くんなら、さっさと行きましょ」

モクロー「はいはい」
 ▼ 77 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:14:36 ID:QHiJs2oY [23/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラたち3匹で、近所のダンジョンに潜った。

食料の調達がメインの意味合いだから、リンゴに限らず、グミも大歓迎。

青いグミなんて見付けた日には、もう……!

と、妄想はしてみる物の、現実にはそう都合よくグミなど落ちているはずなくて、結局収穫は、リンゴ6個と、オレン3個、ニャビーとの会話だけだった。


ニャビー「へぇ、リンゴ、そうすれば効率よく集まるんだ」

アシマリ「そ。見るのは地面だけじゃない。木の上になってるのこそがおいしいんだよ」

モクロー「まあ、基本的に取るのは僕の役目……ニャビー?」

ニャビー「高いとこなら、任せてよ」


そう言うと、あっという間に木の枝まで駆け登り、リンゴをくわえて飛び降り、見事な着地を決めた。


アシマリ「こ、こんなとこでも凄いんだ……」

ニャビー「あたしに出来るのなんて、こんな事だけだし」
 ▼ 78 スバメ@うみなりのスズ 16/09/26 20:14:39 ID:BDue06B6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 79 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:15:24 ID:QHiJs2oY [24/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「……よし。2匹で協力して、たくさん取れるね。アシマリは今まで通り、見張りをお願いね」

アシマリ「がってん!」


オイラの役目は、置いてあるリンゴを取られないように見張る事。

ダンジョンのポケモンは、理性が発達してないみたいで、誰かの物でも平気で盗って行く。

(カクレオンの店の商品だけは例外だけど。きっと、野生ポケモンも痛い目に合ってるんだろうなぁ)

だから、1匹は見張りが必要なのだ。
 ▼ 80 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:15:57 ID:QHiJs2oY [25/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなこんなで、リンゴを集めて行く。

ニャビーも、サーカスが絡まなければ、ただのちょっとクールな少女でしかなく、話し掛ければ乗って来てくれた。

そんな意外な一面を発見出来たのは、リンゴ6個なんかより、よっぽど大きな収穫だろう。

なんて事を思いながら、休憩地点に戻って行った。
 ▼ 81 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:16:55 ID:QHiJs2oY [26/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「いっただっきまぁす」」


みんなが、一斉に集めたリンゴを頬張る。

集められなかったヒトには1個譲ろうかとも思ったけど、みんなちゃんと自分のリンゴを持っていた。

それなら遠慮なく、とオイラはリンゴにかぶりつく。

滲み出る果汁に、疲れが吹き飛んで行くようだった。

やっぱりリンゴは採れたての新鮮な奴に限る!
 ▼ 82 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:17:18 ID:QHiJs2oY [27/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「おいしい……」

モクロー「食べ物ってのはなんでも、新鮮さが命だと思うんだ」

ニャビー「そうね。ありがと」

モクロー「うわっ、ニャビーからお礼の言葉が聞けるだなんて……」

ニャビー「あたしをなんだと思ってんの? 焼き尽くすよ」

モクロー「ごめんごめん、火はダメなんだって」


ニャビー。孤高の空中ブランコ乗り。

そんな彼女の、氷の壁の隙間を見付けた思いだった。


アシマリ「ケンカしてたらまずくなっちゃうよ! ほら、食べよ!」
 ▼ 83 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:18:15 ID:QHiJs2oY [28/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「ごちそうさまでした!」」


フーディン「もう少し休憩したら、行くぞ! あー、アシマリ、モクロー。今日は野宿も覚悟しておけよ」

アシマリ「はーい」

モクロー「わかりました」


食後の休憩タイム。

オイラは寝転んで、空の青を見上げた。

怒涛の数日間。

入りたいと宣言してから、もうこんなに遠くまで来た。

ラサーシャの街から、物理的に。

オイラが本当にサーカス団の一員になれるのは、たぶん、イスカーでの初公演だろうな、なんてぼんやり考える。

さすがのニャビーも、何もない所では練習出来ないのか、ごろりと寝転んでいた。

そんな風に周りを眺めながらぼーっとしていると、エーフィが話しかけて来た。
 ▼ 84 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:18:40 ID:QHiJs2oY [29/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「アシマリ、どう?」

アシマリ「……なんか、感動してたとこ」

エーフィ「へぇ、何に?」

アシマリ「サーカスに入って、あっという間に遠くまで来たなって」

エーフィ「あー、なるほど。あたしたちは、そんな感慨なかったからなぁ……」

アシマリ「え?」

エーフィ「ああ、いやいや、こっちの話。気にしないで」

アシマリ「そんな言い方されると気になるよー」

エーフィ「ったく、参ったなぁ……。いや、ごめんだけど、これだけは言えない。絶対に。ごめんね?」

アシマリ「うーん、そこまで言われたら仕方ないなぁ……」
 ▼ 85 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:19:38 ID:QHiJs2oY [30/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラは、諦めて話題を変えた。


アシマリ「そういや、エーフィたちはなんでこのサーカスに入ったの?」

エーフィ「……あんたは?」

アシマリ「オイラはサーカスが好きだからだよ! で、エーフ――」

エーフィ「へぇ、それで結構上手いんだから、凄いよね」

アシマリ「うん」

エーフィ「でも、何がきっかけで好きになったの?」

アシマリ「きっかけかぁ……なんだろう、小さな頃、サーカスを見たのかなぁ。覚えてないんだけどさ、その時、凄い感動したみたい」

エーフィ「物心付く前の事か……なるほどね」

アシマリ「で、エーフィ――」

フーディン「みんな! そろそろ行くぞ!」

エーフィ「ほ、ほら、行かないと!」

アシマリ「うん。……どうかしたの?」

エーフィ「ホントになんでもないよ!」

アシマリ「ふーん」
 ▼ 86 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:19:59 ID:QHiJs2oY [31/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「おーいアシマリ! 行かなくちゃ!」

アシマリ「わかってるよー!」


そう言って、オイラは駆け出した。

そして、エーフィの妙な態度の事なんて、重いかばんを前にしたら、一瞬で頭から吹き飛んでしまった。


アシマリ「うげぇ。そういや、これ運ばなきゃいけないんだった……」

モクロー「仕方ないよ。頑張って行こう」

アシマリ「そりゃ頑張るけどさぁ……」
 ▼ 87 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:21:00 ID:QHiJs2oY [32/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこから数キロ、ちょくちょく休憩を挟みながら、着実に歩を進める。

山道を抜け、森を抜け。

そして、夕暮れ時。


フーディン「今夜はここでキャンプするぞ!」

アシマリ「やったぁ……」

モクロー「さすがに疲れたぁ……」

ニャビー「これだけは何回やってもしんどい……」


3匹同時に倒れ込む。

ちょうど、「川」の字のように。
 ▼ 88 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:21:28 ID:QHiJs2oY [33/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「……まあ、お前らも仲良くなって来てるみたいだな。けど、メシの調達もしないとだぞ」

エーフィ「まぁまぁ、ちょっと休ませたげようよ。進化もしてないこの体格で、辛いでしょ」

フーディン「ん……まあ、そうだが」

ブラッキー「リンゴ、余分に取って来る」

エーフィ「うん。団長、私たちがこの子たちの分も取って来るよ」

アシマリ「いや……いいよ。迷惑はかけたくないし……」

モクロー「同意。キツイけど、入るって決めたからにはやるべきだと思う……」

ニャビー「……単純になんかやだ。迷惑かけんの」
 ▼ 89 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:22:03 ID:QHiJs2oY [34/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「でも、あんたたち、今にも――」

アシマリ「そんな時のために、オレンの実があるんだ、3個」

モクロー「ニャビーもこれ食べてよ」

ニャビー「……遠慮なく」


オイラはかばんからオレンの実を3個取り出し、みんなに1個ずつ渡してから、自分も勢いよくかぶりつく。

滲みだす果汁は、滋養強壮効果抜群。

体から疲れが抜けて行く。


モクロー「よし! んじゃ、いっちょ探しに行きますか!」

アシマリ「うん! ニャビーも行く?」

ニャビー「うん。あんたたちといればおいしいリンゴにありつける可能性も高いし」

アシマリ「よし、そうと決まれば行こう! 近所のダンジョンへ!」
 ▼ 90 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:22:46 ID:QHiJs2oY [35/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
収穫:リンゴ4個、オレン5個。

アシマリ「リンゴはちょっと少ないけど、オレンがほっくほくだね」

モクロー「3匹で割るには厳しい数だけどね」

ニャビー「誰かにあげればいいじゃん。リンゴとオレン2個」

アシマリ「ま、それもそうか」

モクロー「誰もいないようだったら、「このは」でカットして分けられるしね」

アシマリ「んじゃ、キャンプに戻ろう」

ニャビー「こっからキャンプ建てたりとかもあるしね。ある程度はブラッキーがやってくれてるみたいだけど」

アシマリ「……エーフィとブラッキーの姉弟って何かあったの? ところで」


ニャビーは、「知らない」と、辺りを見回し、モクローが向こうに言ったのを確認して、続けた。


ニャビー「ってか、事情を追及するようなとこなら、あたしはここにいない。

      ……まあ、こんなへっぽこなとこだし、知っても気にしなかったかもしれないけど」

アシマリ「ハハハ……。まあ、よくわかんないね」

ニャビー「うん。後、そろそろ行かないとただのサボりだよ」

アシマリ「おっと! 急がなきゃ!」
 ▼ 91 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:23:56 ID:QHiJs2oY [36/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キャンプの設置は簡単に終わった。

小さなテントがたくさんあって、2匹1組で寝るらしい。

その説明の通り、というか正直僕たちの前までの住処よりもよっぽど狭いテントが目の前に出来上がるのを見て、愕然とした。

たくさんのテントがあるが、それは使用者が各々建てるから大した問題にならない。


フーディン「明日も1日ぶっ通しで歩きだからな。みんな、早く寝て力蓄えとけよ?」

みんな「はい!」


オイラとモクローが同じテントで寝る事になった。

まあ、当然と言えば当然だろうけど。
 ▼ 92 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:24:33 ID:QHiJs2oY [37/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「……しっかしまあ、こんなとこで大変な目に遭うとはね……」

アシマリ「ホントだよ……。だけど、楽しみだなぁ。公演が昨日の来週で、着くのはたぶん明日でしょ? だから、1、2……」

モクロー「4日だね」

アシマリ「それで、いよいよ本番か……。楽しみだなぁ」

モクロー「にしてもハイペースだなぁ。ま、数稼がないと儲けがしょぼすぎてヤバいのかもしれないけど」

アシマリ「ハハハ……。だけど、頑張るしかないよ」

モクロー「だね。まさかこんなだとは思ってなかったよ、サーカス団の舞台裏……」

アシマリ「ふぁぁ……眠いや、お休みー」

モクロー「うん。お休み」
 ▼ 93 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:25:34 ID:QHiJs2oY [38/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィの騒がしい声で、オイラは目を覚ます。


エーフィ「起きろぉぉおおおお!」

モク・マリ「ぐわわわぁぁぁん!」

アシマリ「何これ? 何これバクオング?」

エーフィ「失礼ね、あたしの声はそこまで大きくないでしょ。鼓膜破れたりしてないし」

モクロー「……まあそうだけど、いや、大きいでしょ、寝起きにこれは……」

エーフィ「草の大陸だっけ、そこのトレジャータウンのプクリンのギルド、あそこの朝はもっとうるさかったらしいよ」

アシマリ「も、もっと……」


オイラは思わず息を呑む。これ以上うるさいとなると、本当に命に関わる。

もっとも、探検隊ギルドなのだから、そのぐらいじゃ死なないように訓練されているのかもしれないけれど。


エーフィ「そ、もっと。早く行くよ!」


幸いな事に、たいがいはブラッキーの料理の匂いで目覚められるため、滅多な事ではこの声を聞く事はないらしい。

そう後から聞いて、ほっとため息を吐いた。
 ▼ 94 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:26:27 ID:QHiJs2oY [39/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「それじゃあ、みんな、今日中にイスカーの街に着けるように、頑張って行くぞ!」

みんな「おー!!」


掛け声で気合いが入る。

オイラは、重いかばんを背負い、歩く体勢に入った。

キャンプは、撤去も簡単だった。みな、あっという間に折りたたんでしまっている。

もちろんその内の1つは今、オイラのかばんに入っている。

かさばりはするが、重くない。どう考えても優れものだった。寝心地はお世辞にもいいとは言えないけれど……。
 ▼ 95 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:26:56 ID:QHiJs2oY [40/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一行揃って歩き始めた。

険しい岩肌を登り、道中になぜかあった不思議のダンジョンも簡単に抜け――リンゴを取りに行くダンジョンよりももっと簡単なぐらいだったし――そして。

数時間後。


フーディン「おっ! 街だっ!」

エーフィ「あそこがイスカーだよね?」

フーディン「ああ。まだ夕方だ。急ぐぞ!」


重いかばんがオイラに与えた苦しみなんて、街の光を見たら、一瞬で吹き飛んでしまった。

あそこが、オイラの初舞台。

それを思うと、興奮と震えが止まらなかった。


アシマリ「走ろうモクローっ!」

モクロー「えっ! 走ると危な――」

アシマリ「速く速く……うわあっ!」

ニャビー「……バッカじゃないの」


派手に転んでしまった。
 ▼ 96 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:28:01 ID:QHiJs2oY [41/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
幸いかすり傷だけで済んだ。けれど、少しきつめの叱責がニャビーから飛ぶ。


ニャビー「パフォーマーってのはね、体が第一なの。転んでケガとかプロのやる事じゃない。あんた、やる気あんの?」

アシマリ「うう……ごめんなさい」


悪いのはオイラだ。それをわかっていたから、素直に謝った。

落ち着いて行こう。ビークールビークール。
 ▼ 97 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:29:01 ID:QHiJs2oY [42/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「到着したぞ! このスペースに、サーカスのテントなどを設置する……が、今日はゆっくり休む事! 簡易テントで済ませるぞ!」


みんなめいめいに返事して、テントの設置にかかった。

ブラッキーだけは、食事の用意をし始める。その分エーフィの負担は大きい……と思いきや、エーフィはエスパーの力であっという間に組み立てていた。


モクロー「あそこ、双子だからって♂♀同じテントで寝てるのか……」

アシマリ「ん? どうしたの?」

モクロー「いや、なんでも。あの姉弟、仲いいなって」

アシマリ「だよねー。性格正反対なのにね」

モクロー「まあ、正反対の方が案外うまくやってけるのかも。僕たちみたいに」

アシマリ「なるほどー」
 ▼ 98 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:29:27 ID:QHiJs2oY [43/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テントの設置を終わらせ、オイラたちはごはんを食べるべく集合した。


ブラッキー「簡単なのだけど」

エーフィ「簡単に出来る料理がおいしいのがあんたの凄いとこなんだから、もっと自信持って、元気出しなさい!」

ブラッキー「姉ちゃん、元気過ぎ」

エーフィ「だーかーらー! いつまでも落ち込んでる訳にはいかないでしょ!」

ブラッキー「落ち込んでるんじゃない。もともと」

エーフィ「……ったく、あんたさぁ? ミリスの街にいた時からずっと言って来たよね?

      あんたは暗すぎなんだよ! 月光を司るポケモンだからって、そんな合わせなくてもいいでしょうに」


ケンカしている。と言うか、一方的な説教が受け流されているというべきか。

とにかく、そこにオイラたちが入り込む余地はないし、いつでもこんなテンションなのだ。

2匹を足して、2で割ったらちょうどよくはなるだろうけど、それはそれでつまらないだろうなと思う。
 ▼ 99 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:30:26 ID:QHiJs2oY [44/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「って言うか、ミリス出身なんだ、2匹って」

モクロー「らしいね」


ミリス。少し、いや、オブラートに包まずに言ってしまうと、物凄く旧弊渦巻く土地との噂だ。

未だに激しい太陽信仰と月信仰が行われているという。


フーディン「お前らがどう思ってんのかは察しが付くが、実は俺の先祖もだ」


いつの間にか後ろに立っていたフーディンがそう言って、オイラたちはビックリして振り向く。(モクローの胴体はエーフィたちの方を向いたままなのだが)


モクロー「えっ?!」

フーディン「このサーカス団だって、生まれはミリスだぞ。何代もミリスでのみ活動して来たらしい。もっとも、親の代ではもう、ただの伝承レベルなんだが」

モクロー「へぇ……。だからエクリプス」

フーディン「そう言う事だ。どうしてミリスから遠く離れたのかはわからないけどな」

アシマリ「ん? なんでエクリプス?」

モクロー「日食の事、どこか別のとこではエクリプスって言うらしいんだ」
 ▼ 100 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:30:54 ID:QHiJs2oY [45/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「日食……。太陽と、月、かぁ……」

モクロー「太陽が隠されるから、縁起が悪いって言われてるね」

フーディン「ああ。ミリスとか、特にそうだ。太陽と月が交わる時、世界に滅びが訪れる、とまで言われてる。

       あっ、誰にも言うなよ? 一応ミリス門外不出の言い伝えだし、無闇に言いふらして、騒ぎになったらたまらない」

アシマリ「へぇ」


日食の時、世界が滅ぶ。

そうは言うけれど、今までにも何度か、オイラは日食を経験して来た。皆既日食だって、小さな頃に、見た事があるはずだ。

それでも、今こうして世界は回っている。

きっと、考えすぎだ。予言とか言い伝えとか、所詮は昔のおまじないみたいな物でしかない。
 ▼ 101 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:31:26 ID:QHiJs2oY [46/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「こらこら、お前ら、ケンカするなよ。ほら、みんな困ってるぞ」

エーフィ「あっ……すいません」

ブラッキー「すいません」

フーディン「それでよし。じゃあみんな、食べようか!」


簡単なのだけど、とブラッキーは言っていたが、絶品だ。

オイラも、それなりに料理に自信はあったけれど、それでもブラッキーには絶対に敵わないと思う。

疲れた体に、晩ごはんが沁み渡る。


アシマリ「ごちそうさまでした」


勢いよくかき込むと、オイラはそのままテントに潜り込む。

食べてすぐ寝ると太る、とはよく言うけれど、到着の安心が強く、オイラは、眠気に抗えなかった。
 ▼ 102 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:32:08 ID:QHiJs2oY [47/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝、目が覚めて、オイラは大あくび。

まだほの暗い夜の中、テントから抜け出て、体を伸ばす。

そして、準備体操を行った。

練習の前の準備体操は、意外に大事だ。体が硬いままだと、ケガをしやすいから。


アシマリ「よし」


そう呟くと、水のバルーンを創りあげる。

それを跳ね上げ、鼻の上でくるくると回す。

高く上がったバルーンに向かって思い切りジャンプし、中に潜って、上から飛び跳ねる。

ポーズを決めて着地すると、ニャビーの声が聞こえた。


ニャビー「ふーん、頑張ってんだ」

アシマリ「まあね。そりゃ、もうすぐで、本番なんだもん」

ニャビー「……あたしは、器具がないと何も出来ないから、もうしばらく寝てるよ」

アシマリ「あっ、起こしちゃった?! ごめん」

ニャビー「気にしないで」
 ▼ 103 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:32:29 ID:QHiJs2oY [48/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーがテントの方へ戻って行く。

と、不意にその足を止めた。


ニャビー「? なんだろ、あれ」


空を見上げ、そう呟く。

オイラもつられてそちらを見ると、朝焼けの空に不思議なひずみが出来ていた。

周りの景色が歪み、ひずみからは、何かしらの不思議な「気」のような物が発せられていた。


アシマリ「さあ……。オイラも見た事ないよ」


ひずみは、瞬く間に消え去り、後には、何事もなかったような空が残されていた。

不思議な光景だった。
 ▼ 104 1◆J44kAZeDOM 16/09/26 20:32:54 ID:QHiJs2oY [49/49] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







2章 サーカス団改造計画 完






 ▼ 105 星のニャービィ◆A/Db91MABQ 16/09/26 21:00:04 ID:Z2RMqp0A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 106 フリージオ@カムラのみ 16/09/26 21:08:45 ID:56tUnTqo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うおおお!支援
 ▼ 107 ミズゴロウ@メトロノーム 16/09/26 23:57:32 ID:daEFjNbQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読みやすくて文章も綺麗で何度も読み返しちゃいました!
ただ、1章ではモクローとアシマリはニャビーが前のサーカス団で失敗したことを知ってるのに2章ではそのことを知らないみたいな感じになってますね
続きも楽しみにしてますっ!
 ▼ 108 ヘルガー@TMVパス 16/09/27 19:35:47 ID:7r7VPQrE [1/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>107
失敗までは知ってるけど、失敗が怖いのでもないのになんでエクリプスにいるのかがわからない、とモクローは認識していた

そう考えていただけると幸いです
 ▼ 109 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:36:08 ID:7r7VPQrE [2/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







3章 狙われる姉弟






 ▼ 110 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:36:46 ID:7r7VPQrE [3/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひずみの事を、伝える必要なんてないと判断したニャビーとオイラは、その後数日、必死の練習を積み重ねた。

そして、迎えたイスカーでの初公演。


アシマリ「ドキドキするね」

エーフィ「頑張ってね。あたしたちは裏方だけど、それでも緊張するんだし、アシマリたちの緊張なんて、その比じゃないでしょ」

アシマリ「オイラ、エーフィたちがどのぐらい緊張してるのかわかんないけど、うん、すっごいヤバい」

エーフィ「うん。アシマリ、あなたの雄姿は、しっかり私たちが照らすからね。だからアシマリ、ゼンリョク、出して来い!」

アシマリ「うん!」
 ▼ 111 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:37:26 ID:7r7VPQrE [4/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラの出番は、なんと初っ端。

順番を決めたフーディンからは、

フーディン「お前の演技はわかりやすくて、綺麗だ。だから、最初に向いてる。

       そう言うのを最初にぶつけたら、観客の目を惹ける。それで惹き付けておいて、最後、ニャビーの大技に集中させる」


と言われた。

オイラは、あくまでもニャビーの前座。けれど、構わなかった。

ニャビーの演技は、確かに素晴らしい。

そこに異論を挟める程に、オイラは自信家ではない。

与えられたステージを、こなすしかないのだ。
 ▼ 112 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:38:39 ID:7r7VPQrE [5/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
闇の中から、エーフィの「あさのひざし」、ブラッキーの「つきのひかり」に照らされ、モクローが現れた。


モクロー「レディースアーンドジェントルメーン!」


まばらな客席に向かって、モクローは叫んだ。

様々な口上を述べ、そして、オイラを紹介する。


モクロー「サーカス団に新たにやって来た期待の新ポケ、アシマリの登場です!」


2匹の照らす光が、一気に弱まる。

出番だ。

オイラは駆け出した。

そして、決めポーズをとる。

その上から、エーフィたちが、光で照らした。会場中が明かりに包まれる。
 ▼ 113 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:39:11 ID:7r7VPQrE [6/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お客さん、少ないな。

エクリプスの人気のなさに、改めて愕然とする。まばら、というよりもむしろ、閑散、と言った方がいいかもしれない。

けれど、それでもオイラは、ゼンリョクを尽くすだけだ。

それを覚悟して、エクリプスに入ったのだから。


アシマリ「よし」


小さく呟き、オイラは、バルーンを創りあげる。

そして、それを高く飛ばした。

その中に、「あわ」を繰り出す。

まるで炭酸のようになったバルーンを、オイラは鼻で受け止める。

そして、くるくると回した。

もう一度、跳ね上げるとオイラはそこをめがけてジャンプする。

炭酸バルーンの中を泳ぎまわり、そして中から勢いよく飛び出した。

バルーンが割れ、ステージ上に、雨が降る。

そこに、「あさのひざし」が重なって、綺麗な虹を作った。
 ▼ 114 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:39:46 ID:7r7VPQrE [7/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今度は、下に向けてバルーンを創り、オイラは、それでもって高く跳ねる。

虹をバックに、オイラはクルリと1回転。

見事、着地を決めた。

成功だ。

しぶきを浴びながら、オイラは、決めポーズを取り続けていた。

ライトが消える。

オイラは、慌てて舞台袖へと駆け出した。


ニャビー「お疲れ。……悪くはなかったよ」

アシマリ「ホント?! ありがとう!」

ニャビー「もっと練習して。あたしに、追い付いて」

アシマリ「え?」

ニャビー「ううん、なんでも」


ニャビーはついと顔を背け、瞼を閉ざした。

集中しているのが、傍で見ていても伝わって来る。

オイラは、声を掛けるのを自重した。
 ▼ 115 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:40:25 ID:7r7VPQrE [8/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
他のみんなの演技も、前回見た時よりは、各段の進歩を見せている。

オイラたちがやって来た事は、無駄じゃなかったんだなと思うと、嬉しさが込み上げてくる。

ボーっとみんなの演技を眺めていたら、次は、ニャビーの番だとモクローが声を張り上げる。


モクロー「お次はこのサーカス団のスーパースター! 空中ブランコのニャビー登場です!」


その声に応えて、ニャビーも呟く。


ニャビー「出番よ、あたし」
 ▼ 116 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:41:17 ID:7r7VPQrE [9/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
照明が落ちた。

ニャビーが舞台へと上がる。

そして、ぼっと炎が灯った。

それを目印に、「つきのひかり」がニャビーを照らす。

炎と光の幻想的な光景が醸し出されていた。

観客は、どんな反応をしているだろうか。

オイラの位置から、それは見られない。

けれど、ニャビーのパフォーマンスを見るだけで、間違いないと断言できる。

今ので、観客の目は、釘付けになっている事だろう。
 ▼ 117 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:41:53 ID:7r7VPQrE [10/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
炎が消え去り、ニャビーは、「つきのひかり」を浴びながら、ハシゴを登る。

てっぺんで、立ち上がった。

そして、ブランコに向かって飛び込む。

前足で乗り場を掴み、勢いを利用してブランコを高く揺らす。

最高潮に達した、その瞬間、ニャビーは炎を纏いながら、飛んだ。

「つきのひかり」が炎を煌びやかに演出し、そのままくるりと回ったニャビーに、観客からの拍手が起きた。

ニャビーは尻尾でもう1つ吊り下げられたブランコに掴まると、そのブランコを再び揺らし始めた。

軽やかに舞うニャビーの姿に、オイラは、改めて、魅了されていた。
 ▼ 118 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:42:33 ID:7r7VPQrE [11/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーカスが終わり、モクローの言葉と共に幕を閉ざす。

興奮冷めやらぬ中、オイラは戻って来たニャビーに声を掛ける。


アシマリ「お、お疲れ様」

ニャビー「ありがと」

フーディン「お疲れ様、みんなもだが、特にアシマリ」

アシマリ「え、オイラ?」

フーディン「もちろんモクローもだけどな。初めてってのは誰でも、緊張が増すもんだ。それを乗り越えたんだ、お前らはもう大丈夫だろ」

ニャビー「慣れから来る慢心は地雷だけど」

フーディン「おっと、それもそうだな」

アシマリ「うん!」

モクロー「それではみなさん、ご来場ありがとうございました!」


モクローがお客さんに呼び掛ける。

モクローが深々と、首だけ倒すように礼をした。
 ▼ 119 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:43:32 ID:7r7VPQrE [12/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オイラたちの初公演も終わり、舞台裏で、くつろいだ時間を過ごす。

そんな時、ふっとモクローがぼやいた。


モクロー「ふー。のど、しんどいな……」

ブラッキー「のど飴」

エーフィ「ブラッキーの手作りなのよ! ホント、手先が器用でさ」

アシマリ「え、す、凄い……」


ブラッキーが手渡したのど飴は、確かにのど飴だった。

クオリティが、売られていてもおかしくないレベル。

もちろん、飴なんて、普通に職を持ち、暮らしているポケモンにとっては珍しくもなんともない品物。

けれど、リンゴを売って金を稼いでいたオイラたちにとっては、買おうとすら思えなかった物だ。
 ▼ 120 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:44:16 ID:7r7VPQrE [13/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「いいの?」

ブラッキー「うん」


モクローが、じゃあ遠慮なく、とその飴を口の中に放り込む。

その顔に、味を尋ねる必要は、もはやなかった。


エーフィ「もっと自信持てばいいのにさ」

アシマリ「だね」


そんな風に、疲れた体を休めながら、適当に話していた時の事だった。

突然、来客を告げるベルが鳴る。


フーディン「あ、俺が出るよ」
 ▼ 121 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:45:11 ID:7r7VPQrE [14/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言ってテントの入口をめくったダンチョー。

その奥から、いきなり、2匹のポケモンの顔が覗く。

ヤングースとヤレウータンだ。

彼らはダンチョーに向かって、開口一番問いかける。


ヤングース「こちらに、エーフィとブラッキーの姉弟はいますか? 色違いの」

エーフィ「あっ……」


顔を隠すようにした後、何やら意識を集中させる。

「姉ちゃんの、テレパシー」と、ブラッキーから解説が入った。
 ▼ 122 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:45:42 ID:7r7VPQrE [15/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「え、ああ、いや、いないが、どうかしましたか?」

ヤングース「いえ、いないのならいいんです。すいません」


そう言って2匹は去って行く。

エーフィが、ほっと息を吐いた。


エーフィ「ったく、もうバレかけてるのか……。団長、かばってくれて、ありがとうございました。ほら、あんたも」

ブラッキー「ありがとう」

フーディン「いや、いいんだ。けど、お前ら、どうして……」
 ▼ 123 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:46:46 ID:7r7VPQrE [16/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう問うダンチョーに、エーフィは疑問を呈した。


エーフィ「あれ? 団長、ミリス出身じゃ……」

フーディン「俺の祖先はそうだが、俺は違うよ。で? ミリスがどうかしたのか?」

ブラッキー「団長、知らない、別にいい」

フーディン「ミリス、なんかあんのか……」

エーフィ「う、ううん! なんでもないです」

フーディン「ほーん」


疑わしそうな目をエーフィに向ける。


フーディン「とにかく、困った事があったら、言えよ。お前たちの気合いがないと、団のライトが、それこそ天然仕様になる」

エーフィ「はーい」
 ▼ 124 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:47:45 ID:7r7VPQrE [17/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「ねえエーフィ、何かあったの?」

エーフィ「なんでもないよ、心配しないで」

アシマリ「だけど、おかしいよ。隠れてるみたいだった」

モクロー「アシマリ、ストップ。隠したいんだったら、隠させてあげようよ」

アシマリ「わかったよ……」


不満気に呟いて、オイラは、エーフィから視線を逸らし、ぐったりと横になった。


アシマリ「だけど気になるなぁ……」


そう呟いたオイラに、モクローは、頷き、小声で話す。


モクロー「まあね。それは僕もおんなじだ。あー、うん。調べてみる価値はありそうだね。ミリスに一体、何があるのか」

アシマリ「だよね」


オイラたち2匹は、目を合わせ、頷いた。
 ▼ 125 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:48:35 ID:7r7VPQrE [18/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ともかく、初の舞台が終わり、疲れも噴き出して来たため、オイラは昼寝を始めてしまった。

目が覚めた時には、もう夕方。

ブラッキーの作る料理が出来上がったタイミングだったのは、ブラッキーの料理がいい匂いだったからだろう。

ふああ、と1つあくびをすると、立ち上がった。

横を見ると、モクローも眠っていた。

オイラの夢のために、こんなとこまで付き合ってくれたモクローの事が、不意に、たまらなく愛おしくなる。

ありがとう、モクローは、オイラの、最高の友達だよ。


アシマリ「起きてモクロー。ごはん出来たよ」

モクロー「え? ああ、うん」


目をこすり、モクローが立ち上がる。
 ▼ 126 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:49:49 ID:7r7VPQrE [19/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「ごちそうさまでした!」」


ごはんを食べ終わり、オイラたちは、再びの休憩に入る。

ニャビーだけは、いつものようにまた、食後の練習をするらしいが、さすがのオイラも、今日ばかりは、練習する気にはなれなかった。

ボーっと座っていると、モクローが声を掛けて来た。


モクロー「今日は、もう練習しないんだ」

アシマリ「うん。さすがに疲れたし」

モクロー「じゃあ、ちょっと付き合って。フーディンに話を聞くから」

アシマリ「え、なんの?」

モクロー「やだなぁ、わかってるクセに」

アシマリ「え?」

モクロー「エーフィとブラッキーの事に決まってる。ミリスの街について、いろいろと聞きたいし」

アシマリ「ああ、なるほど」
 ▼ 127 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:50:34 ID:7r7VPQrE [20/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダンチョーの祖先が、ミリス出身だと言う。先代から譲り受けたというこのサーカス団も、当然ミリス出身だ。

そして、ミリスからやって来た色違いの双子、エーフィとブラッキー。

2匹を訪ねてやって来たポケモンたちも、恐らくはミリス。

この奇妙なまでの符合には、さすがのオイラでも、疑問を感じざるを得なかった。
 ▼ 128 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:51:35 ID:7r7VPQrE [21/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーディン「ミリス、ねぇ。いや、俺も詳しくは知らんよ。知っての通り、幼い俺は、寝っぱなしのケーシィだからな。成長してからもうちの親ですら何も言ってないし」

モクロー「それでもいいんです。エーフィとブラッキー、2匹の問題を、どうにかして解決してあげたいから、気になるんです。少しでも、情報をください」

フーディン「まあ、そこまで言われたら、教えざるを得ないな。とは言え、俺が持ってる情報なんて、微々たる物だぞ?」


そう念を押して、フーディンは語った。

ミリスでは、未だに太陽信仰の類が行われている。

その辺はオイラたちも知っていたけれど、フーディンは、さすがにもう少し詳しかった。


フーディン「太陽と月が交わる時、世界に滅びが訪れる。これも前、言ったな。エクリプス……日食だ」

アシマリ「うん。でも、どう言う事?」

フーディン「わからない。わからないが、ミリスには、確かに、太陽と月、それぞれの使者と呼ばれるポケモンが祀られている」

モクロー「太陽と、月の使者?」

フーディン「ああ、そうだ。太陽の方がソルガレオ、月の方がルナアーラって名前だ」
 ▼ 129 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:52:08 ID:7r7VPQrE [22/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「……太陽、月。たいようポケモンのエーフィ、げっこうポケモンのブラッキー……」

フーディン「ああ。ミリス、エーフィ、ブラッキーと聞くと、どうしても、その文句が思い浮かんじまう。ただの言い伝え。頭ではわかっているけど、それでもだ」


ここで大きく息を吐き出し、吸い込み、そして再び、軽く吐き出して、言った。


フーディン「俺が知ってるのはここまで。後は、俺も調べてみないとわからない。

       幸い、司会をモクローがしてくれるから、俺には時間があるし、わかった。

       俺も、お前たちに協力する。団員が苦しんでるのに、何もしない訳にもいかないからな」

モク・マリ「ありがとう(ございます)!」

フーディン「いやいや、お礼はいいよ」
 ▼ 130 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:53:04 ID:7r7VPQrE [23/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな話をしていると、背後から唐突に、声が聞こえた。


エーフィ「なんのお礼?」

アシマリ「え……」

モクロー「あ、なんでもないよ。単純に、ここにいさせてくれて、ありがとうって」

フーディン「あ、ああ。むしろ、こっちからお礼したいぐらいだ」

エーフィ「ああ、なるほどね。……今日は、ありがとうございました。あたしたちを庇ってくれて」

フーディン「ああ。でも、どうしても説明する気はないのか?」

エーフィ「はい。……まあ、あたしたち自身、詳しい事は何もわからないってのもあるけど」

フーディン「……なるほど。詳しい事は、わからない」

エーフィ「だから、なんでなのか、それは気になる」

フーディン「……わかった。俺が、調べてみるよ。だから、調べるためにも、わかっている情報、少しは教えてくれないか?」
 ▼ 131 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:53:35 ID:7r7VPQrE [24/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィはしばらくの後、躊躇いがちに答えた。


エーフィ「……わかりました。そうですよね。確かに、伝えられる事は伝えないと、どうにもならない。ブラッキー! ちょっと来て!」

ブラッキー「いるよ」

エーフィ「うわっ!」

ブラッキー「全部聞いてた」

エーフィ「い、いたんだ……」
 ▼ 132 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:54:00 ID:7r7VPQrE [25/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ「ま、まあ、それはともかく、あたしたち、不憫な目に遭わされるらしいの」

ブラッキー「ミリスの街で」

モクロー「不憫な」

エーフィ「うん。ママとパパが、話してたの」

――

あたしは、夜に目が覚めて、トイレに行こうとしたの。

つい何か月か前の、満月の夜の事よ。

リビングの前を通ると、ランプの明かりが漏れてた。

パパがブースターだから、ランプに火を付けるのも簡単だったの。

まあそんな枝葉末節はいいとして、こんな話をしてた。


「どうして……どうして家の子なんだ……」

「あなた、泣かないで。あの子たちもきっと、わかってくれる」

「だけどっ! だけど、不憫過ぎるよ……。まだ、あの子たちは若いのに、未来のために、自らを犠牲にするなんて、耐えられないだろうに……」

「あなた……。しっかりして。あの子たちは、永遠に、語り継がれる事になる。ミリスに暮らす私たちの中に、永遠に、生き続ける……」


そう言ったママの声すら泣き出しそうで、あたしは、トイレに行くのも忘れて、部屋に戻った。
 ▼ 133 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:55:49 ID:7r7VPQrE [26/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、思案を巡らせた。

あの子たち、と言う事は、あたしとブラッキー、どちらにも関係のある話だろう。

ミリスの中で、あたしたちは、不憫な目に遭う。

あたしたちに待ち受ける運命が、怖くなった。

ママもパパも泣き出すぐらい、不憫な出来事。

そう思ったら、居ても立っても居られなくて、ブラッキーを叩き起こして、ミリスを抜け出した。
 ▼ 134 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:56:33 ID:7r7VPQrE [27/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そっから、2匹で助け合いながらなんとか生活して、それでもいつか、限界がやって来る。

そんな時だったの。サーカス団エクリプスを見付けたのは。

そっから先は、団長は知ってるだろうけど、モクローとアシマリにも説明すると、空腹なあたしたちを見た団長は、あたしたちに食べ物をくれた。

で、何も聞かずに、雇い入れてくれたの。

ただの貧乏なポケモンだって思われたんだろうけどね。

――


フーディン「ああ。正直その時は、救済、って意味が強かった」

エーフィ「だけど、本当にありがとう。こうしてみんなと出会えて、よかった」

ブラッキー「そー言うのは後。今はミリスの話」

ブラッキー「ヤングースはあそこの治安維持に頑張ってるポケモン。ヤレウータンは、祠を護ってる」

ブラッキー「どっちも、僕らとは顔見知り」

エーフィ「ああ、そうなの。優しかったんだけどさ、まあ、心配で追っかけて来てるのかもしれないけど、ちょっと、怖かった。どうしても、怖かった」
 ▼ 135 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:57:14 ID:7r7VPQrE [28/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィが一息に語り終えると、オイラは問い掛けた。


アシマリ「パパとママは、知ってるの? エーフィたちが今、どうしてるのか」

エーフィ「旅に出ます、捜さないでね、って置き手紙だけ置いといたけど、どうだろ、サーカスって事は、最近まで知られてなかったんじゃないかな」

モクロー「今日の公演で、何かしら広まった……? 今まで公演した場所は?」

エーフィ「えっと、実は、ラサーシャが初めてなの」

アシマリ「えっ、あれが初めてだったの?!」

フーディン「ああ。なかなか才能があるなって思ったんだ」

エーフィ「えへへ……。まあ、それはともかく、ラサーシャの公演は、入りが悪かったけど、それでも今回とそんな変わらないんだよね。うーん、なんでこんなすぐにバレたんだろう……」

モクロー「イスカーは、天文台の街。ここに来る意味があった……? だとしたら、その理由は……エクリプス? もしかしてだけど、日食について調べてたのかも」


モクローが首を回しながらそう言う。

見慣れているからオイラはなんとも思わなかったのだが、傍から見るとなかなかにシュールな光景らしく、エーフィたちは反応に困っているような表情を見せた。
 ▼ 136 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:58:22 ID:7r7VPQrE [29/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシマリ「まあ、とにかく、オイラは明日もサーカスの仕事があるからね。明日はお手玉をわざと失敗して、観客を盛り上げるって言うピエロもやってみようかなぁ」


それこそ、暗く沈んだ雰囲気に耐え切れなくなり、オイラは話題を逸らす。

それに、ダンチョーが、思いの外しっかりと反応してくれた。


フーディン「ん? ああ、いや、それはまだ大丈夫だ。失敗に耐えられるメンタルは、経験を積まないと鍛えられない。

       お前にはまだ早いし、生憎他の誰1人としてそんなメンタルは持ち合わせてないからなぁ。

       ピエロは、まだ演出に組み込んでない。

       どちらかと言うと、着実なパフォーマンスで、観客の心をつかみ、口コミで噂を広げてもらうってのが最優先だからな」

アシマリ「なるほど。じゃあ、明日に備えて、もう寝るね。お休みー」
 ▼ 137 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:58:57 ID:7r7VPQrE [30/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
難しい話をして頭が疲れていたのか、あんなに昼寝をしたのに、グッスリと眠れた。

目が覚めると、またブラッキーの料理の匂いがすると言う贅沢。


アシマリ「おはよー……」

モクロー「おはよ、アシマリ」

アシマリ「もうそろそろ朝ごはんだよね。行こう」

モクロー「うん」
 ▼ 138 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:59:22 ID:7r7VPQrE [31/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「ごちそうさまでした!!」」


ごはんを食べ終わり、少しだけ体を休めた後、オイラは、練習を始めた。

本番までの数時間、少しでもクオリティを高めるべく、オイラは何度も繰り返し、同じ動作を行う。

その間、モクローはフーディンとともに調査に行っている。


ニャビー「団長とモクロー、どこ行ったの?」

アシマリ「エーフィとブラッキーに関して、調べに行ったよ。あの2匹、昨日故郷からの迎えが来て、怯えてるんだ」


唐突に、そう声を掛けて来るニャビー。


アシマリ「でも、なんで?」

ニャビー「直前だってのにいないから。でも、それなら仕方ないか。照明は、サーカスの命。その2匹の心理的不安を取り除くのは、立派な仕事ね」


そう言い放ち、自らの練習に戻って行った。
 ▼ 139 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 19:59:50 ID:7r7VPQrE [32/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーは、サーカスに全てを賭けている。

別のポケモンの心配より、きっと、自分の心配より、サーカスの事が優先。

そんな覚悟に、ただただ、圧倒されるばかりだった。


アシマリ「負けてらんないな」


意気込みだけは、負けられない。

それが、最初から実力で敵わない者の、唯一の対抗手段だから。

オイラは、ニャビー直々に、「あたしに追い付いて」と言われたんだ。

頑張るしかない。

そうやって気合いを入れ、オイラは、一層練習に打ち込んだ。

その間、昨日のあの出来事は、記憶から消え去っていた。
 ▼ 140 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:00:18 ID:7r7VPQrE [33/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、公演2日目。

モクローも戻って来て、本番を迎えた。

結果は大成功。

観客の入りも、昨日と比べたらいくらかマシにはなっていた。

昨日の公演の評判がよかったのだろう。

観客の中に昨日のヤングースとヤレウータンを捜そうかとも思ったけれど、さすがにそこまでの余裕はなかった。

オイラの演技は、昨日と同じ、安定したクオリティ。

だけど、精神的な疲れが軽減されたのは、昨日からの大きな成長だろう。

ニャビーの演技は相変わらず凄い。

追い付くなんて、夢のまた夢だ。

それでも、サーカスでの活躍、という夢が現実になる。その感覚がたまらなかった。
 ▼ 141 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:01:03 ID:7r7VPQrE [34/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「お疲れ様。で、エーフィ、ブラッキー、アシマリ、ちょっと来て。調べた結果を説明したいんだ」

ブラッキー「僕、料理作るから」

エーフィ「後であたしから伝えるからさ、とりあえずあたしにだけ聞かせてよ」

モクロー「わかりました。団長、来てください。説明しますよ」

フーディン「ああ、了解」


オイラたち4匹が集まる。

周りがガヤガヤとうるさかったけれど、フーディンが「お前ら暇なら練習しろよ」とど正論で追っ払った。


フーディン「今日は、とりあえず、日食の時起こる現象について調べようと思ったんだ」

モクロー「だけど、記録がなかった。神話的レベルまで遡ればあるにはあったんだけど、やっぱりそんな精神を抜きにして考えるべきだと思ったんだ」

フーディン「日食は、普通に起こる出来事だ。その時世界に滅びが起きるなんて、言い伝えでしかないって事だ」
 ▼ 142 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:03:08 ID:7r7VPQrE [35/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「次に、日食の周期が、もうそろそろ、具体的には、来週中って事」

エーフィ「えっ?! エクリプスが、来週中?」

アシマリ「エーフィ、エクリプスって言うの?」

エーフィ「うん。基本、ミリスではエクリプス、で統一されてるから」

アシマリ「へぇ」

フーディン「このサーカスも、何かしらの関係があるのかもな。

       でも、うちがミリスを出てからも、親父と御袋が死んでからも、日食は何度も起きた。

       ……純粋に関係してる訳でもなさそうだが、その辺は調べてもわからなかった」
 ▼ 143 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:04:56 ID:7r7VPQrE [36/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「うーん、科学的に見ると、何もないんだよね」

アシマリ「ねえ、神話的に見ると、日食の時、何が起こるの?」

エーフィ「エクリプスの化け物が出て来る、って言うよね。おいたをすると、そうやって怒られたんだ」

フーディン「エクリプスの化け物……か。何の事やら」

エーフィ「とにかく、何かしらの異変が起きると思うの。ねえ、何か見た覚え、ない?」


そう聞かれて、オイラはふっと思い出す。


アシマリ「えっと、それなら、なんか変なひずみがあったような……」

エーフィ「えっ?! いつ?! どこで?!」

アシマリ「ここ来てすぐに、ニャビーと。すぐに消えちゃったけど、でも確かに見たよ」
 ▼ 144 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:05:23 ID:7r7VPQrE [37/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モクロー「関係性はまだわからない。けど、何かしらあるのかも。そっちも調べないとな……。ミリスは、エーフィとブラッキーを、どうしようとしてるのか」

エーフィ「まずは、ソルガレオとルナアーラに関して、詳しく調べるのが先決だと思う。ミリスにおける神様よ。

      彼らが、何かしら関わってるのは、祠の守りポケヤレウータンがわざわざここまで来た時点で確定だと思う」

フーディン「わかった。俺が調べておく」

モクロー「ソルガレオと、ルナアーラね、わかった」

エーフィ「本当にありがとう、あたしたちのためにこんな……」

アシマリ「いいっていいって! ニャビー曰く、エーフィたちが困ってるとサーカスのクオリティも下がるらしいから、思い切って甘えた方が、みんなのためだよ!

      困ってるポケモンがいたら、助けてあげたいしね。オイラは忙しくて無理だけど」

フーディン「ああ。だから、お前たちは気にせず、目の前の照明にだけ集中してくれ」

エーフィ「はい!」
 ▼ 145 1◆J44kAZeDOM 16/09/27 20:05:46 ID:7r7VPQrE [38/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







3章 狙われる姉弟 完






 ▼ 146 バクフーン@グラシデアのはな 16/09/27 21:46:00 ID:t7s/597I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペース速いなぁ
 ▼ 147 バリヤード@なんでもなおし 16/09/27 22:03:29 ID:DcuTQ0NQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
めっちゃ面白い

超支援
 ▼ 148 ヒトツキ@しろいビードロ 16/09/28 02:09:00 ID:zSZBeUqY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
ヤレウータンじゃなくてヤレユータンですね
 ▼ 149 ◆CSn9vcIqE6 16/09/28 09:01:28 ID:tWVZR2jU NGネーム登録 NGID登録 報告
面白い…
支援です!
 ▼ 150 メガプテラ@ハスボーじょうろ 16/09/28 10:00:17 ID:PWfEJ6io NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 151 ドククラゲ@きいろビードロ 16/09/28 17:14:04 ID:xIl1FY7s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 152 アグノム@かいのカセキ 16/09/28 20:14:34 ID:5rkoB34Y [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>148
勘違いしてました、辛い
訂正感謝です
 ▼ 153 1◆J44kAZeDOM 16/09/28 20:14:57 ID:5rkoB34Y [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







4章 異変






 ▼ 154 1◆J44kAZeDOM 16/09/28 20:15:29 ID:5rkoB34Y [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌日も、公演は大成功。

観客の入りが、目に見えて増えている。

これもオイラたちが入ってからの事だと考えると、モクローの指導力の強さは計り知れない。

ニャビーが、「ひっさびさに見たな、こんなちゃんと見えるレベルの大勢のお客」と感慨にふけるように言っているのを聞いた。


アシマリ「でも、もっと凄かったんでしょ」

ニャビー「まあね。前評判ってのもあるし、やっぱりまだ、他のとこよりかはレベルも低いからね。急成長したうちに対する興味、ってのが観客の目当てな気がする」

アシマリ「でも、オイラはそれでも構わないけどね。注目されればされるほど、やる気が出て来るし!」

ニャビー「でも、あんた今、エーフィたちに関して調べてるんでしょ?」

アシマリ「まあね。でも、オイラじゃなくて、モクローとダンチョーがだけど。オイラ、考えるのは苦手だし」

ニャビー「舞台にだけは持ち込まないでよ。あんたの疑問なんか、観客にはどうでもいいんだから」

アシマリ「わかってる。でも、舞台の上以外で、そんなに気を張る必要あるかなぁ」

ニャビー「当たり前でしょ。エンターテイナーたる者、一瞬たりとも油断しちゃ駄目。じゃないと、いつ足元を掬われるか、わからない」

アシマリ「でもさ、ニャビー。そんな生き方、しんどくない?」

ニャビー「……あたしは、ずっと、そうやって生きて来た」
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