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SS

【バレンタインSS】 彼は、今日も。

 ▼ 1 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:16:08 ID:mnphifeA [1/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
コボクタウン、とある冬の日の民家



私の名は……いえ、よしましょう。

私はただ、このコボクタウンで生まれ育った一介のメイド。

今日もまた代わり映えしない一日が始まるだけ。

名乗る名など、どうして ーーー



シャーーーーッ



その刹那、彼女の家の前を一台の自転車が駆け抜ける。



ーーー 嗚呼、今日も彼がいらっしゃいましたね。

 ▼ 23 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:41:37 ID:mnphifeA [2/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


彼と、目が合った。


彼が、手を振って笑いかけてきた。


間違えるはずがない。







あれは、カルムさんだ。





 ▼ 24 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:42:37 ID:mnphifeA [3/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まさか、彼だったなんて。

思いもよらなかった。

式典が行われている。

でも、なんだか、テレビの画面越しに彼がいるような、彼が途轍もなく遠くに行ってしまったような。

つい数日前にも、彼と会って会話したというのに。

この気持ちは、なんでしょう。


そんなことを考えていた刹那。



ズッ……ズッ……ズッ……。



身長3メートルはあろうかという程の大男がカーペットを蹂躙し、彼の元へとまっすぐに進んでいく。
 ▼ 25 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:43:15 ID:mnphifeA [4/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

ざわざわざわ……。



ざわつく観衆を尻目に、大男は彼に呼びかけた。



『私と、戦ってほしい』



彼はステージから降り、何も言わずに大男に歩み寄った。



『トレーナーとは何か、知りたい』



そういって大男はボールを手にした。

彼は無言でボールを構える。

観衆は新チャンピオンの腕前を拝見しようと湧き上がった。

 ▼ 26 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:55:23 ID:mnphifeA [5/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

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プラターヌ『シンボラー、戦闘不能!
ファイアローの勝ち!

AZの残りポケモン、一体!』


カルムとファイアローの強さは、圧倒的だった。


コータスのストーンエッジをかわして一撃で沈め、
シンボラーとの空中戦はファイアローが終始圧倒。

シンボラーは面白いように翻弄されて倒された。



AZ『……………………』


追い詰められた大男が最後に送り出したのは古代の巨神兵、ゴルーグ。

 ▼ 27 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:56:44 ID:mnphifeA [6/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

AZ『…………ストーンエッジ』


カルム『ファイアロー、高く飛んでかわせ!

…………何っ?!』



ファイアローが飛び立とうとした刹那の出来事だった。
ゴルーグの放った岩の刃が予想以上に高くのびあがりファイアローを直撃する。



モブ『あれは……! 特性、ノーガードだ!
それにファイアローにとって岩技は相性最悪だぞ!!』



胃をよじられるような気がした。

彼が、あのファイアローが、
負けてしまうというのですか……?


 ▼ 28 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:57:31 ID:mnphifeA [7/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


カルム『いまだ、急降下で突撃!』

AZ『…………シャドーパンチ』


ファイアローとゴルーグの激突。

両者譲らぬ鍔迫り合い。


AZ『…………爆裂パンチ』

カルム『鬼火で足を止めろ!』


しかしゴルーグは鬼火を真っ向から受け止めつつ
爆裂パンチでファイアローの翼を捉える。

ファイアローはパンチの勢いによって ーーー



モブ『嬢ちゃん、危ねぇ!』



ーーー 私のところに吹き飛ばされてきた。

 ▼ 29 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:58:17 ID:mnphifeA [8/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

『…………!』


我ながらなぜあんな咄嗟にファイアローを受け止めて、"偶然"ポケットに持っていたハートスイーツを渡せたのか。

今となってはわからないけれど、あの時は体が勝手に動いたとしかいいようがない。



ピョェェェエエ!!!



ハートスイーツを食べて少し回復したファイアローはまた戦場に戻った。



カルム『いけるか、ファイアロー?!』



彼の問いかけにも力強く頷く。

 ▼ 30 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:59:06 ID:mnphifeA [9/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

カルム『よし、決めるぞファイアロー、ーーー」


AZ『…………! ストーンエッジ!!』


カルム『ーーー ブレイブ、バーードッッ!!』


彼の指示 ーーーもはや咆哮とも言えるかもしれないーーー を受けたファイアローは私の目の前を滑空してゴルーグに突撃する。

突き上げる凶刃、ストーンエッジを顧みることなく。


そして ーーー



プラターヌ『ゴルーグ、戦闘不能!
ファイアローの勝ち!

よって勝者、チャンピオンのカルム!!』



ーーー 勝利したのは、カルムとファイアローだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 31 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 20:59:59 ID:mnphifeA [10/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

ピチチチチ………


ヤヤコマのさえずりがコボクタウンを満たし、
人々を、私を目覚めさせる。


朝だ。



「ああ……またあの夢を……」



最近、しょっちゅう同じ夢を見てしまう。
夢というよりは、記憶というべきなのでしょうか?



「ふふふ……」



式典が終わった後、コボクタウンにやってきた彼の笑顔を、私は鮮明に記憶している。

忘れることなど、ありえません。
弾けんばかりの、飛びっきりの無垢な笑顔を。
 ▼ 32 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:00:31 ID:mnphifeA [11/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

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二月


二月になった。

寒いな……。また、この季節が巡ってきました。


バレンタインデー。


今までは……面倒な行事だと思っていたけれど……
今年は違う。

今この瞬間さえも心臓が暴れているのがはっきりとわかります。


ちょうど去年に、彼と出会った日。


それだけで2/14という日付は重要な意味を持ちますから。

 ▼ 33 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:01:36 ID:mnphifeA [12/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


「…………でも、なぁ……」


懸念材料が一つだけ。

彼が最近、いらっしゃらないのです。

あの祝賀会から彼はここに滞在して自転車をこぐ日々を過ごしていらしたのにここ数週間めっきりお姿が見えないし、マスコミさえも彼を見つけられていないらしい。


「はあ……」


ため息とともに始まる朝ももう何日目でしょう。
力なく呟きながら何の気もなしにテレビをつけた刹那 ーーー


 ▼ 34 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:02:22 ID:mnphifeA [13/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


【チャンピオンの快進撃、止まらず!!
バトルハウス粉砕!!!】



【チャンピオンに恋の予感?!
相手は同郷の幼馴染?!!】



【深夜の密会?!
チャンピオンのお相手の正体に迫る!!】




ーーー 衝撃の見出しが目に飛び込んできた。


 ▼ 35 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:02:54 ID:mnphifeA [14/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


「え……あ……ああ……」



チャンピオン 二 コイ ノ ヨカン ……

シンヤ ノ ミッカイ ……

ドウキョウ ノ オサナナジミ ……


ナニヲ、イッテルノ?

ソンナ……ソンナ……ソンナ……!!



目の前が、真っ暗になった。
 ▼ 36 ハッサム@パワーレンズ 17/02/13 21:02:55 ID:LhH2Gmns NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱダメ系とかしてないアニポケ式バトルのが俺好きだわ

支援
 ▼ 37 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:03:50 ID:mnphifeA [15/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

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そして、バレンタインデーがやってくる



来てしまいました。

この日が。

やはり、今日も彼はいらっしゃらないのです。

とっくにわかって、いるのに……どうして?

明らかに矛盾している。

彼がチャンピオンだということ。

彼には恋人がいるということ。

彼は本来手の届かない、
遠すぎる人だったということ。

わかっている。全部、わかっている。

でも、どうして ーーー

 ▼ 38 今日はここまで◆zFLCCAWaiw 17/02/13 21:05:01 ID:mnphifeA [16/16] NGネーム登録 NGID登録 報告


彼女は顔を覆いながら背後の机を見やる。

そこには……

作りたてのハートスイーツが五つ、丁寧に並べられていた。



ーーー こんなものを、私は作っているの?

 ▼ 39 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/14 21:28:22 ID:nptS6lEg NGネーム登録 NGID登録 報告
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そして時間ばかりが過ぎていく



ふと時計を見やる私。

気づけば外はもう暗い。

また……彼はいらっしゃらない……。



彼女はカーテンをめくり窓の外を覗いた。

しかしやはりカルムの姿はない。


それも当然 ーーー


テレビ【なんっとお〜〜!!
ここでレジギガスまでダウンしたぁ!

チャンピオンの勢いはとどまるところを知らない!
我々は今宵、新たな怪物王者の伝説に立ち合っているのかもしれませんっ!!】


ーーー カルムは現在、バトル番組の『生放送』にバリバリ出演している真っ只中だからである。
 ▼ 40 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:15:03 ID:zPQ8pzMs [1/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

もうすぐ、今日という日も終わる。

時計の長針と短針が文字盤の頂点で交錯する瞬間。

迫り来る、終焉。




私と出会った日さえ忘れ去られてしまったのなら。

私の想いが届くことなどありえないでしょう。

いえ……返す返すも、叶うはずなど……。




日付が変わるまで、あと3分。
 ▼ 41 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:19:45 ID:zPQ8pzMs [2/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
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ドサァッ……。


メガガルーラの連続攻撃を前に、テラキオンはとうとう四肢を支えきれなくなり、崩れ落ちる。


実況【またしても倒したー!
これで、前人未到の100連勝を達成〜〜っ!!】


カルム「よし、よくやった。
戻って休んでくれ、ガルーラ!」


今宵、歴史が動いた。

動かしたのは、他ならぬ俺。


だけど。

何か、忘れてるような……。

そんな気がしてならない。


日付が変わるまで、あと2分。
 ▼ 42 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:25:04 ID:zPQ8pzMs [3/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
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「カルムさん……」



実は、しばらく前から考えていたことがあった。

旅に出よう、と。

家の主人には既に話は着けてあるから、問題はない。

彼と同じものを見て共に歩むことはできなくなってしまったけれど。

それでも。

私なりに足掻いてみよう。

心の傷は、時間が癒してくれるはず……。


「手紙でも、残そうかしら……」


何も言わずに去るというのも考えものだろう。

そう思い立った私は、彼に残す最後の言葉をしたためることにした。
 ▼ 43 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:41:42 ID:zPQ8pzMs [4/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

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手紙を書き終えた私はハートスイーツ五つとその手紙を包んで小さな箱に入れた。

コボクタウンのポケモンセンターに預けておけばしばらくは預かってもらえるだろうし、ハートスイーツは時間が経っても品質には影響しない……

もっとも、多少風味は落ちてしまうが。


さようなら。


長年仕えた家を静かに出て、一人呟く。


ゆっくりと町の石畳を踏みしめ、ポケモンセンターに向かう。

視界が多少ぼやけているのは、寝ぼけているせいかしら……。




日付が変わるまで、あと1分。

 ▼ 44 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:49:10 ID:zPQ8pzMs [5/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
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今宵はファンの女性から沢山のチョコレートが届いておりますが、ズバリ今のお気持ちは?!



俺は今、100連勝達成を祝うインタビュアーたちから質問攻めにされている真っ最中。

そんな中、一つの質問が、俺の心をざわつかせた。

なんだ、このざわめきの正体は……?


インタビュアー「カルムさん?」


フリーズしている俺を見かねたかインタビュアーの人が返答を促してくる。

まあいいか。まずは目の前の質問に答えないと。


カルム「いや……正直びっくりしてますね。
今までバレンタインデーにこんな沢山のチョコやハートスイーツを受け取ることなんて、一度も…………」



カルム「……………………!!!」
 ▼ 45 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:52:53 ID:zPQ8pzMs [6/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

刹那、カルムの背中に電流が走った。


カルム「すみません! 急用を思い出しました!

道を開けろ!!!!」


インタビュアーたち「「「「?!」」」」


突如豹変したカルムの姿に困惑したか、動揺するインタビュアーたちを尻目にカルムは会場から駆け出した。



なんで。俺はどうして。

どうして忘れていたんだ。

俺をずっと支えてくれていた人の存在。

現状に浮かれて、それを完全に忘れていた。

くそっ、俺という人間は……!!
 ▼ 46 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 00:56:29 ID:zPQ8pzMs [7/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

カルム「ファイアロー!!」


バトルハウスを飛び出したカルムは鬼気迫る表情でボールを宙に放り、相棒を呼び出す。

主の只ならぬ表情から何かを読み取ったファイアローはすぐにカルムを乗せて飛び立つ用意に入った。



カルム「コボクタウンへ!!」



言い終わらない内にファイアローは飛び立った。

その刹那。




カチッ。




キナンシティの大時計の長針が、進んだ。


日付が、変わった。
 ▼ 47 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 01:05:05 ID:zPQ8pzMs [8/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

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時間とは、どこまでも正確かつ残酷なものだ。


彼女は既にものをポケモンセンターに預け終え、広場の噴水に腰掛けて、「その時」が来るのを待っていた。

いや、待っていたというのは正確ではない。

どちらかといえば招かれざる客だ。

しかし、時間は淀みなく流れ、そして ーーー



カチッ。



ーーー 日付が、変わった。



「さようなら」



彼女は一人呟き、コボクタウンの東へと向かう。
 ▼ 48 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 01:06:46 ID:zPQ8pzMs [9/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

見送りや別れを惜しむ人の存在、そして相棒となるポケモンさえもいないが、これもまた立派な旅立ちには違いなかろう。


彼女は5番道路の闇に溶けて、消え失せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ▼ 49 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 01:09:50 ID:zPQ8pzMs [10/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

カルム「頼む……間にあえっ……!!」


ファイアローの全速力の飛行で時折振り落とされそうになるが、今はとにかく急ぐしかない。

取り返しがつかなくなるまえに。



カルム「まだ……待っていてくれたのなら……!!」



どんなに間が空いた日でも、カルムが訪れた時には決まってあの家の明かりはついていて。

そして彼女がいて。

これだけ間が空いてしまったが故にもう彼女は待ってはいないかもしれない。


それでも。

最後の最後まで希望を捨てるわけにはいかなかった。



カルム「……っ! 着いた!」
 ▼ 50 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 01:13:25 ID:zPQ8pzMs [11/20] NGネーム登録 NGID登録 報告


カルム「…………」


町に降り立った刹那、嫌な予感がした。

あの家の明かりが、消えている。



カルム「…………は、はは。そりゃ、まあ、そうだろう、けど、さ……」


ピョェ?



なんとなく嫌な予感が払拭できない。

理屈で説明できない何かに取り憑かれた彼はしばらくそのままその場に立ち尽くしていた。

怪訝な表情を浮かべているファイアローをねぎらったり、ボールに戻すことさえ忘れて。
 ▼ 51 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 01:20:16 ID:zPQ8pzMs [12/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

カルム「…………ふぅ」


思えばさっきまで激戦苦戦続きで今も無茶な飛行でここまで文字通り飛んできたのだ。

カルムは急に疲労感に襲われ、町の噴水に座り込んでしまった。


カルム「あ、お疲れ様ファイアロー。
ゆっくり休んでてくれ」


ファイアローをボールに戻す。



カルム「夜が明けたら……彼女に会える、よな」



何も知らないカルムは迫り来る睡魔に抗うことができず、そのまま居眠りのような形で寝落ちしてしまった。
 ▼ 52 ドテッコツ@いいつりざお 17/02/15 09:33:57 ID:Kmi4yYHE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
文章がとても綺麗、儚さが伝わってくる。
イケメンカルム良いわ、カルムのファイアローはようきな性格に間違いないな。
 ▼ 53 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:05:40 ID:zPQ8pzMs [13/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、夜が明けて ーーー


カルム「ん……あ、朝か」


ーーー 彼は目覚める。

失ったものの存在を知らずに。


カルム「いってて……」


変な体勢で寝たいたせいに違いない。

全身が痛む。日はとっくに高くなっていた。


カルム「ポケモンセンターで休むか……」


思えば睡眠も食事もポケモンの休息もまともに取れていなかった。


カルム「追っ手は後でどうにかするとして……」


ひとまずポケモンセンターに向かうことにした。
 ▼ 54 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:09:47 ID:zPQ8pzMs [14/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
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コボクタウン ポケモンセンター

ジョーイ「おはようございます、ポケモンセンター…………あっ、もしかしてカルムさんでしょうか?」


ポケモンセンターに入った刹那、ジョーイさんに声をかけられる。

ああ、昨日のテレビ局の追っ手が来ているのだろう。

そのくらいにしか思っていなかったから ーーー


カルム「はい。俺がカルムです」


ーーー 普通に名乗ることにした。



おそらくロビーのどこかに追っ手がいるのだろう。

どう謝罪したものかな……。


しかし、カルムの予想は大きく外れた。

 ▼ 55 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:14:50 ID:zPQ8pzMs [15/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョーイ「実は、カルムさん宛の小包みを預かっていまして ーーー」


何?

昨日の時点では、俺がキナンシティにいるのは確定事項。

俺に何かを渡したいのならわざわざポケモンセンターを介する必要がない。

飛行ポケモンに頼んで運んで貰えばいいだけの話なのだから。


ジョーイ「はい、これがその包みです」

カルム「ありがとうごさいます」


色々と不自然だ。

気をつけて開封する必要があるかもしれない。

そうだ ーーー


カルム「出てきて、ファイアロー」

ピョェ?

ーーー 勘の鋭いファイアローなら匂いなどで危険を察知できるかもしれない。
 ▼ 56 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:18:28 ID:zPQ8pzMs [16/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

しかし、ファイアローの行動は予想外のものだった。


ピョェ……ピョェェェエエ!!!

カルム「な、何してるんだファイアロー?!」


ファイアローは包みを見た刹那目を輝かせて包みを突き破らんばかりの勢いで突撃する。


カルム「こ、こら! 乱暴に扱うなよ!」


俺は急いでファイアローから包みを取り上げる。

しかしそんなことではファイアローは諦めない。

何度も何度も、突撃してくる。

あー、もう仕方ない!


カルム「わかった、わけてやるか……………

……………………え?」

 ▼ 57 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:22:29 ID:zPQ8pzMs [17/20] NGネーム登録 NGID登録 報告

俺は、気づいてしまった。


ファイアローがここまで執着するものなんて、世界に一つしかない。


俺の推理が間違ってなければ、「それ」がこの包みの中にある。


そして、「それ」がわざわざポケモンセンターに預けられていた意味。



カルム「嘘だろっ………?!」



大慌てで包みを開いた。

中には五つのハートスイーツと、一通の手紙。



カルム「…………っ!!」



ハートスイーツを一つファイアローに放りつつ、手紙を急いで開いた。
 ▼ 58 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:26:07 ID:zPQ8pzMs [18/20] NGネーム登録 NGID登録 報告




『この手紙を読む頃には……私はもうこの町にはいないでしょう。


それとも、私のことなどとうに忘れ去られてしまっているでしょうか。


私の想いは全て、ハートスイーツに込めました。


どうか、受け取ってください。


私は当てなき旅に出ます。


お互い、元気で生きていれば。


またいつか、どこかで会うこともあるでしょう。


………………さよなら』
 ▼ 59 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:29:45 ID:zPQ8pzMs [19/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
カルム「…………あ、ああ…………!!」


何度も何度も、手紙を読み返した。

そして悔いた。

俺の犯してしまった過ちを。

覆水盆に返らず。


そんな俺を尻目に、ファイアローは二つ目のハートスイーツに飛びかかっていた。

俺にはもはや、それを止める気力すらない。


カルム「……………!!!」


俺はポケモンセンターを飛び出した。

そして、さほど広くもないコボクタウンを隅から隅まで探した。

でも。

俺が会いたい人の姿は、どこにもなかった……。


〜The end〜
 ▼ 60 後書きだよ◆zFLCCAWaiw 17/02/15 13:34:04 ID:zPQ8pzMs [20/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ここまで読んでくださった方に感謝を。


今回は『モブ×主人公、すれ違う想い』をテーマに書いてみました。

初めて恋愛もの書いてみましたが、難しいですね。


このSSとは全然関係ないですが
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=468623
今書いてるSSです、よろしければ、どうぞ。


それでは、またお会いしましょう。
 ▼ 61 ガチゴラス@かなめいし 17/02/15 22:27:57 ID:mw.ICjxw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙コアラ
 ▼ 62 ムウマ@メトロノーム 17/02/15 22:37:12 ID:Kmi4yYHE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
乙です!
栄光の代わりに大事な人を失ったカルム、再会できることを願います。
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