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SS

【SS】ガブリアス「や、やっちまった……」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 15:00:24 ID:wIXUSBUs [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


とある街のはずれでその事件は起こった……




一匹の若いガブリアスの前に、頭から血を流したフライゴンの死体が転がっている……


ガブリアス「や、やべぇ……お、俺は悪くねぇぞ!!」
 ▼ 43 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 21:38:09 ID:wIXUSBUs [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
   
ガブリアス「おっ、出来たか」


ガブリアスはタイマーを止めると二つのカップ麺をコタツに運んだ。


フライゴン「やっと出来たか……じゃあ俺豚骨貰うから」

ガブリアス「そうか、じゃあ俺は味噌でいいや」


二匹はカップ麺の蓋を開けると割り箸で麺をすすった。


ガブリアス「うん、久しぶりに食べたけどやっぱりうまいな! ところでどうだ? 幽霊でもカップ麺は食えるのか?」


ガブリアスがフライゴンを見ると……フライゴンは俯いたまま黙り込んでいた……
 ▼ 44 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 21:42:08 ID:wIXUSBUs [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「……」

ガブリアス「ん? おい、どうした?」


フライゴン「っ! な、なんでもねぇよ!!」


フライゴンは勢いよく麺をすすって……むせた。


フライゴン「ごはっ!! ぶへっ!!」

ガブリアス「そんなに急いで食べなくても……」

フライゴン「けほっ……けほっ……」


フライゴンは終始俯いたままカップ麺を食べ……食べ終えるとその場に寝転がった。


フライゴン「もう寝るから……起こすなよ」

ガブリアス「は、はぁ……」
 ▼ 45 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 21:46:12 ID:wIXUSBUs [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスが遅れてカップ麺を食べ終えると……部屋は静寂に包まれた……


ガブリアス「(なんか……気まずいな……)」


ガブリアスが掛け時計に目をやると……時計は7時をさしている。


ガブリアス「(まだこんな時間か……)」


ガブリアスはテレビのリモコンに手を伸ばして……やめた。


ガブリアス「(テレビをつけたらこいつが起きちゃうか……)」


ガブリアスは立ち上がると食べ終えたカップ麺のカップをキッチンに持って行った……




 ▼ 46 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 22:01:14 ID:wIXUSBUs [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

部屋が静かになると……先程まで聞こえてこなかった様々な音が聞こえてきた……

外からは風の音や車の走る音……酔っ払いの話し声……救急車のサイレンの音も聞こえる……

隣の部屋からは微かに笑い声が聞こえてきた……バラエティー番組でも見ているのだろうか?


ガブリアス「(仕方ない、音楽でも聞くか……)」


ガブリアスがコタツの上に出しっぱなしのウォークマンに手を伸ばしたその時……どこからか変な音が聞こえた……


ずす……ぁ……っぐ……


ガブリアス「(……? 何の音だ?)」
 ▼ 47 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 22:05:53 ID:wIXUSBUs [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは微かに聞こえる音の方に目をやった……


音はフライゴンから聞こえている……

よく見るとフライゴンの肩が震えているのがわかった。


ガブリアス「(泣いてるのか……?)」


フライゴンの顔を恐る恐る覗きこむと……フライゴンは涙を流しながら眠っていた……


ガブリアス「(……なんで泣いてるんだ?……まぁ、今俺に出来るのは……)」


ガブリアスはコタツから出ているフライゴンの体にそっと毛布をかけた……


ガブリアス「(幽霊でも風邪引くかもしれないからな……)」

 ▼ 48 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 22:09:28 ID:wIXUSBUs [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは再びコタツに入るとウォークマンの電源を入れてヘッドホンを頭にかけた。


ヘッドホンからお気に入りの曲が流れ始める……


ガブリアス「これからどうなるんだろうな……」

ガブリアスはそう呟くと近くのダンボール箱からオレンの実を一つ取り出して食べ始めた……



しんと静かな部屋に……フライゴンのすすり泣く声とガブリアスがオレンの実を食べる音だけがしていた……



続く

 ▼ 49 1◆v1GnTfaqxg 17/02/23 22:11:53 ID:wIXUSBUs [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一話おわり

とりあえず書きためてはあるんですが……これから用事が沢山あるので更新は遅くなりそうです……

では
 ▼ 50 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 11:33:16 ID:ffLTWaLA [1/70] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

第二話 わがまま×過ち=ニート



……ぃ…………おい!




フライゴン「起きろ!!」

ガブリアス「……んぁ?」


ガブリアスはフライゴンに揺すられて目を覚ました……

どうやら自分はコタツで音楽を聴いたまま寝ていたようだ……


フライゴン「俺が触っても起きないって……お前熟睡しすぎだろ!」

ガブリアス「ご、ごめん……」
 ▼ 51 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 11:37:02 ID:ffLTWaLA [2/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスはヘッドホンを外して時計を見た。


ガブリアス「えーっと……あれ? まだ朝の5時?」

フライゴン「早く俺の死体を埋めに行くぞ! 朝早くじゃないと誰かに見られるだろ!」


フライゴンは自分の死体を持ち上げた。


ガブリアス「あ……そうか……」


ガブリアスは寝起きでぼーっとしている頭に鞭打ってなんとか立ち上がった。


フライゴン「おい、そっち持て!」

ガブリアス「わかった」


二匹はフライゴンの死体を持ち上げると部屋の外に向かった……

 ▼ 52 ッシブーン@やみのいし 17/02/24 11:41:27 ID:B5HUOqas NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 53 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 11:42:55 ID:ffLTWaLA [3/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

201号室前 廊下


外に出ると、まだ真っ暗な冬空に星が輝いていた……

突然氷のように冷たい風が二匹を襲った。


フライゴン「うぐぅ!! さ、寒い!!」

ガブリアス「寒さのおかげで一発で目が覚めた……とりあえずどこに埋めようか……」

フライゴン「どどどどどこでもいいから!! そうだ! 近所にももも森があっただろ! そこでいいから早く行くぞ! 凍え死ぬっ!!」


ガタガタと震えているフライゴンを見てガブリアスは201号室に戻っていった。


 ▼ 54 ンニュート@フラットコール 17/02/24 11:44:54 ID:ACGS3kY. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しぇーん
 ▼ 55 ムスター@カプZ 17/02/24 11:46:12 ID:Dk86g7aU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うまく言えんけど地の文の雰囲気がすこ
 ▼ 56 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 11:50:23 ID:ffLTWaLA [4/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
フライゴン「お、おい!! 俺を置いてどこに行くんだよ!! 殺すぞ!!」


フライゴンがドンドンと扉を叩いていると……すぐに扉が開いてガブリアスが出てきた。


ガブリアス「これ使えよ。俺のサイズだからピッタリとはいかないだろうけど……」


ガブリアスはコートとマフラーを差し出した。


フライゴン「!……な、なんだよ……お前はいいのか?」

ガブリアス「俺は……どっちかって言うと暑がりだし……動いてるうちにあったまるからいいんだ」


フライゴン「……」

フライゴンはガブリアスから受け取った防寒具を身につけた。


ガブリアス「おっ、なかなか似合ってる」

フライゴン「う、うるさい! そんな事より早く行くぞ!」

ガブリアス「おう」


二匹は暗闇の中、フライゴンの死体を持ち上げて近所の森に向かって走り出した……
 ▼ 57 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 11:58:29 ID:ffLTWaLA [5/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

二匹はまだポケモンの通りの少ない真っ暗な街をこそこそと進み……なんとか街外れの森までやってきた。


先程まで輝いていた星が消えて……空は少しずつ明るくなり始めている……




街外れの森……



フライゴン「やっとここまで来たか……」

ガブリアス「だ、誰にも見つかってない……よな?」

フライゴン「多分な……って別に俺は何も悪くないのになんで俺までこそこそと……そもそもお前が全部……」


ガブリアス「……ご、ごめん」

フライゴン「謝ってる暇があるならさっさと穴を掘って死体を埋めろ!!」


ガブリアス「わ、わかってる」



ガブリアスは近くの大木の下に両手を使って深く穴を掘り始めた……
 ▼ 58 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:03:15 ID:ffLTWaLA [6/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


数分後……



ガブリアス「よしっ! これくらいでいいか?」

フライゴン「まぁ……こんなもんだろ」


二匹はガブリアスの掘った深い穴の中にフライゴンの死体を落とした。


ドサッ


フライゴン「……なんか変な気分だな……俺が俺自身を埋葬するって……」

ガブリアス「とりあえずこれで心配事は一つ減ったな……」


二匹はフライゴンの死体に土をかぶせた。


 ▼ 59 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:08:43 ID:ffLTWaLA [7/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「……」


土をかぶせ終えると……フライゴンは自分を埋めた場所をじっと見つめた……
  

ガブリアス「誰かに見つからないといいけど……」

フライゴン「ま、大丈夫だろ。それよりこれからの話だが……」


ガブリアス「……これからの事、決まったのか?」

フライゴン「まだ具体的には決まってないんだが……まずはこれから俺の家について来て欲しい」

ガブリアス「お前の家に?」

フライゴン「ああ、暇潰しにやるゲームをお前の家に持ってくから……お前も運ぶのを手伝え」


フライゴンは歩き出した。


ガブリアス「あんまり広い部屋じゃないから沢山持ってくのは勘弁してくれよ……」


ガブリアスもフライゴンの後について行った。
 ▼ 60 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:15:58 ID:ffLTWaLA [8/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ポケモンの通りがほとんどない街外れの小さな家の前でフライゴンが立ち止まった。


フライゴン「……ここだ」

ガブリアス「ここがお前の家か? 一匹で暮らしてるにしてはいい家だな……手入れはしてないみたいだけど」


フライゴンの家は小さいながらもそれなりにしっかりとした家だったが……庭には草がぼうぼうとはえていて……家の外壁には蔦が這っていた……


フライゴン「細かい事は気にするな。行くぞ」


フライゴンは鍵を開けて家の中に入った。


ガブリアスもフライゴンの後に続いた……
 ▼ 61 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:24:45 ID:ffLTWaLA [9/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンの家



家の中は埃が酷かった……


ガブリアス「げほっ! げほっ!……掃除とかしないのか? 埃っぽくてくしゃみが……」

フライゴン「いちいちうるさいな……」


ガブリアス「それよりトイレ貸してくれないか? 朝起きてからトイレ行ってないし……」

フライゴン「えっと……トイレはだな……」

ガブリアス「ここか?」


ガブリアスは適当な扉に手をかけた。


フライゴン「っ!! そ、そこは開けるな!!」

ガブリアス「え?」


フライゴンが呼び止めた時には……もう既にガブリアスは扉を開けていた……
 ▼ 62 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:29:15 ID:ffLTWaLA [10/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「っ!! ……な、なんだよ……これ……」


ガブリアスはその部屋の中を見て言葉を失った……

ガブリアスの開けた部屋には……



天井から伸びた一本のロープと……椅子が一つ、近くに転がっていた……



ガブリアス「こ、これって……自……」

フライゴン「この事は忘れろ……トイレはこっちだ」


フライゴンはその冷たい手でトイレまでガブリアスを押していった……


ガブリアス「え、……あ、うん」


フライゴンはトイレの扉を開けるとガブリアスを中に押し込んだ。
 ▼ 63 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:35:59 ID:ffLTWaLA [11/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

廊下は再び静けさを取り戻した……

フライゴンは呼吸を整えると再び先程の部屋を覗いた……



部屋の中からは埃っぽい匂いと……微かに腐臭がした……



フライゴン「……」

フライゴンは黙って扉を閉めた。


その時、ガブリアスがトイレから出てきた。


ガブリアス「え、えっと……」

フライゴン「こい、こっちだ」

フライゴンは二階へと続く階段を登っていった……


ガブリアス「……」


ガブリアスも恐る恐るフライゴンについて行った……
 ▼ 64 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:46:23 ID:ffLTWaLA [12/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

二階へと続く階段を上り……廊下の突き当たりでフライゴンは立ち止まった……


フライゴン「ここが俺の部屋だ」


フライゴンが扉を開けると……その部屋の床には空き缶やペットボトル、お菓子の袋が散乱していて……大きな棚には数え切れない程のゲームソフトの箱がぎっしりと詰まっていた……


モニターからは沢山のケーブルが延びていて……それらは全てゲーム機に繋がっている……


ガブリアス「な、なんだ? この部屋は……」

 ▼ 65 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:51:04 ID:ffLTWaLA [13/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは床に散乱しているゴミやケーブルを器用によけて歩き、薄汚れたベッドの上に座った……


フライゴン「……よし、じゃあ持ってくゲームを選ぶか……」

ガブリアス「ちょ、ちょっと待ってくれ」


フライゴン「……なんだ?」

ガブリアス「さ、さっきの部屋の事なんだけど……」


フライゴンがガブリアスを鋭く睨んだ……


フライゴン「その話はするな」

ガブリアス「だけど……」


バスっ!!


フライゴンはベッドを殴りつけた。


フライゴン「その話はするなって言ってるだろ!!」
 ▼ 66 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 12:55:27 ID:ffLTWaLA [14/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「!!……ご、ごめん……でも」


フライゴンはガブリアスを少しの間見つめると……すぐに目をそらした……


フライゴン「わかったよ……話せばいいんだろ?」


フライゴンはベッドに寝転がると呟いた……



フライゴン「……あの部屋でかーちゃんが自殺した」



ガブリアス「!!」


フライゴン「昨日も言っただろ? 俺には家族はいないって……」

ガブリアス「……」
 ▼ 67 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:02:11 ID:ffLTWaLA [15/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは寝転がったまま、部屋の天井を見ながら……ぽつり……ぽつりと語り出した……
 


フライゴン「俺は……生まれてからずっとこの家で、かーちゃんと二匹で暮らしてきた……」


フライゴン「とーちゃんは俺が物心ついた時にはいなかった……俺が生まれてすぐにかーちゃんと喧嘩して出て行ったんだって聞いた……」


フライゴン「俺の家は……貧乏だったから、ゲームが欲しくてもなかなか買って貰えなくて……それで学校でもゲームを持ってない事を理由に仲間外れにされた……」


フライゴン「それから俺は……ずーっと友達のいない……いわゆる『ぼっち』って奴だった……」

 ▼ 68 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:07:18 ID:ffLTWaLA [16/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「学校に行くのが嫌で嫌で……それでもなんだかんだで普通の大学まで行ったんだが……途中で我慢出来なくなって家に引きこもるようになった……」


フライゴン「かーちゃんは毎日俺の部屋の前で泣きながら出て来いだの何だの言ってドアを叩いてたっけな……俺はそんなかーちゃんに毎日怒鳴り散らしてた……」


フライゴン「そんな日が一年くらい続いたある日だ……かーちゃんの声がパタリと聞こえなくなった……」


フライゴン「最初は静かになって喜んでたけど……急に不安になって家の中を探したら……さっきの部屋でかーちゃんが首を吊っていたって訳だ」
 ▼ 69 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:13:43 ID:ffLTWaLA [17/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「かーちゃんの足元には通帳が落ちてた……中にはそれ程な金は入ってなかったけど……それでも俺からしたら十分遊べる金額だった……」


フライゴン「俺はその金でゲームを買い漁った……ガキの頃に買って貰えなかった分をな……」



フライゴンは机の上にのっていた通帳を手に取り、ガブリアスに投げて渡した。


ガブリアスが通帳を見ると……その通帳にはかつて、数十万円が入っていた履歴があったが……既に残高は全て無くなっていた……


ガブリアス「お前……これでよかったのか?」


フライゴン「後悔はしてねぇよ……むしろかーちゃんに腹が立つくらいだ……こんなに金があるならガキの頃、俺にゲームを買ってくれたら俺はこんな目に……」
 ▼ 70 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:23:19 ID:ffLTWaLA [18/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは暫く通帳を見つめていたが……


ガブリアス「……俺はどうもお前には同意出来ないな」

フライゴン「あぁ? リア充のお前に何がわかるんだよ!!」


ガブリアス「なんでお前は……お前の母さんの優しさに気づけないんだよ……」

フライゴン「あ? 優しさだ? 俺を『ぼっち』にする事が優しさだって言うのか!?」

ガブリアス「違う、そんな事じゃない」

フライゴン「じゃあ何だってんだよ!!」


ガブリアス「今の話じゃ……お前の母さんは一匹でお前を養ってくれてたみたいだな……誰かを養うってのはすごく金がかかる事だ。だからギリギリの生活になっても仕方ない……」

フライゴン「俺が悪いってのかよ!!」


バスっ!!


フライゴンがまたベッドを殴りつけて埃が宙を舞った……


 ▼ 71 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:29:14 ID:ffLTWaLA [19/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「お前はゲームを持ってない事を理由に仲間外れにされたって言ったけど……本当にそうなのか?」


フライゴンはその言葉に少し動揺した……


フライゴン「ほ、本当に決まってるだろ!」

ガブリアス「お前と出会ってまだ2日だけど……俺はこう思う。お前は……ゲームなんかじゃなくて、その性格がもとで仲間外れにされていただけじゃないのか? それをゲームや母さんのせいにしているだけじゃないのか?」


フライゴン「!!」



その言葉を聞いたフライゴンは呼吸がだんだんと荒くなり……胸を右手でえぐるように握りしめた……


そして、ベッドに勢い良く頭を叩きつけると布団をかぶった。



フライゴン「あああああああああああああ!!!!」




フライゴンの頭にいつかの記憶が蘇った……
 ▼ 72 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:32:24 ID:ffLTWaLA [20/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ナックラー「おい! お前ら俺と遊ぼうぜ!」


マネネ「えー……やだよ、ナックラー君わがままだし……」

ナックラー「はぁ? わがままだって!? 遊んでくれないお前の方がわがままだろ!!」


ナックラーはマネネの腕に噛みついた。


マネネ「痛い! 痛いよぉ!!」

コリンク「た、大変だ! 誰か先生呼んできて!!」



 ▼ 73 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:33:10 ID:ffLTWaLA [21/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告











あの日、あんな事をしたばっかりに……全てが狂いだした……








 ▼ 74 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:35:17 ID:ffLTWaLA [22/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




あの子と関わらない方がいいよ? わがままだし……



何あいつ……一匹で弁当食ってる……きっも……



なんであいつ学校に来てるの? 友達もいないくせに……



あいつって本当ゴミみたいだよね……これからフライゴミって呼ぶ?





 ▼ 75 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:41:55 ID:ffLTWaLA [23/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



布団から消えてしまいそうな程小さな声がした……



フライゴン「俺は……確かにわがままだ……認めたくないけど……俺が一番よく知ってる……」


ガブリアス「……」


フライゴン「だけど、この世界はあまりにも理不尽だった……周りのポケモンは友達がいないってだけで俺の事をみんなしていじめた……俺は……俺はただ、みんなと仲良くしたかっただけなのに……」


フライゴン「家に帰るたびにかーちゃんは『今日は楽しかった?』とか聞いてきて……俺はいつもカッコつけて、いもしない友達と遊んだって話してた……友達がいないなんて……学校で虐められてるなんて言えなかった……」


ガブリアス「……」


フライゴン「そんな日がずっと続いて……俺は我慢できなくなった……大学に入ってもすぐに辞めて家にこもった……」


フライゴン「それからはさっき言った通りだ……」


ガブリアス「……そうか」
 ▼ 76 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:47:12 ID:ffLTWaLA [24/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは足元のケーブルにつまずきながら、ゆっくりとフライゴンのもとに近寄った……


ガブリアス「お前は……母さんからの最後のメッセージに気づいてなかったのか……?」


フライゴン「最後の……メッセージ?」


布団から顔を出したフライゴンにガブリアスは通帳を突きつけた。


フライゴン「通帳がどうかしたのか? そいつの中身はもう空っぽ……」

ガブリアス「中身じゃなくて……こっちだ」


ガブリアスは通帳の裏表紙を見せた。


フライゴン「!!」


そこには……フライゴンの母からの手書きのメッセージが書き記してあった……

 ▼ 77 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:52:55 ID:ffLTWaLA [25/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンへ



まずはごめんね……こんな事になって……


お母さんがお父さんと離婚なんてしなかったら……きっとこんな事にはならなかったのにね……お金にも困らなかったのにね……


実は……ずっと隠してたんだけど……私は癌で先は長くはありませんでした。


治療をしてもお金がかかるだけ……今より生活が苦しくなるなら……あなたのために私は……


この通帳の中のお金はあなたが生まれてからずっとあなたの将来の為に少しずつ貯金していたものです。


自由に使ってください。


最後の最後に顔を合わせる事もなく、あなたにこんな文章だけで全てを伝えた事を許して下さい。


私は……向こうに行ってもあなたを愛しています。

母より
 ▼ 78 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 13:58:41 ID:ffLTWaLA [26/70] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

フライゴンは震える手で通帳を受け取った……


フライゴン「ぁぁ……お、俺は……俺は何てことをしてしまったんだ……」


フライゴンの目から涙が溢れて通帳に落ちた……


フライゴン「俺は……なんてクズなんだ……」


ガブリアス「お前の母さんからのメッセージは……ちゃんとお前の心に届いたか?」


フライゴン「ああ……だけど今は……もう少し時間をくれ……」


ベッドに横たわり、残高の残っていない通帳をぎゅっと抱きしめているフライゴンの隣にガブリアスが座った……


ガブリアス「時間なんていくらでもある……泣きたいだけ泣けばいいさ……」


ガブリアスのその言葉にフライゴンの感情が爆発した……

布団に顔をめり込ませて大声で泣くその姿は……まるで、生まれたての赤ん坊のようだった……

続く
 ▼ 79 ッタイシ@きんのはっぱ 17/02/24 14:35:31 ID:vGjsejxU NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援。
 ▼ 80 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:16:18 ID:ffLTWaLA [27/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

第三話 成仏×覚悟+優しさ





太陽が空高く昇って街外れを優しく照らし始めた頃……

二匹はフライゴンの家を後にし、肩を並べて街外れを歩いていた……



フライゴンは少し赤く腫れた目をこすった。


フライゴン「……目が痛い」

ガブリアス「まぁ、あれだけ泣いたからな……それより良かったのか? ゲームを持ってくために家に寄ったのに……」

フライゴン「かーちゃんに申し訳なくて遊べねーよ……」
 ▼ 81 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:18:05 ID:ffLTWaLA [28/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、フライゴンが急に立ち止まった。


フライゴン「……なぁ」

ガブリアス「ん? どうした?」

フライゴン「俺……かーちゃんに謝りたい」


ガブリアスは微笑んだ……


ガブリアス「うん……それでいいんじゃないか?」



 ▼ 82 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:24:50 ID:ffLTWaLA [29/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「……あれ? そういえば……俺って本当に死んでるんだよな?」


ガブリアス「え? そうじゃないのか?」


フライゴン「死んだら天国とか地獄とかに行くんじゃないのか?」


ガブリアス「あ……確かに」


フライゴン「なんで俺は……この世界にまだいるんだ?」


ガブリアス「えっと……それを俺に聞かれてもだな……」


その時、どこからか声が聞こえた……


?「おい、そこの若者達よ……」


ガブリアス「え? 誰だ?」


二匹が辺りを見渡すと……すぐそばのビルとビルの隙間で壁にもたれて座る、薄汚い赤い体のポケモンがいた……
 ▼ 83 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:32:05 ID:ffLTWaLA [30/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「……何かようか?」

?「ああ……」


その赤い体の老いたポケモンはワンカップ酒を啜った……


?「わしはハッサム……そこの緑のあんちゃんに話がある……」

フライゴン「え? 俺?」


ハッサム「先程の話は聞かせてもらった……あんちゃん、あんた死者なんだってな……」


二匹「!?」

 ▼ 84 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:38:09 ID:ffLTWaLA [31/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「ヤバい!! 聞かれてた!!」

フライゴン「まて、このおっさんは酒を飲んでる……ただの酔っ払いだ。大丈夫、すぐに忘れるだろ」

ガブリアス「!……そ、そうだな」


ハッサムは遠い目を空に向けた……


ハッサム「いや、意識ははっきりしてるさ……死んだポケモンには酒の味なんざわからないからな……」

ガブリアス「え? 死んだポケモン?」

ハッサム「そうだ……わしもあんちゃんと同じで死んでるんだ……」


二匹「!?」

 ▼ 85 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:46:18 ID:ffLTWaLA [32/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「し、死んでる……?」


ガブリアスがハッサムに触れようとすると……腕がハッサムの体をすり抜けた……


ハッサム「ああ、二十年近く前にちょっとあってな……それよりさっきの話……あんちゃん、あんた成仏したいのか?」


フライゴン「……成仏?」


ハッサム「死んだ後、いわゆる天国って所に行く事さ……」

フライゴン「!……おっさんは知ってるのか? その……成仏する方法を……」


ハッサム「知ってるさ……死んで長いからな……」

 ▼ 86 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 16:54:32 ID:ffLTWaLA [33/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「お、教えてくれ!! どうすれば成仏できるんだよ!!」


ハッサムはまた、ワンカップ酒を啜った……


ハッサム「普通に死んだポケモンなら……あんちゃんやわしみたいに現世にいつまでもいる事はないんだ……」

ガブリアス「じゃあ、なんでこいつは?」


ハッサム「現世でやり残した事があるんだ……そのやり残した事を達成出来た時、あんちゃんは晴れて成仏出来るって訳だ」


フライゴン「やり残した……事……?」


ハッサム「そうだ。この世をさまよう魂は皆、成仏するために自分のやり残した事を達成しようとする……だが……」

ガブリアス「だが?」

ハッサム「ほとんどのポケモンが達成出来ずにいつまでもこの世をさまよい続ける事になる……わしもその一匹だ……」



 ▼ 87 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:09:47 ID:ffLTWaLA [34/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「おじさんも?」


ハッサム「ああ……そして、いつまでも成仏出来ない者は……生きているのか死んでいるのか……だんだんとわからなくなって……そして、最後は気が狂い醜い化け物になってしまうと言われている……」

フライゴン「!!……お、俺もいずれ化け物に……!?」

ガブリアス「それよりおじさんは大丈夫なのか!? さっき二十年前に死んだって言ってたけど!?」


ハッサム「……所詮噂だからな……まぁ、もしかすると……もう化け物になっているのかもしれないがな……」


フライゴンはその場に崩れ落ちた……

フライゴン「嫌だ!! 俺は化け物になんかなりたくない!! かーちゃんに謝れないなんて嫌だ!!」

 ▼ 88 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:17:04 ID:ffLTWaLA [35/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「……どうにかならないかな……おじさん」


ハッサムは哀れむような目でフライゴンを見つめた……


ハッサム「あんた、助けたいのか? このあんちゃんを……」


ガブリアスは静かに頷いた……


ハッサム「なら、手伝ってやれ……あんちゃんの夢を……願いを叶えてやれ……」

ガブリアス「夢を……叶える……」

ハッサム「そうだ、生きているあんたが手伝ってやれば……簡単ではないが、夢の1つや2つくらい叶えてやれる」


ガブリアスはしばらく黙っていたが……やがて覚悟を決めたように拳を握りしめた……


ガブリアス「……わかった。俺が手伝ってやる」


 ▼ 89 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:22:09 ID:ffLTWaLA [36/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンが顔を上げた。


フライゴン「い、いいのか?」


顔を上げたフライゴンにガブリアスが笑いかけた。


ガブリアス「何言ってるんだ? そもそも俺のせいでこんな事になってるんだから……当たり前だろ?」


フライゴンはガブリアスから目をそらすと小さくつぶやいた。


フライゴン「……お前、リア充だけどいい奴なんだな」

ガブリアス「そりゃどうも。それより今日はもう帰ろうか……やる事は終わったし……」

 ▼ 90 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:28:48 ID:ffLTWaLA [37/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「おじさん、情報ありがとう」


フライゴン「おっさん……その……あんたも成仏出来るといいな」

フライゴンは立ち上がるとハッサムに背を向けてボソッと言った……


ハッサムは空になったカップ酒のビンを置くと手を振った。


ハッサム「またな、若者よ……頑張れよ」


二匹は歩き出した……


ガブリアス「腹減ったな……昼飯は牛丼とかでいいか?」

フライゴン「お前の奢りなら何でもいいぞ」

ガブリアス「なんだよそれ!」


だんだん遠くなる二匹の背を見ながらハッサムはつぶやいた……


ハッサム「あの二匹なら出来る気がする……安心しろ、きっと成仏出来るさ……あんちゃん」
 ▼ 91 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:36:13 ID:ffLTWaLA [38/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


眩しい太陽が空のてっぺんに昇った頃……



二匹は吉野家の前で呆然としていた……


フライゴン「おいおい……まじかよ……」


二匹の目の前には……吉野家から伸びる長蛇の列……


ガブリアス「まぁ、仕方ないよな……こんな日もあるさ……別の店を探そうぜ? えーっと……」


ガブリアスが辺りを見渡すと……吉野家の向かいに汚いラーメン屋があった。

 ▼ 92 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:42:27 ID:ffLTWaLA [39/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「あそこはどうだ?」

フライゴン「え? マジで言ってるのか?……こんな時間に誰も客がいないって……明らかな地雷だろ……」


確かに、そのラーメン屋には見た所誰もお客は入っていないようだ……


ガブリアス「でも……他の店もこの時間ならどうせ混んでるだろ? 朝飯食べてないから俺もう腹ペコでさ……それに、俺の奢りならなんでもいいって言ったじゃん」

フライゴン「……わかった……でも、どうなっても知らないからな?」

 ▼ 93 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 17:50:47 ID:ffLTWaLA [40/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹が汚いラーメン屋ののれんをあげて店に足を踏み入れると……店の奥から店主と見られるポケモンの声がした……


ガオガエン「……らっしゃい」


店主は店の奥で足を組んで椅子に座り、タバコを吸いながら新聞を読んでいる……


フライゴンが小声で言った。

フライゴン「お、おい……やっぱりやめとこうぜ? 気まずすぎる……」


ガブリアス「もう食えたらどこだっていいだろ?」

 ▼ 94 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 18:53:32 ID:ffLTWaLA [41/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは適当なカウンター席に座った。


フライゴン「……」


フライゴンも隣の席に座った。

すると、先程まで読んでいた新聞をゴミ箱に投げ捨てて店主が寄ってきた……


ガオガエン「……何にするんだ?」

ガブリアス「あ……えーっと……メニューは」


ガオガエンは顎で壁に掛かっている木製の札を見るよう促した。


ガブリアス「あ……そんな所に……じゃあ俺は醤油ラーメンで」

フライゴン「俺は昨日食えなかった塩ラーメン」


注文を聞き終えるとガオガエンは黙って調理場に向かった……


フライゴン「(無愛想だな……)」
 ▼ 95 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:00:05 ID:ffLTWaLA [42/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



注文をしてから二分程たった……まだラーメンは来ない……




二匹は何をするでもなく、辺りをキョロキョロと見渡している……


フライゴンは小声ガブリアスに話しかけた。


フライゴン「気まずすぎる……こんな事ならコンビニ飯が良かったんだが……」


ガブリアス「まぁそんな事言うなって」







 ▼ 96 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:09:25 ID:ffLTWaLA [43/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



そして、更に五分ほどたって……

やっと店主がどんぶりを二つ持ってきた……


ガオガエン「……おまち」


二匹の前にそれぞれが注文したラーメンが置かれた。

ガブリアスは割り箸を二つ取って一つフライゴンに渡した。


ガブリアス「ほら、割り箸……ん? どうした?」


フライゴンはラーメンを前にすすり泣いていた……


フライゴン「っぐ……ずす……」

ガブリアス「……昨日も泣いてたよな……何かあったのか?」
 ▼ 97 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:14:52 ID:ffLTWaLA [44/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンの涙がラーメンのどんぶりに落ちた……


フライゴン「実は……最後にかーちゃんと一緒に食べた飯が……ラーメンだったんだ……」

ガブリアス「そうだったのか……」

フライゴン「その日以来、俺はずっと一匹だったから……誰かと……お前とこうして一緒に飯を食ってるだけで何故か涙が出てくるんだよ……情けない話だけどよ……」


ガブリアスはため息をつくと割り箸を置いた。


ガブリアス「……情けなくなんかない」


フライゴン「……同情してくれるってのか?」


ガブリアス「同情って言うか……むしろ、羨ましい……かな」


 ▼ 98 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:19:19 ID:ffLTWaLA [45/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「羨ましい……?」


ガブリアス「……俺は誰かと一緒に飯を食べる事なんて当たり前だと思ってた……でも、お前にとってはそれが当たり前なんかじゃなくて……だけどさ、そんな風に皆が当たり前に思ってる様な事を幸せに感じるのってすごく羨ましくてさ……」


フライゴンはガブリアスを見ると涙を拭った。


フライゴン「なんだよ……リア充の分際で……」

ガブリアス「まぁ、これからは俺が一緒に飯を食ってやるからさ」

フライゴン「お前……」

 ▼ 99 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:26:36 ID:ffLTWaLA [46/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、フライゴンのどんぶりに麺がもう一玉入れられた……


フライゴン「え?」


二匹の前で店主のガオガエンが涙していた。


ガオガエン「いい友達じゃあねぇか……久しぶりに感動しちまった……そいつはサービスだ!」

フライゴン「おっさん……」


店主の優しさに触れ、またフライゴンの目に涙が浮かんだ……


ガブリアス「よかったな!」

ガオガエン「そんな事より早く食べないと麺が伸びちまうぞ!」

ガブリアス「そうだな。よし、食べようぜ!」

 ▼ 100 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:32:14 ID:ffLTWaLA [47/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは勢いよく麺を啜った。

ガブリアスとガオガエンはその様子を見て微笑んだ……


フライゴン「ぶほぉっ!!」


フライゴンは、また昨日のようにむせている……鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃだ……


ガブリアス「そんなに急がなくてもいいぞ?……ん?」


ガブリアスはフライゴンの異変に気づいた。

フライゴンはむせながらもガブリアスに目を向けている……まるで何かを訴えかけているように……


ガブリアス「(な、なんだ……?)」

ガオガエン「ほら、にいちゃんもさっさと食べな!」

ガブリアス「え、ああ……」
 ▼ 101 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:34:08 ID:ffLTWaLA [48/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガブリアスは割り箸で麺をすすった……

すると、なんとも言えない味が口の中いっぱいに広がった……



油の味しかしないスープ……


こしのないベチャベチャの麺……


不味い! 不味すぎる!!





 ▼ 102 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:39:31 ID:ffLTWaLA [49/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガブリアスは再びフライゴンを見た……

フライゴンは死にそうな顔をして麺をがっついている……


ガブリアス「(あ、あいつ……まさかこれを全部食べる気か!?)」


ガブリアスは店内を見渡したが……やはり、他には客はおらず……店主も二匹の前から動こうとしない……


ガオガエン「どうだ? うまいか?」

フライゴン「う、うまい……れす」

フライゴンは鼻水やよだれを垂らしながらそう言っているが……明らかにあのラーメンも不味いのだろうとガブリアスはすぐにわかった……


ガブリアス「(こ、こんな事ならコンビニ飯にしとけばよかった……)」


深く後悔しながら逃げられないと覚悟を決めるとガブリアスは箸をとった……
 ▼ 103 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:43:34 ID:ffLTWaLA [50/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


数十分後……





二匹はのれんをあげてラーメン屋から出た。


ガオガエン「また来てくれよ!」


二匹は振り返ると店主に黙って笑顔を返してそのまま逃げ帰るように走り出した。

 ▼ 104 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:47:54 ID:ffLTWaLA [51/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

近くの曲がり角を曲がると二匹はその場に崩れ落ちた。


ガブリアス「うぇ……まだ口の中に味が残ってる……」


フライゴン「だ、だからコンビニ飯でいいっていっただろ……っぷ」


ガブリアスは塀に手を突きながらフライゴンを見た……


ガブリアス「ご、ごめん……それにしてもお前……よくあんな量食べれたな……不味いのに……おぇ……」


フライゴン「お、俺だってびっくりしてる……でも、あんなに優しくしてもらったんじゃ……食べるしかないだろ? おえっぷ……」

 ▼ 105 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 19:51:00 ID:ffLTWaLA [52/70] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ガブリアス「本当すげぇな……この件についてはお前を尊敬する……ぐぇ」


フライゴン「そ、そうか……もう今日は帰ろうぜ……夜はコンビニ飯でいいから……うぷ」


ガブリアス「ああ……やっぱりコンビニが一番だ……」


二匹はヨロヨロと歩き出した……




そのラーメン屋は二匹が来店してから数日後……潰れ……る事はなく、激まずラーメン屋としてブレイクしたと言うのはまた、別のお話……



続く






 ▼ 106 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:07:30 ID:ffLTWaLA [53/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

第四話 夢=現状−プライド



コンビニで夕食を買った二匹は201号室に帰ってきた。


ガブリアス「やっと帰ってきたな……うっぷ……まだ口の中に味が残ってる……」


フライゴン「本当……全部お前のせいで……」

ガブリアス「だから悪かったって!」


フライゴンは部屋にあがるとコタツに入った。


フライゴン「あー……寒い……なんでコタツの電源切ってったんだよ……」

ガブリアス「そりゃ家を出る時は切るだろ」


ガブリアスはコタツに入って電源を入れると、近くのダンボール箱からオレンの実を二つ取り出して一つをフライゴンに投げて渡した。


ガブリアス「ほら、口直しにでも」

フライゴン「おう」
 ▼ 107 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:11:40 ID:ffLTWaLA [54/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

二匹はオレンの実を食べ出した……


フライゴン「……なぁ」

ガブリアス「……なんだよ?」


フライゴン「俺、あれからずっと考えてたんだけど……」

ガブリアス「何の事だ?」


ガブリアスはオレンの皮をむいてひょいひょいと口の中に放り込む……


フライゴン「あのおっさんに教えてもらった成仏ってやつ」

ガブリアス「あー……あの話な……お前の夢を叶えればいいんだよな?」


フライゴン「……らしいな」


ガブリアス「で? お前の夢って何なんだ? まずは教えてくれよ」
 ▼ 108 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:15:41 ID:ffLTWaLA [55/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンはオレンの実を食べ終えると俯いてオレンの皮をいじりだした……


フライゴン「え、えっと……」

ガブリアス「なんだよ……早く言えよ」


フライゴン「……わ、笑うなよ……絶対笑うなよ……」

ガブリアス「誰が笑うんだよ……笑ったらお前起こるじゃん」


フライゴンはそれでもオレンの皮をいじってしばらくうじうじしていたが……やがて覚悟を決めると重い口を開いた……


フライゴン「俺をリア充にしてくれ!!」


ガブリアス「り、リア充!?」

 

 ▼ 109 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:20:05 ID:ffLTWaLA [56/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



部屋の中に妙な空気が流れた……



フライゴン「だから馬鹿にするなって言っただろ!!」


フライゴンはコタツの中にこもってしまった……


ガブリアス「だ、誰も馬鹿になんてしてないって……でも……」


フライゴン「でもなんだよ!!」


ガブリアス「俺だって自分の事はリア充って思ってないし……そもそもリア充ってどんなのかよくわかってないんだけど……」


コタツがガタガタと動いた……コタツの中のフライゴンが暴れているらしい……


フライゴン「お前はどう見てもリア充なんだよ!! 俺なんかと違って充実した生活しやがって!!」


ガブリアス「はぁ……」
 ▼ 110 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:38:50 ID:ffLTWaLA [57/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

しばらくコタツはガタガタと動いていたが……やがて動きも止まって静かになった……

ガブリアスは小さくため息をつくとコタツを覗いた。


コタツの中からフライゴンがこちらを睨んでいる……


ガブリアス「そんなに怒るなよ……わかったから。俺、お前を……その……リア充にしてやるから」


フライゴン「!」


ガブリアス「でも、期待するなよ? 俺だってリア充ってのがどんなのかよくわかってないから……出来る範囲で手伝ってやる」


フライゴンはガブリアスから目をそらして小さく呟くように言った……


フライゴン「……頼んだぞ」


 ▼ 111 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:41:29 ID:ffLTWaLA [58/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「はいはい……そんな事より早くコタツから出てこいよ。リア充はコタツになんかこもらないぞ?」


フライゴン「!!」


フライゴンはすぐにコタツから出てきた。


ガブリアス「(結構素直なんだな……こいつ)」

 ▼ 112 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:46:35 ID:ffLTWaLA [59/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

二匹は再びコタツに向かい合って入った……


ガブリアス「で? リア充についてだが……まずは何をすればいいんだ?」

フライゴン「そうだな……いざ言われ見るとなかなかわからないな……」

ガブリアス「まぁ、ゆっくり考えて行けばいいじゃん」


ガブリアスはリモコンを手に取るとテレビの電源を入れた。


テレビから映像が流れ始める……それはどこかの遊園地のCMだった……


フライゴンがコタツを叩いて立ち上がった。


フライゴン「これだ!!」



 ▼ 113 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:52:22 ID:ffLTWaLA [60/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「な、なんだよいきなり……」

フライゴン「俺、遊園地に行きたい!!」

ガブリアス「遊園地?」


ガブリアスが再びテレビに目をやると……子ども連れの家族がジェットコースターに乗っている……


フライゴン「これだよ! これ!! 俺が目指してたのはこれ!!」

ガブリアス「そっか……じゃあこの辺りなら……あそこだ。そんなに大きくない遊園地だけど『バンギランド』って所が近くにある……」 

フライゴン「この際どこでもいいから! 明日行こうぜ!!」


フライゴンはまるで子どものように目を輝かせている……

 ▼ 114 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 22:56:27 ID:ffLTWaLA [61/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「明日か……じゃあ明日の朝一で行こうか」


フライゴン「よしっ! そうと決まったら今日は早く寝るぞ!!」


ガブリアス「えー……今日は見たいドラマが……」


フライゴン「そんなの録画すればいいだろ!」


ガブリアス「わかったよ……」


ガブリアスは渋々DVDのリモコンを取り出した……

 ▼ 115 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:00:18 ID:ffLTWaLA [62/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そんなこんなで夕食を食べて風呂に入り……時間は午後八時頃……


フライゴン「じゃあ明日に備えてもう寝るぞ!!」

ガブリアス「えぇ……まだ眠くないんだけど……」


フライゴンが明かりを消して部屋は真っ暗になった……


ガブリアス「マジで言ってるのか……くそー……ドラマの続きが気になる……」


ガブリアスは渋々コタツに横になった……


フライゴン「明日は早く起きろよ……」


フライゴンもコタツに入って横になった……

 ▼ 116 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:04:34 ID:ffLTWaLA [63/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガブリアス「(遊園地か……何年ぶりかな……そう言えば昔、遊園地で迷子になって母さんに怒られたっけ……)」


ガブリアスは遠い昔を思い出して微笑んだ……


ガブリアス「(ってなんだ……俺までワクワクしてきた……明日、楽しみだな……俺も早く寝なきゃ)」


ガブリアスは近くにあった雑誌を重ねて枕を作ると目を閉じた……


 ▼ 117 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:07:51 ID:ffLTWaLA [64/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「……」


暗闇の中で目をつむると様々な音が聞こえてくる……ガブリアスはそんな音を聞くのが好きだった……


風の音……風に揺れる窓の音……そして……カチカチ……カチカチと……何の音だろう?


ガブリアスは目を開いた……


ガブリアス「(何の音だ?)」


カチカチ……カチカチ……


一定のリズムを刻むようにカチカチ……カチカチと不思議な音が聞こえる……



 ▼ 118 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:10:16 ID:ffLTWaLA [65/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは辺りを見渡した……

真っ暗な部屋の一部がぼうっと明るくなっている……


ガブリアス「!!」

明かりの正体はフライゴンの3DSだった!


ガブリアス「おい!」


ガブリアスは立ち上がると電気をつけた。


フライゴン「げっ! 起きてやがった!!」




 ▼ 119 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:13:35 ID:ffLTWaLA [66/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスはフライゴンから3DSを取り上げた。


フライゴン「ま、待ってくれよ!! あと少しだけ……」

ガブリアス「だめだ! ってか早く寝ろよ! お前が言い出したんだろ!」

フライゴン「寝れなかったんだから仕方ないだろ!」

ガブリアス「うるさい! 早く寝ろ! 俺だって遊園地楽しみなんだよ!!」


その時、隣の部屋から鈍い音が聞こえた……


ドンドン! ドンドン!!


 ▼ 120 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:16:09 ID:ffLTWaLA [67/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「あ……お、お前のせいで隣に住んでる奴が怒ってるだろ!」

フライゴン「俺のせいじゃねーよ!!」


また鈍い音が聞こえた……


ドンドン!!!


フライゴン「うぐぐ……仕方ない……寝るか……」


ガブリアス「そうだ、それでいい」



 ▼ 121 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:19:18 ID:ffLTWaLA [68/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアスは再び明かりを消してコタツに横になった……

今度こそ眠ろうと目を閉じた時、フライゴンの声が聞こえた……


フライゴン「なぁ……」


ガブリアス「なんだ?」


フライゴン「明日、何に乗るんだ?」


ガブリアス「この間スロットで大勝ちしたから好きなのに乗っていいぞ……」


フライゴン「マジで!? やった!」


ガブリアス「わかったからさっさと寝ろよ……」


フライゴン「おう!」


 ▼ 122 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:21:08 ID:ffLTWaLA [69/70] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その会話を最後にフライゴンは静かになった……


ガブリアス「(本当に……あいつは子どもかよ……まぁ、ワクワクして寝れない俺も俺か……)」


ガブリアスは大きなあくびをすると目を閉じた……




続く


 ▼ 123 1◆v1GnTfaqxg 17/02/24 23:23:16 ID:ffLTWaLA [70/70] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第二話〜第四話 おしまい

明日から時間が無くなりそうだったので一気に書かせていただきました。

と、言うわけで明日明後日は更新できるかわかりません。


では
 ▼ 124 ポポタス@きいろいバンダナ 17/02/25 07:56:34 ID:j.O1sKlo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケットモンスター グギュグバァッ!!!
ポケットモンスター ぱるぱるぅ!!!
 ▼ 125 ードラ@ヨプのみ 17/02/25 07:57:20 ID:j.O1sKlo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>124
すまん。スレ違いです
 ▼ 126 ーマンダ@あおぞらプレート 17/02/25 08:54:04 ID:azskYkTA NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>124
不覚にもワロタ
 ▼ 127 ゲキッス@シルバースプレー 17/02/25 09:00:45 ID:OiAajsyw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 128 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:29:12 ID:oySraKLo [1/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


第五話 遊園地×エンジョイ=リア充



朝……二匹はバンギランドと呼ばれるテーマパークの入場口の前に立っていた……


ガブリアス「……ついに来たな」

フライゴン「ああ……」


ガブリアスの腕時計が10時を指すとともにテーマパークの中から従業員と思われるポケモンが現れて、入場口に掛かった鎖を外した。


ガブリアス「行くぞ!」

フライゴン「おう!」


二匹は入場口へ駆けて行った……

 ▼ 129 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:33:53 ID:oySraKLo [2/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


入場口でガブリアスが二匹分の入場料を払うと、二匹はバンギランドへと足を踏み入れた……


冬休みも終わった平日の午前中なので他の客は殆どいなかった。



フライゴン「来た……ついに来たんだ……」

ガブリアス「おう、来たぜ……」


フライゴンは深く息を吸い……両腕を大きく広げて叫んだ。


フライゴン「俺はリア充だぁーーーーっ!!」



 ▼ 130 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:38:57 ID:oySraKLo [3/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「ってまだ来たばっかだぞ? アトラクションに乗る前に成仏する気か?」

フライゴン「っ!……そうだった……あぶねぇー……じゃあまず何乗る?」

ガブリアス「んー……そうだな……」


ガブリアスは園内を見渡した……


ガブリアス「じゃあまずは……景気づけにフリーフォール行くか!」

フライゴン「フリーフォール? なんだそれ?」

ガブリアス「……あれだ」


ガブリアスが指差す先に……空まで届きそうな鉄の塔が見える……

 ▼ 131 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:42:12 ID:oySraKLo [4/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「あれは……どんなアトラクションなんだ?」


ガブリアス「登って……落ちる……それだけだ」


フライゴン「登って落ちる? よくわからないな……」


ガブリアス「とりあえず行こうぜ!」


ガブリアスは鉄の塔に向かって走り出した。


フライゴン「お、おい! 待てよ!!」
 ▼ 132 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:47:19 ID:oySraKLo [5/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



フリーフォールの前には……やはり、行列などなく……すんなりと乗る事が出来た。


ガブリアスとフライゴンは席に座ると、上の方から下りてきたバーを持った。


ガブリアス「久しぶりだなー……これ大好きなんだ!」


ニヤニヤしているガブリアスの隣でフライゴンは怯えた様な表情をしている……


フライゴン「な、なぁ……なんか嫌な予感が……」


他の客も座り終えると、従業員がバーのロックを手際よく確認した。

 ▼ 133 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:51:18 ID:oySraKLo [6/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

スピーカーからカウントダウンが聞こえてくる……


スピーカー「3……」


フライゴン「ちょ! ちょっと待ってくれ!」

ガブリアス「なんだよ、もう逃げられないぞ?」


スピーカー「2……」


もちろん叫ぼうが暴れようがカウントダウンは止まらない……


スピーカー「1……」


ガブリアス「来るぞ! 歯を食いしばれ!!」

 ▼ 134 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:55:07 ID:oySraKLo [7/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


スピーカー「fire!!」


その瞬間、二匹や他の客を乗せた座席が勢いよく打ち上げられた!


バシュウウウウウウウ!!!


他のどの客よりも大きなフライゴンの叫び声がバンギランド中に響いた。


フライゴン「ぎゃあああああああああああ!!!!」

ガブリアス「きたーー! これだ! これこれ!!」


座席は一番てっぺんに着くまで数秒とかからなかった……


てっぺんまで来ると座席はピタッと止まった……


 ▼ 135 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 21:59:18 ID:oySraKLo [8/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは死にそうな顔でガブリアスを見た……


フライゴン「お、終わりか? 終わったのか?」


ガブリアスはニヤリとした……


ガブリアス「まだ折り返しだぞ?……これからが本番だ……」


フライゴンはその言葉に絶望的な表情を浮かべた……


フライゴン「そ、そんな……ひゃんっ!?」


次の瞬間、座席は重量に任せるがままに落下した。


 ▼ 136 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:01:25 ID:oySraKLo [9/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「あああああああああ!!!!」


座席はガタガタと音をたてながら落ちたり止まったりを繰り返す……


フライゴン「あああああああああ!!!!」


座席が落ちたり……止まったりを繰り返す度に、フライゴンの叫びが園内に響き渡るのであった……


 ▼ 137 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:04:59 ID:oySraKLo [10/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンの初フリーフォールは終わった……



フライゴンは座席から降りると、すぐにその場に倒れ込んだ……


ガブリアス「お、おい……大丈夫か?」


フライゴンは体全体を震わせている……


フライゴン「な、なぁ……俺死んでないか? ちゃんと生きてる?」

ガブリアス「うっ……えーっと……死んでる……」

フライゴン「ああ!! 俺は死んだ!! 死んだんだああああ!!」


フライゴンは床に寝そべってジタバタしている……


 ▼ 138 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:08:57 ID:oySraKLo [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ガブリアス「本当ごめんって……まさかこんなにビビりだとは思わなくて……」


フライゴンはいじけて地面をカリカリと引っ掻いている……


ガブリアス「(えーっと……こう言う時はっと……)」


ガブリアスはフライゴンを置いて歩き出した……


ガブリアス「リア充なら遊園地でいじけたりしないよなぁ」

フライゴン「……!」

フライゴンはすぐに立ち上がるとガブリアスについて来た。

ガブリアス「(なんだかんだで単純な奴だな……)」


フライゴン「つ、次はもっと緩い奴頼む……もう絶叫系は嫌だからな……」


ガブリアス「はいはい」

 ▼ 139 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:49:45 ID:oySraKLo [12/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹はベンチに腰掛け、園内の地図を見ていた……



ガブリアス「空中ブランコは?」

フライゴン「ダメだ」

ガブリアス「ジェットコースターは?」

フライゴン「もちろんダメだ」

ガブリアス「じゃあ……お化け屋敷は?」

フライゴン「ダメに決まってるだろ!」


ガブリアスはため息をついた……


ガブリアス「じゃあ何ならいいんだよ……そもそもお前お化けじゃん……ってあれ!?」

先程まで隣に座っていたフライゴンの姿がない……
 ▼ 140 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:53:49 ID:oySraKLo [13/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガブリアス「あれ!? あいつどこ行った!?」


その時……


フライゴン「おーい! こっちこーい!!」


遠くからフライゴンの声が聞こえる……


ガブリアス「なんだなんだ?」


ガブリアスもベンチを立つと声のした方に向かって歩き出した……

 ▼ 141 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 22:59:35 ID:oySraKLo [14/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガブリアス「おいおいなんだよ……ってなんだぁ!?」


フライゴンの隣に変な怪獣の着ぐるみがいる……


フライゴン「こいつ、ここのキャラのバンギ君って言うんだってよ! カメラあるだろ? 写真撮ってくれよ!」

ガブリアス「もー……本当子どもだな……」


ガブリアスはスマホを取り出すと、フライゴンと着ぐるみに向けてカメラを向けた……


フライゴン「馬鹿か! お前も写れよ!!」

ガブリアス「は? マジかよ!」

フライゴン「大マジだよ!」


笑いながらガブリアスはフライゴンとともに着ぐるみを挟むように並んでスマホの内カメラで写真を撮った。


パシッ!!
 ▼ 142 1◆v1GnTfaqxg 17/02/25 23:03:55 ID:oySraKLo [15/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「うまく撮れたか?」

ガブリアス「うん、まぁまぁだな……えーっと……バンギ君だっけ?ありがとな!」

バンギ君「おう! バンギランドを思いっきり楽しんでってくれよな!!」

フライゴン「言われなくてもわかってるって! 行こうぜ!」


フライゴンは走り出した……


ガブリアス「あ! おい、待てよ!(着ぐるみってしゃべっていいのか?)」


ガブリアスもフライゴンの後を追った……

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