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【SS】ホウアロ物語

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 18:44:07 ID:GM3IjIp6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
涼やかな死臭が風に乗る

連続するのは、雨、声、物語


聞こえてくるのは、蟲群の唄──


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以下のSSの続編です(読まなくても大丈夫です)

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=331950
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=377305
 ▼ 2 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 18:45:37 ID:GM3IjIp6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
《ヒナは、死んだ恋人ツナの子を身籠もっていたのです。
そして生まれた子は木のようにまっすぐに育ち、やがては木を登り、実を採ってくることができるようになりました。
きっと、たくましく育つことでしょう…》

ヒナとツナの物語 ~完~

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男の子「ねー、ねーちゃーん。
次、この本読んでー!!」

女の子「…もう、眠いよ。
次の本読むのは、ほら、明日にしよ…?」

男の子「だって、眠れなくてさ!
明日が楽しみでっ!!」


この二人は、アローラ地方の某養護施設に住む兄妹だ。

…なぜ、男の子が、明日をここまで楽しみにしているかというと──
 ▼ 3 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 18:46:35 ID:GM3IjIp6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
少し語ると、幼い弟は、これまた幼い姉に物語を読み聞かせてもらうのが夜の日課であり、また楽しみであった。

読み聞かせが終わると、『島巡りをしたいな』、『世界はどのくらい広いんだろうか』など、それぞれの想いを純然と語り合う程、その兄妹の仲は良かった。

…しかし、その姉が弟を制止したのは。
明日が二人の待ちに待った、海岸での夏祭りだからだ。


女の子「そういうわけで、もう寝るからね。
あのお姉ちゃんも、いくらなんでもカンカンになるよ」

男の子「そうだね、姉ちゃん。
わかった、もう寝るよ…」

………
……



──だが、その兄妹の楽しみは。

あの『事件』により、粉々に打ち砕かれる──
 ▼ 4 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 18:47:26 ID:GM3IjIp6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜10年後 ホウエン地方〜


ここは、カントーのフジ老人の援助の元建てられた、ポケモンハウス『かえるノはうす』。


施設職員「あ、副施設長!
施設長の、お見舞ですね?」

「うん、施設長…お父さんのね。
あと、その呼び方、なんかしっくり来ないな…」

副施設長と呼ばれたのは、推定10代後半だろうか、まだ若き少女である。

《次のニュースです。
かつてトウカ〜カナズミ間を震撼とさせた、トウカの森の主の子孫と見られるポケモンたちに、『かえるノはうす』代表の男性が襲われる事件が起こりました》

施設職員「あ、施設長のこと言ってますよ」

《なお、ポケモンたちはその後ポケモン保健所に無事退治され、男性は救出されましたものの、重症ということです》

少女(……別にそこまで重症でもなかったし。
“退治”って言い方…もうちょっと、なんとかならないの?)

施設職員「じゃ、言ってらっしゃいませ!
後、カエルちゃんのお墓参り、私も後から行きますね!!」

少女(そうだった。
お父さんに、お見舞い品持っていかなきゃ……)

そして少女は、父親の入院先へと出掛けるのであった。
 ▼ 5 リジナル要素強めです 17/03/02 18:49:21 ID:GM3IjIp6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜病院〜

少女「はい、お父さん、カイスの実。
…相変わらず、丸ごとかぶりつくの?」

お父さん「おぉ、ありがとう!
いやなに…アイツにも、半分やるのさ」

お父さんには、ポケモンはいない。
昔カエルポケモンの相棒がいたそうだけど、今はもう死んでしまっている。

“かえるノはうす”の名前の由来は、そのポケモンから来ているのだと聞く。

少女「“アイツ”…カエルちゃんの、墓参りだよね。
お供え物に…きのみか、喜んでくれそう」

お父さん「ところでだ、ニュース見たか?
誤解と偏見に満ちている…俺はただ、あのポケモンたちを保護して、分かり合いたかっただけなのに」

トキワの森の“主”だった、“暴走”マルノーム。
何でも食い荒らし、かつての異国での危険生命体、『GLUTTONY』の異名まで付けられた程だ。

その主は幾分も前に“退治”されたが、お父さんは、ポケモンも持っていないのに、その子孫に立ち向かって行った。

……バカで無謀とも思うが、本当にお父さんは、凄い。

少女「…うん。私たちの活動を、ポケモン保健所は良く思ってないみたい」

お父さん「それも、未だにだ。
お父さんが若い頃にも、ポケモン保健所とは少しあってな。それ以来、奴らなんぞ信頼していない。
…なにが“退治”だ。単に殺して解決している癖に」
 ▼ 6 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 21:37:04 ID:GM3IjIp6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「…。
そうだお父さん。お父さん宛に、手紙来てたよ…これ」

お父さん「おお、ありがとう!
…ほう、部下からの手紙だ。どれどれ…」


お父さん(…!)


少女「私は中身見てないんだけど。
何なの。部下さんから、どんな手紙が来てたの?」

お父さん「……いや、何でもない、単なる近況報告だった。
とにかくありがとう。駄賃やるから、帰りなさい」

少女「わぁ、ありがとう!!」

少女(……?)

私には、なんとなく、お父さんの顔色が強張っていたように映った。

…その原因が手紙の内容にあったことを知るのは、もう少し後のことになる。
 ▼ 7 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 09:29:13 ID:emqsIZEw NGネーム登録 NGID登録 報告
〜同日 アローラ地方〜

「ツナ君、今日は、ヒナちゃんのお墓参り?」

紫色のウェーブした髪の、どこか神秘な雰囲気の少女。
アセロラお姉ちゃんが、僕に問いかける。


ツナと呼ばれた少年「……うん」


…あの惨劇が起こってから、今日で早10年。
……僕の姉ちゃんがいなくなってから、早10年。

ツナ(…)

………本を読まなくなってから、早10年。

アセロラ「…アタシも行くよ、ツナ君!」

ツナ「別に…アセロラお姉ちゃんは来なくていいや。
僕一人の問題だよ」

アセロラ「一人じゃないよ。アタシもツナ君もヒナちゃんも、大事なエーテルハウスの仲間だもん!
行かないわけにはいかないよ!!」

ナッシー『…ナシナシナシ♪』グルングルン

アセロラ「あ、ナシジルちゃんも、行きたいってさ。
ナシジルちゃんも、ヒナちゃん好きなんだねー!!」
 ▼ 8 タドガス@パワーリスト 17/03/03 12:23:02 ID:MVeZzqcI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーー

ツナ「姉ちゃん、なにしてるの?」

ヒナ「海岸に落ちてたタマタマ埋めてるの。
もしかしたら、タマタマの木がなるかなーって」

ツナ「…僕らの名前の由来の、あの物語みたいだ」

ヒナ「……ツナ、あの本ホント好きだよねー」

------------------------

ナッシー『ナシャシャシャ♪』

その結果できあがったのが、コイツだ。

ツナ「…」ムンズッ

ナッシー『イタイ』

一つ頭をもぎとって食べる。
相変わらず不味いが、なんとなく気持ちが落ち着くし、それにすぐ生えてくる。

…でも姉ちゃんは、この味が好きだった。

ツナ「だったら行こうか、アセロラ姉ちゃん。
ナシジルの頭ももぎ取ったし、姉ちゃんの墓に供えるよ」

アセロラ「あ、はーい!
でもちょっと待ってね、ドデカバシを呼び出さなきゃ…」
 ▼ 9 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 12:23:51 ID:MVeZzqcI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
《次のニュースです。
かのエーテル財団のビッケ女史が、エーテル養護施設の劣悪な環境の改善を掲げました。
これらの背景には、先日逮捕された元エーテル幹部の件が、大いに関係しているとされ……》

------------------------

ニュースの話題となっている男は、エーテル幹部という肩書を隠れ蓑に数々の悪事を働いており、それらの行為が露見し、お縄へと繋がったのだ。

その中でも特におぞましいのが、『生物兵器』の実験だ。


だが、それらの詳細は、後に述べることとする──
 ▼ 10 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 14:21:55 ID:jVbQP2fs NGネーム登録 NGID登録 報告
──数日後 ホウエン地方

少女「お父さん…」


お父さんが、病室からいなくなった。


少女(……)


病院関係者は慌てているが、理由は察しが付いている。

ゼッタイに、この手紙の内容だ!!


《この写真を見てもらえば、エーテル財団と提携しようなどと、バカなことはもはや考えられないだろう。
くだらない財団に、余計な力をつけさせる訳にはいかない》


それにお前の大事な娘が、写真のようになってもいいのか?
……中々に、可愛い娘じゃあないか。


…これが、手紙の内容だ。

そして置きっぱなしの手紙に同梱されていたものは、お父さんの部下の、凄惨な、死体の写真だったのだ。


少女(エーテル…アローラ地方の財団。お父さんの部下も、そこで提携を図ろうと…。
お父さんが向かったのは……アローラ地方ッ!!)
 ▼ 11 ガネール@わざマシンケース 17/03/03 16:41:03 ID:Da0l5IRY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 12 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 18:26:21 ID:EXgnSHXk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女(お父さん、ごめん…。
お父さんは私のことを思って、アローラに行ったんだよね)

誰かに相談するべきだろうか?
いや、そんなことをすれば、かえるノはうす全体にまで危害が及ぶかもしれない。

…私が、解決しなければならない。
……お父さんを、助けなければならない。

少女(よし、決めた!
…私も、アローラに行くっ!!)

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そして少女は、なけなしのお小遣いを叩き、アローラ行きの飛行機へと乗った。

『お父さんのことは大丈夫』とかえるノはうすに言い残し、着替えと日用品と観光マップと少しのお金、少女が考えられる範囲で必要なものを持ち。

…異国の地へと、僅かに心を踊らせ、不安を抱き。


とうとう少女は、アローラへと到着した。
 ▼ 13 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 18:28:59 ID:EXgnSHXk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーー


《次のニュースです。
『殺人蟲群』事件から、今日で10年の年月が経ちました。
慰霊碑には、多くの遺族が集い……》


Word︰【殺人蟲群】

10年前、アローラの某所にて幾多の蟲ポケモンが飛び交い、現地民やカントー、ホウエン等の観光客を襲撃する事件が起こる。

かろうじて生き残った者も腕や足などを噛みちぎられ、やがてはエーテル財団の特殊部隊が蟲群を撃退したのだが、その後死骸が爆発し、職員間にも甚大な被害を被る二次災害までもが発生した。

アローラにおいて、海岸奇襲事件に次ぐ最悪の事件として、この『殺人蟲群』は名を馳せる。

この事件に関わったポケモンは、何者かに遺伝子操作を施されていたというのが警察の見解であり、先日の『生物実験』との関係性を、警察が元幹部の男に対し取り調べ中だ。
 ▼ 14 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 18:29:37 ID:EXgnSHXk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
………
……


ツナ「ねーちゃん、疲れたよー。
おんぶしてー」

ヒナ「もう…また?
ま、しょうがないな……」

ーーー

ヒナ「あんた、軽いよねー。
男の子なんだから、もうちょっと太りなよ」

ツナ「そっか、僕。
ねーちゃんよりも、軽いかm(バゴッ

ツナ「…いてーよ、怒らないでよ、ねーちゃーん…」

ヒナ「……全く──
アンタ、まだまだ子どもね…」


……
………
 ▼ 15 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 18:46:05 ID:EXgnSHXk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『…キロ』

ツナ(…ん?)

ナッシー『オキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロッ!!!』

ツナ「…!」ガバッ

毎日僕らを起こすのは、ナシジルの役目だ。

ツナ「なんだ、夢か……」

ナッシー『キロキロキロキロ』

しかしコイツは、多分言葉の意味をわかっていない。


アセロラ「「ツーナーくんっ!!」」


ツナ「…うわぁっ!?」

その時甲高い声で、アセロラお姉ちゃんが呼びかけてきた。

アセロラ「ねーねー、ウチに女の子が来てるよー?
もしかして、君のガールフレンドだったりして?」

ツナ「……え?」
 ▼ 16 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 19:36:59 ID:EXgnSHXk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
………
……


アセロラ「で、そのお父さんを探すために、私たちのエーテルハウスを?
ホントすごいね、その行動力」

少女「…すみません、アポもなしに。
自分ながら、突発的な行動で……」

ナッシー『アノコ、カワイイゾ』

ツナ(…うるさいなぁ)

アセロラ「ごめんね。その部下さん、確かに私たちのところに来たよ。かえるノはうすと提携、私たちも歓迎だから!
でも…その部下さん、そんなことになってたなんて……」

少女「つまり、お父さんのことはわからないんですね…」

アセロラ「あ、そんな落ち込まないで!
私たちも財団に掛け合ってみて、お父さんの手掛かりを探してみるからっ!!」

少女「…ありがとうございます」

アセロラ「…?
ところであなた、なんだか顔色悪いようだけど?」

少女「…。
すみません…お金スられちゃって…何も食べてないんです」

少女はどうやら、抜けている面があるようだ。
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