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SS

【SS】 カノン 「さよならっ……」

 ▼ 1 スノキ 15/01/25 02:34:00 ID:DcjZ/2f6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「アルトマーレ展?」
 (http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=25338


・上記SSの続編となります。同作をお読みいただいた方が、話が分かりやすいかと思います。

・時系列は、アニポケXY第56話と57話の間を想定(ヌメラをゲット後、ヒヨクシティ到着前)。
 ▼ 353 サキとカヨ 15/02/10 00:13:07 ID:2YQ5WF7o NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 354 スノキ 15/02/10 02:30:30 ID:nDpu1Srs [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 32 】


 ― ザバァァァァァン!


Jに見つかったカノンは、あの高い大木から、無謀にも飛び降りた。

いくら下が水だからって、無茶し過ぎだぞカノン!


 セレナ 「大丈夫カノン!? しっかりっ!」

 サトシ 「カノン! しっかりしろカノンっ!」


オレとセレナは すぐさま、カノンを水場から引き揚げた。

セレナは泣いている。あんな高い所から飛び降りる瞬間を目にして、只事じゃ済まないと思ったんだろう。


 カノン 「私は大丈夫……大丈夫だから……」


ヨロヨロと立ち上がったカノン。どうやら無事のようだ。

けど、カノンが持っているモノを見て、オレは思わず声を上げた。
 ▼ 355 スノキ 15/02/10 02:31:12 ID:nDpu1Srs [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「カノン、それって……!?」


聞くまでもない。頑丈そうな黒いケースに入っているモノ……爆弾以外に ほかならない。


 J 「貴様っ……それをどうする気だ!? 解体なんて出来ると思うなよ! あれはドラマの中の話だからな!」


Jが叫ぶ。

解体……まさかカノン、爆弾の解体が出来るって言うのか!?


 カノン 「サトシ君、セレナちゃん……」

 サトシ 「なんだ?」

 セレナ 「どうしたのカノン?」


カノンは、静かにオレとセレナの名前を口にした。

ついつい真剣に聞き入るが、カノンは一つ、笑顔を作る。そして言った。
 ▼ 356 スノキ 15/02/10 02:31:50 ID:nDpu1Srs [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ありがとう」


 サトシ 「えっ……?」

 セレナ 「カノン……?」


ありがとう、って……。

水場から引き揚げたことに対してだとすれば、いくらなんでも雰囲気が違いすぎる。

カノンのが発したお礼は、まるで今生の別れのような……。



 カノン 「さよならっ……」



カノンは走り出した。


 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「カノン……待てよカノンっ!?」
 ▼ 357 スノキ 15/02/10 02:32:30 ID:nDpu1Srs [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カノンは振り返らない。一直線に、秘密の庭の出口へと向かっている。

爆弾を抱えたまま。

まさかカノン、一人で爆弾を処理しようって言うんじゃ……!?

“さよなら”って、一人で爆発を止めようとしてるんじゃ……!?


 J 「貴様どこへ行く気だ!? ボーマンダ! “かえんほうしゃ”で足止めしろ!」

 サトシ 「クッ……! ルチャブルとヒノヤコマはダウンしちまった! 出て来てくれゲコガシラ! “みずのはどう”で“かえんほうしゃ”を止めてくれ! ピカチュウも頼む! “エレキボール”だ!」

     「げぇぇぇごぉぉぉぉ!」

     「びかびかびかぁぁぁちゅびっか!」


J! 今はお前の相手をしてる場合じゃない!

カノンを助けなきゃいけないんだ! 一人でアルトマーレを救おうとしてる、カノンを止めなきゃいけないんだ!


けど……!

メガボーマンダの“かえんほうしゃ”に対して、ピカチュウとゲコガシラは、大聖堂でのバトルで体力が消耗している。

2匹の力で押し返せるか!?
 ▼ 358 スノキ 15/02/10 02:33:00 ID:nDpu1Srs [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「ルクシオは“ほうでん”! ハリマロンは“ミサイルばり”です!」


2つのワザがピカチュウとゲコガシラのワザに加わって、“かえんほうしゃ”を相殺させた。


 サトシ 「シトロン!」

 セレナ 「シトロンっ!」

 シトロン 「お待たせしました2人とも!」


置いてきたシトロン、ようやくお出ましか。タイミング良い時に登場しやがって!

シトロンが入って来たのは、カノンが出て行ったルートとは別。それはJにとっても不意打ちだった。


 J 「おのれザコの分際で……」


 サトシ 「シトロン! いきなりで悪いんだけど、任せてもいいか!?」

 シトロン 「……どういうことですか?」

 サトシ 「カノンが行っちまったんだ! 爆弾を持って!」
 ▼ 359 スノキ 15/02/10 02:33:40 ID:nDpu1Srs [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「爆弾!?」

 セレナ 「そうなの! この お庭を爆発させるってJが仕掛けた爆弾を……カノン、一人で持って行っちゃったの!」

 シトロン 「それはマズいですね。行って下さいサトシ! ここは僕が引き受けます!」

 サトシ 「サンキュー、シトロン! それと、セレナ!」

 セレナ 「なに?」

 サトシ 「カノンはオレが連れ戻すから、セレナはシトロンを援護してやってくれ! ピカチュウとゲコガシラを使って」

 セレナ 「えっ……私が!?」

 サトシ 「あぁ! ピカチュウ、ゲコガシラ。セレナの指示に従って、Jと戦ってくれ!」

     「ぴぃかちゅ!」

     「げごぉ!」

 セレナ 「そんなっ……サトシのポケモンを使うなんて、私じゃ出来ないよ……!」
 ▼ 360 スノキ 15/02/10 02:34:20 ID:nDpu1Srs [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「セレナじゃなきゃこんなこと頼めないんだ。セレナはジム戦の時、オレに勝利のヒントをくれただろ? セレナなら、オレのポケモンを使いこなせるはずさ!」

 セレナ 「でもっ……」

 サトシ 「頼むセレナ!」

 セレナ 「……分かった。私、頑張ってみる」

 サトシ 「頼んだぜ! ……じゃあオレ、カノンを追ってくる!」

 シトロン 「くれぐれも気を付けて下さいね!」

 セレナ 「絶対……絶対にカノンを連れて帰って来てね!」

     「ぴかぴ! ぴかぴっかぁ!」

     「げごぉ! げぇご!」

     「やっこ……」

     「ちゃぶぅ……」

 サトシ 「安心しろよみんな! それより、Jとのバトル、頼んだぜ!」
 ▼ 361 スノキ 15/02/10 02:35:00 ID:nDpu1Srs [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレは急いで、カノンの後を追った。


ピカチュウとゲコガシラはセレナに任せ、ヌメラには消火をお願いしている。

一方、ヒノヤコマとルチャブルはダウンしているが、秘密の庭に置いてきた。2匹には申し訳ないけど、少しでも戦力を残しておいた方が良いに決まってる。ピカチュウ達でバトルしている間に、少しでも回復できればいいけど……。


いや、それより今は、カノンの方が心配だ。爆弾を抱えて、いったいどこへ行くと言うのだろう。

警察に行くのだろうか。……いや、だったら“さよなら”なんて言う必要ない。

考えたく無かったけど、きっとカノン、一人で爆弾を処理する気なんだ。そしてその処理の方法は……、安全な所へ持って行って、爆発させるほかない。


けど何処へ……。

細い路地と水路が密集しているアルトマーレに、爆弾を処理できるような、広大な空き地は存在しないはずだ。

念のため街中にある地図を確認してみたが、やっぱりそんな土地は無い。


 サトシ 「カノン……どこにいるんだよカノンっ!?」


叫んではみたものの、当然ながら、返事は無い。オレの声は夜露に濡れた街並みに吸い込まれ、虚しい静けさが、辺り一面に広がった。


 サトシ 「くそっ……!」
 ▼ 362 スノキ 15/02/10 02:35:41 ID:nDpu1Srs [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレはアルトマーレの高台に足を運ぶ。

さっきカノンと大聖堂に向かった時に通った、“屋根の上”だ。ここならアルトマーレの街を見渡せる。


……と思ったけど、細い路地が入り組むアルトマーレの街は、とてもじゃないけど、細部まで見渡すのは困難だった。

ただ、ひときわ目立ったのは、赤い光が集結する海沿い。あれは……大聖堂だ。

大聖堂でスプリンクラーを作動させたもんだから、消防車が集結したらしい。


 サトシ 「今は大聖堂なんて見てる場合じゃ……」


と思った矢先。大聖堂から真っ直ぐ海へ向かった延長線上。

暗い暗い海の上に、小さな動く点が見える。

ポケモンかと思ったけど、海面から顔を出すそれは、月明かりを受けて緑色の物体が見え隠れする。


 サトシ 「……あれだっ!」
 ▼ 363 スノキ 15/02/10 02:36:20 ID:nDpu1Srs [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すぐさまオレは駆け出した。


海に居る緑色のポケモンなんて、咄嗟には思いつかない。

あれはカノンで間違いない! カノンの服で間違いない!


石畳の道に下り立ち、運河沿いを海に向かって走り抜ける。


カノン!

アルトマーレに被害を出さないように、爆弾を海で爆発させる気なんだな!?

そんなことしたら……カノンだって爆発に巻き込まれるじゃないか!




海に出た。


オレは躊躇わず、海に飛び込んだ。

高台から見た時の方角を、だいたい頭に入れている。……あのラティアスとラティオスの石柱を潜った延長線上に、カノンは進んでいる。
 ▼ 364 スノキ 15/02/10 02:37:00 ID:nDpu1Srs [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「(くそっ!)」


冷たい海水が肌にしみる。

カノン、爆弾を持ったまま、こんな冷たい海に一人で飛び込んだのかよ!?

なんだってカノンは、そんな道を選んだんだよ!?

死んじゃったら、元も子もないじゃんかよっ!


とにかく急ぐ。

全力で泳ぐ。

海水を飲みこんだって気にしてるヒマはない。

カノンの元へ行って、爆弾から離れさせないと。


カノン、“さよなら”って、もうオレ達と会わないつもりで言ったんだよな?

いくらアルトマーレを護るためだって、そんな、一人で行くことないじゃんかよ!

一人で抱え込まなくたっていいじゃんかよ!

オレ達に一言相談してくれたっていいじゃんかよ!
 ▼ 365 スノキ 15/02/10 02:38:00 ID:nDpu1Srs [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「カノン! んぐっ……はぁっ……はぁっ……カノン!」


水面の揺らぎを感じた。

それは、近くにカノンがいることを示していた。

オレは出来るだけ大声でカノンを呼び続けた。


 サトシ 「カノン……カノン!」


月明かりが、深い青色の海を照らす。

オレが進む先の一点に、カノンは居た。

目を瞑って、爆弾を抱えて、一人、浮いていた。

この静かな海で、孤独と恐怖と戦いながら……とても寂しそうな表情で、カノンは佇んでいた。


なんでそんな寂しそうな顔してるんだよ。

そんなに寂しいんなら……怖いんなら、オレ達に言ってくれれば良かったじゃないか!


 サトシ 「カノンっ!」
 ▼ 366 ◆bncJ1ovdPY 15/02/10 02:39:21 ID:VtHyDGZw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 367 スノキ 15/02/10 02:40:00 ID:nDpu1Srs [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本日はこの辺で終了します。ご支援、ご感想、ありがとうございました。

更新が遅れてしまったのは、パソコン不調では無く、普通に多忙のためです。ご心配おかけしました。

次の更新は水曜日を予定しています。
 ▼ 368 ◆bncJ1ovdPY 15/02/10 02:46:26 ID:VtHyDGZw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>367
楽しみにしてる。
急がず焦らず頑張れ
 ▼ 369 ラエッテ@オーロラチケット 15/02/10 03:05:02 ID:zlH.8z2c NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 370 ニドリル@ガルーラナイト 15/02/10 16:34:13 ID:jGVetux6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
死ぬなカノン支援
 ▼ 371 ゲハント@ぎんのこな 15/02/10 17:03:01 ID:RWARHgvc NGネーム登録 NGID登録 報告
大丈夫ですよ!
楽しみは長く続いた方がいいですから!

支援します(^^)
 ▼ 372 れいなゲーチス大統領 15/02/10 17:04:54 ID:3WSrToys NGネーム登録 NGID登録 報告
クスノキさん面白いです!
支援します!
 ▼ 373 ェリム@あさせのしお 15/02/10 19:18:02 ID:/JlprmFA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 374 ガルカリオ@かみなりのいし 15/02/10 20:43:22 ID:jGVetux6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
明日か。ファイト
 ▼ 375 ツハニー@ギンガだんのカギ 15/02/10 22:32:39 ID:u5blUotA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうなるんだろう? 楽しみにしています!
 ▼ 376 スノキ 15/02/10 23:50:00 ID:nDpu1Srs [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>> ALL
多くの暖かいご支援に感謝します。


画像投稿機能が実装されたとのことで、試しに1枚貼っておきますね。
 ▼ 377 リージオ@リーフのいし 15/02/11 04:06:30 ID:6zTGUlSo NGネーム登録 NGID登録 報告
>>376
カノン可愛いなぁ!

支援
 ▼ 378 陽騎士ジャンゴ◆gFTCmk9yAI 15/02/11 04:26:26 ID:Mkn.NB76 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
円堂カノン乙
 ▼ 380 メール@おいしいみず 15/02/11 11:31:28 ID:aHT1MNgg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
がんばれー
支援
 ▼ 381 スノキ 15/02/11 18:05:00 ID:JGMs4M6s [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 33 】


それは、私の幻聴かな、と思った。

サトシ君に会いたいあまり、こんな海の真ん中で、サトシ君の声が聞こえてしまったのかな。


 サトシ 「おいカノン!」


……いや、これは幻聴なんかじゃない。確かにハッキリと聞こえるサトシ君の声。


私は目を開く。

すぐ近くに、必死に私の方へ泳いでくる、サトシ君の姿が目に飛び込んだ。


 カノン 「サトシ君っ……」


その瞬間、私は泣き出しそうになってしまった。

不気味な海で、最後の孤独を味わっている私にとって、こんなに嬉しいことは無い。

サトシ君の姿を見たその瞬間、世界がパッと明るくなったかのように感じたのだから。
 ▼ 382 スノキ 15/02/11 18:06:00 ID:JGMs4M6s [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……でもダメ。そんな場合じゃないんだ。


 カノン 「来ないでっ!」


私は叫んだ。意に反して。

そして、さらに沖へと泳ぎ始める。


 サトシ 「あっ……待てよカノン! 待てって!」


サトシ君は、さらに私を追いかける。

でも、このままではサトシ君も爆発に巻き込まれてしまう。それは絶対にダメ!


 サトシ 「止まれカノン! そんな……そんなことして誰かが喜ぶとでも思ってんのかよ!?」


構わない。なにを言われようと、どう思われようと構わない。

私は、アルトマーレを、秘密の庭を、ラティアスたちを護るために、自分の意志で行動してるんだ。勿論、サトシ君のためにも。

もう覚悟は決めている。今さら引き返そうなんて思わない!


 サトシ 「カノン! カノンっ! 待てって!」
 ▼ 383 スノキ 15/02/11 18:07:00 ID:JGMs4M6s [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……しかし、私の足が、サトシ君に捕まってしまった。

思いっきり足をバタつかせて振りほどこうとしても、サトシ君は離してくれない。

それどころか、凄い力で引き寄せられ、完全にサトシ君に捕まってしまった。


 サトシ 「カノン!」

 カノン 「いやっ! 離してサトシ君! ダメッ……!」

 サトシ 「カノン! 落ち着カノン! 大人しくしろって!」

 カノン 「やめてっ! ダメなのっ! 私が……」

 サトシ 「カノンが一人で抱え込むこと ないじゃんかよっ!」


サトシ君は私の肩を揺さぶりながら、とても強い口調で言った。

真っ直ぐに私の目を見て……。
 ▼ 384 スノキ 15/02/11 18:08:00 ID:JGMs4M6s [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「爆弾は……服の中か!」


そう言うとサトシ君は、乱暴に私の服を捲り上げた。


 カノン 「ちょっと……/// いやっ……ダメっ!」


爆弾を奪ったサトシ君は、すぐさま沖へ向かって泳ぎだす。

まさかサトシ君、私の身代わりに!?

そんなのダメ! 絶対にダメ! これは私の使命なの! サトシ君は関係ないの!


 カノン 「待ってサトシ君! ダメなのっ!」


沖へ逃げるサトシ君の背中に、私は力一杯しがみ付いた。
 ▼ 385 スノキ 15/02/11 18:09:00 ID:JGMs4M6s [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「離せカノン! もっと沖へ持ってくから! カノンは早く逃げるんだ! オレもすぐ戻るから!」

 カノン 「ダメよサトシ君! そんなことしたら、海のポケモン達が巻き込まれちゃう!」


サトシ君は私を振り解こうとするけど、必死でしがみ付く。

このままサトシ君を行かせてしまったら、サトシ君が爆発に巻き込まれてしまう。


私とサトシ君は、しばらく もがき合う。


 サトシ 「分かってる! だから爆発の瞬間に空へ投げるから! カノンは早く戻るんだ!」

 カノン 「それは私の使命! 私だって同じこと考えてた! サトシ君がやることじゃないわよ!」

 サトシ 「オレだってラティアス達と付き合いがあるんだ! オレがやったって、なんも問題ないはずだろ!?」

 カノン 「でもダメなのっ! 私が……私がやらなくちゃダメなのっ!」

 サトシ 「いい加減にしろカノン! オレがやるって言ってるんだ! なんで邪魔するんだよ!?」

 カノン 「アルトマーレを護るのは、私たち一族の役目なの! サトシ君は部外者なの! サトシ君がやること無いのよ!」

 サトシ 「部外者なんて関係ないだろ! オレは純粋にアルトマーレを……ラティアスたちを護りたいんだ! オレが勝手にやるんだ! だから離せカノン! なんで邪魔を……」

 カノン 「好きだからっ! サトシ君のことが好きだから……グスッ……サトシ君が死んじゃ嫌だからっ……ぅっ……ぅゎあああぁぁあぁあぁぁん!!!」

 サトシ 「カノンっ……」
 ▼ 386 スノキ 15/02/11 18:10:00 ID:JGMs4M6s [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、大声で泣いてしまった。

なんだろう。寂しさ、怖さ、辛さ、寒さが、一気に溢れ出て来てしまったような感覚だ。


 カノン 「なんでっ……なんで来ちゃったのよサトシ君……グズッ……」


サトシ君には、来てほしくなかった。サトシ君を危険な目に遭わせたくはないから。

でも、私の心はそれに反して、嬉しさで満たされている。

孤独の死を覚悟した私の前に、大好きな人が駆けつけてくれた……。これほど嬉しいことが、他にあるだろうか。


 サトシ 「カノン……」


サトシ君は、優しく言った。


 サトシ 「なんでオレ達に相談してくれなかったんだよ。カノン一人で抱え込んじゃって……オレ達、友達だろ?」

 カノン 「ともだち……」

 サトシ 「アルトマーレでは一人かもしれないけど、カノンにはオレやセレナがついてるじゃんか。こういう時に一緒に力を合わせるのが友達だろ?」

 カノン 「ぅぅっ……サトシ君っ……ありがとっ……ありがどぅ……」
 ▼ 387 スノキ 15/02/11 18:11:00 ID:JGMs4M6s [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は自然と、サトシ君に抱き付いていた。

恥ずかしさなんて感じなかった。こんなにも優しいサトシ君に、体が すがりたがっていたのだ。

そしてサトシ君もまた、私を優しく、しかしガッシリと抱きしめてくれた。


ともだち、か……。

サトシ君たちを危険な目に遭わせないことを、私は友達の使命のように感じていた。


でも、それは違ったみたい。

本当に重要なこと、悩まざるを得ないこと、運命を賭ける判断をするときは、友達に頼るのが正解みたい。一人で抱え込まないで、助け合うのが、本当の友達みたい。


なんだか恥ずかしいよ、私……。


 サトシ 「……カノン、もう1回言うぞ。オレが爆弾をもっと沖で爆発させるから、カノンは逃げるんだ」

 カノン 「……嫌。私だって同じこと考えてた。私が爆弾を沖に持って行くから、サトシ君は逃げて欲しいの」

 サトシ 「本気なんだな、カノン……」

 カノン 「うん……」

 サトシ 「じゃあカノン、爆弾の処理は一緒にやろう。オレが空へ向かって思いっきり投げるから、カノンはオレの体を支えててくれないか? その方が しっかり投げられる」

 カノン 「……えぇ。任せてサトシ君」
 ▼ 388 ラクロス@マックスアップ 15/02/11 18:24:39 ID:EKwAfTfY NGネーム登録 NGID登録 報告
続き来てたのねッ!
 ▼ 389 リンク@バクーダナイト 15/02/11 19:42:15 ID:aHT1MNgg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
楽しみ!!
 ▼ 390 ーナノ@ユキノオナイト 15/02/11 19:47:08 ID:3nEhu45M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 391 カタンク@きのみジュース 15/02/11 19:48:37 ID:Y79lmlWM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 392 スノキ 15/02/11 20:58:00 ID:JGMs4M6s [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爆発まで、残り5分を切っていた。


サトシ君と一緒に、時間まで、冷たい海に浮いている。しっかり抱きしめ合いながら。


 カノン 「……サトシ君、月、綺麗だね」

 サトシ 「あぁ。綺麗な満月だな」

 カノン 「うん……」


月明かりが、暗い海を照らしている。

こうやって落ち着いてみると、今日の月、すっごく綺麗。

それに海も……さっきまで不気味な感じだったけど、今は違う。揺れる波は ゆりかごのように、私たちを優しく包み込んでくれる。


 サトシ 「カノン、怖くないか?」

 カノン 「もう怖くない。なんでだろう……サトシ君と一緒だからかな?」

 サトシ 「……そっか。良かった」
 ▼ 393 スノキ 15/02/11 20:58:40 ID:JGMs4M6s [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ君……暖かい……。

安心すると、心まで暖かくなるんだね。


濡れた服から下着が透けちゃって恥ずかしいけど、今はもう、そんなことどうだっていい。


私は、アルトマーレを護れるんだよ。大切な友達、大好きなサトシ君と一緒に。

それだけで、私の人生は とっても輝かしいものだったと、自信を持って言える。

全部、サトシ君のおかげで……。


 カノン 「ねぇ、サトシ君」

 サトシ 「なんだ?」

 カノン 「私、サトシ君にはね、感謝してもしきれないよ。寂しかった私の人生に、サトシ君が光を差し込んでくれたんだよ? もぅ、お礼のしようが無いよ……」

 サトシ 「なに言ってんだよカノン。それはさ、カノンが今まで頑張って来たからこそなんじゃないのか?」

 カノン 「えっ……?」

 サトシ 「アルトマーレの護神として、秘密の庭を護って、ラティアスたちの世話をしてさ。そういうカノンの行いを、神様は見ててくれたんだよ。オレがどうこうは関係ない。カノンが頑張って来たから、いまがあるのさっ」


そう言って、サトシ君はニカッと笑った。
 ▼ 394 スノキ 15/02/11 20:59:20 ID:JGMs4M6s [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もぉ……カッコいいよサトシ君……こんな状況で。

ますます好きになっちゃうよ……。


 カノン 「サトシ君。最後にサトシ君のお願い、なんでも聞いてあげる。好きなこと言って。私、感謝の気持ちを込めて、そのお願い、聞いてあげるから……」


こんな海の中じゃ無ければ、本気で描いた絵をプレゼント出来るのに。

アルトマーレの最高級レストランで、ご馳走してあげるのに。

アルトマーレで私のお気に入りの絶景を、見せてあげるのに。


なにが良いのサトシ君?

服だって脱ぐよ?

なにをされても、絶対に怒らないよ?

サトシ君のお願い、なんでも聞いてあげるよ?


 サトシ 「じゃあ……」

 カノン 「うん……」
 ▼ 395 スノキ 15/02/11 21:00:00 ID:JGMs4M6s [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……絶対に死ぬなよ」

 カノン 「えっ……」

 サトシ 「それがオレの願いだ。爆弾を処理して、2人で無事に帰るんだ。だから絶対に……絶対に死なないでくれよ、カノン!」

 カノン 「ぅっ……うん ///」

 サトシ 「へへっ」


……私のバカ。


こんなに純粋なサトシ君が、私にエッチなことする訳ないじゃない。

なんでサトシ君ってこんなに……こんなに優しいのよっ……。


 カノン 「ぅっ……グスッ……」

 サトシ 「……どうしたカノン!?」

 カノン 「ごめっ……ごめんなさい……なんでもないのっ……グズッ……サトシ君がっ……優しいからっ……」
 ▼ 396 スノキ 15/02/11 21:00:40 ID:JGMs4M6s [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
泣くなんて みっともない。

最後くらい、笑顔でいようよ、私。


 カノン 「んっ……ふふっ……」

 サトシ 「へへっ……」


涙を流しながら、私は笑った。

サトシ君も、満面の笑みを浮かべた。

やっぱり笑顔が一番だ。


 カノン 「ねぇ、サトシ君……」

 サトシ 「どうした?」

 カノン 「私からのお願い……きっ……キスしてっ……ください……///」


私は俯き加減で、少し弱々しく言った。

こういう時、堂々と言えない自分が腹立たしい。でも、しっかりと自分の口から言えたのは、我ながら頑張った方だと思う。
 ▼ 397 スノキ 15/02/11 21:01:21 ID:JGMs4M6s [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
顔を上げて、サトシ君の表情をうかがう。

サトシ君は、無言で、笑顔で、ゆっくりと頷いた。


サトシ君……。



私は目を瞑り、そっと、サトシ君の唇に、自分の唇を重ねた。



あぁ……。


これが最後かもしれないんだね。

でも、私の心は満たされている。

2人だけの時間、2人だけの空間、2人だけの使命。

それらをサトシ君と共有できることが、何よりも私を満足させてくれる。


サトシ君の鼓動が伝わってくる。

その定期的なリズムは、どこか私を安心させた。
 ▼ 398 スノキ 15/02/11 21:02:20 ID:JGMs4M6s [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
友達がいない?

そんなこと、もうどうだっていい。私には、遠く離れていても見守ってくれている、大切な友達が出来たんだ。

私の心を癒してくれる、かけがえのない存在が。


あぁ……。

また涙が出てきちゃった。

最後は笑顔でいようって決めたのに。決めたのにっ……。



名残惜しく、私とサトシ君の唇は離れた。


……名残惜しかったのは、私だけかもしれない。

私の我儘を、サトシ君が聞いてくれただけかもしれない。


けど、私にとって、それは幸せな時間だった。

ほんの数秒かもしれないけど、私の人生で、最高の瞬間だった。


 カノン 「サトシ君……///」
 ▼ 399 スノキ 15/02/11 21:03:00 ID:JGMs4M6s [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……残り1分27秒。そろそろ準備するか」

 カノン 「うん」


私はサトシ君の後ろにまわって、しっかりと抱きしめた。


 カノン 「投げるのに邪魔にならない?」

 サトシ 「えっと……右腕を思いっきり振るから、もう気持ち左で頼む」

 カノン 「……これで大丈夫?」

 サトシ 「あぁ。じゃあそのまま、頼んだぜカノン!」

 カノン 「……はいっ!」


私がサトシ君を抱きしめて支えることで、サトシ君は爆弾を投げやすくなる。

爆弾を投げたら、すぐに逃げる。少しでも爆風に巻き込まれないように、出来るだけ遠くへ。

けど、爆発の規模が分からないことには、逃げたところで、果たして無事で済むかは分からない。

まさに、命がけ――。


けど、最後の瞬間までサトシ君と触れ合っていられるのだから、なにも怖くない。

私は安心して、アルトマーレの護神としての使命を全うできるんだ。
 ▼ 400 スノキ 15/02/11 21:04:00 ID:JGMs4M6s [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「……残り30秒。10秒前になったら、カウントするね」

 サトシ 「あぁ。よろしくな」


サトシ君は右手で爆弾を掴み、腕をまわし、力一杯投げる準備をする。

残り秒数はサトシ君からは見えなくなるので、私がタイミングを伝える。重要な役目だ。


残り20秒。

もう、これでお別れかもしれない。サトシ君の姿を見るのは、これが最後かもしれない。

そう思うと、サトシ君を抱きしめる力が、自然と強まった。


 サトシ 「……大丈夫だぜカノン。オレがついてる。一緒にラティアスたちの元へ帰ろうぜ!」

 カノン 「……うんっ!」


そうだよ。サトシ君のお願いを、私は果たさなくちゃ。絶対に死なない、サトシ君と一緒に無事に帰るって約束、ちゃんと守らなくちゃ!


 カノン 「10秒前! 9、8、7、6、5秒前!」

 サトシ 「いっけぇぇぇぇぇぇ!」


サトシ君は大きく振りかぶり、力一杯、爆弾を放り投げた。
 ▼ 401 ガレックウザ@ドリームボール 15/02/11 21:08:49 ID:LhKd8/ao [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 402 ャースおまもりこばん 15/02/11 21:40:45 ID:z9oqSRNQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
全力支援❗️❗️❗️❗️❗️❗️
 ▼ 403 ャースおまもりこばん 15/02/11 21:43:08 ID:z9oqSRNQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>402
すいませんビックリマークが変なことになってしまいました。

支援
 ▼ 404 ッシード@ルカリオナイト 15/02/11 22:30:35 ID:LhKd8/ao [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 405 ントル@あおいビードロ 15/02/11 23:08:52 ID:040wsUis NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 406 ンシグラードン@ガルーラナイト 15/02/11 23:09:21 ID:Y79lmlWM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 407 クリュー@バトルサーチャー 15/02/11 23:42:50 ID:jwnVfijg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いいとこで切りやがって……!!!
支援してるで
 ▼ 408 ガ デデンネ 15/02/11 23:49:29 ID:oAcnHKEs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気になる〜
 ▼ 409 トベトン@のろいのおふだ 15/02/12 00:32:57 ID:GBWbUSDU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 410 キカブリ@ハートのウロコ 15/02/12 17:29:11 ID:ZUsQfcgY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頑張れー!!良い所で切るのはもう駄目ですからね?(笑)
 ▼ 411 ワンテ@おしえテレビ 15/02/12 20:24:39 ID:o42Pmjgo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チッ、投げる時に切りやがって。支援
 ▼ 412 ナフィ@マグマブースター 15/02/12 21:01:47 ID:A8N0ZP0o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クイズ番組かよ
そわそわする
支援
 ▼ 413 ニラン@デンリュウナイト 15/02/12 21:31:25 ID:ZUsQfcgY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援.....11回目
 ▼ 414 ビット@あおいビードロ 15/02/12 21:49:55 ID:ebk1IE5. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 415 ガ デデンネ 15/02/12 22:42:11 ID:/WsgVISw NGネーム登録 NGID登録 報告
早く見たい……
 ▼ 416 ノココ@あなぬけのヒモ 15/02/12 23:35:59 ID:UlPJnilM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 417 リゴン@ハッサムナイト 15/02/13 00:05:07 ID:aGkKdnQE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援絵とかあげてみたいレベル
 ▼ 418 スノキ 15/02/13 00:51:00 ID:UIo/Q7Eo [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 34 】


 J 「おのれ貴様ら……!」


カノンに続いて、サトシにまで逃げられたJは、相当怒っているみたい。

Jのポケモンは1匹だけだけど、メガボーマンダと言う強敵だ。

私は、サトシのピカチュウとゲコガシラで、Jを倒さなきゃいけない。ルクシオとハリマロンを出すシトロンと一緒に、この勝負に、勝たなくちゃいけない。


 シトロン 「セレナ。ここは僕がメインで戦います。セレナは後方援護……危ないと思った時に、ルクシオとハリマロンを援護して下さい」

 セレナ 「うん」

 シトロン 「ルクシオ! “スピードスター”で牽制です!」

 J 「ぬるい! “りゅうのはどう”で掻き消せ!」


ルクシオの“スピードスター”が、一直線にボーマンダに迫る。でもJは何ら慌てることなく、ボーマンダに“りゅうのはどう”を指示した。

私は個々のワザの威力とかはよく分からないけど、見た目だけなら、断然“りゅうのはどう”の方が強力だ。
 ▼ 419 スノキ 15/02/13 00:51:40 ID:UIo/Q7Eo [2/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「……今ですハリマロン! “つるのムチ”でボーマンダを!」

     「りぃぃぃまぁぁぁ!」


 J 「なにっ!?」


小さなハリマロンの“つるのムチ”なんて、メガ進化したボーマンダには大した効果は無いと思っていた。

でもシトロンの狙いは、別に攻撃なんかじゃなかったみたい。

ボーマンダの足を、ちょっと“つるのムチ”で掬うことで、攻撃の態勢を崩すことに成功したのだ。

それにより、“りゅうのはどう”は、全然関係ない方向に放たれる。


 シトロン 「お願いしますルクシオ! “ほうでん”です! ハリマロンは“ミサイルばり”!」

 セレナ 「あっ……ピカチュウは“10万ボルト”よ! ゲコガシラはえっと……“みずのはどう”!」


私たち1匹1匹のポケモンの力は、メガボーマンダには遠く及ばない。だからシトロン、積極的に隙を作り出して、少しずつでもダメージを与えていく戦法を取るつもりなのね。

ピカチュウたちの4つの攻撃は、全てボーマンダに直撃した。


 シトロン 「良いですよルクシオ、ハリマロン!」
 ▼ 420 スノキ 15/02/13 00:52:20 ID:UIo/Q7Eo [3/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「なにをしている! もう一度“りゅうのはどう”だ!」


けど、ボーマンダは すぐに体勢を立て直して、再び“りゅうのはどう”を放った。

まるで、今の攻撃が全然効いてないかのような切り返し。それだけメガボーマンダは強いって言うの!?


 シトロン 「ルクシオ、“ほうでん”で向かい打ってください! セレナもお願いします!」

 セレナ 「えぇ! ピカチュウは“エレキボール”、ゲコガシラはもう1回“みずのはどう”をお願い!」

     「ぴかぴかぴかぁぁぁちゅぴっかぁ!」

     「げぇぇぇごぉぉぉ!」

 シトロン 「ハリマロン! この隙に“ミサイルばり”です!」

     「りぃまっ!」


“ほうでん”と“エレキボール”、それに“みずのはどう”が、ボーマンダの“りゅうのはどう”とぶつかり合う。

でも……やっぱり相手の方が強い。このままだと押し返されちゃう……ってあれ? ハリマロンは……?


見ると、ハリマロンは素早く脇に回り込んでいた。

……そうか。この隙に、ハリマロンが横からボーマンダへ攻撃するのね!
 ▼ 421 スノキ 15/02/13 00:53:00 ID:UIo/Q7Eo [4/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「なっ……貴様ぁっ!」

 セレナ 「えっ!?」


実際は違った。

ハリマロンの“ミサイルばり”が向かった先は、Jの足元。

ボーマンダへの指示に気を取られていた、そして、まさか自分へ攻撃の手が向けられるとは思っていなかったであろうJに向けて、シトロンは攻撃を指示したのだ。


 セレナ 「シトロン……?」

 シトロン 「今ですホルビー!」


     「ほっびぃぃぃ!」

 J 「なにっ!」


シトロンの掛け声と同時に、地面からホルビーが飛び出して来た。そっか、なんでホルビーを出さないんだろうって思ってたけど、最初から“あなをほる”でチャンスを伺ってたのね。

そしてホルビーは、Jの持っていた“こころのしずく”を奪還することに成功したのだ。


 シトロン 「よしっ! 良いですよホルビー! 穴を掘って戻ってください!」
 ▼ 422 スノキ 15/02/13 00:53:40 ID:UIo/Q7Eo [5/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン……普段は頼りないけど、ジムリーダーとしての実力は本物だったのね。

もしかしてシトロンが遅れたのって、Jに対抗する作戦を考えてたからなの?


シトロンの意外な活躍に感心していると、ホルビーが戻って来た。


 シトロン 「ありがとうございますホルビー。セレナ、こころのしずくをお願いします」

 セレナ 「あっ、うん!」

 シトロン 「あとは何とか4匹でボーマンダを倒せれば……」


 J 「“かげぶんしん”!」


シトロンの言葉を遮るように、Jが叫ぶ。

その口調は、こころのしずくを みすみす奪われた怒り、そして、自分を倒すなんて無理だと言う余裕が、滲み出ていた。
 ▼ 423 スノキ 15/02/13 00:54:20 ID:UIo/Q7Eo [6/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“かげぶんしん”は、瞬く間に私たちのまわりの空間を埋め尽くす。


 シトロン 「落ち着いて! 本物は一つです! ルクシオは“スピードスター”! ハリマロンは“つるのムチ”で薙ぎ払ってください!」

 セレナ 「2人もお願い! ピカチュウは“でんこうせっか”! ゲコガシラは“つばめがえし”で!」

 J 「遅い! “はかいこうせん”!」

 セレナ 「えっ……!?」

 シトロン 「マズい……みんな逃げて下さい!」


直後。


ボーマンダの分身全てから、“はかいこうせん”が発射された。

“実際に”発射されたのは一つだけど、分身の数で空間を支配するボーマンダから放たれたその光線は、まさに四方八方から迫りくる。

どれが本物か分からない恐怖が、私たちを襲った。


 シトロン 「伏せて下さいセレナ!」

 セレナ 「きゃああぁぁぁぁっ!」
 ▼ 424 スノキ 15/02/13 00:55:00 ID:UIo/Q7Eo [7/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爆発音……とは少し違う、鈍い音が響き渡った。

メガ進化したボーマンダの“はかいこうせん”。その威力がどれほど凄まじいかは、想像するに容易い。いや、今のこの爆音を聞いて、それを実感できた。


地震のような振動が襲い掛かる。

砂埃が立ちこめて、私たちの視界を奪う。


 シトロン 「クッ……!」

 セレナ 「みんなっ……」


静かだ。

大きな音が発せられた直後だからか、攻撃後の一瞬が、やけに静かに感じる。


視界が晴れる。


 セレナ 「ピカチュウ……ゲコガシラ……」

 シトロン 「ハリマロン! ルクシオ……」


抉られた地の上に立っていたのは、ピカチュウとゲコガシラだけだった。
 ▼ 425 スノキ 15/02/13 00:55:40 ID:UIo/Q7Eo [8/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時間も、長くは続かない。


 J 「続けて“りゅうのはどう”! 残りも蹴散らせ!」


ボーマンダの攻撃が続いたからだ。

視界が晴れるまでの間で、“はかいこうせん”の反動は終わったみたい。

再び全ての分身から、“りゅうのはどう”が放たれる。


 セレナ 「逃げてピカチュウ!」

 シトロン 「避けて下さいルクシオ!」

 J 「無駄だ。ボーマンダの“はかいこうせん”を受けて、立っていられる方がおかしい」


……その通りだった。

ピカチュウとルクシオは、辛うじて意識を保っている状態のようで、“りゅうのはどう”を回避するスピード、体力は、残っていなかった。
 ▼ 426 スノキ 15/02/13 00:56:20 ID:UIo/Q7Eo [9/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
直撃する。


 シトロン 「ルクシオぉぉぉ!」

 セレナ 「あぁっ……」


地面に叩きつけられるかのような衝撃波は、ピカチュウとルクシオを、いとも簡単に吹き飛ばした。

あの凄まじい“はかいこうせん”を喰らって、この“りゅうのはどう”を喰らって……立ち上がれる訳が無かった。


 セレナ 「ピカチュウっ!」


私は急いでピカチュウの元へ駆けつけて、そっと抱き上げる。


……ダメだった。完全に戦闘不能状態。


もっと的確な指示を出せていれば……。私がしっかりしていれば、ピカチュウとゲコガシラは もっと戦えたのにっ……。


 セレナ 「ごめんね、ピカチュウ……。ごめんねっ……サトシっ……」
 ▼ 427 スノキ 15/02/13 00:57:00 ID:UIo/Q7Eo [10/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
考えてみれば、私はバトルをしたこと自体、ロケット団を除けば、サマーキャンプが最初で最後だった。

もっと……もっとバトルに慣れておけば……こんなことにはならなかったのにっ……。


 セレナ 「ごめんなさいっ……グスッ……」


 J 「ふんっ。張り合いの無い奴等だ」


あざ笑うかのようなJの声が響く。

そしてJは、……腕時計を確認したのか、そんな仕草を取り、言った。


 J 「さて。そろそろ爆発する頃合いだな」

 シトロン 「なっ……もうそんなに!?」

 セレナ 「サトシ……カノン……」


そっか。あれからもう30分も経ったんだ。

サトシのことだから……飛行機事故に遭っても無傷だったサトシのことだから、今回だって絶対に大丈夫。カノンと一緒に、うまく爆弾を処理しているに違いない!

そう信じたいけどっ……。
 ▼ 428 スノキ 15/02/13 00:57:40 ID:UIo/Q7Eo [11/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「これ以上、貴様らの相手をしている暇はない。ラティオスを誘き寄せることは出来なかったが……ラティアス1匹で十分だろう。……ボーマンダ!」


Jは私たちに背を向けて、冷たく言い放った。

このままじゃ……このままじゃラティアスが!

サトシにバトルを任されたのに、みすみすラティアスを奪われちゃうなんて絶対にダメ!


 セレナ 「待ち……」


待ちなさい!

そう、私は叫ぶつもりだった。

けれど、私が全てを喋る前に、ボーマンダが動いていたのだ。バトルを終えたボーマンダは、秘密の庭の中心で上昇し、……炎を吐いた。


 シトロン 「なっ……何をやってるんですか!?」

 セレナ 「きゃっ!?」


メガ進化した強力な威力の“かえんほうしゃ”が、秘密の庭の木々を焼き尽くす。ヌオーたちの消火も、ヌメラの“あまごい”も、役に立たないほど。

赤々と燃え上がる炎の熱気が迫り、目を開けていることさえ辛い。
 ▼ 429 スノキ 15/02/13 00:58:20 ID:UIo/Q7Eo [12/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「本来は爆弾で証拠隠滅を図るところだったが……持ち去られてしまったからな。馬鹿な奴等だ。どのみちここは破壊する。爆弾を持ち出したところで、被害が増えるだけだったな!」

 シトロン 「Jっ! ……ヌメラ頑張ってください! ヌオーたちも!」

     「めぇぇらぁぁぁぁ!」

     「「「ぬおぉぉぉぉぉ!」」」

     「「「うぱああぁぁぁ!」」」


みんな必死で火を消そうとしている。

けど……こんな大きな炎じゃ……。
 ▼ 430 スノキ 15/02/13 00:59:00 ID:UIo/Q7Eo [13/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「ここは危険です! セレナは逃げて下さい!」


カノンが護っていた秘密の庭が……。

カノンがお世話していたラティアスが……。

カノンの使命がっ……。


 シトロン 「セレナ! 聞いてますかセレナ!? 逃げてくださいっ!」


カノン、あんなに誇りを持ってアルトマーレを護ってたのに……。

自分の使命に向き合って、あんなに一生懸命だったのに……。

それがなんで……なんでこんな結末を迎えなくちゃいけないの!?

今だって、命を懸けて爆弾を処理しようとしているのにっ!


 シトロン 「セレナっ!」


 セレナ 「……目を覚ましてラティアス! サトシをっ……サトシとカノンを助けてあげてぇぇぇ!」
 ▼ 431 スノキ 15/02/13 00:59:40 ID:UIo/Q7Eo [14/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時。


私は微かな風を感じた。


 セレナ 「えっ……?」


風、と言うより、衝撃波のような……。


その瞬間、ラティアスが捕われている大木が、大きく破裂した……ように見えた。


 シトロン 「あれはっ!?」

 セレナ 「ラティアス!」


ラティアスが光を放ちながら浮いている。アリアドスの糸を断ち切って。


 シトロン 「あれは……“ラスターパージ”です! 自分を中心としてエネルギーを放出させるワザ……」

 セレナ 「そっか……それで糸を……」


     「くうううぅぅぅぅぅっ!」
 ▼ 432 スノキ 15/02/13 01:00:20 ID:UIo/Q7Eo [15/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラティアスは雄叫びを上げる。

体は傷だらけだけど、キッ! と、ボーマンダとJを睨みつけて。


 J 「チッ! 往生際の悪い奴だ」


 シトロン 「……セレナ、スカートが!」

 セレナ 「えっ!?」


シトロンに言われて気付いた。

私のスカートが光っている。……いや、スカートのポッケに入れた“こころのしずく”が、光り輝いていたのだ。

なんだろう。まるで、ラティアスと同調するかのような……。


 J 「押さえつけろボーマンダ! “りゅうのはどう”だ!」


ボーマンダがラティアスに迫る。

あんな傷だらけのラティアスが“りゅうのはどう”を受けてしまったら、いくらなんでも危険すぎる。


 セレナ 「ダメッ! ラティアスを攻撃しないでぇぇぇっ!」
 ▼ 433 スノキ 15/02/13 01:01:00 ID:UIo/Q7Eo [16/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
     「くぅぅぅぅぅぅぅ!」


ラティアスが叫ぶ。甲高い鳴き声で、大きく叫ぶ。

そして、みるみるうちに輝きだすラティアスの体。それに負けじと輝きを増す“こころのしずく”。


輝きながら天を仰ぐラティアスは、燃え盛る秘密の庭の中で、別空間にいるかのような美しさを、逞しさを放っている。

あんなに可愛い子が、こんなに逞しく……伝説のポケモンの維持を見せるかのような、大きな輝き。


この感じ……私は見たことがある。

この体勢は……!


一瞬の間を置いて、ラティアスが空へ向けて、光の魂を発射した。

それは空中で激しく破裂して、隕石のようなエネルギー体が、あたり一面に降り注ぐ。


 シトロン 「これは……“りゅうせいぐん”です!」
 ▼ 434 スノキ 15/02/13 01:01:40 ID:UIo/Q7Eo [17/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう、“りゅうせいぐん”。

サトシとザクロさんとのバトルで、チゴラスが使ってたワザだ。


 J 「なっ……まだこんな力がっ!? ボーマンダ!?」


“りゅうのはどう”を確実に当てるために、ラティアスに最接近していたボーマンダ。

もはや避けることは出来ない。

あの小さなラティアスが放ったとは思えないような、強力な“りゅうせいぐん”の集中砲火を受け、地面に叩きつけられたのだ。


 J 「ばっ……馬鹿なっ! しっかりしろボーマンダ!」


ボーマンダは動けない。

ドラゴンタイプ最強と言われる“りゅうせいぐん”を直に受けて、立ち上がれないのだ。


ラティアス……、私たちが苦戦していたボーマンダを、たった一撃で……。

凄いよラティアス! あなた、強すぎるよっ!
 ▼ 435 ーミラー@キズぐすり 15/02/13 01:03:01 ID:0M3PeNfE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 436 スノキ 15/02/13 01:04:00 ID:UIo/Q7Eo [18/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
     「くぅぅっ!」


倒れ込むボーマンダの姿を確認したラティアスは、目にもとまらぬ速さで、秘密の庭から飛び立った。

きっとラティアス……、サトシとカノンを助けに行くんだ。アルトマーレを護るために、爆弾を処理しようと格闘する2人の元へ!


 J 「おのれラティアス……逃がしてなるものかっ! 追えボーマンダ! 立ち上がれ!」

 シトロン 「させませんよ! ホルビー、“あなをほる”攻撃です!」

 J 「なっ!?」


ヨロヨロと立ち上がろうとするボーマンダ。その足元から地面に飛び出したホルビーは、ボーマンダの顎を、思いきり殴り上げた。


 シトロン 「続けて“マッドショット”です!」


ホルビーの耳は、荒れた庭の地面を抉り、泥の塊をボーマンダに直撃させた。

……そうか。ボーマンダは今、地に足を付いている。飛んでさえいなければ、地面タイプのワザを当てることが出来るんだ。

シトロン、それを狙って、ホルビーをまた地中に待機させてたのねっ。
 ▼ 437 スノキ 15/02/13 01:04:40 ID:UIo/Q7Eo [19/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「貴様ちょこまかとっ……しっかりしろボーマンダ! おいボーマンダっ!?」


ホルビーの攻撃が、トドメを刺したようだ。

ボーマンダの巨体は地面に倒れ、メガ進化が解除された。

それは即ち……、私たちの勝ちだ!


 シトロン 「よしっ! 良くやってくれましたホルビー!」

     「ほっっっびぃ!」

 セレナ 「わはっ……やったぁぁぁ!」


ホルビーを抱きしめ、労うシトロン。

やっぱりシトロン、バトルのセンスあるよ。ジムリーダーの名に恥じない活躍、私、しっかり見てたからね。


 J 「グギギッ……っ! 戻れボーマンダ! この役立たずが! 撤収だ!」


Jはボーマンダをボールに戻すと、……飛行マシンを背負っていたらしく、それで秘密の庭から立ち去った。
 ▼ 438 スノキ 15/02/13 01:05:20 ID:UIo/Q7Eo [20/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「あっ……待ちなさいっ!」

 セレナ 「J! 何度来たって同じことよっ! ラティアスやカノンがいる限り! あなたの思い通りにはならないんだから! もう二度と来ないでっ!」


私はついつい、大声で怒鳴ってしまった。

ラティアスを傷つけて、秘密の庭を滅茶苦茶にして、爆弾を仕掛けてサトシやカノンを危険な目に遭わせて……。決して許されることでは無い。


Jは振り返らず、アルトマーレの空へと消えて行った。

私の言葉が届いたのかは、果たして分からない。何にせよ、もう二度とアルトマーレに訪れないこと、ラティアスを捕まえようと企まないことを、祈るばかりだ。


 シトロン 「J……これで諦めればいいのですが……」

 セレナ 「……きっと大丈夫よ。ラティアスの凄い力を見たんだから、きっと諦めるはずよ」

 シトロン 「だと良いんですが。……秘密の庭を、消火しなければなりませんね」


そうだ。ボーマンダの“かえんほうしゃ”は、秘密の庭に大きな置き土産を残して行った。

木々を焼く赤い炎……もはや火の海と化してしまっている。この炎を、いち早く消し止めなけらばならない。

サトシとカノンが心配だけど、ラティアスが助けに行ったようだから、今はラティアスに任せるしかない。

いま私たちに出来ることは、無暗にサトシ達を探すことでは無く、この炎を消しとめて、少しでも秘密の庭を護ることだ。
 ▼ 439 れいなゲーチス大統領◆fnkquv7jY2 15/02/13 01:05:52 ID:JO/f4J9. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 440 スノキ 15/02/13 01:06:00 ID:UIo/Q7Eo [21/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 35 】


カノン 「10秒前! 9、8、7、6、5秒前!」

 サトシ 「いっけぇぇぇぇぇぇ!」


カノンのカウントを確認して、オレは力一杯、爆弾を放り投げた。海のポケモン達に被害が出ないよう、月夜に向かって、出来るだけ高く。


けど、投げ飛ばせる距離なんて、たかが知れている。

オレ達が爆風に巻き込まれることは、もはや確定事項。それを少しでも和らげるために、全力で逃げなければならない。


オレとカノンは方向転換して、逃げる体制に入った、まさにその瞬間だった。


     「くぅぅぅぅっ!」


夜空を、赤い物体が高速で横切った。

それはまるで彗星のような……流れ星のような……。
 ▼ 441 スノキ 15/02/13 01:06:40 ID:UIo/Q7Eo [22/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ラティアスっ!?」

 サトシ 「おいラティアス!?」


それは、ラティアスの姿に他ならなかった。

Jに攻撃を受けて、捕まって、気絶していたはずのラティアスが、なんでこんなところに……。


そんなオレ達の疑問を投げかける暇なく、ラティアスは、オレが投げた爆弾を掴み取った。


 カノン 「えっ!?」

 サトシ 「まさか……やめろラティアス! やめるんだぁ!」


そしてラティアスは、その爆弾を持って、急上昇を始めた。

満月を目指すロケットのごとく、大空を上り詰めるラティアス。

風を切る音が、ピリピリとオレ達にも感じるくらい、ラティアスは高速で上昇しているのだ。


その間、たった3秒。

残り5秒でオレが投げた爆弾を、ラティアスは恐れることなく掴み取り、より安全な大空へ、運ぼうと言うのだ。
 ▼ 442 スノキ 15/02/13 01:07:20 ID:UIo/Q7Eo [23/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「ダメよラティアス! そんなっ……そんなことしたら貴方がっ……戻ってぇ!」

 サトシ 「もういい! もう離せラティアス! 巻き込まれちまうだろぉ!」


もはや、オレ達には どうすることもできない。

ただただ、空へ向かって上昇するラティアスに、戻れと叫ぶことしか出来なかった。


恐らく、残り1秒。

そのタイミングで、ラティアスは爆弾を離し、今度は急降下を始めた。

爆弾は、大空高く、ここからだと“点”にも満たない小ささにしか見えない。それほどラティアスは、海への影響がない高所へ爆弾を運んだのだ。


ラティアスが戻ってくる。急降下で戻ってくる。


早く……もっと早く……!

そんな距離じゃ、爆発に巻き込まれちゃうだろっ!? ラティアスっ!?
 ▼ 443 れいなゲーチス大統領◆fnkquv7jY2 15/02/13 01:07:28 ID:JO/f4J9. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 444 スノキ 15/02/13 01:08:00 ID:UIo/Q7Eo [24/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


―― 空が破裂した。


オレンジ色の閃光と、空を焦がすかのような黒煙。

轟音が響き渡り、少し遅れて、衝撃波が海面に到達した。


それと同時に、海面に叩きつけられたラティアス。

爆弾からの距離が足りなかったんだ。爆風に呑み込まれて、莫大なエネルギーに押し潰されてしまったのだ。


 サトシ 「うわっ……がっ……!」

 カノン 「ぁっ……きゃああぁぁあぁぁぁっ……」


そしてそれは、オレとカノンも同じだった。

あれだけ上空で爆発したと言うのに、爆風のエネルギーは、難なく海面に到達。叩きつけられるような衝撃が、体に走る。
 ▼ 445 スノキ 15/02/13 01:08:40 ID:UIo/Q7Eo [25/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、呑み込まれる。

爆弾の直下が、まるで巨大な隕石が落下したかのように、海に大きな穴が開いた。


大波が発生する。

渦のような大波に、オレ達は呑みこまれたのだ。


ラティアスが心配だけど、果たしてそんな余裕は無かった。

オレ自身が受けた衝撃が凄まじかったし、この波から脱出しなけらばならないし、それに、息が続かない……。

カノンの姿も……ラティアスの姿も……ヤバい。こんなところでっ……カノンと一緒に無事に帰るって、約束したじゃんかよ……、オレっ……。


ダメだ。意識をしっかり保て! 体の痛みなんて、ラティアスが受けたダメージに比べたら微々たるもんじゃないか!


オレがしっかりしなくてどうするんだよっ!?


クッ……けどっ……、カノンっ……ラティアスっ……。
 ▼ 446 スノキ 15/02/13 01:11:11 ID:UIo/Q7Eo [26/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 今夜はこの辺で終了します。ご支援、ご感想、ありがとうございました。


 この場で書くのは違うかもしれませんが、今日のアニポケは、個人的にXY編で最高の出来だと感じました。
 全くもって無駄が無く、絶妙な魅せ方、そして映画レベルと言っても過言では無い描写。そしてセレナの描かれ方。
 初挑戦で不安気な表情、舞台上で自信を付ける表情、失敗して落ち込む表情、強がる表情、悔しくて泣きだす姿、そして、髪を切る演出、カメラワーク。どれをとっても文句の付けようがありません。ラストに、サトシから貰ったリボンを付けて頬を染める描写を入れたもんだから、より一層、今回の評価が上がりました。
 とにもかくにも、アニメで感動したのは久しぶりです。


 そして、セレナに対するイメージも少し変わりました。
 このSS内の時系列はヒヨクシティ到着前(セレナのトライポカロン挑戦前)なので、特段なにかをする訳ではありませんが、この後……、次のSSでは、確実に個人的印象の影響が出てしまいそうです。現時点で出来上がっている構想は、見直さざるを得ません。

 とにかく、私にとって、それほど印象深い回でした。


 その影響を受けて……という訳では無いですが。

 突然ながら、私は旅に出ることにしました。まだSSを書きたいと言う気持ちは残っていますが、それはそれで、抑え込まねばなりません。

 これまで10作ほどこちらでSSを執筆して参りましたが、本日まで多くの皆様にご支援、ご感想を頂き、とても嬉しく思います。改めて、皆様にお礼申し上げます。

 自己満足で始めたSSですが、一人でも楽しんで頂けた方がいらっしゃるのでしたら、こちらで執筆した甲斐があったと言うものです。


 それでは、この辺で失礼させて頂きます。

 なお、日曜日の深夜には帰って来るので、遅くとも火曜日には更新再開します。


 最後に、セレナのロングヘア&旧服装を貼っておきますね。
 ▼ 447 ェルダー@ひきかえけん 15/02/13 01:13:14 ID:mUSMVjUs NGネーム登録 NGID登録 報告
ここにきてクスノキが構ってちゃんにwwwww
とりま乙
 ▼ 448 ラーミィ@メンバーズカード 15/02/13 01:32:36 ID:8w4BAy6s NGネーム登録 NGID登録 報告
ちゃんと帰って来てねぇ〜乙!
 ▼ 449 ラチーノ@のんきのおこう 15/02/13 01:51:25 ID:K9aHiX/o NGネーム登録 NGID登録 報告
おつ!

ってか、>>446の画像のチョイスはなんやねんwww
 ▼ 450 ンダース@パワーバンド 15/02/13 02:30:30 ID:aGkKdnQE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
うわあぁぁぁ〜ッ!ラティアスが無事なのか心配過ぎるッ!乙ッ!
 ▼ 451 イバニラ@ジュカインナイト 15/02/13 06:38:23 ID:L.oPn7HE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今見直したところラティアスのラスターパージとは素晴らしい、ゲームでもアルトマーレの特別なラティ兄妹配信されないかな、続きが気になる支援
 ▼ 452 ャースおまもりこばん 15/02/13 07:01:54 ID:ZzeflxbI NGネーム登録 NGID登録 報告
くすのき
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