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SS

【悪役SS】貴方に勝利の栄光を

 ▼ 1 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:52:42 ID:ULXOW/RQ [1/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
例の企画の。以下うらる
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=590254

コピペの作業を延々と、開始ー
 ▼ 2 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:53:23 ID:ULXOW/RQ [2/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………サカキ様」

 一体、どのように声を掛ければ良いのか。運命とは残酷なものだと───そう理解してしまったのだ。自分達ではどうすることも出来ない、不可思議な力。それが運命で、あの少年たちはその運命に愛されているのだと………否が応にも、理解させられてしまった。

 かつての敗北が蘇る。忌々しい赤帽子の少年に敗北し、ロケット団を解散させざるを得なかった敗北の過去が。だからこそ、悪の矜持を以てあの仇敵を打倒することで、ロケット団を───誇り高きRの旗の下に、再興させようとした。だが、蓋を開けてみればどうか。
 ▼ 3 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:53:59 ID:ULXOW/RQ [3/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 まるであの時の再現のようだ。年端もいかない、経験の差で圧倒できるはずの小僧に叩きのめされた。金色の帽子をかぶった少年に敗北した。苦い過去がフラッシュバックし、泣いてしまいそうになる。でも、それは主だって同じ気持ちのはずだ。だからこそ、なんて声を掛ければ良いのかがわからないのだ。

「───何も言わなくて良い。ただ………悪いが、連絡を入れてやれ。俺はもう一度、一から鍛え直す」

 そう切り出してくれたのは嬉しかった。不器用なこの人ではあるが、ラジオ塔を占拠したかつての同志達の下へ駆けつけようとしたように、何だかんだ部下のことを気にかけてくれる優しい人でもあるのだ。

 だが、それ故に、彼に気を遣わせてしまったことを悔やむのだ。きっと自分以上にショックを受けているだろう。三年前からの悲願だったはずだ………それをこんな形で邪魔されたのだ。そんな彼に───申し訳ないなどでは済まない。
 ▼ 4 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:54:36 ID:ULXOW/RQ [4/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 とはいえ、出された指示には忠実に従う。それが自分のポリシーだ。切り替えて、主の命令を受け入れる。

「サカキ様本人が話してくれた方が彼らも喜ぶとは思いますが………まあ、仕方がないですね。了解しました。私はこのまま、地の果てまでお供します」

 つい口に出してしまったが、敗者自身が敗北の報を届けるなど最悪だろう。そんなことがわからないくらいには疲れが溜まっているらしい………自分も少し、ゆっくりと身体を休めないといけないな───そう考え、一度主の元から離れてポケギアを起動しようとし、
 ▼ 5 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:55:08 ID:ULXOW/RQ [5/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………どうかなさいましたか、ボス」

 彼が小さく笑うのが聞こえた。裏地に赤でRの文字が刻まれたパーカーを翻し、その笑みの真意を問う。少なくとも、苦々しい敗北から今まで、笑う要素など一つもなかったはずだが───

「いや、少しな。どうやらナイーブになっていたらしい───連れてきたのがお前で良かったと、そう思っただけだ」

 ───。
 ▼ 6 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:55:38 ID:ULXOW/RQ [6/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………っ。そういうことは、本当に大切な人に………若様に言ってあげてください。私如きに使うには勿体無い限りです」

 少し赤く染まった頬を隠すように後ろを向き、離れる。この人からこんな言葉を貰えるなどとは思ってもいなかった。そして、こんな言葉が、たまらなく嬉しい。だが、

 だからこそ憎い。嬉しいからこそ、叶わぬ恋が、報われぬ愛が、憎い。心の底から惚れている、彼に魅了され、心酔している───そんな自覚があるから。どう足掻いても、この望みは叶えられない、叶ってはいけない。
 ▼ 7 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:56:09 ID:ULXOW/RQ [7/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 いっそ、何かを考えるということもなく、ずっと一人の従者として振る舞うことが出来たのなら、どれだけ良かったのだろうか。ああ、でも………

「この熱を、この想いを、貴方の勝利の礎とすることが出来れば───それだけで、私は………」

 聞こえないようにポツリと呟いた───そんな、遠い昔の夢。
 ▼ 8 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:56:37 ID:ULXOW/RQ [8/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 あれから、どれだけの時が経ったのだろうか。

「やりましたね、ボス。完全ではなくとも、貴方は───」

 様々な地方を旅した。特にイッシュでは、赤帽子や金帽子の同類に勝利した。たとえあの少年が彼ら程には愛されていなくとも、或いは、強制力とも呼べる力があの場では弱かったのだとしても、運命に打ち勝ったのだ。その結果は、大きな道標となって自分達の悲願を後押ししてくれた。あの場では同様に招かれていた赤帽子と戦うことは出来なかったが、それが良かったのかもしれない。あの場所でロケット団再興を賭けたバトルを行うなど、気狂いの所業である。
 ▼ 9 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:57:16 ID:ULXOW/RQ [9/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そして今、自分達は───ロケット団は、大きな転機を迎えようとしている。連絡先を交換している………と言うより、代理になる際にジムにあった情報を辿ってかかってきた電話を受け取ってから、稀にやり取りをする間柄となった緑色。彼から聞いた話では、赤緑コンビはアローラ地方にあるバトル施設のゲストとして呼ばれた、ということだ。

 ───長かった。何年もの修行の果てに、ようやくここまで来た。だから、

「時は満ちた。行くぞ───ついてこい」

「ええ。私は、貴方の側に。始めましょう………ロケット団の再興を。私達団員全ての力を、貴方様の悲願達成の力に」
 ▼ 10 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:57:42 ID:ULXOW/RQ [10/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「島巡り、か。ウォーミングアップには丁度良い」

 そう彼は呟き、キャプテン・イリマの指示に従って試練の舞台に入っていった。内容は、茂みの洞窟にいる三匹の野生ポケモンを倒した上で、Zクリスタルを回収すると言うもの。巣穴から出ては逃げるように戻るヤングースの煽りに眉を寄せながらも、

「ドサイドン───やれ」

 地震で茂みの洞窟全体に大きな振動を与えることで、驚いて出てきた二匹のヤングースとデカグース。それらをロックブラストによる正確無比な狙撃で確実に仕留め、難無く突破。主の間で、ぬしポケモンである従来のサイズより一回り大きいデカグースと邂逅。
 ▼ 11 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:58:18 ID:ULXOW/RQ [11/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 キャプテンが育成を施したらしいポケモンではあるが、それでも圧倒的な実力を見せつけ、ドサイドン一匹で撃破したのだ。その巨体に見合わぬ素早い身のこなしで撹乱し、出来た隙を突き、必殺前歯で倒すつもりだったのであろう───その開いた口に、一切の容赦の無い岩石砲の強烈な一撃がデカグースを沈めた。

 続く大試練、島キング・ハラとのバトル。孫を持つ年齢のベテラン、守り神に選ばれた者だけあって、かなりの実力者ではあったが───やはりと言うべきか、幾年もの時間の全てを修行に捧げてきた彼には敵わない。文字通り、執念が違うのだ。巨大な組織のトップに立ち、敗北してもなお慕う者が大勢いる程のカリスマ。結構な歳ではあるが、それ故に豊富な経験。そこから来る統率力と読み。そこに、あの赤帽子と金帽子を倒す為だけに捧げた年月の重みと、勝利への執念が加われば───まさに無敵、その一言が相応しい。
 ▼ 12 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:58:50 ID:ULXOW/RQ [12/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 アーカラ島での試練。スイレン、カキ、マオ、ライチ………四人の試練も、特に苦も無く突破。途中でのトラブルは、自分の若さを感じさせるものだった。それでも動じない彼の精神は、称賛に値するだろう。

「何ですか、そのふざけた問題は。踊りの相違点も何も、そもそも前提が間違っているでしょう………!」

 ガラガラの踊りに全く関係のない人物が乱入した。あまりの衝撃とこちらを小馬鹿にしているような問題に、思わず懐に忍ばせてあったマグナムを抜いてしまう。だが、彼は左手で制し、
 ▼ 13 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:59:17 ID:ULXOW/RQ [13/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「構わん、続けろ」

 もしかしたら、彼はあの問題そのものを面白がっていたのかもしれない。自分の反応すらも、内心で笑っていた可能性すらある。その余裕が、羨ましかった。

 試練はこれで終わらない。ぬしポケモンと思しき新たな乱入者が現れたが、動じずに冷静に対応し、見事勝利を収めていた。相手の、エンニュートの狡猾さ───その知力と運動能力を一目で見抜き、ニドキングの大地の力で誘導してからの、流れるように放たれた冷凍ビーム。足を凍結させることで機動力を削ぎ………本来ならば連続してエネルギーを地から放出する大地の力、そのエネルギーを凝縮して一点に集中させた超火力の秘技であっさりと落とした手腕は素晴らしいなどといった言葉では表現できない程だ。
 ▼ 14 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 16:59:50 ID:ULXOW/RQ [14/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ウラウラ島、キャプテン二人と島キング。道中出会った、島巡りからドロップアウトしてしまった若者。彼らを見て、そういった経歴を持つ一部の部下と重ねたのだろうか、彼らに道を示してやったり、圧倒的な実力で魅了し、未来の部下候補としたり───彼のカリスマは、留まることを知らないかのようだ。そして、山の頂上。そこに建設されたポケモンリーグを一瞥して見せた彼の表情は笑っていた。

 ───きっと、楽しみなのだろう。確かに、あの仇敵の打倒は団員全員の悲願であり、ロケット団を再興させるためにも必要なプロセスだ。でもそれ以前に………彼は、サカキと言う名を持つ一人のポケモントレーナーなのだ。鍛え上げた自慢のポケモン達。不器用ながらも、確かに愛を持って接し、統率する。そんな彼らを、ある種の息子や娘達とも呼べる存在と共に、最強のトレーナーに、伝説のトレーナーに、今度は自分がチャレンジャーとなって挑むのだ。
 ▼ 15 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:00:59 ID:ULXOW/RQ [15/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 島巡り最後の舞台、ポニ島。若くして島クイーンとなった娘、ハプウ。奇しくも彼女は地面タイプの使い手で、それ故かバトルをする様子も楽しそうで。その後のちょっとした指導を見ていたら、秘書を兼任しているとはいえ弟子のポジションを奪われたようで………少し、嫉妬してしまったりも───ああ、

 こういう気持ちだったのか。

 ずっと疑問に思っていた。何故若様は、逃げるようにして消えてしまったのか。憧れの父が子供に負けた、最強のジムリーダーが子供に負けた。それがショックで、反感を覚えた───確かに、それもあるだろう。でもそれは、若様が若様なりに持っていた、父への憧れと愛情の裏返しだったのかもしれない。子供に敗北し、旅に出る。それだけならまだ良い。だがそれは、自分の部下達に示しがつかず、彼らの為に全ての責任を取ったということで。
 ▼ 16 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:01:35 ID:ULXOW/RQ [16/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





 きっと、寂しかったのだ。自分の知らない人達に向けられた想いに、嫉妬してしまったのだ。




 ▼ 17 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:02:13 ID:ULXOW/RQ [17/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ───様々な疑問の答えが出た旅。トレーナーとして研鑽を重ね、悲願を叶える為に出た旅。それがここで、終わろうとしている。


 追憶はこれで終わりだ。夢はここまでで良いだろう。


 過去は必然、現在は偶然。ならば未来は何だ?

 ▼ 18 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:02:52 ID:ULXOW/RQ [18/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 掴み取れ、未知を───道を。掴み取れ、未来を。



「私には、このくらいしか出来ません。だからこそ………」



 祈れ、主の為に───祈れ。

 ▼ 19 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:03:23 ID:ULXOW/RQ [19/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「こうして相見えるのは、いつ以来か」

 ラナキラマウンテンの頂上、ポケモンリーグの頂点───チャンピオンの間。元チャンピオンと元ジムリーダーのエキシビションマッチという名目で貸与された、神聖な場所。ここで、ロケット団の再興を賭けたポケモンバトルが始まる。

 サカキが、小さく呟いた。それに対し、もう青年と呼べるまでに成長した、赤い帽子をかぶったかつての仇敵は、何も発さない。何も喋らない。
 ▼ 20 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:03:51 ID:ULXOW/RQ [20/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ああ、お前はそういう奴だ。若者らしい熱意を持ち、強固な意思を宿しながらも、闘争の時だけは口を開かない。まるで、それを限界まで楽しむかのように」

 普段は自分口を開いたりはしない。多くは語らない人間だ。だが、口が動く。勝手に動く。つもりに積もった想いをぶつける為だけに、らしくもないことを言っている。

「だから言おう。

 ───あまり調子に乗るなよ、小僧」
 ▼ 21 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:04:19 ID:ULXOW/RQ [21/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 熱が入るのを感じる。目に、手に、身体全てに。

「俺はお前に敗北し、己の未熟を悟った。そこに何があろうと、負けたのは俺自身の未熟さ故だ。ならば、することは至って単純………そうだろう?」

 一呼吸、軽く息を吸って───

「ポケモントレーナーのサカキ、貴様にポケモンバトルを申し込む」
 ▼ 22 ょめちゃん◆ANpXpSGtYg 17/05/14 17:04:45 ID:ULXOW/RQ [22/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ───笑った気がした。帽子で隠された顔に、確かな笑みが浮かんだ、そんな気が。


 モンスターボールを構える。初手は決まっている………だから、あとは投げるだけ。

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