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SS

【SS】男「ポ、ポケモン移植手術……?」【リメイク】

 ▼ 1 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 18:53:57 ID:OchAa.LY [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピピピピピピピピピピピピピピピ……!!

五月蝿い。

耳障りにしかならない高音が部屋中に響き渡った。

どうやら……この音は、俺の命の危機を知らせる音らしい……。


白衣の男「やはり……×××の移植は無理があったんですよ……!! このままではこの子……し、死んでしまいます!」


男(死ぬ……だと?)


オーキド「落ち着け!! 絶対に、絶対にこの実験を成功させる……。この子こそが、必ずワシらの希望の灯となるのだ!!」


男(何なんだ? 何が起きているんだ? 一体……)


男(あ、やべぇ……段々、意識が……遠退いて……い、く……




─────────プツン。
 ▼ 2 ーマルド@レインボーパス 17/08/24 18:54:34 ID:5KyHQeJc NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
誰得リメイクおつかれさまでぃーす!
 ▼ 3 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 18:55:44 ID:OchAa.LY [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポタ…ポタ…。

水の滴り落ちる音がする。

あれ……?
ここは何処なんだろうか……?


ボヤけた思考の中で、男は自らがどういう状況下に置かれているのか……それを理解しようと必死だった。


暗く、じめついた部屋……。
あちこちに蜘蛛の巣が張ってある……。


そして、男の目の前には錆びた扉があった。
彼は不快感を感じざるを得ないこの部屋から、一刻も早く出ようとした。


だが、扉は動く気配すら見せない。
男は尚もそれをこじ開けようと、腕に力を入れた。

その時だった。
 ▼ 4 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 18:57:21 ID:OchAa.LY [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コツ……コツ……コツ……

男は気づいた。この部屋に近づく靴の音に。

薄暗く重苦しいこの場には、到底似つかわしくないであろう軽快な音である。
男はすぐさま警戒した。


錆び付いた扉の向こうで、何者かが大きな声をあげた。


女「コードネーム:零!! ……騒ぐのをやめなさい!!」


若い女の声だった。

男はその声が自分に向けられていることをすぐさま理解した。

そして、訳の分からないこの状況を少しでも理解したいという思いの上で、彼は女に対して、発言を試みたのである。



男「あ、あの! ここは何処なのでしょうか!? それに何で、俺は閉じ込められているんですか!?」

シィィィン……。

暫くの沈黙を経て、女は口を開く。


女「そう、やはりアナタは……状況を理解していないらしいわね」


女の声が暗く狭い部屋で反響した。
 ▼ 5 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 18:59:59 ID:OchAa.LY [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「今、扉を開けてあげる。……だけど、暴れたり逃げ出そうとしても無駄だよ? ……大人しく私についてきて」

男は女の提案に従う他なかった。

それ以外に、この状況を知る術はないように感じられたからだ。

男は部屋から出してもらい、大人しく女の後をついていく。


コツ……コツ……コツ……。

靴の音だけが廊下に反響していた……。

男は黙るしかない。

一言でも喋れば、今にも拳が飛んでくるような威圧感を、女から感じたからだ。


女「確か……ここよね」

女が何かを呟き、急に、ある錆びた扉の前に立ち止まった。



男「へ?」

男の動揺を他所に、女は勝手に話を進める。

女「この部屋よ、さあ、入って」
 ▼ 6 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:01:49 ID:OchAa.LY [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……今更、怖がっても意味がない。

この部屋に入る以外に、今の状況を知る手段がないのであれば……行くしかない。
男はそっと、扉のノブに手をかける。

キィ……


錆びた扉はゆっくりと開き、甲高い音を上げた。





ザワザワザワ……。


男「こ、ここは……」

扉を開けた向こうにあるその部屋は思いの外、広々としており、そこにはなんと、大勢の人間とポケモンが蠢いていた。

男は口を大きく開いたまま、その場で立ち尽くすことしか出来なかった。


女「さぁ、行きなさい。……そうすれば、今の自分が置かれている状況もそのうち分かることでしょう。コードネーム:零……」


男「あ、あのコードネーム:零というのは一体」


女「零はアナタの名前。そんなことはいいから……早く行って……」



女は依然として冷静な、いや、冷徹とも思える口調で、男を部屋の奥へ進むように促した。

渋々ではあったが、男は一歩、また一歩と部屋の中へと歩み始める。
 ▼ 7 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:03:28 ID:OchAa.LY [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
????「おい、小僧」

男「……っ!?」


すると、40代後半から50代前半ほどの年齢と思われる中年男性が声をかけてきた。

そして、中年男性は意味不明な言葉を男に投げ掛けた。


中年男性「アンタ、新入りだな!?」

中年男性「……お前さんはどんなポケモンに改造してもらったんだい? ……お披露目が楽しみだなぁ」

男「……???」

何やら含蓄があるその一言を、男は全く理解することが出来なかった……。

只でさえ掴めていない状況がますます、混沌としてきたようだ。

男は訳も分からず、頭を掻きむしり、ふと周りを見渡した。


マリルリ……ハガネール……ダーテング……。

それ以外にも多様な種類のポケモンがいた。

そして、さらに気になったのはここにいる人間たちである。


幼い──せいぜい、中学生くらいの背の高さしかない少女。

50は優に越えているであろう初老の男性。

如何にもくたびれたサラリーマンに見えるやせ形の男性。

若いOL風の女性。




男「ここは何なんだ。何が……起きているんだ?」
 ▼ 8 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:07:08 ID:OchAa.LY [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男がまったくもって、チンプンカンプンな状態でいると……。


ドタタタタタタタタタタ!! バタンッ!!



黒服「被験体たちは今すぐ静かにしろ!! ……ただいまより、ポケモン移植研究団体のチーフがお話になる!!」


突然のことである。

部屋の中に、黒の紳士服を着こんだ集団が入ってきたのだ。


男(何事だ!?)

黒服たちが入ってきたその瞬間、部屋にいた人間とポケモンたちは、急に一言も喋らなくなった。

やがて……それらの沈黙を突き破るように、その黒服集団に囲まれた顔のシワが目立つ老人が、急に、大きな声で話し始めたのである。



老人「皆様! 体調は優れておりますかな!?」

老人「いやはや、この度の定例会にもこれだけ多くの被験者の皆様に集まってもらえるとは! 感謝感謝、雨あられでございますな! ハハハハハ!」

真っ白な歯を剥き出して、老人は笑い出した。
 ▼ 9 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:10:14 ID:OchAa.LY [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
老人「……さてと。定例会では最早定番になりましたが、誰か我々の前で、移植手術の成果を見せていただけませんか? もし素晴らしいアピールをなされたのであれば、褒美を差し上げましょうぞ」


すると、老人が急に腕を振り上げ、OL風の女性に指を向けた。


老人「そうだ、そこの美人のあなた!! ……ぜひとも、その能力を見せてはもらえないだろうか!?」


男には、老人が何のことを言っているのかさっぱり分からない。


OL女「分かりましたわ」


だが、OL風の容姿の女には、その意味が分かったようだ。
彼女は長い茶髪を掻き分けながら、叫びだした。

ここで男は、今まで見たことのない光景を目の当たりにするのである。


OL女「うぅぅぅ……冷凍ビーム!!」

パキパキパキパキ……!


なんと驚くべきことか。
突如、女性の口から冷気が放たれ、部屋の壁の一部を氷漬けにしたのだ。
 ▼ 10 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:13:24 ID:OchAa.LY [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
OL女「どうかしら?」

女性は得意気になった様で、またその美しい髪を掻き分けた。

ここでも男は摩訶不思議な出来事を目の当たりにする。

綺麗だった女性の茶髪が、真っ白に変色していたのである。

もちろん、真っ白に変色していても美しい髪であることに変わりはなかったが……。



OL女「ふふ……私の能力に欠点があるとすれば、技を使うと髪の色が変わってしまうことくらいかしら」


男は驚くしかなかった。当然のことだ。

女性の口から冷気が出て来て、壁を氷付けにしてしまったのだから。

しかも、それを境に女性の髪の色が一瞬で変化してしまったのだ。
こんなこと……普通じゃ有り得ない。


老人「素晴らしいねぇ!!……それで、君は何のポケモンを移植してもらったんだい?」

老人は満面の笑みを浮かべている。
OL女は老人の質問に対し、実に晴々しい表情で答えた。


OL女「ウフフ♪ ……私は、ユキメノコ細胞をいただきましたわ♪」

男(ユキメノコ? ……な、何を言ってるんだ)

OL女「私の名前は風見ユキミ……。お名前をご存知の方もいるでしょうが……以後、お見知りおきを」
 ▼ 11 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:15:28 ID:OchAa.LY [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
========
実験体file 1

ーーユキメノコのユキミーー

口からマイナス五十度の冷気を吐き出すのが、特徴とされる。
能力の使役によるデメリットはほぼない。
敢えて指摘するなら、髪が白くなってしまうことくらいだろうか。
ユキミは、白くなった髪を染める日課だけは忘れないようにしている。



マイナス50どの れいきを はいて あいてを こおらせる。
どうたいに みえる ぶぶんは じつは くうどう。
ダイヤモンド・パール図鑑説明文より抜粋。
========
 ▼ 12 ナッキー@おおきなねっこ 17/08/24 19:16:32 ID:qpuMaWlE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 13 ンチュラ@せいしんのハネ 17/08/24 19:19:03 ID:j7Me.jCM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 14 ロア@ゴーストメモリ 17/08/24 19:22:08 ID:LQm3vKpM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
懐かしいな
リメイクどーなるかわからんけどとりあえず支援
 ▼ 15 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:23:01 ID:OchAa.LY [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「……!?」

驚きを隠せない様子の男に、先程の中年男性が声をかけてきた。


中年男性「おいおい、アンタだって何かのポケモンを移植されたはずだろ? 何も驚く必要は……」


男「え、ええええええええ!!?」

恐ろしいことを聞いたような気がした。
まさか、この自分も、不思議な力を使えるというのか……!?


中年男性「いきなり大きな声出すなバカ!……黒服の奴らに睨まれたら、ここで生きていけねぇぞ」


男「そ、その……あなたも、移植?をされた、とか……?」


男はかなり恐る恐る、小声で聞いてみた。

何というか……得たいの知れない不安感が、自分の心を抉るかのように襲ってくる。



中年男性「おう、俺はな……まぁとりあえず、この耳を見てくれ」


中年男性はそう言うと、急に自らの分厚い耳を見せてきた。

他人に耳を見せることで快楽を得る新手の変態かな?と思ったが、そうではないらしい。
 ▼ 16 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:24:47 ID:OchAa.LY [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここでも彼は摩訶不思議な体験をする。

中年男性の耳が、急にゴムのように伸び始め……、

そして、そこにフサフサとした毛が生えてきたのだ!


中年男性「見たかよ、これが俺の能力の一部……。ん、ああ……そう言えば、俺の名前を言い忘れていたな」


中年男性「俺の名は『ヤン・スイゾー』……移植されたポケモンはホルードだ」
 ▼ 17 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:26:18 ID:OchAa.LY [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
========


実験体file 2

〜〜ホルードのスイゾー〜〜

強靭な耳が特徴。
能力行使の際、耳は伸縮自在となり、
耳だけで1トン程度の重さのものなら持ち運びができるらしい。


おおきな みみは 1トンを こえる いわを らくに もちあげる パワー。
こうじげんばで だいかつやくする。
さらに ショベルカーなみの パワーの みみで かたい がんばんも コナゴナ。
あなを ほりおえると ダラダラと すごす。

XY図鑑説明文より抜粋。

========
 ▼ 18 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:30:02 ID:OchAa.LY [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「ゴクッ」

立て続けに起こるあまりにも不可解な現象の数々。

男は疑問を感じるとか、そういう余裕すら持ち合わせてはいなかった。

ただ驚くことしか、今の彼にはできなかったのである。



男(わ、訳がわからん……)


スイゾー「おめぇ、変なやつだな……ところでおめぇの名前とか、能力。おめぇはどんな人間なのか。こっちは何にも知らねえぞ、教えてくれよ」


男「……っ!!」


今まで……。

敢えて口に出さなかった事実がある。
今の状況が分からない。

さらにその上……もっと危機的な事態が俺を襲っていた。


俺……。
自分に関することが何も分からないんだ。

つまり、記憶喪失になってしまったんだ……。


男(このオッサンになら……このことを伝えてもいいかもな……)

スイゾーに謎の安堵感を覚えていた男は、自分が記憶喪失だということを、赤裸々に話そうと決めた。
 ▼ 19 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:34:28 ID:OchAa.LY [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────
────────


スイゾー「ぇぇええ!? 自分の名前も素性も能力も分からないぃ!?」

スイゾーは思わず叫んでしまう。
チラリと黒服の一人がこちらを覗きこんだ。


スイゾー(おっと、いけねぇ……大声だしちまった)


スイゾー「と、とにかく……この集まりが終わったら、一度、俺のところに来いよ。ここじゃあ、迂闊に喋れねぇや」


男「…………」コクン
 ▼ 20 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:37:24 ID:OchAa.LY [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
暫くしてから、黒服の中から出てきた老人がこんなことを言い出した。


老人「えー……この度の定例会はいかがだったでしょうか?」


男(この集まりは何かの集会だったのか……)


老人「皆様は今から、またここで実験体として生きていくことになるのですが……」

老人「ちゃんと自分の生きやすい環境を作ることが何よりも大切ですよ。今更なアドバイスかもしれませんがねぇ」



男(環境?)

老人「まだ施設に入りたての被験者の皆様も、先輩方の言うことをちゃんと聞くのですよ」ニコッ


スイゾー「先輩ってのは俺みたいなやつのことだな」ボソッ


スイゾーが突然、一人ごちた。

俺(どうやら、このスイゾーという人を含め……移植実験された先輩って人が結構いるみたいだな)


こうして定例会とやらが終わり、男はスイゾーの下へと駆け寄る。


男「あ、あの……スイゾーさん」

スイゾー「……おめぇ、自分の素性はおろか、自分に何の能力があるのかも分からねぇのか」

男「あ、はい」

受け入れたくないが、それが事実だ。

男は潔く、頭を上下に振る。

すると、スイゾーは耳を掻きながら言った。


スイゾー「じゃあ……おめぇ……このままだと死ぬな」

男「!?」
 ▼ 21 ッサム@みずたまリボン 17/08/24 19:38:50 ID:uPWnPoMY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 22 ミツルギ@うみなりのスズ 17/08/24 19:41:40 ID:aXyKMJqM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今度は失踪するなよ?(微笑)
 ▼ 23 ッパ@ブーカのみ 17/08/24 19:42:33 ID:oqBDTJlU NGネーム登録 NGID登録 報告
ふぁっ!?キノやん懐かしいな
 ▼ 24 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:46:09 ID:OchAa.LY [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「ここはな、ポケモン細胞を移植された実験体の隔離施設なんだよ」


初めて聞いた。
ここはそんなとんでもない場所だったのか。


スイゾー「えーとな、それで……いろんな実験体がここで暮らしてるんだが……」

スイゾー「正直な話、ここが平和なところだとは決して言えねえ。……ここじゃあな、弱者は淘汰されんだよ」


スイゾー「例えば、おめぇみたいな記憶喪失野郎なんて、格好の的だな……ほれ、向こうを見ろ」

男「……!」


スイゾーがある方向を指差した。

男はその方向を凝視する。

そこには、如何にもひ弱そうな男と、ヤクザのような異様な迫力のある男がいた。
 ▼ 25 ッシブーン@むらさきのミツ 17/08/24 19:47:32 ID:jmiPxeuw NGネーム登録 NGID登録 報告
むっちゃ有名な人やんけ
これは>>2がひたすら恥ずかしいな
 ▼ 26 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:48:19 ID:OchAa.LY [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひ弱な男「ひ、ひぃ……」ビクビク


ヤクザ「ちっ……早く、おめぇがさっさと売店に行かねえから、食いもんも売り切れんだろうがよっ!!」ゲシッ

ひ弱な男「も、もうしわけねぇっす……ずみまぜ……」


ヤクザ「うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

バキッ!!!!


むごい光景だった。
あまりにも荒々しい暴力が、目の前で行われていたのだ。




スイゾー「ああいう風に、弱いやつってのはいいように酷使される。……逆らえば即、暴力だ」


男「え……じゃ、じゃあ……記憶のない俺はどうすれば」




スイゾー「……はぁ、どうもなぁ。俺はおめぇみたいな奴を見捨てられないみてぇだ……」

スイゾー「お前、俺たちの派閥に入らないか?」

男「は、派閥?」
 ▼ 27 Hope◆SCP948ZBFs 17/08/24 19:49:14 ID:77rg1UDg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 28 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:50:33 ID:OchAa.LY [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「────この施設には、効率的にそして、安全に生きていくために……いくつかの派閥が作られている」


男「……そうか、複数人で固まれば、襲われにくいということですか」


スイゾー「ま、その通りだな。一匹狼で生きていくような変わり者も確かにいるんだが……」

スイゾー「大抵の実験体は何らかの派閥に所属している」

スイゾー「さっき、技を見せてくれたユキメノコ女いるだろ?」


ああ、さっき大目立ちしていた、髪が変色したOL風の女性のことか。


スイゾー「あいつは、女性のみで構成される施設内屈指の強勢力、ミミロップ派閥に属している」


男「……いろいろあるんですね」


スイゾー「それでもし、おめぇさんがいいのなら……俺たちの派閥に入れてやってもいいかな?って思ってる」

男「スイゾーさんの派閥……」



スイゾー「ま、俺の作った派閥じゃねぇんだけどな」

スイゾー「その名も『エルレイド』派閥……平和を愛する善良なグループさ」

男「エルレイド派閥……!」
 ▼ 29 レベース@ハートスイーツ 17/08/24 19:50:56 ID:NOGfmZUU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺得リメイクキター!
 ▼ 30 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:53:26 ID:OchAa.LY [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こうして、記憶のない男の、実験体隔離施設での暮らしが、幕を開いた。

だが、今の彼は、これから未知に満ちた数々の危険な体験を味わうことになるとは────

そしてこの先、世界を揺るがす事件が起きるだなんてことは────


今の彼では予想すらつかなかっただろう……。







プロローグ 終わり


 ▼ 31 1◆zBLfAqPIVA 17/08/24 19:56:42 ID:OchAa.LY [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ちょうど二年前、2015年の8月24日に投稿して

私の実力不足ゆえに、結局未完のまま終わった作品をリメイクしました。


本日はここまで。
書きだめはしてあるので、細かい推敲による更新の遅れはあるかもしれませんが、失踪しないように頑張ります。
 ▼ 32 ンベ@あおぞらプレート 17/08/24 20:00:40 ID:jVtQBN1A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うわー、懐かしい好きだったなー。もう2年たったのか…。
リメイクめっちゃ嬉しいです!全力支援!!
 ▼ 34 ガルガン@ラグラージナイト 17/08/24 21:12:57 ID:0tdnnNuc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なっつ
しばらくBBS来てなかったけどこのSS割と好きだった
 ▼ 35 オガエン@ムシZ 17/08/24 22:11:35 ID:5Qmso9S6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
懐かしすぎ泣いた
 ▼ 36 レフワン@こおりのいし 17/08/24 22:25:37 ID:GfZ/Bt/E NGネーム登録 NGID登録 報告
これは嬉しいぞ!
今度は是非完結まで行って欲しい!

しかし2年も前だったか...
 ▼ 37 ガゲンガー@エネコのシッポ 17/08/24 22:31:23 ID:8/DmaL5E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元ネタ知らなんですが面白そうだから支援させて頂きます
この設定?すごい好みです
 ▼ 38 ザード@ギンガだんのカギ 17/08/24 22:32:20 ID:yvEPFkcw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

マッシブーンの方も頑張って欲しいな
 ▼ 39 サイハナ@せいれいプレート 17/08/24 23:00:52 ID:3wp9sRtw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
懐かしいいいいいい!!!!!!!!!!!!!支援以外ありえない!!
 ▼ 40 リッパー@ひかりのいし 17/08/24 23:52:41 ID:iWIejN7g NGネーム登録 NGID登録 報告
懐かしすぎる!2年前読んでた
頑張ってください!支援!
 ▼ 41 マズン@タンガのみ 17/08/25 00:05:21 ID:U0OZDc0I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
懐かしい
 ▼ 42 ナトーン@6ごうしつのカギ 17/08/25 00:11:15 ID:6qfFWfCU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
初めて見ますがとても面白いです!
支援します!応援します!
 ▼ 43 オラント@ムーンボール 17/08/25 01:11:55 ID:camRkZKw NGネーム登録 NGID登録 報告
スイゾーの元ネタを知ってる人が今のbbsにどれたけいるのだろうか
 ▼ 44 ロストロトム@こだいのぎんか 17/08/25 18:35:28 ID:neGJTXXA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リメイク知らないけど面白いです。
まだ2年前のSSって残ってますか?
残ってたらぜひ見てみたいです!
 ▼ 45 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:44:12 ID:LIo1r7mM [1/21] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>44
元となったSSがこちらです。
2年前のものなので拙い部分もありますがご容赦ください。
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=148946

リメイクの際、元のものとは幾つか設定・文章を変更していることがあります。
そういう変化も楽しんでもらえれば幸いです。
 ▼ 46 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:45:02 ID:LIo1r7mM [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




第一話

「力を得し者に贈る日常よ」



 ▼ 47 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:47:37 ID:LIo1r7mM [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
定例会とやらが終わり、スイゾーは男をある部屋へと案内した。


スイゾー「ここの生活ってのは自由気ままだ。どこで寝ようと構わないし、とんでもない騒動さえ起こさなきゃ、何をしても構わない。……多分な」

スイゾー「んで……この部屋が我ら『エルレイド派閥』の寝床兼、アジトだ」


男「はぁ……」


扉を見る限りでは、自分が先程まで閉じ込められていた檻よりもずっと綺麗なように見える。

男(扉も錆び付いてないし、いい部屋なのかも)

男の思考は多少麻痺していた。


スイゾー「……ここでは、生き方を少し間違えると、マトモな寝床には就けないし、下手したら食料さえ手に入らねぇ」

スイゾーはサラッととんでもないことを言う。

男(……ゴク)


スイゾー「ま、いいや……とりあえず、我らが『エルレイド派閥』のリーダー様にご挨拶するぞ」

男(きっと……恐ろしいリーダーがいるに違いない……派閥を作るくらいだから……すごく怖いのかも……)

だが、扉を開けると、そこには余りにも意外な光景が広がっていた。
 ▼ 48 ーパーパンプ人◆kIHk8l4MgY 17/08/25 19:49:02 ID:0dyDNDpY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これ懐かしいよねぇ……。
執筆は大変とは思うけれど、今度はぜひ完走してください。
 ▼ 49 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:49:26 ID:LIo1r7mM [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女性「リーダー、棚の上拭いてください」

リーダー(?)「わ、分かったよ……その前に皿を洗わないと」

少年「リーダー!! トイレ掃除してくださーい!」


リーダー(?)「あわわ……それもやるの!?」

男「……ん? ……ん?」


あれ?
違う……。想像と全く違う。
何なんだ?
もっと殺伐としていると思ったのに……。



言っておくが、決して殺伐とした状況を望んでたわけではない。

だが、今、目の前にあるのは、想像とは180度違って見える景色であった。
 ▼ 50 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:51:49 ID:LIo1r7mM [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
開いた口の塞がらない男を傍目に、スイゾーが口を挟みだした。

スイゾー「おいおい、何やってんだお前ら」

リーダー(?)「あ!スイゾー!! 定例会は終わったの!?」


スイゾー「いや、終わったけどよ……何してるんだ?」

少年「部屋の掃除ですよ、スイゾーさん」


突っ立ってるスイゾーに、リーダーと思しき男が急に泣きついてきた。

リーダー(?)「聞いてよスイゾ〜……僕、リーダーのはずなのにすごく酷使されるんだ〜!」

女性「リーダー! 棚の上の掃除はまだなんですか!」


リーダー「それは佐内ちゃんがやってくれよぉ」

女性「今、週刊誌読んでるから暇じゃないんです!」


リーダー「えぇ……」


目をウルウルさせて、今にも泣き出しそうなリーダー(推定)。



男(こ、こんな人がリーダーなのか……?)

すると、リーダー(推定)が、男の存在に気づいたようだ。
その弱々しい瞳をこちらに向けてきたのである。
 ▼ 51 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:54:25 ID:LIo1r7mM [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーダー「ん? そこの人は……どなた?」

男「え……あ、あの……!」

言葉が出ない。

緊張のせいなのか、喉がカラカラでどうしようもなかったのだ。

すると、男の代わりにスイゾーが事情を全て話してくれた。



スイゾー「こいつは新人よ……こいつをこの派閥に入れたいと思うんだが……どうだろうか?」


リーダー「……!」


断られる。
男は直感した。

何故なら、リーダーの顔つきが一瞬だけ変わったのを、男は見逃さなかったからだ。
 ▼ 52 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 19:57:16 ID:LIo1r7mM [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男(ま、まぁ……いきなり仲間にしてくれだなんて……そりゃ無理だよなぁ……うん)

しかし、諦めかけた男に言い渡された言葉は、またもや想像と180度も違ったのだ。


リーダー「いいんじゃない? 盛り上がりそうだしさ……それにスイゾーさんが選んだんだから、文句はないよ」


スイゾー「へっ、リーダーの許可が降りたな」ニヤッ

男(え……ええっ!?)

リーダー「そうだね新人くん! よろしく!」ニカッ


リーダーの表情を見ると、

先程の悲しげな顔はどこに飛んでいったのか。

彼は、こちらが不思議に思うくらい、晴れ晴れとしていた。
 ▼ 53 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:00:09 ID:LIo1r7mM [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーダー「じゃ、さっそくだけど、自己紹介しようかな!」

唐突に話が進みすぎだ。

男の思考回路は段々、今の状況に追い付けなくなってきた。


男「え!? ……え! え、ええと……」


女性「ちょっと、リーダー! この人困ってるじゃない! 謝りなさいよ!!」

リーダー「ん……ごめんね」シュン…


スイゾー(相変わらずのクソメンタルだな……)


男「だ、大丈夫です、そこまで困ってないので」

嘘だ。



リーダー「とにかく、じゃあ……佐内さんから……どうぞ〜……はぁ……」

女性(露骨に落ち込みすぎよ……)


女性「ま、いいや。コホン……えーと、私は左内カオルと言います! 所有するポケモン細胞はサーナイトです!」
 ▼ 54 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:02:16 ID:LIo1r7mM [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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実験体file 3

ーーサーナイトのカオルーー

多少ながら、未来予知をすることが可能である。
未来予知には自身の体力の殆どを消耗してしまうので、奥の手としてしか使えない。
また、サイコキネシスの使用も可能。




みらいを よちする のうりょくで トレーナーの きけんを さっちしたとき さいだい パワーの サイコエネルギーを つかうと いわれている。
また サイコパワーで くうかんを ねじまげ ちいさな ブラックホールを つくりだす ちからを もつ。

ルビー・サファイアの図鑑説明文より抜粋。

========
 ▼ 55 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:06:33 ID:LIo1r7mM [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーダー「んじゃ、次はルーズくん」

少年「OK〜! おいらはカルミア・ルーズベルト!! ズルズキンの力をもってんだ!! あ、呼ぶときは気楽にルーズって呼んでくれよな!!」


========

実験体file 4

ーーズルズキンのルーズーー

その足から繰り出されるキックはかなり強力!
口から酸性の液を吐き出すことも可能だぞ!



なわばりに はいってきた あいてを しゅうだんで たたきのめす。 くちから さんせいの たいえきを とばす。
キックこうげきで コンクリートブロックを はかいする。

ブラック・ホワイト図鑑説明文より抜粋。

========
 ▼ 56 メモ兄さん◆jql91k4VxI 17/08/25 20:07:26 ID:kNvBV.tM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
原作は知らないけど凄い面白い。
自分も実力上げなきゃなぁw
支援です
 ▼ 57 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:09:57 ID:LIo1r7mM [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カオル「最後はリーダーですよ! 頑張って!」


ルーズ「ほら、よく見るとかっこいいよ!リーダー!!」

リーダー「そ、そう? じゃあ……自己紹介しちゃうね……」テレテレ


男(上手く扱われてんなぁ……)


リーダー「僕は冷堂 シュン。『シュン』とか『リーダー』って呼んでほしいなあ……。持ってる能力はエルレイドです」



========

実験体file 5

ーーエルレイドのシュンーー

肘から刀を生やし、戦うことができる。
本人の戦闘能力に直結する能力なので、使い勝手は悪い。




のびちぢみする ひじの かたなで たたかう。いあいの めいしゅ。れいぎ ただしい ポケモン。
だれかを まもろうと したとき ひじをのばし かたなの ように へんか させて はげしく たたかう。

ダイヤモンド・パール・プラチナ図鑑説明文より抜粋。
========
 ▼ 58 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:11:54 ID:LIo1r7mM [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シュン「じゃあ、あなたにも自己紹介してもらわないとね……」

男「え、あ……そ、そのですね」

シュン「?」


口をモゴモゴ動かすことしか出来なかった。

だって、自己紹介と言われても、自分には自分自身を説明するだけの情報がないのだから。


スイゾー「あー、うん。……これには事情があってだな」

シュン「事情?」


スイゾーが、男の代わりに、事情を知らないシュンたちに向けて説明を始めた。

何もかも、おんぶにだっこの状態で、何となく男は気恥ずかしさを感じていた。
 ▼ 59 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:12:52 ID:LIo1r7mM [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「────ということなんだ。」

スイゾーが話を終える。

それと同時にシュンに異変が現れた。


シュン「そうがぁ、そうがぁ……記憶喪失とは辛かったろうねぇ……うん、そりゃあ辛いよなぁ!」

男(この人……涙ぐんでる……!?)



ルーズ「まーた、泣き出したよ……リーダーったら。油断するとすぐにアバゴーラの産卵シーンばりの涙流すよな」


カオル「感受性豊かな思春期の子供でもあるまいし……」


男(この人たち、辛辣すぎないか)
 ▼ 60 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:14:33 ID:LIo1r7mM [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
暫くの間、ウミガメの産卵シーンよろしく号泣した後、ティッシュを取りだし、涙を拭い、鼻をかむシュン。

全ての動作を終え、暖かい眼差しを男に向け、彼は言った。



シュン「よし! ……君を正式に我が派閥に迎え入れよう!! これから、君は僕たちの仲間だ!!」

男(な、仲間……)


思わず、自分も涙が溢れそうだった。

しかし、周りにクドクド言われたくもないので、そこはやはり堪えることにした。



────とにかく、記憶喪失という絶望的状況で、俺はようやく、一筋の光明を見つけることが出来たのだ。
 ▼ 61 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:16:30 ID:LIo1r7mM [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「ところで……こいつのことは今後、どうやって呼べばいいんだ?」


男「あ、そういえば……」

先程、謎の女にコードネーム:零と呼ばれていたことを思い出した。
零……レイ……。

俺は、その名前を口に出すことにした。



男「俺のことは……レイ、と呼んでくれませんか」

シュン「……自分の名前だけは覚えてるの?」



レイ「覚えてるわけじゃないですけど────ここの職員っぽい女の人に、そう呼ばれてたんです。零……それがアナタの名前だって」


シュン「へぇ、そうだったんだ。──だったらいいや、君の名前をみんなで考えようなんてことになったら、大惨事になったかもしれないからね!」



スイゾー「ここにいる奴等のセンスったら、まるで皆無だからな」


ルーズ「スイゾーさんにだけは言われたくねぇや」
 ▼ 62 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:21:39 ID:LIo1r7mM [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────その頃、隔離施設のとある密室。

そこで、得体の知れない不穏な影が、今にも動き出そうとしていた……。


???「うぅ〜……どうしたんだぁ〜い。腰抜けぇ〜……」

ヤクザ「ゲホ、何なんだよ……てめぇ……!!」

???「俺をもっと楽しませろよ〜……。じゃないと、身体が温まりすらしねぇだろうがよぉ」


謎の人物は肩をグルグルと回転させ、身体の鈍りを取っている。


ヤクザ「く、分かった……謝る! ……お前のしたっぱでも何にでもなるから! ……ゆ、許し」


???「うるせぇ〜!! 負け犬のサンドバッグ野郎は黙って殴られてろぉぉ……!」

────ヒュンッ!!

バキッ!!!!


ヤクザ「ぐぁぁ! ……チクショウ、オレの『サイホーン』の能力さえ使えば、お前なんて────」


ゴキゴキゴキッ!!


ヤクザ「ぐおおおおおおおっ!!」

???「こりゃあ、骨が何本か逝ったかな〜♪」


???「じゃあ、次はこっちの骨な〜♪」


ボキィッ!!!


ヤクザ「ぎゃあああああああああ……」
 ▼ 63 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:25:07 ID:LIo1r7mM [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
謎の人物が無邪気に暴虐を楽しんでいると、誰かが密室の扉をノックした。

彼はその音に反応して、耳をピクピク動かした。


???「んだよぉ〜……せっかく楽しんでるのによぉ〜」


やがて、扉がひとりでに開き始める。

……どうやら。
扉の向こうからやって来たのは、謎の人物のしたっぱであるようだ。


したっぱ「失礼します、海老原様」


海老原「お〜……どうした。我が忠実な部下よ〜」

したっぱ「お楽しみのところ、申し訳ございません……先程、定例会が終わったことを報告させていただきます」


海老原「そうかぁ〜……何か変わったことは〜?」


したっぱ「そうですね、特にありませんでした……と言いたいところですが。ただ、エルレイド派閥のホルードが新入りを勧誘していたようです」

海老原「エルレイド派閥かぁ……目障りだよな〜……あの平和ボケ集団〜」

海老原「潰すかァ〜?」ニタァ

海老原と呼ばれるその男は、邪悪な笑みを静かに浮かべた。
 ▼ 64 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:27:23 ID:LIo1r7mM [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「しかし、エルレイド派閥と言いますと……」

したっぱ「平和ボケと呼ばれる割には、長く生き残っている集団であります」

したっぱ「なかなか強いのではないでしょうか……」


したっぱは若干ではあるが、不安げな表情をした。

これは真っ当な感情であろう。

エルレイド派閥は、実力の知れないところがあるというか……何よりも得体が知れないのだ。

しかし、そのしたっぱを軽蔑するように凝視する海老原。



海老原「何? ……そいつらが、俺より強いと思ってんの?」


したっぱ「いっ、いえ、そういうわけでは……」

海老原「じゃあ〜♪心配すんなよ〜♪」

海老原「俺の拳が唸れば、どんなやつもノックアウトなんだからよ」

したっぱ「……っ」
 ▼ 65 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:34:43 ID:LIo1r7mM [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤクザ「はぁ、はぁ……本当にノックアウト出来るかどうか……やってみろよ!!」


海老原「……なんだ、アンタまだ起きてたのか」


ヤクザ「舐めてんじゃねーぞ……サイホーンの馬力を見せてやる!!」

ヤクザ「大型トレーラーをも吹っ飛ばす『とっしん』を喰らえやぁぁぁぁ……!!」

海老原「……マッハパンチ」

ミシミシミシィ……!!!!



ヤクザ「……ゲ、ゲボォッ」

バタッ・・・



海老原「このヤクザ思った以上にカスだったな……さ、行くぞ」

したっぱ「は、はい……!」


したっぱ(海老原さんの能力……エビワラー。あの力があるからこそ、私は海老原さんの下についた……)

したっぱ(恐らく……彼はまた、私の心配など嘲笑うようにして、圧勝してしまうんだろうな……)


この男の名は、海老原 ヒロユキ。
元ボクサーにして、エビワラーの細胞を得る男。


細胞の適応という意味では、最高の力を手に入れたのである……!!
 ▼ 66 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:37:03 ID:LIo1r7mM [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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実験体file 6

ーーエビワラーのヒロユキーー

その拳から放たれるパンチングの速度は
新幹線の速度を越える。
しかし、能力の使用には『三分』という時間制限がある。
一旦休めばその限度はまた回復するが、
三分を超えると、体調を一気に崩してしまうので要注意。




ボクサーの たましいが のりうつっている。
パンチのスピードは しんかんせんよりも はやい。
くうきをも きりさく パンチ。だが 3ぷんかん こうげきすると ひとやすみ したくなるらしい。


赤、緑、金 、Xなどの
図鑑説明文より抜粋。
========
 ▼ 67 1◆zBLfAqPIVA 17/08/25 20:38:13 ID:LIo1r7mM [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本日の更新はここまでです。
また明日更新します。
 ▼ 68 クロズマ@メガストーン 17/08/26 09:40:47 ID:dUt3gYic NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 69 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:06:22 ID:pTnT0A86 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして────舞台はエルレイド派閥アジトへ戻る。

レイは、とても幸せだった。

記憶をなくし、ずっと孤独だった男。

暗い闇の中をさまよい歩く男。


そんな男の前に現れたのは、まるで家族のように暖かい人たちだった。


暫くの間、レイに関することを中心にその場は盛り上がった。

エルレイド派閥の話や、少しだけプライベートな話も加わり、話のタネは尽きることを知らなかった。


だが、かなりの時間を経たその後……。




レイ「う、うぅ……」

レイの身体に異変が表れた。
 ▼ 70 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:07:58 ID:pTnT0A86 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「ん? ……ど、どうした、レイ」

レイ「あ、あの……」

思わず、身を屈めるレイ。
周りの全員が思わず、不安げな顔を浮かべた。


シュン「ど、どうしたんだい……何かあったらすぐに言ってよ……」


レイ「トイレ……どこすかぁ……」

ゴロロロ…

腹の音が虚しく響き渡る。


ルーズ「なんだぁ、トイレか」

皆の表情から少しだけ緊張が消えた。
ただ一人を除いての話ではあったが。


シュン「大変だよ、トイレって我慢したら身体に悪いから……早くいかないといけないよ〜……」


スイゾー「落ち着けよ、シュン……たかがウンコだろ」



カオル「ウンコってハッキリ言わないでよ……汚いわ」


スイゾー「……よし! レイ!! ……ここの案内がてら、トイレまで連れてってやる!!」


レイ「は、はひぃ……」
 ▼ 71 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:09:47 ID:pTnT0A86 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱり、この場で一番冷静で対応力のある人はスイゾーさんだな。

彼にはちゃんとついていこう。

────なんて、少しだけ頼りないリーダーに対して、失礼なことを考えつつ、レイはスイゾーについていくことになる。


この時は、あんなことが起きるなんて……考えもしなかったが……。





ー廊下ー

スイゾー「いいかぁ? この隔離施設の地理も覚えとかないと……何があるか分からんからな? 油断するなよ」


レイ「は、はい……分かりましたから、早くトイレ行きましょうよ……」


スイゾー「お前さんなかなか不躾な態度とるんだな」

レイ「もう、漏れそうなんですって!!」


スイゾー「分かった分かった……ここに来て初日で実を漏らすなんて、そんな酷い思い出を作らせるわけにはいかんしな」


スイゾー「あの曲がり角に男子トイレがある、俺は外で待っててやるから、一人で用を足してこいよな」
 ▼ 72 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:11:42 ID:pTnT0A86 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レイ「恩に着ますっ……!!」ペコッ

レイは頭を深く下げたあと、一目散にトイレへと向かった。
彼の便意は極限にまで来ていたのだ。



レイ「不味い不味い……このままだとぉ」

ガチャガチャガチャ!!


レイは慌てて個室トイレの扉のノブをひねった。

こうして彼は記憶喪失に次ぐ2つ目の困難、その名も『便意』に打ち勝つのであった。

だが、すぐそこに、冗談にならない本物の危機が迫っているということに……レイは気づきもしない。


『その異変』が起きたのは、レイがトイレに籠ってから、凡そ十分も経たないうちのことである。
 ▼ 73 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:13:08 ID:pTnT0A86 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「ふぁぁ……まるでガキのトイレを待ってる保護者みたいだな……」

一人ごちるスイゾー。警戒心はまったくない。

そこが悲運というべきか。
そんな状況で、ヤツがとうとう現れてしまったのだ。


コツコツコツ……ピタッ


海老原「……なぁ、あそこにいるのってさ」

したっぱ「エルレイド派閥所属の……ホルードのスイゾーかと思われます」

海老原「……やっと会えたかぁ〜♪♪」

スイゾー「……ん?」


一瞬だった。

呑気に突っ立っているスイゾーめがけて、予想だにしない速度の拳が、突如飛んできたのだ。

海老原「マッハパンチぃぃぃぃぃぃ!!」


スイゾー「……っ!?」



バキイッ…!!

何かがへし折れるような音が辺りに響き渡る。

刹那、スイゾーは大型トラックに衝突したかのように、数メートル先へと吹っ飛んでしまった。
 ▼ 74 1◆zBLfAqPIVA 17/08/26 16:15:49 ID:pTnT0A86 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイゾー「あがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


海老原「ひ〜っひっひ〜……まず一人ぃ〜♪」

したっぱ「……ゴクリ」

海老原「楽しいなぁ、楽しいよなぁ!!」

グッタリして動かないスイゾーを前にして、海老原はせせら笑った。



海老原「俺は人を殴るのが大好きだ! 特に無抵抗のヤツをボコボコにするのが好きでたまらないのさ!! 殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って、相手が助けてくれと懇願するまで殴りまくる!!」




海老原「骨が何本折れようと!! 心が折れるまで殴り続けるのが俺のルールなのさ!!」


海老原「立てよ!! ポケモン細胞を移植されたヤツがこんなんでノックダウンなわけねぇよなぁ!?」


海老原の挑発に反応するように、今までぐったりしていたスイゾーが突然、動き始めた。


スイゾー「んっとに……こんなんだから俺はここが大嫌いなんだよ……クソヤロウ」


海老原「ハァ……起きてくれて良かったぁ〜♪ まだまだ楽しませてくれよ〜♪」
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