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【旅SS】女「ポケモン達とぶらり旅」

 ▼ 1 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:50:23 ID:WB.XOoew [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『さぁてスタートラインにならぶはそうそうたる面々。皆様レースへの意気込みがうかがい知れるというものです』
 
 
 
女(初めて参加する私にもわかる。ここにいる人たちの覚悟は、生半可なものじゃない)
 
女(でも、私がそれに負けているか、と聞かれれば、違うと言える)
 
女(そうだ、この日のためにリサーチを重ねたのだから)
 
女(選手達のコンディション、例年の記録、あらゆる場面での立ち回り。果ては日常のなかのささいなクセまでをも調べあげた)
 
女(すこしたりとも研究を怠るようなマネはしなかった)
 
 
 
『今年は例年よりも参加人数が多く、白熱の戦いが予想されます!』

 

女(ライバルがいくら多かろうと関係ない。私は私の持てる限りを尽くし、この戦いに勝利する)
 
 
 
『みなさんお待ちかね、ポケモン水上レースは間もなくスタートですよー!』

『栄えあるアルトマーレグラスの優勝メダルは誰の手に?』

 
 
女(優勝賞品がなにかなんてことはどうだっていい。私の目的はそんなところにあるのではないのだから)
 
女(メダルやトロフィー、杯よりも重要なものが、このレースの果てにはある) 
 
 
 
 
ネイティ「ポゥ」

ネイティ「ポゥ」
 
ネイティ「ポゥ」
 
ネイティ「ポゥ」
 
ネイティ「ヨォー!」
 


───水しぶきを上げ、水上レース参加者たちが飛び出していく。
 
 

こわもての男「始まったな」

こわもての男「アルトマーレ、ポケモン水上レースが!」

 ▼ 2 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:51:35 ID:WB.XOoew [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こわもての男「ボードに乗ったトレーナーをなみのりポケモンがリードで牽引し、最速を競う」
 
こわもての男「恒例行事とあなどるなかれ、この様子はケーブルテレビでも生中継されるほどの大きな祭りだ」
 
こわもての男「優勝者にはむこう1年の富と名声が約束され、敗者は酒の席の笑い話を手に入れるのみ」

観光客「いまいち、すごいのかわかりにくいわね」
 
こわもての男「わかるはずもないさ。トーシロが気安く踏み込めるほど、甘い世界じゃあないんだからな」
 
観光客「へぇ。あんた参加したことあんの?」
 
こわもての男「バカ言えオレはただのにぎやかしだ」
 
観光客「……」
 
こわもての男「毎年、優勝者を予測するトトカルチョも開催されてる」
 
こわもての男「今年は、優勝候補のロッシと他の選手でだいたい2:1ってとこだな」
 
観光客「勝負事があると、すーぐ賭け事始めるのは、どこの国もおんなじなのね」ヤレヤレ
 
女「行けぇエエエ、ロッシィ!!!」
 
こわもての男「」
 
観光客「」
 
女「蹴落とせ蹴飛ばせぶっこ抜けぇええええええ!!!」
 
 
───狙うは、一攫千金。
 
 
 

『優勝はゴンドラ船頭のロッシ!相棒はホエルコ!』
 
『通算優勝回数はこれで7回!ロッシ選手の名前は、アルトマーレポケモン水上レースの殿堂に刻まれます!』
 
 
ワーワーワーワー
 
キャーステキー!
 
ロッシー!!
 
イケボー!
 
ダイテー!
 
 

女「優勝予想なんて賭け事は、統計の応用にすぎません」
 
女「参加者の過去の成績を洗って1番、目≠フありそうな選手に突っ込む」
 
女「それだけで十分」ドヤァ
 ▼ 3 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:52:01 ID:WB.XOoew [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 

 
───調子に乗っていた。
 ▼ 4 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:53:20 ID:WB.XOoew [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アルトマーレ。
 
水に生かされ、水の中に死にゆく街。
 
自然多くのこる水の都。
 
 

女「予算が増えたのでお昼がごちそうになった」モキュモキュ
 
コータス「豪勢なごはんもいいけどさぁ。こんなことにお金使って大丈夫なのぉ?」
 
コータス「お昼でぜいたくするために下調べやってたわけじゃないでしょ?」
 
女「」クルッ
 
コータス「こぉー」
 
女「んー」
 
女「大丈夫。夕飯は普通のはずだから」
 
コータス「オイ」

ムクホーク「ぴぃぴぴ」ムスッ
 
女「む」
 
女「その様子は、私が賭けごとに興じたことがいまだにご納得でない?」
 
ムクホーク「ぴぃーっ」
 
女「やっぱりか」

女「どーせもうやらないよ、こんなこと」
 
女「下調べを徹底したとはいえ、ビギナーズラックなのも重々承知」
 
女「私はあぶくゼニを得ただけですっ」チュルル
 
ムクホーク「」ムスッ
 
女(旅の思い出がひとつ増えた、ですませてほしいとこなんだけどな……)
 
女(君のお昼だって、そのあぶくゼニから出てるんだよ?)ジト
 
ムクホーク「」ギンッ
 
女「いかくしないでよ」パクッ
 

 
───ムクホークから目をそらすついでに店の外───アーケードへと目を向けた。
 
吹きさらしで間近に見える人通りは、観光地とは思えないほどすっきりしている。
 
そんなゆったりとした空間だからか、かけっこをしている子どもなんかが目につく。
 
日差しが照りつけているが、水場が近いのであたりは涼しいし、自分の席は布地の屋根でほどよく日の光が遮られている。
 ▼ 5 ロストロトム@ラブラブボール 17/10/13 19:56:22 ID:/t860zL6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 6 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:56:25 ID:WB.XOoew [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
快適だよな、と思いながら人の流れを眺めていると、子どもの1人がコケた。
 
すてん、とまぁきれいなフォームで。
 
 
 
女「あ」
 
 
 
───思わず声が出るのは、たおれる様をはじめからおわりまでバッチリ見おさめたからだし。
 
コケた拍子に、少女が持っていた風船を手放してしまったから、でもあった。
 
 
 
女「おー……」
 
 

───昇っていく風船を目で追いかける。
 
自由への渇望でもあったか、風船は無情にも高く高く飛び去っていく。

 

女「……」チラ
 
ムクホーク「ぴぃ?」
 
女「……あれ、頼める?」
 
ムクホーク「」ニィ
 
女「撃墜しろってことじゃないからね」
 

 
───挑発的な笑みをうかべた彼ににがわらいしながら釘を刺して、お願い。と目配せする。 

せっかく自由になれたところを申し訳ないが、あの風船には持ち主のところにご帰還いただこう。
 

 
ムクホーク「」バサッ
 
ムクホーク「」バサッバサッバサッ
 
ムクホーク「」パシッ
 
少女「あっ」
 
ムクホーク「」ヒュー……フワッ
 
ムクホーク「」ストン
 
ムクホーク「」ズイッ
 
少女「あ、ありがと」
 ▼ 7 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:57:52 ID:WB.XOoew [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムクホーク「ぴぃぴぴるぴ」タンッ
 
ムクホーク「」スイーッ
 
女「おつかれさま、ありがと」ナデナデ
 
ムクホーク「」ナデラレ
 
少女「」マジマジ
 
女「」ニコッ
 
少女「!」
 
少女「」ペコリ
 
女「かわい。」
 
 
 
───一部始終を見ていた客と店員、なんとなくほっこり。
 
 
 
女「ん」
 
少女?「」ニコッ
 
少女?「」ペコリ
 
女(ふたごだ)
 
女(……そういえばアルトマーレには、同じ人に2回会ったら大切な誰かにもう一度会える≠ネんてジンクスがある、とか)パクッ

女「」
 
女(同じ顔、じゃだめかな。やっぱり)モグモグ
 



───お昼は、茄子ときのこのトマトソースパスタでしたとさ。
 
ピザもつけた。
 
 
 
 
ぎーこ、ぎーこ。 
 
 
女「」ボー
 
船頭「君、なんで空をじっと見てるんだい?」ギーコ
 
女「……なんだか不思議な感じで」
 
女「水の上なのに、見上げた空は建物に囲まれてるなんて」

女(たまに揺らめいて見えるような気がするのも風情がある)
 ▼ 8 リジオンの人◆QhqpxfPSAI 17/10/13 19:58:34 ID:Zz2ZZ5v. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お久しぶりです
支援です
 ▼ 9 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 19:59:31 ID:WB.XOoew [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───水面に反射した日光が、建物の壁に投影されてゆらゆらしている様に、異界の日常を感じる。
 
ゴンドラがまったりと揺れるのもあいまって───
 

 
女(眠くなってきた) 
 
船頭「水の都だからこそ、だな」
 
船頭「川沿いに建物が多いからね」

船頭「しかし、あんまり上を見たことはなかったな……なるほど、お客さんはお目が高い」ニッ
 
女「座布団1枚」
 
船頭「チップくれよ」
 
女「どうぞ」チャリン
 
船頭「お客さん、アルトマーレは初めてかい?」
 
女「はい」
 
女「思ってたよりは人がいなくて、のどかでおだやかで……ずっといたいです」
 
船頭「居住希望かい。お薦めはするが、お客さんくらいの子どもが1人で住むのは大変だぜ」
 
女「水害、多いんでしたっけ」
 
船頭「ガキの時から慣れ親しんでるなら良いが、新参者にアルトマーレの暮らしはハードルが高いのさ」
 
女「じゃやーめた」
 
船頭「変わり身早いなぁー」
 
船頭「ここは地図を見てても迷う。同じような道や、枝分かれするところが多いからな」
 
船頭「特に、なれないうちに裏道でショートカット、なんて絶対したらダメだぞ」
 
女「はーい」
 
船頭「水路の流れをたどろうにも、水路から道が取り残されてしまう場所も多い」
 
船頭「まぁ、時間と心強いポケモンがいるなら、さまよう状態を楽しむのもオツなんだが」
 
女「私、一度来た街を再訪することがあんまりないんですよね」
 
女「ちょっと回数を要することはできないかも」
 
船頭「むう。そのクチか……」
 
船頭「アルトマーレは何度来てもあらたな発見のある街だ。また来てもらえると、おにーさん嬉しいなぁ」
 
船頭「できればまた指名してもらえると、なお嬉しいねぇ」
 
女「したたかですね」
 
船頭「当然さ、この街の人間ならな」
 ▼ 10 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:01:35 ID:WB.XOoew [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船頭「おーし、そろそろつくよっと」
 
 
 
───博物館。

アルトマーレの史跡についての文献や、モニュメントが展示されているという。
 
アルトマーレと直接の関係はうすいが、化石の展示もある。
 
 
 
女「プテラ、カブトプス、オムスターか」
 
『はるか昔に絶滅したと思われていましたが、まれに野生のポケモンとして目撃されることがあり、現在も世界のどこかで生きつづけているのです』
 
『化石復元技術の進歩もあり、こんにち、彼らの生きる姿を目にするのは決して困難ではないでしょう』
 
女「夢のある話だよね」
 
女「だって、1度死んでしまったものを生き返らせることが出来るんだもん」
 
女「死んでしまった大切な人が帰ってくる」
 
女「きっとそれだけで、たくさん救われる人がいるよ」
 
コータス「こぉ〜?」
 
?「……残念だけど、化石復元は死者の再生とは違うんだよ」
 
女「え、そうなんですか」
 
?「復元で行っているのは、死して失われた体組織の再構成なんだ」
 
?「そして、再構成された肉体が、過去の記憶を保持しているケースはまったく確認されていない」
 
?「化石復元は蘇生というよりも誕生に近い。あたらしい命を得るのは、復元前と同じ遺伝子情報を持つ、まったく別の存在なんだよ」

女「……あの、あなたは?」
 
?「あぁ、藪から棒にごめんね、僕はここの職員だ」ピラッ
 
学芸員「老婆心で口をはさんでしまってすまない。見学の邪魔をしてしまったかな」
 
女「いえ、そんなことは。勘違いがわかってすっとしました」

学芸員「それならよかった」
 
女「でも、お兄さんの目はとても真剣でした」
 
学芸員「ん、そんなだった?」
 
女「はい。どうして、こんな風に口をはさんでくれたんでしょうか」
 
女「ちょっと気になります」
 
学芸員「……」ポリッ

女「教えてくれませんか?」
 ▼ 11 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:02:54 ID:WB.XOoew [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学芸員「うーん……それは、ね」

学芸員「……それはきっと、僕自身がよみがえり≠ノ抵抗があるからなんだ」
 
女「抵抗が」
 
学芸員「死者がよみがえるというのは、うん。すごい技術だと思う。もし現実のものになったら、救われる人もきっといるだろうね」
 
学芸員「でも、僕はどうしても思ってしまうんだ。死んだ人を蘇生するのは、その人の生をおとしめてしまうこともあるんじゃないかって」
 
女「……なぜ?」
 
学芸員「死力を尽くす、とか、必死って言葉があるだろう。人はすべからく死ぬものであるから、ああいう言葉には、相応の重さがあるんだ」
 
学芸員「人はいずれ死ぬものだから、替えの利かない人生を懸命に生き抜く」
 
女「……そうですね」
 
学芸員「死力を尽くして、必死にがんばって、そうして死んでいった人を生き返らせたら、その努力は無意味になってしまわないだろうか?」
 
学芸員「死ぬから頑張ったのに、生きているうちが花だから咲くことに全力を尽くしたのに。その尽力はただの徒労になってしまうのでは、みたいな」
 
学芸員「……ちがうな」
 
女「ちがうっぽいですね」
 
学芸員「うん。考えてたニュアンスと違ってしまった」
 
女「でも、なんとなくおっしゃりたいことはわかりました」
 
学芸員「そっか、なら……いいかな」
 
学芸員(こんな考え、誰にも言ったことないのに……なんで説明しようと思ったんだろう)ムム
 
女「救われる≠ゥ」
 
 
 
───たとえば、とある洞窟で出会った老人。
 
そのとき、病気でもう長くないと言っていた。
 
もう1年以上も前のことだ。
 
今どうなっているかなど、考えるまでもないだろう。
 
しかし彼はあれで、人生に憂いはないように見えた。
 
幸せであったと胸を張って終えた人生。
 
生き返ってしまったら、まるでとんだ茶番ではないか。
 
周囲の人々だって困惑するだろう。

あの人が生き返るのはたしかに、むしろ救いがないように思える。
 
ならば、彼女≠ヘ?
 
閉ざされた世界から出たい、と願いながら、無意味に死んだあの娘は?
 ▼ 12 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:04:40 ID:WB.XOoew [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もう1度だけチャンスが与えられたなら、きっと救われるのではないだろうか。
 
お父さんと一緒に、台無しになった人生をやり直すことができるのでは?
 


女(……そうか)
 
女(たくさん救われる人がいる、じゃない)
 
女(私は、あの子が救われるのに≠チて思ったんだ)
 
学芸員(……ああ、この目だ)
 
学芸員(この目は悲痛さに満ちている)
 
学芸員(人類の技術の発展。未来への展望に満ちた視点の言葉であったはずなのに)
 
学芸員(それを口にしたこの子にこそ、生き返ってほしいと焦がれる誰か≠ェいるんだ)
 
学芸員(僕はこの目を見てしまったから……)
 
学芸員「」
 
女「」
 
女「……それじゃあ、お兄さんは化石の復元には反対的なんですか?」
 
学芸員「あ、いや……」
 
学芸員「復元したポケモンの命にはこの星の太古の情報が眠っている」
 
学芸員「彼らの生きている姿を通して、僕たちは当時の世界を垣間見ることができる」
 
学芸員「化石ポケモンの復元に、僕はロマンを感じているよ」
 
女「そう……ですか」
 
学芸員「……展示の更新あるんだけど見る?」
 
女「ぜひ」



女「脱字の修正、新たに発見された記録と寄贈された絵画の追加」

女「昔話で怪物≠ニ称されていたものの正体についての知見、か」
 
女「これは……ほう」

学芸員(僕が思うのもアレだけど、この子、なかなか物好きだな)
 
女「そういえば、この街で守り神とされているポケモンについてなんですけど」
 
学芸員「ああ。ラティアスとラティオスだね」
 
女「実際として、いるんでしょうか」
 
学芸員「ストレートだね」
 ▼ 13 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:05:56 ID:WB.XOoew [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学芸員「まぁぶっちゃけいるよね。ポケモンリーグの試合でつれてる選手とかいるし」
 
学芸員「ただ、僕は生で見たことないな」
 
女「……へぇ」
 
学芸員「え、そこでなんでしらけた顔になるのさ」
 
女「アルトマーレだったらバンバン見られるのかなぁ、みたいにちょっと期待してたので」
 
女「少しがっかりしました」シュン
 
学芸員「そ、そりゃあ、見られないこともないよ? ウワサなんかはけっこうあるからね」
 
女「ウワサ」
 
学芸員「子どもと遊んでいるところを見た、とか、おやつをもらいにきた、とか、家のベランダでくつろいでいた、とか可愛いもんだよ」
 
学芸員「まぁ、ここ最近だといきなりバトルをけしかけてきた、とか、低空飛行で人をおどかした、なんて話もあるけどね」
 
女「それは、ちょっと危ないというか……」
 
学芸員「すこぶる危ない話だとは思うよ」
 
学芸員「でも、守り神の彼らがそんなことするわけないさ。所詮うわさだよ」
 
女(うわさ、か)
 
学芸員「……おっと。それじゃ、僕はこれで」
 
学芸員「ゆっくりしていってね」テクテク
 
女「ありがとうございました」ペコリ

 
 
女「……なかなかお目にはかかれない、にしても」

女「この絵を描いた人は、きっと会っているんだろうな」
 

 
───絵画には、ブランコに乗った少年と一緒に遊ぶラティアスの姿が描かれている。
 
アルトマーレ出身アーティストからの寄贈品だそうだ。
 

 
女(生き生きしてる)









 ▼ 14 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:08:11 ID:WB.XOoew [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「……でっか」
 

 
───博物館の聖堂にあるモニュメント。
 
数年前に補強工事が行われたらしく、数ヶ所にわたって固定具がはめられている。
 

 
『はるか昔、守り神からの智慧を授けられた先祖が建造したものといわれている。アルトマーレの防衛機構の要であったとされるが、動力源や用途は謎に包まれている。水路の閉鎖が主用途であるとした説もあるが、もっぱらのところ、皇族が祀っていたもので実際に使用されたわけではないという説が主流』
 
女「要するに、かざり?」
 
女(その割にはメカメカしいなぁ……)
 

 
───一度いぶかしむとどこまでも怪しく見えてくるもので、固定具なんかも「拘束具なのでは?」なんて思ってしまったりするんだから、思い込みというのはおそろしい。
 
組まれている足場も、カモフラージュなんじゃないの?とか。
 
 
 
女(考えすぎだよね)
 

 
───ジェラート食べて帰った。
 
どこに帰ったのかって?
 

 
女「ここだ」
 

 
───ペリッパーのクチバシ≠ニある。
 
アルトマーレ滞在中は、この宿に泊まる予定だった。



女「すみません」
 
女性「はぁーい」トテトテ
 
女性「いらっしゃいませぇ、本日は如何用でしょうか?」
 
女「宿泊の予約をしていた※※※※※です。確認おねがいします」
 
女性「チェックインですね、少々お待ちくださぁい」トテトテ
 
女「……お客さんはそこそこいそうな感じかな」クルッ
 ▼ 15 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:09:32 ID:WB.XOoew [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デスカーン「」ぬっ

女「おあはっ!?」ビックゥ
 
デスカーン「で、すかん……?」
 
女「デスカーン……棺桶ポケモン、立派な棺桶のふりをして墓泥棒をこらしめる……純金でおおわれた体……ほんとだ」ドギマギ
 
?「すごいな……それ、ポケモン図鑑の説明文だよね。全部おぼえてるのかい?」
 
??「でも初めて見たような顔してるわ」
 
女「」ギョッ
 
女「…………………………………トレーナーの方ですか?」
 
?「ごめんね、ビックリさせてしまったみたいで。デスカーンも悪気はないはずなんだ」
 
女「あ……いえ、それは別にいいんですけど……」
 
サーナイト「ない、さーっないと」ムッ
 
デスカーン「ですかー、ですかー……」オロオロ
 
女(いつの間にか居たサーナイトにめっちゃにらまれている……)

??「この子、デスカーン君にぞっこんなの」
 
??「君が怖がったのを怒ってるみたいだわ。ごめんなさいね」

女(そうか。タマゴグループ同じだっけ……たしか、ふていけい)
 
女(それにしても珍しいカップルだよなぁ。ポケモンも、トレーナーも)
 
 

───おくさんは息をのむほどの美人だ。
 
その見目麗しさたるや、見た瞬間、同性なのにもかかわらずどきりとしたほどだ。
 
一方のだんなさんはというと、彼には逆の意味でどきりとした。

狡猾そうで鋭い顔立ちからの印象は近寄りがたい雰囲気しかないが、口を開いてみれば肩すかし。
 
穏和な物腰で優しげな口調である。なんだこれ。こんなギャップ人間いるんだすげー。
 
失礼ながらそんなことを思ってしまった。
 

 
女「……新婚旅行ですか?」
 
おくさん「やだ。わかる?わかっちゃう?」デレッ
 
女(雰囲気がなー……)



───サーナイトからデスカーンに向いているものとまったく同じだ。
 ▼ 16 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 17/10/13 20:10:55 ID:WB.XOoew [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おくさん「おさななじみなんだけどね……もうこうなるまでが長かったんだからこの人ったらこの顔してゆーじゅーふだんだからさーそのくせ態度でわかるんだけどちゃんと言いたいとかいってでもなかなか言ってくれないからやきもきさせられるんだけどでもちゃんと最後はキメるから好き」
 
だんなさん「さーちゃんやめて」カァーッ
 
女「ゴチソーサマデース」
 
おねえさん「お客様ぁ、お待たせいたしましたぁ。客室までご案内しますねぇ」
 
おくさん「あら。じゃあまたね、君」ツヤツヤ
 
だんなさん「つきあわせてごめんね……」
 
女「はい、また」テクテク
 
女(……あれ≠ニまた、かぁ)
 
 
 
───この宿は夕飯の時間、宿泊客が同じ場所に集まり同じものを食べる、というシステムになっていた。

給食のようなもの、と考えればわかりやすいか。
 
 
 
女(ピンと来ない)
 
 

───何にせよ、さっきの夫婦とはいずれまた顔をあわせることが確定しているのだった。
 
しかして、夕飯の時間。
 
食堂に降りた彼女が最初に遭遇したのは、別の宿泊客だった。



?「うち、バイトさんが先に出てくる方にチイラのみ」
 
??「お前ほんと懲りないな、水上レースのトトカルチョで惨敗したんだろ、この賭けぐるい」
 
??「……それじゃ、わたしは宿屋さんな。夕飯のおかず1品」
 
女(鮫)
 
女(アダルトな雰囲気醸し出すこのおねえさん達は、片やギャンブラー)
 
女(片や水上レース参加者のようです)
 
ギャンブラー「ほんとだったらもっと金あったんだぞ」
 
ギャンブラー「それを、はぁ……」ズゥゥゥン
 
セーラー服「わたしだってあぁ……アルトマーレグラスのメダル……」ズゥゥゥン

女(セーラー服の方は船乗りさんなんだろうか。着なれた様子で本職っぽい)
 
女(もう一人はなんというかこう、いかにも賭け事に身を崩してる感じ)
 
女(2人とも、ちょっと見ただけでリザルトがうかがえる後ろ姿)
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