▼  |  全表示96   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】オカルトマニア「トリック・オア・トリート……」ふりそで「えっ……?」

 ▼ 1 羽真◆9nlytNSHx. 17/10/22 21:57:16 ID:05FG/kSw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふりそでのキリカ「イーノリっ!」

オカルトマニアのイノリ「突然抱きつかないで……」

キリカ「別に良いじゃない。あたしたちの仲でしょ〜?」

イノリ「……苦しいんだけど」

キリカ「おっとごめんね」

イノリ「それで……私はなんで貴重な日曜日に呼び出されたの? デート?」

キリカ「ち、違うし! デパートでハロウィンフェアやってて1人は寂しいからだけだし!」

イノリ「別に照れなくても良いのよ……私たちの仲なんでしょう……?」

キリカ「そ、そうだけど違う! デートな訳ないじゃん!」

イノリ「子供みたい」

キリカ「うっさい! 怒るよ!」

イノリ「もう怒ってるじゃない……今のは可愛らしいって意味だから問題ないわ」

キリカ「そう? し、仕方ないわね……」

イノリ(ちょろい子……)
 ▼ 57 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/03 21:44:18 ID:N6PGkb.k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「キリカ、だいじょぶ?」

不意打ちで背中を触れられ、あたしは弾かれるように飛びすさる。

「わっ……って、カレンかぁ」

「人の顔見て残念そうに! ひどくない!?」

ぷくぷく怒るカレンの肩をおどけるようにぽんぽん叩く。

「残念そうになんかしてないよ〜。それで、どうしたの?」

「ん、ペロリーム回復するついでに通って見ただけ。一緒に行こ〜」

回復装置を目指して、カレンとあたしは並んで部屋を出る。

本来は急いで戻らなければいけないのだが、今はあまり急ぐ気分にはなれなかった。

話すタネもなかったので、さっきのバトルについて話題を振ってみる。

「ね、さっきのバトルどこから見てた?」

「えっと、スターミーがめいっぱいまで小さくなったとこあたりかな」

「結構見てるね……サボってていいの?」

「いーのいーの。それより、さっきのバトルがどしたの?」

「いや、あのバトル……酷くない?」

「酷い?」

いつもは頼んでもないのに察するカレンだが、肝心な時に察しが悪い。

「小さくなって避け続けるとかただの運じゃない。なんていうか、実力以外で勝ってない?」

カレンは「んん〜〜……」と眉をひそめる。

「……私はそれ違うと思うな」

まさか否定されるとは思ってもみなかった。
 ▼ 58 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/03 21:44:36 ID:N6PGkb.k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
無意識のうちに、少し語勢が強くなる。

「えっ……な、なんで!? だって、どんな相手にも同じことするだけって実力じゃなくない!?」

「う〜ん……でも、同じことって言っても実際は毎回ちょっとずつ違うんじゃないかなぁ。それを擦り合わせて同じ行動を取ることが出来るっていうのは実力だと思うんだけど」

「小さくなって技打つだけでしょ? 同じじゃん! それに、試合長引かせるのはマナー違反だよ!」

「う、確かにマナー違反かも。……でも、バトルで勝ちたいっていうのは普通だから少しはしょうがないよ」

「……そんなに言うならカレンも戦ってみればいいじゃん! どうせ経験しなきゃ分かんないんでしょ!!」

一向に分かってくれないカレンに痺れを切らし、あたしはとうとう怒鳴ってしまった。

「うあぅ……ご、ごめん……」

カレンはあたしから目線を外し、俯いた。

はっ、と我に返ったところで、苛立ちに任せてカレンに言葉をぶつけた過去は戻らない。

カレンの前髪の間から見える眉は思いっきりハの字で、困惑しているのが見て取れる。

それが、更にあたしの罪悪感を大きく育てていく。

「……ご、ごめんね?」

「なんでカレンが謝るの……。カレンは合ってること言ってたのに、あたし、どなっちゃった。ほんとに、ごめん……」

「ううん、キリカが言ってたことも、あれがイライラするのも分かるもん」

――あたしのイライラは、カレンには分からない。

一瞬、そんなことを思った。

なんで思ったのかも分からないし、そもそもあたしが謝ってるのをカバーしてくれてるのにそんなことを思うなんて、最低だ。

「……ごめん、カレン」

「べつに、謝んなくても大丈夫だいじょーぶ! イライラするの普通だって!」

二重の意味を、カレンは分かっているのだろうか。

分かっていないならいいけれど、分かっていてそれでもこんなに優しくしてくれているのだとしたら、あたしはもう、申し開きできない。

「ほら、早くポケモン回復しにいこ!」

「わ、待ってよ〜!」

無理やり腕を引っ張られて、あたしはそれ以上考える間も無く部屋を飛び出した。
 ▼ 59 リジオン@バトルサーチャー 17/12/09 20:57:35 ID:xfdHmLeE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
玄関を開け、家の中に入って、扉を閉める。

たったそれだけのことが、ひどく億劫だった。

バッグを定位置に掛け、あたしはそのまま靴も脱がずに玄関マットに倒れ込む。

あの後、カレンのおかげで一時の苛立ちは治ったものの、結局一日中イライラしながら過ごしていた。

いつもならなんでもないようなちょっとしたことが、いちいち目についてしまうのだ。

別にその日というわけでもないし、理由が分からない。

「……あ、そうだ」

ふと思い立って、あたしは倒れた状態のままバッグへと手を伸ばした。

バッグハンガーに掛かって浮いていて、ギリギリ距離が足りないのを、無理やり手を伸ばして取った瞬間。

「わ、うわぁっ!」

ガッシャーン、と金属質の騒々しい音を立てて、バッグハンガーは倒れてしまう。

不安定な格好が原因で、バッグ自体を引っ張ってしまったのだから、ヒモが掛かっているバッグハンガーも一緒に倒れて当然だ。

慌てて飛び起き、バッグハンガーを立て直す。

あたしにぶつからなかったのは幸いだが、結局起き上がっているなら最初から起き上がっていれば良かった。

はぁ……、とため息を吐きつつ、携帯を起動する。

片手で着替えを持ちつつたたたっ、と指を滑らせ、かける先はやっぱり一つだけ。

プルr

『もしもし? 何か用かしら』

「ん、そっち行ってもいい?」

『……ごめんなさい。準備で忙しいものだから。明日の夜なら大丈夫なのだけれど』

「……わかった。おやすみ」

『おやすみなs

ぷーっ、ぷーっ、ぷーっ……。

うるさく通話が切れた音を鳴らす携帯を半ば投げ捨てるように机に置いた。

服を脱いで片付けるところまではしっかりと、しかしその後は自分自身を乱暴に、下着一式だけをまとった体をベッドに放り込む。
 ▼ 60 つけ忘れ◆9nlytNSHx. 17/12/09 20:58:33 ID:xfdHmLeE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……いつでも来てって、言ってたのに」

最初の呟きは、突っ伏した枕に吸収されてほとんど聞こえなかった。

「……ずるいじゃん……うそつき……っ!」

つ、の部分が鋭く響いて耳朶をえぐった。

「ひどいよ……自己中、ひとでなし……ッ!」

それは、大がついてもおかしくない親友への、初めての罵倒の言葉。

そんな言葉が出てきたことに、自分でも驚いた。

今あたしはものすごく腹が立っているんだ、とそう気づいた。

初めての、イノリへの怒り。

それは、制御もされずにどんどん暴走していく。

「……そもそも、おかしいじゃんッ! カレンがちょっと言っただけのこと、真に受けてさ! いっつもあたしの話は聞いてるか聞いてないかもわかんないのに…………暇人のくせに、忙しいなんて言って……ッ! 遊んでるだけじゃんッ!!!」

憤りが抑え切れなくなって、あたしはそばにあった布団を羽交い締めするように、二本の腕で思いっきり締め付ける。

ギュウウウッ、と目一杯の力を込めて、それから疲れて一気に脱力する。

「…………はぁ……」

いくつもの恨み言がグルグルと頭の中を巡る。

それらはあたしのの心という鍋に投入されて、グツグツと、まるで魔女が作っている毒薬のように煮られるのだ。

毒薬の異臭が部屋に充満するみたいに、あたしの心からはどんどん黒くて赤い感情が湧き出してくる。

モワモワと真っ赤な霧が、あたしの本心を隠して惑わせる。

「……っ……ッ……!」

うつ伏せになって枕に顔を押し付けて、両方の拳を痛いほどに握りしめる。

本当は八つ当たりでもなんでもしたい気分だったが、それだけは最後の理性がとどめてくれた。
 ▼ 61 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/09 20:58:56 ID:xfdHmLeE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひゅおお、と窓の小さな隙間から風が鳴った。

不意にあたしの剥き出しのお腹や脚が冷気に撫でられる。

「さ、寒……」

そそくさと布団をかぶる。

……が、その布団さえもまだあたしの体温は伝わっていなくて、やっぱり冷たかった。

枕にあごを乗せて、目をつむる。

すると、ジワジワとまぶたの裏が熱を帯び始めた。

その熱はどんどん溢れて、目の外にまで飛び出した。

つー、と頬を雫がたどるのが、くすぐったくて不快だった。

顔を乱暴に枕へ擦り付けて、無理やりに涙を拭い取る。

がしがしとまぶたが摩擦で痛くなるくらいに激しく枕に頭を擦り付け、やっと涙が止まる。

怒って、泣いて、それすらも無くなって、残っているのは胸が焼けただれているような、やるせない気持ちだけ。

もう考えるのも嫌になって、あたしは冷たい枕に再び顔をうずめた。
 ▼ 62 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/09 21:03:08 ID:xfdHmLeE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
  無題   10月28日 23:49
やっぱり外出は毒ね。何故って、疲れるもの。
私の疲労具合から見ても、精神的にすごく悪いわ。
タイトルを考えるも億劫だったから、今日は無題で勘弁してちょうだい。

それはそうと、ここ一週間は最初ということでなるべく多めに占いをやってみたわ。どうだったかしら。
これからは週に1回くらいの不定期イベントになると思うから、もし来てくれる方がいるのだとしたら、よろしくお願いするわ。

調べ物をしていたせいで日付変更ギリギリになってしまったけれど、セーフね。
あまり長く書いていると0時になってしまうから、今日は少なめよ。
 ▼ 63 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/15 21:18:28 ID:.VfHt.c6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
高く澄んだヤヤコマの鳴き声が聞こえた。

数秒してやっと自分が起きたのだと自覚し、目を開く。

太陽は秋にしてはこれでもかと眩しく暖かい光を部屋に投げ込んでいる。

絵に描いたような、理想的な気持ちの良い朝だ。

鳥ポケモンたちと太陽の活気溢れる様子に、あたしは密かにげんなりとする。

両頬には一筋ずつ、涙がそのまま乾いた時の、こびりつくような感触が残っていた。

お腹も減っていないし、と二度寝しようとしたあたしの体を、携帯の通知音がうるさく鳴って引き止めた。

動くのが面倒臭い気持ちと寝させて欲しくて苛立つ気持ちの負の感情だけが混ぜ合わさって、眉間が歪んだ。

それでも、返信しないわけにはいかないので携帯を手に取った。

「……ぁ……なっ……!?」

一瞬、何が書いてあるのか、脳が理解するのを拒んだ。

何度瞬きして目を疑って見ても、目の前の文字列は変化しない。

――いつでも来てとは言ったけれど、ごめんなさい。今日は無理なの。明日は一日空けておくから……。

たった3文の、短い言葉だった。

しかし、そのたった2文で怒りが鬱積したあたしの心の風船は勢いよく爆発した。

内からマグマのように熱い怒りが噴火して、全身の神経を真っ赤に焼き、心をススで覆っていく。

八つ当たりの代わりに、思いっきり自分の頭をかきむしっても、今回ばかりはその程度で収まる怒りではなかった。

「……イノリ、めぇ……ッ!!」

ひっくり返しかねない勢いでタンスを開けて、考える間も無くサッと直感で服を取り、着替える。

幸い元から下着しか着ていなかったので脱ぐ手間はない。

外に出られる状態になったあたしは、全てを忘れて家を飛び出した。
 ▼ 64 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/15 21:20:22 ID:.VfHt.c6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
走って、走って、走って。

全速力で走り続けたせいで脚も肺も既に限界が近づく中、イノリの家が視界に現れる。

理性の制動も無視して、あたしはより一層加速した。

家の目の前につくと、あたしは2回に分けてスピードを落とした。

ドアホンを押して、出るまで待って……、これからの行動を考えながら、玄関を視界に入れた時だった。

「……ぁ」

「っ!? ……な、なんで……」

お互い呟く声は、葉っぱから落ちる水の雫のように静かで小さい。

イノリは一瞬目を見開いて、するりとあたしから目線を逃す。

あたしの方を見つつも、微妙にあたしの顔は見ていない。そんな行動を取りながら、イノリは絞り出すようにまた言葉をこぼした。

「……今日は、空いてないって、言ったじゃない。なんで……来たのよ?」

ちくり、と胸の奥が痛んだ。

……やっぱり、来て欲しくなかったのかな。

そう思うと余計に辛くなった。

だから。

「だって、イノリ……いつでも来ていいって。言ったじゃん!」

だから、あたしは八つ当たりするようにイノリに怒鳴りつけた。

「それはそうだけれど……でも断りは入れたじゃない。別に忘れたわけじゃないわよ」

「昨日の夜だって、来るなって……」

「それも今日と同じ用件なの。これだけは許してちょうだい」

少しイノリの語気は強かった。
 ▼ 65 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/15 21:20:42 ID:.VfHt.c6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いきなり怒鳴られれば誰だって苛立ちはするだろうのに、今のあたしにはそれを考える心の余裕がなかった。

深く考えることもせず、思ったことの全てをぶちまけてしまう。

「やだ! イノリの嘘つきッ! この前の日曜日は親友とか言ってたのにさ、なんか突然忙しそうにしちゃうしさ……! そもそも占いのお店出してみてって言ったの、カレンじゃん! そっちばっか話聞いて、あたしのこと無視してて!」

「…………」

目の前がぐにゃりと歪んで、視界全体が薄く光り始める。

そして、両頬を一筋ずつ、熱いものがなぞっていった。

「あたし何かした!? してなかったなら、なんで無視するの!!? こんなの、おかしいじゃん……ッ!」

「…………っ」

瞬きをするたびに、感情の塊が溢れて伝う。

2滴、3滴、とあたしの服に落ちて、シミが作られる。

「電話したの、ほとんど全部断ってさ……行った時もずっとパソコン打ってるし、なんか見せてくれないし……あたしのこと嫌いになったなら、言ってくれれば、別に、それでも……さ……」

「…………っく」

滂沱と流れる涙に押し流され、あたしの言葉はフェードアウトしていった。

イノリの表情が一瞬だけ、本当に一瞬だけくしゃりと歪む。

動揺しているその目はうろうろと泳ぎ回った後、あたしの後ろに当てられた。

「……とりあえず、家の中に入ってもらえるかしら?」

イノリは通行人の目を気にしているらしい。

なおも勝手に溢れ出す涙を手の甲で拭って、あたしは頷いた。
 ▼ 66 シギバナ@ふねのチケット 17/12/16 08:02:04 ID:LpjTalZM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 67 ートロトム@ラムのみ 17/12/16 14:04:38 ID:oDioH9uU NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 68 羽真◆zH58kx03b. 17/12/17 21:51:01 ID:1kLz6xC6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一昨日と同じこたつの、同じ場所にあたしは座っていた。

薄着で出てきてしまったせいで冷え切っていた体は、こたつが発する熱と、横に並んでくっついてくるイノリにもらった熱で十分に温まっている。

しかし、イノリがくれるのは熱だけで、言葉はまだ発せられていない。

藍色がかかった黒の瞳は、底がないみたいに光を吸収して、相変わらず何を考えているのかさっぱり分からなかった。

話題がつかめないせいで、居心地の悪い無言の空間が抜け出せない。

……いや、それは言い訳にも過ぎない。現実から目をそらしているだけ。

少し頭が冷えたせいで、怒鳴りつけたことも、その内容も幼稚で身勝手極まりないことを今のあたしはもう認識しているのだ。

謝らなきゃいけないのは分かっていても、なかなか言い出せなかった。

話題を探して見たものの、他に思いつかなくてあたしはついに口を開いた。

「……イノリ」「……ねぇ」

「「あっ……」」

タイミングが悪いのか、息が合いすぎなのか、同時に喋りかけてしまった。

とりあえず、先を譲って置く。

「ご、ごめん。イノリ先に言って」

「わかった。……その、ごめんなさい」

イノリはあたしのすぐ真横で、呟くように一言そう言った。

吐息が頬をかすめる。

あたしの心臓が熱くなった理由は、分からない。

「な、なんでイノリが謝るの? ……自分勝手なことばっか言ってるのはあたしなのに」

「なんでも何も、悪かったのは私じゃない。親友だからって適当にしていていいわけがないって考えられなかったんだもの」

「し、しんゆっ……えと、ありがと……」

改めてそんな言葉にされると、なんとも言えない照れ臭さであたしは身悶えした。
 ▼ 69 羽真◆zH58kx03b. 17/12/17 21:51:34 ID:1kLz6xC6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「でも、私もキリカのこと考えてなかった訳じゃないわよ?」

「んー? どういうこと?」

「一昨日ここから出て行っちゃった時、忙しくしてる私を邪魔しないように帰ったのかと思って、ちょっと申し訳なかったから。昨日調べてたのも、さっき行こうとしてたのも、お詫びにお菓子でも買ってあげようかって考えてたのよ」

「え……それほんとに?」

だとしたら、余計にあたしのほうがバカだったことになってしまう。

イノリはちゃんとあたしのことも考えていたのに、あたしは自分のことしか考えてなくて勝手に被害妄想して逆上していたなんて、どう考えてもあたしが悪い。

「もちろんよ。パソコンの履歴見せてあげましょうか?」

「いや、それはいらないけど……あたしの方こそ、ごめん」

「別にいいわよ。それより、キリカが今来ちゃったせいで私まだお菓子買いに行けてないけど、いいの?」

「お菓子で釣ろうとしたってそうはいかないよ?」

「……ごめんなさい。そんな意図じゃなかったのだけれど」

「わ、冗談だってば!」

割と本気で謝ろうとしているイノリを、慌ててたしなめる。

ギュッといつも通りイノリの腕に抱きついて。

「そ、そう……よかった」

「あ、でもお菓子はいらないよ? そんなんなくてもイノリのこと好きだし」

「…………そう」

イノリはあたしと反対の方向を向いて、短く呟いた。
 ▼ 70 羽真◆zH58kx03b. 17/12/17 22:12:17 ID:1kLz6xC6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、せっかくだから何かやろうという話にはなったのだが、コタツに入ってやることなんて一つしかない。

パソコンだの携帯だのテレビだのを見ながら無為にグダグダし続けて、時刻は14時頃。

今はテレビの番組表を眺めていてたまたま発見したアニメを鑑賞中だ。

テレビの画面は、学校の校舎裏に制服姿で立つ青年と少女を映し出していた。



『……先輩! あの、県外の高校に行くために引っ越すって、本当なんですか?』

『情報、早いんだね。本当だよ」

微笑みを浮かべる青年に、ついに少女が切り出した。

『……あのっ、その……今更こんなこと言われても困るかもしれないんですけど…………わ、わたし、先輩のことが好きですっ!』

青年はその言葉を、変わらない微笑みで受け止める。

『ありがとう。すごく嬉しいよ』

『ほ、ほんとですか!? じゃ、じゃあ……』

ばっ、と顔を上げる少女の姿が映し出され――しかしすぐに目の部分を髪に隠して暗くした青年の顔がローアングルで現れる。

『でも、この後はどうするつもり? 俺はすぐにこの街から出てっちゃって、そうしたら、離れ離れ』

『そ、それは……』

『遠距離恋愛、なんてそうそう上手く続くもんじゃないしね』

『……っぅ…………』

少女は涙を目に溜めて俯く。

その時、青年がサッと顔を上げた。

『だから、君に2つ選択肢をあげるよ。1つは、君が何かしらちゃんと別の理由を作って、俺を追いかけてくること。もう一つは――』

青年が少女の頬へ手を伸ばした。

優しく一撫でしてその手は下がっていき、少女の顎にあてがわれる。

クッ、と少女の顔が無理やりに上を向かされた。

頬を赤らめる少女にゆっくりと青年の顔が近づいて――

画面が暗転する。
 ▼ 71 羽真◆zH58kx03b. 17/12/17 22:13:43 ID:1kLz6xC6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな中、声だけがテレビのスピーカーから流れ出す。

『君が、全力で俺を引き止めること。…………俺も、君が好きなんだ』



「……ふあ〜……」

大きな欠伸が出て、視界に涙がにじんだ。

さっきから感情移入しながら見てしまっていたせいで、気分は空中に浮かんでいるようにふわふわと安定しない。

無性に何かを抱きしめたくなって、手近にあったイノリの腕に寄りかかるようにして抱きついた。

「ちょっと、周りにクッションがないからって私に顔を埋められても、困るじゃない」

イノリは少し怒ったようにあたしの名前を呼びながら、顎を押し上げ無理やりあたしの顔を上げさせた。

明るくなった視界のすぐ先には、イノリの素材はとても整っている顔。

――って、この格好、さっきやってたシーンにそっくり……?

「何よ、キリカ……顔真っ赤じゃない。熱でもあるの? はベタすぎるわね。流石にそれは――」

ふと、イノリの言葉が途切れる。

「んー……どしたの?」

「あなた、ちょっと震えてるじゃない! 本当に熱あるんじゃないでしょうね」

「うー……? あ……」

指摘されてやっと自分の状況に気がついた。

こたつのおかげで寒さが緩和されて分からなかったが、体の芯が少し震えているような、そんな感覚が確かにある。

とはいえ、ほかは異変らしい異変もなく元気だ。

「私のベッド使っていいから、寝てなさいよ」

「大丈夫だよ〜。体調悪いわけじゃないし、市販薬飲んでれば治るって」

「もしかしたら微熱かもしれないけど、熱出してるのは立派な体調不良よ」

「えー、でもこれまだ見途中じゃん」

「パソコンでも見られるから寝てても見られるわよ」

「わかったよ……」

イノリの猛攻に押し切られて、あたしは渋々イノリのベッドまで歩いて倒れこんだ。
 ▼ 72 回の更新◆9nlytNSHx. 17/12/23 23:27:14 ID:XaX2rB1M [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
天井を見上げて、ぼーっとする頭でどうでもいい思考を彷徨わせる。

パソコンで〜、なんて言っておきながら、結局イノリは何もせずに部屋から出て行ったので暇なのだ。

(……あ、そういえばイノリどこにいるんだろ。家の中にいるのは知ってるけど)

耳をすませてみたところで、イヤホン難聴が進みつつある耳では小さい音なんて聞こえない。

仕方なしに、あたしは隠れるように布団の中に鼻まで潜った。

ふわり、と布団が花の蜜のような香りを撒いた。

イノリの髪と同じ、とても落ち着いてリラックスできる香り。

おしゃれとか全く興味がないくせに、こういうところは意外ときっちりやっていて驚くことが多々ある。

「……はぁ〜」

思わず気が抜けて、だんだん意識に靄がかかり始める。

無意識のうちに、あたしは布団の下に入っていた二つ目の布団を抱きしめた。

もやが濃くなってきてだんだんとまぶたが下降してきた、ちょうどその時。

「キリカ、大丈夫? まだあまり調子が悪そうでもなかったから、普通のご飯にしちゃったけれど……」

「ふや? ……あ、うん! 大丈夫大丈夫! 食べる食べる!」

若干寝ぼけかけていたせいで変な声が出てしまったが、あまり気にはしない。

ご飯が置いてあるコタツまで歩こうとベッドからのそのそ這い出る。

一瞬頭がフラッとして、自分の体調の悪さを自覚せざるを得なかった。
 ▼ 73 ミスです◆9nlytNSHx. 17/12/23 23:28:20 ID:XaX2rB1M [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あまり食欲も湧いてこなくて、ちょぼちょぼと少しずつ食べ進める。

すると、見かねた様子でイノリがこちらを見た。

「あなた、昨日何か風邪を引くようなことしたの?」

「え、特に何も…………あ」

一瞬思いつかなかったが。そういえば思いっきり風邪を引きそうなことをしたのだった。

「ちょっと着替えるの面倒で、服着ないで寝たかも」

「絶対にそれが原因じゃない! 何してるのよ」

イノリが身を乗り出してこちらに顔を突き出してくる。

「うー、そんなこと言われても」

すん、と鼻をすすりつつ答えると、イノリは更に口調を鋭くした。

「キリカはそういうところ頭が回らなすぎなのよ。あんまり心配させないでちょうだい……」

眉間を押さえてやれやれとイノリは首を振る。

そんな様子を見て、風邪気味であまり頭が回っていない(あくまで風邪気味で!)あたしは思ったことをそのまま口に出した。

「……ふふ、イノリ、優しいよね」

「な、なによ……嫌だった?」

「そんなわけないじゃん。逆逆。そういうとこ、好きなんだよね〜」

「……そう。ありがとう」

困るとすぐに前髪で目を隠すみたいに横下を向いて、「そう」と素っ気なさをアピールしようとするイノリも、もちろん嫌いじゃない。

イノリには悪いけど、とても微笑ましかった。
 ▼ 74 みません◆9nlytNSHx. 17/12/23 23:29:40 ID:XaX2rB1M [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頭がふわふわと浮ついて、思考もおぼつかない。

まとめようとする側から散っていく思考を無理やりかき集め、あたしは今の状況を整理した。

――外、暗いじゃん。さっきまで昼じゃなかったっけ? ……寝ちゃったのかな。

記憶は、昼ごはんを食べ終わって、ベッドからイノリのパソコンでアニメの続きを見ていたところで途切れている。

イノリがコタツをベッド前まで引っ張ってきてパソコンでアニメを見ようとしたから、コタツって案外軽いんだなと思ったところまでは鮮明なのだが。

記憶にある状況と変わらず点いているパソコンの画面の端には20:21、と端的なデジタル時計が表示されていた。

うわぁ、結構寝ちゃったなぁ。夜寝れるといいけど。

とその時、不意に喉の奥がむず痒くなってきた。

粉を気管支に吸ってしまった時のような不快感に、反射的にあたしは咳き込んでしまう。

それを聞いてパソコンを眺めていたイノリが振り返った。

「起きたの。よく寝てたじゃない」

ふふっ、とイノリの微笑みは、やっぱり下手っぴで少し不気味のまま。

「うん……うぅ、鼻詰まってるや」

喉から出た自分の声はくぐもった鼻声だ。

息苦しいが、面倒な鼻水があんまりないのは救いかもしれない。

起き上がると、じーっ、とイノリがこちらを見ていた。

「……ど、どしたの? あたしの顔なんか変になってる?」

「そんなことはないわ。いつも通り可愛い顔」

「か、かわっ!?」

不意に、詰まった鼻とは別で息が苦しくなる。

肺が絞られるような、そんな感覚にあたしの息は知らず速くなる。
 ▼ 75 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/23 23:30:13 ID:XaX2rB1M [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「な、何照れてるのよ。ちょっと言ってみたかっただけだから気にしないで」

「そ、そっか……びっくりした」

びっくりしたのは、イノリが突然変なことを言い出したからではない。

いや、もちろんそれも驚きはしたが、何より自分の反応にあたしは驚いているのだった。

だって、まるでこれでは彼氏に可愛いと言われて赤面する純情な女の子みたいだ。

「……あ、じゃあついでにアレもやってみようかしら」

「え、なになに?」

「……寝顔も可愛かったわよ? 子供みたいで、すごく気持ち良さそうだった」

「っっ〜〜〜……!!?」

きゅうう、と心臓から、肺までもが真綿で締め付けられるように苦しくなる。

全身が布団で篭った熱に包まれ、上半身全体が心臓になったかのように脈打ち始める。

如何ともしがたい恥ずかしさに襲われて、あたしは手のひらで自分の顔を覆った。

顔が真っ赤になっていることは、手のひらに伝わる熱さからも明白だった。

「じょ、冗談よ? 分かってる?」

ちら、と指の間から覗いたイノリは慌てるようにあたしに目を向けた。

「わ、分かってるよ! よくもそんな恥ずかしいセリフ言えるよね……!」

「っ……う、うるさいわね! ちょっとした思いつきなだけなんだから、気にしないでちょうだい……」

あたしたちは2人揃って、暗い空を切り取る外の窓へと目をそらした。

ガラスに映った俯き加減の2つの顔は、同じくらいに赤かった。
 ▼ 76 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/24 23:01:04 ID:R8EoLxRM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いくらか時間をおいてやっと火照りが冷めたあたしたちは、コタツをまたいで向かい合わせに座り、2人で療養食の定番であるおかゆを突っついていた。

2人で突っつくとは言っても、もちろん風邪がうつらないように器はわけてだが。

「ねぇ、この後はどうするつもりなの?」

イノリが聞いてきて、あたしも気がついた。この後の予定なんて全く立てていないのだ。

まぁどうせ、帰ってお風呂に入ったらすぐ寝るだけだ。深く考えるほどのことでもないだろう。

「帰るよ。そんなに長く迷惑かけられないしね」

「提案なのだけど、もう今日はそのまま泊まっていったらどうかしら?」

「と、泊まってく? どこに……って、まさかここに?」

「ここ以外どこがあるのよ? ……嫌なら別に強制なんてしないわ」

「あ、嫌じゃないけど……風邪、うつっちゃうよ?」

「そんなの今更じゃない、1日同じ部屋に居たんだから。それに、風邪を引いても引かなくても結局家にいるもの」

「でも……」

「急に悪くなったらどうするつもり? 私は気にしなくていいから、あなたが決めればいいの」

「……じゃ、じゃあ、お願いします」

イノリが強気に迫ってくるせいで、思わずかしこまってしまった。

しかし、それと同時に心の中にポッ、と火が灯るような感触もした。

何かは分からないが、何か新しいものが生まれたような、そんな気がした。
 ▼ 77 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/24 23:02:12 ID:R8EoLxRM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おかゆを食べ終わって、お風呂には入れないので体を拭いて。

まだ時刻は午後9時にもならないが、早く治すべくあたしは寝ることにした。

「イノリー、寝る布団どこにあるの?」

寝られる場所がベッド以外にもう一個あるのだろう、とあたしはイノリに聞いた。

すると、当たり前のような口調で予想外の答えが返ってくる。

「そんなのないわよ。そのベッドは広めだから2人で使っても問題ないでしょう」

「え、えぇ〜!? そ、そんな近くで寝たら……絶対に風邪うつっちゃうじゃん。申し訳ないよ……」

何故だろうか。

さっきから、心臓の鼓動がうるさいくらいに早い。

緊張はしてないし、運動もしてないし……。

「風邪は今更だって言ってるじゃない。それに、子供の頃はよくやったことじゃない」

よくやった、なんて言ってもたった2回か3回だけどね。

でも、それを思い出すと「別にいいかな」という気もしてきた。

「わかった。じゃあ、借りるね?」

「私が入るスペース空けてくれれば好きにして」

布団を一旦どけて、真ん中より壁側に寄った位置に寝転ぶ。

かちゃ、とスイッチ音の後に電気が消されて、視界はほとんど真っ暗に。

目が慣れず、まだなにも見えない状態だけど、すぐ横に寝転がるイノリには気づけた。

「布団上げるわよ?」

「うん。お願い」

ちょうど首元まで柔らかい布団が被さって、すぐに心地よい暖かさに体が覆われる。

人が2倍なので、布団内部が温まる速度も2倍だ。
 ▼ 78 心しろ◆9nlytNSHx. 17/12/24 23:02:43 ID:R8EoLxRM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「本当に、久しぶりよね」

「うん……むしろ懐かしいかも」

「あの頃は……夜中までずっと暗い中お喋りしてたのよね」

「そうそう。寝る時間遅かったせいで次の朝起きるのがすごい遅くなったんだよね」

「……確か、こうやってしながら寝ていた気がするわ」

布団の下でもぞもぞと何かが動き始める。

それは段々あたしに近づいてきて――

「ひゃっ!?」

あたしの手は暖かくて柔らかい物に包まれた。

「……別に驚くとこじゃないでしょう?」

「そ、そうなんだけど……そうそう、こうやって寝たよね」

心臓が一気に大きく動き始める。

しかし、対照的にあたしの心はとても落ち着いていた。

甘くて、少し酸っぱい、胸が締め付けられる、なのに不思議と落ち着けるこの感じ。

「あ……」

一応こんなでも彼氏もいたあたしは、その正体が分かった。

感づいてしまったのだ。

あたしの運命が変わるのだとすれば、間違いなくこのタイミングだった。
 ▼ 79 日はここまでだ◆9nlytNSHx. 17/12/24 23:03:35 ID:R8EoLxRM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「どうしたの? 変な声もらして」

「あー……ねぇ、あたしに背中向けてくれない?」

「何をするの? 別に、いいけれど……」

イノリは少し怪しむような声を出しつつも素直に従ってくれた。

露わになる細い背中。

その背中にあたしは、腕をイノリの脇へ通して抱きついた。

「ひゃあっ……!? な、何をしているの!?」

イノリが慌てた悲鳴をあげるが、あたしは無視してイノリの背中に顔を押し付けた。

「うー……イノリぃ……」

「だから、どうしたのってば!?」

こんなに慌てているイノリは初めてだ。

いつもは冷静なのに、これがギャップ萌えってやつなのかな。

「ねぇ、イノリ……」

「だから、急にどうしたのよ」

焦るイノリに対して、風邪気味でよく働かないあたしの脳みそは、無駄にマイペースで、無駄に正直だった。



「あのね、あたし……イノリのこと…………好き、だな」
 ▼ 80 ラージェス@スピードボール 17/12/26 23:34:09 ID:lCnepKQ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 81 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/27 23:19:33 ID:/6uxS7dg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「なっ、あっ……えっ?」

イノリは気が動転しているような声を出して硬直した。

気分は自分が現実世界にいるかも曖昧なくらいふわふわしている。

心に思い浮かぶことの一つ一つが、少し子供っぽくなっている、と冷静に分析する自分もいた。

けれどそいつは表には出てこなかった。

「……ふふ、likeじゃ……ないよ?」

「ふふ、じゃ……ないでしょう? ……正気? 風邪のせい?」

「ち、違うもん……えへへ、この前二人で行った占い、すごい当たってたんだね」

「キリカ……本当に大丈夫? 熱はない?」

あたしが何回も聞いているのに、イノリは一向に答えを返してはくれない。

正直すぎる脳みそは、痺れを切らすのも早かった。

「もう、あたしの話聞いてよ!」

「ご、ごめんなさい……占いって、あの、運命の人が隣に……ってやつかしら?」

「そう! あの時は何言ってるのって思ったけど、今はすごく分かっちゃう」

「……そうね。私も、その気持ち……すごく分かるわ」

「ね、イノリはさ。どうなの?」

「どうって……今言ったじゃない」

「え〜? 言ってないよ。ちゃんと言ってくれなくちゃ」

「……しょ、しょうがないわね…………」

抱きしめる力を強くすると、イノリはぼそり、呟いた。

――私も、好きよ。

普通だったら聞こえたかも分からない大きさだったけど、今のあたしには大ききすぎるくらいに聞き取れた。

意識してもないのに、勝手に口元が緩んで止まらない。

「……ありがと」

再度顔をイノリの背中に押し付けると、ふわりとシャンプーの匂いが鼻に舞い込んでくる。

安らかな心地のまま、スッとあたしの意識は深層に落ちていった。
 ▼ 82 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/27 23:20:02 ID:/6uxS7dg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
体が左右に揺れている。

まず意識が急浮上して、それから眠くて動かなかった体も徐々に自由を取り戻していく。

目を開けると、すぐ目の前にイノリがいた。

「おはよう。寝過ぎも良くないかと思って起こしたのだけれど……」

「寝過ぎって? 今何時?」

「もうすぐ12時よ」

思わず愕然としてあいまった。

別に休日も早くに起きているわけではないけれど、ここまで遅くに起きたことはない。

「じゅ、12時!? 起こしてくれてありがと。イノリ今まで何してたの?」

「あなたを見てたわ」

何気なく聞いただけだったが、予想外の答えが返ってくる。

「……えっ?」

「だから、あなたを見てたわよ?」

「それってあたしが寝てる時でしょ?」

「えぇ。実を言うとちょっと撫でたけれど、別にいいわよね?」

「いいけど、よくない……」

寝顔を見られていたというだけでもう恥ずかしい。

しかも撫でられていたというのが余計に、嬉しいような、恥ずかしいような、微妙な感情を作り出す。
 ▼ 83 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/27 23:28:59 ID:/6uxS7dg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「それで、体調はどうなの?」

「体調は……どうだろ。悪くはないけど良くはない、のかな。なんか動きたくない」

「そう。じゃあこのまま適当にテレビでも見てましょうか」

イノリがテレビをつけ、番組表をスクロールし始めるが、どれも見たことのある名前ばかり。

あらかた見尽くしてしまったようだ。

「それもいいけど……なんかゲームとかないかな。見るだけのは飽きちゃったし」

「いいわね。……あ、今やってるバトル実況の番組あったわよ?」

「ほんと!? じゃあそっちで!」

これでもあたしはジムトレーナー。

バトルとなれば、手のひら返しはむしろ当然だ。

そんなわけで画面に映ったのは、体が平均に比べてふた回りは大きいズルズキンに、バチュルのように小さいシャンデラ。

「積み合いしてるのかな。これどこのバトルなんだろ」

「イッシュリーグ予選、って書いてあるわね」

「そっか。まぁ予選なんてどこでもあんまり変わらないけどね」

今さっき自分で動きたくないと言ったのも忘れ、あたしはベッドから降りた。

「動きたくないんじゃなかったの?」

「気にしない気にしない」

車のシートベルトのように手を一周させ、イノリの背中にぴったりとくっついて寄りかかる。

かすかに聞こえる定期的な音は、その間隔を少しずつ短くしていった。

「……もう。しょうがない子」

イノリは呆れた声音で言って、リモコンを置いた。

それが心なしか嬉しそうに聞こえたあたしは耳が腐っているのだろうか。

テレビ越しの実況の叫び声で、やっとあたしはイノリから顔だけは離したのだった。

 ▼ 84 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:53:38 ID:azOUp1nY [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3時間に及ぶトーナメントの優勝は、見知らぬ少年のものとなった。

いや、見知っている参加者が一人もいなかっただけなのだが。

バトル番組が終わると、今度はよくわからない討論番組が始まった。

ポケモン同士の野生の食物連鎖で絶滅がどうのと専門家たちが血気盛んに叫び合っている。

……が、そんなものは正直興味もなかったのでテレビは消させてもらった。

イノリの脚に自分の脚を絡ませつつ、あたしはこの後何をしようか考えた。

しかし特に思いつくものもなくて、暇つぶしにとりあえず携帯を触ってみる。

カレンから連絡が入っていた。

内容は、昨日やっていないバトルの練習をどうするのかだ。

毎週土曜日はカレンと、特訓と言うほどでもないがバトルの練習をしている。

お互い連絡を取り合ってから家を出る、と言う方式を採っていたおかげであたしが来ないままカレンが外で待っていると言う状況は避けられたが、その分心配をかけてしまったようだ。

「イノリ、悪いけど今日は帰るね」

「急にどうしたの? 体調も悪いんだし、もう少し動かない方が……」

「あたしもここにいたいんだけど……一応これも仕事だから、バトルの練習しときたいんだ」

「……そう。誰かと?」

「ん、カレンとだよ?」

「……別に、いいわ。あなたの仕事は強くなることだものね」

コタツから出るには凄まじい気力が消費されたが、なんとか脱出。

本当にずっとイノリといたいけれど、ジムトレーナーになってしまった以上これは仕方のない事なのだ。

背中に刺さるイノリの視線に、後ろ髪を引かれる思いというのを痛感しながらあたしはイノリの家を出た。
 ▼ 85 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:53:57 ID:azOUp1nY [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バトルの練習をしているといつも「後もう少し」と思ってしまって、長引いてしまう。

今日もその例に漏れずに、帰って来たのは8時ごろ。

汗を流すためお風呂に入った後は、いつもより遅めの晩御飯。

作るのは面倒だったので、今机に並んでいるのはスーパーで野菜中心にお惣菜だ。

ご飯は申し訳程度のダイエット中ということで少なめに、しゃもじでひとすくい。

テレビでも見ながら食べようか、とテレビをつけ、そこであたしは目を見開いた。

流れていたのは、LGBT特集。

「…………ぁ」

喉から、細い声が漏れた。

一般人のインタビューは批判も数多く、辛辣なものだった。

インタビューが終わると、なんだかよくわからない討論が始まった。

意見が飛び交う中で、ひとりの専門家が叫ぶ。



『LGBTはねぇ! 生物学的に間違ってr



震えてロクに言うことを聞かない手で、リモコンの電源ボタン押した。

プツン、と暗転した画面以上に、あたしの心は沈んでいた。

今まで、自分視点――イノリが好きだ、と言う感情――しか持っていなかった。

だから、普通に比べて変でも、幸せならいいと思えた。

しかし、今のインタビューで第三者の視点を与えられた。

おかしいというのは承知済みだったくせに、ショックは大きかった。

不安で頭が埋め尽くされる。

自分に対しての世間の目を考えるのが、怖い。

あたしはご飯にラップをかけて、惣菜と一緒に冷蔵庫へしまった。

もう、何も喉を通らなかった。
 ▼ 86 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:55:20 ID:azOUp1nY [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
電気を消すと、自分が見えなくなったからか少し落ち着いた。

携帯を取り出して、やっぱり少し寂しい連絡先一覧を開く。

掛ける先は、もちろんイノリのところ。

ぷるr

『もしもし? 流石にこの時間から遊びに来るのはダメよ?」

「それはないって。その、寝る前に話したいなって思っただけ」

『そう。でも、私、井戸端会議とかなんてできない人なのだけれど』

そういえば前に、自分から話のネタを作る方法がわからないとか言ってたっけ。

「いいのいいの。声聞きたかっただけだし」

『それって、もう電話を切るの?』

「あ、待ってよ。……ねぇ、あたしって変なのかな? おかしいのかな?」

『おかしいに決まってるじゃない。私なんかとずっと友達続けてた時点で普通じゃないわよ』

変わらないように聞こえて実はちょっとふざけている声で、イノリはそう言った。

多分それは、イノリなりに少しでも気分を軽くさせて、励まそうとしたのだと思う。

「そうじゃなくて! イノリが好きだって言ってるのって、やっぱりおかしいのかな」

『それを肯定すると私も世間から見ておかしいってことになるわよ。ひどいわね』

さっきと変わらない、おどけた口調。

でも、さっきとは明確に何かが違った。
 ▼ 87 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:55:37 ID:azOUp1nY [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……イノリも、同じってこと?」

『当たり前じゃない、何を今更言っているの』

「そっか……。ありがと」

『逆に私から聞くわ。私のこと、本当に好き?』

顔が瞬時に熱くなるのを感じた。

――恥ずかしい。……でも、言わないと。

「うん……。イノリのこと、好きだよ。すっごく」

『もしだけど、一緒になろうって言ったら、なる?』

「うん。なると思う」

よく分からない質問だったけれど、あたしは即答した。

イノリと一緒ならなんでもいい気がした。

『そう……。そうね。じゃあ、やっぱり…………それが、一番いいのかも』

「どうしたのイノリ? なんの話か分からないんだけど……」

『あ、私が一人で納得してるだけだから、気にしないで』

「わ、わかった。……そろそろ、寝るね。おやすみ」

『えぇ。おやすみなさい……』
 ▼ 88 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:55:58 ID:azOUp1nY [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふわふわ、浮くような気分。

ここはどこだろう。

頭が回らなくて、状況がよく分からない。

(……あ、ここは)

(……前に映画で見た、花の楽園)

その時、空から人が宙を漂うみたいに降りてきた。

「……い、イノリ? どうしたの?」

聞いても、イノリは口を開きすらしない。

「どうしたのってば」

やっぱり口は開かずに、イノリはあたしの腕を引っ張った。

予想外の力強さに、あたしは成すすべなくどこかへ連れて行かれる。

歩くごとに、花の濃密な甘い匂いが漂って、景色もどんどん色褪せていく。

とても、綺麗だ。
 ▼ 89 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:56:14 ID:azOUp1nY [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふんわりと緩やかに、意識が階段を上る。

何故だか分からないけれど、今日は寝起きの気分がとてもいい。

スパッと起き上がって、テキパキと仕事へ行く準備を始める。

ご飯を作って食べ、振袖の代わりの仮装に着替え終わった直後だった。

ぴんぽーん、とドアホンが鳴る。

――こんな時間に? 誰、だろう。

開けた先で、あたしは硬直した。



「トリック・オア・トリート……」

「えっ……!?」



今日は、10月の31日。

一般世間でもよく聞くその言葉で現れたのは、イノリだった。

イノリがいた、そこはまだ驚くことではなくて。

イノリが、その手に、持っているもの。

ギラギラと血に飢えた獣のような、危うい光を発しているそれは。

(――包、丁……!?)

しかし、その目にも声にも、殺気は少しも感じられなかった。

「……な、何しに、来たの……?」

「あぁ、ごめんなさい。包丁なんか持ってたら怖いわよね。……ちょっと、やりたいことがあるの」

イノリは玄関までサッと入ってきて、後ろ手に扉を閉める。

ちょうど扉を塞がれた格好だ。

あたしの恐怖心がどんどん膨れ上がる。
 ▼ 90 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:56:32 ID:azOUp1nY [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まず、お話を聞いて欲しいのだけど。いいかしら」

元から恐怖で思考はほとんど停止状態。

ロクな言葉を喋ることができなかった。

「う、うん……いいよ」

「私、昨日、私たちの前世について占っていたの。そしたら、前世の私たちも、女同士、恋仲だった」

「そ、そうだったんだ……」

「……でね、前世の私たちの死因も分かったの。死因は――」

イノリが、何かを怖がるように身震いした。

「――死因は、同性愛を理由とした、迫害。その末のひどい暴行よ」

「……ぃ……ひぃ……」

喉は砂漠のように乾ききって、声も出なかった。

「このままだと、今世でも、こうなるわ。肉体的暴行でこそないかもしれないけれど、物理的じゃなく人を殺す方法なんていくらでもある」

「…………ぁ……っ」

恐怖心は、さらに膨れ上がっていく。

しかし、それはもうイノリへ向けてではなかった。

遠いか近いかも分からない未来に訪れるであろう生き地獄への、恐怖。

「だから……だから。……一緒に、なりません、か?」

最後の方は、濡れて掠れた、涙声だった。

喋っていたイノリ自身も辛かったのだろう、苦しかったのだろう。

好きな人と一緒にいることすら許されないなんて、こんな現実を見せられて、早々耐えられるものではない。

あたしだって、さっきから視界が歪んで、光って、仕方がない。

朝の気分の良さなんて、最初からなかったみたいに消し飛んでいた。

あたしの心を支配するのは、辛くて、苦しくて、黒くて、重いものだけ。

重圧を振り切るように、あたしは口を開き、動こうとしない声帯を無理やり動かした。

「……いい、ょ。一緒に、なろ」

「……本当に……?」

「…………うん。あたしは、イノリが好きなんだもん。だから……どうせやるなら、永遠に幸せになったほうがいい」

「…………あり、がとう……」

イノリがあたしに抱きついて来て、声を上げて泣き始めた。

「泣かない泣かない。持って来たもので何かやるんだよね? 早く……やろ」
 ▼ 91 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:57:32 ID:azOUp1nY [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し泣いて、すぐいつものように平静を取り戻したイノリは、バッグからいくつかものを取り出した。

「儀式を行うの」

「なんの?」

「霊界からヨノワールを呼ぶ儀式。迷える魂を天国へ送り届けるのが彼らの役目だから」

そういうと、イノリは何やら紫の布を、あたしのテーブルに被せた。

「……これは、霊界の布っていうの。ゴーストタイプを呼び寄せるエネルギーが詰まっている……」

イノリが包丁を両手で握った。

ガギン、と音がして、包丁が布を貫通して机に突き刺される。

次に用意したのは、バーベキューなんかでよく使う七輪。

炭を入れると、もくもくと黒い煙が出始める。

「この包丁と、煙が目印。……さぁ、あとは、眠るだけ」

イノリが手渡して来たのは、睡眠薬だ。

これを飲めば最後、この世界にはいられない。

でも、後悔はなかった。

――あ、メールだけでも、送っておかなきゃ

ありったけの連絡先に、一つのメールを送った。

題名はなし、内容は、「今までありがとう、ごめんなさい」と、それだけで。

案外安らかで何も考えない、ものなんだなと思った。

「……行くわよ」

イノリと一緒に、薬を飲み込む。

あたしたちは、ベッドに倒れこんで、両手を繋いだ。

イノリの手は、少し冷たい。

でも、心は、とても暖かかった。

すぅっ、と意識が落ちて行く。

最後に視界に映ったのは、イノリの、やっぱり不器用だけど幸せそうな笑顔だった。



――あぁ、好きだ。幸せだなぁ。
 ▼ 92 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:58:29 ID:azOUp1nY [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「もうめくられることのないカレンダー」


「もう開かれることのないクローゼット」


「もう座られることのないクッション」


「もう点くことのないテレビ」


「もう鳴ることのない電話」


「もう踏まれることのない床」


「もう開けられることのない扉」


「もう変えられることのない花瓶の花」



「キキョウ……スターチス……マルベリー……」






「寄り添う2つの微笑み」





 ▼ 93 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:58:50 ID:azOUp1nY [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


  完

 ▼ 94 羽真◆9nlytNSHx. 17/12/31 23:59:30 ID:azOUp1nY [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やった年内に終わったああああああああ!
1分前?知らん!終わったもんは終わったんじゃ!
では、続きのあとがきは来年書きます
 ▼ 95 羽真◆9nlytNSHx. 18/01/01 00:12:03 ID:6D/cxFx. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あけましておめでとうございます
ぴったし30秒前だったんですか……危ない
改めて、落ち着いたので後書きらしき何かです

今回は少し、というかかなり、というか、病んだのか?ってくらいの変化球です
実際あんまり需要はなかったっぽいですしね
バッドエンド、グッドエンド、感じ方は人それぞれだとは思いますが、これだけは言いたかったです
「歪んでようがなんだろうが、それもまた一つのカタチ」だと思います、と
まぁカッコつけてみましたけど、今までノーマルカップルしか書いて来なかったんで開拓してみようって感じなんですけども

そんなわけで、長引きつつもなんとか終わったこのSS
ハロウィンの季節をクリスマス終わっても書いてるとかいうね()
ダラダラ書いていたにもかかわらずここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます!

今年もよろしくお願いします!
 ▼ 96 羽真◆9nlytNSHx. 18/01/01 00:17:52 ID:6D/cxFx. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
以下思ったこと喋ってるだけにつき読む価値なし↓

・今回は伏線っぽいのいっぱい仕掛けられて自己満足でした!
例えでいうと北枕なんかは有名でしょうか
あとはしゃもじ一回でご飯をよそうのとか、夢で空から人が降りてくると危ないだとか、そんな感じのもです

・次の予定なんですが
ヨウリエ
シルコト
ガブサナ(←文字通りガブリアス×サーナイト)
ボスゴドラニンフィア(前SSのアレです)
あたりから選ぼうかと
まだ構想立ててもない段階ですのでどれが見たいとか教えていただけるとありがたいです

・よし、やること終わった寝よう
おやすみなさい
  ▲  |  全表示96   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼