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【クリスマスSS】ずっと同じ願い

 ▼ 1 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 16:29:23 ID:GxntVLys [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

─────────
始まりはあの日だ。
─────────
 ▼ 2 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 16:29:42 ID:GxntVLys [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「じゃあパーティの最後に〜!」


「タダ! クリスマスプレゼントよ!」

タダ「わっ! ぬいぐるみだ! かわいぃ〜!」

「ちゃんと大切にするのよ?」

タダ「はぁーい!」
 ▼ 3 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 16:30:00 ID:GxntVLys [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


タダ「よろしくね! えーっと、名前は……」タッタッ

タダ「んー……」


タダ「ままぁー!」タッタッタッ


ママ「どうしたの?」

タダ「この子の名前! 何がいいかな?」

ママ「うーん、じゃあポロちゃん、なんてどう?」

タダ「えー、かわいくない!」

ママ「そう?」

タダ「じゃあー、ボーちゃん!」


「よろしくね! ボーちゃん!」

「これからずっといっしょだよ!」
 ▼ 4 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:03:39 ID:GxntVLys [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ママ「お風呂お湯はいってるから、片付けたあと入りましょうね」

タダ「む、ママとじゃなくてもいいもん!」

ママ「あら、そう? じゃあ溺れないように気を付けてね」

タダ「ボーちゃんといっしょだから大丈夫だよねー!」

ママ「一緒に?」


5分後


タダ「ママー! かわかない!!!」

母「全くもう……乾くまで時間かかるから歯磨きして寝ましょう?」

タダ「えー! やだ! 起きてる!」

母「ダメよ、夜遅くなっちゃう」

タダ「まつの!!!!」


10分後


タダ「ぅーん……」スヤァ―

母「はぁ、すぐ寝ちゃうんだから」

 ▼ 5 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:04:05 ID:GxntVLys [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


──「んー!」

タダ「あれ? ……???」

タダ「まぁいっか。よく寝れたね! ボーちゃん!」


「ごはんできたよー!」


タダ「いそがなきゃっ」ガタッ

 ▼ 6 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:04:26 ID:GxntVLys [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「いただきまーすっ!」

ママ「美味しい?」

タダ「いつも通り!」

ママ「ご飯の時くらいは離してあげたら?」

タダ「やだ! ずっといっしょなの!今日の給食はー?」

ママ「パン、牛乳、ほうれん草のごまあえ、ひじきの煮物」

タダ「うわっ、ひじきやだぁ」

ママ「好き嫌いしてちゃ次サンタさん来ないわよ」

タダ「あっ、学校にボーちゃん連れてけないじゃん!!」

ママ「まあ……」

タダ「休む!」

ママ「ダメ」

タダ「えー……」


タダ「じゃあボーちゃん、待っててね!すぐ帰ってくるからね!」

ママ「すぐ帰ってきちゃダメよ」

タダ「いってきまーすっ!」

 ▼ 7 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:53:30 ID:GxntVLys [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


キーンコーンカーンコーンっ!

 ▼ 8 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:54:05 ID:GxntVLys [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「ただいまーっ!」

タダ「おまたせーっ! ごめんねボーちゃんっ!」

ママ「おかえりー! おやつにメロンパン買ってきといたよ」

タダ「ほんと!? チョコはいってるやつ?」

ママ「はいってる」

タダ「やったー!」
 ▼ 9 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:54:36 ID:GxntVLys [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


タダ「ん〜」モグモグモグモグ

タダ「ボーちゃんにも食べさせてあげられたらなぁ」モグモグ

ママ「美味しい?」

タダ「おいしい!」


タダ「あっ! そう言えば昨日の永久沈黙700録画してたかな!? 」

ママ「うん、多分だけど」

タダ「良かったぁ」

ママ「そろそろ買い物行くけど、留守番できる? さみしくて泣いちゃわない?」

タダ「だいじょうぶ!」

ママ「おとなしくね」

 ▼ 10 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:55:41 ID:GxntVLys [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

────


ママ「晩御飯できたわよ」

タダ「やった! いい匂い!」

ママ「しょうが焼きよ。サラダいる?」

タダ「いらない!」

ママ「野菜も食べないと」コトッ

タダ「いらないって言ったのに!」

──

タダ「ボーちゃん! いっしょに寝よう!」

「暖かいね……、おやすみ……」


────
 ▼ 11 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:55:59 ID:GxntVLys [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

──────

────────

──────────


タダ「あれ、ボーちゃん。気づいたらすごく汚れてる……」


チャポンっ……


「いっしょに入るのは久しぶりだね」

タダ「二回目かな。きもちいい?」

タダ「いろんなことがあったけど、ボーちゃんと一緒だったから楽しい気がする!」

「これからもよろしくね!!」


……ザーザー


タダ「たまには洗ってあげないと!」ゴシゴシ

 ▼ 12 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:56:31 ID:GxntVLys [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──


タダ「見て! 葉っぱが紅い! きれいだねー」


──「タダ! 今年のクリスマスプレゼント!」

ママ「新しいぬいぐるみよ!」

タダ「わぁ〜!! カワイー!」

 ▼ 13 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:56:49 ID:GxntVLys [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




初めての感情は、寂しさだった。



 ▼ 14 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:57:14 ID:GxntVLys [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


体のなかを捻り、搾られるような感覚。最初はそれが何かわからなかった。

私と出会い、過ごしてしばらくたったある夜のこと、突然訪れた侵略者は彼女の心を鷲掴みにする。それ以降、少女タダが私と過ごす時間は日に日に短くなっていった。
 ▼ 15 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 17:57:36 ID:GxntVLys [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



タダ「ピーちゃん! 行ってきます!」


彼女は私じゃないぬいぐるみに声をかけて出掛ける。


タダ「ご飯の時間だって!」


私じゃないぬいぐるみを抱いて飯を食う。


タダ「あったかいね……おやすみ、ピーちゃん」


私じゃないぬいぐるみと眠りにつく。

やがて彼女が私を相手することはなくなった。

胸がギュッとした痛みに襲われた。


『これからずっといっしょだよ!』


当時の私はその約束を脳内で円を描くように復唱したことだろう。

言い表せない心情に身を震わせながら……。
 ▼ 16 ドータクン@フェスチケット 17/12/25 18:13:14 ID:RG5uH6rY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 17 パルシェン@しんかいのキバ 17/12/25 18:24:44 ID:Y4Fp0tXM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 18 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 19:56:22 ID:GxntVLys [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



少女がぬいぐるみを抱いた瞬間から、どれくらいの時間がたったのだろうか。

ただ棚の上からタダを見守る日々、埃をかぶり前が見えなくなって、姿を見ることも叶わなくなったあと。


私は捨てられた。


一瞬、舞い上がったのを覚えている。
久しぶりに手に取られたのだ。

少し大きくなったが、あの日の名残を感じる柔らかな感触。だがその手には、目には、もう温もりはなかった。
 ▼ 19 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 19:57:10 ID:GxntVLys [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そのまま他のぬいぐるみと共に一つの袋に詰められる。

これまた久しぶりに家の外に連れ出された。
温かい家の中から寒い屋外へ、私とタダが初めて散歩に出たときもそうだったのだろう。


『外はさむいねぇー!』


あの日の私には、彼女と同じ感覚を共有することはできなかったが、今ではそれが理解できた。

だがそれが当時と同じお散歩ではないのは聞くまでもない。


詰め込まれた侵略者の数々に体を押し潰され、とてつもなく窮屈だった。
 ▼ 20 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 19:57:32 ID:GxntVLys [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

袋がグラグラと激しく揺れた後、衝撃が走る。

何が起こったのかわからなかった。


しばらく落ち着いて視界を確認する。詰め込まれたとき、埃は自然に払われた。

水色に濁った目前。

冷たい何かを感じさせるその色の中、
去っていく少女の背中は、暖かい感覚を私に思い出させた。


私は袋を破り、飛び出していた。
 ▼ 21 破滅の願い◆5oP7VYU6fg 17/12/25 19:57:57 ID:GxntVLys [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

気づいたときにはもう、すべてが巨大に見える雪景色をひたすらに走っていた。


小さな足跡を残しながら、胸中を襲うねじ切れるような痛みを堪えながら。

この時を逃すと、きっと彼女に会うことはできない。


もう一度彼女と過ごすことはできない。

もう一度、昔のように過ごしたい。


そう思ったのだ。

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