▼  |  全表示133   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】フワライドの空のお仕事日記【ポケダン空】

 ▼ 1 nfYyot98RE 18/05/04 01:34:47 ID:iXvrMWjc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〇月〇日 ひざしがつよい

今日から日記を付けることにしたんだー
何でかって? かわいい日記帳をもらっちゃったからだよー
後できちんとお礼しなきゃねー

せっかくもらったのに使わないのはなんだか日記くんがかわいそうだよね

だからねー、初めてだけど今日からちょっとずつ自分の思ったことを書いていくことにしたのー

そらのいただきでのお仕事のこと
お客さんたちと話したりしたこと
いつも変わるそらのいただきの景色のこと

色んなこと書いていくからねー
これからよろしくねー、日記くん
 ▼ 94 nfYyot98RE 18/06/10 20:24:20 ID:px7MRggk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき9合目への道 2F ─

ボク達はまたフロアをぐるぐると探索していた……んだけどお馴染みの顔に足を止めた。

「いらっしゃい!」

またお店だ。
さっきのカクレオンさんとは別なのかな。それともボク達に付いてきて……?

いやそんなわけ……ないよね。
商品もさっきとは違うし。
高そうな宝石にどこかの山の岩に水色の箱……水色の……あれ?

「……あれってもしかして?」

ボクは隣にいたポッチャマの肩をついついパタパタと叩いて指差した。
ポッチャマはちらっとそれを見ると……首を横に振った。

「あれは、れんけつばこっていう道具でそらのおくりものではないんだ」

「なぁんだ……違うんですねー」

ちょっとがっかりだけど、よくよく思い出したら、ポッチャマはダンジョン落ちてるものって言ってた。

……また根気よく探すしかないみたいだねー。
うん、まだ山頂まではあるし気を切り替えていこう。
 ▼ 95 nfYyot98RE 18/06/10 20:25:55 ID:px7MRggk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき9合目への道 3F ─

……やっぱり思っていた通り、この辺りはボクには厳しいダンジョンだ。

「ふわわっ!」

「フワライド、大丈夫?」

「あ、はいーなんとか助かりましたー」

こうして気を抜いてると、すぐに近づいて必殺の一撃を食らわそうとくるんだもの。
ボク、食べることは好きだけど痛いのは嫌いだよー……

早く、見つからないかな。

そうして早くこのダンジョンを脱出して……うん? いや、そうか……ここまで来たら頂上は目前なんだ。

ボクにひとつ欲張りな考えが浮かんだ。

……見てみたい。
ボクがまだ見たことない、そらのいただきの絶景を。
 ▼ 96 nfYyot98RE 18/06/10 20:27:18 ID:px7MRggk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき9合目─

「うーん……ここまで来ても見つからないか」

「私たちはひたすら探すしかないよ」

肩をならしながら、ふたりはあんまり良くない現状の話をしていた。
さすがのふたりも少し不安が顔に出ているみたいだった。

そうだよね……依頼の達成が出来ないと困るのはふたりも同じだもの。

「あのー、ちょっとお願いしたいことがあるんです……」

ボクはそれとなくひかえめにふたりに割って入る。

まだ、最初の目的すら達成出来ていないのに。
強引かもしれない。それでも、どうしてもふたりに頼みたかったんだ。

少し大きく息を吸って、話した。

「ボクを……頂上まで連れて行ってもらえませんか?」
 ▼ 97 nfYyot98RE 18/06/10 20:32:16 ID:px7MRggk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「それは……このそらのおくりものを探す依頼とは別に、ということ?」

「はい、そうですー」

「悪いけど……そういう契約じゃないんだ」

「まぁまぁポッチャマ……ちょっと話を聞いてみようよ」

さばさばとしたポッチャマをリオルが止めてくれた。
良かった。とりあえず聞いてもらえるみたい。

ボクはまた少し大きく息を吸って話し出す。

「おふたりと探検するうちに色んなそらのいただきを見れたんです、それがボクはとても楽しくて、嬉しくて……だから本当のそらのいただきを知りたくなってしまって……」

「もちろんその分の報酬は上乗せします、これはただのボクのわがままですから……おふたりに任せます」

話し終わってふぅ、とひと息。
とってもあいまいでわがままだけれど……それでもボクの思ったこと、素直に話せたと思う。
 ▼ 98 nfYyot98RE 18/06/10 20:34:15 ID:px7MRggk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……どうする?」

リオルとポッチャマはお互いに顔を合わせてちょっと困った顔してる。

少し間が空いてポッチャマがふぅ、とひと息ついてから話し出した。

「じゃあ……だいだいグミとあおいグミを貰える?」

「あ、はい用意出来ますー……あの、じゃあ引き受けてもらえるということですかねー?」

ボクはいけないことをした時みたいにおそるおそるたずねる。

「うん、オッケーだよ頂上まではすぐだしね!」

「あんまりこういうことは良くないと私は思う……けどそこまで言われたら、ね」

答えたふたりはそれぞれの個性の笑顔だった。
ふたつの笑顔を見て、ボクも安心してなんだか顔がゆるんじゃう。

「……ありがとうございますー!」

そらのいただき……9合目にして新しい目的が出来ちゃった。

ここまでふたりに良くしてもらったんだもの、絶対にそらのおくりものをゲットして頂上まで登るんだー!
 ▼ 99 ャース@シュカのみ 18/06/12 02:32:42 ID:p2yEQPmw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 100 nfYyot98RE 18/06/18 00:50:21 ID:Jp4gPZMc [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき 頂上への道 1F ─

ありとあらゆる部屋を探索して、そらのおくりものを探すボク達。

だけどまたはたり、とポッチャマが足を止めた。
それになんだか心配そうな顔……この先に何があるんだろう?
またわなかな?
それとももっと危険な何か……?

「まずい……この先はモンスターハウスだ」

「分かった、僕に指示をお願い!」

ポッチャマはリオルに向って静かにうん、とうなずいた。

「フワライド、キミは最後尾で待機していて」

「は、はいー」

モンスターハウスって何だろう……とにかくここはふたりに任せよう。
ボクはサッとリオルの後に隠れた。
 ▼ 101 nfYyot98RE 18/06/18 00:51:39 ID:Jp4gPZMc [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッチャマが足を進めたその瞬間、それは突然起こった。

どこにいたのかは全然わからない。
でもダンジョンのポケモン達が次から次へと現れて、ポッチャマ達を囲むのをボクはリオルの背中越しに見ていたんだ。

「……このっ!」

ポッチャマはバックから取り出した道具……あれはたま? を地面に叩きつける。

と、その直後。

びっくりして自分までカチコチになるところだった。

「これで良し」

「うん、あとはわなに気をつけないとね」
 ▼ 102 nfYyot98RE 18/06/18 00:52:49 ID:Jp4gPZMc [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……何が起こったってー?

さっきまでわらわらとふたりを囲んでいたダンジョンのポケモンたち。
それが突然、みんな凍ったみたいに動かなくなったんだ。

一体全体なんで?
たぶん、あのポッチャマが持っていたたまの効果なんだろうなぁ。

……で、今ふたりはそんなカチコチのポケモンたちをばったばったと倒してるって感じー。

「フワライドさーん、もう平気だよー!」

あ、それももう終わったみたい。
さすがに仕事が早いなー。

「はいー、今行きますー」

うーん……展開の流れが早くてボクはポカーンだなぁ。
でもそんなにピンチにならなくて良かった良かった。
 ▼ 103 nfYyot98RE 18/06/18 00:54:20 ID:Jp4gPZMc [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき頂上への道 2F ─

さっきのモンスターハウスにはたくさんのポケモンがいた代わりに、たくさんの道具も落ちてた。

ついでにわなもね。

でもボクたちが探しているそらのおくりものは無かった。

なので、ボクたちはまたフロアの中を目を凝らしながらぐるぐるしているわけなんだ。
そろそろこのぐるぐるにも飽きてきそう。

……このままだと頂上に着いてしまう。

頂上に行けるのは嬉しいけどねー。
でも、肝心のそらのおくりものが見つからないんじゃまたここに来ることになっちゃう。

それはあんまりうれしくはないなぁ。

こんなに探しても見つからないなんて、ボクの感謝の気持ちが足りないからだったらどうしよう。

あぁ、神さま、お父さん、お母さん、仕事のみんな……いつもありがとう。
言葉には詰められないくらいいつも本当にありがとう。

このボクの唐突な感謝、お空に届いてくれたらいいんだけど……現実はそんなに甘くないかなぁ。

それでもボクはまだ信じてるよー。
……次のフロアにはありますように。
 ▼ 104 nfYyot98RE 18/06/18 00:55:45 ID:Jp4gPZMc [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき頂上への道 3F ─

ボクたちの先頭を歩くポッチャマ。
彼の言葉には何度も心揺さぶられたけど、今回は飛びっきりだった。

「……フワライド、見つけたよ」

振り返ってから、ボクの目を真っ直ぐに見たポッチャマが静かに言った。

「ふわわっ! ほ、本当ですかー!」

やった……やっとボクの願いがお空に届いたんだ。
諦めなくてほんっとうに良かった。

……神さま、実は本当にいるのかもね。
もう一度だけど、ありがとう。

「ただ……」

「少し厄介な位置にある」

真っ直ぐな青い目が鋭くなってある方向に向いた。
ボクもその方を見てみる。

見ると……本当だ! 例の空色の四角い箱がある!

けど……喜ぶ間もなくその隣にすぐ目がいってしまった。

大きな拳の……いかにもバトルが得意ですよーって感じのポケモンさんが寝ている。
そのプレッシャーが身体の中に吸い込まれてくるみたいでなんだか心地が悪い。

 ▼ 105 nfYyot98RE 18/06/18 00:57:47 ID:Jp4gPZMc [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「幸いにも隣接しているのはあの1体だけだ、私が行ってくるよ」

ふぅ、とひと息ついたポッチャマ。
相変わらずあの青い目は鋭いままだ。

このまま、ポッチャマは単身で部屋に入ってそらのおくりものを取りに行くつもりなんだろうな。

でも……そうしたらボクは……

「分かった、フワライドさんは僕に任せ……」

「あの」

ボクはあえてふたりの作戦会議を遮った。
そして……また大きく息を吸い込む。

「その役……ボクにやらせてもらえませんかー?」
 ▼ 106 nfYyot98RE 18/06/18 00:59:54 ID:Jp4gPZMc [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「危険だし、依頼が失敗する可能性があるのも知ってますー……でも、ボクがあの子に本当の感謝を込めて贈るためにはボクが取りに行かないと意味がないんです」

「だから……どうかやらせてもらえませんかー?」

ボクは目をぎゅっとつむって手を合わせた。

これで何度めかなぁ。
ふたりには本当にわがまま言ってばっかりだ。

でもこれだけは譲りたくない。
これだけは……ボクがやらなきゃダメなんだから。

恐る恐る……ボクは目を見開いた。

そこにいたのは……いつもの柔らかい笑顔のリオルと、やれやれって感じにため息をつくポッチャマだった。

「……分かったよただし、きちんと持ち帰って来てね」

「僕らもサポートするからね! 頑張ってフワライドさん!」

「……はーい! ありがとうございますー、頑張りますー!」

……いよいよボクの最初で最後? の戦いが始まる。

気を引き締めなくっちゃね。
ボクはパンパン、と自分のほおを叩いて目を見開いた。
 ▼ 107 nfYyot98RE 18/06/21 23:50:41 ID:.Io..XaE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ボクがあのそらのおくりものを手に入れるには。

あの寝ている大きなこぶしのポケモンを倒す……なんて無茶なことは出来ないから前と同じ作戦で行こう。

壁の上空を飛び、そのお隣からこっそりと持ち去り帰ってくる。

そんなちょっとドロボーじみた作戦。
探検隊さんでも、冒険家さんでもないボクに可能性があるならいちばんだと思う。

すーっ……と音をたてないように深呼吸をした。
そうしたら、ふしゅるるる……と少しずつ緊張と空気が一緒に抜けていった。

よし、心の準備はオッケーかな。

ボクはふたりに「大丈夫です」のアイコンタクトをして、体を風にあずけて飛び立った。
 ▼ 108 nfYyot98RE 18/06/21 23:51:42 ID:.Io..XaE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゆっくり……ゆっくり。
ふわり、ふわふわと風を感じてボクは今部屋の周りを飛んでいる。

周りにダンジョンのポケモンは……いないみたい。

良かった。
大丈夫だってふたりに目配せをしなきゃ。

ボクの目に映るのは、心配そうなリオルと鋭い目をしたポッチャマ。

ふたりはどんどん小さくなっていく。

大丈夫、上手くやれるよ。
そうウインクしたボクはふたりに背を向けた。

そして……空色の小さな箱に目を向ける。
 ▼ 109 nfYyot98RE 18/06/21 23:52:22 ID:.Io..XaE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっそり……気付かれないように。
ゆっくりと……囲まれないように。

ボクは箱に近づいていく。

おおよそ部屋の壁の周りの半分を飛んできたくらい。

長い時間探してきた、あのそらのおくりものはようやくボクの目に見えてきた。

わぁ、なんて……爽やかな空色なんだろう。
これは本当にお空から降ってきたものなのかもしれない。

……なんて感動している場合じゃないや。ここからが肝心なんだから。
 ▼ 110 nfYyot98RE 18/06/21 23:53:14 ID:.Io..XaE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そらのおくりものは壁越しにキラキラと輝いている。
……その隣で大きなこぶしのポケモンさんの寝息がすーすーと聞こえてくる。

もうほとんど間近まで下りてきたんだから後は……一瞬降り立って、あの箱を持ってまた飛ぶ。

たったそれだけ。
たたかう必要なんてない。

なのに……とってもドキドキする。
あのポケモンの鋭いプレッシャーがボクのからだをプスプスと突き刺しているみたいだ。

ボクは……いつの間にかあの子を思い浮かべていた。
そうだ、あの子にお礼がしたくってボクはここまで来たんだ。

うん、大丈夫上手くいくよ……!

意を決して、ボクは空色の箱の上に降り立った。
 ▼ 111 nfYyot98RE 18/06/21 23:54:52 ID:.Io..XaE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふわっと地面に着地。
そして焦らずゆっくりと、でも急いで箱を抱きしめる。

本当にあった……良かったぁ。
あとはこのまま帰るだけだ……

またふわりと上へと飛び立とうとした。

「……ふわっ!?」

けれど……そうはさせてくれないみたい。

大きなこぶしを持ったポケモンはボクとばっちり目が合っていた。
しかもパンチングポーズまでとって。
やる気満々って感じに……

まずい。とってもまずい。
……たたかう? ふたりに助けてもらう?
どちらにせよこのそらのおくりものは持って帰らないといけな……

バシュッ!!!

それはボクが無理くりに頭を回転させていたときだった。
凍てつくような冷気を纏ったこぶしが間髪なくボクを捉えた。
 ▼ 112 オガエン@ゆきだま 18/06/22 16:09:08 ID:evlgO.Fo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 113 nfYyot98RE 18/06/23 00:09:12 ID:BA3okQZU [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
大きなこぶしから繰り出された、身も凍るようなパンチは完全にボクを捉えた……と思った。

ボクも、そのポケモンも。

凍てつくこぶしは、すんでのところでボクをかすって外れた。
予想外だったみたいで、相手のポケモンはポカーンとしてる。ボクもだけど。

なんで……? あれっ。

そらのおくりものと同じくらいに、ちんまりとしたからだを見る。

……ボクはいつの間にか「ちいさくなる」を使っていたみたい。
そっか。この頂上付近、寒いからとっさにいつもの癖でわざを使ってしまったんだ。

っていけないいけない。
また攻撃される前に早くこれを持って壁上に飛ばないと!
 ▼ 114 nfYyot98RE 18/06/23 00:09:56 ID:BA3okQZU [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは自分と同じくらいに大きく、重くなった空色の箱を持って再び浮上しようとする。

早く。
早く空へ行かないと。

ちら、とあのポケモンがまたこぶしを飛ばそうと構えを取っているのが見えた。

……怖い。
さっきの凍るようなパンチはとっても怖い。ボクは寒いのは苦手だし、バトルなんてほとんどしたことない。

でも……あれを喰らうよりもこのままボクが倒れて探検が失敗する方が怖い!

箱をぎゅっと抱きしめさぁ、空へ!
飛ぶんだ!
 ▼ 115 nfYyot98RE 18/06/23 00:10:59 ID:BA3okQZU [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの凍てつくこぶしは再びボクに迫ってきた。

けれど、ボクに届くことはなかった。

それはボクがそれより早く空へと逃れたから……ともうひとつ、ポッチャマの攻撃であのポケモンが倒れたから。

本当に一瞬だった。

「はぁ……ヒヤリとしたよ」

小さくなったボクからは、遠い空の下でも大きなポッチャマが大きな手で汗を拭う動きが見える。

「もう大丈夫だよ、よくやった」

「やったねフワライドさん! あとは頂上まで登るだけだよ!」

ふたりのそれぞれの労いの言葉が届く頃には、もうボクのからだも元通りになっていた。

ボクは……やり遂げたんだ。
このボク自身の手でそらのおくりものを手に入れたんだ……!
 ▼ 116 nfYyot98RE 18/06/23 00:13:18 ID:BA3okQZU [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき頂上への道 5F ─

あの時の一瞬の駆け引き。
あのままボクが倒れてしまっていたら……?
どうなっていただろうなー。

さっきのことを考えながらボクは手の中にある空色の箱を見つめる。

爽やかで可愛らしいでもキレイな箱。見ていると思わず、にまにましちゃう。
これならプレゼントにはぴったりだね。

「それ、さっきからずっと抱きしめてるけど……そんなに嬉しかったんだね」

「そりゃあもう! 感動と喜びの雨あられこなゆきですよー」

「ふふっ、なにそれ」

「それじゃあ次は嵐かな……もうすぐ頂上だよ」

ポッチャマの言う先には、もう何度もくぐってきたあの階段がある。
あの先に……ボクがまだ知らない本当のそらのいただきが広がっているんだ。

「見たい……!」

お客さんや仕事のみんながいつも話す、そらのいただきの頂上……その素晴らしい眺めを……!

ふたりよりも先に階段を勢いよく駆け抜け、たまらずダンジョンを飛び出した。
 ▼ 117 nfYyot98RE 18/06/24 19:40:15 ID:vViUFJT6 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─そらのいただき 頂上─

「ふわわー……ここがそらのいただき……本当のいただき……」

今までに暗くて寒くてゴツゴツした岩場はどこに行ったのだろう?

そこには、今までとは全く違う鮮やかな草木と可愛らしく美しい花々が、まるで頂上を埋めつくしてるみたいに広がっていた。

これは……シェイミさんの言っていたグラシデアの花?

すーっと息を吸い込んでみた。ボクの体内にふわーっと広がる新鮮な緑の香り。そして、暖かくて優しい……グラシデアの花の香り。

そういえばシェイミさんと同じ香りだ。

頂上から見るそらのいただきは……これまたすごい。
見下ろすと点々と中継所が見える。
ボクたちあれを全部登って来たんだよね。

いつものお仕事のあとに食べるむらさきグミはとーっても美味しいけど、ここで食べたらもっと美味しいのかも。

 ▼ 118 nfYyot98RE 18/06/24 19:41:10 ID:vViUFJT6 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ふーっ……いつ来てもいい眺めだよねー!」

「そうだね」

ふたりは依頼の達成感とお宝を見つけて満足、って感じにのびのびと景色を楽しんでいる。

たしかに緑がキレイでいい景色ー。
ボクもとっても満足。

で、思いついたんだ。
ボクは多分もっといい景色をふたりに見せてあげられるってね。

「あの……良ければ乗っていきませんかー?」

「え?」

いつもの空のゴンドラでのお仕事。
まさかここで役に立つとはねー。
よし、お仕事だし張り切っちゃうぞー!

 ▼ 119 nfYyot98RE 18/06/24 19:42:04 ID:vViUFJT6 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「うわわわ、 た、たかーい!」

「……風に飛ばされないでよ?」

ふたりを乗せてボクは頂上から浮上した。

「大丈夫ですー、しっかり握っててくださいねー」

ふたりを乗せて、頂上の周りの景色を見れるようにゆっくり……たまに風に流されつつ旋回するように飛ぶ。

いつもはただの運び屋さんだけど、今回は観光ゴンドラだねー。

「この頂上からの眺め……とっても素敵です、依頼して良かったですー」

「だから、お世話になったふたりには特等席で見てほしかったんですー」

ボクのわがままたくさん聞いてもらっちゃったからね。
ふたりにはもっと素敵なそらのいただきを見てもらいたかったんだ。
 ▼ 120 nfYyot98RE 18/06/24 19:43:46 ID:vViUFJT6 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「すごい……すごいよ! ポッチャマ、見てほら星があんなに近くに!」

リオルは子供みたいに目をキラキラさせて、たくさんの星に指差してる。

「本当だね……」

ポッチャマの目は静かに空に集中している。
でもそれはあのダンジョンで見た鋭いものとは違うみたい。

ふたりともあのたくましく勇敢な探検隊さんとは思わない顔をしている。
それは……何だかボクがふたりから引き出した顔って感じがしてとっても嬉しい。
 ▼ 121 nfYyot98RE 18/06/24 19:56:05 ID:vViUFJT6 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「本当に……いい眺めだ、ありがとうフワライド」

「僕からもありがとうー!」

ふわり、とゆっくり着地。
お客さんを酔わせちゃいけないからね。

「いいえー、おふたりに見てもらえて良かったですー」

フワライドの空中遊覧はこれにて終わり。
そして……長いようで短かったこの冒険も。
 ▼ 122 nfYyot98RE 18/06/24 19:58:36 ID:vViUFJT6 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──────
────
──


◇月〇日 はれ

次の日、ボクはさっそくプクリンのギルドにお礼に行ったんだ。
もちろん、報酬の2500ポケとグミ3種を持ってね。

ギルドに通してもらうと仕切り役してますよって感じの鳥ポケモンさんに案内された。

それにしても……ギルドって色んなポケモンさんがいるんだねー。

うわさの親方さまには会えなかったけど、色んな探検家さんがいたり、怪しげなお店まで中にあっておかげでボクの興味は尽きない尽きない。

みんなここで探検を学んで、探検隊さんになるんだなぁ。
 ▼ 123 nfYyot98RE 18/06/24 19:59:32 ID:vViUFJT6 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そらのおくりものを見つけてくれてありがとうございますー、これはお礼の品ですー」

ぺこりと頭を下げてあの鳥ポケモンさんに報酬を渡す。

「これはこれは、追加分まで! よろしければ今後とも我々のギルドをごひいきに」

「……全然僕らの取り分無いくせにー」

「だまらっしゃい! オマエたちをここまで育てたのは我々ギルドのみんなの苦労があってですねぇ……!」

あの時にリオルが何かそのポケモンさんと揉めてたけど……例のガッツリ搾り取られてるってヤツかなー?

ともかくこれで依頼はおしまい。

ふたりともお別れ。

……のはずだったんだけど。
 ▼ 124 nfYyot98RE 18/06/24 20:00:52 ID:vViUFJT6 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ、あのー」

「はいー! 何でございましょうー!?」

鳥ポケモンさんの応答を突き破る大きな声でボクは答えた。

「そのー……ボクを探検隊の仲間にしてください!」

わいわいにぎやかなギルド内が急に静まった。
中心にいるボクは何だか気分が悪くなりそうだよー……

「……どう、ポッチャマ?」

「そうだね」

リオルとポッチャマはお互いに向き合っている。
……さすがに無茶だったかなー。
ボク、あの時は上手くいったけどバトルはからっきしだもん。
 ▼ 125 nfYyot98RE 18/06/24 20:03:33 ID:vViUFJT6 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
からだは小さくても威厳たっぷりのポッチャマ。
あの鋭く青い瞳がつかつかと歩いてきて真っ直ぐにボクを見上げる。

うぅ……緊張するなぁ。

「歓迎するよ、フワライド」

……ポッチャマは優しい顔をしていた。
いつの間にかリオルも駆け寄ってきていて、ボクをポンと叩いた。

「え、それじゃあ……」

「今日から僕らは同じ探検隊ってことだよ! これからよろしくねフワライド!」

「そういうこと……よろしくね」

つまり……ふたりに認めてもらえた?
……やったあー!
またこのふたりと探検が出来るんだー!
 ▼ 126 nfYyot98RE 18/06/24 20:04:24 ID:vViUFJT6 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「探検隊……よ、よろしくお願いしますですー」

「あはは、もう敬語はやめてよ仲間なんだからさ」

「仲間……そっか」

「ボク、これからは探検隊になりますー リオル、ポッチャマ、よろしくねー」

ふたりとぎゅっと固い握手をした。
ギルドのみんなにもわいわいと歓迎の言葉をもらっちゃった。

……そうボク、探検隊さんになっちゃったんです。
 ▼ 127 nfYyot98RE 18/06/24 20:05:54 ID:vViUFJT6 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──────
────
──

「まあ! それで探検隊に?」

「そうなんですー、でもまだゴンドラのお仕事もしてますよー」

「ふたつもお仕事を持つなんて……フワライドさんすごいです! もう探検には行かれたのですか?」

「まだですー、用がある時にはギルドのチリーンさんが教えてくれるみたい」

「そうなのですね、でしたら今度は探検のお話を聞きたいです♪」

「はいーぜひぜひ」

 ▼ 128 nfYyot98RE 18/06/24 20:07:20 ID:vViUFJT6 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あのーシェイミさん」

「遅れてすみませんー、これがそのお礼……そらのおくりものです」

「まあ……わざわざありがとうございます、中身が楽しみです! 日記の方はどうです?」

「それが……あの日のことを書きすぎてもうすぐ無くなりそうですー」

「でしたらまた差し上げますよ」

「それは……ありがとうございますー」

「そうしたら、またそらのおくりものをいただけるのでしょうか」

「そうなりますねー、あ、じゃあ次はボクひとりで行ってみようかな」

「ふふ、それは素敵な考えですね♪」
 ▼ 129 nfYyot98RE 18/06/24 20:08:14 ID:vViUFJT6 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〇月△日 はれ

日記くん、しばらく本当は毎日少しずつ書くものなのにこんな感じでごめんねー。

あの日に体験したこと。
そこからボクの生き方がちょっぴりだけど変わり始めた気がするんだ。

だからそんな自分を見ていくためにも日記はこれからも続けていこうと思うんだ。

これからはお仕事日記から探検日記にもなるけど、これからもよろしくねー!日記くん!
 ▼ 130 トベター@ヨロギのみ 18/06/24 20:37:23 ID:7Hd.UHDo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 131 1◆VIVID..lsA 18/06/24 20:38:58 ID:YxQgO1VU NGネーム登録 NGID登録 報告
挿絵が素敵っ!物語もとっても面白かったです!
お疲れさまでした!
 ▼ 132 ァイヤー@しんぴのチケット 18/06/25 14:49:39 ID:dwcUyXZk NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
 ▼ 133 ソハチ@りゅうのキバ 18/06/26 22:53:06 ID:lpW2JvHs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すごく面白かった
作風大好き
乙!!
  ▲  |  全表示133   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼