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SS

【SS】転生

 ▼ 1 茶々。 15/04/03 21:23:38 ID:S0sVoUjI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
※お読みください※

・シリアス

・公式設定の改変

・誤字、脱字、足りない表現はそれぞれ妄想力でカバーしてね!


・前作【SS】白いスカーフ
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=70534
と、その続編
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=75769
も是非!


ではよろしくどうぞ!!
 ▼ 51 茶々。 15/04/08 21:24:41 ID:qHebOEL2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして、皆解散しそれぞれ休んだ。

カナメ(バトルしたことないよ?わたし。)

ポケモンにはなったが、果たして元人間の自分に、
あのようなバトルができるものなのだろうか?

不安になりながらも、ひとまず丸くなり目を閉じる。

カナメ(……お母さん。)

イーブイになってから触れたポケモンたちの世界。
ポケモンの目線で見るこの世界は、人間のそれとはまるで違う。
そこにはたくさんの刺激があり、正直悲しんでいる余裕などない。

だが、こうして目を閉じ闇に包まれると、
浮かんでくるのは母とイーブイのことだった。

カナメ『ぐすっ……、お母さん。』

サンダース『…………。』

疲れていたのだろう、カナメはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
 ▼ 52 ホエルオー@ひかりのこな 15/04/08 21:27:32 ID:6f.nJGXg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 53 ムンナ@まがったスプーン 15/04/08 21:33:59 ID:KkuHNvjA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うおぉ支援
 ▼ 54 茶々。 15/04/08 21:34:39 ID:qHebOEL2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
たくさんの支援感謝です。

ひとまず書き溜めの分が全てなくなってしまったので、
続きはしばらくお待ちください。
 ▼ 55 クスノキ 15/04/08 21:50:00 ID:9Bldq1ss NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

描写やポケモン達のキャラが丁寧に描かれていて惹きこまれます。
続きを楽しみにしています!
 ▼ 56 茶々。 15/04/11 23:37:21 ID:jfVwHaSQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>55
支援感謝です。
文章がくどくないか不安ではありますが、そう感じていただければ本望です。

――

カナメ『ぅん……。』

瞼越しにかすかな光を感じ、朝だということが分かった。
ゆっくりと目を開ける。
視界はぼやけ、まだ頭は睡眠から抜け出せずにいる。

起きなければと、体を起こし伸びをする。
強張った筋肉がかすかな痛みと共にほぐれていく。
心地よい痛みだ。

こういう感覚はポケモンにもあるんだなと、
カナメはまたひとつ新しい発見をした。

頭も冴え視界もはっきりとしてきたが、やはり周囲はぼやけている。

カナメ(霧だ。)

気がつけば周囲は深い霧に覆われている。
 ▼ 57 茶々。 15/04/11 23:39:11 ID:jfVwHaSQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
辺りを見回すと、燃え尽き炭になった薪とタケルのテントが見えた。
仲間達の姿はない。

カナメ(皆どこにいったのかな?)

ひとまず、タケルのテントを覗いてみる。
やはり誰もいない。

カナメ(どうしよう……。)

まさか急な「要請」があって、寝ている自分は置いていかれたのだろうか、
カナメは少し不安になってくる。

その時、かすかな声と共に、2つの影がこちらへ近づいてきた。
霧が深くて姿は良く見えないが、声の感じから
ミロカロスとタブンネだろうと推測できる。

ミロカロス『……ですから、あのひとはデリカシーがないと』

ミロカロス『わたくしは何度も申し上げているのです。』

タブンネ『ふふっ、彼を相手にしているあなた。とても楽しそうよ?』

ミロカロス『そんなことはありません!』

ミロカロス『そもそもあのひとは……あら?』

ふたりはカナメに気づいた。
 ▼ 58 茶々。 15/04/11 23:41:04 ID:jfVwHaSQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タブンネ『おはよう。カナメちゃん。』

ミロカロス『おはようございます。カナメ。』

カナメ『おはようごいざいます。』

カナメ『起きたら皆さんがいなくなってたので、びっくりしちゃいました。』

タブンネ『ごめんなさいね。あまりに気持ちよさそうに寝ていたものだから。』

ミロカロス『カナメ。よく眠れましたか?』

カナメ『はい。ぐっすりだったみたいです。』

決して遅い時間ではないが、皆より遅れて起きたことが少し恥ずかしい。
その恥ずかしさを紛らわすように霧の話をする。

カナメ『……真っ白ですね。』

ミロカロス『わたくしも驚きました。』

ミロカロス『ここまで濃い霧はなかなか見れませんわ。』

タブンネ『この辺りは、出やすい地形みたいね。』

ミロカロス『あちらに水がありますよ。まずは顔を洗ってらっしゃいな。』

ミロカロス『殿方もそちらにいるはずです。』

カナメ『はい。』
 ▼ 59 茶々。 15/04/11 23:42:59 ID:jfVwHaSQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメはふたりの足跡をたどる。
芝は朝露で濡れているので、ふたりの通ってきた跡はすぐに分かった。

不安が消えると、感覚に余裕が出来る。
サクサクと程よく反発する芝生と、朝のひんやりとした空気が心地よい。
大きく深呼吸すると、湿った冷たい空気が肺を満たす。

少し歩くと、また声が聞こえてきた。

???『いや、だからさ、お前もう少し愛想よくできねえか?』

???『そんなこと言っても……。』

???『人見知りが激しいのが玉に傷だな。まあ、ゆっくりと慣れればよい。』

順にファイアロー、サンダース、サンドパンの声だ。

歩みと共にキャンプ場によく設置されている洗い場が見えてきた。
そこには先の3匹と、タケルの姿もあった。
 ▼ 60 茶々。 15/04/11 23:44:59 ID:jfVwHaSQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ファイアロー『お!』

ファイアローが真っ先に気づく。

ファイアロー『おはよう。カナメちゃん!』

サンドパン『おはよう。』

サンダース『……。』

ファイアロー『ほら!』

サンダース『……お、おはよう。』

カナメ『おはようございます。』

タケル「おー、起きたか。」

タケル「おはよう。イーブイ。」

タケルはそう言うと、カナメの頭をクシャクシャと撫でる。

カナメ(気持ちいい。)
 ▼ 61 茶々。 15/04/11 23:45:54 ID:jfVwHaSQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「昨夜も言ったけど、今日は君のバトルを見てみようと思う。」

タケル「君が今どんな感じか知りたいからね。」

カナメ(バトル。)

そうだった、と思い出すと共にまた不安が沸いてくる。

サンドパン『大丈夫だ。お前さんが新人なのは皆知っている。』

サンドパンはカナメの心中を察したかのように、励ましの言葉を掛けてきた。

サンドパン『タケルもそれを分かっているし、いざとなれば我々がサポートする。』

サンドパンはメンバーの中でも特に落ち着いた雰囲気で、
そんな彼に気を掛けてもらえるのはとても心強い。

カナメ『はい。お願いします。』

タケル「さあ、朝御飯にしようか。」

タケル「タブンネたちが待っているよ。」
 ▼ 62 メガピジョット@アクアスーツ 15/04/12 00:01:58 ID:t0PWPVcc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 63 茶々。 15/04/12 22:15:43 ID:Bhqsv9xY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>62
支援感謝です。

――

朝食を終え、キャンプの後片付けを済ませると近くの林に移動する。

タケル「ここのポケモンたちはレベルが低いから、」

タケル「君にはちょうどいいかもしれないね。」

カナメはボールから出され、タケルの横を歩いている。

そこへ、

ガサガサッ!

草の掻き分ける音と共にヒョコリとコラッタが姿をあらわした。

タケル「お、早速いい感じだ。」

タケル「コラッタ。これを見てくれ。」

タケルは手にオボンの実を持っていた。

コラッタ『そ、それは!』

タケル「俺とバトルをしてくれないか?」

タケル「俺に勝てたらこいつをやろう。」
 ▼ 64 茶々。 15/04/12 22:17:27 ID:Bhqsv9xY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コラッタ『乗った!』

力の弱いポケモンたちは木の実を十分摂ることさえ難しい。
オボンの実をちらつかせれば、すぐに食いつくとサンドパンが言っていた。

タケル「さあ、イーブイ。」

タケル「君とのデビュー戦だ!」

カナメはコラッタと対峙する。

先ほどまでの不安はどこへいったのか、今は不思議と落ち着いている。
むしろ体が戦いを望んでいるようにも思えた。

コラッタ『いくぞ!』

―コラッタのたいあたり―

タケル「横に飛んで回避!」

咄嗟の支持にカナメはあわてて横に飛ぶ。

コラッタ『見えてるよ!』

コラッタはカナメをしっかりと捉えている。
方向を変えそのまま突っ込んできた。
 ▼ 65 茶々。 15/04/12 22:18:46 ID:Bhqsv9xY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドンッ!

カナメ『きゃ!』

カナメは体制を崩され地面を転がる。

タケル「大丈夫。落ち着いて。」

タケル「今度はもっと引き付けてから避けるんだ。」

カナメは立ち上がる。多少痛みは残るが、まだ戦える。

コラッタ『まだまだ!』

―コラッタのたいあたり―

タケル「動きを良く見て!」

カナメ『……。』

カナメはしっかりとコラッタの動きを見つめ、タケルの指示を待つ。

タケル「そこだ!」

タケルの合図と共に横へ大きく跳ぶ。

今度は上手く避けることができた。
 ▼ 66 茶々。 15/04/12 22:19:34 ID:Bhqsv9xY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「攻めるなら今だよ!」

タケル「イーブイ。たいあたり!」

カナメ『!』


「たいあたり」


もちろん元人間のカナメはやったことのない技だが、
どうすれば「たいあたり」が出せるのか、頭に浮かんでくる。

ググッ!

後ろ足に力を込め、コラッタに向けて一気に跳ぶ。

ドンッ!

たいあたりはコラッタの脇腹に命中する。

コラッタ『ぐっ!』

効いている。防御力の低い脇腹は急所のひとつらしい。
 ▼ 67 茶々。 15/04/12 22:20:48 ID:Bhqsv9xY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「このままたたみかけるよ!」

タケル「スピードスター!」

スピードスターももちろん初めてだ。
やはり体が覚えている。

カナメ『えい!』

小さな黄色い星は、まるで追尾するようにコラッタに全て命中する。

ビシビシビシッ!

コラッタ『まい…った……。』

コラッタはその場に倒れ目を回した。

タケル「よし!」

タケルはガッツポーズをしている。
 ▼ 68 茶々。 15/04/12 22:21:32 ID:Bhqsv9xY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『やった……、やったよ!』

ポケモンのカナメとしての初勝利。
とても嬉しかった。

タケル「コラッタ。ありがとう。」

タケル「ほら、オボンの実だよ。」

どうやら勝敗にかかわらず、オボンの実を渡すつもりだったらしい。
先の条件は、ポケモンを本気にさせるための口実なのだろう。

コラッタ『感謝です!』

コラッタはオボンの実をくわえ林の中へ消えていった。

タケル「まだまだぎこちないけど、いい感じだね。」

タケル「ここでもっと経験を積むよ。」

カナメ『はい!』

カナメは初めての勝利で少し自信がついたようだ。
 ▼ 69 フシデ@せいれいプレート 15/04/12 22:27:09 ID:DJ4cvNVQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 70 茶々。 15/04/13 16:55:23 ID:0nj5ms82 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>69
支援感謝です。

――

気が付けば太陽は高く昇り、お昼の時間になっていた。
それだけバトルに夢中になっていた。

タケルの指示は的確で、ほとんど負けなしだった。

そして、

タケル「イーブイ。でんこうせっか!」

バシッ!

オタチ『参りました……。』

新しく覚えた「でんこうせっか」で最後の1戦を勝利で収める。


お昼はキャンプ場に戻って食べた。勝って気分が良かったからなのか、
皆で食べるのが楽しかったからなのかは分からないが、
その日の昼御飯はとてもおいしかった。
 ▼ 71 茶々。 15/04/13 16:56:34 ID:0nj5ms82 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今は食後の休憩時間。
タケルは芝の上で横になり昼寝をしている。

カナメたちポケモンはタケルから少し離れ、皆で談笑していた。

ファイアロー『やるじゃん!カナメちゃん。』

カナメ『えへへっ、ありがとうございます。』

サンダース『!』

ファイアロー『お、笑った!』

ファイアロー『おい!サンダース!』

サンダース『な、何?』

ファイアロー『見たか今の?』

ファイアロー『可愛かったよな?』

サンダース『み、見ていない!』

ファイアロー(見ていたくせに。)
タブンネ(見ていたわね。)
サンドパン(見ていたな。)
ミロカロス(見ていましたわ。)

カナメ『?』
 ▼ 72 茶々。 15/04/13 16:57:48 ID:0nj5ms82 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンドパン『何にせよ、笑うようになったことは良いことだ。』

ミロカロス『カナメ。あなたの笑顔は素敵ですわ。自信を持ちなさい。』

ファイアロー『これでニンフィアになったら、俺萌え死ぬッス!』

ミロカロス『まだ言いますか……。カナメはシャワーズが似合います!』

タブンネ『あなたたちも飽きないわね……。』

カナメ『……。』

気が付けば自分の居場所ができていた。
それはすごく嬉しい。

だが、これは偽りのものに過ぎない。
なぜなら自分は純粋なポケモンではないのだから。

彼らに本当のことを打ち明けたいが、その後の皆の反応が怖かった。

タブンネ『!』

タブンネがカナメの異常に気付く。

タブンネ『カナメ……ちゃん?』

カナメ『え?』

カナメの頬を涙が伝う。
 ▼ 73 茶々。 15/04/13 16:58:53 ID:0nj5ms82 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
皆を騙すのは辛い。けれど話してしまうのも怖い。
心に重くのしかかるそれらの感情は、
まだ幼い少女の精神では支えきれず涙となって現れる。

カナメ『あれ?』

ミロカロス『どうしましたか!?』

ミロカロス『もしや、わたくし何か気に障ることでも?』

カナメ『違うんです!これは……。』

サンドパン『話してみなさい。カナメ。我々はお前さんの仲間だ。』

カナメ『……。』

サンダース『……お母さん。』

カナメ『!』

サンダース『昨夜聞いてしまったんだ。……ごめん。』

サンダース『それと関係あるのか?』

サンダースが初めて挨拶以外で話しかけてきた。
彼の顔はただ自分を気遣うような表情。
 ▼ 74 茶々。 15/04/13 17:00:12 ID:0nj5ms82 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仲間に気を遣わせてはいけない。
そして、自分の秘密を隠してはいけないと思い、
カナメはついに語る決意をする。

カナメ『ぐすっ……。わたしは、』








カナメ『人間だったんです。』







 ▼ 75 ギガイアス@くろいてっきゅう 15/04/13 20:05:09 ID:4vwGy.A. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!!!!!
 ▼ 76 テラキオン@ほのおのいし 15/04/14 17:21:12 ID:4vAJnY9I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!

いつ終わるとかいつ更新とか書いてくれるとグッド!
 ▼ 77 茶々。 15/04/14 21:29:55 ID:9ab07kKE [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援感謝です。

>>76
その日の終わりというのは、正直分からないので難しいです。

更新については書き溜めがあるうちは基本毎日やろうとは思います。
更新が滞るようなら明記しますのでご了承ください。

貴重なご意見感謝します。


では、続きをどうぞ
 ▼ 78 茶々。 15/04/14 21:31:13 ID:9ab07kKE [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

一同『!』


サンドパン『それは、どういうことだ?』

カナメは打ち明ける。

全てを――



――説明を終えると皆沈黙する。

最初に沈黙を破ったのはタブンネだった。

タブンネ『確かに、あの夜「心地よい何か」を感じたわ。』

タブンネ『まさかそれがゼルネアスのフェアリーオーラだったなんて。』

サンドパン『にわかに信じられぬ話だが……。』
 ▼ 79 茶々。 15/04/14 21:33:06 ID:9ab07kKE [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ファイアロー『俺はカナメちゃんを信じるッス。』

ミロカロス『カナメの目に嘘はありませんでした。』

ミロカロス『わたくしも、カナメを信じます。』

サンダース『オレも……信じる。』

サンドパン『うむ。ゼルネアスならばそういうことも可能なのだろうな。』

カナメ(皆さん、ありがとう。)

ひとまず信じてもらうことはできた。
だが、カナメの不安はこれで終わりではない。

ここでカナメは一番気がかりな質問をする。
皆の返答次第ではカナメは居場所を失うことになる。

カナメ『わたしは、中身は人間です。』

カナメ『それでも……。』

カナメ『それでも「仲間」と呼んでくれますか?』
 ▼ 80 茶々。 15/04/14 21:34:11 ID:9ab07kKE [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
言ってしまった。これでもう後戻りはできない。
返事を聞くのが怖い。息が苦しく足が震えている。

そんなカナメを見てサンドパンは静かに答える。

サンドパン『我らが出会い仲間になったのは「カナメ」だ。』

サンドパン『お前さんのイーブイではない。』

そして彼はやさしく微笑む。

サンドパン『むしろ、ポケモンになったからこそ、こうして我々と会話できる。』

サンドパン『我々としては、良き仲間を恵んでくれた、』

サンドパン『お前さんのイーブイに感謝したいところだ。』

皆がサンドパンの言葉にうなずく。
 ▼ 81 茶々。 15/04/14 21:35:06 ID:9ab07kKE [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミロカロス『そもそも、「仲間」に人間だとかポケモンだとかは関係ないですわ。』

タブンネ『そうよ。ご主人様だって人間だけれど、わたしたちの大事な仲間。』

サンダース『大事なのは……中身だ。』

ファイアロー『もちろん、その姿も俺は気に入ってるけどな!』


カナメ『うっ……っ……!』

涙で声が出ない。

カナメ『皆さん………ありが…とう。』

タブンネ『カナメちゃん。』

先ほどとは違う涙で頬を濡らすカナメを、タブンネはそっと抱き寄せる。

タブンネ『これからもよろしくね。』
 ▼ 82 茶々。 15/04/14 21:38:53 ID:9ab07kKE [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです。

今回でまた書き溜めが無くなりましたので、続きは暫くお待ちください。
この先の展開はとても悩んでおりますので、暫く掛かるかもしれません。

いつも読んでくださり、ありがとうございます。
 ▼ 83 ウパー@モモンのみ 15/04/14 21:41:41 ID:UVJXE/HU NGネーム登録 NGID登録 報告
いい話、、、
支援!!!!
 ▼ 84 茶々。 15/04/17 23:45:58 ID:kU2Hbszc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>83
支援感謝です。

――

タケル「ふぁ〜。」

タケルは目を覚ます。
心地よい日差しと柔らかな芝のベッドが気持ち良く、つい眠ってしまった。

視線を横に向けてみれば、自分のポケモンたちがこちらを見ている。

タケル「やあ、ごめんね。」

タケル「つい寝てしまったよ。」

タケルは体を起こし、ポケモン達に歩み寄る。

タケル「さて、これからどうし……。」

タケルは気が付いた。タブンネに抱かれたイーブイを。
気持ち良さそうに眠っている。

タケル「ふっ。」

彼は苦笑いをする。

タケル「どうやら俺だけじゃなかったようだね。」
 ▼ 85 茶々。 15/04/17 23:47:19 ID:kU2Hbszc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイの寝顔は安らかだ。
彼女を囲うポケモンたちの表情もまた柔らかい。

タケル(こりゃ、起こすのはかわいそうだな。)

タケル「よし、今日はもうお終い。」

タケル「皆ゆっくり休んでくれ。」

そう言いタケルはその場を離れた。
そして、携帯端末で協会へ連絡を入れる。

タケル「こちら、レンジャー南西支部。IDNo.0453。タケルです。」

タケル「本日24時まで臨時休暇を申請したいのですが……。」

休暇中は要請が来ないので安心して休める。
自分の抜けた穴は他のレンジャーが埋めてくれるだろう。

短い時間だが、たまにはポケモンたちにもゆっくりしてほしい。

タケル「さて、俺は買出しにでも行くかな。」

と、その時タケルは声を掛けられた。
 ▼ 86 茶々。 15/04/17 23:48:19 ID:kU2Hbszc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「あら?タケルじゃない。」

そう声を掛けてきた女性はタケルと同じレンジャーの赤い制服を着ている。

タケル「シズネさん!」

タケル「お久しぶりです。」

シズネは3つ年上の先輩で、タケルがレンジャー1年目の見習いのとき
コンビを組んでいた相手だった。

シズネ「元気にしてるみたいね。仕事は順調かしら?」

タケル「なんとかやっています。」

シズネ「そう。何かあったらいつでも相談に乗るわよ。」

タケル「ありがとうございます。」

タケル「ところで、どうしてここに?」
 ▼ 87 茶々。 15/04/17 23:49:02 ID:kU2Hbszc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「仕事よ。」

シズネ「先日起こった水難事故の現場視察でね。」

シズネ「再発防止案を提出しないといけないの。」

シズネはレンジャー西南支部の支部長補佐官だ。
仕事は多岐に渡る。

シズネ「先日の件はあなたが解決したのね。」

シズネ「あなたの意見も聞きたいから、後で時間いいかしら?」

タケル「はい。」

シズネ「……聞き込みした限り、なかなか印象がいいわ。」

シズネ「成長したようね。」

タケル「シズネさんに比べればまだまだです。」
 ▼ 88 論者に憧れる人 15/04/17 23:50:04 ID:IeI4ZZwA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
頑張ってください!!!!
 ▼ 89 茶々。 15/04/18 23:19:44 ID:5ALecIiM [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>88
支援感謝です。
続きをどうぞ!

――

タケル「あ、そうだ!」

タケル「新しい仲間ができたんですよ。」

と、寝ているカナメを紹介する。

シズネ「あら。イーブイね。」

シズネ「……サンダースのお嫁さん?」

サンダース『〜〜〜!』

ミロカロス(動揺しすぎですわ。)

タケル「違いますよ。訳あって俺が引き取ったんです。」

と、ここでシズネのモンスターボールから1体のポケモンが飛び出してきた。
 ▼ 90 茶々。 15/04/18 23:20:39 ID:5ALecIiM [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブースター『……かわいい。』

シズネ「あ、コラ!ブースター!」

ブースター『タブンネさん、こちらのお嬢様のお名前は?』

ブースターはカナメを抱いているタブンネに尋ねる。

タブンネ『カナメよ。』

ブースター『カナメ……さん。いい名前ですね。』

ブースター『マスター。ボクは彼女が気に入りました!』

ブースター『是非とも彼女を……。』

ビリッ!

ブースター『!』

その時ブースターの足もとに電撃が着弾する。

サンダース『やめろ!』

タケル「おい!サンダース!」
 ▼ 91 茶々。 15/04/18 23:22:19 ID:5ALecIiM [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブースター『なんだ、君か……。』

ブースター『ボクはこちらのカナメさんに用があるのだけれど?』

両者はにらみ合う。

ブースター『キミのトレーナーの言葉だと、キミとカナメさんとは特に何もないようだね。』

ブースター『どうして邪魔をするのかな?』

サンダース『彼女は…その……「仲間」だからだ!』

タブンネ(素直じゃないわね。)

ブースター『「仲間」……ねぇ。』

ブースター『彼女にアプローチする権利は誰にだってあるはずだよ?』

ブースター『ただの「仲間」であるキミにそれを拒否する権限はないんじゃないかな?』

サンドパン(まあ、正論だな。)

サンダース『うるさい!』

タケル「どうしたんだよ。お前達。」

タケルは困惑した。
サンダースとブースター。以前から面識はある。
仲が良いとは言えなかったが、特に喧嘩する間柄でもない。
それが今互いに牙を見せ合っている。
 ▼ 92 茶々。 15/04/18 23:23:55 ID:5ALecIiM [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「…………!」

シズネ「な・る・ほ・ど・ね!」

シズネは何かを悟ると急に顔を輝かせる。

タケル「シ、シズネさん?」

シズネ「ブースター。あなた本気なのね?」

ブースター『もちろんさ。我がマスター。』

シズネ「そう。あなたがその気なら私応援するわ!」

タケル「いったい……何のことでしょう?」

シズネ「タケル。私と勝負しましょう!」

タケル「え?」

ブースター『サンダース。キミが拒んだところでボクの想いは変わらないよ。』

ブースター『ボクを止めたいのなら……分かるね?』

サンダース『望むところだ!』

ファイアロー(なんだか面白くなってきたぜ!)
 ▼ 93 茶々。 15/04/18 23:25:30 ID:5ALecIiM [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「ポケモン勝負よ。私はブースター。あなたはサンダース。いいでしょ?」

タケル「そんな、いきなり言われても……。」

サンダース『タケル!オレはやるぞ!』

タケル「ん?どうした?」

タケル「まさかお前やる気なの?」

サンダースはバチバチと電気を鳴らしてタケルの問いに答える。

タケル「はあ〜。」

タケルは深いため息をつく。
ストレスでも溜まっているのだろうか?
何にせよ、ポケモンたちの希望を優先することを考える。

タケル「本人が乗り気みたいですし。やるしかないみたいですね……。」

タケル「でも、どうしてこんな?」

シズネ「まあまあ、気にしない気にしない!」

シズネは笑顔で答えるが、彼女がこの笑顔を見せるときには裏に何かある。
まあ、くだらないイタズラがほとんどなので、今回もそのようなものだろう。
 ▼ 94 茶々。 15/04/18 23:33:29 ID:5ALecIiM [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「ねえ、タケル。私が勝ったらお願いをひとつ聞いてくれる?」

タケル「聞くだけですよ。どうするかはその後判断します。」

タケルは予防線を張る。過去から学んだ教訓だ。

シズネ「ありゃ。警戒されてるわね。」

シズネ「まあ、今はそれでいいかな。」

タケル「では、1VS1で持ち物及び道具の使用は不可でいいですか?」

シズネ「OKだよ〜。」

シズネ「君とサンダースの力見せてみて!」

シズネは支部の中でも指折りの実力者だ。
当然ポケモンたちもよく育てられている。

タケル「いくよ!サンダース!」

タケルも自然と気合が入る。

ブースター(カナメさん。彼を倒してボクはあなたを手に入れてみせる!)

サンダース(あいつに渡しちゃダメだ!カナメは……オレが守る!!)
 ▼ 95 サンドパン@とくせいカプセル 15/04/19 09:04:22 ID:VzEe1r.2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 96 論者に憧れる人 15/04/19 09:09:42 ID:rB97COc6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
頑張ってください!!!!
 ▼ 97 ジャローダ@せいしんのハネ 15/04/19 09:17:49 ID:2LP/WFPk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース可愛いwww支援
 ▼ 98 茶々。 15/04/19 20:06:25 ID:aoVWutUk [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援感謝です。

――

タケル「サンダース、10まんボルト!」

10まんボルトはサンダースの最も得意とする技。
タケルはひとまず様子見としてこの技を指示する。

相手は避けるか、それとも技で相殺するか……。
しかし、シズネは意外な指示を出してきた。

シズネ「ブースター。あなたなら耐えられるわ!」

シズネ「でんこうせっかで突っ込んで!」

サンダースの10まんボルトはブースターに直撃するが、彼は怯まず突っ込んできた。

ドゴッ!

サンダース『ぐっ!』

完全に不意を突かれたサンダースは、攻撃をまともに受けてしまう。
 ▼ 99 茶々。 15/04/19 20:07:17 ID:aoVWutUk [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「!」

タケル「効いていないのか!?」

シズネ「やわな鍛え方してないのよ!」

シズネ「追撃のアイアンテール!」

バシッ!

体勢が崩れたところへの攻撃で、防御もできず吹き飛ばされる。

タケル「サンダース!」

サンダースはすぐに立ち上がる。

サンダース『まだ……やれる!』

タケル「よし!」

サンダース『なぜ、避けない?』

サンダースはブースターへ質問する。
トレーナーの指示とはいえ、他の手もあるはずだ。

ブースター『キミ相手に無傷で勝とうなんて思っていないよ。』

ブースター『それに、痛みから逃げていては何も手に入らないからね。』

サンダース『……。』
 ▼ 100 茶々。 15/04/19 20:08:25 ID:aoVWutUk [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「なかなかタフじゃない。でも、そう何度も耐えられないわ!」

シズネ「ブースター!でんこうせっか!」

ブースターは加速しサンダースに迫る。
タケルの指示はまだ無い。こういう時は不意打ちを狙っている時だ。
サンダースは身構える。

タケル「今だ!」

タケル「フラッシュ!」

ブースター『うっ!』

ブースターは強い閃光に一瞬怯む。

タケル(これはチャンスだ。)

タケル(攻撃する手もあるが、あのブースターの耐久力は侮れない……。)

タケル(ならば、まずは動きを封じる!)
 ▼ 101 茶々。 15/04/19 20:09:44 ID:aoVWutUk [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「でんじは!」

ビリッ!

ブースター『くぅっ!』

ブースターは苦悶の表情を浮かべる。

タケル(よし!痺れている間にたたみかけるぞ!)

その時、

ゴオッ!

ブースターから熱気がほとばしる。

ブースター『この……くらいで……負けるかあぁぁ!』

恐ろしいほどの気迫がビリビリと伝わってくる。

サンダース『!』
タケル「!」

ブースター『まだ……終わらないよ!』
 ▼ 102 茶々。 15/04/19 20:10:45 ID:aoVWutUk [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「ほのおのうず!」

ブースターの気迫に押されていたタケルとサンダースは一瞬反応が遅れる。

タケル「しまっ……!」

サンダースは、ほのおのうずに飲まれる。

ゴオオオオッ!

サンダース『っ! 熱い!』

タケル「サンダース。10まんボルトで吹き飛ばせ!」

バチバチバチッ!

しかし、攻撃はほのおのうずに弾かれる。

タケル「くっ!何か手を……!」

サンダース(負けるわけには……いかない!)

10まんボルトでは、炎の壁を越えられない。
壁の向こうのブースターに攻撃するにはもっと高威力の技が要る。

サンダース(あれしかない!)
 ▼ 103 茶々。 15/04/19 20:12:17 ID:aoVWutUk [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダースは念じる。
まだ一度も成功したことのない技を。

サンダース(……落ちろ………落ちろ……!)

突如頭上に暗雲が立ち込める。

サンダース(落ちろ…落ちろ……落ちろ!)

ゴロゴロゴロ……。


サンダース「落ちろおぉぉ!!」


バリバリバリッ!

大気の裂ける轟音と共に、激しい閃光がブースターを貫いた。

ドンッ!

ブースター『がはっ!』

シズネ「ブースター!」

タケル「サンダース。おまえ『かみなり』を使えるように!?」

サンダース『ハァ…ハァ……。』

サンダースは頭の中が真っ白だった。目の前にはただ炎が揺らいでいる。
精神を使い果たし状況がよく把握できないが、ブースターへの手ごたえは確かにあった。
 ▼ 104 茶々。 15/04/19 20:14:56 ID:aoVWutUk [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース(倒れてくれ……。)

だが、タケルには見えていた。
ブースターは一瞬よろけたが倒れず持ち堪えた。

ブースター『まだ……だ!』

シズネ「あなたの気迫、さすがだわ!」

シズネ「これで決めるわよ!」

シズネ「でんこうせっか!」

ブースターはサンダースのいる『ほのおのうず』へ飛び込む。

タケル「サンダース!来るぞ!」

サンダース『えっ……?』

ブワッ!

突如炎の壁が割れ、ブースターが姿を現す。
彼は炎を纏っていた。

サンダース『くっ!』


シズネ   「フレアドライブ!」
ブースター 『フレアドライブ!』

 ▼ 105 茶々。 15/04/19 20:15:33 ID:aoVWutUk [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース『!!!』

その痛みは声にならず、ただ吹き飛ばされた。

ズザザザザッ!

サンダースは地面を滑るように転がり止まる。

サンダース(まだ……戦える。)

だが、思いに反して身体はもう動かなかった。

ブースター『ハァ…ハァ……ボクの……勝ちだね。』

サンダース(カナ…メ……。)

シズネ「私たちの勝ちね!」

タケル「……参りました。」
 ▼ 106 茶々。 15/04/20 23:04:12 ID:3FHZAFCI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――決着が付く少し前

バリバリバリッ!

突然鳴り響く轟音に驚きカナメは目を覚ます。

目に入ったのは見知らぬブースターが渦巻く炎へ飛び込み、
代わりにはじき出されたサンダースが地面を転がっていく様だった。

カナメ『え!?』

シズネ「私たちの勝ちね!」

倒れて立ち上がれないサンダースを確認し、見知らぬ女性が勝利宣言をする。

そして、

タケル「……参りました。」

敗北を宣言するタケルを見て、これはポケモンバトルなんだと気付いた。
 ▼ 107 茶々。 15/04/20 23:06:06 ID:3FHZAFCI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バトルをした2匹の回復はその後すぐに行われた。
タケルはタブンネ、そして女性はサーナイトにそれぞれ
『いやしのはどう』を使わせている。

サンダース『……負けた。』

その時カナメはサンダースと目が合ったが、彼はすぐに目を伏せる。
その表情は辛そうで、見ていて痛々しかった。

そこへ、しっかりとした足取りでブースターが近づいてきた。
そしてサンダースへ声を掛ける。

ブースター『ボクの勝ちだね。』

サンダース『……。』

何も答えないサンダースに代わり、タブンネが返事をする。

タブンネ『いい勝負だったわ。』

ブースター『ありがとうございます。タブンネさん。』

ブースター『正直ボクも危なかった。』

ファイアロー『今度は俺とバトルしようぜ!』

ブースター『ええ。機会がありましたら是非お願いします。』
 ▼ 108 茶々。 15/04/20 23:07:13 ID:3FHZAFCI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここでカナメはブースターと目が合う。

ブースター『起こしてしまいましたか。』

ブースター『申し訳ありません。』

カナメ『……こんにちは。』

ブースター『こんにちは。カナメさん。』

ブースター『ボクはブースター。そしてあちらがボクのマスターのシズネです。』

ブースター『以前よりタケルさんと皆さんには良くしていただいてます。』

ブースター『以後、お見知りおきを。』

そう言うとブースターは丁寧にお辞儀をする。

カナメ『よろしくお願いします。ブースターさん。』

そう言うと彼はニコリと微笑む。
優しそうな彼の笑顔にカナメは一瞬ドキリとする。

シズネ「さあ、勝ったわよ。約束どおりお願いを聞いてもらうからね。」

タケル「聞くだけですよ。返事はその後で。」
 ▼ 109 茶々。 15/04/20 23:08:36 ID:3FHZAFCI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


シズネ「あなたのイーブイ。私に譲ってくれないかしら?」


タケル「え!?」
カナメ『ええ!?』

突然のことでタケルとカナメは混乱する。
他の仲間達はあまり動じていない。「やはり」という表情だ。

シズネ「どうやら私のブースターが彼女を気に入っちゃったみたいでね。」

シズネ「どうかしら?」

タケル「そんな……急に言われても。」

カナメ『え、ええ!?』

カナメはシズネとブースターを交互に見比べる。

「気に入った」とシズネは言った。

ブースターが自分を!?
それってつまり……。
 ▼ 110 茶々。 15/04/20 23:09:45 ID:3FHZAFCI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブースター『やれやれ……。』

ブースターは困った顔をする。

ブースター『我がマスターは率直に物を言いすぎです……。』

ブースター『カナメさん。彼女の言うとおり、ボクはあなたを気に入りました。』

ブースター『いや、ここはマスターに習いボクも単刀直入に申し上げましょう。』

彼はカナメを真っ直ぐ見る。深く青い瞳が美しかった。

ブースター『ボクはあなたに惚れてしまいました。』

サンダース『……。』

ブースター『どうか、このボクの想いを受け止めてはくれないでしょうか。』

カナメ『!?』

カナメ『あ……え?……あの……。』

カナメはただ口をあんぐりと開け、何も答えることができない。
ただただ顔が熱い。
 ▼ 111 茶々。 15/04/20 23:12:14 ID:3FHZAFCI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブースターはそんなカナメを確認すると、

ブースター『……初対面でいささか無礼でしたね。』

ブースター『また日を改めます。』

ブースター『カナメさん。ボクは本気です。是非お考えください。』

ブースター『それでは皆さん、またお会いしましょう。』

そう言うとブースターはシズネの元へ向かう。

ブースター『行きましょう。マスター。』

シズネ「え?いいの?」

ブースター『急く必要はありません。それに、強引なのはボクの趣味じゃない。』

シズネ「……何言ってるかよく分からないけど、今回はいいのね?」

ブースター『はい。お手間を取らせてしまい申し訳ありません。』
 ▼ 112 茶々。 15/04/20 23:13:50 ID:3FHZAFCI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シズネ「んー。なんだか今日はよかったみたい。」

シズネ「この子はこの子なりのこだわりがあるみたいね。」

タケル「は、はあ。」

シズネ「と、いうわけだからお願いの返事はまた今度ね。」

シズネ「前向きな検討よろしく!」

シズネ「それじゃあ、私は他にもやることあるからここら辺で失礼するわ。」

シズネ「あ、再発防止案の件、後で私にメールしておいて。これは補佐官命令よ!」

と、タケルにビシッと指を差しニコリと笑ってみせる。

タケル「りょ、了解です。」

その言葉を確認すると、彼女はボールからフライゴンを出し飛び去った。
タケルは小さくなっていく彼女を見送りながら、

タケル「相変わらずだな……。」

と、ボソリと呟いた。
 ▼ 113 茶々。 15/04/21 22:30:33 ID:zXtiKHYo [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???『……メ………。』

???『……カ……メ。』

ミロカロス『カナメ。』

カナメ『!』

突然声が聞こえてびっくりする。

カナメ『え?あ、はい。』

ミロカロス『ボーっとしていましてよ?』

ミロカロス『大丈夫ですか?』

カナメ『はい……すみません。』

タブンネ『いきなりの告白で、びっくりしちゃうわよね。』

カナメ『……はい。』

日は沈み、辺りは暗い。今は夕食後の自由時間。
カナメはタブンネとミロカロスと星を見に来ていた。

あれからブースターのことで頭がいっぱいで、食事も満足に喉を通らなかった。
気を遣ってくれたふたりが星を見に行こうと誘ってくれたが、
やはり気が紛れることはない。
 ▼ 114 茶々。 15/04/21 22:41:23 ID:zXtiKHYo [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『はぁ……。』

初めての告白。
人間の時にもなかったそれは、カナメを思考の渦へと誘う。

タブンネ『どうすればいいのか分からない?』

カナメ『はい。』

告白は正直嬉しい。
ブースターも悪いポケモンではないようだ。むしろ魅力的に感じる。
だがどうしていいのか分からない。

人間、あるいはポケモン。
どちらも普通の少女であったのなら、ただの恋の悩みで済んだだろう。
だが、カナメが悩んでいるのはそれとは随分違う。
 ▼ 115 茶々。 15/04/21 22:42:57 ID:zXtiKHYo [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――カナメは未だに人間への未練があった。

もしかしたら人間に戻ることができるかもしれない。
戻れたら、また母と一緒に暮らせるかもしれない。

もう叶うことのない望みだが、カナメはそれを捨てることができずにいた。
ここでブースターの想いを受ければ、それらの希望が全て消えてしまうような気がして、
その先へ進むことができない。

イーブイになった時、人間の記憶が全て消え去っていればどんなに楽だったのだろう。
そうすれば、ただの恋の悩みで済んだのに……。

ミロカロス『ただの恋の悩みなら、わたくしたちも力になれたのですが……。』

ミロカロス『こればかりはあなた自身で解決するしかありません。』

ミロカロス『あせらず、ゆっくりと考えるのですよ。』

タブンネ『そうよ。こういうのはいずれ時間が解決してくれると思うわ。』

ふたりの言うとおり今はまだ答えは出せない。
自分の心の整理がつくまで、じっくりと考えることにする。
 ▼ 116 茶々。 15/04/21 22:44:31 ID:zXtiKHYo [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『ブースターさんには悪いですけど、そうすることにします。』

ミロカロス『それがいいですわ。男なんていくらでも待たせればいいんです!』

カナメ『ふふっ。』

ミロカロスの言葉につい笑ってしまう。
相談する相手がいるとこんなにも心強い。

カナメが笑うのを確認すると、ふたりも安心したように微笑む。

タブンネ『あ、流れ星よ。』

ミロカロス『……見逃しましたわ。』

ミロカロス『カナメ、星が綺麗ですわ。あなたもご覧なさい。』

ふたりにならい空を見上げる。
そこには満天の星が輝いていた。
 ▼ 117 ユキメノコ@パワーバンド 15/04/22 21:21:46 ID:2iGeLv6s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 118 茶々。 15/04/22 22:54:53 ID:mOtAbORA [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>117
支援感謝です。

――

――闇の中に炎が揺らいでいる。
その明かりに照らされ、テントがひとつと3匹のポケモンが見えた。
彼らは炎を囲み、静かに話をしている。

ファイアロー『おい、元気出せよ。』

ファイアロー『まだ、カナメの返事は分からないぜ?』

サンドパン『そうだ。こちらにはパーティという利点がある。』

サンドパン『まだ彼女を振り向かせるチャンスは残っているぞ。』

夕食の後、女性たちが席を外したので、
ファイアローとサンドパンはサンダースを慰めていた。
 ▼ 119 茶々。 15/04/22 22:56:36 ID:mOtAbORA [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース『……何のことだよ。』

ファイアロー『お前……、この期に及んでまだ白を切るつもりか?』

サンダース『……。』

サンドパン『お前さんがカナメを気にしていたのは皆知っている。』

サンドパン『気づいていないのは、タケルとカナメ本人だけだ。』

サンダース『……はぁ。』

隠していたつもりだが、やはりいつも傍にいる仲間達は騙せない。
サンダースは観念し胸中を語る。

サンダース『ブースターはオレなんかよりずっと優れているよ。』

サンダース『だからオレは、あいつをカナメに近づけたくなかったんだ。』
 ▼ 120 茶々。 15/04/22 23:05:31 ID:mOtAbORA [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ファイアロー『確かになあ。』

ファイアロー『お前は愛想が悪いし、言葉も荒いし、そう見えて実はビビリだしな。』

ファイアロー『一方のブースターは、性格は良いし、バトルは強いし、おまけにイケメンだ。』

ファイアロー『こりゃ、勝負になんねぇよなあ……。』

サンダース『そこまで言うかよ……。』

サンドパン『だが、我々は知っているぞ。お前さんの良いところを。』

サンドパン『何より仲間のことを大切にし、相手を気遣うことができるやさしさ。』

サンドパン『何事にもひたむきに取り組むことのできるその純粋さ。』

ファイアロー『そうだな。それは俺も認める。』

サンドパン『まずは、あの子と話をしてみたらどうだ?』

サンドパン『俺の見た限り、お前さんはまだスタートラインにすら立っていないように思うが。』
 ▼ 121 茶々。 15/04/22 23:07:42 ID:mOtAbORA [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「痛みから逃げていては何も手に入らない。」


バトルの最中ブースターの発した言葉が頭に浮かぶ。

嫌われることが怖くて、初対面の相手にはいつも臆病になる。
自分の心が傷つくのが辛くて……痛みを恐れて相手との間に壁を作ってしまう。
それはカナメに対しても同じことで、なかなか話し掛けられずにいた。

サンダース(あいつの言ったとおりだ。)

サンダース(痛みを恐れたから、俺は今もカナメと近づけずにいる。)

サンダース『オレ、まだ諦めたくない。』

サンダース『カナメと話をしてみるよ。』

そう言うとサンダースは駆けていった。

ファイアロー『がんばれよ。サンダース!』
 ▼ 122 茶々。 15/04/22 23:14:22 ID:mOtAbORA [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


サンドパン『……それで、お前さんの方はどうなんだ?』

ファイアロー『はははっ。この前は「お黙りなさい!」って言われて、』

ファイアロー『ドラゴンテール食らっちゃったッスよ。』

サンドパン『楽しそうだな。』

ファイアロー『楽しいッスね。』

ファイアロー『……俺と彼女はきっと結ばれることは無いッスけど、それでいいんス。』

サンドパン『いいのか?』

ファイアロー『ええ。彼女の笑顔が俺の一番の幸せなんスから。』

サンドパン『そうか。ならば俺は何も言うまい。』

ファイアロー『いつも気にかけてもらってありがたいッス。』
 ▼ 123 茶々。 15/04/22 23:15:05 ID:mOtAbORA [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンドパン『これも年長者の務めというやつだな。』

ファイアロー『お礼と言ってはなんスけど、』

ファイアロー『たまには俺がサンドパンさんの悩み聞くッスよ?』

ファイアロー『奥さんや娘さんのグチとかないんスか?』

サンドパン『おう、聞いてくれるか。』

サンドパン『実はな……。』

サンドパンは、ファイアローの厚意をありがたく頂戴する。
たまにはこういう話も悪くはない。

静かに語らう彼らの夜はゆっくりと更けていった。
 ▼ 124 茶々。 15/04/22 23:28:48 ID:mOtAbORA [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでくださる方。支援くださる方。
いつもありがとうございます。

また数日間更新が止まりそうです。

徐々に自分の手に余ってきた感があり、
やりたい話をどう繋げていくかを模索中です。

話がまとまりましたら、またちょこちょこ載せていこうと思います。
 ▼ 125 イワパレス@しらたま 15/04/23 06:16:40 ID:p4C.KnKs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 126 タッツー@おおきなねっこ 15/04/23 07:10:17 ID:KMREf5kE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 127 ペロッパフ@にじいろのはね 15/04/26 07:21:56 ID:fmaku04c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブースターといいフライゴンといい、不遇使い設定なんだ(笑)

でもファイアロー、サンダース、ミロカロス、タブンネ、サンドパンとかいう結構ガチポケの多いパーティに勝つなんて凄いな









フライゴンとブースター育ててくる
支援
 ▼ 128 茶々。 15/04/26 21:17:18 ID:hupy3Ds2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援感謝です。
励みになります。

>>127
キャラが増えすぎるのと扱いきれないので、フライゴンには今回脇役に徹してもらいます。

ブースターはどうでしょうねぇ。
カナメの返事はNOではなく保留状態なので、彼にも可能性は十分にありえます。
その辺の話をどうしようか、これがまた悩みどころなんですよね。


この世界でのポケモンレンジャーのパーティ構成というのも設定がありまして、
彼らは災害救助を念頭にポケモンと、その技を組んでいます。
よって、単純なポケモンバトルならばエリートトレーナーの方が強かったりします。

もちろん、ガチパーティ用のポケモンたちをボックスに控えさせている
レンジャーも存在しますし、今回のシズネのブースターは戦闘特化
だったのかもしれません。


と、ちょっとした設定の開示でした。
長々と申し訳ないです。

次の話はまだ時間が掛かりそうです。
もう暫くお待ちください。
 ▼ 129 茶々。 15/04/29 04:04:19 ID:2VPe0VRM [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タブンネ『……ところで、カナメちゃん。』

カナメ『はい?』

タブンネ『このパーティの男性陣のことどう思ってる?』

タブンネはミロカロスに目配せをしつつ、こう尋ねた。

カナメ『へ?』

カナメはキョトンとする。
ミロカロスは心得たとタブンネへ目線で応じ、話を引き継ぐ。

ミロカロス『あなたから見た殿方の印象ですわ。』

ミロカロス『わたくしたちは、あなたが彼らをどう思っているのかを知りたいのです。』

カナメはタブンネたちの質問の意味をそのまま捉える。
そこに真の意図が隠されているなどとは思ってもみない。
 ▼ 130 茶々。 15/04/29 04:07:07 ID:2VPe0VRM [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『そうですねえ……。』

カナメ『ファイアローさんは明るくて元気をもらえます。』

カナメ『……たくさんかわいいと言ってくれるのは嬉しいですけど』

カナメ『ちょっと照れちゃいます。』

ミロカロス『セクハラですわね!』

ミロカロス『あのひとはそういうデリカシーを持ち合わせてはいませんの!』

ミロカロス『安心なさい。カナメ。今度わたくしが懲らしめて……。』

タブンネ『ミロカロスちゃん。』

少々暴走気味の彼女をタブンネが抑える。
まったく……と思いながらも、熱くなれる相手がいるのが少し羨ましかった。

ミロカロス『…………オホンッ!話が逸れましたね。』

ミロカロス『サンドパンさんはどうなのですか?』
 ▼ 131 茶々。 15/04/29 04:12:03 ID:2VPe0VRM [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『サンドパンさんは、とても落ち着いていて頼りになります。』

タブンネ『ちなみに妻子もちよ。』

カナメ『あ、納得です。どこかお父さんみたいな雰囲気がありますよね。』

ミロカロス『実は今あなたがいる席は彼の奥様、オオタチさんの場所でした。』

カナメ『そうなんですか。』

タブンネ『彼と結ばれて、子どもができたときレンジャーを引退したの。』

サンダース『……。』

彼女達から少し離れた草の茂みの中、サンダースは隠れていた。

サンダース(で、出て行けねえ……。)

サンダース(何コレ?女子トーク?)

サンダース(今出て行ったらまずいよな?)

勇気を持って来てみたものの、彼女達の会話に割り込むことができず、
結果、様子を伺っているうちに隠れる形になってしまった。
 ▼ 132 茶々。 15/04/29 20:22:02 ID:2VPe0VRM [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし彼は気づいていない。
刺々しい己の体毛が草の丈を越えてしまっていることを。

サンダース『……。』

幸いカナメの位置からは死角となり気づかれていないが、
他のふたりからは明るい黄色の体毛がとてもよく目立って見えた。

ミロカロス『……。』
タブンネ 『……。』

ミロカロス(あれはいったい何をやってますの?)

タブンネ(まさか、隠れているつもりかしら……。)

彼女たちは再び視線で会話する。

ミロカロス(タブンネさん。これは良い機会ですわ。)

タブンネ(そうね。せっかくだから彼にもこのまま聞いてもらいましょうか。)
 ▼ 133 茶々。 15/04/29 20:25:19 ID:2VPe0VRM [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミロカロス『いいですわねえ。』

ミロカロス『旅の「仲間」と徐々に絆を深め、お互いを意識しついに結ばれる……。』

ミロカロス『素敵ですわ!……そうは思いませんか?カナメ。』

カナメ『はい。とっても素敵だと思います。』

サンダース『!』

茂みから顔を覗かせている黄色い体毛がピクリと揺れる。
まだ若く純粋な彼は感情の抑制が下手だった。こうやってすぐに表に出る。

タブンネ(かわいいわね。)

タブンネ(それじゃあ、本題に入ろうかしら。)

タブンネ『……ちなみに、サンダースのことはどう思ってるの?』

サンダース『!!!』

ガサッ!

茂みが大きく揺れる。

カナメ『何!?』
 ▼ 134 茶々。 15/04/29 20:28:16 ID:2VPe0VRM [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメは驚き振り向くが、そこにサンダースの姿はない。
そしてミロカロスがため息混じりに答える。

ミロカロス『はぁ……何でもありませんわ。』

カナメ『???』

タブンネ(逃げたわね。)

サンダースは走る。
自慢の俊足だが、こういうときに役に立っても嬉しくはない。

サンダース(無理無理、絶対に無理ッ!)

逃げないつもりでいた。
その決心のもとカナメと話をしに来たのに、
いざ着いてみると自分の印象について尋ねられている。

それを聞く覚悟は……今はない。
 ▼ 135 グランブル@ねばりのかぎづめ 15/04/29 20:31:22 ID:aMt6AMqs [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(笑)
 ▼ 136 茶々。 15/04/29 20:35:52 ID:2VPe0VRM [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース(情けないな。オレ……。)

サンダースは後悔する。
せっかくサンドパンたちに勇気を貰ったのに無駄にしてしまった。
彼らの元へ戻るわけにもいかず、昼間の海岸へ足を向ける。

サンダース(少し、気分を晴らそう。)

少し歩き海岸に着いた。
海は穏やかで、海面が星の光を反射してキラキラと光る。

サンダース(今のはタイミングが悪かったんだ。)

サンダース(明日もチャンスはきっとある……。)

サンダース『……はあ。』

彼の小さなため息は打ち寄せる波の音にかき消された。
 ▼ 137 エンブオー@ピジョットナイト 15/04/29 20:37:23 ID:aMt6AMqs [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 138 ガルーラ@パワーリスト 15/04/29 20:38:20 ID:aMt6AMqs [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつおわるとか、つぎはいつ更新かかいてくれ
支援
 ▼ 139 茶々。 15/04/29 20:49:17 ID:2VPe0VRM [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>138
支援感謝です。

今日はここまでの予定です。

その日の終わりの記載は、以前もご意見いただきましたので、今回から書いていきますね。
ただ、筆の進み具合によっては例外もありそうなので、その時はご了承ください。

次は恐らく明日の夜になりそうです。

ご意見ありがとうございます。
 ▼ 140 茶々。 15/04/30 22:34:26 ID:4iWtFZW6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――それからしばらくして、

ミロカロス『どこに行っていましたの?』

サンダース『……ちょっと散歩だよ。』

どうやらカナメは寝てしまったようで、タケルのテントの横で丸くなっている。

テントの中は煌々と明かりが灯り、タケルが起きているのが窺える。
いつもならすぐ寝てしまうタケルだが、シズネの言っていたメールでもしているのだろう。
他の仲間達は少し離れたところで火を囲っていた。

ファイアロー『結局ダメだったみたいだな。』

サンダース『え!?』

ファイアロー『ふたりに聞いたぜ?』

そう言うとファイアローは女性たちを見る。

サンダース『気づいていたのか!?』

ミロカロス『あれで隠れていたつもりなのですね……。』

ミロカロス『まったく、呆れてしまいますわ。』

サンダース『……。』
 ▼ 141 茶々。 15/04/30 22:35:37 ID:4iWtFZW6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タブンネ『サンドパンたちに話を聞いたわ。』

タブンネ『ごめんなさいね。私たちがあなたの邪魔をしちゃったみたい。』

サンダース『いいんだ……、結局はオレが弱いのが悪いんだ。』

ミロカロス『そうですわ。男ならもっとしっかりなさい!』

サンダース『……ごめん。』

ミロカロス『ま、まあ、あなたの性格を知った上で、あの話を振ったわたくしたちにも非はありますの。』

ミロカロス『でも、すぐに逃げるあなたも悪いんですのよ?』

ミロカロス『せっかく良い言葉を聞けたのに……。』

サンダース『え!?』

タブンネ『カナメちゃんのあなたへの印象よ。聞きたい?』
 ▼ 142 茶々。 15/04/30 22:37:02 ID:4iWtFZW6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――サンダースが去った後

カナメ『……サンダースさんとはあまりしゃべらないので、よく分からないです。』

タブンネ(やっぱりそうよね。)

ミロカロス(損してますわよ。サンダース。)

カナメ『でも、わたしを心配してくれたのは嬉しかったです。』

カナメ『きっと優しい方なんだと思います。』

ミロカロス『彼はただの人見知りですわ。』

カナメ『そうなんですか。』

タブンネ『慣れない相手と接するのが少し苦手なだけなの。』

タブンネ『根はとてもいい子よ。あなたからも話しかけてあげて。』

カナメ『はい。』
 ▼ 143 茶々。 15/04/30 22:39:31 ID:4iWtFZW6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――

ファイアロー『悪くないじゃん!しっかりとふたりにもフォローされてるし。』

サンドパン『感謝せねばな。』

ミロカロス『仲間のよしみですわ。』

ミロカロス『でも、これ以上はあなた自身の力で何とかするのですよ。』

ミロカロス『あなただけを優遇するのは、ブースターさんに申し訳ないですもの。』

ファイアロー『ブースターは強敵だぜぇ?』

ファイアロー『しっかりやれよ!』

タブンネ『あなたは充分魅力的よ。もっと自信を持ちなさい。』

タブンネ『がんばってね。』

サンドパン『焦る必要はない。』

サンドパン『だが、時は有限だ。悔いのないようにな。』

サンダース『みんな……。ありがとう。』

サンダース『オレ、もう一度頑張ってみるよ。』

――
今日はここまでです。
 ▼ 144 エーフィ@ピッピにんぎょう 15/05/02 21:57:38 ID:dhL4wzz6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 145 茶々。 15/05/03 15:52:14 ID:YGLqfPzg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>144
支援感謝です。

――

ピピピッ!ピピピッ!

突然鳴る目覚まし時計の音。
カナメはパチリと目を開ける。

空はまだ暗いが、星の輝きは薄くなり始めている。

タケル「はい、タケルです。」

タケルの言葉で、先ほどの音が彼の持つ携帯端末の呼び出し音だと気づいた。

タケル「…………!」

タケル「……はい………はい…分かりました!すぐ向かいます。」

タケルの声から緊張が感じ取れた。

タケル「皆聞いてくれ!」

そう言いながらタケルがテントから這い出してきた。
 ▼ 146 茶々。 15/05/03 15:55:05 ID:YGLqfPzg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仲間達はカナメと同じく先の音で目覚めていたようで、
全員が主人であるタケルに注目している。

タケル「フロストケイブで大規模な崩落事故があった。」

タケル「レンジャー北東支部だけでは人手が足りないらしい。」

タケル「俺たちにも救難要請が出た。」

タケル「至急ショウヨウシティへ向かうよ。」

そうしてタケルたちはすぐに身支度を始める。
手際よく身支度を整えたタケルはカナメたちをボールに戻し、
ファイアローに指示を出す。

タケル「ファイアロー頼む!」

ファイアロー『了解ッス!』

カナメはボールの中で、旅立ちの時持たされたタウンマップを思い出す。
フロストケイブは北東にある大きな洞窟だ。
一方今から向かうショウヨウシティはここから少し南へ行ったところだ。
フロストケイブとは反対方向になる。
 ▼ 147 茶々。 15/05/03 15:58:07 ID:YGLqfPzg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カナメ『どうして?』

カナメは疑問を口にする。

タブンネ『街に着けば分かるわ。』

タブンネは短く答えた。彼女の声もまた緊張している。


――空が白み始めた頃ショウヨウシティに着いた。

カナメは街の広場を見てタブンネの言ったことが理解できた。

街の広場はライトに照らされ、レンジャーが数人とカイリュー、ボーマンダ、フライゴンなどの
ドラゴンポケモンが十数匹ほど見えた。

サンドパン『遠くへ素早く移動するには、それが得意なポケモンではないと効率が悪い。』

サンドパン『代表的な者は彼らだな。』

サンドパン『それらを持たないレンジャー達は指定箇所に集まり、』

サンドパン『支部から派遣されたポケモンに乗って移動する。』
 ▼ 148 茶々。 15/05/03 16:00:18 ID:YGLqfPzg [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ファイアロー『短距離なら俺もあいつらに遅れはとらないんだけどな。』

ファイアロー『距離があると、なにより俺にぶら下がってるタケルの身がもたない。』

ファイアロー『やっぱり背に乗れるタイプが移動用としては優れているんだ。』

言っている傍から、レンジャー達はドラゴンポケモンの背に次々と跨り飛び立っていく。
目指す方角は皆同じだ。

タケル「さあ、俺たちも行くよ!」

タケルはそう言うと一番近くにいたボーマンダに声を掛ける。

タケル「頼むよ!ボーマンダ!」

ボーマンダ『任せときな!』



――1時間ほどだろうか。
距離を考えるととても早い。

現場にはレンジャー達が集まり救出活動が始まっていた。
ジョーイさん、ジュンサーさんの姿も見える。
 ▼ 149 茶々。 15/05/03 16:03:06 ID:YGLqfPzg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケル「遅くなりました!」

タケルはある男性に声を掛ける。他のレンジャーたちとは服装が違った。

タケル「南西支部のタケルです。」

男性「支援感謝する!」

男性「私は北東支部、支部長のジンだ。」

ジン「崩落範囲が広いため作業が難航している。」

ジン「なお、要救助者の数は不明だ。現在特定を急いでいる。」

ジン「本来、タッグを組んでの救出活動がセオリーだが、そうも言ってられん。」

ジン「一人ずつ担当区間を設けて救出活動に当たってもらう。」

ジン「タケル。君にはこの区間を頼む。」

そう言うとジンはタケルの携帯端末にデータを送った。

タケル「分かりました。至急救助に当たります。」

ジン「二次災害に気をつけろ。現場での判断は個々に託す。頼んだぞ。」

タケル「了解!」

――
今日はここまでです。
 ▼ 150 茶々。 15/05/04 21:55:38 ID:1GE8SGGg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フロストケイブはその独特の景観から観光地として人気が高い。
また、希少な鉱石や宝石も産出されるため、トレジャーハンターや
コレクターなど、それらの採掘を目的に来る者も多い。

――事故は昨夜遅くに起こった。
この付近を震源とする大きな地震があったのだ。

被災者の多くは夜になっても熱心に採掘していた者たち。
プロの採掘家であれば相応の装備と経験、
更には頼りになる地面や岩タイプのポケモンたちを連れているのだが、
所詮素人の彼らにそういう備えはない。

タケル「サンドパン。先導してくれ。」

サンドパン『任せろ。』

サンドパンはタケルの指示のもと先導し、邪魔な岩や障害物を排除して進む。

タケル「サンダース。探知は任せるよ。」

サンダース『分かった!』

サンダースをはじめ、電気タイプのポケモンの多くは生物の出す微弱な電気信号を探知できるらしく、
災害救助が生業のレンジャー達は必ずといっていいほど彼らをパーティに入れている。
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