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【SS】みとじの声 〜再三の破滅〜

 ▼ 1 過去作のリメイクです 18/07/15 22:45:38 ID:rwjcpKh. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告



──みとじの“声”には姿なき

『要石』にその身を潜めて……



 ▼ 2 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/15 22:46:50 ID:rwjcpKh. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ホウエン地方 シダケタウン 某民家〜


「「おはよー、ヒデオ。もう朝だよ。
  だから、起きて。ねぇ……起きてよーっ!!!」」


早朝から、妹のキンキン声が響き渡る。


ヒデオ「……あの、まだ朝だから寝てたんだよ。……だって、今日からさ、ほら、夏休みだろ」

ハツネ「あぁ、もったいないんだ。せっかくの休みだからこそ、早起きしなきゃっ! さっ、今からさ、カナズミまで行こっ!!」

ヒデオ「え?」


僕ら兄妹は塾帰り。
カナズミシティのトレーナーズスクールに通う、初等部だ。


ヒデオ「やだよ。なんで学校ないのにわざわざ。それにお前、僕がいないとトンネル超えれないだろ?」


──妹はまだ10歳に満たないトレーナー見習い生。

そのため、僕と違いポケモンはまだ持っていない。


いつもはカナシダトンネルを渡り学校へ通うため、道中のポケモンは、トレーナーである僕が撃退しているのだ。
 ▼ 3 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/15 22:47:59 ID:rwjcpKh. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「まぁ……そう“だった”ね」

ヒデオ「わかったら、お前もまた一緒に寝よう。ほら、さぁ、わかったのなら諦めろ…………」

ハツネ「……ふんだ。だから、アタシ一人で行くもん」

ヒデオ「だから、ポケモンを持ってないくせ……。……え?」


キノココ『キノ♪』


ハツネ「ねー、キノちゃん♪」


……妹はあろうことに、一体のポケモンを連れていたのだ。


ヒデオ「えっ……ポ、ポケモン!? なんでお前が……?」

ハツネ「『かえるノいえ』って知ってるでしょ。ホウエンに新しくできたポケモンハウス。昨日カナズミにそこの職員のお姉ちゃんが来て、ポケモンの譲渡会があったの。で、行ったの」

ヒデオ「……お前、そういえば昨日『オナカイタイ』とか言って終業式来なかったな。その譲渡会とやらを事前に知ってたのか……」

キノココ『キノ〜♪』

ヒデオ(……あぁ、メンドくさいことになった)
 ▼ 4 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/15 22:48:30 ID:rwjcpKh. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「じゃ、今からアタシ出掛けるから。じゃーねー、お父さんに言っと(ガシッ

肩を掴み、引き戻す。

ハツネ「……乱暴」

ヒデオ「ダメだ!お前は昔からそうだ。勝手にいつも先走ろうと……。……パープリンと虚弱体質のクセして」

ハツネ「……行きたいのに、カナズミ」

ヒデオ「お前……“トウカの森”に行きたいのか?」

ハツネ「!」

ヒデオ「今まで僕が制止してきたから、そのキノココとなら行けると考えたんだろう? ……そうだろう?」

ハツネ「……ムゥ」

ヒデオ(ズボシか。それに世の中にはな、タチの悪いトレーナーや怪しげな性癖持ちとか、色々いるんだぞ)


……一生モノのキズがついたら、どうするつもりだ。


ヒデオ「……わかった、僕も行く。探索程度だよ。あと面倒臭くなるから、お父さんたちには黙って行こう」

ハツネ「さすがヒデオ! じゃ、早く行こっ、さあっ!!」
 ▼ 5 ヒンバス@きれいなウロコ 18/07/15 23:03:36 ID:MWJ2TXPU NGネーム登録 NGID登録 報告
なつい
 ▼ 6 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/18 22:02:41 ID:wAEwWlYA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜


ミーンwミーンwミーンwミーンw

ミーンミー…


ミ ー ン w w ミ ー ン w w ミ ー ン w w


ハツネ「うぅっるぅっさいぃぃっ!! このっ、この虫風情のテッカニンがぁっ!!」

ヒデオ「……お前の方がうるさい気がする。で、トウカの森だけど……どう?」

ハツネ「うるさいってのと暑いってのと帰りたいってのと」

ヒデオ(悪いところばかりじゃないか)


──その時。


ハツネ「……ん?」

ヒデオ「なんだ、なにか良いところでも見つけたのか?」

ハツネ「違う、ヒデオ。……ほら、“これ”見て……」
 ▼ 7 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/18 22:03:27 ID:wAEwWlYA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
アイアント『ギシャァーッ……』


……ゾロゾロ。


アイアントの群れが、とある場所を目指し、進行しているのだ。


ハツネ「ねっ、アイアントたち、なにしてるのかな」

ヒデオ「食べものを見つけたんじゃない? 森に来た子どものお菓子とか落ちてたり」

ハツネ「行ってみよーよ! もしかしたら、ホントにそうかもしれないし!!」

ヒデオ(……まさか、食べるつもりなのか?)


僕と妹も、アイアントと一緒に歩き出す。


ハツネ「なにがいいかなー。アメかな、チョコレートかな、それとも今暑いし、アイスがいいなー♪」

ヒデオ「そういうのは菓子屋とかで考えるものだろ」


……そう。だけど。

…………現実は、確かに、そう甘いモノではなかったようだ。
 ▼ 8 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/18 22:04:19 ID:wAEwWlYA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「あっ」


──アイアントたちが群がっていたのは、一匹の、テッカニンの死骸だったのだ。


ハツネ「……。え…………」

ヒデオ(……傷だらけ、足がもげてる。死に際になって、あちこちにカラダをぶつけたんだろうか)

ヒデオ「ん……?」


『『キィ……。
…キィ……キ…ィ………』』


ヒデオ(……)


──まだ息がある。


ハツネ「ねぇ。早く……帰ろっ、ヒデオ! ……帰ろうよ。付き合わせちゃって、ホントゴメンね。……アタシ、なんか、バカだったから……」

ヒデオ「……うん。森、出よっか」
 ▼ 9 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/18 22:04:52 ID:wAEwWlYA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
──数時間後



  ク  シ  ャ  ッ  。



「おい…なんか踏んだぞ、お前」

「わっ、ホントだ」

「きったねーっ、テッカニンだ! それにアリたかってる。グロッ!!」

「うわ……頭からなんか出てる。あーもうっ、サイアク。こんなんだからセミはメーワクなんだよ」

「虫取りやめて帰ろーぜ。こんなしょぼいテッカニンぐらいしかいないのかもなー」

「とりあえず、靴裏の汚れ落としたいよ」

「そうだな」

「……ん? おい、なんだ……“これ”?」

「なんだ? ……“こんな石”、前に来た時あったっけな……」

………
……
…
 ▼ 10 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/18 22:05:27 ID:wAEwWlYA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告










《  2  0  …  》










 ▼ 11 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/19 00:58:45 ID:3id.qoeo [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜翌日 キンセツキッチン〜

ハツネ「うん、やっぱこれがさ、うん……夏だね! ……久しぶりに食べたけど、ホント懐かしい」

ヒデオ「あぁ、ホントに……かき氷。あれから、気分とかどう?」

ハツネ「えー……うん。もっとイロイロ食べたいー」

ヒデオ(……ただ食べたいだけだよな)

トウカの森まで行こうと言い出したのはコイツだが、実際に行かせてしまった責任がある。

……夢見がちの女の子には、あの光景は衝撃が強かったのだろう。

ヒデオ(だから、せめてもの詫びとしておこづかいをフンパツして、色々と奢ってやったし。アクセサリー、マンガ、リンス、それにかき氷……。はぁ、おこづかい)

ハツネ「舌と顔色マッサオだね」

ヒデオ(シロップとお前のせいだ)

ハツネ「……うーん、ドリンクバー汲んでくる。なんか飲みたいのある?」

ヒデオ「サイコソーダでいいや。……こぼさないようにな」
 ▼ 12 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/19 00:59:11 ID:3id.qoeo [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
──しばらくして


ハツネ「もってきたよ! ほら、サイコソーダ」フラフラ

ヒデオ「あっ、おいおい、気をつけろ。お前グラス2個持ってるから……ホントに気をつけろ」

ハツネ「大丈夫だって……。ほら、ロメジュースとブレンドしてさ…ミックスサイコロメにしたから、多分、おいし……」ドンッ


ハツネ「い よ っ ! ?」


……案の定。仕切りの壁に激突してしまった。


ヒデオ「あっ!」


ドテッ!

パリィン パリィン!!

ビチョッ!!!


………
……
…
 ▼ 13 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/19 00:59:57 ID:3id.qoeo [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数時間後 シダケ診療所〜

妹が転んでしまい、骨休めもクソもなくなった。
大したことはないとは思うが、大事をとり、僕は妹をタウンの診療所へと連れて行ったのだ。

……ついでに割れたグラスは僕が弁償した。
あと診療費もか。……はぁ。

ヒデオ「先生……ハツネ、大丈夫でしょうか? まぁ、別に、ただファミレスで転んだぐらいですし……」

ちなみに“先生”は、僕らが幼い頃からのかかりつけ医だ。
元はイッシュ出身であり、ヒウン大学院の医学部を満期退学後、このホウエンで小さな診療所を構えたそうだ。

そんなインテリでありながらも他を卑しめることはせず、僕らが慕い続けるとても優しい人なのだ。

先生「……ファミレスで転んだくらいでもね、あの年頃の女の子には打撃になりかねないのですよ。なにせ顔や身体に傷や痣が残ってしまったりと、それだけでも、彼女たちは酷く落ち込むものですから」

ヒデオ「…そうですか。アイツ、ジムリーダーのような『エレガントなトレーナーになりたい!』って昔からずっと言ってるし、それは嫌でしょうね。言葉の意味わかってるのか知らないけど」

先生「まぁ、私が見たところ、そういったような目立った外傷はありませんでした。安心してください! ……ただ……」

ヒデオ「……ただ?」
 ▼ 14 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/19 01:00:38 ID:3id.qoeo [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
先生「ハツネちゃん、しきりに右腕の痛みを訴えていてね。それが気になり、先程レントラーを用い透視撮影を行ったのですが……右腕の尺骨に、少しヒビが見受けられました」

ヒデオ「ヒッ……ヒビッ!? そんな……ハツネ、ぇ……ええっ?」

僕は、再び真っ青となる。

先生「……あっ、そんな、大事じゃないですよ!? ……湿布薬を貼りサポーターを着ける程度で。それで一ヶ月程様子を診ましょう。恐らく、その頃には完治します」

ヒデオ「……はぁ、なら、よかった」

……ちょっと、赤面した。


──そして更に数十分後


ハツネ「……終わったよー。ねー、このサポーターって奴、かっこ悪いんだけど。なんかおじいちゃんのハラマキみたい」

ヒデオ「……治るまで、ちゃんと着けてるんだぞ。あぁ、買った服さっそく着てるのか」

ハツネ「こぼしたジュースで濡れたから。……なんかヒデオ、泣いてるけど。どうしたの?」

ヒデオ「…レントラーを用いたX線撮影がこんなに高いだなんて……。保険適用外……だとは」

散財しまくった散々な一日だったと今日の絵日記に書いておこう。
 ▼ 15 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/19 19:31:25 ID:3/2QLRZ2 NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トレーナースクール 登校日〜

トモノリ「な、すごいだろ? そうだろ、ハツネ!?」

ハツネ(……なーんか、裏があるよ。ゼッタイ)ジロッ

ヒデオ(同感。僕でさえ勝てないのに、よりによってコイツが……)ジロッ

トモノリ「なっ……なんだよ!? その半信半疑の眼差しはよぉっ!!?」

ハツネ(疑が大多数を占めてるよ)

コイツは同級生のトモノリ。いつも116番道路で虫ポケモンを採っている。そしてコイツが見せびらかしているのは『ストーンバッジ』。

……そう。
ジムリーダーに、コイツが勝利したというのだ。

トモノリ「……誰も信用してくれないか、悲しい」

ヒデオ「だってお前、基本的に虫ポケモンしか捕まえないじゃん。虫取り少年のポリシーだか何だか知らないけど。そしてツツジさんは岩タイプ使い。相性的に、あと経験的にとてもじゃないがお前じゃ勝てない」

トモノリ「むぐぐぐ」

ヒデオ(……どいつもこいつもズボシだって顔して。じゃあ、実際に、なんでコイツはバッジを入手しているのだろうか?)
 ▼ 16 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:11:16 ID:vUKkD1AY [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
トモノリ「…あ、そ、そうだ! ハツネ……なんかさ、その、えっと、右腕のバンド、どこで買ったんだ? 変わったバンドだなー、おい」

ハツネ「……」ムスッ

トモノリ「あっ」

ヒデオ(タブーだったのに)

トモノリ「……あ、あぁそうだ! お前ら、トウカの森にはさ、行ったことあるか?」

ハツネ「……うぅっ」

トモノリ「えっ? お、お前泣いてるのか!?」

ヒデオ(コイツはなんで地雷を踏んで行くんだ……?)

ハツネ「……ないて……ないもん……ヒック。で……なに……トウカの森が、どうかしたの!?」

トモノリ「……え、えっと、ヒデオ知ってる? そこによ、道を塞いでるジャマな木あってさ、奥地までは行けないってこと」

ヒデオ「あぁ、“いあいぎり”で斬れる木だろ? ……まさか」

トモノリ「そう! オレ、ストーンバッジ貰ったからさ。そういう木も斬れるようになったんだよ!! で、さっ……」
 ▼ 17 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:11:39 ID:vUKkD1AY [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒデオ「さっそく行ってみたんだろ?」

トモノリ「えっ」

ヒデオ「『なんでわかるの?』と思ったか? 長年の付き合い。なんとなくそう思っただけだよ」

トモノリ「……ちぇっ、ハッタリだったのか。うん、当たってる。それでさ、スゴいんだぜっ!?」

ハツネ「なにが、スゴイの?」

ヒデオ(泣きやんだか)

トモノリ「えっと、うん、スゴかったんだ! それに、とてもすごく、スゴイの!! スゴくてよー、ちょっとオレ、スゴくさ……」

ヒデオ「……実際にまた行ってみよう。それで、コイツの言いたいことがわかるさ」

ハツネ「……はぁ……」

ヒデオ「もう、あんなことにはならないさ。……また居たら、ゴメン」

トモノリ「?」


そして僕らは、そのスゴいところとやらに行くことになったのだ。
 ▼ 18 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:12:01 ID:vUKkD1AY [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜

トモノリ「そらっ、ツチニン! “いあいぎり”だっ!!」

ツチニン『ツチッ!』シュパッ

“いあいぎり”により、遮る木を斬り倒す。

トモノリ「こういう木は斬っても斬っても生えて来るからな。メンドい……。ほら、行こうか」ザッザッ

ヒデオ「……頼むぞ、アサナン。薄暗いし、“フラッシュ”で照らしながら進もう」

アサナン『アサ……』ピカァッ

ハツネ「……ふっふっふ〜。いつもこの三人で行動してる時、アタシってなんかさ、ほら、オニモツだったじゃん。……で・も♪」

キノココ『キノ〜♪』

ハツネ「今のアタシにはこの子もいる! アタシだってもうイッパシのトレーナーなんだから、そうっ、もうっ……大丈夫なのっ!!」

キノココ『ノ〜ッ♪』

トモノリ「おぉっ、その意気だ、その意気っ!!」

ヒデオ(やっぱりわかってない、大丈夫じゃない。……そういった慢心が、一番怖いのに)
 ▼ 19 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:12:19 ID:vUKkD1AY [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
──奥地


トモノリ「……ここだよ」

どうやら、目的地のようだ。

ハツネ「わっ……。えっ、スゴい……。なにこれっ、全部…ホントに…………“そう”なの?」

ヒデオ(……。さながら、『森の霊園』……)


──そこは、開けた原っぱであった。


周りを木々がグルリと囲み、それ以外に特筆すべき点もない……。

……ただ。この景観に不釣り合いな、多数の“墓標”を除けば、だが。


ヒデオ(盛り上げた土に木辺を刺しただけの簡易的な墓標の数々。イヤな予感がする……。……“なに”が埋まっているんだ!?)

トモノリ「あー……ヒデオ。お前ってさ、考え過ぎるよなぁ。いつもいつも」

ヒデオ「……なんだよ?」

トモノリ「これ全部、“ポケモン”の墓だよ。……仏さんには悪いけど、ほじくり返して調べたんだ」

ハツネ「は、墓ッ!?」

トモノリ「オレも最近知ったんだ。あと、憶測も少し入ってるが聞いてくれ」
 ▼ 20 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:12:40 ID:vUKkD1AY [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
──いつからかは、わからない。

でも、多分昔から。心優しいというかモノズキというか、そんな一部のトレーナーによって。
森のポケモンの死骸は、ここに葬られるそうなんだ。


……ひょっとしたらあの木も、この『森の霊園』を守るために延々と生えてくるのかもしれない。


------------------------

ヒデオ「……そうだったのか」

トモノリ「トウカやカナズミの人は皆知ってるんだってさ。……子どもだと、知らないのは」

ヒデオ(ひょっとしたら、あのテッカニンも。あの後誰かに埋められたのかなぁ……)

ハツネ「……タ……シ」

ヒデオ(?)

ハツネ「……あの時。……アタシ、アタシ……」

ヒデオ(……。“葬ってやればよかった”と、思ってるのか?)



──その時……だった。
 ▼ 21 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:13:04 ID:vUKkD1AY [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
《  2  8  …  》



ヒデオ「!!?」


──突然、その正体不明のおぞましい《声》が、僕の頭に鳴り響いたのだ。


ハツネ「どーかしたの、ヒデオ……」

トモノリ「……なんだ? いきなり あらぬ方向振り向いて……」

ヒデオ「き、聞こえないのかっ!? お前たちには、聞こえなかったんだなっ!!?」

ハツネ「え?」

トモノリ「お前、ホントに大丈夫か?」

ヒデオ(……どういうことだ……。……んっ?)


──“アレ”は……?
 ▼ 22 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:13:25 ID:vUKkD1AY [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
それは、“石”、だった──


ヒデオ(……ただの、石だ。地面に落ちてる、森の石。だけど、前にどこかで見たような、見てないような……)

トモノリ「ゴメンな、ヒデオ」

ヒデオ「え?」

トモノリ「今、すごく暑いし、気分悪いんだろ? 幻聴も聞こえるなんて……熱中症だよな? 多分」

ハツネ「えっ、ヒデオ、熱中症なの?」

ヒデオ「あっ、イヤ……」

ヒデオ(……そういうことに、しておこう)

トモノリ「だったらよー、オレの家で休もうぜ! ハツネ、お前も行こうぜ!!」

ハツネ「……そうだね。あ、だったらシャワー借りるね。汗かいたし」

ヒデオ(……まぁ、本当に幻聴かもな。……でも…………なにかが、あるのかも……しれない…………)ソッ


僕は、何気なくその石を拾い、ポケットに忍ばせたのだ。
 ▼ 23 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:13:45 ID:vUKkD1AY [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トモノリの家〜

トモノリ「いまよー、母ちゃんが飲み物持って来るぜ。……ハツネは風呂場か」

ヒデオ「……もう、体調は大丈夫だよ。心配かけてゴメン」

トモノリ「……なぁ、ハツネのことだけどよー……」

ヒデオ「?」

トモノリ「右腕、どうしたんだ? あと、前にトウカの森でなにがあったんだ?」

ヒデオ「……うん。わかった、話すよ」

------------------------

トモノリ「……そうだったのか……。なんか、親近感湧くなー」

ヒデオ「親近感……?」

トモノリ「……オレもさ、以前に骨をケガしてるんだ。しかも、ハツネと同じ右腕」

ヒデオ「へぇ。初耳だけど」

トモノリ「で、驚かないで聞いてくれよ?」

ヒデオ「ん、なに?」
 ▼ 24 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:14:01 ID:vUKkD1AY [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
トモノリ「オレ、右腕の骨ないんだ」

ヒデオ「……!?」

流石に、面食らってしまった。

トモノリ「……あ、いや、さ、厳密には代わりの骨が入ってるんだ。義骨ってやつ」

ヒデオ「どういうことだ?」

トモノリ「オレは昔もやんちゃしてて、毎日虫の尻ばっかり追いかけてた。今もだけど」


ある日、とある虫ポケモンに遭遇してさ。
捕まえようとしたわけ。

……で、ネットボールを投げようとしたその利き腕を、アゴで一刀両断されちまったんだ。


トモノリ「……すっげぇ痛かったぜ。実際、泣き喚いた。その声で母ちゃんが駆けつけた。そん時よー、オレは家族とな、アローラって地方に旅行に行ってたんだ」

ヒデオ「アローラ……あぁ、南国の地方のことか。……病院に運ばれたの?」

トモノリ「あぁ。で、腕を繋いでもらった。骨がズタズタだったから、義骨に入れ替えてもらったんだ」

ヒデオ「色々と、凄いな……」

トモノリ「あん時担当してくれた先生凄かったんだぜ! ほら、右腕にそんな縫合痕なんて全然ないだろ?」
 ▼ 25 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 00:14:30 ID:vUKkD1AY [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒデオ「……うん、もしその話を聞かなかったら、全然気づかなかったと思うよ」

トモノリ「確かその先生、敏腕を買われて地方の変な集団にスカウトされてるって聞いたな。断り続けてるとも……確か名前は、なんだったかな?」

ヒデオ「……名前なんてどうでもいいんじゃないか? その先生は優れた医師だったってだけで」

トモノリ「あぁ、そうだな! 長い付き合いのお前の目も欺き続けられたんだから、ホントにあの人はスゴいさ」

ヒデオ「別に欺く必要はないと思うけとも。まぁ、確かに凄いと思うな……その先生は」


──やがて。


ハツネ「……ただいまぁ」ガチャッ

ハツネが帰って来る。

トモノリ(おい。今の話、ハツネにはするなよ……。同情心とか、こんな女の子に持たれたくないんだ、恥ずかしいから)

ヒデオ(わかったよ)

ハツネ「ん?」

トモノリ「いや、なんでもないよ、ハツネ」
 ▼ 26 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:33:54 ID:xu92HNRo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トモノリ(……あとよ、ハツネの好きなモノって、なにかな……?)

ヒデオ「?」

トモノリ(いや、なんでもいいんだ。……できる限り、なんでも、ホントに……)

ヒデオ「……ポケナビかな」

トモノリ(! ひぇっ……)

ヒデオ「なんなんだよ、友だちの妹を餌付しようってのか? お前、そんな趣味あったのか?」

トモノリ(いや、違うって! ……わかった、ありがとう)

ヒデオ「……?」

ハツネ「??」

トモノリ(……もう)


しばらくお暇した後、僕たちはトモノリに別れを告げ、シダケへと帰ることにした。


……すっかり、日が暮れてしまっていた。
 ▼ 27 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:34:18 ID:xu92HNRo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜116番道路〜

──日はすっかり沈み、空は鮮やかなオレンジ一色に染まっていた。

雲も、街景色も、なにもかも、皆この空を主体として溶け込んでしまっている。

《ミーンwww ミーンwww ミーンwww》

ヒデオ(……夏なんだなぁ、改めて。この辺まで来ても、テッカニンの鳴き声が響く)

ヤミカラス『カァー、カァーッ!!』

ヒデオ「……コイツも、なにが面白くて鳴いてるんだか。さっ、トンネルを潜って帰ろう」

僕はハツネに、そう声をかける。

…そしたら、彼女は珍しく、物思いに更けていたようだ。

ハツネ「…アタシさ、こういうフインキ好きなの。……皆が皆今日やるべきことをやり終えて、くたびれてさ、家に帰るの。それがこんな時間帯……こんな感じなの」

ヒデオ(……はぁ)

ハツネ「……で、そのジメッとしたフインキを、皆が共有してさ、なんとなくだけど、分かち合っている。『今日、皆頑張ったんだね、お疲れ様』って……だからまた一日、頑張れる気がするんだ」

ヒデオ「なんか、難しいな」
 ▼ 28 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:34:40 ID:xu92HNRo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「べつに、難しいことじゃないよ。……多分だけど、あの時のテッカニンだって、たった一週間ですることいっぱいあって、毎日毎日忙しかったんだと思う」

ヒデオ「……まぁ、僕ら人は、その一週間がもっと長く、置き換わっただけの存在なのかもしれないね」

ハツネ「それに、あの『森の霊園』さ。うん。……死んだ後に自分の身体見られて、あげくに気持ち悪がられたら、傷つくよね、フツーに考えて。そんなハイリョも、あるのかなーって……」

ヒデオ「確かに、そうだよな。お前みたいにロコツなまでに気持ち悪がられたら、そりゃああのテッカニンも浮かばれないだろう」

ハツネ「……うぅ」

ヒデオ(……ムズカシイよな。僕だって、わからないもん)

ヒデオ「まぁ、大人になったな、ハツネ」

ハツネ「そっ、もうアタシ、大人なの! ……なんだって、一人でできる……ハズなの」

……語尾が、ちょっとばかり聞き取れなかった。

ヒデオ「……確かに、僕は少し心配性なのかも。いずれお前だって、大人に、そうだよな……」

ハツネ「うんっ、そうだって、ヒデオ!」


──そして、僕らはその日、帰路に着いた。
 ▼ 29 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:35:02 ID:xu92HNRo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
──とある日 とある時刻


トモノリ(……そういえばオレ、一回もシダケタウンに行ったことないんだよなぁ……)

トモノリ「……」


アイツに、“これ”を渡したいし……。


トモノリ(よしっ、決めた。カナシダトンネルを抜けて、シダケに行くか)

ツチニン『二〜ッ!』

トモノリ「おーおー、お前も乗り気か、そうかー。シダケって空気が美味しいらしいからな〜……せんべい売ってたのあそこだっけ? まぁいいや、行こっか、ツチニン」

ツチニン『ツチッ♪』

トモノリ(……でも、今お父さんもお母さんも仕事だしな。あっ、書き置き残しておけばいいか)

《お母さん お父さんへ
 友だちの家に行って来るので、少し遅くなります。
 夕食頃には戻って来ます。カレーがいいかなぁ》

………
……
…
 ▼ 30 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:35:24 ID:xu92HNRo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
──カナシダトンネル


トモノリ(……ん? あれ……誰かが……)

???「……っ」


… … ド ン ッ ! !


トモノリ(っ……。反対方面の通行者。ぶつかっちゃったか)

トモノリ「……あー、すみません! あっ、なにか、持ち物落ちましたね……拾います!!」

トモノリ(……暗くてよく見えない……ツボかな、これ。あっ、中身こぼれちゃってる……なんだろ、“これ”……)


???(……)


トモノリ「ホントにすみません!
今、“これ”ひろいま(ビュンッ



その通行者は、トモノリに明白な『殺意』を込め。
 ▼ 31 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 01:35:46 ID:xu92HNRo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告





──   グ   チ゛   ョ   ッ   。





………
……
…
 ▼ 32 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 18:42:01 ID:Ix2A4ToQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トレーナーズスクール〜

ツツジ「……“要石”ね。間違いないわ、珍しい……」

ツツジさんはトレーナーズスクールの先輩であり、そしてバッジを与るジムリーダーだ。

ヒデオ(やっぱり、これが……)


……そう、僕が森で拾った、あのヘンテコな石のことだ。


話が前後するが。

数時間前、僕はカナズミの図書館で、ある“唄集”を借りたのだ。


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──カナズミ図書館


ヒデオ(なんとなく覚えてる。この本だ。小さい頃に読んで、なぜかヒドく怖かった記憶がある。……あの“声”と、なにか関係があるかもしれない)

ヒデオ「……」


あぁ、“これ”だ。
 ▼ 33 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 18:42:25 ID:Ix2A4ToQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
《要石わらしべ唄》


【壱】 みとじの声には姿なき
    要石にその身を潜めて


【弐】 声を聞けし者限られる
    善悪を問わず限られる


【参】 声の主は只待ち詫びる
    みとじを終えるまでは


【肆】 声は決して途切れない
    この世に生命ある限り
 ▼ 34 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 18:42:43 ID:Ix2A4ToQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
“みとじ”とは、恐らくは“32”のことだろう。
祖父母世代での名前の読みだ。


あの“声”を訊けるか訊けないかはさしたる違い。
ただ、偶然にも僕が訊ける側だったということ。

そしてそれは善悪、つまり良い人間かそうでないかは関係がない。


ヒデオ(主は只待ち侘びる……?)


これは僕の憶測だが、要石は生物の魂を何らかの方法で吸収し、己の糧としているのだろう。


トウカの森で初めて“声”を訊いた時、要石の近くには。
死んで間もないテッカニンの死骸が横たわっていたんだ。




……そして、あれから。

その憶測を、僕は、遂に確信することとなる。
 ▼ 35 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 18:43:41 ID:Ix2A4ToQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああっっ〜〜〜〜っ!!!?」


あれは、大体2日前の出来事だった。

夕食を終えて少しばかり経つ頃に、母が突然にも、騒然たる悲鳴を家中に鳴り響かさせたのだ。


ヒデオ「……うるさいな」

ハツネ「あっ、キモ可愛いじゃん、捕まえよーよ」

母「ほら、見たでしょ! ヒデオッ、ハツネッ!! しかも二匹も……殺して! キャ〜ッ!! キャ〜ッ!!」


『ごぼぼっwwww』

『ごぼぼぼwwww』


僕の家に、なぜか忌み嫌われるポケモンが二匹現れた。

そして母の再三に渡る要求の下、僕は遂に折れ、逃がしてやればいいのにとも思いながら、そのポケモンたちを退治してしまったのだ。

近くに、そうだ、偶然にも、あの要石を置いていた。
他に置き場所もなかったから。



……退治した、瞬間だった。
 ▼ 36 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/20 18:44:17 ID:Ix2A4ToQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
《  2  9  …  》


《  3  0  …  》


ヒデオ(っ……)


……そして、あの“声”が、やはり僕には訊こえた。
しかも、二度、続けてだ。


ハツネ「?」キョトン

母「ありがと、ヒデオ。……どーしたの、アンタ。怖い顔してさ」

家族には案の定訊こえなかったらしい。


……そして、確信した。



【要石は“己の周辺で死亡した”生物の魂を取り込む】
 ▼ 37 ヨマワル@ウブのみ 18/07/20 22:08:48 ID:yT6gZ5sg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 38 マクノシタ@ポイントマックス 18/07/20 22:14:47 ID:/WiMu9bc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 39 ニダンギル@レベルボール 18/07/21 01:12:34 ID:XaIQH8jQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 40 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:09:48 ID:tizEkSn. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
“声”の数字は、大きくなり続けている。

そして今は《30》だ。


みとじを待ち侘びる……。
つまり後二回、コイツの近くで、なにかしらの生き物が死ぬことになれば…………。



……どうなるんだ?

わからない。ただ、興味はあるが、怖い。



この石を捨てようとはしたが、なぜか捨てられずに今に至っている。

僕を持ち主として、僕本人の知らぬ中、ある程度思考を操っているのだろうか?


------------------------


ヒデオ(能力に、名前。僕は知ってしまったが……。そもそも要石とは、発見されるのは、遠く離れたシンオウ地方の限られた地域のみだとも聞く。なのに、どうして……?)
 ▼ 41 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:10:07 ID:tizEkSn. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツツジ「……ねぇ、この石、要石なんだけど……。……その……私に、譲って……は、くれないかしら……?」

ヒデオ(えっ!)

そうだった。この人は石マニアなのだ。

ツツジ「その要石、ホウエンじゃ凄く珍しい石なの。それに、こんな大きい要石は、今まで見たことがないわ……」ウットリ

ヒデオ「……えっと。あの、すみません、うん、ツツジさんでも駄目です! 一瞬いいかな、とは思ったけど」

ヒデオ(“声”の件がある以上は)

ツツジ「じゃ、じゃあさ、この技マシンあげますから! というか、在庫いっぱいあって持て余してるの!!」

ヒデオ「“がんせきふうじ”はもうアサナンが覚えちゃってます」

アサナン『アサ』

ツツジ「えっ、……じゃ、じゃぁ……。バッジ、内緒であげちゃう! ストーンバッジよっ!! 友だちに自慢できるわよっ!?」

ヒデオ(ジムバッジってそんな扱いでいいんだろうか)

ヒデオ(……ん? そうか、アイツ、モノで釣ってバッジを貰ったのか……)
 ▼ 42 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:10:31 ID:tizEkSn. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
………
……
…

金輪際こういうことはしないでくれと忠告し、トモノリに一体なにをもらったのかと問いただした。

ツツジ「……トルマリン石よ。電気石とも呼ぶらしいわ。イッシュでしか見つからない、これも珍しい石なの。だから、その、アタシ……つい……」

ヒデオ「イッシュで……? アイツが、どうしてそんなモノを……」

ツツジ「なんでも昔、お医者さんにもらったみたいなの。『傷が完治しますように』っていう気持ちだそうだわ」

ヒデオ「……医者?」

ツツジ「右腕の傷を治してくれた、恩人だそうよ? そのお医者さんが、“イッシュ”住まいだったんですって」

ヒデオ(……! もしかして、その、“お医者さん”って……)

ツツジ「トモノリ君に、今度謝るわ……。トレーナーの手本となるべきジムリーダーが、こんな軽率な行為をしちゃって……本当に、ゴメンなさいって……」


世界は案外狭い。

……“あの人”だったのかもしれないな。
 ▼ 43 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:11:21 ID:tizEkSn. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数分後 カナシダトンネル〜

ヒデオ(さて、シダケに帰るか……)


僕はいつも通りに、トンネルを歩み始めた。

……本当に、それ自体は、普段とさして変わりもしなかったんだ。


──しかし。


ヒデオ(ん? ……なんだ?)


ヒデオ「「……!!」」



ゴニョニョの群れ『ニョォ〜……』



──クチョ、ヌチャ……。



トンネル内のゴニョニョたちが、とあるポケモンの死骸へと群がり、どうにもそれを貪り合っていた様子だったのだ。
 ▼ 44 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:11:47 ID:tizEkSn. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、“その”ポケモンとは。


ヒデオ「あっ……。……お、おいお前たちっ、ソイツから離れろっ、離れろ……っ!!」

ゴニョニョ『ニョ〜……』ダダッ

威圧したら、ゴニョニョたちは去っていった。



《  3  1  …  》



……要石は、僕のポケットに入っている。

つまり、“声”だ!
クソッ、死んでしまった!!

……“ソイツ”は、身体中から茶色い液体を垂れ流している。

…貪り食われる云々に、元から“コイツ”は傷ついていた。
そして、ゴニョニョたちの捕食が致命打になったんだ……。


ヒデオ「あぁ、なんで……。なんで……“お前”…が………」



──その死骸は、トモノリのツチニンだったのだ。
 ▼ 45 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 02:12:10 ID:tizEkSn. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒデオ(……何かがトモノリの身に起きたんだ! ジャマとなるコイツは、誰かに殺されたんだっ!!)

ヒデオ「僕たちに会いに来たというのか、トモノリ……。……んっ……?」


僕は、地面に落ちている、とあるものに気づく。


ヒデオ(……なんだこれ。犯人が、落としたのか? 誰かの名刺…のようだけど。あと、この……ぬいぐるみ…?)


------------------------


ヒデオ(……そうだったのか! ということは、やはりトモノリはシダケに向かっていた! そしてハツネ……そうだ、今は“アイツ”のところだっ!!)


ヒデオ「……ハツネッ!!!」ダダッ



僕は夢中で、駆け出した……。
 ▼ 46 トドゼルガ@ラグラージナイト 18/07/21 07:17:48 ID:Nj92KpG. NGネーム登録 NGID登録 報告
うわぁ….スリリングな展開
支援
 ▼ 47 オノンド@ラッカのみ 18/07/21 07:44:24 ID:Sp5oXER2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 48 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 12:54:58 ID:DiWchIk6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数時間前 シダケ診療所〜

先生「……一ヶ月もかからなかったね。ヒビはほぼ、完治しています」

ハツネ「わぁ、よかった!もうこんなおじいちゃんみたいなサポーター、やだったの。シップだって、スゴくかぶれちゃうし……」

先生「……ん。そういえば、今日はヒデオ君は?」

ハツネ「なんかさ、調べたいことがあるからカナズミに行くんだって。……よくわからない、あの子」

先生「実のお兄ちゃんでしょうが」

ハツネ「じゃ、アタシ帰りますね。116番道路でポケモンどんどん鍛えるんだー」

先生「では、診療費は私が負けときましょうか?」

ハツネ「……あ、いいの?(……忘れてた)」

先生「良いですよ良いですよ。サービスです。それに、今日は君が最後の患者でしょうから」

ハツネ「え。今日はもう、お店閉めちゃうの?」
 ▼ 49 要石の森◆Y0TXrTESFs 18/07/21 12:55:37 ID:DiWchIk6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
先生「…私もちょいと、“骨休め”へ行きたくてね」

ハツネ「へぇ〜、先生も夏休みなんだ! どこ行くの?
えんとつ山? すてられぶね?」

先生「……ま、大したことはありませんよ。しばらくしたら行ってこようかな……と、思いまして」

ハツネ「へ〜、わかった。じゃあさ、お土産買って来てよ、先生!
男の子の友だちが大のせんべい好きだからさ、そんなのがいいかな〜っ」ウキウキ

先生「フフフ。相変わらず、素直で可愛らしい子だ。本当に、可愛らしくて……」



……久し振りに、“覗いて”みたくなる──



先生(……)


ハツネ「じゃーね、先生!」タタタッ


そして彼女。何事もなく、自宅へと戻って行く。
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