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【1レス目企画】伝説の桜の木の下で

 ▼ 1 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 16:51:14 ID:D3foUoU2 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




──ここはどこだろうか?

肌寒い感覚が意識を浮上させる

抉れた地面、無造作に投げ捨てられたもう使えないであろうモンスターボール……

どれも全て、見覚えがない

──自分は誰なのか?どうしてここにいる?

必死に思い出そうとしたが、何も思い出せない

記憶の糸はどこかで途切れてしまっていた……


ふと、何かの気配がした

荒れ果てた景色の中で存在感を示す、蕾を付けた桜の木

そのそばに、誰かが倒れているのだ──







 ▼ 2 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 16:52:04 ID:D3foUoU2 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このSSはBBS五周年を祝う一レス目企画(http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=949147)のSSです
 ▼ 3 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 16:56:56 ID:D3foUoU2 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕は走った。

しかしそれは叶わない、足が思うように動かないのだ。

だから、僕は声をかけた。
声をかけなければならない、なぜかそんな気がしたのだ。

僕「大丈夫…ですか?」

それは少女だった。

髪から仄かに香る匂いはシャンプーのような臭いではなく、確かな獣臭さが感じられた。

顔は整っており、見つめていると離すことのできないそんな美しさがそこにあった。


しばらく見ていると、彼女は目を覚ました。

サファイア「君は…?」
 ▼ 4 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:07:48 ID:D3foUoU2 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
年端もいかない少女、そんな彼女はまっすぐな眼差しをこちらに向けていた。

しかし、僕にはそれを返す事ができない。

─ねぇ?

目を見ながら考える、僕が何者か?
思い出そうにも靄がかかったかのように何も浮かぶことはなかった。

サファイア「ねぇってば!聞いてるの?」

僕「ご、ごめん…」

サファイア「急にじろじろ見てきて何のよう?」

警戒心を露にしたはっきりとした強い声に思わず喉がつまる。

僕「え、えと…」

サファイア「うじうじしない!何?」

僕「君が…倒れていたから…」


サファイア「なーんだ、心配してくれていたの?それなら早く言ってよ」

花が開いた。

それを思わせるように彼女はいきなり笑顔を見せたのだった。
 ▼ 5 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:18:32 ID:D3foUoU2 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サファイア「でも大丈夫!私は元気だよ」

弾むような声、さっきとはまるで別人かのような変心に思わず戸惑う。

サファイア「私はサファイア、君は?」

名前、名前を尋ねられているのだろう。
だが、思い出せないものを答えることはできない。

僕「僕は…」

サファイア「どうしたの?」

下から覗きこむように彼女は僕を見つめる。

僕「わから…ないんだ」

サファイア「え?」

僕「僕は…誰なんだろう?」

質問に質問で返す。
彼女に聞いたところでわかるはずがないのに、それでも僕は彼女に尋ねた。

彼女は少し困ったような顔をして、そしてまた笑顔を咲かせる。

サファイア「つぼみちゃん」

僕「え?」

サファイア「君の名前」

僕「つぼみ?」

サファイア「そう、桜の下で出会ったから君はつぼみちゃんだよ!」
 ▼ 6 ロボーシ@フェアリーメモリ 19/02/22 17:19:38 ID:i.W2LHLg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仕上げは上出来!!準備はおっけぃ!!
 ▼ 7 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:34:00 ID:D3foUoU2 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サファイア「決まり!よろしくねつぼみちゃん」

僕「は、はい…よろしく…お願いします」

彼女はそれを聞くと僕の手を取る。

サファイア「うんうん、それじゃあ行こっか?」

僕「どこに?」

サファイア「いいから、いいから!」

──なんて強引な娘なんだろう?

そう思っているのに、気がつけば逆らえない自分がそこにいた。
 ▼ 8 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:41:22 ID:D3foUoU2 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サファイア「ただいま!パパ!」

連れてこられた先は大きな建物だった。

オダマキ「お帰りサファイア」

サファイア「疲れたよーバクオングー!」

彼女は大きなクッションに飛び込んだ。

オダマキ「全く、いい加減ドアぐらい覚えてほしいね」

そう、彼女は窓から建物に侵入したのだった。

突然のことに狼狽える僕を見て、博士が声をかける。

オダマキ「いらっしゃい、ようこそオダマキ研究所へ」

彼女とは似ても似つかない30代位の彼が手を広げて迎え入れてくれた。
 ▼ 9 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:50:41 ID:D3foUoU2 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オダマキ「はじめまして、だね?」

僕「は…はい」

オダマキ「娘の友達かな?僕はオダマキ、そこにいる彼女のパパで、ポケモンの研究をしている」

僕「ぼ、僕は…」

─怖い人だ
博士を見て突然そう感じる。

どうすればいい?思わず頭が真っ白になる。

サファイア「つぼみちゃん!」

そんな僕を助けてくれるのはいつも彼女だった。


オダマキ「つぼみ?」

サファイア「うん、つぼみちゃんだよ」

僕「よ、よろしく…お願いします」

無表情だった博士がここで初めて笑顔になる。

オダマキ「そうか…つぼみちゃんか…」

覗きこむような視線、逃げ出したくなるような気持ちになるが、思いとどまる。

──なんで?なんで?

見つめ合うはりつめた空気、それを破ったのは彼だった。

オダマキ「君、ポケモンは好きかい?」

飛びっきりの笑顔で博士はそう尋ねた。
 ▼ 10 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 17:59:20 ID:D3foUoU2 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぽかん、とする。

──え、ポケモン?なんで?

博士は待つ、何かを期待するような目で僕を見つめている。

このままではいけない、何か答えなきゃ…

僕「は、はぃ…」

オダマキ「うん?」

だめだ…動けない。ハブネークに睨まれたニョロモのように足がすくんでしまう。

──うじうじしない!

そんな声が聞こえた気がした。
僕はその声に逆らうことはできないのだ。

僕「はい…好きです!」


オダマキ「そうかい、それは良かった!」

肩を捕まれる。
震える体を押さえつけられる。

オダマキ「それじゃあ君にはこれをあげよう!」

そういって差し出されたのは、ポケモンずかんだった。
 ▼ 11 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 18:20:12 ID:D3foUoU2 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
差し出されたそれを見つめる。
何故か少し懐かしい気持ちになる。

サファイア「あー!パパずるい!」

それを見た彼女は顔を真っ赤にして飛びかかる。

それを押さえつけながら博士は言った。

オダマキ「実はね、そろそろ娘も旅に行かせようと思っていたんだ。」

サファイア「本当!」

真っ赤だった顔がいきなり笑顔に変わる。

オダマキ「しかし、この娘だ」

博士は彼女を見てため息をつく。

オダマキ「そこで誰かと一緒に旅をさせようと思っていたんだが」

僕「丁度よく僕が現れたと…」

それを聞いて博士は笑顔になる

オダマキ「話が早いね、娘が連れてきた人間になら任せても大丈夫だろう」


オダマキ「それじゃあ早速いってらっしゃい」


博士はいつから用意していたのかわからない大きなリュックを彼女に背負わせ、僕たち二人を研究所から追い出した。


 ▼ 12 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 18:32:09 ID:D3foUoU2 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
訳のわからないまま僕たちは見つめ合う。

しかし、彼女はいつもの笑顔を見せる。

サファイア「えへへ、これからよろしくね?つぼみちゃん!」

僕「…!」


こう言われてしまっては逆らうことができないなぁ。


僕「うん!よろしくね」

カサッ


僕「あれ?」

サファイア「どうしたの?」

研究所の窓から何か見えた気がした。
しかし、それはもうそこに居なかった。

僕「ううん、なんでもないよ?」

サファイア「そっか、じゃあいこ?」


こうして僕たちはポケモン図鑑の完成のために旅に出たのだった。
 ▼ 13 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 18:37:22 ID:D3foUoU2 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オダマキ「つぼみちゃん、か…」

あの子を見たときは非常に驚いた。
泣いて研究所を飛び出した娘があんなに笑顔で帰ってくるとは思いもよらなかったのだ。

オダマキ「お前も気になるか?」

?「…」

オダマキ「そうか、やはりあの子はお前の娘か」


鏡を見る、こんな顔を誰かに見られてはまた通報されてしまう。

オダマキ「ふふ、楽しみだ…」


人とポケモン、それはどこから分けられるのか?

?「…ロズレッ」
 ▼ 14 ライドン◆bSeO.FGqek 19/02/22 18:39:24 ID:D3foUoU2 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
という事でサファイアとつぼみちゃんが旅に出た所で終わりです。

だらだら続けるとエタるから今回は短編ってことでお願いします
 ▼ 15 シャーモ@TMVパス 19/02/22 22:56:56 ID:LtEgHeug NGネーム登録 NGID登録 報告
面白そうな所で終わっちゃうのよね
 ▼ 16 SS主催者◆nkH/UxNEwQ 19/03/21 20:11:46 ID:vOkEFhrQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ホウエンが舞台でしょうかね
桜の蕾からの蕾ちゃんってセンス良いですね(笑)
謎のポケモンも花や蕾を意識されたのでしょうか?
謎の声やつぼみちゃんの正体など気になるものが多いですね
短編SSですが、すごく楽しませていただきました
お疲れ様でした!
 ▼ 17 ナアーラ@ソクノのみ 19/03/22 16:41:09 ID:zNkUhVWk NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
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